説明

照明装置

【課題】 レンズ部の歪みを抑制し、被照明部材の照明品質が低下する虞のない照明装置を提供する。
【解決手段】 基板21に光源22が配設された光源ユニット23と、光源22からの照明光により照明される被照明部材24と、光源22からの照明光を集光させるレンズ部26aとこのレンズ部26aの周囲に延在するフランジ部26bとを有するレンズ部材26と、フランジ部26bを支持する支持部27aを有する第1のケース体27と、レンズ部26aに対応するように設けられる開口部28aを有する基部28bと基部28bに形成された壁部28cとを有する第2のケース体28とを備えてなる照明装置において、フランジ部26bには壁部28cに設けられた押圧部28eと当接する面取り部26cが設けられ、第1のケース体27と第2のケース体28とを固定したとき、押圧部28eからの押圧力Fを面取り部26cに作用させる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばヘッドアップディスプレイに搭載される液晶表示パネル(被照明部材)を照明するための照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の照明装置にあっては、例えば下記特許文献1に記載されているものが知られている。この特許文献1に記載の照明装置は、ヘッドアップディスプレイに搭載され、回路基板としての基板上に光源(LED)が実装(配設)された光源ユニットと、この光源ユニットの前方側に配置され、光源からの照明光により照明される液晶表示パネル(被照明部材)と、基板と液晶表示パネルとの間に配置されるレンズ部材とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−19027号公報
【0004】
ところで、図9は、ヘッドアップディスプレイに搭載される液晶表示パネルを照明するための照明装置の従来技術を示している。この図9において、照明装置100は、基板110上に光源120が実装された光源ユニット130と、この光源ユニット130の前方側に配置され、光源120からの照明光により照明される液晶表示パネル140と、基板110と液晶表示パネル140との間に配置されるレンズ部材150とを有している。
【0005】
この場合、レンズ部材150は、光源120からの照明光を集光させる凸レンズからなるレンズ部151と、このレンズ部151の周囲に延在する薄板状の一対のフランジ部152とを備え、フランジ部152を挟み込むように下側ケース体(第1のケース体)160と上側ケース体(第2のケース体)170とを用いて固定されている。
【0006】
下側ケース体160は、合成樹脂からなり、レンズ部材150の背後に配置され、一対のフランジ部152を背後から支持する略枠形状の支持部161と、この支持部161を取り囲むように支持部161の外側に位置する外壁部162と、支持部161の下端側と外壁部162の下端側とを連結する連結部163とを有し、略枠形状からなる支持部161の内部に形成された空洞部164を塞ぐように光源ユニット130が配設されている。
【0007】
また、この場合、支持部161の上端部は平坦面となっており、外壁部162の上端側には上側ケース体170に設けられる後述する爪部を係合するための孔部165が形成されている。なお、下側ケース体160は、ヘッドアップディスプレイの外装ケースである遮光性合成樹脂材料からなるハウジングに適宜固定手段を用いて固定されている。
【0008】
一方、下側ケース体160と対をなす上側ケース体170は、合成樹脂からなり、レンズ部151に対応するように設けられる開口部171を有する基部172と、レンズ部材150の側方を取り囲むように基部172の下方に垂下形成され、下側ケース体160の支持部161と対をなす略枠形状の周壁部(壁部)173と、下側ケース体160の外壁部162と対をなすように基部172両端部から背後に垂下形成された一対の弾性腕片174とを有し、この場合、周壁部173の下端部は平坦面となっており、また各弾性腕片174の下端部には孔部165に係合する爪部175がそれぞれ設けられている。
【0009】
そして、レンズ部材150を下側ケース体160と上側ケース体170とを用いて固定する場合には、例えば、まず支持部161の上端部と周壁部173の下端部との間にフランジ部152を位置させ、且つ、開口部171にレンズ部151が臨むようにようにレンズ部材150と下側ケース体160と上側ケース体170の三者を位置合わせし、次に下側ケース体160を上方(フランジ部152側)に平行移動させるとともに上側ケース体170を下方(フランジ部152側)に平行移動させる。
【0010】
