焼結鉱の製造方法および製造設備ならびに粉原料投射装置
【課題】高炉原料として良好な焼結鉱を製造することのできる焼結鉱の製造方法を提供する。
【解決手段】ドラムミキサー3に擬似粒子コーティング用の粉原料15を装入するに際して、ドラムミキサー3に粉原料15を投射する投射コンベア8をドラムミキサー3に装入された擬似粒子群16の上方位置から外れた位置に移動させた後、粉原料15をドラムミキサー3に投射し、投射コンベア8から投射された粉原料15が擬似粒子群16の上に落下することを防止する。
【解決手段】ドラムミキサー3に擬似粒子コーティング用の粉原料15を装入するに際して、ドラムミキサー3に粉原料15を投射する投射コンベア8をドラムミキサー3に装入された擬似粒子群16の上方位置から外れた位置に移動させた後、粉原料15をドラムミキサー3に投射し、投射コンベア8から投射された粉原料15が擬似粒子群16の上に落下することを防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉原料として用いられる焼結鉱を製造する方法とその製造設備に関する。また、本発明は焼結鉱を製造するときに用いられる粉原料投射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉原料として用いられる焼結鉱は、粒径10mm以下の鉄鉱石を主原料とし、かつ珪石、蛇紋岩等のSiO2含有原料と生石灰、石灰石等の石灰石系粉原料および粉コークス等の固体燃料系粉原料を副原料とする焼結原料をドラムミキサーで造粒し、造粒された焼結原料をドワイトロイド式焼結機により焼成して製造されるのが一般的である。
このような方法により製造される焼結鉱の被還元性は、高炉の操業を大きく左右する因子となる。例えば、焼結鉱の被還元性と高炉でのガス利用率との間には正の相関があり、高炉でのガス利用率は燃料比との間に負の相関がある。このため、焼結鉱の被還元性を向上させると、高炉での燃料比は低下する。また、焼結鉱の冷間強度も高炉での通気性を確保する上で重要な因子であり、各々の高炉では、焼結鉱の冷間強度に下限基準を設定して操業を行っている。従って、高炉にとって望ましい焼結鉱とは、被還元性に優れ、冷間強度が高いものであると言える。
【0003】
そこで、特許文献1あるいは特許文献2には、下方吸引のドワイトロイド式焼結機を用いて高炉用焼結鉱を製造するプロセスの事前処理として、鉄鉱石、SiO2含有原料、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料からなる焼結原料をドラムミキサーで造粒するに際し、ドラムミキサーの装入口から石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料を除いた、鉄鉱石とSiO2含有原料とからなる焼結原料を装入すると共に、ドラムミキサーの出側から石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料を装入し、装入された石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料を擬似粒子の外表面に付着させて焼結原料を造粒する方法が記載されている。
【0004】
また、特許文献3には、ドラムミキサーの装入口から焼結原料を装入すると共に、ドラムミキサーの出側から石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料を装入し、装入された石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料を擬似粒子の外表面に付着させて焼結原料を造粒するに際して、ドラムミキサーの出側から追加装入される石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料の分散幅を拡げて擬似粒子の外表面に付着させるために、コンベアをドラムミキサーの軸方向に対し斜めに配置して、幅方向の装入位置を変更する技術が記載されている。
【0005】
また、特許文献4には、鉄鉱石とSiO2含有原料を混合用ドラムミキサーに装入して混合攪拌し、次いで混合用ドラムミキサーから排出された混合物をディスクペレタイザーに供給して石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料とを含まない擬似粒子を造粒した後、造粒された擬似粒子をコーティング用ドラムミキサーに装入すると共にコーティング用ドラムミキサーの内部に石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料とを投射して焼結原料を造粒する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3755452号公報
【特許文献2】特許第3656632号公報
【特許文献3】国際公開WO2004/055224パンフレット
【特許文献4】特開2011−32577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1〜4に記載された方法によると、被還元性に優れ、かつ冷間強度が高い高炉用焼結鉱を製造することが可能であるが、次のような問題点があった。すなわち、石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料などの粉原料を図23(a)に示す投射コンベア8からドラムミキサー3に投射すると、投射コンベア8から投射された粉原料15の大部分は、粉原料15よりも先にドラムミキサー3に装入され造粒された擬似粒子群16の上に落下する。このとき擬似粒子群16の中に粗粒の擬似粒子16aが存在すると、擬似粒子群16の上に落下した粉原料15が粗粒擬似粒子16aの表面に過剰に付着した状態でドラムミキサー3から排出される。さらに、ドラムミキサー3の内面には付着物が生成されやすく、ドラムミキサー3の内面に付着した付着物が成長すると、付着物自身の付着力とドラムミキサー3の回転による遠心力でドラムミキサー3の内面に付着していた付着物16bが投射コンベア8の上に落下しやすい。このため、ドラムミキサー3の出側から粉原料15を投射コンベア8により供給する際には、投射コンベア8の先端がドラムミキサー3の内部に位置しないように遠方からの投射が必要であった。
【0008】
また、図23(b)に示すように、擬似粒子群16の上に投下された粉原料15はy軸方向(ドラムミキサー3の円周方向)に流れ落ちるものと、ドラムミキサー3の出口に向かって移動するものとに分かれ、領域αでは、被覆済みの擬似粒子に粉原料が再接触する。このため、ドラムミキサー3の内部に粉原料15を投射して擬似粒子の外表面を粉原料15でコーティングする際にコーティングむらが発生しやすくなり、高炉原料として良好な焼結鉱を製造することが難しいという問題があった。
【0009】
本発明は、上述した問題点に着目してなされたものであり、高炉原料として良好な焼結鉱を製造することのできる焼結鉱の製造方法および製造設備を提供することを目的とするものである。また、本発明の他の目的は、石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料などの粉原料をドラムミキサーの内部に投射するときに好適な粉原料投射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、鉄鉱石を主原料とし、かつSiO2含有原料および石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料を副原料とする焼結原料をディスクペレタイザーで造粒し、造粒された焼結原料をドワイトロイド式焼結機により焼成して製造される焼結鉱の製造方法であって、前記焼結原料の内、前記鉄鉱石と前記SiO2含有原料とからなる原料を前記ディスクペレタイザーに装入して造粒し、次いで造粒後の擬似粒子をコーティング用ドラムミキサーに装入し、前記石灰石系粉原料および/または前記固体燃料系粉原料を投射する粉原料投射装置を前記ドラムミキサーに装入された擬似粒子群の上方位置から外れた位置に移動させた後、前記粉原料を前記ドラムミキサーに装入することを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、鉄鉱石を主原料とし、かつSiO2含有原料および石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料を副原料とする焼結原料をドラムミキサーで造粒し、造粒された焼結原料をドワイトロイド式焼結機により焼成して製造される焼結鉱の製造方法であって、前記焼結原料の内、前記鉄鉱石と前記SiO2含有原料とからなる原料を前記ドラムミキサーに装入して造粒し、次いで造粒後の擬似粒子をコーティング用ドラムミキサーに装入し、前記石灰石系粉原料および/または前記固体燃料系粉原料を投射する粉原料投射装置を前記ドラムミキサーに装入された擬似粒子群の上方位置から外れた位置に移動させた後、前記粉原料を前記ドラムミキサーに装入することを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、鉄鉱石を主原料とし、かつSiO2含有原料および石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料を副原料とする焼結原料をドラムミキサーで造粒し、造粒された焼結原料をドワイトロイド式焼結機により焼成して製造される焼結鉱の製造方法であって、前記焼結原料の内、前記鉄鉱石と前記SiO2含有原料とからなる原料を前記ドラムミキサーに装入して造粒し、次いで前記ドラムミキサーの排出側に前記石灰石系粉原料および/または前記固体燃料系粉原料を投射する粉原料投射装置を前記ドラムミキサーに装入された擬似粒子群の上方位置から外れた位置に移動させた後、前記粉原料を前記ドラムミキサーに装入することを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、前記粉原料投射装置の移動位置が前記擬似粒子群の裾野を外れた位置であることを特徴とする。
請求項5の発明は、前記粉原料投射装置として、前記粉原料を前記ドラムミキサーの内部に搬送して投射する投射コンベアと、該投射コンベアを前記ドラムミキサーの軸方向に移動可能に支持するコンベア支持台車と、該コンベア支持台車を前記ドラムミキサーの軸方向に案内する左右一対のガイドレールと、該ガイドレールを前記ドラムミキサーの軸方向と直交する横方向に移動可能に支持するガイドレール支持台車と、を有するものを用い、前記投射コンベア、前記コンベア支持台車および前記ガイドレールを前記ガイドレール支持台車により所定位置に移動させた後、前記粉原料を前記ドラムミキサーに装入することを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、前記粉原料投射装置として、前記コンベア支持台車に対して前記投射コンベアを上下方向に傾けるコンベア傾斜機構を有するものを用い、前記投射コンベアの先端部が上向きなるように前記投射コンベアを前記コンベア傾斜機構により傾斜させた後、前記粉原料を前記ドラムミキサーに装入することを特徴とする。
請求項7の発明は、前記コーティング用ドラムミキサーの内部に前記粉原料を前記ドラムミキサーの出口側から装入することを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明は、前記コーティング用ドラムミキサーの内部に前記粉原料を前記ドラムミキサーの入口側から装入することを特徴とする。
請求項9の発明は、鉄鉱石を主原料とし、かつSiO2含有原料、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料を副原料とする焼結原料を造粒し、造粒された焼結原料をドワイトロイド式焼結機により焼成して製造される焼結鉱の製造設備であって、前記焼結原料を造粒するディスクペレタイザーと、前記焼結原料の表面をコーティングするコーティング用ドラムミキサーと、該ドラムミキサーの内部に粉原料を投射する粉原料投射装置とを備え、前記粉原料を前記コーティング用ドラムミキサーの内部に搬送して投射する投射コンベアと、該投射コンベアを前記コーティング用ドラムミキサーの軸方向に移動可能に支持するコンベア支持台車と、該コンベア支持台車を前記コーティング用ドラムミキサーの軸方向に案内する左右一対のガイドレールと、該ガイドレールを前記ドラムミキサーの軸方向と直交する横方向に移動可能に支持するガイドレール支持台車とを前記粉原料投射装置が有することを特徴とする。
【0016】
請求項10の発明は、鉄鉱石を主原料とし、かつSiO2含有原料、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料を副原料とする焼結原料を造粒し、造粒された焼結原料をドワイトロイド式焼結機により焼成して製造される焼結鉱の製造設備であって、前記焼結原料を造粒するドラムミキサーと、前記焼結原料の表面をコーティングするコーティング用ドラムミキサーと、該コーティング用ドラムミキサーの内部に粉原料を投射する粉原料投射装置とを備え、前記粉原料を前記コーティング用ドラムミキサーの内部に搬送して投射する投射コンベアと、該投射コンベアを前記コーティング用ドラムミキサーの軸方向に移動可能に支持するコンベア支持台車と、該コンベア支持台車を前記コーティング用ドラムミキサーの軸方向に案内する左右一対のガイドレールと、該ガイドレールを前記ドラムミキサーの軸方向と直交する横方向に移動可能に支持するガイドレール支持台車とを前記粉原料投射装置が有することを特徴とする。
【0017】
請求項11の発明は、鉄鉱石を主原料とし、かつSiO2含有原料、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料を副原料とする焼結原料を造粒し、造粒された焼結原料をドワイトロイド式焼結機により焼成して製造される焼結鉱の製造設備であって、前記焼結原料を造粒するドラムミキサーと、該造粒するドラムミキサーの排出側からドラムミキサー内部に粉原料を投射する粉原料投射装置とを備え、前記粉原料を前記ドラムミキサーの内部に搬送して投射する投射コンベアと、該投射コンベアを前記ドラムミキサーの軸方向に移動可能に支持するコンベア支持台車と、該コンベア支持台車を前記ドラムミキサーの軸方向に案内する左右一対のガイドレールと、該ガイドレールを前記ドラムミキサーの軸方向と直交する横方向に移動可能に支持するガイドレール支持台車とを前記粉原料投射装置が有することを特徴とする。
