説明

焼結機の排ガス処理方法

【課題】複数の焼結機による排ガスを合流させ、単一の排ガス処理設備で一括処理することができるとともに、個々の焼結機による排ガスの風量または圧力の変動に追従することができる焼結機の排ガス処理方法を提供する。
【解決手段】焼結機2、電気集塵機3、主排風機4、昇圧ファン5、排ガス処理設備6および煙突7の順に煙道ダクトを介して配置された焼結設備1により焼結機の排ガスを処理する方法であって、複数配置された焼結機2の排ガスを合流させ、単一の昇圧ファン5と排ガス処理設備6で一括処理するに際し、昇圧ファン5の入側における排ガスの圧力に応じて昇圧ファン5の風量を調整し、昇圧ファン5の入側における排ガスの圧力を一定に制御し、焼結機2ごとに主排風機4を配置し、主排風機4の出側で排ガスを合流させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼結機から出る排ガスを処理する方法に関し、さらに詳しくは、複数の焼結機による排ガスを効率的に処理するために、複数の焼結機による排ガスを合流させ、単一の排ガス処理設備で一括処理することができる焼結機の排ガス処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製鉄工場における焼結機から出る排ガスでは、大気汚染を防止するため、ダストやNOx、SOx、ダイオキシンといった汚染物質の濃度が規制されており、それらを除去する手段として、最近では活性炭充填方式の排ガス処理設備の導入が進んでいる。
【0003】
排ガス処理設備は活性炭による圧力損失が大きいことから、一般的に、排ガス処理設備の入側(排ガスが導入される側)に昇圧ファンを配置することにより、排ガスを昇圧して排ガス処理設備のガス処理量を確保する。この場合、焼結機による排ガスの風量や圧力に応じ、昇圧ファンの風量を調整して運転し、排ガス処理設備のガス処理量が減少して焼結機の生産性が低下するのを防止する。
【0004】
複数の焼結機を配置する場合にそれらの排ガスを処理する方法として、焼結機ごとに排ガス処理設備を配置して処理する方法と、複数の焼結機の排ガスを合流させて単一の排ガス処理設備により処理する方法が考えられる。
【0005】
焼結機ごとに排ガス処理設備を配置して処理する場合、焼結機ごとに、ダストを除去する電気集塵機、焼結機と電気集塵機から排ガスを排出する主排風機、昇圧ファン、排ガス処理設備および煙突の順にダクトを介して配置する焼結設備が多用される。この場合、主排風機の回転数や、主排風機の入側または出側に設けた風量調整ダンパーの開度などに応じて昇圧ファンの風量を調整し、焼結機の生産性が低下するのを防止して排ガスを処理していた。しかし、非常に高価な排ガス処理設備を焼結機ごとに配置することから、設備コストや設置スペースが問題となる。
【0006】
一方、複数の焼結機による排ガスを合流させ、合流した排ガスを昇圧ファンで排ガス処理設備に送る場合、一つの焼結機の操業開始や停止といった変化により昇圧ファン入側における排ガスの圧力が変動すると、他の焼結機の主排風機による排ガスの風量および圧力に影響を与える。したがって、急激な主排風機の風量変動が発生した場合でも他の焼結機の操業に影響を与えないため、主排風機の風量変動に対して素早く追従できる焼結設備の制御方法が必要となる。
【0007】
図1は、従来の焼結機の排ガス処理方法により、複数の焼結機による排ガスを処理する場合の排ガスフローを示す図である。同図は焼結機ごとに排ガス処理設備を配置して処理する場合を示し、同図に示す焼結設備1では、焼結機2と、排ガスに含まれるダストを除去する電気集塵機3と、焼結機と電気集塵機から排ガスを排出する主排風機4と、排ガスを昇圧する昇圧ファン5と、排ガスから主にNOx、SOxおよびダイオキシンを除去する排ガス処理設備6と、排ガスを大気中に排出する煙突7と、これらを接続する煙道ダクトを用いる。
【0008】
焼結設備では、焼結機の開始や停止といった操業状態の変化に応じて主排風機の回転数やダンパー開度などを調整することから、複数の焼結機を配置する場合、焼結機によって主排風機の回転数やダンパー開度が異なる事態が生じる。従来の主排風機の回転数やダンパー開度などに応じて昇圧ファンの風量を調整する制御方法を、複数の焼結機による排ガスを合流させて単一の排ガス処理設備で一括処理する場合に適用するのは、焼結機によって異なる主排風機の回転数やダンパー開度に対して、単一の昇圧ファンで調整することから困難である。このため、図1に示すように焼結機ごとに排ガス処理設備を配置し、同図の白抜き矢印で示す方向に排ガスを送って処理しているのが現状である。
