説明

熱交換器

【課題】内管11とフィン13との接触面積を拡大し、熱交換効率の向上を図ることができる熱交換器を提供すること。
【解決手段】第1流体(低圧冷媒)が流れる内管11を第2流体(高圧冷媒)が流れる外管12内に挿入し、内管11と外管12との間にフィン13を介装して第1流体と第2流体との間で熱交換を行う二重管式の熱交換器(内部熱交換器)10において、外管12の長手方向端部12bが接続し、内管11とフィン13が挿通する第1開口部15と、第1開口部15と同一直線状に開放して内管11のみが挿通する第2開口部16と、内管11と外管12との間隙に連通して第2流体(高圧冷媒)が流れる第3開口部17と、を有するエンドキャップ14を備え、フィン13の長手方向端部13bを、第3開口部17に臨む位置まで延在した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内管を外管内に挿入すると共に、内管と外管との間にフィンを配置して熱交換を行う二重管式の熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、内管と、内管が挿入された外管と、両管の間に介装されたフィンと、外管の端部に設けられ、内管が貫通すると共に内管と外管との間隙に連通する連通流路を有するエンドキャップと、を備えた二重管式の熱交換器が知られている(例えば、特許文献1,特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-96225号公報
【特許文献2】特開2006-3071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の熱交換器では、エンドキャップ内に内管のみが挿入され、外管及びフィンは、エンドキャップの入口開口までしか挿入されていなかった。そのため、内管とフィンとの接触面積が限定されてしまい、熱交換効率が低かった。
【0005】
そこで、この発明は、内管とフィンとの接触面積を拡大し、熱交換効率の向上を図ることができる熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、この発明は、第1流体が流れる内管を第2流体が流れる外管内に挿入し、前記内管と前記外管との間にフィンを介装して前記第1流体と前記第2流体との間で熱交換を行う二重管式の熱交換器において、前記外管の長手方向端部が接続し、前記内管と前記フィンが挿通する第1開口部と、前記第1開口部と同一直線状に開放して前記内管のみが挿通する第2開口部と、前記内管と前記外管との間隙に連通して前記第2流体が流れる第3開口部と、を有するエンドキャップを備え、前記フィンは、長手方向端部が前記第3開口部に臨む位置まで延在していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、外管の長手方向端部に設けられたエンドキャップが、内管とフィンが挿通する第1開口部と、この第1開口部と同一直線状に開放して内管のみが挿通する第2開口部と、内管と外管との間隙に連通して第2流体が流れる第3開口部と、を有する。これにより、内管とフィンがエンドパイプ内に挿入され、内管とフィンとの接触面積の拡大を図ることができる。
また、フィンの長手方向端部が第3開口部に臨む位置まで延在されることで、内管とフィンとの接触面積の拡大を図りつつ、フィンによって第3開口部が閉塞されることを防止し、第2流体の流れを阻害することがない。この結果、内管とフィンとの接触面積を拡大し、熱交換効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の熱交換器を内部熱交換器として適用した冷凍サイクルを示す全体システム図である。
【図2】実施例1の内部熱交換器を示す分解斜視図である。
【図3】図2におけるA−A断面図である。
【図4】フィンの長手方向端部を示す要部拡大斜視図である。
【図5】実施例1の内部熱交換器の長手方向端部における縦断面図である。
【図6A】実施例1における内部熱交換器の製造方法を示す説明図であり、(a)は内管形成工程を示し、(b)は外管形成工程を示し、(c)はフィン形成工程を示す。
【図6B】実施例1における内部熱交換器の製造方法を示す説明図であり、(d)は管組立工程を示し、(e)はエンドキャップ組付工程を示し、(f)はボール通し工程を示し、(g)ロー付け工程を示す。
【図7】比較例の熱交換器を示す図であり、(a)は要部拡大断面図を示し、(b)はエンドキャップを示す斜視図である。
【図8】本発明の熱交換器の他の例における長手方向端部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の熱交換器を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1の熱交換器を内部熱交換器として適用した冷凍サイクルを示す全体システム図である。図2は、実施例1の内部熱交換器を示す分解斜視図である。図3は、図2におけるA−A断面図である。図4は、フィンの長手方向端部を示す要部拡大斜視図である。図5は、実施例1の内部熱交換器の長手方向端部における縦断面図である。
