説明

熱処理方法、熱処理装置、連続式熱処理システム、及び被処理物載置台

【課題】熱処理物品質を向上させる熱処理方法、熱処理装置、連続式熱処理システム、及び被処理物載置台を提供する。
【解決手段】熱処理方法は、加熱又は冷却調温気体により、被処理物21を熱処理する方法であり、
水平設置型又は水平移動型載置台を用い;載置台が、被処理物を保持するが調温気体を通過可能な載置台通風孔12を有する通風載置台11か、被処理物収納箱を挿入して保持可能な挿入保持孔を有する保持載置台であり;保持載置台の挿入保持孔が、収納箱を挿入保持した状態で調温気体を通過可能であり、及び/又は、収納箱が、被処理物を保持するが調温気体を通過可能な収納箱通風孔を有しており;及び通風載置台に被処理物を載せた状態で、又は保持載置台に、被処理物を収納した収納箱を挿入保持孔に担持した状態で、載置台の上方から下方又は下方から上方に調温気体を通過させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理方法、熱処理装置、連続式熱処理システム、及び被処理物載置台に関する。本明細書において、熱処理とは、冷却及び加熱を含む。
本発明においては、熱処理の対象となる被処理物を載置するトレイの底板や、被処理物を収納する箱の底板に通風貫通孔を設け、被処理物載置面に対して垂直方向(上下方向又はその逆方向)に、所定温度に加熱又は冷却された調温気体(冷却気体又は加熱気体)を通過させることにより、熱処理速度を速くし、熱処理物の品質を向上させることができる。
【背景技術】
【0002】
食品類を物流システムに供給したり、低温貯蔵を行うために、食品類を冷却する技術が利用されている。例えば、加熱調理して調製した食品類を室温以下に冷却したり、生鮮食料品などを冷蔵温度帯や冷凍温度帯へ冷却することが行われており、従来から、冷却装置や冷凍装置が多数提案されている(例えば、特許文献1又は2)。このような冷却は、冷却空気を生成する冷却器、送気手段(例えば、送気用ファン及び/又は吸気用ファン)、及び被処理食品類を装入して配置する処理室を、密閉された断熱筐体内に設けた冷却装置(又は冷凍装置)によって実施されている。こうした冷却装置においては、送気手段により冷却器から送り出された冷却空気が処理室を経て再び冷却器に戻り、更に送気手段により処理室へ送り出されるという強制循環方式が採用されている。また、被処理食品類を装入して配置する処理室では、多数の被処理食品類(被冷却物)を、それぞれ多数のトレイ上に載せ、多数のトレイは棚段に平行に配置されている。冷気は、それらのトレイ間(すなわち、棚段間)を一方向に上流側から下流側に規則的に流れ、各被処理食品類と接触して冷却した後、天井や壁面などに設けたダクトから回収される。
【0003】
一般に、食品類の冷凍過程では、食品類の温度が低下し、次いで、氷結点(食品類中ではじめて氷結晶が生じる温度)に至ると水溶液部分に氷結晶が生じ、最終的には凍結する。多くの食品の氷結点は−1℃であり、−5℃で氷結率は約80%に達し、硬度が増加して物理的に凍結した状態になる。冷凍食品の場合は、一般に、−18℃以下の凍結状態まで冷却させるが、従来から、氷結晶生成帯(約−1℃〜約−5℃)をできる限り速く通過させることによって、微小氷結晶を均質に生成させ、氷結晶が肥大化しないようにすることが重要とされてきた。これは、氷結晶が大きくなると、食品類の組織に障害を与え、品質低下の原因になるからである。こうした急速冷却を実現するために、従来法では、例えば、冷却処理の最初の段階から、氷点下に冷却した気体を大量に、しかも高速流として処理室に供給することが行われていた。
【0004】
しかしながら、従来法では、図51(模式的説明図)に示すように、平板状トレイ81の底板81Tにおける載置面81Aの上に載置された被冷却物82を冷却する際に、冷却気体をトレイ底板81Tと平行に矢印Hの方向に流していた。この場合、被冷却物82の上方表面82Aの部分は、冷却気体と次々に直接接触するのに対し、前後左右に載置された被冷却物82の間の空隙部83では、冷却気体の気流がよどみ、新鮮な冷却気体が供給されにくいので、冷気流との接触状態が異なり、被処理食品類の表面の層流境膜の厚さに差異が生じる。すなわち、空隙部83に接する被冷却物82の部分の層流境膜は、被冷却物82の上方表面82Aの部分の層流境膜よりも、常に厚くなり、被冷却物82の全体としての熱交換効率が不均一になるので、被冷却物82の全体としての総括伝熱係数も低下する。特に、図52(模式的説明図)に示すように、棚段ラック(図示せず)の係止桟86に保持して使用するカゴ型トレイ85の場合には、被冷却物82の間の空隙部83の気流のよどみが更に発生しやすくなり、総括伝熱係数は更に低下する。
【0005】
これを防止するために、従来法では、一般に、冷気流の速度を速くして、層流境膜の厚さを全体的に薄くさせることによって総括伝熱係数の低下を防止する努力をしているが、限界があった。また、被処理食品類(被冷却物)の表面が高速冷気流と接触すると、表面乾燥が進んでヒビ割れが発生したり、被処理食品類(被冷却物)表面に付着させた添加物(例えば、ゴマ粒)が脱離したり、食品の過度な重量低下を招くなどの欠点もあった。
【0006】
なお、トレイの材料を熱伝導性の高い金属材料とし、トレイ底面81B(図51),85B(図52)に沿って流れる冷却気体から金属製トレイ81,85を介して被冷却物82に冷却エネルギーを供給しやすくすることも提案されている。しかしながら、被冷却物82は、その底面のみが金属製トレイ81,85と接触するだけであり、効果は限定的であった。
【0007】
前記の総括伝熱係数を向上させる手段として、過度に冷却された気体を高速で供給する手段とは別に、処理室内の気流を乱流化させる技術も提案されている(例えば、特許文献3又は特許文献4)。しかしながら、これらの手法では、入射流冷気の気流速度を非常に速くする必要があり、従って、発生するとされている乱流それ自体の流速も当然に速くなる。高速冷気流が被処理食品類の表面と接触することになるので、前記と同様の問題が発生した。
【0008】
また、冷却媒体を気体ではなく、液体(ブライン)とすることにより冷却媒体から被冷却物への熱伝導性を向上させる手段も提案されているが、ブラインとして使用されるアルコール水溶液を生成するためのクーラーやポンプの稼動コストは気体と比較すると高額であることに加えて、火災防止のために貯蔵が煩雑になり、場合により、被冷却物からアルコール成分を分離する必要が生じるなどの種々の欠点がある。更に、水は、熱容量は大きいものの、熱伝導率は金属材料と比較すれば非常に低いため、理想的な冷却エネルギーのキャリアー(冷却媒体)とは言いがたい。
【0009】
一方、加工食品などでは、冷蔵貯蔵又は冷凍貯蔵の前に、殺菌処理として加熱が行われている。加熱殺菌処理は、対象となる食品を高温(例えば、100℃前後ないしそれ以上)に曝しても劣化しない場合は、水蒸気処理などが行われている。しかしながら、高温(例えば、100℃前後)に曝すと風味が劣化したり、包装材料が破裂したりする食品に対しては、約80℃以下の温度で殺菌処理する必要がある。このような低温殺菌でも、熱風(空気)を使用すると層流境膜が発生するので、前記の冷却と同様の問題があるため、温水処理が広く利用されている。温水を利用すると、温度管理が容易になり、処理時間が短縮し、更に食品温度の均一化が容易になるなどの利点があるが、温水で処理した場合、処理後の食品から水を取り除く作業や、食品と接触した水を廃棄する前の処理が非常に煩雑でコスト高の一因となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭58−136962号公報
【特許文献2】特開2003−148853号公報
【特許文献3】特開平6−273030号公報
【特許文献4】特開平10−311649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者は、処理室に送る調温気体(冷却気体又は加熱気体)の流速を過度に高速化せずに、総括伝熱係数を向上させ、熱処理(冷却処理又は加熱処理)に必要な時間を短縮して、熱処理物(冷却物や冷凍物、あるいは加熱物)の品質を向上させる手段を鋭意研究していたところ、被処理物を載置するトレイの底板や、被処理物を収納する箱の底板に通風貫通孔を設け、被処理物載置面に対して垂直方向(すなわち、底板の上方から下方への方向、又はその逆方向)に調温気体を通過させることにより、個々の被処理物の周囲に調温気体を通過させることが可能になり、前記の目的を達成することができることを見出した。
【0012】
また、載置台の上方及び下方に、被処理物載置面に対しては傾斜するが、相互に平行な気流案内面を有する傾斜遮蔽板を設けることにより、被処理物載置面に対して垂直方向(すなわち、被処理物載置面の上方から下方への方向、又はその逆方向)に流れる調温気体の通過量を被処理物載置面(例えば、載置用トレイ)の全体にわたって均一化させ、熱処理時間の短縮化効果が向上することを見出した。
【0013】
更に、金属製粒状体(例えば、金属製球状体)及び/又は金属製柱状小片(例えば、金属製円柱状小片又は金属製角柱状小片)を被処理物の周囲に充填することにより、調温気体の冷却又は加熱エネルギーを、金属製粒状体及び/又は金属製柱状小片を介して被処理物に効率的に伝熱させることが可能になり、熱処理時間短縮化効果が一層向上することも見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、本発明は、
気体調温室にて所定温度に加熱又は冷却された調温気体によって、被処理物を熱処理する方法であって、
(1)水平方向に設置されているか又は水平方向に移動することのできる載置台を用いること、
(2)前記載置台が、
(a)前記被処理物を保持するが前記調温気体を通過させることのできる載置台通風孔を有する通風載置台であるか、あるいは、
(b)前記被処理物を収納することのできる被処理物収納箱を挿入して保持することのできる挿入保持孔を有する保持載置台であること、
(3)(a)前記保持載置台の前記挿入保持孔が、前記被処理物収納箱を挿入して保持した状態で前記調温気体を通過させることができること、及び/又は、
(b)前記被処理物収納箱が、前記被処理物を保持するが前記調温気体を通過させることのできる収納箱通風孔を有していること、及び
(4)(a)前記通風載置台に前記被処理物を載せた状態で、あるいは、(b)前記保持載置台に、前記被処理物を収納した前記被処理物収納箱を挿入保持孔に担持した状態で、前記載置台の上方から下方に向けて、あるいは下方から上方に向けて、前記調温気体を通過させること
を特徴とする、前記熱処理方法に関する。
【0015】
また、本発明は、
載置用トレイに載せた被処理物を収容する熱処理室と、所定温度に加熱又は冷却された調温気体を前記熱処理室に供給する気体調温室とを含む熱処理装置であって、
(1)水平方向に設置されているか又は水平方向に移動することのできる載置台を備えること、
(2)前記載置台が、
(a)前記被処理物を保持するが前記調温気体を通過させることのできる載置台通風孔を有する通風載置台であるか、あるいは、
(b)前記被処理物を収納することのできる被処理物収納箱を挿入して保持することのできる挿入保持孔を有する保持載置台であること、
(3)(a)前記保持載置台の前記挿入保持孔が、前記被処理物収納箱を挿入して保持した状態で前記調温気体を通過させることができること、及び/又は、
(b)前記被処理物収納箱が、前記被処理物を保持するが前記調温気体を通過させることのできる収納箱通風孔を有していること、及び
(4)(a)前記通風載置台に前記被処理物を載せた状態で、あるいは、(b)前記保持載置台に、前記被処理物を収納した前記被処理物収納箱を挿入保持孔に担持した状態で、前記載置台の上方から下方に向けて、あるいは下方から上方に向けて、前記調温気体を通過させる手段を含むこと
を特徴とする、前記熱処理装置にも関する。
【0016】
本発明方法及び本発明装置の好ましい態様においては、被処理物を収容して熱処理する熱処理室に、多数の通風載置台を収容し、各通風載置台がそれぞれ多数の被処理物を載せているか、1又は複数の保持載置台を設け、1又は複数の保持載置台が多数の被処理物を載せている。
【0017】
本発明方法及び本発明装置の好ましい態様においては、通風載置台又は保持載置台が、それぞれ、水平方向に設置されている載置台であるか、あるいは水平方向に移動することのできる載置台であることができる。ここで、「水平方向に設置されている」とは、少なくとも熱処理実施中に載置台が静置されている状態で熱処理が実施されることを意味し、「水平方向に移動することのできる」とは、少なくとも熱処理実施中に載置台が水平方向に移動している状態で熱処理が実施されることを意味する。
【0018】
本発明方法及び本発明装置は、バッチ式又は連続式で実施することができる。
【0019】
本発明方法及び本発明装置の好ましい態様においては、前記載置台の下方に、被処理物載置面に対して傾斜する方向に気体流を案内する下方傾斜遮蔽板を設ける。
【0020】
本発明方法及び本発明装置の別の好ましい態様においては、前記載置台の上方に、被処理物載置面に対して傾斜する方向に気体流を案内する上方傾斜遮蔽板を設けると共に、前記載置台の下方に、前記被処理物載置面に対して傾斜する方向に気体流を案内する下方傾斜遮蔽板を設け、
しかも、前記上方傾斜遮蔽板の気体流案内方向と下方傾斜遮蔽板の気体流案内方向とが相互に平行である。
【0021】
本発明方法及び本発明装置の好ましい態様においては、前記通風載置台として、載置用底板に、前記被処理物と共に、金属製粒状体(例えば、金属製球状体)及び/又は金属製柱状小片(例えば、金属製円柱状小片又は金属製角柱状小片)を保持するが、前記調温気体を通過させることのできる通風孔を有する通風載置台を用い、前記通風載置台上に金属製粒状体及び/又は金属製柱状小片を、前記被処理物と直接に接触させるか、又は前記被処理物用包装体の外側表面に直接に接触させるように前記通風載置台上に充填する。あるいは前記保持載置台に挿入保持される被処理物収納箱として、前記被処理物と共に、金属製粒状体(例えば、金属製球状体)及び/又は金属製柱状小片(例えば、金属製円柱状小片又は金属製角柱状小片)を保持するが、前記調温気体を通過させることのできる収納箱通風孔を有する収納箱を用いて前記保持載置台に挿入保持し、前記収納箱の載置台上に金属製粒状体及び/又は金属製柱状小片を、前記被処理物と直接に接触させるか、又は前記被処理物用包装体の外側表面に直接に接触させるように前記通風載置台上に充填する。ここで、金属製粒状体は、粒径が実質的に同一の粒状体(例えば、球状体)からなるか、あるいは粒径の異なる複数種の粒状体(例えば、球状体)の混合物であることができる。同様に、金属製柱状小片も、大きさ及び/又は形状が同一の1種類の金属製柱状小片を用いるか、あるいは、大きさ及び/又は形状が異なる複種類の金属製柱状小片を用いることができる。
【0022】
前記通風載置台を用いる本発明方法及び本発明装置の好ましい態様では、前記通風載置台に載置した被処理物の側面に調温空気を通過させる案内手段を前記通風載置台に設ける。
【0023】
前記保持載置台と前記被処理物収納箱との組合せを用いる本発明方法及び本発明装置の好ましい態様では、前記被処理物収納箱の側面に調温空気を通過させる案内手段を前記保持載置台に設ける。更に、前記被処理物収納箱の好ましい態様では、前記被処理物収納箱が、その外側側面に、調温気体との接触面積を増加させる突起物を備えているか、あるいは、その外側側面に、調温気体との接触面積を増加させる突起物を着脱自在に設ける。
【0024】
更に、本発明は、
移動可能な熱処理コンテナと、その熱処理コンテナを通過させて熱処理行う熱処理トンネルとを含む連続式熱処理システムであって、
(A)前記熱処理トンネルが、気体調温室にて所定温度に加熱又は冷却された調温気体を前記熱処理コンテナに供給する手段を備えること、並びに、
(B)(1)前記熱処理コンテナが、水平方向に設置されている載置台を含み、
(2)前記載置台が、
(a)前記被処理物を保持するが前記調温気体を通過させることのできる載置台通風孔を有する通風載置台であるか、あるいは、
(b)前記被処理物を収納することのできる被処理物収納箱を挿入して保持することのできる挿入保持孔を有する保持載置台であること、
(3)(a)前記保持載置台の前記挿入保持孔が、前記被処理物収納箱を挿入して保持した状態で前記調温気体を通過させることができること、及び/又は、
(b)前記被処理物収納箱が、前記被処理物を保持するが前記調温気体を通過させることのできる収納箱通風孔を有していること、及び
(4)(a)前記通風載置台に前記被処理物を載せた状態で、あるいは、(b)前記保持載置台に、前記被処理物を収納した前記被処理物収納箱を挿入保持孔に担持した状態で、前記載置台の上方から下方に向けて、あるいは下方から上方に向けて、前記調温気体を通過させる手段を含むこと
