無線通信端末装置、及び通信ネットワークプログラム
【課題】新たな無線通信カードの新規開発が不要で、既存のネットワーク設備を活用することができ、簡単な構成で且つ低コストであって、無線ネットワークの種類に依存せずに、異種無線ネットワークを自動的に切り替え可能で、ユーザーの利便性を向上させる。
【解決手段】種類の異なる複数の無線通信システムを介して情報処理装置と通信を行うための複数の無線通信手段を有し、前記複数の無線通信手段を切り替えて前記種類の異なる通信システムを介して連続的に通信を行う無線通信端末装置において、前記無線通信端末装置に、アプリケーションと前記複数の無線通信手段に対応して設定された複数のネットワークとを切り替えて接続するソケット機能部を設け、前記ソケット機能部を用いて前記無線通信端末装置が前記情報処理装置と通信を行う際に使用する複数の無線通信手段を切り替えるように構成した。
【解決手段】種類の異なる複数の無線通信システムを介して情報処理装置と通信を行うための複数の無線通信手段を有し、前記複数の無線通信手段を切り替えて前記種類の異なる通信システムを介して連続的に通信を行う無線通信端末装置において、前記無線通信端末装置に、アプリケーションと前記複数の無線通信手段に対応して設定された複数のネットワークとを切り替えて接続するソケット機能部を設け、前記ソケット機能部を用いて前記無線通信端末装置が前記情報処理装置と通信を行う際に使用する複数の無線通信手段を切り替えるように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信カードを実装したPDA(Personal Digital Assistants )や、無線通信カードを実装したノート型のパーソナルコンピュータ(以下、「ノートPC」という。)等のような無線通信機能を備えた端末装置が、広い地域をカバーする広域アクセスサービスや、ホットスポット等の特定の領域をカバーする高速アクセスサービスなど、種類の異なる複数の無線通信システム間を移動しつつ通信を行うにあたり、異種無線通信システム間でのローミング動作を可能とした無線通信端末装置及び通信ネットワークに関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平10−327463号公報
【特許文献2】特開2005−39795号公報
【0003】
従来、無線通信カードを実装したPDA(Personal Digital Assistants )や、無線通信カードを実装したノートPCなどの普及や発達に伴って、移動中においても音声やデータの通信が可能となってきており、ユビキタス社会が実現されつつある。
【0004】
上記無線通信端末装置1000に実装される無線通信手段としては、図30に示すように、例えば、広い地域をカバーする広域アクセスサービスを利用可能とするため、セル毎に配置された無線通信基地局2012との間で通信を行う3GPPや3GPP2といったCDMA方式やIEEE802.16や802.20といったOFDM方式等の第1の標準規格を採用したものがある。この種の無線通信手段は、面的に広域にわたって展開される反面、通信速度が比較的低速であったり、通信コストが比較的高いといった特徴を有している。
【0005】
また、上記無線通信端末装置1000に実装される無線通信手段としては、例えば、ホットスポットと呼ばれる特定の領域内に配置された無線LAN用のルーター2022との間で通信を行うIEEE802.11b 、802.11a 、802.11g 等の第2の標準規格を採用したものなどがある。この種の無線通信手段は、通信速度が高速であって、且つ通信コストも安い反面、通信可能な領域が狭い領域に限られるといった特徴を有している。
【0006】
そのため、通常は、ユーザーがニーズにあった標準規格の無線通信手段を備えた無線通信端末装置を選択するか、又はユーザーのニーズにあった標準規格の無線通信手段を無線通信端末装置に実装することによって、移動中における音声やデータの通信が行われている。
【0007】
ところで、ユーザーが上述した種類の異なる標準規格の広域アクセスサービスと高速アクセスサービスの双方を利用可能とするためには、第1の標準規格を採用した無線通信手段と第2の標準規格を採用した無線通信手段とを実装した無線通信端末装置を使用する必要がある。
【0008】
いま、1台の無線通信端末装置に上述した第1の標準規格の無線通信手段と第2の標準規格の無線通信手段とを実装し、この無線通信端末装置を使用するユーザーが第1の標準規格の広域サービスエリアを移動中に、第2の標準規格の高速サービスエリアに入った場合を考察する。
【0009】
なお、上記第1の標準規格の広域サービスエリアは、広い地域をカバーするものであるため、第2の標準規格の高速サービスエリアは、第1の標準規格の広域サービスエリアに含まれるものである。
【0010】
図31乃至図33は従来のノートPCなどの無線通信端末装置を用いたシステム間のローミング動作を示す模式図である。
【0011】
上記無線通信端末装置が高速無線規格のサービスエリア外であって、しかも広域無線規格のサービスエリア内に位置する場合には、図31に示すように、当該無線通信端末装置1000は、広域アクセスネットワークやインターネット等の通信ネットワーク2000を介して通信相手である情報処理装置(サーバー)3000との間でリンクを確立している。そして、上記情報処理装置(サーバー)3000と無線通信端末装置1000は、広域アクセスネットワークを経由してパケットの送受信を行うように構成されている。
【0012】
次に、図32に示すように、上記無線通信端末装置1000が高速無線規格のサービスエリア内に移動すると、無線通信端末装置1000は、広域無線規格のサービス以外に、高速無線規格のサービスを利用することが可能な状態となる。
【0013】
しかし、この場合であっても、上記無線通信端末装置1000と情報処理装置(サーバー)3000とは、図32に示すように、広域アクセスネットワークを経由してパケットの送受信を行っており、直ちに高速無線規格のネットワークを介して情報処理装置(サーバー)3000と通信を行うことはできない。
【0014】
そのため、上記無線通信端末装置が広域無線規格のサービスエリアから高速無線規格のサービスエリア内に移動した場合には、それまで通信を行っていた広域無線規格の無線通信手段から高速無線規格の無線通信手段に切り替える必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記従来技術の場合には、次のような問題点を有している。すなわち、上記広域無線規格に適合した無線通信手段や高速無線規格に適合した無線通信手段は、当該無線通信端末装置のプロトコルスタックにおいて、物理層及びデータリンク層が異なるものであり、これら物理層やデータリンク層は、基本ソフトウエアであるOSに依存している。そのため、無線通信端末装置が広域無線規格のサービスエリアから高速無線規格のサービスエリア内に移動した場合には、OSを制御することにより、図33に示すように、第1の無線通信規格に適合した無線通信手段による通信を一旦遮断してから、第2の無線通信規格に適合した無線通信手段に切り替える操作をユーザーが行わなければならず、ユーザーの操作が非常に煩雑であり、利便性に欠けるという技術的課題を有していた。
【0016】
また、上記無線通信端末装置1000が高速無線規格のサービスエリア外に移動した場合には、図33に示すように、再度、OSを制御することにより、第2の無線通信規格に適合した無線通信手段による通信を一旦遮断してから、第1の無線通信規格に適合した無線通信手段に切り替える操作をユーザーが行わなければならないという技術的課題を有していた。
【0017】
上述した無線通信手段の切り替えを自動で行うことが可能であればユーザーの利便性を向上できるが、無線通信手段の自動切り替えは広域無線規格及び高速無線規格のネットワーク設備を変更せずに行う必要がある。
【0018】
また、上述した煩雑さを回避するためには、広域無線規格のサービスエリアから高速無線規格のサービスエリア内に移動しているにもかかわらず、通信速度が比較的低速であったり、通信コストが比較的高い第1の無線通信規格に基づいた広域無線規格のサービスを使用し続ける必要があり、通信速度が高速であって、且つ通信コストも低いという第2の無線通信規格に基づいた高速無線規格のサービスを利用することができないという技術的課題を有している。
【0019】
そこで、かかる技術的課題を解決し、ユーザーの好みに応じて様々なネートワーク切り替えモードの選択を可能とする技術としては、例えば、特開平10−327463号公報や特開2005−39795号公報等に開示されたものが既に提案されている。
【0020】
上記特開平10−327463号公報に係る携帯用情報端末装置は、複数の無線通信手段を有し、料金および/または前記無線通信手段を利用して送受信する内容に基づいて決定される優先度により前記複数の無線通信手段のいずれかを選択的に利用可能にするものであり、更に具体的な構成としては、複数の無線通信手段と、各々異なる処理を実行する複数のアプリケーションソフトウェアを実行するデータ処理手段と、データ処理手段から受信した情報に基づき実行されたアプリケーションソフトウェアを検知して前記複数の無線通信手段の優先度情報を発生する検知手段と、前記複数の無線通信手段の通信可否情報を発生する手段と、前記検知手段の出力と前記通信可否情報に応じて切換信号を出力する制御手段と、前記制御手段の出力に応じて前記複数の無線通信手段から一つの無線通信手段を動作可能にする切換手段とを備えるように構成したものである。
【0021】
また、上記特開2005−39795号公報に係る移動無線端末装置は、セルラー無線ネットワーク及び公衆無線LANネットワークに接続可能な移動無線端末装置において、前記セルラー無線ネットワーク及び前記公衆無線LANネットワークの各々のエリア内に属しているか否かを一定周期ごとに検知して検知結果を生成するエリア検知手段と、前記検知結果が前記セルラー無線ネットワーク及び前記公衆無線LANネットワークのエリアに属していることを示している時には前記セルラー無線ネットワーク及び前記公衆無線LANネットワークの特性を比較して比較結果を生成する特性比較手段と、前記比較結果により所定の特性を有する前記セルラー無線ネットワーク及び前記公衆無線LANネットワークのいずれかに切替る切替手段と、前記比較結果により所定の特性を有する前記セルラー無線ネットワーク及び前記公衆無線LANネットワークのいずれかに切替るか否かを判断させるための通知をする通知手段と、前記通知に基づいて前記セルラー無線ネットワーク及び前記公衆無線LANネットワークのいずれかを選択する選択手段と、を具備するように構成したものである。
【0022】
しかしながら、前者の特開平10−327463号公報に係る携帯用情報端末装置の場合には、当該携帯用情報端末装置側で複数の無線通信手段を自律的に切り替える必要があり、切換信号を出力する制御手段や、制御手段の出力に応じて複数の無線通信手段から一つの無線通信手段を動作可能にする切換手段などの新たなハードウエアを当該携帯用情報端末装置に追加する必要があり、構成が複雑となり、コストアップを招くとともに、無線ネットワークの種類が変わった場合には対応することができないという技術的課題を有している。更に、当該携帯用情報端末装置を無線通信カードを実装したノートPCなどで実現した場合には、複数の無線通信手段を持ち、無線通信手段の自律的な切り替えが可能な無線通信カードを新規に開発する必要があるという技術的課題も有している。
【0023】
また、上記特開2005−39795号公報に係る移動無線端末装置の場合にも、やはり、セルラー無線ネットワークと公衆無線LANネットワークとを切り替えるために、エリア検知手段、特性比較手段、切替手段といった新たなハードウエアの当該移動無線端末装置への追加を必要とし、構成が複雑となり、コストアップを招くとともに、セルラー無線ネットワークや公衆無線LANネットワークの種類に依存し、無線ネットワークの種類が変わった場合には対応することができないという技術的課題を有している。更に、当該移動無線端末装置を無線通信カードを実装したノートPCなどで実現した場合には、複数の無線通信手段を持ち、無線通信手段の自律的な切り替えが可能な無線通信カードを新規に開発する必要があるという技術的課題も有している。
【0024】
そこで、この発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、新たな無線通信カードの新規開発が不要であるとともに、既存のネットワーク設備を活用することが可能であり、簡単な構成で且つ低コストであって、無線ネットワークの種類に依存せずに、種類の異なる無線ネットワークを自動的に切り替えることができ、ユーザーの利便性を向上させることが可能な無線通信端末装置、及び無線通信ネットワークを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
すなわち、請求項1に記載された発明は、種類の異なる複数の無線通信システムを介して情報処理装置と通信を行うための複数の無線通信手段を有し、前記複数の無線通信手段を切り替えて前記種類の異なる通信システムを介して連続的に通信を行う無線通信端末装置において、
前記無線通信端末装置に、アプリケーションと前記複数の無線通信手段に対応して設定された複数のネットワークとを切り替えて接続するソケット機能部を設け、
前記ソケット機能部を用いて前記無線通信端末装置が前記情報処理装置と通信を行う際に使用する複数の無線通信手段を切り替えることを特徴とする無線通信端末装置である。
【0026】
また、請求項2に記載された発明は、前記ソケット機能部は、前記複数のネットワークに対応して複数設けられ、前記複数のソケット機能部を切り替えることにより、前記無線通信端末装置が前記情報処理装置と通信を行う際に使用する複数の無線通信手段を選択することを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末装置である。
【0027】
