焦点検出装置および撮像装置
【課題】受光センサを大型化することなく焦点検出領域の数を増加させる。
【解決手段】焦点検出装置は、撮影光学系101を通った光束を用いて一対の物体像を形成する再結像光学系5〜10と、該一対の物体像を光電変換する光電変換部14a,14bを備えた受光センサ11とを有する。再結像光学系は、移動又は変形することで光束の光路を変化させる光学素子10を含む。該光学素子を、撮影範囲のうち第1の焦点検出領域からの光束を光電変換部に導く第1の状態と、第1の焦点検出領域とは異なる第2の焦点検出領域からの光束を上記光電変換部に導く第2の状態とに移動又は変形させる駆動手段30を有する。
【解決手段】焦点検出装置は、撮影光学系101を通った光束を用いて一対の物体像を形成する再結像光学系5〜10と、該一対の物体像を光電変換する光電変換部14a,14bを備えた受光センサ11とを有する。再結像光学系は、移動又は変形することで光束の光路を変化させる光学素子10を含む。該光学素子を、撮影範囲のうち第1の焦点検出領域からの光束を光電変換部に導く第1の状態と、第1の焦点検出領域とは異なる第2の焦点検出領域からの光束を上記光電変換部に導く第2の状態とに移動又は変形させる駆動手段30を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一眼レフカメラ等の撮像装置に用いられる焦点検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一眼レフカメラでは、撮影光学系を通った光束を用いて形成された一対の物体像を受光センサで光電変換して得られた一対の像信号の位相差に基づいて該撮影光学系の焦点状態を検出する、いわゆる位相差検出方式による焦点検出装置が用いられることが多い。そして、このような焦点検出装置においては焦点検出領域(焦点検出視野)の数が増加する傾向にあり、撮影範囲の周辺部にも焦点検出領域が配置され、該周辺部の被写体にもピントを合わせられるようになってきている。
例えば、特許文献1には、多数の焦点検出領域を千鳥状又は格子状に密に配置するために、受光センサ上にセンサ画素の位置が異なる3タイプのセンサ列を組み合わせて配置した焦点検出装置が開示されている。また、特許文献2には、一対の物体像を光電変換する受光センサ上において光電変換部(センサ領域)を移動させることが可能な焦点検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−014896号公報
【特許文献2】特許第3294636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらいずれの特許文献に開示された焦点検出装置でも、多数の焦点検出領域での焦点検出を行うことが可能である。しかしながら、特許文献1にて開示された焦点検出装置において、受光センサを大型化することなくさらに焦点検出領域を増加させる場合には、各センサ列を微細化してセンサ列の数を増加させる必要がある。この結果、受光センサに関する回路構成が複雑かつ大規模化する。しかも、センサ列を微細化することにより、製造プロセスの難易度が高くなる。また、1つのセンサ画素当りの面積が小さくなることによる低輝度性能の低下や、センサ列の長さが短くなることによる検出可能な位相差量の減少といったデメリットも生じる。
一方、特許文献2にて開示された焦点検出領域では、受光センサを大型化しないかぎりセンサ領域を移動させることができる範囲が決まっているため、受光センサを大型化することなく焦点検出領域を増加させることは難しい。
本発明は、受光センサを大型化しなくても焦点検出領域の数を増加させることが可能な焦点検出装置およびこれを備えた撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面としての焦点検出装置は、撮影光学系を通った光束を用いて一対の物体像を形成する再結像光学系と、該一対の物体像を光電変換する光電変換部を備えた受光センサとを有する。再結像光学系は、移動又は変形することで光束の光路を変化させる光学素子を含む。該光学素子を、撮影範囲のうち第1の焦点検出領域からの光束を光電変換部に導く第1の状態と、第1の焦点検出領域とは異なる第2の焦点検出領域からの光束を光電変換部に導く第2の状態とに移動又は変形させる駆動手段を有することを特徴とする。
なお、上記焦点検出装置と、光電変換部からの出力を用いて撮影光学系のフォーカス制御を行うフォーカス制御手段と、撮影光学系により形成された被写体像を撮像する撮像系とを有する撮像装置も本発明の他の一側面を構成する。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、再結像光学系に含まれる光学素子を第1の状態と第2の状態との間で移動又は変形させることで、第1の焦点検出領域からの光束と第2の焦点検出領域からの光束とを同一の光電変換部に導く。これにより、同一の光電変換部を用いて少なくとも2つの焦点検出領域での焦点検出を行うことが可能となる。したがって、本発明によれば、受光センサ上の光電変換部の数を増やしたり受光センサを大型化したりすることなく、焦点検出領域の数を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施例1であるカメラの概略構成を示す側面図。
【図2】上記カメラに設けられた焦点検出ユニットの絞りの正面図。
【図3】上記焦点検出ユニットの受光センサの正面図。
【図4】上記焦点検出ユニットによる焦点検出の原理を示す概略図。
【図5】上記カメラにおける焦点検出領域の配置示す図。
【図6】上記受光センサにおける光電変換部(ラインセンサ)の配置を示す正面図。
【図7】上記焦点検出ユニットの再結像光学系の構成を示す分解斜視図。
【図8】上記再結像光学系に含まれる反射鏡を駆動する圧電素子駆動部の概略構成を示す図。
【図9】上記反射鏡の回転位置と受光センサへの光束の入射位置とを示す斜視図。
【図10】実施例1における焦点検出領域でのセンサ出力を補正する処理を示すフローチャート。
【図11】実施例1のカメラにおけるAF制御を示すフローチャート。
【図12】本発明の実施例2である焦点検出ユニットにおける焦点検出領域の分割例を示す正面図。
【図13】実施例2にて用いられる反射鏡を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明の実施例1である一眼レフデジタルカメラ(撮像装置)の構成を示している。
101は交換レンズ内に設けられた撮影光学系であり、Oは撮影光学系101の光軸である。1はCMOSセンサやCCDセンサ等の光学変換素子により構成される撮像素子(イメージセンサ)と、該撮像素子1の前面に配置され、赤外線カットフィルタおよびローパスフィルタとして機能する光学フィルタとを含む撮像部である。
2は撮影光学系101の光軸O上に配置され、ハーフミラーにより構成される主ミラーである。主ミラー2は、後述するファインダ光学系を通して被写体像を観察する際には、撮影光学系101を通って撮像ユニット1に向かう光束の光路(撮影光路)内に斜めに配置される。また、主ミラー2は、撮影時には、撮影光路よりも上方に退避する。
102は焦点板である。焦点板102上には、撮影光学系101から入射して主ミラー2で反射した光束による被写体像が形成される。103はペンタプリズム、104は接眼レンズであり、焦点板102上に形成された被写体像を観察するためのファインダ光学系を構成する。
【0010】
3は主ミラー2の背後に配置され、主ミラー2を透過した光束を焦点検出ユニット(焦点検出装置)に導くサブミラーである。4はサブミラー3からの光束の一次結像面を示す。
