説明

熱を発生する電子装置を冷却するための方法及びインターフェース

【課題】熱を発生する電子装置(38,40)を冷却するための方法及びインターフェース(20)を提供する。
【解決手段】インターフェース(20)は、配管(54)を持つ外被(55)を含み、該配管(54)は(イ)該配管(54)の中を流れる液体から熱を伝達するために該外被(55)内に設けられると共に、(ロ)該外被から延在して、ポンプ(70)に係合するように構成されている。前記配管(54)は閉じた循環通路を形成する。インターフェース(20)は更に、前記外被(55)を貫通して電子装置(38,40)への電気接続を行うように構成されている電気接続部材(24)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の1つ以上の実施態様は、一般的に云えば、熱を発生する電子装置、特に超音波及び生物医学システム内の電子装置を冷却するための方法及びインターフェースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスが小型化されるにつれて、より一層密集させた電子装置によって発生される熱量が増大する。発生される熱量が増大するにつれて、デバイス内の構成部品もまたより高い温度で動作する。これらのより高い温度はデバイスの性能を劣化させる虞がある。その上、増大した熱がまたデバイスから放出される。従って、用途によっては、例えば、検査中に個人に接触する医用超音波イメージング・プローブでは、増大した熱はやけどを生じさせる虞があるばかりでなく、許容規制レベルを越えることがある。従って、これらのデバイスは冷却する必要がある。
【0003】
医用イメージング分野では、特に超音波イメージング分野では、熱はしばしば、超音波プローブの走査ヘッドに強力な処理を施さなければならないので、重大な問題である。走査ヘッドからの(例えば、走査ヘッド内の小型電子装置からの)放散される熱は、走査している個人の安全を保証するため、及び産科用走査を遂行するときに特に重要であるような最大加熱状態に対する特定の規制指針に従うために、走査ヘッドから取り去る必要がある。加えて、走査ヘッドの加熱の増大は、超音波プローブの実用寿命に影響を及ぼす虞がある。
【0004】
小型電子装置を持つデバイス内の熱を放散させるための現在の方法は、典型的には、ヒートシンク又は熱交換器を設けることであり、これらは複雑で、大きく且つ重い。これにより、小型化した電子装置から得られる大きさの低減と云う利点が、必要とされる熱放散用部品によって相殺される。これらの現在の熱放散方法はまた、製造及び保守に余分な時間及び経費がかかり、またしばしば使用するのにより厄介であるデバイスを生じる。例えば、超音波イメージング・システム(例えば、3D超音波イメージング・システム)では、これらのシステムのプローブ内の印刷回路板を製造するためにしばしばFR−4(難燃剤−4)材料が使用される。これらの印刷回路板上のプロセッサ及び小型部品は、放散させなければならない熱を発生する。
【0005】
熱を放散させるために、典型的には、これらの超音波イメージング・システムは幾つかの電子回路板、例えば、金属板の間に順次接着された8つの電子回路板を含む。それらの金属板は、各面に一つ設けた発散板を介して相互に接続される。これらの平行な金属板は電子回路板についての冷却用リブとして機能して、電子装置によって発生された熱を該発散板へ伝導する。発散板はまた、アルミニウムの部材又は外被に接続されている。この集成体はまた銅又はアルミニウムのテープで囲むことができる。アルミニウムの外被は、それを通って流体を流れさせるために機械加工されたチャンネルを含む。それらのチャンネルは、配管を介して超音波システムのプローブのコネクタ端に空気圧式に接続されている。プローブのコネクタ端は、膜ポンプと、配管に空気圧式に接続されている別のアルミニウムの部材又は液体タンクとを含む。冷却液体が、2つのアルミニウム部材(プローブのトランスデューサ端に1つ、且つプローブのコネクタ端に1つ)を介して、配管の中を循環させられる。この冷却システムは、例えば、規制された最大温度レベルを満たし、且つトランスデューサの動作を改善するために、手持ち式トランスデューサ端からコネクタ端へ熱を伝達させようとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6958910号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】

