照明装置及び投影型画像表示装置
【課題】3つの光源からの光を効率よく合成して出射できるとともに、小型化と光利用効率の向上に寄与できる照明装置を提供する。
【解決手段】照明装置は、青色の光を発する第一の光源1と、赤色の光を発する第二の光源2は同一のマウント3上に実装され、一つのパッケージ11として構成されている。緑色の光を発する第三の光源8第一の光源1および第二の光源2とは略直交する方向に光を出射するように配置されている。青色LD1からの青色光4および、赤色LD2からの赤色光5は第一のカップリング光学系6によってカップリングされ、光路合成素子7の第一の面に導かれる。緑色光源8からの緑色光9は第二のカップリング光学系10によってカップリングされ、光路合成素子7の第二の面に導かれる。
【解決手段】照明装置は、青色の光を発する第一の光源1と、赤色の光を発する第二の光源2は同一のマウント3上に実装され、一つのパッケージ11として構成されている。緑色の光を発する第三の光源8第一の光源1および第二の光源2とは略直交する方向に光を出射するように配置されている。青色LD1からの青色光4および、赤色LD2からの赤色光5は第一のカップリング光学系6によってカップリングされ、光路合成素子7の第一の面に導かれる。緑色光源8からの緑色光9は第二のカップリング光学系10によってカップリングされ、光路合成素子7の第二の面に導かれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の光源からの光を合成して同一方向へ照射する照明装置、該照明装置を備えたレーザ走査型プロジェクタ等の投影型画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LEDやレーザなどの固体光源を用いた投影型画像表示装置(以下「プロジェクタ」と呼ぶ)の開発が盛んであり、小型で携帯可能なプロジェクタとして期待されている。
特に、3原色のレーザとMEMS(微小電気機械システム)ミラーを組み合わせた走査型の小型プロジェクタは構成部品が少なく、超小型化が可能な点から多くの開発が進められている(例えば特許文献1、2参照)。
このような3原色のレーザとMEMSミラーとから成る走査型プロジェクタの従来例を図26に示す。図26に示したプロジェクタでは、それぞれR(赤)、G(緑)、B(青)のレーザ光を放射する半導体レーザ1−R、1−G、1−Bと、半導体レーザ1−R、1−G、1−Bからのレーザ光を集光するレンズ2−R、2−G、2−Bと、それぞれ赤色光、緑色光、青色光のみを反射し、その他の光を透過させるダイクロイックミラー3−R、3−G、3−Bと、傾斜角が可変なミラーを備えたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー装置501と、MEMSミラー装置501のミラーを水平方向及び垂直方向に回動させると共に、入力ビデオ信号に応じて半導体レーザ1−R、1−G、1−Bから光強度変調されたレーザ光を放射させる制御回路502とから構成される。
【0003】
制御回路502は、ミラー制御手段と変調手段を有しており、これに同期してレーザ光強度を変調せしめることによって、スクリーン503上で画像を形成する。
このような色合成の手法においては、各レーザに対して集光レンズが必要であり、かつそれぞれのレーザ光の光路を合成するため複数のダイクロイックミラーが必要となる。このため、部品点数が増え、また小型・軽量化を阻害する要因となっている。
複数のダイクロイックミラーを、1枚の回折素子に置き換え、これによって3つの光源からの光の光路合成を行う方法が特許文献3、4に提案されている。
これらの手法では、図26において複数枚のダイクロイックミラーを用いて光路を合成しているところを1枚の回折素子によって達成しており、これによって部品点数の削減、小型化を達成している。
特許文献5には、さらにこれに、複数のレーザ光源を1つのマウント上に配置し同一パッケージとすることで、部品点数削減、小型・軽量化が可能な構成が提案されている。
特許文献5では、同一マウント上に配置された赤色、青色、緑色の光を出射する3つのコヒーレント光源と、光源から出射される光を1枚の回折素子で同軸ビームになるよう回折して、該各光を合波する照明装置が示されている。
また、別の例として特許文献6には、同一マウント上に配置された2つの光源からの光の光路を合成する、楔形プリズムおよび、それを用いた光ピックアップ装置が示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−189573号公報
【特許文献2】特開2001−154607号公報
【特許文献3】特開2007−121899号公報
【特許文献4】特開2007−333957号公報
【特許文献5】WO2005/073798 A1
【特許文献6】特開2002−207110号公報
【非特許文献1】日経マイクロデバイス 11月号 p.85−89
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように回折素子を用いることによって、少ない部品点数で複数の光源からの光の光路を合成することが可能である。しかしながら、回折素子を用いることには下記のような問題点が存在する。
一般的に回折効率ηは波長によって変動するため、複数の波長に対して効率良く機能する回折素子を作製することは容易では無い。例えば、表面レリーフ型の回折光学素子は単一波長で設計されるものであり、図27に示すように、設計波長と異なる波長の光に対して用いると回折効率ηが低下し光の利用効率が下がる、あるいは結像光学系ではフレアとなり画像品質を劣化させる、といった問題があった。
プロジェクタに使用する照明装置としては、青、緑、赤の3色を合成して出射可能なものが必要であり、このとき各色の波長はそれぞれおよそ0.4〜0.48um、0.5〜0.55um、0.6〜0.7umの範囲に含まれる波長である。
波長差が大きいため、青、緑、赤の各波長において、ηとして100%に近い値を得る、青、緑、赤で異なる次数の回折光のみを生じさせる、などの構成をとることは困難である。
このため、このような回折素子を照明装置に用いた際には、光利用効率の低下とともに、光路が合成されていない不要な光が生じフレアとなる問題がある。
【0006】
あるいは、特許文献5において述べられているように、体積ホログラムを用いることによって所望の波長のみを回折させることが考えられる。しかしながら、体積ホログラムは回折効率の高い許容波長範囲が非常に狭いため、光源に波長誤差が生じたときに回折効率が低下し、光利用効率の低下、不要なフレア光の発生の原因となる。
特に半導体レーザ光源は固体によって波長にばらつきが大きく、さらに温度変化など使用時の環境変化によっても波長変動が生じるため大きな問題となる。
このように、回折素子を光路合成に用いることは、光利用効率の低下やフレアの原因となるため実際の使用には困難を伴っていた。
【0007】
特許文献6に記載の構成においては、同一マウント上に配置された2つの光源からの光を効率良く光路合成することが可能であるが、レーザ走査型プロジェクタに対して用いることが可能な照明装置では、ピックアップ装置に対して光源の有する波長が異なり、3つの光源(赤、緑、青の3原色)からの光を効率よく合成して出射する必要がある。
赤色および青色に関しては半導体レーザ光源が存在するが、緑色光源には半導体レーザのようなチップ型の小型光源が存在しない。このため、緑色光源を他の光源と近接して配置することが困難であり、照明装置としてピックアップ装置に使用されるものとは別の構成を取る必要がある。
【0008】
本発明は、3つの光源からの光を効率よく合成して出射できるとともに、小型化と光利用効率の向上に寄与できる照明装置、該照明装置を備えた投影型画像表示装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、第一の波長の光を出射する第一の光源と、前記第一の光源の近傍に配置され、第二の波長の光を前記第一の光源と略同一方向に出射する第二の光源と、第三の波長の光を前記第一の光源および前記第二の光源とは異なる方向に出射するように配置された第三の光源と、前記第一の光源および前記第二の光源からの光をカップリングする第一のカップリング光学系と、前記第三の光源からの光をカップリングする第二のカップリング光学系と、前記第一の光源からの光および前記第二の光源からの光および前記第三の光源からの光の光路を一致させるための光路合成素子と、を備え、前記光路合成素子は第一の面と、該第一の面に非平行な第二の面とを有し、前記第一の面は前記第一の光源からの光を反射し且つ前記第二の光源および前記第三の光源からの光を透過する特性を有し、前記第二の面は前記第二の光源からの光を反射し且つ前記第三の光源からの光を透過する特性を有していることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の照明装置において、前記第三の光源の出射方向は、前記第一の光源および前記第二の光源の出射方向に対して略直交する方向であることを特徴とする。
請求項3記載の発明では、請求項1又は2記載の照明装置において、前記第三の光源が緑色の色光を発する光源であり、前記第一の光源が赤色かつ前記第二の光源が青色、もしくは前記第一の光源が青色かつ前記第二の光源が赤色の色光を発する光源であることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明では、請求項1〜3のいずれかに記載の照明装置において、前記第一の光源と前記第二の光源は同一マウント上に配置されていることを特徴とする。
請求項5記載の発明では、請求項1〜4のいずれかに記載の照明装置において、前記光路合成素子は、楔形平板によって構成されており、前記楔形平板の片面が前記第一の面、もう一方の面が前記第二の面となっていることを特徴とする。
請求項6記載の発明では、請求項5記載の照明装置において、前記光路合成素子は、その楔形の頂点側が前記光源側を向くように配置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明では、請求項5又は6記載の照明装置において、前記第二の光源は、前記楔形平板を透過することに起因する非点収差を低減せしめる方向に第一のカップリング光学系の中心光軸から距離d1離れた位置に発光点がくるように配置されていることを特徴とする。
請求項8記載の発明では、請求項5〜7のいずれかに記載の照明装置において、前記第三の光源は、前記楔型平板を透過することに起因する非点収差を低減せしめる方向に前記第二のカップリング光学系の中心光軸から距離d2離れた位置に発光点がくるように配置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項9記載の発明では、請求項5〜8のいずれかに記載の照明装置において、前記第二の光源は、楕円状強度分布の光を出射する光源であり、前記楔形平板は前記楕円状強度分布の光の強度分布を円状強度分布に近づけるように配置されていることを特徴とする。
請求項10記載の発明では、請求項1〜9のいずれかに記載の照明装置において、前記光路合成素子は、複数の光学部品を貼り合わせて構成されていることを特徴とする。
請求項11記載の発明では、請求項10記載の照明装置において、前記第三の光源からの光が前記光路合成素子へ入射する面と、前記第三の光源からの光が前記光路合成素子から出射する面とが平行に設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項12記載の発明では、請求項10又は11記載の照明装置において、前記光路合成素子は、前記第一の面を含む第一の光学素子と、前記第二の面を含む第二の光学素子とから成り、前記第一の面と前記第二の面の相対的な角度を調整する角度調整機構が設けられていることを特徴とする。
請求項13記載の発明では、請求項10〜12のいずれかに記載の照明装置において、前記光路合成素子が屈折率分散の異なる複数の材料から成っていることを特徴とする。
【0015】
請求項14記載の発明では、第一の波長の光を出射する第一の光源と、前記第一の光源と同一マウント上に配置された第二の波長の光を出射する第二の光源と、前記第一の光源および前記第二の光源と同一のマウント上に配置された第三の波長の光を出射する第三の光源と、前記第一の光源および前記第二の光源および前記第三の光源からの光をカップリングするカップリング光学系と、前記第一の光源からの光および前記第二の光源からの光および前記第三の光源からの光の光路を一致させるための光路合成素子と、を備え、前記光路合成素子は角度の異なる3つの面を有しており、第一の面は前記第一の光源からの光を反射し且つ前記第二および前記第三の光源からの光を透過する特性を有し、第二の面は前記第二の光源からの光を反射し且つ前記第三の光源からの光を透過する特性を有し、第三の面は前記第三の光源からの光を反射する特性を有していることを特徴とする。
【0016】
請求項15記載の発明では、第一の波長の光を出射する第一の光源と、前記第一の光源と同一マウント上に配置された第二の波長の光を出射する第二の光源と、前記第一の光源および前記第二の光源と同一のマウント上に配置された第三の波長の光を出射する第三の光源と、前記第一の光源および前記第二の光源および前記第三の光源からの光をカップリングするカップリング光学系と、前記第一の光源からの光および前記第二の光源からの光および前記第三の光源からの光の光路を一致させるための光路合成素子と、を備え、前記第二の光源と前記第三の光源は異なる偏光方向の光を発し、前記光路合成素子は互いに角度の異なる第一の面および第二の面を有し、前記第一の面は前記第一の光源からの光を反射し且つ前記第二の光源および前記第三の光源からの光を透過する特性を有し、前記第二の面は前記第二の光源からの光および前記第三の光源からの光を反射する特性を有し、前記光路合成素子の少なくとも一部が複屈折性材料によって構成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項16記載の発明では、請求項1〜15のうちのいずれかに記載の照明装置と、該照明装置から出射される光を2次元に走査可能な走査手段と、前記第一の光源、前記第二の光源、前記第三の光源の出力を前記走査手段の動きに同期して制御する制御手段を有していることを特徴とする。
