説明

照明装置

【課題】製造に係るコストの削減にも配慮した、従来のランプ類により実現されてきたダウンライト、スポットライトにかわるハイパワーLEDを使用した照明装置を提供する。
【解決手段】固体発光素子32が発する光を利用し照明を行う照明装置1であって、固体発光素子32が配置される中空部56を有し、中空部56の一方向に開口部57を有する筐体部2と、中空部56に配置される反射ユニット54とを備え、中空部56の一部の内壁面は、筐体部2の中心軸へと法線が直角に向かう平面からなる固体発光素子32の保持面41を複数構成し、反射ユニット54は、固体発光素子32が発した光を開口部57に向け反射することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照明装置に関し、特に、固体発光素子を光源とした照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境への意識の向上が高まり、白熱電球、蛍光ランプ及び水銀ランプ等のランプ類にかわる新しい光源として、固体発光素子、特に発光ダイオードが注目を集めている。なぜなら、発光ダイオードは、上述したランプ類の光源と比較して長寿命な光源であり、また水銀及び鉛といった有害物質を含まない、すなわち、環境に優しい光源であるからである。
【0003】
発光ダイオード(以下、LEDと記載。)の中でも、1W以上の入力容量を有するいわゆるハイパワーLEDは、発光強度が強く照明用途に最適である。また、LEDの光変換効率は年々向上しており、ハイパワーLEDを光源とした照明は、省エネルギー光源としても期待されている。
【0004】
その中で従来ランプ類により実現されてきたダウンライト、スポットライトにかわるハイパワーLEDを使用した照明装置への期待が高まってきている。
【0005】
このような状況を鑑みてか、特許文献1に開示されるLED照明器具においては、図22に示すように下面に開口部が設けられた筐体1310と、周部に比べて中央部が凹んだドーム状であって、中央部を上側にして筐体1310内に収納された凹面鏡1314と、凹面鏡1314の周部に沿って、発光面を凹面鏡1314の中央部側にしてLED1302が複数配置される。その上でLED1302からの光を、凹面鏡1314で反射することによって、筐体1310の開口部を通して照明を行うとされている。
【特許文献1】特開2007−80533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されるLED照明器具は、以下の点で問題点があると考えられる。
【0007】
特許文献1には明示されていないが、LED1302は基板上に実装し、その上でLED照明器具に配置することが一般的である。この際、平面状の基板に複数のLED1302を実装し、その上でLED照明器具に配置することが望ましい。このようにすることにより、製造に係るコストの削減を図ること等のメリットがある。しかしながら、特許文献1に開示されるLED照明装置においては、図22に記載されている通り、LED1302はキャップ部1312に取り付けられているものの、円周に沿って、発光面を凹面鏡1314の中央部側にして配置されている。したがって、LED1302を立体的に配置することが必要になる。
【0008】
そのため、平面状の基板に複数のLED1302を実装し、その上でLED照明器具内に立体的に配置することは困難であると考えられる。したがって、個々のLED1302毎に別の個体の基板に実装することが必要であると推定される。このことは、製造に係るコストの増大に直接的につながる。
【0009】
本発明は、上述の事情を鑑みてなされたものであって、製造に係るコストの削減にも配慮したハイパワーLEDを使用した照明装置、特に従来のランプ類により実現されてきたダウンライト、スポットライトにかわるハイパワーLEDを使用した照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、固体発光素子が発する光を利用し照明を行う照明装置であって、前記固体発光素子が配置される中空構造を有し、前記中空構造の一方向に開口部を有する筐体手段と、前記中空構造内に配置され、前記固体発光素子が発する光を反射する反射手段とを備え、前記中空構造の一部の内壁面は、前記筐体手段の中心を通る軸である中心軸へと法線が直角に向かう平面からなる前記固体発光素子の保持面を複数構成し、前記反射手段は、前記固体発光素子が発した光を前記開口部に向け反射することで解決することができる。
【0011】
この構成により、固体発光素子の複数の保持面を、夫々法線が直角に中心軸へと向かう平面により実現することができる。これにより、固体発光素子を立体的に配置することなく、簡便に配置することができるという効果がある。
【0012】
ここで、前記照明装置は、さらに、前記固体発光素子が実装される支持手段を備え、複数構成される前記保持面は、前記中心軸の周方向に正多角形柱空間を形成するよう配置されると共に、前記支持手段は、全ての前記保持面に対し密着配置されてもよい。また、前記支持手段は、略長方形状であると共に、柔軟性を有する金属により構成されるベース部と、1[W/(m・K)]以上の熱伝導率を有する電気的絶縁層と、前記保持面のうち任意の2面の境界上に位置し、該支持手段の短辺方向に平行な任意の軸に沿った所定形状に貫通された切りかき部とを備えてもよい。さらに、前記支持手段は、1個体のみ備えられてもよい。
【0013】
この構成により、正多角形柱を構成する保持面に沿って、支持手段を密着配置することができるという効果がある。支持手段は、柔軟性を有しており、よって1個体のみの支持手段により照明装置を構成することができる。このことは、低コスト化につながる。
【0014】
ここで、前記固体発光素子は、アノード電極とカソード電極とを有するパッケージ品であり、前記支持手段は、さらに、前記アノード電極が接合されるパッドであるアノードパッド部と、前記カソード電極が接合されるパッドであるカソードパッド部とを備え、前記アノードパッド部と前記カソードパッド部とは、該支持手段の短辺方向に平行な所定の軸上に位置してもよい。
【0015】
この構成により、パッケージ品である固体発光素子の支持手段への接合部分に、負荷がかかることを防止できるという効果がある。
【0016】
ここで、前記固体発光素子は、ベアチップ半導体であってもよい。
この構成により、稠密に配置できるという特徴があるベアチップ半導体を使用した照明装置を実現できるという効果がある。
【0017】
ここで、全ての前記保持面は、同一個数の前記固体発光素子を保持してもよい。
この構成により、本照明装置による照明(配光特性)の均一性を向上できるという効果がある。
【0018】
ここで、前記反射手段は、前記保持面毎に該保持面に対向する反射面を備えてもよい。
この構成により、固体発光素子より発せられた光を効率的に反射し、照明に供することができるという効果がある。
