説明

熱可塑性ポリエステル混合物及びそれを使用した熱収縮性チューブの製造プロセス

【課題】新しい熱可塑性ポリエステル混合物でできた熱収縮性チューブを提供する。
【解決手段】この熱可塑性ポリエステル混合物は、成分(A)と成分(B)との全重量のうち5〜95重量%の成分(A):固有粘度0.8〜1.2dl/gのホモ重合又は共重合ポリエチレンテレフタラート(PET)と、成分(A)と成分(B)との全重量のうち95〜5重量%の成分(B):固有粘度0.8〜1.2dl/gのポリトリメチレンテレフタラート(PTT)とから成り、この熱可塑性ポリエステル混合物でできた熱収縮性チューブは熱水中で加熱することで縦方向(MD)に5%〜15%収縮し、横方向(TD)に35%を超える収縮をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱収縮性チューブの製造に適した熱可塑性ポリマー混合物、より具体的には成分(A)と成分(B)との全重量のうち5〜95重量%の成分(A):固有粘度0.8〜1.2dl/gのホモ重合又は共重合ポリエチレンテレフタラート(PET)と、成分(A)と成分(B)との全重量のうち95〜5重量%の成分(B):固有粘度0.8〜1.2dl/gのポリトリメチレンテレフタラート(PTT)とから成る熱可塑性ポリマー混合物に関する。
【背景技術】
【0002】
熱収縮性チューブは、通常、PVCから作られ、長期に亘って電子部品に密着し保護する外被覆として使用される。しかし、PVCは、不完全に燃焼された場合、人の健康に重大な害があるダイオキシン等の環境ホルモンを生成する。そのため、欧州各国及び日本では電気機器におけるPVCの使用が既に禁止されている。
【0003】
PVCでできた熱収縮性チューブの問題を解決するために、特許文献1は、ある種のポリエステルと、そのポリエステルから成り、コンデンサーの被覆として適した熱収縮性ポリエステルチューブを製造するプロセスとを開示している。特許文献1に開示されたポリエステルは、20〜70重量%のポリエチレンテレフタラート(PET)と30〜80重量%の共重合ポリエステルとを含む混合物から成る。その共重合ポリエステルは、二塩基酸全体の65〜95重量%の純粋テレフタル酸(PTA)と、5〜35重量%のイソフタル酸(IPA)と、エチレングリコールとを含む混合物の反応から得られる。
【0004】
また、特許文献1に開示されたポリエステルは、溶融押し出し法を使用して未伸張のチューブを製造するために使用されてもよく、得られた未伸張のチューブは急冷され、72〜98℃に再加熱された後、縦方向(MD)に1.0倍〜1.4倍の伸張比、半径方向(TD)に1.3倍〜2.2倍の伸張比で同時二軸伸張される。最後に、伸張された熱収縮性チューブは冷され、ロール状に巻かれる。
【0005】
特許文献1の方法で作られた20%以下の結晶化度の熱収縮性ポリエステルチューブを、温度98±2℃の熱水中で10秒間加熱することで、MD方向に5〜26%の収縮、及びTD方向に25%以上の収縮が達成される。熱収縮性ポリエステルチューブは、熱収縮プロセスによってコンデンサーに被覆されると、完全な被覆状態となりうる。
【0006】
特許文献2は、熱収縮性ポリエステルチューブの印刷適性を改善するための製造方法を開示している。その熱収縮性ポリエステルチューブは、20〜99.5重量%の、ポリエチレンテレフタラートを含むポリエステルと、0.1〜4重量%のポリエチレングリコールをグリコール成分として含有する0.5〜80重量%のポリエステル共重合体とを含む混合物で作られ、チューブ表面に100〜800W・分/m2の放電エネルギーが加えられてコロナ放電処理され、印刷適性を改善する。
【0007】
また、特許文献3は、未伸張のチューブを得るための溶融押し出し法によるほぼポリフェニレンスルフィドから成る熱収縮性チューブの製造プロセスを開示している。その未伸張のチューブは、85〜105℃の温度において、縦方向(MD)に1.05倍〜4.5倍の伸張比、半径方向(TD)に1.3倍〜4.5倍の伸張比で同時二軸伸張される。
【0008】
特許文献3の方法で作られた熱収縮性ポリエステルチューブは、温度98±2℃の熱水内で30秒間加熱することで、TD方向に25〜80%の収縮が達成される。また、コンデンサーにその熱収縮性チューブを被覆し、180℃の温度で20秒間加熱して、熱収縮により熱収縮性チューブが該コンデンサーを密着して覆うようにする。そのコンデンサーを更にオーブンで温度160℃で3分間加熱し、その後、オーブンからコンデンサーを取り出した時、コンデンサーを覆い保護する熱収縮性チューブにしわ、膨張、剥離、又は変形等の欠陥は発生していなかった。
【0009】
また、特許文献4は、電解コンデンサーを被覆するための、80〜99重量%の共重合ポリエステル樹脂と、1〜20重量%のポリブチレンテレフタラート樹脂とから成る樹脂で作られた熱収縮性ポリエステルチューブを開示している。その共重合ポリエステル樹脂は、0.65〜1.0dl/gの固有粘度を持ち、1〜15モル%のポリエチレンナフタレートと85〜90モル%のポリエチレンテレフタラートとから成る。