【0009】
焼結機の排ガスを処理する方法に関し、従来から種々の提案がなされており、例えば特許文献1および2がある。特許文献1および2の処理方法は、焼結機ごとに排ガス処理設備を配置した場合、焼結機の操業を開始する際に昇圧ファンの吸引により強い負圧が生じ、煙道ダクト等の設備が破損するのを防止することを目的としている。
【0010】
特許文献1に開示される焼結機の排ガス処理方法では、焼結機、主排風機、昇圧ファン、排ガス処理設備および煙突の順に煙道ダクトを介して配置し、主排風機と昇圧ファンの間に外気吸引口を設ける。焼結機を起動させる前に主排風機が備える風量調整ダンパーを閉じ、外気吸引口が備える風量調整ダンパーを開く。
【0011】
焼結機を起動させる際に主排風機と昇圧ファンの間の排ガスの圧力を一定にしつつ、主排風機が備える風量調整ダンパーを徐々に開き、外気吸引口が備える風量調整ダンパーを徐々に閉じることにより、昇圧ファンの吸引により強い負圧が生じ、煙道ダクト等の設備が破損するのを防止する。焼結機の起動が完了した後、主排風機が備える風量調整ダンパーを全開とし、外気吸引口が備える風量調整ダンパーを全閉とし、焼結機の排ガスを排ガス処理設備に送り処理するとしている。
【0012】
特許文献2に開示される焼結機の排ガス処理方法では、焼結機、電気集塵機、主排風機、昇圧ファン、排ガス処理設備および煙突の順に煙道ダクトを介して配置し、主排風機と昇圧ファンの間で分岐し、排ガス処理設備と煙突の間に合流する風量調整ダンパーを備えた煙道ダクトをバイパスとして設ける。焼結機を起動させる前に昇圧ファンが備える風量調整ダンパーを閉じ、バイパスが備える風量調整ダンパーを開く。
【0013】
焼結機を起動させる際、主排風機と昇圧ファンの間の排ガスの圧力を一定にしつつ、昇圧ファンが備える風量調整ダンパーを徐々に開き、バイパスが備える風量調整ダンパーを徐々に閉じることにより、昇圧ファンの吸引により強い負圧が生じ、煙道ダクト等の設備が破損するのを防止する。焼結機の起動が完了した後、昇圧ファンが備える風量調整ダンパーを全開とし、バイパスが備える風量調整ダンパーを全閉とし、焼結機の排ガスを排ガス処理設備に送り処理するとしている。
【0014】
特許文献1および2には、焼結機の起動時に昇圧ファンにより煙道ダクト内が強い負圧となることによる影響をなくすため、昇圧ファンの入側圧力を一定に制御する技術が開示されているが、複数の焼結機を用いる場合に個々の焼結機の操業状態の変化による影響を抑制するための制御に関する技術は示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特許第3840362号公報
【特許文献2】特許第3840363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前述の通り、従来の焼結機ごとに昇圧ファンおよび排ガス処理設備を配置し、複数の焼結機による排ガスを処理する方法では、設備コストや設置スペースが問題となる。
【0017】
一方、複数の焼結機による排ガスを合流させて単一の排ガス処理設備により処理する方法は、他の焼結機に影響されて排ガス風量が変動するのを抑制でき、個々の焼結機による排ガスの風量変動に素早く追従することができる焼結設備の制御技術が確立されていないことから、ほとんど用いられていない。また、従来の主排風機の回転数やダンパー開度などに応じて昇圧ファンの風量を調整する制御方法を、複数の焼結機による排ガスを単一の排ガス処理設備で一括処理する場合に適用するのは困難である。
【0018】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、複数の焼結機による排ガスを合流させ、単一の排ガス処理設備で効率的に一括処理することができるとともに、他の焼結機に影響されて排ガス風量が変動するのを抑制でき、個々の焼結機による排ガスの風量変動に素早く追従することができる焼結機の排ガス処理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、上記問題を解決するため、種々の試験を行い、鋭意検討を重ねた結果、排ガス処理設備を用いた焼結設備により焼結機の排ガスを処理する方法において、複数配置された焼結機の排ガスを合流させ、単一の昇圧ファンと排ガス処理設備で一括処理する際に、昇圧ファンの入側における排ガスの圧力に応じて昇圧ファンの風量を調整し、昇圧ファンの入側における排ガスの圧力を一定に制御することにより、他の焼結機に影響されて排ガス風量が変動するのを抑制でき、個々の焼結機による排ガスの風量変動に素早く追従することができることを知見した。
