説明

照明装置、撮像装置及び携帯端末

【課題】 明るさ及び演色性に優れた照明装置、この照明装置を用いた、遠距離でも明るい画像が得られ、かつ人物撮影にも適したカメラ装置、及びこのカメラ装置を搭載する携帯機器を提供することを目的とする。
【解決手段】 第1のフラッシュ領域と第2のフラッシュ領域とを具備し、前記第1のフラッシュ領域には、近紫外線または青色を発光する発光ダイオードと有機赤色発光蛍光体とを含む第1の発光素子が配置され、前記第2のフラッシュ領域には、近紫外線または青色を発光する発光ダイオードと有機赤色発光蛍光体以外の蛍光体を含む第2の発光素子が配列されていることを特徴とする携帯フラッシュ装置。ただし同一フラッシュ領域における発光ダイオードは同一のものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を利用した照明装置、この照明装置を搭載した撮像装置、及びこの撮像装置を搭載した携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の携帯端末にはカメラが一体的に設けられているものがあるが、そのような携帯端末に設けられたカメラでは、特に被写体が暗い場合、明るい画像を撮影することは困難である。また撮影された画像は、特に赤色の鮮明さに欠けており、人物を撮影した場合には、肌色の写りが悪いことが課題となっている。これらの特性は、携帯端末に搭載されるフラッシュの明るさ、演色性等の性能に大きく依存する。
【0003】
現在の携帯機端末に搭載されているフラッシュは、主として2つの類型がある。一つは、青色発光ダイオードチップに蛍光体を組み合わせた白色発光素子を複数個用いる方式である。この方式では、発光素子の明るさを確保することが可能であるが、演色性が低いため、撮影された画像の鮮明さに欠ける。特に、上述したように、人物の撮影において肌色の写りが悪いという不具合が生じる。
【0004】
一方、R,G,Bそれぞれの発光ダイオードを組み合わせて白色を得る方式がある。この方式の場合、演色性に優れたフラッシュを実現することが出来るものの、特性の異なる複数の発光ダイオードチップを同時に駆動する必要があるため、制御回路が複雑になり、小型軽量化、低コスト化を実現する上で支障がある。
【0005】
それ以外の方式として、紫外発光ダイオードチップと赤色発光ダイオードチップを組み合わせる(例えば、特許文献1参照)など、種々の方式が提案されているが、明るさ及び駆動の問題の両者を満たす方式は未だ提案されていない。
【0006】
また、紫外、近紫外、又は青紫色発光ダイオードチップと蛍光体とを組み合わせて白色LEDを作成し、これを用いてフラッシュを作成する方法がある。しかしながら、これらの波長の光では十分に赤色蛍光体を励起することができないため、やはりスペクトルの赤色成分の強度が弱くなる。
【特許文献1】特開2004−71807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、明るさ及び演色性に優れた照明装置、この照明装置を用いた、遠距離でも明るい画像が得られ、かつ人物撮影にも適した撮像装置、及びこの撮像装置を搭載する携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、第1の発光ダイオードと有機赤色発光蛍光体を含む少なくとも一つの第1の発光素子と、複数の第2の発光ダイオードと有機赤色発光蛍光体以外の蛍光体を含む複数の第2の発光素子とを配列してなり、前記第1の発光ダイオードの個数は、前記第2の発光ダイオードの個数より少なく、前記第1及び第2の発光ダイオードが紫外線から青色可視光にかけての波長領域に属する波長の光を発光する同一種類の発光ダイオードであることを特徴とする照明装置を提供する。
【0009】
即ち、本発明の第1の態様に係る照明装置は、発光ダイオードと有機赤色発光蛍光体を含む発光素子のみを、他の発光素子と分離することにより、発光スペクトルの赤色成分を第1の発光素子に集約させた構成である。
【0010】
このような構成により白色光を得るためには、赤色発光蛍光体を含む発光素子により、他の発光素子2個以上の相当分のスペクトル強度を達成する必要がある。従来の赤色発光蛍光体ではこのような構成は不可能であったが、本発明者らは、先に、所定の分子構造のユーロピウム錯体を用いることにより、同一の駆動条件において、従来の無機赤色発光蛍光体の3倍以上の光度を実現することが出来ることを見出した(H. Iwanaga, et al, Abstracts of Rare Earths’04, FP-77, 193.)。その結果、赤色発光蛍光体を含む発光素子のみを他の発光素子と分離した本発明の構成が可能になった。
【0011】
通常、有機蛍光体は、量子効率に優れているものが多く、その発光強度は大きい。またスペクトルが急峻であるものも多く、明るさや色の鮮明さの点で優れている。しかしながら、有機蛍光体は、一般に熱や光に対する耐久性の点では不利である。赤色発光蛍光体のみを有機蛍光体とし、他の色の蛍光体を無機蛍光体で構成し、紫外、近紫外、青紫色ダイオードチップと組み合わせる方法も考えられるが、このような構成では、有機蛍光体の劣化が無機蛍光体によって促進されてしまう。
【0012】