【0010】
また、特許文献4に開示されたポリエステルは、溶融押し出し法を使用して未伸張のチューブを製造するために使用されてもよく、得られた未伸張のチューブは急冷され、ガラス転移温度(Tg)より高い温度に再加熱された後、縦方向(MD)に1.0倍〜1.5倍の伸張比、半径方向(TD)に1.7倍〜2.5倍の伸張比で同時二軸伸張される。最後に、伸張された熱収縮性チューブは冷され、ロール状に巻かれる。
【0011】
特許文献4の方法で作られた熱収縮性ポリエステルチューブは、温度98℃の熱水中で30秒間加熱することで、MD方向に5〜15%の収縮、及びTD方向に40〜60%の収縮が達成される。また、その熱収縮性チューブをコンデンサーに被覆し、温度260〜280℃で8秒間加熱して、熱収縮により熱収縮性チューブがコンデンサーを密着して覆うようにする。コンデンサーを更にオーブンで温度170±5℃で3分間加熱し、次に、温度100±2℃の熱水中で10分間加熱した後、コンデンサーを取り出した時、コンデンサーを覆い保護する熱収縮性チューブにしわ、膨張、剥離、又は変形等の欠陥は発生していなかった。
【0012】
上記の従来技術は全て、ポリエステルは熱収縮性チューブを製造するために使用できることを開示しているが、特許文献1と特許文献2とに開示された方法は、熱収縮プロセスによりコンデンサーの外面に被覆された場合の熱収縮性チューブの熱劣化耐性を開示していない。また、特許文献4は熱収縮性チューブの熱耐性を試験するための条件と手順を開示している。その手順は、熱収縮性チューブで覆われたコンデンサーをオーブンで温度170±5℃で3分間加熱することと、そのコンデンサーを温度100±2℃の熱水中で10分間加熱することとを含む。特許文献3はポリエチレンスルフィドから作られ良好な熱劣化耐性を有する熱収縮性チューブを開示しているが、そのコストは相対的に高い。
【0013】
また、上記の特許のいずれもポリトリメチレンテレフタラート(PTT)を含むポリエステル混合物が電子部品を被覆し保護するずっと改善された品質を持つ熱収縮性チューブを製造するのにより適していることを開示していない。
【特許文献1】米国特許第5,368,811号明細書
【特許文献2】米国特許第5,403,454号明細書
【特許文献3】米国特許第5,718,953号明細書
【特許文献4】米国特許第6,528,133号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の主たる目的は、熱収縮性チューブの製造に適した熱可塑性ポリエステル混合物であって、成分(A)と成分(B)との全重量のうち5〜95重量%の成分(A):固有粘度0.8〜1.2dl/gのホモ重合又は共重合ポリエチレンテレフタラート(PET)と、成分(A)と成分(B)との全重量のうち95〜5重量%の成分(B):固有粘度0.8〜1.2dl/gのポリトリメチレンテレフタラート(PTT)とから成る熱可塑性ポリエステル混合物を開示することである。
【0015】
本発明の2次的な目的によれば、熱可塑性ポリエステル混合物の前記成分(A)と成分(B)のいずれかは、無機顆粒又は添加剤を更に含むことで、熱可塑性ポリエステル混合物で作られた熱収縮性チューブは、ロール状に巻かれた後、より容易に伸ばすことが出来る。これによりこの熱収縮性チューブは高速な熱収縮被覆プロセスにより適したものとなる。
【0016】
本発明の別の目的は、本発明の熱可塑性ポリエステル混合物で作られた熱収縮性チューブの製造プロセスを開示することである。このプロセスは、熱可塑性ポリエステル混合物を押し出して未伸張のチューブを形成することと、該チューブを急冷することと、ガラス転移温度(Tg)より高い温度において縦方向(MD:Machine direction)に1.0〜3.0倍の伸張比で、横方向(TD:Transverse direction)に1.3〜4.5倍の伸張比で同時に該チューブを伸張させるブロー拡張プロセスを行うことと、該伸張されたチューブを急冷することとを含む。得られた熱収縮性チューブは、熱水中で加熱することで縦方向(MD)に5%〜15%収縮し、横方向(TD)に35%を超える収縮をする。
【0017】
本発明の更に別の目的によれば、本発明の熱可塑性ポリエステル混合物で作られた熱収縮性チューブを、熱収縮により対象物の表面に密着させた場合、欠陥のない完全な外観という優れた効果を持つ。特に、オーブン内で温度180℃で30分間、又は105℃で3時間、又は250℃で3分間加熱した後、この熱収縮性チューブは、しわ変形、膨張、ゆるみ、剥離、クラック、又は立ち上り変形することなく完全な被覆状態を維持する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、熱収縮性チューブの製造に適し、成分(A)と成分(B)との全重量のうち5〜95重量%の成分(A):固有粘度0.8〜1.2dl/gのホモ重合又は共重合ポリエチレンテレフタラート(PET)と、成分(A)と成分(B)との全重量のうち95〜5重量%の成分(B):固有粘度0.8〜1.2dl/gのポリトリメチレンテレフタラート(PTT)とから成る新しい熱可塑性ポリマー混合物を開示する。
