説明

無線通信方法及び無線基地局

【課題】空間的に通信エリアが一部重複する無線通信システム間で使用周波数帯を共用する際に、干渉を回避すると共に周波数利用効率を向上できる無線通信方法及び無線基地局を提供すること。
【解決手段】大セル基地局を有する大セルシステムと、小セル基地局を有する小セルシステムとの間で使用周波数帯域を共用する場合に、大セル基地局は、所定の情報に基づいて大セル基地局の専用リソース及び大セル基地局と小セル基地局との共用リソースの割当てを動的に制御すると共に、自セルに帰属する小セル基地局に大セル基地局の専用リソース及び大セル基地局と小セル基地局との共用リソースの割当て情報を報知し、小セル基地局は、少なくとも一つの大セル基地局に帰属し、帰属する大セル基地局から報知されるリソースの割当て情報に基づいて自セルにおけるリソースの割当てを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間的に通信エリアが一部重複する無線通信システム間で使用周波数帯を共用する無線通信方法及び無線基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な通信方式による無線通信システムのサービスが提供されている。例えば、標準化団体である3GPP(Third Generation Partnership Project)では、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、HSPA(High Speed Packet Access)、LTE(Long Term Evolution)等が規定されている。また、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802委員会では、無線LAN(Wi-Fi(登録商標):Wireless Fidelity)や無線MAN(WiMAX: Worldwide Interoperability for Microwave Access)等が規定されている。さらに、次世代PHS方式であるXGP(eXtended Global Platform)サービスも開始されている。
【0003】
各通信方式は、周波数帯域、ピークデータレート、伝送距離等について異なる特徴を有しており、異なる複数の通信方式を利用する無線通信システムと通信可能な無線通信装置が提案されている。また、異なる複数の無線通信システムの通信エリアの一部を重複させ、重複する通信エリアにおいて無線通信装置が特定の無線通信システムを選択して接続することにより、所望の無線通信サービスの提供を受けることが可能となる。
【0004】
例えば、互いに異なるセルサイズを構成し、少なくとも一部が重複する大セル(例えば、マクロセル)基地局と小セル(例えば、マイクロセル及び/又はフェムト)基地局を設けることが考えられる(図1参照)。同一オペレータが大セル基地局と小セル基地局を運用する場合には、大セル基地局と小セル基地局を同一の周波数で運用する方法と、異なる周波数で運用する方法がある。
【0005】
大セル基地局と小セル基地局を同一の周波数で運用する場合、大セル基地局と小セル基地局間の干渉が問題となる。例えば、小セル基地局においては、一部のユーザのみが小セル基地局にアクセスする形態がとられる可能性が考えられる。この場合、小セル基地局の周辺において、大セル基地局の配下で通信を行う移動端末装置(UE#A)が下り及び/又は上り通信において大きな干渉を受ける可能性が高くなる(図2(A)参照)。また、小セル基地局が移動端末装置(UE#A)から干渉を受ける可能性も考えられる(図2(D)参照)。
【0006】
大セル基地局に近接したエリアにおいては、小セル基地局の配下で通信を行う移動端末装置(UE#B)が大セル基地局から大きな干渉を被る可能性がある(図2(B)参照)。また、大セル基地局が移動端末装置(UE#B)から干渉を受ける可能性も考えられる(図2(C)参照)。
【0007】
一方で、大セル基地局を有する無線通信システムと小セル基地局を有する無線通信システムを異なる周波数で運用する場合には、小セル基地局専用の周波数帯を用意する必要がある。この場合、小セル基地局の設置が少ないエリア(地理的な設置密度が低いエリア)において、いわゆるホワイトスペースとなるエリアが広くなり周波数を有効に使用できなくなる問題が考えられる。
【0008】
上記問題を解決するため、通信エリアが一部重複する無線通信システム間で使用周波数帯を共用する際に、大セル基地局と小セル基地局に対するリソース割り当てを制御する方法が提案されている(例えば、非特許文献1〜非特許文献4)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】3GPP TR25.820
【非特許文献2】Y. Wu et al., “A Novel Spectrum Arrangement Scheme for Femto Cell Deployment in LTE Macro Cells” 2009 IEEE 20th International Symposium on Personal, Indoor and Mobile Radio Communications
【非特許文献3】D. Lopez-Perez et al., “OFDMA Femtocells: A roadmap on Interference Avoidance”IEEE Communications Magazine, Volume: 47 , Issue: 9
【非特許文献4】Z. Bharucha et.al, “Femto-Cell Resource Partitioning ” 2009 IEEE GLOBECOM Workshops
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、非特許文献1に記載された方法は、リソースの一部をマクロセル基地局とフェムトセル基地局の共用バンドとして使用し、一部をマクロセルのみで固定的に使用する構成であるため、無線通信環境によっては周波数利用効率が低下する問題がある。
【0011】
また、非特許文献2では、マクロセル端末がフェムトセル基地局近傍に位置するかを受信信号から判別してマクロセル基地局に通知することで、フェムトセル基地局の近傍に存在するマクロセル端末に対して専用リソースを割り当て、それ以外の端末に対して共用又は専用リソースを割当てている。これにより、上り通信においてフェムトセル基地局に対するマクロ端末からの干渉を回避することができる。しかし、マクロセル基地局での通信に対するフェムトセル基地局、フェムトセル端末からの干渉を回避することや、フェムトセル基地局及びマクロセル基地局に対する動的なリソース割当てについては一切開示されていない。
【0012】
また、非特許文献4では、マクロセル端末が干渉源となっているフェムトセル基地局を特定してマクロ基地局に報告し、マクロ基地局が当該マクロセル端末にリソースを割り当てる際に、干渉源となるフェムトセル基地局に対してマクロセル端末に割り当てたリソースの使用を禁止する方法が示されている。しかし、マクロセル端末が干渉源となるフェムトセル基地局を特定する必要があることからマクロセル端末での処理が大幅に増える問題や、マクロセル基地局内のフェムトセル基地局数が非常に多い場合に干渉源を特定できなくなる問題がある。また、ネットワーク側の処理負担が大きくなり、フェムトセル基地局への個別の通知のための無線リソースが増大するという問題がある。
【0013】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、通信エリアが少なくとも一部重複する無線通信システム間で使用周波数帯を共用する際に、干渉を低減すると共に周波数利用効率を向上できる無線通信方法及び無線基地局を提供することを目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の無線通信方法は、セルサイズが相対的に大きい大セル基地局を有する大セルシステムと、セルサイズが相対的に小さい小セル基地局を有する小セルシステムとの間で使用周波数帯域を共用する無線通信方法であって、前記大セル基地局は、自セル配下で通信を行う移動端末装置から通知される情報及び前記大セル基地局に帰属する小セル基地局から通知される情報に基づいて、大セル基地局専用割当てリソース及び前記大セル基地局/前記小セル基地局の共用割当てリソースを動的に設定し、自セルに帰属する小セル基地局に対して前記大セル基地局専用割当てリソース及び前記大セル基地局/前記小セル基地局の共用割当てリソースに関する情報を報知し、前記小セル基地局は、少なくとも一つの大セル基地局に帰属し、帰属する大セル基地局から報知される前記大セル基地局専用割当てリソース及び前記大セル基地局/前記小セル基地局の共用割当てリソースに関する情報に基づいて、自セルにおける割当てリソースを決定することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、小セル基地局は帰属する大セル基地局の指示に基づいてリソース割当てを制御し、大セル基地局及び小セル基地局に対して動的なリソース割当てを行うことができる。これにより、大セル基地局と小セル基地局の干渉を回避すると共に通信環境に応じて高い周波数利用効率を実現することができる。