請求項17記載の発明では、請求項16記載の投影型画像表示装置において、前記走査手段の光進行方向下流に投射光学系を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第一の光源と第二の光源を同一マウントに配置し、さらにカップリング光学系を共通化することで、小型・軽量化を達成できる。また、第一、第二、第三の光源からの光を単一の光路合成素子によって光路合成を行うため、さらに小型・軽量化が可能となる。また、光路合成素子は角度の異なる2つのダイクロイック面を利用しており、回折素子を利用した方式に対して、光利用効率に優れる。
緑色光源を別位置に配置したレイアウトにより照明装置のコンパクト化、ひいては投影型画像表示装置の小型化を実現できる。
光路合成素子として楔形平板を用いることにより、部品点数が少なく、小型・軽量な照明装置を実現できる。
また、出射光の非点収差がより少ない照明装置とすることができる。
出射光の断面形状がより円形に近い照明装置とすることが可能となる。
出射光の光路の一致精度を高めることができる。
出射光の収差が少ない照明装置とすることが出来る。
第二の光源が出射する光の波長に変動が生じたときであっても光路の変化が少ない照明装置とすることができる。
光路合成素子を複屈折材料から成る光学素子とすることで、部品点数が少なく軽量な照明装置とすることができる。
投影光学系を備えることにより、例えばスクリーン上の画像歪みを軽減した走査型プロジェクタを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
まず、図1乃至図11に基づいて本発明の照明装置についての第1の実施形態を説明する。
本実施形態に係る照明装置は、第一の波長λ1の光を発する第一の光源1と、第二の波長λ2の光を発する第二の光源2とを有し、これらの光源は同一のマウント3上に近傍配置状態で実装され、一つのパッケージ11として構成されている。第一の光源1と第二の光源2の光出射方向は略同一である。
第一の光源1としては青色波長領域の光を発する半導体レーザ(以下「青色LD」と呼ぶ)を、第二の光源2としては赤色波長領域の光を発する半導体レーザ(以下「赤色LD」と呼ぶ)を用いることができる。
青色波長領域、赤色波長領域はそれぞれおよそ、400nm〜480nm、600nm〜700nmの波長範囲を指しており、青色LDとしては例えば波長λ1が445nmの光を発するLDを、赤色LDとしては例えば波長λ2が630nmの光を発するLDを用いることができる。以下の説明ではこの波長を用いる。ここでは、青色LD1と赤色LD2が別のチップで同一のマウント3上に実装したものを示しているが、青色LD1と赤色LD2が一つのチップ上に形成されているものであっても良い。
【0020】
青色LD1からの青色光4および、赤色LD2からの赤色光5は同一のカップリング光学系である第一のカップリング光学系(以下「第一CL」と呼ぶ)6によってカップリングされ、光路合成素子7に導かれる。
図1中には各色光の光路が模式的に示されている。また、本発明の照明装置においては、第三の波長λ3の光を発する第三の光源8が、パッケージ11とは別の位置に配置されている。
具体的に説明すると、第三の光源8は、第一の光源1および第二の光源2とは異なる方向(ここでは略直交する方向)に光を出射するように配置されている。
第三の光源8としては緑色波長領域500nm〜550nmの波長範囲にある光を発する緑色光源を用いることができる。緑色光源として半導体レーザを使用することが最も良いが、現状では安定的に使用可能な緑色半導体レーザは存在しないため、固体レーザや、赤外半導体レーザの倍波を用いることが良い。緑色光源の具体的な構成に関しては後述するが、ここでは例として波長λ3が532nmの光源を用いることとする。
【0021】
特許文献6に示すような光ピックアップ装置では、光源は波長順(ここでは青<緑<赤)に配置するのが一般的であるが、本実施形態では、緑色波長領域の光を発する第三の光源8を、第一の光源1および第二の光源2と同一のパッケージとして光路合成素子7の同一面に入射させず、異なる位置に配置して光路合成素子7の別な面(後述する第二の面)から入射させるようにしている。
すなわち、半導体レーザのようなチップ型の小型光源が存在しない緑色光源を第一の光源1および第二の光源2と同一のパッケージに組み込むと第一の光源1および第二の光源2のパッケージのコンパクト化が却って阻害される。
本実施形態では、3つの光源からの光を効率よく合成する必要があるこの種の照明装置において、第一の光源1および第二の光源2のパッケージのコンパクト化を維持しつつ、図26で示した従来方式に対して全体構成のコンパクト化を実現できる配置形態としたのである。この種の照明装置におけるコンパクト化(容積縮小化)は、レーザ走査型プロジェクタの小型化に及ぼす影響が極めて大きい。上記従来方式に対するコンパクト化の実際的な優位度については後述する。
【0022】
緑色光源8からの緑色光9は第二のカップリング光学系(以下「第二CL」と呼ぶ)10によってカップリングされ、光路合成素子7に導かれる。光路合成素子7に入射した赤色光4、青色光5、緑色光9は同一光路に合成され出射される。
このようにして、赤、青、緑3つの波長領域の光を同一光路で出射する照明装置が達成される。
以上の説明では、第一の光源として青色波長領域、第二の光源として赤色波長領域、第三の光源として緑色波長領域のものを用いたが、異なる波長領域のものであっても良いし、異なる組み合わせとなっていても良い。赤、青、緑の3色を合成して出射する光源は走査型プロジェクタの光源として用いることができるため、もっとも有用である。
また、前述したように緑色光源としては半導体レーザを用いることが困難であるため、他の光源と同一マウント上に配置することが容易ではない。このため、第一の光源が赤または青、第二の光源が青または赤、第三の光源が緑となっている構成がより製造が容易である。
また、第一のカップリング光学系および第二のカップリング光学系として、図1中では平凸レンズを示しているが、他の形状でも良くまた複数の光学素子から成るものであっても良い。特に、第一のカップリング光学系としては赤色光と青色光に対する色収差を低減させるために複数枚のレンズによって構成されていることが好ましい。もしくは、一般的な屈折レンズに加え回折構造を備えたものを用いても良い。
【0023】
光路合成素子の機能に関して図2を用いて詳細に説明する。光路合成素子7は、青色領域の光を反射し、赤色および緑色領域の光を透過する第一の面21と、赤色領域の光を反射し、緑色領域の光を透過する第二の面22から成る平板であり、第一の面と第二の面は相対的に角度α傾いた楔形平板となっている。
光路合成素子7は、その楔形の頂点側が光源側を向くように配置されている。ここで、「光源側を向く」とは、光源に対向するという意味ではなく、光源に近づく方向に向いているという意味である。
青色光4および赤色光5は第一の面より入射し、それぞれ第一の面および第二の面によって反射され、出射される。また、緑色光9は第二の面より入射し、第二の面および第一の面を透過して出射される。第一の面および第二の面は波長によって選択的に反射または透過する面となっており、このような面は光学多層膜によって達成することが可能でありダイクロイックミラーと呼ばれる。
【0024】
図3に第一の面および第二の面の入射角45度s偏光成分に対する分光反射率を示した。図中では第一の面は実線で、第二の面は点線で示されている。第一の面は青色光の波長λ1(445nm)に対して反射率が高く、赤色光の波長λ2(630nm)および緑色光の波長λ3(532nm)では反射率の低いダイクロイックミラーとなっており、第二の面は赤色光の波長λ2(630nm)の光に対して反射率が高く緑色光の波長λ3(532nm)で反射率の低いダイクロイックミラーとなっている。
第一の面の具体的な膜構成を図4(a)に、第二の面の具体的な膜構成を図4(b)に示した。ここでは多層膜を構成する材料として低屈折材料である二酸化珪素(SiO2)と高屈折材料である五酸化タンタル(Ta2O5)を示したが他にも、フッ化マグネシウムや酸化チタンなど一般的に光学多層膜に用いられる材料が使用できる。図4において、「基板」は楔形平板を意味する。
このように、ダイクロイックミラーでは所望の波長範囲において反射率を100%近くに、異なる波長範囲で透過率を100%に近い値とすることが可能であり、光路合成素子として回折素子を用いる方法に対して光利用効率の点で優れている。
【0025】
青色LD1と赤色LD2の発光点の違いによって、第一CL6によってカップリングされた青色光4および赤色光5は光路が一致していない。例えば、青色LD1と赤色LD2の発光点が110umずれており、第一CL6の焦点距離fが2.1mmのとき、第一CL6から出射される、青色光および赤色光は約3度光軸がずれる。
光路合成素子7では、第二の面が第一の面に対して角度αだけ傾いていることによりこの光軸の角度ずれを補正することが可能となっている。これに関して数式を用いて説明する。
【0026】
[1.青色光に関して]
光路合成素子7への青色光入射角度をθB1とすると、青色光の出射角は光路合成素子7の第一の面21の法線に対して、θB1となる。
[2.赤色光に関して]
光路合成素子7を構成する材料の赤色光に対する屈折率をnRとすると、図2中に表示されるθR1、θR2、θR3、θR4、θR5には下記の関係式が成り立つ。
sinθR2=1/nR・sinθR1 (式1)
θR3=θR2+α (式2)
θR4=θR3+α (式3)
sinθR5=nR・sinθR4 (式4)
赤色光の出射角は光路合成素子の第一の面21の法線に対してθR5であるので、θR5がθB1と一致するとき赤色光と青色光の光軸が平行に出射され好ましい。よって、本発明の最も良い実施例としては、光路合成素子に、θR5がθB1と等しくなるよう第一の面と第二の面のなす角αが設けられている。
たとえば、光路合成素子7の屈折率が1.5であり、θB1が45度のとき、αは約0.82度となる。
[3.緑色光に関して]
光路合成素子7を構成する材料の緑色光に対する屈折率をnGとすると、図2中に表示されるθG1、θG2、θG3、θG4には下記の関係式が成り立つ。
sinθG2=1/nG・sinθG1 (式5)
θG3=θG2+α (式6)
sinθG4=nG・sinθG3 (式7)
【0027】
緑色光の出射角は光路合成素子7の第一の面21の法線に対してθG4であるので、θG4がθB1およびθR5と一致するとき緑色光が青色光および赤色光の光軸が平行に出射され、良い照明装置とすることができる。よって、本発明の実施例としては、θG4=θB1=θR5を満たすような入射角θG1で緑色光が光路合成素子の第二の面に入射するように、緑色光源が配置されている。
たとえば、光路合成素子7の屈折率が1.5であり、θB1が45度、αが0.82度のとき、入射角θG1が約43.5度になるように緑色光源を配置すれば良い。
さらに、赤色光、青色光、緑色光の光路が一致して出射される照明装置とするためには、光路合成素子の第一の面から出射される各色光の中心光軸が一致するように、第一CLと光路合成素子の位置および、緑色レーザと光路合成素子の位置が配置されていることが最も好ましい。
【0028】
以下に、青色光4と赤色光5の出射光の中心光軸が略一致する構成の実施例を示す。
図5中に記載されるように、出射時に中心光軸が一致するための入射光軸の位置ずれ量をx、赤色光が入射する位置での光路合成素子7の厚みをdとする。光路合成素子の第一の面と第二の面のなす角αが小さく、赤色光5と青色光4の光路合成素子7への入射角度がほぼ等しいとき、赤色光5が光路合成素子7へ入射する位置での位置ずれ量xは下式のように近似できる。
x=2dtanθR3・cosθB (式8)
【0029】
たとえば、光路合成素子7の屈折率が1.5、αは0.82度、厚みdが0.5mmで、θB1が45度のとき、位置ずれ量xは約0.365mmとなる。
図6を用いて、青色LD1、赤色LD2、第一CL6、光路合成素子7の配置例を説明する。青色LD1と赤色LD2の配置間隔をaとし、第一CL6の焦点距離をfとしたとき、前述した光路合成素子7へ入射するときの入射光軸位置ずれ量xを満たすような、第一CL6と光路合成素子7の間隔Lは下式で表される。
L=f+f・x/a (式9)
青色LD1と赤色LD2の配置間隔aに関しては、近すぎると放熱の効率が低下し、離しすぎると第一CLのカップリング効率が低下する、カップリング時に収差が発生するなどの不具合があるため、全体設計から適度な配置間隔を考慮する必要がある。
例として、配置間隔aを0.1mm、第一CLの焦点距離fを2mmとしたとき、第一CL6と光路合成素子7の間隔Lは9.3mmとなる。
以上のようにして、青色光4と赤色光5の出射光の中心光軸が略一致するような構成を達成することができる。
【0030】
以上のようにして、光路合成素子によって青色光、赤色光、緑色光の光路が合成される。
前述の光路合成素子では、第一の面および第二の面として光学多層膜によるダイクロイックミラーとしたが、どちらか一方は偏光分離面とすることも可能である。偏光分離面は入射面に対してs偏光成分とp偏光成分を反射と透過で分けるものなどがあり、光学多層膜や金属の微細格子構造であるワイヤーグリッド素子などで達成することができる。例えば、図2の実施例において、赤色光と緑色光の偏光が異なっており、第二の面が偏光分離面となっていても、図2中に示した光路を取るような構成とすることが可能である。
【0031】
また、図7に示すように、光路合成素子7として図1で示したものとは逆の傾きを有する楔形平板を用いることも考えられる。これは、すなわち式1〜式7において、αが負の値となることに相当する。このときにおいても、図2の説明において述べたときと同様に光路合成を行うことが可能である。
たとえば、光路合成素子7の屈折率が1.5であり、θB1が45度、αが−0.79度のとき、入射角θG1が約46.5度になるように緑色光源を配置すれば良い。
