焦点検出装置および撮像装置
【課題】光学系の焦点状態を適切に検出することができる焦点検出装置を提供する。
【解決手段】複数の撮像用画素221と複数の焦点検出用画素221a,222bとを備えた撮像素子22と、複数の焦点検出画素221a,222bのうち欠陥がある画素である欠陥画素のアドレスを記憶している記憶部21と、記憶部21に記憶されているアドレスに対応する位置に位置する欠陥画素の出力を、欠陥画素の周囲に位置する焦点検出用画素221a,222bの出力に基づいて補間する補間部21と、補間された欠陥画素の出力を含む複数の焦点検出用画素221a,222bの出力に基づいて、光学系による像面のずれ量を検出することで、光学系の焦点状態を検出する焦点検出部21と、を有することを特徴とする。
【解決手段】複数の撮像用画素221と複数の焦点検出用画素221a,222bとを備えた撮像素子22と、複数の焦点検出画素221a,222bのうち欠陥がある画素である欠陥画素のアドレスを記憶している記憶部21と、記憶部21に記憶されているアドレスに対応する位置に位置する欠陥画素の出力を、欠陥画素の周囲に位置する焦点検出用画素221a,222bの出力に基づいて補間する補間部21と、補間された欠陥画素の出力を含む複数の焦点検出用画素221a,222bの出力に基づいて、光学系による像面のずれ量を検出することで、光学系の焦点状態を検出する焦点検出部21と、を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦点検出装置および撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、撮像素子に複数の焦点検出用画素を備え、この焦点検出用画素の出力に基づいて、光学系による像面のずれ量を検出することで、光学系の焦点状態を検出する焦点検出装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−107324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、焦点検出用画素の出力に基づいて焦点検出を行うため、焦点検出用画素に欠陥がある場合には、光学系の焦点状態を適切に検出することができない問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、光学系の焦点状態を適切に検出できる焦点検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の解決手段によって上記課題を解決する。なお、以下においては、本発明の実施形態を示す図面に対応する符号を付して説明するが、この符号は発明の理解を容易にするためだけのものであって発明を限定する趣旨ではない。
【0007】
[1]本発明に係る焦点検出装置は、複数の撮像用画素(221)と複数の焦点検出用画素(222a,222b)とを備えた撮像素子(22)と、前記複数の焦点検出画素のうち欠陥がある画素である欠陥画素のアドレスを記憶している記憶部(21)と、前記記憶部に記憶されている前記アドレスに対応する位置に位置する前記欠陥画素の出力を、該欠陥画素の周囲に位置する焦点検出用画素の出力に基づいて補間する補間部(21)と、補間された前記欠陥画素の出力を含む複数の焦点検出用画素の出力に基づいて、光学系による像面のずれ量を検出することで、前記光学系の焦点状態を検出する焦点検出部(21)と、を有することを特徴とする。
【0008】
[2]上記焦点検出装置に係る発明において、前記撮像素子(22)には、瞳分割された一対の光束のうち一方の光束を受光する複数の第1の焦点検出用画素(221a)と、他方の光束を受光する複数の第2の焦点検出用画素(222b)とが一次元状に配列されており、前記補間部(21)は、前記欠陥画素と同じ瞳からの光束を受光する焦点検出用画素のうち、前記欠陥画素に最も近い位置に位置する画素であり、かつ、欠陥画素に該当しない画素である最近接有効画素の出力に基づいて、前記欠陥画素の出力を補間するように構成することができる。
【0009】
[3]上記焦点検出装置に係る発明において、前記補間部(21)は、前記最近接有効画素が2つ存在する場合には、該2つの最近接有効画素の出力の平均値に基づいて、前記欠陥画素の出力を補間し、前記最近接有効画素が1つ存在する場合には、該1つの最近接有効画素の出力に基づいて、前記欠陥画素の出力を補間するように構成することができる。
【0010】
[4]上記焦点検出装置に係る発明において、前記補間部(21)は、前記欠陥画素の周囲に位置する焦点検出用画素(221a,222b)の出力に基づいて、前記欠陥画素の出力を補間した後に、暗電流特性に起因する前記焦点検出用画素の不均一性の補正と、受光感度特性に起因する前記焦点検出用画素の不均一性の補正とを行うように構成することができる。
【0011】
[5]上記焦点検出装置に係る発明において、前記焦点検出部(21)は、前記光学系の像面内に設定された複数の焦点検出位置のうち、所定の焦点検出位置における光学系の焦点状態を、該焦点検出位置に対応する前記焦点検出用画素(222a,222b)の出力に基づいて検出し、前記補間部(21)は、前記欠陥画素に対応する焦点検出位置が、該欠陥画素の周囲に位置する焦点検出用画素に対応する焦点検出位置と異なる場合でも、前記欠陥画素の出力を、前記欠陥画素の周囲に位置する焦点検出用画素の出力に基づいて補間するように構成することができる。
【0012】
[6]本発明に係る撮像装置は、上記焦点検出装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光学系の焦点状態を適切に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本実施形態に係るカメラを示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す撮像素子の撮像面を示す正面図である。
【図3】図3は、図2の22a付近を拡大して焦点検出画素222a,222bの配列を模式的に示す正面図である。
【図4】図4は、撮像画素221の一つを拡大して示す正面図である。
【図5】図5(A)は、焦点検出画素222aの一つを拡大して示す正面図、図5(B)は、焦点検出画素222bの一つを拡大して示す正面図である。
【図6】図6は、撮像画素221の一つを拡大して示す断面図である。
【図7】図7(A)は、焦点検出画素222aの一つを拡大して示す断面図、図7(B)は、焦点検出画素222bの一つを拡大して示す断面図である。
【図8】図8は、図3のVIII-VIII線に沿う断面図である。
【図9】図9は、欠陥画素の出力を調整するための調整処理を示すフローチャートである。
【図10】図10は、本実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。
【図11】図11は、本実施形態に係る欠陥画素の補間方法を説明するための図である。
【図12】図12は、本実施形態に係る欠陥画素の補間方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係るデジタルカメラ1を示す要部構成図である。本実施形態のデジタルカメラ1(以下、単にカメラ1という。)は、カメラ本体2とレンズ鏡筒3から構成され、これらカメラ本体2とレンズ鏡筒3はマウント部4により着脱可能に結合されている。
【0017】
レンズ鏡筒3は、カメラ本体2に着脱可能な交換レンズである。図1に示すように、レンズ鏡筒3には、レンズ31,32,33、および絞り34を含む撮影光学系が内蔵されている。
【0018】
レンズ32は、フォーカスレンズであり、光軸L1方向に移動することで、撮影光学系の焦点距離を調節可能となっている。フォーカスレンズ32は、レンズ鏡筒3の光軸L1に沿って移動可能に設けられ、エンコーダ35によってその位置が検出されつつフォーカスレンズ駆動モータ36によってその位置が調節される。
【0019】
このフォーカスレンズ32の光軸L1に沿う移動機構の具体的構成は特に限定されない。一例を挙げれば、レンズ鏡筒3に固定された固定筒に回転可能に回転筒を挿入し、この回転筒の内周面にヘリコイド溝(螺旋溝)を形成するとともに、フォーカスレンズ32を固定するレンズ枠の端部をヘリコイド溝に嵌合させる。そして、フォーカスレンズ駆動モータ36によって回転筒を回転させることで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ32が光軸L1に沿って直進移動することになる。
【0020】
上述したようにレンズ鏡筒3に対して回転筒を回転させることによりレンズ枠に固定されたフォーカスレンズ32は光軸L1方向に直進移動するが、その駆動源としてのフォーカスレンズ駆動モータ36がレンズ鏡筒3に設けられている。フォーカスレンズ駆動モータ36と回転筒とは、たとえば複数の歯車からなる変速機で連結され、フォーカスレンズ駆動モータ36の駆動軸を何れか一方向へ回転駆動すると所定のギヤ比で回転筒に伝達され、そして、回転筒が何れか一方向へ回転することで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ32が光軸L1の何れかの方向へ直進移動することになる。なお、フォーカスレンズ駆動モータ36の駆動軸が逆方向に回転駆動すると、変速機を構成する複数の歯車も逆方向に回転し、フォーカスレンズ32は光軸L1の逆方向へ直進移動することになる。
【0021】
フォーカスレンズ32の位置はエンコーダ35によって検出される。既述したとおり、フォーカスレンズ32の光軸L1方向の位置は回転筒の回転角に相関するので、たとえばレンズ鏡筒3に対する回転筒の相対的な回転角を検出すれば求めることができる。
【0022】
本実施形態のエンコーダ35としては、回転筒の回転駆動に連結された回転円板の回転をフォトインタラプタなどの光センサで検出して、回転数に応じたパルス信号を出力するものや、固定筒と回転筒の何れか一方に設けられたフレキシブルプリント配線板の表面のエンコーダパターンに、何れか他方に設けられたブラシ接点を接触させ、回転筒の移動量(回転方向でも光軸方向の何れでもよい)に応じた接触位置の変化を検出回路で検出するものなどを用いることができる。
【0023】
フォーカスレンズ32は、上述した回転筒の回転によってカメラボディ側の端部(至近端ともいう)から被写体側の端部(無限端ともいう)までの間を光軸L1方向に移動することができる。ちなみに、エンコーダ35で検出されたフォーカスレンズ32の現在位置情報は、レンズ制御部37を介して後述するカメラ制御部21へ送出され、フォーカスレンズ駆動モータ36は、この情報に基づいて演算されたフォーカスレンズ32の駆動位置が、カメラ制御部21からレンズ制御部37を介して送出されることにより駆動する。
【0024】
絞り34は、上記撮影光学系を通過して撮像素子22に至る光束の光量を制限するとともにボケ量を調整するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。絞り34による開口径の調節は、たとえば自動露出モードにおいて演算された適切な開口径が、カメラ制御部21からレンズ制御部37を介して送出されることにより行われる。また、カメラ本体2に設けられた操作部28によるマニュアル操作により、設定された開口径がカメラ制御部21からレンズ制御部37に入力される。絞り34の開口径は図示しない絞り開口センサにより検出され、レンズ制御部37で現在の開口径が認識される。
