説明

焦点調節装置、それを用いた光学機器、および制御方法

【課題】高速かつ高精度に焦点調節を行う焦点調節装置。
【解決手段】被写体からの光束から被写体までの距離に相当する情報を測定するAFセンサの測定結果に基づいて焦点状態を検出する第1の焦点検出手段と、光学系により形成された像のコントラスト値に基づいて焦点状態を検出する第2の焦点検出手段と、磁石を有するロータと、磁石に回転力を与えるコイルを有するステータとを有し、フォーカスレンズを駆動するモータと、モータのロータの位置を検出する位置センサと、位置センサの出力に応じてモータのコイルへの通電を切り替える第1の駆動手段と、決められた時間間隔に従ってモータのコイルへの通電を切り替える第2の駆動手段と、第1の焦点検出回路を使用した焦点調節を行う場合にモータのコイルへの通電に第1の駆動手段を選択し、第2の焦点検出回路を使用した焦点調節を行う場合にモータのコイルへの通電に第2の駆動手段を選択する切換回路とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は焦点調節の際のコイルへの通電技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラなどの光学機器に使用される自動焦点調節(オートフォーカス:AF)装置の駆動源にステップモータを使用することは知られている。また、AFに、位相差検出方法、外部測距方式、コントラスト検出方式又はこれらを組み合わせたハイブリッド方式(特許文献1)を用いることも知られている。
【0003】
位相差検出方法は、被写体からの光束を分岐して2つのAFセンサに入射させ、それらのセンサから出力される二像のずれ量又は間隔からデフォーカス量を求める。外部測距方式はアクティブ方式とパッシブ方式に分けられる。アクティブ方式は、被写体に赤外線や超音波などを照射し、その反射波をセンサで検知し、反射波が戻るまでの時間や照射角度により被写体との距離を測定する。パッシブ方式は、被写体からの光束を2分割し、2つの受光センサ(ラインセンサ)で受光し、2つのセンサからの信号の相関を演算する。そして、ラインセンサの何画素分のシフト量で相関が最大になるかを演算し、このシフト量に基づいて三角測量の原理で測距情報を取得する。コントラスト検出方式は、フォーカスレンズを往復移動(ウォブリング)させて撮像部から出力された映像信号の高周波成分を抽出し、その最大値が得られる位置にフォーカスレンズを移動させて合焦を得る。
【0004】
その他の従来技術としては特許文献2がある。
【特許文献1】特開2004−109690号公報
【特許文献2】特開平09−331666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ステップモータは、高速駆動または負荷変動により脱調が起こる可能性がある。また、位相差検出方式や外部測距方式では、デフォーカス量や測距情報を求めた後で、目的位置まで高速度でフォーカスレンズを駆動することで合焦時間を短縮することができるが、ステップモータを使用すると脱調が発生し得る。ステップモータを用いて高速駆動を行うためにステップ幅の大きいモータを用いたり、伝達機構の減速比を低くしたりすると、高分解能を得ることが困難となり、合焦精度が悪化する。また、コントラスト検出方式におけるウォブリング幅が制限されるため、記録映像の品位に影響が出る可能性がある。また、合焦精度向上のため、及び、コントラスト検出方式におけるウォブリング幅に自由度を持たせるため、フォーカスレンズの駆動分解能は高いことが望ましい。一方、ステップモータを用いて高分解能を得るためにステップ幅の小さいモータを用いたり、伝達機構の減速比を高めたりすると、高速駆動が困難となり、合焦時間が増大する可能性がある。
【0006】
本発明は、高速かつ高精度に焦点調節を行う焦点調節装置、それを用いた光学機器、および制御方法を提供することを例示的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としてのフォーカスレンズを含む光学系の焦点を調節する焦点調節装置は、被写体からの光束から前記被写体までの距離に相当する情報を測定するAFセンサと、当該AFセンサの測定結果に基づいて焦点状態を検出する第1の焦点検出手段と、前記光学系により形成された像のコントラスト値に基づいて焦点状態を検出する第2の焦点検出手段と、磁石を有するロータと、磁石に回転力を与えるコイルを有するステータと、を有し、前記フォーカスレンズを駆動するモータと、前記モータの前記ロータの位置を検出する位置センサと、前記位置センサの出力に応じて前記モータの前記コイルへの通電を切り替える第1の駆動手段と、決められた時間間隔に従って前記モータの前記コイルへの通電を切り替える第2の駆動手段と、前記第1の焦点検出回路を使用した焦点調節を行う場合に前記モータのコイルへの通電に第1の駆動手段を選択し、前記第2の焦点検出回路を使用した焦点調節を行う場合に前記モータのコイルへの通電に第2の駆動手段を選択する切換回路と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高速かつ高精度に焦点調節を行う焦点調節装置、それを用いた光学機器、および制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の焦点調節装置と光学機器について説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、光学機器100のブロック図である。光学機器100は、動画・静止画を撮影してファインダ・液晶画面などに表示する装置、または、テープ・個体メモリ・光ディスク・磁気ディスクなどのメディアに記録する装置、いわゆるデジタルカメラ・ビデオカメラなどを総称する。光学機器100は、光学系110と焦点調節装置とを有する。焦点調節装置は、光学系110の焦点を調節し、複数の種類の焦点調節手段を有してAFを実現するハイブリッドAF装置である。本実施例では、焦点調節装置は、外部測距方式とコントラスと検出方式を使用するが、位相差検出方式とコントラスと検出方式を使用してもよい。焦点調節装置は、撮像素子120と、AFセンサ130と、フォーカス制御回路140と、モータ駆動回路150と、モータ160と、位置センサ170と、を有する。
