説明

焦点検出装置及びその制御方法

【課題】欠陥画素を有する場合であっても合焦時の精度が低減することを防止可能とする。
【解決手段】カメラ1は、複数の第1の焦点検出用画素と複数の第2の焦点検出用画素から構成され、第1の焦点検出用画素と第2の焦点検出用画素とが構成する焦点検出用画素対を複数有する焦点検出センサを有し、その欠陥画素を示す欠陥情報を記憶する。カメラ1は、欠陥情報が示す欠陥画素の値と、欠陥画素と焦点検出用画素対を構成する第1の焦点検出用画素又は第2の焦点検出用画素の値とを、欠陥画素でない同種の焦点検出用画素の値に基づいて補間する。カメラ1は、補間後の第1の焦点検出用画素から得られる第1の焦点検出像と、第2の焦点検出用画素から得られる第2の焦点検出像との位相差から、焦点状態を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦点検出装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、焦点検出装置の高性能化に伴い、ファインダ内の多くの点で測距可能ないわゆる多点測距タイプの焦点検出装置が多く提案されている。位相差AFの原理を活用して多点測距を行う焦点検出装置においては、夫々の測距点に対応した1対の焦点検出像を取得して相関演算を行い、その位相差からデフォーカス量を計算する方法が用いられている。
【0003】
このような焦点検出装置では、測距点の増加に伴い焦点検出像を取得するための光電変換部も増加している。一方、光電変換部は製造上の欠陥を完全に排除することは非常に困難である。特許文献1には、欠陥のある光電変換の信号を周辺の信号から補間生成することで欠陥の影響を低減する技術が開示されている。また、特許文献2には、稠密に配置された光電変換部のうち欠陥を含まない箇所を測距用の信号として用いることで欠陥の影響を排除する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平5−56355号公報
【特許文献2】特開2001−177756号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に焦点検出装置には合焦時の精度が要求される。ここでいう合焦時の精度とは、撮影光学系の結像面(空間周波数が最も高い位置)と焦点検出装置の求めた合焦位置のずれを指す。
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に記載の方法では、1対の焦点検出像のうちの一方の焦点検出像の欠陥画素が補間生成されるために他方の焦点検出像との相関性が失われてしまい、1対の焦点検出像による相関演算に影響が生じる。このため、合焦時の精度が低減する虞があった。特に被写体の輪郭などの被写体像において特徴がある場所が欠陥画素にかかる場合は影響を受けやすい。
【0006】
本発明は、このような従来技術の課題を解決することを目的としてなされたものである。本発明の目的は、欠陥画素を有する場合であっても合焦時の精度が低減することを防止可能な焦点検出装置、その制御方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、撮像光学系による結像面の焦点状態を検出する焦点検出装置において、複数の第1の焦点検出用画素と複数の第2の焦点検出用画素から構成され、前記第1の焦点検出用画素と前記第2の焦点検出用画素とが構成する焦点検出用画素対を複数有する焦点検出センサと、前記焦点検出センサの欠陥画素を示す欠陥情報を記憶する欠陥記憶手段と、前記欠陥情報が示す欠陥画素の値と、当該欠陥画素と前記焦点検出用画素対を構成する前記第1の焦点検出用画素又は前記第2の焦点検出用画素の値とを、前記欠陥画素でない同種の焦点検出用画素の値に基づいて補間する補間手段と、前記補間手段による補間後の前記複数の焦点検出用画素対の前記第1の焦点検出用画素から得られる第1の焦点検出像と、前記第2の焦点検出用画素から得られる第2の焦点検出像との位相差から、前記焦点状態を検出する検出手段と、を備えることを特徴とする本発明による焦点検出装置によって達成される。
【0008】
また、上記目的は、撮像光学系による結像面の焦点状態を検出する焦点検出装置において、複数の第1の焦点検出用画素と複数の第2の焦点検出用画素から構成され、前記第1の焦点検出用画素と前記第2の焦点検出用画素とが構成する焦点検出用画素対を複数有する焦点検出センサと、前記焦点検出センサの欠陥画素を示す欠陥情報を記憶する欠陥記憶手段と、前記欠陥情報が示す欠陥画素の値と、当該欠陥画素と前記焦点検出用画素対を構成する前記第1の焦点検出用画素又は前記第2の焦点検出用画素の値とを、前記焦点状態の検出に用いないように排除する排除手段と、前記排除手段による排除後の前記複数の焦点検出用画素対の前記第1の焦点検出用画素から得られる第1の焦点検出像と、前記第2の焦点検出用画素から得られる第2の焦点検出像との位相差から、前記焦点状態を検出する検出手段と、を備えることを特徴とする本発明による焦点検出装置によっても達成される。
【0009】
また、上記目的は、複数の第1の焦点検出用画素と複数の第2の焦点検出用画素から構成され、前記第1の焦点検出用画素と前記第2の焦点検出用画素とが構成する焦点検出用画素対を複数有する焦点検出センサと、前記焦点検出センサの欠陥画素を示す欠陥情報を記憶する欠陥記憶手段とを有し、撮像光学系による結像面の焦点状態を検出する焦点検出装置の制御方法であって、前記欠陥情報が示す欠陥画素の値と、当該欠陥画素と前記焦点検出用画素対を構成する前記第1の焦点検出用画素又は前記第2の焦点検出用画素の値とを、前記欠陥画素でない同種の焦点検出用画素の値に基づいて補間する補間工程と、前記補間工程による補間後の前記複数の焦点検出用画素対の前記第1の焦点検出用画素から得られる第1の焦点検出像と、前記第2の焦点検出用画素から得られる第2の焦点検出像との位相差から、前記焦点状態を検出する検出工程と、を含むことを特徴とする本発明による焦点検出装置の制御方法によっても達成される。
【0010】
また、上記目的は、複数の第1の焦点検出用画素と複数の第2の焦点検出用画素から構成され、前記第1の焦点検出用画素と前記第2の焦点検出用画素とが構成する焦点検出用画素対を複数有する焦点検出センサと、前記焦点検出センサの欠陥画素を示す欠陥情報を記憶する欠陥記憶手段とを有し、撮像光学系による結像面の焦点状態を検出する焦点検出装置の制御方法であって、前記欠陥情報が示す欠陥画素の値と、当該欠陥画素と前記焦点検出用画素対を構成する前記第1の焦点検出用画素又は前記第2の焦点検出用画素の値とを、前記焦点状態の検出に用いないように排除する排除工程と、前記排除工程による排除後の前記複数の焦点検出用画素対の前記第1の焦点検出用画素から得られる第1の焦点検出像と、前記第2の焦点検出用画素から得られる第2の焦点検出像との位相差から、前記焦点状態を検出する検出工程と、を含むことを特徴とする本発明による焦点検出装置の制御方法によっても達成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、欠陥画素を有する場合であっても合焦時の精度が低減することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態について図を参照して説明するが、この発明は以下の実施の形態に限定されない。また、この発明の実施の形態は発明の最も好ましい形態を示すものであり、発明の範囲を限定するものではない。
【0013】
[第1の実施形態]
以下に、図1〜図16を参照して第1の実施形態を説明する。図1は、第1の実施形態に係る焦点検出装置を備えたカメラ1の構成の概略を示す断面図である。図1に示すように、カメラ1は、イメージセンサ10(撮像素子)が撮像光学系としての撮像レンズ5の予定結像面(以下、結像面という)に配置されたデジタルスチルカメラである。
【0014】
カメラ1は、接眼レンズ3、CPU20、イメージセンサ制御回路21、メモリ回路22、インターフェース回路23、画像処理回路24を有する。接眼レンズ3は、ユーザが撮像レンズ5から入射された被写体像を観察するための光学レンズである。CPU20(Central Processing Unit)はカメラ1の動作を中央制御する。また、CPU20は、撮像レンズ5の焦点状態を検出するための検出手段を兼ねている。