【0025】
一方、カメラ本体2には、上記撮影光学系からの光束L1を受光する撮像素子22が、撮影光学系の予定焦点面に設けられ、その前面にシャッター23が設けられている。撮像素子22はCCDやCMOSなどのデバイスから構成され、受光した光信号を電気信号に変換してカメラ制御部21に送出する。カメラ制御部21に送出された撮影画像情報は、逐次、液晶駆動回路25に送出されて観察光学系の電子ビューファインダ(EVF)26に表示されるとともに、操作部28に備えられたレリーズボタン(不図示)が全押しされた場合には、その撮影画像情報が、記録媒体であるカメラメモリ24に記録される。なお、カメラメモリ24は着脱可能なカード型メモリや内蔵型メモリの何れをも用いることができる。撮像素子22の構造の詳細は後述する。
【0026】
カメラ本体2には、撮像素子22で撮像される像を観察するための観察光学系が設けられている。本実施形態の観察光学系は、液晶表示素子からなる電子ビューファインダ(EVF)26と、これを駆動する液晶駆動回路25と、接眼レンズ27とを備えている。液晶駆動回路25は、撮像素子22で撮像され、カメラ制御部21へ送出された撮影画像情報を読み込み、これに基づいて電子ビューファインダ26を駆動する。これにより、ユーザは、接眼レンズ27を通して現在の撮影画像を観察することができる。なお、光軸L2による上記観察光学系に代えて、または、これに加えて、液晶ディスプレイをカメラ本体2の背面等に設け、この液晶ディスプレイに撮影画像を表示させることもできる。
【0027】
カメラ本体2にはカメラ制御部21が設けられている。カメラ制御部21は、マウント部4に設けられた電気信号接点部41によりレンズ制御部37と電気的に接続され、このレンズ制御部37からレンズ情報を受信するとともに、レンズ制御部37へデフォーカス量や絞り開口径などの情報を送信する。また、カメラ制御部21は、上述したように撮像素子22から画素出力を読み出すとともに、読み出した画素出力について、必要に応じて所定の情報処理を施すことにより画像情報を生成し、生成した画像情報を、電子ビューファインダ26の液晶駆動回路25やメモリ24に出力する。また、カメラ制御部21は、撮像素子22からの画像情報の補正やレンズ鏡筒3の焦点調節状態、絞り調節状態などを検出するなど、カメラ1全体の制御を司る。
【0028】
また、カメラ制御部21は、上記に加えて、撮像素子22から読み出した画素データに基づき、位相検出方式による撮影光学系の焦点状態の検出、およびコントラスト検出方式による撮影光学系の焦点状態の検出を行う。なお、具体的な焦点状態の検出方法については、後述する。
【0029】
操作部28は、シャッターレリーズボタンや撮影者がカメラ1の各種動作モードを設定するための入力スイッチであり、オートフォーカスモード/マニュアルフォーカスモードの切換が行えるようになっている。この操作部28により設定された各種モードはカメラ制御部21へ送出され、当該カメラ制御部21によりカメラ1全体の動作が制御される。また、シャッターレリーズボタンは、ボタンの半押しでONとなる第1スイッチSW1と、ボタンの全押しでONとなる第2スイッチSW2とを含む。
【0030】
次に、本実施形態に係る撮像素子22について説明する。
【0031】
図2は、撮像素子22の撮像面を示す正面図、図3は、図2の焦点検出画素列22a付近を拡大して焦点検出画素222a,222bの配列を模式的に示す正面図である。
【0032】
本実施形態の撮像素子22は、図3に示すように、複数の撮像画素221が、撮像面の平面上に二次元的に配列され、緑色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する緑画素Gと、赤色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する赤画素Rと、青色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する青画素Bがいわゆるベイヤー配列(Bayer Arrangement)されたものである。すなわち、隣接する4つの画素群223(稠密正方格子配列)において一方の対角線上に2つの緑画素が配列され、他方の対角線上に赤画素と青画素が1つずつ配列されている。このベイヤー配列された画素群223を単位として、当該画素群223を撮像素子22の撮像面に二次元状に繰り返し配列することで撮像素子22が構成されている。
【0033】
なお、単位画素群223の配列は、図示する稠密正方格子以外にも、たとえば稠密六方格子配列にすることもできる。また、カラーフィルタの構成や配列はこれに限定されることはなく、補色フィルタ(緑:G、イエロー:Ye、マゼンタ:Mg,シアン:Cy)の配列を採用することもできる。
【0034】
図4は、撮像画素221の一つを拡大して示す正面図、図6は断面図である。一つの撮像画素221は、マイクロレンズ2211と、光電変換部2212と、図示しないカラーフィルタから構成され、図6の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2212が造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2211が形成されている。光電変換部2212は、マイクロレンズ2211により撮影光学系31の射出瞳(たとえばF1.0)を通過する撮像光束を受光する形状とされ、撮像光束を受光する。
【0035】
また、撮像素子22の撮像面には、上述した撮像画素221に代えて焦点検出画素222a,222bが配列された焦点検出画素列22a〜22eが設けられている。そして、図3に示すように、一つの焦点検出画素列は、複数の焦点検出画素222aおよび222bが、互いに隣接して交互に、横一列(22a〜22e)に配列されて構成されている。本実施形態においては、焦点検出画素222aおよび222bは、ベイヤー配列された撮像画素221の緑画素Gと青画素Bとの位置にギャップを設けることなく密に配列されている。
【0036】
なお、図2に示す焦点検出画素列22a〜22eの位置は図示する位置にのみ限定されず、何れか一箇所、二箇所、三箇所、あるいは四箇所とすることもでき、また、六箇所以上の位置に配置することもできる。また、図3においては、16個の焦点検出画素222a,222bにより、焦点検出画素列を構成する例を示しているが、焦点検出画素列を構成する焦点検出画素の数は、この例に限定されるものではない。
【0037】
図5(A)は、焦点検出画素222aの一つを拡大して示す正面図、図7(A)は、焦点検出画素222aの断面図である。また、図5(B)は、焦点検出画素222bの一つを拡大して示す正面図、図7(B)は、焦点検出画素222bの断面図である。焦点検出画素222aは、図5(A)に示すように、マイクロレンズ2221aと、半円形状の光電変換部2222aとから構成され、図7(A)の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2222aが造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2221aが形成されている。また、焦点検出画素222bは、図5(B)に示すように、マイクロレンズ2221bと、光電変換部2222bとから構成され、図7(B)の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2222bが造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2221bが形成されている。そして、これら焦点検出画素222aおよび222bは、図3に示すように、互いに隣接して交互に、横一列に配列されることにより、図2に示す焦点検出画素列22a〜22eを構成する。
【0038】
なお、焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bは、マイクロレンズ2221a,2221bにより撮影光学系の射出瞳の所定の領域(たとえばF2.8)を通過する光束を受光するような形状とされる。また、焦点検出画素222a,222bにはカラーフィルタは設けられておらず、その分光特性は、光電変換を行うフォトダイオードの分光特性と、図示しない赤外カットフィルタの分光特性を総合したものとなっている。ただし、撮像画素221と同じカラーフィルタのうちの一つ、たとえば緑フィルタを備えるように構成することもできる。
【0039】
また、図5(A)、図5(B)に示す焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bは半円形状としたが、光電変換部2222a,2222bの形状はこれに限定されず、他の形状、たとえば、楕円形状、矩形状、多角形状とすることもできる。
【0040】
ここで、上述した焦点検出画素222a,222bの画素出力に基づいて撮影光学系の焦点状態を検出する、いわゆる位相差検出方式について説明する。
【0041】
図8は、図3のVIII-VIII線に沿う断面図であり、撮影光軸L1近傍に配置され、互いに隣接する焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2が、射出瞳34の測距瞳341,342から照射される光束AB1−1,AB2−1,AB1−2,AB2−2をそれぞれ受光していることを示している。なお、図8においては、複数の焦点検出画素222a,222bのうち、撮影光軸L1近傍に位置するもののみを例示して示したが、図8に示す焦点検出画素以外のその他の焦点検出画素についても、同様に、一対の測距瞳341,342から照射される光束をそれぞれ受光するように構成されている。
【0042】
ここで、射出瞳34とは、撮影光学系の予定焦点面に配置された焦点検出画素222a,222bのマイクロレンズ2221a,2221bの前方の距離Dの位置に設定された像である。距離Dは、マイクロレンズの曲率、屈折率、マイクロレンズと光電変換部との距離などに応じて一義的に決まる値であって、この距離Dを測距瞳距離と称する。また、測距瞳341,342とは、焦点検出画素222a,222bのマイクロレンズ2221a,2221bにより、それぞれ投影された光電変換部2222a,2222bの像をいう。
【0043】
なお、図8において焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2の配列方向は一対の測距瞳341,342の並び方向と一致している。
【0044】
また、図8に示すように、焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2のマイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2は、撮影光学系の予定焦点面近傍に配置されている。そして、マイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2の背後に配置された各光電変換部2222a−1,2222b−1,2222a−2,2222b−2の形状が、各マイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2から測距距離Dだけ離れた射出瞳34上に投影され、その投影形状は測距瞳341,342を形成する。