【0011】
実施例1における冷凍サイクルは、図1に示すように、コンプレッサ1と、コンデンサ(ガスクーラ)2と、膨張弁3と、エバポレータ4と、を順次環状に接続し、前記コンデンサ2を出た高圧冷媒と前記エバポレータ4を出た低圧冷媒との間で熱交換する内部熱交換器(熱交換器)10を備えることで構成される。
【0012】
前記コンプレッサ1は、エンジンやモータなどにより駆動され、エバポレータ4からのガス冷媒を圧縮し、高温・高圧のガス冷媒とする。
【0013】
前記コンデンサ2は、コンプレッサ1からの高温・高圧のガス冷媒を外気と熱交換し、低温・高圧のガス冷媒とする凝縮器である。このコンデンサ2としては、互いに間隔をおいて縦平行に配置された左右一対のヘッダータンクと、両端をそれぞれ前記ヘッダータンクに連通接続して横平行に多数配置された熱交換チューブと、隣接する熱交換チューブの空気流通間隙に配置されたフィンと、を備えて構成される。そして、一対のヘッダータンクの内部が、仕切り手段により横方向に仕切られることにより、熱交換チューブによる冷媒通路が、入口側通路群と中間通路群と出口側通路群というように、少なくとも2つ以上の通路群に区画されている。
【0014】
前記膨張弁3は、エンジンルーム内に設置され、コンデンサ2からの高圧ガス冷媒の圧力を低圧の液ガス混合冷媒とする。実施例1の場合、コンデンサ2の出口冷媒温度及び出口冷媒圧力に基づいて、冷媒の過熱度(スーパーヒート)を一定に保持するように膨張弁開度を制御する制御型膨張弁を採用している。
【0015】
前記エバポレータ4は、車室内空調を行う車両用空調ユニット内に、送風機等と共に配置される熱交換器である。膨張弁3からの低温・低圧の液ガス混合冷媒を循環させることで周囲の空気から熱を奪い、冷媒の温度を高め、ガス化を促進する。このため、エバポレータ4は、コア・配管・フランジまでを一体化する構造とし、これにより、Oリングシールなどのスローリークを含む車室内への冷媒漏れを防いでいる。
【0016】
前記内部熱交換器10は、コンデンサ2を出た高圧冷媒とエバポレータ4を出た低圧冷媒が、隣接して対向に流れることで熱交換する。すなわち、冷凍サイクル内で熱交換が行われ、外部の空気と熱交換しないので「内部熱交換器」と呼んでいる。この内部熱交換器10により膨張弁3の入口冷媒温度を低減し、エバポレータ4の入口エンタルピを下げることによって、COP(効率:Coefficient Of Performance)を向上させる。そして、この内部熱交換器10は、内管11と、外管12と、フィン13と、エンドキャップ14と、を備えている。
【0017】
前記内管11は、アルミ製丸管であり、エバポレータ4を出た低圧冷媒(第1流体)が内部を流れる。この内管11の外周面11aには、ろう材としてのAl-Si系合金(例えば、JIS A4343やJIS A4045等)が付着している。
【0018】
前記外管12は、間隙をあけた状態で内管11を挿入可能な内径寸法のアルミ製丸管であり、内側に挿入した内管11との間にコンデンサ2を出た高圧冷媒(第2流体)が流れる。ここで、内管11と外管12は同心軸上に配置されたいわゆる二重管構造をなす。また、この外管12の内周面12aには、ろう材としてのAl-Si系合金(例えば、JIS A4343やJIS A4045等)が付着している。
【0019】
前記フィン13は、内管11及び外管12の周方向に沿って並び、長手方向に延在する多数の凹凸13a,…を有するアルミ製の管であり、内管11と外管12の間に介装されている。すなわち、フィン13は、コンデンサ2を出た高圧冷媒(第2流体)が流れる流路内に配置され、低圧冷媒は、多数の凹凸13a,…の間を流れる。そして、図3に示すように、フィン13の多数の凹凸13a,…は、径方向先端部分が内管11の外周面11a又は外管12の内周面12aに接触する。
さらに、この実施例1の内部熱交換器10のフィン13は、図4に示すように、長手方向端部13bの近傍に、多数の凹凸13aの間を連通する連通孔(連通手段)13c,…が形成されている。この連通孔13cは、凹凸13aのうち、内管11と外管12の間に立設する面に設けられた開口である。
【0020】
そして、実施例1の内部熱交換器10では、内管11と外管12とフィン13のうち、外管12の長手方向寸法が最も短い長さに設定され、内管11の長手方向寸法が最も長い長さに設定されている。そのため、外管12に内管11を挿入し、その間にフィン13を介装した状態では、図2に示すように、フィン13の長手方向端部13bが外管12から外方(外管12の長手方向)に突出し、さらに内管11の長手方向端部11bがフィン13から外方(フィン13の長手方向)に突出する。
