熱可塑性積層物の連続成形
細長い熱可塑性複合部材(20)は、連続的な成形工程によって製造される。あらかじめ圧密された熱可塑性積層物は、その融解レイアップより低い温度まで加熱することにより軟化され、複数のセットのツールダイを介して、実質的に連続して供給される。ツールダイは、マンドレル上で軟化した積層物の部分を漸進的に成形し、閉断面を有する形状に積層物を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、熱可塑性複合パーツを製造するための工程に関するものであり、より具体的には、あらかじめ圧密された熱可塑性積層物の長さに特性を連続して成形する方法、特に、実質的に閉断面形状を形成する特性を扱うものである。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性複合材料(TPC)積層物の製造には様々な工程が含まれる。プレス加工、スタンプ加工及びオートクレーブ形成などの非連続工程に加え、押し出し加工、引出成形、ロール仕上げ及び圧縮成形などの連続工程がある。つい最近になって、連続圧縮成形工程を使用して連続長のTPCパーツを生産するために、様々な工程が開発されている。引出成形工程では、強度及び重量を省くため複合材料の最適な使用を妨げる繊維配向が制限されるかもしれない。プレス形成工程及びオートクレーブ圧密工程では、閉断面形状を有するパーツが容易に生産できず、且つ、生産速度が上がればコストも上がってしまうかもしれない。
【0003】
したがって、あらかじめ圧密された積層物の好ましい構造的特性を維持しつつ、あらかじめ圧密されたTPC積層物の連続長のポスト形成を可能にする複合パーツの製造方法が必要とされる。また、パーツの長さまたはプライレイアップ構造に限定されない、実質的に閉断面形状を有するTPC積層物パーツの形成方法が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開示される実施形態は、連続的なポスト形成工程を使用し、制御された熱及び圧力のもとであらかじめ圧密された積層物が所望のパーツ形状にポスト形成される、TPCパーツの製造方法を提供する。連続的なポスト形成工程により、特定の及び/または好適な性能、及び/またはあらかじめ圧密された積層物の構造的特性を、積層物が所望のパーツ形状に圧縮成形された後に保持することが可能になる。また、開示された方法により、いかなるプライの位置付けまたは構造を有するあらかじめ圧密された積層物でも、パーツ長に限定なく連続的に形成することが可能になる。この方法により、実質的に閉断面セクション及び/または長さに沿った湾曲を有するパーツの生産が可能になる。この処理方法は、効率的で、低コスト、且つ高速の生産を結果的にもたらす可能性のある自動工程及び制御を伴う使用に適している。
【0005】
開示される一の実施形態によれば、複合パーツの製造方法が提供される。この方法は、あらかじめ圧密されたTPC積層物を生産するステップ、及び、形成領域を介してあらかじめ圧密された積層物を実質的に連続して供給するステップを含む。あらかじめ圧密された積層物は、積層物を形成するのに十分であるが、積層物の融点より低い温度まで加熱される。積層物が形成領域を介して供給されている間に、一または複数の特性が、加熱された積層物へ漸進的に形成される。あらかじめ圧密されたTPC積層物を生産するステップは、補強された熱可塑性の複数のプライのレイアップを形成するステップ、少なくとも一の形状をレイアップに成形するステップ、及び、次いで成形されたレイアップを圧密するステップを含む。加熱された積層物の漸進的な形成は、積層物へ特性の部分をそれぞれ成形するために一セットのツールダイを使用して実行される。積層物へ特性を形成するステップは、加熱された積層物の部分をマンドレル上に形成するステップを含む。
【0006】
別の実施形態では、マルチプライTPC積層物をレイアップするステップ、及び積層物レイアップを圧密するステップを含む、構造パーツの製造方法が提供される。圧密された積層物は、融点より低いが、成形するために積層物を軟化するのに十分な、あらかじめ選択された温度まで加熱される。加熱され圧密された積層物は、積層物がツールダイを介して供給されている間に、積層物に少なくとも一の特性を選択的に成形する複数の組のツールダイを介して、実質的に連続して供給される。各々のツールダイは、特性の部分を加熱された積層物に部分的に成形するために使用される。方法は、特性が成形された後に積層物を冷却するステップ、及び成形された積層物を硬化するステップをさらに含む。方法は、積層物にその長さに沿って湾曲を成形するためにツールダイを使用するステップを含んでもよい。積層物を供給するステップは、加熱される前に、圧密される積層物の構造的特質の維持を結果的に可能にする期間に、あらかじめ選択された温度まで積層物が加熱される時間を限定するステップを含む。
【0007】
さらに別の開示された実施形態では、閉断面を有する細長いパーツを生産する連続的圧縮成形方法が提供される。方法は、圧縮成形機を介して、あらかじめ圧密されたTPC積層物を実質的に連続して供給するステップを含む。積層物は、その融点より低い温度まで加熱されることにより軟化する。方法は、積層物が成形機を介して供給されている間に、軟化した積層物に特性の部分を成形し、引き続き異なるツールダイを成形機で使用するステップを有する。積層物を成形するステップは、加熱された積層物の部分をマンドレルの周囲に形成し、成形されたパーツの断面を少なくとも部分的に閉じるステップを含む。圧縮成形機を介してあらかじめ圧密された積層物を実質的に連続して供給するステップは、湾曲経路に沿って実行されてもよい。
【0008】
開示される実施形態は、成形工程中にあらかじめ圧密された積層物の構造的特質を損なうことなく、あらかじめ圧密された積層物の連続成形を使用する閉形状を含む、いかなる種類の断面形状をも有する複合パーツの連続長の製造方法の需要を満たす。
【0009】
10. 複合パーツの製造方法であって、
マルチプライの熱可塑性積層物をレイアップするステップ、
積層物レイアップを圧密するステップ、
融点より低いが成形のために積層物を軟化させるのに十分なあらかじめ選択された温度まで、圧密された積層物を加熱するステップ、
複数のセットのツールダイを介して、加熱した積層物を実質的に連続して供給するステップ、及びツールダイを介して積層物が実質的に連続して供給されている間に、ツールダイを使用して、加熱された積層物に少なくとも一の特性を成形するステップを含み、本ステップは、各々のツールダイを使用して、加熱された積層物に特性を部分的に成形するステップを含む、方法。
【0010】
11. 特性が積層物に形成された後に、積層物を冷却するステップ、及び
積層物を硬化させるステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【0011】
12. ツールダイを使用して、積層物にその長さに沿って湾曲を成形するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【0012】
13. 積層物を加熱するステップは、一のセクションで同時に実行され、本ステップは、加熱される前に、圧密された積層物の構造的特質の維持を結果的に可能にする期間に、積層物の各々のセクションがあらかじめ選択された温度まで加熱される時間を限定するステップを含み、且つ
あらかじめ圧密された積層物を冷却するステップは、一のセクションで同時に行われる、請求項11に記載の方法。
【0013】
14. ツールダイを使用して加熱された積層物に少なくとも一の特性を成形するステップは、マンドレル上に加熱された積層物を形成するステップを含み、
積層物がマンドレル上で形成されている期間に、積層物があらかじめ選択された温度に維持されている、請求項10に記載の方法。
【0014】
15. 特性が積層物に成形される前に、圧密された積層物にその長さに沿って少なくとも一の形状を形成するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【0015】
16. 特性を成形するステップは閉断面形状に圧密された積層物を形成するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【0016】
17. 請求項10に記載の方法により形成される複合パーツ。
【0017】
18. 閉断面セクションを有する細長いパーツの連続的生産方法であって、
圧縮成形機を介して、あらかじめ圧密された熱可塑性積層物を実質的に連続して供給するステップ、
融点より低い温度まで積層物を加熱することにより積層物を軟化させるステップ、及び
