説明

熱可塑性高分子シート及びその製造方法

【課題】 厚み精度に優れ、ダイラインがなく、シートの反りが少ない熱可塑性高分子シートを得る。
【解決手段】 熱可塑性高分子をTダイ又はコートハンガーダイよりシート状に溶融押し出しし、該溶融シートの表側と裏側との表面温度差を15℃以内に保持しつつ移動させ、ついで該溶融シートを冷却工程に付して固化し熱可塑性高分子シートを製造する。このシートは、ガラス転移点150℃以上の熱可塑性高分子からなり、シート厚み150〜1000μm、シートの面内厚み公差(Rmax)20μm以下、シート表面の粗さ0.1μm以下であり、かつシートの平面リタデーション20nm以下である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱可塑性高分子シート及びその製造法に関する。本発明の熱可塑性高分子シートは厚み精度に優れ、シートの反りが少ない。本発明の熱可塑性高分子シートは、高い厚み精度が要求されるスペーサー等の用途、表示機能が要求される光学用のシートに適しており、例えば、研磨用のスペーサー、高精度のモーター部の摺動スペーサー、表示デバイス用の透明シート等として好適である。
【0002】
【従来の技術】一般に溶融押し出し法により製造された熱可塑性高分子シートは、充分な厚み精度が得られず、またカールの発生もあり、高精度なギャップ保持に用いるスペーサーとして信頼性に乏しい。
【0003】このため高精度ギャップ保持用のスペーサーとしては、アルミニウムや銅等の金属板も使用されている。半導体用途のSiウエハ研磨スペーサーとしては、Siウエハの場合と同様、金属スペーサーが研磨され、その金属粉が後工程でのパターン回路作成時の微量不純物となり、回路間における短絡の原因となる。
【0004】また、液晶表示素子用の透明電極基板など、光学用シートには従来ガラス基板が使用されている。このような液晶表示素子は、ガラス基板自体が厚いために液晶表示素子の薄型化、軽量化が困難である。また、可撓性、耐衝撃性においても充分な特性は得られていない。
【0005】かかる従来のガラス基板液晶表示素子の欠点を解消すべく、プラスチックフィルムを用いて液晶パネルを作製することが提案されている。例えば、特開昭53−68099号公報及び特開昭54−126559号公報には、ガラス基板の代わりに長尺のポリエステルフィルムに導電性酸化金属物質を蒸着した液晶表示素子パネルを連続して製造する技術が開示されているが、充分な光学的特性は得られていない。また、このようなシートは、光学用シートとして厚み精度が悪く、フィルム上にダイラインが発生するなど、表示用のシートとしては実用に耐えない。
【0006】光学用途に用いることのできる優れた特性を有する熱可塑性樹脂シートを得るには、溶融押し出し製膜工程において生ずる分子配向に起因するシートのリタデーションの増大が問題となる。例えば、TN(Twisted Nematic)型液晶表示素子では偏光板により直線偏光された入射光が、透明電極シートの複屈折性及びそのシート面内の偏差から部分的に異なる楕円偏光になるため、コントラストの低下、表示ムラを生じる。
【0007】また、従来、Tダイやコートハンガーダイにより溶融押し出しを行う場合、厚み精度を向上させるには、熱可塑性高分子の流路内における剪断応力や滞留によるダイス出口の圧力のばらつきの低減、あるいは、ダイラインと呼ばれる凹凸筋の原因となるダイスの面やリップの精度の向上、さらにはガイドロールを設ける方法などが採用されているが、いまだ解決に至っていない。
【0008】厚み精度の良好な高分子シートの製造方法として、熱可塑性高分子を溶剤に溶解させ、フィルムもしくは金属ベルト等にコーティングし乾燥させる溶剤キャスト法も知られているが、厚いシートの生産性が低く、シート中の溶剤の残留も問題となる。
【0009】さらに、他の方法として、寸法を高精度に仕上げた金型に熱可塑性高分子を封入して成形する射出成形法もある。かかる方法はCDディスクの成形に用いられ充分な生産性もあるが、射出成形法では数mmオーダーの厚みのシートが限界であって、さらに精密な数百μmのオーダーの厚み精度を得ることはできない。