【0019】
ここで、前記照明装置は、また、前記固体発光素子が発した光を拡散する拡散手段を備えてもよい。また、前記拡散手段は、前記反射面の表面に備えられ、ディンプル形状、又は凹凸形状であってもよい。
【0020】
この構成により、本固体発光素子から発せられた光の指向性を弱めることができるという効果がある。
【0021】
ここで、前記中心軸に沿った断面において、前記反射面は、楕円弧形状であり、前記固体発光素子が該楕円弧形状の一方の焦点上に配置されてもよい。また、前記中心軸と前記楕円弧形状の長辺軸とがなす角度が所定範囲の値であると共に、前記楕円弧形状の他方の焦点は、前記開口部の付近又は前記開口部の外部に配置されてもよい。
【0022】
この構成により、本照明装置による照明(配光特性)を容易に規定できるという効果がある。
【0023】
ここで、前記固体発光素子は、発光色に基づき2以上のグループに分けられ、前記グループ毎に発光制御されてもよい。
【0024】
この構成により、本照明装置による照明の色調を任意に設定できるという効果がある。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、製造に係るコストの削減にも配慮したハイパワーLEDを使用した照明装置、特に従来のランプ類により実現されてきたダウンライト、スポットライトにかわるハイパワーLEDを使用した照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明に係る照明装置の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る照明装置1は、従来ランプ類を用いて構成されていたダウンライト、スポットライト(以下、従来品と記載。)にかわる固体発光素子32が発する光を利用し照明を行うものであって、固体発光素子32が配置される中空部56を有し、中空部56の一方向に開口部57を有する筐体部2と、中空部56内に配置され、固体発光素子32が発する光を反射する反射ユニット54とを備え、中空部56の一部の内壁面は、法線が直角方向から筐体部2の中心を通る軸である中心軸に向かう平面からなる固体発光素子32の保持面41を複数構成し、反射ユニット54は、固体発光素子32が発した光を開口部57に向け反射する。このような構成をとることにより、固体発光素子32を平面的に配置することが可能となり、従来品と比較して部品点数の削減・コストダウンを図ることが可能となる。
【0028】
まず、本発明の実施の形態1に係る照明装置1の構成を説明する。図1は、照明装置1の外観を示す斜視図である。図2は、照明装置1の側面(図1に示すA方向)から見た平面図である。図3は、照明装置1の発光方向(図1に示すB方向)から見た平面図である(なお、説明のため保護用透光板51は取り外した状態としている)。図4は、図2におけるC1−C2面(筐体部2の中心軸に沿った面)における照明装置1の構造を示す断面図である。図5は、図2におけるD1−D2面における照明装置1の構造を示す断面図である。
【0029】
図1〜図5に示すように、照明装置1は、筐体部2と、保護用透光板51とを備える。また、その内部には、基板31(本発明の支持手段に相当する。)、固体発光素子32、電源ユニット52、配線ケーブル53、反射ユニット54(本発明の反射手段に相当する。)が具備されている。
【0030】
筐体部2は、本発明の筐体手段に相当し、通常放熱性を鑑み、熱伝導率が高い金属(好ましくは、熱伝導率が200[W/(m・K)以上]の金属)により構成される。例えば、筐体部2は、アルミニウムで構成される。筐体部2にアルミニウムを用いる理由としては、安価であること、成形が行いやすいこと、リサイクル性が良いこと、熱伝導率が200[W/(m・K)以上]以上であること、及び、放熱特性が高いことなどが挙げられる。さらに、アルミニウムで構成した筐体部2をアルマイト処理することも効果的である。筐体部2の表面積を拡大することができ、放熱性を高める効果がある。
【0031】
なお、本実施の形態においては、筐体部2を円柱として構成しているが、これに限定されるものではない。三角柱や、四角柱などであって良く、必要に応じて任意に設定してよい。
【0032】
筐体部2は、中空部56(本発明の中空構造に相当する。)を備える。また、中空部56は一方向に開口部57を有する。図6は、筐体部2を開口部57方向から見た平面図である。図7は、筐体部2の中心軸に沿った面の構造を示す断面図である。
【0033】
図6及び図7に示すように、中空部56の内壁面は、法線が直角に筐体部2の中心軸(筐体部2の中心軸とは、筐体部2の中心を通る軸であり、本実施の形態では筐体部2を円柱として構成しているが、筐体部2の中心を通り前記円柱の高さ方向に沿った軸である。)へと向かう保持面41が複数備えられる。この保持面41は、固体発光素子32を保持する。具体的には、固体発光素子32が実装される基板31が密着配置される(すなわち、基板31を介し、固体発光素子32を保持する。)。
【0034】
保持面41は、筐体部2の中心軸の周方向に正多角形柱空間を形成するように(正多角形柱空間の側面となるように)配置される(なお、本実施の形態においては正12角形柱として表しているが、これに限定されない。正3角形柱、正4角形柱等であってもよい)。
【0035】
このように保持面41を配置する理由であるが、部品点数を減らしコストを削減するためである。照明装置1に使用する基板31は柔軟性を有するものであって、正多角形柱空間の側面を形成する全ての保持面41に対し、容易に密着配置することができる。すなわち、正多角形柱空間の側面(複数の保持面41)に沿って、基板31は配置され、故に1個体のみの基板31により照明装置1を構成することも可能となる。このことは、コスト削減へとつながる。
【0036】
また、照明装置1は、従来品にかわる照明装置である。そのため、照明装置1には、明るさが従来品と同等以上であり、また大きさについては従来品と同等であることが求められる。
【0037】
まず、明るさについてであるが、固体発光素子32としてハイパワーLEDを採用する。この際多数個のハイパワーLEDを使用する必要がある。照明装置1は、多数個のハイパワーLEDを具備しており、故に明るさの要求を満たすことが可能である。
【0038】
ただし、上記のように多数個のハイパワーLEDを採用することで、照明装置の大きさが大きくなっては、大きさに対する要求を満たすことができない。そこで、照明装置1では、中空部56の側面である保持面41が固体発光素子32(ハイパワーLED)を保持する。
【0039】
ここで、保持面41の総和の面積は、筐体部2の底面43の面積より広くすることが容易にできる。よって、照明装置1は、筐体部2を大きくすることなく、コンパクトに多数個の固体発光素子32(ハイパワーLED)を配置することができる。そのため、上記大きさの要求にもこたえることができる。