図7に示した構成において、図5および図6で説明したよう構成と同様に、青色光4と赤色光5の出射光の中心光軸が略一致する構成とすることが可能である。これに関して図8を用いて説明する。図6と同様に、青色LD1と赤色LD2の配置間隔をaとし、第一CL6の焦点距離をf、第一CL6と光路合成素子7の間隔Lとする。
図5で示したものと同様に光路合成素子の第一の面と第二の面のなす角αが小さく、赤色光5と青色光4の光路合成素子7への入射角度がほぼ等しいとき、赤色光5が光路合成素子7へ入射する位置での位置ずれ量xは式8で示される。
たとえば、光路合成素子7の屈折率が1.5、αは−0.79度、厚みdが0.5mmで、θB1が45度のとき、位置ずれ量xは約0.39mmとなる。
式8で示した入射光軸位置ずれ量xを満たすような、第一CL6と光路合成素子7の間隔Lは下式で表される。
L=f−f・x/a (式10)
例として、配置間隔aを0.5mm、第一CL6の焦点距離fを10mmとしたとき、第一CL6と光路合成素子7の間隔Lは2.2mmとなる。
以上のようにして、青色光4と赤色光5の出射光の中心光軸が略一致するような構成を達成することができる。
【0032】
図8で示した構成では、式10から明らかなように、青色LD1と赤色LD2の配置間隔aを小さくとることができない。また、焦点距離fが小さいときLが非常に小さい値をなり、光路合成素子7と第一CL6を配置することが困難になる。
光源装置の小型化および高光利用効率化のためには焦点距離fが小さい第一CLでカップリングすることが望ましく、この点から図8で示した構成よりも、図6で示した構成の方が焦点距離fの短い第一CLを用いたとしても配置が容易であり、より望ましい構成である。
【0033】
[非点収差に関して]
図1において、光路合成素子7に入射する赤色光5が収束光または発散光であるときには楔形平板を透過することによる非点収差が発生する。また、第一CLの光軸に対して、赤色LDが光軸外に配置されているときにも非点収差が発生する。
よって、本発明の照明装置の構成としては、第二の光源が、楔形平板を透過することに起因する非点収差を低減せしめる方向に第一のコリメート光学系(第一CL)の中心光軸から距離d1離れた位置に発光点が来るように配置されていることがより好ましい。その実施例を図9に示す。第一CL6は1枚の平凸レンズであり、光路合成素子7は図2で示した楔形平板であり、光路合成素子7に入射する赤色光5が発散光であるとき、第一CL6の光軸23に対して図面中上方に発光点がくるよう赤色LDが配置されていれば良い。
また、図1において光路合成素子7に入射する緑色光9が収束光または発散光であるときも、赤色光のときと同様に楔形平板を透過することによって非点収差が発生する。よって、前述した赤色光のときと同様に、楔形平板を透過することに起因する非点収差を低減せしめる方向に前記第二のコリメート光学系(第二CL)の中心光軸から距離d2離れた位置に発光点がくるように配置されていることがより好ましい。
その実施例を図10に示す。第二CL10は1枚の平凸レンズであり、光路合成素子7は図2で示した楔形平板であり、光路合成素子7に入射する緑色光9が発散光であるとき、第二CL10の光軸24に対して図面中左方に発光点がくるよう緑色光源が配置されていれば良い。
【0034】
半導体レーザは一般的に楕円型のビームを出力し、構成・用途によっては楕円形状であることが照明装置の性能を劣化させる可能性がある。このため、通常は楕円形のビームを円形に整形するためのビーム整形光学系を加える必要がある。
本発明の照明装置では、第二の光源として楕円形のビームを出射する半導体レーザを用いたときに、ビーム整形光学系を加えること無くビームの形状を改善することが可能である。これに関して図11を用いて説明する。
図11では赤色光5が紙面に平行な方向にビーム径w1を有して、光路合成素子7に入射する。光路合成素子7から出射されるとき、紙面に平行な方向のビーム径はw2に変化する。このときの、ビーム径比w2/w1は下式で表されることとなる。
w2/w1=cos(θR2)/cos(θR1)×cos(θR5)/cos(θR4) (式11)
θR1、θR2、θR4、θR5は、図2中で示したものであり、式1、式2、式3、式4を満たしている。一方、紙面に垂直な方向のビーム径は光路合成素子7を通過することによる変化は無い。よって、楔形平板から成る光路合成素子7によってビーム整形することが可能であり、w2/w1>1となるような光路合成素子では、楕円状赤色光4の短軸方向が紙面に平行になるように赤色光源が配置されているようにすれば良い。
また、w2/w1<1となるような光路合成素子では、楕円状赤色光4の長軸方向が紙面に平行になるように赤色光源が配置されているようにすれば良い。例えば、θR5が45度、αが0.82度、nが1.5のときw2/w1は約0.97となるため、赤色光源は楕円状出射光の長軸方向が紙面に平行となるように配置すれば良い。
【0035】
図12乃至図14に基づいて第2の実施形態を説明する。なお、上記実施形態と同一部分は同一符号で示し、特に必要がない限り既にした構成上および機能上の説明は省略して要部のみ説明する(以下の他の実施形態において同じ)。
光路合成素子は2つ以上の光学素子から形成されていてもよい。光路合成素子40として、2枚のプリズムから構成される実施例を図12に示す。図12では第一のプリズム41と第二のプリズム42が接着層43を介して接着されている。このとき、第一のプリズムの接着面が第一の面44に、第二のプリズムの接着面が第二の面45になっており、第一の面44と第二の面45とは所定の角度αだけ傾けて接着されている。
図1で示した構成を持つ照明装置において、青色LD1と赤色LD2の間隔を精密に調整することは困難であり、位置調整誤差が生じる可能性がある。図1で示した実施例のように光路合成素子7として楔形平板を用いたとき、第一の面と第二の面は固定されているため、前述の位置調整誤差がそのまま合成後の光路誤差となってしまう。
これに対して、図12で示したような2枚のプリズムを用いたとき、第一の面と第二の面が別の光学素子となっているため組み付け時に調整すること可能である。よって、赤色LDと青色LDの配置に位置誤差があっても、光路合成素子組み付け時の調整によって光路の誤差を低減することが可能となる。
【0036】
このためには、図13に示すように、2枚のプリズム間に第一の面と第二の面の相対的な角度を調整するために角度調整機構が存在していることがより望ましい。図13では第一のプリズム41と第二のプリズム42との間にスペーサ48が設けられており、スペーサ48の位置を図中矢印方向に動かすことによって、第一の面44と第二の面45の相対的な角度差を調整することができる。
また、第一の光源と第二の光源と第一のCLとの相対的な位置関係に応じて、スペーサ50の位置を調整した後に接着などの方法で固定し、第一の面と第二の面の相対的な角度を固定して使用する方法を取ることも可能である。
また、図12で示した光路合成素子においては、第三の光源からの光が入射する第一の入射面46と第三の光源からの緑色光9が出射する出射面47とが平行に設けられていることがより好ましい。
第一の入射面46と出射面47とが平行に設けられていることによって、緑色光9が光路合成素子40を透過する際に発生する非点収差の量を最小に抑えることが可能となる。
図12において、赤色光または青色光のどちらかに対して、光路合成素子40を透過するときに発生する収差の量が最小となるように、第二の入射面(第二の面45)が設けられていることがより好ましい。
【0037】
さらに、2つ以上の光学素子から形成されている光路合成素子の実施例を図14に示す。光路合成素子50は第一の楔形平板51と第二の楔形平板52とを貼り合わせて構成されている。
また、第一の楔形平板51と第二の楔形平板52は、屈折率および屈折率波長分散が異なる材料によって形成されている。
一般的に半導体レーザは温度などの使用環境に対して波長が変動する現象を有しており、図1に示した照明装置では、赤色LDの発振波長に変動があった際に光路合成素子を構成する材料の屈折率波長分散の影響を受け光路がずれる可能性がある。これに対して、光路合成素子として図14で示すような屈折率波長分散の異なる複数の材料から形成されているものを用いることによって、赤色LDの発振波長に変動があった際に光路のずれを低減せしめることが可能となる。
【0038】
図15乃至図17に基づいて第3の実施形態を説明する。
第一の波長λ1の光を発する第一の光源1と、第二の波長λ2の光を発する第二の光源2と第三の波長λ3の光を発する第三の光源60は同一のマウント61上に形成され、一つのパッケージ62として構成されている。
第一、第二、第三の光源としては、図1における説明で述べたように、青色LD(波長445nm)、赤色LD(波長630nm)、緑色光源(波長532nm)を用いることができる。このとき、緑色光源(第三の光源60)としては緑色LDを用いることが最も好ましいが、現状では安定的に使用可能な緑色LDは存在しないため図16に示すように、緑色光源8と立ち上げミラー63とから構成されていて、青色LD1および赤色LD2と同一のマウント64上に形成されているものであっても良い。
青色LD1からの青色光4および、赤色LD2からの赤色光5および、緑色光源60からの緑色光65(図1における緑色光9に相当)は同一のカップリングレンズ(以下CL)66によってカップリングされ、光路合成素子67に導かれる。
【0039】
CL66によってカップリングされた青色光4、赤色光5、緑色光65は、それぞれの光源の位置ずれによって光軸がずれる。例えば、青色LD1と赤色LD2の発光点が110umずれており、赤色LD2と緑色光源60の発光点がさらに110umずれており、CLの焦点距離fが2.1mmのとき、CL66から出射される青色光4と赤色光5は約3度光軸がずれ、赤色光5と緑色光65はさらに約3度光軸がずれる。
光軸のずれた各色光は光路合成素子67によって光路合成される。これに関して図17を用いて説明する。
光路合成素子67は、第一の楔形平板68と第二の楔形平板69とから成る。光路合成素子は青色領域の光を反射し、赤色および緑色領域の光を透過する第一の面71と、赤色領域の光を反射し、緑色領域の光を透過する第二の面72と、緑色領域の光を反射する第三の面73を有している。第一の面71と第二の面72は相対的に角度α傾いた第一の楔形平板68を形成しており、第二の面72と第三の面73は相対的に角度β傾いた第二の楔形平板69を形成している。
第一の面、第二の面は図2における説明と同様にダイクロイックミラーを用いることができる。第三の面はより単純に金属などによって構成される反射面を用いれば良い。
【0040】
各色光の光路に関して述べる。
[1.青色光に関して]
光路合成素子67への青色光入射角度をθB1とすると、青色光の出射角は光路合成素子の第一の面71の法線に対して、θB1となる。
[2.赤色光に関して]
第一の楔形プリズム68の屈折率をnとすると、赤色光の光路は式1、式2、式3、式4を用いて示すことができる。赤色光の出射角は光路合成素子の第一の面71の法線に対して、θR4となる。
[3.緑色光に関して]
第二の楔形プリズム69の緑色光に対する屈折率をn’Gとすると、図17中のθG1、θG2、θG3、θG4、θG5、θG6、θG7、θG8、θG9の関係は下のように表される。
sinθG2=1/nG・sinθG1 (式12)
θG3=θG2+α (式13)
sinθG4=nG/n’G・sinθG3 (式14)
θG5=θG4+β (式15)
θG6=θG5+β (式16)
sinθG7=n’G/nG・sinθG6 (式17)
θG8=θG7+α (式18)
sinθG9=nG・sinθG8 (式19)
【0041】
緑色光の出射角は光路合成素子の第一の面71の法線に対して、θG9となる。
θB1とθR4とθG9が略同一となるように、第一の楔形プリズム68の角度αと、第二の楔形プリズム69の角度βとが設定されているとき、光路合成素子から出射される光の出射角が等しくなるため最も良い構成となる。たとえば、第一の楔形プリズム68および第二の楔形プリズム69の屈折率が1.5であり、θB1が45度のとき、αは約0.82度、βは約0.84度となる。
図15〜図17で示した実施例では、第一の光源、第二の光源、第三の光源からの光の光軸が同一平面内になっているが、本発明の照明装置では同一平面内に限られるわけではない。光軸が同一平面内ではなく、第一の面および第二の面および第三の面の法線が同一平面内となっていない構成を取ることも可能である。
【0042】
図18に第4の実施形態を示す。構成としては図15に示したものとほぼ等しく、光路合成素子67の代わりに、複屈折光路合成素子80が配置されている。複屈折光路合成素子80は入射光の偏光方向によって屈折率が異なる複屈折素子によって構成されている。また、赤色LD2と緑色光源60とは出射光の偏光方向が直交するように形成されている。複屈折素子は入射光の偏光方向によって屈折角が異なるため、赤色光5と緑色光9の偏光方向が異なっているとき、お互いの光軸角度誤差を低減せしめることが可能である。
【0043】
図19及び図20に第5の実施形態(投影型画像表示装置)を示す。
図1、図7、図15、図18に示した照明装置を用いて走査型プロジェクタを構成することが可能である。例として図1で示した照明装置を用いた走査型プロジェクタの実施例を示す。図19に示した走査型プロジェクタでは、図1で示した照明装置に加え、照明装置から出射される光を2次元的に走査する走査手段85、および走査手段85と照明装置の光源を制御する制御装置86が備わっている。
制御装置86は、走査手段85の動きと同期して所望の画像が加えられるように光源に変調を加える。走査手段85は図中矢印方向に反射面を振ることができるようになっており、さらに紙面奥行き方向にも反射面を振ることができる。
これによって、スクリーン87上には2次元的な投影像が形成されることとなる。
走査手段としては、ガルバノミラー、ポリゴンミラー、半導体プロセス技術を用いて製造されるMEMSミラーなどを用いることができる。特にMEMSミラーは非常に小型で低消費電力であるため、小型プロジェクタに用いるには最も適している。
また、図中では1枚で2軸可動なものを示したが、1軸に可動なミラーを2つ用いても良い。
【0044】