圧縮成形機を介して積層物が実質的に連続して供給されている間に、軟化した積層物に特性の部分を成形し、次いで圧縮成形機で異なるツールダイを使用するステップを含み、本ステップは、マンドレル周辺で加熱された積層物の部分を成形し、成形されたパーツの断面を少なくとも部分的に閉じるステップを含む、方法。
【0018】
19. 特性が積層物に成形された後に、積層物を冷却するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【0019】
20. 積層物が圧縮成型機に供給される前に、積層物に少なくとも一の形状を成形するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【0020】
21. 圧縮成形機を介して、あらかじめ圧密された積層物を実質的に連続して供給するステップは、湾曲経路に沿って実行される、請求項18に記載の方法。
【0021】
22. 軟化された積層物に特性の部分を成形するステップは、積層物にその長さに沿って湾曲を成形するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【0022】
23. 請求項18に記載の方法により生産される複合パーツ。
【0023】
24. 閉断面形状を有する細長い複合パーツの製造方法であって、
マルチプライの熱可塑性積層物の長さをレイアップするステップ、
レイアップされた積層物にその長さに沿って形状を形成するステップ、
少なくとも融点まで積層物を加熱し、次いで積層物を冷却するステップを含む、形成された積層物を圧密するステップ、
融点より低いが成形のために積層物を軟化させるのに十分な温度まで、圧密された積層物を再加熱するステップ、
多数のセットのツールダイを介して、加熱された積層物を実質的に連続して供給するステップ、及び
ツールダイを介して積層物が実質的に連続して供給されている間に、マンドレル上に軟化した積層物を成形するためにツールダイを使用し、閉断面セクション形状を形成するステップを含み、本ステップは、各々のツールダイを使用して加熱された積層物に特性を部分的に成形するステップを含む、方法。
【0024】
開示した実施形態の他の特性及び利点については、添付図面及び添付した請求項に従って見た場合、以下の実施形態から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】開示される方法により製造される代表的なTPCパーツの透視図である。
【図2】図1に示すTPCパーツの連続長を形成するのに適切なポスト形成機の概略図である。
【図3A−3G】図2に示されるポスト形成機を使用して、図1のパーツの漸進的な成形を連続して示す断面図である。
【図4】成形工程中のTPC積層物の温度プロファイルである。
【図5−8】開示される方法を使用して、あらかじめ形成され、あらかじめ圧密されたTPC積層物が、様々な特性を有するパーツに、どのように形成されるのかをそれぞれ示す図である。
【図9】TPC積層物の断面に湾曲特性を形成するために、ツールダイがどのように使用されるのかを示す部分断面図である。
【図10】真っ直ぐなパーツの連続長を成形するための向かい合うダイの使用を示す図である。
【図11】図10に類似の図であるが、平らなツールダイを使用し、湾曲経路に沿ったセグメントへのTPC積層物成形を示す図である。
【図12】図11に類似する図であるが、湾曲したツールダイを使用し、湾曲経路に沿ったTPC積層物の成形を示す図である。
【図13】あらかじめ圧密された積層物の連続圧縮成形を使用し、TPCパーツを製造する方法のフロー図である。
【図14】航空機の製造及び保守方法のフロー図である。
【図15】航空機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
開示される実施形態は、連続工程においてTPCパーツの製造方法を提供する。この方法は、航空機を含むが、これに限定されない、広範囲の用途で有益なTPCパーツを製造するために採用される。パーツは、広範囲の構造的及び非構造的用途で、様々な産業において使用される。航空業界において、この方法は、僅かながら例を挙げると、キール梁、床梁、甲板梁、補強品、胴体枠組、補強材などのパーツを生産するために使用される。それゆえ、ここで使用されるように、“パーツ(単数形)”及び“パーツ(複数形)”とは、構造的な補強品及び補強材を提供するために使用されるまたは使用されない、広範囲の複合部材及び構造を指す。以下でより詳しく説明するように、パーツは連続長で製造され、且つ、真っ直ぐであるか、または一または複数の湾曲をその長さに沿って有する。
【0027】
図1及び図2に示されるように、ポスト形成機22を使用する開示される方法に従って、TPCパーツ20が連続長で製造される。この例では、TPCパーツ20は、実質的にU字型の断面を形成する底壁24及び側壁26を有する。側壁26上で一組の内向きに曲げられたキャップ28により、パーツ20の長さに沿って溝のような空洞30を有する実質的に閉断面形状が形成される。ここで使用されるように、“閉断面”及び“実質的に閉断面”とは、その周囲が少なくとも部分的に閉じられた状態であるような、及び/または、従来の成形技術を使用してツール(図示せず)を引き出すことが空洞30の妨げとなるような、パーツ20の断面形状を指す。図1に示されるパーツ20は一般的に矩形断面を有しているが、他の様々な断面形状が可能であり、これについては後により詳しく説明される。
【0028】
特に図2では、実質的に平らであるか、または部分的に真っ直ぐに形成された、あらかじめ圧密されたTPC積層物32は、パーツ20を形成するために積層物32にその長さに沿って一または複数の特性を形成するポスト形成機22を介して、矢印34の方向に直線的に供給される。“ポスト形成”とは、圧密された後に、及び、時には、あらかじめ成形もされた後に、積層物32が成形されることを指す。図1で示されるパーツ20の場合、ポスト形成機22により形成された特性は、側壁26及びキャップ28を含む。ポスト形成機22は、大きく分けて、加熱領域36、加熱されていることもある形成領域38、実施形態によっては形成領域38の一部を形成することもある冷却領域40、及びパルス状機構42を備える。
【0029】
あらかじめ圧密されたTPC積層物32は、ガラス(s型またはe型)または炭素繊維(図示せず)などで補強される、たとえば、限定はしないが、ポリエーテルエーテルケトン(“PEEK”)、ポリエーテルケトンケトン(“PEKK”)、ポリスルホン(“PPS”)、ポリエーテルイミド(“PEI”)のような、適する熱可塑性ポリマー樹脂基体を含む個々のプライ(図示せず)から形成される。各プライの補強繊維は、特定の用途に応じて、一方向性に、または不均一な配置に方向付けられる。各プライで利用されるポリマー基体の種類だけではなく、ポリマー基体内の繊維の関連タイプ、厚さ及び量は、パーツ20のコスト及び最も期待される物理的及び機械的な特質を含む、多数の要因に基づき、大きく変化する。
【0030】
積層物32は、参考文献としてり組み込まれている2006年2月2日出願の米国特許文献11/347,122で開示されているような、機械による従来の真空バギング、オートクレーブ処理または圧縮成形を含むが、これに限定されない、様々な工程を使用して、あらかじめ圧密される。上述の米国特許文献の中で述べられている圧縮成形機において、平らなレイアップスタック(図示せず)、またはあらかじめ形成されたパーツ(図示せず)が、熱可塑性基体の融点まで加熱され、ダイを使用して圧縮される機械の圧密領域を介して供給され、次いでその機械で様々な形状に形成される圧密され統合された熱可塑性複合積層物が形成される。
【0031】
ポスト形成機22のパルス状機構42は、一連のツールダイ38a−38gを備え、発展的な形状を有する左右のダイハルブを含む場合もある形成領域38を介して、段階的な方法で、あらかじめ圧密された積層物32を実質的に連続して移動させる。また、これらのダイハルブは、形成領域38の端部付近に形成されている積層物32の上端を覆う。パルス状機構42の代わりに、同様の方法であらかじめ圧密された積層物32を移動させるために、他の種類の機構が使用されてもよい。後により詳しく説明するように、ツールダイ38a−38gの各々は、あらかじめ圧密された積層物32に特性の少なくとも一部を成形する。また、ツールダイ38a−38gは、互いに分離しているのではなく、単独のダイにより積層物32の各々の圧縮で所望の形状を有する複数の異なる部分が形成できるように、ここで形成される複数の別々のダイ形状を有する単独のダイであることに注目すべきである。
【0032】
一の独立した、しかし連動した状態で、あらかじめ圧密された積層物32を圧縮するために、積層物32及びツールダイ38a−38gのパーツに圧力が加えられる。特性の部分があらかじめ圧密された積層物32に成形される圧縮に続いて、ツールダイ38a−38gは同時に開かれ、パルス状機構42により積層物32は次の段階に進み、その後、ツールダイ38a−38gは再び同時に閉じられ、特性の別の部分(つまり、直線セクション)を形成するために積層物32を圧縮する。
