説明

熱可塑性材料製の容器を製造するための成形装置

加熱した熱可塑性材料製の予形成体からブロー成形または延伸ブロー成形により容器を製造するための成形装置(1)であって、少なくとも2個の型ハーフ(3,4)と、これら型ハーフが互いに離れる開放位置と、互いに密着する閉鎖位置との間で移動させる駆動手段(5)とを有する少なくとも1個の成形型(2)を備え、2個の型ハーフ(3,4)を互いにヒンジ連結して、結合平面内に存在しかつ成形キャビティの軸線(Y−Y)に直交するヒンジ軸線(X−X)の周りに回転可能にし、このヒンジ軸線(X−X)は型ハーフ(3,4)の下方に配置するとともに、型ハーフ(3,4)を閉鎖位置にロックするロック手段を設けた、該成形装置(1)において、各型ハーフ(3,4)は、型ハーフ(3,4)を閉鎖位置にロックするロック手段(21)の内側表面領域(23)に衝合可能な外側表面領域(22)を有し、また前記ロック手段(21)は2個の型ハーフ(3,4)を閉鎖位置にロック可能なクランプ(25)の形式としたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、加熱した熱可塑性材料で形成した予形成体から、ブロー成形または延伸ブロー成形により容器を製造するための成形装置の分野に関する。
【0002】
本発明は、少なくとも2個の型ハーフを有する少なくとも1個の成形型を備える成形装置であって、型は、互いに離れる開放位置と、対応する整合面が結合面を画定することで型ハーフが互いに緊密に圧着される閉鎖位置との間で相互に変位可能にした、該成形装置に関する。
【背景技術】
【0003】
容器を製造するための成形装置としては、主に2タイプの装置が、先行技術で知られている。
【0004】
第1の成形装置は、揺動開放するタイプの開口、すなわち成形装置の一方の型ハーフを回転式のカルーセル(回転台)に固定し、他方の型ハーフが下方に移動するよう半径方向外方に回動して開放する開口と、軸線方向に取り外し可能な型ベースとを有する。しかし、可動ハーフは半径方向外方に開放することにより、この成形装置は不利な遠心力を受けて、型ベースの動きと同期するために比較的精確な調整を必要とする。
【0005】
第2タイプの成形装置は、二枚貝タイプの成形装置に関し、とくに特許文献1(仏国特許第2863930号)に記載されてように、このタイプの成形装置は、対応する整合面を持つ少なくとも2個の端縁をそれぞれ有する2個の型ハーフを備え、整合面は、各対向する整合面が成形型の閉鎖位置において半径方向に協調動作して2個の端縁が相互にオーバーラップするよう構成し、このオーバーラップした端縁にロック手段を機能的に関連させて、容器をブロー成形する作業中に成形型が開放するのを阻止する。言い換えれば、2個の型ハーフは、結合面の片側とほぼ平行なシャフトの周りに回転するように相互に関節的なヒンジ連結をし、またロック手段を成形型の反対側で2個の型ハーフのシャフトに設ける。
【0006】
実際上、各型ハーフは型ホルダを設け、この型ホルダの内部には、型ハーフ刻印を備えたシェルを固定し、結合面は成形型の閉鎖位置で互いに圧着する2個のシェルによって画定し、また固定手段を2個の型ホルダによって支持する。
【0007】
その他には、特許文献2(仏国特許第2841495号)に記載されるような、3部分の成形型を有する二枚貝タイプの成形装置を設けることもでき、すなわち容器本体のための2個の型ハーフ、および容器ベースのための型ベースを有し、2個の型ハーフの下方部分および型ベースの上方部分には、成形型の閉鎖位置において相互に入れ子状態になる入れ子手段を設けて、ブロー圧力下で成形型の軸方向剛性を付与する。
【0008】
成形した容器の質という観点からは十分であるけれども、先行技術から既知の成形はいくつかの欠点があり、これら成形装置から成形した容器の製造における時間当たりの速度を大きく制限する結果となる。
【0009】
第1に、容器を成形装置に搬送する時点から成形済み容器の最終受け取り部にいたる運動学的連鎖は、比較的長く、一連の多くの部分が介在する。
【0010】
さらに、成形型の開閉および成形型をロックする手段の作動の制御は、十分な遊びをもたせる多くの部分の調節を必要とする。
【0011】