図20に走査手段として用いることが可能なMEMSミラーの構成を示す。MEMSミラー90は、反射面を持つ微小ミラー91がトーションバー92、93で支持された構造を有する。微小ミラー91は、トーションバー92が捻れることで軸94を略中心とした共振往復運動を行う。また、トーションバー93が捻れることで軸95を略中心とした共振往復運動を行う。この両軸94、95を略中心とする往復運動によって、微小ミラー91の偏向面の法線方向が2次元的に変化する。
このため、微小ミラー91に入射するビームの反射方向が変化し、これにより、ビームを2次元方向に走査することができる。
このような、プロジェクタでは走査手段の動きに同期して光源の強度を変調するため、人間の目に自然な画像を表示するには高速変調に耐えうる光源を用いる必要がある。
【0045】
高速変調可能な緑色光源の構成例を図21に示す。緑色の光源として、半導体レーザ励起の固体レーザを用いる。波長808nmの励起用の半導体レーザ101からの光は集光レンズ102によってNd:YAG結晶103に集光され、Nd:YAG結晶103を励起する。Nd:YAG結晶103は波長1064nmの光を発し、この光は非線形光学結晶104によって緑色波長領域にある532nmの倍波に変換される。
また、光出射部には倍波に変換されなかった光や、励起用半導体レーザの光を遮断するフィルター105が設けられている。以上の光学素子は、安定性を上げるためひとつのパッケージ106に収められており、ひとつの半導体レーザ励起の固体レーザ107を構成している。
さらに、固体レーザからの出力はレンズ108によって音響光学素子109に導かれる。音響光学素子109は入力信号に応じて、入射レーザ光を高速に変調することが可能である。半導体レーザ励起の固体レーザは通常高速変調することができないが、このように音響光学素子などの変調素子を別にもうけることによって本発明のプロジェクタ用光源として用いることが可能となる。
変調素子としては、他に電気光学素子を用いることもできる。
【0046】
別の緑色光源構成例を図22に示す。図22に示される緑色光源は、波長1060nmの光を発する半導体レーザ201と、半導体レーザの出力波長を安定させるための波長安定化素子202と、集光レンズ203と、波長1060nmの光を倍波に変換する非線形光学結晶204から構成されている。
波長安定化素子202としては体積ホログラムを用いることができる。また、非線形光学結晶204としては、より倍波への変換効率を高めるため周期分極反転したニオブ酸リチウム(PPLN)を用いることが望ましい。また、出射光には波長1060nmの光を遮断するフィルター205が設けられており、全ての素子はひとつのパッケージ206に収められている。
このような構成では、半導体レーザ101を直接高速に変調することで、緑色波長の出力を変調することも可能であるため、部品点数が少なくて済みより好ましい。このようなレーザの構成に関しては既に非特許文献1に詳しく述べられている。
【0047】
本発明のプロジェクタと、図26で示した一般的なレーザ走査型プロジェクタとの大きさを比較したものを図23および図24に示す。図23は図19で示したプロジェクタのレイアウトを示しており、図24は図26で示したプロジェクタのレイアウトを示している。
図23において、図22で説明した非線形光学結晶204は、導波路を有している。
本発明のプロジェクタは、青色光と赤色光の光源を同一マウント上に実装し、且つ、緑色光の光源をその出射方向が青色光と赤色光の光源の出射方向と略直交するように配置して1つの光路合成素子7の2面を用いて光路を合成するレイアウトとしたので、色毎に光源とダイクロイックミラーを一対一で対応させて並設する従来方式に比べ、その小型化(容積縮小化)は一目瞭然である。
図23の構成では光学系の容量がおよそ5ccであり、図24の構成はおよそ7ccである。これらより明らかなように、本発明のプロジェクタでは従来のものより小型化および部品点数削減が達成されており、約30%小型なものとなっている。
【0048】
図19では、走査手段とスクリーンの間に光学系が存在しないが、投影光学系を有するプロジェクタとなっていても良い(第6の実施形態)。投影光学系を用いることによって、スクリーン上の画像歪みを軽減することが可能となる。
図25に実施例を示す。図19で示したプロジェクタに加え、画像歪みを軽減する投影光学系300を備えている。
画像歪みはレーザの発光タイミングを工夫することにより改善できるが、画像範囲が小さくなったり、画像が暗くなったりする不具合があるが、光学的に補正することによりそのうような不具合が発生しない。
MEMSミラーなどの走査手段は振れ角を大きくとることが難しいため走査角度が限られるが、図25で示すように、投影光学系によって走査角度を拡大することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施形態における照明装置の概要平面図である。
【図2】光路合成素子の機能を説明するための図である。
【図3】色別の分光反射率を示すグラフである。
【図4】光路合成素子の面の膜構成を示すデータ図である。
【図5】光路合成素子において、青色光と赤色光の出射光中心光軸が略一致する構成を説明するための図である。
【図6】光路合成素子がその頂点側が光源側を向くように配置された構成における青色光と赤色光の出射光中心光軸が略一致する条件を説明するための図である。
【図7】光路合成素子がその頂点側が光源から離れる方向を向くように配置された照明装置の概要平面図である。
【図8】光路合成素子がその頂点側が光源から離れる方向を向くように配置された構成における青色光と赤色光の出射光中心光軸が略一致する条件を説明するための図である。
【図9】非点収差を低減するための第二の光源と第一のカップリングレンズとの位置関係を示す図である。
【図10】非点収差を低減するための第三の光源の光源と第二のカップリングレンズとの位置関係を示す図である。
【図11】光路合成素子において、ビームの形状を改善するための条件を説明するための図である。
【図12】第2の実施形態における光路合成素子の概要構成図である。
【図13】角度調整機構を有する光路合成素子の概要構成図である。
【図14】第2の実施形態における光路合成素子の別例を示す図である。
【図15】第3の実施形態における照明装置の概要平面図である。
【図16】光源の実装構成を示す図である。
【図17】光路合成素子による光路合成機能を示す図である。
【図18】第4の実施形態における照明装置の概要平面図である。
【図19】第5の実施形態における投影型画像表示装置の概要構成図である。
【図20】走査手段としてのMEMSミラーの構成を示す斜視図である。
【図21】高速変調可能な緑色光源の構成例を示す図である。
【図22】高速変調可能な緑色光源の別の構成例を示す図である。
【図23】本発明の照明装置を備えたプロジェクタの斜視図である。
【図24】従来の照明装置を備えたプロジェクタの斜視図である。
【図25】第6の実施形態における投影型画像表示装置の概要構成図である。
【図26】従来の走査型プロジェクタの概要構成図である。
【図27】波長と回折効率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0050】
1 第一の光源
2 第二の光源
4 第一の波長の光
5 第二の波長の光
6 第一のカップリング光学系
7 光路合成素子
8 第三の光源
9 第三の波長の光
10 第二のカップリング光学系
21 第一の面
22 第二の面
85 走査手段
86 制御手段
90 走査手段としてのMEMSミラー
300 投射光学系
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の光源からの光を合成して同一方向へ照射する照明装置、該照明装置を備えたレーザ走査型プロジェクタ等の投影型画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LEDやレーザなどの固体光源を用いた投影型画像表示装置(以下「プロジェクタ」と呼ぶ)の開発が盛んであり、小型で携帯可能なプロジェクタとして期待されている。
特に、3原色のレーザとMEMS(微小電気機械システム)ミラーを組み合わせた走査型の小型プロジェクタは構成部品が少なく、超小型化が可能な点から多くの開発が進められている(例えば特許文献1、2参照)。
このような3原色のレーザとMEMSミラーとから成る走査型プロジェクタの従来例を図26に示す。図26に示したプロジェクタでは、それぞれR(赤)、G(緑)、B(青)のレーザ光を放射する半導体レーザ1−R、1−G、1−Bと、半導体レーザ1−R、1−G、1−Bからのレーザ光を集光するレンズ2−R、2−G、2−Bと、それぞれ赤色光、緑色光、青色光のみを反射し、その他の光を透過させるダイクロイックミラー3−R、3−G、3−Bと、傾斜角が可変なミラーを備えたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー装置501と、MEMSミラー装置501のミラーを水平方向及び垂直方向に回動させると共に、入力ビデオ信号に応じて半導体レーザ1−R、1−G、1−Bから光強度変調されたレーザ光を放射させる制御回路502とから構成される。
【0003】
制御回路502は、ミラー制御手段と変調手段を有しており、これに同期してレーザ光強度を変調せしめることによって、スクリーン503上で画像を形成する。
このような色合成の手法においては、各レーザに対して集光レンズが必要であり、かつそれぞれのレーザ光の光路を合成するため複数のダイクロイックミラーが必要となる。このため、部品点数が増え、また小型・軽量化を阻害する要因となっている。
複数のダイクロイックミラーを、1枚の回折素子に置き換え、これによって3つの光源からの光の光路合成を行う方法が特許文献3、4に提案されている。
これらの手法では、図26において複数枚のダイクロイックミラーを用いて光路を合成しているところを1枚の回折素子によって達成しており、これによって部品点数の削減、小型化を達成している。
特許文献5には、さらにこれに、複数のレーザ光源を1つのマウント上に配置し同一パッケージとすることで、部品点数削減、小型・軽量化が可能な構成が提案されている。
特許文献5では、同一マウント上に配置された赤色、青色、緑色の光を出射する3つのコヒーレント光源と、光源から出射される光を1枚の回折素子で同軸ビームになるよう回折して、該各光を合波する照明装置が示されている。
また、別の例として特許文献6には、同一マウント上に配置された2つの光源からの光の光路を合成する、楔形プリズムおよび、それを用いた光ピックアップ装置が示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−189573号公報
【特許文献2】特開2001−154607号公報
【特許文献3】特開2007−121899号公報
【特許文献4】特開2007−333957号公報
【特許文献5】WO2005/073798 A1
【特許文献6】特開2002−207110号公報
【非特許文献1】日経マイクロデバイス 11月号 p.85−89
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように回折素子を用いることによって、少ない部品点数で複数の光源からの光の光路を合成することが可能である。しかしながら、回折素子を用いることには下記のような問題点が存在する。
一般的に回折効率ηは波長によって変動するため、複数の波長に対して効率良く機能する回折素子を作製することは容易では無い。例えば、表面レリーフ型の回折光学素子は単一波長で設計されるものであり、図27に示すように、設計波長と異なる波長の光に対して用いると回折効率ηが低下し光の利用効率が下がる、あるいは結像光学系ではフレアとなり画像品質を劣化させる、といった問題があった。
プロジェクタに使用する照明装置としては、青、緑、赤の3色を合成して出射可能なものが必要であり、このとき各色の波長はそれぞれおよそ0.4〜0.48um、0.5〜0.55um、0.6〜0.7umの範囲に含まれる波長である。
波長差が大きいため、青、緑、赤の各波長において、ηとして100%に近い値を得る、青、緑、赤で異なる次数の回折光のみを生じさせる、などの構成をとることは困難である。
このため、このような回折素子を照明装置に用いた際には、光利用効率の低下とともに、光路が合成されていない不要な光が生じフレアとなる問題がある。
【0006】
あるいは、特許文献5において述べられているように、体積ホログラムを用いることによって所望の波長のみを回折させることが考えられる。しかしながら、体積ホログラムは回折効率の高い許容波長範囲が非常に狭いため、光源に波長誤差が生じたときに回折効率が低下し、光利用効率の低下、不要なフレア光の発生の原因となる。
特に半導体レーザ光源は固体によって波長にばらつきが大きく、さらに温度変化など使用時の環境変化によっても波長変動が生じるため大きな問題となる。
このように、回折素子を光路合成に用いることは、光利用効率の低下やフレアの原因となるため実際の使用には困難を伴っていた。
【0007】
特許文献6に記載の構成においては、同一マウント上に配置された2つの光源からの光を効率良く光路合成することが可能であるが、レーザ走査型プロジェクタに対して用いることが可能な照明装置では、ピックアップ装置に対して光源の有する波長が異なり、3つの光源(赤、緑、青の3原色)からの光を効率よく合成して出射する必要がある。
赤色および青色に関しては半導体レーザ光源が存在するが、緑色光源には半導体レーザのようなチップ型の小型光源が存在しない。このため、緑色光源を他の光源と近接して配置することが困難であり、照明装置としてピックアップ装置に使用されるものとは別の構成を取る必要がある。
【0008】