を特徴とする、前記連続式熱処理システムにも関する。
【0025】
更にまた、本発明は、
水平方向に移動することのできる載置台を通過させて熱処理行う熱処理トンネルを含む連続式熱処理システムであって、
(1)前記熱処理トンネルが、気体調温室にて所定温度に加熱又は冷却された調温気体を供給する手段を備えること、
(2)前記載置台が、
(a)前記被処理物を保持するが前記調温気体を通過させることのできる載置台通風孔を有する通風載置台であるか、あるいは、
(b)前記被処理物を収納することのできる被処理物収納箱を挿入して保持することのできる挿入保持孔を有する保持載置台であること、
(3)(a)前記保持載置台の前記挿入保持孔が、前記被処理物収納箱を挿入して保持した状態で前記調温気体を通過させることができること、及び/又は、
(b)前記被処理物収納箱が、前記被処理物を保持するが前記調温気体を通過させることのできる収納箱通風孔を有していること、及び
(4)(a)前記通風載置台に前記被処理物を載せた状態で、あるいは、(b)前記保持載置台に、前記被処理物を収納した前記被処理物収納箱を挿入保持孔に担持した状態で、前記載置台の上方から下方に向けて、あるいは下方から上方に向けて、前記調温気体を通過させる手段を含むこと
を特徴とする、前記連続式熱処理システムにも関する。
【0026】
また、本発明は、
気体調温室にて所定温度に加熱又は冷却された調温気体によって熱処理される被処理物を載置することができ、水平方向に設置することのできる載置台であって、
(1)前記載置台が、
(a)前記被処理物を保持するが前記調温気体を通過させることのできる載置台通風孔を有する通風載置台であるか、あるいは、
(b)前記被処理物を収納することのできる被処理物収納箱を挿入して保持することのできる挿入保持孔を有する保持載置台であること、
(2)(a)前記保持載置台の前記挿入保持孔が、前記被処理物収納箱を挿入して保持した状態で前記調温気体を通過させることができること、及び/又は、
(b)前記被処理物収納箱が、前記被処理物を保持するが前記調温気体を通過させることのできる収納箱通風孔を有していること、及び
(3)(a)前記通風載置台に前記被処理物を載せた状態で、あるいは、(b)前記保持載置台に、前記被処理物を収納した前記被処理物収納箱を挿入保持孔に担持した状態で、前記載置台の上方から下方に向けて、あるいは下方から上方に向けて、前記調温気体を通過させることができること
を特徴とする、前記載置台にも関する。
【0027】
更にまた、本発明は、
気体調温室にて所定温度に加熱又は冷却された調温気体によって熱処理される被処理物を載置することができ、水平方向に移動することのできる載置台であって、
(1)前記載置台が、
(a)前記被処理物を保持するが前記調温気体を通過させることのできる載置台通風孔を有する通風載置台であるか、あるいは、
(b)前記被処理物を収納することのできる被処理物収納箱を挿入して保持することのできる挿入保持孔を有する保持載置台であること、
(2)(a)前記保持載置台の前記挿入保持孔が、前記被処理物収納箱を挿入して保持した状態で前記調温気体を通過させることができること、及び/又は、
(b)前記被処理物収納箱が、前記被処理物を保持するが前記調温気体を通過させることのできる収納箱通風孔を有していること、及び
(3)(a)前記通風載置台に前記被処理物を載せた状態で、あるいは、(b)前記保持載置台に、前記被処理物を収納した前記被処理物収納箱を挿入保持孔に担持した状態で、前記載置台の上方から下方に向けて、あるいは下方から上方に向けて、前記調温気体を通過させることができること
を特徴とする、前記載置台にも関する。
【0028】
本明細書において、「熱処理」は、冷却処理及び加熱処理を含む。「冷却」は、一般的に冷やすこと、例えば、被処理物の温度や冷却に用いる気体(冷却気体)の温度を低下させることを広く意味し、「非冷凍温度帯」への「冷却」及び「冷凍温度帯」への「冷却」の両方を含む。
ここで、「冷凍温度帯」とは、被処理物を凍結させる温度領域、すなわち、0℃以下の温度領域を意味する。具体的には、氷結点(食品類中ではじめて氷結晶が生じる温度)以下の凍結状態を含み、当然、−18℃以下の凍結状態も含む。また、「非冷凍温度帯」とは、被処理物を凍結させない温度領域、すなわち、0℃より高い温度領域を意味し、例えば、常温温度帯、及び冷蔵温度帯が含まれる。なお、「冷凍温度帯」への「冷却」を単に「冷凍」と称することがあり、本明細書の以下の説明においては、簡便化の目的で「非冷凍温度帯への冷却」を、単に「非冷凍冷却」と称することがある。
また、加熱処理には、殺菌加熱処理や調理加熱処理が含まれる。
【0029】
本明細書においては、通風載置台の被処理物載置面又は保持載置台に挿入保持される被処理物収納箱の被処理物載置面に対して上方から下方に向けて通過する気流を「上下流」と称することがあり、逆にそれらの下方から上方に向けて通過する気流を「下上流」と称することがある。また、両者を総括的に「上下・下上流」と称することがある。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、気体調温室から供給される調温気体(冷却気体又は加熱気体)が、従来法のようにトレイの底板と平行方向に流れるのではなく、被処理物載置面に設けた通風用貫通孔(載置台通風孔又は収納箱通風孔)を通過して上下方向(被処理物載置面の上方から下方に向けて、又は被処理物載置面の下方から上方に向けて)に流れ、個々の被処理物の側面にも直接接触するので、熱処理に必要な時間が短縮され、冷却物や冷凍物の品質を向上させることができ、加熱物の処理工程を簡略化することができる。
【0031】
また、上下・下上流の調温気体を利用する前記本発明において、載置台(特に、処理室に水平方向に設置されている載置台、たとえば、載置トレイ)の上方及び下方のそれぞれに、載置台の載置面に対して傾斜する方向(非平行方向)に気体流を案内する傾斜遮蔽板を設け、それらの気体流案内方向を相互に平行に配置すると、処理室の調温気体吸入口側から排出口側の方向に載置台の全面にわたって調温気体の上下流の通気抵抗を均一化させることができるので、その結果、載置台の全面にわたって均一な熱処理を実現することができる。
【0032】
更に、上下流の調温気体(すなわち、載置台、例えば、載置用トレイの上方から下方に向けて通過する冷却気流)を利用する前記本発明において、前記載置台(例えば、載置用トレイ)の下方に、前記載置面に対して傾斜する方向に気体流を案内する下方傾斜遮蔽板を設けると、水蒸気を大量に発生する被処理物を常温温度帯又は冷蔵温度帯へ冷却する際に、水蒸気を天井側に凝結させることがなくなるので、被処理物への水滴落下を防止することができる。
【0033】
また、本発明において、金属製粒状体を被処理物の周囲に充填させると、調温気体が金属製粒状体の間を通過する際に金属製粒状体が効率的に冷却又は加熱され、それらの金属製粒状体は個々の被処理物の周囲に充填されているので、被処理物の表面は複数地点で金属製粒状体と直接接触することになり、一層効率的に熱処理されることになる。すなわち、本発明において金属製粒状体を用いると、調温気体は、従来法のように被処理物を直接的に熱処理するというよりは、むしろ、被処理物の周囲に充填されている多数の金属製粒状体を主に冷却又は加熱する。この場合、従来法の調温気体と被処理物との接触面積と比較すると、金属製粒状体は被処理物1つに対して多数個存在しているので、調温気体と金属製粒状体との接触面積は、被処理物1つに関して飛躍的に増加する。更に、金属製粒状体は高熱伝導率を有しているので、調温気体との熱交換効率が飛躍的に向上する。また、金属製粒状体は、気体と比較すると熱容量も大きいので、調温気体の冷却又は加熱エネルギーを高効率で蓄熱することができる。更にまた、従来法の調温気体と被処理物との接触には、層流境膜に伴う欠点が存在するのに対し、金属製粒状体と被処理物との接触は直接的な熱伝導の現象であり、空気を介する層流境膜の問題が発生しない。こうして冷却又は加熱された金属製粒状体が、被処理物表面に若干食い込んで全周囲と多数の地点で接触するので、熱伝導による熱処理が高効率で実施されることになる。
【0034】
更に、本発明において、金属製柱状小片を被処理物の周囲に充填させると、金属製柱状小片は金属製粒状体(特に球状体)よりも表面積が増加するので、調温気体との接触面積が増加し、調温気体による金属製柱状小片の冷却効率又は加熱効率が向上すると共に、被処理物との接触効率も向上する。また、金属製柱状小片は、金属製粒状体と比較して製造コストが低くなる点でも好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による上下・下上流方式を、通風載置台(平板状トレイ)を用いて実施する場合の原理を示す模式的説明図である。
【図2】本発明による上下・下上流方式を、別の通風載置台(カゴ型トレイ)を用いて実施する場合の原理を示す模式的説明図である。
【図3】半球状の底板に複数の通風用貫通孔を設けた更に別の通風載置台(カゴ型トレイ)の模式的断面図である。
【図4】凸状底板に複数の通風用貫通孔を設けた更に別の通風載置台(カゴ型トレイ)の模式的断面図である。
【図5】挿入通風開口部を有する通風載置台の平面図である。
【図6】図5のA−A線断面図である。
【図7】被処理物としてのケース入り茶碗蒸しの斜視図である。
【図8】図7の底面図である。
【図9】被処理物を挿入通風開口部を有する通風載置台(開口トレイ)の挿入通風開口部に装着した状態を模式的に示す断面図である。
【図10】被処理物を別の態様の挿入通風開口部を有する通風載置台(開口トレイ)の開口部に装着した状態を模式的に示す断面図である。
【図11】挿入通風開口部を有する厚い通風載置台(開トレイ)を模式的に示す断面図である。
【図12】金属粒を用いて本発明を実施する態様の原理を示す模式的断面図である。
【図13】金属粒を用いて本発明を実施する別の態様の原理を示す模式的断面図である。
【図14】金属粒を用いて本発明を実施する更に別の態様の原理を示す模式的断面図である。
【図15】金属粒を用いて本発明を実施する更に別の態様の原理を示す模式的断面図である。
【図16】金属粒を用いて本発明を実施する更に別の態様の原理を示す模式的断面図である。
【図17】本発明で用いることのできる円柱状小片の斜視図である。
【図18】本発明で用いることのできる六角柱状小片の斜視図である。
【図19】本発明で用いることのできる有孔円柱状小片の斜視図である。
【図20】本発明で用いることのできる有孔六角柱状小片の斜視図である。
【図21】本発明で用いることのできる溝付円柱状小片の斜視図である。
【図22】本発明で用いることのできる溝付六角柱状小片の斜視図である。
【図23】本発明で用いることのできる溝付円柱状小片の製造方法を示す模式的斜視図である。
【図24】本発明で用いることのできる有孔六角柱状小片の製造方法を示す模式的斜視図である。
【図25】金属製柱状小片を用いて本発明を実施する態様の原理を示す模式的断面図である。
【図26】金属製柱状小片を用いて本発明を実施する別の態様の原理を示す模式的断面図である。
【図27】金属製柱状小片を用いて本発明を実施する別の態様の原理を示す模式的断面図である。
【図28】金属製柱状小片を用いて本発明を実施する別の態様の原理を示す模式的断面図である。
【図29】保持載置台の平面図である。
【図30】図29のB−B線断面図である。
【図31】被処理物収納箱の斜視図である。
【図32】図31の被処理物収納箱の底面図である。
【図33】被処理物を収納して含む収納箱を、保持載置台の挿入保持孔Aに装着した状態を示す模式的断面図である。
【図34】上面フランジの底面に通風用突出片を有していない収納箱を保持載置台の挿入保持孔に装着した状態を示す模式的断面図である。
【図35】金属製スペーサーを用いて本発明を実施する態様の原理を示す模式的断面図である。
【図36】図35の模式的なC−C線断面図である。
【図37】金属製柱状小片を用いて本発明を実施する別の態様の原理を示す模式的断面図である。
【図38】金属製柱状小片を用いて本発明を実施する別の態様の原理を示す模式的断面図である。
【図39】外側側面に複数の帯状突起を有する被処理物収納箱の模式的横断面図である。
【図40】調温気体案内型収納箱の模式的断面図である。
【図41】コルゲート型金属スペーサーの斜視図である。
【図42】上方及び下方傾斜遮蔽板を用いて本発明を実施する場合の原理を示す模式的断面図である。
【図43】上方及び下方傾斜遮蔽板を用いる本発明による多段型熱処理装置の模式的断面図である。
【図44】水平設置型載置台を用いる連続法で実施する場合に適した熱処理システムの模式的平面図である。
【図45】図44の熱処理システムで用いることのできる熱処理コンテナの模式的斜視図である。
【図46】図45の熱処理コンテナの模式的断面図である。
【図47】図45の熱処理コンテナの別の方向の模式的断面図である。
【図48】図44の熱処理システムで用いる熱処理トンネルと熱処理コンテナとの関係を示す模式的断面図である。
【図49】水平移動型載置台を用いる連続法で実施する場合に適した熱処理システムの説明図である。
【図50】前記図49の連続法で使用するベルトコンベアのシール機構の模式的断面図である。
【図51】従来法の冷却処理の原理を示す模式的説明図である。
【図52】カゴ型トレイを用いる従来法の冷却処理の原理を示す模式的説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明においては、水平方向に設置されている載置台(すなわち、少なくとも熱処理実施中には静置されている載置台)か、又は水平方向に移動することのできる載置台(すなわち、少なくとも熱処理実施中に水平方向に移動する載置台)を用いる。以下、本明細書において、水平方向に設置されている載置台を「水平設置型載置台」と称し、水平方向に移動することのできる載置台を「水平移動型載置台」と称する。水平設置型載置台の代表例は、従来法において処理室に棚状に設置される載置用トレイである。また、水平移動型載置台の代表例は、ベルトコンベア式に移動する載置用トレイである。
【0037】
また、本発明では、水平設置型載置台又は水平移動型載置台のいずれにおいても、その載置台自体が、被処理物を保持すると同時に、前記調温気体を通過させることのできる載置台通風孔を有する態様があり、これを通風載置台と称する。
【0038】
また、本発明では、水平設置型載置台又は水平移動型載置台のいずれにおいても、前記被処理物を収納することのできる被処理物収納箱を挿入して保持することのできる挿入保持孔を有する態様があり、これを保持載置台と称する。この保持載置台では、被処理物収納箱を組合せて使用し、保持載置台が備えている挿入保持孔は、被処理物収納箱の挿入態様に応じて、前記調温気体を通過させることのできる態様と、前記調温気体を通過させない態様とが含まれる。挿入保持孔が調温気体を通過させない態様では、被処理物収納箱が、前記被処理物を保持するが前記調温気体を通過させることのできる収納箱通風孔を有している。挿入保持孔が調温気体を通過させる態様では、被処理物収納箱が、前記被処理物を保持するが前記調温気体を通過させることのできる収納箱通風孔を有していても、あるいは有していなくてもよい。
【0039】
本明細書においては、通風孔に上下流調温気体を通風する熱処理方式を「上下流方式」と称することがあり、下上流調温気体を利用する熱処理方式を「下上流方式」と称することがある。また、それらを包括して「上下・下上流方式」と称することがある。
【0040】
更に、載置用トレイの上方に、載置用トレイの載置面に対して傾斜する方向(非平行方向)に気体流を案内する傾斜遮蔽板を設けた状態で、熱処理を行う熱処理方式を、以下、「上方傾斜板方式」と称することがあり、載置用トレイの下方に、載置用トレイの載置面に対して傾斜する方向(非平行方向)に気体流を案内する傾斜遮蔽板を設けた状態で、熱処理を行う熱処理方式を、以下、「下方傾斜板方式」と称することがある。また、載置用トレイの上方及び下方のそれぞれに、載置用トレイの載置面に対して傾斜する方向(非平行方向)に気体流を案内する傾斜遮蔽板を設け、それらの気体流案内方向を相互に平行に配置した状態で、熱処理を行う熱処理方式を、以下、「上方・下方傾斜板方式」と称することがある。
【0041】
<上下・下上流方式:通風載置台>
最初に、本発明による上下・下上流方式の原理を、水平設置型載置台の代表例である載置用トレイを示す図1及び図2(本発明の通風載置台)並びに図51及び図52(従来技術の載置用トレイ)の模式的説明図に沿って説明する。図1及び図2並びに図51及び図52では、説明の便宜のために3つの被処理物21,82のみを示すが、実際の適用例では、多数の被処理物21,82が同じトレイ上に相互に間隔を隔てて併置される。以下、本明細書に添付の各図面においては、被処理物を1つ〜3つ程度までしか図示していないが、これも説明の便宜のためであり、実際の適用例では、多数の被処理物が同じトレイ上に相互に間隔を隔てて併置される。なお、調温気体としては、一般的には、調温空気を使用する。