すると、弾性腕片174に設けられた爪部175が外壁部162の孔部165に係合し、支持部161の上端部とフランジ部152の背面とが面接触するとともに周壁部173の下端部とフランジ部152の前面とが面接触することで、レンズ部材150が下側ケース体160と上側ケース体170とを用いて組み付け固定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述の図9に示した照明装置のように、弾性腕片174に設けられた爪部175を外壁部162の孔部165に係合させてレンズ部材150における薄板状のフランジ部152を下側ケース体160の支持部161と上側ケース体170の周壁部173とで挟み込む構成では、周壁部173とフランジ部152との面接触(または支持部161とフランジ部152との面接触)に伴いフランジ部152にはフランジ部152の板厚方向に沿い応力が作用し、例えばレンズ部材150をシクロオレフィンポリマー(COP)によって形成した場合には前記応力によってフランジ部152が変形することに起因してレンズ部151が歪み、被照明部材である液晶表示パネルの照明品質低下を招く虞がある。
そこで本発明は、前述の課題に対して対処するため、レンズ部の歪みを抑制し、被照明部材の照明品質が低下する虞のない照明装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、基板に光源が配設された光源ユニットと、前記光源ユニットの前方側に配置され、前記光源からの照明光により照明される被照明部材と、前記光源ユニットと前記被照明部材との間に配置され、前記光源からの照明光を集光させる第1レンズ部と前記第1レンズ部の周囲に延在する第1フランジ部とを有する第1レンズ部材と、前記第1フランジ部を支持する第1支持部を有する第1のケース体と、前記第1レンズ部に対応するように設けられる開口部を有する基部と前記第1レンズ部を取り囲むように前記基部に形成された第1壁部とを有する第2のケース体とを備えてなる照明装置において、前記第1フランジ部には前記第1壁部と前記第1支持部のうち少なくとも一方に設けられた第1押圧部と当接する第1当接部が設けられ、前記第1フランジ部を前記第1支持部と前記第1壁部とで挟み込むように前記第1のケース体と前記第2のケース体とを固定したとき、前記第1押圧部からの押圧力を前記第1当接部に作用させる構成としたことを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記第1当接部は、前記第1フランジ部に形成された面取り部であることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記第1レンズ部材と前記被照明部材との間に配置される第2レンズ部材は、前記第1レンズ部からの照明光を集光させる第2レンズ部と、前記第2レンズ部の周囲に延在する第2フランジ部とを備え、前記第1のケース体は前記第2フランジ部を支持する第2支持部を有しているいるとともに前記第2のケース体は前記第2レンズ部を取り囲むように前記基部に形成された第2壁部を有し、前記第2フランジ部には前記第2壁部に設けられた第2押圧部と当接する第2当接部が設けられ、前記第2フランジ部を前記第2支持部と前記第2壁部とで挟み込むように前記第1のケース体と前記第2のケース体とを固定したとき、前記第2押圧部からの押圧力を前記第2当接部に作用させる構成としたことを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記第2当接部は、前記第2フランジ部に形成された面取り部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、初期の目的を達成でき、レンズ部の歪みを抑制し、被照明部材の照明品質が低下する虞のない照明装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態によるヘッドアップディスプレイ装置の概略図。
【図2】同実施形態による表示装置の断面図。
【図3】同実施形態による照明装置の断面図。
【図4】図3中、A部を拡大して示す拡大断面図。
【図5】本発明の第2実施形態による照明装置の断面図。
【図6】本発明の第3実施形態による照明装置の断面図。
【図7】図6中、B部を拡大して示す拡大断面図。
【図8】図6中、C部を拡大して示す拡大断面図。
【図9】従来技術による照明装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)以下、図1〜図4に基づいて、本発明を車両用のヘッドアップディスプレイ装置に適用した一実施形態を説明する。
【0019】