【0020】
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、下記(1)〜(4)の焼結機の排ガス処理方法を要旨としている。
【0021】
(1)焼結機、電気集塵機、主排風機、昇圧ファン、排ガス処理設備および煙突の順に煙道ダクトを介して配置された焼結設備により焼結機の排ガスを処理する方法であって、複数配置された焼結機の排ガスを合流させ、単一の昇圧ファンと排ガス処理設備で一括処理するに際し、前記昇圧ファンの入側における排ガスの圧力に応じて前記昇圧ファンの風量を調整し、前記昇圧ファンの入側における排ガスの圧力を一定に制御することを特徴とする焼結機の排ガス処理方法。
【0022】
(2)前記複数配置された焼結機ごとに前記主排風機を配置し、前記主排風機の出側で排ガスを合流させることを特徴とする上記(1)に記載の焼結機の排ガス処理方法。
【0023】
(3)前記昇圧ファンとして可変動翼軸流ファンを用い、前記昇圧ファンの風量を調整する際に可変動翼の角度を変更して風量を調整することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の焼結機の排ガス処理方法。
【0024】
(4)前記排ガス処理設備が、活性炭充填方式であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の焼結機の排ガス処理方法。
【発明の効果】
【0025】
本発明の焼結機の排ガス処理方法は、昇圧ファンの入側における排ガスの圧力に応じて昇圧ファンの風量を調整し、昇圧ファンの入側における排ガスの圧力を一定に制御することにより、単一の排ガス処理設備で一括処理することができるとともに、他の焼結機に影響されて排ガス風量が変動するのを抑制でき、個々の焼結機による排ガスの風量または圧力の変動に追従することができる。したがって、排ガス処理設備の配置台数を減少させることができ、焼結設備の設備コストおよび設置スペースを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】従来の焼結機の排ガス処理方法により、複数の焼結機による排ガスを処理する場合の排ガスフローを示す図である。
【図2】本発明の焼結機の排ガス処理方法により排ガスを処理する場合の排ガスフローの一例を説明する図である。
【図3】実施例で行った焼結機の排ガス処理方法における排ガスフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の焼結機の排ガス処理方法を図面に基づいて説明する。
【0028】
図2は、本発明の焼結機の排ガス処理方法により排ガスを処理する場合の排ガスフローの一例を説明する図である。同図に示す焼結設備1では、焼結機2、電気集塵機3、主排風機4、昇圧ファン5、排ガス処理設備6および煙突7の順に煙道ダクトを介して配置される。同図に示す焼結設備では、焼結機2が複数配置され、各焼結機による排ガスは焼結機ごとに設けられた電気集塵機と主排風機を経て合流し、単一の昇圧ファン5と排ガス処理設備6で一括処理する(同図の白抜き矢印参照)。また、同図に示す焼結設備は、主排風機の風量を計測する風量計8と、合流した排ガスの圧力を計測する圧力計9を備える。
【0029】
本発明の焼結機の排ガス処理方法は、焼結機2、電気集塵機3、主排風機4、昇圧ファン5、排ガス処理設備6および煙突7の順に煙道ダクトを介して配置された焼結設備により焼結機の排ガスを処理する方法であって、複数配置された焼結機の排ガスを合流させ、単一の昇圧ファンと排ガス処理設備で一括処理するに際し、昇圧ファンの入側における排ガスの圧力に応じて昇圧ファンの風量を調整し、昇圧ファンの入側における排ガスの圧力を一定に制御することを特徴とする。
【0030】
