説明

照明装置

【課題】簡単な構成で特定方向に延びる表示部全体を均一に発光させることのできる照明装置を提供する。
【解決手段】車両のインストゥルメントパネル等に設けられて特定方向に延びる表示部12と、表示部12を照明する照明手段50とを備えた照明装置10において、照明手段50に、複数の光源30と、光源30の照明光を表示部12に導く導光体20とを設け、この導光体20に本体部21と、本体部21から複数の光源30のうち互いに隣接する光源の略中間地点に向かって突出し、各光源30から隣接する光源30側に向けて発せられる光線をその外周面22aで屈折させることで照明光を表示部12のうち各光源30の略中間地点と対向する部分に導く形状を有する凸部22を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のインストゥルメントパネルに設けられる計器等を照明するための照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のインストゥルメントパネル等に設けられる複数の計器類あるいはスイッチ等には、夜間等においてこれらスイッチ等を照明するための照明装置が併設されている。この照明装置としては、特許文献1に、光源と、当該光源からの照明光を前記スイッチ等の表示部に導く導光体とを有し、前記導光体により導かれた前記光源からの照明光を前記表示部の表面側に発光させることでこのスイッチ等を照明する照明装置が開示されている。
【特許文献1】特開2000−106049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記スイッチは、インストゥルメントパネル等のデザイン性の観点から多様な形状を有するものが提案されており、その中には、特定方向に延びる形状を有するものがある。このようなスイッチの照明手段として、前記スイッチの表示部に対向するように複数の光源を前記特定方向に並べるものが考えられる。
【0004】
しかしながら、前記のように、特定方向に延びる形状を有するスイッチを照明するために、この形状に合わせて複数の光源を並べる手段では、各光源間の距離が大きいと、前記表示部のうち各光源と対向する部分と各光源の略中間地点と対向する部分とで明るさが一様でなくなってしまうという問題がある。一方、各光源間の距離を小さくすれば、表示部の明るさを一様に近づけることはできるが、この場合には光源の数を増やさねばならないためコストがかかるという問題がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑み、簡単な構成で特定方向に延びる表示部の全域にわたって照明光を効率よく導光することができ、低コスト化を図ることのできる照明装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための請求項1に係る発明は、車両のインストゥルメントパネル等に設けられて特定方向に延びる表示部と、当該表示部を照明するための照明手段とを備えた照明装置において、前記照明手段は、前記表示部と対向するように前記特定方向にそれぞれ所定の間隔をおいて並べられる複数の光源と、前記複数の光源から発せられる照明光を前記表示部の裏面側に導く導光体とを有し、当該導光体は、前記複数の光源と前記表示部との間に設けられて各光源から発せられる照明光を前記表示部に導く本体部と、当該本体部から前記複数の光源のうち互いに隣接する光源の略中間地点に向かって突出し、前記照明光のうち各光源から隣接する他の光源側に向けて発せられる光線をその外周面で屈折させることで前記照明光を前記表示部のうち前記各光源の略中間地点と対向する部分に導く形状を有する凸部とを有し、前記表示部は、前記導光体により導かれた前記照明光を裏面側に受けることにより表面側に発光することを特徴とするものである(請求項1)。
【0007】
本発明によれば、前記各光源から発せられる照明光が前記導光体の本体部によって前記表示部に導かれるのに加えて、各光源から発せられる照明光のうち各光源から隣接する他の光源側に向けて発せられる光線が前記導光体の凸部の外周面で屈折することで、前記表示部のうち各光源の略中間地点と対向する部分にも前記照明光が導かれる。従って、各光源どうしが離間していても、表示部のうち各光源の略中間地点と対向する部分が暗くなるのが抑制されるので、各光源間の距離を小さくすることなく、すなわち、多数の光源を用いることなく表示部全体をより一様な明るさで照明することができる。
【0008】
また本発明において、前記凸部が、前記光源から隣接する他の光源側に向けて互いに異なる方向に発せられる複数の光線をそれぞれ屈折させることで、これら複数の光線を前記表示部のうち前記各光源の略中間地点と対向する部分に集束させるような形状を有するのが好ましい(請求項2)。
【0009】