しかしながら、この冷却用集成体において相異なる構成部品が必要とされる結果、デバイスの全体の大きさ及び重量が増大し、これは超音波システムについての可搬性及び潜在的な用途に影響を与える。また、デバイスは、製造工程を手作業で行わなければならないので、製造に時間がかかることが多い。その上、ポンプは漏洩を生じる傾向があり、これはプローブの性能を低減するばかりでなく、絶えず乾燥及び点検保守を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】

一実施態様では、電子装置を冷却するためのインターフェースを提供する。本インターフェースは、配管を持つ外被を含み、該配管は(イ)該配管の中を流れる液体から熱を伝達するために該外被内に設けられると共に、(ロ)該外被から延在して、ポンプに係合するように構成されている。前記配管は閉じた循環通路を形成する。本インターフェースは更に、前記外被を貫通して電子装置への電気接続を行うように構成されている電気接続部材を含む。
【0009】
別の実施態様では、超音波スキャナを含む超音波システムを提供し、該超音波スキャナはポンプを持ち、且つ接続ポートを含む。本超音波システムは更に、内部に冷却システムを含むコネクタを持つプローブを含んでいる。前記コネクタは、接続ポートに係合するように構成されており、このコネクタと接続ポートとの係合により、(イ)前記超音波スキャナと前記プローブとの間の電気接続が行われ、且つ(ロ)前記冷却システムが前記超音波スキャナの前記ポンプに接続される。
【0010】
更に別の実施態様では、超音波システムを冷却する方法を提供する。本方法は、超音波システムの超音波プローブのコネクタから前記超音波プローブ内の電子装置へ延在する閉じた配管通路内に流体を循環させる段階を含む。前記流体は前記超音波システムの超音波スキャナ内に配置されたポンプを使用して循環させる。本方法は更に、前記コネクタ内の配管を前記コネクタの外被と熱的に接続する段階を含み、その場合、前記超音波プローブの前記コネクタが前記超音波スキャナに係合するとき、前記コネクタが前記超音波スキャナに熱的に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、電子装置を冷却するために本発明の様々な実施態様に従って構成されたインターフェースを示す概略図である。
【図2】図2は、図1のインターフェースが係合することのできるポンプを持つホスト機械を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明の様々な実施態様に従って構成された図2のポンプの平面図である。
【図4】図4は、本発明の様々な実施態様に従ってそこから熱を伝達することのできる電子装置を持つ超音波システムのブロック図である。
【図5】図5は、本発明の様々な実施態様に従ってそこから熱を伝達することのできる電子装置を持つ図4に示された超音波システムと共に使用するためのホスト・システムと通信関係にある超音波プローブのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記の発明の概要、並びに本発明の特定の実施態様についての以下の詳しい説明は、添付の図面を参照して読めば一層良く理解されよう。図面は様々な実施態様の機能ブロックの線図を示しているが、それらの機能ブロックは必ずしもハードウエア回路間の区分を表しているものではない。例えば、1つ又は複数のブロック(例えば、プロセッサ又はメモリ)は、単一体のハードウエア(例えば、汎用信号プロセッサ又はランダム・アクセス・メモリ、ハードディスク、或いは同様なもの)で具現化することができる。同様に、プログラムは、独立プログラムであってよく、またオペレーティング・システム内のサブルーチンとして組み込んでよく、またインストールしたソフトウエア・パッケージ内の機能であってよく、また同様なものであってよい。ここで、様々な実施態様が、図面に示された配置構成及び手段に制限されないことを理解されたい。
【0013】
本書において、単数形で表され且つ数を特記していない要素及び段階は、特に明記していない限り、複数の該要素及び段階を排除するものではないことを理解されたい。更に、本発明の「一実施態様」と云う場合、これは、その記載した特徴を同様に取り入れている更に別の実施態様の存在を排除するものとして解釈すべきであることを意図してはいない。また更に、特定の特性を持つ1つ又は複数の要素を「有する」又は「持っている」実施態様は、特に否定しない限り、その特性を持たない追加の同様な要素を含むことができる。また、本書に記載した様々な構成部品の配置及び構成は、例えば、特定の構成部品を他の構成部品と置換し、或いは構成部品の順序又は相対位置を変更することにより、修正又は変更することができる。
