説明

照明制御データの生成装置

【課題】 演奏に従って照明を制御する場合、照明の制御状態を演奏の変化に従って円滑に変化させる。
【解決手段】 照明制御データの生成装置が演奏データによる演奏に合わせて照明手段を制御する照明制御データを生成する。この生成装置では、CPU2が、演奏データの区間ごとの音楽的特徴により演奏データ構成を決定し、この演奏データ構成に対応する照明パターンをメモリ6に記憶されている複数の照明パターンの中から決定する。CPU2は、決定された照明制御データが含む少なくとも1つの第1の照明パラメータを連続的に変更して、後続する第2の照明パラメータへ移行するように、第1の照明パラメータを補間する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演奏に合わせて、演出効果として照明を制御する照明制御データを生成する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記の照明制御データの生成装置としては、例えば特許文献1に開示されているものがある。特許文献1の装置では、楽曲データのメロディを解析して、この楽曲の音楽的フレーズに分割手段が分割する。分割された各フレーズの音楽属性に基づいて、演出パターンデータが格納された演出制御ライブラリーから演出パターンを抽出手段が抽出する。分割された各フレーズに対して抽出した演出パターンを割り付け手段が割り付けて、演出データを作成する。楽曲データと演出データとを結合手段が結合する。結合された楽曲データと演出データとに基づいて、楽曲データの演奏時に、演奏に合わせて演出データに基づいて照明手段が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3743079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術によれば、演奏される曲にマッチした演出ができる。しかし、或るフレーズにおいてそのフレーズに対応した演出パターンで照明の制御が行われ、次のフレーズに移ると、直ちに当該次のフレーズに対応した演出パターンで照明の制御が開始される。そのため、照明の制御状態の変化が円滑に行われていない。
【0005】
本発明は、照明の制御状態の変化が円滑に行われる照明制御データの生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の照明制御データの生成装置は、演奏データによる演奏に合わせてステージ演出用の照明手段を制御する照明制御データを生成するものである。この照明制御データの生成装置では、照明制御データ設定手段が、入力された前記演奏データの所定の区間ごとの音楽的特徴に対応して、前記照明手段を制御する照明パラメータを前記特徴の時系列に対応して配列した照明制御データを生成する。照明パラメータとしては、例えば照明手段として、発光手段を使用する場合、その発光色を変更するものや光量を変更するものを使用することができる。また照明手段として、スモークの発生手段を使用する場合、スモークの発生量を変更するものを使用できる。照明手段として映像表示手段を使用する場合、映像表示手段に表示する映像を変更するものを使用できる。照明制御データ設定手段としては、自動的に照明制御データを設定するものと、ユーザーが照明制御データを設定するものとを使用することができる。例えば自動的に設定するものでは、解析手段が、前記演奏データの区間ごとの音楽的特徴により演奏データ構成を決定する。区間としては、例えば演奏データのメロディのイントロ、Aメロ、Bメロ、サビ、エンディング等のフレーズを使用することができる。更に、決定された演奏データ構成に対応する照明パターンを、記憶手段に記憶されている複数の照明パターンの中から、決定手段が決定する。ユーザーが、特徴やこれに対応する照明パターンを決定する場合、前記照明パターン設定手段は、ユーザーが設定した演奏データの特徴を入力する特徴入力手段と、設定された特徴に基づいて前記ユーザーが記憶手段に記憶された複数の照明パターンの中から任意の照明パターンを選択する照明パターン入力手段とを、備えたものとすることができる。補間データ設定手段が、各照明制御データが含む少なくとも1つの第1の照明パラメータを連続的に変更して、第1の照明パラメータに後続する第2の照明パラメータへ移行するように、第1の照明パラメータを補間する補間データを設定する。補間データ設定手段に代えて、前記照明制御データにおいて、少なくとも1つの第1の照明パラメータを連続的に変更して、第1の照明パラメータに後続する第2の照明パラメータへ移行するように、第1の照明パラメータを補間する補間手段を使用することもできる。