【0015】
イメージセンサ制御回路21は、CPU20の制御の下でイメージセンサ10を駆動制御する。メモリ回路22は、イメージセンサ10にて撮像された画像データなどを記録する。また、メモリ回路22は、イメージセンサ10の受光分布に関する情報や、欠陥記憶手段として後述する焦点検出センサの欠陥情報も予め記憶している。
【0016】
インターフェース回路23は、接続コネクタ(図示しない)などを介して外部機器と通信接続し、例えば画像処理回路24にて画像処理された画像データを接続された外部機器へ出力する。画像処理回路24は、イメージセンサ10にて撮像した画像データに対して所定の画像処理を行う。
【0017】
撮像レンズ5は、カメラ1の本体に対して着脱可能なレンズである。撮像レンズ5は、カメラ1の本体のCPU20から送られてくる情報を電気接点26を介してレンズCPU50にて受信する。CPU20から送られてくる情報とは、撮像レンズ5の駆動制御に関する情報であり、具体的には焦点調整を行うための焦点調整情報、絞り調整を行うための絞り調整情報などである。レンズ駆動機構51は、フォーカスレンズを駆動するアクチュエータなどである。絞り駆動機構52は、絞り装置53を駆動するアクチュエータなどである。絞り装置53は絞り羽根などで入射光量を調整する。
【0018】
レンズCPU50は、CPU20から送られてくる焦点調整情報に基づいてレンズ駆動機構51を駆動することで、イメージセンサ10に結像される被写体像を合焦状態とする。また、レンズCPU50は、CPU20から送られてくる絞り調整情報に基づいて絞り駆動機構52を駆動することで、絞り装置53を所定の絞り値に絞り込む。
【0019】
図2は、イメージセンサ10の一部の領域を例示する平面図である。図2において、「R」「G」「B」の文字はイメージセンサ10における各画素のカラーフィルタの色相を表している。「R」の文字の書かれた画素は赤の成分の光を透過し、「G」の文字の書かれた画素は緑の成分の光を透過し、「B」の文字の書かれた画素は青の成分の光を透過する。図2では「R」「G」「B」の色相をハッチングパターンで示している。図2のハッチングパターンからも明らかなように、イメージセンサ10における「R」「G」「B」の各画素はいわゆるベイヤ配列にしたがって配置されている。
【0020】
カラーフィルタの配列がベイヤ配列に従うため、1絵素は「R」「B」の画素と2つの「G」の画素から構成される。また、イメージセンサ10には、「R」あるいは「B」であるべき画素の一部において、撮像レンズ5の一部の瞳領域を通過した光束を受光する焦点検出用画素が複数割り当てられている。具体的には、図2においてA、Bで示した画素が撮像レンズ5の焦点状態を検出するための焦点検出用画素(第1の焦点検出用画素、第2の焦点検出用画素)である。また、焦点検出用画素は、1つのA画素と、1つのB画素の組合わせが位相差検出を行うための焦点検出用画素対(以下、画素対)となっている。また、図2に示すように、この画素対は、イメージセンサ10において所定のピッチで分散して複数配置されている。
【0021】
この焦点検出用画素は、詳細な構成については後述するが、図3に示す第1の電極131にてx方向(図2における横方向)の開口が制限されている。またA、Bの焦点検出用画素では、後述するように互いに異なる瞳領域を通った光線が結像している。したがって、イメージセンサ10は、撮像レンズ5の一部の画素をA、Bの焦点検出用画素とし、その画素対を複数有する焦点検出センサとしての機能を有している。
【0022】
図2に示すように、イメージセンサ10では、A、Bで示した焦点検出用画素を互いに隣接させ、可能な限り互いの距離を短くしている。このため、A、Bで示した焦点検出用画素が被写体像の異なる模様のところを見てしまう可能性を最小限に抑えており、焦点検出誤差を軽減させている。
【0023】
また、イメージセンサ10では、偶数ラインと奇数ラインで境界位置を一致させて、A、Bで示した焦点検出用画素の位置を反転させている。このため、被写体像のエッジ部分がA、Bで示した焦点検出用画素の境界部分にかかった場合において、A、Bで示した焦点検出用画素から得られる像の位相がずれてしまう場合には、その位相ずれが両方同時に発生することとなる。しかも、そのずれ量は、A、Bで示した焦点検出用画素から得られる像において互いに等しく、方向が逆向きとなる。そこで、本実施形態では、瞳分割方向と垂直方向に隣接するラインを少なくとも2つセットで相関演算を行うことで、焦点検出誤差を打ち消し合うようにしている。これは、後述する1対の像の数の決定において、必ず偶数を指定することに対応する。これにより、焦点検出誤差を軽減することができる。
【0024】
図3は、イメージセンサ10の一部の画素の前述したX方向での断面を示す図である。具体的には、図3は、X方向の開口が制限された焦点検出用画素と、開口が制限されることなく全瞳領域を受光可能な画素との断面図である。図3において、右側の画素は、撮像レンズ5の全瞳領域を受光可能な画素である。また、左側の焦点検出用画素は、X方向の開口が制限されており、撮像レンズ5の一部の瞳領域からの光束を受光可能な画素である。なお、一部の瞳領域から光束を受光することについては、図4を参照して後述する。
【0025】
図3に示すように、イメージセンサ10は、シリコン基板110の内部に光電変換部111が形成されている。光電変換部111において、被写体像を光電変換して発生した信号電荷は、フローティングディフュージョン部(図示しない)、第1の電極131及び第2の電極132を介して外部に出力される。光電変換部111と第1の電極131との間には層間絶縁膜121が形成され、第1の電極131と第2の電極132との間には層間絶縁膜122が形成されている。
【0026】
また、第2の電極132の光入射側(Z方向)には層間絶縁膜123が形成され、さらにパッシべーション膜140、平坦化層150が形成されている。平坦化層150の光入射側には、カラーフィルタ層151、平坦化層152及びマイクロレンズ153が形成されている。ここで、マイクロレンズ153の光学パワーは、撮像レンズ5の瞳と光電変換部111が略共役になるように設定されている。また、イメージセンサ10の撮像面において、マイクロレンズ153は、中央に位置する画素では画素の中心に配設され、周辺に位置する画素では撮像レンズ5の光軸側に偏倚して配設される。
【0027】
撮像レンズ5を透過した被写体光は、イメージセンサ10近傍に集光する。さらにイメージセンサ10の各画素に到達した光は、マイクロレンズ153で屈曲されて光電変換部111に集光する。通常の撮像に使われる図3に示した右側の画素では、入射する光を遮光しないように第1の電極131及び第2の電極132が配設されている。
【0028】
一方、図3に示した左側の焦点検出用画素では、第1の電極131の一部が光電変換部111を覆うように配設されている。その結果、焦点検出用画素では、撮像レンズ5の瞳の一部を透過する光束のみが受光可能となっている。また、第1の電極131が入射光束の一部を遮光していることにより光電変換部111の出力が小さくなることを防ぐため、焦点検出用画素のカラーフィルタ層154は、光を吸収しない透過率の高い樹脂で形成されている。
【0029】
図4(a)、(b)は、図2に例示したA、Bの焦点検出用画素の断面と瞳との関係を表した図であり、個々の焦点検出用画素における瞳分割手段を示している。図4(a)は撮像レンズ5の瞳領域161aを通過した光束の光路を例示して瞳分割を説明する図であり、図4(b)は瞳領域161bを通過した光束の光路を例示して瞳分割を説明する図である。
【0030】
以下、図4(a)、(b)を参照して瞳分割手段について説明する。図4(a)、(b)において、左側の焦点検出用画素は図2におけるAの焦点検出用画素(以下、A画素という)に対応しており、右側の焦点検出用画素は図2におけるBの焦点検出用画素(以下、B画素という)に対応している。また、図4(a)、(b)において、瞳160は撮像レンズ5の瞳を模式的に示したものであり、光電変換部111a、111bは夫々がA画素、B画素の光電変換部を示している。
