熱交換器、及びこの熱交換器を備えた空気調和機
【課題】伝熱管内の伝熱面積が飛躍的に増大し、冷媒間の熱交換を防ぐことができる熱交換能力が高い熱交換器等を提供すること。
【解決手段】所定の間隔で平行に積層されその間を気体が通過する複数の板状フィン1と、板状フィン1を積層方向に貫通する複数の伝熱管2とを有し、板状フィン1は伝熱管2が貫通するフィンカラー3を備え、フィンカラー3の外周面は板状フィン1の幅方向に拡幅されて上下面に窪み部Aを有し、伝熱管2は窪み部Aを介してフィンカラー3の幅方向に複数個並列して挿入され、伝熱管2の隣接する側の面21は隙間4を介して対向配置され、隣接面21以外の面22はフィンカラー3の外周面に密着している。この場合、窪み部Aは上下対称に形成され、また、フィンカラー3の外周面は、一対の断面円弧状の曲面部22a、22bが窪み部Aを介して連通している。
【解決手段】所定の間隔で平行に積層されその間を気体が通過する複数の板状フィン1と、板状フィン1を積層方向に貫通する複数の伝熱管2とを有し、板状フィン1は伝熱管2が貫通するフィンカラー3を備え、フィンカラー3の外周面は板状フィン1の幅方向に拡幅されて上下面に窪み部Aを有し、伝熱管2は窪み部Aを介してフィンカラー3の幅方向に複数個並列して挿入され、伝熱管2の隣接する側の面21は隙間4を介して対向配置され、隣接面21以外の面22はフィンカラー3の外周面に密着している。この場合、窪み部Aは上下対称に形成され、また、フィンカラー3の外周面は、一対の断面円弧状の曲面部22a、22bが窪み部Aを介して連通している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器、及びこの熱交換器を備えた空気調和機に係り、特に、フィンチューブ型の熱交換器に用いられる伝熱管に関する。
【背景技術】
【0002】
主に空気調和機に用いられているフィンチューブ型と呼ばれる熱交換器は、一定の間隔で平行に配置されてその間を気体(空気)が流れる板状フィンと、この板状フィンに直交して挿入され、内部に冷媒が流れる管状の伝熱管とで構成され、フィン間を流れる気体(空気)と伝熱管内を流れる冷媒との間で熱交換が行われる。
【0003】
この熱交換器に、板状フィンを切り起こしてスリット群を設け、隣接する円管形状の伝熱管の間に配設したものがある。このスリット群は、スリットの側端部が風向きに対して対向するように設けられており、その側端部において空気流の速度境界層及び温度境界層を薄くすることにより、伝熱促進が行われて熱交換能力を増大するとしている(例えば、特許文献1参照)。
また、熱交換器に、円管を連結した形状の多穴管を備えて伝熱管を高性能化したものがあり、耐圧性を有し、小型で熱交換能力が増大するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−33595号公報(第3頁−第4頁、図1−図2)
【特許文献2】特開2004−233012号公報(第3頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の熱交換器は、伝熱管に円管を用いているため、伝熱管部における通風抵抗や伝熱管の後流側に生じる死水域を抑えることが難しいという問題があった。また、熱交換器の高性能化を目的として冷媒側では伝熱管内の溝形状をハインスリムにし、空気側ではフィン形状を工夫することで熱交換性能を改善しているが、さらに高性能化するためには、伝熱管を細径化することが考えられる。しかしながら、伝熱管を細径化すると、管内熱伝達率が増大するのに対して圧力損失が増大するため、これらを最適化することが必要になる。また、細径伝熱管は、伝熱性能的には有利であるが、伝熱管の製作費用が増大するという問題があった。
【0006】
また、特許文献2の熱交換器では多穴管を用いており、管内の伝熱面積が増加して熱交換能力が増加するが、一方で、多穴管のそれぞれの穴(冷媒流路)に流れる冷媒間で隔壁を通じて熱交換が生じてしまい、熱交換能力が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、伝熱管部における通風抵抗や伝熱管の後流側に生じる死水域を抑えることができ、また製作費用の増大を抑制することができる熱交換器、及びこの熱交換器を備えた空気調和機を提供することを目的とする。
また、冷媒間で熱交換が生じず、熱交換能力が低下することがない熱交換器、及びこの熱交換器を備えた空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る熱交換器は、所定の間隔で平行に積層されその間を気体が通過する複数の板状フィンと、板状フィンを積層方向に貫通する複数の伝熱管とを有し、板状フィンは伝熱管が通するフィンカラーを備え、フィンカラーの外周面は板状フィンの幅方向に拡幅されて上下面に窪み部を有し、伝熱管は前記窪み部を介してフィンカラーの幅方向に複数個並列して挿入され、伝熱管の隣接する側の面は隙間を介して対向配置され、隣接面以外の面はフィンカラーの外周面に密着している。
また、本発明に係る空気調和機は、上記の熱交換器を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、伝熱管内の伝熱面積が飛躍的に増大し、さらに冷媒間の熱交換を防ぐことができる。
こうして、熱交換能力が高い熱交換器、及びこの熱交換器を用いた空気調和機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1に係るフィンチューブ型熱交換器の要部を示す平断面図である。
【図2】図1の要部の側面図である。
【図3】図1のフィンチューブ型熱交換器の拡管前後の伝熱管外形状変化を示す説明図である。
【図4】図1のフィンチューブ型熱交換器の機械式拡管時の説明図である。
【図5】フィンチューブ型熱交換器の熱流ベクトルの説明図である。
【図6】各冷媒流路が隔壁によって一体に形成された連結伝熱管を用いたフィンチューブ型熱交換器の熱流ベクトルの比較例を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係るフィンチューブ型熱交換器の要部を示す平断面図である。