ヘッドアップディスプレイ装置は、図1に示すように車両10のインパネ11内部に配設された表示ユニットである表示装置12が投射する表示光Lを投影部材である車両10のフロントガラス13で車両10の運転者(利用者)14の方向に反射させ、虚像Vの表示を行うものである。換言すれば、車両用ヘッドアップディスプレイ装置は、表示装置12の後述する表示器から発せられる表示光Lをフロントガラス13(前記投影部材)に照射(投射)し、この照射によって得られた虚像(表示像)Vを運転者14に視認させるものである。これにより運転者14は、運転席の正面前方に表示される虚像Vを風景と重畳させて観察することができる。
【0020】
表示装置12は、図2に示すように照明装置である表示器20と、反射器30と、ハウジング40とから主に構成されている。
【0021】
表示器20は、図3に詳しく示すように、基板である回路基板21上に複数個(例えば2個)の光源22が実装(配設)された光源ユニット23と、各光源22からの照明光により透過照明される被照明部材である液晶表示パネル24と、光源ユニット23と液晶表示パネル24との間に配置される拡散部材25と、この拡散部材25(光源ユニット23)と液晶表示パネル24との間に配置されるレンズ部材26と、拡散部材25及びレンズ部材26を保持する第1のケース体27と、この第1のケース体27の前方側に配置される第2のケース体28とを備えている。
【0022】
回路基板21は、例えば所定の配線パターンが施された硬質の配線基板からなり、前記配線パターン上に各光源22が搭載されている。
【0023】
光源22は、例えば適宜色を発するチップ型発光ダイオード(LED)からなり、拡散部材25(液晶表示パネル24)に照明光を供給する発光体である。
【0024】
液晶表示パネル24は、例えば一対の透光性基板に液晶を封入した液晶セルの前後面に偏光膜を各々設けたTFT(薄膜トランジスタ)型の液晶表示素子からなり、各光源22からの照明光(換言すればレンズ部材26から出射される平行出射光)を透過して表示光Lを形成する(発する)ように光源ユニット23(レンズ部材26)の前方側に配置されている。
【0025】
かかる液晶表示パネル24は、車両10に設けられる車速センサやエンジン回転センサからの出力信号に基づいて車速,エンジン回転数を計測する演算回路(図示せず)並びにこの演算結果に基づいて前記液晶を駆動する駆動回路(図示せず)によって、車両10の速度またはエンジン回転数の計測値を数値として表示することができる。
【0026】
なお、液晶表示パネル24によって表示される表示情報は、車速やエンジン回転数に限らず任意であり、例えば走行距離情報、ナビゲーション情報、外気温情報であってもよい。
【0027】
拡散部材25は、例えば乳白色を有する光透過性の合成樹脂からなり、略平板状に形成され、第1のケース体27の後述する仕切部に設けられる貫通孔部を塞ぐように前記仕切部上に載置されている。かかる拡散部材25は、各光源22から発せられ、レンズ部材26側へと向かう照明光を略均一に拡散させるための光拡散板としての機能を有している。
【0028】
レンズ部材26は、COP等の透光性合成樹脂からなり、背面側(拡散部材25側)が平坦面であるとともに前面側(液晶表示パネル24側)が凸面である凸レンズからなるレンズ部26aと、このレンズ部26aの周囲に延在する薄板状の一対のフランジ部26bとを備え、レンズ部26aは、光源22からの照明光(拡散部材25から出射される拡散出射光)を集光させる集光部としての機能を有している。なお、レンズ部材26、レンズ部26a、フランジ部26bは、特許請求の範囲の請求項1における第1レンズ部材、第1レンズ部は、第1フランジ部にそれぞれ相当する。
【0029】
つまり、レンズ部26aは、前記拡散出射光に対し所望の屈折を与え、略平行光束化された前記平行出射光を液晶表示パネル24側に向けて出射するようになっている。また、各フランジ部26bの上端側角部にはC面取り加工が施された面取り部26cが設けられている。なお、この面取り部26cは、特許請求の範囲の請求項1における第1当接部に相当する。
【0030】
第1のケース体27は、合成樹脂からなり、レンズ部材26の背後に配置され、一対のフランジ部26bを背後から支持する略枠形状の支持部27aと、この略枠形状からなる支持部27aの内部空間を上側空間部S1と下側空間部S2とに区画するための壁状の仕切部27bと、支持部27aを取り囲むように支持部27aの外側に位置する外壁部27cと、支持部27aの下端側と外壁部27cの下端側とを連結する連結部27dとを備えている。なお、支持部27aは、特許請求の範囲の請求項1における第1支持部に相当する。
【0031】
そして、仕切部27bの略中央部には上側空間部S1と下側空間部S2とを連通させるための貫通孔部27eが設けられ、この貫通孔部27eを塞ぐように仕切部27b上に拡散部材25が載置されている。また、拡散部材25に光源22からの照明光を供給すべく、下側空間部S2を塞ぐように光源ユニット23が配設されている。