【0011】
焦点検出ユニットは、以下を含む。5はサブミラー3から一次結像面を経て進んできた光束を再結像させる第1のフィールドレンズである。6は第1のフィールドレンズ5を通過した光束を反射する固定反射鏡であり、7は固定反射鏡6で反射した光束の赤外成分をカットする赤外カットフィルタである。
8は2つの開口8−1,8−2を有し、赤外カットフィルタ7を通過した光束を2つに分割する絞りである。9は絞り8の2つの開口8−1,8−2に対応して配置された2つのレンズ9−1,9−2を有する第2のフィールドレンズである。10は第2のフィールドレンズ9の2つのレンズ9−1,9−2を通過した2つの光束を反射する反射部材および光学素子としての可動反射鏡である。
11はそれぞれ複数のラインセンサ(光電変換部)を含む2つのエリアセンサを有する受光センサである。一次結像面4から受光センサ11まで光束を導く光学系(第1のフィールドレンズ5、固定反射鏡6、赤外カットフィルタ7、絞り8、第2のフィールドレンズ9および可動反射鏡10)を再結像光学系と称する。
サブミラー3は、焦点検出に必要な光反射領域のみにアルミニウムや銀等の金属膜が蒸着されていて、撮影範囲(撮影画角)のうち焦点検出を行う範囲を制限する視野マスクの働きを有する。固定反射鏡6および可動反射鏡10においても、受光センサ11上に入射する迷光を減少させるために、焦点検出に必要な光反射領域のみに金属膜が蒸着されている。各反射鏡における光反射領域以外の領域には、光吸収性の塗料が塗布されたり、遮光部材を近接して設けたりする等の反射防止処理が施されている。
図2には、絞り8を示している。絞り8には、横長の2つの開口8−1,8−2がそれらの開口幅が狭い方向(撮影範囲の上下方向)に並ぶように形成されている。図中には、点線で、開口8−1,8−2に対応して設けられた、第2のフィールドレンズ9のレンズ9−1,9−2を示している。
【0012】
図3には、受光センサ11を示している。受光センサ11上には、2つのエリアセンサ11A,11Bが撮影範囲の上下方向に並ぶように配置されている。図6に示すように、各エリアセンサ内(図にはエリアセンサ11Aを示す)には、撮影範囲の上下方向に延びる複数のラインセンサ14a,14bが2次元的に配置されている。各ラインセンサは、複数の光電変換用の画素が上下方向に並ぶことにより構成されている。
【0013】
受光センサ11は、マイクロコンピュータ12に接続されており、マイクロコンピュータ12によって電荷蓄積等の焦点検出に必要な動作が制御される。また、マイクロコンピュータ12は、受光センサ11からの出力を用いて焦点検出処理を行う焦点検出処理回路としても機能する。マイクロコンピュータ12は、CPUと、CPUで実行されるコンピュータプログラムおよび各種データを格納するROMと、CPUのワークエリアとして使用されたり各種データを格納したりするRAMを含み、制御手段や補正手段としても機能する。
次に、図4を用いて、本実施例の焦点検出ユニットで行う位相差検出方式による焦点検出の原理について説明する。図4には、図1に示した焦点検出ユニットの構成要素を一直線上に並べて示している。
被写体(物体)Xからの光束は、撮影光学系101を通って1次結像面4にて結像し、さらに上述した再結像光学系によって受光センサ11上にて再結像する。30は可動反射鏡10を移動(回動)させる駆動手段としての圧電アクチュエータである。
再結像光学系は、撮影光学系101の射出瞳を形成する光束を2つの光束OP1,OP2に分割し、該2つの光束OP1,OP2に一対の物体像であるA像とB像をそれぞれ、受光センサ11の2つのエリアセンサ11A,11B上に形成させる。これにより、撮影光学系101の焦点状態を、撮影範囲内の任意の1又は複数の焦点検出領域で検出可能となる。なお、図4中の光束OP1,OP2は、一次結像面4の中央位置にて結像する光束であるが、他の位置に結像する光束についても同様の経路を経て受光センサ11に到達する。
図5には、本実施例のカメラにおいて、撮影範囲(ファインダ観察視野)13内に設けられた複数の焦点検出領域13a,13bを示している。なお、13cで示す領域も焦点検出領域であるが、これについては後述する。
撮影範囲13内の複数の焦点検出領域13a,13bのうちある1つの焦点検出領域からの分割光束により形成されたA像とB像は、エリアセンサ11A,11Bに含まれる当該焦点検出領域に対応する一対のラインセンサに導かれる。そして、その一対のラインセンサによって光電変換され、一対の像信号が受光センサ11から出力される。そして、マイクロコンピュータ12は、該一対の像信号について相関演算を行い、これらの位相差を算出し、該位相差に基づいて撮影光学系101のデフォーカス量を算出する。
さらに、マイクロコンピュータ12は、該デフォーカス量に応じて合焦状態を得るためのフォーカスレンズ(撮影光学系101内に含まれる)の駆動量を算出する。そして、該駆動量の情報を交換レンズに送信する。交換レンズは、受信した駆動量だけフォーカスレンズを移動させるように、交換レンズ内に設けられた不図示のフォーカスアクチュエータを制御する。これにより、位相差検出方式での焦点検出とフォーカス制御とを含む位相差AFが行われる。
図5において、13cは第2の焦点検出領域に相当する焦点検出領域である。焦点検出領域13cは、焦点検出領域13a,13bからの各光束(各一対の分割光束)がエリアセンサ11A,11Bのラインセンサ14a,14bに導かれる状態から、可動反射鏡10を圧電アクチュエータ30によって移動(回動)させることで生成される。本実施例では、焦点検出領域13bが第1の焦点検出領域に相当する。
焦点検出領域13cからの一対の分割光束は、可動反射鏡10が回動する前において焦点検出領域13bからの一対の分割光束が導かれたラインセンサ14a,14bと同一のラインセンサに導かれる。これについては、より詳しく後述する。
本実施例では、使用者およびマイクロコンピュータ12は、焦点検出領域13a,13bと焦点検出領域13cの中から任意に、焦点検出およびフォーカス制御の対象となる領域を選択することができる。
図7には、再結像光学系のより具体的な構成例を示している。図1中に示した構成要素には、図1と同符号を付している。
21は固定反射鏡6を保持する第1保持枠である。20は赤外カットフィルタ7、絞り8、第2のフィールドレンズ9および可動反射鏡10を保持する第2保持枠である。22は受光センサ11を保持するセンサ保持枠である。
可動反射鏡10は、第2保持枠20によって回動可能に保持されている。第2保持枠20には、可動反射鏡10を回動させる圧電アクチュエータ30と、該圧電アクチュエータ30の軸方向の伸縮動作を可動反射鏡10の回動運動に変換する駆動レバー30aとが取り付けられている。
図8(a),(b)には、圧電アクチュエータ30と駆動レバー30aとにより構成される駆動機構によって可動反射鏡10が回動される様子を示している。圧電アクチュエータ30は、圧電セラミックスシートと電極層とが交互に積層された積層型圧電アクチュエータであり、電圧を印加することで圧電セラミックスシートと電極層の積層方向に微小量だけ伸縮する。圧電アクチュエータ30の微小変位は、回動する駆動レバー30aの先端に連結された連結部10aを介して可動反射鏡10に伝達され、これを回動させる。可動反射鏡10は、A像とB像の中心を結んだ線分を軸として回動する。
また、圧電アクチュエータ30の微小変位は、駆動レバー30aによって増幅されて可動反射鏡10を回動させる。これにより、可動反射鏡10を、焦点検出領域13a,13bからの各光束(分割光束)をラインセンサ14a,14bに導く第1の状態と、焦点検出領域13cからの光束をラインセンサ14bに導く第2の状態との間で確実に回動させることができる。