【図8】図7のフィンチューブ型熱交換器の拡管前後の伝熱管外形状変化を示す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係るフィンチューブ型熱交換器の要部を示す平断面図である。
【図10】図9のフィンチューブ型熱交換器の拡管前後の伝熱管外形状変化を示す説明図である。
【図11】本発明の実施の形態4に係るフィンチューブ型熱交換器の要部を示す平断面図である。
【図12】図11のフィンチューブ型熱交換器の拡管前後の伝熱管外形状変化の説明図である。
【図13】本発明の実施の形態5に係るフィンチューブ型熱交換器の要部を示す平断面図である。
【図14】図13のフィンチューブ型熱交換器の拡管前後の伝熱管外形状変化の説明図である。
【図15】本発明の実施の形態6に係る冷凍サイクルを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1及び図2は本発明の実施の形態1に係る拡管後のフィンチューブ型熱交換器の要部を示すもので、板状フィン1は所定の間隔(フィンピッチ)Fpでイ方向(図1の紙面の前後方向、図2の左右方向)に積層されており、また、伝熱管2(第1の伝熱管2a及び第2の伝熱管2b)は板状フィン1に設けられたフィンカラー3を積層方向イに貫通し保持されて、段方向ロ(図1、2の上下方向)に所定の間隔で配置されている。
【0012】
板状フィン1のフィンカラー3の外周面は列方向ハ(板状フィンの幅方向、図1の左右方向、図2の紙面の前後方向)に拡幅されて上下面の中央部に窪み部Aが形成されている。より詳しくは、断面円弧状の曲面部22a、22bが上下対称の窪み部Aを介して連通しており、フィンカラー3内の列方向ハの両側に、第1の伝熱管2a及び第2の伝熱管2bが配設されている。
【0013】
第1、第2の伝熱管2a、2bは、フィンカラー3の窪み部Aの近傍においてこれらの伝熱管2a、2bの長手方向(積層方向イ)に沿った平面部21a、21bが形成されており、空気層からなる隙間4を介して対向している。そして、平面部21a、21b以外の部分22a、22bは、フィンカラー3の形状に沿った断面円弧状の曲面部を形成して、フィンカラー3に密着している。
【0014】
第1、第2の伝熱管2a、2bは、銅または銅合金の金属材料を引き抜き、または押し出しによって形成された外径が例えば1mmの管であって、段方向ロの配列ピッチは例えば12.24mmである。なお、第1、第2の伝熱管2a、2bはアルミまたはアルミ合金等の金属材料からなるものであってもよく、また外径が2mm、3mm、4mm、5mm、または6mm等の円管であってもよい。さらに段方向配列ピッチは15.3mm、20.4mm等であってもよい。
【0015】
次に、本実施の形態に係るフィンチューブ型熱交換器の製造工程について説明する。
まず、所定のピッチでフィンカラー3が設けられた複数枚の板状フィン1をイ方向に積層し、次に、第1、第2の伝熱管2a、2b(拡管前)を、図3(a)に示すように、板状フィン1のフィンカラー3の内部に挿入してフィンカラー3の列方向ハに設置する。
そして、図4に示すように超合金などの金属材料からなる拡管ビュレット玉10aを用いた機械式拡管装置10により拡管して、図3(b)に示すような冷媒流路を形成する。
【0016】
拡管ビュレット玉10aの外形状は、第1、第2の伝熱管2a、2b同士が隣接する平面部21a、21bを形成する部分のみ断面直線状とし、それ以外の部分22a、22bである曲面部はフィンカラー3の形状に沿う断面円弧状としてある。
こうして、図3(b)に示すように、第1、第2の伝熱管2a、2bは、隙間(空気層)4を介して平面部21a、21bが対向し、平面部21a、21b以外の部分22a、22aである断面円弧状の曲面部はフィンカラー3に密着させる。
【0017】
上記のように構成されたフィンチューブ型熱交換器では、図5に示すように、第1、第2の伝熱管2a、2b内を流れる冷媒から板状フィン1への熱流(熱流ベクトル)5を介して、空気と熱交換される。
しかしながら、図6の比較例に示すように、連結した伝熱管2の各冷媒流路が隔壁9によって一体に形成されている場合は、各伝熱管の間の熱抵抗が小さくなり、各伝熱管を流れる冷媒同士で、冷媒から冷媒へ熱流(熱流ベクトル)7が生じて板状フィン1との熱交換が小さくなり、冷媒と空気との熱交換効率が低下する。
これに対して、図5に示す本実施の形態では、第1、第2の伝熱管2a、2bの各冷媒流路間に隙間4(空気層)が形成されているので、冷媒流路間の熱抵抗が大きくなり、その一方、冷媒から板状フィン1への熱流5が大きくなって板状フィン1との熱交換が大きくなるので、冷媒と空気との熱交換効率が向上する。
【0018】
実施の形態2.
図7は本発明の実施の形態2に係る拡管後のフィンチューブ型熱交換器の要部の例を示すもので、実施の形態1に示した第1、第2の伝熱管2a、2bの内壁面の長手方向に、所定の間隔で、断面が台形状の複数の突条部8を設けたものである。
その他の構成は実施の形態1で示した場合と同様なので、説明を省略する。
【0019】
次に、図7に示すフィンチューブ型熱交換器の製造工程を説明する。
断面が台形状の複数の突条部8を設けた第1、第2の伝熱管2a、2bを、図8(a)に示すように板状フィン1のフィンカラー3の内部に2本挿入し、外周に突条部8に対応した溝を有する拡管ビュレット玉10aを用いた機械式拡管装置10(図4参照)により拡管する。拡管後は、図8(b)に示すように、第1、第2の伝熱管2a、2bは列方向ハに隙間(空気層)4を介して平面部21a、21b同士が対向し、それ以外の部分22a、22bである曲面部は板状フィン1のフィンカラー3に密着する。
【0020】
本実施の形態に係るフィンチューブ型熱交換器では、第1、第2の伝熱管2a、2b内に断面が台形状の複数の突条部8を設けたので伝熱面積が増大し、管内を流れる冷媒が乱流促進化されるので、実施の形態1に示した場合に比べて伝熱性能をより向上させることができ、熱交換能力が高くなる。なお、突条部8の断面形状は台形状に限定するものではなく、矩形状等その他の形状であってもよい。
【0021】
実施の形態3.
