説明

熱可塑性樹脂部材の製造方法

【課題】熱板を使用して熱可塑性樹脂部材とフィルム状物を熱融着する方法を用いる場合にフィルム状物に熱で生じた皺が熱可塑性樹脂部材の流路へ入り込むことで流路を塞ぐのを解決する。
【解決手段】溝状部を有する熱可塑性樹脂部材1に熱可塑性樹脂からなるフィルム状物2を熱可塑性樹脂部材の溝状部を有する面に熱板4を使用して圧力を加えて熱融着する製造方法であって熱板とフィルム状物の間に熱可塑性樹脂部材の溝状部に相当する箇所に空隙を有するシート状介在物3を挿んで加圧する熱可塑性樹脂部材の製造方法であり、溝状部を有する熱可塑性樹脂部材1に熱可塑性樹脂からなるフィルム状物2を熱可塑性樹脂部材の溝状部を有する面に熱板4を使用して圧力を加えて熱融着する製造方法であって、熱板とフィルム状物の間に熱可塑性樹脂部材の溝状部に相当する箇所を避けて複数枚のシート状介在物3を配置して挿んで加圧する熱可塑性樹脂部材の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂部材の製造方法に関し、特に、医療機器、医療検査装置に用いられる微小溝等を有する熱可塑性樹脂部材にフィルム状物を接着することで液体の流路を有する熱可塑性樹脂部材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体の流路を有する熱可塑性樹脂部材を製造するには、熱可塑性樹脂部材に機械加工にて穴あけを行う方法がある。この場合、流路を希望の形状に設置することが難しく、また流路径が小さくなればなるほど加工が難しくなる。
【0003】
また、微小溝、凹みを有する熱可塑性樹脂部材に、フィルムを接着する方法には接着剤、溶剤を使用する方法がある。この場合、接着剤、溶剤の塗布のコントロールが難しく狙った接着強度が得られないことや本来接着剤、溶剤を流したくない箇所へ流入することがあり、特に医療用途では残存する接着剤、溶剤が部材の性能に影響を及ぼす懸念があり、好ましくない。
【0004】
また、熱可塑性樹脂部材とフィルムを熱融着する方法がある(特許文献1参照)。この場合基本的に精度を求める工法ではない。熱可塑性部材に微小な溝を有している場合には、フィルムが熱で皺が生じ流路へ入り込むことで流路を塞いでしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−304352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、例えば、医療機器、医療検査装置に用いられる液体の流路を有する熱可塑性樹脂部材において、熱板を使用して熱可塑性樹脂部材とフィルム状物を熱融着する方法を用いる場合に、フィルム状物に熱で生じた皺が熱可塑性樹脂部材の流路へ入り込むことで流路を塞ぐという問題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、溝状部を有する熱可塑性樹脂部材に、熱可塑性樹脂からなるフィルム状物を熱可塑性樹脂部材の溝状部を有する面に熱板を使用して圧力を加えて熱融着する製造方法であって、熱板とフィルム状物の間に熱可塑性樹脂部材の溝状部に相当する箇所に空隙を有するシート状介在物を挿んで加圧する熱可塑性樹脂部材の製造方法であり、さらに、溝状部を有する熱可塑性樹脂部材に熱可塑性樹脂からなるフィルム状物を熱可塑性樹脂部材の溝状部を有する面に熱板を使用して圧力を加えて熱融着する製造方法であって、熱板とフィルム状物の間に熱可塑性樹脂部材の溝状部に相当する箇所を避けて複数枚のシート状介在物を配置して挿んで加圧する熱可塑性樹脂部材の製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の熱可塑性樹脂部材の製造方法によると、シート状介在物に設けられた空隙によって、あるいは、シート状介在物を複数枚設置して、フィルム状物に伝わる熱の伝導をコントロールしてフィルム状物に加熱による皺が生じることを防ぎ、ひいては熱可塑性樹脂部材に設けられた微小溝、凹みに入り込むことを防止する。
【0009】
