説明

照明色の識別のための光感応センサを備えた単一イメージャを有する画像投射システム

光バルブに対して異なるかラード光の帯を移動させるための照明システムと、この光バルブの画素の各々の行の照明色を識別するための手段と、画素の書き込みを制御するために前記画像の映像データを管理する手段と、識別手段により識別される前記行の照明色に従って画素の各々の行に送られる映像データを同期化する手段とを有するシステムについて開示している。識別手段は、光バルブの画素の特定の行と同じレベルにある、基板に組み込まれ、各々の行の照明色をリアルタイムに識別するようにデザインされた少なくとも1つの光感応センサから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画素マトリクスアレイであって、例えば、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、又は主にシリコンのアクティブマトリクスを構成する基板において行及び列状に配列された高温ポリシリコン(HTPS)から構成される光バルブ又は空間光変調器(SPL)と、前記列に垂直方向の光バルブに対して“カラースクロール”又は異なるカラード光の帯域を動かすためのこの光バルブの照明システムと、光バルブの画素の行の各々のグループ又は各々の行における照射色を識別するための手段と、光バルブの画素の書き込みを制御するための前記画像の映像データを管理する手段と、前記識別手段により識別された前記行の照明色に従って光バルブの各々の行に送られた映像データを同期化する手段と、から構成される画像表示システム並びに/若しくは画像投射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像投射システムは、一般に、投射が投射器に対してスクリーンの前面から又は背面投射器に対して背面からであるかに従って投射器又は背面投射器と呼ばれ、同じ原理に従って動作する。照射システムは1つ又はそれ以上の光バルブに均一に光を照射し、光は、光バルブにおける反射の後又は透過型光バルブにより透過された後に、変調される。適切に変調された光は、それ故、スクリーン上に投射される。
【0003】
これまでかなりの年数、より低い光効率を提供し、複数の光バルブの画像投射システムに比べて安価である、より小さい単一バルブの透過型又は反射型画像投射システム若しくは単一光バルブに向かう傾向がある。
【0004】
カラー画像を生成するために、この種の投射システムは、スクリーン上の色の変化を人間の眼が知覚できないように十分速く、スクリーン上の異なる色であって、通常は、赤色、緑色及び青色(RGB)の三原色の画像を順次に表示する。それらの画像投射システムは、通常、下で簡単に説明するシステムを使用することにより、光バルブの画素アレイの行に垂直方向にスクロールされ、“カラースクロール”により光帯域の形で同時に赤色、緑色又は青色を部分的に、又はカラーホイールの使用により代わるがわる、赤色、緑色及び青色の光の単一の光バルブを照明するための照明装置から構成される。画素の書き込みを制御する映像データは、それ故、スクリーン上の画像のコントラストの低下又は色の不適当な混合のようなビューアにとっての欠陥のない画像を形成するために各々の画素が受ける色に従って同期化されなければならい。
【0005】
それらのシステムにおいては、光バルブの画素の書き込みを制御する映像データと照明システムとの間の同期化は、一方で、カラーホイール又は照明システムにより光バルブの各々の画素に送られる光について照明色の前記同期化手段に伝えるように光バルブにおいて異なるかラード光帯域のスクロールからもたらされる照明システムの要素の位置信号を測定し、他方で、前記の測定された信号に従って画素の書き込みを制御する同期化手段により操作される。光バルブが、例えば、カラーホイールの使用することにより、赤色、緑色及び青色光により代わるがわるに照明される場合に、この同期化は比較的容易であり、光バルブの照明が、又は、更に正確には、光バルブにおける入射光の色が、光バルブの画素の行に従って変化し、異なるカラード光の前記帯域から成るとき、更に複雑になる。特に、画像品質の劣化及び、特に、コントラストの損失をもたらす、色の互いへのにじみに対する保護のために、同期化手段は、通常、映像データの生成において安全なマージンがプログラムされている。
【0006】