【0016】
本発明の無線基地局は、自セルよりセルサイズが相対的に小さい小セル基地局を帰属し、自セル専用割当てリソース及び前記小セル基地局との共用割当てリソースを動的に制御する無線基地局であって、自セルの配下で通信を行う移動端末装置からリソースチャネル情報を検出するリソースチャネル情報取得部と、自セルのリソースの使用状況を検出するリソース使用状況監視部と、前記小セル基地局から通知されるリソース追加要求情報を検出するリソース追加要求情報信号検出部と、前記リソースチャネル情報、リソース追加要求情報及び前記リソースの使用状況に基づいて、前記自セル専用割当てリソースと、前記小セル基地局との共用割当てリソースを動的に設定する専用・共用割当てリソース決定部と、前記専用・共用割当てリソース決定部で決定されたリソース割当て情報を前記小セル基地局に対して報知する送信部と、を有することを特徴とする。
【0017】
本発明の他の無線基地局は、自セルよりセルサイズが相対的に大きい大セル基地局に帰属する無線基地局であって、自セルが帰属する大セル基地局を決定する帰属基地局決定部と、自セルの配下で通信を行う移動端末装置からリソースチャネル情報を検出するリソースチャネル情報取得部と、自セルのリソース使用状況及びトラフィック状況に基づいて、前記大セル基地局に対して通知するリソース追加要求情報を生成するリソース追加要求信号生成部と、前記大セル基地局から通知される大セル基地局専用割当てリソースと、自セルと前記大セル基地局との共用割当てリソースに関する情報を検出する専用・共用割当てリソース情報検出部と、前記専用・共用割当てリソース情報検出部で検出された情報に基づいて、自セル配下で通信を行う移動端末装置にそれぞれ割当てるリソースを決定するリソース割当て制御部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、通信エリアが少なくとも一部重複する無線通信システム間で使用周波数帯を共用する場合であっても、干渉を低減すると共に周波数利用効率を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】空間的に通信エリアが一部重複する無線通信システムを説明する図である。
【図2】空間的に通信エリアが一部重複する無線通信システムの干渉について説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る周波数共用無線通信システムの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る周波数共用無線通信システムにおける大セル基地局の機能ブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る周波数共用無線通信システムにおける小セル基地局の機能ブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る周波数共用無線通信システムにおける大セル基地局又は小セル基地局配下の移動端末装置の機能ブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るOFDMAを用いた場合における変調部及び復調部の構成を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る大セル基地局専用割当てリソース、小セル基地局専用割当てリソース及び共用割当てリソースの割当例の一例を示す図である。
【図9】異なる大セル基地局において、大セル基地局の専用割当てリソース、小セル基地局専用割当てリソース及び共用割当てリソースの設定の一例を示す図である。
【図10】異なる大セル基地局において、大セル基地局の専用割当てリソース、小セル基地局専用割当てリソース及び共用割当てリソースの設定の一例を示す図である。
【図11】異なる大セル基地局と小セル基地局において、大セル基地局専用割当てリソース、小セル基地局専用割当てリソース及び共用割当てリソースの割当例の一例を示す図である。
【図12】本実施の形態に係る無線通信方法の一例を説明する図である。
【図13】本実施の形態に係る制御情報の送信タイミングの一例を示す図である。
【図14】本実施の形態に係る無線通信方法の他の一例を示す図である。
【図15】本実施の形態に係る無線通信方法の別の一例を示す図である。
【図16】本実施の形態に係る無線通信方法の更に別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図3を参照して、異なる無線通信システム間で使用周波数帯域を共用する場合の周波数共用無線通信システム構成の概要について説明する。なお、図3に示すシステム構成は、あくまで例示であって、この構成に限定されるものではない。本発明は、異なる無線通信システム間で使用周波数帯域を共用する構成であれば適用できる。また、複数の無線通信システムとしては、3G無線(W-CDMA)アクセスシステム、LTEアクセスシステム、WLANアクセスシステム、WiMAXアクセスシステム等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
図3では、セルサイズが相対的に大きい大セル基地局111a、111bを有する大セル無線システム110と、セルサイズが相対的に小さい小セル基地局121a、121bを有する小セル無線システム120とが設けられ、各システムの通信エリアがオーバラップしている場合を示している。
【0023】
また、大セル基地局111a、111bの配下でそれぞれ通信を行う移動端末装置112a、112bは、大セル基地局111a、111bの通信エリア内にそれぞれ存在している。小セル基地局121a、121bの配下でそれぞれ通信を行う移動端末装置122a、122bは、小セル基地局121a、121bの通信エリア内にそれぞれ存在している。また、移動端末装置122aは大セル基地局111aの通信エリア内にも存在し、移動端末装置122bは大セル基地局111a、111bの通信エリア内にも存在している。
【0024】
大セル基地局111a、111bは、小セル基地局121a、121bよりセルサイズが大きく、例えば、大セルがマクロセル、小セルがマイクロセル又はフェムトセルに該当する。一例として、大セル無線システム110がセルラシステム、小セル無線システム120がWLANアクセスシステムとすることができる。なお、大セル無線システム110の通信方式、小セル無線システム120の通信方式は、特に限定されない。また、大セル基地局及び小セル基地局の数は図3に示した数に限定されない。
【0025】
以下の説明では、大セル無線システム110と小セル無線システム120間で使用周波数帯を共用する無線通信について、大セル基地局111aと小セル基地局121aを例に挙げて説明する。
【0026】
大セル基地局111aは、大セル基地局111aの専用リソースと、大セル基地局111aと小セル基地局121aとの共用リソースの割当てを動的に制御する。例えば、大セル基地局111aは、自セル配下で通信を行う移動端末装置112aのリソースチャネル情報、自セルのリソース使用状況に関する情報、大セル基地局111aに帰属する小セル基地局121aから通知されるリソース追加要求情報等に基づいて、大セル基地局111aの専用割当てリソース及び大セル基地局111aと小セル基地局121aとの共用割当てリソースを動的に制御する。
【0027】
大セル基地局111aは、決定した大セル基地局111aの専用割当てリソース(以下、「大セル基地局専用割当てリソース」と記す)及び大セル基地局111aと小セル基地局121aとの共用割当てリソース(以下、「共用割当てリソース」と記す)に関する情報(リソース割当て情報)を、小セル基地局121aに対して報知する。
【0028】
小セル基地局121aは、少なくとも一つの大セル基地局(ここでは、大セル基地局111a)に帰属し、当該帰属する大セル基地局111aから報知されるリソース割当て情報を受信する。小セル基地局121aは、受信したリソース割当て情報に基づいて、自セルにおける大セル基地局専用割当てリソース及び共用割当てリソースを動的に制御する。そして、大セル基地局専用割当てリソース以外のリソース(共用割当てリソース)を、小セル基地局121a配下で通信を行う移動端末装置122aに対して割当てる。
【0029】
このように、大セル基地局が通信状況に応じて大セル基地局専用割当てリソースと帰属する小セル基地局との共用割当てリソースを制御し、小セル基地局が帰属する大セル基地局の指示に基づいてリソース割当てを動的に制御することにより、大セル基地局と小セル基地局の干渉を回避すると共に通信環境に応じて高い周波数利用効率を実現することができる。また、大セル基地局が、当該大セル基地局における受信状況、小セル基地局における通信状況等に基づいて、大セル基地局専用割当てリソース及び共用割当てリソースを動的に設定することにより、ネットワーク側における負荷を低減することができる。また、大セル基地局が、大セル基地局専用割当てリソースを用いてリソース割当て情報を小セル基地局に報知することにより、大セル基地局と小セル基地局間で別回線を必要とすることなく、大セル基地局から小セル基地局に対してより確実に信号を送信することができる。