【0040】
基板31は、本発明の支持手段に相当し、筐体部2の有する中空部56の内側に配置される。図8は、基板31の構成を示す図である。基板31は、略長方形状である。図8は、その一例であって、ベース部61、絶縁層62及び配線層63により構成され、平面状の基板である。なお、配線層63の絶縁層62と逆側の表面には、素子取り付け用パッド66、配線用パッド67を除く部分にレジスト膜が構成されている。
【0041】
ここで、ベース部61は、柔軟性を有する金属板である。具体的には、ステンレス等の金属である。厚みは、柔軟性を確保できる範囲で任意であってよいが、発明者らの試験によれば、厚さ0.2[mm]が最適であった。
【0042】
絶縁層62も、柔軟性を有し、十分な絶縁耐圧(電気的絶縁性)を備える絶縁層である。ここで、柔軟性を有する絶縁層としては、従来ポリイミド等が用いられてきた。しかしながら、このポリイミドの熱伝導率は、0.2[W/(m・K)]程度である。この値は非常に小さい値であり、固体発光素子32としてハイパワーLEDを使用する場合、その実装基板として用いることは適切ではない。ハイパワーLEDから発生した熱の放熱を行うことが困難となり、ハイパワーLEDの故障へとつながる可能性が危惧される。
【0043】
発明者らが採用した絶縁層62は、このポリイミドより高い熱伝導率を有するものであり、少なくとも1[W/(m・K)]以上の熱伝導率を有するものを採用した。この絶縁層62には、熱伝導率を高めるためフィラーが添加されている。さらには、柔軟性、絶縁耐圧共に実用に耐えうる性能を有することを確認している。
【0044】
配線層63は、銅などの金属からなり、配線及び素子取り付け用パッド66及び配線用パッド67が形成される層である。配線層63の厚みは任意であってよいが、数十〜数百[μm]であることが望ましい。このことにより、基板31の柔軟性を阻害することは発生しない。以上より、柔軟性を有し、かつ熱伝導率の高い基板31を構成することができる。
【0045】
ここで、基板31には貫通孔であり、軸Eに沿った切りかき部65が設けられている。なお、軸Eとは、基板31の短辺方向に平行な任意の軸である。ただし、軸E上には固体発光素子32は存在しない。
【0046】
この切りかき部65は、基板31の曲げ部となる部分である。基板31は、放熱性を高めるためベース部61に金属を用いており、発明者らは、柔軟性に富んだ金属であるステンレス(厚さ0.2[mm])を採用している。
【0047】
ただし、ステンレスは、ばね性が強く、所望の位置で曲げることが難しい。そのため、発明者らは、切りかき部65を設けることで、基板31においても所望の位置で曲げが行えるように工夫した。すなわち、切りかき部65が存在することにより、基板31を所望の位置、かつ基板31の短辺方向に平行に曲げることができる。
【0048】
所望の位置で、かつ基板31の短辺方向に平行に、基板31の曲げを行うことは、後述する基板31と、筐体部2とを密着させることと密接に関連するため重要である。
【0049】
なお、切りかき部65は、図5で示すように隣り合う保持面41の境界位置42上に配置できることを条件に、任意に形状、及び個数を設定してよい。
【0050】
ただし、全ての保持面41に同一個数の固体発光素子32が保持できるように設定することが肝要である(本実施の形態においては、全ての保持面41に固体発光素子32が1個保持されるとしているが、1個に限定されるものではない。2個以上であっても良い。)。もし、各保持面41に保持される固体発光素子32の個数が同一でないならば(すなわち、バラバラの個数であれば)、照明装置1の配光が筐体部2の中心軸に対する周方向に不均一となるためである。
【0051】
また、ここで使用した固体発光素子32は、アノード電極とカソード電極とを有しセラミック又は樹脂等の筐体にベアチップ半導体がパッケージされたパッケージ品である。基板31の短辺方向と平行な所定の軸である軸F上(ただし、軸Fは軸E上には設けられない。)に、素子取り付け用パッド66としてアノードパッド部66a及びカソードパッド部66bを設けて、それらに半田付け等によりアノード電極及びカソード電極を夫々実装することが望ましい。
【0052】
ここで、基板31の短辺方向と平行な軸F上に、アノードパッド部66a及びカソードパッド部66bを設ける理由であるが、基板31は切りかき部65で曲げを行う。この曲げを行う軸Eは、前述のように基板31の短辺方向と平行な軸である。
【0053】
この際、アノードパッド部66a及びカソードパッド部66bも基板31の短辺方向と平行な軸F上に設けられているため、基板31を曲げる際に、アノードパッド部66a及びカソードパッド部66bへの固体発光素子32のアノード電極、カソード電極の実装に伴い形成される半田付け部(不図示)に、負荷がかかることを防ぐことが可能となる。
【0054】
仮に、半田付け部(不図示)に負荷がかかった場合、半田クラック等の発生が危惧される。そのため、発明者らはアノードパッド部66a及びカソードパッド部66bを、基板31の短辺方向と平行な軸F上に設けることで、アノードパッド部66a及びカソードパッド部66bにおける半田付け部(不図示)に負荷がかかることを防いだ。
【0055】
配線用パッド67は、固体発光素子32に給電する電源ユニット52からの電気配線である配線ケーブル53が、電気的に接続される。この際の接続は、以下の通りの構造を有する。
【0056】
配線用パッド67には、中継部品71が実装される。この中継部品71とは、図9に示す構成を有する。図9は中継部品71の外観を示す斜視図である。
【0057】
中継部品71は、図9に示す通り側面から見た形状が略コの字形状である。すなわち、中継部品71は、配線用パッド67に接続される平面状の第1部材74と、第1部材74の配線用パッド67に接続される面と反対の面の、第1部材74の長手方向の両端に、第1部材74と垂直に接続される2つの尖塔部72とを備える。
【0058】
ここで、中継部品71の形状は、コの字形状に限定されるものではなくL字形状であってもよい。すなわち、中継部品71は、配線用パッド67に接続される平面状の第1部材74と、第1部材74の配線用パッド67に接続される面と反対の面の、第1部材74の長手方向の一端に、第1部材74と垂直に接続される1つの尖塔部72とを備えてもよい。しかしながら、基板31への実装の利便性を考えればコの字形状であることが望ましい。
【0059】
その理由は、次に示す通りである。基板31への中継部品71の実装を行う際には、自動実装装置を用いて行うことが照明装置1を量産する上で効率的である。このとき、中継部品71をエンボステーピング化し、基板31に自動的に配置する。
【0060】
その際、中継部品71がもし、L字形状であれば、基板31の自動配置時に中継部品71のバランスが崩れ、所望の位置に配置することが難しくなる。一方、コの字形状であれば、中継部品71のバランスの崩れが発生せず、基板31の自動配置を所望の位置に行うことができる。