【0031】
図4(a)、(b)に示したように、A画素、B画素の開口はマイクロレンズ153の光軸に対して異なる偏倚量を持つように設けられている。このため、図4(a)に示すように、瞳領域161aを通過した光束はA画素の光電変換部111aには到達するが、B画素の光電変換部111bには到達しない。反対に、図4(b)に示したように、瞳領域161bを通解した光束はB画素の光電変換部111bには到達するが、A画素の光電変換部111aには到達しない。
【0032】
図4(a)、(b)に示したように、撮像レンズ5の瞳の一部の領域を通過した光束を得ることができる瞳分割手段において、前述した2つの領域の相対的な位置を示す方向(本実施形態ではX方向)を瞳分割方向と定義する。また、光軸に直交する平面内で瞳分割方向と垂直をなす方向を垂直方向と定義する。なお、本実施形態では瞳分割方向がX方向に存在する焦点検出用画素のみをもつイメージセンサ10を例示しているが、イメージセンサ10は、瞳分割方向がY方向に存在する焦点検出用画素も含む構成であってもよい。
【0033】
図5(a)、(b)は、撮像レンズ5の瞳160からA画素、B画素に入射する光束を模式的に示し、瞳面上での焦点検出用画素への入射特性を説明する図である。図5(a)はA画素、B画素に入射する領域と瞳の関係を例示し、図5(b)はA画素、B画素に入射する領域が瞳で切り取られる様子を例示している。
【0034】
図5(a)、(b)では、A画素に入射する瞳領域を161a、B画素に入射する瞳領域を161bで示すとともに、入射する比率を濃淡で示した。したがって、図中において、濃い領域は入射する光量が多く、薄い領域は入射する光量が少ない。このように、瞳の領域により入射する比率が異なるのは、マイクロレンズの収差、光学パワーの合わせ込み誤差、光の回折などが原因である。
【0035】
また、図5(a)に示すように、撮像レンズ5の瞳160の外側にもA画素、B画素に入射する領域は存在する。しかしながら、実際には、レンズでケラレが発生するため、図5(b)に示すように、瞳160で切り取られた範囲の光がイメージセンサ10に到達することとなる。
【0036】
図6は、図5(b)に示す領域からの光束を瞳分離と垂直方向に積分して瞳分離方向の1次元的な像で表現したもので、焦点検出用画素群で生成される線像(焦点検出像)分布図に対応する。図6において、線像分布曲線162aはA画素群の線像分布(第1の焦点検出像)を、線像分布曲線162bはB画素群の線像分布(第2の焦点検出像)をそれぞれ示している。
【0037】
図6から分かるように、A画素、B画素は互いに入射角特性が異なっているために、デフォーカスした際にA画素群の線像とB画素群の線像には瞳分離方向の像ずれが発生する。したがって、この像ずれ量と、図6の線像分布を考慮してデフォーカス量を求めることで、いわゆる位相差による焦点検出を行うことが可能となる。
【0038】
次に、カメラ1の焦点調整及び撮像工程に関する動作について説明する。図7〜図9及び図13は、カメラ1の焦点調整及び撮像工程を説明するためのフローチャートである。図7は、カメラ1のメインフローを示すフローチャートである。
【0039】
図7に示すように、ユーザがカメラ1のメインスイッチ(図示しない)をオンにすることで、CPU20は処理を開始する(S101)。次いで、CPU20は、S102において、カメラ1内の各アクチュエータやイメージセンサ10の動作確認等の初期状態検出を行ない、メモリ内容や実行プログラムの初期化を行なうと共に、撮像準備動作を実行する。
【0040】
次いで、CPU20は、S103において操作スイッチ(図示しない)などによる操作状況に応じて、イメージセンサ10の撮像面AFの開始操作が行われたか否かを判定し、撮像面AFの開始操作が行われるまで待機する。撮像面AFの開始操作が行われた場合、CPU20は、S104においてミラーアップとシャッター開放動作を実行させる。
【0041】
次いで、CPU20は、S105においてイメージセンサ10を駆動させて撮像動作を開始させ、イメージセンサ10で撮像された画像の読み出しを行う。これにより、イメージセンサ10はプレビュー用の低画素動画像を出力する。
【0042】
次いで、CPU20は、S107において、イメージセンサ10から読み出した動画像を、カメラ1の背面に設けられた表示器(図示しない)にプレビュー画像として表示させる。ユーザは、このプレビュー画像を目視することで、撮像時の構図決定を行うことができる。
【0043】
次いで、CPU20は、S109においてプレビュー用の動画像から人物の顔認識を行い、S111においてその顔認識により人物の顔が検出されたか否かを判定する。動画像から顔が検出された場合、CPU20は、S113に処理を移行し、焦点調整モードを顔AFモードに設定する。ここで、顔AFモードとは、検出された顔に焦点を合わせるAFモードを指す。
【0044】
一方、動画像から顔が検出されない場合、CPU20は、S115に処理を移行し、焦点調整モードを多点AFモードに設定する。ここで、多点AFモードとは、イメージセンサ10の撮像領域を例えば3×5=15分割し、各分割領域で焦点検出を行ない、焦点検出結果と被写体の輝度情報から主被写体を類推し、主被写体に合焦させるモードを指す。
【0045】
S113あるいはS115でAFモードを設定した後、CPU20は、S117において、設定されたAFモードに応じた焦点検出領域を設定する。例えば、顔AFモードでは検出された顔領域に焦点検出領域を設定し、多点AFモードでは主被写体に対応した領域に焦点検出領域を設定する。
【0046】
次いで、CPU20は、S121において、撮像準備スイッチ(図示しない)がオン操作されたか否かを判定し、オン操作されていなければS105に処理を戻す。これにより、カメラ1は、撮像準備スイッチがオン操作されるまで、S105におけるイメージセンサ10の駆動からS117における焦点検出領域の決定までの処理を繰り返し実行することとなる。
【0047】
S121において撮像準備スイッチがオン操作された場合、CPU20は、S131へ処理を移行し、焦点検出サブルーチンを実行する。
【0048】
図8は、焦点検出サブルーチンを示すフローチャートである。メインフローのS121から焦点検出サブルーチンを開始するS131に処理が移行すると、図8に示すように、CPU20は、S133において、S117で設定した焦点検出領域に含まれる焦点検出用画素を読み出す。
【0049】
次いで、CPU20は、S135において、焦点検出用画素から、S117で設定した焦点検出領域に対応した測距視野像を切り出す。次いで、CPU20は、S137において、予め製造工程などでチェックされた欠陥画素の情報のうち、S135で切り出した測距視野像内に存在する焦点検出用画素の欠陥情報を欠陥記憶手段としてのメモリ回路22から得る。次いで、CPU20は、S139において、相関演算サブルーチンを実行する。
【0050】
図9は、相関演算サブルーチンを示すフローチャートである。焦点検出サブルーチンのS139により相関演算サブルーチンが実行されると、図9に示すように、CPU20は、S191へ処理をジャンプする。次いで、CPU20は、S193において、焦点検出サブルーチンのS137で得た欠陥情報に基づいて欠陥画素を補正処理(補間処理)する。
【0051】
次いで、CPU20は、S195〜S207の像ずらし量のループ処理を行う。具体的には、CPU20は、S197において、像ずらしをした箇所で、S137で得た欠陥画素と対向する画素を補正(補間)する。具体的には、欠陥画素と対向する画素の値が、欠陥画素でない同種の焦点検出用画素の値に基づいて補間される。その後、CPU20は、S199〜S203の視野ループで、測距視野像内で相関量の演算を行う。S201では、例えば後述する演算式などを用いて相関量を演算する。上述した対向画素の補間は、本発明の要部となるので図10、11を用いて詳細に説明する。
【0052】