なお、可動反射鏡10の駆動方法はこれに限らず、モータ等の他のアクチュエータを用いた方法でもよい。
図9には、可動反射鏡10が第1の状態と第2の状態に回動したときに受光センサ11に導かれる光束を示している。10aは第1の状態での可動反射鏡10の位置(第1の位置)を示し、10bは第2の状態での可動反射鏡10の位置(第2の位置)を示す。
可動反射鏡10が第1の位置10aにあるとき、焦点検出領域13aからの光束は再結像光学系内で2つの光束13Aa,13Baに分割された後、可動反射鏡10で反射されてそれぞれエリアセンサ11A,11B内のラインセンサ14Aa,14Baに導かれる。また、焦点検出領域13bからの光束は、2つの光束13Ab,13Bbに分割された後、可動反射鏡10で反射されてそれぞれエリアセンサ11A,11B内のラインセンサ14Ab,14Bbに導かれる。このとき、焦点検出領域13cからの光束であって2つに分割された光束13Ac,13Bcは、エリアセンサ11A,11Bには導かれない。このため、焦点検出領域13cでは焦点検出を行うことはできない。
しかし、可動反射鏡10が第2の位置10bに回動すると、焦点検出領域13cからの光束13Ac,13Bcは、可動反射鏡10が第1の位置10にあるときに焦点検出領域13bに対応していたラインセンサと同一のラインセンサ14Ab,14Bbに導かれる。これにより、焦点検出領域13cでの焦点検出を行うことが可能となる。このことは、焦点検出領域13bが焦点検出領域13cの位置にシフトしたことと等価である。
このように、本実施例では、再結像光学系の可動反射鏡10を移動(回動)させることで、受光センサ11上のラインセンサ(光電変換部)の数を増やすことなく、選択可能な焦点検出領域の数を増やすことができる。すなわち、ラインセンサ14Aa,14Ba,14Ab,14Bbとは別にラインセンサを設けることなく、本実施例では、焦点検出領域13cを増やすことができる。
なお、本実施例では、可動反射鏡10を第1および第2の位置(第1および第2の状態)10a,10b間で移動させて互いに異なる焦点検出領域からの光束を同一のラインセンサに導く場合について説明した。これは2つの位置10a,10bにある可動反射鏡10から同一のラインセンサに導く光束の差を少なくし、反射鏡102の回転を高速に行うのに有効である。
ところで、本実施例では、可動反射鏡10が第1の状態にあるときは、焦点検出領域13aからの光束はエリアセンサ内でラインセンサに導かれるが、可動反射鏡10が第2の状態に回動すると、焦点検出領域13aからの光束はラインセンサに導かれない。このラインセンサに導かれない光束が隣り合うラインセンサの間に入射すると、その光束がこれらラインセンサでの出力に影響を及ぼす可能性がある。このため、ラインセンサの出力を補正することが必要となる。以下、ラインセンサの出力の補正方法について説明する。
複数のラインセンサ上での光量分布の不均一性や非対象性、シェーディング現象を考慮して、各ラインセンサ(センサ画素)の出力に補正値を加算して、得られる各ラインセンサの出力が均一となるようにする。補正値のデータは、ラインセンサ毎(センサ画素毎)に予めメモリに記憶しておけばよい。また、補正値は、可動反射鏡10が第1の状態にあるとき用の補正値と可動反射鏡10が第2の状態にあるとき用の補正値とをそれぞれ用意するのが好ましい。このような補正を行うことにより、どの焦点検出領域が選択された場合でもラインセンサ出力を利用した焦点検出を正確に行うことができ、合焦状態を得るまでの速度や合焦精度を高めることができる。
次に、図10のフローチャートを用いて、ラインセンサの出力の補正処理の具体例について説明する。可動反射鏡10が第1の状態にあるときに光束がラインセンサに導かれる焦点検出領域を「領域1」とし、可動反射鏡10が第2の状態にあるときに光束がラインセンサに導かれる焦点検出領域を「領域2」とする。「S」は、ステップの意味である。
まず、カメラを製造および調整する工程において、同一距離にあるチャートの像を撮影する状態にセットして、補正を開始する(S100)。キャリブレーションモードが設定されると(S101)、フォーカスレンズを移動させて(S102)、領域1での焦点検出を行う(S103)。合焦状態が検出されると、領域1に対応するラインセンサを構成する各センサ画素の出力値の補正を行い、該センサ画素からの出力値が均一となる(所定出力値範囲内に収まる)補正値を領域1用の補正値(第1の補正値)として記憶する(S104)。
次に、可動反射鏡10を第2の状態に回動させて(S105)、領域2に対応するラインセンサの各センサ画素のデータを読み取り、該センサ画素からの出力値が均一となる(所定出力値範囲に収まる)補正値を領域2用の補正値(第2の補正値)とする(S106)。このとき、領域1用の補正値に対して、領域2用の補正値が所定のしきい値内(所定許容差範囲内)であるか否かを判定する(S107)。しきい値を超えた場合には、光束が適切に入射していないことが考えられるため、領域1用の補正値に対して領域2用の補正値が所定のしきい値内になるまで可動反射鏡10の回動位置を調節する(S108)。
領域2用の補正値が所定のしきい値内になった後に、最終的に得られた領域2用の補正値を記憶して(S109)、本処理を終了する。
図1に示した焦点検出用の光路を構成する各部品の形状や製造誤差以外にも、領域1と領域2の切り替えによって生じる光路差や入射角差によって各ラインセンサの出力が変動することが考えられる。しかし、このようにAFユニット毎に補正を行うことにより、領域1,2の切り替えによる焦点検出誤差を極力抑えることが可能となる。
また、ラインセンサからの出力に対する電気的な補正だけでなく、可動反射鏡10の位置を補正することで、領域1と領域2での焦点検出精度を合わせることが可能となる。
なお、カメラの動作モードの1つとしてキャリブレーションモードを設け、使用者が所定の手順に従って各領域での補正値を取得し、該補正値をメモリに記録するようにしてもよい。
【0014】
図11のフローチャートには、本実施例のカメラにおける焦点検出およびフォーカス制御を含むAFの制御について説明する。
AF制御がスタートすると(S200)、まず、領域1と領域2のうちどちらの焦点検出領域が選択されているかを判別する(S201)。領域1が選択されている場合は、領域1での補正値を取得し(S202−1)、選択された領域1に対応するラインセンサからの出力(一対の像信号)を得る(S203−1)。そして、一対の像信号の位相差からデフォーカス量を求め、該デフォーカス量が合焦範囲に含まれているか否かを判定する(S204−1)。デフォーカス量が合焦範囲外であるときは、デフォーカス量から求められた駆動量のフォーカスレンズ駆動を行い(S205−1)、再び焦点検出(S203−1)を行う。一方、デフォーカス量が合焦範囲内であるときは、合焦状態であるとしてAF制御を終了する(S206)。
領域2が選択された場合も同様に、領域2での補正値を取得し(S202−2)、領域2に対応するラインセンサからの出力(一対の像信号)を得る(S203−2)。そして、デフォーカス量を求め、該デフォーカス量が合焦範囲に含まれているか否かを判定する(S204−2)。デフォーカス量が合焦範囲外であるときは、デフォーカス量から求められた駆動量のフォーカスレンズ駆動を行い(S205−2)、再び焦点検出(S203−2)を行う。一方、デフォーカス量が合焦範囲内であるときは、合焦状態であるとしてAF制御を終了する(S206)。