さらに、請求項3に記載された発明は、前記ソケット機能部は、前記複数のネットワークに同時に接続可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信端末装置である。
【0028】
又、請求項4に記載された発明は、前記ソケット機能部は、アプリケーションと前記複数の無線通信手段に対応して設定された複数のネットワークとを選択的に接続し、前記アプリケーションからの指示により、前記無線通信端末装置が前記他の機器と通信を行う際に使用する無線通信手段を決定することを特徴とする請求項2に記載の無線通信端末装置である。
【0029】
更に、請求項5に記載された発明は、前記ソケット機能部は、前記無線通信端末装置のプロトコルスタックに設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の無線通信端末装置である。
【0030】
また、請求項6に記載された発明は、前記複数の無線通信手段は、OFDM、OFDMA、FDM、FDMA、CDM、CDMA、TDM、TDMA、SS(Spread Spectrum )等のいずれかを用いたものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の無線通信端末装置である。
【0031】
さらに、請求項7に記載された発明は、前記無線通信端末装置において、前記複数の無線通信手段に一対一で対応した複数の識別子を具備し、前記情報処理装置と通信を行う際に、前記複数の無線通信手段に対応した複数の識別子を用いて通信を確立し、前記情報処理装置と前記無線通信端末装置との間で各々の識別子を用いて確立した経路でデータの送受信を行った後、同一のアプリケーションで当該データを処理することを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末装置である。
【0032】
又、請求項8に記載された発明は、前記ソケット機能部は、無線通信端末装置の記憶装置にインストールされたアプリケーションのプログラムからなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の無線通信端末装置である。
【0033】
更に、請求項9に記載された発明は、前記無線通信端末装置のプロトコルスタックは、アプリケーション層と、トランスポート層と、ネットワーク層と、データリンク層と、物理層とを備え、前記ソケット機能部は、トランスポート層を介して、アプリケーション層と複数のネットワーク層とを接続するように、複数設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の無線通信端末装置である。
【0034】
また、請求項10に記載された発明は、種類の異なる複数の無線通信システムにおいて、無線通信端末装置が前記種類の異なる複数の無線通信システムを介して情報処理装置と通信を行う通信ネットワークにおいて、
前記無線通信端末装置は、アプリケーションと前記複数の無線通信手段に対応して設定された複数のネットワークを切り替え可能に接続するソケット機能部を備え、
前記ソケット機能部を用いて前記無線通信端末装置が前記情報処理装置と通信を行う際に使用する複数の無線通信手段を切り替え、
前記情報処理装置は、任意の無線通信端末装置と通話中に、同一の無線通信端末装置から種類の異なる無線通信システムを介して新たな接続要求があったときに、当該新たな接続要求を並行して受信可能とする並行受信機能部を備えたことを特徴とする通信ネットワークである。
【0035】
さらに、請求項11に記載された発明は、前記情報処理装置は、同一の無線通信端末装置から種類の異なる無線通信システムを介して新たな接続要求があったときに、当該新たな接続要求を並行して受信可能とする際に、前記無線通信端末装置に一意の識別子及び識別番号を付与することを特徴とする請求項10に記載の通信ネットワークである。
【発明の効果】
【0036】
この発明においては、新たな無線通信カードの新規開発が不要であるとともに、既存のネットワーク設備を活用することが可能であり、簡単な構成で且つ低コストであって、無線ネットワークの種類に依存せずに、種類の異なる無線ネットワークを自動的に切り替えることができ、ユーザーの利便性を向上させることが可能な無線通信端末装置、及び通信ネットワークを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0038】
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置及び情報処理装置を適用した通信ネットワークを示す模式図である。
【0039】
図2において、100はノートPCからなる無線通信端末装置を示すものであり、この無線通信端末装置100は、種類の異なる複数の無線通信システム201、202を少なくとも一部に含む通信ネットワーク200を介して、サーバー等の情報処理装置300との間でデータ通信を行うように構成されている。上記複数の無線通信システム201、202のうち、第1の無線通信システム201は、例えば、3GPPや3GPP2といったCDMA方式やIEEE802.16や802.20といったOFDM方式等の第1の標準規格を用いた広域ネットワーク(WAN:Wide Area Network )を構成しており、この第1の無線通信システム201では、無線通信端末装置100がセル211毎に配置された無線通信基地局212のアンテナ213との間で通信を行うように構成されている。また、上記第1の無線通信システム201は、例えば、日本全国を略カバーするように広い地域にわたって面状に展開されており、無線通信端末装置100が日本全国のどこに位置してもほぼ通信可能となっている。なお、図2に示す実施の形態では、無線通信端末装置100及び情報処理装置300がそれぞれ1台のみ図示されているが、これら無線通信端末装置100及び情報処理装置300は、複数台存在しても良いことは勿論である。
【0040】
また、通信ネットワーク200は、電話回線等を介して構成されるインターネット203などをも含むものである。
【0041】
また、上記無線通信端末装置100としては、無線通信カードを実装したノートPCに限らず、無線通信カードを実装したPDA等であっても良いことは勿論である。
【0042】
一方、他方の第2の無線通信システム202は、例えば、IEEEの802.11b 、802.11a 、802.11g 等の第2の無線通信規格を用いたホットスポット等の限定された領域のローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)を構成しており、この第2の無線通信システム202では、無線通信端末装置100がホットスポット等の特定の領域221に配置された無線LAN用のルーター222との間で通信を行うように構成されている。また、上記第2の無線通信システム202は、例えば、地域の所定の場所にスポット状に展開されており、無線通信端末装置100が特定の領域221内に位置する場合にのみ通信可能となっている。
【0043】
図3は無線通信端末装置のハードウエアの構成を概略的に示すブロック図である。
【0044】
上記無線通信端末装置100は、図3に示すように、当該無線通信端末装置100の各種の機能を実現するCPU101と、当該CPU101で実行されるプログラムやパラメーター等を記憶したROMやRAM、或いはハードディスク等からなる記憶装置102と、ユーザーが無線通信端末装置100を操作するためのキーボードや数字キー、文字キー、液晶表示パネル等からなるユーザーインタフェース103と、第1の無線通信システム211を介して通信するための第1の無線通信手段としての第1のネットワークインタフェース104と、第2の無線通信システム221を介して通信する第2の無線通信手段としての第2のネットワークインタフェース105とを備えている。
【0045】
上記第1のネットワークインタフェース104としては、例えば、3GPPや3GPP2といったCDMA方式やIEEE802.16や802.20といったOFDM方式等の標準規格を採用した無線通信カードが用いられる。また、上記第2のネットワークインタフェース105としては、例えば、IEEEの802.11b 、802.11a 、802.11g 等の第2の標準規格を採用した無線通信カードなどが用いられる。
【0046】
図4はサーバー等からなる情報処理装置のハードウエアの構成を概略的に示すブロック図である。
【0047】
上記情報処理装置300は、図4に示すように、当該情報処理装置300の各種の機能を実現するCPU301と、当該CPU301で実行するプログラムやパラメーター等を記憶したROMやRAM、あるいはハードディスク等からなる記憶装置302と、ユーザーが情報処理装置300を操作するためのキーボードやマウス等からなるユーザーインタフェース303と、電話回線やADSL、光ファイバー等からなる有線の通信システムを介して通信するための有線通信手段としての外部インタフェース304〜306とを備えている。なお、有線通信手段に限らず、無線通信手段を採用しても良い。
【0048】
ところで、この実施の形態では、種類の異なる複数の無線通信システムを介して情報処理装置と通信を行うための複数の無線通信手段を有し、前記複数の無線通信手段を切り替えて前記種類の異なる通信システムを介して連続的に通信を行う無線通信端末装置において、
前記無線通信端末装置に、アプリケーションと前記複数の無線通信手段に対応して設定された複数のネットワークとを切り替えて接続するソケット機能部を設け、
前記ソケット機能部を用いて前記無線通信端末装置が前記情報処理装置と通信を行う際に使用する複数の無線通信手段を切り替えるように構成されている。
【0049】
すなわち、この実施の形態に係る無線通信端末装置100は、図1に示すように、そのプロトコルスタック110が、上位層から順に、アプリケーション層111と、トランスポート層112と、ネットワーク層113と、データを送受信するホスト間での正しい転送を保証するデバイスドライバ等からなるデータリンク層114と、物理的に無線通信端末装置100と情報処理装置300間等を接続する経路を実現するネットワークインタフェイス104、105等からなる物理(PHY)層115とを備えるように構成されている。なお、この実施の形態では、物理(PHY)層115としてのネットワークインタフェイス104、105が2つ設けられており、これら2つのネットワークインタフェイス104、105に対応して、データリンク層1141 、1142 及びネットワーク層1131 、1132 も2つずつ設けられている。
【0050】
この実施の形態では、トランスポート層としてのTCP(Transmission Control Protocol )層112を介して、アプリケーション層111と複数のIP層1131 、1132 とを切り替えて接続するソケット機能部として、第1のソケット機能部121と第2のソケット機能部122とからなる複数(図示例では、2つ)のソケット機能部120が設けられている。このソケット機能部120は、無線通信端末装置100の記憶装置102にインストールされたアプリケーションプログラムによって構成されている。
【0051】
上記無線通信端末装置100では、図1に示すように、他の機器としての情報処理装置300等と通信を行うにあたり、アプリケーション層111によって送信データが生成された後、このアプリケーション層111で生成された送信データは、パケット毎にトランスポート層としてのTCP層112に送られる。このTCP層112では、通信相手である情報処理装置300に対してリンクを張り、このリンクによって、ネットワーク間でバイトストリーム通信、すなわち1バイト単位でデータを通信するように構成されている。上記TCP層112では、図5に示すように、パケット毎に分割された送信データにTCPヘッダが付加される。
【0052】
TCP層112では、正確なデータの転送、即ちデータの誤り・抜け・重複・順序間違い等のチェックを行い、エラーがあれば直ちにデータを再要求することにより、通信の信頼性を保持する機能を果たしている。また、フロー制御により、複数の経路によってパケット送信の時間差が発生するのを防ぐために、最初に送信先としての情報処理装置300までの経路を作り、順番にパケットを送信することを可能としている。
【0053】
また、TCP層112では、ポート番号を用いて、どのアプリケーションにデータを渡すかを決定する。ポート番号は1から65535 まであり、通信の両端のアプリケーションを識別する。このうち、1 から 1023 まではサーバーアプリケーション用とされており、クライアントアプリケーションは 1023 より大きな番号が動的に割り当てられる。
【0054】
通常使用されるプロトコルのポート番号は、RFC 1700にて定義されており、例えば、HTTPは 80 番、FTP が 21 番、telnetサーバーが 23 番となっている。このようにして、同じ無線通信端末装置100間で複数のアプリケーションを同時に使用した場合でも、お互いのデータが混乱なく、相手のアプリケーションに伝わるようになっている。
【0055】
上記ネットワーク層としてのIP(Internet Protocol )層113は、インターネット203を介してデータをやり取りするためのプロトコルであり、IP層113では、送信されるデータがパケットと呼ばれるデータ単位に分割されており、あるパケットがインターネット203の中継装置により中継されながら、始点の無線通信端末装置100から終点の情報処理装置300まで送られる際に、各中継装置で次のIPパケットの送り先を適切と思われるルートを自動的に探索しながら目的とする情報処理装置300まで順次転送していく。
【0056】
このとき、各パケットの先頭には、図5に示すように、そのパケットの送信先等の外部情報が書き込まれたIPヘッダが付与される。パケットの送信先の住所にあたるIPアドレスは、インターネット203を介して通信を行う無線通信端末装置100や情報処理装置300等のすべての機器に割り当てられている。IPアドレスは、外部ネットワークから特定のネットワークを識別するためのネットワークアドレスと、特定のネットワークの内部に接続される無線通信端末装置100や情報処理装置300等のアドレスを識別するためのホストアドレスとから構成されている。