【0014】
本発明の様々な実施態様では、システム内の電子装置の冷却、例えば、超音波イメージング・システム内の印刷回路板の電子装置の冷却を可能にするコネクタのようなインターフェースを提供する。システム内で放散される熱は、インターフェースを介して圧送される流体の流れを使用して、電子装置から取り去るように伝達される。ここで、本書で「流体」と云うとき、それは液体又はどの種類の液体にも制限されず、また、例えば、空気、ガス、オイルなどを含むことができる。一般に、流体とは、冷却効果を与えるために一体化した冷却チャンネルを通って流れることのできる任意の種類の物質である。流体は、特定の用途に基づいて選択することができる。例えば、電子装置を冷却するために電子装置冷却液を使用することができる。
【0015】
図1は、本発明の様々な実施態様に従って構成されたインターフェース20を示している。インターフェース20は、例えば、システム内の異なる構成部品を接続するコネクタとすることができる。インターフェース20は、以下により詳しく説明するように内部にインターフェース構成部品を持つ外被55(例えば、金属の外被)を含むことができる。例えば、インターフェース20は、超音波プローブ内の電子装置を超音波システムの超音波スキャナ又は制御ユニットに接続する超音波プローブのコネクタ端とすることができる。インターフェース20は1つの側面22上に、ホスト機械(例えば、制御システム)の相補的な部分に接続される電気接続部材24を含む。電気接続部材24は、インターフェース20を接続しようとするシステムに基づいて構成することができる。例えば、大きさ、形状、ピン26(例えば、電気導体)の数を、希望に応じて又は必要に応じて変えることができる。また、電気接続部材24は1つの側面から延在させて、例えば、係合部材を形成することができ、或いはインターフェース20を接続しようとするシステムの接続部材を受け入れるようにインターフェース20内に凹ませることができる。
【0016】
インターフェース20はまた(図2に示されているように)内部に冷却システム21を含み、冷却システム21は側面22上に配管ループ23(例えば、弾性の配管ループ)を含み、配管ループ23は側面22から延在していて、以下により詳しく説明するように流体をインターフェース20の中に通して循環させる。配管ループ23は、様々な実施態様で構成され、具体的には、ループ内にポンプ70(例えば、蠕動ポンプ)を受け入れるように大きさ及び形状が定められており、該ポンプは、配管ループ23に係合させたときに、流体を配管ループ23の中に通すように、従って、インターフェース20から外へ及びインターフェース20内へ圧送する様に動作する。しかしながら、異なる種類のポンプを使用することができること、及び様々な実施態様が蠕動ポンプ又は他の容積式ポンプを使用することに制限されないことに留意されたい。
【0017】
インターフェース20は別の側面28上に、冷却すべき電子装置32にインターフェース20を接続する配管30(例えば、弾性の配管)を含む。配管30は、その中に、電気ワイヤ34による電子装置32への電気接続と、1本以上の流体管36(例えば、ゴム、シリコーン又はプラスチックの管)による電子装置32への又は電子装置32に近接した領域への流体流通路との両方を提供する手段を含む。配管30は、電気ワイヤ34及び流体管36を囲む任意の種類のカバー又は包囲体であってよい。電気ワイヤ34及び流体管36の各々に対して別々の配管30を設けることができ、或いは随意選択により何ら配管30を設けなくてもよい。電気ワイヤ34は、例えば、任意の既知の接続手段を使用して1つ以上の電子回路板40上に取り付けられた電子部品38に接続される。一実施態様では、1つ以上の流体管36もまた、1つ以上の電子回路板40に該電子回路板40のポート42で接続される。1つ以上の電子回路板40は、流体を循環させる一体化した流体チャンネルを含むことができる。この実施態様では、1つ以上の電子回路板40は低温共焼成セラミック(LTCC)処理法を使用して形成することができる。特に、1つ以上の電子回路板40は、継続中の本出願人による米国特許出願第12/032940号、発明の名称「小型電子装置における冷却方法及び装置」に記載されているように形成することができ、該特許出願明細書はその全体を引用によって取り入れる。
【0018】