【0061】
また、中継部品71は導電性を有する材質で構成される。また、図10に示すように中継部品71は、半田付けにより基板31の配線用パッド67に実装される。さらには、尖塔部72は半田付けにより配線ケーブル53のラグ端子68と接続される。そのため、中継部品71には、半田付けに耐えうる耐熱性を有する材質を選択する必要がある。通常、中継部品71は、アルミニウム又は銅等の金属により構成される。
【0062】
また、中継部品71は、リフロー半田法により配線用パッド67に実装されることが望ましい。これにより、簡便かつ確実に、中継部品71を配線用パッド67に実装できる。
【0063】
また、中継部品71の尖塔部72には、所定の段73が設けられることが望ましい。このようにすることにより、配線ケーブル53の絶縁層が取り除かれた端部に半田付け、又はカシメ止めにより装着されたラグ端子68を、中継部品71の尖塔部72に挿入した状態において両者を半田付けにより接合する際の半田形状が、ラグ端子68上下から挟み込むようになり、より確実に接合することが可能となる。なお、中継部品71の尖塔部72に挿入した状態において両者接合する際の半田付けは、半田ごてを利用した手半田であってもよい。
【0064】
ここで、従来、基板31に配線ケーブル53を電気的に接続する際には、配線ケーブル53の端部を、配線用パッド67にスポット半田法(半田ごてを利用した手半田など)により接続していた。
【0065】
しかしながら、この方法では、半田付けのみにより配線用パッド67と配線ケーブル53とが接続されているため、接続の強度が十分ではない。よって、万が一の大地震の発生などに伴う振動により、配線用パッド67から配線ケーブル53が外れる可能性がある。特に、基板31は金属基板であり、金属基板の熱伝導性が高いので、配線用パッド67の温度を所望の温度に上昇させることが難しい。そのため、半田付け不良により、配線用パッド67から配線ケーブル53が外れるリスクが高まってしまう。
【0066】
この対策としては、基板31に配線用スルーホール部(不図示)を設けることも考えられる。このようにすれば、確かに配線ケーブル53が、配線用スルーホール部(不図示)から外れるリスクを低減することができる。
【0067】
しかしながら、基板31は金属基板であるため、余分な部分まで電気的に接続されてしまい、電気的な短絡を発生してしまうなどの問題がある。したがって、スルーホール部(不図示)を設けることは容易ではない。
【0068】
また、リフロー法を用いて基板31に取り付けることができるコネクタ端子が開発されているが、このようなコネクタ端子は、概してその体積が大きい。そのため、基板31に実装される固体発光素子32からの発光をコネクタ端子が遮ってしまうという問題がある。
【0069】
それに対し、照明装置1に採用した中継部品71は非常にコンパクトであり、そのような問題が発生しない。故にそのメリットは大きい。
【0070】
ここで、基板31は、筐体部2(保持面41)とは密着させることが必要である。これは、固体発光素子32で発生した熱を、基板31を介して、筐体部2に伝熱し、その表面より、大気中へ放熱するためである。
【0071】
もし、基板31と、筐体部2(保持面41)の密着性が低いのであれば、その間に空気が入り込んでしまう。空気の熱伝導率は低いため、基板31から筐体部2への伝熱性が低下する。このことを避けるため、基板31と筐体部2(保持面41)との間に、両面テープ(不図示)などを挟みこみ、密着性を高めることが望ましい。
【0072】
なお、両面テープを使用する場合には、基材を含まないものを選択することが肝要である。それは、基材は熱伝導率が低いので、基板31から筐体部2への熱伝導が阻害されるためである。
【0073】
また、保持面41は、平面であることが必要である。もし保持面41が曲面として構成されたのであれば、基板31と筐体部2(保持面41)とを密着することが不可能となる。これは、基板31上には、前述のごとく固体発光素子32が、アノードパッド部66a及びカソードパッド部66bに半田付けされることにより実装されている。この半田付け部(不図示)には、柔軟性がないため曲げることが不可能であり、よって、その部分を曲面に密着させることは不可能である。以上より、保持面41は平面であることが必要である。
【0074】
また、隣り合う保持面41の境界位置42に切りかき部65が位置するよう、基板31を配置することが必要である。切りかき部65は、上記のように基板31の曲げを行う位置である。したがって、隣り合う保持面41の境界位置42と、基板31の曲げ位置とが一致することとなる。このようにすることは、基板31と、保持面41との密着性を高めることにつながる。
【0075】
もし、隣り合う保持面41の境界位置42と、基板31の曲げ位置とにずれがあると、基板31の曲げ位置が保持面41上に干渉してしまう。このことは、基板31と保持面41との密着性を阻害する要因となる。よって、隣り合う保持面41の境界位置42上に切りかき部65が位置するように基板31を配置することは肝要なことである。
【0076】
以上のように、基板31は、筐体部2の中空部56の内壁面であり、筐体部2の中心軸の周方向に正多角形柱空間(ここでは、正12角形柱)を形成する保持面41上に密着配置される。このような構成をとるため、照明装置1は、多数個の固体発光素子32を実装した平面状である基板31を用いて構成することができる。
【0077】
固体発光素子32は、基板31に配置される。固体発光素子32は、例えば、LEDである。固体発光素子32は、1個当たりの消費電力が1W以上のいわゆるハイパワーLEDであり、表面実装型のLEDである。ハイパワーLEDは、光度が高く照明装置用途に好適である。照明装置1を一般的な照明として使用する場合、使用する固体発光素子32の発光色は、昼光色、昼白色、白色、温白色又は電球色に相当する色などが好適である。具体的には、例えば、複数の固体発光素子32は、JISZ9112「蛍光ランプの光源色及び演色性による区分」の4.2「色度範囲」に規定された昼光色、昼白色、白色、温白色又は電球色に相当する光を発光する。
【0078】
また、複数の固体発光素子32は、ピーク波長が380〜500nmの光である青色を発光してもよい。青色は、精神的興奮を抑える効果があるといわれている。そのため、青色を発光する照明装置1は、防犯灯として好適である。
【0079】
ところで、固体発光素子32に使用されるハイパワーLEDは、消費電力が大きく、その分、熱として放出されるエネルギーも大きい。そのため、この熱が、ハイパワーLEDの近傍に蓄積すると、光度低下や、寿命特性の劣化等を招く。したがって、この熱を適切に処理することが肝要である。
【0080】