この構成では、各光源から互いに異なる方向に発せられる複数の光線が前記表示部のうち前記各光源の略中間地点と対向する部分に集束するので、この各光源の略中間地点と対向する部分により多くの照明光を導くことができ、表示部全体をより均一に照明することが可能になる。
【0010】
また前記照明光を屈折させる前記凸部の形状としては、特に限定されるものではないが、前記凸部の外周面が、連続する曲面を有するのが好ましい(請求項3)。
【0011】
このように凸部の外周面を連続する曲面とすれば、各光源から互いに異なる方向に発せられる複数の光線をより多く前記表示部のうち前記各光源の中間地点と対向する部分に集束させることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、簡単な構成で、特定方向に延びる表示部全体を均一に発光させることのできる照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、本発明にかかる照明装置を車載用オーディオの操作部の照明装置に適用した場合を例として説明する。
【0014】
図1は本発明に係る照明装置を備えた車載用オーディオの操作部の分解斜視図である。図2は、この車載用オーディオの操作部に設けられる照明装置の概略上面図である。
【0015】
前記車載用オーディオの操作部1は、図示しない車両のインストゥルメントパネル等に設けられており、主に基板2と操作パネル3とを備えている。基板2には、後述するランプや各種回路等が搭載されている。前記操作パネル3には運転者等が操作可能な複数のスイッチボタンが設けられている。また、この車載用オーディオの操作部1には、夜間等に前記スイッチボタン等の位置を明示するための照明装置が設けられている。
【0016】
本発明に係る照明装置50は、前記複数のスイッチボタンのうち、特に水平方向(図1にて左右方向)に延びる形状を有するスイッチボタン11の位置を夜間等に明示するためのものである。
【0017】
具体的には、このスイッチボタン11の上面あるいは下面の形状に沿って水平方向に延びる形状を有する表示部12が、操作パネル3のうち、スイッチボタン11が取り付けられる位置の上部あるいは下部に取り付けられる。そして、この表示部12の裏側に照明手段10が取り付けられて、この照明手段10によってその裏面側から照明されることで、表示部12が表面側に発光する。このようにして表示部12が発光すれば、運転者等はこの表示部12の近傍に設けられたスイッチボタン11の位置を認識することができる。表示部12は、その裏面側から照射される照明光を透過して表側面が発光するように、少なくともその一部が透明または半透明な材料で成形されている。
【0018】
照明手段10は、前記基板2に設けられた2つのランプ(光源)30と、これら2つのランプ30から発せられる照明光を前記表示部12の裏面側に導光する導光体20とを備えている。
【0019】
前記ランプ30は、前記表示部12に対向するように、この表示部12の長手方向に沿って所定の間隔を置いて設置されている。また、各ランプ30の発光部30aは、その光軸中心が表示部12側を向くよう設置されている。すなわち、前記表示部12のうち光軸方向にあたる各ランプ30と対向する部分には十分な照明光が照射される。一方、この光軸方向の外側への光量は小さくなるので、従来のように、単純に表示部12に対してランプ30を並べただけでは、表示部12のうちランプ30の中間地点と対向する部分、すなわち、いずれのランプ30からも離間している部分は、前記ランプ30に対向する部分に比べて暗くなってしまう。
【0020】
前記導光体20は、図2に示すように、前記基板2およびこの基板2に設けられたランプ30と前記表示部12との間に設けられている。そして、この導光体20は、その大部分を占める本体部21と、この本体部21から基板2側に突出する凸部22とを有している。また、本実施形態では、この導光体20の表側面によって前記表示部12が形成されている。
【0021】
前記凸部22は、前記表示部12のうちランプ30の中間地点と対向する部分に照明光を導くためのものである。この凸部22は、本体部21のうち2つのランプ30と対向する部分から、これらランプ30の中間地点に向かって突出する形状を有している。また、この凸部22の外周面22aは、連続する曲面からなり、ランプ30の中間地点を通り基板2に垂直な線に対して対称となるような形状を有している。さらに、この凸部22の外周面22aは、各ランプ30から他方のランプ30側に向けて発せられる複数の光線をそれぞれ屈折させることにより、これら複数の光線を表示部12のうち2つのランプ30の中間地点に対向する部分に集束させるような形状を有している。
【0022】