【0045】
すなわち、測距距離Dにある射出瞳34上で、各焦点検出画素の光電変換部の投影形状(測距瞳341,342)が一致するように、各焦点検出画素におけるマイクロレンズと光電変換部の相対的位置関係が定められ、それにより各焦点検出画素における光電変換部の投影方向が決定されている。
【0046】
図8に示すように、焦点検出画素222a−1の光電変換部2222a−1は、測距瞳341を通過し、マイクロレンズ2221a−1に向う光束AB1−1によりマイクロレンズ2221a−1上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、焦点検出画素222a−2の光電変換部2222a−2は測距瞳341を通過し、マイクロレンズ2221a−2に向う光束AB1−2によりマイクロレンズ2221a−2上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
【0047】
また、焦点検出画素222b−1の光電変換部2222b−1は測距瞳342を通過し、マイクロレンズ2221b−1に向う光束AB2−1によりマイクロレンズ2221b−1上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、焦点検出画素222b−2の光電変換部2222b−2は測距瞳342を通過し、マイクロレンズ2221b−2に向う光束AB2−2によりマイクロレンズ2221b−2上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
【0048】
そして、上述した2種類の焦点検出画素222a,222bを、図3に示すように直線状に複数配置し、各焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bの出力を、測距瞳341と測距瞳342とのそれぞれに対応した出力グループにまとめることにより、測距瞳341と測距瞳342とのそれぞれを通過する焦点検出光束が焦点検出画素列上に形成する一対の像の強度分布に関するデータが得られる。そして、この強度分布データに対し、相関演算処理または位相差検出処理などの像ズレ検出演算処理を施すことにより、いわゆる位相差検出方式による像ズレ量を検出することができる。
【0049】
そして、得られた像ズレ量に一対の測距瞳の重心間隔に応じた変換演算を施すことにより、予定焦点面に対する現在の焦点面(予定焦点面上のマイクロレンズアレイの位置に対応した焦点検出位置における焦点面をいう。)の偏差、すなわちデフォーカス量を求めることができる。
【0050】
なお、本実施形態では、図2に示すように、撮像画面内には、光学系の焦点状態を検出するための焦点検出エリアAFP(図2中、破線で示す。)が複数設定されており、焦点検出エリアAFPごとに、デフォーカス量の検出が行われる。また、これら位相差検出方式による像ズレ量の演算と、これに基づくデフォーカス量の演算は、カメラ制御部21により実行される。
【0051】
また、カメラ制御部21は、撮像素子22の撮像画素221の出力を読み出し、読み出した画素出力に基づき、焦点評価値の演算を行う。この焦点評価値は、たとえば撮像素子22の撮像画素221からの画像出力の高周波成分を、高周波透過フィルタを用いて抽出し、これを積算して焦点電圧を検出することで求めることができる。また、遮断周波数が異なる2つの高周波透過フィルタを用いて高周波成分を抽出し、それぞれを積算して焦点電圧を検出することでも求めることができる。
【0052】
そして、カメラ制御部21は、レンズ制御部37に制御信号を送出してフォーカスレンズ32を所定のサンプリング間隔(距離)で駆動させ、それぞれの位置における焦点評価値を求め、該焦点評価値が最大となるフォーカスレンズ32の位置を合焦位置として求める、コントラスト検出方式による焦点検出を実行する。なお、この合焦位置は、たとえば、フォーカスレンズ32を駆動させながら焦点評価値を算出した場合に、焦点評価値が、2回上昇した後、さらに、2回下降して推移した場合に、これらの焦点評価値を用いて、内挿法などの演算を行うことで求めることができる。
【0053】
次いで、図9を参照して、欠陥画素の出力を補間するための前処理として、欠陥画素の出力を調整するための調整処理について説明する。なお、図9は、欠陥画素の出力を調整するための調整処理を示すフローチャートである。また、この調整処理は、欠陥画素を特定し、欠陥画素のアドレスを記憶するための処理であり、たとえば工場出荷前に行われる。
【0054】
まず、ステップS101では、たとえば、光源からの照射光を拡散板やトレーシングペーパーなどにより拡散して均一輝度面を生成し、カメラ制御部21により、均一輝度面における、撮像素子22の各焦点検出画素222a,222bごとの出力を、明時出力として取得する。
【0055】
次いで、ステップS102では、撮像素子22に入射する光を遮蔽して、周囲環境を暗黒状態とし、カメラ制御部21により、暗黒状態における、撮像素子22の各焦点検出画素222a,222bごとの出力を、暗時出力として取得する。
【0056】
そして、ステップS103では、カメラ制御部21により、各焦点検出画素222a,222bに欠陥があるか否かの判定が行われる。ここで、焦点検出画素222a,222bの欠陥とは、たとえば受光した光の強度に応じた、焦点検出画素222a,222bの出力の線形性の異常や、均一輝度面における、焦点検出画素222a,222b間の出力の異常(明時出力のばらつき異常)、暗黒状態において、所定以上の暗電流が流れてしまうなどの暗電流特性の異常などを含むものである。
【0057】
具体的に、カメラ制御部21は、ステップS101で取得した焦点検出画素222a,222bの明時出力Vout1、および、ステップS102で取得した焦点検出画素222a,222bの暗時出力Vout2が、それぞれ、下記式(1)および下記式(2)に示す条件を満たすか否かを判定する。
Vth1≦Vout1≦Vth2 …(1)
Vout2<Vth3 …(2)
ここで、上記式(1)において、Vth1, Vth2は、所定の強度の光を照射した明時において、焦点検出画素222a,222bの出力が正常であると判定するための基準値であり、また、上記式(2)において、Vth3は、光を遮蔽した暗時において、焦点検出画素222a,222bの出力が正常であると判定するための基準値である。
【0058】
そして、カメラ制御部21は、明時出力Vout1が上記式(1)に示す条件を満たし、かつ、暗時出力Vout2が上記式(2)に示す条件を満たす焦点検出画素222a,222bについては、欠陥がないと判定し、一方、明時出力Vout1が上記式(1)に示す条件を満たさない、あるいは、暗時出力Vout2が上記式(2)に示す条件を満たさない焦点検出画素222a,222bについては、欠陥があるものと判定する。
【0059】
ステップS104では、カメラ制御部21により、ステップS103で欠陥があると判定された焦点検出画素(以下、欠陥画素ともいう。)のアドレスが、カメラ制御部21に備えるメモリに記憶される。また、本実施形態では、焦点検出画素222a,222ごとの明時出力、および暗時出力も、カメラ制御部21に備えるメモリに記憶される。
【0060】
次いで、本実施形態に係るカメラ1の動作例を説明する。図10は、本実施形態に係るカメラ1の動作例を示すフローチャートである。なお、以下の動作は、たとえば、カメラ1の電源がオンされることにより開始される。
【0061】
ステップS201では、撮像素子22により、光学系からの光束の受光が行われ、カメラ制御部21により、撮像素子22の5つの焦点検出画素列22a〜22eを構成する各焦点検出画素222a,222bから一対の像に対応した一対の像データの読み出しが開始される。なお、撮影者の手動操作により、特定の焦点検出エリアが選択されているときは、その焦点検出エリアに対応する焦点検出画素222a,222bからの出力のみを読み出すような構成としてもよい。また、カメラ制御部21は、撮像素子22から、一対の像データを、所定の間隔で繰り返し読み出す。
【0062】
ステップS202では、カメラ制御部21により、操作部28に備えられたシャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされたかどうかの判断が行なわれる。シャッターレリーズボタンが半押しされた場合は、ステップS203に進み、一方、シャッターレリーズボタンが半押しされていない場合は、シャッターレリーズボタンが半押しされるまで、ステップS202を繰り返す。
【0063】
ステップS203では、カメラ制御部21により、欠陥画素のアドレスの読み出しが行われる。本実施形態では、上述した欠陥画素の調整処理(図9参照)により、欠陥画素のアドレスが、カメラ制御部21に備えるメモリに記憶されており、カメラ制御部21は、カメラ制御部21のメモリに記憶している欠陥画素のアドレスを読み出すことで、撮像素子22の5つの焦点検出画素列22a〜22eを構成する焦点検出画素222a,222bの中から、欠陥がある焦点検出画素である欠陥画素を特定することができる。
【0064】
ステップS204では、カメラ制御部21により、ステップS203で読み出された欠陥画素のアドレスに基づいて、欠陥画素の欠陥パターンの判別が行われ、続くステップS205では、カメラ制御部21により、ステップS204で判別された欠陥パターンに応じた補間方法で、欠陥画素の出力の補間が行われる。
【0065】
ここで、図11(A)〜(D)は、本実施形態に係る欠陥画素の補間方法を説明するための図であり、欠陥画素の欠陥パターン(詳細は後述する。)ごとの、欠陥画素の補間方法を示している。なお、図11においては、瞳分割された一対の光束のうち、一方の光束を受光する焦点検出用画素を白抜きで示し、他方の光束を受光する焦点検出用画素を灰色で示している。
【0066】
たとえば、図11の(A)に示す例では、焦点検出用画素の1つが欠陥画素であり、欠陥画素と同じ瞳から光束を受光する焦点検出用画素のうち、欠陥画素に最も近い位置に位置し、かつ、欠陥画素に該当しない画素である最近接有効画素が、欠陥画素の両側に位置している欠陥パターンである単画素欠陥パターンを示している。カメラ制御部21は、単画素欠陥パターンと判別した場合に、図11の(A)に示すように、欠陥画素の両側に位置している2つの最近接有効画素の出力の平均値を算出し、算出した平均値を、欠陥画素の出力として補間する平均補間を行う。
【0067】
また、図11の(B)では、2つの欠陥画素が、配列方向に連続している連続画素欠陥パターンを示している。カメラ制御部21は、連続画素欠陥パターンと判別した場合には、図11の(B)に示すように、各欠陥画素に最も近い位置に位置する最近接有効画素の出力を、欠陥画素の出力として補間する。たとえば、図11の(B)に示す例では、連続する欠陥画素のうち左側に位置する欠陥画素については、該欠陥画素の左側に位置する最近接有効画素の出力が、該欠陥画素の出力として補間される(前置補間)。また、連続する欠陥画素のうち右側に位置する欠陥画素については、該欠陥画素の右側に位置する最近接有効画素の出力が、該欠陥画素の出力として補間される(後置補間)。