そこで、固体発光素子32に使用されるハイパワーLEDは、表面実装型のLEDである。表面実装型のLEDを使用する理由としては、LED自身の電極面積が大きく、故に基板31に接触する面積が大きくなる。すなわち、表面実装型のLEDでは、発生した熱を効率的に基板31に熱伝導することができる。
【0081】
また、基板31は、上記のように熱伝導性の高い金属基板であり、筐体部2(保持面41)に密着して構成されている。また、筐体部2も熱伝導が高く、放熱性も高い金属(発明者らはアルミニウムを採用している)により構成されている。故に、照明装置1においては、固体発光素子32において発生した熱を適切に放熱することが可能である。
【0082】
保護用透光板51は、本発明の保護板に相当し、固体発光素子32などを保護するものであって、筐体部2の中空部56が有する開口部57に取り付けられている。透光性を有し、照明装置1の発光方向に配置される。保護用透光板51は、例えば平板状に形成される。保護用透光板51は、透明なガラス、アクリル樹脂又はポリカーボネート等により形成される。
【0083】
また、保護用透光板51の表面又は/及び裏面には、表面処理により、微細な凹凸を不均一に形成してもよい。この表面処理は、例えば、サンドブラスト法を適用することにより容易に行うことができる。このことにより、固体発光素子32から発せられた光を拡散する(本発明の拡散手段に相当する。)。固体発光素子32から発せられた光は、指向性が強いので、局所的に照射される傾向にある。固体発光素子32から発せられた光を表面処理された保護用透光板51により拡散することによって、光の指向性を弱め、広い面積に均一に光を照射することができる。これは、特に照明装置1をダウンライトとして使用する場合に有効である。
【0084】
なお、保護用透光板51は、その構成材料に拡散剤を添加することにより、固体発光素子32から発せられた光を拡散しても良い。さらに、この拡散剤を添加し構成した後、その表面又は/及び裏面に表面処理を行い、微細な凹凸を不均一に形成することで、拡散効果を高めても良い。
【0085】
電源ユニット52は、商用電源(不図示)から供給を受けた交流を直流化し、固体発光素子32に電源供給を行う。この電源ユニット52は、長寿命なものであることが望ましい。これは、固体発光素子32をハイパワーLEDとした場合において、ハイパワーLEDは非常に長寿命である。したがって、それと同程度の寿命を有する電源ユニット52を採用することが好ましい。
【0086】
またこの場合において、ハイパワーLED(固体発光素子32)に供給する電力を任意に制御可能なものであることも好ましい。ハイパワーLEDは、供給する電力を制御することにより自在に調光することが可能であるためである。ハイパワーLEDを調光することにより、必要な明るさを自在に設定することができ照明装置1の利用者の利便性を向上することが可能となる。
【0087】
配線ケーブル53は、電源ユニット52と基板31とを電気的に接続する電気ケーブルである。電源ユニット52において生成した直流を、基板31に設けられた配線用パッド67へと配電する。これにより、固体発光素子32へ直流が供給される。なお、配線ケーブル53と、配線用パッド67との接続は、中継部品71を介して接続される。
【0088】
反射ユニット54は、本発明の反射手段に相当し、筐体部2が有する中空部56の内部に配置される。
【0089】
反射ユニット54には、反射面55が複数備えられている。図中に示すように、反射面55が保持面41に1対1に対向して配置されるように構成することが好ましい。ここで1つの反射面55に対し、複数の保持面41が対向するように設定されても良いが、固体発光素子32から発せられた光を開口部57に効率よく導くためには、反射面55が保持面41に1対1に対向して配置されるように構成することが好ましい。
【0090】
反射面55は対向する保持面41上に配置されている固体発光素子32から発せられる光を反射して、筐体部2の開口部57に備えられる保護用透光板51を介し、照明装置1の外部へと光を導く役割を担う。図11は、図4と同様、筐体部2の中心軸に沿った面における照明装置1の構造を示す断面図であり、照明装置1において固体発光素子32から発せられた光の軌跡を示すものである。
【0091】
このように、照明装置1においては、固体発光素子32から発せられた光を反射面55にて開口部57方向へ向け反射する。この光は、保護用透光板51を介し照明装置1の外部へと導かれ、照明に供される。
【0092】
ここで、反射面55の表面の傾斜に沿った軸である表面軸が筐体部2の中心軸に対してなす角度αは、任意であってよいが、適切に固体発光素子32から発せられる光を反射して、筐体部2の開口部57に備えられる保護用透光板51を介し、照明装置1の外部へと光を導くことができる角度であることが肝要である。
【0093】
角度αは、筐体部2の大きさなどに応じて決定してよいが、発明者らの試作によれば、概ね40度から50度の範囲であれば良好な結果が得られている。
【0094】
ここで、特許文献1に開示されるLED照明器具においては、図22に示すように下面に開口部が設けられた筐体1310と、周部に比べて中央部が凹んだドーム状であって、中央部を上側にして筐体1310内に収納された凹面鏡1314と、凹面鏡1314の周部に沿って、発光面を凹面鏡1314の中央部側にしてLED1302が複数配置される。その上でLED1302からの光を、凹面鏡1314で反射することによって、筐体1310の開口部を通して照明を行うとされている。
【0095】
しかしながら、特許文献1に開示されるLED照明器具は、以下の点で問題点があると考えられる。それは、特許文献1には明示されていないが、LED1302は基板上に実装し、その上でLED照明器具に配置することが一般的である。この際、平面状の基板に複数のLED1302を実装し、その上でLED照明器具に配置することが望ましい。このようにすることにより、製造に係るコストの削減を図ること等のメリットがある。しかしながら、特許文献1に開示されるLED照明装置においては、図22に記載されている通り、LED1302はキャップ部1312に取り付けられているものの、円周に沿って、発光面を凹面鏡1314の中央部側にして配置されている。したがって、LED1302を立体的に配置することが必要になる。
【0096】
そのため、上記のように平面状の基板に複数のLED1302を実装し、その上でLED照明器具内に配置することは困難であると考えられる。したがって、個々のLED1302毎に別の個体の基板に実装することが必要であると推定される。このことは、製造に係るコストの増大に直接的につながる。
【0097】
一方、照明装置1は、保持面41が筐体部2の中心軸の周方向に正多角形柱空間を形成するように(正多角形柱空間の側面となるように)配置される。また、照明装置1に使用する基板31は柔軟性を有するものであって、正多角形柱空間の側面を形成する全ての保持面41に対し、容易に密着配置することができる。すなわち、正多角形柱空間の側面(複数の保持面41)に沿って、基板31は配置され、故に1個体のみの基板31により照明装置1を構成することも可能となる。このことは、コスト削減へとつながる。
