説明

熱可塑性物質で被覆された高吸収性ポリマー組成物

本発明は、部分的に中和された酸基を含むモノエチレン性不飽和モノマーを主成分とする、熱可塑性ポリマーで被覆されていてもよい、並びに特に膨潤状態で液体を輸送する能力に関して改良された性質を有する、高ゲルベッド浸透性及び熱可塑性材料に親和する相溶性を有する吸収性の架橋したポリマーに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水、水性液体及び血液を吸収する高吸収性ポリマー組成物に関し、本発明の高吸収性ポリマー組成物は、高ゲルベッド浸透性、より高いゲル強度につきものの低い保持という欠点無しに、より高いゲルベッド浸透性を得ることを含む液体保持、並びに疎水性の熱可塑性物質及びポリオレフィンを含む熱可塑性物質との相溶性を含む改良された性質を有する。本発明の高吸収性ポリマー組成物は熱可塑性ポリマーの被覆物を含む。本発明はこれらの高吸収性ポリマー組成物の調製並びに衛生用品及び工業分野での吸収剤としてのこれらの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
高吸収剤とは、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液を含む水溶液中で、その質量の少なくとも約10倍からその質量の約30倍以上までを吸収できる水膨潤性の、不水溶性の、有機又は無機材料をいう。高吸収性ポリマーは、高吸収剤の一般的な定義に従って、膨張することによって、並びにヒドロゲルの形成、及びそれらを定圧力下に保持することによって、大量の水性液体及び小水又は血液のような体液を吸収できる架橋したポリマーである。高吸収性ポリマー組成物は、表面架橋、表面処理及び後熱処理などの微粒子状ポリマーの後処理物を含む。高吸収性ポリマー粒子は、高吸収性ポリマー又は高吸収性ポリマー組成物の粒子である。ここでは高吸収性ポリマー(superabsorbent polymer)の代わりに頭字語SAPを使用することもある。
【0003】
今のところ市販されている高吸収性ポリマー組成物は、幾つかのカルボキシル基が水酸化ナトリウム溶液又は水酸化カリウム溶液で中和され、また表面架橋剤及び所望により他の表面添加剤で表面処理されている、架橋したポリアクリル酸又は架橋したでんぷん‐アクリル酸グラフトポリマーである。これらの固有の性質の結果として、主にこれらのポリマーは、乳児用おむつ、失禁用品又は衛生タオルのような、衛生用品の中への混入に使用される。
【0004】
適当な、快適な及び美的な理由から、また環境的な態様によって、衛生用品をより小さく、より薄くする傾向が増加している。これらの用品の高容量の毛羽繊維の含有量を減らすことにより、それは達成されている。衛生用品内の体液の全保持容量を一定に保つために、より多くの高吸収性ポリマーの含有量が、これらの衛生用品には使用されている。この結果として、高吸収性ポリマー組成物は、適切な吸収及び保持のような他の特性を維持しながら、浸透性を増加させ、並びに幾つかの又は全ての毛羽繊維との置き換えに使用してもよいポリオレフィンのような熱可塑性繊維に対する親和性を増加させなければならない。
【0005】
浸透性は、繊維のマットであろうが、発泡体のスラブであろうが、又は本願における架橋したポリマーであろうが、微孔質構造体の効果的な連結性の指標であり、高吸収性ポリマー組成物の空隙率及び連結性の程度によって特定されるであろう。ゲル浸透性は、粒子の塊の全体としての性質であり、並びに膨潤ゲルの粒度分布、粒子の形、連続気孔(open pores)の連結性、せん断弾性率及び表面改質に関係する。実際の問題として、高吸収性ポリマー組成物の浸透性は、液体がどの程度急速に膨潤粒子の塊の中を流れるかという指標である。低い浸透性は、一般にゲルブロッキングといわれているように、液体は容易に高吸収性ポリマー組成物の中を流れることができず、(例えば、おむつ使用中の二回目の放尿のような)液体の流れは強制的に代替経路を採らなければならない(例えば、おむつ漏れ)ことを示す。
【0006】
特に、ゲルブロッキングは、おむつのような吸収性物品内での高吸収性ポリマー組成物の利用に関するよく知られた問題である。ゲルブロッキングは、高吸収性ポリマー粒子の急速な膨張が、体液が吸収性物品の中に入る地点付近で膨張したときに起こり、SAP‐毛羽マトリックス内で組織間隙及び微孔を閉じる原因となる。膨潤したヒドロゲルの中に拡散させることによる液体の輸送が、組織間隙の中の輸送よりも非常に遅いから、液体が入る領域でシール効果が起こる。この効果をゲルブロッキングと呼ぶ。
【0007】
膨潤した高吸収性ポリマー粒子自体の中の液体の輸送は、拡散の法則に従い、衛生用品の使用状態では液体を分配する役割を果たさない非常に遅い方法である。ゲル安定性が欠如しているので毛細管輸送を与えるオープンベッド(open bed)構造を維持できない高吸収性ポリマー組成物では、高吸収性ポリマー粒子が繊維マトリックスの中に埋め込まれているので、高吸収性粒子がお互いから分離することが確実になった。
【0008】
おむつ構造体では、次世代と呼ばれるものについて、液体の輸送又はオープン型の液体浸透性構造の維持に役立つ吸収層には、繊維構造がわずかしかない又は潜在的にほとんどない。これら次世代おむつ構造体の高吸収性ポリマー組成物は、一般にゲル強度と呼ばれるような、膨潤状態での十分に高い安定性を持たなければならないため、膨潤ゲルには、液体が輸送される十分な量の毛細管の空隙がある。
【0009】
高ゲル強度を有する高吸収性ポリマー組成物を得るために、ポリマーの架橋度を減らしてもよいが、必然的に膨潤能力及び保持容量が減少する。低い繊維含有量の、極めて薄い、次世代用品に必要な増加した浸透性を得るために、現在の技術は架橋の量を増やすことを教えている。しかしながら、高吸収性ポリマー組成物の吸収値及び保持値は好ましくない低水準まで下がる。表面架橋後の段階での液体の高い吸収及び保持容量並びに増加した浸透特性を有する組成物を開発することが、高吸収性ポリマー組成物を製造する技術の重要な目的である。高吸収性ポリマー粒子に新たな表面改質を用いることにより、好ましくない関連している低吸収値なしで、より高い浸透性の結果を得られることが分かった。
【0010】
主に高吸収性ポリマー組成物は、心材中の吸収性繊維状支持体のいたる所に分布して衛生用品の吸収性を高める粒子状の粉末、顆粒、又は繊維の形で提供される。高吸収剤の利用に伴う一つの問題は、高吸収性組成物が衛生用品のような吸収性製品の心材中の繊維状支持体から物理的に除去される可能性があることである。その繊維状支持体から高吸収剤が分離すると、衛生用品の吸収性が減少することがあり、高吸収性ポリマー組成物が物品から逃散して高吸収性ポリマー組成物の有効性が減少するかもしれない。特に、高吸収性ポリマー組成物の封じ込め及び衛生用品の有効性を改良するような方法で、高吸収性粒子を衛生用品のポリオレフィン繊維に親和させることは利点になるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、高吸収性ポリマーが吸収性構造体を基準として質量の割合(質量%)で増加し、その組成物が繊維、特にポリオレフィン繊維に対する好ましい親和性を有するときでも、高い液体浸透性及び液体保持を維持する能力のような優れた性質を示す吸収ポリマー組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、高吸収性ポリマーを基準として約55〜99.9質量%の重合可能な不飽和酸基含有モノマー及び重合可能な不飽和酸基含有モノマーを基準として約0.001〜5質量%の内部架橋剤を含む高吸収性ポリマーを含む高吸収性ポリマー組成物を少なくとも含み、前述の成分が高吸収性ポリマー粒子状に重合及び調製され、その高吸収性ポリマー粒子が、乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として約0.001〜5質量%の表面架橋剤、乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として約0.01〜10質量%の浸透改質剤、乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として0〜約5質量%の多価金属塩、乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として0〜2質量%の界面活性剤、及び乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として約0.01〜5質量%の不溶性の無機粉末及び乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として約0.01〜5質量%の熱可塑性溶融温度を持つ熱可塑性ポリマーで被覆され、熱可塑性ポリマーが粒子表面上に適用されると同時に又は後に、被覆された高吸収性ポリマー粒子は少なくとも熱可塑性溶融温度以上で熱処理される。高吸収性ポリマー組成物は、遠心分離保持容量試験により測定したときに約23g/g以上の遠心分離保持容量、自由膨張ゲルベッド浸透性試験により測定したときに約100Darcy以上の自由膨張ゲルベッド浸透性、及びオーブンシェイクアウト法により測定したときに約20%未満のSAPシェイクアウト%を示す。さらに、高吸収性ポリマー組成物はカチオン性ポリマーで後処理してもよい。
【0013】
さらに本発明は、本発明の高吸収性ポリマー組成物を含むことができる吸収性組成物又は衛生用品に関する。
【0014】