【0019】
本発明の成分(A)は、ポリエステルを合成する従来の方法、例えばPTAプロセスまたはDMTプロセスで作られてよい。成分(A)をPTAプロセスで作る場合、触媒の必要なく直接エステル化するために二塩基酸及びジオールが使用される。エステル化中に生成されるエチレングリコールと水分のガス状混合物は、蒸留タワーにおいて分離され、分離されたエチレングリコールは反応炉に流れ込む。そして、重合触媒がエステル化反応の完了前にその反応炉に加えられる。この反応のために選択される触媒はアンチモン触媒、ゲルマニウム触媒、チタン触媒、又はそれらの混合物である。リン酸等のリンを含む安定化剤、及び無機顆粒、例えば二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、又は二酸化シリコンが、エステル化反応の終了後、重合が始まる前に反応炉に加えられる。反応炉内の混合物は、真空環境下で重合反応する。共重合ポリエステルの粘度が0.6dl/gより高いレベルに達すると、共重合ポリエステル生成物は反応炉から取り出され、急冷され粒状の共重合ポリエステルに切断される。
【0020】
成分(A)をDMTプロセスで生成する場合、二塩基酸であるエステル及びジオールが使用され、エステル交換反応が行われる。反応が始まる前に、マンガンアセテート等のエステル交換触媒が加えられる。反応において生成され蒸留タワーで分離されたメチルアルコールはエステル交換タンクに戻ることはない。所定の理論量の98%メチルアルコールが収集され取り出された後、エステル交換触媒が非活性となるようリンを含む安定化剤が加えられ、次にアンチモン触媒、ゲルマニウム触媒、チタン触媒、及びそれらの混合物の中から選択された重合触媒が加えられる。重合反応は真空環境下で行われる。共重合ポリエステルの粘度が0.6dl/gより高いレベル達すると、その生成物は反応炉から取り出され、急冷され粒状に切断される。
【0021】
本発明の成分(A)を生成するために、上記PTAプロセス又はDMTプロセスで得られた粒状の共重合ポリエステルは、溶融重合プロセスによって直接、固有粘度を0.8dl/gより高くしなければならない。或いは、更に固体重合プロセスを経て固有粘度を0.80〜1.20dl/gの範囲内のレベルに上げなければならない。これにより所望の本発明の成分(A)が得られる。
【0022】
従って、本発明の成分(A)は0.8〜1.2dl/gの範囲内の固有粘度を有する。熱収縮性チューブが溶融押し出しプロセスにより0.8dl/g未満の固有粘度を持つ成分(A)で作られた場合、その熱収縮性チューブの厚みが均等でない欠陥が発生する。一方、熱収縮性チューブが1.2dl/gを超える固有粘度を持つ成分(A)で作られた場合、その熱収縮性チューブを製造するための溶融押し出し装置に、所定の厚みの熱収縮性チューブを溶融押し出しするのにかなり大きな負荷がかかる。
【0023】
本発明の成分(A)を合成するためにPTAプロセスを使用する場合、使用される二塩基酸は、純粋なテレフタル酸を主成分として含むか、又は二塩基酸全体の5〜15モル%のイソフタル酸を更に含む。
【0024】
また、使用される二塩基酸は、更に2,6−ナフタレンジカルボン酸又はそのエステル型化合物等を少量成分として、成分(A)全体の8モル%以下の量だけ含んでもよい。
【0025】
また、本発明の成分(A)がイソフタル酸を二塩基酸全体の15モル%を超える量だけ含んでいる場合、成分(A)は非晶質状態であり、固有粘度を増加させるための固体重合中に塊りに非常になり易い。
【0026】
本発明の成分(A)を合成するための上記PTAプロセスにおいて使用されるジオールは、主にエチレングリコールであるが、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(NPG)、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(BEPG)、及びブチレングリコールのうち少なくとも1つの他の成分を含んでもよい。しかし、これらの少量成分は、必要な成分ではなく、含まれる場合には、ジオール全量の15モル%、好ましくは10モル%を超えない。少量成分がジオール全量の15モル%を超えた場合、成分(A)は非晶質状態となり、固体重合プロセスによって固有粘度を増加させることが出来ない。
【0027】
本発明の成分(A)を合成するための好適な方法は、溶融縮合重合段階で無機顆粒を加えることである。本発明で使用する無機顆粒は、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、及び二酸化シリコンから成る群またはその混合物から選択された1つ以上の物質である。より好ましくは、二酸化チタン又は硫酸バリウムが添加剤として選択されるのがよい。無機顆粒の添加量は、成分(A)の重量の0.005〜0.5重量%である。無機顆粒のサイズは1μm未満、好ましくは0.1〜0.5μmの間である。