特許文献、米国特許第5,416,514号明細書において、ダイクロイックミラー装置(この文献の図1における参照番号12)を使用することにより異なるカラード光の帯域に光源からの白色光を分離する照明システム(この文献の図1における参照番号10、12、14、16)を有する透過型光バルブを有する投射システムについて記載されている。モーター(この文献の図1における参照番号14)により移動される回転プリズム及びレンズ(この文献の図1における参照番号16)のアセンブリを透過した後、代替として、異なる色の矩形帯が光バルブ(この文献の図1における参照番号18)に対してスクロールする。その特許文献の図6を参照するに、映像ソース(参照番号110)からの映像データ(参照番号112)は映像メモリ(参照番号114)に送られ、映像ソース(参照番号112)から同期信号SYNC(参照番号118)を受ける制御回路(参照番号140)により制御される。映像メモリ(参照番号114)から出力された映像データは、次いで、光バルブ(参照番号122)に書き込むために送られる。特に、同期信号SYNC(参照番号118)を受けるための第1制御回路(参照番号140)にリンクされた第2制御回路(参照番号142)は、光バルブ(参照番号122)の画素の書き込み(参照番号132)及び映像メモリ(参照番号114)の読み取り(参照番号130)を制御する。照明システム(参照番号124)において回転されるプリズムの回転を作動させるモーター(参照番号125)は、同期信号SYNC(参照番号118)に従って回転するプリズムの回転を得るように第2制御回路にロックされ、それ故、光バルブの書き込みを制御する映像データと同期して光バルブに対して異なる色の光帯域のスクロールに導く。制御回路(参照番号142)は又、位置符号化器(参照番号27)から回転プリズムアセンブリの、位相又は位置に関してリアルタイムに信号を受ける。回転プリズムアセンブリの各々の位置又は位相に対して、異なる色の光帯域の光バルブに対応する一意の位置が存在し、この位置又は位相の信号を与える位置符号化器(参照番号127)は、ここでは、光バルブの各々の行の照明色の識別手段を構成する。
【0007】
回転プリズムアセンブリの瞬時の位置を測定するための装置を有する画素の各々の行の照明色を識別する手段は、しかしながら、時間の経過と共に及び影響を受け易い回転応力と共に誤調節になる傾向にある高慣性機械要素、即ち、プリズムのアセンブリの測定に依存する欠点を有し、光バルブの各々の画素に送られる光の照明色について同期化手段に伝えることを条件とする回転プリズムアセンブリの位置の測定結果と光バルブの画素アレイにおける異なる光帯の真の位置との間に僅かではあるがオフセットを導入する。このオフセットは、それ故、同期化、色混合及び上記のようなコントラストの低下の欠陥に繋がる。
【0008】
重要ポイントの1つは、回転プリズム装置の機械的アセンブリである。各々の回転プリズムの前に位置付けられている矩形状スロットは、通常はスクリーン上に画像化される。その位置は、特に、光バルブの垂直面において重要であり、その回転は、プリズムの同期化システムが検出できないエラーに繋がることとなる。
【0009】
カラーホイールが、Texas Instrument社による特許、欧州特許代1098536号明細書において紹介された、螺旋状赤色、緑色及び青色帯域(又は、スクロールカラーホイールSCWとして知られている)と共に用いられる照明システムの場合に、調節及び製造の許容範囲は、映像データ及び光バルブにおける光帯域のスクロールの同期化を困難にする。更に、光バルブにおける帯域スクロールは僅かに曲がるが、回転プリズム又は回転ドラムを用いる場合とは異なる。
【0010】
特許文献、欧州特許第1199896号明細書(株式会社日立製作所による)と米国特許第0149749号明細書(2002)(Philips社による)において、光バルブの異なる色の帯域のスクロールを用いる投射システムであって、投射色の同じエラーのリスクを与える、投射システムについて記載されている。各々の瞬間に直接又は間接に拘らず、照明色を識別するためのそれらのシステムにおいて光感応センサは用いられていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上記の問題点を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このために、本発明は、アクティブマトリクスを構成する基板上に行及び列の状態で備えられている画素マトリクスアレイを有する光バルブと、特に前記行に垂直方向に光バルブに対して異なるカラード光の帯域を動かすための照明システムと、光バルブの画素の各々の行の照明光を識別するための手段と、光バルブの前記画素の書き込みを制御するための前記光バルブの映像データを管理する手段と、前記識別手段により識別された前記行の照明色に従って光値の画素の各々の行に送られる映像データを同期する手段とを有する画像投射システムであって、識別手段は光バルブの前記画素と同レベルに配置された少なくとも1つの光感応センサを有することを特徴とする、画像投射システムに関する。
【0013】
本発明の変形に従って、各々のセンサは光バルブの画素の行を有するレベルに配置され、画素の行より少ないセンサを有し、投射システムは、前記センサにより供給されるデータに従ってセンサにより供給されない画素の行の照明色を演繹するための計算手段を有する。
【0014】