【0030】
次に、上述した大セル基地局と小セル基地局間で使用周波数帯を共用する場合の無線通信方法の具体例について図12を参照して説明する。
【0031】
まず、小セル基地局121aは、帰属する大セル基地局(ここでは、大セル基地局111a)を決定する(step11)。小セル基地局121aは、帰属先の大セル基地局111aに帰属する旨の通知を行う。
【0032】
小セル基地局121aは、大セル基地局からの受信信号に基づいて帰属先の大セル基地局を決定することができ、一つ又は複数の大セル基地局に帰属できる。一つの大セル基地局に選択的に帰属する場合には、例えば、受信信号が最も高い大セル基地局を帰属先とする。
【0033】
次に、移動端末装置は帰属先の基地局に対してリソースチャネル情報を通知する(step12)。例えば、移動端末装置112aは、帰属先の大セル基地局111aに対して、大セル基地局111aの専用リソースチャネル情報と、大セル基地局111aと小セル基地局121aの共用リソースチャネル情報を通知する。一方、移動端末装置122aは、帰属先の小セル基地局121aに対して、少なくとも共用リソースチャネル情報を通知する。
【0034】
大セル基地局111aの専用リソースチャネル情報は、専用リソースチャネルのチャネル品質(SINR等)に関する情報であり、大セル基地局111aと小セル基地局121aの共用リソースチャネル情報は、共用リソースチャネルのチャネル品質に関する情報である。
【0035】
例えば、大セル基地局111aの専用リソースチャネル情報は、所望の信号電力に対して大セル基地局111aが送信する既知の信号系列を相関検出することで所望の受信電力を推定できる。また、専用リソースチャネルにおいて、当該セルで使用されていないリソースの受信電力を検出することで、干渉信号及び雑音電力を取得できる。これらの情報に基づいて、専用リソースチャネルのSINRを計算する事ができる。また、大セル基地局111aと小セル基地局121aの共用リソースチャネル情報についても、同様にSINRを算出することができる。
【0036】
次に、小セル基地局121aは、小セル基地局121aのリソース使用状況と、小セル基地局121aのトラフィック状況からリソース追加要求情報を生成し、帰属先の大セル基地局111aに通知する(step13)。
【0037】
リソース使用状況は、共用割当てリソースにおけるリソース使用率、又は自セル(小セル基地局)で使用されているリソース使用率とすることができる。また、リソース使用率とは、過去の所定フレーム数において使用されたリソースの平均に基づいて定めることができる。
【0038】
例えば、小セル基地局121aは、小セル基地局121aに割当てられているリソース量が少ない(割当てられているリソース量が所定のリソース量の規定値以下である)場合に、多くのリソース量を要求する。また、大セル基地局111aで使用されているリソース使用率が低い場合に、小セル基地局121aがより多くのリソース量を要求する構成としてもよい。他にも、小セル基地局121aにおけるトラフィック量が多い場合には、小セル基地局121aは多くのリソース量を要求する構成とすることができる。
【0039】
小セル基地局121aが通知するリソース追加要求情報は、少なくとも帰属先の大セル基地局111aに対してのみ行えばよい。
【0040】
次に、大セル基地局111aは、自セルの上り及び下りのトラフィック状況に基づいて、リソース使用状況を検出する(step14)。
【0041】
次に、大セル基地局111aは、上記step11〜step14で得られた情報に基づいて、大セル基地局専用割当てリソースと共用割当てリソースを決定する(step15)。具体的には、移動端末装置のリソースチャネル情報、小セル基地局121aから通知されるリソース追加要求情報、大セル基地局111aのトラフィック情報等に基づいて、大セル基地局専用割当てリソース及び共用割当てリソースを決定する。
【0042】
次に、上記step15で大セル基地局111aが決定したリソース割当て情報を小セル基地局121aに対して報知する(step16)。この際、大セル基地局111aは、大セル基地局専用割当てリソースを用いてリソース割当て情報を小セル基地局121aに報知することが好ましい。つまり、共用割当てリソースには小セル基地局121aが移動端末装置に対してリソースの割当てを行う可能性があり、この場合には、大セル基地局111aと小セル基地局121a間に別の通信回線が必要となる。このため、大セル基地局専用割当てリソースを用いることにより共用割当てリソースを用いる場合と比較して、小セル基地局121aが大セル基地局111aからの信号をより確実に受信することが可能となる。
【0043】
次に、小セル基地局121aは、大セル基地局111aから報知されたリソース割当て情報に基づいて、小セル基地局121aにおけるリソース割当て(大セル基地局専用割当てリソース、及び共用割当てリソース)を決定する(step17)。
【0044】
次に、大セル基地局111a、小セル基地局121aは、自セル配下でそれぞれ通信を行う移動端末装置に対して割当てるリソースを決定する(step18)。大セル基地局111aは、大セル基地局111a配下の各移動端末装置112aに対して、大セル基地局専用割当てリソース又は共用割当てリソースとして設定された領域からリソースの割当てを行う。一方、小セル基地局121aは、小セル基地局121a配下の各移動端末装置112bに対して、大セル基地局専用割当てリソース以外の無線リソース(ここでは、共用割当てリソース)として設定された領域からリソースの割当てを行う。各基地局において、各移動端末装置へのリソースの割当ては、各移動端末装置から通知される通信速度要求やチャネル品質情報等に基づいて制御する。これにより、移動端末装置毎に最適な割り当てを行うことができる。
【0045】
なお、上記説明では、大セル基地局専用割当てリソースと、共用割当てリソースを設定する構成としたが、これらに加えて小セル基地局専用の割当てリソースを設定する構成としてもよい。この場合について、以下に説明する。
【0046】
小セル基地局専用割当てリソースを設ける場合、大セル基地局は、大セル基地局専用割当てリソース(Macro only)及び共用割当てリソース(Shared)に加えて、小セル基地局専用割当てリソース(Femto only)を動的に制御する(図8参照)。そして、大セル基地局111aで決定したリソース割当て情報(大セル基地局専用割当てリソース、共用割当てリソース及び小セル基地局専用割当てリソースに関する情報)を小セル基地局に報知する。これにより、小セル基地局121aの配下で通信を行う移動端末装置の干渉も効果的に低減することが可能となる。
【0047】
小セル基地局専用割当てリソースを設ける場合、上記図12のstep12において、移動端末装置122aは、帰属先の小セル基地局121aに対して、共用リソースチャネル情報に加えて小セル基地局121aの専用リソースチャネル情報を通知する。
【0048】
また、小セル基地局専用割当てリソースを設ける場合には、一部の特定のリソースを小セル基地局専用に割当て、当該特定のリソースを用いて、同期確立用の基地局固有の信号系列、及び基本となる報知情報(又は、その報知情報が送信されるリソースの情報)を送信する構成とすることが好ましい。
【0049】
以下に、周波数共用無線通信システムを構成する大セル基地局、小セル基地局、移動端末装置の構成の一例について図面を参照して具体的に説明する。
【0050】
<大セル基地局>
図4に大セル基地局の一構成例を示す。
【0051】
大セル基地局が受信した信号はベースバンド信号生成部201を介して復調部202で復調された後、分離部203に供給される。ベースバンド信号生成部201は、アンテナを介して受信した無線周波数信号をベースバンド信号に変換する。分離部203は、復調部202から出力された信号を各種制御信号とデータ信号に分離して、データ信号をデータ信号検出部204に出力し、小セル基地局からのリソース追加要求信号等を含む各種制御信号をリソース追加要求信号検出部205、制御信号検出部207、制御信号生成部212、上りリンク専用・共用リソースチャネル情報取得部221及び下りリンク専用・共用リソースチャネル情報取得部222に出力する。
【0052】
データ信号検出部204は、分離部203から供給されたベースバンド信号(I、Q信号)に対して、ビット検出、誤り訂正復号、誤り検出を行い、誤り検出結果を制御信号生成部212に出力する。
【0053】
上りリンク専用・共用リソースチャネル情報取得部221は、分離部203から供給された信号に基づいて、大セル基地局のセル配下で通信する各移動端末装置の上りリンクにおける大セル基地局専用のリソースのチャネル情報、及び大セル基地局と小セル基地局の共用リソースのチャネル情報を検出する。検出した情報は、専用・共用割当てリソース決定部210に出力する。リソース追加要求信号検出部205は、大セル基地局に帰属する小セル基地局から通知されたリソース追加要求情報を検出し、検出した情報を専用・共用割当てリソース決定部210に出力する。
【0054】