図10は、図2に例示したイメージセンサ10の信号のうち、離散的に配置された焦点検出用画素を抜き出して得られた信号による線像を例示する図である。図2では、A、Bで示した画素のi行j列で得られる信号をとして表現した。本実施形態においては、jが瞳分割方向、iが瞳分割方向と直交する方向である。
【0053】
以下では、図10において、に欠陥があるとして説明を行う。(図10のi=2で演算をする場合で説明をする。)
【0054】
相関量の計算方法は各種の方法が提案されているが、例えば2像の差の絶対値を加算したものを相関量として定義して計算を行う場合には、次の式(1)のとおりに相関量COR(k)を求める。
【0055】
【数1】

【0056】
上記式のiは測距視野によって決まる値である。jは測距視野に対応しており、相関演算サブルーチンや視野ループに対応する。kは像ずらし量であり相関演算サブルーチンの像ずらしループに対応する。また、相関量を上記式のように定義することで、相関が高い像ずらし量(k)において相関量COR(k)は最小となる。
【0057】
図11は、相関演算を行っている時の線像の状態を模式的に示した図である。図11において、各パラメータは、i=2、j=4,5,…,9、k=−2,−1,0,1,2である。図11から明らかなように、欠陥画素()と向かい合う画素は像をずらすごとに、と変化している。本発明では、この欠陥画素()及び欠陥画素に対向する画素を像ずらしごとに補間生成する。本発明において、上記の方法を、”向き合う対の画素を夫々生成する”方法と定義する。補間生成する方法として、例えばが欠陥画素の場合には、次の式(2)として与えられる。
【0058】
【数2】

【0059】
なお、についても同様である。図11において、は常に欠陥なので、像ずらし量に関わらず=()/2として与えられる。このため相関演算サブルーチンのS193で補正が行われる。一方、向かい合う像は、k=2[bit]の時は=()/2、k=1[bit]の時は=()/2と変化する。このため、相関演算サブルーチンのS197では、像ずらし量に応じて欠陥画素のと対向する画素を順次補間して与える。なお、別の補正式としては、次の式(3)、式(4)等を用いることもできる。
【0060】
【数3】

【0061】
【数4】

【0062】
式(2)は瞳分割方向に補間を行う式の例、式(3)は瞳分割と素直方向に補間を行う式の例、式(4)は2次元的に補間を行う式の例を示している。本発明は補間のタイミングとその対象に主な特徴があるのでいずれの補正式を用いてもよい。
【0063】
図9に戻って相関演算サブルーチンの続きを説明する。CPU20は、測距視野内で計算を行うループ処理(S199〜S203)の後、S205で像ずらし量での相関量をRAMなどのメモリに保存する。CPU20は、S195〜S207の像ずらし量のループ処理で、規定の像ずらし範囲で相関量の演算を行う。
【0064】
次いで、CPU20は、S208において、S195からS207でのループで求められた相関量をもとに、焦点検出用画素群における欠陥画素に対向する画素を決定する。つまり、S208では、後述するS209における補間前において、焦点検出用画素によるA画素群における欠陥画素と対向するB画素群の画素が決定される。具体的には、式(1)の定義に従うと相関が高い(2つの像がほぼ一致している)時に相関量CORは最小となるので、相関量が最小となるkを求める。具体的には、図11に示すように、欠陥画素のと対向している画素がの中から選択されることとなる。
【0065】
次いで、CPU20は、S209において、S208で決定された欠陥画素に対向する画素の補正処理(補間処理)を行う。この補正処理における方法は、具体的には前述した式(2)〜式(4)を用いた補正方法と同様である。例えば、相関量が最小となるkが1である場合は、欠陥画素と対向する画素のが式(2)により()/2として補正(補間)されることとなる。すなわち、欠陥画素でない同種であるB画素群の焦点検出用画素の値に基づいて補間される。
【0066】
次いで、CPU20は、S211においてデジタルフィルタ処理を行う。S211におけるデジタルフィルタは、焦点検出において注目する周波数などに応じて適切な形状のものを用いてよい。次いで、CPU20は、S213〜S223において、S209で補正処理を行った像を用いて再度相関量を演算する像ずらし量のループ処理を行う。なお、S213〜S223における像ずらし量は、S195〜S207と同じである必要はなく、S209で相関量が最小となったkの近傍で演算が行われればよい。
【0067】
像ずらし量のループ処理において、CPU20は、S215〜S219の視野ループで、測距視野内で相関量の演算を行う。具体的には、CPU20は、S217で式(1)などにしたがって相関量を演算する。なお、S193で欠陥画素の補正を、S209で欠陥画素に対向する画素の補正を行ったので、S215とS217の間では補正処理は行わない。
【0068】
上述した再度相関量を演算する際の様子を模式的に図12に示した。図12では、S209において、相関量が最小となるkが0であり、が対向するとして処理された場合を示している。図12に示すとおり、S209で補正処理されたは、像ずらし中は補正処理が行われることなく、相関演算に用いられる。次いで、CPU20は、S221において視野ループにより演算された相関量を保存する。
【0069】
次いで、CPU20は、S225において、プレディクション量を決定する。具体的には、CPU20は、S217で求めた相関量を元に、A画素群の線像とB画素群の線像との相関が最も高くなるkを決定する。次いで、CPU20は、S227において、図8に示した焦点検出サブルーチンのS139にリターンする。
【0070】
図8に戻り、焦点検出サブルーチンの続きを説明する。S139に次いで、CPU20は、S141において、相関演算結果の信頼性を判定する。ここにおける信頼性とは、2像(A画素群の線像とB画素群の線像)の一致度合いを指し、2像の一致度が良い場合は一般的に焦点検出結果の信頼性が高い。そこで、複数の焦点検出領域が選択されている場合は、S141の判定結果に基づいて信頼性の高い情報を優先的に使用する。
【0071】
次いで、CPU20は、S143において、S141における信頼性の高い検出結果から焦点ずれ量を演算する。次いで、CPU20は、S145において、図7に示したメインフロー内のS151にリターンする。
【0072】
図7に戻り、メインフローの続きを説明する。CPU20は、S151において、図8のS143で計算した焦点ずれ量が予め設定された許容値未満であり、合焦状態であるか否かを判定する。焦点ずれ量が許容値以上であり非合焦状態であると判定した場合、CPU20は、S153において撮像レンズ5のフォーカスレンズを駆動させた後、S131へ処理を戻す。したがって、カメラ1では、合焦状態と判定されるまで、S131乃至S151の処理が繰り返し実行されることとなる。
【0073】
焦点ずれ量が許容値未満であり合焦状態であると判定した場合、CPU20は、S155において、LCDなどの表示部(図示しない)に合焦状態であることを示す合焦表示を行わせ、S157に処理を移行する。
【0074】
次いで、CPU20は、S157において、撮像開始スイッチ(図示しない)がオン操作されたか否かを判定し、オン操作されていなければS159に移行する。CPU20は、S159において、撮像準備スイッチがオン操作されているか否かを判定し、撮像待機状態を維持するか否かを判別する。ここで、撮像待機状態を維持する場合、CPU20は、再びS157に処理を戻す。また、撮像待機状態を解除する場合、CPU20は、S105に処理を戻してプレビュー動作などを実行する。
【0075】
S157において撮像開始スイッチがオン操作された場合、CPU20は、S161に処理を移行し、撮像サブルーチンを実行する。図13は、撮像サブルーチンを示すフローチャートである。
【0076】
図13に示すように、撮像開始スイッチがオン操作されると、CPU20は、S161において撮像サブルーチン処理を開始し、S163において光量調整絞りを駆動し、露光時間を規定するメカニカルシャッタの開口制御を行う。なお、シャッタの駆動は一旦シャッタを閉じた後に再走行させてもよいし、電気的にリセット動作を行った後にシャッタが閉となるように走行させてもよい。