【0098】
また、照明装置1は、従来品(従来ランプ類を用いて構成されていたダウンライト、スポットライト)にかわる照明装置である。そのため、照明装置1には、明るさが従来品と同等以上であり、また大きさについては従来品と同等であることが求められる。
【0099】
まず、明るさについてであるが、固体発光素子32としてハイパワーLEDを採用する。この際多数個のハイパワーLEDを使用する必要がある。照明装置1は、多数個のハイパワーLEDを具備しており、故に明るさの要求を満たすことが可能である。
【0100】
ただし、上記のように多数個のハイパワーLEDを採用することで、照明装置の大きさが大きくなっては、大きさに対する要求を満たすことができない。そこで、照明装置1では、中空部56の側面である保持面41が固体発光素子32(ハイパワーLED)を保持する。
【0101】
ここで、保持面41の総和の面積は、筐体部2の底面43の面積より広くすることが容易にできる。よって、照明装置1は、筐体部2を大きくすることなく、コンパクトに多数個の固体発光素子32(ハイパワーLED)を配置することができる。そのため、上記大きさの要求にもこたえることができる。
【0102】
(変形例1)
本発明の実施の形態1の変形例1に係る照明装置121が、照明装置1と異なる点は、反射ユニット54が反射ユニット122に変更されるのみである。よって、そのほかの構成要素については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0103】
図12は、照明装置121の筐体部2の中心軸に沿った面の構造を示す断面図である。反射ユニット122には、反射ユニット54と同様に保持面41に対向するよう反射面123を備える。この反射面123には微細なディンプル形状(球面状のへこみ)が備えられる。
【0104】
反射面123にこのような形状を設ける理由であるが、固体発光素子32から発せられる光を拡散するためである。光の指向性を緩和する目的で設けられる。
【0105】
(変形例2)
本発明の実施の形態1の変形例2に係る照明装置131が照明装置1と異なる点は、反射ユニット54が反射ユニット132に変更されるのみである。よって、そのほかの構成要素については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0106】
図13は、照明装置131の筐体部2の中心軸に沿った面の構造を示す断面図である。反射ユニット132には、反射ユニット54と同様に保持面41に対向するよう反射面133を備える。この反射面133には微細な凹凸形状が備えられる。
【0107】
反射面133にこのような形状を設ける理由であるが、実施の形態1の変形例1に示す照明装置121の反射面123と同様、固体発光素子32から発せられる光を拡散するためである。光の指向性を緩和する目的で設けられる。
【0108】
(変形例3)
本発明の実施の形態1の変形例3に係る照明装置141が照明装置1と異なる点は、反射ユニット54が反射ユニット142に変更されるのみである。よって、そのほかの構成要素については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0109】
図14は、照明装置141の発光方向から見た平面図である。ここでは説明のため、保護用透光板51を取り外した状態で示している。
【0110】
反射ユニット142は、反射ユニット54と同様に保持面41に対向するよう反射面143を備える。この反射面143には、筐体部2の中心軸の周方向に凹面が設けられる。凹面が設けられることにより、固体発光素子32から発せられた光は凹面の焦点に集光されるが、焦点通過後は筐体部2の中心軸の周方向に発散される(焦点通過後の光が照明に供される)。
【0111】
このことにより、照明装置141は、筐体部2の中心軸の周方向の光の均一性を向上することができる。
【0112】
なお、上記においては筐体部2の中心軸の周方向に凹面を設けるとしたが、凸面であっても良い。この場合においてもほぼ同様の効果が得られる。
【0113】
また、反射面143の表面に、ディンプル形状、又は凹凸形状を備えてもよい。
【0114】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る照明装置151は、反射面153が楕円弧形状となっている。楕円弧形状の楕円率を任意に設定することにより所望の配光特性が得られるという特徴を有している。
【0115】
本発明の実施の形態2にかかる照明装置151が、照明装置1と異なる点は、反射ユニット152のみである。そのほかの構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0116】
図15は、照明装置151の外観を示す斜視図であり、図16は、照明装置151を図15のG方向(発光方向側)から見た平面図である(説明のため、保護用透光板51は取り外された状態を示している)。図17A及び図17Bは、筐体部2の中心軸に沿った面における構造を示す断面図である。
【0117】
反射ユニット152は、反射ユニット54と同様、保持面41に対向するよう反射面153を備える。反射面153は、固体発光素子32を一方の焦点とし、その長辺軸と筐体部2の中心軸とのなす角βが、所定の範囲内である楕円弧形状となっている(図17A参照)。
【0118】
長辺軸と筐体部2の中心軸とのなす角βは、筐体部2の形状等に基づき任意に設定してよいが、発明者らの試作においては、概ね40度〜50度の範囲であれば良好な結果が得られている。
【0119】
ここで、照明装置151においては、反射面153の楕円率を設定することにより照明範囲(配光特性)を任意に設定することが可能であるという特徴を有している。なお、楕円率とは、楕円(楕円弧形状)の短半径と長半径との比である。このことを、反射ユニット152にかわり、反射面153―1を有する反射ユニット152―1を使用した照明装置151―1と比較することにより説明する。図18A及び図18Bは、照明装置151―1における筐体部2の中心に沿った面における構造を示す断面図である。
【0120】
反射面153と、反射面153―1との相違点であるが、楕円率が異なる点である。反射面153の楕円率は、反射面153―1の楕円率と比較して大きな値となっている。
【0121】
この場合において、図17B、及び図18Bに示す光の軌跡の通り、固体発光素子32から発せられ、反射面153により反射された光は、反射面153―1に反射された光と比べより広い範囲に向け届けられる。すなわち、照明範囲が広くなる。
【0122】
したがって、照明装置151においては、反射面153の楕円率を所望の照明範囲(配光特性)に応じて設定する。このことにより、容易に所望の照明範囲(配光特性)を得ることができる。