ここで、流体管36が、随意選択により、電子部品38に密に近接して流体の流れを供給するように電子装置32に隣接又は近接して配置することができることに留意されたい。また流体コネクタ44が、相異なる電子回路板40の間に流体の流れを供給するように相異なる電子回路板40の相異なるポート46を接続することができる。しかしながら、様々な実施形態はこの種の直列流体流接続に制限されず、この代わりに並列接続にして、各電子回路板40が異なる流体管36に接続されるようにすることができる。また、インターフェース20からの流体管36と電子装置32における流体管36とは必ずしも1対1の関係である必要がないことに留意されたい。例えば、インターフェース20の側面28に単一の流体管36を設け、その流体管36を電子装置32で2つの異なる流体管36に分割して異なる電子回路板40に接続するようにすることができる。しかしながら、例えば、インターフェース20の側面28に、電子装置32まで延在する2つの流体管36を設けて、1対1の関係にすることができる。流体管36は、その中に流体を流れさせることのできるように任意の適当な材料(例えば、ゴム又はプラスチック)で形成することができる。例えば、流体管36は、流体管36の中に流す流体が液体か又はガスであるかどうか、更に特定の種類の液体か又はガスであるどうかに基づいて定められる材料から形成することができる。
【0019】
図2は、ホスト機械50と組み合わせるインターフェース20を示し、インターフェース20はホスト機械50に接続される。例えば、ホスト機械50はプローブ(図示せず)が接続される超音波機械又はスキャナであってよく、プローブは、該プローブの外被内に電子装置38を備えたインターフェース20を含む。インターフェース20の内部が図2に示されている。図から分かるように、インターフェース20内の1つ以上の電気ケーブル52が、側面22上の電気接続部材24と配管30内の電気ワイヤ34との間の電気接続及び電気通路を構成する。インターフェース20の内部にはまた配管が設けられ、この配管は、様々な実施態様では、配管ループ23から流体管36までの流体通路を構成する金属の配管54である。ここで、金属の配管54はインターフェース20内で相異なる通路を形成することができることに留意されたい。例えば、金属の配管54は、インターフェース20の外被内により多量の流体を循環させるために前後に往復する配置構成に形成することができる。金属の配管54は、その中に流れる流体の種類に基づいて定めることのできる任意の適当な金属(例えば、銅)又は他の熱伝導性材料で形成することができる。また、金属の配管54はインターフェース20の外被55に熱的に接続される。例えば、金属の配管54は、外被55の内面に接触する熱伝導性材料によって取り囲むことができる。しかしながら、例えば、公知の熱導体又はヒートパイプのような、任意の適当な熱伝導装置を使用してもよいことに留意されたい。
【0020】
インターフェース20はホスト機械50に、例えば、ホスト機械50の接続ポート56(例えば、凹部)内に接続されるように構成される。接続ポート56は、インターフェース20をホスト機械50に固定接続できるようにする任意の種類の形状構成で設けることができる。接続ポート56は一般に、インターフェース20を接続ポート56に係合させたときにインターフェース20の電気接続部材24と接続される電気接続部材58を含む。この相補的な接続構成は、インターフェース20を介してのホスト機械50から電子装置32への電気接続を提供する。例えば、以下により詳しく説明するような超音波システムにおいて、このような電気接続は、電子部品(例えば、電子装置32)を使用して制御されるプローブ走査ヘッド内のトランスデューサ素子を作動するために、超音波システムから超音波プローブへの電気信号通路を提供する。接続ポート56はまた、インターフェースを接続ポート56に係合させたときに管ループ23をその中に受け入れる空洞60を含む。
【0021】
空洞60は、ポンプ70のポンプ・ヘッド72を受け入れるための開放部分62を含む。従って、インターフェース20を接続ポート56と係合させた後、ポンプ70はポンプ・ループ23に係合するように開放部分62内に挿入される。この実施態様では、ポンプ・ループは蠕動ポンプ又は容積式ポンプ構成であって、ポンプ・ループ23はポンプ・ヘッド72を取り囲む。一実施態様では、ポンプ70は、開放部分62内に手動で挿入され、例えば、使用者がポンプ70を開放部分62内に押し込むことによって、或いはポンプ70を開放部分62の中へ移動させるように手動レバー又はアームを操作することによって挿入される。別の実施態様では、ポンプ70は、例えば、ポンプ・ヘッド72が管ループ23に係合するようにポンプ・ヘッド72を所定位置に動かすように構成された電気モータを使用して、開放部分62内に自動的に挿入される。