合流した排ガスを単一の昇圧ファンと排ガス処理設備で一括処理するに際し、昇圧ファンの入側における排ガスの圧力に応じて昇圧ファンの風量を調整し、昇圧ファンの入側における排ガスの圧力を一定に制御することにより、一つの焼結機の操業状態の変化による排ガスの風量または圧力の変動に影響され、他の焼結機による排ガスの風量および圧力が変動するのを抑制できることから、個々の操業状態の変動に素早く追従して安定した排ガス処理が可能となる。
【0031】
昇圧ファンの入側における排ガスの圧力を一定に制御する際に、昇圧ファンの風量を調整する方法は、従来から用いられている種々の方法を用いることができ、例えば、昇圧ファンの入側または出側に風量調整ダンパーを配置して開度を調整したり、昇圧ファンの回転数を増減させたりすることにより行う。本発明の焼結機の排ガス処理方法は、昇圧ファンとして可変動翼軸流ファンを用い、可変動翼の角度を変更することにより昇圧ファンの風量を調整するのが望ましい。可変動翼軸流ファンは遠心ファンと比較して、大風量で変動が大きい場合に有効であり、複数の焼結機を1機の昇圧ファンで制御する場合風量の変動が大きいため可変動翼軸流ファンの方が安定に操業可能となるからである。また、可変動翼軸流ファンは、ファン本体が小さく設置スペースが少なくてすむという利点もある。
【0032】
昇圧ファンの入側における排ガスの圧力は、僅かに負圧とするのが望ましい。これにより、個々の焼結機による排ガス風量が変動した場合に主排風機の負荷を軽減しつつ、迅速に昇圧ファンの入側における排ガスの圧力を一定に制御できるからである。具体的には、昇圧ファンの入側における排ガスの圧力を−0.03kPa〜−0.10kPaの負圧に制御するのが望ましい。
【0033】
本発明の焼結機の排ガス処理方法は、排ガス処理設備として活性炭充填方式のものを用いるのが望ましい。活性炭充填方式は、大気汚染の原因となるNOx、SOxおよびダイオキシンを排ガスから効率よく除去することができるからである。
【0034】
前記図2に示す焼結設備は、本発明の焼結機の排ガス処理方法を前提として、複数の焼結機による排ガスを合流させて単一の昇圧ファンと排ガス処理設備で一括処理する例であるが、例えば、前記図1に示すような従来型の焼結設備において、複数の焼結機による排ガスを主排風機の出側で合流させ、合流した排ガスを複数の昇圧ファンおよび排ガス処理設備に送るように煙道ダクトを分岐させて配管する。
【0035】
さらに、それぞれの昇圧ファンの手前に風量調整ダンパー等を設けて単一の昇圧ファンと排ガス処理設備で一括処理できるように焼結設備を構成した上で、本発明の焼結機の排ガス処理方法を適用することにより、単一の昇圧ファンと排ガス処理装置を用いて安定した操業ができるとともに、他の排ガス処理装置で停機や補修を行うことができる。
【実施例】
【0036】
本発明の焼結機の排ガス処理方法により、複数の焼結機による排ガスを処理する試験を行い、本発明の効果を検証した。
【0037】
[試験方法]
図3は、実施例で行った焼結機の排ガス処理方法における排ガスフローを示す図である。図3に示す焼結設備1により、2機の焼結機2ごとに電気集塵機3、主排風機4を配置し、主排風機の出側で排ガスを合流させて単一の昇圧ファン5および排ガス処理設備6で処理した。2機の焼結機をそれぞれ第1焼結機、第2焼結機と称する。
【0038】
本発明例1では、昇圧ファン5として遠心ファンを用い、昇圧ファンの入側に配置した圧力計9の計測値に応じ、昇圧ファンの回転数を変更して風量を調整し、昇圧ファンの入側における排ガスの圧力を−0.03kPaの負圧に制御した。また、本発明例2では、昇圧ファン5として可変動翼軸流ファンを用い、昇圧ファンの入側に配置した圧力計9の計測値に応じ、昇圧ファンの可変動翼の角度を変更して風量を調整し、昇圧ファンの入側における排ガスの圧力を−0.03kPaの負圧に制御した。比較例では、昇圧ファン5として軸流ファンを用い、一定の回転数890rpmで昇圧ファンを稼働させた。
【0039】
本実施例(本発明例および比較例)では、排ガス処理設備は活性炭充填方式のものを用いた。また、本実施例では、第1焼結機および第2焼結機が通常操業している状態から、第1焼結機の風量を減少させて停止させた。通常操業した時および第1焼結機が停止した時の第1焼結機の風量、第2焼結機の風量および全風量を表1に示す。
【0040】
【表1】

【0041】
[試験結果]