【0077】
次いで、CPU20は、S165において、高画素静止画撮像のための画像読み出し、すなわちイメージセンサ10の全画素の読み出しを行う。次いで、CPU20は、S167において、読み出した画像信号の欠損画素補間を行う。イメージセンサ10における焦点検出用画素の出力は撮像のためのRGBカラー情報を有しておらず、静止画像を得る上では欠損画素に相当する。したがって、欠損画素補間では、焦点検出用画素の周囲にあるRGBカラー情報を有する撮像用画素の情報から補完することで焦点検出用画素に対応する画像信号を創生する。
【0078】
次いで、CPU20は、S169において画像のγ補正、エッジ強調等の画像処理を行った後、S171において半導体メモリなどの記録媒体(図示しない)に撮像画像を記録する。次いで、CPU20は、S173において前述した表示部に撮像済み画像を表示した後、S175において図7に示したメインフローにリターンする。図7に示すように、撮像サブルーチンからリターンすると、CPU20は、S181において一連の撮像動作を終了する。
【0079】
ここで、上述した処理による効果を図14〜図16を参照して説明する。ここで、図14(a)は、焦点検出用画素群による線像と輝度との関係を示すグラフである。図14(b)は、図14(a)に例示した焦点検出用画素群の信号から演算して求められた相関量を示すグラフである。なお、図14(a)の横軸は焦点検出用画素の位置を、縦軸は輝度を示している。つまり、図14(a)の例では、中央付近に輝度の高い被写体があり、周囲が暗い場合を例示している。また、焦点検出用画素に欠陥が無ければA像、B像ともに同じ信号が入ることになるが、図14(a)の例では、A像の1つの画素が欠陥のために信号が欠落している。このときに欠落が無ければ像ずらし量=0bitの時に相関量が最小となる。
【0080】
本実施形態では、図14(a)のような信号が得られるのは、焦点が合っている状態で且つ前述した様に中央に輝度の高い被写体があり、周囲が暗い場合である。欠陥と被写体との位置関係で欠陥画素が焦点検出に与える影響は異なるが、欠陥の影響が最も大きくなる場合として、図14(a)では中央の輝度の高い被写体のエッジ部分と欠陥画素が重なった場合を例示した。逆に言うと、暗い場所に黒つぶれなどの欠陥が存在しても焦点検出には影響がない。
【0081】
図14(b)において、横軸は像ずらし量(前述したkに対応)であり、縦軸は前述した式(1)及び式(2)に基づいて求めた相関量である。前述したフローチャートでは、図9に示したS195〜S207においてこの相関量が求められる。図14(b)では、像ずらし量=0bitで相関量(COR)が最小値となっている。上述したように本実施形態では、焦点検出用画素において、その欠陥画素及びその欠陥画素と向き合う対の画素の夫々が式(2)よって周辺画素から補間される。
【0082】
したがって、本実施形態では、本来像が一致する位置(図14(a)、(b)の例では0bit)の時にノイズが無ければ相関量=0(=相関が高い)となる。この位置で焦点検出用画素群によるA像とB像は一致し、最も相関が高いと判断される。前述したフローチャートでは、相関が最も高い位置を決めて欠陥画素とその欠陥画素と対向する画素を決定する動作がS208で行われる。
【0083】
図15(a)は、焦点検出用画素群による線像と、S209によって欠陥画素及び欠陥画素に対向する画素が補正された後にデジタルフィルタ処理をした線像と輝度の関係を示すグラフである。図15(b)は、図15(a)に例示した焦点検出用画素群の信号を演算して求められた相関量を示すグラフである。なお、図15(a)の横軸は焦点検出用画素の位置を、縦軸は輝度を示している。前述したS209までにA像、B像の両方に対して欠陥画素および欠陥画素と対向する画素の補正処理したので、図15(a)に示すように、2つの線像は完全に一致している。
【0084】
図15(b)において、横軸は像ずらし量(前述したkに対応)であり、縦軸は前述した式(1)及び式(2)に基づいて求められた相関量(COR)である。図15(a)に示したように1対の線像は完全に一致しているので、図15(b)に示すグラフでは像ずらし量=0bitの時に相関量が最小(=相関が高い)となる。よって、このグラフにおけるCORが最小値となる像ずらし量が、焦点検出の際のプレディクション量として最終的に選ばれることとなる。
【0085】
なお、焦点検出用画素群の欠陥画素及び欠陥画素に対向する画素の補間後に再度相関量を演算することによる効果をより分かり易くするために、焦点検出用画素群の欠陥画素のみを補間処理した結果を図16に示す。図16(a)は、焦点検出用画素群による線像と、欠陥画素のみが補正された後にデジタルフィルタ処理をした線像と輝度の関係を示すグラフである。図16(b)は、図16(a)に例示した焦点検出用画素群の信号を演算して求められた相関量を示すグラフである。
【0086】
図16(a)に示すように、欠陥画素のみを補間処理した場合は、1対の線像は一致しない。このため、図16(b)に示すように、相関量を示すグラフ曲線は、非対称且つボトムが完全には下がらない形となる。したがって、このような相関量が求まった場合は、図16(b)に示すように、グラフの変曲点を境にして両側から接線を延長するなどの方法でCOR(k)が最小(COR=0)となるkを推定することとなる。なお、kを推定する方法は、相関量のグラフ曲線に近似する適当な関数を用いて極小値を求める方法であってもよい。
【0087】
しかし、上述した推定により求めたkは、焦点が合っている状態にもかかわらずk=0とはならない。つまり、焦点が合っている状態でもずれていると判断され、誤った焦点検出が行われる虞があり、その結果として合焦していないピントの外れた撮像画像を取得することとなる。しかしながら、本実施形態では、上述した簡単なアルゴリズム(フロー)にしたがって焦点検出用画素群に関する欠陥処理を行うことで、焦点検出用画素群に含まれる欠陥画素の影響を低減することができる。このことにより、カメラ1は、ユーザに正確に合焦した撮像画像を提供することが可能となる。また、イメージセンサ10における焦点検出用画素群に欠陥画素を許容できることからイメージセンサ10の歩留まりが向上し、コストの低減を図ることが可能となる。
【0088】
[第2の実施形態]
図17〜図21は第2の実施形態を説明するための図である。以下では、これらの図を参照して第2の実施形態を説明する。なお、本実施形態は相関演算における演算を除いて第1の実施形態と同様なので、カメラ1の構成等の同様な部分についての説明は割愛し、第1の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0089】
本実施形態において、メインフローは図7、焦点検出サブルーチンは図8、撮像サブルーチンは図13に示したとおりである。第1の実施形態とは異なる相関演算サブルーチンについては図17に示した。
【0090】
図17に示すように、第2の実施形態と第1の実施形態との相違点は、S193aにおいて、焦点検出サブルーチンのS137で得た欠陥情報に基づいて焦点検出用画素群における欠陥部(欠陥画素)の排除処理を行っていることである。ここでいう排除処理とは、欠陥部を焦点状態の検出に用いないように、欠陥部を除いて演算を行うことを指している。なお、具体的な処理方法は後述する。
【0091】
さらに、S195〜S207では像ずらし量の処理ループを形成している。そして、S197aでは、像ずらしをした箇所で、焦点検出サブルーチンのS137で得た欠陥情報に基づいて欠陥画素と対向する画素を焦点状態の検出に用いないように排除する排除処理を行う。
【0092】
図18は、相関演算を行っている時の焦点検出用画素群による焦点検出像であるA像とB像の状態を模式的に示した図である。図18は、欠陥画素の排除処理を行った後の状態を図示している。図18では、排除処理の結果、演算から除かれた画素が明らかになるように右に排除した画素を明示した。
【0093】