【0057】
因みに、ネットワークアドレスが同じIPアドレス同士は、直接通信を行うことができ、このようなホスト同士は「同じネットワーク上にいる」ことになる。一方、送信先のホストが同じネットワーク上にいない場合は、ホストはそのネットワークと、その外側のインターネット203とをつなぐゲートウェイと呼ばれるホストへパケットを送り、ゲートウェイは、送り先に最も近いと思われるゲートウェイへとパケットを転送する。パケットを受け取ったゲートウェイは、もしその宛て先が自分のネットワーク内のものであれば、それを受け入れ、違う場合には、再び最も近いと思われるゲートウェイへとパケットを転送することにより、パケットは最終的に目的とする情報処理装置300へ送られる。
【0058】
さらに、データリンク層114は、データを送受信する二つのホスト間での正しい転送を保証するものであり、このデータリンク層114を介して送信データが物理層115に送られる。このデータリンク層114では、送信する各パケットの先頭にイーサネット(登録商標)・ヘッダを付加し、このイーサネット(登録商標)・ヘッダには、送信元と宛先のIDが埋め込まれている。上記無線通信端末装置100や情報処理装置300、あるいは中継装置は、受信したパケットの先頭部分にあるこの宛先IDが、自分のIDと一致した場合のみこのパケットを取り込む。上記IDは、MAC(Media Access Control)アドレスと呼ばれる。
【0059】
また、上記物理層115は、物理的に無線通信端末装置100と情報処理装置300等の二点間を接続する経路を実現するものであり、この実施の形態では、無線通信端末装置100は、第1のネットワークインタフェース104と、第2のネットワークインタフェース105とを備えている。
【0060】
これら第1のネットワークインタフェース104及び第2のネットワークインタフェース105、例えば、第2のネットワークインタフェース105としての無線LANカードには、工場出荷時に唯一のMACアドレスが付与されており、このMACアドレスは、例えば「aa:bb:cc:dd:ee:ff 」のような16進6バイトで表されるIDからなる。
【0061】
ネットワーク上の各パケットには、上述したように、各パケットの先頭にあるイーサネット(登録商標)・ヘッダの次にIPヘッダと呼ばれる部分があり、このIPヘッダに送信元と受信先のIPアドレスが埋め込まれている。
【0062】
図6は無線通信端末装置100の記憶装置103にインストールされたデフォルトルートを設定するためのLinux用のプログラムを示すものである。なお、以下は、すべてLinux用のプログラムである。
【0063】
このプログラムの第1行は、スクリプトヘッダであり、第2−8行は、ネットワークアダプタ名、IPアドレス、ルーターアドレスである。また、第10−13行は、ルーティングテーブル設定、第15−16行は、ルーティングルールの設定をそれぞれ示している。ここで、例えば、第15−16行のルーティングルールによって、第1のソケット機能部121と第2のソケット機能部122を切替えるルールが設定される。この第1のソケット機能部121と第2のソケット機能部122を切替えるルールとしては、速度を優先する場合には、通信速度の速い第2の無線通信手段105が安定して通信可能となったとき、自動的に第2の無線通信手段105に切替えるルールが採用される。但し、これに限定されるものではなく、第1のソケット機能部121と第2のソケット機能部122を切替えるルールとしては、通信の安定性を重視したり、通信コストを考慮したり、あるいはこれら複数の要素を考慮して、第1のソケット機能部121と第2のソケット機能部122を切替えるように構成しても良い。
【0064】
この設定により、送信元アドレスを指定して送信すると、そのアドレスを持つネットワークインタフェースからアプリケーショのデータが送信されるようになる。
【0065】
図7はヘッダを示しており、第1−6行は、定数の定義を、第7−8行は、グローバル変数の定義をそれぞれ示している。
【0066】
図8はbinding _addr関数を示しており、第1−8行は、gethostbyname ()関数により接続先アドレスをソケットで利用できる変数形式へと変換するためのものである。
【0067】
図9はswapsocket関数であり、タイマにより、ソケットを切り替えるための関数である。第5−6行は、設定したタイマが経過していなければ、元のソケット番号を戻り値としてreturnするものであり、第9−16行は、切り替え先ソケット番号に対応したタイマ値を設定した上で切り替え先ソケットを戻り値としてreturnする。
【0068】
図10は第1のmain関数を示しており、第25−43行はそれぞれのネットワークインタフェース104、105に対応した第1のソケット及び第2のソケットを作成し、コネクションを張る。
【0069】
図11は第2のmain関数を示しており、この第2のmain関数は、select関数を用いて単一プロセスから複数接続を利用可能とするものである。第1−22行はselect関数を用いて、データを取得し、第23−24行は、第1ソケット及び第2のソケットから待ち受けソケットを選択し、第43−62行は、送信すべきデータがなくなったらコネクションをクローズして、終了処理を実行するものであり、そうでなければ送信データを作成して、選択されたソケットに書き込み、第64−70行で終了処理を実行するものである。
【0070】
図12〜図15は情報処理装置300の記憶装置303にインストールされたプログラムを示すものであり、情報処理装置300側でも無線通信端末装置100からの複数の接続要求を受けるための複数処理を可能とものであり、マルチスレッドを用いている。
【0071】
図12はtcp _listen関数を示しており、第1−5行は定数の定義、第10−52行は、特定のポートで接続を待ち受けるためのソケットを作成し、それを返り値としてreturnする。
【0072】
図13はmain関数を示しており、このmain関数は、第11−18行は待ち受けソケットを作成し、第21−31行は、無線通信端末装置100からの複接続要求を待ち受けて、要求があった場合は新たなポートに新たなソケットを作成し、別スレッドを作成するようになっている。
【0073】
図14はdoit関数を示しており、このdoit関数は、第6行は自スレッドをメインスレッドから分離し、第7行は、データ受信用の関数に処理を依頼する。
【0074】
図15はstr _echo関数を示しており、第9−21行はデータを受信してコンソールに表示するものである。
【0075】
以上の構成において、この実施の形態に係る異種無線通信システム間のローミング装置を適用した無線通信ネットワークでは、次のようにして、新たな無線通信カードの新規開発が不要であるとともに、既存のネットワーク設備を活用することが可能であり、簡単な構成で且つ低コストであって、無線ネットワークの種類に依存せずに、種類の異なる無線ネットワークを自動的に切り替えることができ、ユーザーの利便性を向上させることが可能となっている。
【0076】
まず、無線通信端末装置100は、データ通信を行うにあたり、図6に示すように、第1の無線通信手段及び第2の無線通信手段に対応した第1のソケット機能部121と第2のソケット機能部122を作成し、コネクションを張る。
【0077】
その際、上記無線通信端末装置100は、socket関数によって第1及び第2のソケット機能部121、122を作成するとともに、bind関数により第1のソケット機能部121及び第2のソケット機能部122にIPアドレスとポート番号を割り当てる。そして、無線通信端末装置100では、connect 関数により、作成された第1及び第2のソケット機能部121、122を用いて、情報端末装置300のIPアドレスの特定のポート番号へと接続し、接続できなかった場合は、接続されるまで待つか、そのソケットを破棄し終了する。
【0078】
次に、無線通信端末装置100は、図11に示すように、select関数を用いて、アプリケーション層111から送信すべきデータを取得するとともに、待ち受けるソケット機能部を選択し、送信すべきデータがなくなったらコネクションをクローズして、終了処理を実行する。そうでなければ、送信データを作成し、write 関数により選択された第1のソケット機能部121または第2のソケット機能部122にデータを書き込んで、データを送信し、終了処理を実行する。また、無端通信端末装置100が能動的に閉じなくても、サーバーが定める有効時間が過ぎると、サーバー側から切断される。
【0079】
一方、情報処理装置300は、図12に示すように、socket関数により特定のポートで接続を待ち受けるためのソケットを作成し、それを返り値としてreturnする。
【0080】
そして、情報処理装置300は、図13に示すように、listen関数により無線通信端末装置からの接続要求を待ち受け、接続要求があった場合には、新たなポートに新たなソケットを作成し、別スレッドを作成する。
【0081】
次に、情報処理装置300は、doit関数により、自スレッドをメインスレッドから分離し、データ受信用関数に処理を依頼する。その結果、情報処理装置300は、同一の無端通信端末装置100から複数の接続要求がきた場合であっても、新たなポートに新たなソケットを作成し、別スレッドを作成することにより、自スレッドをメインスレッドから分離して、同一の無端通信端末装置100からの新たな接続要求を受け付け可能となっている。その後、情報処理装置300は、以前の処理はデータ受信用関数に処理を依頼する。
【0082】
なお、情報処理装置300では、マルチスレッドを用いずに、fork()関数を用いて、同時処理が可能となるように構成しても良い。
【0083】
上記のごとく、無線通信端末装置100と情報処理装置300との間では、図16に示すように、ネットワークが形成されて、両者の間でデータの通信が行われる。
【0084】
このように、上記無端通信端末装置100では、新たな無線通信カードの新規開発が不要であるとともに、既存のネットワーク設備を活用することが可能であり、簡単な構成で且つ低コストであって、無線ネットワークの種類に依存せずに、種類の異なる無線ネットワークを自動的に切り替えることができ、ユーザーの利便性を向上させることが可能となっている。
【0085】
いま、移動端末が広域無線規格のサービスエリア内を移動中に、高速無線規格のサービスエリアを通過する場合について検討してみる。
【0086】
図17は無端通信端末装置100が高速無線規格のサービスエリア221外に存在する場合を示している。この場合、無端通信端末装置100は、通信速度が高速無線規格のサービスエリアと比較して遅いものの、広いエリアにわたって通信が可能な広域無線規格のサービスエリア内を移動している場合、広域無線規格のネットワーク201を介して、情報処理装置300とリンクを確立している。その際、情報処理装置300は、無端通信端末装置100に一意の識別子と識別番号を付与し、それを利用して無端通信端末装置100を認識している。そして、情報処理装置300と無端通信端末装置100は、広域無線規格のネットワーク201を経由してパケットを送受信している。
【0087】
図18は無端通信端末装置100が高速無線規格のサービスエリア221内に移動した直後の状態を示している。無端通信端末装置100は、第2のソケット機能部105を用いて情報処理装置300と通信を行い、高速無線規格を利用するための認証を行って、リンクを確立し、高速無線規格のネットワーク202を経由して情報処理装置300から与えられた識別子を送信することで、情報処理装置300に同一端末であると認識させる。情報処理装置300は、識別子が存在するか、また、識別番号が存在するか、を確認した後、必要であれば新たな識別子及び識別番号を無端通信端末装置100に付与する。
【0088】
図19では、広域無線規格の端末、高速無線規格の端末の両方が同一の移動端末であると情報処理装置300に認識され、高速無線規格のネットワーク202経由でパケットを送受信している状態を示している。この場合は、広域無線規格のサービスエリア内でもあるので、広域アクセスを用いてもパケットの送受信は可能である。
【0089】
図20では、無端通信端末装置100が高速無線規格のサービスエリア221外に移動した直後を表している。無端通信端末装置100は、高速無線規格のリンク切断を認識すると、広域無線規格のネットワーク201経由で高速無線規格の認識番号を消去するよう情報処理装置300に要求する。情報処理装置300は、無端通信端末装置100から要求があった場合、もしくは、高速無線規格のネットワーク202を利用して通信を行うことができず、タイムアウト時間が経過した場合に、識別番号を消去する。
【0090】
図21では、無端通信端末装置100が完全に高速無線規格のサービスエリア221外に移動した状態を表している。図17と同様、移動端末は広域無線規格のネットワーク201を利用してパケットを送受信する。
【0091】
以上の動作により、無端通信端末装置100が移動しながら種類の異なる複数の無線規格を連続的且つ自動的に切り替えるローミングを提供するネットワークが実現できる。更に、無端通信端末装置100が[0076]−[0083]に記述の動作を行うことにより、識別子を用いて広域無線規格と高速無線規格の切り替えが行われ、同一アプリケーションで連続的にデータの送受信が可能な無端通信端末装置100が実現できる。
【0092】
実験例
次に、本発明者等は、本発明の効果を確認するために、図22に示すような通信システムを用いて、実測評価を行った。広域無線規格として、FLASH−OFDMを用い、高速無線規格としては、IEEE802.11gを用いた。
【0093】
図22は実験に使用した測定系を示すものである。測定は、FLASH−OFDM基地局サブネット内に無線LANアクセスポイントを設定して行った。測定に用いた機器を図23に示す。
【0094】