一般的に、開閉手段の制御、ならびに成形装置をロックおよびロック解除する手段の制御は、開閉制御のためのダブルカムおよびローラーよりなる第1アセンブリと、ロックおよびロック解除制御のためのダブルカムおよびローラーよりなる第2アセンブリとを用いて実施し、2個のアセンブリは互いに機械的に独立して作動し、このことは調整問題を4倍化することになり、このような調整中に時間損失を生ずる。したがって、開閉作動および成形装置のロック解除動作が簡単な制御で実施できる成形装置を製造することが特に有益である。
【0012】
さらに、成形装置のロック/ロック解除手段は、一般的に型ハーフの各端縁に沿って設けるため、容器を成形した後に容器を搬出するのを阻害しそうなほどの体積を占める。
【0013】
さらに、現在使用されているロック/ロック解除手段は、磨耗のために定期的に交換することを必要とするロックフィンガに関連するものである。
【0014】
2個の型ハーフのロックおよびロック解除を容易にする成形装置を製造することも、とくに有益である。
【0015】
成形した容器の質を改善するため、特に結合平面の視認性をよくするため、成形型内部に補償チャンバを設ける必要があり、この補償チャンバの動作モードはロックおよびロック解除手段と同期させることを必要とするが、このことは他の調整を困難にする。
【0016】
二枚貝タイプの成形装置において、圧力補償チャンバを設けて、成形型内部の密閉性を保障するために型ハーフと協調動作する。より正確には、特許文献3(仏国特許第2813231号)は、型素子およびその支持体により構成される2個の実体間に補償チャンバを備える成形装置を提案し、補償チャンバの内部に加圧流体を注入して型素子を支持体から離れるよう移動させ、チャンバは型素子のうち少なくとも一方の型素子と関連する支持体との間に配置して、この一方の型素子を後退位置から前方位置に横方向に他方の型素子に向かって押し出す。
【0017】
しかし、補償チャンバは、1.5リットルよりも大きいボトルは補償することができない。さらに、補償チャンバは片方の型ハーフにしか存在しないため、2個の型ハーフ間における不均衡な剛性に基因して結合平面間に誤整列を生ずる。
【0018】
同様に、補償チャンバの存在は、組み立てや実装を比較的複雑にする。したがって、型支持体と型ハーフの型ブロックとの間に補償チャンバを必要としない成形装置を製造することは特に有益である。
【0019】
さらに、先行技術による成形装置の熱効率は、少なくとも2個の型ハーフと型ベースとの間における熱の流れに多くの熱交換が存在するに基因して減少し、この熱効率は、さらに、型ベースを冷却し、また少なくとも2個の型ハーフを加熱する場合のように、熱抵抗(HR)ブロー成形形態において一層減少しさえする。
【0020】
現在製造されている成形装置は、1成形装置につき、1時間あたり1800本のボトルを生産する最大速度しか達しておらず、これは、とくにカムおよびローラーの制御アセンブリの振動および変形による多くの動力学的誤差の存在、ならびに成形装置の充填および磨耗の問題に基因するものである。
【0021】
調整公差(許容)範囲もまた極めて小さく、すなわち1mmの1/10オーダーである。したがって、より調整公差が大きい成形装置を製造することは特に有益である。
【0022】
補償チャンバの全長もまた制限されており、調整は困難である。
【0023】
さらに、流体接続を行うには、成形装置の比較的大きな容積のために、問題となりがちである。
【0024】
加熱した熱可塑性材料性の予形成体からブロー成形または延伸ブロー成形により容器を製造する成形を製造することは、特許文献4(日本国特許第09057838号)から既知であり、この成形装置は、少なくとも2個の型ハーフを有する少なくとも1個の成形型と、型ハーフが互いに離れ開放位置と結合面を画定する対応の整合面が互いに接触して緊密に圧着し、また型キャビティを画定する閉鎖位置との間で型ハーフを変位させることができる駆動手段と、を備え、2個の型ハーフは結合平面内に存在しかつ型キャビティの軸線に直交するヒンジ軸線の周りに互いに回転可能にヒンジ連結し、ヒンジ軸線は2個の型ハーブの下側に位置する。しかし、この従来の実施形態は、容器をブロー成形する際の、2個の型ハーフの完全なロックを保証することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】仏国特許第2863930号明細書
【特許文献2】仏国特許第2841495号明細書
【特許文献3】仏国特許第2813231号明細書