下りリンク専用・共用リソースチャネル情報取得部222は、分離部203から供給された信号に基づいて、大セル基地局の配下で通信を行う各移動端末装置の下りリンクにおける大セル基地局専用のリソースチャネル情報、及び大セル基地局と小セル基地局の共用リソースチャネル情報を検出する。検出した情報は、専用・共用割当てリソース決定部210及びリソース割当て制御部208に出力する。
【0055】
制御信号検出部207は、分離部203から供給された信号から制御信号を検出し、リソース割当て制御部208及び専用・共用リソース割当て情報信号生成部211に出力する。
【0056】
リソース使用状況監視部209は、自セルの上り及び下りのトラフィック状況を監視し、自セルのリソースの使用状況を検出して、専用・共用割当てリソース決定部210に出力する。専用・共用割当てリソース決定部210は、小セル基地局から通知されたリソース追加要求情報、大セル基地局のリソース使用状況、大セル基地局の配下の移動端末装置のリソースチャネル情報に基づいて、大セル基地局専用割当てリソースと、共用割当てリソースを決定する。
【0057】
専用・共用リソース割当て情報信号生成部211は、専用・共用割当てリソース決定部210から出力された情報に基づいてリソース割当てに関する信号を生成し、制御信号生成部212に出力する。なお、専用・共用リソース割当て情報信号生成部211で生成されたリソース割当に関する信号は、大セル基地局に帰属する小セル基地局に対して報知される。
【0058】
リソース割当て制御部208は、供給された情報等に基づいて、制御信号及び各移動端末装置に割当てるリソースを決定する。
【0059】
制御信号生成部212は、供給された情報に基づいて制御信号を生成して、多重部214に出力する。送信信号生成部213は、送信するデータ(ビット系列)に対して誤り訂正符号化、シンボルマッピングを適用し、送信シンボルを生成する。多重部214は、リソース割当情報に基づいて、送信信号生成部213からの送信シンボル(ユーザトラフィック)と制御信号生成部212からの制御信号を多重し、変調部215に出力する。変調部215は、多重部214から供給された送信シンボルを変調して、RF信号生成部216に出力する。RF信号生成部216は、RF信号を生成した後、アンテナを介して大セル基地局のセル配下の移動端末装置や小セル基地局に送信する。なお、RF信号生成部216とアンテナにより送信部が構成される。
【0060】
<小セル基地局>
図5に小セル基地局の一構成例を示す。
【0061】
小セル基地局が受信した信号はベースバンド信号生成部301を介して復調部302で復調された後、分離部303に供給される。ベースバンド信号生成部301は、アンテナを介して受信した無線周波数信号をベースバンド信号に変換する。分離部303は、復調部302から出力された信号を各種制御信号とデータ信号に分離して、データ信号をデータ信号検出部304に出力し、各種制御信号を専用・共用割当てリソース情報検出部317、帰属基地局決定部318、制御信号検出部307、制御信号生成部312、上りリンク専用・共用リソースチャネル情報取得部321及び下りリンク専用・共用リソースチャネル取得部322に出力するに出力する。
【0062】
データ信号検出部304は、分離部303から供給されたベースバンド信号(I、Q信号)に対して、ビット検出、誤り訂正復号、誤り検出を行い、検出結果を制御信号生成部312に出力する。
【0063】
帰属基地局決定部318は、自セルが帰属する大セル基地局を決定する。具体的には、小セル基地局に対して大セル基地局から送信されるパイロット信号に基づいて帰属する大セル基地局を決定する。帰属セル基地局として、複数の大セル基地局を選択してもよいし、一つの大セル基地局を設定してもよい。一つの大セル基地局を帰属セル基地局として設定する場合には、例えば、最も受信電力の高い大セル基地局を選択する。
【0064】
専用・共用割当てリソース情報検出部317は、帰属する大セル基地局から送信される、大セル基地局専用リソースと、大セル基地局/小セル基地局共用リソースの割当情報を検出し、検出した割当情報をリソース割当て制御部308、リソース追加要求信号生成部319に出力する。
【0065】
上りリンク専用・共用リソースチャネル情報取得部321は、分離部303から供給された信号に基づいて、小セル基地局の配下で通信を行う各移動端末装置の上りリンクにおける小セル基地局専用のリソースチャネル情報、及び大セル基地局と小セル基地局の共用リソースチャネル情報を検出する。検出した情報は、リソース追加要求信号生成部319に出力する。下りリンク専用・共用リソースチャネル情報取得部322は、分離部303から供給された信号に基づいて、小セル基地局の配下で通信を行う各移動端末装置の下りリンクにおける小セル基地局専用のリソースチャネル情報、及び大セル基地局と小セル基地局の共用リソースチャネル情報を検出する。検出した情報は、リソース追加要求信号生成部319及びリソース割当て制御部308に出力する。なお、小セル基地局専用割当てリソースを設けない場合には、上りリンク専用・共用リソースチャネル情報取得部321及び下りリンク専用・共用リソースチャネル情報取得部322を、大セル基地局と小セル基地局の共用リソースチャネル情報のみ取得する構成とすればよい。
【0066】
リソース追加要求信号生成部319は、小セル基地局のリソース使用状況とトラフィック状況から、追加リソースの必要性を判断し、リソース追加要求信号を生成する。リソース追加要求信号は、無線リンクを通じて帰属する大セル基地局に通知される。この通知は、別途設けられた有線リンクを用いて行う構成としてもよい。
【0067】
リソース使用状況監視部309は、自セルの上り及び下りのトラフィック状況を監視し、自セルのリソースの使用状況を検出して、リソース追加要求信号生成部319に出力する。
【0068】
リソース割当て制御部308は、供給された情報等に基づいて、制御信号及び各移動端末装置に割当てるリソースを決定する。
【0069】
制御信号生成部312は、供給された情報に基づいて制御信号を生成して、多重部314に出力する。送信信号生成部313は、送信するデータ(ビット系列)に対して誤り訂正符号化、シンボルマッピングを適用し、送信シンボルを生成する。多重部314は、リソース割当情報に基づいて、送信信号生成部313からの送信シンボル(ユーザトラフィック)と制御信号生成部312からの制御信号を多重し、変調部315に出力する。変調部315は、多重部314から供給された送信シンボルを変調して、RF信号生成部316に出力する。RF信号生成部316は、RF信号を生成した後、アンテナを介して大セル基地局のセル配下の移動端末装置や小セル基地局に送信する。なお、RF信号生成部316とアンテナにより送信部が構成される。
【0070】
<移動端末装置>
図6に移動端末装置の一構成例を示す。
【0071】
移動端末装置において、受信した信号はベースバンド信号生成部401を介して復調部402で復調された後、分離部403に供給される。ベースバンド信号生成部401は、アンテナを介して受信した無線周波数信号をベースバンド信号に変換する。分離部403は、復調部402から出力された信号を各種制御信号とデータ信号に分離して、データ信号をデータ信号検出部404に出力し、各種制御信号を共用リソースチャネル情報取得部417、専用リソースチャネル情報取得部418及び制御信号検出部407に出力する。
【0072】
データ信号検出部404は、分離部403から供給された信号をベースバンド信号(I、Q信号)に対して、ビット検出、誤り訂正復号、誤り検出を行い、検出結果を制御信号生成部412に出力する。
【0073】
共用リソースチャネル情報取得部417は、共用リソースのチャネル情報を取得し、専用・共用リソースチャネル情報信号生成部419に出力する。専用リソースチャネル情報取得部418は、帰属先基地局の専用リソースのチャネル情報を取得し、専用・共用リソースチャネル情報信号生成部419に出力する。専用・共用リソースチャネル情報信号生成部419は、供給された情報に基づいて、専用・共用リソースチャネル情報信号を生成し、制御信号生成部412に出力する。
【0074】
リソース要求信号生成部420は、リソース要求信号を生成して制御信号生成部412に出力する。
【0075】
制御信号検出部407は、分離部403から供給された信号から制御信号を検出し、分離部403、送信信号生成部413及び多重部414に出力する。
【0076】
制御信号生成部412は、供給された情報に基づいて制御信号を生成して、多重部414に出力する。送信信号生成部413は、送信するデータ(ビット系列)に対して誤り訂正符号化、シンボルマッピングを適用し、送信シンボルを生成する。多重部414は、リソース割当情報に基づいて、送信信号生成部413からの送信シンボル(ユーザトラフィック)と制御信号生成部412からの制御信号を多重し、変調部415に出力する。変調部415は、多重部414から供給された送信シンボルを変調して、RF信号生成部416に出力する。RF信号生成部416は、RF信号を生成した後、アンテナを介して大セル基地局のセル配下の移動端末装置や小セル基地局に送信する。なお、RF信号生成部416とアンテナにより送信部が構成される。
【0077】