本発明の前述の及び他の特徴、態様並びに利点が、次の説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面を参照することにより、より良く理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
注目すべきは、本開示に使用したときの用語「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、及び語根「含む(comprise)」からの他の派生語は、任意の規定された特徴、成分、整数、工程、又は構成要素の存在を明確にする非制限(open-ended)語句を示し、また一又は二以上の他の特徴、成分、整数、工程、構成要素、若しくはこれらの群の存在又は追加の排除を示すものではないことである。
【0016】
一般に、用語「吸収性物品」とは、液体を吸収及び含有できるデバイスをいう。例えば、パーソナルケア吸収性物品とは、肌に接触して又は肌の近くに配置され、体から排出される様々な液体を吸収及び含有するデバイスをいう。用語「使い捨て可能な」は、1回の使用後に、洗浄され、又は別の方法で吸収性物品として修復若しくは再利用されるものではない吸収性物品を説明するのにここで使用される。そのような使い捨て可能な吸収性物品の例としては、限定されるものではないが、パーソナルケア吸収性物品、健康/医療吸収性物品、及び家庭用/工業用吸収性物品が挙げられる。
【0017】
高吸収性ポリマーに関連して使用される用語「架橋した」とは、効率的に、通常は水溶性の材料を実質的に不水溶性だが膨潤性の状態にする任意の手段をいう。そのような架橋手段としては、例えば、物理的エンタングルメント(physical entanglement)、結晶性ドメイン、共有結合、イオン錯体及び会合、水素結合のような親水性会合、疎水性会合、又はファンデルワールス力が挙げられる。
【0018】
用語「Darcy」は浸透性のCGS単位である。1Darcyは、固体の両側間の差圧が1atmのときに、1センチポアズの粘度を有する1cmの液体が、1cm厚の区間及び1cmの断面を通って1秒に流れるであろう前記固体の浸透性である。透過性のSI単位がなく、平方メートル(m)が使用されるから、結局は浸透性は面積と同じ単位を有する。1Darcyは、約0.98692×10−12又は約0.98692×10−8cmと等しい。
【0019】
一般に用語「乾燥高吸収性ポリマー組成物」とは、約10%未満の水分を有する高吸収性ポリマー組成物をいう。
【0020】
ほとんど同じ意味で使用される用語「親水性」及び「可湿性」とは、空気中での水の接触角が90°未満の材料いう。用語「疎水性」とは、空気中での水の接触角が少なくとも90°の材料をいう。本願の目的のために、接触角の測定結果は、本開示と一致する態様において参照によりここに含まれるRobert J. Good及びRobert J. Stromberg編集「表面及びコロイド科学‐実験方法(Surface and Colloid Science-Experimental Method)」第2巻(Plenum Press、1979年)で説明されているように決定される。
【0021】
用語「粒子(particle)」、「粒子(particles)」、「微粒子(particulate)、「微粒子(particulates)」等とは、用語「高吸収剤」又は「高吸収性ポリマー」とともに使用されるときの、不連続単位の形をいう。その単位は、フレーク、繊維、凝集体、顆粒、粉、球体、粉末材料など、及びこれらの組み合わせを含むことができる。粒子は、例えば立方体、棒状、多面体、球形又は半球形、円形又は半円形、角のある、不規則などのような任意の好ましい形状を有することができる。針状、フレーク及び繊維のような、大きな最長辺/最短辺の比を有する形状もここに含めて考慮される。用語「粒子」又は「微粒子」は、1個又は2個以上の個別の粒子、微粒子などを含む凝集も含むことができる。さらに、粒子、微粒子又はこれらの任意の好ましい凝集は、1種又は2種以上の材料からなることができる。
【0022】
用語「ポリマー」としては、限定されるものではないが、ホモポリマー、例えば、ブロック、グラフト、ランダム、及び交互コポリマーのようなコポリマー、3元ポリマーなど、並びにこれらの混合物及び改質物が挙げられる。さらに、別の方法で特に限定されない限り、用語「ポリマー」は物質の全ての可能な立体配置異性体を含むべきである。これらの配置としては、限定されるものではないが、イソタクチック、シンジオタクチック、及びアタクチック対称が挙げられる。
【0023】
一般にここで使用される用語「ポリオレフィン」としては、限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、 ポリスチレン、エチレン酢酸ビニルコポリマーなど、これらのホモポリマー、コポリマー、3元ポリマーなど、並びにこれらの混合物及び改質物のような材料が挙げられる。用語「ポリオレフィン」は、限定されるものではないがイソタクチック、シンジオタクチック、及びランダム対称を含む、これらの全ての可能な構造を含むべきである。コポリマーとしてはランダム及びブロックコポリマーが挙げられる。
【0024】
用語「高吸収剤」及び「高吸収性材料」とは、最適条件下、塩化ナトリウムを0.9質量%含む水溶液中でその質量の少なくとも約10倍又はその質量の少なくとも約15倍、又はその質量の少なくとも約25倍を吸収できる、水膨潤性の、不水溶性の有機又は無機材料をいう。
【0025】
用語「熱可塑性」は、加熱されると軟化し、室温に冷却されると実質的に非軟化状態に戻る材料として説明される。
【0026】
これらの用語は、本明細書の残りの部分では付加的な用語とともに定義されてもよい。
【0027】
適切な高吸収性ポリマーは、天然の、生分解性の、合成の並びに改質した天然のポリマー及び材料から選択してよい。高吸収性ポリマーは内部架橋を含む。高吸収性ポリマー組成物は、ここで説明される高吸収性ポリマーの表面処理を含む。
【0028】
上述した必要性に応えて、本発明の高吸収性ポリマー組成物は、a)高吸収性ポリマーを基準として約55〜99.9質量%の重合可能な不飽和酸基含有モノマー、b)重合可能な不飽和酸基含有モノマーを基準として約0.001〜5質量%の内部架橋剤を含む架橋した高吸収性ポリマーを含み、成分a)及びb)は高吸収性ポリマー粒子状に重合及び調製され、高吸収性ポリマー粒子は、i)乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として約0.001〜5質量%の表面架橋剤、ii)乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として約0.01〜10質量%の浸透改質剤、iii)乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として0〜約5質量%の多価金属塩、iv)乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として約0.01〜5質量%の不溶性の無機粉末、v)乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として0〜約2質量%の界面活性剤、及びvi)乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として約0.01〜5質量%の熱可塑性ポリマーで表面処理され、表面処理された高吸収性ポリマー粒子は熱処理される。
【0029】
幾つかの態様では、高吸収性ポリマーは約25%を超える中和度を有し、また高吸収性ポリマー組成物は、遠心分離保持容量試験により測定したときに約23g/g以上の遠心分離保持容量、自由膨張ゲルベッド浸透性試験により測定したときに約100Darcy、例えば少なくとも約130Darcy又は少なくとも約160Darcy、又は少なくとも約200Darcy以上の自由膨張ゲルベッド浸透性、及びオーブンシェイクアウト法により測定したときに約20%未満、例えば約16%未満のSAPシェイクアウト(%)を有する。
【0030】
上記を参照して、本発明の高吸収性ポリマー組成物が、高吸収性ポリマーを基準として約55〜99.9質量%の重合可能な不飽和酸基含有モノマーの最初の重合により得られる。適切なモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸若しくは2‐アクリルアミド‐2‐メチルプロパンスルホン酸、又はこれらの混合物のようなカルボキシル基を含む任意のものが挙げられる。酸基の少なくとも約50質量%、より好ましくは少なくとも約75質量%がカルボキシル基であることが好ましい。酸基は少なくとも約25mol%程度中和されている。すなわち、酸基はナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩として存在することが好ましい。幾つかの態様では、中和度は少なくとも約50mol%でよい。幾つかの態様では、内部架橋剤の存在下でアクリル酸又はメタクリル酸(それらのカルボキシル基は50〜80mol%程度中和されている)の重合により得られたポリマーを利用することが好ましい。
【0031】
幾つかの態様では、エチレン性不飽和モノマーと共重合できる適切なモノマーは、限定されるものではないが、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノアルキル、エトキシ化(メタ)アクリル酸、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド又は塩化アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムを含むことができる。そのようなモノマーは、共重合されたモノマー中に0〜40質量%の範囲で存在してよい。