【0033】
加熱領域36の加熱装置(図示せず)は、積層物が引き続き形成されるように積層物32を軟化させるのに十分に高いが、積層物32の高分子成分がその融点を超える温度より低い、あらかじめ選択された温度まで、あらかじめ圧密された積層物32を加熱する。加熱領域36は、オーブン(図示せず)または赤外線加熱ランプ(図示せず)を含むが、限定はしない、積層物32を加熱するのに適するいかなる種類の装置をも含む。一または複数の特性を形成領域38の積層物32に成形することに続き、積層物32は、積層物32と接触する工具の能動冷却、または形成領域38を出る際に成形されたパーツ20上に外気または冷気を送る扇風機または送風機を含むが、限定はしない、冷却領域40を通過する際に、冷却される。
【0034】
次に、ツールダイ38a−38gの協同部分が、図1に示す成形されたパーツ20に平らな積層物32を漸進的に形成する順序を示す図3A−3Gに注目する。まず図3Aから始まり、あらかじめ圧密された平らな積層物32は、ツールベース46と、ここではマンドレル44とも呼ばれる矩形のツールブロック44を有する第一のセットのツールダイ38aを通過する。特に、平らな積層物32は、パルス状機構42によって進められる際に、ツールベース46とマンドレルの44の間を通過する。
【0035】
図3Bは、マンドレル44、ベース46、及び、向かい合い、横方向に移動可能なダイハルブ50を備える次のセットのツールダイ38bに進んだ、平らな積層物32を図示する。マンドレル44に加えられる下向きの圧力は、矢印F1で示されるように、ツールベース46に対して積層物32を押し付け、その一方で横方向のツールダイハルブ50は、矢印F2で示されるように、積層物32に対して内向きに押し付けられる。横方向のツールダイハルブ50は、積層物32の横方向部分32aを圧縮し、これにより積層物32を部分的に形成する、傾いたツール表面50aを有する。同様に、図3Cに示される次のセットのツールダイ38cは、マンドレル44,ツールベース46、及び積層物32の横方向部分32aを圧縮しさらに形成する傾いたツール表面52aを有する一組の横方向のツールダイハルブ52を備える。
【0036】
積層物32が形成領域38を介して実質的に連続した段階的な態様で移動し続ける間に、積層物32は、マンドレル44、ツールベース46及び一組の横方向のツールダイハルブ54を有する次のセットのツールダイ38fを通過する。横方向のツールダイハルブ54は、積層物32の横方向部分32aをマンドレル44の側面44aに対して圧縮し、これにより、パーツ20の側壁26(図1)の形成が完成するように構成されたツール表面54aを有する。
【0037】
図3Eに示される次のセットのツールダイ38eは、マンドレル44、ツールベース46、及び、互いに内側に向かって、且つマンドレル44の上壁44b上の一部分で、積層物32の横方向の端部56を圧縮し且つ部分的に形成するツール表面58aを含む別の組の横方向のツールダイハルブ58を有する。図3Dに示される次のセットのツールダイ38dは、横方向のツールダイハルブ60が、マンドレル44の上壁44b上で積層物32の横方向の端部56を下に向かってさらに部分的に形成するツール表面60aを有するという点以外では、図3Eに示されるセットのツールダイ38eと同じである。
【0038】
最後に、図3Gに示すように、部分的に形成された積層物32は、マンドレル44,一般的にU字型の下部ツールダイ62、及び実質的に平らな上部ツールダイ64を有する最後のセットのツールダイ38gに入る。矢印F1で示すように、上部ダイ64は下に向かって移動し、これにより積層物32の横方向の端部56が圧縮されてマンドレル44の上壁44b上に形成され、最終的にパーツ20のキャップ28(図1)が形成される。
【0039】
先に述べたように、あらかじめ圧密された積層物32は、形成領域38に入る前に、加熱領域36で形成温度まで加熱される。実施形態の中には、積層物32の温度を、層物32が圧縮成形により形成するのに十分柔らかい状態を保てるほど高いが、積層物32の融点より低い温度に維持するために、一または複数のセットのツールダイ38a−38gが加熱されるものもある。
【0040】
図4は、時間の関数として、積層物32の典型的な温度プロファイル66を示すものであり、積層物32がポスト形成機22を介して移動する際の積層物32の位置にも対応している。積層物32の温度は、最初からあらかじめ選択された形成温度66bに到達し且つ維持されるまでは、66aで示すように上昇する。積層物32は、セットのツールダイ38a−38gを進む間は、形成温度66bの状態を保つ。次いで、積層物32は、冷却領域40でもたらされる冷却量及び積層物32が冷却領域40を通過する速度によって制御される冷却傾斜66cに従う。再び、先に述べたように、形成領域38内で処理される積層物32のセクションは、圧縮成形中にあらかじめ選択された形成温度66bで実質的に維持される。温度の上昇及び冷却を含む成形工程中に積層物32の温度を融点より低く維持することにより、あらかじめ圧密された積層物32の好適な性能及び/または構造的特質は維持され、それらは完成したパーツ20によって示される。
【0041】
図1及び図3A−3Gに示されるパーツの場合、パーツ20の形成は、実質的に平らなあらかじめ圧密された積層物32で始まる。パーツ20の最終形状及び特性によっては、補強されたTPCプライがレイアップされ及び/またはあらかじめ圧密される間に、その長さに沿ってあらかじめ形成された、あらかじめ圧密された積層物32を使用する必要がある、またはそれが望ましい。たとえば、図5に示すように、あらかじめ圧密された積層物70は、一般的にI字型の断面形状にあらかじめ形成される。ツールダイ(図示せず)及び形成ブロックまたはマンドレル72の組み合わせは、次いで、マンドレル72上に、各キャップ74の肢74aを下向きに形成するために使用され、その結果、矢印76で示される実質的に閉断面形状が完成する。
【0042】
図6は、あらかじめ形成された積層物78の肢82をマンドレル80上で下に向かって形成することにより、実質的に閉断面形状84を生成するために、先に述べたポスト形成工程によって形成された“L”字型の断面を有する、あらかじめ圧密され、あらかじめ形成された積層物78を使用することを示している。
【0043】
図7は、反転された“T”字型の断面にあらかじめ形成された、あらかじめ圧密された積層物86を示す。あらかじめ形成された積層物86は、矢印92で示される断面形状に成形されるが、その中で、積層物86の肢88はマンドレル90上に形成され、部分的に閉断面形状92が生成される。
【0044】
図8は、実質的に“U”字型の断面にあらかじめ形成され、別のあらかじめ圧密された積層物94を示す。マンドレル98及びツールダイ100は、開示されるポスト形成工程中に追加的ツールダイ(図示せず)と組み合わせて使用され、積層物94の肢96をツールダイ100上で外に向かって且つ下方へ形成し、これにより、外に向かって曲げられたフランジ96aを有する改造されたU字型102を形成する。
【0045】
図5から図8は、開示された実施形態に従って再形成される、あらかじめ形成され、あらかじめ圧密された積層物の幾つかの例を示しているに過ぎないので、限定的なものと解釈されるべきではない。他のあらかじめ形成され、あらかじめ圧密された積層物を再形成することも可能である。たとえば、限定はしないが、“L”字型または“U”字型の断面(図示せず)を有するあらかじめ圧密された積層物が、“Z”字型の断面(図示せず)に再形成され、且つ、“T”字型の断面(図示せず)を有するあらかじめ圧密された積層物が“J”字型の断面(図示せず)に再形成される。
【0046】
先に述べた例は、積層物32のパーツが実質的に平らなツールダイの表面上に形成される技術を示すものである。しかしながら、図9に示すように、ツールダイ101及び103は、それぞれ湾曲表面101a及び103aを有しており、これらはマンドレル107と組み合わせて使用され、下に向かって湾曲したフランジ96aのような、湾曲特性を積層物94に形成する。
【0047】
次に、一または複数のセットのツールダイ108により形成される前に、あらかじめ圧密された積層物32が104であらかじめ加熱され積層物32を軟化するポスト形成機22のパーツを示す図10に注目する。ダイ108は、積層物32を完成パーツ110に形成するために、積層物32に対してダイ108を圧縮するプレスエレメント106上に取り付けられる。この例では、積層物32は、実質的に真っ直ぐな経路34に沿って移動し、ツールダイ108は、ポスト形成機22を介して積層物32の進行の直線経路と一致する、実質的に平らな断面を有する。