【特許文献4】日本国特許第09057838号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
したがって、とくに、運動学的連鎖を改善する、成形した容器の質を改善する、すなわち結合平面が完全にまたはほとんど見えない容器を得る、成形装置の熱効率を改善する、すなわち熱損失を削減する、機械的速度を増加する、すなわち1成形装置につき1時間あたり1800本以上のボトル生産速度にする、成形装置の調査公差(許容範囲)を改善する、成形装置内における流体接続部を削減する、製造コストを最小化する、より軽く、任意のブロー成形により適切な材料を使用可能にする、予形成体をブローする際の型ハーフのロックする、ならびに異なる型部分の交換を自動化する、すなわちブロー成形すべき容器の刻印を形成するシェルまたは成形素子を自動交換する、ことを保証することができる成形装置を製造することはとくに有益である。
【課題を解決するための手段】
【0027】
これらの異なる要因に対応するために、本発明は加熱した熱可塑性材料製の予形成体から、ブロー成形または延伸ブロー成形により容器を製造するための成形装置に関し、この成形装置は、少なくとも2個の型ハーフと、これら型ハーフが互いに離れる開放位置、および結合平面を画定する対応の整合面が互いに密着し、これにより型キャビティを画定する閉鎖位置の間で前記型ハーフを変位させることができる駆動手段とを有する少なくともl個の成形型を備え、2個の型ハーフは、結合平面内に存在しかつ前記型キャビティの軸線に直交するヒンジ軸線の周りで互いに回転可能にヒンジ連結し、前記ヒンジ軸線を2個の型ハーフの下方に配置し、2個の型ハーフを閉鎖位置にロックするロック手段を設け、各型ハーフには、これら2個の型ハーフを閉鎖位置にロックするロック手段の内側表面領域に衝合可能な外側表面領域を設け、各型ハーフの外側表面領域はロック手段の内側表面領域と補完し合う形状にし、したがって、2個の表面領域が互いに接触するとき、2個の型ハーフそれぞれに向かって半径方向内方に指向する互いに逆方向の2つの力を生じ、固定手段は閉鎖位置にある2個の型ハーフを包囲できるカラーの形式とする。
【0028】
有利な実施形態によれば、本発明による装置の全体積を制限するために、カラーは2個の型ハーフを駆動する駆動手段に設ける。
【0029】
有利には、表面領域はテーパ付きの形状にする。
【0030】
有利な実施形態によれば、ヒンジ軸線を2個の型ハーフの下方に距離を空けて配置する。
【0031】
有利な実施形態によれば、駆動手段は、型キャビティの軸線とほぼ平行な方向に移動可能であり、また2個の型ハーフと協調動作可能な移動アセンブリを備え、これにより、移動アセンブリが下方位置にあるときに、2個の型ハーフは開放位置をとり、移動アセンブリが上方位置にあるとき、2個の型ハーフは閉鎖位置をとるよう構成する。
【0032】
有利には、駆動手段は、2個の型ハーフの各整合面に隣接する横面および移動アセンブリに、それぞれ設けた協調カムフォロワおよびカムを有するカムフォロワおよびカム手段を備える。
【0033】
カムフォロワおよびカム手段の第1実施形態によれば、2個の型ハーフにそれぞれ属する2個の横面上で各整合面に隣接して設けた2個のカムフォロワと、移動アセンブリ上にそれぞれ設けた2個のカムとを有する構成とする。
【0034】
カムフォロワおよびカム手段の第2実施形態によれば、移動アセンブリ上に取り付けた2個のカムフォロワと、2個の型ハーフにそれぞれ属する2個の横面上で各整合面に隣接してそれぞれ設けた2個のカムとを有する構成とする。
【0035】
2個の表面領域の間における磨耗を制限するために、表面領域を、ほぼテーパ付きの形状にする。
【0036】
型キャビティの軸線とほぼ平行な方向への移動アセンブリの変位を制御するために、カムと協調可能なローラーを移動アセンブリに固定する。
【0037】
有利には、移動アセンブリは、ヒンジ軸線に関して固定的に設け、またガイドレール上でスライド可能とする。
【0038】
好適には、ガイドレールを2個の型ハーフにおけるヒンジ軸線の支持素子上に設ける。
【0039】
実施形態によれば、ガイドレール上をスライド可能であって、移動アセンブリに固定した少なくとも1個の台車を有する構成とする。
【0040】