本発明の熱可塑性樹脂部材の製造方法により液体の流路を有する熱可塑性樹脂部材を設計自由度高く製造することが可能となる。さらに、本発明の熱可塑性樹脂部材の製造方法により、熱可塑性樹脂部材に液体流路として設計した微小溝、凹みを熱可塑性樹脂からなるフィルム状物にて塞ぐことで流路を形成するに当たり熱可塑性樹脂部材で設計した微小溝、凹みの形状にフィルム状物が入り込むことなく熱溶着することが可能であることによる。
【0010】
本発明の製造方法にて製造される熱可塑性樹脂部材は、特に、微小溝にフィルムを融着することで液体流路を有しており、医療機器、医療検査機器として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の製造方法を説明する概要側面図の1例である。
【図2】図2は、微小の溝状部に相当する空隙を有するシート状介在物を挿む場合と、微小の溝状部を避けて複数のシート状介在物を配置する製造方法を例示説明するための拡大部分断面斜視図である。
【図3】図3は、図2に示した微小の溝状部に相当する空隙を有するシート状介在物を挿む場合の製造方法にて構成する部材を例示説明するための熱板側から見た平面図である。
【図4】図4は、図2に示した微小の溝状部を避けて複数のシート状介在物を配置する場合の製造方法にて構成する部材を例示説明するための熱板側から見た平面図である。
【図5】図5は、溝状部を有する熱可塑性樹脂部材の1例の外観図である。
【図6】図6は、溝状部を有する熱可塑性樹脂部材の1例の外観図である。
【図7】図7は、溝状部を有する熱可塑性樹脂部材の1例の外観図である。
【図8】図8は、溝状部を有する熱可塑性樹脂部材の1例の外観図である。
【図9】図9は、溝状部を有する熱可塑性樹脂部材の1例の外観図である。
【図10】図10は、溝状部を有する熱可塑性樹脂部材の1例の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明では、溝状部を有する熱可塑性樹脂部材に、熱可塑性樹脂からなるフィルム状物を熱可塑性樹脂部材の溝状部を有する面に熱板を使用して圧力を加えて熱融着する。
【0013】
本発明において、溝状部を有する熱可塑性樹脂部材に用いられる熱可塑性樹脂は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、PMMA、ABS、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、好ましくは、ポリプロピレン、ポリスチレン、PMMA、ABSである。
【0014】
本発明において、熱可塑性樹脂は、例えば、ガラス繊維や炭素繊維等の強化繊維と、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、PMMA、ABS、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル等からなる繊維強化樹脂であってもよい。また、タルク等の無機鉱物と、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、PMMA、ABS、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル等のマトリックス樹脂からなる無機強化樹脂であってもよい。
【0015】
本発明において、熱可塑性樹脂からなるフィルム状物は、好ましくは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、PMMA、ABS、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル等からなるフィルム状物である。また、熱可塑性樹脂からなるフィルム状物は、好ましくは、溝状部を有する熱可塑性樹脂部材との融点の差が、10℃以下である熱可塑性樹脂からなり、より好ましくは、溝状部を有する熱可塑性樹脂部材との融点の差が、5℃以下、さらにより好ましくは、融点が同一である熱可塑性樹脂からなる。本発明で、フィルム状物に用いられる材料は、溝状部を有する熱可塑性樹脂部材と同一材料が最も好ましい。
【0016】