【0007】
このように構成した照明制御データ生成装置で生成された照明制御データによって照明手段を、演奏データによる演奏時に制御すると、第1の照明パターンから第2の照明パターンへの切換が、時間経過に従って行われるので、第1の照明パターンから第2の照明パターンへの照明手段の制御状態のつながりが円滑となる。
【0008】
前記補間を行うか否かを区間ごとに設定する補間指示手段を設け、この補間指示手段の指示により補間を行うようにすることもできる。このように構成すると、特定の区間からそれに後続する区間への切換時にのみ補間を行うことができ、補間を際だたせることができる。
【0009】
前記補間は、演奏データの再生テンポに基づいて補間を行うことができる。このように構成すると、演奏データに基づいて再生される演奏の進行に同期して照明の制御状態が徐々に変更されるので、照明の制御の変化が違和感を演奏の聴取者に与えることがない。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明による照明制御データ生成装置によって生成された照明制御データに基づいて、演奏時に照明制御を行えば、照明の制御状態を円滑に変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の1実施形態の自動演奏装置のブロック図である。
【図2】図2は、図1の自動演奏装置の動作フローチャートである。
【図3】図3は、図1の自動演奏装置において行われた演奏データの構成分析によって得られたテーブルを示す図である。
【図4】図4は、図3のブロックの属性を決定して得られたテーブルを示す図である。
【図5】図5は、図4のテーブルに適用される照明パターンと適用結果のテーブル及びこれを構成要素とするモーフィングパラメータのテーブルを示す図である。
【図6】図6は、図5のモーフィングパラメータに従って制御された光量の変化を示す図である。
【図7】図7は、モーフィングスイッチのオンオフを指示するテーブルを示す図である。
【図8】図8は、色調と光量とを制御するようにモーフィングされた制御パラメータのテーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態は、本発明を自動演奏装置に実施したもので、例えばステージ演奏において使用される。この自動演奏装置は、図1に示すように、CPU2を有している。CPU2は、バス4を介してメモリ6、ユーザーインターフェース10、音源12、ディスプレイコントローラ14に接続されている。
【0013】
メモリ6には、自動演奏データと、照明パターンデータベースとが記憶されている。
【0014】
記憶されている自動演奏データは、複数のブロックが時系列的に組み合わされて構成されている。各ブロックは、様々な音楽的属性、例えばイントロ、Aメロ、Bメロ、Cメロ、サビ、エンディング等からなる。
【0015】
ユーザーインターフェース10は、例えば複数の選択スイッチからなり、これらスイッチの選択によって、1つの自動演奏データをCPU2がメモリ6から読み出し、音源12に供給する。音源12としては、波形データを読み出して加工し出力するPCM音源や、物理現象を模擬するDSP音源などを用いることができる。音源12が、これに供給された自動演奏データに基づく発音データをD/A変換器16に供給する。D/A変換器16は、このデータからアナログ自動演奏信号を生成する。このアナログ自動演奏信号は、この自動演奏装置の外部に設けたアンプ18で増幅され、スピーカ20に供給される。
【0016】
メモリ6に記憶されている照明パターンデータベースには、様々な照明パターンが含まれている。この照明パターンは、プロジェクタ22、スモーク装置24、複数のライト26のような照明手段を制御するものである。これら照明パターンは、演奏データの構成に対応して複数のものが記憶されている。
【0017】
プロジェクタ22、スモーク発生装置24、複数のライト26は、予めステージの異なる位置に配置されている。プロジェクタ22は、GPU(グラフィックスプロセッシングユニット)28によって制御され、GPU28は、CPU2が読み出した照明パラメータに従ってプロジェクタ22に表示する映像を制御する。スモーク発生装置24及び複数のライト26は、照明パラメータに従って照明制御用のDMX信号の形式でCPU2から照明制御データに従って制御される。スモーク発生装置24では、そのスモークの発生量が制御される。複数のライト26は、ステージのそれぞれ異なった位置に配置され、様々な色で発光する。各ライト26は、発光色及び発光光量が制御される。