図9は本発明の実施の形態3に係る拡管後のフィンチューブ型熱交換器の要部を示すもので、板状フィン1にはフィンカラー3が設けられ、その外周面は列方向ハに拡幅されて上下面には一定の間隔で複数の窪み部Aが形成されている。より詳しくは、フィンカラー3は、両側に断面円弧状の曲面部を有し、その間の上下面に断面弧状の曲面部を4つの窪み部Aを介して波形状に連通し、列方向ハの両側に第1の伝熱管2a及び第5の伝熱管2eが配設され、その間に第2〜第4の伝熱管2b〜2dが配設されている。
【0022】
第1〜第5の伝熱管2a〜2eは、フィンカラー3の窪み部Aの近傍において長手方向(積層方向イ、図9の紙面の前後方向)に沿った平面部21a〜21eが形成されており、空気層からなる隙間4を介して対向している。そして、平面部21a〜21e以外の部分22a〜22eは、フィンカラー3の波形形状に沿った断面円弧状の曲面部22a、22e(両側に位置する第1、第5の伝熱管2a、2e)、または断面弧状の曲面部22b〜22d(間に位置する第2〜第4の伝熱管2b〜2d)を形成して、フィンカラー3に密着している。
その他の構成は実施の形態1で示した場合と同一なので説明を省略する。
【0023】
次に、図9に示すフィンチューブ型熱交換器の製造工程を説明する。
第1〜第5の伝熱管2a〜2e(拡管前)を、図10(a)に示すように、板状フィン1のフィンカラー3の内部に5本挿入し、拡管ビュレット玉10aを用いた機械式拡管装置10(図4参照)により拡管して、図10(b)に示すような冷媒流路を形成する。
【0024】
拡管ビュレット玉10aの外形状は、第1、第5の伝熱管2a、2eについては実施の形態1の場合と同じ形状であるが、第2〜第4の伝熱管2b〜2dについては隣接する平面部21b〜21dを形成する部分は断面直線状とし、それ以外の曲面部22b〜22dを形成する部分はフィンカラー3の形状に沿う断面弧状としてある。
こうして、図10(b)に示すように、第1〜第5の伝熱管2a〜2eは隙間(空気層)4を介して平面部21a〜21eが対向し、平面部21a〜21e以外の部分22a〜22eである曲面部はフィンカラー3と密着する。
【0025】
上記のように構成したフィンチューブ型熱交換器では、実施の形態1の場合に比べてより多くの伝熱管2a〜2eを搭載することができるので、熱交換能力がより高くなる。
【0026】
実施の形態4.
図11は本発明の実施の形態4に係る拡管後のフィンチューブ型熱交換器の要部を示すもので、板状フィン1のフィンカラー3の外周面は断面が長円形状であって、上下面が平坦で扁平状に形成されており、フィンカラー3内の列方向ハの両側に第1の伝熱管2a及び第2の伝熱管2bが配設されている。
【0027】
第1、第2の伝熱管2a、2bは断面D字状をなし、平面部21a、21bは空気層からなる隙間4を介して対向し、平面部21a、21b以外の部分22a、22b(U字状部分)はフィンカラー3に密着している。
【0028】
次に、本実施の形態に係るフィンチューブ型熱交換器の製造工程について説明する。
第1、第2の伝熱管2a、2b(拡管前)を、図12(a)に示すように、板状フィン1のフィンカラー3の内部に挿入し、拡管ビュレット玉10aを用いた機械式拡管装置10(図4参照)により冷媒流路を拡管する。拡管後は、図12(b)に示すように、隙間(空気層)4を介して平面部21a、21bが対向し、平面部21a、21b以外の部分22a、22bはフィンカラー3に密着する。
【0029】
本実施の形態に係るフィンチューブ型熱交換器は、フィンカラー3の断面長円状の外周面の上下面が平坦であり、実施の形態1のように窪み部がないので、空気が流れる際にフィンカラー3に死水域が発生することがなく、伝熱性能に優れ、熱交換能力も高い。また、フィンチューブ型熱交換器を蒸発器として用いる場合、空気中の水分の凝縮水が板状フィン1に発生するが、フィンカラー3の外周面の上下面が平坦であり窪み部がないので、フィンカラー3に凝縮水が溜まることもない。
【0030】
実施の形態5.
