説明

熱交換装置

【課題】 複数の熱交換器を並列に配置することによって、各熱交換器の冷却効率を高くすることができ、車両が振動しても、これら各熱交換器を損傷させず、防塵ネットを装着したままでその掃除を行って目詰まりを解消させるようにする。
【解決手段】 並列に設けた熱交換器20〜22を保護するために、冷却ファン11による冷却風の取り入れ側に配置した第1のフレーム部材30と、熱交換器20〜22に近い側に位置する第2のフレーム部材31と、その間を連結する側面板32,32とから構成した補強ユニット14を設け、これら第1,第2のフレーム部材30,31における上下の端部は曲折されて、上部側にはエアブロー式掃除具が挿入可能なスリット33が形成され、下部側には補強ユニット14の内部に入り込んだ塵埃等を排出するスリット34が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械等の車両に装着される熱交換装置に関するものであり、特に複数の熱交換器を並列に並べて配置し、これらの熱交換器を相互に連結することにより補強するようにした熱交換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建設機械として、例えば油圧ショベルは、下部走行体に上部旋回体を旋回装置を介して旋回可能に連結して、この上部旋回体に土砂の掘削等の作業を行う作業手段を作動可能に設ける構成としている。上部旋回体には、作業手段と並ぶようにして運転室が設けられており、この運転室の後部側は各種の機器等を設置した機械室の建屋が設けられる。建屋の内部には、エンジンが設けられており、またエンジンに連結されて油圧ポンプが設けられている。さらに、建屋には熱交換装置が設置される。この熱交換装置は、ラジエータ,オイルクーラ及びインタークーラからなる熱交換器と、これらの熱交換器に冷却風を供給する冷却ファンとを含むものである。
【0003】
熱交換装置を構成する熱交換器は、周知のように、上下に被冷却流体の流入及び流出部を構成するタンクが設けられ、これら上下のタンク間には被冷却流体を冷却風と熱交換させるための通風部を設けたものであり、通風部は上下のタンク間に連結され、被冷却流体を流通させる多数の細管とフィンとが設けられている。そして、熱交換器は、熱交換効率を良好にするために、縦長で厚みの薄い形状とするのが一般的である。建設機械の稼動中は車両全体が振動して、上部旋回体に設置されている熱交換器にこの振動が伝達されることになる。熱交換器は上部に重量物であるタンクが配設されている等により、厚み方向及び幅方向に振動が作用すると、振動が増幅されて大きく揺動することになり、熱交換器の細管が破損する等の不都合が生じるおそれがある。
【0004】
複数の熱交換器を冷却風の流れに対して直列に並べて、その両側部を連結板で連結する構成とすれば、車両の振動に起因する熱交換器の振れの増幅を最小限に抑制することができることから、熱交換器の損傷を防止することができる。しかしながら、熱交換器を直列に並べると、冷却風の下流側に配置した熱交換器は上流側の熱交換器より熱交換効率が低下することになり、熱交換器の配列により熱交換効率に大きな差ができてしまう。また、各熱交換器の通風部に異物等が付着すると、細管を流れる被冷却流体の冷却能力が低下することから、このような付着物を除去する掃除を行う必要があるが、熱交換器を直列に設けると、それらの掃除が面倒になる等といった不都合もある。
【0005】
複数設けられる熱交換器を並列的に設ける構成としたものが、特許文献1に示されている。このように、熱交換器を並列に配列することによって、熱交換器の掃除を容易に行うことができ、また全ての熱交換器に冷却風をほぼ均等に供給できること等の利点がある。そして、振動による熱交換器の振れなり揺動なりを抑制するために、並列に並べた複数の熱交換器の両側部にサイドフレームを配置し、また両サイドフレーム間には上下に連結フレームを架け渡すように設けると共に、この連結フレームを各熱交換器に固定する構成としている。
【特許文献1】特開2004−60933号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