【0011】
光学系110は、レンズ群などであり、フォーカスレンズ(群)111を含む。被写体からの光は光学系110を通って撮像素子120に入射する。フォーカスレンズ111は、モータ160によって駆動される。フォーカスレンズ111を光軸方向OPに微小に往復移動(ウォブリング)させても像倍率がほとんど変化することがなく、焦点位置のみが変化する。従って、フォーカスレンズ111を光軸方向OPに移動することで、撮像素子120上に結像される像の焦点を調節することができる。
【0012】
撮像素子120は、CCDやCMOSセンサなどの光電変換素子で構成されている。撮像素子120において光電変換によって得られた出力信号は、撮像素子120と第2の焦点検出回路142の間に配置される不図示の画像処理回路で増幅され、デジタル映像信号として出力される。光学機器100は、この映像信号を用いて動画・静止画を形成する。また、デジタル映像信号は後述する第2の焦点検出回路142に入力される。画像処理回路は、撮像素子120で電気信号に変換された信号に基づいて画面のコントラスト値を検出し、これにより、フォーカスレンズ111の焦点状態を知ることができる。
【0013】
AFセンサ130は、被写体からの光を検出して検出信号を出力する。AFセンサ130は、赤外発光素子(IrLED)を用いて被写体に赤外光を発光する。そして、被写体で反射した赤外光を受光素子で受光して、受光素子の出力から光学系110の焦点状態を検出する。ここで得られた検出信号は後述する第1の焦点検出回路141に入力される。AFセンサ130が焦点(調節)状態を検出する方式は限定されない。AFセンサ130は超音波を被写体に照射し、反射波を検出するセンサでもよい。また、被写体からの光を2分割して、それぞれの像を一対のAFセンサで検出してもよい。また、被写体からの光を直接検出してもよいし、光学系110に入射した光を分岐して検出する方法を使用してもよい。このように、AFセンサ130は、外部測距方式のために被写体までの距離を測定してもよいし、位相差検出方式のために被写体からの光束から生成される二つの像の間隔又はズレ量を検出してもよい。すなわち、AFセンサ130は、被写体からの光束からこの被写体までの距離に相当する情報を測定するものである。被写体までの距離に相当する情報を測定することによって、その距離に応じて、レンズの焦点を併せることができる。
【0014】
フォーカス制御回路140は、第1の焦点検出回路141(第1の焦点検出手段)と第2の焦点検出回路142(第2の焦点検出手段)を有する。第1の焦点検出回路141は、AFセンサ130の測定結果に基づいて焦点状態を検出する。具体的には、第1の焦点検出回路141は、AFセンサ130から出力された検出信号に基づいてフォーカスレンズ111の駆動目標信号を出力する。第2の焦点検出回路142は、光学系110により形成された像のコントラスト値に基づいて焦点状態を検出する。具体的には、第2の焦点検出回路142は、撮像素子120から出力されたデジタル映像信号に基づいてフォーカスレンズ111の駆動目標信号を出力する。フォーカス制御回路140の動作については後述する。
【0015】
モータ駆動回路150は、フォーカス制御回路140から出力されるフォーカスレンズ111の駆動目標信号に従ってモータ160を駆動する。モータ駆動回路150に関しては後述する。モータ160は、モータ駆動回路150の出力に従って回転し、フォーカスレンズ111を駆動する。モータの構成については後述する。
【0016】
位置センサ170は、モータ160のロータ位置を検出して検出信号を出力する。
【0017】
次に、フォーカス制御回路140の焦点調節動作について説明する。本実施例では、第1の焦点検出回路141による外部測距方式と、第2の焦点検出回路142によるコントラスト検出方式を切り換えて焦点調節動作を行う。外部測距方式によって演算された目標位置近傍にフォーカスレンズ111を駆動した後(ラフフォーカスモード)、コントラスト検出方式に切り換えてフォーカスレンズ111を最終的な合焦位置に移動させる(ファインフォーカスモード)。以下、2つの焦点調節動作について説明する。
【0018】
2つの焦点調節動作を切り換える方法は限定されない。各種撮影条件によって2つの焦点調節動作を切り換えてもよいし、2つの焦点調節モードを選択可能にして撮影者が2つの方式を切り換えてもよい。なお、本実施例では、第1の焦点検出回路141を用いた焦点調節をデフォルトに設定しており、モータ駆動回路150にはデフォルトで第1の焦点検出回路の出力が入力される。
【0019】