実験は、図26に示すように、東北大学及び宮城県県庁の協力のもと、宮城県仙台市の市内において行った。現在、宮城県仙台市では、広域無線規格であるFLASH−OFDMの実用化に向けた実験が行われており、市内の複数箇所にFLASH−OFDMの基地局が試験的に設置され、図26に示す範囲内でほぼ広域無線規格であるFLASH−OFDMを用いた無線通信が可能となっている。また、仙台市内には、図26において小さな丸で示したように、高速無線規格のサービスエリア221がスポット状に配置されており、サービスエリア221内では、高速無線規格が利用可能となっている。
【0095】
そして、図22に示すように、無線通信端末装置100としてのノートPCを車に搭載して、図26に示すごとく、仙台市内の東二番丁通を南から北に向かって走行し、FLASH−OFDMから無線LANへ、或いは無線LANからFLASH−OFDMへと切り替えるローミング動作を繰り返し行う実験を行った。
【0096】
はじめに、切り替えに伴う回線切断時間を評価した。図24及び図25はそれぞれFLASH−OFDM→無線LAN、無線LAN→FLASH−OFDMの切り替え時間の測定結果を示したものである。
【0097】
無線LAN→FLASH−OFDMの切り替え時間が50msec程度であるのに対し、FLASH−OFDM→無線LANの切り替え時間が160msec程度と100msec以上時間がかかる。無線LANとFLASH−OFDMの接続されているネットワークは同一であるため、この時間差は、無線区間の差であると考えられるが、正確な理由は明確とはなっていない。しかしながら、異種システム間ローミングにおいて、ローミングは、多くとも数秒に1回以下であると想定されるので、160msecの切断時間であっても十分実用可能である。
【0098】
図26は移動端末が移動した際の、サービスエリアの変化とそれに伴う接続先アクセスシステムの切り替えを表している。図26のように、広域システムのサービスエリア内を端末が移動する。移動中は高速システムサービスエリア内も通過する。今回の測定において、接続先アクセスシステムの切り替えは、より高速なシステムへ切り替えるというルールを採用した。タイムチャートを示すと、図27である。その際、高速システムサービスエリア内に依存する時間の割合が増加するほど、スループットは向上することが予想される。これを実測により確認する。
【0099】
図28に測定結果を示す。横軸は無線LAN接続時間の割合、縦軸はスループットである。実線はFLASH−OFDMのアップリンクの実測における最大スループットである0.69Mbit/sと、IEEE802.11gの実測における最大スループットである16.9Mbit/sを直線で結んだ計算値を示している。黒い菱形が実測値である。
【0100】
実測値の計算値からの最大劣化は、デューティー比0.7における2.0Mbit/sである。しかしながら、無線LANのデューティー比が増加するにつれて、スループットが向上している。これによって、異種システム間ローミングが実際に動作していることが確認できた。
【0101】
実施の形態2
図29はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態2では、前記ソケット機能部が、アプリケーション層と前記複数の無線通信手段に対応して設定された複数のネットワーク層とを選択的に接続し、前記アプリケーション層からの指示により、前記無線通信端末装置が前記他の機器と通信を行う際に使用する無線通信手段を決定するように構成されている。
【0102】
すなわち、この実施の形態2では、図29に示すように、ソケット機能部120が1つのみ設けられており、当該ソケット機能部120が、アプリケーション層111と複数の無線通信手段に対応して設定された複数のネットワーク層113、113とを選択的に接続し、アプリケーション層111からの指示により、複数のネットワーク層113、113を切り替えて、無線通信端末装置100が情報処理装置300等と通信を行う際に使用する無線通信手段を決定するように構成されている。
【0103】
上記ソケット機能部120も、アプリケーションのプログラムとして無線通信端末装置100の記憶装置102にインストールされている。
【0104】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】図1は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置のプロトコルスタックを示す階層図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置を適用した通信ネットワークを示す模式図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置のハードウエアを示すブロック図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態1に係る情報処理装置のハードウエアを示すブロック図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置のプロトコルスタックと信号の流れを示す説明図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置にインストールされたプログラムを示す図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置にインストールされたプログラムを示す図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置にインストールされたプログラムを示す図である。
【図9】図9は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置にインストールされたプログラムを示す図である。
【図10】図10は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置にインストールされたプログラムを示す図である。
【図11】図11は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置にインストールされたプログラムを示す図である。
【図12】図12は情報処理装置にインストールされたプログラムを示す図である。
【図13】図13は情報処理装置にインストールされたプログラムを示す図である。
【図14】図14は情報処理装置にインストールされたプログラムを示す図である。
【図15】図15は情報処理装置にインストールされたプログラムを示す図である。
【図16】図16は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置及び情報処理装置のプロトコルスタックと信号の流れを示す説明図である。
【図17】図17は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置を適用した通信ネットワークの通信状態を示す模式図である。
【図18】図18は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置を適用した通信ネットワークの通信状態を示す模式図である。
【図19】図19は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置を適用した通信ネットワークの通信状態を示す模式図である。
【図20】図20は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置を適用した通信ネットワークの通信状態を示す模式図である。
【図21】図21は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置を適用した通信ネットワークの通信状態を示す模式図である。
【図22】図22は本発明の実験例に係る無線通信端末装置を適用した通信ネットワークを示す模式図である。
【図23】図23はシステム間ローミング測定機器に関する諸元を示す図である。
【図24】図24はFLASH−OFDMから無線LANへの切り替え時間の測定結果を示す図表である。
【図25】図25は無線LANからFLASH−OFDMへの切り替え時間の測定結果を示す図表である。
【図26】図26は移動によるサービスエリアの切り替えを示す図である。
【図27】図27はFLASH−OFDMと無線LANとの間での切り替え動作を示すタイミングチャートである。
【図28】図28は無線LANの割合とスループットの関係を示すグラフである。
【図29】図29は本発明の実施の形態2に係る無線通信端末装置のプロトコルスタックを示す階層図である。
【図30】図30は従来の無線通信端末装置を適用した通信ネットワークを示す模式図である。
【図31】図31は従来の無線通信端末装置を適用した通信ネットワークの通信状態を示す模式図である。
【図32】図32は従来の無線通信端末装置を適用した通信ネットワークの通信状態を示す模式図である。
【図33】図33は従来の無線通信端末装置を適用した通信ネットワークの通信状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0106】
100:無線通信端末装置、110:プロトコルスタック、111:アプリケーション層、112:TCP層、113:IP層、114:データリンク層、115:物理層、120:ソケット機能部、121:第1のソケット機能部、122:第2のソケット機能部、200:通信ネットワーク、300:情報処理装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信カードを実装したPDA(Personal Digital Assistants )や、無線通信カードを実装したノート型のパーソナルコンピュータ(以下、「ノートPC」という。)等のような無線通信機能を備えた端末装置が、広い地域をカバーする広域アクセスサービスや、ホットスポット等の特定の領域をカバーする高速アクセスサービスなど、種類の異なる複数の無線通信システム間を移動しつつ通信を行うにあたり、異種無線通信システム間でのローミング動作を可能とした無線通信端末装置及び通信ネットワークに関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平10−327463号公報
【特許文献2】特開2005−39795号公報
【0003】
従来、無線通信カードを実装したPDA(Personal Digital Assistants )や、無線通信カードを実装したノートPCなどの普及や発達に伴って、移動中においても音声やデータの通信が可能となってきており、ユビキタス社会が実現されつつある。
【0004】
上記無線通信端末装置1000に実装される無線通信手段としては、図30に示すように、例えば、広い地域をカバーする広域アクセスサービスを利用可能とするため、セル毎に配置された無線通信基地局2012との間で通信を行う3GPPや3GPP2といったCDMA方式やIEEE802.16や802.20といったOFDM方式等の第1の標準規格を採用したものがある。この種の無線通信手段は、面的に広域にわたって展開される反面、通信速度が比較的低速であったり、通信コストが比較的高いといった特徴を有している。
【0005】
また、上記無線通信端末装置1000に実装される無線通信手段としては、例えば、ホットスポットと呼ばれる特定の領域内に配置された無線LAN用のルーター2022との間で通信を行うIEEE802.11b 、802.11a 、802.11g 等の第2の標準規格を採用したものなどがある。この種の無線通信手段は、通信速度が高速であって、且つ通信コストも安い反面、通信可能な領域が狭い領域に限られるといった特徴を有している。
【0006】
そのため、通常は、ユーザーがニーズにあった標準規格の無線通信手段を備えた無線通信端末装置を選択するか、又はユーザーのニーズにあった標準規格の無線通信手段を無線通信端末装置に実装することによって、移動中における音声やデータの通信が行われている。
【0007】
ところで、ユーザーが上述した種類の異なる標準規格の広域アクセスサービスと高速アクセスサービスの双方を利用可能とするためには、第1の標準規格を採用した無線通信手段と第2の標準規格を採用した無線通信手段とを実装した無線通信端末装置を使用する必要がある。
【0008】
いま、1台の無線通信端末装置に上述した第1の標準規格の無線通信手段と第2の標準規格の無線通信手段とを実装し、この無線通信端末装置を使用するユーザーが第1の標準規格の広域サービスエリアを移動中に、第2の標準規格の高速サービスエリアに入った場合を考察する。
【0009】
なお、上記第1の標準規格の広域サービスエリアは、広い地域をカバーするものであるため、第2の標準規格の高速サービスエリアは、第1の標準規格の広域サービスエリアに含まれるものである。
【0010】
図31乃至図33は従来のノートPCなどの無線通信端末装置を用いたシステム間のローミング動作を示す模式図である。
【0011】
上記無線通信端末装置が高速無線規格のサービスエリア外であって、しかも広域無線規格のサービスエリア内に位置する場合には、図31に示すように、当該無線通信端末装置1000は、広域アクセスネットワークやインターネット等の通信ネットワーク2000を介して通信相手である情報処理装置(サーバー)3000との間でリンクを確立している。そして、上記情報処理装置(サーバー)3000と無線通信端末装置1000は、広域アクセスネットワークを経由してパケットの送受信を行うように構成されている。
【0012】
次に、図32に示すように、上記無線通信端末装置1000が高速無線規格のサービスエリア内に移動すると、無線通信端末装置1000は、広域無線規格のサービス以外に、高速無線規格のサービスを利用することが可能な状態となる。
【0013】
しかし、この場合であっても、上記無線通信端末装置1000と情報処理装置(サーバー)3000とは、図32に示すように、広域アクセスネットワークを経由してパケットの送受信を行っており、直ちに高速無線規格のネットワークを介して情報処理装置(サーバー)3000と通信を行うことはできない。