【0042】
本発明による上下・下上流方式では、図1に示すように、被処理物(被冷却物又は被加熱物)21を載置する底板11Tに複数の通風用貫通孔(載置台通風孔)12を設けた平板状トレイ11を用い、前記載置用平板状トレイ11の底板11Tに設けた通風孔12に、トレイ11の上方から下方に向けて、又はトレイ11の下方から上方に向けて、図1の矢印Vに示すように、調温気体(冷却気体又は加熱気体)を通過させる。また、図2に示すように、棚段ラック(図示せず)の係止桟16に保持して使用するカゴ型トレイ15の場合には、カゴ型トレイ15の底板15Tに複数の通風用貫通孔(載置台通風孔)12を設け、トレイ15の上方から下方に向けて、又はトレイ15の下方から上方に向けて、図2の矢印Vに示すように、調温気体を通過させる。なお、前記通風用貫通孔12は、前記被処理物を保持すると共に、気体を通過させることのできる開口部口径を有している。
【0043】
本発明による上下・下上流方式に用いる通風載置台(特に載置用トレイ)は、任意の材料(例えば、合成樹脂や金属)からなることができるが、底板の下面は調温気体と直接に接触するので、少なくとも底板が金属製であることが好ましい。通風載置台を構成する金属としては、高い熱伝導性及び大きい熱容量を有する金属、例えば、銅、アルミニウム、又は鉄、あるいはそれらの合金を挙げることができる。なお、金属製載置台は、熱伝導性に大きな影響を与えない範囲で薄層樹脂コートや表面保護塗布剤で保護されていることもできる。上下・下上流方式に用いる載置台は、載置台の底板に多数の通風用貫通孔(載置台通風孔)を有しており、調温気体の通風をできる限り妨げないように、被処理物(及び場合により使用する金属製粒状体や金属製柱状小片など)を落下させない限り、開口部の合計面積が広いことが好ましく、例えば、網目状やネット状の底板(例えば、金網)が好ましい。
【0044】
本発明による上下・下上流方式において、調温気体(冷却気体又は加熱気体)を通過させる方向は、通風載置台の上方から下方への方向、又は通風載置台の下方から上方への方向のいずれも可能である。例えば、焼きたてのパンや炊飯直後のご飯、あるいは茹でたての麺類や茶碗蒸しのように、冷却処理において水蒸気を多量に発生する高温食品類を熱処理室に搬入して通風載置台上で冷却処理する場合は、下上流冷却気体を通過させることよって処理することもできるが、被処理物から発生する水蒸気が通風載置台上方の天井部壁面に凝結し、水滴となって被処理物上に落下して食品類を汚す危険性もあるので、上下流冷却気体を通過させることにより、被処理物から発生する水分を通風載置台の下方で収集して排水することができるので好ましい。また、海草類や水産物のように、水滴を滴下する被処理物の場合も、上下流冷却気体を通過させることが好ましい。
【0045】
本発明で用いることのできるカゴ型トレイの底面は、図2に示す平坦な底板に限定されず、例えば、図3(模式的断面図)に示すように、半球状の底板17Tに複数の通風用貫通孔12を設けたカゴ型トレイ17や、図4(模式的断面図)に示すように、凸状底板18Tに複数の通風用貫通孔12を設けたカゴ型トレイ18を用いることもできる。
前記の図1〜図5に示すトレイは、水平設置型載置台としても、水平移動型載置台としても利用することができる。
【0046】
<ケース充填型被処理物>
本発明では、被処理物が特定形状のケースに充填されているケース充填型被処理物である場合、その特定形状のケース充填型被処理物を載置可能に形成した通風載置台を用いることができる。特定形状のケース充填型被処理物の代表例は、載置台に設けた載置台通風孔に被処理物それ自体を挿入して懸架状態で保持させることのできる形状であり、具体的には、ケース入り加工食品(例えば、茶碗蒸し又は豆腐)やケース入り菓子(例えば、プリン、水羊羹、又はゼリー)である。このような場合、ケース充填茶碗蒸しやケース充填プリンなどのケース上部にフランジを設け、そのフランジ縁部によって、ケース充填茶碗蒸しやケース充填プリンを載置台に懸架状態で保持することができる。
【0047】
図5〜図9には、通風載置台に設けた載置台通風孔に直接に挿入して保持させることのできるケース充填型被処理物としてケース充填茶碗蒸しの熱処理に好適に使用することのできる広開口トレイを示す。この場合、載置台通風孔は、前記調温気体を通過させることのできる貫通通風孔であると共に、被処理物を挿入して保持することのできる挿入保持孔としての機能も有することになる。
【0048】
図5は、ケース充填茶碗蒸しの処理に用いることのできる広開口トレイ71の模式的平面図であり、図6はそのA−A線断面図である。図5及び図6に示す広開口トレイ71は、多数の広開口部72を有し、図5及び図6に示す態様では、各広開口部72に、着脱自在に挿入可能な調温気体案内筒74を挿入した状態を示す。調温気体案内筒74は、上部に保持用フランジ74Aを備え、下部は、図6に示すように、調温気体案内手段としての円筒状側壁75によって包囲されていることが好ましい。調温気体案内筒74を設けずに実施することもできるが、調温気体案内筒74を設けることによって、調温気体をケース充填茶碗蒸しの周囲に集中的に通過させることができる。円筒状側壁75と同様の構造物を広開口部72の底面側に、広開口トレイ71と一体成型によって形成することもできる。前記広開口トレイ71は高い熱伝導性を有する金属製であるか、あるいは低熱伝導性材料製(例えば、プラスティック製)であることができる。調温気体案内筒74は、高い熱伝導性を有する材料から構成する必要はない。
なお、図5及び図6に示す広開口トレイ71は、広開口部72の周縁部に、後述する図29及び図30に示す補強用環状突起175のように、補強用環状突起を設けることによって強度を補強することができる。
【0049】
図7(斜視図)及び図8(底面図)は、ケース充填茶碗蒸し73であり、場合により設ける調温気体案内筒74を介して、前記広開口トレイ71に装着して好適に熱処理することができる。ケース充填茶碗蒸し73は、上面フランジ73A、側壁部73C、及び底面部73Dを有し、前記上面フランジの底面には、下方に突出する通風用突出片73Bを備えており、前記上面フランジの上面は上面フィルムで封止されている。このケース充填茶碗蒸し73を、調温気体案内筒74を挿入した広開口トレイ71の広開口部72Aに装着した状態を図9(断面図)に示す。調温気体は、調温気体案内筒74の円筒状側壁75と、ケース充填茶碗蒸し73の側壁部73Cとの間に形成される間隙を、矢印Vの方向(又はその逆方向)に通過し、更に、調温気体案内筒74の保持用フランジ74Aの上面と、ケース充填茶碗蒸し73の上面フランジ73Aの底面との間に形成される間隙を、矢印Vの方向(又はその逆方向)に通過し、その際に、ケース充填茶碗蒸し73の底面部73D及び側壁部73Cと接触して効率的に熱処理を行うことができる。前記のように、広開口部72に設けた調温気体案内筒74の円筒状側壁75と、ケース充填茶碗蒸し73の側壁部73Cとの間に形成される間隙は通風用通路となり、通風用通路の通過面積を狭くすることによって、供給する調温気体の量を変化させずに流速を高速化することができるか、供給する調温気体の流速を変化させずに、供給量を低下させることができる。
【0050】
なお、図5及び図6において、広開口部72を9つしか図示していないが、これも説明の便宜のためであり、実際の適用例では、多数の広開口部が同じ広開口トレイ上に相互に間隔を隔てて設けられる。
【0051】
例えば、図10(断面図)に示すように、被処理物76の側壁形状が円筒状である場合は、下方向に徐々に広がる円筒状側壁75Aを有する調温気体案内筒74を使用することができる。また、図11(断面図)に示すように、板厚の大きいトレイ71Aに広開口部72Aを設けたものを用いることもできる。
前記のように、通風載置台に設けた載置台通風孔に直接に挿入して保持させることのできる特定形状のケース充填型被処理物を熱処理する態様は、水平設置型載置台を用いる態様に適用することもできるが、特に、水平移動型載置台を用いる態様に好適に適用することができる。
【0052】
ケース充填型被処理物を広開口トレイの広開口部に挿入保持させた後に、ケース充填型被処理物の上から、場合により、金属製補助プレートを被せてケース充填型被処理物の上部と直接に接触させることにより、熱処理を更に効率的に実施することができる。金属製補助プレートは、個別のケース充填型被処理物毎に、その上から被せる個別プレート、相互に隣接する一群のケース充填型被処理物毎に、それらの上から被せるグループ用プレート、更には、1つの広開口トレイ全体について全ケース充填型被処理物の上から一括して被せる一括プレートが含まれ、グループ用プレートや一括プレートには、必要により、通風貫通孔を設けることができる。
前記の図6、又は図9〜図11に示す広開口トレイも、水平設置型載置台又は水平移動型載置台であることができる。
【0053】
<金属製粒状体>
本発明を実施する場合は、金属製粒状体、特に高熱伝導度及び高熱容量を有する金属製粒状体(金属製球状体)を、前記の通風載置台上の前記被処理物の周囲に、あるいは後述する保持載置台と組合せて使用する被処理物収納箱内の被処理物の周囲に充填することができる。この場合も、前記通風載置台又は保持載置台は、いずれも、水平設置型でも水平移動型でもよい。
【0054】
この方式では、例えば、図12に示すように、底板15Tに多数の通風用貫通孔(載置台通風孔)12を備えたカゴ型トレイ15内に、被処理物21と共に、それらの周囲に金属製粒状体23を充填する。具体的には、最初に、金属製粒状体23を底板15Tに薄い層状に敷き、その上に被処理物21を相互に間隔を隔てて載せ、被処理物21の間に金属製粒状体23を充填し、最後に、必要に応じて、被処理物21の上にも金属製粒状体23を薄い層状に被せることができ、こうして被処理物21の外側全体を金属製粒状体23で包囲することができる。なお、目的とする熱処理に悪影響を与えない限り、予備的に冷却又は加熱された金属製粒状体23を用いると、熱処理を更に短時間で実施することができる。金属製粒状体23の粒径は、調温気体が、金属製粒状体23の間隙を円滑に通過することができる粒径であることが必要である。
【0055】
金属製粒状体は、載置台(例えば、トレイ)に充填された際に、上下・下上流調温気体を円滑に通過させる通風性を有することが要求されると共に、調温気体から冷却又は加熱エネルギーを有効に捕捉して蓄熱する形状及び容量を有していることが好ましいので、球状体であることが好ましい。なお、粒径や真球度は、ボールベアリングやパチンコ球のように厳密に調整・制御する必要はなく、被処理物と金属製粒状体との分離の際に、粒径の差異を利用することができる程度の精度で調整・制御されていれば充分である。
【0056】
金属製粒状体の粒径は、その間隙を調温気体が円滑に通過することができる限り特に限定されず、例えば、0.5mm以上であれば通風上の問題はなく、一般的には1mm以上である。上限も特に限定されず、一般的には、20mm程度である。大型の被処理物(例えば、大型魚や食肉)の場合には、20mmを超える粒径の金属製粒状体を用いることもできる。具体的な粒径は、通風性のみではなく、エネルギーの捕捉・蓄熱性及び被処理物との接触効率を考慮して適宜決定することができる。すなわち、通風性及び蓄熱性の観点では、粒径を比較的大きくして、円滑な通風と、エネルギーの捕捉・蓄熱を保証することが好ましい。一方、被処理物との接触効率の観点では、粒径を比較的小さくして、金属製粒状体と被処理物との接触面積を増加させることが好ましい。
なお、被処理物が果物や加工食品のように比較的大きな場合は、金属製粒状体の粒径は被処理物よりも小さくなるが、例えば、コショウ粒のような小型の被処理物の場合には、金属製粒状体の粒径を被処理物よりも大きくするのが一般的である。
【0057】
前記の金属製粒状体は、高い熱伝導度と大きな熱容量を有する金属、例えば、銅、アルミニウム、又は鉄、あるいはそれらの合金からなることが好ましい。金属製粒状体は、それ自体を洗浄あるいは殺菌処理する必要があるので、熱伝導度や熱容量に影響を与えない範囲で薄層樹脂コートや表面保護塗布剤によって保護することもでき、相互接触や洗浄・殺菌処理に対する耐磨耗性を付与することができる。
【0058】
図12に示す態様では、金属製粒状体23の充填後に、底板15Tの下方から調温気体を供給すると、調温気体は金属製粒状体23の間隙を経て、金属製粒状体23の層の最上部まで到達し、矢印Vの方向に抜ける。調温気体は、矢印Vとは逆方向、すなわち、金属製粒状体23の層の最上部から底板15Tの方向へ通過せることもできる。この通過の際に、金属製粒状体23が冷却又は加熱され、その冷却又は加熱エネルギーは金属製粒状体23に蓄熱されると共に隣接する金属製粒状体23を経て被処理物21に伝熱される。金属製粒状体23は被処理物21の表面を若干押し込んで接触しているので、被処理物21が、金属製粒状体23からの伝熱作用によって冷却又は加熱される。
【0059】
こうして熱処理が終了した後に、処理物と金属製粒状体23との混合物を、分離用フルイの上にあける。分離用フルイは、金属製粒状体23を通過させるが処理物を通過させない開口部を有しているので、処理物が分離用フルイ上に残り、金属製粒状体23と分離することができる。こうして分離された金属製粒状体23は、冷却又は加熱エネルギーを蓄熱しているので、そのエネルギーを再利用することができる。なお、トレイの底板15Tを着脱自在とし、熱処理終了後に、底板15Tを取り除いて、処理物と金属製粒状体23との混合物を、分離用フルイの上に落下させることもできる。あるいは、トレイの底板15Tに開閉自在の落下用開口部を設けて、処理物と金属製粒状体23との混合物を、分離用フルイの上に落下させることもできる。
【0060】
なお、コショウ粒などのように、被処理物が金属製粒状体の粒径よりも小さい場合には、分離用フルイとして、コショウ粒などのような被処理物を通過させるが、金属製粒状体を通過させない開口部を有しているフルイを用いて分離することができる。以下は、特に断らない限り、被処理物が、金属製粒状体よりも大きい場合について説明するが、それらの説明は、コショウ粒やナッツ類のような小さい被処理物についても、当業者には自明の変形を適宜行うことによって適用可能である。
【0061】
なお、水分を含んだ被処理物に対して冷凍処理を行う場合は、被処理物を非透水性ラップなどで包み、被処理物と金属製粒状体とが凍結して結合したり、金属製粒状体が相互に凍結したりすることを防止して、冷凍処理後の処理物と金属製粒状体との分離を容易に実施可能にすることが好ましい。
【0062】
図12に示すように、単一の粒径の金属製粒状体のみを使用することも、あるいは、後述する図13及び図14に示すように、複数種(特に2種)の粒径の金属製粒状体を混合して用いることもできる。例えば、比較的大口径の金属製粒状体と比較的小口径の金属製粒状体との2種類の金属製粒状体を併用して、大口径金属製粒状体によって通風性及び蓄熱性を確保し、小口径金属製粒状体によって接触性を同時に確保することができる。
【0063】
図13(模式的断面図)は、大口径金属製粒状体23Lと、小口径金属製粒状体23Sとを混合して併用する態様、すなわち混在させる態様の模式図である。この態様では、ネット状底板15Tを備えたカゴ型トレイ15内に、被処理物21と共に、大口径金属製粒状体23Lと、小口径金属製粒状体23Sとを混合して充填する。具体的には、最初に、大口径金属製粒状体23Lと小口径金属製粒状体23Sとの混合物をネット状底板15Tの上に薄い層状に敷き、その上に被処理物21を相互に間隔を隔てて載せ、最後に被処理物21の間に前記混合物を充填する。更に、被処理物21の上にも、前記混合物を薄い層状で被せることもできる。こうして被処理物21の外側全体を前記粒状体混合物で包囲することができる。
【0064】
図13に示す態様でも、底板15Tの下方から、又は金属製粒状体23L,23Sの混合物の層の最上部の上方から調温気体を通過させて熱処理を効率的に実施することができる。熱処理の終了後に、処理物と金属製粒状体混合物とを、分離用フルイの上にあける。分離用フルイは、金属製粒状体混合物を通過させるが処理物を通過させない開口部を有しているので、処理物が分離用フルイ上に残り、金属製粒状体混合物と分離することができる。こうして分離された金属製粒状体混合物は、冷却又は加熱エネルギーを蓄熱しているので、再利用することができる。
【0065】