まず、第1の焦点検出回路141を用いた(外部測距方式による)焦点調節について説明する。第1の焦点検出回路141は、AFセンサ130から出力された検出信号に基づいて算出されるデフォーカス量と、フォーカスレンズ111の敏感度とから、フォーカスレンズ111の目標駆動量を求める。目標駆動量は、フォーカスレンズ111の現在位置から合焦位置又はその近傍の位置までの移動量である。更に、第1の焦点検出回路141は、フォーカスレンズ111の駆動に必要なモータ160の駆動量を求め、駆動目標信号を出力する。この方式においては、AFセンサ130から検出信号が出力されると直ちに駆動量と駆動方向が決定される。フォーカスレンズ111が目標駆動位置(合焦位置又はその近傍の位置)まで駆動される時間が短縮されれば素早い焦点調節動作が可能となり、素早い合焦動作のために、フォーカスレンズ111を駆動するモータ160には高速駆動が求められる。
【0020】
次に、第2の焦点検出回路142を用いた(コントラスト検出方式による)焦点調節について説明する。第2の焦点検出回路142は、撮像素子120が出力するデジタル映像信号から、バンドパスフィルタなどにより映像の鮮鋭度を表す高周波成分を抽出し、その値であるAF評価値が最大となるようにフォーカスレンズ111を駆動制御する。
【0021】
図2は第2の焦点検出回路142を用いた焦点調節動作を示すフローチャートである。図2において、焦点調節を開始すると(ステップ301)、まず、モータ駆動回路150はモータ160を制御してフォーカスレンズ111をウォブリング駆動する(ステップ302)。「ウォブリング駆動」では、フォーカスレンズ111を無限遠方向と至近方向とに所定微小量で往復駆動する。モータ駆動回路150は、AF評価信号の変化(AF評価信号の増加)を見て合焦位置が存在するであろう方向を検出する。モータ駆動回路150は、ウォブリング駆動において、合焦方向であろうと判別された方向が所定回数連続して同一となったときに該方向を合焦位置が存在する方向と判断する。また、モータ駆動回路150は、フォーカスレンズ111が所定回数同一エリアで往復を繰り返したときには、そのエリアを合焦位置として判定する。この場合には、後述する再起動判定処理に移行する。
【0022】
次に、モータ駆動回路150は、ウォブリング駆動により合焦判定されたか否かを確認する(ステップ303)。モータ駆動回路150は、合焦判定できていないと判断すれば(ステップ303)、微小駆動により合焦方向が判別されたか否かを判断する(ステップ304)。モータ駆動回路150は、合焦方向が判別されていないと判断すれば(ステップ304)、ステップ302に戻って再度、微小駆動を行う。
【0023】
一方、モータ駆動回路150は、合焦方向が判別できたと判断すれば(ステップ304)、山登り駆動を開始する(ステップ305)。「山登り駆動」では、合焦方向に所定駆動量ずつフォーカスレンズ111を駆動する。次いで、モータ駆動回路150は、AF評価値がピークを越えたか否か、即ち、それまで増加していったAF評価値が低下したか否かを判別する(ステップ306)。モータ駆動回路150は、AF評価値がピークを所定駆動量分越えたと判別した場合(ステップ306)、該所定駆動量分、フォーカスレンズ111を反対方向に移動する(ステップ307)。一方、モータ駆動回路150は、ピークを越えていないと判別した場合(ステップ306)、ステップ305に戻って山登り駆動を続行する。
【0024】
モータ駆動回路150は、ステップ307後に、再度AF評価値がピークに達したか否かを判別する(ステップ308)。その結果、ピークに達していない場合は、ステップ307に戻り、AF評価値のピークに戻す動作を継続する。AF評価値がピークに達した場合は、ここが合焦位置となる。合焦位置が確定されると、ステップ302に戻り、フォーカスレンズ111を微小駆動して、合焦位置をサーチする。
【0025】
一方、モータ駆動回路150は、ステップ303において合焦判定ができたと判断すると、フォーカスレンズ111を停止し(ステップ313)、合焦した際のAF評価値を不図示のメモリに記憶する(ステップ309)。そして、これ以後、再起動判定の処理を行う。再起動判定処理では、まずステップ310において、今回(最新)のAF評価値を取り込む。次に、メモリに記憶した前回のAF評価値とステップ310で取得した今回のAF評価値との差(変動量)を求める。変動量が所定値より大きければ(ステップ311)、焦点調節を再度実行(再起動)するため、ステップ302に戻り、ウォブリング駆動を開始して新たな合焦位置を検索する。AF評価値の変動量が所定値以下である場合(ステップ311)、合焦状態が維持されているものとして、フォーカスレンズ111を停止した状態に維持し(ステップ312)、ステップ310に戻ってさらに新たなAF評価値を取り込む。
【0026】
本方式では、高品位な映像のためにはウォブリング幅が小さいことが求められる。ウォブリング幅が大きいと、記録される映像に影響が出る可能性がある。例えば、ウォブリング幅が光学系110の被写界深度に対して比較的大きい場合は、撮像素子120によって出力されるデジタル映像信号に大きなボケが発生することになる。ウォブリング幅が光学系110の被写界深度に対して比較的小さい場合は、撮像素子120によって出力されるデジタル映像信号に発生するボケは小さく抑えられる。即ち、高精度な合焦動作のためには、フォーカスレンズ111を駆動するモータ160の分解能が高いことが求められる。
【0027】
また、山登り駆動においては、AF評価値がピークを越えたか否かを判別しながらフォーカスレンズ111を駆動するため、山登り駆動中は一定速度でフォーカスレンズ111を駆動する必要がある。即ち、コントラスト検出方式のためには、フォーカスレンズ111を駆動するモータ160が一定速度で駆動可能であることが求められる。