【0018】
請求項12の発明は、前記コンベア支持台車に対して前記投射コンベアを上下方向に傾けるコンベア傾斜機構をさらに備えたことを特徴とする。
請求項13の発明は、焼結鉱を製造するときに用いられる粉原料投射装置であって、前記焼結鉱の副原料である固体燃料系粉原料または石灰石系粉原料をドラムミキサーの内部に搬送して投射する投射コンベアと、該投射コンベアを前記ドラムミキサーの軸方向に移動可能に支持するコンベア支持台車と、該コンベア支持台車を前記ドラムミキサーの軸方向に案内する左右一対のガイドレールと、該ガイドレールを前記ドラムミキサーの軸方向と直交する横方向に移動可能に支持するガイドレール支持台車とを備えたことを特徴とする。
請求項14の発明は、前記コンベア支持台車に対して前記投射コンベアを上下方向に傾けるコンベア傾斜機構をさらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1〜10の発明によれば、ドラムミキサーに粉原料を装入する際にドラムミキサーに装入され造粒された擬似粒子群の上に粉原料が落下することを防止でき、粉原料投射装置から投射された粉原料がドラムミキサーの内周面上に落下するため、粉原料投射装置から投射された粉原料がドラムミキサーの内周面上に堆積する擬似粒子堆積層の上に滞留したままの状態でドラムミキサーから排出されることを抑制することが可能となる。これにより、擬似粒子の外表面を粉コークス等の固体燃料系粉原料や石灰石系粉原料でコーティングする際に擬似粒子の粒子径に左右されることなく擬似粒子の外表面を固体燃料系粉原料や石灰石系粉原料でコーティングすることが可能となるので、高炉原料として良好な焼結鉱を製造することができる。
【0020】
請求項11,12の発明によれば、焼結鉱の主原料とSiO2含有原料とからなる混合物を造粒して得られた擬似粒子をドラムミキサーに装入して擬似粒子の外表面を固体燃料系粉原料や石灰石系粉原料でコーティングする際に固体燃料系粉原料や石灰石系粉原料を擬似粒子の粒子径に左右されることなく擬似粒子の外表面に付着させることが可能となるので、石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料などの粉原料をドラムミキサーの内部に投射するときに好適な粉原料投射装置を提供できる。
請求項13,14の発明によれば、石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料などの粉原料をドラムミキサーの内部に投射するときにより好適な粉原料投射装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】焼結鉱製造設備の一例を示す図である。
【図2】粉原料投射装置の一例を示す図である。
【図3】図2に示す粉原料投射装置の作用を説明するための図である。
【図4】石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料を除いた焼結原料をドラムミキサーで混合・造粒する場合の一実施形態を説明するための図である。
【図5】ドラムミキサーから排出された擬似粒子の外表面を調査した結果を示す図である。
【図6】図2に示す投射コンベアの粉原料搬送速度と投射コンベアから投射された粉原料により擬似粒子の表面をコーティングするコーティング時間との関係を調査した結果を示す図である。
【図7】図2に示す粉原料投射装置の投射コンベアから投射された粉原料の水平到達距離と投射コンベア先端からの粉原料の落下高さとの関係を調査した結果を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る焼結鉱の製造方法を示す図である。
【図9】第2の実施形態でコーティング用ドラムミキサー内に投射される石灰石系粉原原料と固体燃料系粉原料の投射位置を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る焼結鉱の製造方法を示す図である。
【図11】第3の実施形態でコーティング用ドラムミキサー内に投射される石灰石系粉原原料と固体燃料系粉原料の投射位置を示す図である。
【図12】本発明の第4の実施形態に係る焼結鉱の製造方法を示す図である。
【図13】第4の実施形態でコーティング用ドラムミキサー内に投射される石灰石系粉原原料と固体燃料系粉原料の投射位置を示す図である。
【図14】本発明の第5の実施形態に係る焼結鉱の製造方法を示す図である。
【図15】本発明の第6の実施形態に係る焼結鉱の製造方法を示す図である。
【図16】本発明の第7の実施形態に係る焼結鉱の製造方法を示す図である。
【図17】第7の実施形態で造粒用ドラムミキサー内に投射される石灰石系粉原原料と固体燃料系粉原料の投射位置を示す図である。
【図18】本発明の第8の実施形態に係る焼結鉱の製造方法を示す図である。
【図19】本発明の第9の実施形態に係る焼結鉱の製造方法を示す図である。
【図20】本発明の第10の実施形態に係る焼結鉱の製造方法を示す図である。
【図21】従来方法で造粒された焼結原料と本発明方法で造粒された焼結原料のCaO濃度を示す図である。
【図22】焼成後の焼結原料中に存在するヘマタイト組織、マグネタイト組織、カルシウムフェライト組織およびシリケートスラグ組織の存在比率を示す図である。
【図23】従来技術の問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図1〜図22を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は高炉用焼結鉱を製造するときに用いられる焼結鉱製造設備の一例を示す図であり、図1に示される焼結鉱製造設備は混合用ドラムミキサー1、ディスクペレタイザー2、コーティング用ドラムミキサー3、石灰石系粉原料投射装置4、固体燃料系粉原料投射装置5およびドワイトロイド式焼結機6を備えている。
混合用ドラムミキサー1は焼結鉱の主原料をSiO2含有原料と共に混合するものであって、円筒状に形成されたミキサー本体と、このミキサー本体を回転駆動する駆動モータとで構成されている。なお、焼結鉱の主原料としては、粗粒鉄鉱石、ペレットフィード、返鉱などが挙げられる。
【0023】
ディスクペレタイザー2は混合用ドラムミキサー1から排出された混合物を造粒するものであって、このディスクペレタイザー2で造粒された混合物は例えば粒径が3mm〜13mm程度の擬似粒子となってコーティング用ドラムミキサー3に供給される。
コーティング用ドラムミキサー3はディスクペレタイザー2で造粒された擬似粒子の外表面を石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料でコーティングするためのものであって、円筒状に形成されたミキサー本体と、このミキサー本体を回転駆動する駆動モータとで構成されている。
【0024】
石灰石系粉原料投射装置4は石灰石等の石灰石系粉原料をコーティング用ドラムミキサー3の内部に投射するものであって、コーティング用ドラムミキサー3の入口側に配置されている。
固体燃料系粉原料投射装置5は粉コークス等の固体燃料系粉原料をコーティング用ドラムミキサー3の内部に投射するものであって、コーティング用ドラムミキサー3の出口側に配置されている。
【0025】
ドワイトロイド式焼結機6はコーティング用ドラムミキサー3から排出された擬似粒子を焼成するものであって、擬似粒子を図中矢印方向に水平搬送するコンベア61と、このコンベア61上の擬似粒子を下方から吸引する複数のブロワー62とを有している。また、ドワイトロイド式焼結機6は粉コークス等の固体燃料系粉原料を点火する点火炉63を有し、この点火炉63はコンベア61の上方に配置されている。
【0026】
図1に示される焼結鉱製造設備により高炉用焼結鉱を製造する場合は、まず、焼結鉱の主原料をSiO2含有原料と共に混合用ドラムミキサー1に装入する。次に、混合用ドラムミキサー1を回転させ、装入された主原料とSiO2含有原料を水と共に混合する。そして、混合用ドラムミキサー1から排出された混合物をディスクペレタイザー2に供給し、主原料とSiO2含有原料とからなる混合物を焼結原料の擬似粒子として造粒する。
【0027】
このようして石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料を含まない擬似粒子をディスクペレタイザー2で造粒したならば、造粒された擬似粒子をコーティング用ドラムミキサー3に装入し、コーティング用ドラムミキサー3を回転させる。次に、石灰石系粉原料投射装置4からコーティング用ドラムミキサー3の内部に石灰石系粉原料を装入すると共に、固体燃料系粉原料投射装置5からコーティング用ドラムミキサー3の内部に固体燃料系粉原料を装入し、コーティング用ドラムミキサー3に装入された粉原料で擬似粒子の表面をコーティングして焼結原料を造粒する。そして、コーティング用ドラムミキサー3から排出された焼結原料をドワイトロイド式焼結機6に供給して高炉用焼結鉱を製造する。
【0028】
図2はコーティング用ドラムミキサーの内部に石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料などの粉原料を投射するときに用いられる粉原料投射装置の一例を示す図であり、図2に示される粉原料投射装置7は投射コンベア8、コンベア支持台車9、左右一対のガイドレール10、ガイドレール支持台車11およびコンベア傾斜機構12を備えている。
投射コンベア8はコーティング用ドラムミキサー3の内部に粉原料を搬送して投射するものであって、コンベア支持台車9の上に搭載されている。
【0029】
コンベア支持台車9は投射コンベア8をコーティング用ドラムミキサー3の軸方向に移動可能に支持するものであって、ガイドレール10の上に走行可能に載置されている。
ガイドレール10はコンベア支持台車9をコーティング用ドラムミキサー3の軸方向に案内するものであって、ガイドレール支持台車11の上に設置されている。
ガイドレール支持台車11はガイドレール10をコーティング用ドラムミキサー3の軸方向と直交する横方向に移動可能に支持するものであって、コーティング用ドラムミキサー3の軸方向と直交する横方向に走行する複数(例えば6つ)の走行車輪13を有している。
コンベア傾斜機構12はコンベア支持台車9に対して投射コンベア8を上下方向に傾けるものであって、投射コンベア8とコンベア支持台車9との間に配置された複数のジャッキ14から構成されている。
【0030】
図3は図2に示す粉原料投射装置の作用を説明するための図であり、上述した粉原料投射装置7を用いてコーティング用ドラムミキサー3の内部に石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料を投射する場合は、図3(a)に示すように、ドラムミキサー3に装入された擬似粒子群16の上方に投射コンベア8の先端部が位置しないように投射コンベア8、コンベア支持台車9及びガイドレール10をガイドレール支持台車11によりコーティング用ドラムミキサー3の軸方向と直交する横方向に移動させるとともに、投射コンベア8の俯仰角度が所定の角度(例えば25°前後)となるように投射コンベア8をコンベア傾斜機構12により傾斜させる。そして、投射コンベア8が所定位置に移動したならば投射コンベア8から粉原料15をコーティング用ドラムミキサー3の内部に投射する。
このとき投射コンベア8から投射された粉原料15は、図3(b)に示す位置Aに落下する。この位置Aはドラムミキサー3に装入された擬似粒子群16の裾野を外れた位置であり、投射コンベア8から投射された粉原料15はドラムミキサー3の内周面上に落下する。
【0031】
投射コンベア8から投射された粉原料15がドラムミキサー3の内周面上に落下すると、ドラムミキサー3の内周面上に落下した粉原料15は、図3(b)に矢印で示すように、ドラムミキサー3の回転に伴ってドラムミキサー3の円周方向に相対移動する。そして、ドラムミキサー3の円周方向に相対移動した粉原料15が図3(b)に示す位置Bに到達すると、擬似粒子群16の上面側に回り込み、擬似粒子群16の上面部全体にわたって供給される。このとき擬似粒子群16の上面部に供給された粉原料15は各擬似粒子の表面に付着し、擬似粒子の表面を均一に被覆する。
【0032】
このように、石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料などの粉原料15をドラムミキサー3に装入するに際して、粉原料投射装置7をドラムミキサー3に装入された擬似粒子群16の上方位置から外れた位置に移動させた後、粉原料15をドラムミキサー3に装入すると、粉原料投射装置7の投射コンベア8から投射された粉原料15がドラムミキサー3の内周面上に落下する。これにより、粉原料投射装置7から投射された粉原料15が擬似粒子群16の上に落下し、粗粒擬似粒子16aの表面に過剰に付着した状態でドラムミキサー3から排出されることを抑制できると共に、表面に粉原料15が均一に付着した焼結原料を造粒することが可能となる。従って、焼結鉱の主原料とSiO2含有原料とからなる混合物を造粒して得られた擬似粒子をコーティング用ドラムミキサー3に装入して擬似粒子の外表面を固体燃料系粉原料や石灰石系粉原料でコーティングする際に、固体燃料系粉原料や石灰石系粉原料を擬似粒子の粒子径に左右されることなく擬似粒子16の外表面に付着させることができる。
【0033】
また、ここでいう擬似粒子群の裾野を外れた位置とは、ドラムミキサー3の回転による遠心力と自身の付着力でドラムミキサー内面に付着していた付着物が落下しやすい位置(図23参照)から外れた位置のことであり、この位置が粉原料15の供給位置となるため、粉原料15を供給する際、ベルトコンベアによる粉原料供給で、その先端がドラムミキサー3の内部に位置したとしても許容される位置となる利点がある。
また、投射コンベア8の俯仰角度が所定の角度となるように投射コンベア8をコンベア傾斜機構12により傾斜させると、投射コンベア8から投射される粉原料15の水平到達距離が投射コンベア8を傾斜させない場合と比較して長くなるので、投射コンベア8により搬送される粉原料15の搬送速度を小さくしてコーティング用ドラムミキサー3の内部に粉原料15を投射することができる。
【0034】