建設機械に設けられる熱交換器は、通常、ラジエータ,オイルクーラ及びインタークーラの3個であり、これらを並列に並べるとかなり大きな幅寸法になる。連結フレームは少なくともこの幅分の長さを有するものでなければならないことから、曲げ強度を高くするためには、連結フレームの上下方向の幅寸法を大きくしなければならない。連結フレームの幅寸法を大きくすると、熱交換器における通風部の開口面積が制約されることから、無闇に幅広の連結フレームを用いることはできない。そこで、連結フレームの強度を高くするために、その厚みを大きくすることが考えられる。しかしながら、連結フレームは長尺のものになり、その分だけ重量化することから、サイドフレームへの連結部の連結強度を低下させるという問題点がある。また、上下の連結フレームと左右のサイドフレームとによって枠状の部材が形成されることから、連結フレームが重量化すると、それを支持するサイドフレームの強度も高める必要がある。さらに、熱交換器における冷却風の取り入れ口側に防塵ネットを装着して、熱交換器の通風部に塵埃等の異物の付着を抑制する場合、連結フレームは熱交換器に連結されているので、この防塵ネットをフレームから取り外さなければ、この防塵ネットの付着物を除去するための掃除をすることができないという不都合もある。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、並列に配置した熱交換器が車両の振動により揺動するのを抑制して、この熱交換器が損傷するのを防止でき、かつ防塵ネットを装着したままで、それへの付着物を容易に除去できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明は、車両に搭載され、冷却風を流通させることにより冷却される複数の熱交換器を車体上に並列に並べて、これら各熱交換器間を架け渡すように補強ユニットを装着する構成としたものであって、前記補強ユニットは、所定間隔離間させて配置される前後一対のフレーム部材と、これら両フレーム部材を連結する左右の両側部材とから構成し、前記熱交換器への冷却風の流れの上流側に位置する第1のフレーム部材には、防塵ネットを装着し、下流側に位置する第2のフレーム部材は、その上下の水平板部が前記各熱交換器に固定され、これら第1,第2のフレーム部材間の上部側に、掃除具を挿入可能にするスリットを形成する構成としたことをその特徴とするものである。
【0009】
第1,第2のフレーム部材は、その両側部を含めて一体物で構成しても良いが、第1のフレーム部材及び第2のフレーム部材と、左右の側面部とを個別的に形成して、溶接等の手段で連結すると、その製造が容易になる。第1のフレーム部材と第2のフレーム部材との間隔は、大きい方が強度及び保形性が高くなる。ただし、この間隔をあまり大きく広げると、熱交換装置が大型化するので望ましくはない。ただし、第1,第2のフレーム部材の間隔は、最小限、スリットからエアブロー等の掃除具を挿入して、第1のフレーム部材に装着した防塵ネットを掃除するのに支障を来たさない大きさとする。また、第1,第2のフレーム部材の下部側には塵埃等を排出するためのスリットを設けることができる。そして、この下部側のスリットは上部側のスリットより狭いものとすることができる。
【0010】
両フレーム部材は方形枠状のものであり、その保形性を向上させるために、保形部材を装着することができる。この保形部材は、第1または第2のフレーム部材を構成する4辺のそれぞれに、相隣接する辺間を斜めに連結する板材で構成することができる。この板材は細いものでも、十分な補強機能を発揮する。そして、この保形部材が冷却風の取り入れをできるだけ阻害しないようにするには、熱交換器から離れた位置に設けられている第1のフレーム部材に設けるのが望ましい。
【0011】
建設機械において、並列に配置される熱交換器は、ラジエータ,オイルクーラ,インタークーラの3種のものとすることができる。これらの熱交換器は左右方向の幅寸法は異なっていても良いが、高さ方向の寸法を揃えるようにする。また奥行き方向の厚み寸法は必ずしも必須ではないが、同じ厚み寸法とするのが望ましい。建設機械においては、これらの熱交換器の他にも、燃料クーラやエアコン用のコンデンサ等がある。これらの機器も熱交換装置に組み込むこともできる。この場合には、第2のフレーム部材にブラケットを連結して設け、このブラケットに前述した他の熱交換器を取り付けるようにする。
【0012】
熱交換装置は、建設機械の上部旋回体における建屋内に装着するのが一般的である。この建屋は建屋カバーにより覆われているので、外気の取り入れは建屋カバーに形成した外気取り入れ口から行う。外気取り入れ口が熱交換器の前方位置に設けられておれば、外気を効率的に取り入れることができるが、例えば、建屋カバーの上面等に外気取り入れ口が開口している場合には、第1のフレーム部材に整流部材を装着して、冷却風の流れを整流することができる。そして、この整流部材を板材で形成し、熱交換器側に向けて斜め下方に傾斜するように装着することができる。そして、この場合には、整流部材が第1のフレーム部材を補強する機能を発揮する。
【発明の効果】
【0013】