【0014】
そのため、上記無線通信端末装置が広域無線規格のサービスエリアから高速無線規格のサービスエリア内に移動した場合には、それまで通信を行っていた広域無線規格の無線通信手段から高速無線規格の無線通信手段に切り替える必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記従来技術の場合には、次のような問題点を有している。すなわち、上記広域無線規格に適合した無線通信手段や高速無線規格に適合した無線通信手段は、当該無線通信端末装置のプロトコルスタックにおいて、物理層及びデータリンク層が異なるものであり、これら物理層やデータリンク層は、基本ソフトウエアであるOSに依存している。そのため、無線通信端末装置が広域無線規格のサービスエリアから高速無線規格のサービスエリア内に移動した場合には、OSを制御することにより、図33に示すように、第1の無線通信規格に適合した無線通信手段による通信を一旦遮断してから、第2の無線通信規格に適合した無線通信手段に切り替える操作をユーザーが行わなければならず、ユーザーの操作が非常に煩雑であり、利便性に欠けるという技術的課題を有していた。
【0016】
また、上記無線通信端末装置1000が高速無線規格のサービスエリア外に移動した場合には、図33に示すように、再度、OSを制御することにより、第2の無線通信規格に適合した無線通信手段による通信を一旦遮断してから、第1の無線通信規格に適合した無線通信手段に切り替える操作をユーザーが行わなければならないという技術的課題を有していた。
【0017】
上述した無線通信手段の切り替えを自動で行うことが可能であればユーザーの利便性を向上できるが、無線通信手段の自動切り替えは広域無線規格及び高速無線規格のネットワーク設備を変更せずに行う必要がある。
【0018】
また、上述した煩雑さを回避するためには、広域無線規格のサービスエリアから高速無線規格のサービスエリア内に移動しているにもかかわらず、通信速度が比較的低速であったり、通信コストが比較的高い第1の無線通信規格に基づいた広域無線規格のサービスを使用し続ける必要があり、通信速度が高速であって、且つ通信コストも低いという第2の無線通信規格に基づいた高速無線規格のサービスを利用することができないという技術的課題を有している。
【0019】
そこで、かかる技術的課題を解決し、ユーザーの好みに応じて様々なネートワーク切り替えモードの選択を可能とする技術としては、例えば、特開平10−327463号公報や特開2005−39795号公報等に開示されたものが既に提案されている。
【0020】
上記特開平10−327463号公報に係る携帯用情報端末装置は、複数の無線通信手段を有し、料金および/または前記無線通信手段を利用して送受信する内容に基づいて決定される優先度により前記複数の無線通信手段のいずれかを選択的に利用可能にするものであり、更に具体的な構成としては、複数の無線通信手段と、各々異なる処理を実行する複数のアプリケーションソフトウェアを実行するデータ処理手段と、データ処理手段から受信した情報に基づき実行されたアプリケーションソフトウェアを検知して前記複数の無線通信手段の優先度情報を発生する検知手段と、前記複数の無線通信手段の通信可否情報を発生する手段と、前記検知手段の出力と前記通信可否情報に応じて切換信号を出力する制御手段と、前記制御手段の出力に応じて前記複数の無線通信手段から一つの無線通信手段を動作可能にする切換手段とを備えるように構成したものである。
【0021】
また、上記特開2005−39795号公報に係る移動無線端末装置は、セルラー無線ネットワーク及び公衆無線LANネットワークに接続可能な移動無線端末装置において、前記セルラー無線ネットワーク及び前記公衆無線LANネットワークの各々のエリア内に属しているか否かを一定周期ごとに検知して検知結果を生成するエリア検知手段と、前記検知結果が前記セルラー無線ネットワーク及び前記公衆無線LANネットワークのエリアに属していることを示している時には前記セルラー無線ネットワーク及び前記公衆無線LANネットワークの特性を比較して比較結果を生成する特性比較手段と、前記比較結果により所定の特性を有する前記セルラー無線ネットワーク及び前記公衆無線LANネットワークのいずれかに切替る切替手段と、前記比較結果により所定の特性を有する前記セルラー無線ネットワーク及び前記公衆無線LANネットワークのいずれかに切替るか否かを判断させるための通知をする通知手段と、前記通知に基づいて前記セルラー無線ネットワーク及び前記公衆無線LANネットワークのいずれかを選択する選択手段と、を具備するように構成したものである。
【0022】
しかしながら、前者の特開平10−327463号公報に係る携帯用情報端末装置の場合には、当該携帯用情報端末装置側で複数の無線通信手段を自律的に切り替える必要があり、切換信号を出力する制御手段や、制御手段の出力に応じて複数の無線通信手段から一つの無線通信手段を動作可能にする切換手段などの新たなハードウエアを当該携帯用情報端末装置に追加する必要があり、構成が複雑となり、コストアップを招くとともに、無線ネットワークの種類が変わった場合には対応することができないという技術的課題を有している。更に、当該携帯用情報端末装置を無線通信カードを実装したノートPCなどで実現した場合には、複数の無線通信手段を持ち、無線通信手段の自律的な切り替えが可能な無線通信カードを新規に開発する必要があるという技術的課題も有している。
【0023】
また、上記特開2005−39795号公報に係る移動無線端末装置の場合にも、やはり、セルラー無線ネットワークと公衆無線LANネットワークとを切り替えるために、エリア検知手段、特性比較手段、切替手段といった新たなハードウエアの当該移動無線端末装置への追加を必要とし、構成が複雑となり、コストアップを招くとともに、セルラー無線ネットワークや公衆無線LANネットワークの種類に依存し、無線ネットワークの種類が変わった場合には対応することができないという技術的課題を有している。更に、当該移動無線端末装置を無線通信カードを実装したノートPCなどで実現した場合には、複数の無線通信手段を持ち、無線通信手段の自律的な切り替えが可能な無線通信カードを新規に開発する必要があるという技術的課題も有している。
【0024】
そこで、この発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、新たな無線通信カードの新規開発が不要であるとともに、既存のネットワーク設備を活用することが可能であり、簡単な構成で且つ低コストであって、無線ネットワークの種類に依存せずに、種類の異なる無線ネットワークを自動的に切り替えることができ、ユーザーの利便性を向上させることが可能な無線通信端末装置、及び無線通信ネットワークを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
すなわち、請求項1に記載された発明は、種類の異なる複数の無線通信システムを介して情報処理装置と通信を行うための複数の無線通信手段を有し、前記複数の無線通信手段を切り替えて前記種類の異なる通信システムを介して連続的に通信を行う無線通信端末装置において、
前記無線通信端末装置に、アプリケーションと前記複数の無線通信手段に対応して設定された複数のネットワークとを切り替えて接続するソケット機能部を設け、
前記ソケット機能部を用いて前記無線通信端末装置が前記情報処理装置と通信を行う際に使用する複数の無線通信手段を切り替えることを特徴とする無線通信端末装置である。
【0026】
また、請求項2に記載された発明は、前記ソケット機能部は、前記複数のネットワークに対応して複数設けられ、前記複数のソケット機能部を切り替えることにより、前記無線通信端末装置が前記情報処理装置と通信を行う際に使用する複数の無線通信手段を選択することを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末装置である。
【0027】
さらに、請求項3に記載された発明は、前記ソケット機能部は、前記複数のネットワークに同時に接続可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信端末装置である。
【0028】
又、請求項4に記載された発明は、前記ソケット機能部は、アプリケーションと前記複数の無線通信手段に対応して設定された複数のネットワークとを選択的に接続し、前記アプリケーションからの指示により、前記無線通信端末装置が前記他の機器と通信を行う際に使用する無線通信手段を決定することを特徴とする請求項2に記載の無線通信端末装置である。
【0029】
更に、請求項5に記載された発明は、前記ソケット機能部は、前記無線通信端末装置のプロトコルスタックに設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の無線通信端末装置である。
【0030】
また、請求項6に記載された発明は、前記複数の無線通信手段は、OFDM、OFDMA、FDM、FDMA、CDM、CDMA、TDM、TDMA、SS(Spread Spectrum )等のいずれかを用いたものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の無線通信端末装置である。
【0031】
さらに、請求項7に記載された発明は、前記無線通信端末装置において、前記複数の無線通信手段に一対一で対応した複数の識別子を具備し、前記情報処理装置と通信を行う際に、前記複数の無線通信手段に対応した複数の識別子を用いて通信を確立し、前記情報処理装置と前記無線通信端末装置との間で各々の識別子を用いて確立した経路でデータの送受信を行った後、同一のアプリケーションで当該データを処理することを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末装置である。
【0032】
又、請求項8に記載された発明は、前記ソケット機能部は、無線通信端末装置の記憶装置にインストールされたアプリケーションのプログラムからなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の無線通信端末装置である。
【0033】
更に、請求項9に記載された発明は、前記無線通信端末装置のプロトコルスタックは、アプリケーション層と、トランスポート層と、ネットワーク層と、データリンク層と、物理層とを備え、前記ソケット機能部は、トランスポート層を介して、アプリケーション層と複数のネットワーク層とを接続するように、複数設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の無線通信端末装置である。
【0034】
また、請求項10に記載された発明は、種類の異なる複数の無線通信システムにおいて、無線通信端末装置が前記種類の異なる複数の無線通信システムを介して情報処理装置と通信を行う通信ネットワークにおいて、
前記無線通信端末装置は、アプリケーションと前記複数の無線通信手段に対応して設定された複数のネットワークを切り替え可能に接続するソケット機能部を備え、
前記ソケット機能部を用いて前記無線通信端末装置が前記情報処理装置と通信を行う際に使用する複数の無線通信手段を切り替え、
前記情報処理装置は、任意の無線通信端末装置と通話中に、同一の無線通信端末装置から種類の異なる無線通信システムを介して新たな接続要求があったときに、当該新たな接続要求を並行して受信可能とする並行受信機能部を備えたことを特徴とする通信ネットワークである。
【0035】
さらに、請求項11に記載された発明は、前記情報処理装置は、同一の無線通信端末装置から種類の異なる無線通信システムを介して新たな接続要求があったときに、当該新たな接続要求を並行して受信可能とする際に、前記無線通信端末装置に一意の識別子及び識別番号を付与することを特徴とする請求項10に記載の通信ネットワークである。
【発明の効果】
【0036】
この発明においては、新たな無線通信カードの新規開発が不要であるとともに、既存のネットワーク設備を活用することが可能であり、簡単な構成で且つ低コストであって、無線ネットワークの種類に依存せずに、種類の異なる無線ネットワークを自動的に切り替えることができ、ユーザーの利便性を向上させることが可能な無線通信端末装置、及び通信ネットワークを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0038】
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置及び情報処理装置を適用した通信ネットワークを示す模式図である。
【0039】
図2において、100はノートPCからなる無線通信端末装置を示すものであり、この無線通信端末装置100は、種類の異なる複数の無線通信システム201、202を少なくとも一部に含む通信ネットワーク200を介して、サーバー等の情報処理装置300との間でデータ通信を行うように構成されている。上記複数の無線通信システム201、202のうち、第1の無線通信システム201は、例えば、3GPPや3GPP2といったCDMA方式やIEEE802.16や802.20といったOFDM方式等の第1の標準規格を用いた広域ネットワーク(WAN:Wide Area Network )を構成しており、この第1の無線通信システム201では、無線通信端末装置100がセル211毎に配置された無線通信基地局212のアンテナ213との間で通信を行うように構成されている。また、上記第1の無線通信システム201は、例えば、日本全国を略カバーするように広い地域にわたって面状に展開されており、無線通信端末装置100が日本全国のどこに位置してもほぼ通信可能となっている。なお、図2に示す実施の形態では、無線通信端末装置100及び情報処理装置300がそれぞれ1台のみ図示されているが、これら無線通信端末装置100及び情報処理装置300は、複数台存在しても良いことは勿論である。
【0040】
また、通信ネットワーク200は、電話回線等を介して構成されるインターネット203などをも含むものである。
【0041】