本実施の形態で示した周波数共用無線通信システムは、OFDMA、CDM、TDMを用いるシステムについて適用することができる。OFDMを用いる場合、上記変調部及び復調部は、それぞれ図7(A)、(B)に示すように構成される。
【0078】
図7(A)において、ベースバンド信号生成部から供給された受信信号は、直並列変換器(S/P部511)にてパラレル・データに変換された後、FFT部512でFFT処理が行われる。FFT処理された信号は、チャネル等化部513で伝送路において加えられた振幅変動、位相変動の補正(チャネル等化)が行なわれる。
【0079】
図7(B)において、多重部から供給された送信シンボルは、サブキャリアマッピング部515に入力される。サブキャリアマッピング部515により、適切なサブキャリアに対してマッピングされた送信シンボル(周波数領域)は、IFFT部516でIFFT処理される。その後、並直列変換器(P/S部517)によりシリアルデータに変換した後、GI付加部518においてIFFT出力信号の一部がガードインターバルとして付加される。
【0080】
本実施の形態において、大セル基地局専用割当てリソースと、小セル基地局専用割当てリソースと、共用割当てリソースは、周波数方向に分割(周波数分割多重)を行うこと(例えば、OFDM適用時には、サブキャリア群として割当て)も可能であるが、時間方向に分割(時間多重)することが好ましい。これは、受信機における非線形素子の飽和を考慮した場合、周波数分割された異なる帯域(OFDM適用時には、異なるサブキャリア群)を利用した場合であっても、サブキャリア間で干渉が生じる可能性があるためである。
【0081】
また、本実施の形態で示す方法において、大セル基地局に帰属する小セル基地局の数が非常に多くなった場合には、大セル基地局に対してリソース追加要求情報が非常に多く送信される可能性がある。また、大セル基地局でトラフィック量が多い場合と少ない場合において、小セル基地局がリソース追加要求情報を送信するか否かの判断の基準を変更することが好ましい。
【0082】
したがって、小セル基地局は、所定のルールに従ってリソース追加要求情報を送信する構成とすることが好ましい。例えば、大セル基地局が、自セルのトラフィック状況に関してX段階で通知を行い、各小セル基地局が、大セル基地局でのトラフィック状況と自セル基地局でのトラフィック状況と現在のリソース割り当て状況に応じて、予めリソース追加要求情報の送信を行うか否かを決定するルールを決定する。そして、各小セル基地局は、所定のルールに基づいてリソース追加要求の送信の可否を決定する構成とすることができる。なお、上記ルールは、大セル基地局において決定して小セル基地局に対して報知し、小セル基地局が報知されたルールに従う構成としてもよい。
【0083】
これにより、大セル基地局に帰属する小セル基地局の数が非常に多くなった場合であっても、大セル基地局に対して小セル基地局から送信されるリソース追加要求情報を低減することができる。
【0084】
(実施の形態2)
上記実施の形態では、小セル基地局が複数の大セル基地局から信号を受信する際に、帰属する大セル基地局の選択方法に関して説明する。また、複数の大セル基地局に帰属する場合のリソースの割当てに関して説明する。
【0085】
各小セル基地局は複数の大セル基地局から信号を受信する場合に、帰属セルとして一つの大セル基地局を選択した場合に、無線リソースの割当ての際に干渉問題が生じる可能性が考えられる。
【0086】
例えば、大セル基地局111aのセルエッジ付近に位置する小セル基地局121bが、2つの大セル基地局111a、111bからの信号を受信する場合(図3参照)、大セル基地局111aのみを帰属セルとすると、大セル基地局111aにより許可されたリソースを使用してリソースの割当てを行うこととなる。
【0087】
一方で、他方の大セル基地局111bが、大セル基地局111bの専用割当てリソースに設定した領域と、小セル基地局121bが共用割当てリソースに設定した領域が重なる場合には、小セル基地局121bの付近に存在し、重なるリソースを利用して大セル基地局121bから信号を受信する移動端末装置112bは、小セル基地局121bから干渉を受ける(図10参照)。また、この場合、大セル基地局121bは、干渉を受ける移動端末装置112bの通信品質を担保する手段が存在しなくなる。
【0088】
そこで、小セル基地局121bは、信号を受信する全ての大セル基地局からのリソース割当情報を受信し、受信したリソース割当て情報に基づいて使用するリソースを制御することが好ましい。
【0089】
例えば、全ての大セル基地局により小セル基地局専用割当てリソースとして設定された領域を小セル基地局専用割当リソースとして選択的に使用する。また、これに加えて、全ての大セル基地局により共用割当てリソースとして設定された領域も小セル基地局が使用する構成としてもよい(図11参照)。
【0090】
この場合、各小セル基地局が、大セル基地局に対してリソース追加要求を行う際には、帰属先の全ての大セル基地局に対して、リソース追加要求を行う構成とすることができる。また、小セル基地局専用割当てリソース情報が所定の数以上の大セル基地局数から通知される場合は、既定のX個の情報のみ考慮する構成としてもよい。この場合、各小セル基地局は、大セル基地局からの受信信号の強さに応じてX個の大セル基地局を選択することができる。
【0091】
また、複数の大セル基地局は、各割当てリソースに対して時間多重を行う場合に、大セル基地局専用割当てリソース(Macro only)、共用割当てリソース(Shared)、小セル基地局専用割当てリソース(Femto only)をそれぞれ任意の場所に配置することが可能である。
【0092】
そのため、小セル基地局が、全ての大セル基地局から小セル基地局専用割当てリソース(又は共用割当てリソース)として設定された領域のみを割当てリソースとして使用する場合、各大セル基地局が任意の方法で専用割当てリソース、共用割当てリソースを決定すると、小セル基地局がいずれのリソースも共用割当てリソースとして使用できなくなる可能性がある(図9参照)。
【0093】
そこで、図10に示すように、大セル基地局専用割当てリソース、共用割当てリソース及び小セル基地局専用割当てリソースを配置する順番をあらかじめ設定することが好ましい。例えば、時間方向において、所定のシンボルを基準として以下のように割当てることができる。なお、1シンボル〜最終シンボルまでは所定の時間範囲として設定することができる。
【0094】
1シンボル目〜X1シンボル目:大セル基地局専用割当てリソース
X1+1シンボル目〜X2シンボル目:共用割当てリソース
X2+1シンボル目〜最終シンボル:小セル基地局専用割当てリソース
【0095】
このように、大セル基地局専用割当てリソース、共用割当てリソース及び小セル基地局専用割当てリソースを配置する順番をあらかじめ設定することにより、小セル基地局が使用できるリソースを確保すると共に、干渉を効果的に抑制することが可能となる。
【0096】
また、小セル基地局から送信する重要な制御信号は、小セル基地局専用割当てリソースに設定されたチャネルで送信することが好ましい。一方で、このように制御情報を送信すると、制御信号に、リソース割当て情報が含まれることになる。この場合、所定フレームの信号の検出を、制御情報を検出するまでストックしておき、制御信号を復調後に所定フレーム内のデータ信号を検出する必要がある。
【0097】
そこで、図13に示すように、Xフレームで送信される小セル基地局からの制御情報は、X+1フレームで送信されるフレームに関する割当て情報を含むようにすることが好ましい。また、この場合、リソース追加要求の報告タイミングは、既定のXフレームとしてもよい。
【0098】
また、専用・共用割当てリソースに関する割当てリソースの変更は、上記に示すように、自セルに存在する小セル基地局のみではなく、隣接セルに存在する小セル基地局に対しても影響を与えるため事前に通知することが好ましい。また、割当てリソースの更新周期を、Xフレーム(X>1)として全ての大セル基地局で統一することが好ましい。
【0099】
(実施の形態3)
本実施の形態では、小セル基地局から大セル基地局へ通知するリソース追加要求情報について説明する。上述したようにリソース追加要求情報は、小セル基地局においてリソース使用状況及びトラフィック状況を用いて生成し、大セル基地局に対して通知される。なお、小セル基地局から大セル基地局へのリソース追加要求情報の通知は、有線チャネル又は無線チャネルを介して行うことができるが、無線チャネルを介して通知することが好ましい。
【0100】
有線チャネルを介してリソース追加要求情報を通知する場合、大セル基地局に帰属する全ての小セル基地局からの情報が有線ネットワークで伝送されるため、ネットワークの負荷が大きくなる可能性がある。これに対して、無線チャネルを介してリソース追加要求情報を送信することで、一部の無線リソースが占有されることになるが、各大セル基地局に帰属する小セル基地局の情報を局所的に扱うことができるため、効率的な制御が可能になると考えられるためである。
【0101】
また、無線チャネルを介してリソース追加要求情報を通知する場合には、トラフィック状況やリソース使用状況の情報自体を小セル基地局から詳細に通知するのでなく、小セル基地局で情報を集約して信号を生成して大セル基地局に通知する構成としてもよい。