【0028】
図3は、モータ160と位置センサ170の斜視図であり、説明のため一部の部品を破断して示している。モータ160の構造は特許文献2と同様である。モータ160は、磁石161を有するロータ162、第1のコイル163、第2のコイル164、第1のヨーク165及び第2のヨーク166を有する。位置センサ170は、第1の位置センサ171と第2の位置センサ172を有する。第1のコイル163、第2のコイル164、第1のヨーク165、第2のヨーク166、第1の位置センサ171、第2の位置センサ172はステータを構成する。
【0029】
磁石161は、外周が多極着磁された円筒形状の永久磁石である。角度位置に対し、径方向の磁力の強さが正弦波状に変化する着磁パターンを有する。ロータ162は、ステータに対して回転可能に支持され、磁石161と一体に固定されている。第1のヨーク165は、第1のコイル163に励磁される磁極歯を複数有している。励磁される極を切り替えることで、ロータ162に与えるトルクを変化させることができる。第2のヨーク166は、第1のコイル164に励磁される磁極歯を複数有している。励磁される極を切り替えることで、ロータ162に与えるトルクを変化させることができる。第1の位置センサ171、第2の位置センサ172は磁石161の磁束を検出し、電気角で90°ずつ位相のずれた信号を出力するホール素子である。ここで磁石161の極数をnとすると、電気角360°は実際のロータ角度の720/n°に相当する。
【0030】
モータ駆動回路150は、フィードバック通電切換ドライバ(第1の駆動手段)151と、非フィードバック通電切換ドライバ152(第2の駆動手段)と、切換回路153と、を有する。
【0031】
フィードバック通電切換ドライバ151は、フォーカス制御回路140から出力されるフォーカスレンズ111の駆動目標信号に従ってモータ160を駆動する。その際、フィードバック通電切換ドライバ151は、位置センサ170の出力する検出信号に従ってコイルへの通電を切り換える。非フィードバック通電切換ドライバ152は、フォーカス制御回路140から出力されるフォーカスレンズ111の駆動目標信号に従ってモータ160を駆動する。その際、非フィードバック通電切換ドライバ152は、入力された駆動パルス間隔(駆動周波数)又は決められた時間間隔に従ってコイルへの通電を切り換える。この駆動方式は、通常の2相ステップモータの駆動方式と同等である。切換回路153は、モータ160を駆動する際に、フィードバック通電切換ドライバ151または非フィードバック通電切換ドライバ152を切り換える回路である。以下に説明するように、ドライバ151はドライバ152よりもフォーカスレンズ111を高速で移動することができる。また、ドライバ152はドライバ151よりもフォーカスレンズ111を高精度に合焦位置に位置決めすることができる。
【0032】
非フィードバック通電切換ドライバ152はモータ160を非フィードバック通電切換駆動を行う。非フィードバック通電切換ドライバ152は、入力された駆動パルス間隔(駆動周波数)と回転方向に従って、第1のコイル163と第2のコイル164の通電を順次切り替える。これにより、ロータ162を所望の速度で回転させることができる。また、非フィードバック通電切換ドライバ152は、入力された駆動パルス数に従って、ロータ162を所望の角度だけ回転させることができる。非フィードバック通電切換駆動は入力される駆動パルス間隔によって正確な速度制御が可能である。また、低速でも安定した駆動が可能である。更に、マイクロステップ駆動によって1ステップの中を分割して位置決めすることができるため、分解能が高く、微小変位の制御性が高い。しかしながら、駆動パルス間隔を小さく(駆動周波数を大きく)すると、コイル通電の切り替えに対してロータが応答できなくなり、脱調をおこす可能性が高まる。このため、駆動パルス間隔に下限を設けると共に実際の負荷に対して所定の安全率を見込む必要があり、高速度での駆動が制限される。
【0033】
モータ160は、第1の位置センサ171と第2の位置センサ172の出力する信号により通電を切り換えるフィードバック通電切換モードによって回転することができる。図4はヨークと位置センサとロータの位相関係を示す軸方向断面図、図5はフィードバック通電切換モードの動作を示す軸方向断面図である。図中で時計回りを正の方向とする。165a〜dは第1のヨーク165の磁極歯、166a〜dは第2のヨーク166の磁極歯である。本実施形では、磁石161の極数は8極、着磁角Pは45°である。また、第1のヨーク165を基準として、第2のヨーク166の位相P/2は−22.5°、第1の位置センサ171の位相β1は+22.5°、第2のセンサ172の位相β2は−45°である。
【0034】
以下の説明では、電気角を用いてフィードバック通電切換モードの動作を説明する。電気角とは、磁石磁力の1周期を360°として表したものであり、ロータの極数をM、実際の角度をθとすると、電気角θは以下の式で表せる。
【0035】
【数1】

【0036】
第1のヨーク165と第2のヨーク166の位相差、第1の位置センサ171と第2の位置センサ172の位相差、第1のヨーク165と第1の位置センサ171の位相差は全て電気角で90°である。なお、図4において、第1のヨーク磁極歯中心と磁石のN極中心が対向している。この状態をロータの初期状態とし、電気角0°とする。
【0037】
