説明

熱交換器及びその製造方法

【課題】 OTECシステム用の新規な熱交換器を提供する。
【解決手段】 第1の流体と第2の流体との愛で熱交換するためのハイブリッドプレートフィン熱交換器である。この熱交換器は複数のプレートを有する。各プレートは第1の流体を搬送するための流路を構成する。フィンは各プレートにろう付けされている。フィンは第2の流体用の複数の流路を画成する。ろう付け領域が運転中に第1の流体から隔離されるように、プレートは互いに摩擦撹拌溶接法により接合されている。その結果、熱交換器は、ろう付け領域を腐食する海水又は地熱流体などのような第1の流体を使用する用途で使用するのに好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に関し、特に、海洋温度差発電(Ocean Thermal Energy Conversion, OTEC)システム用の熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
OTECは海水のような莫大な量の水の深い部分の水と浅い部分の水との間の温度差に基づいてエネルギーを発生させる方法である。OTECシステムは熱機関(すなわち、温度差に基づいて電気を発生する熱力学的装置又はシステム)を利用する。この熱機関は、比較的暖かな浅いところの水と比較的冷たい深いところの水との間に熱的に結合される。OTECシステムは例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
OTECに好適な熱機関の一例はランキンサイクル(Rankine cycle)である。これは低圧タービンを使用する。低沸点を特徴とする“作動流体(working fluid)”(例えば、アンモニア)を含有する閉ループ導管は、作動流体が気化される第1の熱交換器で暖かな海水と熱的に結合される。膨張蒸気はタービンに送られ、タービン発電機を駆動する。タービンを出た後、気化作動流体は、閉ループ導管が冷たい海水と熱的に結合される第2の熱交換器で凝縮され、液体状態に戻される。次いで、凝縮作動流体はシステムに再循環される。
【0004】
OTECシステムは技術的に有用であることが判明しているが、これらシステムの高い建設費が商業化を阻んでいる。熱交換器はOTECプラント建設費に対する次ぎに大きな一因である(OTECプラント建設費の最大の一因は沖合係留船又はプラットフォームである)。従って、OTECプラントで必要とされる巨大な熱交換器の最適化は非常に重要であり、OTEC技術の商業的実現性に関して大きな影響を有する。
【0005】
最も効率的で、対費用効果の高いタイプの工業用熱交換器の一つはプレートフィン熱交換器である。プレートフィン熱交換器は、常用のチューブ・外殻式、プレートフレーム式などのような他のタイプの熱交換器に較べて、(高いフィン充填密度に関するポテンシャルにより)非常に高い表面積を有することができる。その結果、プレートフィン熱交換器は、非常に高い伝熱効率を有することが出来、高い液体流速を有するがOTECのような低温度差を特徴とする用途で使用するための魅力的な候補になり得る。
【0006】
最高効率のプレートフィン熱交換器の一つは、ろう付けアルミニウムプレートフィン熱交換器である。これは、アルミニウム製フィンと、優れた熱伝導率を有する材料製のプレートとから構成されている。フィンとプレートはろう付け手法を用いて積重され、かつ結合され、流体搬送用の交互通路を形成する。操作時、温度差を有する流体は交互通路を通過され、熱エネルギーは流体とフィン・プレート材料間で移動される。
【0007】
ろう付けは、機械要素類を結合するための周知の低コスト方法である。これははんだ付けと似ているが、ろう付けは、通常のはんだの融点(〜250℃−300℃)よりも高い融点(一般的に、450℃以上)を有するろう付け充填材を使用する。多くの用途において、ろう付けははんだ付けよりも好ましい。なぜなら、ろう付け充填材は非常に高い構造強度を有するからである。実際、ろう付けされた接合部は、たとえ高温度であっても、これらが接合する部品類と殆ど同じくらい強い。
【0008】
更に、多くのろう付け継手(ジョイント)を含む完全な組立体は、組立体を整列させ、各所望のろう付け継手位置にろう付け充填材を塗布することにより一度にろう付けすることができる。次いで、全体的集成装置を同時に加熱すると、ろう付け充填材が溶融し、その隣接要素類に融合する。その結果、ろう付けの使用は、融接などのような多くのその他の接合技術よりも顕著なコスト効果をもたらす。
【0009】
運悪く、ろう付け継手は、海水、地熱流体、鉱水、汚染水及び塩水飛沫などのような高電導度物質に曝露された時に、電解腐食(電食)を極めて受け易い。代表的なろう付け方法は接合されるべ母体(基礎)金属よりも低い融点を有するアルミ合金充填材を使用する。従って、充填材金属は母体金属と異なる化学組成及び電位を有する。従って、非同類金属は継手部で電池を創成する。継手部における電食作用は、金属イオン移動(即ち、腐食)を誘発する。導電性媒体(例えば、海水)の存在下において、継手部における電食作用は、高められ、継手の崩壊が促進される。更に、電食関連崩壊のために作用しなくなったろう付け継手は通常、信頼可能的に又は対費用効果的に一新させることは不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平5−340342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、従来技術の前記のような高コスト性及び欠点を有しないプレートフィン熱交換器を提供することである。
【0012】
本発明の実施態様は、OTECシステムで使用するのに特に適しているが、原子炉、化学プラントなどのようなその他の熱交換器用途で使用するのにも適する