【0032】
上記を参照して、本発明の高吸収性ポリマーは内部架橋剤も含む。少なくとも2種のエチレン性不飽和二重結合、又は1種のエチレン性不飽和二重結合及び重合可能な不飽和酸基含有モノマーの酸基と反応する1種の官能基、又は酸基と反応する幾つかの官能基を有する内部架橋剤は、内部架橋成分として利用でき、重合可能な不飽和酸基含有モノマーの重合中に存在することが好ましい。
【0033】
内部架橋剤の例としては、限定されるものではないが、メチレンビスアクリル若しくはメタクリルアミド又はエチレンビスアクリルアミドのような脂肪族不飽和アミド、ブタンジオール又はエチレングリコール、ポリグリコール又はトリメチロールプロパンのジ(メタ)アクリレート又はトリ(メタ)アクリレートのようなポリオール又はアルコキシル化ポリオールとエチレン性不飽和酸の脂肪族エステル、1〜30molのアルキレンオキシドでオキシアルキル化、好ましくはエトキシ化することができるトリメチロールプロパンのジ及びトリアクリレートエステル、グリセロール及びペンタエリスリトール並びにグリセロール及び好ましくは1〜30molのエチレンオキシドでオキシエチル化されたペンタエリスリトールのアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アリル、好ましくは1〜30molのエチレンオキシドと反応したアルコキシル化(メタ)アクリル酸アリル、シアヌール酸トリアリル、イソシアヌール酸トリアリル、マレイン酸ジアリルエステル、ポリ‐アリルエステル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、ジオール、ポリオール、ヒドロキシアリル又はアクリレート化合物及びリン酸又は亜リン酸のアリルエステルのようなアリル化合物、並びに、例えば、不飽和アミドのN‐メチロール化合物、例えばメタクリルアミド又はアクリルアミド、及びそれから導かれたエーテルのような、架橋できるモノマーが挙げられる。多価金属塩のようなイオン性架橋剤も利用してよい。言及した架橋剤の混合物も利用できる。内部架橋剤の含有量は、重合可能な不飽和酸基含有モノマー全量を基準として、約0.01〜5質量%、例えば約0.1〜3質量%である。
【0034】
幾つかの態様では、フリーラジカル重合を開始するために開始剤を使用できる。適切な開始剤としては、限定されるものではないが、アゾ又はペルオキソ化合物、レドックス系、UV開始剤、増感剤、及び/又は放射線が挙げられる。重合後、一般に高吸収性ポリマーは粒子状になる。高吸収性ポリマー粒子は表面架橋剤を加えることで重合後に表面架橋される。一般に、表面架橋は、粒子内部の架橋密度と比べて、高吸収性粒子表面付近のポリマーマトリックスの架橋密度を増加させる方法である。典型的には、高吸収性ポリマー粒子は、表面架橋剤を加えることにより表面架橋される。幾つかの特別な態様では、好ましい表面架橋剤としては、ポリマー鎖のペンダント基、典型的には酸基と反応する1種又は2種以上の官能基を有する化学物質が挙げられる。表面架橋剤は、乾燥高吸収性ポリマー組成物の質量を基準として約0.01〜5質量%、例えば乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として約0.1〜3質量%の量で存在することができる。加熱工程は、表面架橋剤を加えた後であることが好ましい。
【0035】
一つの特別な態様では、粒子状高吸収性ポリマーは、アルキレンカーボネートで被覆又は表面処理され、次に加熱されて表面架橋し、表面架橋密度及びゲル強度特性を改良することができる。より具体的には、表面架橋剤は、ポリマーをアルキレンカーボネート表面架橋剤のアルコール水溶液と混合することにより微粒子上を覆う。アルコールの量は、アルキレンカーボネートの溶解度により決定され、例えば対爆発保護のような技術的理由から可能な限り低く保たれる。適切なアルコールは、メタノール、イソプロパノール、エタノール、ブタノール、又はブチルグリコール、及びこれらのアルコールの混合物である。幾つかの態様では、溶媒は水であることが好ましく、典型的には、乾燥高吸収性ポリマーの質量を基準として、0.3〜5.0質量%の量で使用される。他の態様では、いかなるアルコールも使用せずにアルキレンカーボネート表面架橋剤は水に溶解する。また他の態様では、アルキレンカーボネート表面架橋剤は、例えばSiOのような無機キャリヤー材料との粉末混合物から、又はアルキレンカーボネートを昇華したことによる気相状態で利用してもよい。
【0036】
好ましい表面架橋特性を得るために、アルキレンカーボネートは粒子状高吸収性ポリマー上に均一に分布するべきである。この目的で、混合は、流動床ミキサー、パドルミキサー、回転式ドラムミキサー、又はツインワーム(twin- worm)ミキサーのような、本技術分野において知られている適切なミキサー内で行われる。粒子状高吸収性ポリマーを製造する方法の一工程中に、粒子状高吸収性ポリマーの被覆を行うことも可能である。一つの特別な態様では、この目的に適切な方法は、逆相懸濁重合法である。
【0037】
熱処理は、被覆処理の後に、次のように行われる。一般に、熱処理は約100〜300℃の温度で行う。高反応性エポキシド架橋剤を使うならば、より低い温度が可能である。しかし、アルキレンカーボネートを使うならば、そのときの熱処理は約150〜250℃の温度で行うことが適切である。この特別の態様では、処理温度は、アルキレンカーボネートの滞留時間及び種類によって決まる。例えば、約150℃の温度では、熱処理は1時間以上行われる。一方で、約250℃の温度では、好ましい表面架橋特性を得るには数分間(例えば、約0.5〜5分)で十分である。熱処理は、本技術分野で知られている標準的な乾燥機又はオーブン内で行うことができる。
【0038】
粒子は高吸収性ポリマー組成物の物理的形状の一例として使用されるが、本発明はこの形状に限定されず、上記で検討したように、繊維、発泡体、フィルム、ビーズ、ロッドなどのような他の形状に適用できる。幾つかの態様では、高吸収性ポリマー組成物は粒子として又は顆粒の形状で存在するとき、これらの粒子は、高吸収剤業界でよく知られている篩法を基準として、約150〜850μmの寸法を有することが好ましい。
【0039】
幾つかの態様では、本発明の高吸収性ポリマー組成物は、乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として約0.01〜10質量%の浸透改質剤、例えば乾燥吸収性ポリマー組成物を基準として約0.01〜5質量%の浸透改質剤(表面架橋剤の直前、間又は直後に加えられる)を含むことができる。浸透改質剤の例としては、作用物質又はこれらの作用物質が適用される媒体の粘度、表面張力、イオン性又は付着力を変えることにより、高吸収性ポリマー粒子の中への表面改質剤の浸透深さを変える化合物が挙げられる。適切な浸透改質剤としては、限定されるものではないが、ポリエチレングリコール、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、一価の金属塩、界面活性剤、及びこれらの水溶性ポリマー又は混合物が挙げられる。注目すべきは、幾つかの態様では、表面架橋剤を適用するのに使われる媒体又は溶媒自体の性質及び関係量が浸透改質剤としての機能も果たせることである。
【0040】
幾つかの態様では、本発明の高吸収性ポリマー組成物は、高吸収性ポリマー粒子の表面上に、乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として0〜約5質量%の、例えば乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として約0.1〜5質量%の多価金属塩を含むことができる。幾つかの特別な態様では、多価金属塩は水溶性であることが好ましい。適切な金属カチオンの例としては、Al、Ca、Fe、Zr、Mg及びZnのカチオンが挙げられる。一つの特別な態様では、金属カチオンは、最も好ましいAlについて、少なくとも+3の価数を有する。多価金属塩の適切なアニオンの例としては、ハロゲン化物、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、及び酢酸塩が挙げられる。特別な態様では、塩酸塩及び硫酸塩がより好ましい。一つの特別な態様では、硫酸塩が最も好ましい。例えば、硫酸アルミニウムは好ましい多価金属塩であり、容易に市販で入手できる。硫酸アルミニウムの適切な形態は、例えば12〜14の水和水を有する硫酸アルミニウムのような水和した硫酸アルミニウムである。上記で検討した塩に加えて、多価金属塩の混合物も利用できる。
【0041】
ポリマー及び多価金属塩は当業者によく知られた手段を用いて、乾式混合により、又は溶液中の混合により、適切に混合できる。幾つかの態様では、水溶液又は分散体が好ましい。乾式混合を用いると、塩及び高吸収性ポリマーの実質的に均一な混合物が確実に維持されるのに十分な量でバインダーを利用できる。バインダーは、水又は少なくとも約150℃の沸点を有する不揮発性有機化合物でよい。バインダーの例としては、水、ポリエチレングリコールのようなポリオール、グリセリン及びポリ(エチレングリコール)が挙げられる。
【0042】