【0032】
なお、本実施形態の場合、支持部27aの上端部は平坦面Pとなっており、外壁部27cの上端側には第2のケース体28に設けられる後述する爪部を係合するための孔部27fが形成されている。また、第1のケース体27は、ハウジング40に適宜固定手段を用いて固定されている。
【0033】
第2のケース体28は、合成樹脂からなり、レンズ部26aに対応するように設けられる開口部28aを有する基部28bと、レンズ部材26の側方を取り囲むように基部28bの下方に垂下形成され、第1のケース体27の支持部27aと対をなす略枠形状の周壁部(壁部)28cと、第1のケース体27の外壁部27cと対をなすように基部28b両端部から背後に垂下形成された一対の弾性腕片28dとを備えている。なお、周壁部である壁部28cは、特許請求の範囲の請求項1における第1壁部に相当する。
【0034】
そして、本実施形態の場合、周壁部28cの下端部には、レンズ部材26のフランジ部26bに設けられた面取り部26cと向かい合うように押圧部28eが設けられ、各弾性腕片28dの下端部には孔部27fに係合する爪部28fがそれぞれ設けられている。
【0035】
押圧部28eは、周壁部28c内壁面と周壁部28c底面との境界部分に設けられた所定の曲率を有する曲面部からなり、後述するようにフランジ部26bを支持部27aと周壁部28cとで挟み込むように第1のケース体27と第2のケース体28とを組み付け固定した際に、C面取り加工が施された当接部である面取り部26cと当接し、面取り部26cに押圧力を作用させる機能を有している。なお、押圧部28eは、特許請求の範囲の請求項1における第1押圧部に相当する。
【0036】
そして、レンズ部材26を第1のケース体27と第2のケース体28とを用いて固定する(つまりフランジ部26bを支持部27aと周壁部28cとで挟み込むように第1のケース体27と第2のケース体28とを固定する)場合には、例えば詳細図示は省略するが、まず支持部27aの上端部と周壁部28cの下端部との間にフランジ部26bを位置させ、且つ、開口部28aにレンズ部26aが臨むようにようにレンズ部材26と第1のケース体27と第2のケース体28の三者を位置合わせし、次に第1のケース体27を上方(フランジ部26b側)に平行移動させるとともに第2のケース体28を下方(フランジ部26b側)に平行移動させる。
【0037】
すると、弾性腕片28dに設けられた爪部28fが外壁部27cの孔部27fに係合し、支持部27aの上端部(つまり平坦面P)とフランジ部26bの背面とが面接触するとともに、周壁部28cの下端部に設けられた押圧部28eとフランジ部26bに設けられた面取り部26cとが当接した状態で、レンズ部材26が第1のケース体27と第2のケース体28とを用いて組み付け固定される(換言すればフランジ部26bを支持部27aと周壁部28cとで挟み込むように第1のケース体27と第2のケース体28とが組み付け固定される)。
【0038】
ここで、周壁部28cとフランジ部26bとに着目すると、周壁部28cに設けられた曲面部からなる押圧部28eが、押圧部28eと向かい合うようにフランジ部26bに設けられた傾斜面からなる面取り部26cと当接することに伴い、図3中、A部を拡大して示す図4に示すごとく面取り部26cには面取り部26cに対し垂直方向(つまり図4中、右斜め下方向)に押圧部28eからの押圧力Fが作用する。
【0039】
このとき、傾斜面からなる面取り部26cに作用する押圧力Fは、フランジ部26bの板面方向に沿って作用する水平分力F1と、フランジ部26bの板厚方向に作用する垂直分力F2とに分散される。このため、本実施形態によれば、フランジ部26bを支持部27aと周壁部28cとで挟み込むように第1のケース体27と第2のケース体28とを固定したとき、フランジ部26bの変形に寄与することになるフランジ部26bの板厚方向に働く力は、水平分力F1が分散される分だけ従来の場合よりも小さくなる。
【0040】
すなわち、水平分力F1と垂直分力F2のうち、水平分力F1はフランジ部26bの板厚方向に何ら作用しないので、フランジ部26bの変形に影響を与えることになるフランジ部26bの板厚方向に働く力は、水平分力F1の分だけ従来と比べて小さくなり、これによりレンズ部材26をCOPによって形成した場合であっても、フランジ部26bの変形(つまりレンズ部26aの歪み)を抑制することが可能となり、液晶表示パネル24の照明品質が低下する招く虞はなくなる。
【0041】
反射器30は、液晶表示パネル24から発せられた表示光Lを反射させる凹面鏡(反射部材)31と、この凹面鏡31を保持する合成樹脂からなるミラーホルダ(保持部材)32とを備えてなる。
【0042】