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するための本発明の代表的な実施態様は、複数のプレートを包含し、これら各プレートは熱交換器を介して海水を搬送するための複数本の流路を有する熱交換器コアからなる。プレートはフィン層により間挿されている。フィン層は全体として、熱交換器を介して搬送される作動流体用の流路を形成する。
【0014】
従来技術と同様に、フィンはろう付け方法を用いてプレートに接合される。従来技術と異なり、本発明はろう付け継手を海水から流体的に隔離するシールを提供する。これらのシールは、プレートとコアの端部に配置された表面板とを耐電食性継手により結合することによりコアの各端部に形成される。ろう付け領域は海水に曝露されないので、ろう付け継手の腐食は軽減される。
【0015】
耐電食性継手は、同じ材料からなるプレート及び表面板とにより、摩擦撹拌溶接される。従って、これら継手が非同類金属を含まないので、継手の耐電食性は高められる。
【0016】
コアの各端部において、全体としてシールを画成するために、コアの各プレートは表面板に個別的に接合される。表面板及びフィンの各層が、これらの間に海水を捕獲(トラッピング)することを阻止するのに十分なギャップ(間隙)により分離されるように、プレートは表面板のところでフィン層を越えて延ばされている。従って、隙間腐食が軽減される。
【0017】
ろう付け充填材で部分的に被覆されたバー(棒)がプレート間に間挿され、そして、被覆部分がコアの内部に向かって配置されるように配列される。バーはコアの各端部に配置される。バーとプレートは、各バーの被覆部分をその隣接プレートにろう付けすることにより、最初に接合される。ろう付け後、バーの非被覆部分をプレートに摩擦撹拌溶接させる。その結果、コアの全外面にはろう付け継手が存在しない。コアの各端部で、プレートとバーが全体として、ろう付け継手が存在しない端面を画成する。次いで、コアの各端面は、シールを画成するために、表面板に摩擦撹拌溶接される。
【0018】
熱交換器は複数個のコアを有する。各コアは第1の端部と第2の端部を有する。各第1の端部は第1の表面板に接合され、各第2の端部は第2の表面板に接合される。その結果、本発明は熱交換器の大容量化を可能にする。
【0019】
本発明の熱交換器は、
(1)第1のコア、
この第1のコアは、第1の流体を搬送するための第1の流路を構成する第1の層と、第1の複数の流路を画成する複数のフィンからなる第2の層とから構成され、前記第2の層は第1の層にろう付けされている、
(2)第1のコアの第1の端部に配置された第1のプレート、
この第1のプレート及び第1のコアの第1の端部は、耐電食性継手である第1の継手を介して接合されている、及び
(3)第1のコアの第2の端部に配置された第2のプレート、
この第2のプレート及び第1のコアの第2の端部は、耐電食性継手である第2の継手を介して接合されている、
からなる。
【発明の効果】
【0020】
以上述べたように、本発明の効果は、海洋温度差発電システムで使用されてきた従来の熱交換器が有する欠点を解消したことである。
【0021】
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来技術によるプレート・フィン熱交換器の一例の概要図である。
【図2】従来技術による熱交換器コアの一部の概要斜視図である。
【図3】本発明の一実施例による熱交換器の概要図である。
【図4】本発明の一実施例による熱交換器を製造するのに好適な方法の操作手順を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施例による熱交換器コアの概要斜視図である。
【図6A】本発明の一実施例による層504の上面図である。
【図6B】本発明の別の実施例による熱交換器コアの上面図である。
【図7A】本発明の別の実施例による表面板の一例の概要図である。
【図7B】コア302に接合された後の表面板306の概要図である。
【図7C】コア302に接合された後の表面板306の図7Bにおけるa−a線に沿った概要横断面図である。
【図8】本発明の一実施例による表面板と熱交換器コアとを接続させるのに好適なサブメソッドの操作手順を示すブロック図である。
【図9A】本発明の一実施例による完全に組み立てられた熱交換器の海水入口を示す概要横断面図である。
【図9B】本発明の一実施例による完全に組み立てられた熱交換器の海水出口を示す概要横断面図である。
【図10】本発明の別の実施例による熱交換器コアの概要斜視図である。
【図11】バー1002の概要斜視図である。
【図12】本発明の別の実施例による熱交換器コアを製造するのに適した方法の操作手順を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら詳述する。
【0024】
図1は従来技術によるプレート・フィン熱交換器の一例の概要図である。熱交換器100は、コア102、一次流体入口104、マニホールド106、108、114及び116、一次流体出口110、二次流体入口112及び二次流体出口118からなる。
【0025】
操作時、熱交換器100は一次流体入口104で一次流体を受け入れる。一次流体入口104はマニホールド106に流体的に連結されている。マニホールド106は一次流体を、x軸方向に整列させ、コア102内に画成される複数の流路に分配する。コア102を通過した後、一次流体はマニホールド108に集められ、そして、一次流体出口110に供給される。
【0026】
同様な方法で、熱交換器100は二次流体を二次流体入口112で受け入れる。二次流体入口112はマニホールド114に流体的に連結されている。マニホールド114は二次流体を、y軸方向に整列させ、コア102内に画成される複数の流路に分配する。コア102を通過した後、二次流体はマニホールド116に集められ、そして、二次流体出口118に供給される。