図13に示す態様では、小口径金属製粒状体23Sの中に、大口径金属製粒状体23Lが混在することによって、上下・下上流調温気体の通風性が確保されると共に、冷却又は加熱エネルギーを比較的大量に蓄熱することができる。一方、大口径金属製粒状体23Lのみで、小口径金属製粒状体23Sが存在しないと、大口径金属製粒状体23Lの相互間の接触や、大口径金属製粒状体23Lと被処理物21とが直接に接触する面積が少なくなるが、小口径金属製粒状体23Sを混在させることにより、各粒状体23L,23Sが相互に直接に接触する面積が飛躍的に拡大し、伝熱性が向上する。更に、小口径金属製粒状体23Sは、被処理物21の表面を押し込んで、被処理物21の表面に若干は食い込むことになるので、被処理物21への伝熱に利用される接触面積も拡大する。
【0066】
図14(模式的断面図)は、大口径金属製粒状体23Lと、小口径金属製粒状体23Sとを相互に分離した状態で併用する態様の模式図である。この態様では、ネット状底板15Tを備えたカゴ型トレイ15内に、被処理物21と共に、大口径金属製粒状体23Lと、小口径金属製粒状体23Sとを相互に分離して充填する。具体的には、最初にネット状底板15Tに分離筒状体24を置き、分離筒状体24の内部のネット状底板15Tに小口径金属製粒状体23Sを薄い層状に敷き、その上に被処理物21を載せる。最初にネット状底板15Tに大口径金属製粒状体23Lを薄い層状に敷いてから、分離筒状体24を置き、分離筒状体24の内部の大口径金属製粒状体23Lの層の上に、更に小口径金属製粒状体23Sを薄い層状に敷くこともできる。
【0067】
続いて、分離筒状体24の中に被処理物21を装入し、被処理物21と分離筒状体24の内壁の間に小口径金属製粒状体23Sを充填し、必要に応じて、被処理物21の上を小口径金属製粒状体23Sの薄い層で被うこともできる。こうして被処理物21の外側全体を小口径金属製粒状体23Sで包囲することができる。更に、分離筒状体24の外側には大口径金属製粒状体23Lを充填する。分離筒状体24が、良好な熱伝導性を有する材料から形成されている場合には、分離筒状体24を取り除かずに、加熱処理を実施することができる。あるいは、加熱処理を実施する前に、分離筒状体24を取り除き、大口径金属製粒状体23Lと小口径金属製粒状体23Sとの境界面で、両者を混合状態にしてから加熱処理を開始することもできる。後者の場合は、分離筒状体24を、熱伝導性材料から形成する必要はない。
【0068】
図14に示す態様で加熱処理(冷却処理又は加熱処理)を実施すると、分離筒状体24の外側の大口径金属製粒状体23Lが充填されている領域22Aでは、上下・下上流調温気体が円滑に流通し、大口径金属製粒状体23Lに冷却又は加熱エネルギーが効率的に蓄積される。こうして蓄積された冷却又は加熱エネルギーは、熱伝導性分離筒状体24を介して(又は熱伝導性分離筒状体24を介さずに直接に)小口径金属製粒状体23Sの充填領域22Bに伝えられ、この小口径金属製粒状体23Sの充填領域22Bにおいては、粒状体間で良好な熱伝導性が得られるので、被処理物21を迅速に冷却又は加熱することができる。分離筒状体24を取り除いてから熱処理を開始すると、大口径金属製粒状体23Lと小口径金属製粒状体23Sとの境界面の熱伝導効率が向上するので、一層効率的に熱処理を実施することができる。
【0069】
図14に示す態様においても、熱処理後の処理物と金属製粒状体との分離は、前記と同様の分離用フルイを用いて実施することができ、分離された金属製粒状体に蓄熱された熱エネルギーは再利用することができる。
【0070】
前記の上下・下上流方式においては、種々の内側バスケットを用いることができる。例えば、図15(模式的断面図)に示すように、分離用の内側バスケット25を利用して、熱処理後の処理物と金属製粒状体23との分離操作を簡略化することができる。分離用内側バスケット25は、熱伝導性材料からなり、底面25Tに複数の分離用貫通孔26を有しており、その分離用貫通孔26の開口部口径は、被処理物21を通過させずに保持するが、金属製粒状体23を通過させることのできる大きさを有している。したがって、熱処理の終了後に、分離用内側バスケット25の把持部27を矢印Uの方向へ上方に引き上げると、分離用貫通孔26から金属製粒状体23が落下し、分離用内側バスケット25の内部には、熱処理後の処理物のみが残留することになる。
【0071】
なお、図15に示す分離用内側バスケット25の側面に複数の通気用貫通孔を設けることもでき、これらの通気用貫通孔は、金属製粒状体23を通過させる大きさを有していても、あるいは金属製粒状体23を通過させない大きさを有していてもよい。前記の内側バスケットは、平板状底面を有する筒状体(角筒体又は円筒体)だけでなく、突出湾曲状底面を有する筒状体や、球体、半球体、あるいは楕球体などであることもできる。また、前記の内側バスケットは、金属製、例えば、銅、アルミニウム、又は鉄、あるいはそれらの合金製であることが好ましい。金属製の内側バスケットは、熱伝導性に影響を与えない範囲で薄層樹脂コートや表面保護塗布剤によって保護されていることもできる。
【0072】
具体的には、最初に、金属製粒状体23をネット状底板15Tの上に薄い層状に敷き、その上から分離用内側バスケット25を装入する。続いて、分離用内側バスケット25の底面25Tに金属製粒状体23を薄い層状に敷き、その上から被処理物21を載せる。更に、分離用内側バスケット25の内側と外側とに金属製粒状体23を充填し、必要により、被処理物21の上にも、金属製粒状体23を薄い層状で被せ、被処理物21の外側全体を被うことができる。上下・下上流方式による熱処理と、金属製粒状体23の再利用は、前記と同様に実施することができる。
【0073】
図15に示す態様においても、大口径金属製粒状体と小口径金属製粒状体とを混合あるいは分離状態で併用することができる。分離状態で併用する場合は、分離用内側バスケット25の内部に小口径金属製粒状体を充填し、分離用内側バスケット25の外側に大口径金属製粒状体を充填することができる。
【0074】
また、図16(模式的断面図)に示すように、隔離用の内側バスケット31を用いることもできる。この隔離用内側バスケット31は、熱伝導性材料からなり、その底板31Tに複数の隔離用通風孔32を有しており、その隔離用通風孔32の開口部口径は、被処理物(図示せず)を通過させずに保持すると共に、金属製粒状体23も通過させない大きさを有している。したがって、その隔離用内側バスケット31の内側収容部35に、金属製粒状体23を充填せずに、例えば、通気性を有する被処理物(例えば、麺類)をラップせずにそのまま収容して熱処理を実施した後、隔離用内側バスケット31の把持部33を矢印Uの方向へ上方に引き上げることによって、熱処理された処理物を取り出すことができる。なお、底板31Tと側板との接合部34に折り畳み可能なヒンジを設けた隔離用内側バスケット31を用いて、例えば、通気性を有さず、しかも壊れやすい被処理物(例えば、ケーキ類)をラップせずにそのまま収容して熱処理を実施した後、隔離用内側バスケット31の把持部33を矢印Uの上部方向に引き上げ、更に側板をヒンジ部で折り曲げて処理物(例えば、ケーキ類)を容易に取り出すことができる。
【0075】
図16に示す態様においても、大口径金属製粒状体と小口径金属製粒状体とを混合あるいは分離状態で併用することができる。分離状態で併用する場合は、隔離用内側バスケット31の外側に、隔離用内側バスケット31に隣接して小口径金属製粒状体の充填領域を形成し、その更に外側に、大口径金属製粒状体の充填領域を形成することができる。
【0076】
前記の内側バスケットは、その側面に複数の通気用貫通孔を設けることもでき、これらの通気用貫通孔は、内側バスケットの目的に応じて、金属製粒状体を通過させる大きさを有していても、あるいは金属製粒状体を通過させない大きさを有していてもよい。また、前記の内側バスケットは、平板状底面を有する筒状体(角筒体又は円筒体)だけでなく、突出湾曲状底面を有する筒状体や、球体、半球体、あるいは楕球体などであることもできる。また、前記の内側バスケットは、金属製、例えば、銅、アルミニウム、又は鉄、あるいはそれらの合金製であることが好ましい。金属製の内側バスケットは、熱伝導性に影響を与えない範囲で薄層樹脂コートや表面保護塗布剤によって保護されていることもできる。
【0077】
<金属製柱状小片>
本発明は、前記金属製粒状体(具体的には、金属製球状体)に替えて、あるいは前記金属製粒状体と併用して、金属製柱状小片を用いることもできる。
金属製柱状小片としては、特に高熱伝導度及び高熱容量を有する金属製柱状小片を用いる。ここで、柱状とは、円柱状、楕円柱状、又は角柱状(すなわち、三角柱状ないし多角柱状、例えば六角柱状)を意味する。
図17は、本発明で用いることのできる円柱状小片131の斜視図であり、図17(a)は、幅(w)に対して高さ(h)が短い扁平型円柱状小片131Aを示し、図17(b)は、幅(w)に対して高さ(h)が長い細長型円柱状小片131Bを示す。図18は、本発明で用いることのできる六角柱状小片132の斜視図であり、図18(a)は、幅(w)に対して高さ(h)が短い扁平型六角柱状小片132Aを示し、図18(b)は、幅(w)に対して高さ(h)が長い細長型六角柱状小片132Bを示す。図17及び図18に示すように、底面(又は上面)の最大長に相当する幅(w)と、軸方向の長さに相当する高さ(h)の比率は特に限定されず、種々の比率の柱状小片を用いることができる。
【0078】
本発明で用いることのできる金属製柱状小片は、その金属製柱状小片を貫通する通風貫通孔を有していることが好ましい。通風貫通孔を設けることにより、本発明による上下・下上流方式に好適に適用することができる。通風貫通孔を設ける位置及び方向は、特に限定されないが、製造が容易である点から、図19及び図20に示すように、金属製柱状小片の軸方向に平行に設けることが好ましい。図19は、有孔円柱状小片133の斜視図であり、図19(a)は、1つの通風貫通孔133aを中心軸に沿って設けた扁平型有孔円柱状小片133aを示し、図19(b)は、2つの通風貫通孔133b,133bを中心軸に平行に設けた細長型有孔円柱状小片133bを示す。前記の通風貫通孔133a,133bは、いずれも断面が円形の孔である。図19に示すように、複数個の通風貫通孔を設けることができ、その数は限定されない。複数個の通風貫通孔を設ける場合、それら貫通孔の断面形状は相互に同じでも、異なるものであってもよい。
【0079】
本発明において金属製柱状小片を用いる場合は、後述するように、多数の金属製柱状小片を被処理物の周囲に充填し、各金属製柱状小片は、相互にランダムな方向を向いた状態で前記水平設置型載置台(例えば、載置用トレイ)上に配置されるので、有孔円柱状小片の通風貫通孔が、別の有孔円柱状小片によって封鎖されることもある。そこで、同一形状の扁平型有孔金属製柱状小片を用いる場合には、通風貫通孔の内径(d)を高さ(h)よりも大きくすることが好ましい。図19(c)に示すとおり、有孔円柱状小片133Cの側面が、別の有孔円柱状小片133Dの通風貫通孔に嵌まり込むことになっても、有孔円柱状小片133Cの側面が、別の有孔円柱状小片133Dの通風貫通孔を完全に封鎖することがないので、通風性が確保されるからである。
【0080】
図20は、有孔六角柱状小片134の斜視図であり、図20(a)は、1つの通風貫通孔134aを中心軸に沿って設けた扁平型有孔六角柱状小片134Aを示し、図20(b)は、1つの通風貫通孔134bを中心軸に沿って設けた細長型有孔六角柱状小片134Bを示す。図20(a)に示す扁平型有孔六角柱状小片134Aの通風貫通孔134aの断面形状は六角形である。図20に示すように、通風貫通孔の断面形状は限定されない。
【0081】
本発明で用いることのできる金属製柱状小片は、側面、上面、又は底面の少なくとも1面に通風溝を有することができる。通風溝を設けることにより、上下・下上流方式に好適に適用することができる。通風溝を設ける位置及び方向は、多数の金属製柱状小片を載置台(例えば、トレイ)上に充填した際に、調温気体を円滑に通過させることができる限り特に限定されない。通風溝の形状は、金属製柱状小片の突出部分が嵌まり込む形状でないことが好ましい。また、製造が容易である点から、図21及び図22に示すように、金属製柱状小片の側面に軸方向に平行に直線状に設けるか、あるいは、側面に螺旋状に設けることもできる。
【0082】
図21は、溝付円柱状小片135の斜視図であり、図21(a)は、1つの通風溝135aを中心軸に平行に設けた扁平型溝付円柱状小片135Aを示し、図21(b)も、1つの通風溝135bを中心軸に平行に設けた細長型溝付円柱状小片135Bを示す。図21(a)に示す扁平型溝付円柱状小片135Aが有する通風溝135aの断面形状は三角形であり、図21(b)に示す細長型溝付円柱状小片135Bが有する通風溝135bの断面形状は台形様である。図21に示すように、通風溝の断面形状は限定されない。
【0083】
図22は、溝付六角柱状小片136の斜視図であり、図22(a)は、1つの通風溝136aを中心軸に平行に設けた扁平型溝付六角柱状小片136Aを示し、図22(b)は、2つの通風溝136b,136bを中心軸に平行に設けた細長型溝付六角柱状小片136Bを示す。図22に示すように、複数個の通風溝を設けることができ、その数は限定されない。複数個の通風溝を設ける場合、それら通風溝の断面形状は相互に同じでも、異なるものであってもよい。なお、本発明で用いることのできる金属製柱状小片は、1又は複数の通風貫通孔と1又は複数の通風溝とを同時に備えることもできる。
【0084】
本発明による上下・下上流方式を用いる場合に、前記図17〜図22に示すような各種態様の金属製柱状小片について、同一形状の金属製柱状小片をそれ単独で用いるか、あるいは2種以上の異なる形状の金属製柱状小片を適宜組合せて用いるかを適宜選択することができる。更に、本発明の上下・下上流方式において用いる場合に、前記の金属製粒状体(具体的には、金属製球状体)と前記金属製柱状小片とを組合せて用いることもできる。
【0085】
本発明で用いることのできる金属製柱状小片は、図23及び図24に示すように、簡単な方法で製造することができる。例えば、図23に示す溝付円柱状棒状体137を切断線137Xで軸方向に垂直方向に切断することにより、複数の溝付円柱状小片137a,137b,137c,137d,137e,137fを製造することができる。同様に、図24に示す有孔六角柱状棒状体138を切断線138Xで軸方向に垂直方向に切断することにより、複数の有孔六角柱状小片138a,138b,138c,138d,138e,138f,138g,138h,138i,138j,138k,138m,138nを製造することができる。なお、図23に示す溝付円柱状棒状体137及び図24に示す有孔六角柱状棒状体138は、それぞれ、必要により、表面処理(例えば、耐酸化処理)を一括して効率的に実施することができ、更に必要により、切断面のみの表面処理を引き続いて実施することができる。
【0086】
前記の金属製柱状小片は、高い熱伝導度と大きな熱容量を有する金属、例えば、銅、アルミニウム、又は鉄、あるいはそれらの合金からなることが好ましい。金属製柱状小片は、それ自体を洗浄あるいは殺菌処理する必要があるので、熱伝導度や熱容量に影響を与えない範囲で薄層樹脂コートや表面保護塗布剤によって保護することもでき、相互接触や洗浄・殺菌処理に対する耐磨耗性を付与することができる。
【0087】
金属製柱状小片は、載置台(例えば、トレイ)に充填された際に上下・下上流調温気体を円滑に通過させる通風性を有することが要求されると共に、調温気体から冷却又は加熱エネルギーを有効に捕捉して蓄熱する形状及び容量を有していることが好ましい。なお、寸法は厳密に調整する必要はなく、被処理物と金属製柱状小片との分離の際に、寸法の差異を利用することができる程度の精度で調整されていれば充分である。
【0088】
金属製柱状小片の具体的な寸法は、特に限定されず、通風貫通孔や通風溝を備えていない場合には、その間隙を調温気体が円滑に通過することができることが好ましい。例えば、柱状小片の幅(w)及び高さ(h)が0.5mm以上であれば使用上の問題はなく、柱状小片の幅(w)及び高さ(h)は、一般的には1mm以上である。上限も特に限定されず、柱状小片の幅(w)及び高さ(h)は、一般的には、20mm程度であり、主に、10mm〜20mmの金属製柱状小片が用いられる。大型の被処理物(例えば、大型魚や食肉)の場合には、20mmを超える幅(w)及び/又は高さ(h)を有する金属製柱状小片を用いることもできる。具体的な寸法は、通風性や、エネルギーの捕捉・蓄熱性及び被処理物との接触効率を考慮して適宜決定することができる。すなわち、通風性及び蓄熱性の観点では、寸法を比較的大きくして、円滑な通風と、エネルギーの捕捉・蓄熱を保証することが好ましい。一方、被処理物との接触効率の観点では、寸法を比較的小さくして、金属製柱状小片と被処理物との接触面積を増加させることが好ましい。