また、上記無線通信端末装置100としては、無線通信カードを実装したノートPCに限らず、無線通信カードを実装したPDA等であっても良いことは勿論である。
【0042】
一方、他方の第2の無線通信システム202は、例えば、IEEEの802.11b 、802.11a 、802.11g 等の第2の無線通信規格を用いたホットスポット等の限定された領域のローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)を構成しており、この第2の無線通信システム202では、無線通信端末装置100がホットスポット等の特定の領域221に配置された無線LAN用のルーター222との間で通信を行うように構成されている。また、上記第2の無線通信システム202は、例えば、地域の所定の場所にスポット状に展開されており、無線通信端末装置100が特定の領域221内に位置する場合にのみ通信可能となっている。
【0043】
図3は無線通信端末装置のハードウエアの構成を概略的に示すブロック図である。
【0044】
上記無線通信端末装置100は、図3に示すように、当該無線通信端末装置100の各種の機能を実現するCPU101と、当該CPU101で実行されるプログラムやパラメーター等を記憶したROMやRAM、或いはハードディスク等からなる記憶装置102と、ユーザーが無線通信端末装置100を操作するためのキーボードや数字キー、文字キー、液晶表示パネル等からなるユーザーインタフェース103と、第1の無線通信システム211を介して通信するための第1の無線通信手段としての第1のネットワークインタフェース104と、第2の無線通信システム221を介して通信する第2の無線通信手段としての第2のネットワークインタフェース105とを備えている。
【0045】
上記第1のネットワークインタフェース104としては、例えば、3GPPや3GPP2といったCDMA方式やIEEE802.16や802.20といったOFDM方式等の標準規格を採用した無線通信カードが用いられる。また、上記第2のネットワークインタフェース105としては、例えば、IEEEの802.11b 、802.11a 、802.11g 等の第2の標準規格を採用した無線通信カードなどが用いられる。
【0046】
図4はサーバー等からなる情報処理装置のハードウエアの構成を概略的に示すブロック図である。
【0047】
上記情報処理装置300は、図4に示すように、当該情報処理装置300の各種の機能を実現するCPU301と、当該CPU301で実行するプログラムやパラメーター等を記憶したROMやRAM、あるいはハードディスク等からなる記憶装置302と、ユーザーが情報処理装置300を操作するためのキーボードやマウス等からなるユーザーインタフェース303と、電話回線やADSL、光ファイバー等からなる有線の通信システムを介して通信するための有線通信手段としての外部インタフェース304〜306とを備えている。なお、有線通信手段に限らず、無線通信手段を採用しても良い。
【0048】
ところで、この実施の形態では、種類の異なる複数の無線通信システムを介して情報処理装置と通信を行うための複数の無線通信手段を有し、前記複数の無線通信手段を切り替えて前記種類の異なる通信システムを介して連続的に通信を行う無線通信端末装置において、
前記無線通信端末装置に、アプリケーションと前記複数の無線通信手段に対応して設定された複数のネットワークとを切り替えて接続するソケット機能部を設け、
前記ソケット機能部を用いて前記無線通信端末装置が前記情報処理装置と通信を行う際に使用する複数の無線通信手段を切り替えるように構成されている。
【0049】
すなわち、この実施の形態に係る無線通信端末装置100は、図1に示すように、そのプロトコルスタック110が、上位層から順に、アプリケーション層111と、トランスポート層112と、ネットワーク層113と、データを送受信するホスト間での正しい転送を保証するデバイスドライバ等からなるデータリンク層114と、物理的に無線通信端末装置100と情報処理装置300間等を接続する経路を実現するネットワークインタフェイス104、105等からなる物理(PHY)層115とを備えるように構成されている。なお、この実施の形態では、物理(PHY)層115としてのネットワークインタフェイス104、105が2つ設けられており、これら2つのネットワークインタフェイス104、105に対応して、データリンク層1141 、1142 及びネットワーク層1131 、1132 も2つずつ設けられている。
【0050】
この実施の形態では、トランスポート層としてのTCP(Transmission Control Protocol )層112を介して、アプリケーション層111と複数のIP層1131 、1132 とを切り替えて接続するソケット機能部として、第1のソケット機能部121と第2のソケット機能部122とからなる複数(図示例では、2つ)のソケット機能部120が設けられている。このソケット機能部120は、無線通信端末装置100の記憶装置102にインストールされたアプリケーションプログラムによって構成されている。
【0051】
上記無線通信端末装置100では、図1に示すように、他の機器としての情報処理装置300等と通信を行うにあたり、アプリケーション層111によって送信データが生成された後、このアプリケーション層111で生成された送信データは、パケット毎にトランスポート層としてのTCP層112に送られる。このTCP層112では、通信相手である情報処理装置300に対してリンクを張り、このリンクによって、ネットワーク間でバイトストリーム通信、すなわち1バイト単位でデータを通信するように構成されている。上記TCP層112では、図5に示すように、パケット毎に分割された送信データにTCPヘッダが付加される。
【0052】
TCP層112では、正確なデータの転送、即ちデータの誤り・抜け・重複・順序間違い等のチェックを行い、エラーがあれば直ちにデータを再要求することにより、通信の信頼性を保持する機能を果たしている。また、フロー制御により、複数の経路によってパケット送信の時間差が発生するのを防ぐために、最初に送信先としての情報処理装置300までの経路を作り、順番にパケットを送信することを可能としている。
【0053】
また、TCP層112では、ポート番号を用いて、どのアプリケーションにデータを渡すかを決定する。ポート番号は1から65535 まであり、通信の両端のアプリケーションを識別する。このうち、1 から 1023 まではサーバーアプリケーション用とされており、クライアントアプリケーションは 1023 より大きな番号が動的に割り当てられる。
【0054】
通常使用されるプロトコルのポート番号は、RFC 1700にて定義されており、例えば、HTTPは 80 番、FTP が 21 番、telnetサーバーが 23 番となっている。このようにして、同じ無線通信端末装置100間で複数のアプリケーションを同時に使用した場合でも、お互いのデータが混乱なく、相手のアプリケーションに伝わるようになっている。
【0055】
上記ネットワーク層としてのIP(Internet Protocol )層113は、インターネット203を介してデータをやり取りするためのプロトコルであり、IP層113では、送信されるデータがパケットと呼ばれるデータ単位に分割されており、あるパケットがインターネット203の中継装置により中継されながら、始点の無線通信端末装置100から終点の情報処理装置300まで送られる際に、各中継装置で次のIPパケットの送り先を適切と思われるルートを自動的に探索しながら目的とする情報処理装置300まで順次転送していく。
【0056】
このとき、各パケットの先頭には、図5に示すように、そのパケットの送信先等の外部情報が書き込まれたIPヘッダが付与される。パケットの送信先の住所にあたるIPアドレスは、インターネット203を介して通信を行う無線通信端末装置100や情報処理装置300等のすべての機器に割り当てられている。IPアドレスは、外部ネットワークから特定のネットワークを識別するためのネットワークアドレスと、特定のネットワークの内部に接続される無線通信端末装置100や情報処理装置300等のアドレスを識別するためのホストアドレスとから構成されている。
【0057】
因みに、ネットワークアドレスが同じIPアドレス同士は、直接通信を行うことができ、このようなホスト同士は「同じネットワーク上にいる」ことになる。一方、送信先のホストが同じネットワーク上にいない場合は、ホストはそのネットワークと、その外側のインターネット203とをつなぐゲートウェイと呼ばれるホストへパケットを送り、ゲートウェイは、送り先に最も近いと思われるゲートウェイへとパケットを転送する。パケットを受け取ったゲートウェイは、もしその宛て先が自分のネットワーク内のものであれば、それを受け入れ、違う場合には、再び最も近いと思われるゲートウェイへとパケットを転送することにより、パケットは最終的に目的とする情報処理装置300へ送られる。
【0058】
さらに、データリンク層114は、データを送受信する二つのホスト間での正しい転送を保証するものであり、このデータリンク層114を介して送信データが物理層115に送られる。このデータリンク層114では、送信する各パケットの先頭にイーサネット(登録商標)・ヘッダを付加し、このイーサネット(登録商標)・ヘッダには、送信元と宛先のIDが埋め込まれている。上記無線通信端末装置100や情報処理装置300、あるいは中継装置は、受信したパケットの先頭部分にあるこの宛先IDが、自分のIDと一致した場合のみこのパケットを取り込む。上記IDは、MAC(Media Access Control)アドレスと呼ばれる。
【0059】
また、上記物理層115は、物理的に無線通信端末装置100と情報処理装置300等の二点間を接続する経路を実現するものであり、この実施の形態では、無線通信端末装置100は、第1のネットワークインタフェース104と、第2のネットワークインタフェース105とを備えている。
【0060】
これら第1のネットワークインタフェース104及び第2のネットワークインタフェース105、例えば、第2のネットワークインタフェース105としての無線LANカードには、工場出荷時に唯一のMACアドレスが付与されており、このMACアドレスは、例えば「aa:bb:cc:dd:ee:ff 」のような16進6バイトで表されるIDからなる。
【0061】
ネットワーク上の各パケットには、上述したように、各パケットの先頭にあるイーサネット(登録商標)・ヘッダの次にIPヘッダと呼ばれる部分があり、このIPヘッダに送信元と受信先のIPアドレスが埋め込まれている。
【0062】
図6は無線通信端末装置100の記憶装置103にインストールされたデフォルトルートを設定するためのLinux用のプログラムを示すものである。なお、以下は、すべてLinux用のプログラムである。
【0063】
このプログラムの第1行は、スクリプトヘッダであり、第2−8行は、ネットワークアダプタ名、IPアドレス、ルーターアドレスである。また、第10−13行は、ルーティングテーブル設定、第15−16行は、ルーティングルールの設定をそれぞれ示している。ここで、例えば、第15−16行のルーティングルールによって、第1のソケット機能部121と第2のソケット機能部122を切替えるルールが設定される。この第1のソケット機能部121と第2のソケット機能部122を切替えるルールとしては、速度を優先する場合には、通信速度の速い第2の無線通信手段105が安定して通信可能となったとき、自動的に第2の無線通信手段105に切替えるルールが採用される。但し、これに限定されるものではなく、第1のソケット機能部121と第2のソケット機能部122を切替えるルールとしては、通信の安定性を重視したり、通信コストを考慮したり、あるいはこれら複数の要素を考慮して、第1のソケット機能部121と第2のソケット機能部122を切替えるように構成しても良い。
【0064】
この設定により、送信元アドレスを指定して送信すると、そのアドレスを持つネットワークインタフェースからアプリケーショのデータが送信されるようになる。
【0065】
図7はヘッダを示しており、第1−6行は、定数の定義を、第7−8行は、グローバル変数の定義をそれぞれ示している。
【0066】
図8はbinding _addr関数を示しており、第1−8行は、gethostbyname ()関数により接続先アドレスをソケットで利用できる変数形式へと変換するためのものである。
【0067】
図9はswapsocket関数であり、タイマにより、ソケットを切り替えるための関数である。第5−6行は、設定したタイマが経過していなければ、元のソケット番号を戻り値としてreturnするものであり、第9−16行は、切り替え先ソケット番号に対応したタイマ値を設定した上で切り替え先ソケットを戻り値としてreturnする。
【0068】
図10は第1のmain関数を示しており、第25−43行はそれぞれのネットワークインタフェース104、105に対応した第1のソケット及び第2のソケットを作成し、コネクションを張る。
【0069】
図11は第2のmain関数を示しており、この第2のmain関数は、select関数を用いて単一プロセスから複数接続を利用可能とするものである。第1−22行はselect関数を用いて、データを取得し、第23−24行は、第1ソケット及び第2のソケットから待ち受けソケットを選択し、第43−62行は、送信すべきデータがなくなったらコネクションをクローズして、終了処理を実行するものであり、そうでなければ送信データを作成して、選択されたソケットに書き込み、第64−70行で終了処理を実行するものである。
【0070】
図12〜図15は情報処理装置300の記憶装置303にインストールされたプログラムを示すものであり、情報処理装置300側でも無線通信端末装置100からの複数の接続要求を受けるための複数処理を可能とものであり、マルチスレッドを用いている。
【0071】
図12はtcp _listen関数を示しており、第1−5行は定数の定義、第10−52行は、特定のポートで接続を待ち受けるためのソケットを作成し、それを返り値としてreturnする。
【0072】