【0010】また、シートの耐カール性を向上させるため、後加工を行う方法も知られている。例えば、表面を高精度に仕上げた板を用いて、ある一定間隔でシートをプレスするものであるが、かかる方法は生産性が低く大量の生産には不向きである。また、冷却ロールを用いてシートの反りを除去する方法では、シートを沿わす冷却ロールを極めて大きなものとする必要があり経済的でない。
【0011】さらに、平面(曲率のない)上で高分子シートを冷却固化した場合もシートの反りが発生しやすくなる。このように厚み精度に優れ、かつシートの反りが小さい熱可塑性高分子シートを製造することは非常に困難である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、厚み精度に優れ、ダイラインがなく、シートの反りが少ない熱可塑性高分子シート及びその製造方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる従来の熱可塑性高分子シートの製造法について種々検討を行ったところ、ダイから冷却工程にいたる溶融樹脂の温度管理を厳密に行うことにより、極めて優れた寸法精度を有し、カールのない製品が得られるとの知見を得て本発明を完成した。
【0014】本願の第1の発明は、ガラス転移点150℃以上の熱可塑性高分子からなり、シート厚み150〜1000μm、シートの面内厚み公差(Rmax)20μm以下、シート表面の粗さ0.1μm以下であり、かつシートの平面リタデーション20nm以下である熱可塑性高分子シートを提供するものである。
【0015】本願の第2の発明は熱可塑性高分子をTダイ又はコートハンガーダイなどの公知のダイスからシート状に溶融押し出しし、該溶融シートの表側と裏側との表面温度差を15℃以内に保持しつつ移動させ、ついで該溶融シートを冷却工程に付して固化することを特徴とする前記熱可塑性高分子シートの製造方法を提供するものである。
【0016】本願の第3の発明は前記の熱可塑性高分子シートを基板としてなる透明電極シートを提供するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明では、ダイスリップ先端から冷却ロール間におけるシート表面の温度分布をできるだけ少なくなるよう保持したことにより予想外に均一なシートが得られた。通常の溶融押し出し法のダイリップ先端ゾーンは輻射熱により加熱され、溶融シートに不均一な温度分布が生じないような一応の手段が施されている。しかしながら、空気を媒体とする熱放散により高分子シートは温度低下が生じ、シート表面の表側と裏側、シートの幅方向における左右の位置で不均一な温度分布が生ずる。更に、冷却部分への接触で完全に分子配向が固化される。
【0018】本発明方法では、リップ先端から冷却ロールまでの区間をシートの流れに沿って充分な断熱を行い厳重な温度管理を行う。例えば、ダイスより溶融押し出しされたフィルムが冷却ロールにタッチするまでの間を金属板や断熱材により外気から遮断することにより温度管理を行う方法や、更にはヒーター等を設置し強制的に温度を制御し管理する方法等が挙げられる。また、冷却ロールやダイス付近で起こる気流による温度変化をなくすための邪魔板を設置する方法や、更には、気流を発生させないために室内の雰囲気温度を制御することも挙げられるが、リップ先端から冷却ロールまでの区間をシート流れに沿って厳重な温度管理を行う事ができれば種々の方法のいずれを用いてもよい。
【0019】溶融押し出しされた熱可塑性高分子シートが冷却部分に移送される過程において、帯状の熱可塑性高分子シートの表側と裏側との表面温度差は15℃以内、好ましくは10℃以内に設定する。高分子シートの表側と裏側の表面温度差がこれより大きいと、高分子シートの厚み方向の複屈折が増加し、ダイラインと呼ばれるシート表面の凹凸が大きくなり表面精度が悪化する。
【0020】また、溶融押し出しされた熱可塑性高分子シートが冷却部分に移送される過程において、帯状の前記溶融シートの幅方向の表面温度差を15℃以内、好ましくは10℃以内に設定する。シートの幅方向の表面温度差がこれより大きいと厚み精度が低下する。これはダイスリップから高分子シートが延伸され冷却ロールで冷却される際に、温度分布による弾性率の差により延伸ムラが発生することに起因すると考えられる。また、冷却ロールへの密着性にもムラが生じ、冷却効率の不均一により平面及び厚み方向の複屈折が悪化する。更には、上記同様にダイラインが増大し、シートの表面精度が悪化する。