2個の型ハーフの開放位置から閉鎖位置への移動アセンブリの変位を容易にするために、本発明による成形装置は、移動アセンブリとヒンジ軸線の支持素子との間に、望ましくはピストン手段などの復帰手段を備える。
【0041】
2個の型ハーフを構成する異なる部分のメンテナンスを容易にするために、各型ハーフは、ヒンジ軸線に固定した下方部分と、少なくともl個のシェルホルダおよび成形すべき容器の刻印を少なくとも部分的に形成した1個のシェルを有する上方部分と、を備える。
【0042】
有利には、2個の型ハーフを閉鎖位置にロックするロック手段は、2個の型ハーフの上方部分に休止可能な構成とする。
【0043】
実施形態によれば、移動アセンブリは、2個の型ハーフを少なくとも部分的に包囲するスリーブとする。
【0044】
ロック手段の交換を容易するために、止め細条をシェルホルダの外側表面に固定し、止め細条の外側表面ゾーンは、2個の型ハーフにおけるロック手段の内側表面ゾーンに対して衝合可能とする。
【0045】
ブロー成形済みのブランク(予形成体)の搬送時間を削減するため、またブランクをブロー成形後に持ち上げる必要を回避するため、成形装置は、2個の型ハーフの一方に固定手段を用いて連結した、軸方向に移動可能な型ベースを備える。
【0046】
型ベースの軸線方向のスライド移動を型ハーフの開放/閉鎖動作に同期させるために、固定手段は、型ベースに固定した少なくとも1個のローラーであって、2個の型ハーフの一方に固定した少なくとも1個のカムと協調動作可能な該ローラーを有するものとし、これにより、2個の型ハーフが閉鎖位置にあるとき、型ベースは上方位置をとり、2個型ハーフが開放位置にあるとき、型ベースは下方位置をとる構成とする。
【0047】
わずかな変形を許容して、ブランクをブロー成形する作業中の型ハーフのロックを改善するために、止め細条は、ブランクをブロー成形していないとき、移動アセンブリが上方位置にある状態でロック手段と接線接触するよう構成する。
【0048】
有利には、止め細条は、ブランクのブロー成形中に、ロック手段の内側表面に対して圧着可能な構成とする。
【0049】
本発明を、以下に、本発明の範囲を限定するものではない、実施形態を使用し、以下の図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明による成形装置の、2個の型ハーフが開放位置にあり、分かり易くするため2個の型ハーフの駆動手段を示さない、斜視図である。
【図2】本発明による成形装置の開放状態を示す斜視図である。
【図3】本発明による成形装置の閉鎖状態を示す斜視図である。
【図4】本発明による成形装置に組み込み可能である軸方向移動可能な型ベースの実施形態の斜視図である。
【図5】図4に示した型ベースと本発明による成形装置の型ハーフとの間におけるロック手段の、ブロー成形のための閉鎖状態を示す斜視図である。
【図6】図4に示した型ベースと本発明による成形装置の型ハーフとの間におけるロック手段の、ブロー成形されたブランクを搬送するための開放状態を示す、斜視図である。
【図7】本発明による成形装置の特別な実施形態の斜視図である。
【図8】閉鎖位置にあってロック手段によりロックした状態を示す型ハーフの頂面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1に、加熱した熱可塑性材料製の予形成体からブロー成形または延伸ブロー成形により容器を製造するための成形装置1の斜視図を示す。
【0052】
以下の記載において、垂直方向、水平方向、上方、下方などの用語は、広範囲にわたる成形装置の実施例である図面を参照して用いる。これらの用語は、単に説明上分かり易くするために用いるものであり、本発明を限定するものと解釈するべきではない。
【0053】
成形装置1は、少なくとも2個の型ハーフ3,4を有する少なくとも1個の成形型2と、駆動手段5(分かり易くするため図1には図示さず、図2,3,および7に示す)とを備えて、駆動手段5は、型ハーフ3,4を、図1および2に示すような互いに離れる開放位置と、図3に示すような閉鎖位置との間で変位させることができるものとし、閉鎖位置では、結合平面Pを画定し、型キャビティを画定する対応する整合面6,7によって互いに緊密に圧着する。
【0054】
より正確には、閉鎖位置にある2個の型ハーグ3,4は、ブロー成形されるブランク(予形成体)の刻印に対応する成形キャビティを画定する。