【0018】
例えば、各ライト26は、赤色、緑色、青色のLEDを多数備え、同じ色のLED群ごとに0から255のDMX信号の数値で輝度が制御され、全体として様々な色での発光を可能とするものである。DMX512規格では全部で512チャンネルの制御が可能であるので、そのうち3チャンネルを使い、例えば赤色LEDに255、緑色LEDに255、青色LEDに255の数値を同時に与えれば明るい白色光となり、赤色LEDに128、緑色LEDに128、青色LEDに0の数値を与えればやや暗い黄色の発光となる。
【0019】
照明パターンは、演奏データの構成に対応できるよう種々に準備され、各演奏データのブロックごとに、プロジェクタ22、スモーク発生装置24、ライト26をどのように制御するかの照明パラメータが記憶手段としてのメモリ6に記憶されている。例えばライト26の照明パターンとして、イントロ用の色調及び光量、Aメロ用での色調及び光量、Bメロ用の色調及び光量、Cメロ用の色調及び光量、サビ用の色調及び光量、楽器ソロ演奏用の色調及び光量、エンディング用の色調及び光量が照明パラメータとして、記憶されている。演奏データの構成に対応する照明パターンが、記憶されている照明パターンの中にない場合には、ユーザーがユーザーインターフェース10とディスプレイ34を用いて、この演奏データに対応できるように他の構成に対応した照明パターンをエディットし、メモリ6に記憶することができる。
【0020】
照明パラメータは、上述したように自動演奏データのブロックごとに対応しているので、自動演奏データの1つのブロックの演奏が終了し、後続のブロックが演奏される際には、照明パラメータも後続のブロックに対応したものに変更される。この照明パラメータの変更を急激に行うよりもなめらかに変更する方が照明効果として優れている場合がある。そのため、なめらかに変更する(モーフィングする)ために、補間データ、例えばモーフィング区間とモーフィングタイプとが、照明パターンに対して設けられている。
【0021】
モーフィング区間は、先に実行される照明パラメータのいずれの部分からモーフィングを開始するかを表すもので、例えば先に実行される第1の照明パラメータと、後で実行される第2の照明パラメータとの境界の何拍前からモーフィングを開始するかを表している。無論、モーフィング区間は、先に実行される第1の照明パラメータの先頭から何拍目でモーフィングを開始するかを表してもよい。モーフィングタイプは、先に実行される第1の照明パラメータから後に実行される第2の照明パラメータに向かってどのように変化させるかを決定するもので、リニア、指数カーブなど数学的に変化させるだけでなく、音楽的な意味を持たせながら変化させることもできる。この実施形態では、音楽的に意味を持たせながらリニアに変化させている。例えば8分音符に連動するように設定することで、モーフィング区間中に8分音符に連動して段階的に変更することができる。例えば上記のようにモーフィング区間を2拍と設定して8分音符に連動と設定すると、2拍の区間に8分音符のテンポに従って4段階で変化させることを意味する。
【0022】
このモーフィング区間とモーフィングタイプとは、メモリ6に記憶されている各照明パターンに対応させて、予めメモリ6に記憶しておくこともできるし、ユーザーが設定することもできる。ユーザーが設定する場合、後述するように照明パターンが決定されたとき、その照明パターンの内容をCPU2がディスプレイコントローラ14を介してディスプレイ34に表示し、その表示内容をユーザーが検討し、ユーザーインターフェース10を利用して設定する。或いは、予め照明パターンに対応させて記憶しておき、上記と同様にディスプレイ34に表示し、その表示内容をユーザーが検討して、修正したい場合には、ユーザーインターフェース10を操作して修正することもできる。
【0023】
また、このようなモーフィングは、全てのブロックの境界において行うことができるが、いずれの境界において行うかを、ユーザーがユーザーインターフェース10を操作することによっても設定することができる。従って、ユーザーインターフェース10は、補間指示手段としても機能する。
【0024】
このように構成された自動演奏装置において、照明パターンの設定は、例えば次のように行われる。
【0025】
即ち、図2に示すように、まずメモリ6からCPU2へ演奏データが読み込まれる(ステップS2)。次に、この演奏データをCPU2が解析して、演奏情報の取得と区切り位置情報の取得(ステップS4)、特徴抽出が行われる(ステップS6)。この手法は、例えば特許文献1に開示されているので、詳細な説明は省略する。その結果、図3に示すように、演奏データは例えば8つのブロックに分けられ、図4に示すように、特徴、例えば各ブロックの音楽的属性がメモリ6に、各ブロックに対応させて配列されたテーブルとして形成され、演奏データの構成が得られる。この場合、CPU2が照明制御データ設定手段及び解析手段として機能する。