図13はmain関数を示しており、このmain関数は、第11−18行は待ち受けソケットを作成し、第21−31行は、無線通信端末装置100からの複接続要求を待ち受けて、要求があった場合は新たなポートに新たなソケットを作成し、別スレッドを作成するようになっている。
【0073】
図14はdoit関数を示しており、このdoit関数は、第6行は自スレッドをメインスレッドから分離し、第7行は、データ受信用の関数に処理を依頼する。
【0074】
図15はstr _echo関数を示しており、第9−21行はデータを受信してコンソールに表示するものである。
【0075】
以上の構成において、この実施の形態に係る異種無線通信システム間のローミング装置を適用した無線通信ネットワークでは、次のようにして、新たな無線通信カードの新規開発が不要であるとともに、既存のネットワーク設備を活用することが可能であり、簡単な構成で且つ低コストであって、無線ネットワークの種類に依存せずに、種類の異なる無線ネットワークを自動的に切り替えることができ、ユーザーの利便性を向上させることが可能となっている。
【0076】
まず、無線通信端末装置100は、データ通信を行うにあたり、図6に示すように、第1の無線通信手段及び第2の無線通信手段に対応した第1のソケット機能部121と第2のソケット機能部122を作成し、コネクションを張る。
【0077】
その際、上記無線通信端末装置100は、socket関数によって第1及び第2のソケット機能部121、122を作成するとともに、bind関数により第1のソケット機能部121及び第2のソケット機能部122にIPアドレスとポート番号を割り当てる。そして、無線通信端末装置100では、connect 関数により、作成された第1及び第2のソケット機能部121、122を用いて、情報端末装置300のIPアドレスの特定のポート番号へと接続し、接続できなかった場合は、接続されるまで待つか、そのソケットを破棄し終了する。
【0078】
次に、無線通信端末装置100は、図11に示すように、select関数を用いて、アプリケーション層111から送信すべきデータを取得するとともに、待ち受けるソケット機能部を選択し、送信すべきデータがなくなったらコネクションをクローズして、終了処理を実行する。そうでなければ、送信データを作成し、write 関数により選択された第1のソケット機能部121または第2のソケット機能部122にデータを書き込んで、データを送信し、終了処理を実行する。また、無端通信端末装置100が能動的に閉じなくても、サーバーが定める有効時間が過ぎると、サーバー側から切断される。
【0079】
一方、情報処理装置300は、図12に示すように、socket関数により特定のポートで接続を待ち受けるためのソケットを作成し、それを返り値としてreturnする。
【0080】
そして、情報処理装置300は、図13に示すように、listen関数により無線通信端末装置からの接続要求を待ち受け、接続要求があった場合には、新たなポートに新たなソケットを作成し、別スレッドを作成する。
【0081】
次に、情報処理装置300は、doit関数により、自スレッドをメインスレッドから分離し、データ受信用関数に処理を依頼する。その結果、情報処理装置300は、同一の無端通信端末装置100から複数の接続要求がきた場合であっても、新たなポートに新たなソケットを作成し、別スレッドを作成することにより、自スレッドをメインスレッドから分離して、同一の無端通信端末装置100からの新たな接続要求を受け付け可能となっている。その後、情報処理装置300は、以前の処理はデータ受信用関数に処理を依頼する。
【0082】
なお、情報処理装置300では、マルチスレッドを用いずに、fork()関数を用いて、同時処理が可能となるように構成しても良い。
【0083】
上記のごとく、無線通信端末装置100と情報処理装置300との間では、図16に示すように、ネットワークが形成されて、両者の間でデータの通信が行われる。
【0084】
このように、上記無端通信端末装置100では、新たな無線通信カードの新規開発が不要であるとともに、既存のネットワーク設備を活用することが可能であり、簡単な構成で且つ低コストであって、無線ネットワークの種類に依存せずに、種類の異なる無線ネットワークを自動的に切り替えることができ、ユーザーの利便性を向上させることが可能となっている。
【0085】
いま、移動端末が広域無線規格のサービスエリア内を移動中に、高速無線規格のサービスエリアを通過する場合について検討してみる。
【0086】
図17は無端通信端末装置100が高速無線規格のサービスエリア221外に存在する場合を示している。この場合、無端通信端末装置100は、通信速度が高速無線規格のサービスエリアと比較して遅いものの、広いエリアにわたって通信が可能な広域無線規格のサービスエリア内を移動している場合、広域無線規格のネットワーク201を介して、情報処理装置300とリンクを確立している。その際、情報処理装置300は、無端通信端末装置100に一意の識別子と識別番号を付与し、それを利用して無端通信端末装置100を認識している。そして、情報処理装置300と無端通信端末装置100は、広域無線規格のネットワーク201を経由してパケットを送受信している。
【0087】
図18は無端通信端末装置100が高速無線規格のサービスエリア221内に移動した直後の状態を示している。無端通信端末装置100は、第2のソケット機能部105を用いて情報処理装置300と通信を行い、高速無線規格を利用するための認証を行って、リンクを確立し、高速無線規格のネットワーク202を経由して情報処理装置300から与えられた識別子を送信することで、情報処理装置300に同一端末であると認識させる。情報処理装置300は、識別子が存在するか、また、識別番号が存在するか、を確認した後、必要であれば新たな識別子及び識別番号を無端通信端末装置100に付与する。
【0088】
図19では、広域無線規格の端末、高速無線規格の端末の両方が同一の移動端末であると情報処理装置300に認識され、高速無線規格のネットワーク202経由でパケットを送受信している状態を示している。この場合は、広域無線規格のサービスエリア内でもあるので、広域アクセスを用いてもパケットの送受信は可能である。
【0089】
図20では、無端通信端末装置100が高速無線規格のサービスエリア221外に移動した直後を表している。無端通信端末装置100は、高速無線規格のリンク切断を認識すると、広域無線規格のネットワーク201経由で高速無線規格の認識番号を消去するよう情報処理装置300に要求する。情報処理装置300は、無端通信端末装置100から要求があった場合、もしくは、高速無線規格のネットワーク202を利用して通信を行うことができず、タイムアウト時間が経過した場合に、識別番号を消去する。
【0090】
図21では、無端通信端末装置100が完全に高速無線規格のサービスエリア221外に移動した状態を表している。図17と同様、移動端末は広域無線規格のネットワーク201を利用してパケットを送受信する。
【0091】
以上の動作により、無端通信端末装置100が移動しながら種類の異なる複数の無線規格を連続的且つ自動的に切り替えるローミングを提供するネットワークが実現できる。更に、無端通信端末装置100が[0076]−[0083]に記述の動作を行うことにより、識別子を用いて広域無線規格と高速無線規格の切り替えが行われ、同一アプリケーションで連続的にデータの送受信が可能な無端通信端末装置100が実現できる。
【0092】
実験例
次に、本発明者等は、本発明の効果を確認するために、図22に示すような通信システムを用いて、実測評価を行った。広域無線規格として、FLASH−OFDMを用い、高速無線規格としては、IEEE802.11gを用いた。
【0093】
図22は実験に使用した測定系を示すものである。測定は、FLASH−OFDM基地局サブネット内に無線LANアクセスポイントを設定して行った。測定に用いた機器を図23に示す。
【0094】
実験は、図26に示すように、東北大学及び宮城県県庁の協力のもと、宮城県仙台市の市内において行った。現在、宮城県仙台市では、広域無線規格であるFLASH−OFDMの実用化に向けた実験が行われており、市内の複数箇所にFLASH−OFDMの基地局が試験的に設置され、図26に示す範囲内でほぼ広域無線規格であるFLASH−OFDMを用いた無線通信が可能となっている。また、仙台市内には、図26において小さな丸で示したように、高速無線規格のサービスエリア221がスポット状に配置されており、サービスエリア221内では、高速無線規格が利用可能となっている。
【0095】
そして、図22に示すように、無線通信端末装置100としてのノートPCを車に搭載して、図26に示すごとく、仙台市内の東二番丁通を南から北に向かって走行し、FLASH−OFDMから無線LANへ、或いは無線LANからFLASH−OFDMへと切り替えるローミング動作を繰り返し行う実験を行った。
【0096】
はじめに、切り替えに伴う回線切断時間を評価した。図24及び図25はそれぞれFLASH−OFDM→無線LAN、無線LAN→FLASH−OFDMの切り替え時間の測定結果を示したものである。
【0097】
無線LAN→FLASH−OFDMの切り替え時間が50msec程度であるのに対し、FLASH−OFDM→無線LANの切り替え時間が160msec程度と100msec以上時間がかかる。無線LANとFLASH−OFDMの接続されているネットワークは同一であるため、この時間差は、無線区間の差であると考えられるが、正確な理由は明確とはなっていない。しかしながら、異種システム間ローミングにおいて、ローミングは、多くとも数秒に1回以下であると想定されるので、160msecの切断時間であっても十分実用可能である。
【0098】
図26は移動端末が移動した際の、サービスエリアの変化とそれに伴う接続先アクセスシステムの切り替えを表している。図26のように、広域システムのサービスエリア内を端末が移動する。移動中は高速システムサービスエリア内も通過する。今回の測定において、接続先アクセスシステムの切り替えは、より高速なシステムへ切り替えるというルールを採用した。タイムチャートを示すと、図27である。その際、高速システムサービスエリア内に依存する時間の割合が増加するほど、スループットは向上することが予想される。これを実測により確認する。
【0099】
図28に測定結果を示す。横軸は無線LAN接続時間の割合、縦軸はスループットである。実線はFLASH−OFDMのアップリンクの実測における最大スループットである0.69Mbit/sと、IEEE802.11gの実測における最大スループットである16.9Mbit/sを直線で結んだ計算値を示している。黒い菱形が実測値である。
【0100】
実測値の計算値からの最大劣化は、デューティー比0.7における2.0Mbit/sである。しかしながら、無線LANのデューティー比が増加するにつれて、スループットが向上している。これによって、異種システム間ローミングが実際に動作していることが確認できた。
【0101】
実施の形態2
図29はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態2では、前記ソケット機能部が、アプリケーション層と前記複数の無線通信手段に対応して設定された複数のネットワーク層とを選択的に接続し、前記アプリケーション層からの指示により、前記無線通信端末装置が前記他の機器と通信を行う際に使用する無線通信手段を決定するように構成されている。
【0102】
すなわち、この実施の形態2では、図29に示すように、ソケット機能部120が1つのみ設けられており、当該ソケット機能部120が、アプリケーション層111と複数の無線通信手段に対応して設定された複数のネットワーク層113、113とを選択的に接続し、アプリケーション層111からの指示により、複数のネットワーク層113、113を切り替えて、無線通信端末装置100が情報処理装置300等と通信を行う際に使用する無線通信手段を決定するように構成されている。
【0103】
上記ソケット機能部120も、アプリケーションのプログラムとして無線通信端末装置100の記憶装置102にインストールされている。
【0104】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】図1は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置のプロトコルスタックを示す階層図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置を適用した通信ネットワークを示す模式図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置のハードウエアを示すブロック図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態1に係る情報処理装置のハードウエアを示すブロック図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置のプロトコルスタックと信号の流れを示す説明図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置にインストールされたプログラムを示す図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置にインストールされたプログラムを示す図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置にインストールされたプログラムを示す図である。
【図9】図9は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置にインストールされたプログラムを示す図である。
【図10】図10は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置にインストールされたプログラムを示す図である。
【図11】図11は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置にインストールされたプログラムを示す図である。