【0068】
さらに、図11の(C)では、欠陥画素が、たとえば図2に示す焦点検出画素列22a〜22eの左端に位置し、欠陥画素の左側に、該欠陥画素を補間するための最近接有効画素が存在しない左端画素欠陥パターンを示している。カメラ制御部21は、左端画素欠陥パターンと判別した場合には、図11の(C)に示すように、たとえば、欠陥画素の右側に位置している最近接有効画素の出力を、欠陥画素の出力として補間する後置補間を行う。
【0069】
加えて、図11の(D)では、欠陥画素が、たとえば図2に示す焦点検出画素列22a〜22eの右端に位置し、欠陥画素の右側に、該欠陥画素を補間するための最近接有効画素が存在しない右端画素欠陥パターンを示している。カメラ制御部21は、右端画素欠陥パターンと判別した場合には、図11の(D)に示すように、たとえば、欠陥画素の右側に位置している最近接有効画素の出力を、欠陥画素の出力として補間する前置補間を行う。
【0070】
また、本実施形態では、図2に示すように、複数の焦点検出エリアAFPが設定されており、各焦点検出エリアAFPに位置する焦点検出画素222a,222bの出力に基づいて、各焦点検出エリアAFPごとのデフォーカス量の算出が行われる。ここで、図12では、欠陥画素が焦点検出エリアAFPの右端に位置しており、欠陥画素が存在する焦点検出エリアAFPと、欠陥画素の右側に位置する最接近有効画素が存在する焦点検出エリアAFPとが異なる場面を例示している。このように、欠陥画素が存在する焦点検出エリアAFPと、最接近有効画素が存在する焦点検出エリアAFPが異なる場合でも、カメラ制御部21は、欠陥画素が存在する焦点検出エリアAFPと異なる焦点検出エリアAFPに存在する最接近有効画素の出力に基づいて、欠陥画素の出力を補間する。たとえば、図12に示す例では、カメラ制御部21は、図11の(A)に示す例と同じ単画素欠陥パターンと判別し、欠陥画素が存在する焦点検出エリアAFPと同じ焦点検出エリアAFPに存在する最近接有効画素の出力と、欠陥画素が存在する焦点検出エリアと異なる焦点検出エリアに存在する最接近有効画素の出力との平均値を、欠陥画素の出力として補間する。
【0071】
次いで、ステップS206では、カメラ制御部21により、暗電流特性に起因する焦点検出画素222a,222bの不均一性(DSNU:Dark Signal Non-Uniformity)を補正する処理が行われる。暗電流特性に起因する焦点検出画素222a,222bの不均一性の補正は、公知の方法で行うことができ、たとえば、カメラ制御部21は、図9に示す欠陥画素の調整処理で取得した各焦点検出画素222a,222bの暗時出力に基づいて、ステップS205で補間した欠陥画素の出力を含む全ての焦点検出画素222a,222bの出力の補正を行うことができる。
【0072】
ステップS207では、カメラ制御部21により、受光感度特性に起因する焦点検出画素222a,222bの不均一性(PRNU:Photo Response Non-Uniformity)を補正する処理が行われる。受光感度特性に起因する焦点検出画素222a,222bの不均一性の補正も、公知の方法で行うことができ、たとえば、本実施形態では、カメラ制御部21は、図9に示す欠陥画素の調整処理で取得した各焦点検出画素222a,222bの明時出力に基づいて、ステップS205で補間した欠陥画素の出力を含む全ての焦点検出画素222a,222bの出力の補正を行うことができる。
【0073】
そして、ステップS208では、カメラ制御部21により、焦点検出演算が行われる。本実施形態において、カメラ制御部21は、ステップS205で補間され、ステップS206,S207で補正された欠陥画素の出力と、ステップS206,S207で補正された欠陥画素以外の焦点検出画素222a,222bの出力とに基づいて、図2に示す焦点検出エリアAFPごとに、像ズレ検出演算処理(相関演算処理)を実行し、像ズレ量を演算し、さらに像ズレ量をデフォーカス量に変換する。
【0074】
そして、ステップS209では、カメラ制御部21により、ステップS208における焦点検出の結果に基づいて、フォーカスレンズ32の合焦駆動が行われる。たとえば、位相差検出方式によりデフォーカス量が算出された場合には、算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32を合焦位置まで駆動させるのに必要となるレンズ駆動量の算出が行われ、算出されたレンズ駆動量が、レンズ制御部37を介して、フォーカスレンズ駆動モータ36に送出される。これにより、フォーカスレンズ駆動モータ36により、算出されたレンズ駆動量に基づいて、フォーカスレンズ32の駆動が行われる。
【0075】
ステップS210では、カメラ制御部21により、操作部28に備えられたシャッターレリーズボタンの全押し(第2スイッチSW2のオン)がされたか否かの判断が行なわれる。第2スイッチSW2がオンされると、ステップS211に進み、被写体像の撮影が行なわれる。一方、第2スイッチSW2がオンされない場合には、フォーカスレンズ32を現在のレンズ位置に固定したまま、第2スイッチSW2がオンされるまで、待機する。
【0076】
以上のように、本実施形態に係るカメラ1は、複数の焦点検出画素222a,222bのうち欠陥がある欠陥画素のアドレスを記憶しておき、欠陥画素のアドレスに対応する位置に位置する欠陥画素の出力を、欠陥画素と同じ瞳からの光束を受光する焦点検出用画素のうち欠陥画素に最も近い位置に位置する最近接有効画素の出力に基づいて補間し、補間された欠陥画素の出力を含む複数の焦点検出用画素222a,222bの出力に基づいて、光学系の焦点状態を検出する。特に、本実施形態では、欠陥画素の欠陥パターンを判別し、欠陥画素の欠陥パターンに応じた補間方法で、欠陥画素の出力を補間する。これにより、本実施形態では、欠陥がある焦点検出画素222a,222bの出力を適切に補間することができるため、補間された欠陥画素の出力を含む複数の焦点検出用画素222a,222bの出力に基づいて、光学系の焦点状態を適切に検出することができる。
【0077】
また、本実施形態では、光学系の焦点状態を検出するために、欠陥画素の出力を補間する補間処理(ステップS205)を行った後に、暗電流特性に起因する焦点検出画素222a,222bの不均一性の補正(ステップS206)と、受光感度特性に起因する焦点検出画素222a,222bの不均一性の補正(ステップS207)とを行うことで、欠陥画素の出力の検出精度をより高めることができ、光学系の焦点状態をより適切に検出することができる。
【0078】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0079】
例えば、上述した実施形態では、位相差検出方式により焦点検出を行う構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、コントラスト検出方式により焦点検出を行う構成としてもよいし、位相差検出方式により焦点検出を行い、位相差検出方式では焦点状態を検出できない場合に、コントラスト検出方式により焦点検出を行う構成としてもよい。あるいは、位相差検出方式により焦点検出を行い、位相差検出方式では焦点状態を検出できない場合に、位相差検出方式による焦点検出と、コントラスト検出方式により焦点検出とを同時に行う構成としてもよい。
【0080】
また、上述した実施形態では、欠陥画素の出力を補間する補間処理(ステップS205)を行った後に、暗電流特性に起因する焦点検出画素222a,222bの不均一性の補正(ステップS206)と、受光感度特性に起因する焦点検出画素222a,222bの不均一性の補正(ステップS207)とを行う構成を例示しているが、この構成に限定されず、たとえば、暗電流特性に起因する焦点検出画素222a,222bの不均一性の補正と、受光感度特性に起因する焦点検出画素222a,222bの不均一性の補正とを行った後に、欠陥画素の出力を補間する補間処理を行う構成としてもよい。
【0081】
また、上述した実施形態では、撮像素子22が撮像画素221と焦点検出画素222a,222bとを有し、撮像素子22が有する焦点検出画素222a,222bにおいて、位相差検出方式による焦点検出を行う構成を例示したが、この構成に限定されるものではなく、位相差検出方式による焦点検出を行うための焦点検出モジュールを、撮像素子22と独立して設ける構成としてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…デジタルカメラ
2…カメラ本体
21…カメラ制御部
22…撮像素子
221…撮像画素
222a,222b…焦点検出画素
24…メモリ
28…操作部
3…レンズ鏡筒
32…フォーカスレンズ
36…フォーカスレンズ駆動モータ
37…レンズ制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦点検出装置および撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、撮像素子に複数の焦点検出用画素を備え、この焦点検出用画素の出力に基づいて、光学系による像面のずれ量を検出することで、光学系の焦点状態を検出する焦点検出装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−107324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、焦点検出用画素の出力に基づいて焦点検出を行うため、焦点検出用画素に欠陥がある場合には、光学系の焦点状態を適切に検出することができない問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、光学系の焦点状態を適切に検出できる焦点検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の解決手段によって上記課題を解決する。なお、以下においては、本発明の実施形態を示す図面に対応する符号を付して説明するが、この符号は発明の理解を容易にするためだけのものであって発明を限定する趣旨ではない。
【0007】
[1]本発明に係る焦点検出装置は、複数の撮像用画素(221)と複数の焦点検出用画素(222a,222b)とを備えた撮像素子(22)と、前記複数の焦点検出画素のうち欠陥がある画素である欠陥画素のアドレスを記憶している記憶部(21)と、前記記憶部に記憶されている前記アドレスに対応する位置に位置する前記欠陥画素の出力を、該欠陥画素の周囲に位置する焦点検出用画素の出力に基づいて補間する補間部(21)と、補間された前記欠陥画素の出力を含む複数の焦点検出用画素の出力に基づいて、光学系による像面のずれ量を検出することで、前記光学系の焦点状態を検出する焦点検出部(21)と、を有することを特徴とする。
【0008】
[2]上記焦点検出装置に係る発明において、前記撮像素子(22)には、瞳分割された一対の光束のうち一方の光束を受光する複数の第1の焦点検出用画素(221a)と、他方の光束を受光する複数の第2の焦点検出用画素(222b)とが一次元状に配列されており、前記補間部(21)は、前記欠陥画素と同じ瞳からの光束を受光する焦点検出用画素のうち、前記欠陥画素に最も近い位置に位置する画素であり、かつ、欠陥画素に該当しない画素である最近接有効画素の出力に基づいて、前記欠陥画素の出力を補間するように構成することができる。
