説明

無電解めっき用材料、積層体及びプリント配線板

【課題】 プリント配線板の製造等に好適に用いることができる無電解めっき用材料であり、該材料表面の表面粗度が小さい場合にも、該表面に形成した無電解めっき皮膜との接着性に優れためっき用材料とそれを用いてなるプリント配線板を提供する。
【解決手段】 無電解めっきを施すための表面aを少なくとも有する無電解めっき用材料であって、且つ該表面aの表面粗さが、カットオフ値0.002mmで測定した算術平均粗さRaで0.4μm以下であり、且つ(A)樹脂組成物成分及び(B)フィラー成分を必須成分として含有し、且つ20℃での弾性率が2.3GPa以上15GPa以下であることを特徴とする無電解めっき用材料によって上記課題を解決しうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無電解めっきを施す際に好適に使用することができる無電解めっき用材料であり、特にはプリント配線板用の製造等に好適に用いることができる無電解めっき用材料とそれを用いてなるプリント配線板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギーを用いずに、金属塩の水溶液中に還元剤を入れておき、その分解による還元作用で金属を基材上に析出せしめる無電解めっきは、各種プラスチック、ガラス、セラミック、木材などの絶縁性材料表面の機能化のために広く適用されている技術である。例えば、ABS樹脂やポリプロピレン樹脂に無電解めっきを施し、自動車のグリルやマーク類、家電製品のツマミ類などの部品とする装飾めっきや、プリント配線板のスルーホールめっきのような機能めっきを挙げることができる。
【0003】
しかし、無電解めっきは上記各種材料表面との接着性が低い場合が多い。特に、上述したプリント配線板の製造に適用した場合、無電解めっき皮膜と絶縁材料との接着性は低いというのが課題であった。特に、絶縁材料に直接金属層を形成する方法として、無電解めっき皮膜を形成する方法を用いた場合、表面粗度が小さい平滑な表面を有する絶縁材料に対して、無電解めっきを強固に接着するのは非常に困難であった。これは、無電解めっきが、主にパラジウム等の触媒を介して堆積するように形成されるためであると考えられるからである。
【0004】
これまで知られているプリント配線板に用いられる絶縁シートは、様々な手法で表面を粗化させ、いわゆるアンカー効果によって無電解めっき皮膜との接着性を得ていた(例えば特許文献1参照。)。表面粗化させる手法の一つとして、無電解めっきの前処理液で溶解する、或いは残存するようなフィラーを混合し、無電解めっき皮膜が形成される前に表面粗化する手法がある(例えば、特許文献4、5参照。)。例えば電子材料用途に用いるめっき用材料の場合は、フィラーを混合することで低熱膨張性も得られるというメリットもあるため、有効な手法である。
【0005】
しかし、このようなアンカー効果による接着性向上手法によると、表面はある程度粗化させる必要があるが、微細配線形成には限界があった。というのも、例えばラインアンドスペースが10um/10um以下であるような微細な配線を形成する場合、表面粗度が大きいと表面の凹凸の影響を強く受けるため、微細配線を設計通りに良好に形成することが困難であったからである。
【0006】
このような課題に対して、我々はこれまでに、特定構造のポリイミド樹脂を用いためっき用材料では表面平滑にもかかわらず無電解めっき皮膜との接着性が良好であることを開示している(例えば、特許文献2、3参照。)。これは、弾性率がある程度低いことにより無電解めっき皮膜の応力を緩和することを利用して、アンカー効果を利用せずとも無電解めっき皮膜が膨れることなく強固に密着せしめている技術である。
【特許文献1】特開2000−198907号公報
【特許文献2】特開2006−183132号公報
【特許文献3】特開2006―138014号公報
【特許文献4】特開昭64−47095号公報
【特許文献5】特開2001−94261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の技術は、平滑な表面でも無電解めっき皮膜との接着性が良好であるために、微細配線形成に非常に有利な技術である。しかしながら、めっき工程において、全ての薬液で対応可能というわけではないということが、判明してきた。すなわち、表面平滑なめっき用材料では、めっき薬液の浴負荷や、めっき薬液の建浴状態等による影響を受ける可能性があった。例えば、めっき薬液を建浴し、ある一定期間使用して老化した液を用いて該めっき用材料に無電解めっき皮膜を形成すると、無電解めっき皮膜が膨れる可能性があった。
【0008】
一方、上述のアンカー効果による接着性向上手法では、めっき薬液の建浴状態等による影響を受けない可能性もあるが、上述したこれらの特許では使用するフィラーの粒径が大きく、微細配線形成には限界があった。また、例えば無機フィラーを樹脂に混合すると、弾性率が高くなるが、この場合、樹脂組成物としては無電解めっき皮膜の応力を緩和しにくく、無電解めっき皮膜の膨れを生じやすい状態になるため、結局、この手法でもめっき工程において、全ての薬液で対応可能というわけではない可能性もある。従って、微細配線形成性を疎外しない程に微細に粗化させるという点からアンカー効果はそれ程期待できないこと、且つ、樹脂組成物としては弾性率が高くなるため無電解めっき皮膜の応力を緩和しにくいこと、からフィラーを樹脂に混合する樹脂組成物系で、老化しためっき薬液、等のあらゆる状態のめっき薬液を用いても無電解めっき皮膜が膨れることなく強固に密着せしめることは非常に困難であった。
【0009】
このように、背景技術で説明したように、表面粗度が小さいにも関わらず、老化しためっき薬液、等のあらゆる状態のめっき薬液を用いても無電解めっき皮膜が膨れることなく強固に密着せしめる無電解めっき用材料は未だ見出されていない。
【0010】
従って、本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、無電解めっきを施す各種材料表面に形成することにより、無電解めっきと各種材料間との接着性を向上させ、且つ無電解めっきや耐熱性試験後の膨れを生じさせない無電解めっき用材料を提供することにあり、各種プラスチック、ガラス、セラミック、木材などへの機能めっき、自動車のグリルやマーク類、家電製品のツマミ類などの部品への装飾めっき、特には各種プリント配線板の製造等に好適に用いることができ、さらには微細配線形成が要求されるフレキシブルプリント配線板、リジッドプリント配線板、多層フレキシブルプリント配線板、多層リジッド配線板やビルドアップ配線板等のプリント配線板用の製造等に好適に用いることができる無電解めっき用材料とそれを用いてなるプリント配線板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、従来技術では、アンカー効果にあまり期待できないと思われていた、微細配線形成を阻害しない程度の表面粗度を生じさせるフィラーを使用し、且つ弾性率を特定範囲とすることで、老化しためっき薬液、等の様々な状態のめっき薬液を用いても無電解めっき皮膜が膨れることなく強固に密着させることが可能であると考え、下記のめっき用材料により、上記課題が解決しうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、無電解めっきを施すための表面aを少なくとも有する無電解めっき用材料であって、且つ該表面aの表面粗さが、カットオフ値0.002mmで測定した算術平均粗さRaで0.4μm以下であり、且つ(A)樹脂組成物成分及び(B)フィラー成分を必須成分として含有し、且つ20℃での弾性率が2.3GPa以上15GPa以下であることを特徴とする無電解めっき用材料に関する。
【0013】
(B)フィラーの比表面積が、20m2/g以上600m2/g以下であることが好ましく、(B)フィラー成分が、全固形分中、5重量%〜90重量%含有していることが好ましい。(B)フィラー成分が、無機フィラーを含有することが好ましく、微粉状シリカ、フュームドシリカ、から選ばれた少なくとも1種を含有することが好ましく、フュームドシリカを含有することがさらに好ましい。
【0014】
(A)樹脂組成物成分が、一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有する樹脂を含有する樹脂組成物成分であることが好ましい。
【0015】
【化5】