【図12】図12は情報処理装置にインストールされたプログラムを示す図である。
【図13】図13は情報処理装置にインストールされたプログラムを示す図である。
【図14】図14は情報処理装置にインストールされたプログラムを示す図である。
【図15】図15は情報処理装置にインストールされたプログラムを示す図である。
【図16】図16は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置及び情報処理装置のプロトコルスタックと信号の流れを示す説明図である。
【図17】図17は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置を適用した通信ネットワークの通信状態を示す模式図である。
【図18】図18は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置を適用した通信ネットワークの通信状態を示す模式図である。
【図19】図19は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置を適用した通信ネットワークの通信状態を示す模式図である。
【図20】図20は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置を適用した通信ネットワークの通信状態を示す模式図である。
【図21】図21は本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置を適用した通信ネットワークの通信状態を示す模式図である。
【図22】図22は本発明の実験例に係る無線通信端末装置を適用した通信ネットワークを示す模式図である。
【図23】図23はシステム間ローミング測定機器に関する諸元を示す図である。
【図24】図24はFLASH−OFDMから無線LANへの切り替え時間の測定結果を示す図表である。
【図25】図25は無線LANからFLASH−OFDMへの切り替え時間の測定結果を示す図表である。
【図26】図26は移動によるサービスエリアの切り替えを示す図である。
【図27】図27はFLASH−OFDMと無線LANとの間での切り替え動作を示すタイミングチャートである。
【図28】図28は無線LANの割合とスループットの関係を示すグラフである。
【図29】図29は本発明の実施の形態2に係る無線通信端末装置のプロトコルスタックを示す階層図である。
【図30】図30は従来の無線通信端末装置を適用した通信ネットワークを示す模式図である。
【図31】図31は従来の無線通信端末装置を適用した通信ネットワークの通信状態を示す模式図である。
【図32】図32は従来の無線通信端末装置を適用した通信ネットワークの通信状態を示す模式図である。
【図33】図33は従来の無線通信端末装置を適用した通信ネットワークの通信状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0106】
100:無線通信端末装置、110:プロトコルスタック、111:アプリケーション層、112:TCP層、113:IP層、114:データリンク層、115:物理層、120:ソケット機能部、121:第1のソケット機能部、122:第2のソケット機能部、200:通信ネットワーク、300:情報処理装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
種類の異なる複数の無線通信システムを介して情報処理装置と通信を行うための複数の無線通信手段を有し、前記複数の無線通信手段を切り替えて前記種類の異なる通信システムを介して連続的に通信を行う無線通信端末装置において、
前記無線通信端末装置に、アプリケーションと前記複数の無線通信手段に対応して設定された複数のネットワークとを切り替えて接続するソケット機能部を設け、
前記ソケット機能部を用いて前記無線通信端末装置が前記情報処理装置と通信を行う際に使用する複数の無線通信手段を切り替えることを特徴とする無線通信端末装置。
【請求項2】
前記ソケット機能部は、前記複数のネットワークに対応して複数設けられ、前記複数のソケット機能部を切り替えることにより、前記無線通信端末装置が前記情報処理装置と通信を行う際に使用する複数の無線通信手段を選択することを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末装置。
【請求項3】
前記ソケット機能部は、前記複数のネットワークに同時に接続可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信端末装置。
【請求項4】
前記ソケット機能部は、アプリケーションと前記複数の無線通信手段に対応して設定された複数のネットワークとを選択的に接続し、前記アプリケーションからの指示により、前記無線通信端末装置が前記他の機器と通信を行う際に使用する無線通信手段を決定することを特徴とする請求項2に記載の無線通信端末装置。
【請求項5】
前記ソケット機能部は、前記無線通信端末装置のプロトコルスタックに設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の無線通信端末装置。
【請求項6】
前記複数の無線通信手段は、OFDM、OFDMA、FDM、FDMA、CDM、CDMA、TDM、TDMA、SS等のいずれかを用いたものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の無線通信端末装置。
【請求項7】
前記無線通信端末装置において、前記複数の無線通信手段に一対一で対応した複数の識別子を具備し、前記情報処理装置と通信を行う際に、前記複数の無線通信手段に対応した複数の識別子を用いて通信を確立し、前記情報処理装置と前記無線通信端末装置との間で各々の識別子を用いて確立した経路でデータの送受信を行った後、同一のアプリケーションで当該データを処理することを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末装置。
【請求項8】
前記ソケット機能部は、無線通信端末装置の記憶装置にインストールされたアプリケーションのプログラムからなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の無線通信端末装置。
【請求項9】
前記無線通信端末装置のプロトコルスタックは、アプリケーション層と、トランスポート層と、ネットワーク層と、データリンク層と、物理層とを備え、前記ソケット機能部は、トランスポート層を介して、アプリケーション層と複数のネットワーク層とを接続するように、複数設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の無線通信端末装置。
【請求項10】
種類の異なる複数の無線通信システムにおいて、無線通信端末装置が前記種類の異なる複数の無線通信システムを介して情報処理装置と通信を行う通信ネットワークにおいて、
前記無線通信端末装置は、アプリケーションと前記複数の無線通信手段に対応して設定された複数のネットワークを切り替え可能に接続するソケット機能部を備え、
前記ソケット機能部を用いて前記無線通信端末装置が前記情報処理装置と通信を行う際に使用する複数の無線通信手段を切り替え、
前記情報処理装置は、任意の無線通信端末装置と通話中に、同一の無線通信端末装置から種類の異なる無線通信システムを介して新たな接続要求があったときに、当該新たな接続要求を並行して受信可能とする並行受信機能部を備えたことを特徴とする通信ネットワーク。
【請求項11】
前記情報処理装置は、同一の無線通信端末装置から種類の異なる無線通信システムを介して新たな接続要求があったときに、当該新たな接続要求を並行して受信可能とする際に、前記無線通信端末装置に一意の識別子及び識別番号を付与することを特徴とする請求項10に記載の通信ネットワーク。
【請求項1】
種類の異なる複数の無線通信システムを介して情報処理装置と通信を行うための複数の無線通信手段を有し、前記複数の無線通信手段を切り替えて前記種類の異なる通信システムを介して連続的に通信を行う無線通信端末装置において、
前記無線通信端末装置に、アプリケーションと前記複数の無線通信手段に対応して設定された複数のネットワークとを切り替えて接続するソケット機能部を設け、
前記ソケット機能部を用いて前記無線通信端末装置が前記情報処理装置と通信を行う際に使用する複数の無線通信手段を切り替えることを特徴とする無線通信端末装置。
【請求項2】
前記ソケット機能部は、前記複数のネットワークに対応して複数設けられ、前記複数のソケット機能部を切り替えることにより、前記無線通信端末装置が前記情報処理装置と通信を行う際に使用する複数の無線通信手段を選択することを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末装置。
【請求項3】
前記ソケット機能部は、前記複数のネットワークに同時に接続可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信端末装置。
【請求項4】
前記ソケット機能部は、アプリケーションと前記複数の無線通信手段に対応して設定された複数のネットワークとを選択的に接続し、前記アプリケーションからの指示により、前記無線通信端末装置が前記他の機器と通信を行う際に使用する無線通信手段を決定することを特徴とする請求項2に記載の無線通信端末装置。
【請求項5】
前記ソケット機能部は、前記無線通信端末装置のプロトコルスタックに設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の無線通信端末装置。
【請求項6】
前記複数の無線通信手段は、OFDM、OFDMA、FDM、FDMA、CDM、CDMA、TDM、TDMA、SS等のいずれかを用いたものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の無線通信端末装置。
【請求項7】
前記無線通信端末装置において、前記複数の無線通信手段に一対一で対応した複数の識別子を具備し、前記情報処理装置と通信を行う際に、前記複数の無線通信手段に対応した複数の識別子を用いて通信を確立し、前記情報処理装置と前記無線通信端末装置との間で各々の識別子を用いて確立した経路でデータの送受信を行った後、同一のアプリケーションで当該データを処理することを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末装置。
【請求項8】
前記ソケット機能部は、無線通信端末装置の記憶装置にインストールされたアプリケーションのプログラムからなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の無線通信端末装置。
【請求項9】
前記無線通信端末装置のプロトコルスタックは、アプリケーション層と、トランスポート層と、ネットワーク層と、データリンク層と、物理層とを備え、前記ソケット機能部は、トランスポート層を介して、アプリケーション層と複数のネットワーク層とを接続するように、複数設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の無線通信端末装置。
【請求項10】
種類の異なる複数の無線通信システムにおいて、無線通信端末装置が前記種類の異なる複数の無線通信システムを介して情報処理装置と通信を行う通信ネットワークにおいて、
前記無線通信端末装置は、アプリケーションと前記複数の無線通信手段に対応して設定された複数のネットワークを切り替え可能に接続するソケット機能部を備え、
前記ソケット機能部を用いて前記無線通信端末装置が前記情報処理装置と通信を行う際に使用する複数の無線通信手段を切り替え、
前記情報処理装置は、任意の無線通信端末装置と通話中に、同一の無線通信端末装置から種類の異なる無線通信システムを介して新たな接続要求があったときに、当該新たな接続要求を並行して受信可能とする並行受信機能部を備えたことを特徴とする通信ネットワーク。
【請求項11】
前記情報処理装置は、同一の無線通信端末装置から種類の異なる無線通信システムを介して新たな接続要求があったときに、当該新たな接続要求を並行して受信可能とする際に、前記無線通信端末装置に一意の識別子及び識別番号を付与することを特徴とする請求項10に記載の通信ネットワーク。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【公開番号】特開2009−38653(P2009−38653A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−202094(P2007−202094)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2007年2月2日 国立大学法人 東北大学主催の「平成19年3月修了予定者博士論文本番審査」に文書をもって発表
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(307022424)ソフトバンクテレコム株式会社 (42)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(591074736)宮城県 (60)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2007年2月2日 国立大学法人 東北大学主催の「平成19年3月修了予定者博士論文本番審査」に文書をもって発表
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(307022424)ソフトバンクテレコム株式会社 (42)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(591074736)宮城県 (60)
【Fターム(参考)】
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