そこで、本発明では、赤色発光蛍光体を含む発光素子のみを分離し、この発光素子により、耐久性を低下させることなく、従来の3倍以上の光度を実現することが可能となった。
【0013】
なお、本発明に用いる発光ダイオードは、紫外線から青色可視光にかけての波長領域に属する波長の光を発光するものである。上記波長領域に属する波長の光には、紫外線、近紫外線、可視光(紫色、青紫、青色等)が含まれ、波長領域は典型的には、380nm程度以上483nm程度以下である。特に、ユーロピウム等の希土類元素に有機基が配位した希土類錯体を蛍光体として用いる場合は、395nm程度以上420nm程度以下、或いは455nm程度以上480nm程度以下の波長の光を用いることが好ましい。
【0014】
このような波長領域の光は視感反射率が低いため、発光ダイオードの発光波長のずれによる発光素子の発光スペクトルの色ずれが小さいことが特徴である。カメラや携帯フラッシュ用途では、発光スペクトルの色度座標のずれは被写体の色ずれに直結するため、厳重に管理すべき項目である。発光素子の色度座標値に製品バラツキが大きいと、特定の範囲に収まる発光素子を選択して用いる必要が生ずるため、歩留まりが低下し、製品コストが高くなる。
【0015】
本発明の第1の態様に係る照明装置は、発光ダイオードのすべてが紫外線から青色可視光にかけての波長領域に属する波長の光を発光する同一種類の発光ダイオードであるので、発光ダイオードのすべてが共通の電源装置で駆動可能となり、駆動回路が単純化され、フラッシュ部の小型軽量化を実現することが出来、携帯機器への搭載を容易にすることが出来る。
【0016】
本発明の第1の態様に係る照明装置において、有機赤色発光蛍光体以外の蛍光体は、発光ダイオードが青色可視光を発光する場合には、黄色発光蛍光体と緑色発光蛍光体の少なくともいずれかの蛍光体を含み、発光ダイオードが青色可視光以外の光を発光する場合には、黄色発光蛍光体と緑色発光蛍光体の少なくともいずれかの蛍光体、若しくは青色発光蛍光体、又はその両方の蛍光体を含むものとすることが出来る。
【0017】
また、第2の発光素子に含まれる、有機赤色発光蛍光体以外の蛍光体は、無機赤色発光蛍光体を含むものとすることが出来る。更に、第2の発光素子に含まれる、有機赤色発光蛍光体以外の蛍光体は、複数の第2の発光素子にまたがって一体的に形成されて構成することができる。
【0018】
有機赤色発光蛍光体としては、3価のユーロピウム錯体を用いることが出来る。この3価のユーロピウム錯体は、発光色が安定し、強発光が得られるので、望ましい。
【0019】
3価のユーロピウム錯体として、少なくとも一種類のβジケトンと少なくとも一種類のホスフィンオキシドを配位子として有するものを用いることが出来る。このような3価のユーロピウム錯体は、マトリクス樹脂に対する分散性に優れ、紫外線から青色可視光にかけての波長領域に属する波長の光の吸収効率に優れているため、より強発光が得やすいという利点を有する。或いは、異なる2種類のホスフィンオキシドを配位子として有するものを用いることが出来る。このような3価のユーロピウム錯体は、樹脂分散性、光吸収効率に最も優れているため、更に望ましい。
【0020】
ユーロピウム錯体の具体例として、下記式(1)及び(2)により表わされる構造を有するものがある。
【化3】

【0021】
(式中、R〜Rは、炭素数が20以下の直鎖または分枝構造を有するアルキル基又はアルコキシ基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ヘテロ環基、これらの置換体、水素原子、及び重水素原子からなる群から選ばれ、ただし、R〜Rがすべて同一である場合を除く。)
【化4】

【0022】
(R〜Rは、炭素数が20以下の直鎖または分枝構造を有するアルキル基又はアルコキシ基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ヘテロ環基、これらの置換体、水素原子、及び重水素原子からなる群から選ばれ、ただし、R〜R94がすべて同一である場合を除く。nは2以上の整数である。)
3価のユーロピウム錯体の中でも、配位子としてβジケトンとホスフィンオキシドを有する錯体は、紫外線、近紫外線、及び青紫光のみならず、青色光にても効率的に励起することが出来るという特徴を有する。配位子としてβジケトンとホスフィンオキシドを有する3価のユーロピウム錯体の一例として、下記式(3)により表わされる構造を有する化合物を、フッ素系溶媒(バートレルXF、三井デュポンフロロケミカル社製)に分散させて得た発光層の615nm における励起スペクトルを図13に示す。
【化5】

【0023】
図13に示すように、上記ユーロピウム錯体は460〜480nmの青色光にて励起可能であることがわかる。青色光で励起する発光素子の場合、錯体の経時安定性が向上することから、より長寿命の発光素子を得ることができる。
【0024】
本発明の第1の態様に係る照明装置において、第1の発光ダイオードが、第2の発光ダイオードにより囲まれた配置とすることが出来る。或いは、第1の発光ダイオードが、第2の発光ダイオード群の周辺にある配置とすることが出来る。
【0025】
発光素子の上に、集光レンズ又は拡散散乱板の少なくともいずれか一方を設置することが出来る。