【0009】
[3]上記焦点検出装置に係る発明において、前記補間部(21)は、前記最近接有効画素が2つ存在する場合には、該2つの最近接有効画素の出力の平均値に基づいて、前記欠陥画素の出力を補間し、前記最近接有効画素が1つ存在する場合には、該1つの最近接有効画素の出力に基づいて、前記欠陥画素の出力を補間するように構成することができる。
【0010】
[4]上記焦点検出装置に係る発明において、前記補間部(21)は、前記欠陥画素の周囲に位置する焦点検出用画素(221a,222b)の出力に基づいて、前記欠陥画素の出力を補間した後に、暗電流特性に起因する前記焦点検出用画素の不均一性の補正と、受光感度特性に起因する前記焦点検出用画素の不均一性の補正とを行うように構成することができる。
【0011】
[5]上記焦点検出装置に係る発明において、前記焦点検出部(21)は、前記光学系の像面内に設定された複数の焦点検出位置のうち、所定の焦点検出位置における光学系の焦点状態を、該焦点検出位置に対応する前記焦点検出用画素(222a,222b)の出力に基づいて検出し、前記補間部(21)は、前記欠陥画素に対応する焦点検出位置が、該欠陥画素の周囲に位置する焦点検出用画素に対応する焦点検出位置と異なる場合でも、前記欠陥画素の出力を、前記欠陥画素の周囲に位置する焦点検出用画素の出力に基づいて補間するように構成することができる。
【0012】
[6]本発明に係る撮像装置は、上記焦点検出装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光学系の焦点状態を適切に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本実施形態に係るカメラを示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す撮像素子の撮像面を示す正面図である。
【図3】図3は、図2の22a付近を拡大して焦点検出画素222a,222bの配列を模式的に示す正面図である。
【図4】図4は、撮像画素221の一つを拡大して示す正面図である。
【図5】図5(A)は、焦点検出画素222aの一つを拡大して示す正面図、図5(B)は、焦点検出画素222bの一つを拡大して示す正面図である。
【図6】図6は、撮像画素221の一つを拡大して示す断面図である。
【図7】図7(A)は、焦点検出画素222aの一つを拡大して示す断面図、図7(B)は、焦点検出画素222bの一つを拡大して示す断面図である。
【図8】図8は、図3のVIII-VIII線に沿う断面図である。
【図9】図9は、欠陥画素の出力を調整するための調整処理を示すフローチャートである。
【図10】図10は、本実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。
【図11】図11は、本実施形態に係る欠陥画素の補間方法を説明するための図である。
【図12】図12は、本実施形態に係る欠陥画素の補間方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係るデジタルカメラ1を示す要部構成図である。本実施形態のデジタルカメラ1(以下、単にカメラ1という。)は、カメラ本体2とレンズ鏡筒3から構成され、これらカメラ本体2とレンズ鏡筒3はマウント部4により着脱可能に結合されている。
【0017】
レンズ鏡筒3は、カメラ本体2に着脱可能な交換レンズである。図1に示すように、レンズ鏡筒3には、レンズ31,32,33、および絞り34を含む撮影光学系が内蔵されている。
【0018】
レンズ32は、フォーカスレンズであり、光軸L1方向に移動することで、撮影光学系の焦点距離を調節可能となっている。フォーカスレンズ32は、レンズ鏡筒3の光軸L1に沿って移動可能に設けられ、エンコーダ35によってその位置が検出されつつフォーカスレンズ駆動モータ36によってその位置が調節される。
【0019】
このフォーカスレンズ32の光軸L1に沿う移動機構の具体的構成は特に限定されない。一例を挙げれば、レンズ鏡筒3に固定された固定筒に回転可能に回転筒を挿入し、この回転筒の内周面にヘリコイド溝(螺旋溝)を形成するとともに、フォーカスレンズ32を固定するレンズ枠の端部をヘリコイド溝に嵌合させる。そして、フォーカスレンズ駆動モータ36によって回転筒を回転させることで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ32が光軸L1に沿って直進移動することになる。
【0020】
上述したようにレンズ鏡筒3に対して回転筒を回転させることによりレンズ枠に固定されたフォーカスレンズ32は光軸L1方向に直進移動するが、その駆動源としてのフォーカスレンズ駆動モータ36がレンズ鏡筒3に設けられている。フォーカスレンズ駆動モータ36と回転筒とは、たとえば複数の歯車からなる変速機で連結され、フォーカスレンズ駆動モータ36の駆動軸を何れか一方向へ回転駆動すると所定のギヤ比で回転筒に伝達され、そして、回転筒が何れか一方向へ回転することで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ32が光軸L1の何れかの方向へ直進移動することになる。なお、フォーカスレンズ駆動モータ36の駆動軸が逆方向に回転駆動すると、変速機を構成する複数の歯車も逆方向に回転し、フォーカスレンズ32は光軸L1の逆方向へ直進移動することになる。
【0021】
フォーカスレンズ32の位置はエンコーダ35によって検出される。既述したとおり、フォーカスレンズ32の光軸L1方向の位置は回転筒の回転角に相関するので、たとえばレンズ鏡筒3に対する回転筒の相対的な回転角を検出すれば求めることができる。
【0022】
本実施形態のエンコーダ35としては、回転筒の回転駆動に連結された回転円板の回転をフォトインタラプタなどの光センサで検出して、回転数に応じたパルス信号を出力するものや、固定筒と回転筒の何れか一方に設けられたフレキシブルプリント配線板の表面のエンコーダパターンに、何れか他方に設けられたブラシ接点を接触させ、回転筒の移動量(回転方向でも光軸方向の何れでもよい)に応じた接触位置の変化を検出回路で検出するものなどを用いることができる。
【0023】
フォーカスレンズ32は、上述した回転筒の回転によってカメラボディ側の端部(至近端ともいう)から被写体側の端部(無限端ともいう)までの間を光軸L1方向に移動することができる。ちなみに、エンコーダ35で検出されたフォーカスレンズ32の現在位置情報は、レンズ制御部37を介して後述するカメラ制御部21へ送出され、フォーカスレンズ駆動モータ36は、この情報に基づいて演算されたフォーカスレンズ32の駆動位置が、カメラ制御部21からレンズ制御部37を介して送出されることにより駆動する。
【0024】
絞り34は、上記撮影光学系を通過して撮像素子22に至る光束の光量を制限するとともにボケ量を調整するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。絞り34による開口径の調節は、たとえば自動露出モードにおいて演算された適切な開口径が、カメラ制御部21からレンズ制御部37を介して送出されることにより行われる。また、カメラ本体2に設けられた操作部28によるマニュアル操作により、設定された開口径がカメラ制御部21からレンズ制御部37に入力される。絞り34の開口径は図示しない絞り開口センサにより検出され、レンズ制御部37で現在の開口径が認識される。
【0025】
一方、カメラ本体2には、上記撮影光学系からの光束L1を受光する撮像素子22が、撮影光学系の予定焦点面に設けられ、その前面にシャッター23が設けられている。撮像素子22はCCDやCMOSなどのデバイスから構成され、受光した光信号を電気信号に変換してカメラ制御部21に送出する。カメラ制御部21に送出された撮影画像情報は、逐次、液晶駆動回路25に送出されて観察光学系の電子ビューファインダ(EVF)26に表示されるとともに、操作部28に備えられたレリーズボタン(不図示)が全押しされた場合には、その撮影画像情報が、記録媒体であるカメラメモリ24に記録される。なお、カメラメモリ24は着脱可能なカード型メモリや内蔵型メモリの何れをも用いることができる。撮像素子22の構造の詳細は後述する。
【0026】
カメラ本体2には、撮像素子22で撮像される像を観察するための観察光学系が設けられている。本実施形態の観察光学系は、液晶表示素子からなる電子ビューファインダ(EVF)26と、これを駆動する液晶駆動回路25と、接眼レンズ27とを備えている。液晶駆動回路25は、撮像素子22で撮像され、カメラ制御部21へ送出された撮影画像情報を読み込み、これに基づいて電子ビューファインダ26を駆動する。これにより、ユーザは、接眼レンズ27を通して現在の撮影画像を観察することができる。なお、光軸L2による上記観察光学系に代えて、または、これに加えて、液晶ディスプレイをカメラ本体2の背面等に設け、この液晶ディスプレイに撮影画像を表示させることもできる。
【0027】
カメラ本体2にはカメラ制御部21が設けられている。カメラ制御部21は、マウント部4に設けられた電気信号接点部41によりレンズ制御部37と電気的に接続され、このレンズ制御部37からレンズ情報を受信するとともに、レンズ制御部37へデフォーカス量や絞り開口径などの情報を送信する。また、カメラ制御部21は、上述したように撮像素子22から画素出力を読み出すとともに、読み出した画素出力について、必要に応じて所定の情報処理を施すことにより画像情報を生成し、生成した画像情報を、電子ビューファインダ26の液晶駆動回路25やメモリ24に出力する。また、カメラ制御部21は、撮像素子22からの画像情報の補正やレンズ鏡筒3の焦点調節状態、絞り調節状態などを検出するなど、カメラ1全体の制御を司る。
【0028】
また、カメラ制御部21は、上記に加えて、撮像素子22から読み出した画素データに基づき、位相検出方式による撮影光学系の焦点状態の検出、およびコントラスト検出方式による撮影光学系の焦点状態の検出を行う。なお、具体的な焦点状態の検出方法については、後述する。
【0029】
操作部28は、シャッターレリーズボタンや撮影者がカメラ1の各種動作モードを設定するための入力スイッチであり、オートフォーカスモード/マニュアルフォーカスモードの切換が行えるようになっている。この操作部28により設定された各種モードはカメラ制御部21へ送出され、当該カメラ制御部21によりカメラ1全体の動作が制御される。また、シャッターレリーズボタンは、ボタンの半押しでONとなる第1スイッチSW1と、ボタンの全押しでONとなる第2スイッチSW2とを含む。
【0030】
次に、本実施形態に係る撮像素子22について説明する。
【0031】
図2は、撮像素子22の撮像面を示す正面図、図3は、図2の焦点検出画素列22a付近を拡大して焦点検出画素222a,222bの配列を模式的に示す正面図である。
【0032】