また、投射コンベア8の先端部をコーティング用ドラムミキサー3の内部に奥深くまで挿入しなくても粉原料15の落下位置を所定の位置に確保することが可能となり、これにより、コーティング用ドラムミキサー3の内面から落下する落下物によって投射コンベア8が損傷することを防止することができる。
さらにまた、粉原料15をドラムミキサー3に装入する際に粉原料投射装置7の投射コンベア8をドラムミキサー3に装入された擬似粒子群16の上方位置から外れた位置に移動させることで、ドラムミキサー3の内面から落下する落下物の落下衝撃を受けない位置に投射コンベア8が位置することになるため、投射コンベア8の先端部をコーティング用ドラムミキサー3の内部に挿入したとしても、投射コンベア8が損傷を受けることが軽減される。
【0035】
また、図1で示した例は、ディスクペレタイザーで造粒し、固体燃料系粉原料や石灰石系粉原料をコーティング用ドラムミキサーで被覆する例を示しているが、焼結用原料をドラムミキサーを用いて造粒し、擬似粒子とした焼結原料に対し、固体燃料系粉原料や石灰石系粉原料を被覆する場合も同様であり、コーティング用ドラムミキサーを用いることができる。
さらに、ドラムミキサーによる造粒の場合は、ドラムミキサーの排出側に固体燃料系粉原料や石灰石系粉原料を供給することによりドラムミキサー自体がコーティング用ドラムミキサーと同じ機能を果たすことになる。
【0036】
すなわち、焼結原料のうち、鉄鉱石とSiO2含有原料とからなる原料をドラムミキサーに装入し、次いでドラムミキサーの排出側に石灰石系粉原料および/または固体燃料系粉原料を投射する粉原料投射装置をドラムミキサーに装入され造粒された擬似粒子群の上方位置から外れた位置に移動させた後、粉原料をドラムミキサーに装入することにより、ドラムミキサー内で造粒され擬似粒子とした焼結原料に対し、固体燃料系粉原料や石灰石系粉原料を被覆することができる。
【0037】
図4は、焼結原料を混合・造粒するドラムミキサー17の排出側に粉原料(固体燃料系粉原料や石灰石系粉原料)投射位置を配置し、粉原料投射装置により固体燃料系粉原料、石灰石系粉原料のいずれかを投射した図であり、図3で示すコーティング用ドラムミキサー3の機能を、ドラムミキサー17の排出側に持たせた例である。図4の場合は、ドラムミキサー17内の排出側内部位置が、粉原料の投射位置となる。すなわち、焼結原料は、ドラムミキサー17の装入側からドラムミキサー17内に装入され、装入された焼結原料はドラムミキサー17の回転によって混合・造粒され、排出側では焼結原料は擬似粒子化されている。この排出側を粉原料の投射位置とするのであり、投射位置は図3と同様にドラムミキサー17内の擬似粒子群16の裾野を外れた位置であり、投射コンベア8から投射された固体燃料系粉原料および/または石灰石系粉原料15をドラムミキサー17の内周面上に落下させるのである。
【0038】
なお、ドラムミキサー17は、単体で構成されるほか、混合・造粒機能の各機能に分担された、混合用ドラムミキサー及び造粒用ドラムミキサーとして2機のドラムミキサーとして使用が行われているものであり、この場合は、造粒用ドラムミキサーの排出側を粉原料の投射位置とする。
【0039】
コーティング用ドラムミキサー3から排出された擬似粒子およびドラムミキサー17の排出側で粉原料を投射し排出された擬似粒子の外表面を調査した結果を図5に示す。図5(a)は図23(a)に示す位置に投射コンベア8を位置させた状態で粉コークスをコーティング用ドラムミキサー3の内部に投射した場合を示し、図5(b)は図3(b)に示す位置に投射コンベア8を位置させた状態で粉コークスをコーティング用ドラムミキサー3の内部に投射した場合を示している。また、図5の「+8.0mm」は粒子径が8.0mm以上の擬似粒子を示し、「−0.25mm」は粒子径が0.25mm未満の擬似粒子を示している。
【0040】
投射コンベア8が図23(a)に示す位置にある場合は、図5(a)に示すように、コーティング用ドラムミキサー3に装入された擬似粒子のうち粒子径が4.75mm以上のものに粉コークスが多く付着する。これに対し、投射コンベア8が図3(b)に示す位置にある場合は、図5(b)に示すように、コーティング用ドラムミキサー3に装入された擬似粒子のうち最も多く存在する粒子径(1.0〜2.8mm)のものや粒子径が2.8mmより小さいものにも粉コークスが付着することがわかる。これは、ドラムミキサー内部において、造粒物(擬似粒子)の堆積面では、粒度偏析が起こっており、堆積面の上層ほど粗粒のものが多く存在し、堆積面の下層ほど細粒のものが多いことが知られている。本発明によると、堆積面の上層部に存在する粗粒造粒物への外装材(石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料)の付着過多を抑制できることを示している。
【0041】
したがって、ドラムミキサーの内部に粉コークス等の固体燃料系粉原料を投射する装置として、図2に示した粉原料投射装置7を用いることで、焼結鉱の主原料とSiO2含有原料とからなる混合物を造粒して得られた擬似粒子をドラムミキサーに装入して擬似粒子の外表面を固体燃料系粉原料でコーティングする際に固体燃料系粉原料を擬似粒子の粒子径に左右されることなく擬似粒子の外表面に付着させることが可能となるので、高炉原料として良好な焼結鉱を製造することができる。
【0042】
図6は図2に示す投射コンベアの粉原料搬送速度と投射コンベアから投射された粉原料により擬似粒子の表面をコーティングするコーティング時間との関係を調査した結果を示す図であり、図6に示されるように、投射コンベア8の速度を増加させると、コーティング用ドラムミキサー3の内周面に落下する粉原料の落下範囲が広くなり、コーティング時間にばらつきが発生しやすくなる。これを防止するためには投射コンベア8の速度を小さくする必要があるが、投射コンベア8の速度を小さくすると投射コンベア8から放出された固体燃料系粉原料がドラムミキサー内の擬似粒子まで到達しない可能性がある。
【0043】
図2に示す粉原料投射装置7の投射コンベア8から投射された粉原料の水平到達距離と投射コンベア先端からの粉原料の落下高さとの関係を調査した結果を図7に示す。
図7中実線aは投射コンベア8を水平にした状態で粉原料を240m/minの速度で投射した場合を示し、一点鎖線bはコーティング用ドラムミキサー3の内部に突出する投射コンベア8の突出量を300mmにした状態で粉原料を210m/minの速度で投射した場合を示している。
【0044】
また、図7中破線cは投射コンベア8の高さを高くした状態で粉原料を210m/minの速度で投射した場合を示し、二点鎖線dは投射コンベア8の俯仰角度を上向きに25度にした状態で粉原料を210m/minの速度で投射した場合を示している。
図7に示されるように、投射コンベア8の俯仰角度を25度にすると、投射コンベア8の速度が210m/minであっても粉原料の水平到達距離がドラムミキサー内の擬似粒子に届く距離となることがわかる。
【0045】
したがって、上述のように、投射コンベア8の俯仰角度が所定の角度となるように投射コンベア8をコンベア傾斜機構12により傾斜させてから粉原料をドラムミキサーの内部に投射することで、粉原料の水平到達距離が増大し、これにより、投射コンベア8により搬送される粉原料の搬送速度を小さくしてドラムミキサー内部の造粒された擬似粒子群の上方位置から外れた位置に粉原料を投射することが可能となるので、高炉原料としてより良好な焼結鉱を製造することができる。
【0046】
上述した本発明の第1の実施形態では、ドワイトロイド式焼結機6で焼成される擬似粒子を造粒する際に粉コークス等の固体燃料系粉原料をコーティング用ドラムミキサー3の出口側から投射して擬似粒子を造粒するようにしたが、コーティング用ドラムミキサー3に導入される焼結原料は擬似粒子となっているため、固体燃料系粉原料をコーティング用ドラムミキサー3の入口側から投射して擬似粒子を造粒するようにしてもよい。また、投射コンベア8から投射される粉原料が石灰石系粉原料であっても同様である。
【0047】
図8は、本発明の第2の実施形態に係る焼結鉱の製造方法を示す図である。この第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は擬似粒子を造粒するディスクペレタイザーがドラムミキサーとなり、ドラムミキサーとして単一のドラムミキサー17を用いる点が異なる他はコーティング用ドラムミキサー3を用いる点で同じである。図8に示す実施形態では、鉄鉱石、SiO2含有原料がドラムミキサー17で混合・造粒されて擬似粒子となり、擬似粒子となった焼結原料がコーティング用ドラムミキサー3に装入される。そして、コーティング用ドラムミキサー3において、その装入側から石灰石系粉原料が投射され、排出側から固体燃料系原料である粉コークスが投射されることで擬似粒子のコーティングが行われる。その結果、焼結原料の擬似粒子表面に石灰石系粉原料が付着し、その最外層位置に粉コークスが付着することで焼結の生産性が向上し、しかも焼結時に石灰石系粉原料が擬似粒子表層部に存在するため、焼結鉱の塊表面に強度の高いカルシウムフェライトを、また塊内部には被還元性の高いヘマタイトを生成した、高炉原料として良好な焼結鉱を製造することができる。
【0048】
図10に示す第3の実施形態や図12に示す第4の実施形態も、ドラムミキサー17により造粒されて擬似粒子となり、コーティング用ドラムミキサー3で擬似粒子表面をコーティングする点では第2の実施形態と同じであるが、図10に示す第3の実施形態では、コーティング用ドラムミキサー3の装入側から固体燃料系粉原料である粉コークスと石灰石系粉原料を投射して擬似粒子表面のコーティングを行っている。一方、図12に示す第4の実施形態では、コーティング用ドラムミキサー3の排出側から固体燃料系粉原料である粉コークスと石灰石系粉原料を投射して擬似粒子表面のコーティングを行っている。
【0049】
図10及び図12に示す実施形態では、ドラムミキサー17で造粒された擬似粒子の表面に粉コークスと固体燃料系粉原料の混合層が形成され、粉コークスが擬似粒子表面に存在するため燃焼性が良好となり、焼結の生産性が向上し、しかも焼結時に石灰石系粉原料が擬似粒子表層部に存在するため、焼結鉱の塊表面に強度の高いカルシウムフェライトを、また塊内部には被還元性の高いヘマタイトを生成した、高炉原料として良好な焼結鉱を製造することができる。
【0050】
なお、図8に示すコーティング用ドラムミキサー3の使用において、コーティング用ドラムミキサー3の装入側から石灰石系粉原料が投射され、排出側から固体燃料系粉原料である粉コークスが投射されて擬似粒子のコーティングが行われる投射形態を図9に示す。コーティング用ドラムミキサー3の装入側より、石灰石系粉原料15Bが投射され、コーティング用ドラムミキサー3内に装入された擬似粒子群16の裾野を外れた位置に石灰石系粉原料15Bを投射する。一方、固体燃料系粉原料である粉コークス15Aは、コーティング用ドラムミキサー3の排出側から投射し、コーティング用ドラムミキサー3内の擬似粒子群16の裾野を外れた位置に粉コークス15Aを投射する。
【0051】
図10及び図12に示した実施形態では、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料である粉コークスを、予め混合、あるいは投射コンベア8のベルト上に同時切り出しすることにより積層状態とし、単一の投射コンベア8により、コーティング用ドラムミキサー3内に投射すればよい。または、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料である粉コークスをそれぞれ別の投射コンベア8を用いて投射してもよい。
【0052】
擬似粒子表面に石灰石系粉原料、擬似粒子の最外層に粉コークス層をコーティングする場合、図10に示す実施形態では、図11に示すように、コーティング用ドラムミキサー3の装入側から石灰石系粉原料15Bと粉コークス15Aを投射し、コーティング用ドラムミキサー3内に石灰石系粉原料15B、それより排出側位置となる部分に粉コークス15Aを投射すればよく、粉コークス15Aを投射する投射コンベア8より下方位置で別の投射コンベア(図示省略)で石灰石系粉原料15Bを投射することで達成される。
【0053】
図12に示す実施形態では、図13に示すように、コーティング用ドラムミキサー3の排出側から石灰石系粉原料と粉コークスをそれぞれ投射し、コーティング用ドラムミキサー3内に石灰石系粉原料15B、それより排出側位置となる部分に粉コークス15Aを投射すればよく、石灰石系粉原料投射コンベア8と粉コークス投射コンベア(図示省略)とを用い、遠方になる石灰石系粉原料15Bの投射を石灰石系粉原料投射コンベア8で、近傍になる粉コークス15Aの投射を、石灰石系粉原料投射コンベア8より下方に配置した粉コークス投射コンベア(図示省略)で行えばよい。なお、コーティング用ドラムミキサー3は、石灰石系粉原料および/または固体燃料系粉原料をコーティングする滞留時間を確保できる大きさとすればよく、10〜90秒のコーティング用滞留時間を考慮すると15mまでの長さを有するドラムミキサーが好ましい。また、長さの長いドラムミキサーをコーティング用ドラムミキサー3として使用する場合は、その排出側から石灰石系粉原料および/または固体燃料系粉原料を投射することで支障なく実施できる。
【0054】
図14は、ドラムミキサーとして混合用ドラムミキサー1Aと、造粒用ドラムミキサー1Bとを使用し、造粒用ドラムミキサー1Bの排出側で、固体燃料系粉原料である粉コークスが投射され、疑似粒子表面に粉コークスコーティングが行われる第5の実施形態を示している。図14に示す第5の実施形態では、鉄鉱石、SiO2含有原料が混合用ドラムミキサー1Aに供給され、混合疑似粒子が一部形成された部分で石灰石系粉原料が輸送過程で添加され、造粒用ドラムミキサー1Bの排出側で、固体燃料系粉原料である粉コークスが投射され、疑似粒子表面に粉コークスコーティングが行われる。このドラムミキサーとして混合用ドラムミキサー1A、造粒用ドラムミキサー1Bを使用するケースでは、固体燃料系粉原料である粉コークスの投射に代え、図15、図16に示すように、石灰石系粉原料の投射に代えることもできる。
【0055】
図15に示す第6の実施形態では、鉄鉱石、SiO2含有原料、固体燃料系粉原料である粉コークスが混合用ドラムミキサー1Aに供給されて混合され、造粒用ドラムミキサー1Bの排出側で、石灰石系粉原料が投射され疑似粒子表面に石灰石系粉原料のコーティングが行われる。
【0056】