図13は本発明の実施の形態5に係る拡管後のフィンチューブ型熱交換器の要部を示すもので、板状フィン1のフィンカラー3の外周面は列方向ハに拡幅された断面長円形状であって、上下面が平坦で扁平に形成されており、フィンカラー3内の列方向ハに7本の第1〜第7の伝熱管2a〜2gが配設されている。そして、外側に配設された第1、第7の伝熱管2a、2gは断面D字状で曲面部を外側に向け、これらの間に配設された第2〜第6の伝熱管2b〜2fは断面四角形状をなす。
そして、それぞれの伝熱管2a〜2gが対向する部分では長手方向(積層方向イ、図13の紙面の前後方向)に沿った平面部21a〜21gが形成されており、空気層からなる隙間4を介して対向し、平面部21a〜21g以外の部分22a〜22gは断面D字状の曲面部22a、22g(両側に位置する伝熱管2a、2g)、または断面正方形状の外側平面部22b〜22f(間に位置する伝熱管2b〜2f)を形成して、フィンカラー3に密着している。
その他の構成は実施の形態1で示した場合と同様なので、説明を省略する。
【0031】
次に、図14により本実施の形態に係るフィンチューブ型熱交換器の製造工程を説明する。
第1〜第7の伝熱管2a〜2g(拡管前)を、図14(a)に示すように、板状フィン1のフィンカラー3の内部に7本挿入し、拡管ビュレット玉10aを用いた機械式拡管装置10(図4参照)により拡管して、図14(b)に示すような冷媒流路にする。
【0032】
拡管ビュレット玉10aの外形状は、第1、第7の伝熱管2a、2gは実施の形態4の場合と同じ形状であるが、第2〜第6の伝熱管2b〜2fは断面四角形状としてある。
こうして、図14(b)に示すように、隙間4(空気層)を介して平面部21a〜21gが対向し、平面部21a〜21g以外の部分22a〜22gはフィンカラー3と密着する。
【0033】
本実施の形態に係るフィンチューブ型熱交換器では、多数の伝熱管2a〜2gを搭載するので、熱交換能力が非常に高くなる。
【0034】
実施の形態6.
図15は、本発明の実施の形態1〜5のいずれかに係るフィンチューブ型熱交換器を備えた冷凍サイクルを示す模式図である。
図15に示すように、冷凍サイクルは、圧縮機11、四方弁12、室内熱交換器13、膨張弁14、及び室外熱交換器15が、順次冷媒配管により接続されている。そして、実施の形態1〜5のいずれかのフィンチューブ型熱交換器は、室内熱交換器13、及び室外熱交換器15のいずれにも用いることができる。
【0035】
暖房時には、矢印(実線)で示す方向に冷媒が流れる。圧縮機11で圧縮されたガス状態の冷媒は、四方弁12を通り、室内熱交換器13に入る。室内熱交換器13は、送風機16から送り出された空気との熱交換により放熱する。室内熱交換器13で熱交換を行った冷媒は過冷却状態の液冷媒となり、膨張弁14に入る。膨張弁14で膨張した低温低圧の冷媒は低乾き度の二相状態となり、室外熱交換器15に入る。室外熱交換器15は、送風機17から送り出された空気との熱交換により吸熱する。室外熱交換器15で室外の空気と熱交換して吸熱した冷媒は、蒸発してガス状態となり、圧縮機11に入る。
なお、上記の冷媒としてHC単一冷媒、またはHCを含む混合冷媒、R32、R410A、R407C、二酸化炭素のいずれかを用いることができるが、これらの冷媒により空気との熱交換率が向上する。
このように、室内熱交換器13及び室外熱交換器15の両者又はいずれか一方に実施の形態1〜5のいずれかのフィンチューブ型熱交換器を用いることにより、熱交換能力が大きい空気調和機を得ることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 板状フィン、2、2a〜2g 伝熱管、3 フィンカラー、4 隙間(空気層)、5 冷媒からフィンカラーへの熱流、8 溝、10a 拡管玉ビュレット、10 機械式拡管装置、11 圧縮機、12 四方弁、13 室内熱交換器、14 膨張弁、15 室外熱交換器、16、17 ファン、21a〜21g 平面部、22a〜22g 平面部以外の部分、A 窪み部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器、及びこの熱交換器を備えた空気調和機に係り、特に、フィンチューブ型の熱交換器に用いられる伝熱管に関する。
【背景技術】
【0002】
主に空気調和機に用いられているフィンチューブ型と呼ばれる熱交換器は、一定の間隔で平行に配置されてその間を気体(空気)が流れる板状フィンと、この板状フィンに直交して挿入され、内部に冷媒が流れる管状の伝熱管とで構成され、フィン間を流れる気体(空気)と伝熱管内を流れる冷媒との間で熱交換が行われる。
【0003】
この熱交換器に、板状フィンを切り起こしてスリット群を設け、隣接する円管形状の伝熱管の間に配設したものがある。このスリット群は、スリットの側端部が風向きに対して対向するように設けられており、その側端部において空気流の速度境界層及び温度境界層を薄くすることにより、伝熱促進が行われて熱交換能力を増大するとしている(例えば、特許文献1参照)。
また、熱交換器に、円管を連結した形状の多穴管を備えて伝熱管を高性能化したものがあり、耐圧性を有し、小型で熱交換能力が増大するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−33595号公報(第3頁−第4頁、図1−図2)
【特許文献2】特開2004−233012号公報(第3頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の熱交換器は、伝熱管に円管を用いているため、伝熱管部における通風抵抗や伝熱管の後流側に生じる死水域を抑えることが難しいという問題があった。また、熱交換器の高性能化を目的として冷媒側では伝熱管内の溝形状をハインスリムにし、空気側ではフィン形状を工夫することで熱交換性能を改善しているが、さらに高性能化するためには、伝熱管を細径化することが考えられる。しかしながら、伝熱管を細径化すると、管内熱伝達率が増大するのに対して圧力損失が増大するため、これらを最適化することが必要になる。また、細径伝熱管は、伝熱性能的には有利であるが、伝熱管の製作費用が増大するという問題があった。
【0006】
また、特許文献2の熱交換器では多穴管を用いており、管内の伝熱面積が増加して熱交換能力が増加するが、一方で、多穴管のそれぞれの穴(冷媒流路)に流れる冷媒間で隔壁を通じて熱交換が生じてしまい、熱交換能力が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、伝熱管部における通風抵抗や伝熱管の後流側に生じる死水域を抑えることができ、また製作費用の増大を抑制することができる熱交換器、及びこの熱交換器を備えた空気調和機を提供することを目的とする。