【0015】
本実施例のように焦点検出領域の一部で焦点検出を行える状態と行えない状態とを有する場合、動体に対する予測精度が低下したり、選択される焦点検出領域が変わるごとに可動反射鏡10を駆動するという煩雑な制御が必要になったりする可能性がある。したがって、AF制御状態となったときに可動反射鏡10を常に高速動作させ、領域1および領域2の両方に対応するラインセンサ出力を時系列的に読み込み、どちらの領域での焦点検出情報も同一撮影シーケンス内で得られるようにしてもよい。
【0016】
本実施例では、領域1と領域2を切り替える方法として、受光センサ11の直前に配置された可動反射鏡10を撮影範囲の上下方向(短辺方向)に対応する軸回りで回動させ、焦点検出領域を撮影範囲の水平方向(長辺方向)に増加させる方法を示した。しかし、可動反射鏡10を撮影範囲の水平方向に対応する軸回りで回動させて、焦点検出領域を撮影範囲の上下方向に増加させるようにしてもよい。
【実施例2】
【0017】
次に、本発明の実施例2について説明する。本実施例では、実施例1とは異なる焦点検出領域の配置例について説明する。焦点検出領域の配置以外の構成や動作は、基本的に実施例1と同じであり、共通する構成要素には実施例1と同符号を付す。
本実施例では、図12に示すように、複数の焦点検出領域を、一点鎖線で囲まれていない第1の焦点検出領域グループと、一点鎖線で囲まれた4つの第2の焦点検出領域グループ15とに分ける。第2の焦点検出領域グループ15では、焦点検出領域15aからの光束が受光センサ(ラインセンサ)に導かれる状態から、後述する反射鏡16の可動部が回動することで、焦点検出領域15bからの光束が受光センサに導かれる状態にシフトする。使用者又はマイクロコンピュータ12は、第2の焦点検出領域グループ15において、焦点検出領域15aと焦点検出領域15bを選択することが可能となる。
図12に示すように、選択可能な焦点検出領域が、撮影範囲のより外縁側に広がることで、撮影時に撮影範囲の外縁に近い領域にAFによりピントを合わせることができ、撮影の自由度を増すことができる。
図13には、反射部材としての反射鏡16の構成を示す。この反射鏡16は、実施例1で説明した再結像光学系内の可動反射鏡10に代えて使用される。反射鏡16は、A像を受光センサ11のエリアセンサ11Aに導くA像反射部16aと、B像をエリアセンサ11Bに導くB像反射部16bとを有する。16A,16BはそれぞれA像反射部16aとB像反射部16bのうち4箇所に部分的に設けられた可動反射部であり、一点鎖線で示した軸回りで回動可能な反射面を構成する。
可動反射部16A,16Bは、焦点検出領域15aからの光束(A,B像)が受光センサ11のエリアセンサ11A,11Bにおけるラインセンサに導かれる第1の状態と、焦点検出領域15bからの光束がラインセンサに導かれる第2の状態とに回動可能である。各可動反射部16A,16Bの軸方向両端は、反射鏡16の固定反射部に対して、弾性的にねじれが可能な連結部によって連結されている。
このように構成された反射鏡16において、可動反射部16A,16Bの裏面には、図示はしないが、磁性体からなる可動コアが固定されている。また、反射鏡16を保持する不図示のベース部材における可動コアと対向する位置には、コイルを巻き付けた固定コアが固定されている。
コイルに通電すると、可動コアと固定コアとの間に生じる磁力による吸引力又は反発力によって各可動反射面を回動させることができる。可動コア、コイルおよび固定コアにより駆動手段としてのアクチュエータが構成される。
A像反射部16aおよびB像反射部16bのそれぞれに4つずつ設けられた可動反射部は互いに独立して回動可能である。これにより、4つの第2の焦点検出領域グループ15のうち一部のグループでは焦点検出領域15bを設定し、他のグループでは焦点検出領域15aを設定するというように、様々な焦点検出領域の配置を選択することが可能となる。
本実施例でも、ラインセンサ出力の補正処理を実施例1と同様に行うのが好ましい。
また、本実施例では、実施例1のように反射鏡(可動反射鏡10)の全体を回動させるのではなく、反射鏡16のうち焦点検出領域の切り替えに関係する部分のみを回動させる。これにより、回動部が小さくなり、該回動部の駆動精度を向上させたり、駆動速度を高速化したりすることが可能となる。このように、本発明の実施例には、反射部材の少なくとも一部を移動させることで光路を変化させる構成が含まれる。
また、MEMS技術を用いて製造された微小ミラーを任意の方向に回動させるようにして、選択可能な焦点検出領域を任意の方向に増やすようにしてもよい。これにより、焦点検出領域の選択の自由度を高めることができる。
上記各実施例では、反射部材を回動(移動)させて受光センサ上における光束を導く位置、つまりは受光センサに向かう光束の光路を変化させる場合について説明したが、電気や熱等による反射部材の変形を利用して光路を変化させてもよい。
さらに、上記各実施例では、反射面によって光束が反射される方向を変えて受光センサ上に向かう光路を変化させる場合について説明したが、他の方法で光路を変化させてもよい。例えば、再結像光学系内に熱や電気によって移動又は変形する光学素子を設け、該光学素子の移動又は変形によって光路を変化させてもよい。変形する光学素子としては、電圧を印加することで屈折面が任意の形状に変形する液体レンズ等がある。変形する光学素子を用いる場合は、図10にて説明したキャリブレーションモードでは、該光学素子の変形状態を補正する。
【0018】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
受光センサを大型化しなくても焦点検出領域の数を増加させることが可能な焦点検出装置および撮像装置を提供できる。
【符号の説明】
【0020】
1 撮像素子
4 一次結像面
5 第1のフィールドレンズ
6 固定反射鏡
8 絞り
9 第2のフィールドレンズ
10 可動反射鏡
11 受光センサ
12 マイクロコンピュータ
13a,13b,13c 焦点検出領域
14a,14b ラインセンサ
30 圧電アクチュエータ
101 撮影光学系
【技術分野】
【0001】
本発明は、一眼レフカメラ等の撮像装置に用いられる焦点検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一眼レフカメラでは、撮影光学系を通った光束を用いて形成された一対の物体像を受光センサで光電変換して得られた一対の像信号の位相差に基づいて該撮影光学系の焦点状態を検出する、いわゆる位相差検出方式による焦点検出装置が用いられることが多い。そして、このような焦点検出装置においては焦点検出領域(焦点検出視野)の数が増加する傾向にあり、撮影範囲の周辺部にも焦点検出領域が配置され、該周辺部の被写体にもピントを合わせられるようになってきている。
例えば、特許文献1には、多数の焦点検出領域を千鳥状又は格子状に密に配置するために、受光センサ上にセンサ画素の位置が異なる3タイプのセンサ列を組み合わせて配置した焦点検出装置が開示されている。また、特許文献2には、一対の物体像を光電変換する受光センサ上において光電変換部(センサ領域)を移動させることが可能な焦点検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−014896号公報