【0026】
本発明の第2の態様は、第1の発光ダイオードと有機赤色発光蛍光体を含む少なくとも一つの第1の発光素子と、複数の第2の発光ダイオードと有機赤色発光蛍光体以外の蛍光体を含む複数の第2の発光素子とを配列してなり、前記第1の発光ダイオードの個数は、前記第2の発光ダイオードの個数より少なく、前記第1及び第2の発光ダイオードが紫外線から青色可視光にかけての波長領域に属する波長の光を発光する同一種類の発光ダイオードであることを特徴とする撮像装置のフラッシュ用照明装置を提供する。
【0027】
本発明の第3の態様は、以上の照明装置を、撮像時の照明用として一体的に搭載したことを特徴とする撮像装置を提供する。
【0028】
本発明の第4の態様は、この撮像装置を一体的に搭載したことを特徴とする携帯端末を提供する。
【0029】
本発明の第5の態様は、相互に分離された複数のフラッシュ領域を備えた撮像装置であって、前記複数のフラッシュ領域の一部の領域には第1のダイオードと有機赤色発光蛍光体を含む少なくとも一つの第1の発光素子が配置され、前記複数のフラッシュ領域の他の領域には第2の発光ダイオードと有機赤色発光蛍光体以外の蛍光体を含む複数の第2の発光素子が配置され、前記第1の発光ダイオードの個数は、前記第2の発光ダイオードの個数より少なく、前記第1及び第2の発光ダイオードが紫外線から青色可視光にかけての波長領域に属する波長の光を発光する同一種類の発光ダイオードであることを特徴とする撮像装置を提供する。
【0030】
本発明の第6の態様は、上記撮像装置を一体的に搭載してなることを特徴とする携帯端末を提供する。
【発明の効果】
【0031】
本発明によると、発光ダイオードと蛍光体とを含む発光素子を複数配置した照明装置において、色純度、演色性及び発光効率の優れた有機赤色発光蛍光体に対応する発光ダイオードを他の発光ダイオードとは独立に配置することにより、明るく、かつ演色性に優れた、長寿命の照明装置、特に撮像装置のフラッシュ用照明装置が提供される。また、このような照明装置を、撮像装置や、撮像装置付き携帯端末に搭載することにより、暗い場所でも遠距離撮影が可能で、かつ人物画像を鮮明に撮影することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の最良の形態について説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態に係る照明装置に用いる発光素子の一例を示す。図1に示すように、発光素子1は、プラスチック製のセル内2に収容されたLEDチップ3上に発光層4を配置することにより構成される。LEDチップ3は、紫外線から青色可視光にかけての波長領域に属する波長の光を発光する発光ダイオードである。図1では、1個のLEDチップ3が配置されているが、複数個のLEDチップを配置することも可能である。
【0034】
発光層4は、マトリクス樹脂5中に蛍光体6を分散又は溶解したものである。マトリクス樹脂としては、透明性及び耐久性に優れているフッ素系ポリマー又はポリシロキサンが好ましい。
【0035】
蛍光体は、或るLEDチップにおいては、有機赤色発光蛍光体であり、他のLEDチップにおいては、有機赤色発光蛍光体以外の蛍光体の組合せである。有機赤色発光蛍光体としては、上述したユーロピウム錯体、特に式(1)及び(2)により表わされるユーロピウム錯体を好ましく用いることが出来る。
【0036】
有機赤色発光蛍光体以外の蛍光体としては、有機又は無機の緑色発光蛍光体と有機又は無機の青色発光蛍光体との組合せ、有機又は無機の黄色発光蛍光体と有機又は無機の青色発光蛍光体との組合せ、有機又は無機の緑色発光蛍光体と有機又は無機の黄色発光蛍光体と有機又は無機の青色発光蛍光体との組合せ、無機赤色発光蛍光体と有機又は無機の緑色発光蛍光体と有機又は無機の青色発光蛍光体との組合せ、無機赤色発光蛍光体と有機又は無機の黄色発光蛍光体と有機又は無機の青色発光蛍光体との組合せ、無機赤色発光蛍光体と有機又は無機の緑色発光蛍光体と有機又は無機の黄色発光蛍光体と有機又は無機の青色発光蛍光体との組合せ等を挙げることが出来る。青色可視光を発光する発光ダイオード等を用いる場合には、有機又は無機の青色発光蛍光体を含ませないことも可能である。これらの有機赤色発光蛍光体以外の蛍光体としては、一つの発光素子に複数種類の発光色の蛍光体を含ませた構成を用いても良いし、発光素子毎に異なる種類の発光色の蛍光体を含ませた構成を用いても良いし、これらの構成を組み合わせたものを用いても良い。蛍光体の種類・組み合わせが互いに異なる複数の発光素子を第2の発光素子として用いることも可能である。
【0037】
図2〜図7に、照明装置10を構成する複数個の発光素子1の配置例を示す。いずれの配置の例においても、発光素子1に含まれる各LEDチップは同一種類の発光ダイオードからなり、各発光ダイオードは共通の電源装置で駆動可能とされている。例えば、各発光ダイオードは互いに並列接続されており、同一の電圧を各発光ダイオードに印加可能な構成となっている。各発光ダイオードを互いに直列接続して、同一の電圧を各発光ダイオードに印加可能な構成としても良い。ここで、同一種類の発光ダイオードとは、動作電圧等の規格が同一であるものを指す。
【0038】