この変形は、ここで、光バルブの画素の各々の行の照明色を識別する手段として単一の光感応センサのみを光バルブが備える特定の場合について示すものである。特に、この単一のセンサは、例えば、画素の特定の行を有する光バルブに位置付けられている。この単一のセンサは、この行の画素の照明色を識別するようにデザインされている。
【0015】
この単一センサの変形に従って、投射システムは、この特定の画素の行の画素の照明色、即ち、光バルブの画素の各々の行の照明色から演繹されるようにデザインされた計算手段を有する。それらの計算手段は、光バルブを照明する色帯の幅に関連するデータを加え、適切な場合には、色帯間に置かれた黒色帯の幅及び/又は行に垂直は帯の移動の速度を加える。
【0016】
光バルブの画素の各々の行の照明色は次のように識別されることができる。
− 色帯の移動中に、光感応センサは、特定の画素の行のレベルにおける色帯の遷移又は各々の変化の瞬間を示す。このデータは計算手段に送られ、既知の方法で、その瞬間の光バルブにおける色帯の所定位置を演繹する。
− 2つの連続的変化の間で経過する時間インタバルから、計算手段は色帯の移動速度を演繹する。
− 遷移の瞬間から、それらの瞬間の色帯の位置により、及びそれらの帯の移動速度により、計算手段は、各々の瞬間における色帯の位置を計算し、この計算から、各々の瞬間における光バルブの画素の各々の行の照明色を演繹する。
【0017】
同じ変形は、光バルブが複数のセンサを備え、各々のセンサは画素の行と同じレベルに位置付けられ、センサの数は行の数より少ない場合に適用することができる。各々のセンサは、センサを備えていない画素の行の照明色を、上記の計算手段を用いて、間接的に識別するために用いられることができ、関連付けられる画素の行の照明色を直接、識別するために用いられる。
【0018】
好適には、本発明に従った投射システムにおいて、識別手段は、光バルブ(12)の画素の各々の行と同じレベルの少なくとも1つの光感応センサから構成され、光バルブ(12)の画素の各々の行及び行の各々のセンサは、その行の照明色を識別するようにデザインされている。このことは、それ故、上記の計算手段の必要性をなくし、画素の各々の業の照明色のより高い信頼性及びより正確な識別が得られる。
【0019】
光バルブの画素の各々の行の光感応センサは、それ故、同じ行の各々の画素により実際に受けられる光の色を、信頼性高く及びリアルタイムに、“帰納的に”又は直接的に、及び、従来技術において説明したように“演繹的に”又は光バルブ全てに対する単一のセンサの場合におけるように間接的ではなく、識別する。照明色の直接的識別は、真に識別された照明色を有する光バルブの画素の書き込みを制御する映像データのより良好な同期化をもたらす。画素の各々の行に対して実行される同期化は又、特に、映像データ野複雑な処理を必要とすることなく、例えば、異なる色の光帯のスクロール又は“色スクロール”を生成する最新式の照明システムを用いることを可能にする。これは、同じ行の各々の画素ができるだけ速く書き込まれることができ、それ故、色の純度を保ち、映像データを処理するための特定の同期化手段においてプログラムされた安全性マージンを減少することができる。その結果、輝度において全体的な利得が得られる。
【0020】
好適な実施形態に従って、光バルブの画素の各々の行又は光バルブの画素と同じレベルに位置付けられた光感応センサは、光バルブの基板であって、通常はシリコンに組み込まれている。
【0021】
光感応センサは、光ビームが、光バルブの活性領域を照明する有用な光ビームと同じ特性を尚も有する位置において照明される必要がある。光バルブの画素の行及び列を制御する論理回路は、通常は、基板をエッチングすることにより形成され、それ故、各々の光感応センサは、有利であることに、光バルブの画素を支持する基板とお暗示基板上にエッチングにより形成された回路を有する。更に、基板における光感応センサの集積は、光バルブの他の回路との接続及び光感応センサを基板において含むに光バルブの基板における十分な空間を有する条件において、及び、制御回路及びそれらのセンサを類似する技術により形成することができる条件において、構成要素のサイズを著しく大きくすることなく又は製造コストを増大させることなく、光バルブの製造プロセスの間に有利に実行される。
【0022】
一特徴に従って、前記光感応センサは、位置付けされるレベルにおいて光バルブの画素の行により受けられる照明強度を測定するようにデザインされている。画像を形成するための光バルブによる光の変調は、通常、3つの原理に従って実行される。第1の原理は、固定期間の間の光の減衰であり、第2の原理は、減衰された光を用いることない期間における変調であり、第3の原理は、2値符号に類似する可変時持続時間のパルスの生成である。照明光の強度を知ることにより、場合によっては、減衰値、パルス持続時間又は生成された符号の調節を最適化すること、及びより高い正確度を有する色を回復することが可能になる。光感応センサは、それらの低周波数ビート現象を感知し、それらの現象を補償するように光バルブの画素の書き込みを有利に補正する映像データ管理手段に対応する信号を送る。光ソースの消耗は、時間の経過に伴い、フリッカ減少を増加させるようにするため、光バルブにおける光感応センサの存在は、光ソースの寿命に亘って高品質の画像を有利に維持することができる。