(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、C2Xで表される2価のアルキレン基、または2価の芳香族基を表す。また、Rは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、アルキル基、フェニル基、アルコキシ基、またはフェノキシ基を表し、Rは、C2Xで表される2価のアルキレン基、または2価のフェニレン基を表す。さらに、n=3〜100であり、mは1〜200の整数である。)
(A)樹脂組成物成分が、一般式(6)の構造を有する樹脂を含有する樹脂組成物成分であることがさらに好ましい。また、(A)樹脂組成物成分が、一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリイミド樹脂、若しくは一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリアミドイミド樹脂のいずれかを少なくとも含有する樹脂組成物成分であることが好ましい。さらに(A)樹脂組成物成分が、一般式(6)の構造を有するポリイミド樹脂を含有する樹脂組成物成分であることが好ましい。
【0016】
また、本発明は、前記無電解めっき用材料に無電解めっき皮膜が形成されていることを特徴とする積層体に関する。前記無電解めっき皮膜が、無電解銅めっき皮膜であることが好ましい。
【0017】
さらに本発明は、前記無電解めっき用材料、または前記積層体を用いてなるプリント配線板に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、無電解めっきを施すための表面aを有し、且つ表面aに(A)樹脂組成物、(B)フィラー成分を必須成分として含有し、且つ弾性率を特定の範囲にコントロールすることにより、微細配線形成を阻害しない非常に微細な表面粗度にもかかわらず、老化しためっき薬液、等のあらゆる状態のめっき薬液を用いても無電解めっき皮膜が膨れることなく強固に接着せしめることが可能である。また本発明のめっき用材料は、他の各種材料との接着性にも優れる。よって、無電解めっきを施したい材料表面に、まず本発明の無電解めっき用材料を形成し、その後無電解めっきを施せば、本発明の無電解めっき用材料と無電解めっきとが強固に接着するという利点を有する。
【0019】
また、本発明のめっき用材料は(B)フィラー成分を含有することにより耐熱性に優れ、且つ低熱膨張性も示すものとなるため、各種プリント配線板の製造に好適に用いることができ、さらには微細配線形成が要求されるフレキシブルプリント配線板、リジッドプリント配線板やビルドアップ配線板等のプリント配線板用の製造等に好適に用いることができるという効果も奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施の一形態について以下に詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではない。
【0021】
<本発明の無電解めっき用材料の構成>
本発明の無電解めっき用材料は、無電解めっきを施すための表面aを少なくとも有する無電解めっき用材料であって、且つ該表面aの表面粗さが、カットオフ値0.002mmで測定した算術平均粗さRaで0.4μm以下であり、且つ(A)樹脂組成物成分、(B)フィラー成分を必須成分として含有し、且つ20℃での弾性率が2.3GPa以上15GPa以下であることを特徴とする無電解めっき用材料である。
【0022】
(表面a)
本発明にかかる表面aについて説明する。表面aは、厚さが10Å以上を有する表面のことをいう。また、例えば、表面aを有する本発明のめっき材料がシート状である場合、該シートの両面とも表面aという。
本発明にかかる表面aは、カットオフ値0.002mmで測定した算術平均粗さRaで0.3μm以下である。この条件を満たす場合、特に本発明のめっき用材料をプリント配線板用途で使用する際には、良好な微細配線形成性を有する。算術平均粗さRaとは、JIS B 0601(平成6年2月1日改正版)に定義されている。特に本発明の算術平均粗さRaの数値は、光干渉式の表面構造解析装置で表面を観察により求められた数値を示す。本発明のカットオフ値とは、上記JIS B 0601に記載されているが、断面曲線(実測データ)から粗さ曲線を得る際に設定する波長を示す。即ち、カットオフ値が0.002mmで測定した値Raとは、実測データから0.002mmよりも長い波長を有する凹凸を除去した粗さ曲線から算出された算術平均粗さである。本発明の表面aの表面粗度は、無電解めっき皮膜との密着性と、微細配線形成性との両立という相反する特性のバランスを考慮して、カットオフ値0.002mmで測定した算術平均粗さRaで0.005μm〜0.4μmの範囲にあることが好ましく、0.01μm〜0.3μmの範囲にあることが特に好ましい。
【0023】
(弾性率)
本発明にかかる弾性率について説明する。
本発明にかかる無電解めっき用材料の弾性率は、次のようにして確認する。すなわち、表面aを有する無電解めっき用材料の25μm厚の単層シートを作製し、該シートを用いて弾性率を測定する。具体的には、本発明の無電解めっき用材料を形成するための樹脂溶液を調整し、圧延銅箔(BHY―22B―T、ジャパンエナジー社製)のシャイン面に乾燥後の厚みが25μmとなるように流延塗布し、乾燥させ、充分に揮発分を除去してシートを得る。塩酸/塩化第二鉄系エッチャントにて圧延銅箔をエッチングにて除去し、60℃/30分乾燥させて、表面aを有する25μm厚みの単層シートを得る。該シートを、下記条件にて弾性率測定を実施することで、20℃での弾性率を求めることができる。
測定装置:DMS6100(SIIナノテクノロジー(株)製)
温度範囲:10℃〜300℃
昇温速度:3℃/分
シートの測定方向:配向角から45度の方向で測定
本発明の無電解めっき用材料の弾性率は、(B)フィラー成分の比表面積や、混合量、種類、また、(A)樹脂組成物の混合量、種類、等によりコントロールすることが可能であるが、特には、(B)フィラー成分の比表面積と、混合量によりコントロールすることが容易であり、好ましい。尚、(B)フィラー成分の比表面積が大きく、混合量が多いほど、弾性率が高くなる傾向にある。
【0024】
ここで本発明の無電解めっき用材料の弾性率が15GPaよりも高くなると、無電解めっき皮膜との接着性が低下し、無電解めっき皮膜が膨れやすくなる。これは、無電解めっき用材料が固く、粘り強さに欠け、無電解めっき皮膜の応力を緩和できなくなるためである。
【0025】
また無電解めっき用材料の弾性率が2.3GPaよりも低くなるということは、(B)フィラー成分の比表面積が小さく、混合量が少ない場合であるので、このときは粗化表面を十分に形成できないため、無電解めっき皮膜が膨れやすくなる。
【0026】
本発明にかかる無電解めっき用材料は、表面aを有しさえすればいかなる構成からなる材料、形態であっても構わない。例えば、本発明の無電解めっき用材料をプリント配線板用に用いる場合には、表面aを有するフィルム状材料であっても良いし、表面aと、形成された回路と対向させるための層(以下、接着層と呼ぶ)とから構成される材料であっても良いし、表面a/高分子フィルム/接着層とから構成される材料であっても良い。また、表面a/高分子フィルムとから構成される材料であっても良いし、表面a/高分子フィルム/表面aとから構成される材料であっても良い。
【0027】
本発明の無電解めっき用材料は、少なくとも無電解めっきを施すための表面aを有していればよいが、無電解めっきを施したい材料表面に、まず本発明の無電解めっき用材料を形成し、その後無電解めっきを施す方法が好ましく用いられる。これにより、本発明の無電解めっき用材料が層間接着剤の役割を果たすことにより、無電解めっきと材料間とが強固に接着するという利点を生かし、各種装飾めっき用途や、機能めっき用途に適用することが可能である。その中でも、無電解めっき液を選ばず、無電解めっき皮膜を強固に形成できるという利点を生かし、プリント配線板用の無電解めっき用材料として好適に用いることができる。
【0028】
((A)樹脂組成物成分)
本発明にかかる(A)樹脂組成物成分について説明する。
【0029】
本発明にかかる(A)樹脂組成物成分としては特に限定はないが、無電解めっき皮膜との密着性の観点から、一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有する樹脂を含有する樹脂組成物であることが好ましい。
【0030】
【化6】