以上のように構成することによって、複数の熱交換器を並列に配置することによって、各熱交換器の冷却効率を高くすることができ、車両が振動しても、これら各熱交換器を損傷させることがない。また、防塵ネットを装着したままでその掃除を行って目詰まりを解消させることができる等の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。まず、図1に建設機械の上部旋回体1の要部構成を示す。同図において、2は上部旋回体1のフレームの一部を構成するDフレームであり、3は下部カバー、4は側部カバー、5は上部カバーである。また、6は開閉扉であり、さらに7はエンジンカバーである。以上により上部旋回体1上には、内部が閉塞された建屋カバーが形成されている。なお、開閉扉6は水平方向に回動可能となっており、またエンジンカバー7は上下方向に回動して、建屋カバーの内部を開放することができるようになっている。
【0015】
10はエンジンを示し、このエンジン10には冷却ファン11が連結して設けられており、この冷却ファン11は熱交換器群12に冷却風を供給するためのものである。また、13はシュラウド、14は補強ユニットを示す。そして、冷却ファン11,熱交換器群12及び補強ユニット14により熱交換装置が構成される。エンジン10が作動すると、ファン11が回転して、熱交換器群12を構成する複数の熱交換器に冷却風を供給するようになっており、この冷却風は外気から取り入れられる。このために、上部カバー4には外気取り入れ口15が設けられている。
【0016】
図2及び図3に示したように、熱交換器群12は、3個の熱交換器から構成される。即ち、オイルクーラ20,ラジエータ21及びインタークーラ22とである。これらの熱交換器20〜22はほぼ隙間がないようにして並べられている。なお、これら3個の熱交換器20〜22は冷却ファン11による冷却風の流れ方向に対して直交する方向に並列されておれば、配置は図示したものに限定されない。そして、図4に示したように、これらの熱交換器は支持台16上に固定的に設置されている。
【0017】
ここで、前述した熱交換器20〜22は実質的に同じ構造のものであって、被冷却流体が、オイルクーラ20では作動油、ラジエータ21ではエンジン冷却水、インタークーラ22ではエンジン10に供給される過給空気である。熱交換器の構造としては、周知のように、上部側に流入タンク、下部側に流出タンクが設けられ、これら上下のタンク間には、図3に示したように、被冷却流体を流通させる多数の細管20a〜22aがフィン20b〜20cの間に装着されており、また所定のピッチ間隔で、細管20a〜22aと平行な方向にプレート20c〜22cが配設されている。そして、これら細管20a〜22a,フィン20b〜22b及びプレート20c〜22cにより通風部が構成される。
【0018】
前述した3個の熱交換器20〜22は、それぞれ幅が狭く、高さが高い部材であり、奥行き方向、つまり厚みが薄いものである。しかも、上部にはタンクが設けられており、実質的に保形機能を発揮するのはプレート20c〜22cである。これらが設置されている上部旋回体1は作動中においては振動を生じることから、それぞれ単独に設置していたのでは、振動が増幅されて大きく揺れることになり、その結果細管20a〜22aを損傷させてしまう。補強ユニット14はこれら熱交換器20〜22が損傷しないように補強するためのものである。
【0019】
補強ユニット14は、図4に示したように、冷却ファン11による冷却風の取り入れ側に配置した第1のフレーム部材30と、熱交換器20〜22に近い側に位置する第2のフレーム部材31と、これら第1,第2のフレーム部材30,31間を架け渡すようにして設けた側面板32,32とから構成される。第1,第2のフレーム部材30,31はほぼ同一形状となった方形枠状の部材である。そして、第1,第2のフレーム部材30,31における上下の端部は曲折されており、その間にスリット33,34が形成されている。上部側のスリット33は幅の広いスリットであり、その幅寸法はエアブロー式掃除具が挿入可能となっている。ここで、エアブロー式掃除具は、高圧エアを吹付けるためのノズルを所定長さを有する空気の供給パイプの先端に装着することにより構成される。一方、下部側のスリット34はこの補強ユニット14の内部に塵埃等が溜まらないように排出可能な幅を有するものであり、従ってスリット22より幅の狭いものである。
【0020】
補強ユニット14は、その下端部が支持台16に固定されており、また第2のフレーム部材31を構成する上下の水平部は止めねじ等により熱交換器20〜22に固定されている。ここで、第2のフレーム部材31は、各熱交換器20〜22のそれぞれに対して、上下に配置されているタンクの部位と2箇所乃至それ以上の箇所において連結されている。また、補強ユニット14の下端部は支持台16に固定されている。
【0021】