本実施形態の撮像素子22は、図3に示すように、複数の撮像画素221が、撮像面の平面上に二次元的に配列され、緑色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する緑画素Gと、赤色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する赤画素Rと、青色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する青画素Bがいわゆるベイヤー配列(Bayer Arrangement)されたものである。すなわち、隣接する4つの画素群223(稠密正方格子配列)において一方の対角線上に2つの緑画素が配列され、他方の対角線上に赤画素と青画素が1つずつ配列されている。このベイヤー配列された画素群223を単位として、当該画素群223を撮像素子22の撮像面に二次元状に繰り返し配列することで撮像素子22が構成されている。
【0033】
なお、単位画素群223の配列は、図示する稠密正方格子以外にも、たとえば稠密六方格子配列にすることもできる。また、カラーフィルタの構成や配列はこれに限定されることはなく、補色フィルタ(緑:G、イエロー:Ye、マゼンタ:Mg,シアン:Cy)の配列を採用することもできる。
【0034】
図4は、撮像画素221の一つを拡大して示す正面図、図6は断面図である。一つの撮像画素221は、マイクロレンズ2211と、光電変換部2212と、図示しないカラーフィルタから構成され、図6の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2212が造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2211が形成されている。光電変換部2212は、マイクロレンズ2211により撮影光学系31の射出瞳(たとえばF1.0)を通過する撮像光束を受光する形状とされ、撮像光束を受光する。
【0035】
また、撮像素子22の撮像面には、上述した撮像画素221に代えて焦点検出画素222a,222bが配列された焦点検出画素列22a〜22eが設けられている。そして、図3に示すように、一つの焦点検出画素列は、複数の焦点検出画素222aおよび222bが、互いに隣接して交互に、横一列(22a〜22e)に配列されて構成されている。本実施形態においては、焦点検出画素222aおよび222bは、ベイヤー配列された撮像画素221の緑画素Gと青画素Bとの位置にギャップを設けることなく密に配列されている。
【0036】
なお、図2に示す焦点検出画素列22a〜22eの位置は図示する位置にのみ限定されず、何れか一箇所、二箇所、三箇所、あるいは四箇所とすることもでき、また、六箇所以上の位置に配置することもできる。また、図3においては、16個の焦点検出画素222a,222bにより、焦点検出画素列を構成する例を示しているが、焦点検出画素列を構成する焦点検出画素の数は、この例に限定されるものではない。
【0037】
図5(A)は、焦点検出画素222aの一つを拡大して示す正面図、図7(A)は、焦点検出画素222aの断面図である。また、図5(B)は、焦点検出画素222bの一つを拡大して示す正面図、図7(B)は、焦点検出画素222bの断面図である。焦点検出画素222aは、図5(A)に示すように、マイクロレンズ2221aと、半円形状の光電変換部2222aとから構成され、図7(A)の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2222aが造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2221aが形成されている。また、焦点検出画素222bは、図5(B)に示すように、マイクロレンズ2221bと、光電変換部2222bとから構成され、図7(B)の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2222bが造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2221bが形成されている。そして、これら焦点検出画素222aおよび222bは、図3に示すように、互いに隣接して交互に、横一列に配列されることにより、図2に示す焦点検出画素列22a〜22eを構成する。
【0038】
なお、焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bは、マイクロレンズ2221a,2221bにより撮影光学系の射出瞳の所定の領域(たとえばF2.8)を通過する光束を受光するような形状とされる。また、焦点検出画素222a,222bにはカラーフィルタは設けられておらず、その分光特性は、光電変換を行うフォトダイオードの分光特性と、図示しない赤外カットフィルタの分光特性を総合したものとなっている。ただし、撮像画素221と同じカラーフィルタのうちの一つ、たとえば緑フィルタを備えるように構成することもできる。
【0039】
また、図5(A)、図5(B)に示す焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bは半円形状としたが、光電変換部2222a,2222bの形状はこれに限定されず、他の形状、たとえば、楕円形状、矩形状、多角形状とすることもできる。
【0040】
ここで、上述した焦点検出画素222a,222bの画素出力に基づいて撮影光学系の焦点状態を検出する、いわゆる位相差検出方式について説明する。
【0041】
図8は、図3のVIII-VIII線に沿う断面図であり、撮影光軸L1近傍に配置され、互いに隣接する焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2が、射出瞳34の測距瞳341,342から照射される光束AB1−1,AB2−1,AB1−2,AB2−2をそれぞれ受光していることを示している。なお、図8においては、複数の焦点検出画素222a,222bのうち、撮影光軸L1近傍に位置するもののみを例示して示したが、図8に示す焦点検出画素以外のその他の焦点検出画素についても、同様に、一対の測距瞳341,342から照射される光束をそれぞれ受光するように構成されている。
【0042】
ここで、射出瞳34とは、撮影光学系の予定焦点面に配置された焦点検出画素222a,222bのマイクロレンズ2221a,2221bの前方の距離Dの位置に設定された像である。距離Dは、マイクロレンズの曲率、屈折率、マイクロレンズと光電変換部との距離などに応じて一義的に決まる値であって、この距離Dを測距瞳距離と称する。また、測距瞳341,342とは、焦点検出画素222a,222bのマイクロレンズ2221a,2221bにより、それぞれ投影された光電変換部2222a,2222bの像をいう。
【0043】
なお、図8において焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2の配列方向は一対の測距瞳341,342の並び方向と一致している。
【0044】
また、図8に示すように、焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2のマイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2は、撮影光学系の予定焦点面近傍に配置されている。そして、マイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2の背後に配置された各光電変換部2222a−1,2222b−1,2222a−2,2222b−2の形状が、各マイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2から測距距離Dだけ離れた射出瞳34上に投影され、その投影形状は測距瞳341,342を形成する。
【0045】
すなわち、測距距離Dにある射出瞳34上で、各焦点検出画素の光電変換部の投影形状(測距瞳341,342)が一致するように、各焦点検出画素におけるマイクロレンズと光電変換部の相対的位置関係が定められ、それにより各焦点検出画素における光電変換部の投影方向が決定されている。
【0046】
図8に示すように、焦点検出画素222a−1の光電変換部2222a−1は、測距瞳341を通過し、マイクロレンズ2221a−1に向う光束AB1−1によりマイクロレンズ2221a−1上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、焦点検出画素222a−2の光電変換部2222a−2は測距瞳341を通過し、マイクロレンズ2221a−2に向う光束AB1−2によりマイクロレンズ2221a−2上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
【0047】
また、焦点検出画素222b−1の光電変換部2222b−1は測距瞳342を通過し、マイクロレンズ2221b−1に向う光束AB2−1によりマイクロレンズ2221b−1上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、焦点検出画素222b−2の光電変換部2222b−2は測距瞳342を通過し、マイクロレンズ2221b−2に向う光束AB2−2によりマイクロレンズ2221b−2上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
【0048】
そして、上述した2種類の焦点検出画素222a,222bを、図3に示すように直線状に複数配置し、各焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bの出力を、測距瞳341と測距瞳342とのそれぞれに対応した出力グループにまとめることにより、測距瞳341と測距瞳342とのそれぞれを通過する焦点検出光束が焦点検出画素列上に形成する一対の像の強度分布に関するデータが得られる。そして、この強度分布データに対し、相関演算処理または位相差検出処理などの像ズレ検出演算処理を施すことにより、いわゆる位相差検出方式による像ズレ量を検出することができる。
【0049】
そして、得られた像ズレ量に一対の測距瞳の重心間隔に応じた変換演算を施すことにより、予定焦点面に対する現在の焦点面(予定焦点面上のマイクロレンズアレイの位置に対応した焦点検出位置における焦点面をいう。)の偏差、すなわちデフォーカス量を求めることができる。
【0050】
なお、本実施形態では、図2に示すように、撮像画面内には、光学系の焦点状態を検出するための焦点検出エリアAFP(図2中、破線で示す。)が複数設定されており、焦点検出エリアAFPごとに、デフォーカス量の検出が行われる。また、これら位相差検出方式による像ズレ量の演算と、これに基づくデフォーカス量の演算は、カメラ制御部21により実行される。
【0051】
また、カメラ制御部21は、撮像素子22の撮像画素221の出力を読み出し、読み出した画素出力に基づき、焦点評価値の演算を行う。この焦点評価値は、たとえば撮像素子22の撮像画素221からの画像出力の高周波成分を、高周波透過フィルタを用いて抽出し、これを積算して焦点電圧を検出することで求めることができる。また、遮断周波数が異なる2つの高周波透過フィルタを用いて高周波成分を抽出し、それぞれを積算して焦点電圧を検出することでも求めることができる。
【0052】