【0055】
2個の型ハーフ3,4は、結合平面P内に存在し、かつ成形キャビティの軸線Y−Yに直交するヒンジ軸線X−Xの周りに回転するよう互いにヒンジ連結し、ヒンジ軸線X−Xは2個の型ハーフ3,4の下方に位置する。
【0056】
「成形キャビティ軸線」はブローチューブのブロー軸線として理解されたい。
【0057】
ヒンジ軸線X−Xは、2個の型ハーフ3,4の下方で型ハーフから距離を空けて配置する。言い換えれば、ヒンジ軸線X−Xを2個の型ハーフ3,4よりも床に近接する位置に配置する。代案として、ヒンジ軸線X−Xを2個の型ハーフ3,4に直接貫通するように設けることができる。
【0058】
成形装置1は、さらに、2個の型ハーフ3,4に固定し、また型ハーフ3,4に補完し合う形状を有する型ベース8を備え、これにより、2個の半鋳型3,4は閉鎖状態で型ベース8に重なり、密封した成形キャビティを形成することができる。
【0059】
好適には、成形ベース8をヒンジ軸線X−Xにほぼ直交するよう設けた固定支柱9上に固定して設ける。しかし、2個の型ハーフ3,4が閉鎖位置にあるとき、型ハーフ内に入れ子式に収納できる型ベース8を軸線方向に移動可能に設けることもできる(図5,6参照)。
【0060】
駆動手段5は、型キャビティの軸線Y−Yとほぼ平行な方向に変位でき、また2個の型ハーフ3,4と協調動作可能な移動アセンブリ10を備え、これにより、移動アセンブリ10が下方位置にあるとき、2個の型ハーフ3,4は開放位置をとり、移動アセンブリ10が上方位置にあるとき、2個の型ハーフ3,4は閉鎖位置をとる。
【0061】
駆動手段5は、2個の型ハーフ3,4の各整合面6,7に隣接して2個の型ハーフ3,4の横面12,13、および移動アセンブリ10にそれぞれ設けた、協調動作するカムフォロワおよびカムを有する手段11を備える。
【0062】
図に示す第1実施形態によれば、2個のカムフォロワ14,15を、2個の型ハーフ3,4にそれぞれ属して各整合面6,7に隣接する2個の横面12,13に取り付け、2個のカム19,20を移動アセンブリにそれぞれ設ける。
【0063】
第1実施形態とは逆の第2実施形態(図示せず)によれば、2個のカムフォロワを移動アセンブリ10に取り付け、2個のカムを2個の型ハーフ3,4にそれぞれ属して各整合面6,7に隣接する2個の横面12,13内に形成する。
【0064】
成形装置1は、閉鎖状態で2個の型ハーフ3,4をロックするロック手段21を有し、各型ハーフ3,4は、2個の型ハーフ3,4を閉鎖位置にロックするロック手段21の内側表面領域23に衝合可能な外側表面領域22を有し、各型ハーフ3,4の外側表面領域22は、ロック手段21の内面領域23と補完し合う形状を有し、したがって、2個の表面領域22,23が互いに接触する位置にあるとき、2個の型ハーフ3,4に向かう半径方向内向きの、また好適には型キャビティの軸線Y−Yに向かう、互いに対向する逆方向の2つの力が発生し、これにより控え壁の原理を実施することができ、このことを以下により詳細に説明する。
【0065】
ある実施形態によれば、表面領域22,23にはほぼテーパを付ける。
【0066】
図に示す実施形態によれば、ロック手段21を駆動手段5に組み込む、すなわち、ロック手段21は移動アセンブリ10に属して、2個の型ハーフ3,4を包囲することのできるスリーブ24の形式とする。しかし、代案として、型ハーフ3,4を互いに圧着させることができる任意の形状、例えばピストンタイプの手段を用いるロック手段21を設けることができる。
【0067】
ロック手段21は、型ハーフ3,4を駆動する駆動手段5すなわち移動アセンブリ10に属するカラー25の形式とし、閉鎖位置において型ハーフ3,4を包囲することができる。
【0068】
カム27と協調動作可能なローラー26を移動アセンブリ10に固定し、型キャビティの軸線Y−Yとほぼ平行な方向における移動アセンブリ10の変位を制御する。
【0069】
したがって、成形装置1は図2に示すように2個の型ハーフが開放位置にあり、ローラー26が下方位置にある状態は、ローラー26がカム27に進入する直前の状態を示し、このカム27はローラー26を、図3に示す上方位置に上昇させる制御でき、この上方位置は、2個の型ハーフ3,4の閉鎖位置に対応する。
【0070】