本発明は、3つの光源からの光を効率よく合成して出射できるとともに、小型化と光利用効率の向上に寄与できる照明装置、該照明装置を備えた投影型画像表示装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、第一の波長の光を出射する第一の光源と、前記第一の光源の近傍に配置され、第二の波長の光を前記第一の光源と略同一方向に出射する第二の光源と、第三の波長の光を前記第一の光源および前記第二の光源とは異なる方向に出射するように配置された第三の光源と、前記第一の光源および前記第二の光源からの光をカップリングする第一のカップリング光学系と、前記第三の光源からの光をカップリングする第二のカップリング光学系と、前記第一の光源からの光および前記第二の光源からの光および前記第三の光源からの光の光路を一致させるための光路合成素子と、を備え、前記光路合成素子は第一の面と、該第一の面に非平行な第二の面とを有し、前記第一の面は前記第一の光源からの光を反射し且つ前記第二の光源および前記第三の光源からの光を透過する特性を有し、前記第二の面は前記第二の光源からの光を反射し且つ前記第三の光源からの光を透過する特性を有していることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の照明装置において、前記第三の光源の出射方向は、前記第一の光源および前記第二の光源の出射方向に対して略直交する方向であることを特徴とする。
請求項3記載の発明では、請求項1又は2記載の照明装置において、前記第三の光源が緑色の色光を発する光源であり、前記第一の光源が赤色かつ前記第二の光源が青色、もしくは前記第一の光源が青色かつ前記第二の光源が赤色の色光を発する光源であることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明では、請求項1〜3のいずれかに記載の照明装置において、前記第一の光源と前記第二の光源は同一マウント上に配置されていることを特徴とする。
請求項5記載の発明では、請求項1〜4のいずれかに記載の照明装置において、前記光路合成素子は、楔形平板によって構成されており、前記楔形平板の片面が前記第一の面、もう一方の面が前記第二の面となっていることを特徴とする。
請求項6記載の発明では、請求項5記載の照明装置において、前記光路合成素子は、その楔形の頂点側が前記光源側を向くように配置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明では、請求項5又は6記載の照明装置において、前記第二の光源は、前記楔形平板を透過することに起因する非点収差を低減せしめる方向に第一のカップリング光学系の中心光軸から距離d1離れた位置に発光点がくるように配置されていることを特徴とする。
請求項8記載の発明では、請求項5〜7のいずれかに記載の照明装置において、前記第三の光源は、前記楔型平板を透過することに起因する非点収差を低減せしめる方向に前記第二のカップリング光学系の中心光軸から距離d2離れた位置に発光点がくるように配置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項9記載の発明では、請求項5〜8のいずれかに記載の照明装置において、前記第二の光源は、楕円状強度分布の光を出射する光源であり、前記楔形平板は前記楕円状強度分布の光の強度分布を円状強度分布に近づけるように配置されていることを特徴とする。
請求項10記載の発明では、請求項1〜9のいずれかに記載の照明装置において、前記光路合成素子は、複数の光学部品を貼り合わせて構成されていることを特徴とする。
請求項11記載の発明では、請求項10記載の照明装置において、前記第三の光源からの光が前記光路合成素子へ入射する面と、前記第三の光源からの光が前記光路合成素子から出射する面とが平行に設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項12記載の発明では、請求項10又は11記載の照明装置において、前記光路合成素子は、前記第一の面を含む第一の光学素子と、前記第二の面を含む第二の光学素子とから成り、前記第一の面と前記第二の面の相対的な角度を調整する角度調整機構が設けられていることを特徴とする。
請求項13記載の発明では、請求項10〜12のいずれかに記載の照明装置において、前記光路合成素子が屈折率分散の異なる複数の材料から成っていることを特徴とする。
【0015】
請求項14記載の発明では、第一の波長の光を出射する第一の光源と、前記第一の光源と同一マウント上に配置された第二の波長の光を出射する第二の光源と、前記第一の光源および前記第二の光源と同一のマウント上に配置された第三の波長の光を出射する第三の光源と、前記第一の光源および前記第二の光源および前記第三の光源からの光をカップリングするカップリング光学系と、前記第一の光源からの光および前記第二の光源からの光および前記第三の光源からの光の光路を一致させるための光路合成素子と、を備え、前記光路合成素子は角度の異なる3つの面を有しており、第一の面は前記第一の光源からの光を反射し且つ前記第二および前記第三の光源からの光を透過する特性を有し、第二の面は前記第二の光源からの光を反射し且つ前記第三の光源からの光を透過する特性を有し、第三の面は前記第三の光源からの光を反射する特性を有していることを特徴とする。
【0016】
請求項15記載の発明では、第一の波長の光を出射する第一の光源と、前記第一の光源と同一マウント上に配置された第二の波長の光を出射する第二の光源と、前記第一の光源および前記第二の光源と同一のマウント上に配置された第三の波長の光を出射する第三の光源と、前記第一の光源および前記第二の光源および前記第三の光源からの光をカップリングするカップリング光学系と、前記第一の光源からの光および前記第二の光源からの光および前記第三の光源からの光の光路を一致させるための光路合成素子と、を備え、前記第二の光源と前記第三の光源は異なる偏光方向の光を発し、前記光路合成素子は互いに角度の異なる第一の面および第二の面を有し、前記第一の面は前記第一の光源からの光を反射し且つ前記第二の光源および前記第三の光源からの光を透過する特性を有し、前記第二の面は前記第二の光源からの光および前記第三の光源からの光を反射する特性を有し、前記光路合成素子の少なくとも一部が複屈折性材料によって構成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項16記載の発明では、請求項1〜15のうちのいずれかに記載の照明装置と、該照明装置から出射される光を2次元に走査可能な走査手段と、前記第一の光源、前記第二の光源、前記第三の光源の出力を前記走査手段の動きに同期して制御する制御手段を有していることを特徴とする。
請求項17記載の発明では、請求項16記載の投影型画像表示装置において、前記走査手段の光進行方向下流に投射光学系を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第一の光源と第二の光源を同一マウントに配置し、さらにカップリング光学系を共通化することで、小型・軽量化を達成できる。また、第一、第二、第三の光源からの光を単一の光路合成素子によって光路合成を行うため、さらに小型・軽量化が可能となる。また、光路合成素子は角度の異なる2つのダイクロイック面を利用しており、回折素子を利用した方式に対して、光利用効率に優れる。
緑色光源を別位置に配置したレイアウトにより照明装置のコンパクト化、ひいては投影型画像表示装置の小型化を実現できる。
光路合成素子として楔形平板を用いることにより、部品点数が少なく、小型・軽量な照明装置を実現できる。
また、出射光の非点収差がより少ない照明装置とすることができる。
出射光の断面形状がより円形に近い照明装置とすることが可能となる。
出射光の光路の一致精度を高めることができる。
出射光の収差が少ない照明装置とすることが出来る。
第二の光源が出射する光の波長に変動が生じたときであっても光路の変化が少ない照明装置とすることができる。
光路合成素子を複屈折材料から成る光学素子とすることで、部品点数が少なく軽量な照明装置とすることができる。
投影光学系を備えることにより、例えばスクリーン上の画像歪みを軽減した走査型プロジェクタを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
まず、図1乃至図11に基づいて本発明の照明装置についての第1の実施形態を説明する。
本実施形態に係る照明装置は、第一の波長λ1の光を発する第一の光源1と、第二の波長λ2の光を発する第二の光源2とを有し、これらの光源は同一のマウント3上に近傍配置状態で実装され、一つのパッケージ11として構成されている。第一の光源1と第二の光源2の光出射方向は略同一である。
第一の光源1としては青色波長領域の光を発する半導体レーザ(以下「青色LD」と呼ぶ)を、第二の光源2としては赤色波長領域の光を発する半導体レーザ(以下「赤色LD」と呼ぶ)を用いることができる。
青色波長領域、赤色波長領域はそれぞれおよそ、400nm〜480nm、600nm〜700nmの波長範囲を指しており、青色LDとしては例えば波長λ1が445nmの光を発するLDを、赤色LDとしては例えば波長λ2が630nmの光を発するLDを用いることができる。以下の説明ではこの波長を用いる。ここでは、青色LD1と赤色LD2が別のチップで同一のマウント3上に実装したものを示しているが、青色LD1と赤色LD2が一つのチップ上に形成されているものであっても良い。
【0020】
青色LD1からの青色光4および、赤色LD2からの赤色光5は同一のカップリング光学系である第一のカップリング光学系(以下「第一CL」と呼ぶ)6によってカップリングされ、光路合成素子7に導かれる。
図1中には各色光の光路が模式的に示されている。また、本発明の照明装置においては、第三の波長λ3の光を発する第三の光源8が、パッケージ11とは別の位置に配置されている。
具体的に説明すると、第三の光源8は、第一の光源1および第二の光源2とは異なる方向(ここでは略直交する方向)に光を出射するように配置されている。
第三の光源8としては緑色波長領域500nm〜550nmの波長範囲にある光を発する緑色光源を用いることができる。緑色光源として半導体レーザを使用することが最も良いが、現状では安定的に使用可能な緑色半導体レーザは存在しないため、固体レーザや、赤外半導体レーザの倍波を用いることが良い。緑色光源の具体的な構成に関しては後述するが、ここでは例として波長λ3が532nmの光源を用いることとする。
【0021】
特許文献6に示すような光ピックアップ装置では、光源は波長順(ここでは青<緑<赤)に配置するのが一般的であるが、本実施形態では、緑色波長領域の光を発する第三の光源8を、第一の光源1および第二の光源2と同一のパッケージとして光路合成素子7の同一面に入射させず、異なる位置に配置して光路合成素子7の別な面(後述する第二の面)から入射させるようにしている。
すなわち、半導体レーザのようなチップ型の小型光源が存在しない緑色光源を第一の光源1および第二の光源2と同一のパッケージに組み込むと第一の光源1および第二の光源2のパッケージのコンパクト化が却って阻害される。
本実施形態では、3つの光源からの光を効率よく合成する必要があるこの種の照明装置において、第一の光源1および第二の光源2のパッケージのコンパクト化を維持しつつ、図26で示した従来方式に対して全体構成のコンパクト化を実現できる配置形態としたのである。この種の照明装置におけるコンパクト化(容積縮小化)は、レーザ走査型プロジェクタの小型化に及ぼす影響が極めて大きい。上記従来方式に対するコンパクト化の実際的な優位度については後述する。
【0022】
緑色光源8からの緑色光9は第二のカップリング光学系(以下「第二CL」と呼ぶ)10によってカップリングされ、光路合成素子7に導かれる。光路合成素子7に入射した赤色光4、青色光5、緑色光9は同一光路に合成され出射される。
このようにして、赤、青、緑3つの波長領域の光を同一光路で出射する照明装置が達成される。
以上の説明では、第一の光源として青色波長領域、第二の光源として赤色波長領域、第三の光源として緑色波長領域のものを用いたが、異なる波長領域のものであっても良いし、異なる組み合わせとなっていても良い。赤、青、緑の3色を合成して出射する光源は走査型プロジェクタの光源として用いることができるため、もっとも有用である。
また、前述したように緑色光源としては半導体レーザを用いることが困難であるため、他の光源と同一マウント上に配置することが容易ではない。このため、第一の光源が赤または青、第二の光源が青または赤、第三の光源が緑となっている構成がより製造が容易である。
また、第一のカップリング光学系および第二のカップリング光学系として、図1中では平凸レンズを示しているが、他の形状でも良くまた複数の光学素子から成るものであっても良い。特に、第一のカップリング光学系としては赤色光と青色光に対する色収差を低減させるために複数枚のレンズによって構成されていることが好ましい。もしくは、一般的な屈折レンズに加え回折構造を備えたものを用いても良い。
【0023】
光路合成素子の機能に関して図2を用いて詳細に説明する。光路合成素子7は、青色領域の光を反射し、赤色および緑色領域の光を透過する第一の面21と、赤色領域の光を反射し、緑色領域の光を透過する第二の面22から成る平板であり、第一の面と第二の面は相対的に角度α傾いた楔形平板となっている。
光路合成素子7は、その楔形の頂点側が光源側を向くように配置されている。ここで、「光源側を向く」とは、光源に対向するという意味ではなく、光源に近づく方向に向いているという意味である。
青色光4および赤色光5は第一の面より入射し、それぞれ第一の面および第二の面によって反射され、出射される。また、緑色光9は第二の面より入射し、第二の面および第一の面を透過して出射される。第一の面および第二の面は波長によって選択的に反射または透過する面となっており、このような面は光学多層膜によって達成することが可能でありダイクロイックミラーと呼ばれる。
【0024】
図3に第一の面および第二の面の入射角45度s偏光成分に対する分光反射率を示した。図中では第一の面は実線で、第二の面は点線で示されている。第一の面は青色光の波長λ1(445nm)に対して反射率が高く、赤色光の波長λ2(630nm)および緑色光の波長λ3(532nm)では反射率の低いダイクロイックミラーとなっており、第二の面は赤色光の波長λ2(630nm)の光に対して反射率が高く緑色光の波長λ3(532nm)で反射率の低いダイクロイックミラーとなっている。