【0028】
本発明の成分(A)を合成する溶融縮合重合段階で上記無機顆粒を添加する目的は、ロール状に巻かれた本発明の熱収縮性チューブをより容易に伸ばすことが出来るようにすることであり、これにより本発明の熱収縮性チューブは高速な熱収縮被覆プロセスに適したものとなりうる。
【0029】
本発明の成分(A)に、プロセス中に必要に応じて他の添加剤を加えてもよい。これらの添加剤は例えば、ハロゲンフリー難燃剤、染色色素、酸化防止剤、潤滑剤、紫外線吸収剤又は静電気防止剤を含む。
【0030】
同様に、本発明の成分(B)も、PTAプロセス、DMTプロセス等のポリエステルを合成する従来の方法によって作られる。成分(A)をPTAプロセスで作る場合、触媒の必要なく直接エステル化するために精製されたテレフタル酸(PTA)とプロピレングリコールが使用される。エステル化中に生成されるエチレングリコールと水分のガス状混合物は、蒸留タワーにおいて分離され、分離されたエチレングリコールは反応炉に流れ込む。そして、重合触媒がエステル化反応の完了前に反応炉に加えられる。この反応のために選択される触媒はアンチモン触媒、ゲルマニウム触媒、チタン触媒、又はそれらの混合物である。リン酸等のリンを含む安定化剤、及び無機顆粒、例えば二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、又は二酸化シリコンが、エステル化反応の終了後、重合が始まる前に反応炉に加えられる。反応炉内の混合物は、真空環境下で重合反応する。共重合ポリエステルの粘度が0.6dl/gより高いレベル達すると、共重合ポリエステル生成物は反応炉から取り出され、急冷され粒状の共重合ポリエステルに切断される。
【0031】
成分(B)をDMTプロセスで生成する場合、二塩基酸であるエステル及びジオールが使用され、エステル交換反応が行われる。反応が始まる前に、マンガンアセテート等のエステル交換触媒が加えられる。反応において生成され蒸留タワーで分離されたメチルアルコールはエステル交換タンクに戻ることはない。所定の理論量の98%メチルアルコールが収集され取り出された後、エステル交換触媒が非活性となるようリンを含む安定化剤が加えられ、次にアンチモン触媒、ゲルマニウム触媒、チタン触媒、及びそれらの混合物の中から選択された重合触媒が加えられる。重合反応は真空環境下で行われる。共重合ポリエステルの粘度が0.6dl/gより高いレベル達すると、その生成物は反応炉から取り出され、急冷され粒状に切断される。
【0032】
本発明の成分(B)を生成するために、上記PTAプロセス又はDMTプロセスで得られた粒状の共重合ポリエステルは、溶融重合プロセスによって固有粘度を0.75〜1.20dl/gの範囲内のレベルに直接上げなければならない。或いは、先ず溶融重合プロセスによって固有粘度を0.8dl/gに上げ、次に更に固体重合プロセスによって固有粘度を0.80〜1.20dl/gの範囲内のレベルに上げなければならない。これにより所望の本発明の成分(B)が得られる。
【0033】
従って、本発明の成分(B)は0.8〜1.2dl/gの範囲内の固有粘度を有する。熱収縮性チューブが溶融押し出しプロセスにより0.8dl/g未満の固有粘度を持つ成分(B)で作られた場合、その熱収縮性チューブの厚みが均等でない欠陥が発生する。一方、熱収縮性チューブが1.2dl/gを超える固有粘度を持つ成分(B)で作られた場合、その熱収縮性チューブを製造するための溶融押し出し装置に、所定の厚みの熱収縮性チューブを溶融押し出しするのにかなり大きな負荷がかかる。
【0034】
本発明の成分(B)を合成するための好適な方法は、溶融縮合重合段階で無機顆粒を加えることである。本発明で使用する無機顆粒は、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、及び二酸化シリコンから成る群またはその混合物から選択された1つ以上の物質である。より好ましくは、二酸化チタン又は硫酸バリウムが添加剤として選択されるのがよい。無機顆粒の添加量は、成分(B)の重量の0.005〜0.5重量%である。無機顆粒のサイズは1μm未満、好ましくは0.1〜0.5μmの間である。しかし、本発明の成分(A)と成分(B)の両方に無機顆粒を加える必要はない。
【0035】
本発明の成分(B)に、プロセス中に必要に応じて他の添加剤を加えてもよい。これらの添加剤は例えば、ハロゲンフリー難燃剤、染色色素、酸化防止剤、潤滑剤、紫外線吸収剤又は静電気防止剤を含む。しかし、本発明の成分(A)と成分(B)の両方にこれらの添加剤を加える必要はない。
【0036】
上記の二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化シリコン、ハロゲンフリー難燃剤、染色色素、酸化防止剤、潤滑剤、紫外線吸収剤又は静電気防止剤を含むこれらの添加剤は、本発明の成分(A)又は成分(B)を合成する溶融縮合重合以外の、熱収縮性チューブを作る溶融押し出しプロセスにおいて加えられてもよい。
【0037】