図2に示す配置例は、有機赤色発光蛍光体とLEDチップとを含む1つの発光素子(R)、及び有機又は無機の緑色発光蛍光体及び有機又は無機の青色発光蛍光体の組合せとLEDチップとを含む3つの発光素子(G+B)を正方形の頂点の位置に配置した例を示す。
【0039】
図3に示す配置例は、有機赤色発光蛍光体とLEDチップとを含む1つの発光素子(R)、及び無機赤色発光蛍光体、有機又は無機の緑色発光蛍光体及び有機又は無機の青色発光蛍光体の組合せからなる白色発光蛍光体とLEDチップとを含む3つの発光素子(W)を正方形の頂点の位置に配置した例を示す。
【0040】
図4に示す配置例は、有機赤色発光蛍光体とLEDチップとを含む1つの発光素子(R)、及び有機又は無機の緑色発光蛍光体及び有機又は無機の青色発光蛍光体の組合せとLEDチップとを含む3つの発光素子(G+B)を、(R)を三角形の中心に、(G+B)を三方形の頂点の位置に配置した例を示す。
【0041】
図5に示す配置例は、有機赤色発光蛍光体とLEDチップとを含む1つの発光素子(R)、及び有機又は無機の緑色発光蛍光体及び有機又は無機の青色発光蛍光体の組合せとLEDチップとを含む4つの発光素子(G+B)を、(R)を正方形の中心に、(G+B)を正方形の頂点の位置に配置した例を示す。
【0042】
図6に示す配置例は、有機赤色発光蛍光体とLEDチップとを含む2つの発光素子(R)、及び有機又は無機の緑色発光蛍光体及び有機又は無機の青色発光蛍光体の組合せとLEDチップとを含む6つの発光素子(G+B)を、(R)を2つの隣接する正方形の中心に、(G+B)を正方形の頂点の位置(2つは共通する位置)に配置した例を示す。
【0043】
図7に示す配置例は、図4に示す配置例において、有機又は無機の緑色発光蛍光体及び有機又は無機の青色発光蛍光体の組合せとLEDチップとを含む3つの発光素子(G+B)の代わりに、有機又は無機の黄色発光蛍光体及び有機又は無機の青色発光蛍光体の組合せとLEDチップとを含む3つの発光素子(Y+B)を用いた例である。このように、黄色発光蛍光体を用いることにより、視感度が大きい領域の光が多くなるため、より明るい発光が得られるという利点がある。
【0044】
本発明の一実施形態に係る照明装置では、有機赤色発光蛍光体を含む第1の発光素子を、他の蛍光体を含む第2の発光素子とは独立して配置しているが、この第1の発光素子は、図4〜図7に示すように、発光素子群の中心に配置されることが望ましい。その理由は、もし図2及び図3に示すように周辺部に設置した場合には、照明装置に対する被写体の角度によるスペクトルのばらつきが大きくなり、かつそのばらつきが非対称(図2及び図3では右方向にだけ赤色のスペクトル強度が強い等)になるからである。
【0045】
しかし、一方、有機赤色発光蛍光体は、有機蛍光体に比べ耐熱性が劣るため、照明装置に対する被写体の角度によるスペクトルのばらつき等を多少犠牲にしても良い場合は、熱が放出し易いように、図2及び図3に示すように周辺部に設置することが望ましい。
【0046】
なお、耐熱性が劣る有機赤色発光蛍光体を熱から保護するため、有機赤色発光蛍光体を含む発光素子は、放熱特性に優れていることが要求される。発光素子の放熱特性を改善するための方法の1つとして、発光素子の筐体を金属のフィラー又はファイバーを分散させたプラスチックにより構成することにより、筐体の熱分散性を向上させる方法がある。このような方法を用いて、有機赤色発光蛍光体を搭載する筐体の部分のみを上記プラスチックにより構成することも可能である。
【0047】
また、図8に示すように、有機赤色発光蛍光体を含む発光素子(R)と他の発光素子、例えば(Y+B)の設置位置に段差を設けることにより、発光素子(R)を発熱部(他の発光素子等)から遠ざける方法もある。
【0048】
一般に、携帯フラッシュ装置の発光時間は0.4秒程度であるので、熱が発生する時間は非常に短い。従って、発光素子(R)と他の発光素子の発光のタイミングを混色に影響を及ぼさない程度にわずかに(例えば0.1〜0.2秒程度)ずらすことにより、発光素子(R)の温度の上昇を防止することが出来る。
【0049】
図9に、本発明の一実施形態に係る照明装置を適用した、携帯フラッシュ装置の構造の一例を示す。図9において、基板11上には、複数のLEDチップ12a,12b,12cが配置されており、これらのLEDチップ12a,12b,12cは、LEDチップごとに分割された発光層13a,13b,13cにより覆われている。発光層13a,13b,13cは、マトリクス樹脂中に蛍光体を分散することにより構成されている。LEDチップ12a,12b,12cは、Auワイヤ14を介して配線層15に接続されている。なお、発光層の側方には反射板16が設けられている。
【0050】
図9に示す携帯フラッシュ装置において、発光層13a,13b,13cのうち、例えば発光層13bが赤色発光蛍光体を含むものであり、LEDチップ12bとともに赤色発光ダイオード素子(R)を構成する。他の発光層13a,13cは、例えば緑色発光蛍光体及び青色発光蛍光体を含むものであり、LEDチップ12a,12cとともに発光素子(G+B)を構成する。
【0051】