【0023】
好適には、光バルブの光学バルブの各々の行と同じレベルに位置付けされた少なくとも1つの光感応センサはカラーフィルタと関連付けられている。光感応センサと関連付けられているカラーフィルタは、一方で、受けられる光の色であって、この例においては、カラーフィルタの色と同じ色の正確な識別のために、及び、他方で、光感応センサが位置付けられている同じレベルにある画素の行を照明する前記カラード光の光強度を測定するために、用いられる。光バルブの画素の各々の行と同じレベルの少なくとも3つの光感応センサを有する構成であって、各々の画素は、例えば、RGBの異なるカラーフィルタと関連付けられている、構成は、画素の各々の行により受けられる光帯の三原色RGBを正確に識別するために、有利に用いられることができる。このようにして、時間変化及び3つのRGB信号の各々のレベルは、それらの3つの色に対する映像データを調節し、同期化するために用いられる。
【0024】
好適には、光バルブの画素の各々の行の光感応センサに関連付けられた前記カラーフィルタは、特定の色であって、例えば、赤色、緑色又は青色を識別するための役割を果たす光バルブの画素の各々の行の光感応センサの集合と関連付けられる連続帯を構成する。カラーフィルタは、それ故、例えば、光バルブの画素の各々の行と同じレベルに位置付けられている各々の光感応センサの行に対向している、光バルブを覆っているガラスプレートをエッチングすることにより形成される吸収層の堆積により、構成され、形成されることが容易であるカラード帯を構成する。
【0025】
本発明については、添付図面を参照しながら、非制限的な実施例により以下に提供する詳細説明を読むことにより更に理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
従来技術と比較して本発明により提供される有利点及び差異について開示し、説明を簡単化するために、同じ機能を与える要素に対して、同じ参照番号を用いている。
【0027】
単一バルブの投射システムについて、図1に示している。そのシステムは、例えば、中間的光学装置3であって、通常は、コリメーション装置により異なる色の光帯域において、異なる色の光ビームに光を分離するようにする装置10に光を送る光源を主に有する照明システム1を有する。この点で、特に、Texas Instruments社による欧州特許第1098536号明細書に記載されている螺旋状にフィルタリングされるカラーホイールを使用することにより、又は、例えば、Matthew S.BrennesholtzによるSID Information Display,pp.20−22,07/2002又はPhilips社による米国特許第6097352号明細書に記載されている回転プリズムを用いることにより、例えば、赤色、緑色及び青色を、カラード光をスクロールする単一光バルブにおいて生成させるための異なる層地が存在する。異なる色の光帯域を有する光バルブを照明するための他の種類の装置は、特開昭60−053901号公報(オリンパス株式会社による)に記載されているような発振されているカラードフィルタ帯域に光源から光を送る。
【0028】
照明システム1からの光は、画素アレイを有する透過型又は反射型光バルブ12を照射し、その画素アレイの書き込みは、それらのバルブへの光の照明色に従って、入射光を変調するために光バルブ12の画素の書き込みを制御する映像データを同期するため、又は、映像データ生成器からの映像データと画素照明システムからの光を同期させるための同期手段11に主に関連付けられている映像データ生成器(図示せず)により管理される。透過又は反射後、光バルブ12において、適切に変調された光は、光学装置によりスクリーン5上に投射される。光学装置3及び4並びに光源2は、それ自体、周知であるため、ここでは更に説明を加えない。
【0029】