【0048】
他の実施形態では、あらかじめ圧密された積層物32は、その長さに沿って湾曲するパーツに形成される。たとえば、図11を参照すると、実質的に真っ直ぐな、あらかじめ圧密された積層物32は、側面から見たところは実質的に真っ直ぐであるが、積層物32がポスト形成機22を介して供給される軸112に対して角度θで配置される一または複数のセットのツールダイ108を介して、供給される。この配置の結果、ツールダイ108は、互いにわずかに角度を持って曲げられた、積層物32の一連の実質的に真っ直ぐなセクション116を形成し、区分的にはその長さに沿って、実質的に湾曲されたパーツ110が生産される。形成されたパーツ110は、湾曲“R”の放射状の範囲を有する湾曲経路115に沿った一連のガイド114に沿って供給される。
【0049】
図12は、その長さに沿って湾曲115を有するパーツ110を生産するための積層物32の連続的な圧縮形成のための別の実施形態を示す。この例では、ツールダイ108aは、図11に示されたパーツ110の平らなセクション116とは対照的に、湾曲“R”の放射状の範囲を有する実質的に連続する湾曲を有するパーツ110を形成するために、成形中に積層物32に転写される湾曲断面を有する。
【0050】
次に、熱可塑性積層物の連続成形方法のステップを説明する図13に注目する。ステップ118から始まり、マルチプライのTPC積層物レイアップが形成される。次いで、真空バギングまたは連続圧縮成形工程を含む、先に述べたあらゆる種類の技術を使用して、レイアップは、ステップ120であらかじめ圧密される。ステップ122では、レイアップ中に成形ツールまたは積層物レイアップを圧密及び形成するために使用されるCCM機(図示せず)内のツールダイを使用し、あらかじめ圧密された積層物にその長さに沿って、形状が形成される。ステップ122で形状を形成することは、ステップ120のあらかじめ圧密することの一部として、実行される。次に、ステップ124で、形成の準備で積層物32を軟化するために、あらかじめ圧密された積層物32は、積層物の融点より低い形成温度まで加熱される。ステップ126では、加熱された積層物は、一または複数のセットのツールダイ38a−38gを介して、実質的に連続して供給される。ステップ128で示されるように、積層物32がツールダイ38a−38gを介して供給されている間に、加熱された積層物32に特性を漸進的に形成するために、ツールダイ38a−38gは使用される。選択的に、ステップ130で、積層物32にその長さに沿って湾曲115を形成するために、ツールダイ38a−38gが使用される。形成工程に続いて、形成された積層物は、ステップ132で冷却される。
【0051】
本発明の実施形態は、様々な用途に使用される可能性を有し、例えば航空宇宙、船舶、及び自動車を含む特に輸送産業の分野に用途を見出すことができる。したがって、図14及び15に示すように、本発明の実施形態は、図14に示す航空機の製造及び保守方法140、及び図15に示す航空機142に関して使用することが可能である。開示される実施形態の航空機に関する用途には、例えば、限定しないが、梁、補強材、支持体、操縦面、ハッチ、フロアパネル、ドアパネル、アクセスパネル、及び尾翼といった補剛複合部材が含まれる。製造前の段階では、例示的な方法140は、航空機142の仕様及び設計144及び材料の調達146を含みうる。製造段階では、コンポーネント及びサブアセンブリの製造48と、航空機142のシステムインテグレーション150とが行われる。したがって、航空機142は運航154に供するために、認可及び納品152が行われる。顧客により運航される間に、航空機142は定期的な整備及び保守156(改造、再構成、改修なども含みうる)を受ける。
【0052】
方法140の各プロセスは、システムインテグレーター、第三者、及び/またはオペレーター(例えば顧客)によって実行または実施されうる。本明細書の目的のために、システムインテグレーターは、限定しないが、任意の数の航空機製造者、及び主要システムの下請業者を含むことができ、第三者は、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含むことができ、オペレーターは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などでありうる。
【0053】
図15示されるように、代表的方法140によって製造された航空機142は、複数のシステム160及び内装162を有する機体158を含むことができる。開示される方法で生産されたTPCパーツは、機体158または内装162で使用することができる。高レベルのシステム160の例には、推進システム164、電気システム166、油圧システム168、及び環境システム170のうちの一または複数が含まれる。任意の数の他のシステムが含まれてもよい。航空宇宙産業の例を示したが、本発明の原理は、船舶及び自動車産業などの他の産業にも適用可能である。
【0054】
本明細書に具現化されたシステムと方法は、製造及び保守方法140の一または複数の任意の段階で採用することができる。例えば、製造プロセス148に対応するTPCコンポーネントまたはサブアセンブリは、航空機142の運航中に製造されるコンポーネントまたはサブアセンブリと同様の方法で作製または製造しうる。また、一または複数の方法の実施形態は、例えば、航空機142の組立てを実質的に効率化するか、または航空機142のコストを削減することにより、製造段階148及び150の間に利用することができる。同様に、航空機142が就航中に、または整備及び保守156に、組み込まれるTPCパーツを生産するために、一または複数の実施形態を使用することができる。
【0055】
本発明の実施形態を、特定の例示的実施形態に関連させて説明したが、これらの特定の実施形態は説明を目的としているのであって、限定を目的としているのではなく、当業者であれば他の変形例が想起可能であろう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、熱可塑性複合パーツを製造するための工程に関するものであり、より具体的には、あらかじめ圧密された熱可塑性積層物の長さに特性を連続して成形する方法、特に、実質的に閉断面形状を形成する特性を扱うものである。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性複合材料(TPC)積層物の製造には様々な工程が含まれる。プレス加工、スタンプ加工及びオートクレーブ形成などの非連続工程に加え、押し出し加工、引出成形、ロール仕上げ及び圧縮成形などの連続工程がある。つい最近になって、連続圧縮成形工程を使用して連続長のTPCパーツを生産するために、様々な工程が開発されている。引出成形工程では、強度及び重量を省くため複合材料の最適な使用を妨げる繊維配向が制限されるかもしれない。プレス形成工程及びオートクレーブ圧密工程では、閉断面形状を有するパーツが容易に生産できず、且つ、生産速度が上がればコストも上がってしまうかもしれない。
【0003】
したがって、あらかじめ圧密された積層物の好ましい構造的特性を維持しつつ、あらかじめ圧密されたTPC積層物の連続長のポスト形成を可能にする複合パーツの製造方法が必要とされる。また、パーツの長さまたはプライレイアップ構造に限定されない、実質的に閉断面形状を有するTPC積層物パーツの形成方法が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開示される実施形態は、連続的なポスト形成工程を使用し、制御された熱及び圧力のもとであらかじめ圧密された積層物が所望のパーツ形状にポスト形成される、TPCパーツの製造方法を提供する。連続的なポスト形成工程により、特定の及び/または好適な性能、及び/またはあらかじめ圧密された積層物の構造的特性を、積層物が所望のパーツ形状に圧縮成形された後に保持することが可能になる。また、開示された方法により、いかなるプライの位置付けまたは構造を有するあらかじめ圧密された積層物でも、パーツ長に限定なく連続的に形成することが可能になる。この方法により、実質的に閉断面セクション及び/または長さに沿った湾曲を有するパーツの生産が可能になる。この処理方法は、効率的で、低コスト、且つ高速の生産を結果的にもたらす可能性のある自動工程及び制御を伴う使用に適している。
【0005】