そして、カメラ制御部21は、レンズ制御部37に制御信号を送出してフォーカスレンズ32を所定のサンプリング間隔(距離)で駆動させ、それぞれの位置における焦点評価値を求め、該焦点評価値が最大となるフォーカスレンズ32の位置を合焦位置として求める、コントラスト検出方式による焦点検出を実行する。なお、この合焦位置は、たとえば、フォーカスレンズ32を駆動させながら焦点評価値を算出した場合に、焦点評価値が、2回上昇した後、さらに、2回下降して推移した場合に、これらの焦点評価値を用いて、内挿法などの演算を行うことで求めることができる。
【0053】
次いで、図9を参照して、欠陥画素の出力を補間するための前処理として、欠陥画素の出力を調整するための調整処理について説明する。なお、図9は、欠陥画素の出力を調整するための調整処理を示すフローチャートである。また、この調整処理は、欠陥画素を特定し、欠陥画素のアドレスを記憶するための処理であり、たとえば工場出荷前に行われる。
【0054】
まず、ステップS101では、たとえば、光源からの照射光を拡散板やトレーシングペーパーなどにより拡散して均一輝度面を生成し、カメラ制御部21により、均一輝度面における、撮像素子22の各焦点検出画素222a,222bごとの出力を、明時出力として取得する。
【0055】
次いで、ステップS102では、撮像素子22に入射する光を遮蔽して、周囲環境を暗黒状態とし、カメラ制御部21により、暗黒状態における、撮像素子22の各焦点検出画素222a,222bごとの出力を、暗時出力として取得する。
【0056】
そして、ステップS103では、カメラ制御部21により、各焦点検出画素222a,222bに欠陥があるか否かの判定が行われる。ここで、焦点検出画素222a,222bの欠陥とは、たとえば受光した光の強度に応じた、焦点検出画素222a,222bの出力の線形性の異常や、均一輝度面における、焦点検出画素222a,222b間の出力の異常(明時出力のばらつき異常)、暗黒状態において、所定以上の暗電流が流れてしまうなどの暗電流特性の異常などを含むものである。
【0057】
具体的に、カメラ制御部21は、ステップS101で取得した焦点検出画素222a,222bの明時出力Vout1、および、ステップS102で取得した焦点検出画素222a,222bの暗時出力Vout2が、それぞれ、下記式(1)および下記式(2)に示す条件を満たすか否かを判定する。
Vth1≦Vout1≦Vth2 …(1)
Vout2<Vth3 …(2)
ここで、上記式(1)において、Vth1, Vth2は、所定の強度の光を照射した明時において、焦点検出画素222a,222bの出力が正常であると判定するための基準値であり、また、上記式(2)において、Vth3は、光を遮蔽した暗時において、焦点検出画素222a,222bの出力が正常であると判定するための基準値である。
【0058】
そして、カメラ制御部21は、明時出力Vout1が上記式(1)に示す条件を満たし、かつ、暗時出力Vout2が上記式(2)に示す条件を満たす焦点検出画素222a,222bについては、欠陥がないと判定し、一方、明時出力Vout1が上記式(1)に示す条件を満たさない、あるいは、暗時出力Vout2が上記式(2)に示す条件を満たさない焦点検出画素222a,222bについては、欠陥があるものと判定する。
【0059】
ステップS104では、カメラ制御部21により、ステップS103で欠陥があると判定された焦点検出画素(以下、欠陥画素ともいう。)のアドレスが、カメラ制御部21に備えるメモリに記憶される。また、本実施形態では、焦点検出画素222a,222ごとの明時出力、および暗時出力も、カメラ制御部21に備えるメモリに記憶される。
【0060】
次いで、本実施形態に係るカメラ1の動作例を説明する。図10は、本実施形態に係るカメラ1の動作例を示すフローチャートである。なお、以下の動作は、たとえば、カメラ1の電源がオンされることにより開始される。
【0061】
ステップS201では、撮像素子22により、光学系からの光束の受光が行われ、カメラ制御部21により、撮像素子22の5つの焦点検出画素列22a〜22eを構成する各焦点検出画素222a,222bから一対の像に対応した一対の像データの読み出しが開始される。なお、撮影者の手動操作により、特定の焦点検出エリアが選択されているときは、その焦点検出エリアに対応する焦点検出画素222a,222bからの出力のみを読み出すような構成としてもよい。また、カメラ制御部21は、撮像素子22から、一対の像データを、所定の間隔で繰り返し読み出す。
【0062】
ステップS202では、カメラ制御部21により、操作部28に備えられたシャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされたかどうかの判断が行なわれる。シャッターレリーズボタンが半押しされた場合は、ステップS203に進み、一方、シャッターレリーズボタンが半押しされていない場合は、シャッターレリーズボタンが半押しされるまで、ステップS202を繰り返す。
【0063】
ステップS203では、カメラ制御部21により、欠陥画素のアドレスの読み出しが行われる。本実施形態では、上述した欠陥画素の調整処理(図9参照)により、欠陥画素のアドレスが、カメラ制御部21に備えるメモリに記憶されており、カメラ制御部21は、カメラ制御部21のメモリに記憶している欠陥画素のアドレスを読み出すことで、撮像素子22の5つの焦点検出画素列22a〜22eを構成する焦点検出画素222a,222bの中から、欠陥がある焦点検出画素である欠陥画素を特定することができる。
【0064】
ステップS204では、カメラ制御部21により、ステップS203で読み出された欠陥画素のアドレスに基づいて、欠陥画素の欠陥パターンの判別が行われ、続くステップS205では、カメラ制御部21により、ステップS204で判別された欠陥パターンに応じた補間方法で、欠陥画素の出力の補間が行われる。
【0065】
ここで、図11(A)〜(D)は、本実施形態に係る欠陥画素の補間方法を説明するための図であり、欠陥画素の欠陥パターン(詳細は後述する。)ごとの、欠陥画素の補間方法を示している。なお、図11においては、瞳分割された一対の光束のうち、一方の光束を受光する焦点検出用画素を白抜きで示し、他方の光束を受光する焦点検出用画素を灰色で示している。
【0066】
たとえば、図11の(A)に示す例では、焦点検出用画素の1つが欠陥画素であり、欠陥画素と同じ瞳から光束を受光する焦点検出用画素のうち、欠陥画素に最も近い位置に位置し、かつ、欠陥画素に該当しない画素である最近接有効画素が、欠陥画素の両側に位置している欠陥パターンである単画素欠陥パターンを示している。カメラ制御部21は、単画素欠陥パターンと判別した場合に、図11の(A)に示すように、欠陥画素の両側に位置している2つの最近接有効画素の出力の平均値を算出し、算出した平均値を、欠陥画素の出力として補間する平均補間を行う。
【0067】
また、図11の(B)では、2つの欠陥画素が、配列方向に連続している連続画素欠陥パターンを示している。カメラ制御部21は、連続画素欠陥パターンと判別した場合には、図11の(B)に示すように、各欠陥画素に最も近い位置に位置する最近接有効画素の出力を、欠陥画素の出力として補間する。たとえば、図11の(B)に示す例では、連続する欠陥画素のうち左側に位置する欠陥画素については、該欠陥画素の左側に位置する最近接有効画素の出力が、該欠陥画素の出力として補間される(前置補間)。また、連続する欠陥画素のうち右側に位置する欠陥画素については、該欠陥画素の右側に位置する最近接有効画素の出力が、該欠陥画素の出力として補間される(後置補間)。
【0068】
さらに、図11の(C)では、欠陥画素が、たとえば図2に示す焦点検出画素列22a〜22eの左端に位置し、欠陥画素の左側に、該欠陥画素を補間するための最近接有効画素が存在しない左端画素欠陥パターンを示している。カメラ制御部21は、左端画素欠陥パターンと判別した場合には、図11の(C)に示すように、たとえば、欠陥画素の右側に位置している最近接有効画素の出力を、欠陥画素の出力として補間する後置補間を行う。
【0069】
加えて、図11の(D)では、欠陥画素が、たとえば図2に示す焦点検出画素列22a〜22eの右端に位置し、欠陥画素の右側に、該欠陥画素を補間するための最近接有効画素が存在しない右端画素欠陥パターンを示している。カメラ制御部21は、右端画素欠陥パターンと判別した場合には、図11の(D)に示すように、たとえば、欠陥画素の右側に位置している最近接有効画素の出力を、欠陥画素の出力として補間する前置補間を行う。
【0070】
また、本実施形態では、図2に示すように、複数の焦点検出エリアAFPが設定されており、各焦点検出エリアAFPに位置する焦点検出画素222a,222bの出力に基づいて、各焦点検出エリアAFPごとのデフォーカス量の算出が行われる。ここで、図12では、欠陥画素が焦点検出エリアAFPの右端に位置しており、欠陥画素が存在する焦点検出エリアAFPと、欠陥画素の右側に位置する最接近有効画素が存在する焦点検出エリアAFPとが異なる場面を例示している。このように、欠陥画素が存在する焦点検出エリアAFPと、最接近有効画素が存在する焦点検出エリアAFPが異なる場合でも、カメラ制御部21は、欠陥画素が存在する焦点検出エリアAFPと異なる焦点検出エリアAFPに存在する最接近有効画素の出力に基づいて、欠陥画素の出力を補間する。たとえば、図12に示す例では、カメラ制御部21は、図11の(A)に示す例と同じ単画素欠陥パターンと判別し、欠陥画素が存在する焦点検出エリアAFPと同じ焦点検出エリアAFPに存在する最近接有効画素の出力と、欠陥画素が存在する焦点検出エリアと異なる焦点検出エリアに存在する最接近有効画素の出力との平均値を、欠陥画素の出力として補間する。
【0071】
次いで、ステップS206では、カメラ制御部21により、暗電流特性に起因する焦点検出画素222a,222bの不均一性(DSNU:Dark Signal Non-Uniformity)を補正する処理が行われる。暗電流特性に起因する焦点検出画素222a,222bの不均一性の補正は、公知の方法で行うことができ、たとえば、カメラ制御部21は、図9に示す欠陥画素の調整処理で取得した各焦点検出画素222a,222bの暗時出力に基づいて、ステップS205で補間した欠陥画素の出力を含む全ての焦点検出画素222a,222bの出力の補正を行うことができる。
【0072】
ステップS207では、カメラ制御部21により、受光感度特性に起因する焦点検出画素222a,222bの不均一性(PRNU:Photo Response Non-Uniformity)を補正する処理が行われる。受光感度特性に起因する焦点検出画素222a,222bの不均一性の補正も、公知の方法で行うことができ、たとえば、本実施形態では、カメラ制御部21は、図9に示す欠陥画素の調整処理で取得した各焦点検出画素222a,222bの明時出力に基づいて、ステップS205で補間した欠陥画素の出力を含む全ての焦点検出画素222a,222bの出力の補正を行うことができる。
【0073】
そして、ステップS208では、カメラ制御部21により、焦点検出演算が行われる。本実施形態において、カメラ制御部21は、ステップS205で補間され、ステップS206,S207で補正された欠陥画素の出力と、ステップS206,S207で補正された欠陥画素以外の焦点検出画素222a,222bの出力とに基づいて、図2に示す焦点検出エリアAFPごとに、像ズレ検出演算処理(相関演算処理)を実行し、像ズレ量を演算し、さらに像ズレ量をデフォーカス量に変換する。