図2は、本発明の好適な実施形態に従って、画素120の各々の行を有する少なくとも1つの光感応センサ121のレベルから構成される光バルブ12を示している。光バルブ12は、例えば、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)タイプ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)タイプの画素マトリクスアレイ120を有し、それらの画素マトリクスアレイの書き込みは、映像データ生成器及び同期手段(図示せず)により制御される。光感応センサ121は、光バルブ12の基板であって、例えば、LCOSタイプの光バルブの場合にはシリコン基板に組み込まれる。第1実施形態に従って、カラーフィルタを有しない単一の光感応センサ121は、光バルブ12の画素120の各々の行が基板100レベルに組み込まれ、それらのセンサ121全ては、それ故、例えば、センサ121の行を構成する。関連付けられている画素の行と同様に、カラード光帯域により、それらの光感応センサ121の1つが照明されるとき、そのセンサは感知される照明色に対応する信号を送る。照明色が変化する場合、信号は異なる。このような信号の違いは、映像データ生成器において、光バルブ12の画素120の各々の行における照明色を識別するには十分である。この実施形態の変形に従って、光感応センサ121は、受ける照明のより信頼性高い及び高い対称性の測定を有するように、光バルブ12の画素アレイの各々の行のどちらかの側の光バルブの基板に組み込まれる。
【0030】
ここで説明する変形に従って、3つの光感応センサ121´は各々の画素120の行と同じレベルに組み込まれている。他の実施形態に従って、光感応センサ121は、光バルブ12のまさに画素アレイ120における光バルブ12の基板に、又は、対向電極を収容する透明版の基板であって、通常はガラスに組み込まれている。
【0031】
図3を参照するに、次に、回転プリズムタイプの照明システムを有する投射システムの同期手段11について説明する。映像ストリーム及び同期信号SYNCを主に供給する映像ソース13は、一方では、映像データ生成器15に映像データ131を送るための、他方では、カラード帯域形成装置10の機械部分を駆動するための役割を果たす制御器14に連結されている。カラード帯域形成装置10は、例えば、回転プリズムアセンブリ17と、特にその機械部分における回転プリズムの回転のためのロックされたモータ16とを
有する。制御器14は又、特に同期信号SYNCを用いて、光バルブ12の画素120を書き込む前に、生成器15における映像データ131´の生成と、駆動モータ161のロッキング装置による回転プリズムアセンブリの角度位置とを“演繹的に”同期化するための役割を果たす。そのような同期化については、特にPhilipsによる特許文献、即ち、米国特許第5416514号明細書(コラム7及び8)において、先行技術として周知である。
【0032】
本発明に従って、光バルブ12と同じレベルの光感応センサ121は、画素の行と同様に、移動するカラード光帯により照明され、そのカラード光帯は回転プリズムアセンブリ17により光バルブに投射される、光感応センサ121であって、識別のために映像データ生成器15における信号処理装置に感知される照明色に対応する信号18を送る。照明色は、例えば、光感応センサ121のスペクトル応答と、赤色、緑色または青色状態各々に対する光のスペクトル成分を演繹的に識別して、受けた信号レベルを分析することにより、映像データ生成器15において決定される。映像データ生成器15は、照明色が直接識別される、光バルブ12の各々の行の画素120の書き込みをリアルタイムに制御するように、対応する映像データを用いて色に関する情報を処理する。このような“帰納的”同期化は、画素120の各々の行における照明色の直接的な識別からもたらされ、それはリアルタイムに実行され、非常に正確である。
【0033】
本発明に従って光感応センサ121の存在により画素の各々の行における照明色の識別、及びそれに関連する“帰納的”同期化11´は、特に、例えば、照明システム10の機械部分16において生じることとなる不適合又はオフセットを補正するように、上記の“演繹的”タイプの同期化を用いる画像投射システムの場合に、用いられる。
【0034】
変形に従って、本発明に従った“演繹的”同期化手段11´は、光バルブ12において照明色と映像データ131を同期化するためにそれ自体において十分である。演繹的同期化がない場合、安価でロックされていない駆動モータ161が、それ故、有効であり、従って、照明システムを簡単化できる。
【0035】
図4を参照して、ここで、本発明の好適な実施形態に従って、本発明に従った画素120の各々の行と同じレベルの少なくとも1つの光感応センサ121を有するLCOSタイプの光バルブ12の一方側の断面図について説明する。構成要素の論理制御回路が特徴付けられたシリコン基板において、入射放射線から回路を隔離し、反射率を最大化するための誘電体層102及びアルミニウム層101の層を堆積する。2つのアライメント層103間に、ITO(Indium Tin Oxide)の精細な透明な金属トラック105を、基板100に対向する面に体積された、透明板106であって、通常はガラスにより第2アライメント層103の上をシーリングする、まさに液晶104を挿入する厚さの空間を備えている。最終的に、構成要素の外周において、シール材122は、良好なシーリングの堅固さを確実にするように透明板106及び基板100をシーリングする。本発明に従って、画素120の各々の行を有する少なくとも1つの光感応センサ121が、簡単に上で説明した光バルブに対する特定の他の処理及び金属層101を用いることなく、シリコン領域110を基板100上に備えておくことにより光バルブの基板に組み込まれている。変形に従って、基板において備えられているシリコン領域110の集合は、光バルブ12の画素120の有用な行と正確にアライメントされた光感応センサ121に組み込まれている、例えば、垂直方向の帯を構成する。