開示される一の実施形態によれば、複合パーツの製造方法が提供される。この方法は、あらかじめ圧密されたTPC積層物を生産するステップ、及び、形成領域を介してあらかじめ圧密された積層物を実質的に連続して供給するステップを含む。あらかじめ圧密された積層物は、積層物を形成するのに十分であるが、積層物の融点より低い温度まで加熱される。積層物が形成領域を介して供給されている間に、一または複数の特性が、加熱された積層物へ漸進的に形成される。あらかじめ圧密されたTPC積層物を生産するステップは、補強された熱可塑性の複数のプライのレイアップを形成するステップ、少なくとも一の形状をレイアップに成形するステップ、及び、次いで成形されたレイアップを圧密するステップを含む。加熱された積層物の漸進的な形成は、積層物へ特性の部分をそれぞれ成形するために一セットのツールダイを使用して実行される。積層物へ特性を形成するステップは、加熱された積層物の部分をマンドレル上に形成するステップを含む。
【0006】
別の実施形態では、マルチプライTPC積層物をレイアップするステップ、及び積層物レイアップを圧密するステップを含む、構造パーツの製造方法が提供される。圧密された積層物は、融点より低いが、成形するために積層物を軟化するのに十分な、あらかじめ選択された温度まで加熱される。加熱され圧密された積層物は、積層物がツールダイを介して供給されている間に、積層物に少なくとも一の特性を選択的に成形する複数の組のツールダイを介して、実質的に連続して供給される。各々のツールダイは、特性の部分を加熱された積層物に部分的に成形するために使用される。方法は、特性が成形された後に積層物を冷却するステップ、及び成形された積層物を硬化するステップをさらに含む。方法は、積層物にその長さに沿って湾曲を成形するためにツールダイを使用するステップを含んでもよい。積層物を供給するステップは、加熱される前に、圧密される積層物の構造的特質の維持を結果的に可能にする期間に、あらかじめ選択された温度まで積層物が加熱される時間を限定するステップを含む。
【0007】
さらに別の開示された実施形態では、閉断面を有する細長いパーツを生産する連続的圧縮成形方法が提供される。方法は、圧縮成形機を介して、あらかじめ圧密されたTPC積層物を実質的に連続して供給するステップを含む。積層物は、その融点より低い温度まで加熱されることにより軟化する。方法は、積層物が成形機を介して供給されている間に、軟化した積層物に特性の部分を成形し、引き続き異なるツールダイを成形機で使用するステップを有する。積層物を成形するステップは、加熱された積層物の部分をマンドレルの周囲に形成し、成形されたパーツの断面を少なくとも部分的に閉じるステップを含む。圧縮成形機を介してあらかじめ圧密された積層物を実質的に連続して供給するステップは、湾曲経路に沿って実行されてもよい。
【0008】
開示される実施形態は、成形工程中にあらかじめ圧密された積層物の構造的特質を損なうことなく、あらかじめ圧密された積層物の連続成形を使用する閉形状を含む、いかなる種類の断面形状をも有する複合パーツの連続長の製造方法の需要を満たす。
【0009】
10. 複合パーツの製造方法であって、
マルチプライの熱可塑性積層物をレイアップするステップ、
積層物レイアップを圧密するステップ、
融点より低いが成形のために積層物を軟化させるのに十分なあらかじめ選択された温度まで、圧密された積層物を加熱するステップ、
複数のセットのツールダイを介して、加熱した積層物を実質的に連続して供給するステップ、及びツールダイを介して積層物が実質的に連続して供給されている間に、ツールダイを使用して、加熱された積層物に少なくとも一の特性を成形するステップを含み、本ステップは、各々のツールダイを使用して、加熱された積層物に特性を部分的に成形するステップを含む、方法。
【0010】
11. 特性が積層物に形成された後に、積層物を冷却するステップ、及び
積層物を硬化させるステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【0011】
12. ツールダイを使用して、積層物にその長さに沿って湾曲を成形するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【0012】
13. 積層物を加熱するステップは、一のセクションで同時に実行され、本ステップは、加熱される前に、圧密された積層物の構造的特質の維持を結果的に可能にする期間に、積層物の各々のセクションがあらかじめ選択された温度まで加熱される時間を限定するステップを含み、且つ
あらかじめ圧密された積層物を冷却するステップは、一のセクションで同時に行われる、請求項11に記載の方法。
【0013】
14. ツールダイを使用して加熱された積層物に少なくとも一の特性を成形するステップは、マンドレル上に加熱された積層物を形成するステップを含み、
積層物がマンドレル上で形成されている期間に、積層物があらかじめ選択された温度に維持されている、請求項10に記載の方法。
【0014】
15. 特性が積層物に成形される前に、圧密された積層物にその長さに沿って少なくとも一の形状を形成するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【0015】
16. 特性を成形するステップは閉断面形状に圧密された積層物を形成するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【0016】
17. 請求項10に記載の方法により形成される複合パーツ。
【0017】
18. 閉断面セクションを有する細長いパーツの連続的生産方法であって、
圧縮成形機を介して、あらかじめ圧密された熱可塑性積層物を実質的に連続して供給するステップ、
融点より低い温度まで積層物を加熱することにより積層物を軟化させるステップ、及び
圧縮成形機を介して積層物が実質的に連続して供給されている間に、軟化した積層物に特性の部分を成形し、次いで圧縮成形機で異なるツールダイを使用するステップを含み、本ステップは、マンドレル周辺で加熱された積層物の部分を成形し、成形されたパーツの断面を少なくとも部分的に閉じるステップを含む、方法。
【0018】
19. 特性が積層物に成形された後に、積層物を冷却するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【0019】
20. 積層物が圧縮成型機に供給される前に、積層物に少なくとも一の形状を成形するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【0020】
21. 圧縮成形機を介して、あらかじめ圧密された積層物を実質的に連続して供給するステップは、湾曲経路に沿って実行される、請求項18に記載の方法。
【0021】
22. 軟化された積層物に特性の部分を成形するステップは、積層物にその長さに沿って湾曲を成形するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【0022】
23. 請求項18に記載の方法により生産される複合パーツ。
【0023】
24. 閉断面形状を有する細長い複合パーツの製造方法であって、
マルチプライの熱可塑性積層物の長さをレイアップするステップ、
レイアップされた積層物にその長さに沿って形状を形成するステップ、
少なくとも融点まで積層物を加熱し、次いで積層物を冷却するステップを含む、形成された積層物を圧密するステップ、
融点より低いが成形のために積層物を軟化させるのに十分な温度まで、圧密された積層物を再加熱するステップ、
多数のセットのツールダイを介して、加熱された積層物を実質的に連続して供給するステップ、及び
ツールダイを介して積層物が実質的に連続して供給されている間に、マンドレル上に軟化した積層物を成形するためにツールダイを使用し、閉断面セクション形状を形成するステップを含み、本ステップは、各々のツールダイを使用して加熱された積層物に特性を部分的に成形するステップを含む、方法。
【0024】
開示した実施形態の他の特性及び利点については、添付図面及び添付した請求項に従って見た場合、以下の実施形態から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】開示される方法により製造される代表的なTPCパーツの透視図である。
【図2】図1に示すTPCパーツの連続長を形成するのに適切なポスト形成機の概略図である。
【図3A−3G】図2に示されるポスト形成機を使用して、図1のパーツの漸進的な成形を連続して示す断面図である。
【図4】成形工程中のTPC積層物の温度プロファイルである。
【図5−8】開示される方法を使用して、あらかじめ形成され、あらかじめ圧密されたTPC積層物が、様々な特性を有するパーツに、どのように形成されるのかをそれぞれ示す図である。
【図9】TPC積層物の断面に湾曲特性を形成するために、ツールダイがどのように使用されるのかを示す部分断面図である。
【図10】真っ直ぐなパーツの連続長を成形するための向かい合うダイの使用を示す図である。
【図11】図10に類似の図であるが、平らなツールダイを使用し、湾曲経路に沿ったセグメントへのTPC積層物成形を示す図である。