以下の説明では、本発明で開示する熱可塑性ポリエステル混合物から成る熱収縮性チューブを製造する方法を説明する。
【0038】
均一に混合された成分(A)と成分(B)から溶融コロイドを作る3つの方法が存在する。第1の方法は、成分(A)と成分(B)それぞれの量を測り、成分(A)と成分(B)を熱可塑性ポリエステル混合物として、混合機を使用して物理的混合プロセスによって均一に混合することである。
【0039】
除湿された空気が入った乾燥機内で150〜170℃で4〜6時間、本発明の成分(A)と成分(B)から成る熱可塑性ポリエステル混合物を完全に乾燥させた後、熱可塑性ポリエステル混合物は連続して押し出し機に運ばれて溶融され、押し出し機によって成分(A)と成分(B)が均一に混合された溶融コロイドが溶融点(Tm)より高い所定の溶融温度に達する。
【0040】
第2の方法は、本発明の成分(A)と成分(B)を、除湿された空気が入った乾燥機内で150〜170℃で4〜6時間それぞれ乾燥させた後、計測された重量又は体積だけ成分(A)と成分(B)を連続して混合機に投入し熱可塑性ポリエステル混合物として均一に混合する。乾燥された熱可塑性ポリエステル混合物は連続して押し出し機に運ばれて溶融され、押し出し機によって成分(A)と成分(B)が均一に混合された溶融コロイドが溶融点(Tm)より高い所定の溶融温度に達する。
【0041】
第3の方法は、本発明の成分(A)と成分(B)を、除湿された空気が入った乾燥機内で150〜170℃で4〜6時間それぞれ乾燥させた後、成分(A)と成分(B)は、連続して別々の押し出し機に運ばれて溶融され、それぞれの溶融コロイドは溶融点(Tm)より高い所定の溶融温度に達する。
【0042】
成分(A)と成分(B)のそれぞれの溶融コロイドは計測された量だけギアポンプにより汲み上げられ混合機に投入されて、均一に混合され、成分(A)と成分(B)が均一に混合された溶融コロイドができる。
【0043】
本発明の熱可塑性ポリエステル混合物は成分(A)と成分(B)との全重量のうち5〜95重量%の成分(A):ホモ重合又は共重合ポリエチレンテレフタラート(PET)と、成分(A)と成分(B)との全重量のうち95〜5重量%の成分(B):ポリトリメチレンテレフタラート(PTT)とから成る。本発明の熱可塑性ポリエステル混合物は無機顆粒及び/又は添加剤が加えられてもよい。成分(A)と成分(B)と無機顆粒及び/又は添加剤との全量は、100重量%となる。
【0044】
従って、成分(A)と成分(B)が均一に混合された溶融コロイドは、押し出し金型の環状開口を通って押し出された後、冷却空気又は水により急冷され、未伸張の円チューブが形成される。そして、そのチューブは1組のフィードローラによって熱水又は赤外線管内に運ばれ、ガラス転移温度より高い温度に加熱された後、圧縮空気が導入され、ブロー拡張プロセスにより所定の直径を持った伸張されたチューブが熱収縮性チューブとして作られる。そして1組の冷却ニップローラによって運びだされて、ロール状に巻かれ熱収縮性チューブのロールができる。上記プロセスにより、横方向(TD)の伸張がブロー拡張ステップにおいて達成され、縦方向(MD)の伸張がニップローラとフィードローラの間のスピード差によって達成される。
【0045】
二軸伸張後、熱収縮性チューブは急冷されるので、冷却後、横方向(TD)と縦方向(MD)の両方向に収縮する可能性がある。このため、この熱収縮性チューブは電子部品の外被覆として適している。本発明の熱収縮性チューブの厚みは20〜200μmの間であり、直径は4〜400mmの間であることが好ましい。
【0046】
本発明の熱可塑性ポリエステル混合物でできた熱収縮性チューブは、伸張後の熱収縮性チューブを引っ張るスピードと未伸張のチューブのフィードスピードとの比率に等しい縦方向(MD)の伸張比と、ブロー拡張後のチューブ直径と未伸張のチューブの直径との比率に等しい横方向(TD)の伸張比とを有する。
【0047】
熱収縮性チューブが本発明の熱可塑性ポリエステル混合物でできている場合、ブロー拡張プロセスの好適な温度は85〜105℃の間である。縦方向(MD)の伸張比は1.0〜3.0倍であることが好ましく、横方向(TD)の伸張比は1.3〜4.5倍であることが好ましい。
【0048】
本発明の熱可塑性ポリエステル混合物でできた熱収縮性チューブは、100℃の熱水内で30秒間加熱されることで、縦方向(MD)に5%〜15%の熱収縮を、横方向(TD)に35%を超える熱収縮をする。縦方向(MD)の熱収縮が5%未満である場合は、熱収縮性チューブの縁部は電子部品の表面に密着することが出来ない。一方、縦方向(MD)の熱収縮が15%を超える場合は、電子部品を熱収縮性チューブで覆った場合、熱収縮性チューブの変形及びずれが発生する。横方向(TD)の熱収縮が35%未満である場合は、熱収縮性チューブは電子部品の表面に密着することが出来ない。
【0049】
従って、本発明の熱収縮性チューブで覆った電子部品を90℃より高い温度に加熱すると、熱収縮性チューブは均一に収縮し電子部品の表面にその外被覆として密着するであろう。