(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、C2Xで表される2価のアルキレン基、または2価の芳香族基を表す。また、Rは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、アルキル基、フェニル基、アルコキシ基、またはフェノキシ基を表し、Rは、C2Xで表される2価のアルキレン基、または2価のフェニレン基を表す。さらに、n=3〜100であり、mは1〜200の整数である。)
また、無電解めっき皮膜との密着性のみならず、耐熱性等の特性バランスを考慮すると、一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリイミド樹脂若しくはポリアミドイミド樹脂のいずれかを少なくとも含有する樹脂組成物であることがさらに好ましい。以下に、ポリイミド樹脂とポリアミドイミド樹脂について説明する。
【0031】
(ポリイミド樹脂)
まず、一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリイミド樹脂について説明する。
【0032】
本発明の上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリイミド樹脂は、上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有していれば、いかなるポリイミド樹脂を用いても良い。例えば、上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有する酸二無水物成分あるいは上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するジアミン成分を用いて、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸を製造し、これをイミド化してポリイミド樹脂を製造する方法、官能基を有する酸二無水物成分あるいは官能基を有するジアミン成分を用いて官能基を有するポリアミド酸を製造し、この官能基と反応しうる官能基、及び上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有する化合物を反応させて、(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造が導入されたポリアミド酸を製造し、これをイミド化してポリイミド樹脂を製造する方法、官能基を有する酸二無水物成分あるいは官能基を有するジアミン成分を用いて官能基を有するポリアミド酸を製造し、これをイミド化して官能基を有するポリイミドを製造し、この官能基と反応しうる官能基、及び上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有する化合物を反応させて、(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造が導入されたポリイミド樹脂を製造する方法、などが挙げられる。ここで、上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するジアミンは比較的容易に入手することが可能であるため、上記の中でも、酸二無水物成分と、上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するジアミン成分とを反応させて目的とするポリイミド樹脂を製造することが好ましい。
次に、本発明のポリイミド樹脂として、酸二無水物成分と、上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するジアミン成分とを用いた場合の製造例について説明する。
【0033】
酸二無水物成分としては特に限定はなく、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンジフタル酸無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’−オキシジフタル酸無水物、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)、4,4’−ハイドロキノンビス(無水フタル酸)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、1,2−エチレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)等を挙げることができる。これらは1種のみで用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
【0034】
続いて、ジアミン成分について説明する。本発明においては、ジアミン成分として、下記一般式(1)〜(6)で表される構造のうち、1つ以上の構造を有するジアミン成分を含むことが好ましい。
【0035】
【化7】

(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、C2Xで表される2価のアルキレン基、または2価の芳香族基を表す。また、Rは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、アルキル基、フェニル基、アルコキシ基、またはフェノキシ基を表し、Rは、C2Xで表される2価のアルキレン基、または2価のフェニレン基を表す。さらに、n=3〜100であり、mは1〜200の整数である。)
上記一般式(1)で表される構造を有するジアミンとしては、ヘキサメチレンジアミンや、オクタメチレンジアミンなどを例示することができる。上記一般式(2)で表される構造を有するジアミンとしては、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン等を挙げることができる。上記一般式(3)で表される構造を有するジアミンとしては、エラスマー1000P、エラスマー650P、エラスマー250P(イハラケミカル工業(株)製)が挙げられる。また、上記一般式(4)で表される構造を有するジアミンとしては、ポリエーテルポリアミン類、ポリオキシアルキレンポリアミン類を挙げる事ができ、ジェファーミンD−2000、ジェファーミンD−4000(ハンツマン・コーポレーション社製)等を例示することができる。さらに、上記一般式(6)で表される構造を有するジアミンとしては、1,1,3,3,−テトラメチル−1,3−ビス(4−アミノフェニル)ジシロキサン、1,1,3,3,−テトラフェノキシ−1,3−ビス(4−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(4−アミノフェニル)トリシロキサン、1,1,3,3,−テトラフェニル−1,3−ビス(2−アミノフェニル)ジシロキサン、1,1,3,3,−テトラフェニル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,5,5,−テトラフェニル−3,3−ジメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,5,5,−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(3−アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5,−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(3−アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,3,3,−テトラメチル−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3,−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,3,3,−テトラメチル−1,3−ビス(4−アミノブチル)ジシロキサン、1,3−ジメチル−1,3−ジメトキシ−1,3−ビス(4−アミノブチル)ジシロキサン、1,1,5,5,−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(2−アミノエチル)トリシロキサン、1,1,5,5,−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(4−アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5,−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(5−アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサエチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサプロピル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、等が挙げられる。また、一般式(6)で表される構造を有する、比較的入手しやすいジアミンとして、信越化学工業株式会社製のKF−8010、X−22−161A、X−22−161B、X−22−1660B−3、KF−8008、KF−8012、X−22−9362、等を挙げることができる。上記一般式(1)〜(6)で表される構造を有するジアミンは単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。
【0036】
表面aの耐熱性向上等を目的として、上記一般式(1)〜(6)で表される構造のうち、1つ以上の構造を有するジアミンと他のジアミンとを組み合わせて使用することも好ましく用いられる。他のジアミン成分としては、あらゆるジアミンを使用することが可能であり、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルホキシド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェニキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルなどを挙げることができる。
【0037】
ここで、原料の入手の容易さや無電解めっき皮膜との密着といった観点から、上記一般式(1)〜(6)で表される構造のうち、1つ以上の構造を有するジアミンの中でも、下記一般式(6)で表される構造を有するジアミンが含まれることが好ましい。
【0038】
【化8】