図6(1)はロータの回転角度とモータトルクの関係を示すグラフであり、横軸は電気角を、縦軸はモータトルクを示す。モータトルクは、ロータを時計回りに回転させるトルクを正とする。第1のコイル163に正方向の電流を流すと、第1のヨーク163がN極に磁化し、磁石161の磁極との間に電磁気力が発生する。また、第2のコイル164に正方向の電流を流すと、第2のヨーク166がN極に磁化し、磁石161の磁極との間に電磁気力が発生する。2つの電磁気力を合成すると、ロータの回転にともなって概略正弦波状のトルクが得られる(トルク曲線A+B+)。他の通電状態においても、同様に、概略正弦波状のトルクが得られる(トルク曲線A+B−、A−B−、A−B+)。また、第1のヨークは第2のヨークに対して電気角で90°の位相をもって配置されるため、4つのトルクは互いに電気角で90°の位相差を持っている。
【0038】
図6(2)はロータの回転角度とセンサ出力の関係を示すグラフであり、横軸は電気角を、縦軸は位置センサの出力を示す。磁石161は、径方向において電気角に対しておおよそ正弦波状になるように着磁している。そのため、第1の位置センサ171からは概略正弦波状の信号が得られる(位置センサ信号A)。なお、本実施例では、第1の位置センサ171は、磁石161のN極と対向するときに正の値を出力する。また、第2の位置センサ172は第1の位置センサ171に対して電気角で90°の位相をもって配置されるため、第2の位置センサ172からは余弦波状の信号が得られる(位置センサ信号B)。本実施例では、第2の位置センサ172は、第1の位置センサ171に対して極性を反転してあるため、磁石161のS極と対向するときに正の値を出力する。
【0039】
位置センサ信号Aと位置センサ信号Bに対して2値化を行った信号が2値化信号Aと2値化信号Bである。フィードバック通電切換モードでは、2値化信号Aに基づいて第1のコイルの通電を切り換え、2値化信号Bに基づいて第2のコイルの通電を切り換える。即ち、2値化信号Aが正の値を示すとき第1のコイルに正方向の電流を流し、負の値を示すとき第1のコイルに逆方向の電流を流す。また、2値化信号Bが正の値を示すとき第2のコイルに正方向の通電を流し、負の値を示すとき第2のコイルに逆方向の通電を流す。
【0040】
以下、フィードバック通電切換モードの動作を説明する。図5(a)はロータ162が電気角で135°回転した状態を示している。各センサの出力は図6(2)(a)で示した値を示しており、2値化信号Aは正、2値化信号Bは負の値を示している。従って、第1のコイル163には正方向の電流が流れて第1のヨーク165はN極に磁化し、第2のコイル164には逆方向の電流が流れて第2のヨーク166はS極に磁化する。このとき、図6(1)のトルク曲線A+B−に対応する時計回りのトルクが働き、ロータ162はθ方向の回転力を受けて回転する。図5(b)はロータ162が電気角で180°回転した状態を示している。第1の位置センサ171は磁石161のN極とS極の境界に位置する。そのため、電気角180°を境に2値化信号Aは正の値から負の値に切り換わり、第1のコイル163の通電方向が正方向から逆方向へ切り換わる。この電気角は、トルク曲線A+B−とトルク曲線A−B−との交点の電気角と一致する。
【0041】
図5(b’)はロータ162が電気角で180°回転し、第1のコイル163の通電方向が切り換わった状態を示している。第1のコイル163には逆方向の電流が流れて第1のヨーク165はS極に磁化し、第2のコイル164には逆方向の電流が流れて第2のヨーク166はS極に磁化する。このとき、図6(1)のトルク曲線A−B−に対応する時計回りのトルクが働き、ロータ162はθ方向の回転力を受けて回転する。
【0042】
図5(c)はロータ162が電気角で225°回転した状態を示している。各センサの出力は図6(2)の(c)で示した値を有し、2値化信号Aは負、2値化信号Bは負の値を示している。従って、第1のコイル163には負方向の電流が流れて第1のヨーク165はS極に磁化し、第2のコイル164には逆方向の電流が流れて第2のヨーク166はS極に磁化する。このとき、図6(1)のトルク曲線A−B−に対応する時計回りのトルクが働き、ロータ162はθ方向の回転力を受けて回転する。
【0043】
図5(d)はロータ162が電気角で270°回転した状態を示している。第2の位置センサ172は磁石161のN極とS極の境界に位置する。そのため、電気角270°を境に2値化信号Bは負の値から正の値に切り換わり、第2のコイル164の通電方向が逆方向から正方向へ切り換わる。この電気角は、トルク曲線A−B−とトルク曲線A−B+との交点の電気角と一致する。
【0044】
図5(b’)はロータ162が電気角で270°回転し、第2のコイル164の通電方向が切り換わった状態を示している。第2のコイル164には正方向の電流が流れて第2のヨーク166はS極に磁化し、第1のコイル163には逆方向の電流が流れて第1のヨーク165はS極に磁化する。このとき、図6(1)のトルク曲線A−B+に対応する時計回りのトルクが働き、ロータ162はθ方向の回転力を受けて回転する。
【0045】
以上の動作を繰り返すことで、ロータ162を連続的に回転させることが可能となる。また、2値化信号A又は2値化信号Bの正負を反転させれば、逆回転も可能である。
【0046】
フィードバック通電切換モードでは、駆動パルス数と回転方向を入力することで、ロータ162を所望の角度だけ回転させることが可能である。また、コイルに流す電流を制御することで各ヨークの磁極歯と磁石磁極との間の磁力を変化させ、ロータ162にはたらく回転力を制御し、ロータ162を所望の速度で回転させることが可能である。
【0047】