【0050】
本発明の熱収縮性チューブで覆った電子部品を、オーブンで180℃で30分間、又は105℃で3時間、又は250℃で3分間加熱した後でも、本発明の熱収縮性チューブは、しわ、膨張、ゆるみ、剥離、クラック、又は立ち上り等の欠陥がなく電子部品の表面に固定密着したままであることを示した。
【0051】
本発明の熱可塑性ポリエステル混合物でできた熱収縮性チューブは、印刷されアセトンで洗浄された後、印刷文字がかすんだり不明瞭になることはなかった。
【0052】
本発明の熱可塑性ポリエステル混合物でできた熱収縮性チューブは、刃で容易に切断でき、高速熱収縮被覆プロセスに適している。
【0053】
本発明を更に説明するために、本発明の幾つかの実施例と比較例を以下に示す。しかし、これらの実施例は本発明の範囲を限定するためのものではない。
【実施例】
【0054】
成分(A1)
重量比10.81パーツのビスヒドロキシエチルテレフタラートモノマー(BHET)と重量比3,243パーツのエチレングリコール(EG)とを計測し、これらの材料を反応炉に投入した。温度が190℃を超えた時、エステル化反応が開始した。反応圧は1.0〜1.5kg/cm2であった。反応は180分間続きエステル化率は95%に達した。次に重量比0.035パーツの二酸化チタン、リン酸安定化剤、及びマンガンアセテート触媒を加え、温度250〜280℃で内部圧を1トルの略真空状態に下げ、反応物の粘度が0.60dl/gを超えるまで続けた。次に反応物は反応炉から取出され、冷却され円筒状の非晶質顆粒を形成した。得られた非晶質顆粒は、窒素ガスで満たされた又は略真空状態の固体重合反応炉に投入され、そのポリエステル顆粒は190〜220℃の温度で反応を続け、ポリエステル顆粒の粘度は0.95dl/gに上昇した。
得られたポリエステル顆粒がホモポリマーの一種である成分(A1)である。
【0055】
成分(A2)
重量比10.27パーツのビスヒドロキシエチルテレフタラートモノマー(BHET)と、重量比0.432パーツのイソフタル酸(IPA)と、重量比3,243パーツのエチレングリコール(EG)とを計測し、これらの材料を溶融重合反応用の反応炉に投入した。成分(A1)と同じ方法を使用し、所望の円筒状の非晶質顆粒を得た。得られた非晶質顆粒は、固体重合反応炉に投入され、ポリエステル顆粒の粘度は0.83dl/gに上昇した。
得られたポリエステル顆粒が、5モル%のイソフタル酸(IPA)を含む成分(A2)である。
【0056】
成分(A3)
重量比9.73パーツのビスヒドロキシエチルテレフタラートモノマー(BHET)と重量比0.864パーツのイソフタル酸(IPA)とを計測し、これらの材料を溶融重合反応用の反応炉に投入した。
溶融重合反応完了後、固体重合が行われ、ポリエステル顆粒の粘度は0.90dl/gに上昇した。
得られたポリエステル顆粒が、10モル%のイソフタル酸(IPA)を含む成分(A3)である。
【0057】
成分(A4)
重量比9.186パーツのビスヒドロキシエチルテレフタラートモノマー(BHET)と重量比1.296パーツのイソフタル酸(IPA)とを計測し、これらの材料を溶融重合反応用の反応炉に投入した。
溶融重合反応完了後、反応炉内の反応物の粘度は0.70dl/gに達した。次に固体重合が行われ、ポリエステル顆粒の粘度は1.20dl/gに上昇した。
得られたポリエステル顆粒は、固体重合中に発生した塊を含んでいた。ふるい機によりこれらの塊を完全に除去して得られたポリエステル顆粒が、15モル%のイソフタル酸(IPA)を含む成分(A4)である。
【0058】
成分(A5)
重量比8.970パーツのビスヒドロキシエチルテレフタラートモノマー(BHET)と、重量比1.470パーツのイソフタル酸(IPA)と、重量比3,243パーツのエチレングリコール(EG)とを計測し、これらの材料を溶融重合反応用の反応炉に投入した。
溶融重合反応完了後、反応炉内の反応物の粘度は0.75dl/gに達した。次に固体重合が行われ、ポリエステル顆粒を得た。
得られたポリエステル顆粒は、固体重合後、塊を含んでいた。塊を含んでいないポリエステル顆粒を取出し、その粘度を解析した。最後に得られた固有粘度1.0dl/gのポリエステル顆粒が、17モル%のイソフタル酸(IPA)を含む成分(A5)である。
【0059】
成分(B1)
重量比81パーツの精製テレフタル酸(PTA)と、重量比37パーツの1,3−プロパンジオールとを計測し、これらの材料を反応炉に投入し、直接エステル化を行った。
直接エステル化完了後、反応炉内の反応物は、更に真空環境下で重合反応をし、固有粘度0.75dl/gのポリトリメチレンテレフタラート(PTT)が得られた。これが成分(B1)である。
【0060】
成分(B2)
成分(B1)である固有粘度0.75dl/gのポリトリメチレンテレフタラート(PTT)が、更に窒素ガスで満たされた又は略真空状態の反応炉で190〜220℃の温度で固体重合反応をし、ポリトリメチレンテレフタラート(PTT)の粘度は0.80dl/gに上昇した。
得られたポリトリメチレンテレフタラート(PTT)が成分(B2)である。