(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、C2Xで表される2価のアルキレン基、または2価の芳香族基を表す。また、Rは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、アルキル基、フェニル基、アルコキシ基、またはフェノキシ基を表す。さらに、mは1〜200の整数である。)
上記一般式(1)〜(6)で表される構造のうち、1つ以上の構造を有するジアミンは、全ジアミン成分に対して2〜100モル%が好ましく、より好ましくは5〜100モル%である。上記一般式(1)〜(6)で表される構造のうち、1つ以上の構造を有するジアミンが、全ジアミン成分に対して2モル%より少ない場合、表面aと無電解めっき皮膜との接着強度が低くなる場合がある。
【0039】
前記ポリイミドは、対応する前駆体ポリアミド酸を脱水閉環して得られる。ポリアミド酸は、酸二無水物成分とジアミン成分とを実質的に等モル反応させて得られる。
【0040】
反応の代表的な手順として、1種以上のジアミン成分を有機極性溶剤に溶解または分散させ、そののち1種以上の酸二無水物成分を添加し、ポリアミド酸溶液を得る方法があげられる。各モノマーの添加順序はとくに限定されず、酸二無水物成分を有機極性溶媒に先に加えておき、ジアミン成分を添加し、ポリアミド酸重合体の溶液としてもよいし、ジアミン成分を有機極性溶媒中に先に適量加えて、つぎに過剰の酸二無水物成分を加え、過剰量に相当するジアミン成分を加えて、ポリアミド酸重合体の溶液としてもよい。このほかにも、当業者に公知のさまざまな添加方法がある。具体的には下記の方法が挙げられる。
【0041】
なお、ここでいう「溶解」とは、溶媒が溶質を完全に溶解する場合のほかに、溶質が溶媒中に均一に分散されて実質的に溶解しているのと同様の状態になる場合を含む。反応時間、反応温度は、とくに限定されない。
1)ジアミン成分を有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの酸二無水物成分を反応させて重合する方法。
2)酸二無水物成分とこれに対し過小モル量のジアミン成分とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において酸二無水物成分とジアミン成分が実質的に等モルとなるようにジアミン成分を用いて重合させる方法。
3)酸二無水物成分とこれに対し過剰モル量のジアミン成分とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここにジアミン成分を追加添加後、全工程において酸二無水物成分とジアミン成分が実質的に等モルとなるように酸二無水物成分を用いて重合する方法。
4)酸二無水物成分を有機極性溶媒中に溶解させた後、実質的に等モルとなるようにジアミン化合物成分を用いて重合させる方法。
5)実質的に等モルの酸二無水物成分とジアミン成分の混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
【0042】
ポリアミド酸の重合反応に用いられる有機極性溶媒としては、たとえば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどをあげることができる。さらに必要に応じて、これらの有機極性溶媒とキシレンあるいはトルエンなどの芳香族炭化水素とを組み合わせて用いることもできる。
【0043】
前記方法により得られたポリアミド酸溶液を、熱的または化学的方法により脱水閉環し、ポリイミドを得るが、ポリアミド酸溶液を熱処理して脱水する熱的方法、脱水剤を用いて脱水する化学的方法のいずれも用いることができる。また、減圧下で加熱してイミド化する方法も用いることができる。以下に各方法について説明する。
【0044】
熱的に脱水閉環する方法として、前記ポリアミド酸溶液を加熱処理によりイミド化反応を進行させると同時に、溶媒を蒸発させる方法を例示することができる。この方法により、固形のポリイミド樹脂を得ることができる。加熱の条件はとくに限定されないが、200℃以下の温度で1秒〜200分の時間の範囲で行なうことが好ましい。
【0045】
また、化学的に脱水閉環する方法として、前記ポリアミド酸溶液に化学量論以上の脱水剤と触媒を加えることにより、脱水反応を起こし、有機溶媒を蒸発させる方法を例示することができる。これにより、固形のポリイミド樹脂を得ることができる。脱水剤としては、たとえば、無水酢酸などの脂肪族酸無水物、無水安息香酸などの芳香族酸無水物などがあげられる。また、触媒としては、たとえば、トリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリンなどの芳香族第3級アミン類、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、イソキノリンなどの複素環式第3級アミン類などがあげられる。化学的に脱水閉環する際の条件は、100℃以下の温度が好ましく、有機溶媒の蒸発は、200℃以下の温度で約5分〜120分の時間の範囲で行なうことが好ましい。
【0046】
また、ポリイミド樹脂を得るための別の方法として、前記の熱的または化学的に脱水閉環する方法において、溶媒の蒸発を行なわない方法もある。具体的には、熱的イミド化処理または脱水剤による化学的イミド化処理を行なって得られるポリイミド溶液を貧溶媒中に投入して、ポリイミド樹脂を析出させ、未反応モノマーを取り除いて精製、乾燥させ、固形のポリイミド樹脂を得る方法である。貧溶媒としては、溶媒とは良好に混合するがポリイミドは溶解しにくい性質のものを選択する。例示すると、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ベンゼン、メチルセロソルブ、メチルエチルケトンなどがあげられるが、これらに限定されない。
【0047】
つぎに、減圧下で加熱してイミド化する方法であるが、このイミド化の方法によれば、イミド化によって生成する水を積極的に系外に除去できるので、ポリアミド酸の加水分解を抑えることが可能であり、高分子量のポリイミドが得られる。また、この方法によれば、原料の酸二無水物中に不純物として存在する片側または両側開環物が再閉環するので、より一層の分子量の向上効果が期待できる。
【0048】
減圧下で加熱イミド化する方法の加熱条件は、80〜400℃が好ましいが、イミド化が効率よく行なわれ、しかも水が効率よく除かれる100℃以上がより好ましく、さらに好ましくは120℃以上である。最高温度は目的とするポリイミドの熱分解温度以下が好ましく、通常のイミド化の完結温度、すなわち150〜350℃程度が通常適用される。
【0049】
減圧する圧力の条件は、小さいほうが好ましいが、具体的には、9×10〜1×10Pa、好ましくは8×10〜1×10Pa、より好ましくは7×10〜1×10Paである。
【0050】
以上、ポリイミド樹脂について説明したが、市販の上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリイミド樹脂も用いてもよい。本発明の無電解めっき用材料に用いることができる、比較的入手しやすい上記一般式(6)を含むポリイミド樹脂の例として、信越化学工業株式会社製のX−22−8917、X−22−8904、X−22−8951、X−22−8956、X−22−8984、X−22−8985、等を挙げることができる。尚、これらはポリイミド溶液である。
【0051】
(ポリアミドイミド樹脂)
次に、一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリアミドイミド樹脂について説明する。
【0052】
ポリアミドイミド樹脂の場合は、上述のポリイミド樹脂の場合において、酸二無水物ではなく、トリカルボン酸若しくはその反応性誘導体成分を用いることにより合成することができる。よって以下、トリカルボン酸若しくはその反応性誘導体成分について説明する。
【0053】
トリカルボン酸としては特に限定はなく、トリメリット酸、3,3,4´−ベンゾフェノントリカルボン酸、2,3,4´−ジフェニルトリカルボン酸、2,3,6−ピリジントリカルボン酸、3,4,4´−ベンズアニリドトリカルボン酸、1,4,5−ナフタリントリカルボン酸、2−メトキシ−3,4,4´−ジフェニルエーテルトリカルボン酸、2´−クロロベンズアニリド−3,4,4´−トリカルボン酸、等を挙げることができる。また、トリカルボン酸の反応性誘導体とは、前記トリカルボン酸の無水物、ハライド、エステル、アミド、アンモニウム塩等を意味する。これらの例としては、トリメリット酸無水物、トリメリット酸モノクロライド、1,4−ジカルボキシ−3−N,N−ジメチルカルバモイルベンゼン、1,4−ジカルボメトキシ−3−カルボキシベンゼン、1,4−ジカルボキシ−3−カルボフェノキシベンゼン、2,6−ジカルボキシ−3−カルボメトキシピリジン、1,6−ジカルボキシ−5−カルバモイルナフタリン、上記トリカルボン酸類とアンモニア、ジメチルアミン、トリエチルアミン等からなるアンモニウム塩、等が挙げられる。これらのうち、トリメリット酸無水物、トリメリット酸モノクロライドは、得られるポリアミドイミド樹脂の無電解めっき皮膜との接着性が良く、また入手が容易で廉価であるため好ましく用いることができる。
上記トリカルボン酸若しくはその反応性誘導体は1種のみで用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
ジアミン成分は、上述のポリイミド樹脂で記載したジアミン成分を用いればよい。
【0054】
本発明において、ポリアミドイミドの製造方法としては、イソシアネート法(たとえば,特公昭44−19274号公報)、酸クロライド法(たとえば特公昭42−15637号公報)、直接重縮合法(たとえば特公昭49−4077号公報)、溶融重縮合法(たとえば特公昭40−8910号公報)等既知の製造法により重縮合させて得ることができるが、コスト、原料調達が比較的容易なこと、容易に高分子量体が得られること、及び得られた重合体の有機溶媒への溶解性等を考慮すると、酸クロライド法と直接重縮合法が好ましく適用される。
【0055】
以下、酸クロライド法について次に説明する。
実質的に当量のジアミン成分と、トリカルボン酸無水物モノクロライドとを、非反応性極性有機溶媒中で−50℃〜100℃、好ましくは−20℃〜50℃で数分間から数日間反応させることにより,ポリアミドイミド前駆体を中間体として得る。このとき、無機酸受容剤を反応途中から加えてもよい。この無機酸受容剤としては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン、ピリジン等の第3級アミン、プロピレンオキサイド、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド等の1,2−エポキサイドなどである。また、非反応性有機溶媒としてはN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、クレゾール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテルなどであり、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチレングリコールジメチルエーテルが好ましく、ジエチレングリコールジメチルエーテル、N,N−ジメチルアセトアミドとN−メチル−2−ピロリドンが好ましい。次いで、このポリアミドイミド前駆体からポリアミドイミドを得るには,脱水環化法を用いればよい。脱水環化法としては,(1)一度,重合体を単離したのち熱により環化する方法,(2)溶液状態で熱により環化する方法,および(3)溶液状態で化学的脱水剤により環化する方法がある。
(1)については加熱温度が100〜400℃で加熱するのが好ましい。さらに詳しくは、得られた反応液を、反応溶媒に相溶性であって、樹脂に対して貧溶媒である溶剤の大過剰に注いで、樹脂を単離したのち、100〜400℃に加熱するか、得られた反応液を所望の厚さに流延したのち、溶媒を蒸発乾燥させ樹脂をファイル状に単離したのち100〜400℃に加熱することにより行なわれる。
(2)の方法においては80〜400℃、好ましくは100〜250℃に溶液を加熱することによつて行われる。この時、ベンゼン、トルエン、キシレンのような水と共沸する溶媒を併用するのが好ましい。