凹面鏡31は、凹面を有するポリカーボネートからなる樹脂基板に反射層31aを蒸着形成してなるものである。かかる凹面鏡31は、その反射層31aが液晶表示パネル24並びにハウジング40の後述する透光性カバーに対向し、前記透光性カバーから臨める位置に傾斜状態にて配設される。
【0043】
また凹面鏡31は、表示器20からの表示光Lを拡大しつつ、前記透光性カバー(車両10のフロントガラス13)側へ反射させるものである。このことは、凹面鏡31が、表示器20から発せられる表示光Lを拡大し、この拡大された表示光Lを前記透光性カバーを通じてフロントガラス13に投射することを意味している。なお、凹面鏡31は、ミラーホルダ32に両面粘着テープにより接着されている。
【0044】
ハウジング40は、例えば黒色の遮光性合成樹脂材料からなり、略箱型形状に形成され、その内部空間である空間部41に表示器20及び反射器30を保持して収容するものであり、反射器30における凹面鏡31の配設位置の上部(フロントガラス13側)が開口する開口窓部42を備えてなる。
【0045】
またハウジング40には、開口窓部42を塞ぐように出射部である透光性カバー43が配設されてなる。かかる透光性カバー43は、透光性の合成樹脂材料(例えばアクリル樹脂)からなり、凹面鏡31で反射された表示光Lが透過(通過)する光透過性部材としての機能を有している。つまり、凹面鏡31によって反射された表示光Lは、ハウジング40に形成された透光性カバー43を通じてフロントガラス13に照射され、この照射によって得られた虚像Vを運転者14が視認することになる。
【0046】
以上のように本実施形態では、回路基板21に光源22が実装(配設)された光源ユニット23と、この光源ユニット23の前方側に配置され、光源22からの照明光により照明される液晶表示パネル24と、光源ユニット23と液晶表示パネル24との間に配置され、光源22からの照明光を集光させるレンズ部26aとレンズ部26aの周囲に延在するフランジ部26bとを有するレンズ部材26と、フランジ部26bを支持する支持部27aを有する第1のケース体27と、レンズ部26aに対応するように設けられる開口部28aを有する基部28bとレンズ部26aを取り囲むように基部28bに形成された周壁部28cとを有する第2のケース体28とを備えてなる照明装置において、
フランジ部26bには周壁部28cに設けられた押圧部28eと当接する面取り部26cが設けられ、フランジ部26bを支持部27aと周壁部28cとで挟み込むように第1のケース体27と第2のケース体28とを固定したとき、押圧部28eからの押圧力Fを面取り部26cに作用させる構成としたものである。
【0047】
従って、面取り部26cに作用する押圧力Fは、前述したようにフランジ部26bの板面方向に沿って作用する水平分力F1と、フランジ部26bの板厚方向に作用する垂直分力F2とに分散され、これら水平分力F1と垂直分力F2のうち、水平分力F1はフランジ部26bの板厚方向に何ら作用しないので、フランジ部26bの変形に影響を与えることになるフランジ部26bの板厚方向に働く力は、水平分力F1の分だけ従来と比べて小さくなり、これによりレンズ部材26をCOPによって形成した場合であっても、フランジ部26bの変形(つまりレンズ部26aの歪み)を抑制することが可能となり、液晶表示パネル24の照明品質が低下する招く虞はなくなる。
【0048】
また本実施形態では、フランジ部26bを支持部27aと周壁部28cとで挟み込むように第1のケース体27と第2のケース体28とを固定したとき、所定の曲率を有する曲面形状からなる押圧部28eがC面取り加工の施された傾斜面からなる面取り部26cと当接することに伴い、押圧部28eからの押圧力Fが面取り部26cに作用する例について説明したが、押圧部28e及び面取り部26cの形状は、面取り部26cと垂直方向に押圧力Fが働く構成であればあらゆる形状を採用することができ、例えば押圧部28eを傾斜面とするとともに面取り部26cをR面取り加工の施されたR面(曲面)としてもよいし、もしくは押圧部28e及び面取り部26cの両者を傾斜面形状または曲面形状としてもよい。
【0049】
(第2実施形態)次に、本発明の第2実施形態を図5に基づいて説明するが、前述の第1実施形態と同一もしくは相当個所には同一の符号を用いてその詳細な説明は省略する。この第2実施形態においては、押圧部28eを第2のケース体28の周壁部28cではなく第1のケース体27の支持部27a側に設けるとともに、面取り部26cをフランジ部26bの上端側角部ではなく下端側角部に設けた構成となっている。
【0050】
つまり、この場合、支持部27の上端部(平坦面P)と支持部27aの内壁面との境界部分に曲面形状からなる押圧部27gを設けるとともにフランジ部26bの下端側角部にC面加工の施された面取り部26dを設け、フランジ部26bを支持部27aと周壁部28cとで挟み込むように第1のケース体27と第2のケース体28とを固定したとき、押圧部27gと当接部である面取り部26dとが当接し、押圧部27gからの押圧力Gが面取り部26dに作用する構成となっている。