また、冷媒間で熱交換が生じず、熱交換能力が低下することがない熱交換器、及びこの熱交換器を備えた空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る熱交換器は、所定の間隔で平行に積層されその間を気体が通過する複数の板状フィンと、板状フィンを積層方向に貫通する複数の伝熱管とを有し、板状フィンは伝熱管が通するフィンカラーを備え、フィンカラーの外周面は板状フィンの幅方向に拡幅されて上下面に窪み部を有し、伝熱管は前記窪み部を介してフィンカラーの幅方向に複数個並列して挿入され、伝熱管の隣接する側の面は隙間を介して対向配置され、隣接面以外の面はフィンカラーの外周面に密着している。
また、本発明に係る空気調和機は、上記の熱交換器を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、伝熱管内の伝熱面積が飛躍的に増大し、さらに冷媒間の熱交換を防ぐことができる。
こうして、熱交換能力が高い熱交換器、及びこの熱交換器を用いた空気調和機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1に係るフィンチューブ型熱交換器の要部を示す平断面図である。
【図2】図1の要部の側面図である。
【図3】図1のフィンチューブ型熱交換器の拡管前後の伝熱管外形状変化を示す説明図である。
【図4】図1のフィンチューブ型熱交換器の機械式拡管時の説明図である。
【図5】フィンチューブ型熱交換器の熱流ベクトルの説明図である。
【図6】各冷媒流路が隔壁によって一体に形成された連結伝熱管を用いたフィンチューブ型熱交換器の熱流ベクトルの比較例を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係るフィンチューブ型熱交換器の要部を示す平断面図である。
【図8】図7のフィンチューブ型熱交換器の拡管前後の伝熱管外形状変化を示す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係るフィンチューブ型熱交換器の要部を示す平断面図である。
【図10】図9のフィンチューブ型熱交換器の拡管前後の伝熱管外形状変化を示す説明図である。
【図11】本発明の実施の形態4に係るフィンチューブ型熱交換器の要部を示す平断面図である。
【図12】図11のフィンチューブ型熱交換器の拡管前後の伝熱管外形状変化の説明図である。
【図13】本発明の実施の形態5に係るフィンチューブ型熱交換器の要部を示す平断面図である。
【図14】図13のフィンチューブ型熱交換器の拡管前後の伝熱管外形状変化の説明図である。
【図15】本発明の実施の形態6に係る冷凍サイクルを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1及び図2は本発明の実施の形態1に係る拡管後のフィンチューブ型熱交換器の要部を示すもので、板状フィン1は所定の間隔(フィンピッチ)Fpでイ方向(図1の紙面の前後方向、図2の左右方向)に積層されており、また、伝熱管2(第1の伝熱管2a及び第2の伝熱管2b)は板状フィン1に設けられたフィンカラー3を積層方向イに貫通し保持されて、段方向ロ(図1、2の上下方向)に所定の間隔で配置されている。
【0012】
板状フィン1のフィンカラー3の外周面は列方向ハ(板状フィンの幅方向、図1の左右方向、図2の紙面の前後方向)に拡幅されて上下面の中央部に窪み部Aが形成されている。より詳しくは、断面円弧状の曲面部22a、22bが上下対称の窪み部Aを介して連通しており、フィンカラー3内の列方向ハの両側に、第1の伝熱管2a及び第2の伝熱管2bが配設されている。
【0013】
第1、第2の伝熱管2a、2bは、フィンカラー3の窪み部Aの近傍においてこれらの伝熱管2a、2bの長手方向(積層方向イ)に沿った平面部21a、21bが形成されており、空気層からなる隙間4を介して対向している。そして、平面部21a、21b以外の部分22a、22bは、フィンカラー3の形状に沿った断面円弧状の曲面部を形成して、フィンカラー3に密着している。
【0014】
第1、第2の伝熱管2a、2bは、銅または銅合金の金属材料を引き抜き、または押し出しによって形成された外径が例えば1mmの管であって、段方向ロの配列ピッチは例えば12.24mmである。なお、第1、第2の伝熱管2a、2bはアルミまたはアルミ合金等の金属材料からなるものであってもよく、また外径が2mm、3mm、4mm、5mm、または6mm等の円管であってもよい。さらに段方向配列ピッチは15.3mm、20.4mm等であってもよい。
【0015】
次に、本実施の形態に係るフィンチューブ型熱交換器の製造工程について説明する。
まず、所定のピッチでフィンカラー3が設けられた複数枚の板状フィン1をイ方向に積層し、次に、第1、第2の伝熱管2a、2b(拡管前)を、図3(a)に示すように、板状フィン1のフィンカラー3の内部に挿入してフィンカラー3の列方向ハに設置する。
そして、図4に示すように超合金などの金属材料からなる拡管ビュレット玉10aを用いた機械式拡管装置10により拡管して、図3(b)に示すような冷媒流路を形成する。
【0016】
拡管ビュレット玉10aの外形状は、第1、第2の伝熱管2a、2b同士が隣接する平面部21a、21bを形成する部分のみ断面直線状とし、それ以外の部分22a、22bである曲面部はフィンカラー3の形状に沿う断面円弧状としてある。
こうして、図3(b)に示すように、第1、第2の伝熱管2a、2bは、隙間(空気層)4を介して平面部21a、21bが対向し、平面部21a、21b以外の部分22a、22aである断面円弧状の曲面部はフィンカラー3に密着させる。
【0017】
上記のように構成されたフィンチューブ型熱交換器では、図5に示すように、第1、第2の伝熱管2a、2b内を流れる冷媒から板状フィン1への熱流(熱流ベクトル)5を介して、空気と熱交換される。
しかしながら、図6の比較例に示すように、連結した伝熱管2の各冷媒流路が隔壁9によって一体に形成されている場合は、各伝熱管の間の熱抵抗が小さくなり、各伝熱管を流れる冷媒同士で、冷媒から冷媒へ熱流(熱流ベクトル)7が生じて板状フィン1との熱交換が小さくなり、冷媒と空気との熱交換効率が低下する。
これに対して、図5に示す本実施の形態では、第1、第2の伝熱管2a、2bの各冷媒流路間に隙間4(空気層)が形成されているので、冷媒流路間の熱抵抗が大きくなり、その一方、冷媒から板状フィン1への熱流5が大きくなって板状フィン1との熱交換が大きくなるので、冷媒と空気との熱交換効率が向上する。
【0018】
実施の形態2.