本発明に係る照明装置は、いずれも赤色発光素子を独立して発光させる形態であるが、この時、他の発光素子の発光色と赤色発光素子による発光色とを混色させる必要がある。この場合、各発光素子が十分に小さく、または撮影する被写体が十分に離れている場合、十分に混色が生じる。いかなる条件においても混色を適正に行なわしめるために、発光素子を配置した基板の上部に集光レンズを設置することが出来る。
【0052】
また、混色を適正ならしめる他の手段として、微細な近紫外LEDアレイ上に蛍光体を含有するインクをインクジェット法にて打ち分けることにより、図2〜図7に示す配置の照明装置を実現しても良い。例えば、図9に示す構成の照明装置において、LEDチップ12a,12b,12c上に各発光色の蛍光体を含有するインクをインクジェット法にて打ち分けることにより、発光層13a,13b,13cを形成することが出来る。この場合は、個々の発光素子が十分に小さいために、混色が適正化される。
【0053】
図9に示す構造を有する携帯フラッシュ装置は、携帯電話のカメラ用フラッシュとして適用することが出来る。そのような携帯電話の例を図10〜図12に示す。
【0054】
図10に示す携帯電話では、携帯フラッシュ21がカメラ22の上に設けられている。カメラ22の下方には補助画面23が設けられている。図11に示す携帯電話では、2つの携帯フラッシュ21a,21bがカメラ22の上と下に設けられている。携帯フラッシュ21bの下方には補助画面23が設けられている。図12に示す携帯電話では、2つの携帯フラッシュ21a,21bがカメラ22の上に設けられている。カメラ22の下方には補助画面23が設けられている。
【0055】
なお、上部から見た蛍光層の形状は、円、楕円、多角形が考えられるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
以下、本発明の種々の実施例と比較例を示す。
【0057】
実施例1
上記式(3)により表わされる赤色蛍光体をフッ素系ポリマー(セフラル:商品名、セントラル化学社製)中に分散した発光層4とLEDチップとを含む、図1に示す構造の赤色発光素子(R)を作成した。LEDチップの中心発光波長は395nm(InGaN)であるものを用いた。次に、緑色発光蛍光体(520nm)、青色発光蛍光体(450nm)を上記ポリマーに分散した発光層4と上記LEDチップとを含む発光素子(G+B)を作成した。これらの発光素子を図2に示すように配置し、フラッシュ装置を形成した。
【0058】
なお、緑色発光蛍光体としてはBaMgAl2717:Eu,Mnを、青色発光蛍光体としては(Sr,Ca,Ba)10(POCl:Euを用いた。
【0059】
このフラッシュ装置を一つの発光素子に20mAの電流が流れるように駆動した。0.4秒間駆動した場合の光度は3.5cdであり、平均演色評価数は90と良好であった。また、0.4秒間の発光を30000回繰り返した後の光度は3.2cd、初期値からの色度座標ずれはΔ0.01 以内であった。
【0060】
このフラッシュ装置を用い、暗所で1mの距離からフラッシュ撮影を行なったところ、人物も含めて鮮明な画像が得られた。
【0061】
実施例2
下記式(4)により表わされる赤色蛍光体(n=3)を用いたことを除いて実施例1と同様の発光素子を作成し、これらの発光素子を図1に示すように配置して、フラッシュを形成した。
【0062】
このフラッシュを一つの発光素子に20mAの電流が流れるように駆動した。0.4秒間駆動させた場合の光度は3.4cd であり、平均演色評価数は90と良好であった。また、0.4秒間の発光を30000回繰り返した後の光度は3.3cd、 初期値からの色度座標ずれはΔ0.01以内であった。
【0063】
このフラッシュ装置を用い、暗所で1mの距離からフラッシュ撮影を行なったところ、人物も含めて鮮明な画像が得られた。
【化6】

【0064】
比較例1
実施例1で用いたR、G、Bの蛍光体をフッ素系ポリマー(セフラル:商品名、セントラル化学社製)中に分散した発光層を含む、図1に示す構造の白色発光素子を作成した。次に、この白色発光素子を図2に示すように4個配置して、フラッシュ装置を作成した。
【0065】
このフラッシュ装置について実施例1と同様の試験を行なったところ、0.4秒間駆動させた場合の光度は3.0cdであり、平均演色評価数は90と良好であった。しかし、0.4秒間の発光を30000回繰り返した後の光度は1.9cdまで低下し, 初期値からの色度座標ずれは青色方向にΔ0.1 であった。
【0066】
暗所で1mの距離からフラッシュ撮影を行なったところ、人物も含めて鮮明な画像が得られたが、30000回経過後は画像が暗く、特に人物画像の写りが悪いことが分かった。
【0067】
比較例2
赤色蛍光体として、上記式(3)により表わされる希土類錯体の代わりに、LaS:Eu,Smを用いたことを除いて、実施例1と同様にして発光素子を作成し、図2に示すように配置した。
【0068】
0.4秒間駆動させた場合の光度は2.0cdであり、平均演色評価数は75であった。また、0.4秒間の発光を30000回繰り返した後の光度は1.9cdに低下し, 初期値からの色度座標ずれは青色方向にΔ0.01であった。
【0069】
このフラッシュ装置を用い、暗所で1mの距離からフラッシュ撮影を行なったところ、画像は暗く、特に赤色を鮮明に写すことができなかった。これは、395nm励起では赤色の発光強度が小さく、ホワイトバランスを確保する上で全体の輝度が小さくなることによるものと思われる。また、それでも赤色の強度が弱いため、赤色の撮影に支障がある。