移動アセンブリ10は、回転カルーセル(回転台)に固定可能できる支持体またはフレーム29内に形成し、型キャビティの軸線Y−Yに関して固定して設けた少なくとも1個のガイドレール28に沿ってスライド可能とし、これにより、複数個の成形装置1をカルーセルの周縁に沿って配置することができる。
【0071】
好適には、移動アセンブリ10を、ガイドレール28上をスライド可能な少なくとも一つの台車30(好適には2個の台車30)上に固定する。
【0072】
各型ハーフ3,4は、ヒンジ軸線X−Xに固定した下方部分31と、少なくとも1個のシェルホルダ33およびシェル34を備える上方部分32とを備え、シェル34内には成形すべき容器の刻印を少なくとも部分的に形成し、ロック手段5、好適には2個の型ハーフ3,4のカラー25は、2個の型ハーフ3,4の閉鎖位置で、2個の型ハーフ3,4の2個の上方部分上に休止できる。
【0073】
実施形態によれば、止め細条35をシェルホルダ33の外側表面上に固定して、細条35の外側表面ゾーンは、2個の型ハーフ3,4をロックするロック手段5の内側表面ゾーンに衝合可能とする。
【0074】
本発明による成形装置1は、復帰手段、好適にはピストン手段44(以下に図7につき詳細に説明する)を、移動アセンブリ10とヒンジ軸線X−Xを支持する支持素子またはフレーム29との間に備え、この復帰手段により、移動アセンブリ10を開放位置から2個の型ハーフ3,4の閉鎖位置に向かう上方変位を容易にする。
【0075】
図4は型ベース8の部分斜視図を示し、この型ベース8は、軸線方向に移動可能とし、また固定手段によって、例えば図6に示すように、本発明による成形装置1の型ハーフ4に固定する。
【0076】
より正確には、型ベース8を起端とするロッド36を、好適には型キャビティの軸線とほぼ同軸状に設け、このロッド36上にガイドレール37を任意のそれ自体既知の手段により固定する。
【0077】
保持素子38を、H形素子の形式としてフレーム29に固定し、第1プレート38aをフレーム29に固定し、第2プレート38bを型ベース8のロッド36のガイドレール37上をスライド可能な台車39に固定する。
【0078】
カム41と協調動作可能な少なくとも1個のローラー40を、ロッド36に固定して設ける。好適には、それぞれカム41,43と協調動作する2個のローラー40,42を設ける。
【0079】
2個の型ハーフ3,4の一方において、少なくとも1個のカム41,43を固定して設け、好適には型ハーフ3,4に内蔵して、とくに型ハーフ3,4の下方部分31内にカム41,43の一部が突出する状態となるよう内蔵することで、ローラー40,42と協調動作させる。
【0080】
カム41,43の突出部分は、型ハーフ3,4が閉鎖位置にある状態で型ベース8は上方位置にあり(図5参照)、型ハーフ3,4を開放させる移動は型ベース8を下方への軸線方向移動させる(図6参照)形状にする。
【0081】
図7は、ラム44を設けた本発明による成形装置1の実施形態を示し、ラムのピストンロッド45を移動アセンブリ10にリンク連結し、およびラムの本体をフレーム29に固定する。
【0082】
好適には、ラム44は二つの限界圧力間で作動し、移動アセンブリ10が下方位置にあって2個の型ハーフ3,4が開放位置にある状態では高圧力、移動アセンブリ10が上方位置にあって2個の型ハーフが閉鎖位置にある状態では低圧力となるようにする。
【0083】
より正確には、ラム44の下方チャンバを加圧することで、移動アセンブリ10はロッド45を介してラム44によりスラスト運動をさせるようにする。
【0084】
このようにして、下方位置から上方位置へ通過するときの移動アセンブリ10の上方移動が、移動アセンブリ10の質量に関わらず容易になる。
【0085】
もちろん、移動アセンブリ10とフレーム29との間に1個以上のラムを設ける、またはばね手段を設けることができる。
【0086】
図8は閉鎖位置ありロック手段21によりロックした状態の型ハーフの頂面図である。
【0087】