図7は本発明の実施の形態2に係る拡管後のフィンチューブ型熱交換器の要部の例を示すもので、実施の形態1に示した第1、第2の伝熱管2a、2bの内壁面の長手方向に、所定の間隔で、断面が台形状の複数の突条部8を設けたものである。
その他の構成は実施の形態1で示した場合と同様なので、説明を省略する。
【0019】
次に、図7に示すフィンチューブ型熱交換器の製造工程を説明する。
断面が台形状の複数の突条部8を設けた第1、第2の伝熱管2a、2bを、図8(a)に示すように板状フィン1のフィンカラー3の内部に2本挿入し、外周に突条部8に対応した溝を有する拡管ビュレット玉10aを用いた機械式拡管装置10(図4参照)により拡管する。拡管後は、図8(b)に示すように、第1、第2の伝熱管2a、2bは列方向ハに隙間(空気層)4を介して平面部21a、21b同士が対向し、それ以外の部分22a、22bである曲面部は板状フィン1のフィンカラー3に密着する。
【0020】
本実施の形態に係るフィンチューブ型熱交換器では、第1、第2の伝熱管2a、2b内に断面が台形状の複数の突条部8を設けたので伝熱面積が増大し、管内を流れる冷媒が乱流促進化されるので、実施の形態1に示した場合に比べて伝熱性能をより向上させることができ、熱交換能力が高くなる。なお、突条部8の断面形状は台形状に限定するものではなく、矩形状等その他の形状であってもよい。
【0021】
実施の形態3.
図9は本発明の実施の形態3に係る拡管後のフィンチューブ型熱交換器の要部を示すもので、板状フィン1にはフィンカラー3が設けられ、その外周面は列方向ハに拡幅されて上下面には一定の間隔で複数の窪み部Aが形成されている。より詳しくは、フィンカラー3は、両側に断面円弧状の曲面部を有し、その間の上下面に断面弧状の曲面部を4つの窪み部Aを介して波形状に連通し、列方向ハの両側に第1の伝熱管2a及び第5の伝熱管2eが配設され、その間に第2〜第4の伝熱管2b〜2dが配設されている。
【0022】
第1〜第5の伝熱管2a〜2eは、フィンカラー3の窪み部Aの近傍において長手方向(積層方向イ、図9の紙面の前後方向)に沿った平面部21a〜21eが形成されており、空気層からなる隙間4を介して対向している。そして、平面部21a〜21e以外の部分22a〜22eは、フィンカラー3の波形形状に沿った断面円弧状の曲面部22a、22e(両側に位置する第1、第5の伝熱管2a、2e)、または断面弧状の曲面部22b〜22d(間に位置する第2〜第4の伝熱管2b〜2d)を形成して、フィンカラー3に密着している。
その他の構成は実施の形態1で示した場合と同一なので説明を省略する。
【0023】
次に、図9に示すフィンチューブ型熱交換器の製造工程を説明する。
第1〜第5の伝熱管2a〜2e(拡管前)を、図10(a)に示すように、板状フィン1のフィンカラー3の内部に5本挿入し、拡管ビュレット玉10aを用いた機械式拡管装置10(図4参照)により拡管して、図10(b)に示すような冷媒流路を形成する。
【0024】
拡管ビュレット玉10aの外形状は、第1、第5の伝熱管2a、2eについては実施の形態1の場合と同じ形状であるが、第2〜第4の伝熱管2b〜2dについては隣接する平面部21b〜21dを形成する部分は断面直線状とし、それ以外の曲面部22b〜22dを形成する部分はフィンカラー3の形状に沿う断面弧状としてある。
こうして、図10(b)に示すように、第1〜第5の伝熱管2a〜2eは隙間(空気層)4を介して平面部21a〜21eが対向し、平面部21a〜21e以外の部分22a〜22eである曲面部はフィンカラー3と密着する。
【0025】
上記のように構成したフィンチューブ型熱交換器では、実施の形態1の場合に比べてより多くの伝熱管2a〜2eを搭載することができるので、熱交換能力がより高くなる。
【0026】
実施の形態4.