第1のフレーム部材30には防塵ネット35,36が着脱可能に装着されるようになっている。ここで、防塵ネットは左右に2分割されているが、これは第1のフレーム部材30の高さと幅との寸法関係等に基づいて設定されるものであり、防塵ネットは1枚構成とすることもでき、また3枚以上に分割したものであっても良い。防塵ネット35、36は第1のフレーム部材30に着脱可能に装着される。このために、第1のフレーム部材30の下部側水平部には防塵ネット35,36の支持枠の下端部を挟持するネット受け37が取り付けられており、また支持枠の上端部は蝶ねじ38により第1のフレーム部材30に固定されるようになっている。従って、蝶ねじ38を緩めて、第1のフレーム部材30との係合を解除して、防塵ネット35,36を上方に引き上げることによって、これら防塵ネット35,36を取り外すことができるようになっている。
【0022】
防塵ネット35,36は第1のフレーム部材30の前面側、つまり冷却風の流れにおける上流側に装着されており、その反対側の面にはフレーム保形部材としての保形板39が設けられている。保形板39は、第1のフレーム部材30を構成する4辺のうち、相隣接する2辺間に掛け渡すようにして斜めに設けられ、その両端は溶接等の手段で固着されている。従って、保形板39は4枚設けられるが、これらは熱交換器20〜22の通風部の前方部に位置していることから、冷却風の流れが遮断されるのを抑制するために、細い板材で構成される。
【0023】
このように構成することによって、熱交換器群12を構成する3個並べた熱交換器20〜22は、補強ユニット14により一体化されており、しかも第1のフレーム部材30と第2のフレーム部材31との間隔分だけ厚み方向の寸法が大きくなる。従って、機械の作動による上部旋回体1の振動時に、オイルクーラ20,ラジエータ21,インタークーラ22が大きく揺動するようなことがなくなり、これらの熱交換器20〜22を構成する細管20a〜22a等を損傷させるおそれはない。また、第1,第2のフレーム部材30,31は枠状の部材であるが、第1のフレーム部材30には保形板39が装着されているので、この第1のフレーム部材30に対して圧縮方向や捩じり方向の力が作用しても、それに抗して有効に保形されるので、補強ユニット14が変形することなく安定する。
【0024】
エンジン10の稼動中は、常に冷却ファン11が回転しており、これによって上部カバー5に設けた外気取り入れ口15から外気を取り入れられて、オイルクーラ20,ラジエータ21及びインタークーラ22の通風部に冷却風が供給されるので、細管20a,21a,22aを流れる被冷却流体と熱交換することになる。そして、熱交換器群12の前方位置には補強ユニット14が設けられているが、この補強ユニット14は通風部の位置が開口している第1,第2のフレーム部材30,31から構成されているので、冷却風の流れが阻害されることはない。
【0025】
建設機械は塵埃等の異物が浮遊する環境下で作動していることから、外気取り入れ口15から冷却風が取り入れられる際に、これら塵埃等の異物が建屋カバーの内部に侵入することになる。しかしながら、第1のフレーム部材30には防塵ネット35,36が装着されているので、外気取り入れ口15からの冷却風に搬送される塵埃等の異物はこの防塵ネット35,36により確実に捕捉されて、熱交換器群12の通風部に入り込んで、目詰まりを起こさせることはない。そして、防塵ネット35,36に塵埃等が付着すると、冷却風の流入に対する抵抗が増大するために、定期的または随時において、防塵ネット35,36を掃除しなければならない。この掃除は、補強ユニット14の上部に設けたスリット33から、第1,第2のフレーム部材30,31間にエアブロー式掃除具(図示せず)を挿入して、内側から防塵ネット35,36に向けて圧縮空気を噴出させる。これにより、防塵ネット35,36の付着物が前方に排出されて、ネットの目詰まりが解消される。このように、防塵ネット35,36を装着したままで容易に掃除をすることができるので、常に防塵ネット35,36を清浄な状態に保つことができ、それらによる外気の吸い込み抵抗を常に最小限に抑制することができる。また、このエアブローによる掃除だけでは防塵ネット35,36を完全に清浄化されないことがある。その場合には、蝶ねじ38を緩めることによって、防塵ネット35,36を上方に取り出すことができるので、塵埃等を洗浄により除去する等によって、エアブローで排除できなかった付着物を取り除くことができる。
【0026】
前述した実施の形態においては、冷却ファン11による冷却風と熱交換される熱交換器を、オイルクーラ20,ラジエータ21及びインタークーラ22としたが、建設機械においては、これらの熱交換器だけでなく、例えば燃料クーラやエアコン用のコンデンサ等の機器を備えている場合もある。そして、これらも熱交換器群12に組み込むようにすることもできる。このためには、図5に示したように、補強ユニット14を構成する第2のフレーム部材31に、その左右の鉛直部間を架け渡すようにブラケット40を設けて、このブラケット40に、同図に仮想線で示したように、燃料クーラ41及びコンデンサ42をねじ止め等の手段で固定する。ここで、ブラケット40は、その両端が第2のフレーム部材31に例えば溶接により固着するが、冷却風の流れに対する障害を小さくするために、燃料クーラ41やコンデンサ42を固定した状態で変形しない強度を持たせることを条件として、できるだけ幅の狭いものとする。