【0027】
図2は従来技術による熱交換器コアの一部の概要斜視図である。コア102は分割板202、フィン204及びスペーサー・バー208からなる。
【0028】
分割板202は、フィン204及び206が接合される熱伝導性材料の薄い層である。フィン204及び206はろう付け継手210により分割板202に接合される。分割板202及びフィン204,206に使用するために多くの材料が検討されてきた。例えば、チタン、銅ニッケル合金及びアルミニウムなどである。しかし、OTEC用途の場合、アルミニウム(又はその合金類の幾つか)がこれらの要素のために一般的に使用されている。その理由は、アルミニウムは軽量であり、アンモニア及び海水(一次流体及び二次流体として最も一般的に使用されている)と低コストで優れた適合性を示すからである。
【0029】
フィン204は流路212を画成する。流路212はコア102を介して一次流体を搬送する。フィン206は流路214を画成する。流路214はコア102を介して二次流体を搬送する。フィン204はx軸方向に沿って配向され、フィン206はy軸方向に沿って配向される。従って、熱交換器100は直交流熱交換器として動作する。
【0030】
スペーサー・バー208も分割板202にろう付けされている。スペーサー・バー208は流路212及び214の範囲を画成し、かつ、z軸方向に沿った流路の寸法も決定する。
【0031】
一次流体及び二次流体がコアを通過するにつれて、熱は分割板202及びフィン204,206の材料を介して流体間で交換される。
【0032】
熱交換器100のような、ろう付けされたアルミニウム製フィンを使用するプレート・フィン熱交換器は非常に優れた伝熱効率と低コスト建造性を示すが、ろう付け継手210はOTEC用途ではその適用可能性が限定される。前記のように、ろう付け継手を形成するために使用されるろう付け充填材は接合されるべき材料よりも低い融点を有しなければならない。この低融点を獲得するために、ろう付け充填材の組成は接合される材料の組成と異なる。その結果、ろう付け継手は、特に海水などのような導電性媒体の存在下で電食を受け易い非同類金属を含有しなければならない。その結果、現時点における前記のような熱交換器は、OTECシステムで一般的に使用されていない。
【0033】
本発明は、ろう付け継手に付随する高い電食性を軽減又は解消し、同時に、低コスト熱交換器コアを形成するためのろう付け方法を開発する手段を提供する。従来技術と同様に、本発明も熱交換器コアを形成するために、フィンとプレートを結合するろう付け法を使用する。しかし、従来技術と異なり、本発明は熱交換器コアの端部に表面板を接合させるのに摩擦撹拌溶接を使用し、これにより、海水への曝露からろう付け継手を流体的に隔離するシールを創成する。
【0034】
図3は本発明の一実施例による熱交換器の概要図である。熱交換器300は、熱交換器コア302−1及び302−2、外殻304、表面板306−1及び306−2、海水入口ポート308、海水出口ポート310、作動流体入口312,作動流体出口314及び邪魔板316からなる。
【0035】
図4は本発明の一実施例による熱交換器を製造するのに好適な方法の操作手順を示すブロック図である。方法400は操作ステップ401で開始される。ステップ401において、熱交換器コア302を形成するためにコア302−1及び302−2を整列させる。図3をを参照しながら、かつ、図5〜9を参照しながら方法400を引き続き説明する。
【0036】
図5は本発明の一実施例による熱交換器コアの概要斜視図である。熱交換器コア302は層502−1〜502−3(全体的に層502と呼ぶ)と層504−1〜504−2(全体的に層504と呼ぶ)とからなる。熱交換器コア302は各熱交換器コア302−1及び302−2を代表する。
【0037】
層502及び504は交互配列により積重され、各隣接する一対の層502は層504により間挿されている。例えば、層502−1及び502−2は層504−1により間挿されている。
【0038】
各コア302−1及び302−2(全体的にコア302と呼ぶ)は、海水と作動流体(例えば、アンモニア)との間で熱を移動させるのに好適な熱交換器コアである。コア302−1及び302−2は実質的にコア302と同一である。別の実施態様では、コア302−1及び302−2は異なる設計特徴を有する。
【0039】
各層502は、各層502を介して海水を搬送するための複数の流路506を構成する押出アルミニウム合金板である。更に各層502は、その上面と下面(図5には図示されていない)に配置されたろう付け充填材層を更に包含する。好ましくは、層502は熱交換器300における電食を軽減するために、表面板306と同じ材料から構成されている。通路506は全体として、コア302の第1の端部512に海水入口508と、コア302の第2の端部514に海水出口510を画成する。図5では層502は5本の流路508を有するように図示されているが、これは単なる一例であり、これに限定されない。当業者には、1個以上の層502が任意の実際的本数の流路(1本の流路の事例も含む)から構成できることは自明である。
【0040】
各層504は全体として、コア302を介して作動流体を搬送するための複数の流路を画成する。
【0041】
図6Aは本発明の一実施例による層504の上面図である。層504はフィン516からなる。フィン516は波形のアルミニウム製フィンである。フィン516は全体として、複数の流路602を画成する。波形流路604は、作動流体が流路604内を通過するにつれて、作動流体の流れに乱流を引き起こすことにより熱交換器内における伝熱を促進させる。更に、波形流路604はコア302の機械強度を増大させる。
【0042】