【0102】
例えば、リソース追加要求情報として、追加リソース割当ての要求レベルと要求リソース量を含めて通知する構成(例えば、要求レベル:Xレベル、リソース量:Yレベル)とすることができる。ここで、要求レベルは専用割当てリソース又は共有割当てリソースの追加割当てに対する要求の強さ(例えば、大/中/小/無)をいい、要求リソース量は専用割当てリソース又は共有割当てリソースの追加割り当て量(例えば、5/10/15/20 OFDMシンボル)をいう。また、要求リソース量或いは要求リソースレベルのみを通知させる構成としてもよい。なお、小セル基地局から大セル基地局に対して、リソース追加要求がない場合には、リソース追加要求情報を送信しない構成としてもよい。
【0103】
さらに、無線チャネルを介してリソース追加要求情報を通知する場合に、小セル基地局で集約した情報ごとに信号バターンを割り当て、全ての小セル基地局に対して共通のリソースを用意して通知させることで効率的な通知を実現できる。
【0104】
一例として、大セル基地局専用割当てリソースと共用割当てリソースのみついて考え、要求リソース量が大又は小のいずれかの信号に集約されて、リソース追加要求情報が大セル基地局に通知される場合を考える。
【0105】
要求リソース量の大/小2種類の信号に対応するS1、S2、S3、S4を、例えば、
要求リソース量が小の場合:1+1i、1+1i、1+1i、1+1i
要求リソース量が大の場合:1+1i、−1−1i、1+1i、−1−1i
とする。
【0106】
そして、これらの信号を小セル基地局毎ではなく、共通に用意されたリソースで各小セル基地局が送信を行うようにする。大セル基地局は、このリソースで要求信号が送信されているのか否かを監視し、検出された結果に基づき、共用割当てリソースと大セル基地局専用割当てリソースの割当を制御するようにすればよい。
【0107】
また、大セル基地局が要求先の小セル基地局の数を判別するため、小セル基地局が大セル基地局での受信電力が既定の値となるように設定された送信電力でリソース追加要求情報を送信し、大セル基地局は、該信号の受信電力により要求先の小セル基地局数を推測し、これに基づいてリソース割当てを実行してもよい。この際、大セル基地局は、複数のアンテナを利用して信号を検出することで、高い精度で信号の検出を行うことが可能となる。
【0108】
また、大セル基地局が、要求元の小セル基地局の数をより正確に判別する方法として、要求リソース量が小の場合の信号系列と要求リソース量が大の場合の信号系列をそれぞれ複数用意し、各小セル基地局がランダムに選択して送信するようにしてもよい。
【0109】
また、この際に使用する無線リンクは、大セル基地局−大セル基地局の配下の移動端末装置が通信を行うチャネルであってもよいし、他の専用の無線回線を使用してもよい。また、大セル基地局−大セル基地局配下の移動端末装置が通信を行うチャネルを使用する場合は、大セル基地局専用の無線リソースを使用することが好ましい。
【0110】
(実施の形態4)
本実施の形態では、大セル基地局の通信エリア外に設けられた小セル基地局の通信方法について説明する。
【0111】
大セル基地局による通信エリア外に設置された小セル基地局については、大セル基地局から送信された信号の受信やネットワークに同期することが困難であり、上記実施の形態で示した動作を行うことが困難となる。
【0112】
そのため、大セル基地局及び大セル基地局配下の移動端末装置に対する干渉をより厳しく制限する観点から、小セル基地局に対して通信を許可しない構成としてもよい。
【0113】
一方で、大セル基地局のエリア外に設けられた小セル基地局は、大セル基地局や大セル基地局配下の移動端末装置からの伝搬損失が十分に大きく、これらの端末に対して干渉を与えない可能性もある。この場合には、小セル基地局に対して全ての無線リソースを使用して通信を行うことを許可するようにしてもよい。
【0114】
小セル基地局に対して通信を許可する場合、上記の大セル基地局へのリソース要求及び大セル基地局のリソース割当てに基づく通信方法を適用することは同期が取れていないことから困難である。
【0115】
そのため、小セル基地局が上り信号について所定の周期でセンシングを行い、大セル基地局配下の移動端末装置からの信号が確認できない一定期間にわたり、小セル基地局における通信を許可する構成としてもよい。また、小セル基地局において、送信電力を通常許容される最大値から既定レベル小さい電力を最大とするようにしてもよい。
【0116】
また、GPS情報やマニュアルで設定された位置情報を有線ネットワーク等で、移動通信ネットワーク側に通知し、許可された場合に限り小セル基地局に対して通信を許可する構成としてもよい。
【0117】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、処理部や処理手順については適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しないで適宜変更して実施することが可能である。
【0118】
(実施の形態5)
本実施の形態では、大セル基地局に対する小セル基地局の帰属方法について詳述する。上記実施の形態では、全ての大セル基地局が小セル基地局と使用周波数帯域を共用するための機能(以下、周波数共用機能という)を有するものとして説明を行った。本実施の形態では、一部の大セル基地局だけが周波数共用機能を有する場合について説明する。
【0119】
図14を参照し、一部の大セル基地局だけが周波数共用機能を有する場合の小セル基地局の帰属方法の一例を説明する。図14では、図3の大セル基地局111aは、周波数共用機能を有するが、大セル基地局111bは、周波数共用機能を有しないものとする。また、図14では、図3の大セル基地局111a、111bのセルエッジ付近に、新たに小セル基地局121bが導入されるものとする。
【0120】
大セル基地局111a、111bは、それぞれ、小セル基地局121bが大セル基地局111aを検出するための報知信号を送信する(step21、step22)。ここで、大セル基地局111aは周波数共用機能を有するので、大セル基地局111aからの報知信号には、周波数共用機能を有することを示す情報(以下、共用情報という)が含まれる。一方、大セル基地局111bは周波数共用機能を有しないので、大セル基地局111bからの報知信号には、上記共用情報は含まれない。なお、当該報知信号としては、例えば、パイロット信号が用いられる。
【0121】
小セル基地局121bは、大セル基地局111a、111bからの報知信号を受信し、受信した報知信号に基づいて、帰属する大セル基地局を決定する(step23)。具体的には、小セル基地局121bは、受信した報知信号に上記共用情報が含まれるか否かに基づいて、当該報知信号を送信した大セル基地局に帰属するか否かを決定する。ここで、大セル基地局111aからの報知信号には共用情報が含まれるので、小セル基地局121bは、当該大セル基地局111aに帰属することを決定する。一方、大セル基地局111bからの報知信号には共用情報が含まれないので、小セル基地局121bは、大セル基地局111bに帰属しないと決定する。
【0122】
小セル基地局121bは、step23で決定された大セル基地局111aに対して在圏登録信号を送信する(step24)。かかる在圏登録信号により、小セル基地局121bは、大セル基地局111aに帰属することを通知する。ここで、在圏登録信号とは、大セル基地局配下で通信可能とするための登録処理を要求するものである。
【0123】
大セル基地局111aに帰属した小セル基地局121bは、実施の形態1〜4で説明したように、大セル基地局111aと使用周波数帯域を共用する(例えば、図12のstep12〜step18参照)。
【0124】
以上のように、図14では、周波数共用機能を有する大セル基地局111aは、上記共用情報を含む報知信号を送信する。このため、一部の大セル基地局111aだけが周波数共用機能を有する場合にも、新たに導入された小セル基地局121bは、当該大セル基地局111aに適切に帰属することができる。
【0125】
次に、図15を参照し、一部の大セル基地局だけが周波数共用機能を有する場合の小セル基地局の帰属方法の他の例を説明する。図15では、図3の大セル基地局111aは、周波数共用機能を有するが、大セル基地局111bは、周波数共用機能を有しないものとする。また、図15では、図3の大セル基地局111a、111bのセルエッジ付近に、新たに小セル基地局121bが導入されるものとする。
【0126】
大セル基地局111a、111bは、それぞれ、小セル基地局121bが大セル基地局111a、111bを検出するための報知信号を送信する(step31、step33)。なお、図15では、図14と異なり、大セル基地局111aからの報知信号に上記共用情報は含まれない。
【0127】