なお、被処理物が果物や加工食品のように比較的大きな場合は、金属製柱状小片の寸法は被処理物よりも小さくなるが、例えば、コショウ粒のような小型の被処理物の場合には、金属製柱状小片の寸法を被処理物よりも大きくするのが一般的である。
【0089】
前記の金属製柱状小片を使用する場合は、通風性を考慮して、特に高熱伝導度及び高熱容量を有する金属製柱状小片を、前記水平設置型載置台(例えば、載置用トレイ)上の前記被処理物の周囲に充填する。例えば、図25に示すように、底板15Tに多数の通風用貫通孔(載置台通風孔)12を備えたカゴ型トレイ15内に、被処理物21と共に、それらの周囲に金属製有孔円柱状小片123を充填する。具体的には、最初に、金属製有孔円柱状小片123を底板15Tに薄い層状に敷き、その上に被処理物21を相互に間隔を隔てて載せ、被処理物21の間に金属製有孔円柱状小片123を充填し、最後に、必要に応じて、被処理物21の上にも金属製有孔円柱状小片123を薄い層状に被せることができ、こうして被処理物21の外側全体を金属製有孔円柱状小片123で包囲することができる。なお、目的とする熱処理に悪影響を与えない限り、予備的に冷却又は加熱された金属製有孔円柱状小片123を用いると、熱処理を更に短時間で実施することができる。金属製有孔円柱状小片123の形状及び/又は寸法は、調温気体が、金属製有孔円柱状小片123の間隙を円滑に通過することができる形状及び/又は寸法であることが必要である。
【0090】
なお、図25に示す態様においては、有孔柱状小片を用いる代わりに、あるいは有孔柱状小片に加えて、溝付柱状小片を用いることにより、調温気体の通風性を最適にすることができる。また、通風孔や通風溝を有さない柱状小片(例えば、図17及び図18に示す態様の柱状小片)を単独で使用するか、あるいは組合せて用いることもできる。
すなわち、これらの金属製柱状小片(又はその組合せ)は、載置台(例えば、トレイ)に充填された際に、上下・下上流調温気体を円滑に通過させる通風性を有することが要求されると共に、調温気体から冷却又は加熱エネルギーを有効に捕捉して蓄熱することが好ましい。
【0091】
図25に示す態様では、金属製有孔円柱状小片123の充填後に、底板15Tの下方から調温気体を供給すると、調温気体は金属製有孔円柱状小片123の間隙や通風孔を経て、金属製有孔円柱状小片123の層の最上部まで通過する。調温気体は、金属製有孔円柱状小片123の層の最上部から底板15Tの方向へ通過せることもできる。この通過の際に、金属製有孔円柱状小片123が冷却又は加熱され、その冷却又は加熱エネルギーは金属製有孔円柱状小片123に蓄熱されると共に隣接する金属製有孔円柱状小片123を経て被処理物21に伝熱される。金属製有孔円柱状小片123は被処理物21の表面を若干押し込んで接触しているので、被処理物21が、金属製有孔円柱状小片123からの伝熱作用によって冷却又は加熱される。
【0092】
こうして熱処理が終了した後に、処理物と金属製有孔円柱状小片123との混合物を、分離用フルイの上にあける。分離用フルイは、金属製有孔円柱状小片123を通過させるが処理物を通過させない開口部を有しているので、処理物が分離用フルイ上に残り、金属製有孔円柱状小片123と分離することができる。こうして分離された金属製有孔円柱状小片123は、冷却又は加熱エネルギーを蓄熱しているので、再利用することができる。なお、トレイの底板15Tを着脱自在とし、熱処理終了後に、底板15Tを取り除いて、処理物と金属製有孔円柱状小片123との混合物を、分離用フルイの上に落下させることもできる。あるいは、トレイの底板15Tに開閉自在の落下用開口部を設けて、処理物と金属製有孔円柱状小片123との混合物を、分離用フルイの上に落下させることもできる。
【0093】
なお、コショウ粒などのように、被処理物が金属製柱状小片よりも小さい場合には、分離用フルイとして、コショウ粒などのような被処理物を通過させるが、金属製柱状小片を通過させない開口部を有しているフルイを用いて分離することができる。以下は、特に断らない限り、被処理物が、金属製柱状小片よりも大きい場合について説明するが、それらの説明は、コショウ粒やナッツ類のような小さい被処理物についても、当業者には自明の変形を適宜行うことによって適用可能である。
【0094】
なお、水分を含んだ被処理物に対して冷凍処理を行う場合は、被処理物を非透水性ラップなどで包み、被処理物と金属製柱状小片とが凍結して結合したり、金属製柱状小片が相互に凍結したりすることを防止して、冷凍処理後の処理物と金属製柱状小片との分離を容易に実施可能にすることが好ましい。
【0095】
図25に示すように、単一の形状及び寸法の金属製有孔円柱状小片のみを使用することも、あるいは、後述する図26及び図27に示すように、複数種(特に2種)の形状及び寸法の金属製有孔円柱状小片を混合して用いることもできる。例えば、比較的大型の金属製有孔円柱状小片と比較的小型の金属製有孔円柱状小片との2種類の金属製有孔円柱状小片を併用して、大型金属製有孔円柱状小片によって通風性及び蓄熱性を確保し、小型金属製有孔円柱状小片によって通風性及び接触性を同時に確保することができる。
【0096】
図26(模式的断面図)は、大型金属製有孔円柱状小片123Lと、小型金属製有孔円柱状小片123Sとを混合して併用する態様、すなわち混在させる態様の模式図である。この態様では、ネット状底板15Tを備えたカゴ型トレイ15内に、被処理物21と共に、大型金属製有孔円柱状小片123Lと、小型金属製有孔円柱状小片123Sとを混合して充填する。具体的には、最初に、大型金属製有孔円柱状小片123Lと小型金属製有孔円柱状小片123Sとの混合物をネット状底板15Tの上に薄い層状に敷き、その上に被処理物21を相互に間隔を隔てて載せ、最後に被処理物21の間に前記混合物を充填する。更に、被処理物21の上にも、前記混合物を薄い層状で被せることもできる。こうして被処理物21の外側全体を金属製柱状小片で包囲することができる。
【0097】
図26に示す態様でも、底板15Tの下方から、又は金属製有孔円柱状小片123L,23Sの混合物の層の最上部の上方から調温気体を通過させて熱処理を効率的に実施することができる。熱処理の終了後に、処理物と金属製有孔円柱状小片混合物とを、分離用フルイの上にあける。分離用フルイは、金属製有孔円柱状小片混合物を通過させるが処理物を通過させない開口部を有しているので、処理物が分離用フルイ上に残り、金属製有孔円柱状小片混合物と分離することができる。こうして分離された金属製有孔円柱状小片混合物は、冷却又は加熱エネルギーを蓄熱しているので、再利用することができる。
【0098】
図26に示す態様では、小型金属製有孔円柱状小片123Sの中に、大型金属製有孔円柱状小片123Lが混在することによって、上下・下上流調温気体の通風性が確保されると共に、冷却又は加熱エネルギーを比較的大量に蓄熱することができる。一方、大型金属製有孔円柱状小片123Lのみで、小型金属製有孔円柱状小片123Sが存在しないと、大型金属製有孔円柱状小片123Lの相互間の接触や、大型金属製有孔円柱状小片123Lと被処理物21とが直接に接触する面積が少なくなるが、小型金属製有孔円柱状小片123Sを混在させることにより、各粒状体23L,23Sが相互に直接に接触する面積が飛躍的に拡大し、伝熱性が向上する。更に、小型金属製有孔円柱状小片123Sは、被処理物21の表面を面状、線状、又は点状に押し込んで、被処理物21の表面に若干は食い込むことになるので、被処理物21への伝熱に利用される接触面積も拡大する。
【0099】
図27(模式的断面図)は、大型金属製有孔円柱状小片123Lと、小型金属製有孔円柱状小片123Sとを相互に分離した状態で併用する態様の模式図である。この態様では、ネット状底板15Tを備えたカゴ型トレイ15内に、被処理物21と共に、大型金属製有孔円柱状小片123Lと、小型金属製有孔円柱状小片123Sとを相互に分離して充填する。具体的には、最初にネット状底板15Tに分離筒状体24を置き、分離筒状体24の内部のネット状底板15Tに小型金属製有孔円柱状小片123Sを薄い層状に敷き、その上に被処理物21を載せる。最初にネット状底板15Tに大型金属製有孔円柱状小片123Lを薄い層状に敷いてから、分離筒状体24を置き、分離筒状体24の内部の大型金属製有孔円柱状小片123Lの層の上に、更に小型金属製有孔円柱状小片123Sを薄い層状に敷くこともできる。
【0100】
続いて、分離筒状体24の中に被処理物21を装入し、被処理物21と分離筒状体24の内壁の間に小型金属製有孔円柱状小片123Sを充填し、必要に応じて、被処理物21の上を小型金属製有孔円柱状小片123Sの薄い層で被うこともできる。更に、分離筒状体24の外側には大型金属製有孔円柱状小片123Lを充填する。分離筒状体24が、良好な熱伝導性を有する材料から形成されている場合には、分離筒状体24を取り除かずに、熱処理を実施することができる。あるいは、熱処理を実施する前に、分離筒状体24を取り除き、大型金属製有孔円柱状小片123Lと小型金属製有孔円柱状小片123Sとの境界面で、両者を混合状態にしてから熱処理を開始することもできる。後者の場合は、分離筒状体24を、熱伝導性材料から形成する必要はない。
【0101】
図27に示す態様で熱処理(冷却処理又は加熱処理)を実施すると、分離筒状体24の外側の大型金属製有孔円柱状小片123Lが充填されている領域22Aでは、上下・下上流調温気体が円滑に流通し、大型金属製有孔円柱状小片123Lに冷却又は加熱エネルギーが効率的に蓄積される。こうして蓄積された冷却又は加熱エネルギーは、熱伝導性分離筒状体24を介して(又は熱伝導性分離筒状体24を介さずに直接に)小型金属製有孔円柱状小片123Sの充填領域22Bに伝えられ、この小型金属製有孔円柱状小片123Sの充填領域22Bにおいては、粒状体間で良好な熱伝導性が得られるので、被処理物21を迅速に冷却又は加熱することができる。分離筒状体24を取り除いてから熱処理を開始すると、大型金属製有孔円柱状小片123Lと小型金属製有孔円柱状小片123Sとの境界面の熱伝導効率が向上するので、一層効率的に熱処理を実施することができる。
【0102】
図27に示す態様においても、熱処理後の処理物と金属製有孔円柱状小片との分離は、前記と同様の分離用フルイを用いて実施することができ、分離された金属製有孔円柱状小片に蓄熱された熱エネルギーは再利用することができる。
【0103】
金属製柱状小片も用いる場合も、図15及び図16に示した態様と同様に、種々の内側バスケットを用いることができる。例えば、図15に示した態様と同様の内側バスケットを用いる態様を図28(模式的断面図)に示す。この場合、分離用の内側バスケット25を利用して、熱処理後の処理物と金属製有孔円柱状小片123との分離操作を簡略化することができる。分離用内側バスケット25は、熱伝導性材料からなり、底面25Tに複数の分離用貫通孔26を有しており、その分離用貫通孔26の開口部口径は、被処理物21を通過させずに保持するが、金属製有孔円柱状小片123を通過させることのできる大きさを有している。したがって、熱処理の終了後に、分離用内側バスケット25の把持部27を矢印Uの方向へ上方に引き上げると、分離用貫通孔26から金属製有孔円柱状小片123が落下し、分離用内側バスケット25の内部には、熱処理後の処理物のみが残留することになる。
【0104】
なお、図28に示す分離用内側バスケット25の側面に複数の通気用貫通孔を設けることもでき、これらの通気用貫通孔は、金属製有孔円柱状小片123を通過させる大きさを有していても、あるいは金属製有孔円柱状小片123を通過させない大きさを有していてもよい。前記の内側バスケットは、平板状底面を有する筒状体(角筒体又は円筒体)だけでなく、突出湾曲状底面を有する筒状体や、球体、半球体、あるいは楕球体などであることもできる。また、前記の内側バスケットは、金属製、例えば、銅、アルミニウム、又は鉄、あるいはそれらの合金製であることが好ましい。金属製の内側バスケットは、熱伝導性に影響を与えない範囲で薄層樹脂コートや表面保護塗布剤によって保護されていることもできる。
【0105】
具体的には、最初に、金属製有孔円柱状小片123をネット状底板15Tの上に薄い層状に敷き、その上から分離用内側バスケット25を装入する。続いて、分離用内側バスケット25の底面25Tに金属製有孔円柱状小片123を薄い層状に敷き、その上から被処理物21を載せる。更に、分離用内側バスケット25の内側と外側とに金属製有孔円柱状小片123を充填し、必要により、被処理物21の上にも、金属製有孔円柱状小片123を薄い層状で被せることができる。上下・下上流方式による熱処理と、金属製有孔円柱状小片123の再利用は、前記と同様に実施することができる。
【0106】
図28に示す態様においても、大型金属製有孔円柱状小片と小型金属製有孔円柱状小片とを混合あるいは分離状態で併用することができる。分離状態で併用する場合は、分離用内側バスケット25の内部に小型金属製有孔円柱状小片を充填し、分離用内側バスケット25の外側に大型金属製有孔円柱状小片を充填することができる。
【0107】
図26〜図28に示す態様においても、有孔柱状小片を用いる代わりに、あるいは有孔柱状小片に加えて、溝付柱状小片を用いることにより、調温気体の通風性を最適にすることができる。また、通風孔や通風溝を有さない柱状小片(例えば、図17及び図18に示す態様の柱状小片)を単独で使用するか、あるいは組合せて用いることもできる。
すなわち、これらの金属製柱状小片(又はその組合せ)は、載置台(例えば、トレイ)に充填された際に、上下・下上流調温気体を円滑に通過させる通風性を有することが要求されると共に、調温気体から冷却又は加熱エネルギーを有効に捕捉して蓄熱することが好ましい。
【0108】
前記金属製柱状小片は、一般的に、前記金属製粒状体(具体的には、金属製球状体)よりも表面積が増加するので、調温気体との接触面積が増加し、調温気体による金属製柱状小片の冷却効率又は加熱効率が向上する。例えば、直径Dで高さDの円柱体の表面積と直径Dの球体の表面積を比較すると、円柱体の側面の表面積はπDとなり、球体の表面積πDと等しいので、上面の表面積〔π(D/2)〕及び底面の表面積〔π(D/2)〕の分だけ全体の表面積が広くなる。また、貫通する通風貫通孔を有する金属製柱状小片では、貫通孔の内側表面の表面積が増えるので、全体の表面積も広くなる。ちなみに、直径(D)と高さ(D)が0.6cmで内径0.45cmの有孔円柱体は、直径(D)0.6cmの球体に対して、表面積が約1.75倍に増加する。また、前記有孔円柱体の重量は前記球状体とほぼ等しいので、材料コストはほぼ等しいことになる。更に、前記有孔円柱体の体積(見かけ体積)は前記球状体の体積に対して約1.7倍になるので、単位体積あたりの充填個数が減少し、コスト減少効果を得ることができる。なお、通風貫通孔を有する有孔金属製柱状小片は、その貫通孔の内部表面で調温気体と接触して熱エネルギーを吸収し、被処理物へ熱エネルギーを伝達する経路が形成されることになるので、金属製球状体と比較すると、全体として熱伝導距離が短縮化されることになり、熱伝導の効率も向上する。また、金属製球状体と比較すると、通風貫通孔の存在によって通風性も向上する。側面、上面、又は底面の少なくとも1面に通風溝を有する金属製柱状小片を用いる場合は、その通風溝の存在によって表面積が増えるので全体の表面積も広くなる。また、金属製球状体と比較すると、通風溝の存在によって通風性も向上する。前記金属製柱状小片は、製造コストを低減化することもできる
【0109】
<金属製スペーサー>
本発明は、前記金属製粒状体(具体的には、金属製球状体)及び/又は前記金属製柱状小片と併用して、金属製スペーサーを用いることもできる。
金属製スペーサーは、調温気体から熱エネルギーを受け取った前記金属製粒状体(具体的には、金属製球状体)及び/又は前記金属製柱状小片と被処理物との間に介在し、調温気体から被処理物へ熱エネルギーを伝熱する機能を有する。特に形状も限定されず、通気性を有する必要もなく、小片体である必要もない。すなわち、金属製スペーサーは、相互に密着すると共に、前記被処理物と直接に接触するか、あるいは前記被処理物を包装している包装体の外側表面に直接に接触し、調温気体からの熱エネルギーを被処理物に熱伝達する作用を有するものである。具体的には、長尺金属棒(円棒や角棒)、金属製板状体(方形板やディスク)、任意の形状の金属塊や金属繊維綿状体、更には、前記金属繊維綿状体を金属箔で包んだ金属クッションを挙げることができる。
なお、金属製スペーサーを、前記金属製粒状体(具体的には、金属製球状体)及び/又は前記金属製柱状小片に替えて用いることもでき、この場合には、通気性を有する金属製スペーサーを使用する。通気性を有する金属製スペーサーとしては、例えば、通風貫通孔又は通風溝を有する長尺金属棒や、後述する図41に示すコルゲートスペーサーを挙げることができる。