本発明において、溝状部とは、溝であっても、凹みであってもよい。溝状部は、部材の端から端まで溝が通じていても、部材の端から端まで溝が通じていなくてもよい。また、部材中に、溝状部は、1本でもよく、複数の溝状部が存在してもよい。1本の溝の断面が継続して同一である必要はなく途中で形状が変化しても良い。部材中に、複数の溝状部が存在している場合、溝状部が交差していても、交差していなくてもよい。部材中に、複数の溝状部が存在している場合、溝状部の長さ、幅、深さは、同一であっても異なっていてもよい。また、それぞれの溝の断面形状が途中で形状が変化しても良い。
【0017】
本発明の熱可塑性樹脂部材の製造方法では、溝状部の幅が、10mm以下である熱可塑性樹脂部材に有用に使用され、さらに、溝状部の幅が、3mm以下、さらに好ましくは、溝状部の幅が、1mm以下の微小溝をもつ熱可塑性樹脂部材に有用である。また、本発明の熱可塑性樹脂部材の製造方法は、溝状部の深さが、1mm以下である熱可塑性樹脂部材に有用に使用され、さらに、溝状部の深さが、0.5mm以下、さらに好ましくは、溝状部の深さが、0.1mm以下の微小溝をもつ熱可塑性樹脂部材に有用である。
【0018】
本発明において、フィルム状物とは、薄膜のフィルムまたはシートであり、厚みが、0.01〜1.0mmであるフィルム状物が好ましく、より好ましくは、厚みが、0.02〜0.5mmであるフィルム状物、さらに好ましくは、厚みが、0.05〜0.2mmであるフィルム状物である。
【0019】
また、フィルム状物を溝状部を有する熱可塑性樹脂部材にセッティングする際に、フィルム状物の厚みが薄いと熱板で圧力を加える前に皺になる場合があり、セッティングの際にフィルム状物に1方向又は2方向から引っ張ることで張力を付与することで皺を解消することが好ましい。
【0020】
本発明において、シート状介在物とは、シート状をした物質であり、厚みが、0.005〜0.5mmが好ましく、より好ましくは、厚みが、0.01〜0.2mm、さらに好ましくは、厚みが、0.01〜0.05mmである。
【0021】
シート状介在物に用いられる材料は、金属材料、プラスチック材料、ガラス材料、セラミック材料等が挙げられる。金属材料としては、鉄、ステンレス、アルミニウムおよび銅を挙げることができ、また、真鍮やりん青銅等の合金を用いることもできる。中でも、熱伝導が良好ということで銅、又は銅の合金は好ましい。また、プラスチック材料の材質は、フィルム状物の材質によって変える必要がある。
【0022】
本発明の熱可塑性樹脂部材の製造方法では、溝状部を有する熱可塑性樹脂部材に、熱可塑性樹脂からなるフィルム状物を熱可塑性樹脂部材の溝状部を有する面に熱板を使用して圧力を加えて熱融着する。
【0023】
本発明において、熱板の材質は、一般的に鉄が使用される。熱板は、好ましくは、ヒータ等で加熱されセンサーを設けて温度コントロールされる。熱板の温度は、溝状部を有する熱可塑性樹脂部材や熱可塑性樹脂からなるフィルム状物の種類により変わるが、好ましくは、80〜200℃である。本発明において、熱板は、熱可塑性樹脂からなるフィルム状物に直接接触した場合、熱によってフィルムが熱板に付着してしまうので、フィルム状物と、熱板との間に適当な介在物が存在する。ただし、熱板が温度コントロールできて熱融着後に熱板に付着したフィルムが剥がれる温度まで下げれる場合は熱板を熱可塑性樹脂からなるフィルム状物に直接接触してもよい。
【0024】
本発明の熱可塑性樹脂部材の製造方法では、熱板とフィルム状物の間に熱可塑性樹脂部材の溝状部に相当する箇所に空隙を有するシート状介在物を挿んで加圧する。
【0025】
シート状介在物は、好ましくは、金属の薄板であり、より好ましくは、鉄の薄板、SUSの薄板、銅の薄板である。特に、溝状部を有する熱可塑性樹脂部材に用いられる熱可塑性樹脂がPMMAであり、熱可塑性樹脂からなるフィルム状物がPMMAである場合は、シート状介在物は鉄の薄板であることが好ましい。
【0026】