【0021】
前記エンドキャップ14は、外管12の長手方向端部12bに設けられ、同軸上を流れるコンデンサ2を出た高圧冷媒と、エバポレータ4を出た低圧冷媒の流れ方向を分岐する。このエンドキャップ14は、第1開口部15と、第2開口部16と、第3開口部17と、を有している。
【0022】
前記第1開口部15は、内管11とフィン13が挿通可能な内径に設定され、外管12から突出した内管11及びフィン13の長手方向端部13bが挿入される。そして、この第1開口部15の周縁部15aには、外管12の長手方向端部12bが当接する。
【0023】
前記第2開口部16は、内管11のみが挿通可能な内径に設定され、フィン13から突出した内管11の長手方向端部11bが貫通する。ここで、第1開口部15と第2開口部16は、同軸方向に開放している。
【0024】
前記第3開口部17は、内管11と外管12との間隙に連通し、コンデンサ2を出た高圧冷媒(第2流体)が流れる。ここで、第3開口部17は、第1,第2開口部15,16の開放方向に対して直交する方向に開放している。そして、第1開口部15からエンドキャップ14内に挿入されたフィン13の長手方向端部13bは、第3開口部17に臨む位置まで延在されている。
【0025】
次に、実施例1の内部熱交換器10の製造方法について説明する。
【0026】
図6Aは、実施例1における内部熱交換器の製造方法を示す説明図であり、(a)は内管形成工程を示し、(b)は外管形成工程を示し、(c)はフィン形成工程を示す。図6Bは、実施例1における内部熱交換器の製造方法を示す説明図であり、(d)は管組立工程を示し、(e)はエンドキャップ組付工程を示し、(f)はボール通し工程を示し、(g)ロー付け工程を示す。
【0027】
内管形成工程では、図6A(a)に示すように、ろう材が付着した面を外側にした状態でアルミ平板鋼板をロール成形加工し、合わせ部分を溶着して外周面11aにろう材が付着した内管11を形成する。ここで、内管11の外径は、例えば15mmに設定する。
【0028】
外管形成工程では、図6A(b)に示すように、ろう材が付着した面を内側にした状態でアルミ平板鋼板をロール成形加工し、合わせ部分を溶着して内周面12aにろう材が付着した外管12を形成する。ここで、外管12の内径は、例えば19.6mmに設定する。
【0029】
フィン形成工程では、図6A(c)に示すように、アルミ平板鋼板をプレス加工して全面に多数の凹凸13aを形成した後、ロール成形加工し、合わせ部分を溶着する。これにより、周方向に沿って並び、長手方向に延在する多数の凹凸13a,…を有する管状のフィン13を形成する。ここで、凹凸13aの高さは例えば1.8mmに設定し、周方向のピッチ間隔は例えば1.4mmに設定する。
【0030】
管組立工程では、図6B(d)に示すように、外管形成工程にて形成した外管12に、内管形成工程にて形成した内管11を挿入し、その後、内管11と外管12の間にフィン形成工程にて形成したフィン13を挿入する。このとき、フィン13の長手方向端部13bが外管12から外方(外管12の長手方向)に突出し、さらに内管11の長手方向端部11bがフィン13から外方(フィン13の長手方向)に突出する。
なお、内管11の外径を15mmに設定し、外管12の内径を19.6mmに設定した場合では、内管11と外管12との間隙は2.3mmとなる。このため、フィン13の凹凸13aの高さを1.8mmに設定すれば、このフィン13は、内管11と外管12の間に円滑に挿入することができる。
【0031】
エンドキャップ組付工程では、図6B(e)に示すように、外管12の両端部にエンドキャップ14を取り付ける。このとき、エンドキャップ14の第1開口部15に、外管12から突出した内管11及びフィン13を挿入する。そして、内管11の長手方向端部11bは第2開口部16から突出し、フィン13の長手方向端部13bは第3開口部17に臨む。
【0032】
ボール通し工程では、図6B(f)に示すように、エンドキャップ組付工程によりエンドキャップ14が組みつけられた内管11内に、一方の長手方向端部11bから、金属ボールBを挿入し、そのまま貫通させる。この金属ボールBは、内管11の内径よりも大きい外径を有する。これにより、内管11がフィン13と共に内側から押し広げられて拡径する。このため、内管11の外周面11aは、フィン13の凹凸13aの径方向先端部分及びエンドキャップ14の第2開口部16に密着すると共に、フィン13の凹凸13aの径方向先端部分は、外管12の内周面12a及びエンドキャップ14の第1開口部15に密着する。なお、金属ボールBの外径寸法は、内管11の外径が第2開口部16と同じ寸法になるように設定する。
【0033】