(3)の方法は化学的脱水剤の存在下0〜120℃、好ましくは10〜80℃で反応させる。化学的脱水剤としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸等の酸無水物等があり、この時、環化反応を促進する物質としてピリジン等を併用することが好ましい。化学的脱水剤はジアミンの総量に対して好ましくは90〜600モル%使用される。環化反応を促進する物質はジアミンの総量に対して好ましくは40〜300モル%使用される。
【0056】
次に、直接重縮合法について次に説明する。
実質的に当量の、一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するジアミンを含むジアミン成分と、トリカルボン酸若しくはその反応性誘導体(ただし酸ハライド誘導体は除く)とを、非反応性極性有機溶媒中で160〜350℃、好ましくは200〜270℃で反応させる。
脱水触媒としては、トリフエニルホスフアイト、トリシクロヘキシルホスフアイト、リン酸、トリフエニルホスフエート、五酸化リン等のリン化合物及びホウ酸、無水ホウ酸などがあげられる。非反応性有機溶媒としてはN−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチル−カプロラクタム、クレゾール、キシレノール、クロロフエノール等が例示できる。特にN−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
【0057】
以上のようにして得られた反応液を、メタノール等の低級アルコール、水等の上記有機溶剤と相溶性であって、樹脂に対して貧溶媒である溶剤の大過剰に注いで、沈殿物を得、これをろ別し、乾燥することによって、本発明に係るポリアミドイミド樹脂を回収することができる。
【0058】
((B)フィラー成分)
本発明において、フィラー成分は、無電解めっきを施す前の前処理、特にはデスミア処理時において表面aを、カットオフ値0.002mmで測定した算術平均粗さRaで0.4μm以下に粗化することを主な目的として用いられる。
本発明に用いることができるフィラー成分としては、特に限定はなく、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、微粉状シリカ、フュームドシリカ、合成シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉、等の無機フィラーや、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂などの有機フィラーを挙げることができる。
上記のように、表面aをカットオフ値0.002mmで測定した算術平均粗さRaで0.4μm以下に粗化するためには、用いるフィラー成分の比表面積は20g/m以上600g/m以下が好ましく、25g/m以上550g/m以下であることが特に好ましい。比表面積が20g/m未満の場合は、表面粗度が大きくなりすぎて微細配線形成性を損なう。また、600g/m以上であるとフィラーが凝集しやすくなり、表面粗度が大きくなりすぎて微細配線形成性を損なう。
また、本発明に用いるフィラーは、微細配線形成性を考慮すると平均粒径は0.3μm以下であることが好ましい。
無電解めっきの前処理で形成される粗化表面を、より均一に粗化するという目的を達成するためには、無機フィラーが好ましく用いられ、その中でも微粉状シリカ、フュームドシリカ、合成シリカ、等の無機フィラーがより好ましく用いられ、微粉状シリカ、フュームドシリカがさらに好ましく用いられ、フュームドシリカが特に好ましく用いられる。
【0059】
微粉状シリカとしては、具体的にはUFP(電気化学工業製、比表面積30〜80m/g)、などを挙げることが出来る。
【0060】
フュームドシリカとしては、アエロジル(デグサ製)の各種グレード(比表面積50〜380m/g)、等を挙げることが出来る。
弾性率を特定の範囲にコントロールする点、及び微細配線に好適でありながら、かつ、無電解めっきとの接着力が良い等の観点から、フュームドシリカは、本発明の好ましい態様の1つである。また、フュームドシリカは、優れた分散性を有するため、均一な粗化表面を得やすいという利点がある。
【0061】
また同様に、無電解めっきの前処理で形成される粗化表面を、より均一に粗化するという目的を達成するためには、フィラー成分が全固形分中、5〜90重量%含有していることが好ましく、7〜85重量%含有していることが特に好ましい。フィラー成分が全固形分中、5重量%未満の場合は、無電解めっきの前処理で形成される粗化表面が不均一となり、十分なアンカー効果が得られず、無電解めっき皮膜が膨れやすくなり、また、90重量%よりも多い場合は、フィラーが凝集しやすくなり、均一な微細粗化表面を得ることができなくなる。
【0062】
(B)フィラー成分は、(A)樹脂組成物との親和性を高める、といった目的や、フィラー成分の凝集を抑える若しくは凝集をコントロールする、といった目的で、表面処理されていても良い。このような表面処理の方法は特に限定されるものではないが、公知の表面処理剤を用いて公知の条件で処理すればよい。
上記表面処理剤として用いることのできる化合物としては、具体的には、例えば、シランカップリング剤やチタネート系カップリング剤等の各種カップリング剤、ステアリン酸等の脂肪酸、各種界面活性剤、各種樹脂酸、各種リン酸エステル等を用いることができる。
【0063】
以上、本発明の無電解めっき用材料に使用される(A)樹脂組成物成分と(B)フィラー成分について述べてきたが、本発明の無電解めっき用材料は、(A)樹脂組成物成分として、一般式(6)の構造を有するポリイミド樹脂を含有し、また、(B)フィラー成分として、比表面積が20m/g以上600m/g以下のフュームドシリカを、全固形分中、5重量%〜90重量%含有していることが、無電解めっき皮膜の膨れを抑え、且つ無電解めっき皮膜との接着性に優れ、且つ耐熱性に優れ、さらには、微細配線形成性にも優れるため好ましい。
【0064】
<無電解めっき>
本発明にかかる無電解めっきについて説明する。
本発明に係る無電解めっきとしては、無電解銅めっき、無電解ニッケルめっき、無電解金めっき、無電解銀めっき、無電解錫めっき、ダイレクトプレーティング等を挙げる事ができ本発明に使用可能であるが、工業的観点、耐マイグレーション性等の電気特性の観点より、無電解銅めっき、無電解ニッケルめっきが好ましく、特に好ましくは無電解銅めっきである。
本発明の無電解めっき用材料は、一般に市販されている無電解銅めっき薬液を適用可能である。また、多少使用した建浴老化後の無電解銅めっき薬液を用いた場合、一般的に無電解銅めっき皮膜が膨れやすくなるが、本発明の無電解銅めっき材料を用いれば、微細配線形成を阻害しない程度の表面粗度を生じさせるフィラーを使用し、且つ弾性率を特定範囲とすることで、無電解めっき皮膜の膨れを生じさせず、良好な密着を示す。
尚、薬液の老化の程度は、無電解銅めっき薬液の比重を調べることにより知ることができる。
形成する無電解めっき皮膜の厚みには特に制限はないが、生産性の観点から、0.1〜5μmが好ましく、0.2〜3μmがより好ましい。
【0065】
<積層体>
本発明にかかる積層体について説明する。本発明の積層体は、本発明の無電解めっき用材料/無電解めっき皮膜からなる構成の積層体のことをいう。無電解めっき皮膜は無電解めっき用材料の片面のみに形成されていても良いし、両面に形成されていても良い。
形成する無電解めっき皮膜の厚みには特に制限はないが、生産性の観点から、0.1〜5μmが好ましく、0.2〜3μmがより好ましい。
本発明の積層体には、無電解めっき皮膜の酸化劣化を防止する目的や、無電解めっき用材料の異物付着を防止する目的から、無電解めっき皮膜や無電解めっき用材料に保護シート等の材料が形成されていても良い。
【0066】
<本発明の無電解めっき用材料の形態と製造方法>
次に本発明の無電解めっき用材料の製造方法について説明する。
本発明の、無電解めっき用材料の形態の1つは、(A)樹脂組成物成分、(B)フィラー成分を必須成分として含有する溶液である。例えば、該溶液を製造し、浸漬、スプレーによるコーティング、スピンコート等の公知の方法により、内層配線板や高分子フィルム等の所望の材料上に塗布、乾燥せしめることで本発明の無電解めっき用材料を形成することができる。
本発明の無電解めっき用材料の別の形態は、シートである。例えば、上述の溶液を支持体上に流延塗布し、その後乾燥せしめることによりシート状の本発明の無電解めっき用材料を製造する。このシートを内層配線板や高分子フィルム等の所望の材料上に積層して使用することができる。
本発明の、めっき用材料の別の形態は、積層体である。これは、本発明の無電解めっき用材料/無電解めっき皮膜からなる構成材料である。例えば、上述のようにして得たシート状の無電解めっき用材料の片面若しくは両面に無電解めっきを施すことにより、積層体を得ることができる。
以上、本発明の無電解めっき用材料の形態と使用方法について例示したが、これに限定されるものではない。
【0067】
<プリント配線板>
本発明の無電解めっき用材料は、プリント配線板用途に好ましく用いる事ができる。ここで、本発明のシート状の無電解めっき用材料を用いたプリント配線板を製造する方法として、順に、支持体の付いたシート状の無電解めっき用材料、回路パターンが形成された内層基板を積層し、支持体を剥離することにより露出する表面aに対し無電解めっきを行い、回路パターン用の金属層を得る事が可能である。
【0068】
上記において内層基板にフレキシブルプリント配線板を用いた場合、多層フレキシブル配線板を製造する事になり、また、ガラス−エポキシ基材等を用いたプリント配線板を用いた場合、リジッド配線板やビルドアップ配線板を製造する事になる。また、多層プリント配線板には垂直方向の電気的接続の為にヴィアの形成が必要であるが、本発明のプリント配線板においては、レーザー、メカニカルドリル、パンチング等の公知の方法でヴィアを形成し、無電解めっき等の公知の方法で導電化することが可能であり、好ましく実施される。
【0069】
積層に際しては、熱プレス処理、真空プレス処理、ラミネート処理(熱ラミネート処理)、真空ラミネート処理、熱ロールラミネート処理、真空熱ロールラミネート処理等の熱圧着処理を行うことができる。中でも真空下での処理、すなわち真空プレス処理、真空ラミネート処理、真空熱ロールラミネート処理がより良好に回路間をボイド無く埋め込むことが可能であり、好ましく実施可能である。
【0070】
また、表面aと無電解めっき層との接着性を向上させる目的で、無電解めっき層を形成後に加熱処理を施すことも可能である。
【実施例】
【0071】
本発明について、実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。なお、本発明にかかる無電解めっき用材料の特性として、無電解めっき銅との接着性、耐リフロー性、表面粗さRa、弾性率は以下のように評価または算出した。
【0072】
(接着性評価)
支持体/無電解めっき用材料からなる構成材料を作製し、無電解めっき用材料と両面銅箔付きのガラスエポキシ基板(商品番号:CS−3665D、利昌工業(株)製;銅厚み18μm)とを両面に対向させ、1段目、温度90℃、真空引き30秒、大気開放、加圧時間30秒、及び2段目、温度110℃、圧力1MPa、加圧時間60秒なる条件にて真空ラミネートを行った後、支持体を引き剥がして、180℃で30分加熱して、(表面aを有する無電解めっき用材料)/ガラスエポキシ基板/(表面aを有する無電解めっき用材料)からなる積層体を得た。その後、露出する表面aに銅層の形成を行った。銅層の形成は、デスミアおよび無電解銅めっきを行なった後、無電解めっき銅上に厚さ18μmの電解めっき銅層を形成して行った。その後、180℃、30分の乾燥処理を行った後、JPCA−BU01−1998(社団法人日本プリント回路工業会発行)に従い、常態接着強度を測定した。尚、デスミアおよび無電解銅めっきは以下の表1〜2に記載のプロセスで実施した。
常態接着強度:温度25℃、湿度50%の雰囲気下、24時間放置した後に測定した接着強度。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