【特許文献2】特許第3294636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらいずれの特許文献に開示された焦点検出装置でも、多数の焦点検出領域での焦点検出を行うことが可能である。しかしながら、特許文献1にて開示された焦点検出装置において、受光センサを大型化することなくさらに焦点検出領域を増加させる場合には、各センサ列を微細化してセンサ列の数を増加させる必要がある。この結果、受光センサに関する回路構成が複雑かつ大規模化する。しかも、センサ列を微細化することにより、製造プロセスの難易度が高くなる。また、1つのセンサ画素当りの面積が小さくなることによる低輝度性能の低下や、センサ列の長さが短くなることによる検出可能な位相差量の減少といったデメリットも生じる。
一方、特許文献2にて開示された焦点検出領域では、受光センサを大型化しないかぎりセンサ領域を移動させることができる範囲が決まっているため、受光センサを大型化することなく焦点検出領域を増加させることは難しい。
本発明は、受光センサを大型化しなくても焦点検出領域の数を増加させることが可能な焦点検出装置およびこれを備えた撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面としての焦点検出装置は、撮影光学系を通った光束を用いて一対の物体像を形成する再結像光学系と、該一対の物体像を光電変換する光電変換部を備えた受光センサとを有する。再結像光学系は、移動又は変形することで光束の光路を変化させる光学素子を含む。該光学素子を、撮影範囲のうち第1の焦点検出領域からの光束を光電変換部に導く第1の状態と、第1の焦点検出領域とは異なる第2の焦点検出領域からの光束を光電変換部に導く第2の状態とに移動又は変形させる駆動手段を有することを特徴とする。
なお、上記焦点検出装置と、光電変換部からの出力を用いて撮影光学系のフォーカス制御を行うフォーカス制御手段と、撮影光学系により形成された被写体像を撮像する撮像系とを有する撮像装置も本発明の他の一側面を構成する。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、再結像光学系に含まれる光学素子を第1の状態と第2の状態との間で移動又は変形させることで、第1の焦点検出領域からの光束と第2の焦点検出領域からの光束とを同一の光電変換部に導く。これにより、同一の光電変換部を用いて少なくとも2つの焦点検出領域での焦点検出を行うことが可能となる。したがって、本発明によれば、受光センサ上の光電変換部の数を増やしたり受光センサを大型化したりすることなく、焦点検出領域の数を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施例1であるカメラの概略構成を示す側面図。
【図2】上記カメラに設けられた焦点検出ユニットの絞りの正面図。
【図3】上記焦点検出ユニットの受光センサの正面図。
【図4】上記焦点検出ユニットによる焦点検出の原理を示す概略図。
【図5】上記カメラにおける焦点検出領域の配置示す図。
【図6】上記受光センサにおける光電変換部(ラインセンサ)の配置を示す正面図。
【図7】上記焦点検出ユニットの再結像光学系の構成を示す分解斜視図。
【図8】上記再結像光学系に含まれる反射鏡を駆動する圧電素子駆動部の概略構成を示す図。
【図9】上記反射鏡の回転位置と受光センサへの光束の入射位置とを示す斜視図。
【図10】実施例1における焦点検出領域でのセンサ出力を補正する処理を示すフローチャート。
【図11】実施例1のカメラにおけるAF制御を示すフローチャート。
【図12】本発明の実施例2である焦点検出ユニットにおける焦点検出領域の分割例を示す正面図。
【図13】実施例2にて用いられる反射鏡を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明の実施例1である一眼レフデジタルカメラ(撮像装置)の構成を示している。
101は交換レンズ内に設けられた撮影光学系であり、Oは撮影光学系101の光軸である。1はCMOSセンサやCCDセンサ等の光学変換素子により構成される撮像素子(イメージセンサ)と、該撮像素子1の前面に配置され、赤外線カットフィルタおよびローパスフィルタとして機能する光学フィルタとを含む撮像部である。
2は撮影光学系101の光軸O上に配置され、ハーフミラーにより構成される主ミラーである。主ミラー2は、後述するファインダ光学系を通して被写体像を観察する際には、撮影光学系101を通って撮像ユニット1に向かう光束の光路(撮影光路)内に斜めに配置される。また、主ミラー2は、撮影時には、撮影光路よりも上方に退避する。
102は焦点板である。焦点板102上には、撮影光学系101から入射して主ミラー2で反射した光束による被写体像が形成される。103はペンタプリズム、104は接眼レンズであり、焦点板102上に形成された被写体像を観察するためのファインダ光学系を構成する。
【0010】
3は主ミラー2の背後に配置され、主ミラー2を透過した光束を焦点検出ユニット(焦点検出装置)に導くサブミラーである。4はサブミラー3からの光束の一次結像面を示す。
【0011】
焦点検出ユニットは、以下を含む。5はサブミラー3から一次結像面を経て進んできた光束を再結像させる第1のフィールドレンズである。6は第1のフィールドレンズ5を通過した光束を反射する固定反射鏡であり、7は固定反射鏡6で反射した光束の赤外成分をカットする赤外カットフィルタである。
8は2つの開口8−1,8−2を有し、赤外カットフィルタ7を通過した光束を2つに分割する絞りである。9は絞り8の2つの開口8−1,8−2に対応して配置された2つのレンズ9−1,9−2を有する第2のフィールドレンズである。10は第2のフィールドレンズ9の2つのレンズ9−1,9−2を通過した2つの光束を反射する反射部材および光学素子としての可動反射鏡である。
11はそれぞれ複数のラインセンサ(光電変換部)を含む2つのエリアセンサを有する受光センサである。一次結像面4から受光センサ11まで光束を導く光学系(第1のフィールドレンズ5、固定反射鏡6、赤外カットフィルタ7、絞り8、第2のフィールドレンズ9および可動反射鏡10)を再結像光学系と称する。
サブミラー3は、焦点検出に必要な光反射領域のみにアルミニウムや銀等の金属膜が蒸着されていて、撮影範囲(撮影画角)のうち焦点検出を行う範囲を制限する視野マスクの働きを有する。固定反射鏡6および可動反射鏡10においても、受光センサ11上に入射する迷光を減少させるために、焦点検出に必要な光反射領域のみに金属膜が蒸着されている。各反射鏡における光反射領域以外の領域には、光吸収性の塗料が塗布されたり、遮光部材を近接して設けたりする等の反射防止処理が施されている。
図2には、絞り8を示している。絞り8には、横長の2つの開口8−1,8−2がそれらの開口幅が狭い方向(撮影範囲の上下方向)に並ぶように形成されている。図中には、点線で、開口8−1,8−2に対応して設けられた、第2のフィールドレンズ9のレンズ9−1,9−2を示している。
【0012】
図3には、受光センサ11を示している。受光センサ11上には、2つのエリアセンサ11A,11Bが撮影範囲の上下方向に並ぶように配置されている。図6に示すように、各エリアセンサ内(図にはエリアセンサ11Aを示す)には、撮影範囲の上下方向に延びる複数のラインセンサ14a,14bが2次元的に配置されている。各ラインセンサは、複数の光電変換用の画素が上下方向に並ぶことにより構成されている。
【0013】
受光センサ11は、マイクロコンピュータ12に接続されており、マイクロコンピュータ12によって電荷蓄積等の焦点検出に必要な動作が制御される。また、マイクロコンピュータ12は、受光センサ11からの出力を用いて焦点検出処理を行う焦点検出処理回路としても機能する。マイクロコンピュータ12は、CPUと、CPUで実行されるコンピュータプログラムおよび各種データを格納するROMと、CPUのワークエリアとして使用されたり各種データを格納したりするRAMを含み、制御手段や補正手段としても機能する。