図18から明らかなように、欠陥画素のと向かい合う画素は像をずらすごとにと変化している。本実施形態では、欠陥画素の及びその欠陥画素に対向する画素を像ずらしごとに削除することで相関演算に影響を与えないようにする。本発明において、上記の方法を”欠陥画素と向き合う対の画素を夫々排除した焦点検出像を生成する”方法と定義する。
【0094】
図18において、は常に欠陥なので、像ずらし量に関わらず削除され、の次はとなるようにA像は処理される。このため、相関演算サブルーチンのS193aで排除処理が行われる。
【0095】
一方、向かい合う像はk=2[bit]の時はなので、の次はとなるようにB像は処理される。また、向かい合う像はk=1[bit]の時はなので、の次はとなるようにB像は処理される。つまり、像ずらしによってB像の処理方法が変化している。このため、相関演算サブルーチンのS197aにおける排除処理では、像ずらし量に応じて欠陥画素のと対向する画素を削除することでB像を与える。
【0096】
相関演算サブルーチンのS199〜S203では、第1の実施形態と同様に測距視野内で計算を行う視野ループを形成する。また、S205では、像ずらし量での相関量をメモリに保存する。上述したS195〜S207の像ずらし量のループ処理により、規定の像ずらし範囲での相関量の演算が行われる。
【0097】
S208では、第1の実施形態と同様、S195からS207でのループで求められた相関量をもとに、後述するS209aにおける排除前において、焦点検出用画素群における欠陥画素に対向する画素を決定する。具体的には、式(1)の定義に従うと相関が高い(2つの像がほぼ一致している)時に相関量CORは最小となるので、相関量が最小となるkを求める。例えば、欠陥画素のと対向している画素がの中から選択されることとなる。次いで、CPU20は、S209aにおいて、S208で決定された画素を排除する。
【0098】
次いで、CPU20が行うS211以降の処理は第1の実施形態と同様である。具体的には、S211では、デジタルフィルタ処理を行う。S211におけるデジタルフィルタは、焦点検出において注目する周波数などに応じて適切な形状のものを用いてよい。S213〜223では、欠陥画素に対向する画素をS209aにより排除した像を用いて再度相関量を演算するための像ずらしループを形成する。なお、S213における像ずらし量はS195と同じである必要はなく、S209aで相関量が最小となったkの近傍で演算が行われればよい。
【0099】
S215〜S219の視野ループでは、測距視野内の相関量の演算を行う。S193aで欠陥画素を、S209aで欠陥画素に対向する画素を排除したので、S215とS217の間では補正処理は行わない。
【0100】
上述した再度相関量を演算する様子を模式的に図19に示した。図19では、S209aにおいて、相関量が最小となるkが0であり、が対向するとして処理された場合を示している。図19に示すとおり、はS209aで排除され、再度相関量を演算する際には用いられない。S221では視野ループにより演算された相関量を保存し、S225では、プレディクション量を決定する。具体的には、S217で求めた相関量を元に、A画素群の線像とB画素群の線像との相関が最も高くなるkを決定する。次いで、S227では、図8に示した焦点検出サブルーチンのS139にリターンする。
【0101】
ここで、上述した処理による効果を図20、図21を参照して説明する。なお、被写体による焦点検出用画素群からの信号やその輝度及び欠陥画素の位置などは、図14に例示した第1の実施形態と同じとする。図20は最初相関量を求める時の焦点検出像とその相関量を示すグラフであり、図20(a)は排除処理が行われた後の焦点検出用画素群による線像と輝度との関係を示すグラフである。また、図20(b)は、図20(a)に例示した焦点検出用画素群の信号から演算して求められた相関量を示すグラフである。なお、図20(a)の横軸は焦点検出用画素の位置を、縦軸は輝度を示している。
【0102】
図20(a)を生成する元の信号は、図14(a)に示したようにA像のみ被写体の輝度変化がある箇所に欠陥がある信号である。一方、図20(a)に示す信号は、正しく2つの像が重ねあわされた場所で排除処理を施した後の信号である。したがって、図14(a)と図20(a)とにおいて、輝度の高い部分を比べた場合は図20(a)の方が排除処理によって短くなる。また、図20(a)に示したように、欠陥画素及びその欠陥画素と対向する画素を排除したので、正しく重ねあわされたときには、他の画素の信号は完全に一致し、2つの像の相関が高く演算される。
【0103】
図20(b)において、横軸は像ずらし量であり、縦軸は前述した式(1)に基づいて求めた相関量である。前述したフローチャートでは、図17に示したS195〜S207においてこの相関量が求められる。図20(b)では、像ずらし量=0bitで相関量(COR)が最小値となっている。また、本実施形態では、焦点検出用画素群の欠陥画素及びその欠陥画素と向き合う対の像信号を排除して用いないようにし、排除後の焦点検出像の相関量が演算される。
【0104】
したがって、本実施形態では、本来像が一致する場所(図20(b)、(b)の例では0bit)の時にノイズが無ければ相関量=0(=相関が高い)となる。この位置で焦点検出用画素群によるA像とB像は完全に一致し、最も相関が高いと判断される。前述したフローチャートでは、相関が最も高い位置を決めて欠陥画素とその欠陥画素と対向する画素を決定する動作がS209aで行われる。
【0105】
図21(a)は、焦点検出用画素群による線像と、S209aによって欠陥画素及び欠陥画素に対向する画素が排除された後にデジタルフィルタ処理をした線像と輝度の関係を示すグラフである。図21(b)は、図21(a)に例示した焦点検出用画素群の信号を演算して求められた相関量を示すグラフである。なお、図21(a)の横軸は焦点検出用画素の位置を、縦軸は輝度を示している。前述したS209aまでにA像、B像の両方に対して欠陥画素及び欠陥画素と対向する画素の排除処理をしたので、図21(a)に示すように、2つの線像は完全に一致している。
【0106】
図21(b)において、横軸は像ずらし量であり、縦軸は前述した式(1)に基づいて求められた相関量である。図21(a)に示したように1対の線像は完全に一致しているので、図21(b)に示すグラフでは像ずらし量=0bitの時に相関量が最小(=相関が高い)となる。よって、このグラフにおける相関量CORが最小値となる像ずらし量が、焦点検出の際のプレディクション量として最終的に選ばれることとなる。
【0107】
本実施形態では、上述した簡単なアルゴリズム(フロー)にしたがって焦点検出用画素群に関する欠陥処理(排除処理)を行うことで、焦点検出用画素群に含まれる欠陥画素の影響を低減することができる。このことにより、カメラ1は、ユーザに正確に合焦した撮像画像を提供することが可能となる。また、イメージセンサ10における焦点検出用画素群に欠陥画素を許容できることからイメージセンサ10の歩留まりが向上し、コストの低減を図ることが可能となる。
【0108】
[第3の実施形態]
図22〜図24は第3の実施形態を説明するための図である。以下では、これらの図を参照して第3の実施形態を説明する。なお、本実施形態において、前述した第1、2の実施形態と同様な部分についての説明は割愛する。
【0109】
図22は、第3の実施形態に係る焦点検出装置を備えたカメラ1aの構成の概略を示す図である。図22に示すように、カメラ1aは、イメージセンサ10(撮像素子)が撮像レンズ5の結像面に配置されたデジタルスチルカメラである。なお、焦点検出センサ205の欠陥情報を記憶する欠陥記憶手段を含む処理回路などの電気的な構成は、第1の実施形態と同様なので、ここでは省略した。
【0110】
カメラ1aでは、ユーザが構図を決めている状態では、撮像レンズ5から入射される光の光路がクイックリターンミラー200によって変更され、被写体像を観察するための接眼レンズ3に光束が導かれる。同時に、クイックリターンミラー200は半反射面になっており、接眼レンズ3に導かれる光束以外の残りの光束は焦点検出センサ205に導かれることとなる。焦点検出センサ205は、撮影光学系の異なる瞳領域を通った1対の光束を結像させる瞳分割手段と、1対の光束の一方が結像される第1のエリアと、1対の光束の他方が結像される第2のエリアとを有する。