【0021】本発明においては、溶融押し出しされた熱可塑性高分子シートのガラス転移点をTgとすると、Tダイ、コートハンガーダイなどのダイスの温度(D1)はTg+80<D1<Tg+150[℃]である。Tダイもしくはコートハンガーダイの温度(D1)がTg+80[℃]以下であると樹脂粘度が高く、ダイスに背圧がかかり押し出すことができない。またD1がTg+150[℃]以上であると樹脂が熱分解を起こし、変色または異物の発生につながる。
【0022】冷却部分に接するときの高分子シートの表面温度(S1)はTg+30<S1<Tg+100[℃]である。高分子シートの表面温度(S1)がTg+30[℃]以下であるとダイスリップから高分子シートが延伸され冷却ロールで冷却されるが延伸の際に高分子シートの平面における複屈折が増加する。高分子シートの表面温度(S1)が、Tg+100[℃]以上であると冷却ロールとの温度差が大きすぎシート化される際の応力が大きくなるため複屈折が増加したり、冷却能力不足になりやすく冷却ロールに高分子シートが融着し外観不良となる。
【0023】また、冷却ロール温度(R1)はTg−30<R1<Tg+30[℃]である。冷却ロール温度(R1)がTg−30[℃]以下であると冷却シワが発生し外観不良となる。冷却ロール温度(R1)がTg+30[℃]以上であると冷却ロールに高分子シートが融着し外観不良となる。
【0024】熱可塑性高分子シートの厚みは、150〜1000μmが好ましく、更に好ましくは200〜500μmである。高分子シートの厚みがこれより薄いと汎用の液晶パネル製造ラインを用いた場合の取り扱いが困難であり、また、液晶のセルギャップ保持が難しく、特に、大面積の液晶表示素子ではセルギャップ保持をすることができない。一方、厚さがこの範囲を越えると液晶表示がダブルイメージと呼ばれる表示不良を起こし、更に液晶表示素子の厚みが厚くなり機能上好ましくない。
【0025】平面のリタデーションは、好ましくは、20nm以下、更に好ましくは10nm以下である。平面のリタデーションとは、Re=(Nx−Ny)×dで表されるもので、Nxは高分子シート面内の最大の屈折率であり、Nyは高分子シート面内の最小の屈折率である。dはシートの厚みである。リタデーションが20nmを越えると液晶表示のコントラストの低下が発生し、表示が明瞭に見えなくなる。
【0026】高分子シートの面内の厚み公差は20μm以下が好ましく、更に好ましくは10μm以下である。面内の厚み公差が20μmを越えると、液晶セルの組立時において、ハーフカットしてもセルが分割されないということが起こる。また、高精度なスペーサー用の用途としては使用が困難となる。
【0027】高分子シートの表面粗さの最大(Rmax)は、0.1μm以下が好ましく、更に好ましくは、0.05μm以下である。表面粗さの最大が0.1μmより大きいと液晶のセルギャップ異常が発生し、表示不良が生ずる。
【0028】本発明にて用いられる熱可塑性高分子のガラス転移点(Tg)は、150℃以上であるのが好ましく、更に好ましくは180℃以上である。熱可塑性高分子のTgが150℃未満になると液晶組立工程の熱処理、例えば、配向膜焼成及びシール硬化温度においてシートが軟化し製品に不具合を生じる。かかる熱可塑性樹脂としては、例えばポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ノルボルネン系樹脂、ポリアリレート及びこれらをブレンドした樹脂を挙げることができ、特にポリエーテルサルホンが耐熱性、透明性、寸法変化が少ない点で好ましい。また本発明に用いられる樹脂には、その目的に応じて添加剤として少量の安定剤、滑剤、染料等を配合してもよい。
【0029】本発明のシートの光学的物性は次の方法により測定した。
■シート温度の測定方法:熱電対をダイスより溶融押し出しされた該熱可塑性高分子シートの表面に接触させ温度を測定した。
■シート厚み:接触式のダイヤルゲージで高分子シートの面内を測定した平均値である。
■シート面内の厚み公差:接触式のダイヤルゲージで高分子シートの面内を測定した最大値と最小値の差である。