また、図16に示す第7の実施形態では、造粒用ドラムミキサー1Bの排出側で、固体燃料系粉原料である粉コークスおよび石灰石系粉原料が投射され、疑似粒子表面に粉コークスと石灰石系粉原料のコーティングが行われる。
この場合も、粉コークス・石灰石系粉原料のコーティングを行う場合は、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料である粉コークスを予め混合、あるいは投射コンベア8のベルト上に同時切り出しにより積層状態とし、単一の投射コンベア8により、造粒用ドラムミキサー1B内に投射する形態、または、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料である粉コークスをそれぞれ別の投射コンベア8を用いて投射すればよく、図17に示すように、造粒用ドラムミキサー1Bの排出側から石灰石系粉原料15B、粉コークス15Aを投射すればよく、図中の投射コンベア8で石灰石系粉原料を粉コークスより遠方に投射し、石灰石系粉原料の投射コンベア8より下方に配した別の投射コンベア(図示省略)により、近傍位置となる粉コークス15Aを石灰石系粉原料より排出側となる位置に投射することで達成される。混合用ドラムミキサー1Aとしてはドラム長さが12〜20mのドラムミキサーを使用でき、造粒用ドラムミキサー1Bとしてはドラム長さが混合用ドラムミキサーより長いドラムミキサー、例えばドラム長さが16〜25mのドラムミキサーを使用できる。
【0057】
図18〜図20は、ドラムミキサーとして単一のドラムミキサー17を用いる際の、固体燃料系粉原料である粉コークスおよび石灰石系粉原料のコーティング例を示す実施形態である。図18に示す第8の実施形態では、鉄鉱石、SiO2含有原料、石灰石系粉原料をドラムミキサー17で造粒し、ドラムミキサー17の排出側で固体燃料系粉原料である粉コークスのコーティングが行われる。
【0058】
図19に示す第9の実施形態では、鉄鉱石、SiO2含有原料、固体燃料系粉原料である粉コークスをドラムミキサー17で造粒し、ドラムミキサー17の排出側で疑似粒子表面に石灰石系粉原料のコーティングが行われる。
図20に示す第10の実施形態では、鉄鉱石、SiO2含有原料をドラムミキサー17で造粒し、ドラムミキサー17の排出側で疑似粒子表面に固体燃料系粉原料である粉コークスと石灰石系粉原料のコーティングが行われる。
なお、単一のドラムミキサー17は、ドラム長さが20〜25mのドラムミキサーを使用でき、焼結原料の造粒用時間を300〜500秒に確保することで、混合・造粒を行うことができる。
【0059】
本発明者らは、図23に示す方法(従来法)で造粒された焼結原料と本発明方法で造粒された焼結原料のCaO濃度について調査した。その調査結果を図21に示す。
なお、図21の「+8.0mm」、「+4.75mm」、「+2.75mm」、「+1.0mm」、「+0.5mm」、「+0.25mm」は粒子径が8.0mm以上、4.75mm以上、2.75mm以上、1.0mm以上、0.5mm以上、0.25mm以上の焼結原料を示し、「−0.25mm」は粒子径が0.25mm未満の焼結原料を示している。また、CaO濃度の調査は、図12または図14に示す装置を用いて行った。
従来法で得られた焼結原料のCaO濃度と本発明方法で得られた焼結原料のCaO濃度とを比較すると、本発明方法で得られた焼結原料のうち粒子径が8.0mm以上のものと、4.75mm以上のものは、従来法で得られた焼結原料よりもCaO濃度が低くなることが判明した。
【0060】
また、本発明方法で得られた焼結原料のうち粒子径が2.8mm以上のものと、1.0mm以上のものは、従来法で得られた焼結原料よりもCaO濃度よりも高くなることが判明した。これは、ドラムミキサーに装入された粉原料がドラムミキサー内で偏析した粗粒擬似粒子の表面に過剰に付着することが抑制され、均一な付着が実現されていることを意味する。
【0061】
次に、本発明者らは、石灰石系粉原料の付着状態が焼結性状に及ぼす影響を調査するため、従来法と本発明方法で得られた焼結原料を粒度毎に分け、大気雰囲気の電気炉にて1300℃で5分間焼成した。そして、焼成後のサンプルを粉砕し、粉末X線解析法により、ヘマタイト組織、マグネタイト組織、カルシウムフェライト組織、シリケートスラグ組織の存在割合を算出した。その結果を表1と図22に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
従来法で得られた焼結原料と本発明法で得られた焼結原料とを比較すると、従来法では焼成後のヘマタイト組織の存在比率が粒子径8.0mm以上のもので60%程度、粒子径4.75mmのもので40%程度になるのに対し、本発明方法では焼成後のヘマタイト組織の存在比率が粒子径8.0mm以上のもので90%以上、粒子径4.75mmのもので70%以上になった。
【0064】
また、従来法では焼成後のヘマタイト組織とカルシウムフェライト組織の合計存在比率が粒子径2.8mmのもので60%弱程度になるのに対し、本発明方法では焼成後のヘマタイト組織とカルシウムフェライト組織の合計存在比率が粒子径2.8mmのもので70%以上になった。
これらのことから、本発明法では、粗粒擬似粒子の表面に石灰石系粉原料が過剰に付着することを抑制することができ、被還元性・強度に優れたヘマタイト組織を多く存在させ、さらにカルシウムフェライト組織を生成させることができることがわかった。
【符号の説明】
【0065】
1,1A…混合用ドラムミキサー
1B…造粒用ドラムミキサー
2…ディスクペレタイザー
3…コーティング用ドラムミキサー
4…石灰石系粉原料投射装置
5…固体燃料系粉原料投射装置
6…ドワイトロイド式焼結機
61…コンベア
62…ブロワー
63…点火炉
7…粉原料投射装置
8…投射コンベア
9…コンベア支持台車
10…ガイドレール
11…ガイドレール支持台車
12…コンベア昇降機構
13…走行車輪
14…ジャッキ
15…粉原料
16…擬似粒子群
16a…粗粒擬似粒子
17…ドラムミキサー
【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉原料として用いられる焼結鉱を製造する方法とその製造設備に関する。また、本発明は焼結鉱を製造するときに用いられる粉原料投射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉原料として用いられる焼結鉱は、粒径10mm以下の鉄鉱石を主原料とし、かつ珪石、蛇紋岩等のSiO2含有原料と生石灰、石灰石等の石灰石系粉原料および粉コークス等の固体燃料系粉原料を副原料とする焼結原料をドラムミキサーで造粒し、造粒された焼結原料をドワイトロイド式焼結機により焼成して製造されるのが一般的である。
このような方法により製造される焼結鉱の被還元性は、高炉の操業を大きく左右する因子となる。例えば、焼結鉱の被還元性と高炉でのガス利用率との間には正の相関があり、高炉でのガス利用率は燃料比との間に負の相関がある。このため、焼結鉱の被還元性を向上させると、高炉での燃料比は低下する。また、焼結鉱の冷間強度も高炉での通気性を確保する上で重要な因子であり、各々の高炉では、焼結鉱の冷間強度に下限基準を設定して操業を行っている。従って、高炉にとって望ましい焼結鉱とは、被還元性に優れ、冷間強度が高いものであると言える。
【0003】
そこで、特許文献1あるいは特許文献2には、下方吸引のドワイトロイド式焼結機を用いて高炉用焼結鉱を製造するプロセスの事前処理として、鉄鉱石、SiO2含有原料、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料からなる焼結原料をドラムミキサーで造粒するに際し、ドラムミキサーの装入口から石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料を除いた、鉄鉱石とSiO2含有原料とからなる焼結原料を装入すると共に、ドラムミキサーの出側から石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料を装入し、装入された石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料を擬似粒子の外表面に付着させて焼結原料を造粒する方法が記載されている。
【0004】
また、特許文献3には、ドラムミキサーの装入口から焼結原料を装入すると共に、ドラムミキサーの出側から石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料を装入し、装入された石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料を擬似粒子の外表面に付着させて焼結原料を造粒するに際して、ドラムミキサーの出側から追加装入される石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料の分散幅を拡げて擬似粒子の外表面に付着させるために、コンベアをドラムミキサーの軸方向に対し斜めに配置して、幅方向の装入位置を変更する技術が記載されている。
【0005】
また、特許文献4には、鉄鉱石とSiO2含有原料を混合用ドラムミキサーに装入して混合攪拌し、次いで混合用ドラムミキサーから排出された混合物をディスクペレタイザーに供給して石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料とを含まない擬似粒子を造粒した後、造粒された擬似粒子をコーティング用ドラムミキサーに装入すると共にコーティング用ドラムミキサーの内部に石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料とを投射して焼結原料を造粒する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3755452号公報
【特許文献2】特許第3656632号公報
【特許文献3】国際公開WO2004/055224パンフレット
【特許文献4】特開2011−32577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1〜4に記載された方法によると、被還元性に優れ、かつ冷間強度が高い高炉用焼結鉱を製造することが可能であるが、次のような問題点があった。すなわち、石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料などの粉原料を図23(a)に示す投射コンベア8からドラムミキサー3に投射すると、投射コンベア8から投射された粉原料15の大部分は、粉原料15よりも先にドラムミキサー3に装入され造粒された擬似粒子群16の上に落下する。このとき擬似粒子群16の中に粗粒の擬似粒子16aが存在すると、擬似粒子群16の上に落下した粉原料15が粗粒擬似粒子16aの表面に過剰に付着した状態でドラムミキサー3から排出される。さらに、ドラムミキサー3の内面には付着物が生成されやすく、ドラムミキサー3の内面に付着した付着物が成長すると、付着物自身の付着力とドラムミキサー3の回転による遠心力でドラムミキサー3の内面に付着していた付着物16bが投射コンベア8の上に落下しやすい。このため、ドラムミキサー3の出側から粉原料15を投射コンベア8により供給する際には、投射コンベア8の先端がドラムミキサー3の内部に位置しないように遠方からの投射が必要であった。
【0008】
また、図23(b)に示すように、擬似粒子群16の上に投下された粉原料15はy軸方向(ドラムミキサー3の円周方向)に流れ落ちるものと、ドラムミキサー3の出口に向かって移動するものとに分かれ、領域αでは、被覆済みの擬似粒子に粉原料が再接触する。このため、ドラムミキサー3の内部に粉原料15を投射して擬似粒子の外表面を粉原料15でコーティングする際にコーティングむらが発生しやすくなり、高炉原料として良好な焼結鉱を製造することが難しいという問題があった。
【0009】
本発明は、上述した問題点に着目してなされたものであり、高炉原料として良好な焼結鉱を製造することのできる焼結鉱の製造方法および製造設備を提供することを目的とするものである。また、本発明の他の目的は、石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料などの粉原料をドラムミキサーの内部に投射するときに好適な粉原料投射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、鉄鉱石を主原料とし、かつSiO2含有原料および石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料を副原料とする焼結原料をディスクペレタイザーで造粒し、造粒された焼結原料をドワイトロイド式焼結機により焼成して製造される焼結鉱の製造方法であって、前記焼結原料の内、前記鉄鉱石と前記SiO2含有原料とからなる原料を前記ディスクペレタイザーに装入して造粒し、次いで造粒後の擬似粒子をコーティング用ドラムミキサーに装入し、前記石灰石系粉原料および/または前記固体燃料系粉原料を投射する粉原料投射装置を前記ドラムミキサーに装入された擬似粒子群の上方位置から外れた位置に移動させた後、前記粉原料を前記ドラムミキサーに装入することを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、鉄鉱石を主原料とし、かつSiO2含有原料および石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料を副原料とする焼結原料をドラムミキサーで造粒し、造粒された焼結原料をドワイトロイド式焼結機により焼成して製造される焼結鉱の製造方法であって、前記焼結原料の内、前記鉄鉱石と前記SiO2含有原料とからなる原料を前記ドラムミキサーに装入して造粒し、次いで造粒後の擬似粒子をコーティング用ドラムミキサーに装入し、前記石灰石系粉原料および/または前記固体燃料系粉原料を投射する粉原料投射装置を前記ドラムミキサーに装入された擬似粒子群の上方位置から外れた位置に移動させた後、前記粉原料を前記ドラムミキサーに装入することを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、鉄鉱石を主原料とし、かつSiO2含有原料および石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料を副原料とする焼結原料をドラムミキサーで造粒し、造粒された焼結原料をドワイトロイド式焼結機により焼成して製造される焼結鉱の製造方法であって、前記焼結原料の内、前記鉄鉱石と前記SiO2含有原料とからなる原料を前記ドラムミキサーに装入して造粒し、次いで前記ドラムミキサーの排出側に前記石灰石系粉原料および/または前記固体燃料系粉原料を投射する粉原料投射装置を前記ドラムミキサーに装入された擬似粒子群の上方位置から外れた位置に移動させた後、前記粉原料を前記ドラムミキサーに装入することを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、前記粉原料投射装置の移動位置が前記擬似粒子群の裾野を外れた位置であることを特徴とする。