流路部606において、フィン516は、互いに概ね平行に、かつ、軸522と並行な概ね直線状のパス(路)を画成するように、配列されている。その結果、層502及び504は概ね平行な流れ配列で配置されており、海水及び作動流体は軸522と一直線上の方向に沿って同じ方向に流れる。しかし別の実施態様では、海水及び作動流体は軸522と一直線上の方向に沿って反対方向に流れる。別の実施態様では、フィン516は、流路506と概ね直交しており、コア302は交差流れ配列で配置されている。また、別の実施態様では、フィン516は波形ではない。
【0043】
第1の端部512付近で、フィン516は全体として、一対の作動流体入口518を画成する。第2の端部514付近で、フィン516は全体として、一対の作動流体出口520を画成する。フィン516、作動流体入口518及び作動流体出口520は、各流路への作動流体の分配に伴う圧力低下を軽減するために、軸522に対して対称的に分布されている。別の実施態様では、フィン516により画成される全ての流路が作動流体入口518から出て、そして、単一の作動流体出口520で終わる。別の実施態様では、フィン516はアルミニウム以外の材料から構成されている。フィン516は、熱交換器300により搬送される作動流体に対して高い熱伝導性と優れた耐性を有する材料から構成されていることが好ましい。
【0044】
第1の端部512及び第2の端部514の各々において、層502は、距離d1だけ軸522の方向に沿って層504を越えて突き出た突出部524を有する。突出部524は、摩擦撹拌溶接のような耐電食性継手により各表面板306−1及び506−2への層502の接合を容易にする。別の実施態様では、フィンと表面板との間の汚染トラッピングを軽減する間隙により層504及び表面板306−1及び506−2が確実に分離されるように、d1の値が選択される。
【0045】
図6Bは本発明の別の実施例による熱交換器コアの上面図である。熱交換器コア608は本発明によるフィン516の層の多くの代替的配列の一例を示す。コア302を介して流れる海水と作動流体との間の満足な伝熱を実行するための様々な異なる任意の方法でフィン516を配列させることができる。例えば、フィン516は流路506に対して、並行流れ配列、対向流れ配列、交差流れ配列などで配置させることができる。例えば、熱交換器608は交差流れ配列を示す。フィン516は4個の流れ領域610に配置され、フィンは流路604を画成する。流路604が流路506と概ね直交するように、フィン516が配列される。更に、各流れ領域610は、作動流体入口518と作動流体出口520を画成する。
【0046】
熱交換器コア608は幾つかのポイントで作動流体を層608に入れたり出したりできる。操作時には、一般的に邪魔板をポイントA,B及びCに配置し、コア608の外面に沿って作動流体が流れることをブロックする。邪魔板は、作動流体がコア608を通過するにつれて、作動流体が流路612を確実に流れるようにする。換言すれば、邪魔板は、作動流体が流路612に沿ってコア608の内外に“編み込まれる”ように、作動流体を振り向ける。
【0047】
再び図4を参照する。操作ステップ402において、集積された層502及び504はろう付け炉内で加熱され、ろう付け充填材は溶融され、層502の上面及び底面に配置される。ろう付け充填材は常法により、各層504のフィン516をその対応する隣接層502の各々に接合する。層502及び504が概ね硬質な構造体を形成するように、結合された構造体を次いで冷却する。別の実施態様では、層502及び504を接合させるために融接法が使用される。
【0048】
図示された実施態様では、2個の層504が3個の層502に間挿されているが、本発明の熱交換器は任意の個数の層502及び任意の個数の層504を包含することもできる。更に、熱交換器コアの一方又は両方の外層は層502及び層504の何れであることもできる。
【0049】
操作ステップ403において、邪魔板316をコア302−1及び302−2に取り付ける。作動流体入口518が第1の邪魔板316と第1の端部512の間に配置されるように、第1の邪魔板316を配置させる。作動流体出口520が第2の邪魔板316と第2の端部514の間に配置されるように、第2の邪魔板316を配置させる。邪魔板316は常用の邪魔板であり、作動流体が外殻304内を通過する間、作動流体をコア302内に送り込みかつ通過させる。換言すれば、邪魔板316はコア302の外面に沿って作動流体が流れることをブロックする。その結果、邪魔板316、外殻304及び作動流体入口312は全体として、作動流体を各コア302に供給するためのマニホールドを画成する。同様に、邪魔板316、外殻304及び作動流体出口314は全体として、各コア302からの作動流体を受け入れるためのマニホールドを画成する。
【0050】
操作ステップ404において、コア302−1及び302−2の周囲に外殻304を配置させる。
【0051】
外殻304はコア302−1及び302−2を内包するための円筒状閉鎖容器である。外殻304は作動流体入口312及び作動流体出口314を有し、これにより、作動流体は外殻304及びコア302−1,302−2内部に流入し、かつこれらから流出できる。外殻304は、その展開位置で運転中に、熱交換器300に長期にわたって持続的に加えられる圧力に耐えるのに適した材料により製造される。図示された実施態様では、熱交換器300は円形横断面を有する外殻を有するが、矩形、長方形、楕円形又は異形のような円形以外の横断面形状を有することもできる。外殻304の設計、製造及び使用方法は当業者に自明である。
【0052】
操作ステップ405において、表面板306−1及び306−2は耐電食性継手によりコア302−1及び302−2に接合される。
【0053】
図7Aは本発明の別の実施例による表面板の一例の概要図である。表面板306は各表面板306−1及び306−2を代表している。
【0054】