次に、図4を用いて、本実施例の焦点検出ユニットで行う位相差検出方式による焦点検出の原理について説明する。図4には、図1に示した焦点検出ユニットの構成要素を一直線上に並べて示している。
被写体(物体)Xからの光束は、撮影光学系101を通って1次結像面4にて結像し、さらに上述した再結像光学系によって受光センサ11上にて再結像する。30は可動反射鏡10を移動(回動)させる駆動手段としての圧電アクチュエータである。
再結像光学系は、撮影光学系101の射出瞳を形成する光束を2つの光束OP1,OP2に分割し、該2つの光束OP1,OP2に一対の物体像であるA像とB像をそれぞれ、受光センサ11の2つのエリアセンサ11A,11B上に形成させる。これにより、撮影光学系101の焦点状態を、撮影範囲内の任意の1又は複数の焦点検出領域で検出可能となる。なお、図4中の光束OP1,OP2は、一次結像面4の中央位置にて結像する光束であるが、他の位置に結像する光束についても同様の経路を経て受光センサ11に到達する。
図5には、本実施例のカメラにおいて、撮影範囲(ファインダ観察視野)13内に設けられた複数の焦点検出領域13a,13bを示している。なお、13cで示す領域も焦点検出領域であるが、これについては後述する。
撮影範囲13内の複数の焦点検出領域13a,13bのうちある1つの焦点検出領域からの分割光束により形成されたA像とB像は、エリアセンサ11A,11Bに含まれる当該焦点検出領域に対応する一対のラインセンサに導かれる。そして、その一対のラインセンサによって光電変換され、一対の像信号が受光センサ11から出力される。そして、マイクロコンピュータ12は、該一対の像信号について相関演算を行い、これらの位相差を算出し、該位相差に基づいて撮影光学系101のデフォーカス量を算出する。
さらに、マイクロコンピュータ12は、該デフォーカス量に応じて合焦状態を得るためのフォーカスレンズ(撮影光学系101内に含まれる)の駆動量を算出する。そして、該駆動量の情報を交換レンズに送信する。交換レンズは、受信した駆動量だけフォーカスレンズを移動させるように、交換レンズ内に設けられた不図示のフォーカスアクチュエータを制御する。これにより、位相差検出方式での焦点検出とフォーカス制御とを含む位相差AFが行われる。
図5において、13cは第2の焦点検出領域に相当する焦点検出領域である。焦点検出領域13cは、焦点検出領域13a,13bからの各光束(各一対の分割光束)がエリアセンサ11A,11Bのラインセンサ14a,14bに導かれる状態から、可動反射鏡10を圧電アクチュエータ30によって移動(回動)させることで生成される。本実施例では、焦点検出領域13bが第1の焦点検出領域に相当する。
焦点検出領域13cからの一対の分割光束は、可動反射鏡10が回動する前において焦点検出領域13bからの一対の分割光束が導かれたラインセンサ14a,14bと同一のラインセンサに導かれる。これについては、より詳しく後述する。
本実施例では、使用者およびマイクロコンピュータ12は、焦点検出領域13a,13bと焦点検出領域13cの中から任意に、焦点検出およびフォーカス制御の対象となる領域を選択することができる。
図7には、再結像光学系のより具体的な構成例を示している。図1中に示した構成要素には、図1と同符号を付している。
21は固定反射鏡6を保持する第1保持枠である。20は赤外カットフィルタ7、絞り8、第2のフィールドレンズ9および可動反射鏡10を保持する第2保持枠である。22は受光センサ11を保持するセンサ保持枠である。
可動反射鏡10は、第2保持枠20によって回動可能に保持されている。第2保持枠20には、可動反射鏡10を回動させる圧電アクチュエータ30と、該圧電アクチュエータ30の軸方向の伸縮動作を可動反射鏡10の回動運動に変換する駆動レバー30aとが取り付けられている。
図8(a),(b)には、圧電アクチュエータ30と駆動レバー30aとにより構成される駆動機構によって可動反射鏡10が回動される様子を示している。圧電アクチュエータ30は、圧電セラミックスシートと電極層とが交互に積層された積層型圧電アクチュエータであり、電圧を印加することで圧電セラミックスシートと電極層の積層方向に微小量だけ伸縮する。圧電アクチュエータ30の微小変位は、回動する駆動レバー30aの先端に連結された連結部10aを介して可動反射鏡10に伝達され、これを回動させる。可動反射鏡10は、A像とB像の中心を結んだ線分を軸として回動する。
また、圧電アクチュエータ30の微小変位は、駆動レバー30aによって増幅されて可動反射鏡10を回動させる。これにより、可動反射鏡10を、焦点検出領域13a,13bからの各光束(分割光束)をラインセンサ14a,14bに導く第1の状態と、焦点検出領域13cからの光束をラインセンサ14bに導く第2の状態との間で確実に回動させることができる。
なお、可動反射鏡10の駆動方法はこれに限らず、モータ等の他のアクチュエータを用いた方法でもよい。
図9には、可動反射鏡10が第1の状態と第2の状態に回動したときに受光センサ11に導かれる光束を示している。10aは第1の状態での可動反射鏡10の位置(第1の位置)を示し、10bは第2の状態での可動反射鏡10の位置(第2の位置)を示す。
可動反射鏡10が第1の位置10aにあるとき、焦点検出領域13aからの光束は再結像光学系内で2つの光束13Aa,13Baに分割された後、可動反射鏡10で反射されてそれぞれエリアセンサ11A,11B内のラインセンサ14Aa,14Baに導かれる。また、焦点検出領域13bからの光束は、2つの光束13Ab,13Bbに分割された後、可動反射鏡10で反射されてそれぞれエリアセンサ11A,11B内のラインセンサ14Ab,14Bbに導かれる。このとき、焦点検出領域13cからの光束であって2つに分割された光束13Ac,13Bcは、エリアセンサ11A,11Bには導かれない。このため、焦点検出領域13cでは焦点検出を行うことはできない。
しかし、可動反射鏡10が第2の位置10bに回動すると、焦点検出領域13cからの光束13Ac,13Bcは、可動反射鏡10が第1の位置10にあるときに焦点検出領域13bに対応していたラインセンサと同一のラインセンサ14Ab,14Bbに導かれる。これにより、焦点検出領域13cでの焦点検出を行うことが可能となる。このことは、焦点検出領域13bが焦点検出領域13cの位置にシフトしたことと等価である。
このように、本実施例では、再結像光学系の可動反射鏡10を移動(回動)させることで、受光センサ11上のラインセンサ(光電変換部)の数を増やすことなく、選択可能な焦点検出領域の数を増やすことができる。すなわち、ラインセンサ14Aa,14Ba,14Ab,14Bbとは別にラインセンサを設けることなく、本実施例では、焦点検出領域13cを増やすことができる。
なお、本実施例では、可動反射鏡10を第1および第2の位置(第1および第2の状態)10a,10b間で移動させて互いに異なる焦点検出領域からの光束を同一のラインセンサに導く場合について説明した。これは2つの位置10a,10bにある可動反射鏡10から同一のラインセンサに導く光束の差を少なくし、反射鏡102の回転を高速に行うのに有効である。
ところで、本実施例では、可動反射鏡10が第1の状態にあるときは、焦点検出領域13aからの光束はエリアセンサ内でラインセンサに導かれるが、可動反射鏡10が第2の状態に回動すると、焦点検出領域13aからの光束はラインセンサに導かれない。このラインセンサに導かれない光束が隣り合うラインセンサの間に入射すると、その光束がこれらラインセンサでの出力に影響を及ぼす可能性がある。このため、ラインセンサの出力を補正することが必要となる。以下、ラインセンサの出力の補正方法について説明する。