幾つかの態様では、本発明の高吸収性ポリマー組成物は、乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として約0.01〜5質量%の不水溶性の無機粉末、例えば約0.1〜4質量%の不水溶性の無機粉末を含むことができる。不水溶性の無機粉末の例としては、シリカ、ヒュームドシリカ、二酸化ケイ素、ケイ酸、ケイ酸塩、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、タルク、リン酸カルシウム、クレー、ダイアトマイト(diatomataceous earth)、ゼオライト、ベントナイト、カオリン、ハイドロタルサイト、活性粘土などが挙げられる。不水溶性の無機粉末添加物は、上記リストから選択される1種の化合物又は化合物の混合物でよい。幾つかの特別な態様では、微小な非晶質の二酸化ケイ素又は酸化アルミニウムが好ましい。幾つかの態様では、無機粉末の粒子径は1000μm以下、例えば100μm以下でよい。
【0043】
幾つかの態様において、本発明の高吸収性ポリマー組成物では、乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として0〜約5質量%の界面活性剤をポリマー粒子表面に加えてもよい。幾つかの特別な態様では、界面活性剤は、表面架橋工程の直前、間又は直後に加えることができる。
【0044】
適切な界面活性剤の例としては、例えば、脂肪酸塩、ココ(coco)アミン及びアミドとこれらの塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、スルホコハク酸ジアルキル、アルキルリン酸塩、及びポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、脂肪酸エステル、及びオキシエチレン‐オキシプロピレンブロックポリマー、アルキルアミン塩、四級アンモニウム塩、並びにラウリルジメチルアミンオキサイドのようなアニオン性、非イオン性、カチオン性及び両性の表面活性剤が挙げられる。しかしながら、適切な界面活性剤は、上記のものに限定されない。これらの界面活性剤は個別に、又は組み合わせて使用してよい。
【0045】
幾つかの態様では、高吸収性ポリマー組成物は、乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として0〜約30質量%の、例えば、高吸収性ポリマー組成物の全量を基準として約0.1〜5質量%の(部分的に又は完全に加水分解したポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、デンプン又はデンプン誘導体、ポリグリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、又はポリアクリル酸のような)水溶性ポリマーを含む。幾つかの特別な態様では、水溶性ポリマーは重合済みの構造であることが好ましい。
【0046】
幾つかの態様では、本発明の高吸収性ポリマー組成物は、乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として約0.01〜5質量%の、熱可塑性溶融温度を有する熱可塑性ポリマーを含み、熱可塑性ポリマーが粒子表面上に適用されると同時に又は後に、処理された高吸収性ポリマー粒子は、ほぼ熱可塑性溶融温度以上で熱処理される。幾つかの特別な態様では、熱可塑性ポリマーは、固体状、乳濁液状、懸濁液状、コロイド状、若しくは可溶化状態又はこれらの組み合わせであるポリマーが好ましい。本発明に適した適切な熱可塑性ポリマーとして、限定されるものではないが、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、スチレンポリブタジエン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレンアクリル酸コポリマー(EAA)、エチレンメタクリル酸アルキルコポリマー(EMA)、ポリプロピレン(PP)、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリエステル、ポリアミド、並びに、PP、EVA、EMA、EEA、EBA、HDPE、MDPE、LDPE、LLDPE、及び/又はVLDPEの混合物のような、全種類のポリオレフィンの混合物が挙げられ、有利に使用されることもある。ここで使用されるような用語ポリオレフィンは上述している。特別な態様では、エチレンアクリル酸コポリマー、ポリエステル、マレイン酸変性ポリプロピレン、及びEVAが本発明に使用される好ましい熱可塑性ポリマーである。熱可塑性ポリマーは官能化されて、水溶性又は分散性のような追加の利点を有することができる。
【0047】
幾つかの態様では、高吸収性ポリマー組成物は乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として0〜約2質量%の、親水性及び疎水性制塵剤のような制塵剤を含むこともできる。適切な制塵剤としては、限定されるものではないが、米国特許第6,090,875号明細書及び米国特許第5,994,440号明細書に記載されたものが挙げられ、それぞれは、これらと一致した態様で参照により含まれる。
【0048】
幾つかの態様では、所望により、例えばシクロデキストリン、ゼオライト、無機又は有機塩及び同種材料のような臭気結合物質、抗ケーキング添加物、流動性改良剤などのような追加の表面添加剤を高吸収性粒子とともに使用してもよい。さらに、表面改質中に幾つかの役割を果たす表面添加剤を使用してもよい。例えば、1種の添加物は界面活性剤、粘度改質剤でよく、またポリマー鎖を架橋させるために反応してもよい。
【0049】
幾つかの態様では、さらに本発明は、乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として約5質量%までの、例えば約0.1〜5質量%のカチオン性ポリマーを用いて、表面処理後の高吸収性ポリマー組成物を後処理する工程を含むことができる。ここで使用されるカチオン性ポリマーとは、水溶液中で電離して正電荷を持つイオンになる可能性を有する官能基を1つ又は複数含むポリマー又はポリマーの混合物をいう。カチオン性ポリマーの適切な官能基としては、限定されるものではないが、一級、二級、又は三級アミノ基、イミノ基、イミド基、アミド基、及び四級アンモニウム基が挙げられる。合成カチオン性ポリマーの例としては、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(アリルアミン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アミノプロパノールビニルエーテル)、ポリ(塩化アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム)、ポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)の塩又は部分的な塩が挙げられる。天然系カチオン性ポリマーの例としては、部分的に脱アセチル化したキチン、キトサン及びキトサン塩が挙げられる。ポリアスパラギン、ポリリシン、ポリグルタミン、ポリアルギニンのような合成ポリペプチドも適切なカチオン性ポリマーである。
【0050】
幾つかの態様では、高吸収性ポリマー組成物が高吸収性ポリマー組成物を基準として約10質量%までの水分を有するように、本発明の高吸収性ポリマー組成物を熱処理工程後に水で処理してもよい。この水には、1種又は2種以上の、高吸収性ポリマーに加えられた上記の表面添加剤を加えてもよい。含水量は、「水分(%)」として測定され、次のように測定できる。1)予備秤量したアルミニウム皿に4.5〜5.5gの高吸収性ポリマー組成物(SAP)を正確に量り取る、2)150℃に予備加熱している標準的実験室用オーブンにSAP及び皿を30分間置く、3)皿及び内容物を取り出して再秤量する、及び4)次式を用いて水分(%)を計算する。
【0051】
【数1】

【0052】
本発明の高吸収性ポリマー組成物は2種類の方法により調製することが好ましい。組成物は連続的又は不連続的に、大規模の工業的方法で、それ故に行われる本発明の後架橋で調製できる。
【0053】
一つの方法によれば、部分的に中和されたモノマー、例えばアクリル酸は、架橋剤及び任意のさらなる成分の存在下で水溶液中のフリーラジカル重合によりゲル化し、そのゲルは、粉砕され、乾燥させられ、すり潰され、好ましい粒度まで篩にかけられる。この溶液重合は連続的に又は不連続的に行うことができる。
【0054】
別の方法によれば、逆相懸濁及び乳化重合も本発明の製造物を調製するのに使用できる。これらの方法によれば、部分的に中和されたモノマー、例えばアクリル酸の水溶液が保護コロイド及び/又は乳化剤を活用して疎水性の有機溶媒に分散され、重合がフリーラジカル開始剤により開始される。内部架橋剤は、モノマー溶液に溶解させて、これとともに量り取るか、又は所望により重合中に、別々に加える。所望によりグラフト源としての水溶性ポリマーを加えることが、モノマー溶液を経由して又は油相中に直接導入することにより行われる。次に共沸して混合物から水を除去し、ポリマーをろ過し、所望により乾燥させる。内部架橋は、モノマー溶液に溶解した重合済みの多官能性架橋剤により及び/又は重合工程中の適切な架橋剤とポリマーの官能基との反応により行うことができる。
【0055】
これらの方法により高吸収性半製品が得られる。ここで使用される高吸収性半製品は、材料を乾燥する工程、及び粉砕機で粗粉砕する工程、及び約850ミクロン(μm)を超える及び約150μm未満の粒子を除去する工程を含むまでの高吸収剤の全製造工程を繰り返すことにより製造する。