【0026】
なお、演奏データを読み込んだ際に、その演奏データに基づく演奏を行うと共に、その演奏データを例えば楽譜形式やピアノロール形式の譜面としてディスプレイ34に表示し、ユーザーが演奏を聴くと共に譜面を見て、各ブロックの区切り位置及びその音楽的属性を決定して、ユーザーインターフェース10を操作して、図4に示すようなテーブルをメモリ6上に構成して、演奏データの構成を決定することもできる。この場合、ユーザーインターフェース10が特徴入力手段及び照明制御データ設定手段として機能する。
【0027】
次に、演奏データの構成に対応する照明パターンが決定される(ステップS8)、例えばメモリ6の照明パターンデータベースには、上述したように様々な演奏データの構成に対応できるような照明パターンが記憶されており、CPU2は、例えば図4に示す演奏データの構成に対応する照明パターンである照明パターン1を照明パターンデータベースから検索して読み出す。この照明パターン1の例えば1つのライト26に対応する照明パターンを図5(c)に示す。ここでは、ブロックごとに色調と光量とがそれぞれ照明パラメータとして設定されている。この照明パターン1を図4に示す演奏データの構成に適用すると、図5(b)に示すような時系列で配置された照明制御データがメモリ6に形成される。図4のブロックには、Cメロと楽器ソロ演奏とは含まれていないので、図5(b)の照明パターンには、当然にCメロと楽器ソロ演奏に対応するものは含まれていない。この場合、CPU2が照明制御データ設定手段及び決定手段として機能し、メモリ6が記憶手段として機能する。
【0028】
なお、演奏データに照明パターンデータベースの中からどの照明パターンを割り当てるかは、ユーザーが決定することもできる。この場合、例えばディスプレイ34上に照明パターンデータベースの内容を表示し、ユーザーインターフェース10を操作することによって入力するようにすることもできる。この場合、ユーザーインターフェース10が照明パターン入力手段及び照明制御データ設定手段として機能し、メモリ6が記憶手段として機能する。
【0029】
次に、メモリ6に形成された照明制御データのモーフィングが行われる(ステップS10)。このモーフィングでは、図5(a)に示すように、形成された照明制御データに対してモーフィング区間とモーフィングタイプとが、それぞれCPU2によって自動的に設定されている。この実施形態では、モーフィング区間として2拍が設定され、モーフィングタイプとして8分音符に連動が設定されている。この場合、CPU2が補間手段として機能する。例えばCPU2が自動的に設定されたモーフィング区間とモーフィングタイプとを、ディスプレイ34に表示し、この表示を確認したユーザーがユーザーインターフェース10を使用して、任意の値に変更することもできる。また、モーフィング区間とモーフィングタイプは、予め設定されて無く、ユーザーがユーザーインターフェース10を操作して決定することもできる。この場合、ユーザーインターフェース10が補間データ設定手段として機能する。
【0030】
また、この実施形態では、各ブロックに対して共通にモーフィング区間とモーフィングタイプとが設定されている。しかし、ブロックごとに異なるモーフィング区間とモーフィングタイプとを設定することもできる。この場合には、ディスプレイ34に、各ブロックのタイプと照明パラメータである色調と光量とを表示し、これらに対応してモーフィング区間とモーフィングタイプとを表示し、その表示をユーザーが見て、ユーザーがユーザーインターフェース10を使用して、ブロックごとにモーフィング区間及びモーフィングタイプを任意に変更することもできる。或いは、ディスプレイ34に、各ブロックのタイプと照明パラメータである色調と光量とのみを表示し、これらに対応するようにユーザーがユーザーインターフェース10を操作して、各ブロックにモーフィング区間とモーフィングタイプとを設定することもできる。
【0031】
例えば図5のAメロからBメロへのモーフィングでは、図6に示すように光量は、AメロとBメロとの境界よりも2拍前の第5番目の8分音符のタイミングで光量が44%に増加され、第6番目の8分音符のタイミングで48%に光量が増加され、第7番目の8分音符のタイミングで52%に光量が増加され、第8番目の8分音符のタイミングで56%に光量が増加され、Bメロの第1番目の8分音符のタイミングで60%に光量が増加される。従って、AメロからBメロへの変化の際、光量は演奏の経時変化に従って徐々に変化することになる。演奏のテンポが速くなれば、補間の時間的間隔もそれに対応して小さくなる。