(耐リフロー性)
(表面aを有する無電解めっき用材料)/ガラスエポキシ基板/(表面aを有する無電解めっき用材料)からなる積層体を得て、露出する表面aに銅層を形成し、180℃、30分の乾燥処理を行うまでは接着性評価と同様にして積層体を作製し、該積層体を15mm、30mmの大きさに切断し、温度30℃、湿度70%の条件下に200時間放置して試験片とした。最高到達温度が260℃となるように設定した条件にて上記試験片をIRリフロー炉(商品名:FT―04、CIS社製)に投入し、半田耐熱性試験とした。尚、この試験は繰り返し3回行い、膨れのないものを○、膨れのあるものを×とした。
【0075】
(表面粗度Ra測定)
上記接着性測定項目のサンプル作製手順において、デスミア前後のサンプルを用い、表面aの表面粗度Raの測定を行った。測定は、光波干渉式表面粗さ計(ZYGO社製NewView5030システム)を用いて下記の条件で表面aの算術平均粗さを測定した。
【0076】
(測定条件)
対物レンズ:50倍ミラウ イメージズーム:2
FDA Res:Normal
解析条件:
Remove:Cylinder
Filter:High Pass
Filter Low Waven:0.002mm
(弾性率)
表面aを有する成分をシート状に成形して、20℃での弾性率を測定した。なお、測定用のシートは充分に乾燥し、揮発分が1%以下となっていることを確認した。揮発分の測定は、TGA(TGA−50、島津製作所製)測定装置を用いて、条件20℃/分、温度−Tg曲線の20〜200℃間の減量%を測定することにより定量した。
シートの具体的な作製方法は、まず、本発明の表面aを形成する樹脂溶液を調整し、該溶液を圧延銅箔(BHY―22B―T、ジャパンエナジー社製)のシャイン面に流延塗布し、60℃/5分、150℃/5分、180℃/60分、の加熱乾燥を熱風オーブンにて行った。その後、塩酸/塩化第二鉄系エッチャントにて圧延銅箔をエッチングにて除去し、60℃/30分乾燥させて、表面aからなる25μm厚みのシートを得た。該シートを、下記条件にて弾性率測定を実施することで、20℃での弾性率を求めた。
測定装置:DMS6100(SIIナノテクノロジー(株)製)
温度範囲:10℃〜300℃
昇温速度:3℃/分
シートの測定方向:配向角から45度の方向で測定
(ポリイミド樹脂の合成例1)
容量2000mlのガラス製フラスコに、信越化学工業株式会社製KF−8010を37g(0.045mol)と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル21g(0.105mol)と、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと呼ぶ)を投入し、撹拌しながら溶解させ、4,4´−(4,4´−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)78g(0.15mol)を添加、20℃で約1時間撹拌し、固形分濃度30%ポリアミド酸のDMF溶液を得た。上記ポリアミド酸溶液をフッ素系樹脂でコートしたバットにとり、真空オーブンで、200℃、120分、665Paで減圧加熱し、ポリイミド樹脂1を得た。
【0077】
尚、KF−8010の化学構造を下記に示す。
【0078】
【化9】