【0036】
この場合のLCOSタイプの光バルブの基板100はシリコンから成るが、本発明は、更に一般に、アクティブマトリクスを構成する基板における光感応センサ121の集合の組み込みに関する。本発明は、DMDタイプの光バルブに同様に適用される。図4は又、例えば、画素120の各々の行と同じレベルの、シリコンから成る広いスペクトルタイプの光感応センサ121について示している。このタイプのセンサは強い信号を検出するために用いられ、その接合はN形チャンバ中のP形チャンバ又はその逆により構成される。画素アレイ120の外周に位置付けられているセンサは、LCOS12のアクティブ領域、換言すれば、画素アレイ120を照明する有用なビームと同じ特性を提供する光ビームからの光線により照明される必要がある。この光ビームは、反射率を改善する、光バルブであって、即ち、LCOS12、液晶14及び、例えば、層12であるいずれの透明層を覆うガラス106のシートを透過する。
【0037】
トランジスタが光感応センサと関連付けられている実施形態は、照明が変化するときにのみ。映像データ生成器15における信号処理デバイス151に信号を送り、例えば、感知される照明色に関する情報を記憶するための“メモリ”を有するアクティブデバイスから構成される光感応センサに関連付けられている。
【0038】
変形に従って、各々の光感応センサ121は、例えば、赤色、緑色又は青色のカラーフィルタ109と一体化されている。カラーフィルタ109と関連付けられた単一の光感応センサ121が光バルブ12の画素120の各々の行と同じレベルに組み込まれていることに従った簡単な構成は、色の正確な識別、例えば、カラーフィルタ109の正確な識別及び/又は光帯の光強度の測定を提供する。リアルタイムな、単一の照明色の正確な識別は、スクロール速度及び異なる色の光帯の照明領域が既知である又は固定されている場合に、映像データ生成器において、光バルブ12の画素120の各々の行と同じレベルで照明色を決定するには十分である。
【0039】
図5を参照するに、本発明の変形においては、画素120の各々の行と同じレベルの3つの光感応センサ121が基板に組み込まれており、各々のセンサは、異なる色であって、例えば、赤色、緑色及び青色のカラーフィルタ109と関連付けられている。このような構成においては、赤色、緑色及び青色の3つの信号の各々のレベル及び時間的変化が、3つの色に対して映像データを調節し、同期化するために映像データ生成器において用いられる。非飽和画像に対して光ストリームの使用を最大化するためのアプリケーションの特定の場合には、1つ又はそれ以上の3つの照明色、即ち、R、G、Bを二次色、即ち、例えば、黄色、マゼンタ又はシアンと置き換えること、若しくは、一次色と二次色との組み合わせるようにする。光感応センサからの信号を用いて、映像データ生成器は、画像のオリジナルの色を正確に再現するために画素の書き込みを最良に規定する。
【0040】
本発明の変形に従って、光感応センサに関連付けられた同じ色のカラーフィルタの集合は、例えば、垂直方向にカラード帯を構成する。光感応センサに関連付けられたそれらのカラーフィルタ又はカラード帯は、図4を参照するに、本発明に従って、センサに接触した状態で配置される(図4におけるフィルタ109)、又は、それらが関連付けられるセンサに対向している透明板106内又は上に形成されている(図4におけるフィルタ109´)。
【0041】
上記の実施形態の変形に従って、光感応センサ121は、照明される照明のより高信頼性及びより高い対称性を有するように、光バルブ12の画素アレイの各々の行のいずれか一方側に、光バルブの基板に組み込まれている。
【0042】
最終的に、本発明から逸脱することなく、いずれの他のタイプの光感応センサを用いることができる。
【0043】
本発明は又、光バルブの画素の各々の行の照明色の間接的識別に対して、上記のように、用いられる単一の光感応センサのみを光バルブが備えている場合に適用することができる。
【0044】
本発明は又、画素の行の数より少ないが、光バルブが複数の光感応センサを備えている中間の場合に適用することができ、各々の光感応センサは光バルブの画素の行に関連付けられ、それらの光バルブの画素は、それらが関連付けられている画素の行の照明色の直接的識別のためばかりでなく、画素の他の行の照明色の間接的識別のために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】単一バルブの画像投射システムの主要要素を示す図である。