複数のラインセンサ上での光量分布の不均一性や非対象性、シェーディング現象を考慮して、各ラインセンサ(センサ画素)の出力に補正値を加算して、得られる各ラインセンサの出力が均一となるようにする。補正値のデータは、ラインセンサ毎(センサ画素毎)に予めメモリに記憶しておけばよい。また、補正値は、可動反射鏡10が第1の状態にあるとき用の補正値と可動反射鏡10が第2の状態にあるとき用の補正値とをそれぞれ用意するのが好ましい。このような補正を行うことにより、どの焦点検出領域が選択された場合でもラインセンサ出力を利用した焦点検出を正確に行うことができ、合焦状態を得るまでの速度や合焦精度を高めることができる。
次に、図10のフローチャートを用いて、ラインセンサの出力の補正処理の具体例について説明する。可動反射鏡10が第1の状態にあるときに光束がラインセンサに導かれる焦点検出領域を「領域1」とし、可動反射鏡10が第2の状態にあるときに光束がラインセンサに導かれる焦点検出領域を「領域2」とする。「S」は、ステップの意味である。
まず、カメラを製造および調整する工程において、同一距離にあるチャートの像を撮影する状態にセットして、補正を開始する(S100)。キャリブレーションモードが設定されると(S101)、フォーカスレンズを移動させて(S102)、領域1での焦点検出を行う(S103)。合焦状態が検出されると、領域1に対応するラインセンサを構成する各センサ画素の出力値の補正を行い、該センサ画素からの出力値が均一となる(所定出力値範囲内に収まる)補正値を領域1用の補正値(第1の補正値)として記憶する(S104)。
次に、可動反射鏡10を第2の状態に回動させて(S105)、領域2に対応するラインセンサの各センサ画素のデータを読み取り、該センサ画素からの出力値が均一となる(所定出力値範囲に収まる)補正値を領域2用の補正値(第2の補正値)とする(S106)。このとき、領域1用の補正値に対して、領域2用の補正値が所定のしきい値内(所定許容差範囲内)であるか否かを判定する(S107)。しきい値を超えた場合には、光束が適切に入射していないことが考えられるため、領域1用の補正値に対して領域2用の補正値が所定のしきい値内になるまで可動反射鏡10の回動位置を調節する(S108)。
領域2用の補正値が所定のしきい値内になった後に、最終的に得られた領域2用の補正値を記憶して(S109)、本処理を終了する。
図1に示した焦点検出用の光路を構成する各部品の形状や製造誤差以外にも、領域1と領域2の切り替えによって生じる光路差や入射角差によって各ラインセンサの出力が変動することが考えられる。しかし、このようにAFユニット毎に補正を行うことにより、領域1,2の切り替えによる焦点検出誤差を極力抑えることが可能となる。
また、ラインセンサからの出力に対する電気的な補正だけでなく、可動反射鏡10の位置を補正することで、領域1と領域2での焦点検出精度を合わせることが可能となる。
なお、カメラの動作モードの1つとしてキャリブレーションモードを設け、使用者が所定の手順に従って各領域での補正値を取得し、該補正値をメモリに記録するようにしてもよい。
【0014】
図11のフローチャートには、本実施例のカメラにおける焦点検出およびフォーカス制御を含むAFの制御について説明する。
AF制御がスタートすると(S200)、まず、領域1と領域2のうちどちらの焦点検出領域が選択されているかを判別する(S201)。領域1が選択されている場合は、領域1での補正値を取得し(S202−1)、選択された領域1に対応するラインセンサからの出力(一対の像信号)を得る(S203−1)。そして、一対の像信号の位相差からデフォーカス量を求め、該デフォーカス量が合焦範囲に含まれているか否かを判定する(S204−1)。デフォーカス量が合焦範囲外であるときは、デフォーカス量から求められた駆動量のフォーカスレンズ駆動を行い(S205−1)、再び焦点検出(S203−1)を行う。一方、デフォーカス量が合焦範囲内であるときは、合焦状態であるとしてAF制御を終了する(S206)。
領域2が選択された場合も同様に、領域2での補正値を取得し(S202−2)、領域2に対応するラインセンサからの出力(一対の像信号)を得る(S203−2)。そして、デフォーカス量を求め、該デフォーカス量が合焦範囲に含まれているか否かを判定する(S204−2)。デフォーカス量が合焦範囲外であるときは、デフォーカス量から求められた駆動量のフォーカスレンズ駆動を行い(S205−2)、再び焦点検出(S203−2)を行う。一方、デフォーカス量が合焦範囲内であるときは、合焦状態であるとしてAF制御を終了する(S206)。
【0015】
本実施例のように焦点検出領域の一部で焦点検出を行える状態と行えない状態とを有する場合、動体に対する予測精度が低下したり、選択される焦点検出領域が変わるごとに可動反射鏡10を駆動するという煩雑な制御が必要になったりする可能性がある。したがって、AF制御状態となったときに可動反射鏡10を常に高速動作させ、領域1および領域2の両方に対応するラインセンサ出力を時系列的に読み込み、どちらの領域での焦点検出情報も同一撮影シーケンス内で得られるようにしてもよい。
【0016】
本実施例では、領域1と領域2を切り替える方法として、受光センサ11の直前に配置された可動反射鏡10を撮影範囲の上下方向(短辺方向)に対応する軸回りで回動させ、焦点検出領域を撮影範囲の水平方向(長辺方向)に増加させる方法を示した。しかし、可動反射鏡10を撮影範囲の水平方向に対応する軸回りで回動させて、焦点検出領域を撮影範囲の上下方向に増加させるようにしてもよい。
【実施例2】
【0017】
次に、本発明の実施例2について説明する。本実施例では、実施例1とは異なる焦点検出領域の配置例について説明する。焦点検出領域の配置以外の構成や動作は、基本的に実施例1と同じであり、共通する構成要素には実施例1と同符号を付す。
本実施例では、図12に示すように、複数の焦点検出領域を、一点鎖線で囲まれていない第1の焦点検出領域グループと、一点鎖線で囲まれた4つの第2の焦点検出領域グループ15とに分ける。第2の焦点検出領域グループ15では、焦点検出領域15aからの光束が受光センサ(ラインセンサ)に導かれる状態から、後述する反射鏡16の可動部が回動することで、焦点検出領域15bからの光束が受光センサに導かれる状態にシフトする。使用者又はマイクロコンピュータ12は、第2の焦点検出領域グループ15において、焦点検出領域15aと焦点検出領域15bを選択することが可能となる。
図12に示すように、選択可能な焦点検出領域が、撮影範囲のより外縁側に広がることで、撮影時に撮影範囲の外縁に近い領域にAFによりピントを合わせることができ、撮影の自由度を増すことができる。
図13には、反射部材としての反射鏡16の構成を示す。この反射鏡16は、実施例1で説明した再結像光学系内の可動反射鏡10に代えて使用される。反射鏡16は、A像を受光センサ11のエリアセンサ11Aに導くA像反射部16aと、B像をエリアセンサ11Bに導くB像反射部16bとを有する。16A,16BはそれぞれA像反射部16aとB像反射部16bのうち4箇所に部分的に設けられた可動反射部であり、一点鎖線で示した軸回りで回動可能な反射面を構成する。
可動反射部16A,16Bは、焦点検出領域15aからの光束(A,B像)が受光センサ11のエリアセンサ11A,11Bにおけるラインセンサに導かれる第1の状態と、焦点検出領域15bからの光束がラインセンサに導かれる第2の状態とに回動可能である。各可動反射部16A,16Bの軸方向両端は、反射鏡16の固定反射部に対して、弾性的にねじれが可能な連結部によって連結されている。