【図12】図11に類似する図であるが、湾曲したツールダイを使用し、湾曲経路に沿ったTPC積層物の成形を示す図である。
【図13】あらかじめ圧密された積層物の連続圧縮成形を使用し、TPCパーツを製造する方法のフロー図である。
【図14】航空機の製造及び保守方法のフロー図である。
【図15】航空機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
開示される実施形態は、連続工程においてTPCパーツの製造方法を提供する。この方法は、航空機を含むが、これに限定されない、広範囲の用途で有益なTPCパーツを製造するために採用される。パーツは、広範囲の構造的及び非構造的用途で、様々な産業において使用される。航空業界において、この方法は、僅かながら例を挙げると、キール梁、床梁、甲板梁、補強品、胴体枠組、補強材などのパーツを生産するために使用される。それゆえ、ここで使用されるように、“パーツ(単数形)”及び“パーツ(複数形)”とは、構造的な補強品及び補強材を提供するために使用されるまたは使用されない、広範囲の複合部材及び構造を指す。以下でより詳しく説明するように、パーツは連続長で製造され、且つ、真っ直ぐであるか、または一または複数の湾曲をその長さに沿って有する。
【0027】
図1及び図2に示されるように、ポスト形成機22を使用する開示される方法に従って、TPCパーツ20が連続長で製造される。この例では、TPCパーツ20は、実質的にU字型の断面を形成する底壁24及び側壁26を有する。側壁26上で一組の内向きに曲げられたキャップ28により、パーツ20の長さに沿って溝のような空洞30を有する実質的に閉断面形状が形成される。ここで使用されるように、“閉断面”及び“実質的に閉断面”とは、その周囲が少なくとも部分的に閉じられた状態であるような、及び/または、従来の成形技術を使用してツール(図示せず)を引き出すことが空洞30の妨げとなるような、パーツ20の断面形状を指す。図1に示されるパーツ20は一般的に矩形断面を有しているが、他の様々な断面形状が可能であり、これについては後により詳しく説明される。
【0028】
特に図2では、実質的に平らであるか、または部分的に真っ直ぐに形成された、あらかじめ圧密されたTPC積層物32は、パーツ20を形成するために積層物32にその長さに沿って一または複数の特性を形成するポスト形成機22を介して、矢印34の方向に直線的に供給される。“ポスト形成”とは、圧密された後に、及び、時には、あらかじめ成形もされた後に、積層物32が成形されることを指す。図1で示されるパーツ20の場合、ポスト形成機22により形成された特性は、側壁26及びキャップ28を含む。ポスト形成機22は、大きく分けて、加熱領域36、加熱されていることもある形成領域38、実施形態によっては形成領域38の一部を形成することもある冷却領域40、及びパルス状機構42を備える。
【0029】
あらかじめ圧密されたTPC積層物32は、ガラス(s型またはe型)または炭素繊維(図示せず)などで補強される、たとえば、限定はしないが、ポリエーテルエーテルケトン(“PEEK”)、ポリエーテルケトンケトン(“PEKK”)、ポリスルホン(“PPS”)、ポリエーテルイミド(“PEI”)のような、適する熱可塑性ポリマー樹脂基体を含む個々のプライ(図示せず)から形成される。各プライの補強繊維は、特定の用途に応じて、一方向性に、または不均一な配置に方向付けられる。各プライで利用されるポリマー基体の種類だけではなく、ポリマー基体内の繊維の関連タイプ、厚さ及び量は、パーツ20のコスト及び最も期待される物理的及び機械的な特質を含む、多数の要因に基づき、大きく変化する。
【0030】
積層物32は、参考文献としてり組み込まれている2006年2月2日出願の米国特許文献11/347,122で開示されているような、機械による従来の真空バギング、オートクレーブ処理または圧縮成形を含むが、これに限定されない、様々な工程を使用して、あらかじめ圧密される。上述の米国特許文献の中で述べられている圧縮成形機において、平らなレイアップスタック(図示せず)、またはあらかじめ形成されたパーツ(図示せず)が、熱可塑性基体の融点まで加熱され、ダイを使用して圧縮される機械の圧密領域を介して供給され、次いでその機械で様々な形状に形成される圧密され統合された熱可塑性複合積層物が形成される。
【0031】
ポスト形成機22のパルス状機構42は、一連のツールダイ38a−38gを備え、発展的な形状を有する左右のダイハルブを含む場合もある形成領域38を介して、段階的な方法で、あらかじめ圧密された積層物32を実質的に連続して移動させる。また、これらのダイハルブは、形成領域38の端部付近に形成されている積層物32の上端を覆う。パルス状機構42の代わりに、同様の方法であらかじめ圧密された積層物32を移動させるために、他の種類の機構が使用されてもよい。後により詳しく説明するように、ツールダイ38a−38gの各々は、あらかじめ圧密された積層物32に特性の少なくとも一部を成形する。また、ツールダイ38a−38gは、互いに分離しているのではなく、単独のダイにより積層物32の各々の圧縮で所望の形状を有する複数の異なる部分が形成できるように、ここで形成される複数の別々のダイ形状を有する単独のダイであることに注目すべきである。
【0032】
一の独立した、しかし連動した状態で、あらかじめ圧密された積層物32を圧縮するために、積層物32及びツールダイ38a−38gのパーツに圧力が加えられる。特性の部分があらかじめ圧密された積層物32に成形される圧縮に続いて、ツールダイ38a−38gは同時に開かれ、パルス状機構42により積層物32は次の段階に進み、その後、ツールダイ38a−38gは再び同時に閉じられ、特性の別の部分(つまり、直線セクション)を形成するために積層物32を圧縮する。
【0033】
加熱領域36の加熱装置(図示せず)は、積層物が引き続き形成されるように積層物32を軟化させるのに十分に高いが、積層物32の高分子成分がその融点を超える温度より低い、あらかじめ選択された温度まで、あらかじめ圧密された積層物32を加熱する。加熱領域36は、オーブン(図示せず)または赤外線加熱ランプ(図示せず)を含むが、限定はしない、積層物32を加熱するのに適するいかなる種類の装置をも含む。一または複数の特性を形成領域38の積層物32に成形することに続き、積層物32は、積層物32と接触する工具の能動冷却、または形成領域38を出る際に成形されたパーツ20上に外気または冷気を送る扇風機または送風機を含むが、限定はしない、冷却領域40を通過する際に、冷却される。
【0034】
次に、ツールダイ38a−38gの協同部分が、図1に示す成形されたパーツ20に平らな積層物32を漸進的に形成する順序を示す図3A−3Gに注目する。まず図3Aから始まり、あらかじめ圧密された平らな積層物32は、ツールベース46と、ここではマンドレル44とも呼ばれる矩形のツールブロック44を有する第一のセットのツールダイ38aを通過する。特に、平らな積層物32は、パルス状機構42によって進められる際に、ツールベース46とマンドレルの44の間を通過する。
【0035】
図3Bは、マンドレル44、ベース46、及び、向かい合い、横方向に移動可能なダイハルブ50を備える次のセットのツールダイ38bに進んだ、平らな積層物32を図示する。マンドレル44に加えられる下向きの圧力は、矢印F1で示されるように、ツールベース46に対して積層物32を押し付け、その一方で横方向のツールダイハルブ50は、矢印F2で示されるように、積層物32に対して内向きに押し付けられる。横方向のツールダイハルブ50は、積層物32の横方向部分32aを圧縮し、これにより積層物32を部分的に形成する、傾いたツール表面50aを有する。同様に、図3Cに示される次のセットのツールダイ38cは、マンドレル44,ツールベース46、及び積層物32の横方向部分32aを圧縮しさらに形成する傾いたツール表面52aを有する一組の横方向のツールダイハルブ52を備える。
【0036】
積層物32が形成領域38を介して実質的に連続した段階的な態様で移動し続ける間に、積層物32は、マンドレル44、ツールベース46及び一組の横方向のツールダイハルブ54を有する次のセットのツールダイ38fを通過する。横方向のツールダイハルブ54は、積層物32の横方向部分32aをマンドレル44の側面44aに対して圧縮し、これにより、パーツ20の側壁26(図1)の形成が完成するように構成されたツール表面54aを有する。
【0037】
図3Eに示される次のセットのツールダイ38eは、マンドレル44、ツールベース46、及び、互いに内側に向かって、且つマンドレル44の上壁44b上の一部分で、積層物32の横方向の端部56を圧縮し且つ部分的に形成するツール表面58aを含む別の組の横方向のツールダイハルブ58を有する。図3Dに示される次のセットのツールダイ38dは、横方向のツールダイハルブ60が、マンドレル44の上壁44b上で積層物32の横方向の端部56を下に向かってさらに部分的に形成するツール表面60aを有するという点以外では、図3Eに示されるセットのツールダイ38eと同じである。