シート状介在物は、熱可塑性樹脂部材の溝状部に相当する箇所に空隙を有する。シート介在物に設けられる空隙の幅は、ほぼ溝状部と同じ幅が好ましく、空隙の深さはシート状介在物の厚みによって定められる。シート介在物の厚みを厚くすればするほど、皺の発生抑制効果が高まるが、フィルム状物が、溝状部と逆側に盛り上がることがある、シート状介在物の厚みを薄くすれば、フィルム状物が溝状部と逆側に盛り上がることは無いが、フィルム状物に皺が生じることがあるので適節な厚みを選択する必要がある。シート状介在物の厚さは、好ましくは、0.01〜0.2mmであり、より好ましくは、0.01〜0.05mmである。
【0027】
本発明の熱可塑性樹脂部材の製造方法では、熱板とフィルム状物の間に熱可塑性樹脂部材の溝状部に相当する箇所を避けて複数枚のシート状介在物を配置して挿んで加圧することができる。
【0028】
この場合、シート状介在物は、好ましくは、溝を挟むように2枚配置する。溝が複数あって1枚のシート状介在物が2本の溝を兼ねることができれば、枚数を減らすことができる。複数枚のシート状介在物を使用する場合、均一に圧力を加えたいので同じ厚さや材質のシート状介在物を使用することが望ましい。ただし、各箇所で加える圧力を変えたい場合は異なる厚さや材質のシート状介在物を使用することもできる。
【0029】
本発明の熱可塑性樹脂部材の製造方法の一例を、図面に基づいて説明する。
【0030】
図1は、本発明の装置を含む概要側面図の一例である。
【0031】
図1において、熱可塑性樹脂部材の製造装置は、熱板4と相対する平板5で構成されている。熱板4についてはヒータ等で加熱されセンサーを設けて温度コントロールを行っている。平板5については基本的には加熱する必要は無いが、熱可塑性樹脂部材が熱バランスにより変形してしまう時などに加熱して温度コントロールする場合もある。溝状部を有する熱可塑性樹脂部材1は平板5の上に置かれるが製造上効率を上げるために平板5を凹凸を付けて位置決めしたり、この図には記載していない別途位置決め用ブロック等で固定されることも多い。熱可塑性樹脂からなるフィルム状物2については通常重力を利用して溝状部を有する熱可塑性樹脂部材1の上に置かれる。この時、溝状部を有する熱可塑性樹脂部材1と熱可塑性樹脂からなるフィルム状物2の位置を正確に決めるためにブロックやピンを使用して位置決めがなされる。シート状介在物3についても通常重力を利用して熱可塑性樹脂からなるフィルム状物2の上に置かれるが位置を正確に決めるためにブロックやピンを使用して位置決めがなされる。今回の例では熱板4が天方向で平板5が地方向としているが必ずしもその必要は無く、熱板4が地方向で平板5が天方向でも良い。ただし、この場合は熱板4に最も近い地方向からシート状介在物3、熱可塑性樹脂からなるフィルム状物2、溝状部を有する熱可塑性樹脂部材1の順番に設置することが好ましい。
【0032】
また、図1では、フィルム状物2が直接熱板4に接触することで溶融して熱板4に付着してしまうのを防ぐために板7を設けている。ただし、シート状介在物3によりシート又はフィルム2が直接熱板4に接触しない場合は特に板7を設ける必要は無い。
【0033】
図2は、微小の溝状部に相当する空隙を有するシート状介在物を挿む場合と、微小の溝状部を避けて複数のシート状介在物を配置する製造方法を例示説明するための拡大部分断面斜視図である。
【0034】
図3は、図2に示した微小の溝状部に相当する空隙を有するシート状介在物を挿む場合の製造方法にて構成する部材を例示説明するための熱板側から見た平面図である。
【0035】
図2、図3では、溝状部を有する熱可塑性樹脂部材1が端まで貫通しない溝状部を有している場合の製造方法の例を示している。この例では、シート状介在物3に溝状部を有する熱可塑性樹脂部材1の溝に相当する部分に空隙が存在する。熱板4から与えられる熱は、シート状介在物3とフィルム状物2の接する部分に、通常に伝熱する。しかし、空隙の部分は熱の伝熱が遅れるため、シート状介在物3とフィルム状物2の接する部分が融着可能な状態になった際に、空隙の部分ではフィルム状物2に皺が生じるまでの温度に達しないため、溝状部を有する熱可塑性樹脂部材1とフィルム状物2を皺無く熱融着することが可能となる。
【0036】