【0056】
本発明の高吸収性ポリマー組成物は、自由膨張ゲルベッド浸透性(GBP)、負荷ゲルベッド浸透性、遠心分離保持容量(CRC)及びオーブンシェイクアウト法によるSAPシェイクアウト(%)により測定された一定の特性又は性質を示す。自由膨張ゲルベッド浸透性試験(GBP)は、一般に「自由膨張」と呼ばれる条件後の封圧下における(例えば吸収性構造体とは区別して)Darcy単位での高吸収性材料の膨張したベッドの浸透性の測定である。用語「自由膨張」は、後述される試験溶液の吸収において、膨張を抑制する荷重を掛けずに高吸収性材料を膨張させることを意味する。負荷ゲルベッド浸透性、つまり「GBP(0.3psi)」は、高吸収性ポリマー組成物が約0.3psiの封圧下に置かれた後の、封圧下でのゲル粒子(例えば、ここで使用される用語である高吸収性材料又は吸収性材料)の膨張したベッドの浸透性を意味する。
【0057】
遠心分離保持容量試験(CRC)は、高吸収性組成物が飽和して、制御された条件下で遠心分離を受けた後に、その中に液体を保持する能力を測定する。得られた保持容量は、保持された液体のグラム/サンプルのグラム質量(g/g)として示される。
【0058】
本発明の高吸収性ポリマー組成物は、衛生タオル、おむつを含む多くの製品中又は創傷被覆剤中に利用でき、それらは急速に大量の経血、小水又は他の体液を吸収する性質を有する。本発明の作用物質は、加圧下でさえも吸収した液体を保持し、また膨潤状態の構造体内にさらなる液体を分布させることができるから、それらは、標準的な現在の高吸収性組成物と比較したときに、毛羽のような親水性繊維材料よりも高濃度でより好ましく使用される。それらは、その結果として特に薄い物品が可能なので、おむつ構造体内に毛羽を含まない均質な高吸収性層として使用するにも適する。さらに、このポリマーは大人用衛生用品(失禁用製品)に使用するのに適する。
【0059】
広い意味での積層体の、並びに押出し及び共押出しの、湿式及び乾式接着された、及び実質的に接着された構造体の調製が、追加的な調製法として可能である。これらの可能な方法をお互いに組み合わせることもできる。
【0060】
本発明の高吸収性ポリマー組成物は、さらなる使用に適する吸収性物品に利用してもよい。特に、本発明の高吸収性ポリマー組成物は、水又は水性液体を吸収する吸収性組成物に、好ましくは、体液を吸収する構造体に、発泡及び非発泡シート状構造体に、包装材料に、苗木用構造体に、土壌改良剤として又は活性化合物キャリヤーとして、利用できる。こうして、それらは、紙若しくは毛羽若しくは合成繊維と混合することにより、又は紙、毛羽若しくは不織布帛の支持体間に高吸収性ポリマーを塗布することにより、又はキャリヤー材料に加工することにより、ウェブに加工される。
【0061】
さらに、それらは創傷包帯、包装材、農業用吸収剤、食事トレイ及びパッドなどのような吸収性組成物に使用するのに適する。
【0062】
本発明の高吸収性ポリマー組成物は、既知の高吸収性ポリマー組成物と比較すると、高い吸収及び保持容量を維持しながら、浸透性の重要な改良点、すなわち膨潤状態での液体の輸送の改良点を示す。
【実施例】
【0063】
次の実施例を参照することで本発明をより良く理解できる。
【0064】
試験方法
自由膨張ゲルベッド浸透性試験
ここで使用されたように、自由膨張ゲルベッド浸透性(GBP)試験は、一般に「自由膨張」と呼ばれる条件下で、ゲル粒子(例えば、表面処理された吸収性材料又は表面処理される前の高吸収性材料)の膨張したベッドの浸透性を決定する。用語「自由膨張」は、後述される試験溶液の吸収において膨張を抑制する荷重を掛けずにゲル粒子を膨張させることを意味する。用語「自由膨張」は、後述される試験溶液の吸収において膨張を抑制する荷重を掛けずに高吸収性ポリマーを膨張させることを意味する。浸透性試験を行うための適切な装置を図1及び図2に示し、全体に28を付した。試験装置28は、全体に30を付したサンプル容器、及び全体に36を付したピストンを含む。ピストン36は、シャフトの長軸に沿って開けられた同心円筒孔40を有する円筒状LEXAN(登録商標)シャフト38を含む。シャフト38の両端は機械加工され、各々42、46を付した上端及び下端を提供する。48を付した重りは、一方の端42の上に載っていて、その中心の少なくとも一部を通して開けた円筒孔48aを有する。
【0065】
円形ピストンヘッド50は他方の端46上に位置し、各々約0.95cmの直径を有する7個の孔60を含む同心円状の内輪、及び同様に各々約0.95cmの直径を有する14個の孔54を含む同心円状の外輪を備えている。孔54、60は、ピストンヘッド50の上部から底部まで開けられている。ピストンヘッド50も、その中心に開けられた円筒状の孔62を有し、シャフト38の下端46を受け入れる。ピストンヘッド50の底部は、二軸延伸された400メッシュのステンレススクリーン64で覆われていてもよい。
【0066】
サンプル容器30は、円筒34及び、二軸方向に延伸されて緊張し、円筒の下端に接続されている400メッシュのステンレス布スクリーン66を含む。図1の68で示された高吸収性ポリマーのサンプルが、試験中は円筒34内のスクリーン66上で支えられる。
【0067】
円筒34は、透明なLEXAN(登録商標)ロッド若しくは等価材料に孔を開けて作ってもよく、又はLEXAN(登録商標)管若しくは等価材料から切り出してもよく、また約6cmの内径(例えば約28.27cmの断面積)、約0.5cmの壁厚、及び約10cmの高さを有する。スクリーン66の上の高さ約7.8cmで円筒34の側壁に排出孔(図示なし)を形成し、液体を円筒から排出させて、それによりサンプル容器内の液面をスクリーン66の上約7.8cmに保つ。ピストンヘッド50はLEXAN(登録商標)ロッド又は等価材料から機械加工し、高さ約16mm及び最小壁間隔で円筒34内に適合しても自由に滑るようなサイズの直径を有する。シャフト38はLEXAN(登録商標)ロッド又は等価材料から機械加工し、約2.22cmの外径及び約0.64cmの内径を有する。
【0068】
シャフト上端42は長さ約2.54cm及び直径約1.58cmであり、環状段部47を形成して重り48を支持する。環状重り48は約1.59cmの内径を有するので、シャフト38の上端42の上を滑り、その上に形成された環状段部47上に載っている。環状重り48はステンレス又は、0.9質量%塩化ナトリウムの蒸留水溶液である試験溶液の存在下において腐蝕に耐性を示す他の適切な材料から製造できる。ピストン36及び環状重り48の合計質量は約596グラム(g)と等しく、約28.27cmのサンプル面積上の約0.3ポンド/平方インチ(psi)の、又は約20.7g/cmの吸収性構造体サンプル68に掛けられた圧力に対応する。
【0069】
試験溶液が、後述する試験を行う間に試験装置の中を流れるとき、通常はサンプル容器30は16メッシュ固定ステンレス支持スクリーン(図示なし)上に載っている。また、サンプル容器30は、支持リング(図示なし)が容器の底からの流れを制限しないように、円筒34と実質的に同じ直径方向の大きさの支持リング上に載っていてもよい。
【0070】
「自由膨張」条件下のゲルベッド浸透性試験を行うために、ピストン36と、その上に位置する重り48を空のサンプル容器30内に設置し、正確に0.01mmである適切なゲージのキャリパーを用いて、重り48の底部から円筒34の上部までの高さを測定する。各々の空のサンプル容器30の高さを測定すること及び複合試験装置を用いたときに、ピストン36及び重り48が利用される軌道を維持することが重要である。同様のピストン36及び重り48は、高吸収性ポリマーサンプル68が飽和して水膨張するときに、測定に利用するべきである。
【0071】
米国規格の30メッシュスクリーンを通過させて事前に篩い分けして、米国規格の50メッシュスクリーン上に残した高吸収性材料粒子から試験用サンプルを調製する。結果として、試験サンプルは約300〜600μmの範囲の寸法の粒子を含む。粒子は手動で又は自動で事前に篩い分けできる。約2.0gのサンプルをサンプル容器30に入れ、次にその容器(そこにはピストン36及び重り48がない)を試験溶液に約60分間沈め、サンプルを飽和させて、いかなる制限荷重も掛けずにサンプルを膨潤させた。
【0072】
その後に、ピストン36及び重り48の集成体をサンプル容器30内の飽和したサンプル68上に置き、次にサンプル容器30、ピストン36、重り48、及びサンプル68を溶液から取り出した。ゼロ点が最初の高さ測定から変わっていないならば、前に使用した同一のキャリパー又はゲージを用いて、重り48の底部から円筒34の上部までの高さを再測定することにより飽和したサンプル68の厚さを決定する。サンプル68を飽和させた後に得られた高さの測定値から、空のサンプル容器30、ピストン36、及び重り48を測定してから得られた高さの測定値を引く。得られた値が膨潤したサンプルの厚さ、又は高さ「H」である。
【0073】
試験溶液の流れをサンプル容器30(内部に飽和したサンプル68、ピストン36、及び重り48を含む)の中に導くことにより浸透性測定を始める。容器の中に入る試験溶液の流速は、サンプル容器の底部から約7.8cmの液体高さを維持するように調整する。サンプル68を通過する溶液量対時間を重量測定法で測定する。液面が約7.8cmの高さに安定して維持されたら、少なくとも20秒間おきにデータ点を収集する。膨張しているサンプル68を通る流速Qは、サンプル68を通過する液体(g単位)対時間(秒単位)の線形最小二乗近似により、g/秒(g/g)の単位で決定される。
【0074】
Darcyを単位とする浸透性は次式により得られる。
【0075】