フィードバック通電切換モードでは、位置センサの信号の位相を進めることでモータ160の特性を変化させることが可能である。フィードバック通電切換モードにおいて高速度で回転させると、通電切換の周期が短くなる。通電切換の周期が短いと、コイルのインダクタンスの影響により、通電切換の周期に比べて電流値の立ち上がりが遅くなり、トルクが低くなる。しかし、位置センサの信号の位相を進めることで、電流値の立ち上がりが遅くなるのを防ぎ、高速でのトルク低下を抑えることが可能である。
【0048】
フィードバック通電切換モードでは、各トルク曲線の交点と一致する電気角において通電を切り換えているため、モータ160から得られるトルクを最大にすることができる(図6(1)トルク曲線T)。
【0049】
非フィードバック通電切換モードでは、駆動周波数を高くすると、通電切換に対してロータ162の回転が追いつかず、脱調を起こすことがある。しかし、フィードバック通電切換モードでは、ロータ162の位置を検出しながら通電を切り換えるため、適切な制御を行えば脱調が起こることはない。そのため、非フィードバック通電切換モードのように駆動速度を制限したり、安全率を見込んだりする必要がない。そのため、非フィードバック通電切換モードに対して高速・高効率で駆動することが可能である。フィードバック通電切換モードでは、コイルに流す電流を制御することで速度制御を行うことができる。しかし、低速駆動時には電流値を低くしなければならず、トルクが低下する。そのため、低速駆動時の位置決め精度は低下する。
【0050】
非フィードバック通電切換モードでは、モータ外部から与えられる駆動周波数に従って通電を切り換えるため、一定速度でロータ162を回転することができる。また、駆動周波数を制御することで、速度変動の少ない、正確な速度制御を行うことができる。しかし、フィードバック通電切換モードでは、ロータ162の位置を検出しながら通電を切り換えるため、負荷の変動によってロータ162の速度変動が発生する。
【0051】
なお、本実施例では、ロータ磁石の磁束を磁気センサによって検出し、通電タイミングを制御している。しかしながら、ロータ位置を検出する方式に制限を加えるわけではない。ロータ162の回転にともなって変位する検出用磁石を配置して検出してもよいし、遮光板やパターン面を光学センサによって読み取ってもよい。また、位置センサがモータ160と一体に固定されていてもよいし、モータ160とは別部材に固定されていてもよい。この駆動方式(フィードバック通電切換モード)が、位置センサの出力に応じてモータ160のコイルの通電状態を切り換える駆動手段による駆動方式である。
【0052】
図7は、切換回路153の動作を示すフローチャートである。フォーカス制御回路140からフォーカスレンズ111の駆動目標信号が入力されると(ステップ201)、現在の焦点調節が外部測距方式であるかどうかを判断する(ステップ202)。焦点調節が第1の焦点検出回路141を用いたものであれば(ステップ202)、フィードバック通電切換モードに切り換えてフォーカスレンズ111の駆動目標信号をフィードバック通電切換ドライバ151に出力する(ステップ203)。一方、焦点調節が第2の焦点検出回路142を用いたものであれば(ステップ202)、駆動方式を非フィードバック通電切換モードに切り換えてフォーカスレンズ111の駆動目標信号を非フィードバック通電切換ドライバ152に出力する(ステップ204)。ステップ203又は204の後で処理は終了する(ステップ205)。
【0053】
フォーカスレンズ111の現在位置は、モータ駆動回路150に入力されるフォーカスレンズ111の駆動目標信号をカウントすることによって検出しているが、現在位置の検出方法はこれに限定されない。フォーカスレンズ111の現在位置を直接位置センサで検出してもよいし、モータ160に入力される通電パルスをカウントすることでフォーカスレンズ111の現在位置を算出してもよい。
【0054】
次に、光学機器100の焦点調節動作について説明する。図8は、光学機器100の焦点調節を説明するためのグラフである。横軸はフォーカスレンズ111の位置を示し、縦軸はコントラスト検出方式におけるAF評価信号を示している。
【0055】
Iに示すように、位置Aにおいて光学機器100が焦点調節動作を開始すると、まず外部測距方式によってデフォーカス量を求め、フォーカスレンズ111の駆動目標を算出する(位置B)。
【0056】
IIに示すように、フォーカスレンズ111の駆動目標に従って、モータ160が回転し、フォーカスレンズ111が位置Aから位置Bまで移動する。この際、モータ160は切換回路153によってフィードバック通電切換モードに切り換えて動作している。そのため、非フィードバック通電切換モードに比べ、高速・高効率でフォーカスレンズ111を駆動可能であり、合焦までの時間が短縮される。外部測距方式によって算出されたフォーカスレンズ111の駆動目標(位置B)までフォーカスレンズ111が移動すると、フォーカス制御回路140によって外部測距方式からコントラスト検出方式に切り換えられる。それに伴い、切換回路153によってモータ160は非フィードバック通電切換モードに切り換えられる。
【0057】
IIIに示すように、位置Bにおいてコントラスト検出方式に切り換わると、まずウォブリング動作を行い、合焦判定・合焦方向判別を行う。この際、モータ160は非フィードバック通電切換モードによって駆動されるため、分解能が高く微小変位の制御性が高い。そのため、映像に発生するボケを抑えることができる。ステップモータは過大な加速度を入力すると、脱調することが知られている。位置Bにおいて非フィードバック通電切換モードに切り換えた場合、ウォブリングによる過大な加速度が入力され、脱調が起こる可能性がある。位置A’から位置Bの間で移動速度を徐々に下げていく減速制御を行うことが望ましい。