図4は、図2に示した微小の溝状部を避けて複数のシート状介在物を配置する場合の製造方法にて構成する部材を例示説明するための熱板側から見た平面図である。
【0037】
図2、図4では、溝状部を有する熱可塑性樹脂部材1が端から端まで貫通している溝状部を有している場合の製造方法の例を示している。この例ではシート状介在物3を複数枚配置して溝状部を有する熱可塑性樹脂部材1の溝に相当する部分に空隙を有する。熱板4から与えられる熱は、シート状介在物3とフィルム状物2の接する部分に通常に伝熱し、空隙の部分は熱の伝熱が遅れるため、シート状介在物3とフィルム状物2の接する部分が融着可能な状態になった際に、空隙の部分ではフィルム状物2に皺が生じるまでの温度に達しない。このため、溝状部を有する熱可塑性樹脂部材1とフィルム状物2を皺無く熱融着することが可能となる。
【0038】
図5〜図10に微小溝又は凹みを有する熱可塑性樹脂部材の例を示す。
【0039】
図5は、部材の端から端まで溝が通じている例である。ここで、溝状部が微小溝の場合は、例えば、幅bが5mm以下、特に1mm以下、溝深さhが1mm以下、特に50μm以下のものを指している。幅bが5mm以下、溝深さhが1mm以下の微小溝の場合は、フィルム貼り付け後の溝深さのばらつきが10μm以下を要求される場合がある。
【0040】
図6は、部材の端から端まで溝が通じていない例である。この場合、溝は部材の裏に穴が開いており流体は裏面から溝を通って部材を流れて裏面へ抜けていくことになる。溝状部が微小溝の場合は、図5の場合と同様である。
【0041】
図7は、溝が部材上で方向を変更し、機能を持たせて設計された例である。溝状部が微小溝の場合は、図5の場合と同様である。
【0042】
図8は、部材上に凹みがある場合の例である。溝状部が微小溝の場合は、図5の場合と同様である。
【0043】
図9は、溝状部が部材の途中で深さが変化する例である。この場合、溝状部が微小溝の場合は、基本的に図5と同様であるが、深さは、例えば、最小溝深さh’が1mm以下、特に50μm以下である。この場合、溝深さhについては1mm以上でも良い。ただし、hとh’の差が大きければ大きいほどフィルムを熱融着する際に、フィルムが溝を塞ぎやすくなる。この例は深さ方向が変化しているが、幅方向が変化する例もある。
【0044】
図10は、2本の溝状部が部材の途中で交差している例である。この場合、溝状部が微小溝の場合は、基本的に図5と同様であるが、2本の溝幅や深さに関しては必ずしも均一である必要は無い(h1=h2、b1=b2でなくとも良い。)。
【符号の説明】
【0045】
1:溝状部を有する熱可塑性樹脂部材
2:熱可塑性樹脂からなるフィルム状物
3:シート状介在物
4:熱板
5:平板
6:溝状部
7:板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溝状部を有する熱可塑性樹脂部材に、熱可塑性樹脂からなるフィルム状物を熱可塑性樹脂部材の溝状部を有する面に熱板を使用して圧力を加えて熱融着する製造方法であって、熱板とフィルム状物の間に熱可塑性樹脂部材の溝状部に相当する箇所に空隙を有するシート状介在物を挿んで加圧する熱可塑性樹脂部材の製造方法。
【請求項2】
溝状部を有する熱可塑性樹脂部材に熱可塑性樹脂からなるフィルム状物を熱可塑性樹脂部材の溝状部を有する面に熱板を使用して圧力を加えて熱融着する製造方法であって、熱板とフィルム状物の間に熱可塑性樹脂部材の溝状部に相当する箇所を避けて複数枚のシート状介在物を配置して挿んで加圧する熱可塑性樹脂部材の製造方法。
【請求項3】
熱融着する際に熱可塑性樹脂からなるフィルム状物に張力を付与する請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−121276(P2012−121276A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275319(P2010−275319)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000222406)東洋プラスチック精工株式会社 (12)
【Fターム(参考)】