【0070】
実施例3
従来の無機蛍光体の混合物からなる蛍光体を用いた白色LED(W)3個と、実施例1で用いた赤色発光素子(R)を、図3に示す構成で配置し、フラッシュ装置を作成した。なお、従来の無機蛍光体の混合物としては、赤色発光蛍光体としてLaS:Eu,Smを、緑色発光蛍光体としてBaMgAl2717:Eu,Mnを、青色発光蛍光体として(Sr,Ca,Ba)10(POCl:Euを用いた。
【0071】
このフラッシュ装置を0.4秒間駆動させた場合の光度は3.4mcdであり、平均演色評価数は95と良好であった。また、0.4秒間の発光を30000回繰り返した後の光度は3.3cd、初期値からの色度座標ずれはΔ0.01以内であった。
【0072】
このフラッシュ装置を用い、暗所で1mの距離からフラッシュ撮影を行なったところ、人物も含めて鮮明な画像が得られた。
【0073】
実施例4
実施例1で用いた赤色発光素子(R)と緑色発光蛍光体及び青色発光蛍光体を用いた発光素子(G+B)を図4に示す構成に配置し、フラッシュ装置を作成した。このフラッシュ装置を0.4秒間駆動させた場合の光度は3.4cdであり、平均演色評価数は95と良好であった。また、0.4秒間の発光を30000回繰り返した後の光度は3.3cd、初期値からの色度座標ずれはΔ0.01以内であった。
【0074】
暗所で1mの距離からフラッシュ撮影を行なったところ、人物も含めて鮮明な画像が得られた。実施例1と比較して演色性により優れるが、これは赤色発光素子の発光がより効率よく混色した結果と思われる。
【0075】
実施例5
実施例1で用いた赤色発光素子と緑色発光蛍光体及び青色発光蛍光体を用いた発光素子(G+B)を図5に示す構成に配置し、フラッシュ装置を作成した。このフラッシュ装置を0.4秒間駆動させた場合の光度は5.0cdであり、平均演色評価数は90と良好であった。また、0.4秒間の発光を30000回繰り返した後の光度は4.9cd、初期値からの色度座標ずれはΔ0.01以内であった。
【0076】
このフラッシュ装置を用い、暗所で1mの距離からフラッシュ撮影を行なったところ、人物も含めて鮮明な画像が得られた。
【0077】
実施例6
実施例1の赤色発光素子と緑色発光蛍光体及び青色発光蛍光体を用いた発光素子(G+B)を図6に示す構成に配置し、フラッシュ装置を作成した。このフラッシュ装置を0.4秒間駆動させた場合の光度は7.5cdであり、平均演色評価数は90と良好であった。また、0.4秒間の発光を30000回繰り返した後の光度は6.8cd、初期値からの色度座標ずれはΔ0.01以内であった。
【0078】
このフラッシュ装置を用い、暗所で1mの距離からフラッシュ撮影を行なったところ、人物も含めて鮮明な画像が得られた。更に、2mの距離からフラッシュ撮影を行なった場合においても、同様の結果が得られた。
【0079】
実施例7
実施例1における図1に示すように4個の発光素子を配置したLEDアレイの上部に集光レンズを設けて、フラッシュ装置を作成した。このフラッシュ装置を0.4秒間駆動させた場合の光度は3.9cdであり、平均演色評価数は95と良好であった。また、0.4秒間の発光を30000回繰り返した後の光度は3.7cd、初期値からの色度座標ずれはΔ0.01以内であった。
【0080】
このフラッシュ装置を用い、暗所で1mの距離からフラッシュ撮影を行なったところ、人物も含めて鮮明な画像が得られた。実施例1と比較して演色性、光度により優れているが、これは集光レンズの作用により赤色LEDの発光がより効率よく混色した結果と思われる。
【0081】
実施例8
実施例1で用いた赤色発光素子(R)と、黄色発光蛍光体(YAG蛍光体)と青色発光蛍光体を上記ポリマーに分散した発光層を含む発光素子(Y+B)を作成した。これらの発光素子を図7に示すように配置し、フラッシュ装置を作成した。このフラッシュ装置を0.4秒間駆動させた場合の光度は5.5cdであり、平均演色評価数は85と良好であった。また、0.4秒間の発光を30000回繰り返した後の光度は5.2cd、初期値からの色度座標ずれはΔ0.01以内であった。
【0082】
このフラッシュ装置を用い、暗所で1mの距離からフラッシュ撮影を行なったところ、人物も含めて鮮明な画像が得られた。
【0083】
本実施例においては、黄色発光蛍光体を用いているため、視感度が大きい領域の光の割合が多いため、より明るい発光が得られる。
【0084】
実施例9
上記式(3)により表わされる赤色発光蛍光体をフッ素系ポリマー(セフラル:商品名、セントラル化学社製)中に分散した発光層4とLEDチップとを含む、図1に示す構造の赤色発光素子を作成した。LEDチップは、中心発光波長が465nmであるものを用いた。次に、黄色発光蛍光体(中心波長540nm)を上記ポリマーに分散した発光層4と上記LEDチップとを含む発光素子を作成した。これらの発光素子を図14に示すように配置し、フラッシュ装置を形成した。
【0085】
なお、黄色発光蛍光体としてはYAG系蛍光体を用いた。
【0086】