表面板306はアルミニウム合金の概ね硬質な板であり、熱交換器300内を搬送される海水及び作動流体の各々への曝露に適する。表面板306はプレート702とフランジ706からなる。フランジ706はプレート702に強固に結合されている。プレート702は、層502の突出部524をぴったりと収容するためのサイズに成形された開口部702を有する。
【0055】
図8は本発明の一実施例による表面板と熱交換器コアとを接続させるのに好適なサブメソッドの操作手順を示すブロック図である。操作403は副操作801で開始される。副操作801において、表面板306の開口部702内に突出部524が挿入される。
【0056】
副操作802において、各突出部524は表面板と結合され、耐電食性継手710を形成する。図7Bはコア302に接合された後の表面板306の概要図である。
【0057】
耐電食性継手710は摩擦撹拌溶接継目であり、各層502の壁712の材料及びこれらの壁を取り囲むプレート702の材料と混ざり合い、各突出部524の周囲に効果的な漏れ止めシールを形成する。
【0058】
摩擦撹拌溶接法は同じ材料の2つの要素を接合させるための周知の方法である。常用の摩擦撹拌溶接法は2つの要素間の界面に押し当てられる回転プローブを使用する。プローブと材料との間の巨大な摩擦力は、プローブの直近の材料をその融点以下の温度にまで加熱する。これにより、相接する部分が軟化される。しかし、材料は固相状態のままなので、その元の材料特性は維持される。溶接ラインに沿ってプローブが移動すると、2個のピースから軟化材料が後縁(トレーリングエッジ)に向かって押し当てられて隣接領域が溶融され、その結果、溶接継目が形成される。
【0059】
融接、ろう付けなどのようなその他の常用の結合技法と異なり、摩擦撹拌溶接法は幾つかの性能優位性を有する。特に、得られた溶接継目は結合部分と同じ材料から構成されている。その結果、結合部における非同類金属間の接触による電食は軽減されるか又は全く無くなる。更に、得られた溶接継目は結合部における材料の材料特性を維持する。摩擦撹拌溶接法は米国特許出願第12/484,542号明細書(出願日:2009年6月15日)に詳述されている。別の実施態様では、摩擦撹拌溶接法以外の接合技術を使用して、耐電食性継手と共に構成部品類を結合する。別の実施態様における適当な接合方法は例えば、或るタイプの融接法、ゴム状、熱可塑性、熱硬化性又はエポキシ系接合化合物の使用などである。しかし、これらのみに限定されることはない。
【0060】
一般的に、副操作802の最中、溶接ツールは実線を刻設し、一回のステップで層502とプレート702との間の全ての溶接継目を形成する。これにより、図7Bに示されるような連続的継手710が残される。しかし、別の実施態様では、溶接ツールは各層502がプレート702に接合された後、プレート702から取り除かれる。しかし、これは通常望ましからざる技法である。なぜなら、別の摩擦撹拌溶接継目の形成に長時間を要し、費用が掛かり過ぎ、かつ、多数の射出孔を残置するからである。射出孔の一つはプレート702からの溶接ツールの引っ込め用であり、この射出孔は粒子を捕獲し、生物汚損を誘発し、かつ、隙間腐食を促進する。
【0061】
図7Cはコア302に接合された後の表面板306の図7Bにおけるa−a線に沿った概要横断面図である。
【0062】
突出部524の長さd1は表面板306の厚さt1よりも長いので、ギャップ(間隙)gが生じる。ギャップgは、常用の熱交換器内に発見される隙間に典型的に発生する作動流体の淀み領域の形成を防止するのに十分な大きさである。その結果、本発明の実施態様では隙間腐食は軽減され、本発明による熱交換器の運用寿命は著しく長くなる。
【0063】
別の実施態様では、熱交換器300は、作動流体以外の一次流体と海水以外の二次流体(例えば、地熱流体など)との間で熱を移動させる。或る実施態様では、表面板306は、アルミニウム、チタン、黒鉛複合材、銅ニッケル合金などのような、アルミニウム合金以外の材料から形成されている。各表面板306は、各表面板及び各コアと耐電食性継手との接合を容易にするような態様で、コア302を収容するためのホール(孔)を有する。
【0064】
図4の操作ステップ406において、外殻304、海水入口ポート308、海水出口ポート310、及び表面板306−1及び306−2が結合される。
【0065】
図9A及び9Bは本発明の一実施例による完全に組み立てられた熱交換器の海水入口を示す概要横断面図である。
【0066】
図9Aは熱交換器300の海水入口端部を示す。海水入口ポート308は海水入口端部のところで熱交換器300に取り付けられており、導管902、ディフューザー(拡散体)904及びフランジ906から構成されている。海水入口308はディフューザー904を介して各コア302の層502に流体的に連結されている。
【0067】
海水入口ポート308はフランジ706及び906を介して表面板306−1に機械的に連結されている。フランジ706及び906にはガスケット908が間挿されている。ガスケット908はフランジ間の流体密封構造の形成を助ける。フランジ706及び906は締結具910により一体的に保持される。
【0068】
耐電食性継手710が漏れ止めシールであるという事実により、表面板306−1及び層502は全体として、層504から海水入口ポート308を流体的に隔離するバリア(障壁)を画成する。
【0069】
図9Bは熱交換器300の海水出口端部を示す。海水出口ポート310は海水出口端部のところで熱交換器300に取り付けられており、導管902、ディフューザー(拡散体)904及びフランジ906から構成されている。海水出口ポート310はディフューザー904を介して各コア302の層502に流体的に連結されている。
【0070】
海水出口ポート310はフランジ706及び906を介して表面板306−2に機械的に連結されている。フランジ706及び906にはガスケット908が間挿されている。ガスケット908はフランジ間の流体密封構造の形成を助ける。