すなわち、ランプ30からこの凸部22の外周面22aに入射した複数の光線は、それぞれ屈折して表示部12側に導光される。そして、これら光線のうち外周面22aの所定の位置に所定の角度で入射した光線は、前記外周面22aで屈折することにより前記ランプ30の中間地点に対向する部分に集束する。
【0023】
一方、前記導光体20の外周面のうち前記凸部22から左右外側に設けられている外側外周面20bは表示部12とほぼ平行に伸びる平板形状を有している。従って、ランプ30からこの外側外周面20bに入射した複数の光線は集束することなく直進あるいは屈折して表示部12へ導かれる。
【0024】
前記導光体20の凸部22と本体部21とは一体に形成されており、前述のように、この本体部21の表側面が表示部12を形成している。そして、この導光体20は、ランプ30からの照明光を透過できるガラスや透明合成樹脂等の透明材料であって、この照明光を前記凸部22の外周面22aで屈折できるようなもので構成されればよいが、軽量であり比較的加工が容易であるメタクリル樹脂やポリカーボネイド等を用いるのが好ましい。
【0025】
次に、ランプ30から発せられる照明光が前記表示部12に導光されるまでの様子について説明する。
【0026】
まず、図2のL1のように、ランプ30から表示部12に向けてほぼ真っ直ぐに発せられた光線は、導光体20の前記外側外周面20bに入射する。そして、これら光線は、そのほとんどが屈折することなくそのまま導光体20の本体部21を通り、その表側に形成された表示部12に導かれる。
【0027】
また、図2のL2のように、各ランプ30から表示部12に対して所定の角度で左右外側に向けて発せられた複数の光線も、前記外側外周面20bに入射する。これらの光線は、L1の場合と異なりこの外側外周面20bに所定の角度で入射されるので、表示部12側に屈折して表示部12に導かれる。
【0028】
一方、図3のL3およびL4のように、各ランプ30から他方のランプ30に向けて発せられた複数の光線は、前記凸部22の外周面22aに入射する。これらの光線は、この外周面22aでそれぞれの入射角に対応した角度で表示部12側に屈折して表示部12に導光される。
【0029】
ここで、これら他方のランプ30に向けて発せられた複数の光線のうち、凸部22の外周面22aの所定位置に所定角度で入射した複数の光線は、図3のL3のように、外周面22aで屈折することで、表示部12のうちランプ30の中間地点と対向する領域Aに導光される。すなわち、前記複数の光線は、凸部22によって当該領域Aに集束する。また、前記のように凸部22の外周面22aはランプ30の中間地点に対して対称となるような形状を有しているので、この領域Aには2つのランプ30から発せられる照明光が集束することになる。
【0030】
このようにして、表示部12のうち各ランプ30の中間地点と対向する領域Aにも十分な照明光が導光される。
【0031】
従って、表示部12には全域にわたって一様な照明光が導光されることになり、表示部12はその長手方向に一様に発光することができる。
【0032】
次に、前記導光体20の凸部22の他の実施形態について図3および図4を用いて説明する。
【0033】
図3は、導光体20の第二の実施形態を示す概略上面図であり、図4は導光体20の第三の実施形態を示す概略上面図である。
【0034】
第二の実施形態に係る導光体120の凸部122の外周面122aは、各ランプ30と対向する位置から2つのランプ30の中間地点に向かって傾斜する平面形状を有する傾斜面122bと、前記表示部12と略平行な平面122cとからなっている。
【0035】
一方、第三の実施形態に係る導光体220の凸部222の外周面222aは、各ランプ30と対向する位置から2つのランプ30の中間地点に向かって傾斜する平面形状を有する傾斜面222bとからなっている。
【0036】
そして、ランプ30から他方のランプ30側に向けて発せられる光線は、各傾斜面122b、222bで表示部12側に屈折して表示部12側に導かれる。さらに、各傾斜面122b、222bの傾斜角および各傾斜面122b、222bに対するランプ30の位置を調整すれば、凸部22の外周面22aを曲面で形成した前記実施形態の場合と同様に、前記ランプ30から他方のランプ30側に向けて発せられる複数の光線のうち、傾斜面122b、222bの所定位置に所定角度で入射する複数の光線を表示部12側に屈折させて、表示部12のうちランプ30の中間地点と対向する前記領域Aに集束させることができる。特に、このように外周面122a、222aを平面で構成すれば、加工を容易にすることができる。
【0037】