【0051】
かかる第2実施形態においても、面取り部26dに作用する押圧力Gは、詳細図示省略するが、フランジ部26bの板面方向に沿って作用する水平分力と、フランジ部26bの板厚方向に作用する垂直分力とに分散され、これら水平分力と垂直分力のうち、水平分力はフランジ部26bの板厚方向に何ら作用しないので、フランジ部26bの変形に影響を与えることになるフランジ部26bの板厚方向に働く力は、水平分力の分だけ従来と比べて小さくなるため、フランジ部26bの変形(つまりレンズ部26aの歪み)を抑制することが可能となり、前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0052】
また、前記第1実施形態と前記第2実施形態とを組み合わせた構成、つまりフランジ部26bに面取り部26c、26dをそれぞれ設け、フランジ部26bを支持部27aと周壁部28cとで挟み込むように第1のケース体27と第2のケース体28とを固定したとき、周壁部28cに設けられた押圧部28eからの押圧力を面取り部26cに作用させると同時に支持部27aに設けられた押圧部27gからの押圧力を面取り部26dに作用させる構成であっても、フランジ部26bの変形を抑制することができることは言うまでもない。
【0053】
(第3実施形態)次に、本発明の第3実施形態を図6〜図8に基づいて説明するが、前述の第1実施形態と同一もしくは相当個所には同一の符号を用いてその詳細な説明は省略する。この第3実施形態が、前記第1実施形態と異なる点は、液晶表示パネル24と第1レンズ部材であるレンズ部材26との間に、第1レンズ部材26と重なるように第2レンズ部材51が配置されている点である。
【0054】
なお、本第3実施形態の場合、第1、第2レンズ部材26、51及び拡散部材25が前記第1実施形態にて採用した第1のケース体27に相当する第1のケース体52によって保持され、さらに第1のケース体52の前方側には、前記第1実施形態にて採用した第2のケース体28に相当する第2のケース体53が配置されている。
【0055】
第2レンズ部材51は、COP等の透光性合成樹脂からなり、その外形形状が第1レンズ部材26の外形形状よりも若干、小さ目に設定され、背面側(第1レンズ部材26側)が平坦面であるとともに前面側(液晶表示パネル24側)が凸面である凸レンズからなる第2レンズ部51aと、この第2レンズ部51aの周囲に延在する薄板状の一対の第2フランジ部51bとを備えている。
【0056】
この場合、第2レンズ部51aは、第1レンズ部であるレンズ部26aからの照明光を集光させる集光部としての機能を有しているので、結果的に光源22から発せられる照明光(つまり拡散部材25から出射される前記拡散出射光)は、各レンズ部26a、51aを通じて略平行光束化された照明光となり、かかる略平行光束化された照明光が液晶表示パネル24側に向けて出射するようになっている。
【0057】
一方、各第2フランジ部51bの上端側角部には、第2のケース体53の後述する第2壁部に設けられる第2押圧部と当接する面取り部(第2当接部)51cが形成され、この第2フランジ部51bに形成された面取り部51cはC面取り加工が施された傾斜面形状となっている。なお、図6中、Hは、第1のケース体52の後述する第2支持部を貫通させるために設けられた貫通孔からなる貫通部であり、この貫通部Hは、前記第2支持部の配設位置に対応する第1フランジ部26b箇所の表裏を貫通するようにそれぞれ設けられている。
【0058】
第1のケース体52は、合成樹脂からなり、第2レンズ部材51の背後に配置され、前記第1実施形態にて採用した第1フランジ部であるフランジ部26bの周縁を背後から支持する略枠形状の第1支持部52aと、第1レンズ部材26の上方側に位置している第2フランジ部51bを背後から支持するように第1支持部52aの内側に位置するボス形状からなる一対の第2支持部52bと、第1支持部52aの外側に位置する外壁部52cと、第1支持部52a下端側と第2支持部52b下端側と外壁部52cとを連結する水平壁部52dとを有している。このうち、第1支持部52a、外壁部52cは、前記第1実施形態にて採用した第1支持部27a、外壁部27cに相当するものである。
【0059】
この場合、各第2支持部52bは、前述した各貫通部Hをそれぞれ通過して、その先端側が第2フランジ部51bを支えるように構成され、外壁部52cの上端側には前記第1実施形態にて採用した孔部27fに相当する孔部52eが形成されている。また、水平壁部52dの略中央部には、貫通孔部52fが設けられており、この貫通孔部52fを塞ぐように拡散部材25が水平壁部52d上に載置されている。