【0032】
この実施形態は、ブロックごとにモーフィングする例であるが、ブロックの変わり目に急激に照明を変化させた方が演出効果が高い場合もある。そのような場合に備えて、例えば図7に示すように、メモリ6にモーフィングスイッチテーブルを構成し、その内容をディスプレイ34に表示し、ユーザーインターフェース10を操作することによって、オン(モーフィングする)、オフ(モーフィングしない)を設定するようにすることもできる。図7の例では、2回繰り返されるAメロとBメロとの境界及びBメロとサビとの境界においてモーフィングが行われ、さらに2回目のサビとエンディングとの境界においてモーフィングが行われている。この場合、ユーザーインターフェース10が補間指示手段として機能する。
【0033】
このようにして照明制御データのモーフィングの態様が設定されると、実際に演奏データが読み出されるとき、演奏データの読み出しに同期して対応する照明制御データが読み出され、モーフィングパラメータに規定されているモーフィング区間のタイミングになり、モーフィングオンと設定されていると、モーフィングタイプに従って、モーフィングが行われる。
【0034】
上記の説明では、モーフィングは光量についてのみ行ったが、色調についても行うことができる。図8は、1つのライト26について色調と光量とをモーフィングする場合であって、上述したモーフィング区間が2拍で、モーフィングタイプが8分音符に連動する場合における、AメロからBメロに変化する際のモーフィングを示したものである。全体の色調がAメロの緑色から、黄緑色を経てBメロの黄色に変化し、全体の光量は、上記の例と同様に40%から44%、48%、52%、56%を経てBメロの60%に変化する。
【0035】
赤色、緑色及び青色LEDに与えるDMX値は、0〜255の値であり、例えばAメロの照明パラメータ値である緑色で光量40%の照明を得るためには、255*0.4=102のDMX値を与える。このとき、赤色、青色のLEDのDMX値は0である。Bメロの照明パラメータ値である黄色で光量60%の照明を得るためには、緑色LEDと赤色LEDとにそれぞれ255*0.6=153のDMX値を与え、青色LEDのDMX値は0である。
【0036】
Aメロの最後の1小節の第5番目の8分音符のタイミング(ブロックナンバ2の3拍目の1つ目の8分音符のタイミング)になったとき、全体の色調を黄緑色とするために赤色LEDと緑色LEDとを発光させる。このとき赤色LEDの光量をBメロの最初の8分音符のタイミングでの光量153(60%)へ、Aメロの第4番目の8分音符のタイミングでの光量0(0%)から4段階で変化させるために、DMX値は12%ずつ増加させる。そのため、このタイミングでは、12%に相当する31(≒(153−0)/5)とされる。また、緑色LEDの光量をBメロの最初の8分音符のタイミングでの光量153(60%)へ、Aメロの第4番目の8分音符のタイミングでの光量102(40%)から4段階で変化させるためには、4%ずつ増加させる。そのため、DMX値は44%に相当する112(≒(153−102)/5+102)とされる。このとき、全体の光量は、光量の大きい緑色のLEDが支配するので、44%となる。第6番目の8分音符のタイミング(ブロックナンバ2の3拍目の2つ目の8分音符のタイミング)になったとき、赤色LEDのDMX値は、12%増加した24%に相当する61とされ、緑色LEDのDMX値は、4%増加した48パーセントに相当する122とされる。このとき、全体の光量は、光量の大きい緑色のLEDが支配するので、48%となる。
【0037】
第7番目の8分音符のタイミング(ブロックナンバ2の4拍目の1つ目の8分音符のタイミング)になったとき、赤色LEDのDMX値は、12%増加した36%に相当する92とされ、緑色LEDのDMX値は、4%増加した52パーセントに相当する133とされる。このとき、全体の光量は、光量の大きい緑色のLEDが支配するので、52%となる。第8番目の8分音符のタイミング(ブロックナンバ2の4拍目の2つ目の8分音符のタイミング)になったとき、赤色LEDのDMX値は、12%増加した48%に相当する122とされ、緑色LEDのDMX値は、4%増加した56%に相当する143とされる。このとき、全体の光量は、光量の大きい緑色のLEDが支配するので、56%となる。Bメロの先頭の8分音符のタイミング(ブロックナンバ3の1拍目の1つめの8分音符のタイミング)になったとき、赤色LEDのDMX値は、12%増加した60%に相当する153とされ、緑色LEDのDMX値は、4%増加した60%に相当する153とされる。このとき、全体の光量は、赤色及び緑色LED共に60%であるので、60%となる。