【0022】
ポンプ70は、管ループ23、金属の配管54及び流体管36を通るように流体を循環させる任意の種類のポンプであってよい。例えば、図3に示されているように、ポンプ70は、回転子74を持つ蠕動ポンプであってよく、この回転子74は、管ループ23を圧迫するためにそれに取り付けられたローラ又は同様な部材を含むことができる。回転子74が回転するにつれて、管ループ23内の流体が循環させられる。ポンプ70はホスト機械50内に配置することができ、その際、ポンプ70は完全にホスト機械50内で管ループ23と係合するように動かされる。例えば、超音波システムにおいて、回転子74を含むことのできるポンプ・ヘッド72が配管ループ23を圧迫しているとき、回転子74が矢印で示されている様に回転し始める。回転と配管に対する締め付け力とにより、強制的に流体を配管内で一方向に流れさせ、配管は、例えば、電子装置32を持つトランスデューサ端と(プローブのコネクタ端を形成する)インターフェース20との間に閉じたループを形成する。これによって、閉じた循環通路内で流体の循環が行われる。配管の中を流れる流体はトランスデューサからインターフェース20へ熱を伝達し、インターフェース20では熱を本書で述べたように伝導する。流体が熱をホスト機械50へ伝達するにつれて、流体は冷却されて、プローブのトランスデューサ端へ戻される。
【0023】
そこで、動作について説明すると、インターフェース20は電子装置36への電気接続を提供すると共に、また電子装置36によって発生された熱を伝達するために流体を流れさせる。具体的に述べると、本発明の様々な実施態様を使用して、管ループ23をポンプ70に係合し、これにより流体の流れを生じさせたとき、インターフェース20の外被55に熱的に接続された金属の配管54が、この金属の配管54内の流体から熱を外被55の表面へ伝達する。この伝達された熱は、次いで周囲空気へ放散される。また、インターフェース20がホスト機械50の接続ポート56に係合しているとき、インターフェース20は本質的にホスト機械50の熱導電性表面、例えば、ホスト機械50の金属表面(例えば、超音波スキャナの金属表面)に対する熱的接続を行う。このとき、熱は周囲空気へ放散される。従って、熱は電子装置32(これは、例えば、超音波プローブの走査ヘッドのトランスデューサ端に配置することができる)から、循環する流体内に伝達され、次いで(伝達された熱を放散する)インターフェース20を通ってホスト機械50の外被に伝達される。この外被で、また熱は周囲空気へ放散することができる。
【0024】
ここで、様々な実施態様を超音波システムに関連して以下に説明するが、様々な実施態様が超音波システム又は診断用イメージング・システムに制限されないことに留意されたい。様々な実施態様は、電子装置の冷却が望ましいか又は必要とされる任意のシステムの一部分として又は該システム内で具現化することができる。例えば、様々な実施態様は、パーソナル・コンピュータ(PC)システムに関連したプロセッサ又は集積回路のような、任意の種類のプロセッサ、電子処理装置、処理機械などを冷却するために使用することができる。
【0025】
様々な実施態様の少なくとも1つの技術的効果は、流体の流れを使用して、電子装置により発生された熱を電子装置からインターフェースを介してホスト機械へ伝達することである。電子装置により発生された熱は、インターフェース及びホスト機械から周囲空気へ放散される。従って、ポンプについて冷却用リブ又は別個のアルミニウム部材が何ら必要とされない。このことから、例えば、手持ち型トランスデューサは、より小形に、より軽量に、且つ手仕事をかなり少なくして製造することができる。例えば、超音波システムにおいて、プローブのコネクタ端(例えば、インターフェース)は、その中にポンプを含める必要がないので、大幅に小形、軽量且つ安価になる。また、ポンプがホスト機械の中へ移されるとき、電力消費及び熱収支も改善することができる。また、配管が接続及び接続継手を少なくして閉じたループを形成するとき、且つポンプがもはやプローブの一部分ではないとき、信頼性も増大する。
【0026】