【0074】
そして、ステップS209では、カメラ制御部21により、ステップS208における焦点検出の結果に基づいて、フォーカスレンズ32の合焦駆動が行われる。たとえば、位相差検出方式によりデフォーカス量が算出された場合には、算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32を合焦位置まで駆動させるのに必要となるレンズ駆動量の算出が行われ、算出されたレンズ駆動量が、レンズ制御部37を介して、フォーカスレンズ駆動モータ36に送出される。これにより、フォーカスレンズ駆動モータ36により、算出されたレンズ駆動量に基づいて、フォーカスレンズ32の駆動が行われる。
【0075】
ステップS210では、カメラ制御部21により、操作部28に備えられたシャッターレリーズボタンの全押し(第2スイッチSW2のオン)がされたか否かの判断が行なわれる。第2スイッチSW2がオンされると、ステップS211に進み、被写体像の撮影が行なわれる。一方、第2スイッチSW2がオンされない場合には、フォーカスレンズ32を現在のレンズ位置に固定したまま、第2スイッチSW2がオンされるまで、待機する。
【0076】
以上のように、本実施形態に係るカメラ1は、複数の焦点検出画素222a,222bのうち欠陥がある欠陥画素のアドレスを記憶しておき、欠陥画素のアドレスに対応する位置に位置する欠陥画素の出力を、欠陥画素と同じ瞳からの光束を受光する焦点検出用画素のうち欠陥画素に最も近い位置に位置する最近接有効画素の出力に基づいて補間し、補間された欠陥画素の出力を含む複数の焦点検出用画素222a,222bの出力に基づいて、光学系の焦点状態を検出する。特に、本実施形態では、欠陥画素の欠陥パターンを判別し、欠陥画素の欠陥パターンに応じた補間方法で、欠陥画素の出力を補間する。これにより、本実施形態では、欠陥がある焦点検出画素222a,222bの出力を適切に補間することができるため、補間された欠陥画素の出力を含む複数の焦点検出用画素222a,222bの出力に基づいて、光学系の焦点状態を適切に検出することができる。
【0077】
また、本実施形態では、光学系の焦点状態を検出するために、欠陥画素の出力を補間する補間処理(ステップS205)を行った後に、暗電流特性に起因する焦点検出画素222a,222bの不均一性の補正(ステップS206)と、受光感度特性に起因する焦点検出画素222a,222bの不均一性の補正(ステップS207)とを行うことで、欠陥画素の出力の検出精度をより高めることができ、光学系の焦点状態をより適切に検出することができる。
【0078】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0079】
例えば、上述した実施形態では、位相差検出方式により焦点検出を行う構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、コントラスト検出方式により焦点検出を行う構成としてもよいし、位相差検出方式により焦点検出を行い、位相差検出方式では焦点状態を検出できない場合に、コントラスト検出方式により焦点検出を行う構成としてもよい。あるいは、位相差検出方式により焦点検出を行い、位相差検出方式では焦点状態を検出できない場合に、位相差検出方式による焦点検出と、コントラスト検出方式により焦点検出とを同時に行う構成としてもよい。
【0080】
また、上述した実施形態では、欠陥画素の出力を補間する補間処理(ステップS205)を行った後に、暗電流特性に起因する焦点検出画素222a,222bの不均一性の補正(ステップS206)と、受光感度特性に起因する焦点検出画素222a,222bの不均一性の補正(ステップS207)とを行う構成を例示しているが、この構成に限定されず、たとえば、暗電流特性に起因する焦点検出画素222a,222bの不均一性の補正と、受光感度特性に起因する焦点検出画素222a,222bの不均一性の補正とを行った後に、欠陥画素の出力を補間する補間処理を行う構成としてもよい。
【0081】
また、上述した実施形態では、撮像素子22が撮像画素221と焦点検出画素222a,222bとを有し、撮像素子22が有する焦点検出画素222a,222bにおいて、位相差検出方式による焦点検出を行う構成を例示したが、この構成に限定されるものではなく、位相差検出方式による焦点検出を行うための焦点検出モジュールを、撮像素子22と独立して設ける構成としてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…デジタルカメラ
2…カメラ本体
21…カメラ制御部
22…撮像素子
221…撮像画素
222a,222b…焦点検出画素
24…メモリ
28…操作部
3…レンズ鏡筒
32…フォーカスレンズ
36…フォーカスレンズ駆動モータ
37…レンズ制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の撮像用画素と複数の焦点検出用画素とを備えた撮像素子と、
前記複数の焦点検出画素のうち欠陥がある画素である欠陥画素のアドレスを記憶している記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記アドレスに対応する位置に位置する前記欠陥画素の出力を、該欠陥画素の周囲に位置する焦点検出用画素の出力に基づいて補間する補間部と、
補間された前記欠陥画素の出力を含む複数の焦点検出用画素の出力に基づいて、光学系による像面のずれ量を検出することで、前記光学系の焦点状態を検出する焦点検出部と、を有することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の焦点検出装置において、
前記撮像素子には、瞳分割された一対の光束のうち一方の光束を受光する複数の第1の焦点検出用画素と、他方の光束を受光する複数の第2の焦点検出用画素とが一次元状に配列されており、
前記補間部は、前記欠陥画素と同じ瞳からの光束を受光する焦点検出用画素のうち、前記欠陥画素に最も近い位置に位置する画素であり、かつ、欠陥画素に該当しない画素である最近接有効画素の出力に基づいて、前記欠陥画素の出力を補間することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の焦点検出装置において、
前記補間部は、前記最近接有効画素が2つ存在する場合には、該2つの最近接有効画素の出力の平均値に基づいて、前記欠陥画素の出力を補間し、前記最近接有効画素が1つ存在する場合には、該1つの最近接有効画素の出力に基づいて、前記欠陥画素の出力を補間することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の焦点検出装置において、
前記補間部は、前記欠陥画素の周囲に位置する焦点検出用画素の出力に基づいて、前記欠陥画素の出力を補間した後に、暗電流特性に起因する前記焦点検出用画素の不均一性の補正と、受光感度特性に起因する前記焦点検出用画素の不均一性の補正とを行うことを特徴とする焦点検出装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の焦点検出装置において、
前記焦点検出部は、前記光学系の像面内に設定された複数の焦点検出位置のうち、所定の焦点検出位置における光学系の焦点状態を、該焦点検出位置に対応する前記焦点検出用画素の出力に基づいて検出し、
前記補間部は、前記欠陥画素に対応する焦点検出位置が、該欠陥画素の周囲に位置する焦点検出用画素に対応する焦点検出位置と異なる場合でも、前記欠陥画素の出力を、前記欠陥画素の周囲に位置する焦点検出用画素の出力に基づいて補間することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の焦点検出装置を備える撮像装置。
【請求項1】
複数の撮像用画素と複数の焦点検出用画素とを備えた撮像素子と、
前記複数の焦点検出画素のうち欠陥がある画素である欠陥画素のアドレスを記憶している記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記アドレスに対応する位置に位置する前記欠陥画素の出力を、該欠陥画素の周囲に位置する焦点検出用画素の出力に基づいて補間する補間部と、
補間された前記欠陥画素の出力を含む複数の焦点検出用画素の出力に基づいて、光学系による像面のずれ量を検出することで、前記光学系の焦点状態を検出する焦点検出部と、を有することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の焦点検出装置において、
前記撮像素子には、瞳分割された一対の光束のうち一方の光束を受光する複数の第1の焦点検出用画素と、他方の光束を受光する複数の第2の焦点検出用画素とが一次元状に配列されており、
前記補間部は、前記欠陥画素と同じ瞳からの光束を受光する焦点検出用画素のうち、前記欠陥画素に最も近い位置に位置する画素であり、かつ、欠陥画素に該当しない画素である最近接有効画素の出力に基づいて、前記欠陥画素の出力を補間することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の焦点検出装置において、
前記補間部は、前記最近接有効画素が2つ存在する場合には、該2つの最近接有効画素の出力の平均値に基づいて、前記欠陥画素の出力を補間し、前記最近接有効画素が1つ存在する場合には、該1つの最近接有効画素の出力に基づいて、前記欠陥画素の出力を補間することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の焦点検出装置において、
前記補間部は、前記欠陥画素の周囲に位置する焦点検出用画素の出力に基づいて、前記欠陥画素の出力を補間した後に、暗電流特性に起因する前記焦点検出用画素の不均一性の補正と、受光感度特性に起因する前記焦点検出用画素の不均一性の補正とを行うことを特徴とする焦点検出装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の焦点検出装置において、
前記焦点検出部は、前記光学系の像面内に設定された複数の焦点検出位置のうち、所定の焦点検出位置における光学系の焦点状態を、該焦点検出位置に対応する前記焦点検出用画素の出力に基づいて検出し、
前記補間部は、前記欠陥画素に対応する焦点検出位置が、該欠陥画素の周囲に位置する焦点検出用画素に対応する焦点検出位置と異なる場合でも、前記欠陥画素の出力を、前記欠陥画素の周囲に位置する焦点検出用画素の出力に基づいて補間することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の焦点検出装置を備える撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−11762(P2013−11762A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144734(P2011−144734)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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