【0060】
第2のケース体53は、合成樹脂からなり、各レンズ部26a、51aに対応するように設けられる開口部53aを有する基部53bと、第1のケース体52の第1支持部52aと対をなすように基部53bの背後に垂下形成される略枠形状の第1壁部53cと、この第1壁部53cの内側であって第2レンズ部材51の側方を取り囲むように基部53bから下方に垂下形成された略枠形状の第2壁部53dと、第1のケース体52の外壁部52cと対をなすように基部53b両端部から背後に垂下形成される一対の弾性腕片53eとを有し、第2壁部53dは、第2フランジ部51bの周縁に向かうように突出形成されている。
【0061】
なお、この場合、開口部53a、基部53b、第1壁部53c並びに弾性腕片53eは、前記第1実施形態にて採用した開口部28a、基部28b、第1壁部28c並びに弾性腕片28dにそれぞれ相当するものである。
【0062】
また、本第3実施形態の場合、第1壁部53cの下端部には第1レンズ部材26の第1フランジ部26bに設けられた面取り部(第1当接部)26cと向かい合うように第1押圧部53fが設けられているとともに(図7参照)、第2壁部53dの下端部には第2レンズ部材51の第2フランジ部51bに設けられた面取り部(第2当接部)51cと向かい合うように第2押圧部53gが設けられ(図8参照)、また各弾性腕片53eの下端部には孔部52eに係合する爪部53hがそれぞれ設けられている。
【0063】
第1押圧部53fは、図7に示すように第1壁部53c内壁面と第1壁部53c底面との境界部分に設けられた所定の曲率を有する曲面部からなるとともに、第2押圧部53gは、図8に示すように第2壁部53d内壁面と第2壁部53d底面との境界部分に設けられた所定の曲率を有する曲面部からなる。
【0064】
そして、前記第1実施形態の場合と同様にして、第1フランジ部26bを第1支持部52aと第1壁部53cとで挟み込み、且つ第2フランジ部51bを第2支持部52bと第2壁部53dとで挟み込むように第1のケース体52と第2のケース体53とを組み付け固定したとき、第1押圧部53fがC面取り加工の施された第1当接部である面取り部26cと当接し第1押圧部53fからの押圧力Mが面取り部26cに作用すると同時に(図7参照)、第2押圧部53gがC面取り加工の施された第2当接部である面取り部51cと当接し第2押圧部53gからの押圧力Nが面取り部51cに作用する構成となっている(図8参照)。
【0065】
すなわち、第1壁部53cと第1フランジ部26bとに着目すると、第1壁部53cに設けられた曲面部からなる第1押圧部53fが、第1押圧部53fと向かい合うように第1フランジ部26bに設けられた傾斜面からなる面取り部(第1当接部)26cと当接することに伴い、図6中、B部を拡大して示す図7に示すごとく面取り部26cには面取り部26cに対し垂直方向(つまり図7中、右斜め下方向)に第1押圧部53fからの押圧力Mが作用する。
【0066】
このとき、傾斜面からなる面取り部26cに作用する押圧力Mは、前述した第1実施形態(図4の押圧力F)の場合と同様なので詳細図示は省略するが、第1フランジ部26bの板面方向に沿って作用する水平分力と、第1フランジ部26bの板厚方向に作用する垂直分力とに分散されるため、第1フランジ部26bの変形(つまり第1レンズ部26aの歪み)を抑制することが可能となる。
【0067】
さらに、第2壁部53dと第2フランジ部51bとに着目すると、第2壁部53dに設けられた曲面部からなる第2押圧部53gが、第2押圧部53gと向かい合うように第2フランジ部51bに設けられた傾斜面からなる面取り部(第2当接部)51cと当接することに伴い、図8に示すごとく面取り部51cには面取り部51cに対し垂直方向(つまり図8中、右斜め下方向)に第2押圧部53gからの押圧力Nが作用する。
【0068】
このとき、傾斜面からなる面取り部51cに作用する押圧力Nは、第2フランジ部51bの板面方向に沿って作用する水平分力N1と、第2フランジ部51bの板厚方向に作用する垂直分力N2とに分散される。ここで、水平分力N1と垂直分力N2のうち、水平分力N1は第2フランジ部51bの板厚方向に何ら作用しないので、第2フランジ部51bの変形に影響を与えることになる第2フランジ部51bの板厚方向に働く力は、水平分力N1の分だけ軽減され、これにより第2レンズ部材51をCOPによって形成した場合であっても、第2フランジ部51bの変形(つまり第2レンズ部51aの歪み)を抑制することができる。
【0069】