具体的に述べると、様々な実施態様は、図4に示されているような超音波システム200においてトランスデューサ206(又は、トランスデューサ・アレイ)を持つプローブに関連した電子装置からの熱を伝達するために使用することができる。超音波システム200は、ホスト機械50である超音波スキャナを含む。超音波スキャナ200は、パルス状超音波信号を被検体内に放出するためにトランスデューサ206内の複数の素子204(例えば、圧電素子)のアレイを駆動する送信器202を含む。複数の素子204は、例えば、一次元又は二次元に配列することができ、またホスト機械50に接続するインターフェース20を含むプローブの一部を形成することができる。種々の幾何学的配置形状を用いることができる。ホスト機械50に接続されるとき、ホスト機械50のポンプ70もまた、本書で述べたようにインターフェース20によって係合される。超音波信号が脂肪組織又は筋肉組織のような被検体内の構造から後方散乱されて、複数の素子204へ戻るエコーを生成する。これらのエコーは受信器208で受け取られる。受け取ったエコーはビームフォーマ210に通され、ビームフォーマ210はビーム形成を行い且つRF信号を出力する。RF信号は次いでRFプロセッサ212を通過する。この代わりに、RFプロセッサ212は、RF信号を復調してエコー信号を表すIQデータ対を形成する複素復調器(図示せず)を含むことができる。RF又はIQ信号データは、次いで保存のためにメモリ214に直接送ることができる。
【0027】
超音波システム200はまた、取得された超音波情報(例えば、RF信号データ又はIQデータ対)を処理し且つ表示装置218に表示するための超音波情報のフレームを作成するプロセッサ・モジュール216を含む。プロセッサ・モジュール216は、取得された超音波情報について複数の選択可能な超音波モダリティに従って1つ以上の処理動作を行うように構成される。取得された超音波情報は、エコー信号を受け取るときに走査期間中に実時間で処理して表示することができる。それに加えて又はその代わりに、超音波情報は走査期間中にメモリ214又はメモリ222に一時的に記憶し、次いでオフライン動作で処理して表示することができる。
【0028】
システム200にデータを入力するために、またプロセッサ・モジュール216の設定及び制御動作を調節するために、ユーザ・インターフェース224を使用することができる。メモリ214及びメモリ222の一方及び両方は、超音波データの二次元(2D)及び/又は三次元(3D)データセットを記憶することができ、その場合、このようなデータセットは2D及び/又は3D画像を提示するために読み出される。また、多数の相次ぐ3Dデータセットを時間につれて取得し記憶して、例えば、実時間3D又は四次元(4D)表示を提供するようにすることができる。ユーザ・インターフェース224を使用することにより、画像を修正し、また表示装置218の表示設定値を手動調節することができる。
【0029】
具体的に述べると、本発明の様々な実施態様は、超音波システム200に接続して使用することのできるような図5に示されている超音波プローブ250の電子装置からの熱を伝達するために具現化することができる。超音波プローブ250は、トランスデューサ・アレイ及びバッキング・スタック(backing stack) 252(「トランスデューサ・アレイ252」と呼ぶ)と、トランスデューサ可撓性ケーブル254(これは、走査ヘッド・ケーブルとして形成することができる)と、処理用電子装置を支持し且つ(図1及び2に示した)一体化したチャンネルを持つように形成された多数の処理回路板256とを含む。各々の処理回路板256は、位置メモリ258(これは、以下に述べるようにジオメトリRAM、符号化器RAM、位置レジスタ及び制御レジスタを含むことができる)と、複数の信号プロセッサ260とを含むことができる。位置メモリ制御装置262(例えば、汎用CPU、マイクロコントローラ、PLDなど)をまた設けることができ、これは通信インターフェース264を含む。
【0030】
通信インターフェース264は、通信線路268(例えば、ディジタル信号線路)を介し且つ配管30の一部を形成することのできるシステム・ケーブルを介して、ホスト・システム266とデータ交換を確立する。更に、模範的な実施態様では、システム・ケーブルは、全ての又は一部の電気ワイヤ34を形成することのできる複数の同軸ケーブル272を含み、これらの同軸ケーブル272は、送信パルス波形をトランスデューサ・アレイ252に伝送するために且つ受信信号をビーム形成後にホスト・システム266に伝送するために処理回路板256に接続される。プローブ250はまたインターフェース20を含むことができ、インターフェース20を介してプローブ250はホスト機械50に接続される。この接続構成は、前に詳しく述べたように、流体を運搬する流体管36を使用して電子装置の冷却も行う。