第一の面の具体的な膜構成を図4(a)に、第二の面の具体的な膜構成を図4(b)に示した。ここでは多層膜を構成する材料として低屈折材料である二酸化珪素(SiO2)と高屈折材料である五酸化タンタル(Ta2O5)を示したが他にも、フッ化マグネシウムや酸化チタンなど一般的に光学多層膜に用いられる材料が使用できる。図4において、「基板」は楔形平板を意味する。
このように、ダイクロイックミラーでは所望の波長範囲において反射率を100%近くに、異なる波長範囲で透過率を100%に近い値とすることが可能であり、光路合成素子として回折素子を用いる方法に対して光利用効率の点で優れている。
【0025】
青色LD1と赤色LD2の発光点の違いによって、第一CL6によってカップリングされた青色光4および赤色光5は光路が一致していない。例えば、青色LD1と赤色LD2の発光点が110umずれており、第一CL6の焦点距離fが2.1mmのとき、第一CL6から出射される、青色光および赤色光は約3度光軸がずれる。
光路合成素子7では、第二の面が第一の面に対して角度αだけ傾いていることによりこの光軸の角度ずれを補正することが可能となっている。これに関して数式を用いて説明する。
【0026】
[1.青色光に関して]
光路合成素子7への青色光入射角度をθB1とすると、青色光の出射角は光路合成素子7の第一の面21の法線に対して、θB1となる。
[2.赤色光に関して]
光路合成素子7を構成する材料の赤色光に対する屈折率をnRとすると、図2中に表示されるθR1、θR2、θR3、θR4、θR5には下記の関係式が成り立つ。
sinθR2=1/nR・sinθR1 (式1)
θR3=θR2+α (式2)
θR4=θR3+α (式3)
sinθR5=nR・sinθR4 (式4)
赤色光の出射角は光路合成素子の第一の面21の法線に対してθR5であるので、θR5がθB1と一致するとき赤色光と青色光の光軸が平行に出射され好ましい。よって、本発明の最も良い実施例としては、光路合成素子に、θR5がθB1と等しくなるよう第一の面と第二の面のなす角αが設けられている。
たとえば、光路合成素子7の屈折率が1.5であり、θB1が45度のとき、αは約0.82度となる。
[3.緑色光に関して]
光路合成素子7を構成する材料の緑色光に対する屈折率をnGとすると、図2中に表示されるθG1、θG2、θG3、θG4には下記の関係式が成り立つ。
sinθG2=1/nG・sinθG1 (式5)
θG3=θG2+α (式6)
sinθG4=nG・sinθG3 (式7)
【0027】
緑色光の出射角は光路合成素子7の第一の面21の法線に対してθG4であるので、θG4がθB1およびθR5と一致するとき緑色光が青色光および赤色光の光軸が平行に出射され、良い照明装置とすることができる。よって、本発明の実施例としては、θG4=θB1=θR5を満たすような入射角θG1で緑色光が光路合成素子の第二の面に入射するように、緑色光源が配置されている。
たとえば、光路合成素子7の屈折率が1.5であり、θB1が45度、αが0.82度のとき、入射角θG1が約43.5度になるように緑色光源を配置すれば良い。
さらに、赤色光、青色光、緑色光の光路が一致して出射される照明装置とするためには、光路合成素子の第一の面から出射される各色光の中心光軸が一致するように、第一CLと光路合成素子の位置および、緑色レーザと光路合成素子の位置が配置されていることが最も好ましい。
【0028】
以下に、青色光4と赤色光5の出射光の中心光軸が略一致する構成の実施例を示す。
図5中に記載されるように、出射時に中心光軸が一致するための入射光軸の位置ずれ量をx、赤色光が入射する位置での光路合成素子7の厚みをdとする。光路合成素子の第一の面と第二の面のなす角αが小さく、赤色光5と青色光4の光路合成素子7への入射角度がほぼ等しいとき、赤色光5が光路合成素子7へ入射する位置での位置ずれ量xは下式のように近似できる。
x=2dtanθR3・cosθB (式8)
【0029】
たとえば、光路合成素子7の屈折率が1.5、αは0.82度、厚みdが0.5mmで、θB1が45度のとき、位置ずれ量xは約0.365mmとなる。
図6を用いて、青色LD1、赤色LD2、第一CL6、光路合成素子7の配置例を説明する。青色LD1と赤色LD2の配置間隔をaとし、第一CL6の焦点距離をfとしたとき、前述した光路合成素子7へ入射するときの入射光軸位置ずれ量xを満たすような、第一CL6と光路合成素子7の間隔Lは下式で表される。
L=f+f・x/a (式9)
青色LD1と赤色LD2の配置間隔aに関しては、近すぎると放熱の効率が低下し、離しすぎると第一CLのカップリング効率が低下する、カップリング時に収差が発生するなどの不具合があるため、全体設計から適度な配置間隔を考慮する必要がある。
例として、配置間隔aを0.1mm、第一CLの焦点距離fを2mmとしたとき、第一CL6と光路合成素子7の間隔Lは9.3mmとなる。
以上のようにして、青色光4と赤色光5の出射光の中心光軸が略一致するような構成を達成することができる。
【0030】
以上のようにして、光路合成素子によって青色光、赤色光、緑色光の光路が合成される。
前述の光路合成素子では、第一の面および第二の面として光学多層膜によるダイクロイックミラーとしたが、どちらか一方は偏光分離面とすることも可能である。偏光分離面は入射面に対してs偏光成分とp偏光成分を反射と透過で分けるものなどがあり、光学多層膜や金属の微細格子構造であるワイヤーグリッド素子などで達成することができる。例えば、図2の実施例において、赤色光と緑色光の偏光が異なっており、第二の面が偏光分離面となっていても、図2中に示した光路を取るような構成とすることが可能である。
【0031】
また、図7に示すように、光路合成素子7として図1で示したものとは逆の傾きを有する楔形平板を用いることも考えられる。これは、すなわち式1〜式7において、αが負の値となることに相当する。このときにおいても、図2の説明において述べたときと同様に光路合成を行うことが可能である。
たとえば、光路合成素子7の屈折率が1.5であり、θB1が45度、αが−0.79度のとき、入射角θG1が約46.5度になるように緑色光源を配置すれば良い。
図7に示した構成において、図5および図6で説明したよう構成と同様に、青色光4と赤色光5の出射光の中心光軸が略一致する構成とすることが可能である。これに関して図8を用いて説明する。図6と同様に、青色LD1と赤色LD2の配置間隔をaとし、第一CL6の焦点距離をf、第一CL6と光路合成素子7の間隔Lとする。
図5で示したものと同様に光路合成素子の第一の面と第二の面のなす角αが小さく、赤色光5と青色光4の光路合成素子7への入射角度がほぼ等しいとき、赤色光5が光路合成素子7へ入射する位置での位置ずれ量xは式8で示される。
たとえば、光路合成素子7の屈折率が1.5、αは−0.79度、厚みdが0.5mmで、θB1が45度のとき、位置ずれ量xは約0.39mmとなる。
式8で示した入射光軸位置ずれ量xを満たすような、第一CL6と光路合成素子7の間隔Lは下式で表される。
L=f−f・x/a (式10)
例として、配置間隔aを0.5mm、第一CL6の焦点距離fを10mmとしたとき、第一CL6と光路合成素子7の間隔Lは2.2mmとなる。
以上のようにして、青色光4と赤色光5の出射光の中心光軸が略一致するような構成を達成することができる。
【0032】
図8で示した構成では、式10から明らかなように、青色LD1と赤色LD2の配置間隔aを小さくとることができない。また、焦点距離fが小さいときLが非常に小さい値をなり、光路合成素子7と第一CL6を配置することが困難になる。
光源装置の小型化および高光利用効率化のためには焦点距離fが小さい第一CLでカップリングすることが望ましく、この点から図8で示した構成よりも、図6で示した構成の方が焦点距離fの短い第一CLを用いたとしても配置が容易であり、より望ましい構成である。
【0033】
[非点収差に関して]
図1において、光路合成素子7に入射する赤色光5が収束光または発散光であるときには楔形平板を透過することによる非点収差が発生する。また、第一CLの光軸に対して、赤色LDが光軸外に配置されているときにも非点収差が発生する。
よって、本発明の照明装置の構成としては、第二の光源が、楔形平板を透過することに起因する非点収差を低減せしめる方向に第一のコリメート光学系(第一CL)の中心光軸から距離d1離れた位置に発光点が来るように配置されていることがより好ましい。その実施例を図9に示す。第一CL6は1枚の平凸レンズであり、光路合成素子7は図2で示した楔形平板であり、光路合成素子7に入射する赤色光5が発散光であるとき、第一CL6の光軸23に対して図面中上方に発光点がくるよう赤色LDが配置されていれば良い。
また、図1において光路合成素子7に入射する緑色光9が収束光または発散光であるときも、赤色光のときと同様に楔形平板を透過することによって非点収差が発生する。よって、前述した赤色光のときと同様に、楔形平板を透過することに起因する非点収差を低減せしめる方向に前記第二のコリメート光学系(第二CL)の中心光軸から距離d2離れた位置に発光点がくるように配置されていることがより好ましい。
その実施例を図10に示す。第二CL10は1枚の平凸レンズであり、光路合成素子7は図2で示した楔形平板であり、光路合成素子7に入射する緑色光9が発散光であるとき、第二CL10の光軸24に対して図面中左方に発光点がくるよう緑色光源が配置されていれば良い。
【0034】
半導体レーザは一般的に楕円型のビームを出力し、構成・用途によっては楕円形状であることが照明装置の性能を劣化させる可能性がある。このため、通常は楕円形のビームを円形に整形するためのビーム整形光学系を加える必要がある。
本発明の照明装置では、第二の光源として楕円形のビームを出射する半導体レーザを用いたときに、ビーム整形光学系を加えること無くビームの形状を改善することが可能である。これに関して図11を用いて説明する。
図11では赤色光5が紙面に平行な方向にビーム径w1を有して、光路合成素子7に入射する。光路合成素子7から出射されるとき、紙面に平行な方向のビーム径はw2に変化する。このときの、ビーム径比w2/w1は下式で表されることとなる。
w2/w1=cos(θR2)/cos(θR1)×cos(θR5)/cos(θR4) (式11)
θR1、θR2、θR4、θR5は、図2中で示したものであり、式1、式2、式3、式4を満たしている。一方、紙面に垂直な方向のビーム径は光路合成素子7を通過することによる変化は無い。よって、楔形平板から成る光路合成素子7によってビーム整形することが可能であり、w2/w1>1となるような光路合成素子では、楕円状赤色光4の短軸方向が紙面に平行になるように赤色光源が配置されているようにすれば良い。
また、w2/w1<1となるような光路合成素子では、楕円状赤色光4の長軸方向が紙面に平行になるように赤色光源が配置されているようにすれば良い。例えば、θR5が45度、αが0.82度、nが1.5のときw2/w1は約0.97となるため、赤色光源は楕円状出射光の長軸方向が紙面に平行となるように配置すれば良い。
【0035】
図12乃至図14に基づいて第2の実施形態を説明する。なお、上記実施形態と同一部分は同一符号で示し、特に必要がない限り既にした構成上および機能上の説明は省略して要部のみ説明する(以下の他の実施形態において同じ)。
光路合成素子は2つ以上の光学素子から形成されていてもよい。光路合成素子40として、2枚のプリズムから構成される実施例を図12に示す。図12では第一のプリズム41と第二のプリズム42が接着層43を介して接着されている。このとき、第一のプリズムの接着面が第一の面44に、第二のプリズムの接着面が第二の面45になっており、第一の面44と第二の面45とは所定の角度αだけ傾けて接着されている。
図1で示した構成を持つ照明装置において、青色LD1と赤色LD2の間隔を精密に調整することは困難であり、位置調整誤差が生じる可能性がある。図1で示した実施例のように光路合成素子7として楔形平板を用いたとき、第一の面と第二の面は固定されているため、前述の位置調整誤差がそのまま合成後の光路誤差となってしまう。
これに対して、図12で示したような2枚のプリズムを用いたとき、第一の面と第二の面が別の光学素子となっているため組み付け時に調整すること可能である。よって、赤色LDと青色LDの配置に位置誤差があっても、光路合成素子組み付け時の調整によって光路の誤差を低減することが可能となる。
【0036】
このためには、図13に示すように、2枚のプリズム間に第一の面と第二の面の相対的な角度を調整するために角度調整機構が存在していることがより望ましい。図13では第一のプリズム41と第二のプリズム42との間にスペーサ48が設けられており、スペーサ48の位置を図中矢印方向に動かすことによって、第一の面44と第二の面45の相対的な角度差を調整することができる。
また、第一の光源と第二の光源と第一のCLとの相対的な位置関係に応じて、スペーサ50の位置を調整した後に接着などの方法で固定し、第一の面と第二の面の相対的な角度を固定して使用する方法を取ることも可能である。
また、図12で示した光路合成素子においては、第三の光源からの光が入射する第一の入射面46と第三の光源からの緑色光9が出射する出射面47とが平行に設けられていることがより好ましい。
第一の入射面46と出射面47とが平行に設けられていることによって、緑色光9が光路合成素子40を透過する際に発生する非点収差の量を最小に抑えることが可能となる。
図12において、赤色光または青色光のどちらかに対して、光路合成素子40を透過するときに発生する収差の量が最小となるように、第二の入射面(第二の面45)が設けられていることがより好ましい。
【0037】
さらに、2つ以上の光学素子から形成されている光路合成素子の実施例を図14に示す。光路合成素子50は第一の楔形平板51と第二の楔形平板52とを貼り合わせて構成されている。
また、第一の楔形平板51と第二の楔形平板52は、屈折率および屈折率波長分散が異なる材料によって形成されている。