【0071】
耐電食性継手710が漏れ止めシールであるという事実により、表面板306−2及び層502は全体として、層504から海水出口ポート310を流体的に隔離するバリア(障壁)を画成する。
【0072】
或る実施態様では、ディフューザー(拡散体)904は、コア302における各海水流路506における海水の圧力及び流速を概ね一様にするように設計されている。
【0073】
図10は本発明の別の実施例による熱交換器コアの概要斜視図である。熱交換器コア1000は層502−1〜502−3、層504−1〜504−2及びバー1002から構成されている。
【0074】
図11はバー1002の概要斜視図である。バー1002は表面板502及び表面板306と同じアルミニウム合金からなる長方形バーである。バー1002は上面1102と底面1104を有する。バー1002はバー部分1106とバー部分1108を包含する。バー部分1106は摩擦撹拌溶接法により隣接層502に接合させるのに適したバー1002の部分である。バー部分1108はろう付け法により隣接層502に接合させるのに適したバー1002の部分である。
【0075】
上面1102は上面部分1110と1112を包含する。これらはそれぞれバー部分1106及び1108の上面である。底面1104は底面部分1114及び1116を包含する。これらはそれぞれバー部分1106及び1108の底面である。
【0076】
バー部分1108の上面1112及び底面1116の各々は、クラッド(外装)1118を有する。バー部分1106の上面1110及び底面1114はろう付け充填材で外装仕上(クラッディング)されていない。
【0077】
クラッド(外装)1118は常用のろう付け充填材から構成されており、常法により表面上に配置される。或る実施態様では、クラッド(外装)1118が各表面1110及び1114と概ね同一面であるために、バー部分1108の上面及び底面は(機械加工などにより)レリーフ加工されている。本発明で使用するのに適した常用のろう付け充填材はアルミニウム合金、銅チタン合金、合金鋼などである。しかし、これらに限定されない。好適なろう付け充填材の設計、製造及び使用法は当業者に自明である。或る実施態様では、バー部分1108は常用のろう付け充填材以外の材料で外装仕上(クラッディング)されている。これらの表面上のクラッド(外装)として使用するのに好適な材料はエポキシ類、熱硬化性接着剤、金属充填エポキシ類などである。しかし、これらに限定されない。
【0078】
図12は本発明の別の実施例による熱交換器コアを製造するのに適した方法の操作手順を示すブロック図である。方法1200は操作ステップ1201で開始される。層502,504及びバー1002は、層504及びバー1002が間挿された層502の各隣接対が積重されるように配列されている。
【0079】
操作ステップ1202において、この積重体をろう付け炉内で加熱し、各バー部分1108の上面及び底面をその隣接層502に接合させる。操作ステップ1202の後、層502及び504とバー1002の積重体は概ね硬質な構造体となる。
【0080】
操作ステップ1203において、各バー部分1106と隣接層502は摩擦撹拌溶接法により接合され、継手1004を形成する。操作ステップ1203の後、コア1000の各端部は流路506によってのみ中断される概ね連続的な端面1006を有する。或る実施態様では、端面1006はこれらの表面を機械加工(例えば、エンドミルなどによる加工)により、平坦化される。
【0081】
x軸方向に沿ったバー部分1106の長さは、上面部分1112及び底面部分1116からのクラッド材料の流れが上面部分1110及び下面部分1114上を著しく蚕食しないことを確保するのに十分である。その結果、摩擦撹拌溶接施工中にクラッド材料が継手1004内に取り込まれることは避けられる。或る実施態様では、バー1002は上面部分1112及び底面部分1116から上面部分1110及び底面部分1114にクラッド材料が流れることを阻止するための障壁(バリア)(例えば、溝、濠及び畝など)を構成する。
【0082】
操作ステップ1203完了後、方法1200は方法400の操作ステップ403〜406と同様な操作を継続する。表面板306−1及び306−2は、端面1006の外周周辺のみに摩擦撹拌溶接継目を形成することによりコア1000に接合させることもできる。
【0083】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。用語「又は」に関して、例えば「A又はB」は、「Aのみ」、「Bのみ」ならず、「AとBの両方」を選択することも含む。特に記載のない限り、装置又は手段の数は、単数か複数かを問わない。
【符号の説明】
【0084】
100 従来技術によるプレート・フィン熱交換器
102 コア
104 一次流体入口
106,108,114,116 マニホールド
110 一次流体出口
112 二次流体入口
118 二次次流体出口
202 分割板
204,206 フィン
208 スペーサー・バー
210 ろう付け継手
212,214 流路
300 本発明の熱交換器
302 コア
304 外殻
306 表面板
308 海水入口ポート
310 海水出口ポート
312 作動流体入口
314 作動流体出口
316 邪魔板
図4の翻訳
400 本発明の熱交換器製造方法
401 層502及び504を配列する
402 層502及び504をろう付けし、熱交換器コア302−1及び302−2を形 成する
403 邪魔板318をコア302−1及び302−2に取り付ける
404 コア302−1及び302−2を外殻内に配置する
405 表面板306−1及び306−2をコア302−1及び302−2に接合する