【0110】
<保持載置台>
本発明は、挿入保持孔を有する保持載置台と、被処理物収納箱との組合せによって実施することもできる。
保持載置台を用いる態様の基本原理を図29〜図32に示す。
図29は、保持載置台171の平面図であり、図30はそのB−B線断面図である。図29及び図30に示す保持載置台171は、保持プレート174に多数の挿入保持孔172を有し、挿入保持孔172にはそれぞれ補強用環状突起175を設けることによって強度を補強することができる。補強用環状突起175は、保持載置台171の製造時に、挿入保持孔172の形成と一体的に形成することができる。前記保持載置台171は高い熱伝導性を有する金属製であるか、あるいは低熱伝導性材料製(例えば、プラスティック製)であることができる。
【0111】
図31(斜視図)及び図32(底面図)は、被処理物を収納することのできる被処理物収納箱173であり、前記保持載置台171に挿入して保持させることができる。収納箱173は、上面フランジ173A、側壁部173C、及び底面部173Dを有し、前記上面フランジ173Aの底面には、場合により、下方に突出する通風用突出片173Bを備えていることができる。また、底面部173Dには収納箱通風孔173Eを有していることができる。なお、被処理物がケース充填型被処理物の場合には、ケース充填型被処理物を収納箱173の内側側面に密着させて保持することができるので、底面部を設けて落下を防止する必要がない場合もある。
【0112】
被処理物21を収納して含む収納箱173を、保持載置台171の挿入保持孔172Aに装着した状態を図33(模式的断面図)に示す。調温気体は、収納箱173の底面部173Dに設けた収納箱通風孔173Eを通過して、収納箱173の内部を矢印Vの方向(上方から下方、又は下方から上方)に通過することができる。また、収納箱173が、上面フランジ173Aの底面に通風用突出片173Bを有している場合には、保持プレート174の上面と、収納箱173の上面フランジ173Aの底面との間に形成される間隙を、調温気体が矢印Vの方向(上方から下方、又は下方から上方)に通過することができる。なお、上面フランジ173Aの底面に通風用突出片173Bを有する収納箱を用いる場合には、保持プレート174が有する挿入保持孔172が、通風孔としても機能するので、底面に収納箱通風孔を有していない収納箱を用いることもできる。
【0113】
図34(模式的断面図)は、上面フランジ173Aの底面に通風用突出片173Bを有していない収納箱173を保持載置台171の挿入保持孔172Aに装着した状態を示す。この場合、調温気体は、挿入保持孔172Aを通過しないので、底面部173Dに収納箱通風孔173Eを有している収納箱173を用いる。調温気体は、収納箱173の底面部173Dに設けた収納箱通風孔173Eを通過して、収納箱173の内部を矢印Vの方向(上方から下方、又は下方から上方)に通過することができる。
【0114】
図29〜図34に示す態様(及び後述する図35〜図38に示す態様)においては、図6、図9又は図10に示すように、保持載置台171の挿入保持孔172に、着脱自在に挿入可能な調温気体案内筒を設け、調温気体案内筒の円筒状側壁と、収納箱173の側壁部173Cとの間隙に通風用通路を形成することもできる。前記の調温気体案内筒は、挿入保持孔に着脱自在に挿入する型であるか、あるいは保持載置台と一体成型によって形成する型であることもできる。
【0115】
図29及び図30において、挿入保持孔172を9つしか図示していないが、これも説明の便宜のためであり、実際の適用例では、多数の挿入保持孔が同じ保持プレート上に相互に間隔を隔てて設けられる。
前記の保持載置台と被処理物収納箱との組合せを用いる態様は、水平設置型載置台を用いる態様に適用することができると共に、特には、水平移動型載置台を用いる態様に好適に適用することができる
【0116】
<被処理物収納箱>
次に、被処理物収納箱を利用する種々の態様について説明する。
底面部に収納箱通風孔を有している収納箱を用いる場合は、収納箱の内部を調温気体が通過するので、収納箱の内部に被処理物のみを収納してもよいが、収納箱の内部の被処理物の周囲に前記金属製粒状体(具体的には、金属製球状体)及び/又は前記金属製柱状小片を充填して併用することができる。更に、金属製スペーサーも併用することができる。具体的な併用方法は、前記図12〜図28に沿って説明した方法と同様である。
【0117】
被処理物収納箱に、前記金属製粒状体、前記金属製柱状小片、又は前記金属製スペーサー以外の補助材を用いる態様の代表例を以下に説明する。
保持載置台171の挿入保持孔172に、収納箱173を装着した状態を図35(模式的断面図)及び図36(図35のC−C線断面図)に示す。収納箱173は、内部に被処理物21の収納部を有する金属製ケースであり、円筒状側面173Cと底面173Dは閉鎖されており、通気孔を有していない。この収納箱173を用いる場合には、収納部の内側底面の中央部に金属繊維綿状体141を敷いた後、その上から被処理物21を装入し、被処理物21の周囲を金属繊維綿状体141で包囲し、更に、その金属繊維綿状体141と、収納箱173の円筒状側面173Cの内壁との間に、円棒142を隙間なく詰め込む。続いて、円棒142の上面と、金属繊維綿状体141の上面と、被処理物21の上面の全体に、更に金属繊維綿状体141を敷き詰め、その上から、金属製補助プレートとしての金属製ディスク143を載せる。これらの金属製スペーサー間に、前記金属製粒状体及び/又は金属製柱状小片を併用することもできる。
【0118】
こうして被処理物21の全周囲を、金属繊維綿状体141と円棒142と金属製ディスク143とを相互に密着させて包囲した状態で、収納箱173を保持載置台171に装着し、収納箱173の上面フランジの底面に設けた通風用突出片173Bを利用して調温気体を矢印Vの方向(又はその逆方向)に流すと、調温気体の熱エネルギーは、金属製収納箱173の底面173D及び円筒状側面173Cから吸収され、円棒142及び金属繊維綿状体141を伝熱して被処理物21に高効率で伝えられる。
【0119】
なお、前記の円棒に替えて、金属製スペーサーとして角棒や円筒体を用いることもできる。また、金属繊維綿状体に替えて、金属繊維綿状体を金属箔で包囲した金属クッションを用いることもできる。金属箔で完全に包囲した金属クッションを用いると、金属繊維綿状体が露出せずに包装されるので、金属繊維綿状体から切断分離される金属針状片が被処理物に付着することを防止することができ、種々の形状又は寸法の金属クッションを適宜用いて、被処理物の周囲に充填することができる。
【0120】
図35及び図36に示す態様において、収納箱内部に充填する円棒142の全体あるいは少なくともその一部に替えて、円棒の中心軸に沿って通風貫通孔を有する円筒体又は円棒の外側側壁に中心軸に沿って延びる通風溝を有する円棒を充填して通風性を有する領域を形成すると共に、収納箱底面に収納箱通風孔を設けて、前記通風性領域に調温気体を送ることにより、熱処理を実施することもできる。この場合は、収納箱の上面フランジの底面に通風用突出片を有する収納箱を用いても、通風用突出片を有していない収納箱を用いてもよい。
【0121】
図37も、保持載置台171の挿入保持孔172に、収納箱173を装着した状態を模式的に示す断面図である。収納箱173は、内部に被処理物21の収納部を有する金属製ケースであり、円筒状側面174Cと底面174Dは閉鎖されており、通気孔を有していない。この収納箱173を用いる場合には、収納部の内側底面及び側面の全体に金属繊維綿状体141を敷いた後、その上から被処理物21を装入し、被処理物21の上にも金属繊維綿状体141を載せて全体を包囲し、更に、その金属繊維綿状体141の上に、金属製補助プレートとして複数の金属製板状体144を載せる。前記金属繊維綿状体141の中に、前記金属製粒状体及び/又は金属製柱状小片を併用することもできる。
【0122】
こうして被処理物21の全周囲を、金属繊維綿状体141で包囲した状態で、収納箱173を保持プレート174に装着し、通風用突出片174Bを利用して調温気体を矢印Vの方向(又はその逆方向)に流すと、調温気体の熱エネルギーは、金属製収納箱173の底面174D及び円筒状側面174Cから吸収され、金属繊維綿状体141を伝熱して被処理物21に高効率で伝えられる。金属繊維綿状体に替えて、金属繊維綿状体を金属箔で包囲した金属クッションを用いることもできる。
【0123】
被処理物を金属製スペーサーで包囲する場合は、被処理物に直接に金属製スペーサーを接触させるか、あるいは被処理物を金属ホイルで包んでから接触させることができる。
【0124】
図38は、収納箱173の収納部に、金属製スペーサーとしての長尺金属棒141と被処理物21との間に、金属製隔膜176を設ける態様を示す模式的断面図である。すなわち、保持載置台171の挿入保持孔172に装着した金属製収納箱173は、金属製円筒状隔膜176の内部に被処理物21を収納しており、被処理物21は、直接は金属ホイルを介して金属製円筒状隔膜176の内壁と接触している。また、金属製円筒状隔膜176の周囲には、金属製スペーサーとしての長尺金属棒141が相互に密着した状態で充填されており、金属製収納箱173の円筒状側面173Cの内壁面と密着している。
【0125】
この状態で、通風用突出片173Bを利用して調温気体を矢印Vの方向(又はその逆方向)に流すと、調温気体の熱エネルギーは、金属製収納箱173の底面173D及び円筒状側面173Cから吸収され、長尺金属棒141及び金属製円筒状隔膜176を伝熱して被処理物21に高効率で伝えられる。
【0126】
図38に示す態様において、収納箱内部に充填する長尺金属棒141に替えて、長尺金属棒の長さ方向の軸に沿って通風貫通孔を有する金属棒又は長尺金属棒の外側側壁に、長さ方向の軸に沿って延びる通風溝を有する金属棒を充填して通風性を有する領域を形成すると共に、収納箱底面に収納箱通風孔を設けて、前記通風性領域に調温気体を送ることにより、熱処理を実施することもできる。この場合は、収納箱の上面フランジの底面に通風用突出片を有する収納箱を用いても、通風用突出片を有していない収納箱を用いてもよい。
【0127】
前記被処理物収納箱は、その外側側面に、調温気体との接触面積を増加させる突起物を備えていることができる。図31及び図32に示す態様の被処理物収納箱173の外側側面に、調温気体接触増加用突起物として帯状突起178を、収納箱173の中心軸に平行に設けた例を図39(底面図)に示す。図39に示す態様では、帯状突起178と、通風用突出片173Bとを連結させているが、連結させる必要はない。調温気体接触増加用突起物は、調温気体との接触面積を増加させることのできる形状であれば限定されず、例えば、収納箱の外側側面にドット状に設けることもできる。
【0128】
本発明においては、被処理物収納箱それ自体が、調温気体案内部を備えていることもできる。図40(模式的断面図)は、調温気体案内部を備え、特にケース充填型被処理物21Aの処理に適した調温気体案内型収納箱181の模式的断面図である。調温気体案内型収納箱181は、外側壁部182と内側壁部183とから基本的になる。外側壁部182は、上部フランジ182A、側壁部182B及び底部開口部182Cを含み、内側壁部183も、上部フランジ183A、側壁部183B及び底部開口部183Cを含む。外側壁部182と内側壁部183とは、例えば、フランジ部連結部184と側壁部連結部185によって相互に連結している。調温気体案内型収納箱181は、内側壁部183の内部にケース充填型被処理物21Aの収納室を有し、外側壁部182と内側壁部183との間に、調温気体案内部を備えている。この調温気体案内部のみに調温気体を通過させるため、例えば、外側壁部182の上部フランジ182Aと保持プレート174の上面との間に間隙を設けないことが好ましい。なお、フランジ部連結部184及び側壁部連結部185は、調温気体の通風性を阻害しない状態で設ける。内側壁部183の外側壁面に、調温気体接触増加用突起物(図39参照)を設けることもできる。図40に示す態様においても、ケース充填型被処理物21Aの上から、場合により、金属製補助プレート(図示せず)を被せてケース充填型被処理物の上部と直接に接触させることにより、熱処理を更に効率的に実施することができる。
【0129】
<コルゲートスペーサーなど>
通風性を有する金属スペーサーとして、図41に示すコルゲートスペーサー177を用いることができる。コルゲートスペーサー177は、金属プレートが波形に折り曲げられているため、軽量で、使用時の変形性に関してフレキシビリティーを有するにもかかわらず強度が高く、被処理物との接触効率も高い。また、通気性にも優れている。従って、本発明では、通風載置台において被処理物の周囲に1回ないし複数回巻きつけて、あるいは、保持載置台の被処理物収納箱(底面に収納箱通風孔を有している被処理物収納箱)において、被処理物の周囲に1回ないし複数回巻きつけて、スペーサーとして用いるができる。
また、被処理物収納箱の側壁部の外側表面に、着脱自在に1回ないし複数回巻きつけて、調温気体との接触増加用突起物の替りに用いることもできる。更に、被処理物収納箱の側壁部それ自体を、コルゲート型側壁部とすることにより、被処理物収納箱の側壁部に伸縮性を付与することもできる。
【0130】
<傾斜板方式>
本発明による上下・下上流方式は、上方・下方傾斜板方式と組合せて実施することができる。上方・下方傾斜板方式は、水平設置型載置台を用いる場合に適用するのが好ましい。すなわち、上下・下上流方式では、前記被処理物を処理する熱処理室において、前記水平設置型載置台(例えば、載置用トレイ)の上方に、前記水平設置型載置台の被処理物載置面に対して傾斜する方向に気体流を案内する上方傾斜遮蔽板を設けると共に、前記水平設置型載置台(例えば、載置用トレイ)の下方に、前記載置用トレイの被処理物載置面に対して傾斜する方向に気体流を案内する下方傾斜遮蔽板を設けることができる。この場合、これらの上方傾斜遮蔽板の気体流案内方向と下方傾斜遮蔽板の気体流案内方向とを相互に平行にする。
【0131】
図42(模式的断面図)に、熱処理室41において、載置用トレイ42の上方、すなわち、天井43の方向に、上方傾斜遮蔽板44を設け、載置用トレイ42の下方、すなわち、床45の方向に、下方傾斜遮蔽板46を設けた態様を模式的に示す。下上流調温気体は取入口47から処理室41の室内に挿入される。その際、上方傾斜遮蔽板44と載置用トレイ42の上方の空間に挿入される。上方傾斜遮蔽板44は、非通風性の案内表面44Aを有するので、調温気体は載置用トレイ42の上方から下方に抜ける。一方、下方傾斜遮蔽板46も非通風性の案内表面46Aを有するので、調温気体は排出口48から排出される。
【0132】
上方傾斜遮蔽板44と下方傾斜遮蔽板46とは、それらの案内表面44Aと案内表面46Aとが相互に平行に傾斜して設けられているので、上方傾斜遮蔽板44と下方傾斜遮蔽板46と両壁面(相互に平行)とで包囲される空間は、取入口47から排出口48までの任意の地点で、同じ断面積を有している。例えば、図42の地点Aでの断面積と、地点Bでの断面積は同じになる。また、取入口47で、上方傾斜遮蔽板44と載置用トレイ42の上面との間の空間が最大になり、排出口48の方向に進むに従って徐々に減少し、排出口48では、上方傾斜遮蔽板44と載置用トレイ42の上面との間の空間が最小になる。逆に、下方傾斜遮蔽板46と載置用トレイ42の下面との間の空間は、取入口47では最小であるが、排出口48の方向に進むに従って徐々に増加し、排出口48で最大になる。更に、上方傾斜遮蔽板44の全面と載置用トレイ42の上面全体と両壁面との間で形成される空間の体積と、下方傾斜遮蔽板46の全面と載置用トレイ42の下面全体と両壁面との間で形成される空間の体積は、同じ体積である。このように、取入口47で、上方傾斜遮蔽板44と載置用トレイ42の上面との間の空間を最大にし、排出口48の方向に進むに従って徐々に減少させることによって、載置用トレイ42を上方から下方に向けて通過する調温気体の通気抵抗が載置用トレイ42の全体にわたって均一化されるので、上下流調温気体の通過量を、載置用トレイ42の全体にわたって、取入口47から排出口48の方向に均一化させることができる。
【0133】
図42に示す態様では、矢印Sで示すように、上下流調温気体が載置用トレイ42の上方から下方に向けて通過し、しかも下方傾斜遮蔽板46の案内表面46Aが、取入口47から排出口48の方向へ傾斜しているので、焼きたてのパンや炊飯直後のご飯、あるいは茹でたての麺類のように、水蒸気を多量に発生する高温食品類を熱処理室に搬入してトレイ上で冷却処理する場合は、被処理物から発生する水蒸気が下方傾斜遮蔽板46の方向へ誘導される。被処理物の周囲に金属製粒状体、金属製筒状小片、あるいは金属製スペーサーが存在する場合には、それらの表面で凝集した後、下方傾斜遮蔽板46の案内表面46Aの上に落下し、案内表面46Aに沿って下方に流れるので、排水手段から矢印Dの方向へ排水することができる。すなわち、上方傾斜遮蔽板44の案内表面44Aの上には水滴が凝集しないので、落下水滴による被処理物の汚染を防止することができる。