K=[Q×H×Mu]/[A×Rho×P]
【0076】
式中、K=浸透性(cm)、Q=流速(g/rate)、H=サンプルの高さ(cm)、Mu=液粘度(ポアズ)(本試験に使用した試験溶液では約1センチポアズ)、A=液流の断面積(cm)、Rho=(この試験で用いた試験溶液の)液体比重(g/cm)、及びP=静水圧(dyne/cm)(通常は約3,923dyne/cm)である。静水圧は次式から計算する。
【0077】
P=Rho×g×h
【0078】
式中、Rho=液体比重(g/cm)、g=重力加速度(名目上981cm/秒)、及びh=液体の高さ(例えばここで述べた浸透性試験では7.8cm)である。
【0079】
負荷ゲルベッド浸透性試験
ここで用いたように、負荷ゲルベッド浸透性(GBP)試験(或いはここでは0.3psiでのGBPという)によって、一般に「荷重を受けた(負荷)」条件下と呼ばれる条件下で、ゲル粒子(例えば、それらの用語として高吸収性材料又は吸収性材料がここで使用される)の膨張したベッドの浸透性が決まる。用語「負荷」は、着用者による着座、歩行、ひねり等のように、粒子に適用される通常の使用法の荷重と大抵は一致する荷重によって、粒子の膨張が制限されることを意味する。
【0080】
より詳細には、負荷ゲルベッド浸透性試験は、下記を除いて既に説明した自由膨張ゲルベッド浸透性試験と実質的に同様である。約2.0gのサンプルをサンプル容器30内に置いて、均一にサンプル容器の底部に広げた後、サンプル容器(その中にピストン及び重りを含む)を試験溶液(0.9質量%NaCl生理食塩水)に約60分間沈めるより前に、ピストン36及び重り48をサンプル容器内のサンプル上に置く。結果として、サンプルが飽和及び膨張すると、サンプルには0.3psiの制限荷重が掛かる。
【0081】
遠心分離保持容量試験
遠心分離保持容量(CRC)試験は、高吸収性ポリマーが飽和し、管理条件下で遠心分離を受けた後に、その中に液体を保持する能力を測定する。得られた保持容量は、保持された液体のグラム/サンプルのグラム質量(g/g)として示される。試験用サンプルは、米国規格の30メッシュスクリーンにより事前に篩い分けし、米国規格の50メッシュスクリーン上に残した粒子から調製する。結果として、高吸収性ポリマーサンプルは、約300〜600μmの範囲の寸法の粒子を含む。粒子は、手動で又は自動で事前に篩い分けできる。
【0082】
制限なく試験溶液(蒸留水中の0.9質量%塩化ナトリウム)をサンプルに吸収させながら、サンプルを含むことになる透水性バッグの中に約0.2gの事前に篩い分けした高吸収性ポリマーサンプルを置くことにより保持容量を測定する。品番1234Tのヒートシール可能なフィルター紙として(アメリカ合衆国、コネチカット州、Windsor Locksに事業所を有する)Dexter社から入手できるような、ヒートシール可能なティーバッグ材料を主に使用するとよい。バッグは、縦5インチ(inch)横3インチのバッグ材料のサンプルを半分に折り、その二つの開いた端をヒートシールして、縦2.5インチ、横3インチの長方形の袋を形成することにより、形成される。材料の端の内側約0.25インチをヒートシールするべきである。サンプルが袋に入れられた後、袋の残りの開いた端もヒートシールされる。空のバッグも作製し、標準品として試験する。試験する各々の高吸収性ポリマーごとに3個のサンプルを調製した。
【0083】
シールしたバッグは、23℃で試験溶液を含む皿に沈めた状態にして、それらが完全に湿るまでバッグが沈んだままであることを確認する。湿らせた後に、サンプルを溶液中に約30分間留め、そしてそれらを溶液から取り出して、一時的に非吸収性の平坦な表面上に寝かせる。
【0084】
次に湿ったバッグは、サンプルを約350の重力加速度下に置くことができる適切な遠心重力機のバスケットの中に入れる。適切な遠心分離機としては、採水バスケット、デジタルrpmゲージ、並びに平坦なバッグサンプルを保持及び排出するのに適応する機械加工した排出バスケットを有するCLAY ADAMS DYNAC II(品番0103)がある。複数のサンプルを遠心分離する場合には、回転時にバスケットの平衡を保つために、遠心分離機内の向かい合う場所にサンプルを置かなければならない。バッグ(湿った、空のバッグも含む)は、約1,600rpm(例えば、設定重力加速度は約350である)で3分間遠心分離する。 バッグを取り出して秤量するが、空のバッグ(標準品)を先に秤量し、次に高吸収性ポリマーサンプルを含むバッグを秤量する。高吸収性ポリマーサンプルにより保持された溶液の量が、バッグ自体に保持された溶液も考慮した上で、液体のグラム(g)/高吸収性ポリマーのグラム(g)として表記される高吸収性ポリマーの遠心分離保持容量(CRC)である。より詳細には、保持容量は次式により決定される。
【0085】
【数2】

【0086】
3個のサンプルを試験し、計算結果を平均して高吸収性ポリマー組成物の保持容量(CRC)を決定する。
【0087】
オーブンシェイクアウト試験
オーブンシェイクアウト試験は、高吸収性ポリマー自体をポリオレフィン材料と親和させる高吸収性ポリマーの能力を測定する。オーブンシェイクアウト試験は、ポリオレフィンからのSAPシェイクアウト(%)又は高吸収性組成物シェイクアウトとして表される。この試験に必要な材料としては、4インチ(inch)直径のアルミニウム秤量皿、ポリエチレンZIPLOC(登録商標)袋、高吸収性ポリマー粒子(SAP)、0.5インチのアルミニウムプレート、従来型の空気オーブン、Retsch Vibro篩い分け機(品番30.403.009)、底皿及び12〜20メッシュスクリーンが挙げられる。
【0088】
アルミニウムプレートをBLUE M熱風実験室用オーブン(アメリカ合衆国、ペンシルヴァニア州、Montoursvilleに事業所を有するThermal Product Solutions社から入手できる)のような標準型実験室用オーブンに入れ、ラック上でオーブンの中央の位置で水平にプレートを保つ。オーブンは160℃に予熱されている。ポリエチレンZIPLOC(登録商標)袋から円径3インチのポリエチレンフィルムを切り、4インチ直径のアルミニウム秤量皿に取り付けて、皿及びフィルムの合計質量を記録する。その秤量皿集成体を予熱されているオーブン内のアルミニウムプレートの上部に置き、オーブンのドアを閉める。5.0±0.05gの高吸収性ポリマー組成物粒子を別々のサンプル皿の中に秤量する。5分後、オーブンのドアを開けて、高吸収性ポリマー粒子を秤量皿内のポリエチレンフィルムの上部に注ぎ入れる。静かに秤量皿を端まで振り、高吸収性ポリマー粒子をできるだけ多くのフィルム上に分散させる。この工程は、オーブンチャンバーが冷えすぎないように素早く終える必要がある。オーブンのドアをさらに60秒間閉じる。フィルム/皿/高吸収剤の集成体をオーブンから取り出し、実験室内の適切な熱非感受性表面上に置いて60秒間冷却する。フィルム/皿/高吸収剤の集成体を反転させて、ポリエチレン表面と接触した状態になっていない自由(loose)高吸収性ポリマー粒子をデカントする。集成体を秤量し、その質量を未修正のシェイク前(pre-shake)の質量として記録する。シェイク前の高吸収剤の質量は、上記の未修正のシェイク前の質量から最初の皿/フィルムの質量を引くことにより算出する。高吸収剤を下向きにしながらフィルム/皿/高吸収剤の集成体をRetsch Vibro内のメッシュスクリーン上に置き、振動計の強度をちょうど「1」と表示されている垂直マークに設定して1分間振動させる。フィルム/皿/高吸収剤の集成体を取り外し、その質量を未修正のシェイク後(post-shake)の質量として記録した。シェイク後の高吸収剤の質量は、未修正のシェイク後の質量からフィルム/皿の質量を引くことにより算出する。
【0089】
高吸収剤の損失分(%)は次式により算出する。
【0090】
【数3】

【0091】
最低3個のサンプルを試験し、その計算結果を平均してサンプルの平均高吸収性組成物シェイクアウトを決定する。
【0092】
次の実施例は本発明を説明するために提供するものであり、特許請求の範囲を限定するものではない。特に明記しない限り、全ての部及び割合は質量を基準とする。
【0093】
実施例1 半製品
断熱した平底の反応容器内で、1866.7gの50%NaOHを3090.26gの蒸留水に加え、25℃に冷却した。次に800gのアクリル酸を水酸化ナトリウム溶液に加え、その溶液を再び25℃に冷却した。次に、終始撹拌しながら、アクリル酸中に50質量%メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート120gを含む1600gのアクリル酸及び14.4gのエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートの第二の溶液を第一の溶液に加え、続いて15℃に冷却し、10molをエトキシル化した14.4gのヒドロキシモノアリルエーテルを加え、さらに5℃に冷却した。次に、断熱条件下で、100ppmの過酸化水素、200ppmのアゾ‐ビス‐(2‐アミジノ‐プロペン)二塩酸塩、200ppmの過硫酸ナトリウム及び40ppmのアスコルビン酸(全て水溶液)の混合物を用いてモノマー溶液を重合させ、最大温度(Tmax)付近で25分間続けた。得られたゲルを切り刻み、Hobart 4M6工業用押出し機を用いて押し出し、次に最終製品の水分濃度が5質量%未満になるまでProcter & Schwartz 062型熱風オーブン内で、20インチ×40インチの孔あき金属トレイ上で、上昇風10分間及び下降風6分間、175℃で乾燥した。乾燥した材料は、Prodeva 315-S型粉砕機内で粗粉砕し、MPI 666-F三段ロールミル内で粉砕し、Minox MTS 600DS3Vを用いて篩い分けして850μmを超える及び150μm未満の粒子を除去した。