このフラッシュ装置を一つの発光素子に20mAの電流が流れるように駆動した。0.4秒間駆動した場合の光度は5.5cdであり、平均演色評価数は90と良好であった。また、0.4秒間の発光を30000回繰り返した後の光度は5.3cd、初期値からの色度座標ずれはΔ0.01 以内であった。
【0087】
このフラッシュ装置を用い、暗所で3mの距離からフラッシュ撮影を行なったところ、人物も含めて鮮明な画像が得られた。
【0088】
実施例10
実施例9において、発光素子1内に4個の青色LEDチップ24を配置し、黄色発光蛍光体と赤色発光蛍光体を、図15に示すように区分された領域に配置したことを除いて、実施例9と同様のフラッシュ装置を試作した。このフラッシュ装置を、一つのLEDチップに20mAの電流が流れるように駆動した。0.4秒間駆動した場合の光度は5.7cdであり、平均演色評価数は90と良好であった。また、0.4秒間の発光を30000回繰り返した後の光度は5.5cd、初期値からの色度座標ずれはΔ0.01 以内であった。
【0089】
このフラッシュ装置を用い、暗所で3mの距離からフラッシュ撮影を行なったところ、人物も含めて鮮明な画像が得られた。
【0090】
このように蛍光層を複数のチップに跨る連続的な形態にすることにより、若干の光度の向上が実現される。
【0091】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、緑色、黄色、青色発光の有機蛍光体を用いることが可能である。具体的には、例えばポリフルオレン系発光材料、ポリスパイロ系発光材料、ポリフェニレンビニレン系発光材料、ポリパラフェニレン系発光材料、Ladder-ポリパラフェニレン系発光材料、イリジウム錯体、配位子にフッ素原子を有するイリジウム錯体、ペリレン系化合物、クマリン系化合物、Alq3(8-hydroxyquinoline)、Balq、Bebq2、またはAlq3 ,Balq , Bebq2から選ばれるものの可溶性高分子化体等が挙げられる。他に、緑色発光有機蛍光体としてテルビウム錯体(緑)を用いることも可能である。
【0092】
その他、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の一実施形態に係る発光素子を概略的に示す図。
【図2】本発明の他の実施形態に係るフラッシュ装置における発光素子の配置例を示す図。
【図3】本発明の他の実施形態に係るフラッシュ装置における発光素子の配置例を示す図。
【図4】本発明の他の実施形態に係るフラッシュ装置における発光素子の配置例を示す図。
【図5】本発明の他の実施形態に係るフラッシュ装置における発光素子の配置例を示す図。
【図6】本発明の他の実施形態に係るフラッシュ装置における発光素子の配置例を示す図。
【図7】本発明の他の実施形態に係るフラッシュ装置における発光素子の配置例を示す図。
【図8】本発明の他の実施形態に係る放熱性の優れたフラッシュ装置を示す図。
【図9】本発明の他の実施形態に係るフラッシュ装置の構造を示す図。
【図10】本発明の他の実施形態に係る携帯電話を示す図。
【図11】本発明の他の実施形態に係る携帯電話を示す図。
【図12】本発明の他の実施形態に係る携帯電話を示す図。
【図13】配位子としてβジケトンとホスフィンオキシドを有する3価のユーロピウム錯体を用いて得た発光層の615nm における励起スペクトルを示す図。
【図14】本発明の他の実施形態に係るフラッシュ装置における発光素子の配置例を示す図。
【図15】本発明の他の実施形態に係るフラッシュ装置における発光素子の配置例を示す図。
【符号の説明】
【0094】
1・・・発光素子、2・・・セル内、3・・・LEDチップ、4・・・発光層、5・・・マトリクス樹脂、6・・・蛍光体、10・・・照明装置、11・・・基板、12a,12b,12c・・・LEDチップ、13a,13b,13c・・・発光層、14・・・Auワイヤ、15・・・配線層、16・・・反射板、21,21a,21b・・・携帯フラッシュ、22・・・カメラ、23・・・補助画面、24・・・青色のLEDチップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の発光ダイオードと有機赤色発光蛍光体を含む少なくとも一つの第1の発光素子と、第2の発光ダイオードと有機赤色発光蛍光体以外の蛍光体を含む複数の第2の発光素子とを配列してなり、前記第1の発光ダイオードの個数は、前記第2の発光ダイオードの個数より少なく、前記第1及び第2の発光ダイオードが紫外線から青色可視光にかけての波長領域に属する波長の光を発光する同一種類の発光ダイオードであることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記第1及び第2の発光ダイオードが共通の電源装置で駆動可能であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記有機赤色発光蛍光体以外の蛍光体は、前記発光ダイオードが青色可視光を発光する場合には、黄色発光蛍光体と緑色発光蛍光体の少なくともいずれかの蛍光体を含み、前記発光ダイオードが青色可視光以外の光を発光する場合には、黄色発光蛍光体と緑色発光蛍光体の少なくともいずれかの蛍光体、若しくは青色発光蛍光体、又はその両方の蛍光体を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記有機赤色発光蛍光体以外の蛍光体は、無機赤色発光蛍光体を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の照明装置。