【0038】
最後に、図3Gに示すように、部分的に形成された積層物32は、マンドレル44,一般的にU字型の下部ツールダイ62、及び実質的に平らな上部ツールダイ64を有する最後のセットのツールダイ38gに入る。矢印F1で示すように、上部ダイ64は下に向かって移動し、これにより積層物32の横方向の端部56が圧縮されてマンドレル44の上壁44b上に形成され、最終的にパーツ20のキャップ28(図1)が形成される。
【0039】
先に述べたように、あらかじめ圧密された積層物32は、形成領域38に入る前に、加熱領域36で形成温度まで加熱される。実施形態の中には、積層物32の温度を、層物32が圧縮成形により形成するのに十分柔らかい状態を保てるほど高いが、積層物32の融点より低い温度に維持するために、一または複数のセットのツールダイ38a−38gが加熱されるものもある。
【0040】
図4は、時間の関数として、積層物32の典型的な温度プロファイル66を示すものであり、積層物32がポスト形成機22を介して移動する際の積層物32の位置にも対応している。積層物32の温度は、最初からあらかじめ選択された形成温度66bに到達し且つ維持されるまでは、66aで示すように上昇する。積層物32は、セットのツールダイ38a−38gを進む間は、形成温度66bの状態を保つ。次いで、積層物32は、冷却領域40でもたらされる冷却量及び積層物32が冷却領域40を通過する速度によって制御される冷却傾斜66cに従う。再び、先に述べたように、形成領域38内で処理される積層物32のセクションは、圧縮成形中にあらかじめ選択された形成温度66bで実質的に維持される。温度の上昇及び冷却を含む成形工程中に積層物32の温度を融点より低く維持することにより、あらかじめ圧密された積層物32の好適な性能及び/または構造的特質は維持され、それらは完成したパーツ20によって示される。
【0041】
図1及び図3A−3Gに示されるパーツの場合、パーツ20の形成は、実質的に平らなあらかじめ圧密された積層物32で始まる。パーツ20の最終形状及び特性によっては、補強されたTPCプライがレイアップされ及び/またはあらかじめ圧密される間に、その長さに沿ってあらかじめ形成された、あらかじめ圧密された積層物32を使用する必要がある、またはそれが望ましい。たとえば、図5に示すように、あらかじめ圧密された積層物70は、一般的にI字型の断面形状にあらかじめ形成される。ツールダイ(図示せず)及び形成ブロックまたはマンドレル72の組み合わせは、次いで、マンドレル72上に、各キャップ74の肢74aを下向きに形成するために使用され、その結果、矢印76で示される実質的に閉断面形状が完成する。
【0042】
図6は、あらかじめ形成された積層物78の肢82をマンドレル80上で下に向かって形成することにより、実質的に閉断面形状84を生成するために、先に述べたポスト形成工程によって形成された“L”字型の断面を有する、あらかじめ圧密され、あらかじめ形成された積層物78を使用することを示している。
【0043】
図7は、反転された“T”字型の断面にあらかじめ形成された、あらかじめ圧密された積層物86を示す。あらかじめ形成された積層物86は、矢印92で示される断面形状に成形されるが、その中で、積層物86の肢88はマンドレル90上に形成され、部分的に閉断面形状92が生成される。
【0044】
図8は、実質的に“U”字型の断面にあらかじめ形成され、別のあらかじめ圧密された積層物94を示す。マンドレル98及びツールダイ100は、開示されるポスト形成工程中に追加的ツールダイ(図示せず)と組み合わせて使用され、積層物94の肢96をツールダイ100上で外に向かって且つ下方へ形成し、これにより、外に向かって曲げられたフランジ96aを有する改造されたU字型102を形成する。
【0045】
図5から図8は、開示された実施形態に従って再形成される、あらかじめ形成され、あらかじめ圧密された積層物の幾つかの例を示しているに過ぎないので、限定的なものと解釈されるべきではない。他のあらかじめ形成され、あらかじめ圧密された積層物を再形成することも可能である。たとえば、限定はしないが、“L”字型または“U”字型の断面(図示せず)を有するあらかじめ圧密された積層物が、“Z”字型の断面(図示せず)に再形成され、且つ、“T”字型の断面(図示せず)を有するあらかじめ圧密された積層物が“J”字型の断面(図示せず)に再形成される。
【0046】
先に述べた例は、積層物32のパーツが実質的に平らなツールダイの表面上に形成される技術を示すものである。しかしながら、図9に示すように、ツールダイ101及び103は、それぞれ湾曲表面101a及び103aを有しており、これらはマンドレル107と組み合わせて使用され、下に向かって湾曲したフランジ96aのような、湾曲特性を積層物94に形成する。
【0047】
次に、一または複数のセットのツールダイ108により形成される前に、あらかじめ圧密された積層物32が104であらかじめ加熱され積層物32を軟化するポスト形成機22のパーツを示す図10に注目する。ダイ108は、積層物32を完成パーツ110に形成するために、積層物32に対してダイ108を圧縮するプレスエレメント106上に取り付けられる。この例では、積層物32は、実質的に真っ直ぐな経路34に沿って移動し、ツールダイ108は、ポスト形成機22を介して積層物32の進行の直線経路と一致する、実質的に平らな断面を有する。
【0048】
他の実施形態では、あらかじめ圧密された積層物32は、その長さに沿って湾曲するパーツに形成される。たとえば、図11を参照すると、実質的に真っ直ぐな、あらかじめ圧密された積層物32は、側面から見たところは実質的に真っ直ぐであるが、積層物32がポスト形成機22を介して供給される軸112に対して角度θで配置される一または複数のセットのツールダイ108を介して、供給される。この配置の結果、ツールダイ108は、互いにわずかに角度を持って曲げられた、積層物32の一連の実質的に真っ直ぐなセクション116を形成し、区分的にはその長さに沿って、実質的に湾曲されたパーツ110が生産される。形成されたパーツ110は、湾曲“R”の放射状の範囲を有する湾曲経路115に沿った一連のガイド114に沿って供給される。
【0049】
図12は、その長さに沿って湾曲115を有するパーツ110を生産するための積層物32の連続的な圧縮形成のための別の実施形態を示す。この例では、ツールダイ108aは、図11に示されたパーツ110の平らなセクション116とは対照的に、湾曲“R”の放射状の範囲を有する実質的に連続する湾曲を有するパーツ110を形成するために、成形中に積層物32に転写される湾曲断面を有する。
【0050】
次に、熱可塑性積層物の連続成形方法のステップを説明する図13に注目する。ステップ118から始まり、マルチプライのTPC積層物レイアップが形成される。次いで、真空バギングまたは連続圧縮成形工程を含む、先に述べたあらゆる種類の技術を使用して、レイアップは、ステップ120であらかじめ圧密される。ステップ122では、レイアップ中に成形ツールまたは積層物レイアップを圧密及び形成するために使用されるCCM機(図示せず)内のツールダイを使用し、あらかじめ圧密された積層物にその長さに沿って、形状が形成される。ステップ122で形状を形成することは、ステップ120のあらかじめ圧密することの一部として、実行される。次に、ステップ124で、形成の準備で積層物32を軟化するために、あらかじめ圧密された積層物32は、積層物の融点より低い形成温度まで加熱される。ステップ126では、加熱された積層物は、一または複数のセットのツールダイ38a−38gを介して、実質的に連続して供給される。ステップ128で示されるように、積層物32がツールダイ38a−38gを介して供給されている間に、加熱された積層物32に特性を漸進的に形成するために、ツールダイ38a−38gは使用される。選択的に、ステップ130で、積層物32にその長さに沿って湾曲115を形成するために、ツールダイ38a−38gが使用される。形成工程に続いて、形成された積層物は、ステップ132で冷却される。
【0051】