【0061】
成分(B3)
成分(B1)である固有粘度0.75dl/gのポリトリメチレンテレフタラート(PTT)が、更に窒素ガスで満たされた又は略真空状態の反応炉で190〜220℃の温度で固体重合反応をし、ポリトリメチレンテレフタラート(PTT)の粘度は1.0dl/gに上昇した。
得られたポリトリメチレンテレフタラート(PTT)が成分(B3)である。
【0062】
成分(B4)
成分(B1)である固有粘度0.75dl/gのポリトリメチレンテレフタラート(PTT)が、更に窒素ガスで満たされた又は略真空状態の反応炉で190〜220℃の温度で固体重合反応をし、ポリトリメチレンテレフタラート(PTT)の粘度は1.2dl/gに上昇した。
得られたポリトリメチレンテレフタラート(PTT)が成分(B4)である。
【0063】
成分(B5)
成分(B1)である固有粘度0.75dl/gのポリトリメチレンテレフタラート(PTT)が、更に窒素ガスで満たされた又は略真空状態の反応炉で190〜220℃の温度で固体重合反応をし、ポリトリメチレンテレフタラート(PTT)の粘度は1.2dl/gに上昇した。
得られたポリトリメチレンテレフタラート(PTT)が成分(B5)である。
【0064】
実施例1
重量比5パーツの成分(A1)と、重量比95パーツの成分(B2)とを計測し、混合機を使用して成分(A1)と成分(B2)とを均一に混合し熱可塑性ポリエステル混合物を作った。
水分フリー空気で温度150℃で4時間乾燥させた後、その熱可塑性ポリエステル混合物を押し出し機に投入し、温度250〜270℃で溶融押し出しプロセスを行い、溶融コロイドを押し出し金型の環状開口を通して押し出し未伸張のチューブを形成し、直ちに冷却水タンク内で急冷した後、その未伸張のチューブは回転スピード100rpmの一対のフィードローラにより運ばれ、ヒータを通過して90〜100℃の温度に加熱された。次に、圧縮空気が導入され、ブロー拡張プロセスによりその未伸張のチューブは拡張され、元の直径の1.3倍の直径を持ったチューブを得た。そしてその拡張されたチューブは回転スピード105rpmの一対のニップローラによって伸張され、所望の熱収縮性チューブが得られた。
次に、上記プロセスにより作られた熱収縮性チューブの品質を確認するために一連の試験が行われた。
その試験はチューブブロー安定性試験と、チューブをオーブンで温度105℃で3時間、又は180℃で30分間、又は250℃で3分間加熱し被覆外観の完全性を検査する試験と、印刷されたチューブをアセトンで洗浄した後、印刷文字の完全性を検査する試験とを含む。
また、別の切断容易さ試験は、熱可塑性ポリエステル混合物でできた熱収縮性チューブが刃で容易に切断できるかを検査し、また熱収縮性チューブの切断断面が平坦か否かを検査する。
全ての試験結果を表1に示す。
【0065】
実施例2
重量比95パーツの成分(A1)と重量比5パーツの成分(B2)とを計測した以外は、実施例1と同じ方法を使用した。
試験結果を表1に示す。
【0066】
実施例3
重量比5パーツの成分(A2)と重量比95パーツの成分(B3)とを計測した以外は、実施例1と同じ方法を使用した。
試験結果を表1に示す。
【0067】
実施例4
重量比95パーツの成分(A2)と重量比5パーツの成分(B3)とを計測した以外は、実施例1と同じ方法を使用した。
試験結果を表1に示す。
【0068】
実施例5
重量比5パーツの成分(A3)と重量比95パーツの成分(B4)とを計測した以外は、実施例1と同じ方法を使用した。
試験結果を表1に示す。
【0069】
実施例6
重量比80パーツの成分(A3)と重量比20パーツの成分(B4)とを計測した以外は、実施例1と同じ方法を使用した。
試験結果を表1に示す。
【0070】
実施例7
重量比95パーツの成分(A3)と重量比5パーツの成分(B4)とを計測した以外は、実施例1と同じ方法を使用した。
試験結果を表1に示す。
【0071】
実施例8
重量比5パーツの成分(A4)と重量比95パーツの成分(B4)とを計測した以外は、実施例1と同じ方法を使用した。
試験結果を表1に示す。
【0072】
実施例9
重量比95パーツの成分(A4)と重量比5パーツの成分(B4)とを計測した以外は、実施例1と同じ方法を使用した。
試験結果を表1に示す。
【0073】
比較例1
成分(A1)だけから成り、実施例1と同様の方法で作られた熱収縮性チューブ。
試験結果を表1に示す。
【0074】
比較例2
成分(A2)だけから成り、実施例1と同様の方法で作られた熱収縮性チューブ。
試験結果を表1に示す。
【0075】
比較例3
成分(A3)だけから成り、実施例1と同様の方法で作られた熱収縮性チューブ。
試験結果を表1に示す。
【0076】
比較例4
成分(A4)だけから成り、実施例1と同様の方法で作られた熱収縮性チューブ。
試験結果を表1に示す。
【0077】
比較例5
成分(A5)だけから成り、実施例1と同様の方法で作られた熱収縮性チューブ。
試験結果を表1に示す。
【0078】
比較例6