【0123】
ただし、この際、楕円(楕円弧形状)の一方の焦点を固体発光素子32としているが、他方の焦点154(154―1)の位置を、開口部57付近、又は開口部57の外側(照明装置1の外部かつ発光方向側)に設定することが必要である。すなわち、焦点154(154―1)の位置が、開口部57付近、又は開口部57の外側となるよう楕円率を設定する必要がある。
【0124】
この理由であるが、固体発光素子32より発せられ、焦点154(154―1)に集光された光は、図17B、及び図18Bに示す光の軌跡の通り、焦点154(154―1)通過後において再び広がる(発散する)。そのため、もし焦点154(154―1)を、中空部56内部に設定した場合、焦点154(154―1)に集光された光が中空部56内部で再び広がってしまい、反射面153(153―1)以外の部分(保持面41等)に当該光が接触することになる。このことは、所望の照明範囲(配光特性)を得られない原因となり、また固体発光素子32により発せられた光のロスへとつながってしまうためである。
【0125】
なお、反射面153に、ディンプル形状又は凹凸形状を設けることで固体発光素子32から発せられる光を拡散しても良い。また、反射面153の筐体部2の中心軸の周方向に凹面、又は凸面を設けることにより、筐体部2の中心軸の周方向の光の均一性を向上しても良い。
【0126】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る照明装置211は、ベアチップ半導体213から発せられる光を利用した照明装置である。ベアチップ半導体213は、稠密に配置することができるという特徴を有している。そのため各保持面41に発光色の異なるベアチップ半導体213を複数稠密に備え、これらを発光色毎に独立に発光制御することにより、所望の色調を得られるという特徴を有している。
【0127】
本発明の実施の形態3にかかる照明装置211が、照明装置1と異なる点は、基板31が基板212に変更される点と、固体発光素子32がベアチップ半導体213に変更される点のみである。そのほかの構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0128】
図19は、照明装置211の外観を示す斜視図であり、図20は、照明装置211を図19のH方向(発光方向側)から見た平面図である(説明のため、保護用透光板51は取り外した状態を示している)。図21は、基板212の構成を示す図である。
【0129】
基板212の基板31との相違点は、配線層63が配線層231に変更される点のみである。その他の構成は基板31と同一であり、よって同一符号を付し説明を省略する。
【0130】
配線層231は、ベアチップ半導体213が配置できるよう実装パッド(不図示)が設けられ、実装パッド(不図示)上にベアチップ半導体213が実装されている。
【0131】
ベアチップ半導体213は、各保持面41に対し同一個数(ここでは9個のベアチップ半導体213が備えられるとしたが、これに限定されない。)が配置できるよう基板212に配置される。
【0132】
また、ベアチップ半導体213は、ハイパワーLEDにも使用されるLEDベアチップを採用している。このようなLEDベアチップは、光度の高い発光ができ、照明用途に適している。
【0133】
また、ベアチップ半導体213は、その組成により任意に発光色を設定できる。そのため、各保持面41に対し、同一の割合で発光色の異なる複数種類のベアチップ半導体213を配置し、種類毎に独立して発光制御(すなわち、種類毎に独立して供給する電力を設定)することも好ましい。
【0134】
例えば、3種類のベアチップ半導体213a、213b及び213cを3個ずつ各保持面41に配置できるように実装パッド(不図示)上に実装する。213aを青色発光、213bを赤色発光、213cを緑色発光とすることにより、照明装置211においては、任意の発光色を実現することが可能となる。
【0135】
このことは、照明装置211をシーン(時刻、季節等)に応じた発光色とすることができるということであり、その利用者に対し利便性を提供することへとつながる。
【0136】
なお、照明装置211において、反射ユニット54は、反射ユニット122、132、142及び152等に変更できることはいうまでもない。
【0137】
なお、本発明の照明装置1、121、131、141、151及び211は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で自由に変形して実施することができる。
【0138】
例えば、固体発光素子32として、LEDを使用することを例示したが、ELを使用してもよい。ELもLED同様注目を集める新しい光源である。
【0139】
また、照明装置151において、その楕円弧形状の楕円率の異なる複数の反射領域を有する反射ユニット(反射面)を用いる。その上で、反射に供する反射領域を選択可能とすることで、配光特性を必要に応じて選択することができる照明装置151を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明は、照明装置に適用でき、特に、光源にLEDなどの固体発光素子を用いた照明装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】本発明の実施の形態1に係る照明装置1の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る照明装置1のA方向から見た平面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る照明装置1のB方向から見た平面図(保護用透光板51を取り除いた状態)である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る照明装置1のC1−C2面(筐体部2の中心軸に沿った面)における構造を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る照明装置1のD1−D2面における構造を示す断面図である。
【図6】筐体部2を開口部57方向から見た平面図である。
【図7】筐体部2の中心軸に沿った面における構造を示す断面図である。
【図8】基板31の構成を示す平面図である。
【図9】中継部品71の外観を示す斜視図である。
【図10】基板31と配線ケーブル53との接続の様子を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態1に係る照明装置1のC1−C2面(筐体部2の中心軸に沿った面)における断面図であって、光の軌跡を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態1の変形例1に係る照明装置121であり、筐体部2の中心軸に沿った面における構造を示す断面図である。