一般的に半導体レーザは温度などの使用環境に対して波長が変動する現象を有しており、図1に示した照明装置では、赤色LDの発振波長に変動があった際に光路合成素子を構成する材料の屈折率波長分散の影響を受け光路がずれる可能性がある。これに対して、光路合成素子として図14で示すような屈折率波長分散の異なる複数の材料から形成されているものを用いることによって、赤色LDの発振波長に変動があった際に光路のずれを低減せしめることが可能となる。
【0038】
図15乃至図17に基づいて第3の実施形態を説明する。
第一の波長λ1の光を発する第一の光源1と、第二の波長λ2の光を発する第二の光源2と第三の波長λ3の光を発する第三の光源60は同一のマウント61上に形成され、一つのパッケージ62として構成されている。
第一、第二、第三の光源としては、図1における説明で述べたように、青色LD(波長445nm)、赤色LD(波長630nm)、緑色光源(波長532nm)を用いることができる。このとき、緑色光源(第三の光源60)としては緑色LDを用いることが最も好ましいが、現状では安定的に使用可能な緑色LDは存在しないため図16に示すように、緑色光源8と立ち上げミラー63とから構成されていて、青色LD1および赤色LD2と同一のマウント64上に形成されているものであっても良い。
青色LD1からの青色光4および、赤色LD2からの赤色光5および、緑色光源60からの緑色光65(図1における緑色光9に相当)は同一のカップリングレンズ(以下CL)66によってカップリングされ、光路合成素子67に導かれる。
【0039】
CL66によってカップリングされた青色光4、赤色光5、緑色光65は、それぞれの光源の位置ずれによって光軸がずれる。例えば、青色LD1と赤色LD2の発光点が110umずれており、赤色LD2と緑色光源60の発光点がさらに110umずれており、CLの焦点距離fが2.1mmのとき、CL66から出射される青色光4と赤色光5は約3度光軸がずれ、赤色光5と緑色光65はさらに約3度光軸がずれる。
光軸のずれた各色光は光路合成素子67によって光路合成される。これに関して図17を用いて説明する。
光路合成素子67は、第一の楔形平板68と第二の楔形平板69とから成る。光路合成素子は青色領域の光を反射し、赤色および緑色領域の光を透過する第一の面71と、赤色領域の光を反射し、緑色領域の光を透過する第二の面72と、緑色領域の光を反射する第三の面73を有している。第一の面71と第二の面72は相対的に角度α傾いた第一の楔形平板68を形成しており、第二の面72と第三の面73は相対的に角度β傾いた第二の楔形平板69を形成している。
第一の面、第二の面は図2における説明と同様にダイクロイックミラーを用いることができる。第三の面はより単純に金属などによって構成される反射面を用いれば良い。
【0040】
各色光の光路に関して述べる。
[1.青色光に関して]
光路合成素子67への青色光入射角度をθB1とすると、青色光の出射角は光路合成素子の第一の面71の法線に対して、θB1となる。
[2.赤色光に関して]
第一の楔形プリズム68の屈折率をnとすると、赤色光の光路は式1、式2、式3、式4を用いて示すことができる。赤色光の出射角は光路合成素子の第一の面71の法線に対して、θR4となる。
[3.緑色光に関して]
第二の楔形プリズム69の緑色光に対する屈折率をn’Gとすると、図17中のθG1、θG2、θG3、θG4、θG5、θG6、θG7、θG8、θG9の関係は下のように表される。
sinθG2=1/nG・sinθG1 (式12)
θG3=θG2+α (式13)
sinθG4=nG/n’G・sinθG3 (式14)
θG5=θG4+β (式15)
θG6=θG5+β (式16)
sinθG7=n’G/nG・sinθG6 (式17)
θG8=θG7+α (式18)
sinθG9=nG・sinθG8 (式19)
【0041】
緑色光の出射角は光路合成素子の第一の面71の法線に対して、θG9となる。
θB1とθR4とθG9が略同一となるように、第一の楔形プリズム68の角度αと、第二の楔形プリズム69の角度βとが設定されているとき、光路合成素子から出射される光の出射角が等しくなるため最も良い構成となる。たとえば、第一の楔形プリズム68および第二の楔形プリズム69の屈折率が1.5であり、θB1が45度のとき、αは約0.82度、βは約0.84度となる。
図15〜図17で示した実施例では、第一の光源、第二の光源、第三の光源からの光の光軸が同一平面内になっているが、本発明の照明装置では同一平面内に限られるわけではない。光軸が同一平面内ではなく、第一の面および第二の面および第三の面の法線が同一平面内となっていない構成を取ることも可能である。
【0042】
図18に第4の実施形態を示す。構成としては図15に示したものとほぼ等しく、光路合成素子67の代わりに、複屈折光路合成素子80が配置されている。複屈折光路合成素子80は入射光の偏光方向によって屈折率が異なる複屈折素子によって構成されている。また、赤色LD2と緑色光源60とは出射光の偏光方向が直交するように形成されている。複屈折素子は入射光の偏光方向によって屈折角が異なるため、赤色光5と緑色光9の偏光方向が異なっているとき、お互いの光軸角度誤差を低減せしめることが可能である。
【0043】
図19及び図20に第5の実施形態(投影型画像表示装置)を示す。
図1、図7、図15、図18に示した照明装置を用いて走査型プロジェクタを構成することが可能である。例として図1で示した照明装置を用いた走査型プロジェクタの実施例を示す。図19に示した走査型プロジェクタでは、図1で示した照明装置に加え、照明装置から出射される光を2次元的に走査する走査手段85、および走査手段85と照明装置の光源を制御する制御装置86が備わっている。
制御装置86は、走査手段85の動きと同期して所望の画像が加えられるように光源に変調を加える。走査手段85は図中矢印方向に反射面を振ることができるようになっており、さらに紙面奥行き方向にも反射面を振ることができる。
これによって、スクリーン87上には2次元的な投影像が形成されることとなる。
走査手段としては、ガルバノミラー、ポリゴンミラー、半導体プロセス技術を用いて製造されるMEMSミラーなどを用いることができる。特にMEMSミラーは非常に小型で低消費電力であるため、小型プロジェクタに用いるには最も適している。
また、図中では1枚で2軸可動なものを示したが、1軸に可動なミラーを2つ用いても良い。
【0044】
図20に走査手段として用いることが可能なMEMSミラーの構成を示す。MEMSミラー90は、反射面を持つ微小ミラー91がトーションバー92、93で支持された構造を有する。微小ミラー91は、トーションバー92が捻れることで軸94を略中心とした共振往復運動を行う。また、トーションバー93が捻れることで軸95を略中心とした共振往復運動を行う。この両軸94、95を略中心とする往復運動によって、微小ミラー91の偏向面の法線方向が2次元的に変化する。
このため、微小ミラー91に入射するビームの反射方向が変化し、これにより、ビームを2次元方向に走査することができる。
このような、プロジェクタでは走査手段の動きに同期して光源の強度を変調するため、人間の目に自然な画像を表示するには高速変調に耐えうる光源を用いる必要がある。
【0045】
高速変調可能な緑色光源の構成例を図21に示す。緑色の光源として、半導体レーザ励起の固体レーザを用いる。波長808nmの励起用の半導体レーザ101からの光は集光レンズ102によってNd:YAG結晶103に集光され、Nd:YAG結晶103を励起する。Nd:YAG結晶103は波長1064nmの光を発し、この光は非線形光学結晶104によって緑色波長領域にある532nmの倍波に変換される。
また、光出射部には倍波に変換されなかった光や、励起用半導体レーザの光を遮断するフィルター105が設けられている。以上の光学素子は、安定性を上げるためひとつのパッケージ106に収められており、ひとつの半導体レーザ励起の固体レーザ107を構成している。
さらに、固体レーザからの出力はレンズ108によって音響光学素子109に導かれる。音響光学素子109は入力信号に応じて、入射レーザ光を高速に変調することが可能である。半導体レーザ励起の固体レーザは通常高速変調することができないが、このように音響光学素子などの変調素子を別にもうけることによって本発明のプロジェクタ用光源として用いることが可能となる。
変調素子としては、他に電気光学素子を用いることもできる。
【0046】
別の緑色光源構成例を図22に示す。図22に示される緑色光源は、波長1060nmの光を発する半導体レーザ201と、半導体レーザの出力波長を安定させるための波長安定化素子202と、集光レンズ203と、波長1060nmの光を倍波に変換する非線形光学結晶204から構成されている。
波長安定化素子202としては体積ホログラムを用いることができる。また、非線形光学結晶204としては、より倍波への変換効率を高めるため周期分極反転したニオブ酸リチウム(PPLN)を用いることが望ましい。また、出射光には波長1060nmの光を遮断するフィルター205が設けられており、全ての素子はひとつのパッケージ206に収められている。
このような構成では、半導体レーザ101を直接高速に変調することで、緑色波長の出力を変調することも可能であるため、部品点数が少なくて済みより好ましい。このようなレーザの構成に関しては既に非特許文献1に詳しく述べられている。
【0047】
本発明のプロジェクタと、図26で示した一般的なレーザ走査型プロジェクタとの大きさを比較したものを図23および図24に示す。図23は図19で示したプロジェクタのレイアウトを示しており、図24は図26で示したプロジェクタのレイアウトを示している。
図23において、図22で説明した非線形光学結晶204は、導波路を有している。
本発明のプロジェクタは、青色光と赤色光の光源を同一マウント上に実装し、且つ、緑色光の光源をその出射方向が青色光と赤色光の光源の出射方向と略直交するように配置して1つの光路合成素子7の2面を用いて光路を合成するレイアウトとしたので、色毎に光源とダイクロイックミラーを一対一で対応させて並設する従来方式に比べ、その小型化(容積縮小化)は一目瞭然である。
図23の構成では光学系の容量がおよそ5ccであり、図24の構成はおよそ7ccである。これらより明らかなように、本発明のプロジェクタでは従来のものより小型化および部品点数削減が達成されており、約30%小型なものとなっている。
【0048】
図19では、走査手段とスクリーンの間に光学系が存在しないが、投影光学系を有するプロジェクタとなっていても良い(第6の実施形態)。投影光学系を用いることによって、スクリーン上の画像歪みを軽減することが可能となる。
図25に実施例を示す。図19で示したプロジェクタに加え、画像歪みを軽減する投影光学系300を備えている。
画像歪みはレーザの発光タイミングを工夫することにより改善できるが、画像範囲が小さくなったり、画像が暗くなったりする不具合があるが、光学的に補正することによりそのうような不具合が発生しない。
MEMSミラーなどの走査手段は振れ角を大きくとることが難しいため走査角度が限られるが、図25で示すように、投影光学系によって走査角度を拡大することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施形態における照明装置の概要平面図である。
【図2】光路合成素子の機能を説明するための図である。
【図3】色別の分光反射率を示すグラフである。
【図4】光路合成素子の面の膜構成を示すデータ図である。
【図5】光路合成素子において、青色光と赤色光の出射光中心光軸が略一致する構成を説明するための図である。
【図6】光路合成素子がその頂点側が光源側を向くように配置された構成における青色光と赤色光の出射光中心光軸が略一致する条件を説明するための図である。
【図7】光路合成素子がその頂点側が光源から離れる方向を向くように配置された照明装置の概要平面図である。
【図8】光路合成素子がその頂点側が光源から離れる方向を向くように配置された構成における青色光と赤色光の出射光中心光軸が略一致する条件を説明するための図である。
【図9】非点収差を低減するための第二の光源と第一のカップリングレンズとの位置関係を示す図である。
【図10】非点収差を低減するための第三の光源の光源と第二のカップリングレンズとの位置関係を示す図である。
【図11】光路合成素子において、ビームの形状を改善するための条件を説明するための図である。
【図12】第2の実施形態における光路合成素子の概要構成図である。
【図13】角度調整機構を有する光路合成素子の概要構成図である。
【図14】第2の実施形態における光路合成素子の別例を示す図である。
【図15】第3の実施形態における照明装置の概要平面図である。
【図16】光源の実装構成を示す図である。
【図17】光路合成素子による光路合成機能を示す図である。
【図18】第4の実施形態における照明装置の概要平面図である。
【図19】第5の実施形態における投影型画像表示装置の概要構成図である。
【図20】走査手段としてのMEMSミラーの構成を示す斜視図である。
【図21】高速変調可能な緑色光源の構成例を示す図である。
【図22】高速変調可能な緑色光源の別の構成例を示す図である。
【図23】本発明の照明装置を備えたプロジェクタの斜視図である。
【図24】従来の照明装置を備えたプロジェクタの斜視図である。
【図25】第6の実施形態における投影型画像表示装置の概要構成図である。
【図26】従来の走査型プロジェクタの概要構成図である。
【図27】波長と回折効率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0050】
1 第一の光源
2 第二の光源
4 第一の波長の光
5 第二の波長の光
6 第一のカップリング光学系
7 光路合成素子
8 第三の光源
9 第三の波長の光
10 第二のカップリング光学系
21 第一の面
22 第二の面
85 走査手段
86 制御手段
90 走査手段としてのMEMSミラー
300 投射光学系
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の波長の光を出射する第一の光源と、
前記第一の光源の近傍に配置され、第二の波長の光を前記第一の光源と略同一方向に出射する第二の光源と、
第三の波長の光を前記第一の光源および前記第二の光源とは異なる方向に出射するように配置された第三の光源と、