【0058】
IVに示すように、合焦方向が判別されると、ピーク判別を行いながら山登り駆動を行う。この際、モータ160は非フィードバック通電切換モードによって駆動されるため、一定速での山登り駆動が可能である。また、AF評価信号の傾きが低い場合にも、低速での山登り駆動を行うことができる。
【0059】
Vに示すように、フォーカスレンズ111が位置Dに達すると、AF評価信号のピークを超えたことを判別し、フォーカスレンズ111を所定駆動量ピークに戻す動作を行う。
【0060】
VIに示すように、フォーカスレンズ111が最終合焦位置(位置C)の近傍に達すると、再度ウォブリング動作を行う。その結果、合焦が判定されると、フォーカスレンズ111を停止し、フォーカスレンズ111が最終合焦位置に到達する。この際、モータ160は非フィードバック通電切換モードによって駆動されるため、分解能が高い。そのため、最終的な合焦精度を高くすることが可能である。
【0061】
このように、光学機器100は、位相差検出方式又は外部測距方式ではフィードバック通電切換モードによりフォーカスレンズ111を駆動し、コントラスト検出方式では非フィードバック通電切換モードによりフォーカスレンズ111を駆動する。このため、光学機器100は、高速・高精度の合焦動作が可能である。
【実施例2】
【0062】
本実施例において実施例1と重複する説明は省略する。図9は、切換回路153の動作を示すフローチャートである。フォーカス制御回路140からフォーカスレンズ111の駆動目標信号が入力されると(ステップ401)、切換回路153は現在の焦点調節動作が第1の焦点検出回路141を用いた外部測距方式であるかどうかを判断する(ステップ402)。焦点調節動作が外部測距方式であれば、ステップ403に進む。そうでなければ、駆動方式を非フィードバック通電切換モードに切り換えてフォーカスレンズ111の駆動目標信号を非フィードバック通電切換ドライバ152に出力する(ステップ405)。この場合は、焦点調節動作が第2の焦点検出回路142を用いたコントラスト検出方式である。
【0063】
ステップ403では、フォーカスレンズ111の駆動目標位置と現在位置との偏差(又は差若しくは距離)が閾値(SH)よりも大きいかどうか判断する。偏差が閾値SHより大きければ、フィードバック通電切換モードに切り換えてフォーカスレンズ111の駆動目標信号をフィードバック通電切換ドライバ151に出力する(ステップ404)。偏差が閾値SH以下であれば、駆動方式を非フィードバック通電切換モードに切り換えてフォーカスレンズ111の駆動目標信号を非フィードバック通電切換ドライバ152に出力する(ステップ405)。ステップ404又は405の後で処理は終了する(ステップ406)。
【0064】
フォーカスレンズ111の現在位置は、モータ駆動回路150に入力されるフォーカスレンズ111の駆動目標信号をカウントすることで検出しているが、現在位置の検出方法はこれに限定されるものではない。フォーカスレンズ111の現在位置を直接位置センサで検出してもよいし、モータ160に入力される通電パルスをカウントすることでフォーカスレンズ111の現在位置を算出してもよい。
【0065】
閾値SHは、例えば、モータ160を2相駆動方式によって駆動する時の10ステップに相当する距離に設定する。図8におけるd=SHとすれば、位置A’においてフィードバック通電切換モードから非フィードバック通電切換モードへ切り換えることになる。このとき、外部測距方式の駆動目標近傍(位置B)において分解能の高い非フィードバック通電切換モードで駆動を行うため、外部測距方式での合焦精度が向上する。
【0066】
また、図8の位置A’から位置Bの間において、フィードバック通電切換モードでの駆動を行う場合、減速制御によって電流が低下し、トルクが低下する。そのため、フォーカスレンズ111の駆動が不安定になる可能性がある。しかし、本実施例では、減速制御をフィードバック通電切換モードで行うため、減速制御中のフォーカスレンズ111の駆動が安定し、高精度な合焦動作が可能になる。
【0067】
このように、光学機器100は、位相差検出方式又は外部測距方式ではフォーカスレンズ111が駆動目標から所定の偏差以下に移動するまでフィードバック通電切換モードによりフォーカスレンズ111を駆動する。そして、フォーカスレンズ111が駆動目標から所定の偏差以下に移動したら非フィードバック通電切換モードに切り換えてフォーカスレンズ111を駆動する。また、コントラスト検出方式ではステップ駆動によりフォーカスレンズ111を駆動する。これによって、光学機器100は、高速・高精度の合焦動作が可能である。
【0068】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。たとえば、フォーカスレンズ111は、一つのレンズで構成されても複数のレンズで構成されても焦点位置を変更する機能を有すれば足りる。また、モータ駆動回路150は、上記では、フィードバック通電切換ドライバ(第1の駆動手段)151と、非フィードバック通電切換ドライバ152(第2の駆動手段)と、切換回路153と、を有する構成とした。この点、ドライバは一つでもよく、機能として、第1の駆動手段と第2の駆動手段とを併せ持つようにしてもよい。例えば、プログラムとして第1駆動手段と第2の駆動手段とを有している場合である。また、フォーカス制御回路140は、上記では、第1の焦点検出回路141と第2の焦点検出回路142とを有する構成とした。この点、回路は一つでもよく、機能として、第1の焦点検出回路と第2の焦点検出回路とを併せ持つようにしてもよい。例えば、プログラムとして、第1の焦点検出回路と第2の焦点検出回路とを有している場合である。