【0134】
なお、図42では、上下流調温気体が載置用トレイ42を通過する態様を示したが、逆に、排出口48側から調温気体を挿入し、取入口47側から排出して、下上流調温気体が載置用トレイ42を下方から上方に向けて調温気体を通過する場合でも、載置用トレイ42の下面との空間は、調温気体の流入口付近で最大になり、排出口付近で最小になるため、流入口付近から排出口付近の方向で、載置用トレイ42の全体にわたって調温気体の通気抵抗が均一化され、その結果、通過量を均一化させることができる。
【0135】
本発明による上下・下上流/上方・下方傾斜板方式では、図42に示す傾斜遮蔽板を有する熱処理室を多段に積み重ね、1つの傾斜遮蔽板を、上方傾斜遮蔽板及び下方傾斜遮蔽板として兼用することができる。このような多段型熱処理装置の1態様を図43に模式的に示す。
【0136】
図43に示す熱処理装置50の熱処理室50Aには、4段の載置用トレイ、すなわち、第1トレイ51、第2トレイ52、第3トレイ53、及び第4トレイ54が上から下に順に配置されている。各載置用トレイ51,52,53,54のそれぞれの上方には、それぞれ4段の上方傾斜遮蔽板、すなわち、第1上方傾斜遮蔽板51A、第2上方傾斜遮蔽板52A、第3上方傾斜遮蔽板53A、及び第4上方傾斜遮蔽板54Aが設けられている。また、4段の各載置用トレイ51,52,53,54の下方には、それぞれ4段の下方傾斜遮蔽板、すなわち、第1下方傾斜遮蔽板51B、第2下方傾斜遮蔽板52B、第3下方傾斜遮蔽板53B、及び第4下方傾斜遮蔽板54Bが設けられている。
【0137】
ここで、第1載置用トレイ51用の第1下方傾斜遮蔽板51Bは、同時に、第2載置用トレイ52用の第2上方傾斜遮蔽板52Aを兼ねている。同様に、第2載置用トレイ52用の第2下方傾斜遮蔽板52Bは、同時に、第3載置用トレイ53用の第3上方傾斜遮蔽板53Aを兼ね、第3載置用トレイ53用の下方傾斜遮蔽板53B、同時に、第4載置用トレイ54用の第4上方傾斜遮蔽板54Aを兼ねている。
【0138】
この熱処理装置50では、熱交換器55を備える気体調温室50Bで生成された調温気体が、熱交換器用ファン55Aによって調温気体供給ダクト56に供給され、送気用ファン56A,56Bによって熱処理室50Aに挿入される。ここで、送気用ファン56Aは、載置用トレイ51,52と、それらの下方傾斜遮蔽板51B,52Bとの間に下上流調温気体を挿入し、送気用ファン56Bは、載置用トレイ53,54と、それらの下方傾斜遮蔽板53B,54Bとの間に下上流調温気体を挿入する。各載置用トレイ51,52,53,54を下方から上方に通過した下上流気体は、熱処理室50Aから排出され、排出ダクト57を経由して、吸気用ファン58によって気体調温室50Bに送り込まれる。
なお、図43では、下上流調温気体を通過させる態様を示したが、逆に、上下流調温気体を通過させることもできる。
【0139】
<連続法システム>
(1)水平設置型載置台の連続法システム
本発明においては、水平設置型載置台を用いる態様を、バッチ法又は連続法によって実施することもできる。上下・下上流方式と傾斜板方式との組合せ態様によるバッチ法は、例えば、図43に示す装置を用いて実施することができる。傾斜板方式を用いない上下・下上流方式も、図43に示す装置を変形して実施することができる。
【0140】
図44(模式的平面図)に、水平設置型載置台を用いて連続法で実施する場合に適した熱処理システム60の一態様を模式的に示す。
熱処理システム60は、装入ゾーン61A、熱処理ゾーン61C、及び取出ゾーン61Eを含み、装入ゾーン61Aと熱処理ゾーン61Cとの間に予備ゾーン61Bを設けることができ、熱処理ゾーン61Cと取出ゾーン61Eとの間に緩衝ゾーン61Dを設けることができる。
【0141】
熱処理システム60では、図45(斜視図)に示す熱処理コンテナ90を用いる。熱処理コンテナ90は、周囲を断熱壁91に囲まれた内部に熱処理室92を備えている。周囲の断熱壁91は、図45、図46(正面断面図)及び図47(側面断面図)に示すように、天井壁91T、底面壁91B、前方壁91F、後方壁91P、右側面壁91R、及び左側面壁91Lであり、いずれも、断熱性材料からなる。なお、図46(正面断面図)及び図47(側面断面図)では、説明の便宜のため、いずれも内部構造を省略している。右側面壁91Rには、調温気体を取入れる取入窓93(93a,93b,93c)を備え、左側面壁91Lには、熱処理後の気体を排出する排出窓94(94a,94b,94c)を備えているが、これらの取入窓93及び排出窓94以外の部分は、外部と熱的に完全に遮断されている。また、底面壁91Bには、移動用車輪95を備えており、案内軌道95Aに沿って移動させることができる。熱処理コンテナ90は、更に、前方壁91Fの四周に、屈折可能な帯状の断熱シール部96を備え、後方壁91の四周に、同様の屈折可能な帯状断熱シール部97を備える。
なお、底面壁91Bに移動用車輪95を設ける代わりに、天井壁91Tの外側に懸架型移動用車輪を設けて熱処理トンネル62などの天井壁から熱処理コンテナ90を懸架状態で移動させることもできる。あるいは、右側面壁91R及び/又は左側面壁91Lの外部表面にスライド型移動用車輪を設け、熱処理トンネル62などの内側側面に設けた案内レールに沿って移動させることもできる。
【0142】
熱処理コンテナ90の内部に設ける熱処理室92は、例えば、傾斜板方式を利用する形態、あるいは金属製粒状体、金属製筒状小片、更に金属製スペーサーを利用する形態、あるいはそれらの任意の組合せの形態のいずれでもよい。
【0143】
熱処理システム60では、最初に、熱処理コンテナ90を、案内軌道95Aに沿って装入ゾーン61A内の位置90aまで移動させ、その装入位置90aにて熱処理室92内部に被処理物(及び場合により金属製粒状体、金属製筒状小片、あるいは金属製スペーサー)を装入する。装入ゾーン61Aは、恒温室内に設けずに、室温環境下で装入作業を実施することができるが、冷却又は加熱された金属製粒状体、金属製筒状小片、あるいは金属製スペーサーを利用する場合には、冷却又は加熱エネルギーの損失防止のために恒温室内に設けることもできる。
【0144】
熱処理コンテナ90aは、続いて、熱処理トンネル62内に案内され、最初に、予備ゾーン61Bに運ばれる。熱処理トンネル62の入口64には、断熱的にシール可能な装入口64Aが設けられており、装入口64Aを閉鎖することにより、熱処理トンネル62内の温度環境を外部と遮断している。同様に、熱処理トンネル62の出口65には、断熱的にシール可能な排出口65Aが設けられており、排出口65Aを閉鎖することにより、熱処理トンネル62内の温度環境を外部と遮断している。
【0145】
予備ゾーン61Bに運ばれた熱処理コンテナ90は、位置90bにおいて、熱処理コンテナ90の前方壁91Fの四周に設けられた帯状断熱シール部96が、熱処理トンネル62の内壁に設けられたシール用固定突起66Aと接触することにより、熱処理ゾーン61Cと断熱的にシールされる。なお、熱処理コンテナ90を矢印Fの方向に移動させて熱処理ゾーン61Cへ搬入する際には、帯状断熱シール部96が進行方向とは反対方向の矢印G(図47参照)の方向に折れ曲がるので、位置90bから位置90c1へ移動させることができる。なお、帯状断熱シール部96は、シール用固定突起66Aとの接触から外れると、図47に示すように、元の位置に復帰する。
【0146】
熱処理コンテナ90が位置90bから位置90c1へ移動する際には、装入口ドア64Aを閉鎖した状態にすると共に、後述する気体調温室67Bからの調温気体の供給をストップし、気体調温室67C1から調温気体を供給することにより、調温気体を熱処理ゾーン61Cから予備ゾーン61Bの方向に流すことにより、予備ゾーン61Bの気体が熱処理ゾーン61Cの内部に流れ込まないようにすることができる。
【0147】
熱処理トンネル62を用いて冷凍処理を行う場合には、予備ゾーン61Bにおいて、予備冷却処理、すなわち「非冷凍冷却」が行われる。例えば、調理後の高温食品を、室温から5℃程度の低温まで冷却し、熱処理ゾーン61Cでの冷凍処理に備えることができる。また、焼きたてのパンや炊飯直後のご飯、あるいは茹でたての麺類や茶碗蒸しのように、冷却処理において水蒸気を多量に発生する高温食品類を、予備ゾーン61Bにおいて、室温から5℃程度の低温まで冷却し、水分を取り除いておくこともできる。
【0148】
予備ゾーン61Bでは、気体調温室67Bにて所定温度に加熱又は冷却された調温気体が矢印Jの方向へ送風され、熱処理コンテナ90の右側面壁91Rに設けた取入窓93(93a,93b,93c)から熱処理室92の内部に供給される。調温気体は、図48(模式的断面図)に示すように、熱処理室92で被処理物(図示せず)及び場合により金属製粒状体、金属製筒状小片、あるいは金属製スペーサー(図示せず)を加熱又は冷却し、熱処理コンテナ90の左側面壁91Lに設けた排出窓94(94a,94b,94c)から矢印Kの方向へ排出され、続いて、熱処理トンネル62の内壁と熱処理コンテナ90の外側表面との間を矢印Lの方向へ送風され、気体調温室67Bに戻り、熱交換器68によって、再び所定温度に加熱又は冷却され、送気用ファン69a,69b,69cによって、再び熱処理室92の内部に供給される。
【0149】
予備ゾーン61Bでの処理が終了すると、熱処理コンテナ90は、熱処理ゾーン61Cに搬送される。図44に示す態様においては、熱処理ゾーン61Cが、熱処理コンテナ90の3つの処理位置90c1,90c2,90c3を有しており、熱処理コンテナ90は、それらの処理位置90c1,90c2,90c3にそれぞれ所定時間とどまって熱処理を受けながら順次移動し、最後の処理位置90c3にて熱処理が終了する。
【0150】
各処理位置90c1,90c2,90c3においては、図48(模式的断面図)に示すように、気体調温室67C1,67C2,67C3にて所定温度に加熱又は冷却された調温気体が矢印Jの方向へ送風され、熱処理コンテナ90の熱処理室92の内部に供給される。熱処理ゾーン61Cにおける調温気体の所定温度は、熱処理の最終目的温度によって決定され、気体調温室67C1,67C2,67C3において共通の所定温度を設定する。熱処理トンネル62を用いて冷凍処理を行う場合には、通常、−10℃〜+10℃の冷却気体を、気体調温室67C1,67C2,67C3にて調整することができる。また、熱処理トンネル62を用いて冷凍処理を行う場合には、通常、−20℃〜−65℃の冷却気体を、気体調温室67C1,67C2,67C3にて調整することができる。
【0151】
熱処理ゾーン61Cの最終処理位置90c3に運ばれた熱処理コンテナ90は、熱処理コンテナ90の前方壁91Fの四周に設けられた帯状断熱シール部96が、熱処理トンネル62の内壁に設けられたシール用固定突起66Bと接触することにより、次の緩衝ゾーン61Dと断熱的にシールされる。熱処理コンテナ90を矢印Fの方向に移動させて緩衝ゾーン61Dへ搬入する際には、帯状断熱シール部96が進行方向とは反対方向の矢印G(図47参照)の方向に折れ曲がるので、位置90c3から位置90dへ移動させることができ、帯状断熱シール部96は、シール用固定突起66Aとの接触から外れると、図47に示すように、元の位置に復帰する。
【0152】
緩衝ゾーン61Dを、熱処理トンネル62の出口65の直前に設けることにより、熱処理ゾーン61Cの環境が外部と直接に積極することを防止することができる。この緩衝ゾーン61Dにおいても、気体調温室67Dにて所定温度に加熱又は冷却された調温気体が矢印Jの方向へ送風され、熱処理コンテナ90の熱処理室92の内部に供給され、最終処理位置90c3における条件が維持される。熱処理コンテナ90が位置90c3から位置90dへ移動する際には、排出口ドア65Aを閉鎖した状態にする。
【0153】
続いて、熱処理トンネル62の排出口65Aを開口し、熱処理コンテナ90を取出ゾーン61Eへ移送し、熱処理コンテナ90の排出後に排出口65Aを再び閉鎖する。取出ゾーン61Eでは、熱処理コンテナ90の取出位置90eにおいて、熱処理された処理物を金属製粒状体、金属製筒状小片、あるいは金属製スペーサー(使用した場合)と分離して取り出す。金属製粒状体、金属製筒状小片、あるいは金属製スペーサーは、熱処理コンテナ90に留めたままの状態で、あるいは、熱処理コンテナ90から取り出して、冷却又は加熱エネルギーを維持した状態で再利用することができる。あるいは、必要により洗浄・殺菌して再利用することができる。取出ゾーン61Eでは、熱処理された処理物を取り扱うので、恒温室62Eの内部に設けるのが好ましい。
【0154】
図44に示す熱処理システム60では、複数の熱処理コンテナ90が、それぞれ、装入ゾーン61A内の位置90a、予備ゾーン61B内の位置90b、熱処理ゾーン61C内の処理位置90c1,90c2,90c3、緩衝ゾーン61D内の位置90d、及び取出ゾーン61E内の取出位置90eに配置されている状態で、次々に新たな熱処理コンテナ90を装入ゾーン61A内の位置90aへ搬入することができる。新たな熱処理コンテナ90が装入ゾーン61A内の位置90aへ搬入されると、装入ゾーン61A内の位置90aに待機していた熱処理コンテナ90が予備ゾーン61B内の位置90bへ送り出され、以下順に、位置90b(予備ゾーン61B内)の熱処理コンテナ90が処理位置90c1へ、処理位置90c1の熱処理コンテナ90が処理位置90c2へ、処理位置90c2の熱処理コンテナ90が処理位置90c3へ送り出され、処理位置90c3の熱処理コンテナ90は、緩衝ゾーン61D内の位置90dへ送られ、位置90dの熱処理コンテナ90は、取出ゾーン61E内の取出位置90eに送り出される。こうして、熱処理コンテナ90を次々に熱処理トンネル62へ装入し、熱処理ゾーン61C内の処理条件を維持した状態で、熱処理を連続的に実施することができる。
【0155】
(2)水平移動型載置台の連続法システム
本発明においては、水平移動型載置台(例えば、ベルトコンベア型載置台)を用いる態様を連続法によって実施することもできる。
この連続法システムでは、熱処理を行う熱処理トンネルに水平移動型載置台を通過させる。前記熱処理トンネルは、気体調温室にて所定温度に加熱又は冷却された調温気体を供給する手段を備える。水平移動型載置台は、通風載置台であるか、あるいは、保持載置台であることができる。
【0156】
図49は、水平移動型載置台のベルトコンベア型連続法システム110の原理を示す説明図である。ベルトコンベア型連続法システム110では、断熱ハウジング111内に、水平移動型載置台としてのベルトコンベア112を有する。ベルトコンベア112は、矢印Wの方向に回転し、多数の挿入保持孔を備えている。断熱ハウジング111内には、装入ゾーン110A、熱処理ゾーン110B、及び回収ゾーン110Cがあり、それぞれのゾーンに調温気体を供給する手段(図示せず)及び調温気体を回収する手段(図示せず)を備えている。また、熱処理ゾーン110Bは、必要により、例えば、予備ゾーン110B1、中心ゾーン110B2、及び緩衝ゾーン110B3に分室することもできる。また、装入ゾーン110Aと熱処理ゾーン110Bとの間には、断熱カーテン113Aを設け、断熱カーテン113Aの先端から断熱用エアカーテンが噴射されている。同様に、熱処理ゾーン110Bと回収ゾーン110Cとの間にも、断熱カーテン113Cを設け、断熱カーテン113Cの先端から断熱用エアカーテンが噴射されている。更に、熱処理ゾーン110Bを分室化する場合には、それらの境界に、断熱カーテン113B1,113B2を設け、断熱カーテン113B1,113B2の先端から断熱用エアカーテンが噴射されている。
【0157】
装入ゾーン110Aでは、ベルトコンベア112の挿入保持孔に、供給手段114から被処理物収納箱115を供給して保持させる。被処理物収納箱115を保持したベルトコンベア112は、矢印Wの方向に進み、熱処理ゾーン110Bに移動し、被処理物収納箱115内の被処理物の熱処理が行われる。続いて、ベルトコンベア112が矢印Wの方向に進むと、収納箱が回収ゾーン110Cに進み、処理済の収納箱115を矢印Yの方向に落下させ、回収手段116に回収することができる。
【0158】