以上のように、本照明装置によれば、ランプ30からの照明光を表示部12に導光する導光体20に本体部21と凸部22とが設けられているので、前記各ランプ30から発せられる照明光が前記導光体20の本体部21によって前記表示部12に導かれるのに加えて、各ランプ30から発せられる照明光のうち各ランプ30から隣接する他のランプ30側に向けて発せられる光線が前記導光体20の凸部22の外周面22aで屈折して、前記表示部12のうち各ランプ30の略中間地点と対向する部分に導かれる。従って、各ランプ30どうしが離間していても、表示部12のうち各ランプ30の略中間地点と対向する部分が暗くなるのを抑制することができるので、各ランプ30間の距離を小さくすることなく、すなわち、多数のランプ30を用いることなく表示部12全体を一様な明るさで照明することができる。
【0038】
また、前記凸部22を、各ランプ30から隣接する他のランプ30に向けて互いに異なる方向に発せられる複数の光線をそれぞれ屈折させることで、これら複数の光線を前記表示部12のうち各ランプの略中間地点と対向する部分に集束させるような形状としておけば、この各ランプ30の略中間地点と対向する部分により多くの照明光を導くことができ、表示部12全体をより均一に照明することができる。
【0039】
また、前記凸部22を、その外周面22aが連続する曲面を有するように形成すれば、ランプ30から発せられる光線の外周面22aへの入射角が、各光線が入射する位置によって多様に変化するので、前記第二、第三の実施形態のように凸部22の外周面を平面で構成する場合に比べて、各ランプ30から互いに異なる方向に発せられる複数の光線をより多く前記表示部12のうち各ランプ30の中間地点と対向する部分に集束させることができる。
【0040】
ここで、前記実施形態では、表示部12を2つのランプ30で照明する場合について示したが、ランプ30の数は、スイッチ11および表示部12の長さに応じて調整すればよい。また、ランプ30の数を増やした場合には、前記凸部22を各ランプ30の間に複数設けるようにすればよい。
【0041】
また、前記実施形態では、導光体20の表側面により表示部12を形成した場合について示したが、表示部12と導光体20とを別体で構成してもよい。
【0042】
また、本照明装置10は、前記スイッチ11の照明に限られず、計器等の他の部品の照明にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る照明装置を搭載した車載用オーディオの操作部の分解斜視図である。
【図2】図1に示す照明装置の上面図である。
【図3】本発明に係る照明装置の他の実施形態を示す上面図である。
【図4】本発明に係る照明装置の他の実施形態を示す上面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 車載用オーディオの操作部
2 基板
3 操作パネル
11 スイッチボタン
10 照明装置
12 表示部
20 導光体
21 本体部
22 凸部
22a 凸部の外周面
30 ランプ(光源)
50 照明手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のインストゥルメントパネル等に設けられて特定方向に延びる表示部と、当該表示部を照明するための照明手段とを備えた照明装置において、
前記照明手段は、
前記表示部と対向するように前記特定方向にそれぞれ所定の間隔をおいて並べられる複数の光源と、
前記複数の光源から発せられる照明光を前記表示部の裏面側に導く導光体とを有し、
当該導光体は、前記複数の光源と前記表示部との間に設けられて各光源から発せられる照明光を前記表示部に導く本体部と、当該本体部から前記複数の光源のうち互いに隣接する光源の略中間地点に向かって突出し、前記照明光のうち各光源から隣接する他の光源側に向けて発せられる光線をその外周面で屈折させることで前記照明光を前記表示部のうち前記各光源の略中間地点と対向する部分に導く形状を有する凸部とを有し、
前記表示部は、前記導光体により導かれた前記照明光を裏面側に受けることにより表面側に発光することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置において、
前記凸部が、前記光源から隣接する他の光源側に向けて互いに異なる方向に発せられる複数の光線をそれぞれ屈折させることで、これら複数の光線を前記表示部のうち前記各光源の略中間地点と対向する部分に集束させるような形状を有することを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項2に記載の照明装置において、
前記照明光を屈折させる前記凸部の外周面が、連続する曲面を有することを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−94201(P2008−94201A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−276734(P2006−276734)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】