406 外殻304、海水入口ポート308、海水出口ポート310及び表面板306− 1,306−2を接合する

502,504 層
506 表面板
508 海水入口
510 海水出口
512 第1の端部
514 第2の端部
516 フィン
518 作動流体入口
520 作動流体出口
522 軸
524 突出部
602 流路
604 波形流路
606 流路部
608 熱交換器コア
610 流れ領域
612 流路
702 プレート
706 フランジ
710 耐電食性継手
712 壁

図8の翻訳
800 表面板と熱交換器コアを接続させるサブメソッド
801 図4における操作ステップ403から入り、突出部524を表面板306の開口部702に挿入する
802 突出部524と表面板306との間で耐電食性継手を形成する、その後図4にお ける操作ステップ405へ進む

902 導管
904 ディフューザ
906 フランジ
908 ガスケット
910 締結具
1000 本発明の別の実施態様による熱交換器コア
1002 バー
1004 継手
1006 端面
1102 上面
1104 底面
1106,1108 バー部分
1110、1112 上面部分
1114,1116 底面部分
1118 クラッド

図12の翻訳
1200 本発明の別の実施態様による熱交換器コアの製造方法
1201 層502を層504及びバー1002に間挿する
1202 層504及びバー部分1108を層502にろう付けする
1203 バー部分1106を層502に摩擦撹拌溶接し、端面1006を形成する

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)第1のコアと、
この第1のコアは、
(a)第1の流体を搬送するための第1の流路を構成する第1の層と、
(b)第1の複数の流路を画成する複数のフィンからなる第2の層とから構成され、
前記第2の層は第1の層にろう付けされている、
(2)第1のコアの第1の端部に配置された第1のプレートと、
この第1のプレート及び第1のコアの第1の端部は、耐電食性継手である第1の継手を介して接合されている、及び
(3)第1のコアの第2の端部に配置された第2のプレートと、
この第2のプレート及び第1のコアの第2の端部は、耐電食性継手である第2の継手を介して接合されている、
からなることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
第1の継手及び第2の継手は摩擦撹拌溶接継目からなる、
ことを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
【請求項3】
前記第1のコアは、第1の流体を搬送するための第3の流路を更に有し、第2の層は第1の層及び第3の層の間に入っている、
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項4】
第1のコアは第1の部分と第2の部分を有する第1のバーを更に有し、前記第1の部分は第1の層及び第3の層の各々に摩擦撹拌溶接されており、前記第2の部分は第1の層及び第3の層の各々にろう付けされている、
ことを特徴とする請求項3記載の熱交換器。
【請求項5】
第1のコアは第3の部分と第4の部分を有する第2のバーを更に有し、前記第3の部分は第3の層及び第1のプレートの各々に摩擦撹拌溶接されており、前記第4の部分は第3の層にろう付けされている、
ことを特徴とする請求項4記載の熱交換器。
【請求項6】
第1の層は第2の層よりも第1のコアの長さに沿って更に延ばされており、第1の層及び第1のプレートは摩擦撹拌溶接継目である第3の継手により接合されており、第1の継手は第3の継手を包含する、
ことを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
【請求項7】
第2のコアを更に有し、第2のコアは、
(a)第1の流体を搬送するための第3の流路を構成する第3の層と、
(b)第2の複数の流路を画成する複数のフィンからなる第4の層と
からなり、
第4の層は第3の層にろう付けされており、
第1のプレート及び第2のコアの第1の端部は耐電食性継手である第4の継手により接合されており、
第2のプレート及び第2のコアの第2の端部は耐電食性継手である第4の継手により接合されている、
ことを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
【請求項8】
(1)第1のコアと、
この第1のコアは、
(a)第1の複数の第1の層と、
(b)第1の複数の第2の層とからなり、
第1の複数の第1の層の各々は第1の流路を構成し、
第1の複数の第1の層の各々は、第1の複数の第2の流路を画成する複数のフィンからなり、
第1の複数の第2の層は少なくとも一つの第1の複数の第1の層にろう付けされており、
第1の複数の第1の層及び第1の複数の第2の層は交互に積重される態様で配列されている、
(2)コアの第1の端部に配置された第1のポートと、
第1のポートは第1のコアに第1の流体を供給する、
(3)第1のプレートとからなり、
第1のコア及び第1のプレートは摩擦撹拌溶接継目からなる第1の継手により接合されており、第1のプレート及び第1の継手は全体として、第1のポート及び第1の複数の第2の層を流体的に隔離するバリア(障壁)を画成する、
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項9】
第1のコアは第1の端部に配置された第1の複数のバーを更に有し、
第1の複数のバーの各々は第1のプレートに対して近位の第1の部分と、第1のプレートに対して遠位の第2の部分を有し、
各バーは一対の第1の層の間に入っており、第1の部分は一対の第1の層の各々に摩擦撹拌溶接されており、更に、第2の部分は一対の第1の層の各々にろう付けされており、
第1の複数のバー及び第1の複数の第1の層は全体として第1のコアの第1の面を画成し、