このように構成された反射鏡16において、可動反射部16A,16Bの裏面には、図示はしないが、磁性体からなる可動コアが固定されている。また、反射鏡16を保持する不図示のベース部材における可動コアと対向する位置には、コイルを巻き付けた固定コアが固定されている。
コイルに通電すると、可動コアと固定コアとの間に生じる磁力による吸引力又は反発力によって各可動反射面を回動させることができる。可動コア、コイルおよび固定コアにより駆動手段としてのアクチュエータが構成される。
A像反射部16aおよびB像反射部16bのそれぞれに4つずつ設けられた可動反射部は互いに独立して回動可能である。これにより、4つの第2の焦点検出領域グループ15のうち一部のグループでは焦点検出領域15bを設定し、他のグループでは焦点検出領域15aを設定するというように、様々な焦点検出領域の配置を選択することが可能となる。
本実施例でも、ラインセンサ出力の補正処理を実施例1と同様に行うのが好ましい。
また、本実施例では、実施例1のように反射鏡(可動反射鏡10)の全体を回動させるのではなく、反射鏡16のうち焦点検出領域の切り替えに関係する部分のみを回動させる。これにより、回動部が小さくなり、該回動部の駆動精度を向上させたり、駆動速度を高速化したりすることが可能となる。このように、本発明の実施例には、反射部材の少なくとも一部を移動させることで光路を変化させる構成が含まれる。
また、MEMS技術を用いて製造された微小ミラーを任意の方向に回動させるようにして、選択可能な焦点検出領域を任意の方向に増やすようにしてもよい。これにより、焦点検出領域の選択の自由度を高めることができる。
上記各実施例では、反射部材を回動(移動)させて受光センサ上における光束を導く位置、つまりは受光センサに向かう光束の光路を変化させる場合について説明したが、電気や熱等による反射部材の変形を利用して光路を変化させてもよい。
さらに、上記各実施例では、反射面によって光束が反射される方向を変えて受光センサ上に向かう光路を変化させる場合について説明したが、他の方法で光路を変化させてもよい。例えば、再結像光学系内に熱や電気によって移動又は変形する光学素子を設け、該光学素子の移動又は変形によって光路を変化させてもよい。変形する光学素子としては、電圧を印加することで屈折面が任意の形状に変形する液体レンズ等がある。変形する光学素子を用いる場合は、図10にて説明したキャリブレーションモードでは、該光学素子の変形状態を補正する。
【0018】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
受光センサを大型化しなくても焦点検出領域の数を増加させることが可能な焦点検出装置および撮像装置を提供できる。
【符号の説明】
【0020】
1 撮像素子
4 一次結像面
5 第1のフィールドレンズ
6 固定反射鏡
8 絞り
9 第2のフィールドレンズ
10 可動反射鏡
11 受光センサ
12 マイクロコンピュータ
13a,13b,13c 焦点検出領域
14a,14b ラインセンサ
30 圧電アクチュエータ
101 撮影光学系
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系を通った光束を用いて一対の物体像を形成する再結像光学系と、
前記一対の物体像を光電変換する光電変換部を備えた受光センサとを有する焦点検出装置であって、
前記再結像光学系は、移動又は変形することで前記光束の光路を変化させる光学素子を含み、
該光学素子を、撮影範囲のうち第1の焦点検出領域からの前記光束を前記光電変換部に導く第1の状態と、前記第1の焦点検出領域とは異なる第2の焦点検出領域からの前記光束を前記光電変換部に導く第2の状態とに移動又は変形させる駆動手段を有することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項2】
前記光学素子は反射部材であり、
該反射部材の少なくとも一部を前記駆動手段によって前記第1の状態と前記第2の状態とに移動又は変形させることを特徴とする請求項1に記載の焦点検出装置。
【請求項3】
前記光学素子が前記第1の状態にあるときに前記受光センサに設けられた複数の前記光電変換部のそれぞれからの出力値が所定出力値範囲内に収まるように各出力値を補正するための第1の補正値と、前記光学素子が前記第2の状態にあるときに前記複数の光電変換部のそれぞれからの出力値が前記所定出力値範囲内に収まるように各出力値を補正するための第2の補正値との差が所定許容差範囲内となるように、前記光学素子を移動又は変形させる補正手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の焦点検出装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の焦点検出装置と、
前記光電変換部からの出力を用いて前記撮影光学系のフォーカス制御を行うフォーカス制御手段と、
前記撮影光学系により形成された被写体像を撮像する撮像部とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項1】
撮影光学系を通った光束を用いて一対の物体像を形成する再結像光学系と、
前記一対の物体像を光電変換する光電変換部を備えた受光センサとを有する焦点検出装置であって、
前記再結像光学系は、移動又は変形することで前記光束の光路を変化させる光学素子を含み、
該光学素子を、撮影範囲のうち第1の焦点検出領域からの前記光束を前記光電変換部に導く第1の状態と、前記第1の焦点検出領域とは異なる第2の焦点検出領域からの前記光束を前記光電変換部に導く第2の状態とに移動又は変形させる駆動手段を有することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項2】
前記光学素子は反射部材であり、
該反射部材の少なくとも一部を前記駆動手段によって前記第1の状態と前記第2の状態とに移動又は変形させることを特徴とする請求項1に記載の焦点検出装置。
【請求項3】
前記光学素子が前記第1の状態にあるときに前記受光センサに設けられた複数の前記光電変換部のそれぞれからの出力値が所定出力値範囲内に収まるように各出力値を補正するための第1の補正値と、前記光学素子が前記第2の状態にあるときに前記複数の光電変換部のそれぞれからの出力値が前記所定出力値範囲内に収まるように各出力値を補正するための第2の補正値との差が所定許容差範囲内となるように、前記光学素子を移動又は変形させる補正手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の焦点検出装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の焦点検出装置と、
前記光電変換部からの出力を用いて前記撮影光学系のフォーカス制御を行うフォーカス制御手段と、
前記撮影光学系により形成された被写体像を撮像する撮像部とを有することを特徴とする撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−59411(P2011−59411A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209406(P2009−209406)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]