【図2】本発明の好適な実施形態に従って、画素の各々の行に対して少なくとも1つの光感応センサを有する、例えば、LCOSタイプの光バルブを示す図である。
【図3】本発明に従った光バルブにおいて照射光と映像データを同期化するために映像データを同期化するための手段について示す図である。
【図4】本発明の好適な実施形態に従って、LCOSタイプの光バルブ12の一方側において画素の行を含む断面図であって、本発明に従って画素120の各々の行と同じレベルの少なくとも1つの光感応センサを示す図である。
【図5】本発明の好適な実施形態に従って、画素の各々の行に対する3つの光感応センサを有する、例えば、LCOSタイプの光バルブを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブマトリクスを構成する基板(100)において行及び列状に配置された画素マトリクスアレイ(120)を構成する光バルブ(12);
前記行に垂直に、前記光バルブ(12)に対して異なるカラード光の帯を移動させるための照明システム(1);
前記光バルブ(12)の画素(120)の各々の行の照明色を識別するための手段;
前記光バルブ(12)の前記画素の書き込みを制御するための前記画像の映像データ(15)を管理する手段;並びに
前記識別手段により識別される前記行の前記照明光に従って前記光バルブ(12)の画素(120)の各々の行に送られる前記映像データ(15)を同期化する手段(11);
を有する画像投射システムであって、
前記識別手段は、前記光バルブ(12)の前記画素と同じレベルに配置された少なくとも1つの光感応センサから構成される;
ことを特徴とする画像投射システム。
【請求項2】
請求項1に記載の画像投射システムであって:
各々のセンサは、前記光バルブの画素の行と同じレベルに配置されており;
画素の行に比べて少ないセンサを有し;及び
前記センサにより供給されるデータに従って、センサを備えていない画素の行の照射色を推定するための計算手段から構成される;
ことを特徴とする画像投射システム。
【請求項3】
請求項1に記載の画像投射システムであって、前記識別手段は、前記光バルブ(12)の画素(120)の各々の行と同じレベルの少なくとも1つの光感応センサ(121)から構成され、行の各々のセンサはその行の照明光を識別するようにデザインされている、ことを特徴とする画像投射システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれ一項に記載の画像投射システムであって、前記光バルブ(12)の各々の光感応センサ(121)は前記基板(100)に組み込まれている、ことを特徴とする画像投射システム。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の画像投射システムであって、画素(120)の各々の行と同じレベルの各々の光感応センサ(121)は、前記光バルブ(12)の画素(120)の各々の行の照明強度を測定するようにデザインされている、ことを特徴とする画像投射システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれ一項に記載の画像投射システムであって、各々の光感応センサ(121)はカラーフィルタ(109)に関連付けられている、ことを特徴とする画像投射システム。
【請求項7】
請求項6に記載の画像投射システムであって、前記光バルブ(12)の画素(120)の各々の行の前記光感応センサに関連付けられた前記カラーフィルタ(109)は、前記光バルブ(12)の画素(120)の各々の行の光感応センサ(121)の集合に関連付けられた連続帯を構成する、ことを特徴とする画像投射システム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれ一項に記載の画像投射システムであって、前記光バルブ(12)は反射タイプである、ことを特徴とする画像投射システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2007−527018(P2007−527018A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500108(P2006−500108)
【出願日】平成16年1月5日(2004.1.5)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050003
【国際公開番号】WO2004/062294
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】46 Quai A. Le Gallo, F−92100 Boulogne−Billancourt, France
【Fターム(参考)】