【0111】
ここで、カメラ1aにおける瞳分割手段に関して図22及び図23を参照して説明する。図23に示すように、焦点検出センサ205における瞳分割手段は、フィールドレンズ201、視野マスク202、瞳分割マスク203、2次結像レンズ204a、204bより構成される。視野マスク202は撮像レンズ5の結像面近傍に設けられ、焦点検出範囲を規定する。2次結像レンズ204a、204bからみて撮像レンズ5に近い側には絞り孔203a、203bを有する瞳分割マスク203が設けられている。絞り孔203a、203bは2次結像レンズ204a、204bに入射する光束を規制する。瞳分割マスク203は、フィールドレンズ201の光学パワーにより撮像レンズ5の射出瞳の位置に略結像するような関係の位置に置かれる。
【0112】
1対の2次結像レンズ204a、204bは、視野マスク202で決定された領域の被写体像を焦点検出センサ205の第1のエリアとしての受光エリア206aと、第2のエリアとしての受光エリア206b上に結像させる。焦点検出センサ205の受光エリア206a、206b上において、被写体像により光電変換された電荷は、電気信号として読み出され、位相差による焦点検出演算に用いられる。したがって、カメラ1aでは、前述の受光エリア206a、206bから得られる電気信号から適宜なレンズ位置の演算を行うことで、測距視野に対応したデフォーカス量を得ることができる。
【0113】
図24は、カメラ1aのメインフローを示すフローチャートである。なお、焦点検出サブルーチン及び撮像サブルーチンは第1の実施形態で例示した図10、図11のフローチャートに従って行う。また、図24に示すフローチャートでは、第1の実施形態と同じ動作をするものには同じ符号を付した。以下に第1の実施形態との違いについて述べる。
【0114】
図24に示すように、第1の実施形態との違いは、本実施形態に係るメインフローにはS103、S104がないことである。本実施形態では、焦点検出センサ205に被写体像を導くためのいわゆる2次結像光学系に、半透過のクイックリターンミラーを通して光束を導くため、ミラーアップ動作やシャッター開放動作が必要ない。また撮影サブルーチン内のS163では、第1の実施形態においてシャッター閉→再走行という動作をしている。これに対し、本実施形態では、S163に到達した時にシャッターは閉状態にあるので、従来の銀塩カメラなどと同様のシャッター走行動作をすればよい。なお、その他の動作は第1の実施形態と同じである。
【0115】
なお、図23に例示した焦点検出センサ205は、受光エリア206a、206bが2次元的にひろがるいわゆるエリアセンサであってもよいし、複数の1対の像を得るためのラインを持ついわゆるラインセンサであってもよい。このようなセンサには、本発明を容易に適用できる。具体的には、S133において、焦点検出を行うための焦点検出センサ205の信号を読み出せばよく、以下は第1の実施形態と同様の動作でよい。
【0116】
本実施形態によれば、上述した簡単なアルゴリズム(フロー)にしたがって焦点検出センサ205の欠陥画素を処理することで、焦点検出センサ205に含まれる欠陥画素の影響を低減することができる。このことにより、カメラ1aは、ユーザに正確に合焦した撮像画像を提供することが可能となる。また、撮像レンズ5における欠陥画素を許容できることから撮像レンズ5の歩留まりが向上し、コストの低減を図ることが可能となる。
【0117】
なお、上述した実施の形態における記述は、一例を示すものであり、これに限定するものではない。上述した実施の形態における構成及び動作に関しては、適宜変更が可能である。
【0118】
例えば、上述した実施形態では焦点検出用画素群におけるA像において欠陥画素がある場合を例示したが、B像に欠陥画素があっても同様な処理が行われることは言うまでもない。さらに、焦点検出用画素群におけるA像、B像ともに欠陥画素がある場合であっても同様である。
【0119】
(他の実施形態)
上述の実施形態は、システム或は装置のコンピュータ(或いはCPU、MPU等)によりソフトウェア的に実現することも可能である。従って、上述の実施形態をコンピュータで実現するために、該コンピュータに供給されるコンピュータプログラム自体も本発明を実現するものである。つまり、上述の実施形態の機能を実現するためのコンピュータプログラム自体も本発明の一つである。
【0120】
なお、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、コンピュータで読み取り可能であれば、どのような形態であってもよい。例えば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等で構成することができるが、これらに限るものではない。上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、記憶媒体又は有線/無線通信によりコンピュータに供給される。プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記憶媒体、MO、CD、DVD等の光/光磁気記憶媒体、不揮発性の半導体メモリなどがある。
【0121】
有線/無線通信を用いたコンピュータプログラムの供給方法としては、コンピュータネットワーク上のサーバを利用する方法がある。この場合、本発明を形成するコンピュータプログラムとなりうるデータファイル(プログラムファイル)をサーバに記憶しておく。プログラムファイルとしては、実行形式のものであっても、ソースコードであっても良い。そして、このサーバにアクセスしたクライアントコンピュータに、プログラムファイルをダウンロードすることによって供給する。この場合、プログラムファイルを複数のセグメントファイルに分割し、セグメントファイルを異なるサーバに分散して配置することも可能である。つまり、上述の実施形態を実現するためのプログラムファイルをクライアントコンピュータに提供するサーバ装置も本発明の一つである。
【0122】
また、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムを暗号化して格納した記憶媒体を配布し、所定の条件を満たしたユーザに、暗号化を解く鍵情報を供給し、ユーザの有するコンピュータへのインストールを許可してもよい。鍵情報は、例えばインターネットを介してホームページからダウンロードさせることによって供給することができる。また、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、すでにコンピュータ上で稼働するOSの機能を利用するものであってもよい。さらに、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、その一部をコンピュータに装着される拡張ボード等のファームウェアで構成してもよいし、拡張ボード等が備えるCPUで実行するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】第1の実施形態に係るカメラの構成の概略を示す図である。
【図2】イメージセンサの一部の領域を例示する図である。
【図3】イメージセンサの一部の画素を例示する図である。
【図4】(a)は、撮像レンズの瞳領域を通過した光束の光路を例示して焦点検出用画素の瞳分割を説明する図であり、(b)は、撮像レンズの瞳領域を通過した光束の光路を例示して焦点検出用画素の瞳分割を説明する図である。
【図5】(a)は、瞳面上での焦点検出用画素への入射特性を説明する図であり、(b)は、瞳面上での焦点検出用画素への入射特性を説明する図である。
【図6】焦点検出用画素群で生成される線像の説明図である。
【図7】第1の実施形態に係るカメラのメインフローを示すフローチャートである。
【図8】第1の実施形態に係る焦点検出サブルーチンを示すフローチャートである。
【図9】第1の実施形態に係る相関演算サブルーチンを示すフローチャートである。
【図10】焦点検出用画素を抜き出して得られる焦点検出像を例示する図である。