成分(B3)だけから成り、実施例1と同様の方法で作られた熱収縮性チューブ。
試験結果を表1に示す。
【0079】
比較例7
重量比97パーツの成分(A3)と重量比3パーツの成分(B3)から成り、実施例1と同様の方法で作られた熱収縮性チューブ。
試験結果を表1に示す。
【0080】
比較例8
重量比3パーツの成分(A3)と重量比97パーツの成分(B3)から成り、実施例1と同様の方法で作られた熱収縮性チューブ。
試験結果を表1に示す。
【0081】
比較例9
重量比97パーツの成分(A3)と重量比3パーツの成分(B5)から成り、実施例1と同様の方法で作られた熱収縮性チューブ。
試験結果を表1に示す。
【0082】
比較例10
重量比97パーツの成分(A3)と重量比3パーツの成分(B1)から成り、実施例1と同様の方法で作られた熱収縮性チューブ。
試験結果を表1に示す。
【0083】
試験結果の考察
表1に示す熱可塑性ポリエステル混合物でできた熱収縮性チューブの全ては、チューブブロー安定性と、オーブンで105℃で3時間、又は180℃で30分間、又は250℃で3分間加熱のいずれでも被覆外観の完全性と、アセトンで洗浄後のチューブ上の印刷文字の完全性と、切断容易さ及び平坦さとにおいて、優れた特性を持っている。
【0084】
【表1】

表1に示す各成分の含有量は熱可塑性ポリエステル混合物における含有量である。表1内の記号の意味は下記のとおりである。
◎:良好; △:平均; ×:不良

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱収縮性チューブの製造に適した熱可塑性ポリエステル混合物であって、成分(A)と成分(B)との全重量のうち5〜95重量%の成分(A):固有粘度0.8〜1.2dl/gのホモ重合又は共重合ポリエチレンテレフタラート(PET)と、成分(A)と成分(B)との全重量のうち95〜5重量%の成分(B):固有粘度0.8〜1.2dl/gのポリトリメチレンテレフタラート(PTT)とから成る熱可塑性ポリエステル混合物。
【請求項2】
前記成分(A)は純粋テレフタル酸又はそのエステルがジオールと反応することで得られ、該ジオールは、エチレングリコール(EG)を主成分とし含み、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(NPG)、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(BEPG)、及びブチレングリコールからなる群から選択された少なくとも1つの少量ジオール成分を該ジオール全体の10モル%未満の量だけ含む請求項1に記載の熱可塑性ポリエステル混合物。
【請求項3】
前記成分(A)と成分(B)のうち1つは、成分(A)と成分(B)との全重量のうち0.005〜0.5重量%の1種類以上の無機顆粒を含み、該無機顆粒は、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、及び二酸化シリコンからなる群から選択され、そのサイズは1μm未満である請求項1又は2に記載の熱可塑性ポリエステル混合物。
【請求項4】
前記成分(A)と成分(B)のうちの1つが、ハロゲンフリー難燃剤を含む請求項1又は2に記載の熱可塑性ポリエステル混合物。
【請求項5】
熱水中で加熱することで縦方向(MD)に5%〜15%収縮し、横方向(TD)に35%を超える収縮をする熱収縮性チューブの製造プロセスであって、
熱可塑性ポリエステル混合物を押し出して未伸張のチューブを形成することと、
該チューブを急冷することと、
ガラス転移温度(Tg)より高い温度において縦方向(MD)に1.0〜3.0倍の伸張比で、横方向(TD)に1.3〜4.5倍の伸張比で同時に該チューブを伸張させるブロー拡張プロセスを行うことと、
該伸張されたチューブを急冷することと
を含み、
該熱可塑性ポリエステル混合物は、成分(A)と成分(B)との全重量のうち5〜95重量%の成分(A):固有粘度0.8〜1.2dl/gのホモ重合又は共重合ポリエチレンテレフタラート(PET)と、成分(A)と成分(B)との全重量のうち95〜5重量%の成分(B):固有粘度0.8〜1.2dl/gのポリトリメチレンテレフタラート(PTT)とから成る熱収縮性チューブの製造プロセス。
【請求項6】
前記得られた熱収縮性チューブを、電子部品に外被覆として密着させて、温度180℃で30分間、又は105℃で3時間、又は250℃で3分間加熱した後、該外被覆は、しわ変形、膨張、ゆるみ、剥離、クラック、又は立ち上り変形することなく完全な被覆状態を維持する請求項5に記載の熱収縮性チューブの製造プロセス。

【公開番号】特開2008−231423(P2008−231423A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−62392(P2008−62392)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(599011296)南亜塑膠工業股▲ふん▼有限公司 (10)
【Fターム(参考)】