このように本第3実施形態によれば、第1のケース体52と第2のケース体53とを組み付け固定した際に、第1押圧部53fからの押圧力Mを第1当接部である面取り部26cに作用させ、且つ第2押圧部53gからの押圧力Nを第2当接部である面取り部51cに作用させる構成としたことで、各レンズ部材26、51をCOPによって形成した場合であっても、各フランジ部26b、51bの変形(つまり各レンズ部26a、51aの歪み)を抑制することが可能となり、前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0070】
なお前記各実施形態では、液晶表示パネル24から発せられる表示光Lが、フロントガラス13に投射される例について説明したが、例えばフロントガラス13に表示光Lを良好に運転者14方向に反射させるコンバイナフィルムを設けてもよいし、あるいはフロントガラス13とは別の専用の反射体に表示光Lを投射する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0071】
20 表示器(照明装置)
21 回路基板(基板)
22 光源
23 光源ユニット
24 液晶表示パネル(被照明部材)
25 拡散部材
26 レンズ部材(第1レンズ部材)
26a レンズ部(第1レンズ部)
26b フランジ部(第1フランジ部)
26c、26d 当接部(第1当接部)
27、52 第1のケース体
27a、52a 支持部(第1支持部)
27b 仕切部
27c、52c 外壁部
27d 連結部
27e、52f 貫通孔部
27g、28e、53f 押圧部(第1押圧部)
28、53 第2のケース体
28a、53a 開口部
28b、53b 基部
28c、53c 壁部(第1壁部)
28d、53e 弾性腕片
28f、53h 爪部
51 第2レンズ部材
51a 第2レンズ
51b 第2フランジ部
51c 第2当接部
52b 第2支持部
52d 水平壁部
53d 第2壁部
53g 第2押圧部
F、G、M、N 押圧力
F1、G1、N1 水平分力
F2、G2、N2 垂直分力
H 貫通部
S1 上側空間部
S2 下側空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に光源が配設された光源ユニットと、
前記光源ユニットの前方側に配置され、前記光源からの照明光により照明される被照明部材と、
前記光源ユニットと前記被照明部材との間に配置され、前記光源からの照明光を集光させる第1レンズ部と前記第1レンズ部の周囲に延在する第1フランジ部とを有する第1レンズ部材と、
前記第1フランジ部を支持する第1支持部を有する第1のケース体と、
前記第1レンズ部に対応するように設けられる開口部を有する基部と前記第1レンズ部を取り囲むように前記基部に形成された第1壁部とを有する第2のケース体とを備えてなる照明装置において、
前記第1フランジ部には前記第1壁部と前記第1支持部のうち少なくとも一方に設けられた第1押圧部と当接する第1当接部が設けられ、
前記第1フランジ部を前記第1支持部と前記第1壁部とで挟み込むように前記第1のケース体と前記第2のケース体とを固定したとき、前記第1押圧部からの押圧力を前記第1当接部に作用させる構成としたことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記第1当接部は、前記第1フランジ部に形成された面取り部であることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記第1レンズ部材と前記被照明部材との間に配置される第2レンズ部材は、前記第1レンズ部からの照明光を集光させる第2レンズ部と、前記第2レンズ部の周囲に延在する第2フランジ部とを備え、
前記第1のケース体は前記第2フランジ部を支持する第2支持部を有しているいるとともに前記第2のケース体は前記第2レンズ部を取り囲むように前記基部に形成された第2壁部を有し、
前記第2フランジ部には前記第2壁部に設けられた第2押圧部と当接する第2当接部が設けられ、
前記第2フランジ部を前記第2支持部と前記第2壁部とで挟み込むように前記第1のケース体と前記第2のケース体とを固定したとき、前記第2押圧部からの押圧力を前記第2当接部に作用させる構成としたことを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項4】
前記第2当接部は、前記第2フランジ部に形成された面取り部であることを特徴とする請求項3記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−191723(P2011−191723A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99835(P2010−99835)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】