【図13】本発明の実施の形態1の変形例2に係る照明装置131であり、筐体部2の中心軸に沿った面における構造を示す断面図である。
【図14】本発明の実施の形態1の変形例3に係る照明装置141であり、照明装置141の発光方向から見た構造を示す平面図である。
【図15】本発明の実施の形態2に係る照明装置151の外観を示す斜視図である。
【図16】本発明の実施の形態2に係る照明装置151のG方向から見た平面図である。
【図17A】本発明の実施の形態2に係る照明装置151の筐体部2の中心軸に沿った面における構造を示す断面図である。
【図17B】本発明の実施の形態2に係る照明装置151の筐体部2の中心軸に沿った面における断面図であって、光の軌跡を示す図である。
【図18A】本発明の実施の形態2の変形例に係る照明装置151―1の筐体部2の中心軸に沿った面における構造を示す断面図である。
【図18B】本発明の実施の形態2の変形例に係る照明装置151―1の筐体部2の中心軸に沿った面における断面図であって、光の軌跡を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態3に係る照明装置211の外観を示す斜視図である。
【図20】本発明の実施の形態3に係る照明装置211のH方向から見た平面図である。
【図21】基板212の構成を示す平面図である。
【図22】従来のLED照明装置の構造を示す図である。
【符号の説明】
【0142】
1、121、131、141、151、211 照明装置
2 筐体部
31、212 基板
32 固体発光素子
41 保持面
42 境界位置
43 底面
51 保護用透光板
52 電源ユニット
53 配線ケーブル
54、122、132、142、152 反射ユニット
55、123、133、143、153 反射面
56 中空部
57 開口部
61 ベース部
62 絶縁層
63、231 配線層
65 切りかき部
66 素子取り付け用パッド
66a アノードパッド部
66b カソードパッド部
67 配線用パッド
68 ラグ端子
71 中継部品
72 尖塔部
73 段
154 焦点
213、213a、213b、213c ベアチップ半導体
1302 LED
1310 筐体
1312 キャップ部
1314 凹面鏡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体発光素子が発する光を利用し照明を行う照明装置であって、
前記固体発光素子が配置される中空構造を有し、前記中空構造の一方向に開口部を有する筐体手段と、
前記中空構造内に配置され、前記固体発光素子が発する光を反射する反射手段と
を備え、
前記中空構造の一部の内壁面は、前記筐体手段の中心を通る軸である中心軸へと法線が直角に向かう平面からなる前記固体発光素子の保持面を複数構成し、
前記反射手段は、前記固体発光素子が発した光を前記開口部に向け反射する
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記照明装置は、さらに、
前記固体発光素子が実装される支持手段
を備え、
複数構成される前記保持面は、前記中心軸の周方向に正多角形柱空間を形成するよう配置されると共に、
前記支持手段は、全ての前記保持面に対し密着配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記支持手段は、略長方形状であると共に、
柔軟性を有する金属により構成されるベース部と、
1[W/(m・K)]以上の熱伝導率を有する電気的絶縁層と、
前記保持面のうち任意の2面の境界上に位置し、該支持手段の短辺方向に平行な任意の軸に沿った所定形状に貫通された切りかき部と
を備える
ことを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記支持手段は、1個体のみ備えられる
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記固体発光素子は、アノード電極とカソード電極とを有するパッケージ品であり、
前記支持手段は、さらに、
前記アノード電極が接合されるパッドであるアノードパッド部と、
前記カソード電極が接合されるパッドであるカソードパッド部と
を備え、
前記アノードパッド部と前記カソードパッド部とは、該支持手段の短辺方向に平行な所定の軸上に位置する
ことを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項6】
前記固体発光素子は、ベアチップ半導体である
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
全ての前記保持面は、同一個数の前記固体発光素子を保持する
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記反射手段は、前記保持面毎に該保持面に対向する反射面
を備える
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項9】
前記照明装置は、さらに、
前記固体発光素子が発した光を拡散する拡散手段
を備える
ことを特徴とする請求項8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記拡散手段は、前記反射面の表面に備えられ、ディンプル形状、又は凹凸形状である
ことを特徴とする請求項9に記載の照明装置。
【請求項11】
前記中心軸に沿った断面において、前記反射面は、楕円弧形状であり、
前記固体発光素子が該楕円弧形状の一方の焦点上に配置される
ことを特徴とする請求項8〜10の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項12】
前記中心軸と前記楕円弧形状の長辺軸とがなす角度が、所定範囲の値であると共に、
前記楕円弧形状の他方の焦点は、前記開口部の付近又は前記開口部の外部に配置される
ことを特徴とする請求項11に記載の照明装置。
【請求項13】
前記固体発光素子は、発光色に基づき2以上のグループに分けられ、
前記グループ毎に発光制御される
ことを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−117328(P2009−117328A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8467(P2008−8467)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【特許番号】特許第4124479号(P4124479)
【特許公報発行日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(300085037)株式会社モモ・アライアンス (34)
【Fターム(参考)】