【0094】
比較例1及び実施例2〜4
比較例1及び実施例2〜4のために表1に従って、3,000gの実施例1の半製品を外界条件で表1に示した量のマレイン酸変性ポリプロピレン25%乳濁液と混合した。具体的には、実施例1の半製品を流動させた。表1に示した量に従って、エチレンカーボネート、熱可塑性塗料及び水を含む吹付液を調製した。吹付液を流動状態の半製品の上に吹き付けた。加えられた水だけでなくMPP乳濁液の寄与を含めて水分量を計算し、吹付混合物を配合して1%のEC、0.0625%のMPP、及び4%の水を得た。次に、吹き付け済みの半製品に24.0gのヒュームドシリカを加えた。全混合物を約1分間流動させた。エチレンカーボネート/熱可塑性物質/水で被覆された半製品を連続パドル乾燥器の中へ、その反応器内の2.5〜3kgの定常状態のポリマー物質を用いて、60〜70g/分で50分間供給した。反応器の後段の途中付近では吸収剤のピーク温度に達したので、この温度を190〜195℃に保った。パドルは25rpmに保った。次に組成物をPEG8000の水溶液でさらに処理した。
【0095】
比較例1及び実施例1〜3のそれぞれについて、ここで説明したオーブンシェイクアウト法によりサンプルを試験した。比較例1及び実施例1〜3の高吸収性組成物シェイクアウトを測定し、表2に示した。表2から明らかだが、本発明の高吸収性ポリマー組成物は、比較例の他の高吸収性ポリマー組成物よりも低い高吸収性組成物シェイクアウトを有する。
【0096】
【表1】

【0097】
【表2】

【0098】
実施例4〜5
実施例4及び実施例5の表3に従って、3,000gの実施例1の半製品を外界条件でマレイン酸変性ポリプロピレン及びエチレンアクリル酸コポリマーの混合物の25%量の水性乳濁液と混合した。具体的には、実施例1の半製品を流動させた。表3に示した量に従って、エチレンカーボネートを温水に溶解させ、マレイン酸変性ポリプロピレンをその溶液に加え、次にエチレンアクリル酸コポリマーをその溶液に加えることにより吹付液を調製した。吹付液を流動状態の半製品の上に吹き付けた。次に、吹き付け済みの半製品に24.0gのヒュームドシリカを加えた。全混合物を約1分間流動させた。エチレンカーボネート/熱可塑性物質/水で被覆された半製品を連続パドル乾燥器の中へ、その反応器内の2.5〜3kgの定常状態のポリマー物質を用いて、60〜70g/分で50分間供給した。反応器の後段の途中付近で吸収剤のピーク温度に達したので、この温度を190〜195℃に保った。パドルは25rpmに保った。
【0099】
エチレンカーボネートを用いて表面架橋し、加熱した後、表面処理された高吸収性組成物に1.25%ポリビニルアミン溶液を吹き付けて、高吸収剤上に0.25質量%のポリビニルアミンを与えた。その溶液を利用するために、表面架橋した高吸収剤を流動させて、その液体を動いている粉末ベッドの上に吹き付けた。
【0100】
【表3】

【0101】
実施例4〜5について、ここで説明したオーブンシェイクアウト法によりサンプルを試験した。実施例4〜5の高吸収性組成物シェイクアウトを測定し、表4に示した。
【0102】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】浸透性試験を行う装置の断面図である。
【図2】図1の線2‐2の平面における図である。
【符号の説明】
【0104】
28 浸透性試験装置
30 サンプル容器
34 円筒
36 ピストン
38 シャフト
40 同心円筒孔
42 シャフトの上端
46 シャフトの下端
47 環状段部
48 重り
48a 重りの円筒孔
50 円形ピストンヘッド
54 孔
60 孔
62 円筒状の孔
64 ステンレススクリーン
66 ステンレススクリーン
68 サンプル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)高吸収性ポリマーを基準として約55〜99.9質量%の、重合可能な不飽和酸基含有モノマーの高吸収性ポリマー、及び
b)重合可能な不飽和酸基含有モノマーを基準として約0.001〜5質量%の内部架橋剤を含む高吸収性ポリマー
を含む高吸収性ポリマー組成物であって、
前記高吸収性ポリマーは約25%を超える中和度を有し、成分a)及びb)は、さらに
i)乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として約0.001〜5質量%の表面架橋剤、
ii)乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として約0.01〜10質量%の浸透改質剤、
iii)乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として0〜約5質量%の多価金属塩、
iv)乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として0〜約2質量%の界面活性剤、
v)乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として約0.01〜5質量%の不溶性の無機粉末、及び
vi)乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として約0.01〜5質量%の熱可塑性ポリマー
の表面添加剤を含む高吸収性ポリマー粒子状に重合及び調製されて表面処理された高吸収性ポリマー粒子を形成し、
前記表面処理された高吸収性ポリマー粒子が熱処理され、並びに前記高吸収性ポリマー組成物が、遠心分離保持容量試験により測定したときに少なくとも約23g/gの遠心分離保持容量、自由膨張ゲルベッド浸透性試験により測定したときに少なくとも100Darcyの自由膨張ゲルベッド浸透性、及びオーブンシェイクアウト法により測定したときに約20%未満の高吸収性組成物シェイクアウトを示すことを特徴とする高吸収性ポリマー組成物。
【請求項2】
少なくとも約130Darcyの自由膨張ゲルベッド浸透性を有する請求項1に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項3】
少なくとも約160Darcyの自由膨張ゲルベッド浸透性を有する請求項1に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項4】
少なくとも約200Darcyの自由膨張ゲルベッド浸透性を有する請求項1に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項5】
高吸収性組成物シェイクアウトが約16%未満である請求項1に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項6】
乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として約0.1〜5質量%の多価金属塩を含む請求項1に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項7】
熱可塑性ポリマーが、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレンアクリル酸コポリマー(EAA)、スチレンコポリマー、エチレンメタクリル酸アルキルコポリマー(EMA)、ポリプロピレン(PP)、マレイン酸変性ポリプロピレン(MPP)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリアミド、ポリエステル、並びにこれらの混合物及びコポリマーからなる群から選択される請求項1に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項8】
高吸収性ポリマー粒子がカチオン性ポリマーで被覆されている請求項1に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項9】
カチオン性ポリマーがポリビニルアミンである請求項8に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項10】
負荷ゲルベッド浸透性試験により測定したときに少なくとも約4Darcyの負荷ゲルベッド浸透性を有する請求項1に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項11】
負荷ゲルベッド浸透性試験により測定したときに少なくとも約8Darcyの負荷ゲルベッド浸透性を有する請求項1に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項12】
負荷ゲルベッド浸透性試験により測定したときに少なくとも約10Darcyの負荷ゲルベッド浸透性を有する請求項1に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項13】
少なくとも約25g/gの遠心分離保持容量を有する請求項1に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項14】
熱可塑性ポリマーがマレイン酸変性ポリプロピレンである請求項1に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項15】