小セル基地局121bは、大セル基地局111a、111bからの報知信号を受信すると、大セル基地局111a、111bに対して、在圏登録信号を送信する(step32、step34)。ここで、図15に示す在圏登録信号には、小セル基地局121bの端末能力情報が含まれる。当該端末能力情報は、大セル基地局と周波数共用を行う小セル基地局であることを識別可能に設定される。具体的には、小セル基地局121bの端末能力情報と、大セル基地局111aに直接接続する移動体端末装置112aの端末能力情報とを区別できるように、端末能力情報のパラメータが設定されてもよい。かかるパラメータとしては、例えば、UE Capabilityとして、大セル基地局と周波数共用を行う小セル基地局であることを識別する識別子が端末能力情報に新たに追加されてもよい。
【0128】
大セル基地局111a、111bは、それぞれ、受信した在圏登録信号に含まれる端末能力情報に基づいて、小セル基地局121bからの在圏登録信号であるか、又は、自局に直接接続する移動体端末装置からの在圏登録信号であるかを判定する(step35、step37)。
【0129】
小セル基地局121bからの在圏登録信号であると判定された場合、大セル基地局111aは、周波数共用機能を有しているので、当該小セル基地局121bの在圏登録を行う(step36)。一方、大セル基地局111bは、周波数共用機能を有しないので、その旨を小セル基地局121bに通知する(step38)。
【0130】
大セル基地局111aに在圏登録された(帰属した)小セル基地局121bは、実施の形態1〜4で説明したように、大セル基地局111aと使用周波数帯域を共用する(例えば、図12のstep12〜step18参照)。
【0131】
以上のように、図15では、大セル基地局111a、111bは、在圏登録信号に含まれる端末能力情報に基づいて、当該在圏登録信号の送信元が小セル基地局であるか移動体端末装置であるかを判別する。また、在圏登録信号の送信元が小セル基地局である場合、周波数共用機能を有する大セル基地局111aは、当該小セル基地局121bの在圏登録を行うが、周波数共用機能を有しない大セル基地局111bは、当該小セル基地局121bの在圏登録を行わない。したがって、一部の大セル基地局111aだけが周波数共用機能を有する場合にも、新たに導入された小セル基地局121bは、当該大セル基地局111aに適切に帰属することができる。
【0132】
なお、実施の形態5(図14、15)で示したように、小セル基地局121bが、周波数共用機能を有する大セル基地局111aからの報知信号と周波数共用機能を有しない大セル基地局111bからの報知信号を受信する場合、小セル基地局121bは、周波数共用機能を有する大セル基地局111aとの周波数共用機能を用いた通信を禁止してもよい。これは、小セル基地局121bが大セル基地局111aと使用周波数帯域を共用することで、他の大セル基地局111bに在圏する移動体端末装置に対する通信を阻害しないためである。
【0133】
例えば、小セル基地局121bは、周波数共用機能を有する大セル基地局111aからの報知信号の受信レベルが、周波数共用機能を有しない大セル基地局111bからの報知信号の受信レベルよりも小さい場合、或いは周波数共用機能を有しない大セル基地局111bからの報知信号の受信レベルに所定のレベル(0或いは正の値)を加算した値よりも小さい場合、大セル基地局111aとの周波数共用機能を用いた通信を禁止してもよい。或いは、小セル基地局121bは、周波数共用機能を有しない大セル基地局111bからの報知信号の受信レベルが所定の閾値よりも大きい場合、大セル基地局111aとの周波数共用機能を用いた通信を禁止してもよい。
【0134】
なお、小セル基地局121bは、大セル基地局111aとの周波数共用機能を用いた通信を禁止するために、大セル基地局111aに対する在圏登録信号の送信(例えば、図14のstep24及び図15のstep32)を中止してもよい。また、小セル基地局121bは、在圏登録信号により大セル基地局111aに帰属した後で、当該大セル基地局111aへの帰属を中止する処理を行ってもよい。さらに、この送信禁止は、小セル基地局121bにおいて判断されるようにしてもよい。
【0135】
(実施の形態6)
本実施の形態では、大セル基地局配下の移動体端末装置に対するリソース割当て方法について詳述する。上記実施の形態では、大セル基地局配下の全ての移動体端末装置が周波数共用機能を有する場合のリソース割当て方法について説明した。本実施の形態では、大セル基地局配下の一部の移動体端末装置だけが周波数共用機能を有する場合のリソース割当て方法について説明する。
【0136】
図16を参照し、大セル基地局配下の一部の移動体端末装置だけが周波数共用機能を有する場合のリソース割当て方法について説明する。図16では、図3の大セル基地局111aは、周波数共用機能を有するものとする。また、大セル基地局111a配下の移動体端末装置112aは周波数共用機能を有するが、同じく大セル基地局111b配下の移動体端末装置113a(図3では、不図示)は周波数共用機能を有しないものとする。
【0137】
また、移動体端末装置112aの端末能力情報は、周波数共用機能を有することを識別可能に設定されている。具体的には、移動体端末装置112aの端末能力情報は、周波数共用機能を有しない移動体端末装置113aと区別できるように、パラメータが設定されてもよい。かかるパラメータとしては、例えば、UE Capabilityとして、周波数共用機能を有する移動体端末装置であることを識別する識別子が端末能力情報に新たに追加されてもよい。
【0138】
移動体端末装置112a、113aは、それぞれ、在圏登録を行っている大セル基地局111aに対して、自装置の端末能力情報を通知する(step41、step44)。上述のように、移動体端末装置112aは周波数共用機能を有するので、移動体端末装置112aからの端末能力情報は周波数共用機能を有することを識別可能に設定されている。また、移動体端末装置113aは周波数共用機能を有しないので、移動体端末装置113aからの端末能力情報は周波数共用機能を有しないことを識別可能に設定されている。
【0139】
大セル基地局111aは、移動体端末装置112a、113aからの端末能力情報に基づいて、大セル基地局専用割当てリソースと、小セル基地局との共用割当てリソースのいずれを割当てるかを決定する(step42、step45)。具体的には、大セル基地局111aは、周波数共用機能を有する移動体端末装置112aに対して共用割当てリソースを割当て、周波数共用機能を有しない移動体端末装置113aに対して大セル基地局専用割当てリソースを割当てる。
【0140】
大セル基地局111aは、割当てたリソースを移動体端末装置112a、113aにそれぞれ通知する(step43、step46)。具体的には、大セル基地局111aは、移動体端末装置112aに対して共用割り当てリソースを通知し、移動体端末装置113aに対して大セル基地局専用割り当てリソースを通知する。
【0141】
以上のように、図16では、大セル基地局111aは、配下の移動体端末装置112a、113aから通知された端末能力情報に基づいて、当該移動体端末装置112a、113aが周波数共用機能を有するか否かを判定する。また、大セル基地局111aは、周波数共用機能を有する移動体端末装置112aに対しては共用割当てリソースを割当て、周波数共用機能を有しない移動体端末装置113aに対しては大セル基地局専用リソースを割当てる。したがって、大セル基地局111a配下の一部の移動体端末装置112aだけが周波数共用機能を有する場合にも、大セル基地局111aは、適切にリソースを割当てることができる。また、大セル基地局111aは、周波数共用機能を有しない移動体端末装置113aに対して有害な干渉を与えることなく、移動体端末装置112aとの周波数共用を行なうことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明は、通信エリアが少なくとも一部重複する無線通信システム間で使用周波数帯を共用する無線通信方法及び基地局に適用可能である。
【符号の説明】
【0143】
110 大セル無線システム
111a、111b 大セル基地局
112a、112b 移動端末装置
120 小セル無線システム
121a、121b 小セル基地局
122a、122b 移動端末装置
201 ベースバンド信号生成部
202 復調部
203 分離部
204 データ信号検出部
205 リソース追加要求信号検出部
207 制御信号検出部
208 制御部
209 リソース使用状況監視部
210 専用・共用割当てリソース決定部
211 専用・共用リソース割当て情報信号生成部
212 制御信号生成部
213 送信信号生成部
214 多重部
215 変調部
216 RF信号生成部
221 上りリンク専用・共用リソースチャネル情報取得部
222 下りリンク専用・共用リソースチャネル情報取得部
301 ベースバンド信号生成部
302 復調部
303 分離部
304 データ信号検出部
307 制御信号検出部
308 リソース割当て制御部
309 リソース使用状況監視部
312 制御信号生成部
313 送信信号生成部
314 多重部
315 変調部
316 RF信号生成部
317 専用・共用割当てリソース情報検出部
318 帰属基地局決定部
319 リソース追加要求信号生成部
321 上りリンク専用・共用リソースチャネル情報取得部
322 下りリンク専用・共用リソースチャネル情報取得部