ロー付け工程では、図6B(g)に示すように、ボール通し工程により内管11と外管12とフィン13及びエンドキャップ14の接触部分が互いに密着した状態の組立品の全体を加熱し、内管11及び外管12に付着したろう材を溶融する。これにより、内管11と外管12は、それぞれフィン13と一体化するとともに、エンドキャップ14が固定される。そして、最後に内管11及びエンドキャップ14に分岐管19を取り付け、2重管式の内部熱交換器10が形成される。
【0034】
次に、作用を説明する。
まず、「比較例の熱交換器におけるエンドキャップ」の説明を行い、続いて、実施例1の熱交換器における「フィン延長作用」について説明する。
【0035】
[比較例の熱交換器におけるエンドキャップ]
図7は、比較例の熱交換器を示す図であり、(a)は要部拡大断面図を示し、(b)はエンドキャップを示す斜視図である。
【0036】
比較例の熱交換器20は、低温低圧冷媒が流れる内管21と、内管21が挿入され、この内管21との間隙に高温高圧冷媒が流れる外管22と、内管21と外管22との間に介装されたフィン23と、外管22の端部に設けられるエンドキャップ24と、を備えている。
【0037】
ここで、内管21は外管22よりも長手方向長さが長く設定されており、外管22の長手方向端部12bから内管21の長手方向端部21bが突出する。そして、エンドキャップ24は、内管21が挿通する第1開口部24aと、この第1開口部24aと同一直線状に開放して内管21が挿通する第2開口部24bと、内管21と外管22との間隙に連通して高温高圧冷媒が流れる第3開口部24cと、を有している。
【0038】
さらに、このエンドキャップ24の第1開口部24aの周囲には、図7(b)に示すように、外管22に挿入される環状のインロー部25が形成されている。このインロー部25は、内管21と外管22の間に挿入され、エンドキャップ24のがたつきや冷媒漏れを防止する。なお、インロー部25は、外周面25aが外管22の内周面22aと接触し、インロー部25の内周面25bと内管21との間には間隙が生じる。このため、内管21と外管22の間を流れる高温高圧冷媒は、インロー部25と内管21との間を流れ、第3開口部24cから流出する。
【0039】
さらに、インロー部25が外管22に挿入されることで、内管21と外管22の間に介装されたフィン23の長手方向端部23bとインロー部25が干渉する。このため、フィン23の長手方向端部23bの位置が規制され、これ以上延長することはできない。これにより、内管21とフィン23との接触面積が限定されてしまい、熱交換効率が低く抑えられてしまっていた。
【0040】
[フィン延長作用]
実施例1の内部熱交換器10では、エンドキャップ14の第1開口部15の内径が内管11とフィン13を挿通可能な大きさに設定されている。そして、この第1開口部15からエンドキャップ14内に入り込んだフィン13の長手方向端部13bは、エンドキャップ14の第3開口部17に臨む位置まで延在している。これにより、外管22の内部でフィン23がインロー部25に干渉し、フィン23の長手方向端部23bの位置が規制されてしまう比較例の熱交換器20に比べて、内管11とフィン13との接触面積が拡大し、熱交換効率の向上を図ることができる。
【0041】
また、実施例1の内部熱交換器10では、外管12内にインロー部が挿入されることがないため、内管11と外管12の間を流れる高圧冷媒の流路が狭くならず、冷媒の流れを阻害することはない。そのため、熱交換効率の低下をさらに防止することができる。
【0042】
さらに、実施例1の内部熱交換器10では、高圧冷媒の流れを円滑にするために、フィン13が有する凹凸13a,…は、内管11及び外管12の周方向に沿って並び、長手方向に延在している。一方、第3開口部17に臨んだフィン13の長手方向端部13bには、凹凸13a,…の間を連通する連通孔13c,…が形成されている。そのため、第3開口部17に面していない部分を流れる高圧冷媒であっても、第3開口部17に向かってスムーズに流れることができ、熱交換効率の低下を防止できる。
【0043】
次に、効果を説明する。
実施例1の熱交換器にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0044】
(1) 第1流体(低圧冷媒)が流れる内管11を第2流体(高圧冷媒)が流れる外管12内に挿入し、前記内管11と前記外管12との間にフィン13を介装して前記第1流体(低圧冷媒)と前記第2流体(高圧冷媒)との間で流体間での熱交換を行う二重管式の熱交換器(内部熱交換器)10において、前記外管12の長手方向端部12bが接続し、前記内管11と前記フィン13が挿通する第1開口部15と、前記第1開口部15と同一直線状に開放して前記内管11のみが挿通する第2開口部16と、前記内管11と前記外管12との間隙に連通して前記第2流体(高圧冷媒)が流れる第3開口部17と、を有するエンドキャップ14を備え、前記フィン13は、長手方向端部13bが前記第3開口部17に臨む位置まで延在している構成とした。