図8から分かるように、止め細条35は、移動アセンブリ10が上方位置にある状態、すなわち2個の型ハーフが閉鎖位置にある状態であるがブランク(予形成体)をまだブロー成形していないときに、ロック手段21に対して接線方向の接触をし、止め細条35がブランクのブロー成形中にロック手段21の内側表面23を圧着できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱した熱可塑性材料製の予形成体からブロー成形または延伸ブロー成形により容器を製造する成形装置(1)であって、少なくとも2個の型ハーフ(3,4)と、これら型ハーフが互いに離れる開放位置、および結合平面(P)を画定する対応の整合面(6,7)が互いに密着し、これにより型キャビティを画定する閉鎖位置の間で前記型ハーフ(3,4)を変位させることができる駆動手段(5)とを有する少なくとも1個の成形型(2)を備え、前記2個の型ハーフ(3,4)は、前記結合平面(P)内に存在しかつ前記型キャビティの軸線(Y−Y)に直交するヒンジ軸線(X−X)周りで互いに回転可能にヒンジ連結し、前記ヒンジ軸線(X−X)を前記2個の型ハーフ(3,4)の下方に配置し、前記2個の型ハーフ(3,4)を閉鎖位置にロックするロック手段(21)を設けた該成形装置(1)において、各型ハーフ(3,4)には、これら2個の型ハーフ(3,4)を閉鎖位置にロックする前記ロック手段(21)の内側表面領域(23)に衝合可能な外側表面領域(22)を設け、各型ハーフ(3,4)の外側表面領域(22)はロック手段(21)の内側表面領域(23)と補完し合う形状にし、したがって2個の表面領域(22,23)が互いに接触するとき、前記2個の型ハーフ(3,4)それぞれに向かって半径方向内方に指向する互いに逆方向の2つの力を生じ、前記ロック手段(21)は閉鎖位置にある前記2個の型ハーフ(3,4)を包囲できるカラー(25)の形式とした、ことを特徴とする、成形装置。
【請求項2】
請求項1に記載の成形装置において、前記カラー(25)は前記2個の型ハーフ(3,4)を駆動する前記駆動手段(5)に属する構成としたことを特徴とする、成形装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の成形装置において、前記表面領域(22,23)はほぼテーパ付き形状にしたことを特徴とする、成形装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の成形装置において、前記ヒンジ軸線(X−X)を前記2個の型ハーフ(3,4)の下方に型ハーフと距離を空けて配置したことを特徴とする成形装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の成形装置において、前記駆動手段(5)は、型キャビティの軸線(Y−Y)とほぼ平行な方向に変位可能であり、また前記2個の型ハーフ(3,4)と協調動作可能な移動アセンブリ(10)を備え、これにより、移動アセンブリ(10)が下方位置にあるときに、前記2個の型ハーフ(3,4)は開放位置をとり、移動アセンブリ(10)が上方位置にあるときに、前記2個の型ハーフ(3,4)は閉鎖位置をとることを特徴とする、成形装置。
【請求項6】
請求項5に記載の成形装置において、前記駆動手段(5)は、前記2個の型ハーフ(3,4)の各整合面(6,7)に隣接する横面および移動アセンブリ(10)に、それぞれ設けた協調カムフォロワおよびカムを有する手段(11)を備えたことを特徴とする、成形装置。
【請求項7】
請求項6に記載の成形装置において、前記2個の型ハーフ(3,4)にそれぞれ属する2個の横面(12,13)上で各整合面(6,7)に隣接して2個のカムフォロワ(14,15)を設け、移動アセンブリ(10)上にそれぞれ2個のカム(19,20)を設けたことを特徴とする、成形装置。
【請求項8】
請求項6に記載の成形装置において、移動アセンブリ(10)上に2個のカムフォロワを取り付け、前記2個の型ハーフ(3,4)にそれぞれ属する2個の横面(12,13)上で各整合面(6,7)に隣接してそれぞれ2個のカム(19,20)を設けたことを特徴とする、成形装置。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれか一項に記載の成形装置において、カム(27)と協調動作可能であって移動アセンブリ(10)に固定したローラー(26)を備え、これにより型キャビティの軸線(Y−Y)とほぼ平行な方向への移動アセンブリ(10)の前記変位を制御するよう構成したことを特徴とする、成形装置。
【請求項10】
請求項5〜9のいずれか一項に記載の成形装置において、少なくとも1個のガイドレール(28)を備え、このガイドレールはヒンジ軸線(X−X)に関して固定的に設け、またこのガイドレール上で移動アセンブリ(10)をスライド可能にしたことを特徴とする、成形装置。