【図11】第1の実施形態に係る相関演算を行っている時の焦点検出像の状態を模式的に示した図である。
【図12】第1の実施形態において再度相関演算を行っている時の焦点検出像の状態を模式的に示した図である。
【図13】第1の実施形態に係る撮像サブルーチンを示すフローチャートである。
【図14】第1の実施形態における最初相関量を求める時の焦点検出像とその相関量を示すグラフであり、(a)は、焦点検出用画素群による線像と輝度との関係を示すグラフであり、(b)は、演算して求められた相関量を示すグラフである。
【図15】第1の実施形態における再度相関量を求める時の焦点検出像とその相関量を示すグラフであり、(a)は、焦点検出用画素群による線像及び再度相関量を求める際の線像と輝度との関係を示すグラフであり、(b)は、演算して求められた相関量を示すグラフである。
【図16】本発明を用いない場合の焦点検出像とその相関量を示すグラフであり、(a)は、焦点検出用画素群による線像及び相関量を求める際の線像と輝度との関係を示すグラフであり、(b)は、演算して求められた相関量を示すグラフである。
【図17】第2の実施形態に係る相関演算サブルーチンを示すフローチャートである。
【図18】第2の実施形態に係る相関演算を行っている時の焦点検出像の状態を模式的に示した図である。
【図19】第2の実施形態において再度相関演算を行っている時の焦点検出像の状態を模式的に示した図である。
【図20】第2の実施形態における最初相関量を求める時の焦点検出像とその相関量を示すグラフであり、(a)は、焦点検出用画素群による線像と輝度との関係を示すグラフであり、(b)は、演算して求められた相関量を示すグラフである。
【図21】第2の実施形態における再度相関量を求める時の焦点検出像とその相関量を示すグラフであり、(a)は、焦点検出用画素群による線像及び再度相関量を求める際の線像と輝度との関係を示すグラフであり、(b)は、演算して求められた相関量を示すグラフである。
【図22】第3の実施形態に係るカメラの構成の概略を示す図である。
【図23】第3の実施形態に係る瞳分割手段の構成を示す図である。
【図24】第3の実施形態に係るカメラのメインフローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0124】
1、1a カメラ
5 撮像レンズ
10 イメージセンサ
20 CPU
21 イメージセンサ制御回路
22 メモリ回路
23 インターフェース回路
24 画像処理回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像光学系による結像面の焦点状態を検出する焦点検出装置において、
複数の第1の焦点検出用画素と複数の第2の焦点検出用画素から構成され、前記第1の焦点検出用画素と前記第2の焦点検出用画素とが構成する焦点検出用画素対を複数有する焦点検出センサと、
前記焦点検出センサの欠陥画素を示す欠陥情報を記憶する欠陥記憶手段と、
前記欠陥情報が示す欠陥画素の値と、当該欠陥画素と前記焦点検出用画素対を構成する前記第1の焦点検出用画素又は前記第2の焦点検出用画素の値とを、前記欠陥画素でない同種の焦点検出用画素の値に基づいて補間する補間手段と、
前記補間手段による補間後の前記複数の焦点検出用画素対の前記第1の焦点検出用画素から得られる第1の焦点検出像と、前記第2の焦点検出用画素から得られる第2の焦点検出像との位相差から、前記焦点状態を検出する検出手段と、
を備えることを特徴とする焦点検出装置。
【請求項2】
前記補間手段が、前記補間前の前記複数の焦点検出用画素対から得られる前記第1の焦点検出像と、前記第2の焦点検出像との相関に基づいて、前記欠陥画素と前記焦点検出用画素対を構成する前記第1の焦点検出用画素又は前記第2の焦点検出用画素を決定することを特徴とする請求項1に記載の焦点検出装置。
【請求項3】
撮像光学系による結像面の焦点状態を検出する焦点検出装置において、
複数の第1の焦点検出用画素と複数の第2の焦点検出用画素から構成され、前記第1の焦点検出用画素と前記第2の焦点検出用画素とが構成する焦点検出用画素対を複数有する焦点検出センサと、
前記焦点検出センサの欠陥画素を示す欠陥情報を記憶する欠陥記憶手段と、
前記欠陥情報が示す欠陥画素の値と、当該欠陥画素と前記焦点検出用画素対を構成する前記第1の焦点検出用画素又は前記第2の焦点検出用画素の値とを、前記焦点状態の検出に用いないように排除する排除手段と、
前記排除手段による排除後の前記複数の焦点検出用画素対の前記第1の焦点検出用画素から得られる第1の焦点検出像と、前記第2の焦点検出用画素から得られる第2の焦点検出像との位相差から、前記焦点状態を検出する検出手段と、
を備えることを特徴とする焦点検出装置。
【請求項4】
前記排除手段が、前記排除前の前記複数の焦点検出用画素対から得られる前記第1の焦点検出像と、前記第2の焦点検出像との相関に基づいて、前記欠陥画素と前記焦点検出用画素対を構成する前記第1の焦点検出用画素又は前記第2の焦点検出用画素を決定することを特徴とする請求項3に記載の焦点検出装置。
【請求項5】
前記複数の焦点検出用画素対が、被写体像を光電変換する複数の画素を備えた前記結像面に配置された撮像素子において、所定のピッチで分散して配置されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の焦点検出装置。
【請求項6】
前記焦点検出センサが、前記撮影光学系の異なる瞳領域を通った1対の光束を結像させる瞳分割手段と、前記1対の光束の一方が結像される第1のエリアと、前記1対の光束の他方が結像される第2のエリアとを有し、前記複数の第1の焦点検出用画素が前記第1のエリアに、前記複数の第2の焦点検出用画素が前記第2のエリアに配置されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の焦点検出装置。
【請求項7】
複数の第1の焦点検出用画素と複数の第2の焦点検出用画素から構成され、前記第1の焦点検出用画素と前記第2の焦点検出用画素とが構成する焦点検出用画素対を複数有する焦点検出センサと、前記焦点検出センサの欠陥画素を示す欠陥情報を記憶する欠陥記憶手段とを有し、撮像光学系による結像面の焦点状態を検出する焦点検出装置の制御方法であって、
前記欠陥情報が示す欠陥画素の値と、当該欠陥画素と前記焦点検出用画素対を構成する前記第1の焦点検出用画素又は前記第2の焦点検出用画素の値とを、前記欠陥画素でない同種の焦点検出用画素の値に基づいて補間する補間工程と、
前記補間工程による補間後の前記複数の焦点検出用画素対の前記第1の焦点検出用画素から得られる第1の焦点検出像と、前記第2の焦点検出用画素から得られる第2の焦点検出像との位相差から、前記焦点状態を検出する検出工程と、
を含むことを特徴とする焦点検出装置の制御方法。
【請求項8】
複数の第1の焦点検出用画素と複数の第2の焦点検出用画素から構成され、前記第1の焦点検出用画素と前記第2の焦点検出用画素とが構成する焦点検出用画素対を複数有する焦点検出センサと、前記焦点検出センサの欠陥画素を示す欠陥情報を記憶する欠陥記憶手段とを有し、撮像光学系による結像面の焦点状態を検出する焦点検出装置の制御方法であって、
前記欠陥情報が示す欠陥画素の値と、当該欠陥画素と前記焦点検出用画素対を構成する前記第1の焦点検出用画素又は前記第2の焦点検出用画素の値とを、前記焦点状態の検出に用いないように排除する排除工程と、
前記排除工程による排除後の前記複数の焦点検出用画素対の前記第1の焦点検出用画素から得られる第1の焦点検出像と、前記第2の焦点検出用画素から得られる第2の焦点検出像との位相差から、前記焦点状態を検出する検出工程と、
を含むことを特徴とする焦点検出装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−139665(P2010−139665A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315027(P2008−315027)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】