請求項5の発明は、前記粉原料投射装置として、前記粉原料を前記ドラムミキサーの内部に搬送して投射する投射コンベアと、該投射コンベアを前記ドラムミキサーの軸方向に移動可能に支持するコンベア支持台車と、該コンベア支持台車を前記ドラムミキサーの軸方向に案内する左右一対のガイドレールと、該ガイドレールを前記ドラムミキサーの軸方向と直交する横方向に移動可能に支持するガイドレール支持台車と、を有するものを用い、前記投射コンベア、前記コンベア支持台車および前記ガイドレールを前記ガイドレール支持台車により所定位置に移動させた後、前記粉原料を前記ドラムミキサーに装入することを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、前記粉原料投射装置として、前記コンベア支持台車に対して前記投射コンベアを上下方向に傾けるコンベア傾斜機構を有するものを用い、前記投射コンベアの先端部が上向きなるように前記投射コンベアを前記コンベア傾斜機構により傾斜させた後、前記粉原料を前記ドラムミキサーに装入することを特徴とする。
請求項7の発明は、前記コーティング用ドラムミキサーの内部に前記粉原料を前記ドラムミキサーの出口側から装入することを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明は、前記コーティング用ドラムミキサーの内部に前記粉原料を前記ドラムミキサーの入口側から装入することを特徴とする。
請求項9の発明は、鉄鉱石を主原料とし、かつSiO2含有原料、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料を副原料とする焼結原料を造粒し、造粒された焼結原料をドワイトロイド式焼結機により焼成して製造される焼結鉱の製造設備であって、前記焼結原料を造粒するディスクペレタイザーと、前記焼結原料の表面をコーティングするコーティング用ドラムミキサーと、該ドラムミキサーの内部に粉原料を投射する粉原料投射装置とを備え、前記粉原料を前記コーティング用ドラムミキサーの内部に搬送して投射する投射コンベアと、該投射コンベアを前記コーティング用ドラムミキサーの軸方向に移動可能に支持するコンベア支持台車と、該コンベア支持台車を前記コーティング用ドラムミキサーの軸方向に案内する左右一対のガイドレールと、該ガイドレールを前記ドラムミキサーの軸方向と直交する横方向に移動可能に支持するガイドレール支持台車とを前記粉原料投射装置が有することを特徴とする。
【0016】
請求項10の発明は、鉄鉱石を主原料とし、かつSiO2含有原料、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料を副原料とする焼結原料を造粒し、造粒された焼結原料をドワイトロイド式焼結機により焼成して製造される焼結鉱の製造設備であって、前記焼結原料を造粒するドラムミキサーと、前記焼結原料の表面をコーティングするコーティング用ドラムミキサーと、該コーティング用ドラムミキサーの内部に粉原料を投射する粉原料投射装置とを備え、前記粉原料を前記コーティング用ドラムミキサーの内部に搬送して投射する投射コンベアと、該投射コンベアを前記コーティング用ドラムミキサーの軸方向に移動可能に支持するコンベア支持台車と、該コンベア支持台車を前記コーティング用ドラムミキサーの軸方向に案内する左右一対のガイドレールと、該ガイドレールを前記ドラムミキサーの軸方向と直交する横方向に移動可能に支持するガイドレール支持台車とを前記粉原料投射装置が有することを特徴とする。
【0017】
請求項11の発明は、鉄鉱石を主原料とし、かつSiO2含有原料、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料を副原料とする焼結原料を造粒し、造粒された焼結原料をドワイトロイド式焼結機により焼成して製造される焼結鉱の製造設備であって、前記焼結原料を造粒するドラムミキサーと、該造粒するドラムミキサーの排出側からドラムミキサー内部に粉原料を投射する粉原料投射装置とを備え、前記粉原料を前記ドラムミキサーの内部に搬送して投射する投射コンベアと、該投射コンベアを前記ドラムミキサーの軸方向に移動可能に支持するコンベア支持台車と、該コンベア支持台車を前記ドラムミキサーの軸方向に案内する左右一対のガイドレールと、該ガイドレールを前記ドラムミキサーの軸方向と直交する横方向に移動可能に支持するガイドレール支持台車とを前記粉原料投射装置が有することを特徴とする。
【0018】
請求項12の発明は、前記コンベア支持台車に対して前記投射コンベアを上下方向に傾けるコンベア傾斜機構をさらに備えたことを特徴とする。
請求項13の発明は、焼結鉱を製造するときに用いられる粉原料投射装置であって、前記焼結鉱の副原料である固体燃料系粉原料または石灰石系粉原料をドラムミキサーの内部に搬送して投射する投射コンベアと、該投射コンベアを前記ドラムミキサーの軸方向に移動可能に支持するコンベア支持台車と、該コンベア支持台車を前記ドラムミキサーの軸方向に案内する左右一対のガイドレールと、該ガイドレールを前記ドラムミキサーの軸方向と直交する横方向に移動可能に支持するガイドレール支持台車とを備えたことを特徴とする。
請求項14の発明は、前記コンベア支持台車に対して前記投射コンベアを上下方向に傾けるコンベア傾斜機構をさらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1〜10の発明によれば、ドラムミキサーに粉原料を装入する際にドラムミキサーに装入され造粒された擬似粒子群の上に粉原料が落下することを防止でき、粉原料投射装置から投射された粉原料がドラムミキサーの内周面上に落下するため、粉原料投射装置から投射された粉原料がドラムミキサーの内周面上に堆積する擬似粒子堆積層の上に滞留したままの状態でドラムミキサーから排出されることを抑制することが可能となる。これにより、擬似粒子の外表面を粉コークス等の固体燃料系粉原料や石灰石系粉原料でコーティングする際に擬似粒子の粒子径に左右されることなく擬似粒子の外表面を固体燃料系粉原料や石灰石系粉原料でコーティングすることが可能となるので、高炉原料として良好な焼結鉱を製造することができる。
【0020】
請求項11,12の発明によれば、焼結鉱の主原料とSiO2含有原料とからなる混合物を造粒して得られた擬似粒子をドラムミキサーに装入して擬似粒子の外表面を固体燃料系粉原料や石灰石系粉原料でコーティングする際に固体燃料系粉原料や石灰石系粉原料を擬似粒子の粒子径に左右されることなく擬似粒子の外表面に付着させることが可能となるので、石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料などの粉原料をドラムミキサーの内部に投射するときに好適な粉原料投射装置を提供できる。
請求項13,14の発明によれば、石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料などの粉原料をドラムミキサーの内部に投射するときにより好適な粉原料投射装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】焼結鉱製造設備の一例を示す図である。
【図2】粉原料投射装置の一例を示す図である。
【図3】図2に示す粉原料投射装置の作用を説明するための図である。
【図4】石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料を除いた焼結原料をドラムミキサーで混合・造粒する場合の一実施形態を説明するための図である。
【図5】ドラムミキサーから排出された擬似粒子の外表面を調査した結果を示す図である。
【図6】図2に示す投射コンベアの粉原料搬送速度と投射コンベアから投射された粉原料により擬似粒子の表面をコーティングするコーティング時間との関係を調査した結果を示す図である。
【図7】図2に示す粉原料投射装置の投射コンベアから投射された粉原料の水平到達距離と投射コンベア先端からの粉原料の落下高さとの関係を調査した結果を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る焼結鉱の製造方法を示す図である。
【図9】第2の実施形態でコーティング用ドラムミキサー内に投射される石灰石系粉原原料と固体燃料系粉原料の投射位置を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る焼結鉱の製造方法を示す図である。
【図11】第3の実施形態でコーティング用ドラムミキサー内に投射される石灰石系粉原原料と固体燃料系粉原料の投射位置を示す図である。
【図12】本発明の第4の実施形態に係る焼結鉱の製造方法を示す図である。
【図13】第4の実施形態でコーティング用ドラムミキサー内に投射される石灰石系粉原原料と固体燃料系粉原料の投射位置を示す図である。
【図14】本発明の第5の実施形態に係る焼結鉱の製造方法を示す図である。
【図15】本発明の第6の実施形態に係る焼結鉱の製造方法を示す図である。
【図16】本発明の第7の実施形態に係る焼結鉱の製造方法を示す図である。
【図17】第7の実施形態で造粒用ドラムミキサー内に投射される石灰石系粉原原料と固体燃料系粉原料の投射位置を示す図である。
【図18】本発明の第8の実施形態に係る焼結鉱の製造方法を示す図である。
【図19】本発明の第9の実施形態に係る焼結鉱の製造方法を示す図である。
【図20】本発明の第10の実施形態に係る焼結鉱の製造方法を示す図である。
【図21】従来方法で造粒された焼結原料と本発明方法で造粒された焼結原料のCaO濃度を示す図である。
【図22】焼成後の焼結原料中に存在するヘマタイト組織、マグネタイト組織、カルシウムフェライト組織およびシリケートスラグ組織の存在比率を示す図である。
【図23】従来技術の問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図1〜図22を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は高炉用焼結鉱を製造するときに用いられる焼結鉱製造設備の一例を示す図であり、図1に示される焼結鉱製造設備は混合用ドラムミキサー1、ディスクペレタイザー2、コーティング用ドラムミキサー3、石灰石系粉原料投射装置4、固体燃料系粉原料投射装置5およびドワイトロイド式焼結機6を備えている。
混合用ドラムミキサー1は焼結鉱の主原料をSiO2含有原料と共に混合するものであって、円筒状に形成されたミキサー本体と、このミキサー本体を回転駆動する駆動モータとで構成されている。なお、焼結鉱の主原料としては、粗粒鉄鉱石、ペレットフィード、返鉱などが挙げられる。
【0023】
ディスクペレタイザー2は混合用ドラムミキサー1から排出された混合物を造粒するものであって、このディスクペレタイザー2で造粒された混合物は例えば粒径が3mm〜13mm程度の擬似粒子となってコーティング用ドラムミキサー3に供給される。
コーティング用ドラムミキサー3はディスクペレタイザー2で造粒された擬似粒子の外表面を石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料でコーティングするためのものであって、円筒状に形成されたミキサー本体と、このミキサー本体を回転駆動する駆動モータとで構成されている。
【0024】
石灰石系粉原料投射装置4は石灰石等の石灰石系粉原料をコーティング用ドラムミキサー3の内部に投射するものであって、コーティング用ドラムミキサー3の入口側に配置されている。
固体燃料系粉原料投射装置5は粉コークス等の固体燃料系粉原料をコーティング用ドラムミキサー3の内部に投射するものであって、コーティング用ドラムミキサー3の出口側に配置されている。
【0025】
ドワイトロイド式焼結機6はコーティング用ドラムミキサー3から排出された擬似粒子を焼成するものであって、擬似粒子を図中矢印方向に水平搬送するコンベア61と、このコンベア61上の擬似粒子を下方から吸引する複数のブロワー62とを有している。また、ドワイトロイド式焼結機6は粉コークス等の固体燃料系粉原料を点火する点火炉63を有し、この点火炉63はコンベア61の上方に配置されている。
【0026】
図1に示される焼結鉱製造設備により高炉用焼結鉱を製造する場合は、まず、焼結鉱の主原料をSiO2含有原料と共に混合用ドラムミキサー1に装入する。次に、混合用ドラムミキサー1を回転させ、装入された主原料とSiO2含有原料を水と共に混合する。そして、混合用ドラムミキサー1から排出された混合物をディスクペレタイザー2に供給し、主原料とSiO2含有原料とからなる混合物を焼結原料の擬似粒子として造粒する。
【0027】
このようして石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料を含まない擬似粒子をディスクペレタイザー2で造粒したならば、造粒された擬似粒子をコーティング用ドラムミキサー3に装入し、コーティング用ドラムミキサー3を回転させる。次に、石灰石系粉原料投射装置4からコーティング用ドラムミキサー3の内部に石灰石系粉原料を装入すると共に、固体燃料系粉原料投射装置5からコーティング用ドラムミキサー3の内部に固体燃料系粉原料を装入し、コーティング用ドラムミキサー3に装入された粉原料で擬似粒子の表面をコーティングして焼結原料を造粒する。そして、コーティング用ドラムミキサー3から排出された焼結原料をドワイトロイド式焼結機6に供給して高炉用焼結鉱を製造する。
【0028】
図2はコーティング用ドラムミキサーの内部に石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料などの粉原料を投射するときに用いられる粉原料投射装置の一例を示す図であり、図2に示される粉原料投射装置7は投射コンベア8、コンベア支持台車9、左右一対のガイドレール10、ガイドレール支持台車11およびコンベア傾斜機構12を備えている。