【0069】
また、上記実施例では、位置センサ170が、モータ160のロータ位置を検出して検出信号を出力するとした。この点、ロータ位置の検出と一対一であれば足り、直接ロータ位置を検出するものに限らず、部材点数は増えてしまうもののロータの回転に伴って回転する部材の位置を検出することで、ロータ位置を検出するものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】実施例1の光学機器のブロック図である。
【図2】図1に示す光学機器のコントラスト検出方式による焦点調節を説明するためのフローチャートである。
【図3】図1に示す光学機器のモータと位置センサの斜視図である。
【図4】図3に示すヨークと位置センサとロータの位相関係を示す軸方向断面図である。
【図5】図1に示すモータのフィードバック通電切換モードの動作を示す軸方向断面図である。
【図6】フィードバック通電切換モードにおけるロータの回転角度とモータトルクの関係を示すグラフとロータの回転角度とセンサ出力の関係を示すグラフである。
【図7】図1に示す切換回路の動作を示すフローチャートである。
【図8】図1に示す光学機器の焦点調節を説明するためのグラフである。
【図9】実施例2の切換回路のフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
100 光学機器
110 光学系
111 フォーカスレンズ
120 撮像素子
130 AFセンサ
140 フォーカス制御回路
150 モータ駆動回路
160 モータ
170、171、172 位置センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォーカスレンズを含む光学系の焦点を調節する焦点調節装置において、
被写体からの光束から前記被写体までの距離に相当する情報を測定するAFセンサと、
当該AFセンサの測定結果に基づいて焦点状態を検出する第1の焦点検出手段と、
前記光学系により形成された像のコントラスト値に基づいて焦点状態を検出する第2の焦点検出手段と、
磁石を有するロータと、磁石に回転力を与えるコイルを有するステータと、を有し、前記フォーカスレンズを駆動するモータと、
前記モータの前記ロータの位置を検出する位置センサと、
前記位置センサの出力に応じて前記モータの前記コイルへの通電を切り替える第1の駆動手段と、
決められた時間間隔に従って前記モータの前記コイルへの通電を切り替える第2の駆動手段と、
前記第1の焦点検出回路を使用した焦点調節を行う場合に前記モータのコイルへの通電に第1の駆動手段を選択し、前記第2の焦点検出回路を使用した焦点調節を行う場合に前記モータのコイルへの通電に第2の駆動手段を選択する切換回路と、
を有することを特徴とする焦点調節装置。
【請求項2】
前記第1の駆動手段は前記第2の駆動手段よりも前記フォーカスレンズを高速で移動することができ、前記第2の駆動手段は前記第1の駆動手段よりも前記フォーカスレンズを高精度に合焦位置に位置決めすることができ、
前記切換回路は、前記第1の駆動手段により前記フォーカスレンズを移動した後で前記第2の駆動手段により前記フォーカスレンズを移動することを特徴とする請求項1に記載の焦点調節装置。
【請求項3】
前記切換回路は、前記フォーカスレンズの現在位置と合焦位置との距離が閾値よりも大きい場合には前記第1の駆動手段を選択し、前記距離が前記閾値よりも小さい場合には前記第2の駆動手段を選択することを特徴とする請求項1に記載の焦点調節装置。
【請求項4】
前記第1の焦点検出回路は、位相差検出方式又は外部測距方式によって合焦位置を求め、前記第2の焦点検出回路は、コントラスト検出方式によって前記合焦位置を求めることを特徴とする請求項1に記載の焦点調節装置。
【請求項5】
フォーカスレンズを含む光学系と、
前記光学系の焦点を調節する請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の焦点調節装置と、
を有することを特徴とする光学機器。
【請求項6】
磁石を有するロータと、磁石に回転力を与えるコイルを有するステータと、フォーカスレンズを駆動するモータと、前記モータの前記ロータの位置を検出する位置センサとを有し、フォーカスレンズを含む光学系の焦点を調節する焦点調節装置の制御方法において、
被写体からの光束から算出された前記被写体までの距離に相当する情報に基づいて焦点状態を検出する場合には前記位置センサの出力に応じて前記モータの前記コイルへの通電を切り替えるとともに、前記光学系により形成された像のコントラスト値に基づいて焦点状態を検出する場合には決められた時間間隔に従って前記モータの前記コイルへの通電を切り替えることを特徴とする制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−163063(P2009−163063A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−1607(P2008−1607)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】