焼結機ごとに主排風機を配置した本発明例1では、第1焼結機の風量を減少させて停止するのに応じ、昇圧ファンの回転数を890rpmから560rpmrpmまで変動させ、昇圧ファンの入側における排ガスの圧力を−0.03kPaに制御した。この際、第2焼結機の風量が影響を受けて6200Nm3/minから6300Nm3/minに変動したが、第2焼結機の生産性に影響を与えることなく安定して焼結設備を操業できた。
【0042】
可変動翼軸流ファンを用いた本発明例2では、第1焼結機の風量を減少させて停止するのに応じ、昇圧ファンの可変動翼の角度を52°から39°まで変動させ、昇圧ファンの入側における排ガスの圧力を−0.03kPaに制御した。この際、可変動翼角度の速やかな調整により第2焼結機の風量は6200Nm3/minからほとんど変化する事無く、安定して焼結設備を操業できた。
【0043】
比較例では、昇圧ファンの入側における排ガスの圧力を一定に制御することなく第1焼結機を停止させ、昇圧ファンの入側における排ガスの負圧が−0.03kPaから−0.06kPaとなり、第2焼結機の風量が6200Nm3/minから6700Nm3/minに増加した。その結果、第2焼結機の操業が変動し生産性が低下する事態となった。
【0044】
これらから、複数の焼結機による排ガスを合流させ、単一の昇圧ファンと排ガス処理設備で一括処理する際に、本発明の焼結機の排ガス処理方法で昇圧ファンの入側における排ガスの圧力を一定に制御することにより、単一の排ガス処理設備で一括処理することができるとともに、他の焼結機に影響されて排ガス風量が変動するのを抑制でき、個々の焼結機による排ガスの風量または圧力の変動に追従できることが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の焼結機の排ガス処理方法は、昇圧ファンの入側における排ガスの圧力に応じて昇圧ファンの風量を調整し、昇圧ファンの入側における排ガスの圧力を一定に制御することにより、単一の排ガス処理設備で一括処理することができるとともに、他の焼結機に影響されて排ガス風量が変動するのを抑制でき、個々の焼結機による排ガスの風量または圧力の変動に追従することができる。したがって、排ガス処理設備の配置台数を減少させることができ、焼結設備の設備コストおよび設置スペースを低減することができる。
【0046】
本発明の焼結機の排ガス処理方法を、高炉等に投入する原料である焼結鉱の製造に適用すれば、焼結鉱の製造歩留りを向上させることができ、本発明は製銑原料製造分野に大きく貢献することができる。
【符号の説明】
【0047】
1:焼結設備、 2:焼結機、 3:電気集塵機、 4:主排風機、
5:昇圧ファン、 6:排ガス処理設備、 7:煙突、 8:風量計、 9:圧力計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼結機、電気集塵機、主排風機、昇圧ファン、排ガス処理設備および煙突の順に煙道ダクトを介して配置された焼結設備により焼結機の排ガスを処理する方法であって、複数配置された焼結機の排ガスを合流させ、単一の昇圧ファンと排ガス処理設備で一括処理するに際し、前記昇圧ファンの入側における排ガスの圧力に応じて前記昇圧ファンの風量を調整し、前記昇圧ファンの入側における排ガスの圧力を一定に制御することを特徴とする焼結機の排ガス処理方法。
【請求項2】
前記複数配置された焼結機ごとに前記主排風機を配置し、前記主排風機の出側で排ガスを合流させることを特徴とする請求項1に記載の焼結機の排ガス処理方法。
【請求項3】
前記昇圧ファンとして可変動翼軸流ファンを用い、前記昇圧ファンの風量を調整する際に可変動翼の角度を変更して風量を調整することを特徴とする請求項1または2に記載の焼結機の排ガス処理方法。
【請求項4】
前記排ガス処理設備が、活性炭充填方式であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の焼結機の排ガス処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−7830(P2012−7830A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145204(P2010−145204)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【Fターム(参考)】