投射コンベア8はコーティング用ドラムミキサー3の内部に粉原料を搬送して投射するものであって、コンベア支持台車9の上に搭載されている。
【0029】
コンベア支持台車9は投射コンベア8をコーティング用ドラムミキサー3の軸方向に移動可能に支持するものであって、ガイドレール10の上に走行可能に載置されている。
ガイドレール10はコンベア支持台車9をコーティング用ドラムミキサー3の軸方向に案内するものであって、ガイドレール支持台車11の上に設置されている。
ガイドレール支持台車11はガイドレール10をコーティング用ドラムミキサー3の軸方向と直交する横方向に移動可能に支持するものであって、コーティング用ドラムミキサー3の軸方向と直交する横方向に走行する複数(例えば6つ)の走行車輪13を有している。
コンベア傾斜機構12はコンベア支持台車9に対して投射コンベア8を上下方向に傾けるものであって、投射コンベア8とコンベア支持台車9との間に配置された複数のジャッキ14から構成されている。
【0030】
図3は図2に示す粉原料投射装置の作用を説明するための図であり、上述した粉原料投射装置7を用いてコーティング用ドラムミキサー3の内部に石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料を投射する場合は、図3(a)に示すように、ドラムミキサー3に装入された擬似粒子群16の上方に投射コンベア8の先端部が位置しないように投射コンベア8、コンベア支持台車9及びガイドレール10をガイドレール支持台車11によりコーティング用ドラムミキサー3の軸方向と直交する横方向に移動させるとともに、投射コンベア8の俯仰角度が所定の角度(例えば25°前後)となるように投射コンベア8をコンベア傾斜機構12により傾斜させる。そして、投射コンベア8が所定位置に移動したならば投射コンベア8から粉原料15をコーティング用ドラムミキサー3の内部に投射する。
このとき投射コンベア8から投射された粉原料15は、図3(b)に示す位置Aに落下する。この位置Aはドラムミキサー3に装入された擬似粒子群16の裾野を外れた位置であり、投射コンベア8から投射された粉原料15はドラムミキサー3の内周面上に落下する。
【0031】
投射コンベア8から投射された粉原料15がドラムミキサー3の内周面上に落下すると、ドラムミキサー3の内周面上に落下した粉原料15は、図3(b)に矢印で示すように、ドラムミキサー3の回転に伴ってドラムミキサー3の円周方向に相対移動する。そして、ドラムミキサー3の円周方向に相対移動した粉原料15が図3(b)に示す位置Bに到達すると、擬似粒子群16の上面側に回り込み、擬似粒子群16の上面部全体にわたって供給される。このとき擬似粒子群16の上面部に供給された粉原料15は各擬似粒子の表面に付着し、擬似粒子の表面を均一に被覆する。
【0032】
このように、石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料などの粉原料15をドラムミキサー3に装入するに際して、粉原料投射装置7をドラムミキサー3に装入された擬似粒子群16の上方位置から外れた位置に移動させた後、粉原料15をドラムミキサー3に装入すると、粉原料投射装置7の投射コンベア8から投射された粉原料15がドラムミキサー3の内周面上に落下する。これにより、粉原料投射装置7から投射された粉原料15が擬似粒子群16の上に落下し、粗粒擬似粒子16aの表面に過剰に付着した状態でドラムミキサー3から排出されることを抑制できると共に、表面に粉原料15が均一に付着した焼結原料を造粒することが可能となる。従って、焼結鉱の主原料とSiO2含有原料とからなる混合物を造粒して得られた擬似粒子をコーティング用ドラムミキサー3に装入して擬似粒子の外表面を固体燃料系粉原料や石灰石系粉原料でコーティングする際に、固体燃料系粉原料や石灰石系粉原料を擬似粒子の粒子径に左右されることなく擬似粒子16の外表面に付着させることができる。
【0033】
また、ここでいう擬似粒子群の裾野を外れた位置とは、ドラムミキサー3の回転による遠心力と自身の付着力でドラムミキサー内面に付着していた付着物が落下しやすい位置(図23参照)から外れた位置のことであり、この位置が粉原料15の供給位置となるため、粉原料15を供給する際、ベルトコンベアによる粉原料供給で、その先端がドラムミキサー3の内部に位置したとしても許容される位置となる利点がある。
また、投射コンベア8の俯仰角度が所定の角度となるように投射コンベア8をコンベア傾斜機構12により傾斜させると、投射コンベア8から投射される粉原料15の水平到達距離が投射コンベア8を傾斜させない場合と比較して長くなるので、投射コンベア8により搬送される粉原料15の搬送速度を小さくしてコーティング用ドラムミキサー3の内部に粉原料15を投射することができる。
【0034】
また、投射コンベア8の先端部をコーティング用ドラムミキサー3の内部に奥深くまで挿入しなくても粉原料15の落下位置を所定の位置に確保することが可能となり、これにより、コーティング用ドラムミキサー3の内面から落下する落下物によって投射コンベア8が損傷することを防止することができる。
さらにまた、粉原料15をドラムミキサー3に装入する際に粉原料投射装置7の投射コンベア8をドラムミキサー3に装入された擬似粒子群16の上方位置から外れた位置に移動させることで、ドラムミキサー3の内面から落下する落下物の落下衝撃を受けない位置に投射コンベア8が位置することになるため、投射コンベア8の先端部をコーティング用ドラムミキサー3の内部に挿入したとしても、投射コンベア8が損傷を受けることが軽減される。
【0035】
また、図1で示した例は、ディスクペレタイザーで造粒し、固体燃料系粉原料や石灰石系粉原料をコーティング用ドラムミキサーで被覆する例を示しているが、焼結用原料をドラムミキサーを用いて造粒し、擬似粒子とした焼結原料に対し、固体燃料系粉原料や石灰石系粉原料を被覆する場合も同様であり、コーティング用ドラムミキサーを用いることができる。
さらに、ドラムミキサーによる造粒の場合は、ドラムミキサーの排出側に固体燃料系粉原料や石灰石系粉原料を供給することによりドラムミキサー自体がコーティング用ドラムミキサーと同じ機能を果たすことになる。
【0036】
すなわち、焼結原料のうち、鉄鉱石とSiO2含有原料とからなる原料をドラムミキサーに装入し、次いでドラムミキサーの排出側に石灰石系粉原料および/または固体燃料系粉原料を投射する粉原料投射装置をドラムミキサーに装入され造粒された擬似粒子群の上方位置から外れた位置に移動させた後、粉原料をドラムミキサーに装入することにより、ドラムミキサー内で造粒され擬似粒子とした焼結原料に対し、固体燃料系粉原料や石灰石系粉原料を被覆することができる。
【0037】
図4は、焼結原料を混合・造粒するドラムミキサー17の排出側に粉原料(固体燃料系粉原料や石灰石系粉原料)投射位置を配置し、粉原料投射装置により固体燃料系粉原料、石灰石系粉原料のいずれかを投射した図であり、図3で示すコーティング用ドラムミキサー3の機能を、ドラムミキサー17の排出側に持たせた例である。図4の場合は、ドラムミキサー17内の排出側内部位置が、粉原料の投射位置となる。すなわち、焼結原料は、ドラムミキサー17の装入側からドラムミキサー17内に装入され、装入された焼結原料はドラムミキサー17の回転によって混合・造粒され、排出側では焼結原料は擬似粒子化されている。この排出側を粉原料の投射位置とするのであり、投射位置は図3と同様にドラムミキサー17内の擬似粒子群16の裾野を外れた位置であり、投射コンベア8から投射された固体燃料系粉原料および/または石灰石系粉原料15をドラムミキサー17の内周面上に落下させるのである。
【0038】
なお、ドラムミキサー17は、単体で構成されるほか、混合・造粒機能の各機能に分担された、混合用ドラムミキサー及び造粒用ドラムミキサーとして2機のドラムミキサーとして使用が行われているものであり、この場合は、造粒用ドラムミキサーの排出側を粉原料の投射位置とする。
【0039】
コーティング用ドラムミキサー3から排出された擬似粒子およびドラムミキサー17の排出側で粉原料を投射し排出された擬似粒子の外表面を調査した結果を図5に示す。図5(a)は図23(a)に示す位置に投射コンベア8を位置させた状態で粉コークスをコーティング用ドラムミキサー3の内部に投射した場合を示し、図5(b)は図3(b)に示す位置に投射コンベア8を位置させた状態で粉コークスをコーティング用ドラムミキサー3の内部に投射した場合を示している。また、図5の「+8.0mm」は粒子径が8.0mm以上の擬似粒子を示し、「−0.25mm」は粒子径が0.25mm未満の擬似粒子を示している。
【0040】
投射コンベア8が図23(a)に示す位置にある場合は、図5(a)に示すように、コーティング用ドラムミキサー3に装入された擬似粒子のうち粒子径が4.75mm以上のものに粉コークスが多く付着する。これに対し、投射コンベア8が図3(b)に示す位置にある場合は、図5(b)に示すように、コーティング用ドラムミキサー3に装入された擬似粒子のうち最も多く存在する粒子径(1.0〜2.8mm)のものや粒子径が2.8mmより小さいものにも粉コークスが付着することがわかる。これは、ドラムミキサー内部において、造粒物(擬似粒子)の堆積面では、粒度偏析が起こっており、堆積面の上層ほど粗粒のものが多く存在し、堆積面の下層ほど細粒のものが多いことが知られている。本発明によると、堆積面の上層部に存在する粗粒造粒物への外装材(石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料)の付着過多を抑制できることを示している。
【0041】
したがって、ドラムミキサーの内部に粉コークス等の固体燃料系粉原料を投射する装置として、図2に示した粉原料投射装置7を用いることで、焼結鉱の主原料とSiO2含有原料とからなる混合物を造粒して得られた擬似粒子をドラムミキサーに装入して擬似粒子の外表面を固体燃料系粉原料でコーティングする際に固体燃料系粉原料を擬似粒子の粒子径に左右されることなく擬似粒子の外表面に付着させることが可能となるので、高炉原料として良好な焼結鉱を製造することができる。
【0042】
図6は図2に示す投射コンベアの粉原料搬送速度と投射コンベアから投射された粉原料により擬似粒子の表面をコーティングするコーティング時間との関係を調査した結果を示す図であり、図6に示されるように、投射コンベア8の速度を増加させると、コーティング用ドラムミキサー3の内周面に落下する粉原料の落下範囲が広くなり、コーティング時間にばらつきが発生しやすくなる。これを防止するためには投射コンベア8の速度を小さくする必要があるが、投射コンベア8の速度を小さくすると投射コンベア8から放出された固体燃料系粉原料がドラムミキサー内の擬似粒子まで到達しない可能性がある。
【0043】
図2に示す粉原料投射装置7の投射コンベア8から投射された粉原料の水平到達距離と投射コンベア先端からの粉原料の落下高さとの関係を調査した結果を図7に示す。
図7中実線aは投射コンベア8を水平にした状態で粉原料を240m/minの速度で投射した場合を示し、一点鎖線bはコーティング用ドラムミキサー3の内部に突出する投射コンベア8の突出量を300mmにした状態で粉原料を210m/minの速度で投射した場合を示している。
【0044】
また、図7中破線cは投射コンベア8の高さを高くした状態で粉原料を210m/minの速度で投射した場合を示し、二点鎖線dは投射コンベア8の俯仰角度を上向きに25度にした状態で粉原料を210m/minの速度で投射した場合を示している。
図7に示されるように、投射コンベア8の俯仰角度を25度にすると、投射コンベア8の速度が210m/minであっても粉原料の水平到達距離がドラムミキサー内の擬似粒子に届く距離となることがわかる。
【0045】
したがって、上述のように、投射コンベア8の俯仰角度が所定の角度となるように投射コンベア8をコンベア傾斜機構12により傾斜させてから粉原料をドラムミキサーの内部に投射することで、粉原料の水平到達距離が増大し、これにより、投射コンベア8により搬送される粉原料の搬送速度を小さくしてドラムミキサー内部の造粒された擬似粒子群の上方位置から外れた位置に粉原料を投射することが可能となるので、高炉原料としてより良好な焼結鉱を製造することができる。
【0046】
上述した本発明の第1の実施形態では、ドワイトロイド式焼結機6で焼成される擬似粒子を造粒する際に粉コークス等の固体燃料系粉原料をコーティング用ドラムミキサー3の出口側から投射して擬似粒子を造粒するようにしたが、コーティング用ドラムミキサー3に導入される焼結原料は擬似粒子となっているため、固体燃料系粉原料をコーティング用ドラムミキサー3の入口側から投射して擬似粒子を造粒するようにしてもよい。また、投射コンベア8から投射される粉原料が石灰石系粉原料であっても同様である。
【0047】
図8は、本発明の第2の実施形態に係る焼結鉱の製造方法を示す図である。この第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は擬似粒子を造粒するディスクペレタイザーがドラムミキサーとなり、ドラムミキサーとして単一のドラムミキサー17を用いる点が異なる他はコーティング用ドラムミキサー3を用いる点で同じである。図8に示す実施形態では、鉄鉱石、SiO2含有原料がドラムミキサー17で混合・造粒されて擬似粒子となり、擬似粒子となった焼結原料がコーティング用ドラムミキサー3に装入される。そして、コーティング用ドラムミキサー3において、その装入側から石灰石系粉原料が投射され、排出側から固体燃料系原料である粉コークスが投射されることで擬似粒子のコーティングが行われる。その結果、焼結原料の擬似粒子表面に石灰石系粉原料が付着し、その最外層位置に粉コークスが付着することで焼結の生産性が向上し、しかも焼結時に石灰石系粉原料が擬似粒子表層部に存在するため、焼結鉱の塊表面に強度の高いカルシウムフェライトを、また塊内部には被還元性の高いヘマタイトを生成した、高炉原料として良好な焼結鉱を製造することができる。
【0048】