【請求項11】
請求項10に記載の成形装置において、前記ガイドレール(28)を、前記2個の型ハーフ(3,4)のヒンジ軸線(X−X)の支持素子(29)上に設けたことを特徴とする、成形装置。
【請求項12】
請求項11に記載の成形装置において、前記ガイドレール(28)上をスライド可能であって移動アセンブリ(10)に固定した少なくとも1個の台車(30)を有する構成としたことを特徴とする、成形装置。
【請求項13】
請求項5〜12のいずれか一項に記載の成形装置において、好適にはピストン手段(44)である復帰手段を、移動アセンブリ(10)とヒンジ軸線(X−X)の支持素子(29)との間に備え、この復帰手段を用いて前記2個の型ハーフ(3,4)の開放位置から閉鎖位置に移動アセンブリ(10)を変位させることを容易にする構成としたことを特徴とする、成形装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の成形装置において、各型ハーフ(3,4)は、ヒンジ軸線(X−X)に固定した下方部分(31)と、少なくとも1個のシェルホルダおよび成形すべき容器の刻印を少なくとも部分的に形成した1個のシェルを有する上方部分(32)と、を備えることを特徴とする、成形装置。
【請求項15】
請求項14に記載の成形装置において、前記2個の型ハーフ(3,4)を閉鎖位置にロックするロック手段(21)は、前記2個の型ハーフ(3,4)の上方部分(32)上に休止可能な構成としたことを特徴とする、成形装置。
【請求項16】
請求項5〜15のいずれか一項に記載の成形装置において、前記移動アセンブリ(10)は、前記2個の型ハーフ(3,4)を少なくとも部分的に包囲するスリーブとしたことを特徴とする、成形装置。
【請求項17】
請求項14〜16のいずれか一項に記載の成形装置において、止め細条(35)を、シェルホルダ(33)の外側表面に固定し、前記止め細条(35)の外側表面ゾーンは、前記2個の型ハーフ(3,4)のロック手段(21)の内側表面ゾーン(23)に対して衝合可能にしたことを特徴とする、成形装置。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の成形装置において、さらに、前記2個の型ハーフ(3,4)の一方に固定手段を用いて連結した、軸線方向に移動可能な型ベース(8)を備えたことを特徴とする、成形装置。
【請求項19】
請求項18に記載に成形装置において、前記固定手段は、型ベース(8)に固定した少なくとも1個のローラー(41,43)であって、前記2個の型ハーフ(3,4)の一方に固定した少なくとも1個のカム(41,43)と協調動作可能な該ローラー(41,43)を有するものとし、これにより、前記2個の型ハーフが閉鎖位置にあるとき、型ベース(8)は上方位置をとり、前記2個の型ハーフが開放位置にあるとき、型ベース(8)は下方位置をとる構成としたことを特徴とする、成形装置。
【請求項20】
請求項17〜19のいずれか一項に記載の成形装置において、前記止め細条(35)は、ブランクをブロー成形していないとき、移動アセンブリ(10)が上方位置にある状態で前記ロック手段(21)に接線接触するよう構成したことを特徴とする、成形装置。
【請求項21】
請求項17〜20のいずれか一項に記載の成形装置において、前記止め細条(35)は、ブランクのブロー成形中に前記ロック手段(21)の内側表面(23)に対して圧着可能な構成としたことを特徴とする、成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−519092(P2010−519092A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551242(P2009−551242)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【国際出願番号】PCT/FR2008/050274
【国際公開番号】WO2008/113932
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(504102770)シデル パルティシパション (46)
【氏名又は名称原語表記】SIDEL PARTICIPATIONS
【Fターム(参考)】