【請求項5】
前記有機赤色発光蛍光体以外の蛍光体は、複数の第2の発光素子にまたがって一体的に形成されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の照明装置。
【請求項6】
前記有機赤色発光蛍光体が、3価のユーロピウム錯体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の照明装置。
【請求項7】
前記ユーロピウム錯体が、少なくとも一種類のβジケトンと少なくとも一種類のホスフィンオキシドを配位子として有することを特徴とする請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
前記ユーロピウム錯体が、異なる2種類のホスフィンオキシドを配位子として有することを特徴とする請求項6又は7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記ユーロピウム錯体が、下記式(1)により表わされる構造を有することを特徴とする請求項6に記載の照明装置。
【化1】

(式中、R〜Rは、炭素数が20以下の直鎖または分枝構造を有するアルキル基又はアルコキシ基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ヘテロ環基、これらの置換体、水素原子、及び重水素原子からなる群から選ばれ、ただし、R〜Rがすべて同一である場合を除く。)
【請求項10】
前記ユーロピウム錯体が、下記式(2)により表わされる構造を有することを特徴とする請求項6に記載の照明装置。
【化2】

(R〜Rは、炭素数が20以下の直鎖または分枝構造を有するアルキル基又はアルコキシ基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ヘテロ環基、これらの置換体、水素原子、及び重水素原子からなる群から選ばれ、ただし、R〜Rがすべて同一である場合を除く。nは2以上の整数である。)
【請求項11】
前記第1の発光ダイオードが、前記第2の発光ダイオードに囲まれて配置されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の照明装置。
【請求項12】
前記第1の発光ダイオードが、発光ダイオード群の周辺に配置されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の照明装置。
【請求項13】
前記発光ダイオードの配列の上に集光レンズ又は拡散散乱板の少なくともいずれか一方を設置したことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の照明装置。
【請求項14】
第1の発光ダイオードと有機赤色発光蛍光体を含む少なくとも一つの第1の発光素子と、複数の第2の発光ダイオードと有機赤色発光蛍光体以外の蛍光体を含む複数の第2の発光素子とを配列してなり、前記第1の発光ダイオードの個数は、前記第2の発光ダイオードの個数より少なく、前記第1及び第2の発光ダイオードが紫外線から青色可視光にかけての波長領域に属する波長の光を発光する同一種類の発光ダイオードであることを特徴とする撮像装置のフラッシュ用照明装置。
【請求項15】
前記第1及び第2の発光ダイオードが共通の電源装置で駆動可能であることを特徴とする請求項14に記載の撮像装置のフラッシュ用照明装置。
【請求項16】
請求項1〜13のいずれかに記載の照明装置を、撮像時の照明用として一体的に搭載したことを特徴とする撮像装置。
【請求項17】
請求項16に記載の撮像装置を一体的に搭載したことを特徴とする携帯端末。
【請求項18】
相互に分離された複数のフラッシュ領域を備えた撮像装置であって、前記複数のフラッシュ領域の一部の領域には第1のダイオードと有機赤色発光蛍光体を含む少なくとも一つの第1の発光素子が配置され、前記複数のフラッシュ領域の他の領域には第2の発光ダイオードと有機赤色発光蛍光体以外の蛍光体を含む複数の第2の発光素子が配置され、前記第1の発光ダイオードの個数は、前記第2の発光ダイオードの個数より少なく、前記第1及び第2の発光ダイオードが紫外線から青色可視光にかけての波長領域に属する波長の光を発光する同一種類の発光ダイオードであることを特徴とする撮像装置。
【請求項19】
前記第1及び第2の発光ダイオードが共通の電源装置で駆動可能であることを特徴とする請求項18に記載の撮像装置。
【請求項20】
請求項18又は19に記載の撮像装置を一体的に搭載してなることを特徴とする携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−196777(P2006−196777A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−8223(P2005−8223)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】