本発明の実施形態は、様々な用途に使用される可能性を有し、例えば航空宇宙、船舶、及び自動車を含む特に輸送産業の分野に用途を見出すことができる。したがって、図14及び15に示すように、本発明の実施形態は、図14に示す航空機の製造及び保守方法140、及び図15に示す航空機142に関して使用することが可能である。開示される実施形態の航空機に関する用途には、例えば、限定しないが、梁、補強材、支持体、操縦面、ハッチ、フロアパネル、ドアパネル、アクセスパネル、及び尾翼といった補剛複合部材が含まれる。製造前の段階では、例示的な方法140は、航空機142の仕様及び設計144及び材料の調達146を含みうる。製造段階では、コンポーネント及びサブアセンブリの製造48と、航空機142のシステムインテグレーション150とが行われる。したがって、航空機142は運航154に供するために、認可及び納品152が行われる。顧客により運航される間に、航空機142は定期的な整備及び保守156(改造、再構成、改修なども含みうる)を受ける。
【0052】
方法140の各プロセスは、システムインテグレーター、第三者、及び/またはオペレーター(例えば顧客)によって実行または実施されうる。本明細書の目的のために、システムインテグレーターは、限定しないが、任意の数の航空機製造者、及び主要システムの下請業者を含むことができ、第三者は、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含むことができ、オペレーターは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などでありうる。
【0053】
図15示されるように、代表的方法140によって製造された航空機142は、複数のシステム160及び内装162を有する機体158を含むことができる。開示される方法で生産されたTPCパーツは、機体158または内装162で使用することができる。高レベルのシステム160の例には、推進システム164、電気システム166、油圧システム168、及び環境システム170のうちの一または複数が含まれる。任意の数の他のシステムが含まれてもよい。航空宇宙産業の例を示したが、本発明の原理は、船舶及び自動車産業などの他の産業にも適用可能である。
【0054】
本明細書に具現化されたシステムと方法は、製造及び保守方法140の一または複数の任意の段階で採用することができる。例えば、製造プロセス148に対応するTPCコンポーネントまたはサブアセンブリは、航空機142の運航中に製造されるコンポーネントまたはサブアセンブリと同様の方法で作製または製造しうる。また、一または複数の方法の実施形態は、例えば、航空機142の組立てを実質的に効率化するか、または航空機142のコストを削減することにより、製造段階148及び150の間に利用することができる。同様に、航空機142が就航中に、または整備及び保守156に、組み込まれるTPCパーツを生産するために、一または複数の実施形態を使用することができる。
【0055】
本発明の実施形態を、特定の例示的実施形態に関連させて説明したが、これらの特定の実施形態は説明を目的としているのであって、限定を目的としているのではなく、当業者であれば他の変形例が想起可能であろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合パーツの製造方法であって、
あらかじめ圧密された熱可塑性積層物を生産するステップ、
形成領域を介して、あらかじめ圧密された積層物を実質的に連続して供給するステップ、
積層物を形成するのには十分であるが積層物の融解温度より低い温度まで、あらかじめ圧密された積層物を加熱するステップ、及び
加熱された積層物が形成領域を介して供給されている間に、加熱された積層物のセクションに特性を漸進的に形成するステップを含む、方法。
【請求項2】
特性が積層物に形成された後に、積層物を冷却するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
あらかじめ圧密された熱可塑性積層物を生産するステップは、
補強された熱可塑性の複数のプライのレイアップを形成するステップ、
レイアップに少なくとも一の形状を成形するステップ、及び
形成されたレイアップを圧密するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
あらかじめ圧密された積層物を加熱するステップは、一のセクションで同時に実行され、且つ
あらかじめ圧密された積層物を冷却するステップは、一のセクションで同時に実行される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
加熱された積層物のセクションに特性を漸進的に形成するステップは、積層物に特性の部分をそれぞれ成形するために、一セットの個々のツールダイを使用して実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
加熱された積層物のセクションに特性を漸進的に形成するステップは、マンドレル上に加熱された積層物の部分を形成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
形成領域を介してあらかじめ圧密された積層物を実質的に連続して供給するステップは、湾曲経路に沿って実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
加熱された積層物のセクションに特性を漸進的に形成するステップは、積層物にその長さに沿って湾曲を成形するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法により形成される複合パーツ。
【請求項1】
複合パーツの製造方法であって、
あらかじめ圧密された熱可塑性積層物を生産するステップ、
形成領域を介して、あらかじめ圧密された積層物を実質的に連続して供給するステップ、
積層物を形成するのには十分であるが積層物の融解温度より低い温度まで、あらかじめ圧密された積層物を加熱するステップ、及び
加熱された積層物が形成領域を介して供給されている間に、加熱された積層物のセクションに特性を漸進的に形成するステップを含む、方法。
【請求項2】
特性が積層物に形成された後に、積層物を冷却するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
あらかじめ圧密された熱可塑性積層物を生産するステップは、
補強された熱可塑性の複数のプライのレイアップを形成するステップ、
レイアップに少なくとも一の形状を成形するステップ、及び
形成されたレイアップを圧密するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
あらかじめ圧密された積層物を加熱するステップは、一のセクションで同時に実行され、且つ
あらかじめ圧密された積層物を冷却するステップは、一のセクションで同時に実行される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
加熱された積層物のセクションに特性を漸進的に形成するステップは、積層物に特性の部分をそれぞれ成形するために、一セットの個々のツールダイを使用して実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
加熱された積層物のセクションに特性を漸進的に形成するステップは、マンドレル上に加熱された積層物の部分を形成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
形成領域を介してあらかじめ圧密された積層物を実質的に連続して供給するステップは、湾曲経路に沿って実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
加熱された積層物のセクションに特性を漸進的に形成するステップは、積層物にその長さに沿って湾曲を成形するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法により形成される複合パーツ。
【図1】
【図2】
【図3A−3G】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3A−3G】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2013−520337(P2013−520337A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555007(P2012−555007)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2011/022003
【国際公開番号】WO2011/106117
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2011/022003
【国際公開番号】WO2011/106117
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】
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