(式中、m=3〜12である。)。
【0079】
(ポリイミド樹脂の合成例2)
容量2000mlのガラス製フラスコに、信越化学工業株式会社製KF−8010を62g(0.075mol)と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル15g(0.075mol)と、DMFを投入し、撹拌しながら溶解させ、4,4´−(4,4´−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)78g(0.15mol)を添加、20℃で約1時間撹拌し、固形分濃度30%ポリアミド酸のDMF溶液を得た。上記ポリアミド酸溶液をフッ素系樹脂でコートしたバットにとり、真空オーブンで、200℃、120分、665Paで減圧加熱し、ポリイミド樹脂2を得た。
【0080】
(ポリアミドイミド樹脂の合成例1)
容量2000mlのガラス製フラスコに、2,2−ビスー(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン147.8g(0.36mol)、信越化学工業株式会社製KF−8010を33.2g(0.04mol)、プロピレンオキサイド34.8g(0.6mol)、N,N−ジメチルアセトアミド617gを計りとり、攪拌、溶解した。この溶液を0℃に冷却し、この温度でトリメリット酸モノクロライド84.2g(0.4mol)を添加した。室温で3時間攪拌後、無水酢酸200g、ピリジン50gを加え、60℃で24時間攪拌した。得られた溶液をメタノール中に投入して固形分を得た。得られた固形分を乾燥した後、再びN,N−ジメチルアセトアミドに溶解、これをメタノールに投入、得られた固形分を乾燥させる工程を3回繰り返して、ポリアミドイミド樹脂3を得た。
【0081】
(表面aを形成する溶液の調合例1)
ポリイミド樹脂1を10g、フィラー(アエロジルR972、デグサ社製;比表面積110m/g)を10g、ジオキソランとトルエンの混合溶媒(混合比=50重量%/50重量%)を180gとをボールミルにて混合し、表面aを形成する溶液(A)を得た。
【0082】
(表面aを形成する溶液の調合例2)
フィラー(アエロジル380、デグサ社製;比表面積380m/g)を用いた以外は調合例1と同様にして表面aを形成する溶液(B)を得た。
【0083】
(表面aを形成する溶液の調合例3)
フィラー(UFP、電気化学工業(株)製;比表面積80m/g)を用いた以外は調合例1と同様にして表面aを形成する溶液(C)を得た。
【0084】
(表面aを形成する溶液の調合例4)
フィラー(UFP、電気化学工業(株)製;比表面積30m/g)を用いた以外は調合例1と同様にして表面aを形成する溶液(D)を得た。
【0085】
(表面aを形成する溶液の調合例5)
フィラー((アエロジルR972、デグサ社製;比表面積110m/g)を1.1g用いた以外は調合例1と同様にして表面aを形成する溶液(E)を得た。
【0086】
(表面aを形成する溶液の調合例6)
フィラー((アエロジルR972、デグサ社製;比表面積110m/g)を23.3g用いた以外は調合例1と同様にして表面aを形成する溶液(F)を得た。
【0087】
(表面aを形成する溶液の調合例7)
ポリイミド樹脂2を10g用いた以外は調合例1と同様にして表面aを形成する溶液(G)を得た。
【0088】
(表面aを形成する溶液の調合例8)
ポリアミドイミド樹脂3を10g用いた以外は調合例1と同様にして表面aを形成する溶液(H)を得た。
【0089】
(表面aを形成する溶液の調合例9)
ポリイミド樹脂1を10g、フィラー(アエロジルR972、デグサ社製;比表面積110m/g)を10g、エポキシ樹脂(JER152、ジャパンエポキシレジン(株)製)0.54g、メラミン・クレゾール樹脂(PS−6492、群栄化学(株)製)0.32g、ジオキソランとトルエンの混合溶媒(混合比=50重量%/50重量%)を180gとをボールミルにて混合し、表面aを形成する溶液(I)を得た。
【0090】
(接着層溶液の調合例1)
容量2000mlのガラス製フラスコに、1,3−ビスー(3−アミノフェノキシ)ベンゼン87.7g(0.30mol)と、DMFを投入し、撹拌しながら溶解させ、4,4´−(4,4´−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)78g(0.15mol)を添加、20℃で約1時間撹拌し、固形分濃度30%ポリアミド酸のDMF溶液を得た。上記ポリアミド酸溶液をフッ素系樹脂でコートしたバットにとり、真空オーブンで、180℃、120分、665Paで減圧加熱し、ポリイミドオリゴマー4を得た。
ジオキソランを12g、イミドオリゴマー4を23g量りとり、60℃で加熱溶解した。トルエンを5.2g加えた後、撹拌しながら冷却し、エポキシ樹脂(JER152、ジャパンエポキシレジン(株)製)を15g加え、撹拌混合して、X液とした。
ジオキソランを18g、ポリイミド樹脂(ULTEM−1000−1000、GEプラスチック社製)を2g量りとり、60℃で撹拌しながら加熱溶解した。冷却した後、フィラー(SFP−130MCのフェニルアミノシラン処理品、電気化学工業(株)製)を6g投入し、さらにトルエンを7.7g投入して、ミル分散し、Y液とした。
X液5.52gとY液8.77gとを量りとり、撹拌混合した後、40μm径のフィルターを用いてろ過を実施し、接着層溶液(J)を得た。
【0091】
(非熱可塑ポリイミドフィルムの製造例1)
高分子フィルムとして、25μmの非熱可塑ポリイミドフィルムを作製して用いた。セパラブルフラスコ中でパラフェニレンジアミン(以下PDA)と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下ODA)各1当量をDMFに溶解し、その後p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)(以下TMHQ)1当量を加え30分間攪拌した。その後、ピロメリット酸二無水物(以下PMDA)0.9当量を加え30分間攪拌した。次いで粘度上昇に注意しながらPMDAのDMF溶液(濃度7%)を加え23℃での粘度が2000〜3000ポイズになるように調整し、ポリアミド酸重合体のDMF溶液を得た。なおDMFの使用量はジアミン成分およびテトラカルボン酸二無水物成分のモノマー仕込濃度が、18重量%となるようにした。また、重合は40℃で行った。上記ポリアミド酸溶液100gに対して、無水酢酸10gとイソキノリン10gを添加し均一に攪拌した後、脱泡を行い、ガラス板上に流延塗布し、約110℃に約5分間乾燥後、ポリアミド酸塗膜をガラス板より剥し、自己支持性を持つゲルフィルムを得た。該ゲルフィルムをフレームに固定して、その後約200℃で約1分間、約300℃で約1分間、約400℃で約1分間、約500℃で約1分間加熱し、脱水閉環乾燥し、厚み約25μmの非熱可塑ポリイミドフィルム(K)を得た。このフィルムの熱膨張係数は12ppmであった。また、得られた非熱可塑ポリイミドフィルムの表面粗度Raは0.01μmであった。
【0092】
(実施例1)
表3に示す表面aを形成する溶液を、支持体(商品名:ルミラーT−60、帝人(株)製;38μm)上に流延塗布した。その後、熱風オーブンにて60℃、150℃の温度で各5分加熱乾燥させ、(厚み25μmの表面aを有する無電解めっき用材料)/支持体からなる構成材料を得た。得られたシートを用いて、表3に示すデスミア、無電解めっきプロセスにて処理し、各種評価項目の評価手順に従い評価した。評価結果を表3に示す。
【0093】
(実施例2〜10)
表3に示す表面aを形成する溶液を用いて、実施例1と同様の手順で(表面aを有する無電解めっき用材料)/支持体からなる構成材料を得た。得られたシートを用いて、表3に示すデスミア、無電解めっきプロセスにて処理し、各種評価項目の評価手順に従い評価した。評価結果を表3に示す。
【0094】
(実施例11)
表面aを形成する溶液(A)を、25μmのポリイミドフィルム(K)に流延塗布した。その後、熱風オーブンにて60℃の温度で30秒加熱乾燥させ、(厚み2μmの表面aを有する無電解めっき用材料)/ポリイミドフィルム(K)を得た。
続いて形成した表面aと反対のポリイミドフィルム面に表面aを形成する溶液(A)を流延塗布し、熱風オーブンにて60℃の温度で30秒加熱乾燥させ、さらに180℃で30分加熱乾燥させ、(厚み2μmの表面aを有する無電解めっき用材料)/ポリイミドフィルム(K)/(厚み2μmの表面aを有する無電解めっき用材料)からなる構成材料を得た。該材料を用いて、露出する表面aに銅層の形成を行い、その後は各種評価項目の評価手順に従い評価した。評価結果を表3に示す。
【0095】
(実施例12)
表面aを形成する溶液(A)を支持体(商品名:ルミラーT−60、帝人(株)製;38μm)上に流延塗布した。その後、熱風オーブンにて60℃の温度で30秒加熱乾燥させ、(厚み2μmの表面aを有する無電解めっき用材料)/支持体構成材料を得た。さらに表面a上に、接着層を形成する溶液(J)を流延塗布した。その後、熱風オーブンにて60℃の温度で30秒加熱乾燥させ、50℃で34秒、70℃で34秒、90℃で34秒、100℃で34秒、の条件で加熱乾燥させ、40μmの接着層(J)/(厚み2μmの表面aを有する無電解めっき用材料)/支持体なる構成材料を得た。該構成材料と両面銅箔付きのガラスエポキシ基板(商品番号:CS−3665D、利昌工業(株)製;銅厚み18μm)とを両面に対向させ、1段目、温度90℃、真空引き30秒、大気開放、加圧時間30秒、及び2段目、温度110℃、圧力1MPa、加圧時間60秒なる条件にて真空ラミネートを行った後、支持体を引き剥がして、180℃で30分加熱して、(2μmの表面aを有する無電解めっき用材料)/接着層(J)/ガラスエポキシ基板/接着層(J)/(厚み2μmの表面aを有する無電解めっき用材料)からなる積層体を得た。その後、露出する表面aに銅層の形成を行い、その後は各種評価項目の評価手順に従い評価した。評価結果を表3に示す。
【0096】
また、無電解めっきまで施したサンプルの一部を用いて、微細配線形成性に関しても検討した。無電解めっきを施し、100℃/30分乾燥させた後、ドライフィルムレジスト形成、電解銅パターンめっき、レジスト剥離、クィックエッチングの各工程にて処理してライン アンド スペース=10μm/10μmの微細配線を形成した。微細配線は剥がれなく、また設計通りに良好に形成できた。
【0097】
(比較例1)
感光性プレポリマー(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とアクリル酸の当モル反応生成物にその水酸基1個当たり0.5モルのテトラヒドロフタル酸無水物を付加した樹脂固形分)を100部、2−メチル1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノープロパンー1−オンを10部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルを20部、ジシアンジアミドを1部、シリコーン系消泡剤を0.5部、球状多孔質シリカ(サンスフェアH−31、旭硝子(株)製;比表面積800m/g、平均粒径3μm)を20部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを15部、エポキシ樹脂を25部、を配合し、3本ロールを用いて混練して樹脂組成物を形成する溶液(L)を得た。この樹脂組成物をガラスエポキシ基板(商品番号:CS−3665D、利昌工業(株)製;銅厚み18μm)の両面に厚み40μmになるように塗布し、80℃、60分、さらに160℃で60分加熱乾燥させて、(厚み25μmの表面aを有する無電解めっき用材料)/支持体からなる構成材料を得た。この材料を用いて、表4に示すデスミア、無電解めっきプロセスにて処理し、各種評価項目の評価手順に従い評価した。評価結果を表4に示す。表4から分かるように、接着強度、耐リフロー性は良好であるが、表面粗度が大きい。
【0098】
さらに、無電解めっきまで施したサンプルの一部を用いて、微細配線形成性に関しても検討した。無電解めっきを施し、100℃/30分乾燥させた後、ドライフィルムレジスト形成、電解銅パターンめっき、レジスト剥離、クィックエッチングの各工程にて処理してライン アンド スペース=10μm/10μmの微細配線を形成した。微細配線は剥がれはなかったが、樹脂層の表面粗度が大きい影響で配線形状が歪になり、設計通りの配線形成ができなかった。
【0099】
(比較例2)
ポリイミド樹脂1を10g、フィラー(サンスフェアH−31、旭硝子(株)製;比表面積800m/g、平均粒径3μm)を10g、ジオキソランとトルエンの混合溶媒(混合比=50重量%/50重量%)を180gとをボールミルにて混合し、表面aを形成する溶液(M)を得た。概溶液を支持体(商品名:ルミラーT−60、帝人(株)製;38μm)上に流延塗布した。その後、熱風オーブンにて60℃、150℃の温度で各5分加熱乾燥させ、(厚み25μmの表面aを有する無電解めっき用材料)/支持体からなる構成材料を得た。得られた構成材料を用いて、表4に示すデスミア、無電解めっきプロセスにて処理し、各種評価項目の評価手順に従い評価した。評価結果を表4に示す。表4から分かるように、接着強度、耐リフロー性は良好であるが、表面粗度が大きい。
さらに、無電解めっきまで施したサンプルの一部を用いて、微細配線形成性に関しても検討した。無電解めっきを施し、100℃/30分乾燥させた後、ドライフィルムレジスト形成、電解銅パターンめっき、レジスト剥離、クィックエッチングの各工程にて処理してライン アンド スペース=10μm/10μmの微細配線を形成した。微細配線は剥がれはなかったが、樹脂層の表面粗度が大きい影響で配線形状が歪になり、設計通りの配線形成ができなかった。
【0100】
(比較例3)
ポリイミド樹脂1をジオキソランとトルエンの混合溶媒(混合比=50重量%/50重量%)に溶解させて表面aを形成する溶液(P)を得た。尚、固形分濃度は10%とした。溶液(P)を、支持体(商品名:ルミラーT−60、帝人(株)製;38μm)上に流延塗布した。その後、熱風オーブンにて60℃、150℃の温度で各5分加熱乾燥させ、(厚み25μmの表面aを有する無電解めっき用材料)/支持体からなる構成材料を得た。得られたシートを用いて、表4に示すデスミア、無電解めっきプロセスにて処理し、各種評価項目の評価手順に従い評価した。評価結果を表4に示す。
表4から分かるように、表面粗度は小さいが、無電解めっき後に膨れを生じたため、接着強度と耐リフロー性を評価できなかった。
【0101】
【表3】