【0038】
このようなモーフィングは、上述したように実際に演奏が行われる最中に、モーフィングのタイミングになったときに、照明パラメータを修正することもできるし、図8に示すような形態に演奏開始前に照明パラメータを修正しておいて、演奏開始後には修正されたパラメータに従って照明手段を制御するだけにすることもできる。
【0039】
上記の実施形態では、ライト26についてのモーフィングのみ説明したが、スモーク発生装置24についても同様にモーフィングすることができる。例えばライト26における光量の変化と同様にしてスモークの発生量を滑らかに変化させることができる。同様に、プロジェクタ22の映像表示においてもモーフィングを行うことができる。
【符号の説明】
【0040】
2 CPU(照明制御データ設定手段、補間手段、解析手段、決定手段)
6 メモリ(記憶手段)
10 ユーザーインターフェース(特徴入力手段、照明パターン入力手段、補間データ設定手段、補間指示手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
演奏データによる演奏に合わせてステージ演出用の照明手段を制御する照明制御データを生成する照明制御データの生成装置であって、
入力された前記演奏データの所定の区間ごとの音楽的特徴に対応して、前記照明手段を制御する照明パラメータを前記特徴の時系列に対応して配列した照明制御データを生成する照明制御データ設定手段と、
前記照明制御データにおいて、少なくとも1つの第1の照明パラメータを連続的に変更して後続する第2の照明パラメータへ移行するように、前記第1の照明パラメータを補間する補間データを設定する補間データ設定手段とを、
具備する照明制御データの生成装置。
【請求項2】
演奏データによる演奏に合わせてステージ演出用の照明手段を制御する照明制御データを生成する照明制御データの生成装置であって、
入力された前記演奏データの所定の区間ごとの音楽的特徴に対応して、前記照明手段を制御する照明パラメータを前記特徴の時系列に対応して配列した照明制御データを生成する照明制御データ設定手段と、
前記照明制御データにおいて、少なくとも1つの第1の照明パラメータを連続的に変更して後続する第2の照明パラメータへ移行するように、前記第1の照明パラメータを補間する補間手段とを、
具備する照明制御データの生成装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の照明制御データの生成装置において、
前記照明制御データ設定手段は、
複数の照明パターンを記憶する記憶手段と、
前記演奏データの前記区間ごとの音楽的特徴により演奏データ構成を決定する解析手段と、
前記演奏データ構成に対応する前記照明パターンを、前記記憶手段に記憶された複数の前記照明パターンの中から決定する決定手段とを、
具備する照明制御データの生成装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の照明制御データの生成装置において、前記照明制御データ設定手段は、
複数の照明パターンを記憶する記憶手段と、
ユーザが決定した前記演奏データの特徴を設定する特徴入力手段と、
前記設定された特徴に基づいて前記ユーザが前記記憶手段に記憶された複数の前記照明パターンの中から任意の照明パターンを選択する照明パターン入力手段とを、
具備する照明制御データの生成装置。
【請求項5】
請求項1または2記載の照明制御データの生成装置において、
前記補間を行うか否かを前記区間ごとに設定する補間指示手段を備え、
前記補間指示手段の指示により補間を行うことを特徴とする照明制御データの生成装置。
【請求項6】
請求項1または2記載の照明制御データの生成装置において、前記補間は、前記演奏データの再生テンポに基づいて行われる照明制御データの生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−192155(P2010−192155A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32703(P2009−32703)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000116068)ローランド株式会社 (175)
【Fターム(参考)】