前記第一の光源および前記第二の光源からの光をカップリングする第一のカップリング光学系と、
前記第三の光源からの光をカップリングする第二のカップリング光学系と、
前記第一の光源からの光および前記第二の光源からの光および前記第三の光源からの光の光路を一致させるための光路合成素子と、
を備え、
前記光路合成素子は第一の面と、該第一の面に非平行な第二の面とを有し、前記第一の面は前記第一の光源からの光を反射し且つ前記第二の光源および前記第三の光源からの光を透過する特性を有し、前記第二の面は前記第二の光源からの光を反射し且つ前記第三の光源からの光を透過する特性を有していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1記載の照明装置において、
前記第三の光源の出射方向は、前記第一の光源および前記第二の光源の出射方向に対して略直交する方向であることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の照明装置において、
前記第三の光源が緑色の色光を発する光源であり、前記第一の光源が赤色かつ前記第二の光源が青色、もしくは前記第一の光源が青色かつ前記第二の光源が赤色の色光を発する光源であることを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の照明装置において、
前記第一の光源と前記第二の光源は同一マウント上に配置されていることを特徴とする照明装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の照明装置において、
前記光路合成素子は、楔形平板によって構成されており、前記楔形平板の片面が前記第一の面、もう一方の面が前記第二の面となっていることを特徴とする照明装置。
【請求項6】
請求項5記載の照明装置において、
前記光路合成素子は、その楔形の頂点側が前記光源側を向くように配置されていることを特徴とする照明装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の照明装置において、
前記第二の光源は、前記楔形平板を透過することに起因する非点収差を低減せしめる方向に第一のカップリング光学系の中心光軸から距離d1離れた位置に発光点がくるように配置されていることを特徴とする照明装置。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれかに記載の照明装置において、
前記第三の光源は、前記楔型平板を透過することに起因する非点収差を低減せしめる方向に前記第二のカップリング光学系の中心光軸から距離d2離れた位置に発光点がくるように配置されていることを特徴とする照明装置。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれかに記載の照明装置において、
前記第二の光源は、楕円状強度分布の光を出射する光源であり、前記楔形平板は前記楕円状強度分布の光の強度分布を円状強度分布に近づけるように配置されていることを特徴とする照明装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の照明装置において、
前記光路合成素子は、複数の光学部品を貼り合わせて構成されていることを特徴とする照明装置。
【請求項11】
請求項10記載の照明装置において、
前記第三の光源からの光が前記光路合成素子へ入射する面と、前記第三の光源からの光が前記光路合成素子から出射する面とが平行に設けられていることを特徴とする照明装置。
【請求項12】
請求項10又は11記載の照明装置において、
前記光路合成素子は、前記第一の面を含む第一の光学素子と、前記第二の面を含む第二の光学素子とから成り、前記第一の面と前記第二の面の相対的な角度を調整する角度調整機構が設けられていることを特徴とする照明装置。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれかに記載の照明装置において、
前記光路合成素子が屈折率分散の異なる複数の材料から成っていることを特徴とする照明装置。
【請求項14】
第一の波長の光を出射する第一の光源と、
前記第一の光源と同一マウント上に配置された第二の波長の光を出射する第二の光源と、
前記第一の光源および前記第二の光源と同一のマウント上に配置された第三の波長の光を出射する第三の光源と、
前記第一の光源および前記第二の光源および前記第三の光源からの光をカップリングするカップリング光学系と、
前記第一の光源からの光および前記第二の光源からの光および前記第三の光源からの光の光路を一致させるための光路合成素子と、
を備え、
前記光路合成素子は角度の異なる3つの面を有しており、第一の面は前記第一の光源からの光を反射し且つ前記第二および前記第三の光源からの光を透過する特性を有し、第二の面は前記第二の光源からの光を反射し且つ前記第三の光源からの光を透過する特性を有し、第三の面は前記第三の光源からの光を反射する特性を有していることを特徴とする照明装置。
【請求項15】
第一の波長の光を出射する第一の光源と、
前記第一の光源と同一マウント上に配置された第二の波長の光を出射する第二の光源と、
前記第一の光源および前記第二の光源と同一のマウント上に配置された第三の波長の光を出射する第三の光源と、
前記第一の光源および前記第二の光源および前記第三の光源からの光をカップリングするカップリング光学系と、
前記第一の光源からの光および前記第二の光源からの光および前記第三の光源からの光の光路を一致させるための光路合成素子と、
を備え、
前記第二の光源と前記第三の光源は異なる偏光方向の光を発し、前記光路合成素子は互いに角度の異なる第一の面および第二の面を有し、前記第一の面は前記第一の光源からの光を反射し且つ前記第二の光源および前記第三の光源からの光を透過する特性を有し、前記第二の面は前記第二の光源からの光および前記第三の光源からの光を反射する特性を有し、前記光路合成素子の少なくとも一部が複屈折性材料によって構成されていることを特徴とする照明装置。
【請求項16】
請求項1〜15のうちのいずれかに記載の照明装置と、該照明装置から出射される光を2次元に走査可能な走査手段と、前記第一の光源、前記第二の光源、前記第三の光源の出力を前記走査手段の動きに同期して制御する制御手段を有していることを特徴とする投影型画像表示装置。
【請求項17】
請求項16記載の投影型画像表示装置において、
前記走査手段の光進行方向下流に投射光学系を有していることを特徴とする投影型画像表示装置。
【請求項1】
第一の波長の光を出射する第一の光源と、
前記第一の光源の近傍に配置され、第二の波長の光を前記第一の光源と略同一方向に出射する第二の光源と、
第三の波長の光を前記第一の光源および前記第二の光源とは異なる方向に出射するように配置された第三の光源と、
前記第一の光源および前記第二の光源からの光をカップリングする第一のカップリング光学系と、
前記第三の光源からの光をカップリングする第二のカップリング光学系と、
前記第一の光源からの光および前記第二の光源からの光および前記第三の光源からの光の光路を一致させるための光路合成素子と、
を備え、
前記光路合成素子は第一の面と、該第一の面に非平行な第二の面とを有し、前記第一の面は前記第一の光源からの光を反射し且つ前記第二の光源および前記第三の光源からの光を透過する特性を有し、前記第二の面は前記第二の光源からの光を反射し且つ前記第三の光源からの光を透過する特性を有していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1記載の照明装置において、
前記第三の光源の出射方向は、前記第一の光源および前記第二の光源の出射方向に対して略直交する方向であることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の照明装置において、
前記第三の光源が緑色の色光を発する光源であり、前記第一の光源が赤色かつ前記第二の光源が青色、もしくは前記第一の光源が青色かつ前記第二の光源が赤色の色光を発する光源であることを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の照明装置において、
前記第一の光源と前記第二の光源は同一マウント上に配置されていることを特徴とする照明装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の照明装置において、
前記光路合成素子は、楔形平板によって構成されており、前記楔形平板の片面が前記第一の面、もう一方の面が前記第二の面となっていることを特徴とする照明装置。
【請求項6】
請求項5記載の照明装置において、
前記光路合成素子は、その楔形の頂点側が前記光源側を向くように配置されていることを特徴とする照明装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の照明装置において、
前記第二の光源は、前記楔形平板を透過することに起因する非点収差を低減せしめる方向に第一のカップリング光学系の中心光軸から距離d1離れた位置に発光点がくるように配置されていることを特徴とする照明装置。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれかに記載の照明装置において、
前記第三の光源は、前記楔型平板を透過することに起因する非点収差を低減せしめる方向に前記第二のカップリング光学系の中心光軸から距離d2離れた位置に発光点がくるように配置されていることを特徴とする照明装置。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれかに記載の照明装置において、
前記第二の光源は、楕円状強度分布の光を出射する光源であり、前記楔形平板は前記楕円状強度分布の光の強度分布を円状強度分布に近づけるように配置されていることを特徴とする照明装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の照明装置において、
前記光路合成素子は、複数の光学部品を貼り合わせて構成されていることを特徴とする照明装置。
【請求項11】
請求項10記載の照明装置において、
前記第三の光源からの光が前記光路合成素子へ入射する面と、前記第三の光源からの光が前記光路合成素子から出射する面とが平行に設けられていることを特徴とする照明装置。
【請求項12】
請求項10又は11記載の照明装置において、
前記光路合成素子は、前記第一の面を含む第一の光学素子と、前記第二の面を含む第二の光学素子とから成り、前記第一の面と前記第二の面の相対的な角度を調整する角度調整機構が設けられていることを特徴とする照明装置。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれかに記載の照明装置において、
前記光路合成素子が屈折率分散の異なる複数の材料から成っていることを特徴とする照明装置。
【請求項14】
第一の波長の光を出射する第一の光源と、
前記第一の光源と同一マウント上に配置された第二の波長の光を出射する第二の光源と、
前記第一の光源および前記第二の光源と同一のマウント上に配置された第三の波長の光を出射する第三の光源と、
前記第一の光源および前記第二の光源および前記第三の光源からの光をカップリングするカップリング光学系と、
前記第一の光源からの光および前記第二の光源からの光および前記第三の光源からの光の光路を一致させるための光路合成素子と、
を備え、
前記光路合成素子は角度の異なる3つの面を有しており、第一の面は前記第一の光源からの光を反射し且つ前記第二および前記第三の光源からの光を透過する特性を有し、第二の面は前記第二の光源からの光を反射し且つ前記第三の光源からの光を透過する特性を有し、第三の面は前記第三の光源からの光を反射する特性を有していることを特徴とする照明装置。
【請求項15】
第一の波長の光を出射する第一の光源と、
前記第一の光源と同一マウント上に配置された第二の波長の光を出射する第二の光源と、
前記第一の光源および前記第二の光源と同一のマウント上に配置された第三の波長の光を出射する第三の光源と、
前記第一の光源および前記第二の光源および前記第三の光源からの光をカップリングするカップリング光学系と、
前記第一の光源からの光および前記第二の光源からの光および前記第三の光源からの光の光路を一致させるための光路合成素子と、
を備え、
前記第二の光源と前記第三の光源は異なる偏光方向の光を発し、前記光路合成素子は互いに角度の異なる第一の面および第二の面を有し、前記第一の面は前記第一の光源からの光を反射し且つ前記第二の光源および前記第三の光源からの光を透過する特性を有し、前記第二の面は前記第二の光源からの光および前記第三の光源からの光を反射する特性を有し、前記光路合成素子の少なくとも一部が複屈折性材料によって構成されていることを特徴とする照明装置。
【請求項16】
請求項1〜15のうちのいずれかに記載の照明装置と、該照明装置から出射される光を2次元に走査可能な走査手段と、前記第一の光源、前記第二の光源、前記第三の光源の出力を前記走査手段の動きに同期して制御する制御手段を有していることを特徴とする投影型画像表示装置。
【請求項17】
請求項16記載の投影型画像表示装置において、
前記走査手段の光進行方向下流に投射光学系を有していることを特徴とする投影型画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
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【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2010−40443(P2010−40443A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204661(P2008−204661)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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