【0102】
【表4】

なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明にかかる無電解めっき用材料は、各種材料との接着性のみならず、無電解めっき皮膜との接着性が高い。さらには、本発明の表面粗度が小さいにも関わらず、あらゆる状態の無電解めっき薬液においても無電解めっき皮膜の膨れが生じず、無電解めっき皮膜との接着性が高いことから、特にプリント配線板の製造等に好適に用いることができる。それゆえ、本発明は、樹脂組成物や接着剤等の素材加工産業や各種化学産業だけでなく、各種電子部品の産業分野に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無電解めっきを施すための表面aを少なくとも有する無電解めっき用材料であって、且つ該表面aの表面粗さが、カットオフ値0.002mmで測定した算術平均粗さRaで0.4μm以下であり、且つ(A)樹脂組成物成分及び(B)フィラー成分を必須成分として含有し、且つ20℃での弾性率が2.3GPa以上15GPa以下であることを特徴とする無電解めっき用材料。
【請求項2】
(B)フィラーの比表面積が、20m/g以上600m/g以下であることを特徴とする請求項1に記載の無電解めっき用材料。
【請求項3】
(B)フィラー成分が、全固形分中、5重量%〜90重量%含有していることを特徴とする請求項1または2に記載の無電解めっき用材料。
【請求項4】
(B)フィラー成分が、無機フィラーを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の無電解めっき用材料。
【請求項5】
(B)フィラー成分が、微粉状シリカ及びフュームドシリカからなる群から選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の無電解めっき用材料。
【請求項6】
(B)フィラー成分が、フュームドシリカを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の無電解めっき用材料。
【請求項7】
(A)樹脂組成物成分が、下記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有する樹脂を含有する樹脂組成物成分であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の無電解めっき用材料。
【化1】

(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、C2Xで表される2価のアルキレン基、または2価の芳香族基を表す。また、Rは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、アルキル基、フェニル基、アルコキシ基、またはフェノキシ基を表し、Rは、C2Xで表される2価のアルキレン基、または2価のフェニレン基を表す。さらに、n=3〜100であり、mは1〜200の整数である。)
【請求項8】
(A)樹脂組成物成分が、下記一般式(6)の構造を有する樹脂を含有する樹脂組成物成分であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の無電解めっき用材料。
【化2】

(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、C2Xで表される2価のアルキレン基、または2価の芳香族基を表す。また、Rは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、アルキル基、フェニル基、アルコキシ基、またはフェノキシ基を表す。さらに、mは1〜200の整数である。)
【請求項9】
(A)樹脂組成物成分が、下記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリイミド樹脂、若しくは下記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリアミドイミド樹脂のいずれかを少なくとも含有する樹脂組成物成分であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の無電解めっき用材料。
【化3】

(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、C2Xで表される2価のアルキレン基、または2価の芳香族基を表す。また、Rは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、アルキル基、フェニル基、アルコキシ基、またはフェノキシ基を表し、Rは、C2Xで表される2価のアルキレン基、または2価のフェニレン基を表す。さらに、n=3〜100であり、mは1〜200の整数である。)
【請求項10】
(A)樹脂組成物成分が、下記一般式(6)の構造を有するポリイミド樹脂を含有する樹脂組成物成分であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の無電解めっき用材料。
【化4】

(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、C2Xで表される2価のアルキレン基、または2価の芳香族基を表す。また、Rは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、アルキル基、フェニル基、アルコキシ基、またはフェノキシ基を表す。さらに、mは1〜200の整数である。)
【請求項11】
請求項1〜10に記載の無電解めっき用材料に無電解めっき皮膜が形成されていることを特徴とする積層体。
【請求項12】
前記無電解めっき皮膜が、無電解銅めっき皮膜であることを特徴とする請求項11に記載の積層体。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の無電解めっき用材料、または請求項11又は12に記載の積層体を用いてなるプリント配線板。

【公開番号】特開2008−208389(P2008−208389A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−43440(P2007−43440)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】