図50は、上行ベルトコンベア112Aの下方に取り付けたシール機構111Aの模式的断面図である。被処理物収納箱115を保持して進行する上行ベルトコンベア112Aと、挿入保持孔に被処理物収納箱115が挿入されていない下行ベルトコンベア112Bとの間の空所に、シール機構111Aを設け、調温気体の供給又は排気を断熱的に実施することができる。図50に示す態様では、上行ベルトコンベア112Aの下方の両端部と、進行方向に連続的に接触するL字型シール部材117を設ける。L字型シール部材117は、その一方の壁面が、気密フード118の側面と連結し、もう一方の壁面117Aは、先端部が矢印Tに示す上部方向に付勢されており、上行ベルトコンベア112Aの下方の両縁部と気密的な接触を可能にしている。矢印Tに示す上方に付勢されているので、上行ベルトコンベア112Aの上下動に追随して気密状態を維持することができる。こうして形成された気密フード内の空間119に調温気体の供給手段又は排出手段118Aを設けることができる。
【0159】
<その他>
本発明は、任意の被処理物に適用することができる。冷却処理の対象としては、例えば、各種の食品(例えば、加工食品、又は生鮮食品)、植物(特に、観賞用植物の全体又はその一部分)、飼料、又は人若しくは動物の死体を挙げることができる。
また、加熱処理の対象としては、比較的低温の加熱殺菌を必要とする任意の対象を挙げることができ、例えば、各種の食品(例えば、加工食品)、コショウ粒や銀杏などの食用実(種)又はナッツ類に好適に適用することができる。
【0160】
本発明において金属製粒状体、金属製筒状小片、あるいは金属製スペーサーを用いる場合は、被処理物に直接、又は前記被処理物を包装している包装体(被処理物包装体)の外側表面に直接、金属製粒状体、金属製筒状小片、あるいは金属製スペーサーを接触させる。ここで、前記被処理物を包装している包装体、すなわち、被処理物包装体としては、具体的には、容器や包装袋を挙げることができる。例えば、茶碗蒸しや佃煮のように、容器に入れた状態で保管され、流通される食品は、容器に入れた状態で本発明による処理を実施するのが好ましい。この場合、食品容器が前記「被処理物包装体」に相当する。また、フィルムで包装される液状調味料(例えば、だし汁)の場合は、フィルムで包装された状態で本発明による処理を実施し、包装フィルムが前記「被処理物包装体」に相当する。
更に、例えば、魚類のように、被処理物をそのまま金属製粒状体、金属製筒状小片、あるいは金属製スペーサーと接触させると、エラから金属製粒状体、金属製筒状小片、あるいは金属製スペーサーが混入する可能性があるので、薄フィルム(プラスチック、紙、布、金属箔など)で包装してから接触させるのが好ましい。このような一時的包装体も、本発明の包装体に含まれる。
【0161】
本発明方法により、食品の冷凍処理を、栗や茶碗蒸しについて実施したところ、極めて良好な冷凍食品を得ることができた。
例えば、茶碗蒸し(プラスチック製容器詰め及びプラスチックフィルムカバーを付けた状態)は、従来法で冷凍すると卵が変質し、巣が形成されるのに対し、本発明によれば、卵の変質も起きず、巣の形成も観察されない。また、本発明により、食品の加熱殺菌処理を、コショウ粒について実施したところ、コショウ粒では、風味の変化も認められなかった。
【0162】
本発明において、気体調温室にて加熱又は冷却する調温気体の所定温度は、加熱又は冷却処理の目的に沿って被処理物の目的中心温度を設定し、その目的中心温度に応じて適宜設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0163】
加熱調理して調製した食品類(例えば、ご飯やパン類)を室温以下に冷却したり、生鮮食料品(例えば、魚介類や食肉)を冷蔵温度帯や冷凍温度帯へ冷却したりする冷却及び冷却に利用することができる。
また、被処理物の品質に影響を与えない比較的低温の加熱殺菌に利用することができる。更に、食品の加熱調理にも適用可能である。
【符号の説明】
【0164】
11・・・平板状トレイ;11T・・・底板;12・・・通風用貫通孔;
15・・・カゴ型トレイ;15T・・・底板;16・・・係止桟;
17・・・カゴ型トレイ;17T・・・半球状底板;
18カゴ型トレイ;18T・・・凸状底板;21・・・被処理物;
21A・・・ケース充填型被処理物;
22A・・・大口径金属製粒状体充填領域;
22B・・・小口径金属製粒状体充填領域;
23・・・金属製粒状体;23S・・・小口径金属製粒状体;
23L・・・大口径金属製粒状体;24・・・;分離筒状体;
25・・・分離用内側バスケット;25T・・・底面;
26・・・分離用貫通孔;27・・・把持部;
31・・・隔離用内側バスケット;31T・・・隔離用内側バスケットの底板;
32・・・隔離用通風孔;33・・・把持部;34・・・接合部;
35・・・隔離用内側バスケットの内側収容部;41・・・熱処理室;
42・・・載置用トレイ;43・・・天井;
44・・・上方傾斜遮蔽板;44A・・・非通風性案内表面;
45・・・床;46・・・下方傾斜遮蔽板;46A・・・非通風性案内表面;
47・・・取入口;48・・・排出口;50・・・熱処理装置;
50A・・・熱処理室;50B・・・気体調温室;
51・・・第1トレイ;52・・・第2トレイ;
53・・・第3トレイ;54・・・第4トレイ;
51A・・・第1上方傾斜遮蔽板;52A・・・第2上方傾斜遮蔽板;
53A・・・第3上方傾斜遮蔽板;54A・・・第4上方傾斜遮蔽板;
51B・・・第1下方傾斜遮蔽板;52B・・・第2下方傾斜遮蔽板;
53B・・・第3下方傾斜遮蔽板;54B・・・第4下方傾斜遮蔽板;
55・・・熱交換器;55・・・熱交換器;55A・・・熱交換器用ファン;
56・・・調温気体供給ダクト;56A,56B・・・送気用ファン;
57・・・排出ダクト;58・・・吸気用ファン;
60・・・熱処理システム;61A・・・装入ゾーン;
61B・・・予備ゾーン;61C・・・熱処理ゾーン;
61D・・・緩衝ゾーン61D;61E・・・取出ゾーン;
62・・・熱処理トンネル;62E・・・恒温室;
64・・・入口;64A・・・装入口ドア;65・・・出口;
65A・・・排出口ドア;66A・・・シール用固定突起;
66B・・・シール用固定突起;
67B,67C1,67C2,67C3,67D・・・気体調温室;
68・・・熱交換器;69a,69b,69c・・・送気用ファン;
71,71A・・・広開口トレイ;72,72A・・・広開口部;
73・・・ケース充填茶碗蒸し;73A・・・茶碗蒸しケース上面フランジ;
73B・・・通風用突出片;73C・・・茶碗蒸しケース側壁部;
73D・・・茶碗蒸しケース底面部;74・・・調温気体案内筒;
74A・・・調温気体案内筒の保持用フランジ;
75・・・調温気体案内筒の円筒状側壁;
75A・・・下方向に徐々に広がる円筒状側壁;
76・・・被処理物;90・・・熱処理コンテナ;
90c1,90c2,90c3・・・処理位置;
91・・・断熱壁;91T・・・天井壁;91B・・・底面壁;
91R・・・右側面壁;91L・・・左側面壁;91F・・・前方壁;
91P・・・後方壁;92・・・熱処理室;
93,93a,93b,93c・・・取入窓;
94,94a,94b,94c・・・排出窓;
95・・・移動用車輪;95A・・・案内軌道;
96,97・・・断熱シール部;97A・・・断熱壁;
110・・・ベルトコンベア型熱処理システム;
110A・・・装入ゾーン;110B・・・熱処理ゾーン;
110C・・・回収ゾーン;111・・・断熱ハウジング;
112,112A,112B・・・ベルトコンベア;
113A,113B・・・断熱カーテン;114・・・供給手段;
115・・・被処理物収納箱;116・・・回収手段;
117・・・L字型シール部材;118・・・気密フード;
119・・・気密フード内の空間;123・・・金属製柱状小片;
123S・・・小型金属製柱状小片;123L・・・大型金属製柱状小片;
131・・・円柱状小片;132・・・六角柱状小片;
133・・・有孔円柱状小片;133a,133b・・・通風貫通孔;
134・・・有孔六角柱状小片;134a,134b・・・通風貫通孔;
135・・・溝付円柱状小片;135a,135b・・・通風溝;
136・・・溝付六角柱状小片;136a,136b・・・通風溝;
137・・・溝付円柱状棒状体;138・・・有孔六角柱状棒状体;
141・・・金属クッション;142・・・円棒;
143・・・金属製ディスク;144・・・金属製板状体;
171・・・保持載置台;172・・・挿入保持孔;
173・・・被処理物収納箱;173A・・・上面フランジ;
173B・・・通風用突出片;173C・・・側壁部;
173D・・・底面部;173E・・・収納箱通風孔;
174・・・保持プレート;175・・・補強用環状突起;
176・・・金属製隔膜;177・・・コルゲートスペーサー;
178・・・帯状突起;181・・・調温気体案内型収納箱;
182・・・外側壁部;182A・・・外側壁部の上部フランジ;
182B・・・外側壁部の側壁部;182C・・・外側壁部の底部開口部;
183・・・内側壁部;183A・・・内側壁部の上部フランジ;
183B・・・内側壁部の側壁部;183C・・・内側壁部の底部開口部;
184・・・フランジ部連結部;185・・・側壁部連結部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体調温室にて所定温度に加熱又は冷却された調温気体によって、被処理物を熱処理する方法であって、
(1)水平方向に設置されているか又は水平方向に移動することのできる載置台を用いること、
(2)前記載置台が、
(a)前記被処理物を保持するが前記調温気体を通過させることのできる載置台通風孔を有する通風載置台であるか、あるいは、
(b)前記被処理物を収納することのできる被処理物収納箱を挿入して保持することのできる挿入保持孔を有する保持載置台であること、
(3)(a)前記保持載置台の前記挿入保持孔が、前記被処理物収納箱を挿入して保持した状態で前記調温気体を通過させることができること、及び/又は、
(b)前記被処理物収納箱が、前記被処理物を保持するが前記調温気体を通過させることのできる収納箱通風孔を有していること、及び
(4)(a)前記通風載置台に前記被処理物を載せた状態で、あるいは、(b)前記保持載置台に、前記被処理物を収納した前記被処理物収納箱を挿入保持孔に担持した状態で、前記載置台の上方から下方に向けて、あるいは下方から上方に向けて、前記調温気体を通過させること
を特徴とする、前記熱処理方法。
【請求項2】
載置用トレイに載せた被処理物を収容する熱処理室と、所定温度に加熱又は冷却された調温気体を前記熱処理室に供給する気体調温室とを含む熱処理装置であって、
(1)水平方向に設置されているか又は水平方向に移動することのできる載置台を備えること、
(2)前記載置台が、
(a)前記被処理物を保持するが前記調温気体を通過させることのできる載置台通風孔を有する通風載置台であるか、あるいは、
(b)前記被処理物を収納することのできる被処理物収納箱を挿入して保持することのできる挿入保持孔を有する保持載置台であること、
(3)(a)前記保持載置台の前記挿入保持孔が、前記被処理物収納箱を挿入して保持した状態で前記調温気体を通過させることができること、及び/又は、
(b)前記被処理物収納箱が、前記被処理物を保持するが前記調温気体を通過させることのできる収納箱通風孔を有していること、及び
(4)(a)前記通風載置台に前記被処理物を載せた状態で、あるいは、(b)前記保持載置台に、前記被処理物を収納した前記被処理物収納箱を挿入保持孔に担持した状態で、前記載置台の上方から下方に向けて、あるいは下方から上方に向けて、前記調温気体を通過させる手段を含むこと
を特徴とする、前記熱処理装置。
【請求項3】
移動可能な熱処理コンテナと、その熱処理コンテナを通過させて熱処理行う熱処理トンネルとを含む連続式熱処理システムであって、
(A)前記熱処理トンネルが、気体調温室にて所定温度に加熱又は冷却された調温気体を前記熱処理コンテナに供給する手段を備えること、並びに、
(B)(1)前記熱処理コンテナが、水平方向に設置されている載置台を含み、
(2)前記載置台が、
(a)前記被処理物を保持するが前記調温気体を通過させることのできる載置台通風孔を有する通風載置台であるか、あるいは、
(b)前記被処理物を収納することのできる被処理物収納箱を挿入して保持することのできる挿入保持孔を有する保持載置台であること、
(3)(a)前記保持載置台の前記挿入保持孔が、前記被処理物収納箱を挿入して保持した状態で前記調温気体を通過させることができること、及び/又は、
(b)前記被処理物収納箱が、前記被処理物を保持するが前記調温気体を通過させることのできる収納箱通風孔を有していること、及び
(4)(a)前記通風載置台に前記被処理物を載せた状態で、あるいは、(b)前記保持載置台に、前記被処理物を収納した前記被処理物収納箱を挿入保持孔に担持した状態で、前記載置台の上方から下方に向けて、あるいは下方から上方に向けて、前記調温気体を通過させる手段を含むこと
を特徴とする、前記連続式熱処理システム。
【請求項4】
水平方向に移動することのできる載置台を通過させて熱処理行う熱処理トンネルを含む連続式熱処理システムであって、
(1)前記熱処理トンネルが、気体調温室にて所定温度に加熱又は冷却された調温気体を供給する手段を備えること、
(2)前記載置台が、
(a)前記被処理物を保持するが前記調温気体を通過させることのできる載置台通風孔を有する通風載置台であるか、あるいは、
(b)前記被処理物を収納することのできる被処理物収納箱を挿入して保持することのできる挿入保持孔を有する保持載置台であること、
(3)(a)前記保持載置台の前記挿入保持孔が、前記被処理物収納箱を挿入して保持した状態で前記調温気体を通過させることができること、及び/又は、
(b)前記被処理物収納箱が、前記被処理物を保持するが前記調温気体を通過させることのできる収納箱通風孔を有していること、及び
(4)(a)前記通風載置台に前記被処理物を載せた状態で、あるいは、(b)前記保持載置台に、前記被処理物を収納した前記被処理物収納箱を挿入保持孔に担持した状態で、前記載置台の上方から下方に向けて、あるいは下方から上方に向けて、前記調温気体を通過させる手段を含むこと
を特徴とする、前記連続式熱処理システム。
【請求項5】
気体調温室にて所定温度に加熱又は冷却された調温気体によって熱処理される被処理物を載置することができ、水平方向に設置することのできる載置台であって、
(1)前記載置台が、
(a)前記被処理物を保持するが前記調温気体を通過させることのできる載置台通風孔を有する通風載置台であるか、あるいは、
(b)前記被処理物を収納することのできる被処理物収納箱を挿入して保持することのできる挿入保持孔を有する保持載置台であること、
(2)(a)前記保持載置台の前記挿入保持孔が、前記被処理物収納箱を挿入して保持した状態で前記調温気体を通過させることができること、及び/又は、
(b)前記被処理物収納箱が、前記被処理物を保持するが前記調温気体を通過させることのできる収納箱通風孔を有していること、及び
(3)(a)前記通風載置台に前記被処理物を載せた状態で、あるいは、(b)前記保持載置台に、前記被処理物を収納した前記被処理物収納箱を挿入保持孔に担持した状態で、前記載置台の上方から下方に向けて、あるいは下方から上方に向けて、前記調温気体を通過させることができること
を特徴とする、前記載置台。
【請求項6】
気体調温室にて所定温度に加熱又は冷却された調温気体によって熱処理される被処理物を載置することができ、水平方向に移動することのできる載置台であって、
(1)前記載置台が、
(a)前記被処理物を保持するが前記調温気体を通過させることのできる載置台通風孔を有する通風載置台であるか、あるいは、
(b)前記被処理物を収納することのできる被処理物収納箱を挿入して保持することのできる挿入保持孔を有する保持載置台であること、
(2)(a)前記保持載置台の前記挿入保持孔が、前記被処理物収納箱を挿入して保持した状態で前記調温気体を通過させることができること、及び/又は、
(b)前記被処理物収納箱が、前記被処理物を保持するが前記調温気体を通過させることのできる収納箱通風孔を有していること、及び
(3)(a)前記通風載置台に前記被処理物を載せた状態で、あるいは、(b)前記保持載置台に、前記被処理物を収納した前記被処理物収納箱を挿入保持孔に担持した状態で、前記載置台の上方から下方に向けて、あるいは下方から上方に向けて、前記調温気体を通過させることができること
を特徴とする、前記載置台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【公開番号】特開2010−273592(P2010−273592A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128339(P2009−128339)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(592193409)
【Fターム(参考)】