熱可塑性ポリマーが、マレイン酸変性ポリプロピレン及びエチレンアクリル酸コポリマーの混合物である請求項1に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項16】
不溶性の無機粉末がシリカである請求項1に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項17】
表面架橋剤で表面処理された及び熱可塑性の、わずかに架橋したポリマーを含み、オーブンシェイクアウト法による約20%未満の高吸収性組成物シェイクアウトを有する高吸収性ポリマー組成物。
【請求項18】
少なくとも約100Darcyの自由膨張ゲルベッド浸透性を有する請求項17に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項19】
少なくとも約130Darcyの自由膨張ゲルベッド浸透性を有する請求項17に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項20】
少なくとも約160Darcyの自由膨張ゲルベッド浸透性を有する請求項17に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項21】
少なくとも約200Darcyの自由膨張ゲルベッド浸透性を有する請求項17に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項22】
少なくとも約4Darcyの負荷自由膨張ゲルベッド浸透性を有する請求項17に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項23】
少なくとも約8Darcyの負荷自由膨張ゲルベッド浸透性を有する請求項17に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項24】
少なくとも約23g/gの遠心分離保持容量を有する請求項17に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項25】
少なくとも約25g/gの遠心分離保持容量を有する請求項17に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項26】
約16%未満の高吸収性組成物シェイクアウトを有する請求項17に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項27】
熱可塑性ポリマーがマレイン酸変性ポリプロピレンの混合物である請求項17に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項28】
熱可塑性ポリマーがマレイン酸変性ポリプロピレン及びエチレンアクリル酸コポリマーの混合物である請求項17に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項29】
a)高吸収性ポリマーを基準として約55〜99.9質量%の重合可能な不飽和酸基含有モノマー、及び前記重合可能な不飽和酸基含有モノマーを基準として約0.001〜5質量%の内部架橋剤を重合する方法により、約25%を超える中和度を有する高吸収性ポリマーを調製する工程、
b)高吸収性ポリマーから高吸収性ポリマー粒子を調製する工程、
c)i)乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として約0.001〜5質量%の表面架橋剤、
ii)乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として約0.01〜10質量%の浸透改質剤、
iii)乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として0〜約5質量%の多価金属塩、
iv)乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として0〜約2質量%の界面活性剤、
v)乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として約0.01〜5質量%の不溶性の無機粉末、及び
vi)粒子表面上に適用される、乾燥高吸収性ポリマー組成物を基準として約0.01〜5質量%の熱可塑性ポリマーを含む表面添加剤で高吸収性ポリマー粒子を処理する工程、及び
d)被覆された高吸収性ポリマー粒子を熱処理する工程、
を含む高吸収性ポリマー組成物の製造方法であって、
高吸収性ポリマー組成物が、遠心分離保持容量試験により測定したときに少なくとも約23g/gの遠心分離保持容量、自由膨張ゲルベッド浸透性試験により測定したときに少なくとも約100Darcyの自由膨張ゲルベッド浸透性、及びオーブンシェイクアウト法により測定したときに約20%未満の高吸収性組成物シェイクアウトの特性を有することを特徴とする製造方法。
【請求項30】
工程a)において、酸基の少なくとも約50質量%がカルボキシル基を含み、酸基が少なくとも59mol%中和され、及び内部架橋剤が重合可能な不飽和酸基含有モノマー全量を基準として約1.0〜3.0質量%である請求項29に記載の方法。
【請求項31】
被覆された高吸収性ポリマーの熱処理が約100〜300℃で行われる請求項29に記載の方法。
【請求項32】
被覆された高吸収性ポリマーの熱処理が約150〜250℃で行われる請求項29に記載の方法。
【請求項33】
高吸収性ポリマー組成物が少なくとも約130Darcyの自由膨張ゲルベッド浸透性を有する請求項29に記載の方法。
【請求項34】
高吸収性ポリマー組成物が少なくとも約160Darcyの自由膨張ゲルベッド浸透性を有する請求項29に記載の方法。
【請求項35】
高吸収性ポリマー組成物が少なくとも約200Darcyの自由膨張ゲルベッド浸透性を有する請求項29に記載の方法。
【請求項36】
高吸収性ポリマー組成物が約12%未満の高吸収性組成物シェイクアウトを有する請求項29に記載の方法。
【請求項37】
高吸収性ポリマー組成物が少なくとも約25g/gの遠心分離保持容量を有す請求項29に記載の方法。
【請求項38】
熱可塑性ポリマーが、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレンアクリル酸コポリマー(EAA)、スチレンコポリマー、エチレンメタクリル酸アルキルコポリマー(EMA)、ポリプロピレン(PP)、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリアミド、ポリエステル、並びにこれらの混合物及びコポリマーからなる群から選択される請求項29に記載の方法。
【請求項39】
高吸収性ポリマー組成物が少なくとも約4Darcyの負荷ゲルベッド浸透性を有する請求項29に記載の方法。
【請求項40】
高吸収性ポリマー組成物が少なくとも約8Darcyの負荷ゲルベッド浸透性を有する請求項29に記載の方法。
【請求項41】
高吸収性ポリマー組成物が少なくとも約10Darcyの負荷ゲルベッド浸透性を有する請求項29に記載の方法。
【請求項42】
熱可塑性ポリマーがマレイン酸変性ポリプロピレンである請求項29に記載の方法。
【請求項43】
熱可塑性ポリマーがマレイン酸変性ポリプロピレン及びエチレンアクリル酸コポリマーの混合物である請求項29に記載の方法。
【請求項44】
不溶性の無機粉末がシリカである請求項29に記載の方法。
【請求項45】
さらに表面添加剤がカチオン性ポリマーを含む請求項29に記載の方法。
【請求項46】
カチオン性ポリマーがポリビニルアミンである請求項45に記載の方法。
【請求項47】
不溶性の無機粉末が不溶性リン酸塩である請求項1に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項48】
不溶性の無機粉末がリン酸アルミニウムである請求項1に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項49】
熱可塑性ポリマーがマレイン酸変性ポリプロピレンであり、不溶性の無機粉末がリン酸アルミニウムである請求項1に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項50】
カチオン性ポリマーがポリビニルアミンであり、不溶性の無機粉末がリン酸アルミニウムである請求項8に記載の高吸収性ポリマー組成物。
【請求項51】
不溶性の無機粉末が不溶性リン酸塩である請求項29に記載の方法。
【請求項52】
不溶性の無機粉末がリン酸アルミニウムである請求項29に記載の方法。
【請求項53】
熱可塑性ポリマーがマレイン酸変性ポリプロピレンであり、及び不溶性の無機粉末がリン酸アルミニウムである請求項29に記載の方法。
【請求項54】
カチオン性ポリマーがポリビニルアミンであり、不溶性の無機粉末がリン酸アルミニウムである請求項45に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−519356(P2009−519356A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544674(P2008−544674)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/061859
【国際公開番号】WO2007/070776
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(508160093)エボニック ストックハウゼン,インコーポレイティド (5)
【Fターム(参考)】