401 ベースバンド信号生成部
402 復調部
403 分離部
404 データ信号検出部
407 制御信号検出部
412 制御信号生成部
413 送信信号生成部
414 多重部
415 変調部
416 RF信号生成部
417 共用リソースチャネル情報取得部
418 専用リソースチャネル情報取得部
419 専用・共用リソースチャネル情報信号生成部
420 リソース要求信号生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルサイズが相対的に大きい大セル基地局を有する大セルシステムと、セルサイズが相対的に小さい小セル基地局を有する小セルシステムとの間で使用周波数帯域を共用する無線通信方法であって、
前記大セル基地局は、自セル配下で通信を行う移動端末装置から通知される情報及び前記大セル基地局に帰属する小セル基地局から通知される情報に基づいて、大セル基地局専用割当てリソース及び前記大セル基地局/前記小セル基地局の共用割当てリソースを動的に設定し、自セルに帰属する小セル基地局に対して前記大セル基地局専用割当てリソース及び前記大セル基地局/前記小セル基地局の共用割当てリソースに関する情報を報知し、
前記小セル基地局は、少なくとも一つの大セル基地局に帰属し、帰属する大セル基地局から報知される前記大セル基地局専用割当てリソース及び前記大セル基地局/前記小セル基地局の共用割当てリソースに関する情報に基づいて、自セルにおける割当てリソースを決定することを特徴とする無線通信方法。
【請求項2】
前記自セル配下で通信を行う移動端末装置から通知される情報がチャネル品質に関する情報であり、前記大セル基地局に帰属する小セル基地局から通知される情報がリソース追加要求情報であることを特徴とする請求項1に記載の無線通信方法。
【請求項3】
前記大セル基地局は、前記大セル基地局専用割当てリソース及び前記大セル基地局/前記小セル基地局の共用割当てリソースに加えて、小セル基地局専用割当てリソースを動的に設定すると共に、前記小セル基地局専用割当てリソースに関する情報を前記小セル基地局に報知することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の無線通信方法。
【請求項4】
前記小セル基地局は、複数の大セル基地局から信号を受信する場合に、最も受信電力の高い大セル基地局に帰属することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の無線通信方法。
【請求項5】
前記小セル基地局は、信号を受信する複数の大セル基地局に帰属する場合に、前記複数の大セル基地局に対してそれぞれ前記リソース追加要求情報を個別に通知し、前記複数の大セル基地局からそれぞれ報知されるリソースの割当て情報に基づいて、前記複数の大セル基地局全てから前記小セル基地局専用割当てリソースに設定された領域と、前記大セル基地局/前記小セル基地局の共用割当てリソースに設定された領域とを使用して、前記小セル基地局配下で通信を行う移動端末装置にリソースの割当てを行うことを特徴とする請求項3に記載の無線通信方法。
【請求項6】
前記小セル基地局が帰属する大セル基地局の数を所定の数以下に制限することを特徴とする請求項5に記載の無線通信方法。
【請求項7】
前記大セル基地局専用割当てリソース、前記小セル基地局専用割当てリソース及び前記大セル基地局/前記小セル基地局の共用割当てリソースを時間方向に分割して配置することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の無線通信方法。
【請求項8】
前記複数の大セル基地局の各々が、前記大セル基地局専用割当てリソース、前記小セル基地局専用割当てリソース及び前記大セル基地局/前記小セル基地局の共用割当てリソースを、所定の時間領域に選択的に配置することを特徴とする請求項7に記載の無線通信方法。
【請求項9】
前記小セル基地局は、前記大セル基地局からの報知信号に基づいて検出された大セル基地局に対して、在圏登録信号を送信し、
前記大セル基地局は、前記小セル基地局からの在圏登録信号に応じて、該小セル基地局を自局に帰属させることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の無線通信方法。
【請求項10】
前記小セル基地局は、前記大セル基地局からの報知信号に前記小セル基地局と使用周波数帯域を共用する機能を有することを示す情報が含まれる場合、該大セル基地局に対して、前記在圏登録信号を送信することを特徴とする請求項9に記載の無線通信方法。
【請求項11】
前記大セル基地局は、在圏登録信号に含まれる端末能力情報に基づいて該在圏登録信号が小セル基地局から送信されたと判定した場合で、かつ、自局が前記小セル基地局と使用周波数帯域を共用する機能を有する場合、該小セル基地局を自局に帰属させることを特徴とする請求項9に記載の無線通信方法。
【請求項12】
前記小セル基地局は、使用周波数帯域において周波数共用機能を有しない大セル基地局からの受信信号レベルが所定の閾値よりも大きいレベルで受信された場合、前記使用周波数帯域を共用する大セル基地局に対する前記在圏登録信号の送信を中止することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の無線通信方法。
【請求項13】
前記小セル基地局は、使用周波数帯域を共用する大セル基地局からの受信信号レベルが使用周波数帯域を使用し周波数共用機能を有しない大セル基地局からの受信信号レベルに所定のレベル(0或いは正の値)を加算したレベルよりも小さい場合、前記使用周波数帯域を共用する大セル基地局に対する前記在圏登録信号の送信を中止することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の無線通信方法。
【請求項14】
前記大セル基地局は、自局配下で通信を行う移動体端末装置から通知される端末能力情報に基づいて、該移動体端末装置にリソースを割当てることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれかに記載の無線通信方法。
【請求項15】
前記大セル基地局は、前記端末能力情報に基づいて前記移動体端末装置が使用周波数帯域を共用する機能を有すると判定された場合、該移動体端末装置に対して、前記大セル基地局/前記小セル基地局の共用割当てリソースを優先的に割当てることを特徴とする請求項14に記載の無線通信方法。
【請求項16】
前記大セル基地局は、前記端末能力情報に基づいて該移動体端末装置が使用周波数帯域を共用する機能を有しないと判定された場合、該移動体端末装置に対して、前記大セル基地局/前記小セル基地局専用割当てリソースを割当てることを特徴とする請求項14に記載の無線通信方法。
【請求項17】
自セルよりセルサイズが相対的に小さい小セル基地局を帰属し、自セル専用割当てリソース及び前記小セル基地局との共用割当てリソースを動的に制御する無線基地局であって、
自セルの配下で通信を行う移動端末装置からリソースチャネル情報を検出するリソースチャネル情報取得部と、
自セルのリソースの使用状況を検出するリソース使用状況監視部と、
前記小セル基地局から通知されるリソース追加要求情報を検出するリソース追加要求情報信号検出部と、
前記リソースチャネル情報、リソース追加要求情報及び前記リソースの使用状況に基づいて、前記自セル専用割当てリソースと、前記小セル基地局との共用割当てリソースを動的に設定する専用・共用割当てリソース決定部と、
前記専用・共用割当てリソース決定部で決定されたリソース割当て情報を前記小セル基地局に対して報知する送信部と、を有することを特徴とする無線基地局。
【請求項18】
自セルよりセルサイズが相対的に大きい大セル基地局に帰属する無線基地局であって、
自セルが帰属する大セル基地局を決定する帰属基地局決定部と、
自セルの配下で通信を行う移動端末装置からリソースチャネル情報を検出するリソースチャネル情報取得部と、
自セルのリソース使用状況及びトラフィック状況に基づいて、前記大セル基地局に対して通知するリソース追加要求情報を生成するリソース追加要求信号生成部と、
前記大セル基地局から通知される大セル基地局専用割当てリソースと、自セルと前記大セル基地局との共用割当てリソースに関する情報を検出する専用・共用割当てリソース情報検出部と、
前記専用・共用割当てリソース情報検出部で検出された情報に基づいて、自セル配下で通信を行う移動端末装置にそれぞれ割当てるリソースを決定するリソース割当て制御部と、を有することを特徴とする無線基地局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−156980(P2012−156980A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235230(P2011−235230)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、総務省、「同一周波数帯における複数無線システム間無線リソース制御技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】