第1の面及び第1のプレートは第1の継手により接合されている、
ことを特徴とする請求項8記載の熱交換器。
【請求項10】
第1の複数の第1の層は第1の端部で第1の複数の第2の層を越えて突き出ており、第1の複数の第1の層は第1の端部において第1の複数の第2の継手により第1のプレートと接合されており、第1の複数の第2の継手の各々は摩擦撹拌溶接継目からなり、第1の継手は第1の複数の第2の継手を構成する、
ことを特徴とする請求項8記載の熱交換器。
【請求項11】
第1の複数の第1の層の各々は、第1の複数の第2の層の各々が間隙により第1のプレートから分離されるように、第1のプレートと接合されている、
ことを特徴とする請求項10記載の熱交換器。
【請求項12】
第2のコアを更に有し、第2のコアは、
(a)第2の複数の第1の層と、
(b)第2の複数の第2の層とからなり、
第2の複数の第1の層の各々は第1の流路を構成し、
第2の複数の第2の層の各々は第2の複数の第2の流路を画成する複数のフィンからなり、第2の複数の第2の層の各々は第2の複数の第1の層の少なくとも一つにろう付けされており、
第2の複数の第1の層及び第2の複数の第2の層は交互に積重される態様で配列されており、
第2のコア及び第1のプレートは摩擦撹拌溶接継目からなる第2の継手により接合されており、バリアは第2の継手からなり、バリアは第1のポート及び第2の複数の第2の層を流体的に隔離する、
ことを特徴とする請求項8記載の熱交換器。
【請求項13】
(1)第1のコアを形成するステップと、
(2)第1のプレートと第1のコアを第1のコアの端部で接合させるステップとからなり、
前記第1のコアは、
(a)第1の複数の第1の層と第1の複数の第2の層とを積重させ、
(b)第1の複数の第1の層と第1の複数の第2の層とを一緒にろう付けする、
操作により形成され、
各第1の層は第1の流路を構成し、各第2の層は複数の第2の流路を形成する複数のフィンからなり、第1の複数の第1の層及び第1の複数の第2の層は交互に積重される態様で配列されており、
第1のプレート及び第1のコアは第1の耐電食性継手により結合されており、第1のプレート及び第1のコアは全体として第1の複数の第2の層を第1の流体搬送用の第1のポートから流体的に隔離するバリアを画成する、
ことを特徴とする熱交換器の製造方法。
【請求項14】
第1の耐電食性継手は摩擦撹拌溶接法により形成される、
ことを特徴とする請求項13記載の熱交換器の製造方法。
【請求項15】
第1のプレートと各第2の層とが間隙により分離されるように、第1のプレートと第1のコアが接合される、
ことを特徴とする請求項13記載の熱交換器の製造方法。
【請求項16】
前記第1のコアの形成ステップ(1)は、
(i)第1のコアは更に複数のバーを提供するステップ、
各バーは第1の部分と第2の部分とを有し、各第2の部分はろう付け充填材でクラッディングされている、
(ii)第1の複数の第1の層及び複数のバーをインターリーブするステップ、
複数のバーの各々の第1の部分は第1の端部に対して近位であり、
(iii)第1の複数の第1の層及び複数のバーの各々の第2の部分をろう付けするステップ、及び
(iv)複数のバーの各々及びその対応する隣接する第1の層を摩擦撹拌溶接するステップ、
複数のバーの各々の第1の面及び複数の第1の層の各々の第2の面は全体として第1のコアの第1の面を画成する、
を更に有することを特徴とする請求項13記載の熱交換器の製造方法。
【請求項17】
第1の面と第1のプレートを摩擦撹拌溶接法により接合させるステップを更に有する、
ことを特徴とする請求項16記載の熱交換器の製造方法。
【請求項18】
第1の複数の第1の層の各々の第2の端部が第1の端部のところの複数の第2の層を越えて延ばされるように、第1の複数の第1の層及び第1の複数の第2の層は積重され、
第1のコアと第1のプレートは、
(a)第1のプレートを通して各第1の層の第2の端部を挿入し、
(b)各第2の端部と第1のプレートを摩擦撹拌溶接法により接合させる、
ことからなる操作により接合される、
ことを特徴とする請求項13記載の熱交換器の製造方法。
【請求項19】
(1)第2のコアを形成するステップと、
(2)第1のプレートと第2のコアを第2のコアの端部で接合させるステップとを更に有し、
前記第2のコアは、
(a)第2の複数の第1の層と第2の複数の第2の層とを積重させ、
(b)第2の複数の第1の層と第2の複数の第2の層とを一緒にろう付けする、
操作により形成され、
各第1の層は第1の流路を構成し、各第2の層は複数の第2の流路を形成する複数のフィンからなり、第2の複数の第1の層及び第2の複数の第2の層は交互に積重される態様で配列されており、
第1のプレート及び第2のコアは第2の耐電食性継手により結合されており、第1のプレート及びバリアは第2の耐電食性継手からなり、バリアは第2の複数の第2の層を第1のポートから流体的に隔離する、
ことを特徴とする請求項13記載の熱交換器の製造方法。
【請求項20】
第1の耐電食性継手及び第2の耐電食性継手は摩擦撹拌溶接法により形成される、
ことを特徴とする請求項19記載の熱交換器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−533723(P2012−533723A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520821(P2012−520821)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/042333
【国際公開番号】WO2011/009080
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(504242618)ロッキード マーティン コーポレーション (19)
【Fターム(参考)】