図10に示す第3の実施形態や図12に示す第4の実施形態も、ドラムミキサー17により造粒されて擬似粒子となり、コーティング用ドラムミキサー3で擬似粒子表面をコーティングする点では第2の実施形態と同じであるが、図10に示す第3の実施形態では、コーティング用ドラムミキサー3の装入側から固体燃料系粉原料である粉コークスと石灰石系粉原料を投射して擬似粒子表面のコーティングを行っている。一方、図12に示す第4の実施形態では、コーティング用ドラムミキサー3の排出側から固体燃料系粉原料である粉コークスと石灰石系粉原料を投射して擬似粒子表面のコーティングを行っている。
【0049】
図10及び図12に示す実施形態では、ドラムミキサー17で造粒された擬似粒子の表面に粉コークスと固体燃料系粉原料の混合層が形成され、粉コークスが擬似粒子表面に存在するため燃焼性が良好となり、焼結の生産性が向上し、しかも焼結時に石灰石系粉原料が擬似粒子表層部に存在するため、焼結鉱の塊表面に強度の高いカルシウムフェライトを、また塊内部には被還元性の高いヘマタイトを生成した、高炉原料として良好な焼結鉱を製造することができる。
【0050】
なお、図8に示すコーティング用ドラムミキサー3の使用において、コーティング用ドラムミキサー3の装入側から石灰石系粉原料が投射され、排出側から固体燃料系粉原料である粉コークスが投射されて擬似粒子のコーティングが行われる投射形態を図9に示す。コーティング用ドラムミキサー3の装入側より、石灰石系粉原料15Bが投射され、コーティング用ドラムミキサー3内に装入された擬似粒子群16の裾野を外れた位置に石灰石系粉原料15Bを投射する。一方、固体燃料系粉原料である粉コークス15Aは、コーティング用ドラムミキサー3の排出側から投射し、コーティング用ドラムミキサー3内の擬似粒子群16の裾野を外れた位置に粉コークス15Aを投射する。
【0051】
図10及び図12に示した実施形態では、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料である粉コークスを、予め混合、あるいは投射コンベア8のベルト上に同時切り出しすることにより積層状態とし、単一の投射コンベア8により、コーティング用ドラムミキサー3内に投射すればよい。または、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料である粉コークスをそれぞれ別の投射コンベア8を用いて投射してもよい。
【0052】
擬似粒子表面に石灰石系粉原料、擬似粒子の最外層に粉コークス層をコーティングする場合、図10に示す実施形態では、図11に示すように、コーティング用ドラムミキサー3の装入側から石灰石系粉原料15Bと粉コークス15Aを投射し、コーティング用ドラムミキサー3内に石灰石系粉原料15B、それより排出側位置となる部分に粉コークス15Aを投射すればよく、粉コークス15Aを投射する投射コンベア8より下方位置で別の投射コンベア(図示省略)で石灰石系粉原料15Bを投射することで達成される。
【0053】
図12に示す実施形態では、図13に示すように、コーティング用ドラムミキサー3の排出側から石灰石系粉原料と粉コークスをそれぞれ投射し、コーティング用ドラムミキサー3内に石灰石系粉原料15B、それより排出側位置となる部分に粉コークス15Aを投射すればよく、石灰石系粉原料投射コンベア8と粉コークス投射コンベア(図示省略)とを用い、遠方になる石灰石系粉原料15Bの投射を石灰石系粉原料投射コンベア8で、近傍になる粉コークス15Aの投射を、石灰石系粉原料投射コンベア8より下方に配置した粉コークス投射コンベア(図示省略)で行えばよい。なお、コーティング用ドラムミキサー3は、石灰石系粉原料および/または固体燃料系粉原料をコーティングする滞留時間を確保できる大きさとすればよく、10〜90秒のコーティング用滞留時間を考慮すると15mまでの長さを有するドラムミキサーが好ましい。また、長さの長いドラムミキサーをコーティング用ドラムミキサー3として使用する場合は、その排出側から石灰石系粉原料および/または固体燃料系粉原料を投射することで支障なく実施できる。
【0054】
図14は、ドラムミキサーとして混合用ドラムミキサー1Aと、造粒用ドラムミキサー1Bとを使用し、造粒用ドラムミキサー1Bの排出側で、固体燃料系粉原料である粉コークスが投射され、疑似粒子表面に粉コークスコーティングが行われる第5の実施形態を示している。図14に示す第5の実施形態では、鉄鉱石、SiO2含有原料が混合用ドラムミキサー1Aに供給され、混合疑似粒子が一部形成された部分で石灰石系粉原料が輸送過程で添加され、造粒用ドラムミキサー1Bの排出側で、固体燃料系粉原料である粉コークスが投射され、疑似粒子表面に粉コークスコーティングが行われる。このドラムミキサーとして混合用ドラムミキサー1A、造粒用ドラムミキサー1Bを使用するケースでは、固体燃料系粉原料である粉コークスの投射に代え、図15、図16に示すように、石灰石系粉原料の投射に代えることもできる。
【0055】
図15に示す第6の実施形態では、鉄鉱石、SiO2含有原料、固体燃料系粉原料である粉コークスが混合用ドラムミキサー1Aに供給されて混合され、造粒用ドラムミキサー1Bの排出側で、石灰石系粉原料が投射され疑似粒子表面に石灰石系粉原料のコーティングが行われる。
【0056】
また、図16に示す第7の実施形態では、造粒用ドラムミキサー1Bの排出側で、固体燃料系粉原料である粉コークスおよび石灰石系粉原料が投射され、疑似粒子表面に粉コークスと石灰石系粉原料のコーティングが行われる。
この場合も、粉コークス・石灰石系粉原料のコーティングを行う場合は、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料である粉コークスを予め混合、あるいは投射コンベア8のベルト上に同時切り出しにより積層状態とし、単一の投射コンベア8により、造粒用ドラムミキサー1B内に投射する形態、または、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料である粉コークスをそれぞれ別の投射コンベア8を用いて投射すればよく、図17に示すように、造粒用ドラムミキサー1Bの排出側から石灰石系粉原料15B、粉コークス15Aを投射すればよく、図中の投射コンベア8で石灰石系粉原料を粉コークスより遠方に投射し、石灰石系粉原料の投射コンベア8より下方に配した別の投射コンベア(図示省略)により、近傍位置となる粉コークス15Aを石灰石系粉原料より排出側となる位置に投射することで達成される。混合用ドラムミキサー1Aとしてはドラム長さが12〜20mのドラムミキサーを使用でき、造粒用ドラムミキサー1Bとしてはドラム長さが混合用ドラムミキサーより長いドラムミキサー、例えばドラム長さが16〜25mのドラムミキサーを使用できる。
【0057】
図18〜図20は、ドラムミキサーとして単一のドラムミキサー17を用いる際の、固体燃料系粉原料である粉コークスおよび石灰石系粉原料のコーティング例を示す実施形態である。図18に示す第8の実施形態では、鉄鉱石、SiO2含有原料、石灰石系粉原料をドラムミキサー17で造粒し、ドラムミキサー17の排出側で固体燃料系粉原料である粉コークスのコーティングが行われる。
【0058】
図19に示す第9の実施形態では、鉄鉱石、SiO2含有原料、固体燃料系粉原料である粉コークスをドラムミキサー17で造粒し、ドラムミキサー17の排出側で疑似粒子表面に石灰石系粉原料のコーティングが行われる。
図20に示す第10の実施形態では、鉄鉱石、SiO2含有原料をドラムミキサー17で造粒し、ドラムミキサー17の排出側で疑似粒子表面に固体燃料系粉原料である粉コークスと石灰石系粉原料のコーティングが行われる。
なお、単一のドラムミキサー17は、ドラム長さが20〜25mのドラムミキサーを使用でき、焼結原料の造粒用時間を300〜500秒に確保することで、混合・造粒を行うことができる。
【0059】
本発明者らは、図23に示す方法(従来法)で造粒された焼結原料と本発明方法で造粒された焼結原料のCaO濃度について調査した。その調査結果を図21に示す。
なお、図21の「+8.0mm」、「+4.75mm」、「+2.75mm」、「+1.0mm」、「+0.5mm」、「+0.25mm」は粒子径が8.0mm以上、4.75mm以上、2.75mm以上、1.0mm以上、0.5mm以上、0.25mm以上の焼結原料を示し、「−0.25mm」は粒子径が0.25mm未満の焼結原料を示している。また、CaO濃度の調査は、図12または図14に示す装置を用いて行った。
従来法で得られた焼結原料のCaO濃度と本発明方法で得られた焼結原料のCaO濃度とを比較すると、本発明方法で得られた焼結原料のうち粒子径が8.0mm以上のものと、4.75mm以上のものは、従来法で得られた焼結原料よりもCaO濃度が低くなることが判明した。
【0060】
また、本発明方法で得られた焼結原料のうち粒子径が2.8mm以上のものと、1.0mm以上のものは、従来法で得られた焼結原料よりもCaO濃度よりも高くなることが判明した。これは、ドラムミキサーに装入された粉原料がドラムミキサー内で偏析した粗粒擬似粒子の表面に過剰に付着することが抑制され、均一な付着が実現されていることを意味する。
【0061】
次に、本発明者らは、石灰石系粉原料の付着状態が焼結性状に及ぼす影響を調査するため、従来法と本発明方法で得られた焼結原料を粒度毎に分け、大気雰囲気の電気炉にて1300℃で5分間焼成した。そして、焼成後のサンプルを粉砕し、粉末X線解析法により、ヘマタイト組織、マグネタイト組織、カルシウムフェライト組織、シリケートスラグ組織の存在割合を算出した。その結果を表1と図22に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
従来法で得られた焼結原料と本発明法で得られた焼結原料とを比較すると、従来法では焼成後のヘマタイト組織の存在比率が粒子径8.0mm以上のもので60%程度、粒子径4.75mmのもので40%程度になるのに対し、本発明方法では焼成後のヘマタイト組織の存在比率が粒子径8.0mm以上のもので90%以上、粒子径4.75mmのもので70%以上になった。
【0064】
また、従来法では焼成後のヘマタイト組織とカルシウムフェライト組織の合計存在比率が粒子径2.8mmのもので60%弱程度になるのに対し、本発明方法では焼成後のヘマタイト組織とカルシウムフェライト組織の合計存在比率が粒子径2.8mmのもので70%以上になった。
これらのことから、本発明法では、粗粒擬似粒子の表面に石灰石系粉原料が過剰に付着することを抑制することができ、被還元性・強度に優れたヘマタイト組織を多く存在させ、さらにカルシウムフェライト組織を生成させることができることがわかった。
【符号の説明】
【0065】
1,1A…混合用ドラムミキサー
1B…造粒用ドラムミキサー
2…ディスクペレタイザー
3…コーティング用ドラムミキサー
4…石灰石系粉原料投射装置
5…固体燃料系粉原料投射装置
6…ドワイトロイド式焼結機
61…コンベア
62…ブロワー
63…点火炉
7…粉原料投射装置
8…投射コンベア
9…コンベア支持台車
10…ガイドレール
11…ガイドレール支持台車
12…コンベア昇降機構
13…走行車輪
14…ジャッキ
15…粉原料
16…擬似粒子群
16a…粗粒擬似粒子
17…ドラムミキサー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄鉱石を主原料とし、かつSiO2含有原料および石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料を副原料とする焼結原料をディスクペレタイザーで造粒し、造粒された焼結原料をドワイトロイド式焼結機により焼成して製造される焼結鉱の製造方法であって、前記焼結原料の内、前記鉄鉱石と前記SiO2含有原料とからなる原料を前記ディスクペレタイザーに装入して造粒し、次いで造粒後の擬似粒子をコーティング用ドラムミキサーに装入し、前記石灰石系粉原料および/または前記固体燃料系粉原料を投射する粉原料投射装置を前記ドラムミキサーに装入された擬似粒子群の上方位置から外れた位置に移動させた後、前記粉原料を前記ドラムミキサーに装入することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
【請求項2】
鉄鉱石を主原料とし、かつSiO2含有原料および石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料を副原料とする焼結原料をドラムミキサーで造粒し、造粒された焼結原料をドワイトロイド式焼結機により焼成して製造される焼結鉱の製造方法であって、前記焼結原料の内、前記鉄鉱石と前記SiO2含有原料とからなる原料を前記ドラムミキサーに装入して造粒し、次いで造粒後の擬似粒子をコーティング用ドラムミキサーに装入し、前記石灰石系粉原料および/または前記固体燃料系粉原料を投射する粉原料投射装置を前記ドラムミキサーに装入された擬似粒子群の上方位置から外れた位置に移動させた後、前記粉原料を前記ドラムミキサーに装入することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
【請求項3】
鉄鉱石を主原料とし、かつSiO2含有原料および石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料を副原料とする焼結原料をドラムミキサーで造粒し、造粒された焼結原料をドワイトロイド式焼結機により焼成して製造される焼結鉱の製造方法であって、前記焼結原料の内、前記鉄鉱石と前記SiO2含有原料とからなる原料を前記ドラムミキサーに装入して造粒し、次いで前記ドラムミキサーの排出側に前記石灰石系粉原料および/または前記固体燃料系粉原料を投射する粉原料投射装置を前記ドラムミキサーに装入された擬似粒子群の上方位置から外れた位置に移動させた後、前記粉原料を前記ドラムミキサーに装入することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
【請求項4】
前記粉原料投射装置の移動位置が前記擬似粒子群の裾野を外れた位置であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の焼結鉱の製造方法。
【請求項5】