これにより、内管11とフィン13との接触面積を拡大し、熱交換効率の向上を図ることができる。
【0045】
(2) 前記フィン13は、前記内管11及び前記外管12の周方向に沿って並び、長手方向に延在する多数の凹凸13a,…を有し、前記フィン13の長手方向端部13b近傍には、前記多数の凹凸13a,…の間を連通する連通手段(連通孔)13c,…が設けられた構成とした。
これにより、第3開口部17に面していない部分を流れる高圧冷媒であっても、第3開口部17に向かってスムーズに流れることができ、熱交換効率の低下を防止できる。
【0046】
以上、本発明の熱交換器を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0047】
実施例1の熱交換器では、外管12の長手方向端部12bとエンドキャップ14の第1開口部15の周縁部15aとが突き合わされ、フィン13が第1開口部15内に挿入されることでエンドキャップ14の位置ずれを防止している。
【0048】
しかしながら、例えば、図8に示すように、エンドキャップ14に、第1開口部15の周縁部から突出して外管12内に挿入されるインロー部18を設けると共に、外管12の長手方向端部12bの内径寸法を、インロー部18が嵌合可能とする大きさに拡径してもよい。これにより、外管12の内周面12aとインロー部18の外周面18aが重なり合って密着するため、気密性が向上し、冷媒漏れ防止力をさらに高めることができる。
【0049】
また、実施例1では、連通手段として、フィン13に連通孔13c,…が形成されているが、これに限らない。多数の凹凸13a,…の間を連通すればよいので、例えば、フィン13の長手方向端部13bに対向する位置のエンドキャップ14の内径を拡大し、フィン13とエンドキャップ14の間に隙間を設けることで、凹凸13aの間を連通してもよい。また、フィン13の長手方向端部13bの近傍部分のみ、凹凸13a,…の高さを低く設定し、エンドキャップ14との間に隙間が生じるようにしてもよい。
【0050】
また、実施例1では、車両のエアコンシステムに適用する冷凍サイクルにおける内部熱交換器の例を示したが、車両以外、例えば家庭用のエアコンシステムや工場や事業所のエアコンシステム等の冷凍サイクルにおける内部熱交換器としても適用できる。要するに、内管と外管と、その間に介装したフィンと、両端に設けたエンドキャップを有する二重管構造の熱交換器であれば、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
10 内部熱交換器(熱交換器)
11 内管
11a 外周面
11b 長手方向端部
12 外管
12a 内周面
12b 長手方向端部
13 フィン
13a 凹凸
13b 長手方向端部
13c 連通孔(連通手段)
14 エンドキャップ
15 第1開口部
15a 周縁部
16 第2開口部
17 第3開口部
18 インロー部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体が流れる内管を第2流体が流れる外管内に挿入し、前記内管と前記外管との間にフィンを介装して前記第1流体と前記第2流体との間で熱交換を行う二重管式の熱交換器において、
前記外管の長手方向端部が接続し、前記内管と前記フィンが挿通する第1開口部と、前記第1開口部と同一直線状に開放して前記内管のみが挿通する第2開口部と、前記内管と前記外管との間隙に連通して前記第2流体が流れる第3開口部と、を有するエンドキャップを備え、
前記フィンは、長手方向端部が前記第3開口部に臨む位置まで延在していることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載された熱交換器において、
前記フィンは、前記内管及び前記外管の周方向に沿って並び、長手方向に延在する多数の凹凸を有し、
前記フィンの長手方向端部近傍には、前記多数の凹凸の間を連通する連通手段が設けられたことを特徴とする熱交換器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された熱交換器において、
前記エンドキャップは、前記第1開口部の周縁から突出し、前記外管内に挿入されるインロー部を有し、
前記外管の端部開口は、前記インロー部を嵌合可能とする内径寸法に設定されていることを特徴とする熱交換器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−88092(P2013−88092A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231468(P2011−231468)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】