図11は本発明の実施の形態4に係る拡管後のフィンチューブ型熱交換器の要部を示すもので、板状フィン1のフィンカラー3の外周面は断面が長円形状であって、上下面が平坦で扁平状に形成されており、フィンカラー3内の列方向ハの両側に第1の伝熱管2a及び第2の伝熱管2bが配設されている。
【0027】
第1、第2の伝熱管2a、2bは断面D字状をなし、平面部21a、21bは空気層からなる隙間4を介して対向し、平面部21a、21b以外の部分22a、22b(U字状部分)はフィンカラー3に密着している。
【0028】
次に、本実施の形態に係るフィンチューブ型熱交換器の製造工程について説明する。
第1、第2の伝熱管2a、2b(拡管前)を、図12(a)に示すように、板状フィン1のフィンカラー3の内部に挿入し、拡管ビュレット玉10aを用いた機械式拡管装置10(図4参照)により冷媒流路を拡管する。拡管後は、図12(b)に示すように、隙間(空気層)4を介して平面部21a、21bが対向し、平面部21a、21b以外の部分22a、22bはフィンカラー3に密着する。
【0029】
本実施の形態に係るフィンチューブ型熱交換器は、フィンカラー3の断面長円状の外周面の上下面が平坦であり、実施の形態1のように窪み部がないので、空気が流れる際にフィンカラー3に死水域が発生することがなく、伝熱性能に優れ、熱交換能力も高い。また、フィンチューブ型熱交換器を蒸発器として用いる場合、空気中の水分の凝縮水が板状フィン1に発生するが、フィンカラー3の外周面の上下面が平坦であり窪み部がないので、フィンカラー3に凝縮水が溜まることもない。
【0030】
実施の形態5.
図13は本発明の実施の形態5に係る拡管後のフィンチューブ型熱交換器の要部を示すもので、板状フィン1のフィンカラー3の外周面は列方向ハに拡幅された断面長円形状であって、上下面が平坦で扁平に形成されており、フィンカラー3内の列方向ハに7本の第1〜第7の伝熱管2a〜2gが配設されている。そして、外側に配設された第1、第7の伝熱管2a、2gは断面D字状で曲面部を外側に向け、これらの間に配設された第2〜第6の伝熱管2b〜2fは断面四角形状をなす。
そして、それぞれの伝熱管2a〜2gが対向する部分では長手方向(積層方向イ、図13の紙面の前後方向)に沿った平面部21a〜21gが形成されており、空気層からなる隙間4を介して対向し、平面部21a〜21g以外の部分22a〜22gは断面D字状の曲面部22a、22g(両側に位置する伝熱管2a、2g)、または断面正方形状の外側平面部22b〜22f(間に位置する伝熱管2b〜2f)を形成して、フィンカラー3に密着している。
その他の構成は実施の形態1で示した場合と同様なので、説明を省略する。
【0031】
次に、図14により本実施の形態に係るフィンチューブ型熱交換器の製造工程を説明する。
第1〜第7の伝熱管2a〜2g(拡管前)を、図14(a)に示すように、板状フィン1のフィンカラー3の内部に7本挿入し、拡管ビュレット玉10aを用いた機械式拡管装置10(図4参照)により拡管して、図14(b)に示すような冷媒流路にする。
【0032】
拡管ビュレット玉10aの外形状は、第1、第7の伝熱管2a、2gは実施の形態4の場合と同じ形状であるが、第2〜第6の伝熱管2b〜2fは断面四角形状としてある。
こうして、図14(b)に示すように、隙間4(空気層)を介して平面部21a〜21gが対向し、平面部21a〜21g以外の部分22a〜22gはフィンカラー3と密着する。
【0033】
本実施の形態に係るフィンチューブ型熱交換器では、多数の伝熱管2a〜2gを搭載するので、熱交換能力が非常に高くなる。
【0034】
実施の形態6.
図15は、本発明の実施の形態1〜5のいずれかに係るフィンチューブ型熱交換器を備えた冷凍サイクルを示す模式図である。
図15に示すように、冷凍サイクルは、圧縮機11、四方弁12、室内熱交換器13、膨張弁14、及び室外熱交換器15が、順次冷媒配管により接続されている。そして、実施の形態1〜5のいずれかのフィンチューブ型熱交換器は、室内熱交換器13、及び室外熱交換器15のいずれにも用いることができる。
【0035】
暖房時には、矢印(実線)で示す方向に冷媒が流れる。圧縮機11で圧縮されたガス状態の冷媒は、四方弁12を通り、室内熱交換器13に入る。室内熱交換器13は、送風機16から送り出された空気との熱交換により放熱する。室内熱交換器13で熱交換を行った冷媒は過冷却状態の液冷媒となり、膨張弁14に入る。膨張弁14で膨張した低温低圧の冷媒は低乾き度の二相状態となり、室外熱交換器15に入る。室外熱交換器15は、送風機17から送り出された空気との熱交換により吸熱する。室外熱交換器15で室外の空気と熱交換して吸熱した冷媒は、蒸発してガス状態となり、圧縮機11に入る。
なお、上記の冷媒としてHC単一冷媒、またはHCを含む混合冷媒、R32、R410A、R407C、二酸化炭素のいずれかを用いることができるが、これらの冷媒により空気との熱交換率が向上する。
このように、室内熱交換器13及び室外熱交換器15の両者又はいずれか一方に実施の形態1〜5のいずれかのフィンチューブ型熱交換器を用いることにより、熱交換能力が大きい空気調和機を得ることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 板状フィン、2、2a〜2g 伝熱管、3 フィンカラー、4 隙間(空気層)、5 冷媒からフィンカラーへの熱流、8 溝、10a 拡管玉ビュレット、10 機械式拡管装置、11 圧縮機、12 四方弁、13 室内熱交換器、14 膨張弁、15 室外熱交換器、16、17 ファン、21a〜21g 平面部、22a〜22g 平面部以外の部分、A 窪み部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔で平行に積層されその間を気体が通過する複数の板状フィンと、該板状フィンを積層方向に貫通する複数の伝熱管とを有し、
前記板状フィンは前記伝熱管が貫通するフィンカラーを備え、
前記フィンカラーの外周面は前記板状フィンの幅方向に拡幅されて上下面に窪み部を有し、
前記伝熱管は前記窪み部を介して前記フィンカラーの幅方向に複数個並列して挿入され、
前記伝熱管の隣接する側の面は隙間を介して対向配置され、前記隣接面以外の面は前記フィンカラーの外周面に密着していることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記窪み部が上下対称に形成されていることを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
【請求項3】