【0027】
ところで、図6に矢印で示したように、建屋カバーに形成した外気取り入れ口15は上部カバー5に形成されている関係から、冷却ファン11により形成される建屋カバーの内部の流れは上方からの下降流となる。一方、補強ユニット14を介して熱交換器群12に至る流れは概略水平方向となる。このために、補強ユニット14の手前位置で空気の流れを概略90°方向転換した上で、熱交換器群12に取り入れられることになる。この空気の流れを円滑に方向転換させて、熱交換器群12に効率的に取り込ませるためには、図7に示したように、第1のフレーム部材30に整流板50を装着する。ここで、整流板50は、第1のフレーム部材30における熱交換器群12側の面において、上方から複数箇所に設けられる。整流板50は、その板面が第1のフレーム部材30への連結部から斜め下方に向けられており、これによって外気取り入れ口15から下降流として取り入れた外気を水平方向に円滑かつ効率的に転換させることができる。そして、整流板50は、第1のフレーム部材30における左右の鉛直部間に連結されているので、この第1のフレーム部材30の保形部材として機能する。従って、この場合には保形板39は設けない。なお、整流板50の端部と第2のフレーム部材31との間の間隔は、少なくともエアブロー式掃除具を挿入して操作できる寸法を持たせる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】建設機械の上部旋回体における熱交換装置の装着位置の構成を示す構成説明図である。
【図2】本発明における第1の実施の形態を示す熱交換装置の正面図である。
【図3】防塵ネットを途中まで引き上げた状態を示す図2と同様の図である。
【図4】図2のX―X断面図である。
【図5】本発明における第2の実施の形態を示す熱交換装置を構成する補強ユニットの横断面図である。
【図6】本発明における第3の実施の形態を示すものであって、外気から熱交換器群への空気の流れを示す構成説明図である。
【図7】図6の熱交換装置の正面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 上部旋回体 5 上部カバー
10 エンジン 11 冷却ファン
12 熱交換器群 14 補強ユニット
15 外気取り入れ口 16 支持台
20 オイルクーラ 21 ラジエータ
22 インタークーラ 30 第1のフレーム部材
31 第2のフレーム部材 32 側面板
33,34 スリット 35,36 防塵ネット
39 保形板 40 ブラケット
41 燃料クーラ 42 コンデンサ
50 整流板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、冷却風を流通させることにより冷却される複数の熱交換器を車体上に並列に並べて、これら各熱交換器間を架け渡すように補強ユニットを装着する構成としたものにおいて、
前記補強ユニットは、所定間隔離間させて配置される前後一対のフレーム部材と、これら両フレーム部材を連結する左右の両側部材とから構成し、
前記熱交換器への冷却風の流れの上流側に位置する第1のフレーム部材には、防塵ネットを装着し、下流側に位置する第2のフレーム部材は、その上下の水平板部が前記各熱交換器に固定され、
これら第1,第2のフレーム部材間の上部側に、掃除具を挿入可能にするスリットを形成する
構成としたことを特徴とする熱交換装置。
【請求項2】
前記第1のフレーム部材または前記第2のフレーム部材の少なくとも一方に斜めに架け渡したフレーム保形部材を設ける構成としたことを特徴とする請求項1記載の熱交換装置。
【請求項3】
前記第1のフレーム部材には、冷却風の流れを整流するための整流部材を装着する構成としたことを特徴とする請求項1記載の熱交換装置。
【請求項4】
前記並列に並べられた熱交換器はラジエータ,オイルクーラ及びインタークーラであり、さらに前記両フレーム部材間に他の熱交換器を配置する構成としたことを特徴とする請求項1記載の熱交換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−112239(P2007−112239A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−304287(P2005−304287)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】