【0031】
トランスデューサ可撓性ケーブル254を処理回路板256に対して保持するために、クランプ276を設けることができる。クランプ276は、トランスデューサ可撓性ケーブル254と処理回路板256との間の電気接続を確立するのに役立つ。クランプ276はダウエル・ピン278及びボルト280を含むことができるが、他の具現化手段もまた適している。
【0032】
全ての各々の超音波ビームについて、位置メモリ制御装置262はディジタル信号線路273(例えば、別個の可撓性ケーブルによって支持されている)を介して各処理回路板256上の各位置メモリ258に接続される。位置メモリ制御装置262は、処理回路板256上の信号プロセッサ260によって処理された各々の受信開口について空間的位置情報を各位置メモリ258に伝送する。ディジタル信号線路273は、例えば、各処理回路板256についてのクロック線路、各処理回路板256についての直列指令データ線路、各処理回路板256に接続された(全部で14本のデータ線路の場合の)2つのデータ線路、1つ以上の信号プロセッサ260について有効になる出力、並びに試験信号を含むことができる。
【0033】
位置メモリ制御装置262は、例えば、同期直列ポートの一部を形成することのできるディジタル信号線路273を介して、ホスト・システム266と通信する。そのために、通信インターフェース264とディジタル信号線路273は、例えば、設置した遮蔽体及び中心の信号ワイヤを持つ同軸ケーブルを含んでいる低電圧差信号インターフェースを実現することができる。位置メモリ制御装置262は、キャッシュ・メモリ275のブロック、例えば、1〜8メガバイトのスタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)を含む。
【0034】
しかしながら、前に述べたように、様々な実施態様は超音波システム又は任意の診断用イメージング・システムに関連して使用することに制限されない。様々な実施態様は、電子回路板のような電子部品を含む任意のシステムに関連して具現化することができる。
【0035】
また、上記の記載が例示のためのものであって、制限するためのものではないことを理解されたい。例えば、上述の様々な実施態様(及び/又はその様々な面)は互いに組み合わせて用いることができる。その上、特定の状況又は材料を本発明の範囲から逸脱せずに本発明の教示に適応させるように多くの修正を為すことができる。本書で述べた材料の寸法及び種類が本発明のパラメータを規定することを意図しているが、それらは制限ではなく、模範的な実施態様である。上記の説明を検討すると、当業者には多くの他の実施態様が明らかであろう。従って、発明の範囲は、特許請求の範囲の記載と共に、該記載と等価な全ての範囲を参照して決定すべきである。特許請求の範囲の記載では、「含む」及び「その場合において」と云う用語は「有する」及び「その場合」と云う用語とそれぞれ等価なものとして用いられている。更に、特許請求の範囲の記載において、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は単にラベルとして用いられていて、それらの対象について数に関する要件を課しているものではない。更に、特許請求の範囲が「手段+機能」形式で記載されていず、また特許請求の範囲は、構造についての記載のない機能の記述の後に用語「手段」を記載したものでないなら、米国特許法35U.S.C.ξ112、第6項に基づいて解釈されるべきではない。
【0036】
本明細書は、最良の実施形態を含めて、本発明を開示するために、また当業者が本発明を作成し使用できるようにするために、様々な例を使用した。本発明の特許可能な範囲は「特許請求の範囲」の記載に定めており、また当業者に考えられる他の例を含み得る。このような他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの記載から実質的に差異のない構造的要素を持つ場合、或いはそれらが「特許請求の範囲」の文字通りの記載から実質的に差異のない等価な構造的要素を含む場合、特許請求の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0037】
20 インターフェース
21 冷却システム
22 側面
23 配管ループ
24 電気接続部材
26 ピン
28 側面
30 配管
32 電子装置
34 電気ワイヤ