前記板状フィンのフィンカラーの外周面は、一対の断面円弧状の曲面部が窪み部を介して連通したものであることを特徴とする請求項1または2記載の熱交換器。
【請求項4】
前記板状フィンのフィンカラーの外周面は、断面円弧状の曲面部が複数の窪み部を介して連通したものであることを特徴とする請求項1または2記載の熱交換器。
【請求項5】
所定の間隔で平行に積層されその間を気体が通過する複数の板状フィンと、該板状フィンを積層方向に貫通する複数の伝熱管とを有し、
前記板状フィンは前記伝熱管が貫通するフィンカラーを備え、
前記フィンカラーの外周面は前記板状フィンの幅方向に拡幅されて上下面が平坦に形成され、
前記伝熱管は前記フィンカラーの幅方向に複数個並列して挿入され、
前記伝熱管の隣接する側の面は隙間を介して対向配置され、前記隣接面以外の面は前記フィンカラーの外周面に密着していることを特徴とする熱交換器。
【請求項6】
前記板状フィンのフィンカラーの外周面は、断面がほぼ長円形状であることを特徴とする請求項5記載の熱交換器。
【請求項7】
前記それぞれの伝熱管はその一部に平面部を形成し、前記平面部を前記板状フィンの積層方向に平行に対向させて隙間部を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱交換器。
【請求項8】
前記伝熱管の内壁に複数の突条部を設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の熱交換器。
【請求項9】
前記フィンカラー内に複数の円管が挿入され、機械式拡管方式で拡管されて、隙間を介して対向する平面と、前記フィンカラーの外周面に密着する面を有する伝熱管を形成することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の熱交換器。
【請求項10】
前記機械式拡管方式で拡管して両側に位置する円管を一部が断面円弧状を有する伝熱管とすることを特徴とする請求項1、2、3、4、7、8のいずれかに記載の熱交換器。
【請求項11】
前記機械式拡管方式で拡管して両側に位置する円管を断面D字状の伝熱管とすることを特徴とする請求項5、6、7、8のいずれかに記載の熱交換器。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の熱交換器を用いたことを特徴とする空気調和機。
【請求項13】
冷媒として、HC単一冷媒、またはHCを含む混合冷媒、R32、R410A、R407C、二酸化炭素のいずれかを用いたことを特徴とする請求項12記載の空気調和機。
【請求項1】
所定の間隔で平行に積層されその間を気体が通過する複数の板状フィンと、該板状フィンを積層方向に貫通する複数の伝熱管とを有し、
前記板状フィンは前記伝熱管が貫通するフィンカラーを備え、
前記フィンカラーの外周面は前記板状フィンの幅方向に拡幅されて上下面に窪み部を有し、
前記伝熱管は前記窪み部を介して前記フィンカラーの幅方向に複数個並列して挿入され、
前記伝熱管の隣接する側の面は隙間を介して対向配置され、前記隣接面以外の面は前記フィンカラーの外周面に密着していることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記窪み部が上下対称に形成されていることを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
【請求項3】
前記板状フィンのフィンカラーの外周面は、一対の断面円弧状の曲面部が窪み部を介して連通したものであることを特徴とする請求項1または2記載の熱交換器。
【請求項4】
前記板状フィンのフィンカラーの外周面は、断面円弧状の曲面部が複数の窪み部を介して連通したものであることを特徴とする請求項1または2記載の熱交換器。
【請求項5】
所定の間隔で平行に積層されその間を気体が通過する複数の板状フィンと、該板状フィンを積層方向に貫通する複数の伝熱管とを有し、
前記板状フィンは前記伝熱管が貫通するフィンカラーを備え、
前記フィンカラーの外周面は前記板状フィンの幅方向に拡幅されて上下面が平坦に形成され、
前記伝熱管は前記フィンカラーの幅方向に複数個並列して挿入され、
前記伝熱管の隣接する側の面は隙間を介して対向配置され、前記隣接面以外の面は前記フィンカラーの外周面に密着していることを特徴とする熱交換器。
【請求項6】
前記板状フィンのフィンカラーの外周面は、断面がほぼ長円形状であることを特徴とする請求項5記載の熱交換器。
【請求項7】
前記それぞれの伝熱管はその一部に平面部を形成し、前記平面部を前記板状フィンの積層方向に平行に対向させて隙間部を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱交換器。
【請求項8】
前記伝熱管の内壁に複数の突条部を設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の熱交換器。
【請求項9】
前記フィンカラー内に複数の円管が挿入され、機械式拡管方式で拡管されて、隙間を介して対向する平面と、前記フィンカラーの外周面に密着する面を有する伝熱管を形成することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の熱交換器。
【請求項10】
前記機械式拡管方式で拡管して両側に位置する円管を一部が断面円弧状を有する伝熱管とすることを特徴とする請求項1、2、3、4、7、8のいずれかに記載の熱交換器。
【請求項11】
前記機械式拡管方式で拡管して両側に位置する円管を断面D字状の伝熱管とすることを特徴とする請求項5、6、7、8のいずれかに記載の熱交換器。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の熱交換器を用いたことを特徴とする空気調和機。
【請求項13】
冷媒として、HC単一冷媒、またはHCを含む混合冷媒、R32、R410A、R407C、二酸化炭素のいずれかを用いたことを特徴とする請求項12記載の空気調和機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−230300(P2010−230300A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81612(P2009−81612)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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