前記粉原料投射装置として、前記粉原料を前記ドラムミキサーの内部に搬送して投射する投射コンベアと、該投射コンベアを前記ドラムミキサーの軸方向に移動可能に支持するコンベア支持台車と、該コンベア支持台車を前記ドラムミキサーの軸方向に案内する左右一対のガイドレールと、該ガイドレールを前記ドラムミキサーの軸方向と直交する横方向に移動可能に支持するガイドレール支持台車と、を有するものを用い、前記投射コンベア、前記コンベア支持台車および前記ガイドレールを前記ガイドレール支持台車により所定位置に移動させた後、前記粉原料を前記ドラムミキサーに装入することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に焼結鉱の製造方法。
【請求項6】
前記粉原料投射装置として、前記コンベア支持台車に対して前記投射コンベアを上下方向に傾けるコンベア傾斜機構を有するものを用い、前記投射コンベアの先端部が上向きなるように前記投射コンベアを前記コンベア傾斜機構により傾斜させた後、前記粉原料を前記ドラムミキサーに装入することを特徴とする請求項5に記載の焼結鉱の製造方法。
【請求項7】
前記コーティング用ドラムミキサーの内部に前記粉原料を前記ドラムミキサーの出口側から装入することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の焼結鉱の製造方法。
【請求項8】
前記コーティング用ドラムミキサーの内部に前記粉原料を前記ドラムミキサーの入口側から装入することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の焼結鉱の製造方法。
【請求項9】
鉄鉱石を主原料とし、かつSiO2含有原料、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料を副原料とする焼結原料を造粒し、造粒された焼結原料をドワイトロイド式焼結機により焼成して製造される焼結鉱の製造設備であって、
前記焼結原料を造粒するディスクペレタイザーと、前記焼結原料の表面をコーティングするコーティング用ドラムミキサーと、該ドラムミキサーの内部に粉原料を投射する粉原料投射装置とを備え、
前記粉原料を前記コーティング用ドラムミキサーの内部に搬送して投射する投射コンベアと、該投射コンベアを前記コーティング用ドラムミキサーの軸方向に移動可能に支持するコンベア支持台車と、該コンベア支持台車を前記コーティング用ドラムミキサーの軸方向に案内する左右一対のガイドレールと、該ガイドレールを前記ドラムミキサーの軸方向と直交する横方向に移動可能に支持するガイドレール支持台車とを前記粉原料投射装置が有することを特徴とする焼結鉱の製造設備。
【請求項10】
鉄鉱石を主原料とし、かつSiO2含有原料、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料を副原料とする焼結原料を造粒し、造粒された焼結原料をドワイトロイド式焼結機により焼成して製造される焼結鉱の製造設備であって、
前記焼結原料を造粒するドラムミキサーと、前記焼結原料の表面をコーティングするコーティング用ドラムミキサーと、該コーティング用ドラムミキサーの内部に粉原料を投射する粉原料投射装置とを備え、
前記粉原料を前記コーティング用ドラムミキサーの内部に搬送して投射する投射コンベアと、該投射コンベアを前記コーティング用ドラムミキサーの軸方向に移動可能に支持するコンベア支持台車と、該コンベア支持台車を前記コーティング用ドラムミキサーの軸方向に案内する左右一対のガイドレールと、該ガイドレールを前記ドラムミキサーの軸方向と直交する横方向に移動可能に支持するガイドレール支持台車とを前記粉原料投射装置が有することを特徴とする焼結鉱の製造設備。
【請求項11】
鉄鉱石を主原料とし、かつSiO2含有原料、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料を副原料とする焼結原料を造粒し、造粒された焼結原料をドワイトロイド式焼結機により焼成して製造される焼結鉱の製造設備であって、
前記焼結原料を造粒するドラムミキサーと、該造粒するドラムミキサーの排出側からドラムミキサー内部に粉原料を投射する粉原料投射装置とを備え、
前記粉原料を前記ドラムミキサーの内部に搬送して投射する投射コンベアと、該投射コンベアを前記ドラムミキサーの軸方向に移動可能に支持するコンベア支持台車と、該コンベア支持台車を前記ドラムミキサーの軸方向に案内する左右一対のガイドレールと、該ガイドレールを前記ドラムミキサーの軸方向と直交する横方向に移動可能に支持するガイドレール支持台車とを前記粉原料投射装置が有することを特徴とする焼結鉱の製造設備。
【請求項12】
前記コンベア支持台車に対して前記投射コンベアを上下方向に傾けるコンベア傾斜機構をさらに備えたことを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の焼結鉱の製造設備。
【請求項13】
焼結鉱を製造するときに用いられる粉原料投射装置であって、前記焼結鉱の副原料である固体燃料系粉原料または石灰石系粉原料をドラムミキサーの内部に搬送して投射する投射コンベアと、該投射コンベアを前記ドラムミキサーの軸方向に移動可能に支持するコンベア支持台車と、該コンベア支持台車を前記ドラムミキサーの軸方向に案内する左右一対のガイドレールと、該ガイドレールを前記ドラムミキサーの軸方向と直交する横方向に移動可能に支持するガイドレール支持台車とを備えたことを特徴とする粉原料投射装置。
【請求項14】
前記コンベア支持台車に対して前記投射コンベアを上下方向に傾けるコンベア傾斜機構をさらに備えたことを特徴とする請求項13に記載の粉原料投射装置。
【請求項1】
鉄鉱石を主原料とし、かつSiO2含有原料および石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料を副原料とする焼結原料をディスクペレタイザーで造粒し、造粒された焼結原料をドワイトロイド式焼結機により焼成して製造される焼結鉱の製造方法であって、前記焼結原料の内、前記鉄鉱石と前記SiO2含有原料とからなる原料を前記ディスクペレタイザーに装入して造粒し、次いで造粒後の擬似粒子をコーティング用ドラムミキサーに装入し、前記石灰石系粉原料および/または前記固体燃料系粉原料を投射する粉原料投射装置を前記ドラムミキサーに装入された擬似粒子群の上方位置から外れた位置に移動させた後、前記粉原料を前記ドラムミキサーに装入することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
【請求項2】
鉄鉱石を主原料とし、かつSiO2含有原料および石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料を副原料とする焼結原料をドラムミキサーで造粒し、造粒された焼結原料をドワイトロイド式焼結機により焼成して製造される焼結鉱の製造方法であって、前記焼結原料の内、前記鉄鉱石と前記SiO2含有原料とからなる原料を前記ドラムミキサーに装入して造粒し、次いで造粒後の擬似粒子をコーティング用ドラムミキサーに装入し、前記石灰石系粉原料および/または前記固体燃料系粉原料を投射する粉原料投射装置を前記ドラムミキサーに装入された擬似粒子群の上方位置から外れた位置に移動させた後、前記粉原料を前記ドラムミキサーに装入することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
【請求項3】
鉄鉱石を主原料とし、かつSiO2含有原料および石灰石系粉原料や固体燃料系粉原料を副原料とする焼結原料をドラムミキサーで造粒し、造粒された焼結原料をドワイトロイド式焼結機により焼成して製造される焼結鉱の製造方法であって、前記焼結原料の内、前記鉄鉱石と前記SiO2含有原料とからなる原料を前記ドラムミキサーに装入して造粒し、次いで前記ドラムミキサーの排出側に前記石灰石系粉原料および/または前記固体燃料系粉原料を投射する粉原料投射装置を前記ドラムミキサーに装入された擬似粒子群の上方位置から外れた位置に移動させた後、前記粉原料を前記ドラムミキサーに装入することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
【請求項4】
前記粉原料投射装置の移動位置が前記擬似粒子群の裾野を外れた位置であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の焼結鉱の製造方法。
【請求項5】
前記粉原料投射装置として、前記粉原料を前記ドラムミキサーの内部に搬送して投射する投射コンベアと、該投射コンベアを前記ドラムミキサーの軸方向に移動可能に支持するコンベア支持台車と、該コンベア支持台車を前記ドラムミキサーの軸方向に案内する左右一対のガイドレールと、該ガイドレールを前記ドラムミキサーの軸方向と直交する横方向に移動可能に支持するガイドレール支持台車と、を有するものを用い、前記投射コンベア、前記コンベア支持台車および前記ガイドレールを前記ガイドレール支持台車により所定位置に移動させた後、前記粉原料を前記ドラムミキサーに装入することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に焼結鉱の製造方法。
【請求項6】
前記粉原料投射装置として、前記コンベア支持台車に対して前記投射コンベアを上下方向に傾けるコンベア傾斜機構を有するものを用い、前記投射コンベアの先端部が上向きなるように前記投射コンベアを前記コンベア傾斜機構により傾斜させた後、前記粉原料を前記ドラムミキサーに装入することを特徴とする請求項5に記載の焼結鉱の製造方法。
【請求項7】
前記コーティング用ドラムミキサーの内部に前記粉原料を前記ドラムミキサーの出口側から装入することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の焼結鉱の製造方法。
【請求項8】
前記コーティング用ドラムミキサーの内部に前記粉原料を前記ドラムミキサーの入口側から装入することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の焼結鉱の製造方法。
【請求項9】
鉄鉱石を主原料とし、かつSiO2含有原料、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料を副原料とする焼結原料を造粒し、造粒された焼結原料をドワイトロイド式焼結機により焼成して製造される焼結鉱の製造設備であって、
前記焼結原料を造粒するディスクペレタイザーと、前記焼結原料の表面をコーティングするコーティング用ドラムミキサーと、該ドラムミキサーの内部に粉原料を投射する粉原料投射装置とを備え、
前記粉原料を前記コーティング用ドラムミキサーの内部に搬送して投射する投射コンベアと、該投射コンベアを前記コーティング用ドラムミキサーの軸方向に移動可能に支持するコンベア支持台車と、該コンベア支持台車を前記コーティング用ドラムミキサーの軸方向に案内する左右一対のガイドレールと、該ガイドレールを前記ドラムミキサーの軸方向と直交する横方向に移動可能に支持するガイドレール支持台車とを前記粉原料投射装置が有することを特徴とする焼結鉱の製造設備。
【請求項10】
鉄鉱石を主原料とし、かつSiO2含有原料、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料を副原料とする焼結原料を造粒し、造粒された焼結原料をドワイトロイド式焼結機により焼成して製造される焼結鉱の製造設備であって、
前記焼結原料を造粒するドラムミキサーと、前記焼結原料の表面をコーティングするコーティング用ドラムミキサーと、該コーティング用ドラムミキサーの内部に粉原料を投射する粉原料投射装置とを備え、
前記粉原料を前記コーティング用ドラムミキサーの内部に搬送して投射する投射コンベアと、該投射コンベアを前記コーティング用ドラムミキサーの軸方向に移動可能に支持するコンベア支持台車と、該コンベア支持台車を前記コーティング用ドラムミキサーの軸方向に案内する左右一対のガイドレールと、該ガイドレールを前記ドラムミキサーの軸方向と直交する横方向に移動可能に支持するガイドレール支持台車とを前記粉原料投射装置が有することを特徴とする焼結鉱の製造設備。
【請求項11】
鉄鉱石を主原料とし、かつSiO2含有原料、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料を副原料とする焼結原料を造粒し、造粒された焼結原料をドワイトロイド式焼結機により焼成して製造される焼結鉱の製造設備であって、
前記焼結原料を造粒するドラムミキサーと、該造粒するドラムミキサーの排出側からドラムミキサー内部に粉原料を投射する粉原料投射装置とを備え、
前記粉原料を前記ドラムミキサーの内部に搬送して投射する投射コンベアと、該投射コンベアを前記ドラムミキサーの軸方向に移動可能に支持するコンベア支持台車と、該コンベア支持台車を前記ドラムミキサーの軸方向に案内する左右一対のガイドレールと、該ガイドレールを前記ドラムミキサーの軸方向と直交する横方向に移動可能に支持するガイドレール支持台車とを前記粉原料投射装置が有することを特徴とする焼結鉱の製造設備。
【請求項12】
前記コンベア支持台車に対して前記投射コンベアを上下方向に傾けるコンベア傾斜機構をさらに備えたことを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の焼結鉱の製造設備。
【請求項13】
焼結鉱を製造するときに用いられる粉原料投射装置であって、前記焼結鉱の副原料である固体燃料系粉原料または石灰石系粉原料をドラムミキサーの内部に搬送して投射する投射コンベアと、該投射コンベアを前記ドラムミキサーの軸方向に移動可能に支持するコンベア支持台車と、該コンベア支持台車を前記ドラムミキサーの軸方向に案内する左右一対のガイドレールと、該ガイドレールを前記ドラムミキサーの軸方向と直交する横方向に移動可能に支持するガイドレール支持台車とを備えたことを特徴とする粉原料投射装置。
【請求項14】
前記コンベア支持台車に対して前記投射コンベアを上下方向に傾けるコンベア傾斜機構をさらに備えたことを特徴とする請求項13に記載の粉原料投射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2013−47376(P2013−47376A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−160939(P2012−160939)
【出願日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】
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