36 流体管
38 電子部品
40 電子回路板
42 ポート
44 流体コネクタ
46 ポート
50 ホスト機械
52 電気ケーブル
54 金属の配管
55 外被
56 接続ポート
58 電気接続部材
60 空洞
62 開放部分
70 ポンプ
72 ポンプ・ヘッド
74 回転子
200 超音波システム
204 素子
206 トランスデューサ
214 メモリ
222 メモリ
250 超音波プローブ
254 トランスデューサ可撓性ケーブル
256 処理回路板
258 位置メモリ
260 信号プロセッサ
262 位置メモリ制御装置
264 通信インターフェース
268 通信線路
272 同軸ケーブル
273 ディジタル信号線路
275 キャッシュ・メモリ
276 クランプ
278 ダウエル・ピン
280 ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子装置(38,40)を冷却するためのインターフェース(20)であって、
配管(54)の中を流れる液体から熱を伝達するために該配管(54)を内部に持っている外被(55)であって、更に当該外被(55)から延在していて、ポンプ(70)に係合するように構成されている配管(36)を持ち、前記の両配管(36,54)が閉じた循環通路を形成している、外被(55)と、
前記外被(55)を貫通して電子装置(38,40)への電気接続を行うように構成されている電気接続部材(24)と、
を有しているインターフェース(20)。
【請求項2】
請求項1記載のインターフェース(20)において、前記外被(55)から延在する前記配管(36)が、前記ポンプ(70)に係合するためのループ(23)を有していること、を特徴とするインターフェース(20)。
【請求項3】
請求項1記載のインターフェース(20)において、前記外被の内部にある前記配管(54)が、金属の配管を有していること、を特徴とするインターフェース(20)。
【請求項4】
請求項1記載のインターフェース(20)において、前記外被(55)の内部にある前記配管が、熱伝導性材料で構成されていること、を特徴とするインターフェース(20)。
【請求項5】
請求項1記載のインターフェース(20)において、前記外被(55)の内部にある前記配管(54)が、前記外被(55)に熱的に接続されていること、を特徴とするインターフェース(20)。
【請求項6】
請求項1記載のインターフェース(20)において、前記外被(55)から延在する前記配管(36)と前記電気接続部材(24)とが、前記外被(55)の1つの側面上に配置されていて、前記ポンプ(70)を持つホスト機械(50)に係合するように構成されていること、を特徴とするインターフェース(20)。
【請求項7】
請求項6記載のインターフェース(20)において、前記ホスト機械(50)が超音波スキャナ(200)を有していること、を特徴とするインターフェース(20)。
【請求項8】
請求項1記載のインターフェース(20)において、前記外被(55)が、ホスト機械(50)の接続ポート(56)に係合するように構成されていること、を特徴とするインターフェース(20)。
【請求項9】
請求項1記載のインターフェース(20)において、前記外被から延在する前記配管(36)が、弾性の配管を有していること、を特徴とするインターフェース(20)。
【請求項10】
超音波システム(200)を冷却する方法であって、
超音波システム(200)の超音波プローブ(250)のコネクタ(20)から前記超音波プローブ(250)内の電子装置(252〜262)へ延在する閉じた配管通路(36,54)内に流体を循環させる段階であって、前記流体が前記超音波システム(200)の超音波スキャナ(50)内に配置されたポンプ(70)を使用して循環させられる、段階と、
前記コネクタ(20)内の配管(54)を前記コネクタ(20)の外被(55)と熱的に接続する段階であって、前記超音波プローブ(250)の前記コネクタ(20)が前記超音波スキャナに係合するとき、前記コネクタ(20)が前記超音波スキャナ(50)に熱的に接続される、段階と、
を有している方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−193585(P2009−193585A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32151(P2009−32151)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】