【0030】■高分子シートの表面粗さの最大(Rmax)接触式の精密段差計(TENCOR INSTRUMENTS製 AIPHA-STEP200)により、高分子シートの幅方向に2mmのスキャン幅にて全幅を測定した凹凸の最大値である。
■高分子シートのリタデーションオリンパス光学(株)製偏光顕微鏡BH2とベレックコンペンセーターを用い、波長550nmでのリタデーションを測定した。
【0031】
【実施例】つぎに本発明を実施例、比較例によりさらに具体的に説明する。
[実施例1]ポリエーテルサルホン樹脂(住友化学工業(株)製、ビクトレックスPES4100G、Tg=226℃)をコートハンガーダイより溶融押し出しし、この溶融熱可塑性高分子シートを冷却工程に付して熱可塑性高分子シートを製造した。また、リップ先端から冷却ロールまでの間を、冷却ロールの幅で高分子シートの面からの距離が50mmとなる両側の位置にステンレス製のカバーを設置してシートを囲った。ダイス温度を350℃、冷却ロール温度を220℃に設定した。高分子シートの表、裏の表面の温度差は5℃、幅方向の表面の温度差は8℃、冷却ロールと高分子シートが接触する際の高分子シートの温度は300℃であった。得られたシートの厚みは400μmであった。
【0032】その結果、高分子シートの面内厚み公差(Rmax)は15μm、平面におけるリタデーションは15nmであり、かつ高分子シートの表面の粗さの最大(Rmax)は0.06μmの高度の寸法精度を有するシートが得られた。
【0033】実施例1で得られたシート(厚さ400μm)の上に下記のように有機層を形成した。すなわち、エポキシアクリレートプレポリマー(昭和高分子(株)製、VR−60、分子量1540、融点70℃)100重量部、酢酸ブチル400重量部、セロソルブアセテート100重量部及びベンゾインエチルエーテル2重量部を50℃にて攪拌、溶解して均一な溶液を調製し、これを前記シート上にグラビアロールコータを用いて塗布した。ついで、80℃で10分間加熱して溶媒を除去し、80w/cmの高圧水銀灯により15cmの距離で30秒間照射して樹脂を硬化させ、0.5μm厚の有機層を形成した。有機層は両面に形成した。次に、初期真空度3×10−4Paにて酸素/アルゴンガス9%の混合ガスを導入し、3×10−1Paの条件下においてDCマグネトロン法により前記シート上にSiOの無機層を成膜した(500Å厚)。この無機膜の酸素バリヤー性をモコン法により測定したところ1cc/24hr・mであり、表面抵抗率を測定したところ8.1×1012Ωであった。
【0034】次に同じくDCマグネトロン法により透明導電膜を形成した。すなわち、初期真空度3×10−4Paにて酸素/アルゴンガス4%の混合ガスを導入し、1×10−1Paの条件下において成膜し、In/In+Snの原子比が0.98であるIn、SnOからなる透明導電膜を得た。測定の結果、膜厚は1600Å、比抵抗は4×10−4Ω−cmであった。成膜後、レジストを塗布、現像し、エッチング液として10 vol%HCl、液温40℃中でパターンエッチングし、対角長さ3インチ、L/S=150/50μmのアクティブマトリックス用パターンを形成した。パターン形成後、配向膜を塗布し、150℃にて2時間の焼成処理を行った後、ラビング処理を行った。ラビング処理後、スペーサーを散布し、シール剤を塗布し、150℃でシール硬化させてセル化し、液晶を注入した。液晶注入後、基板をハーフカットによりセルを分割したが問題なく分割できた。また、偏光板をコントラストの最大となる位置に貼り合わせ、点灯試験を行ったところ、断線は全く見られず、シートのリタデーションや液晶のセルギャップ異常による表示欠点は見られないコントラストのよい表示を示した。
【0035】[実施例2]日本ゼオン(株)製の非晶質性ノルボルネン系樹脂:ZEONOR1600(Tg165℃)を用い、ダイス温度を250℃、冷却ロール温度を180℃に設定してシートを製造した。高分子シートの表、裏の表面の温度差が5℃、幅方向の表面の温度差が8℃、冷却ロールと高分子シートが接触する際の高分子シートの温度を220℃となるように、リップ先端から冷却ロールまでの間をステンレス製の囲いで囲って、厚さ600μmのシートを成形した。その結果、高分子シートの面内厚み公差(Rmax)が18μm、平面に於けるリタデーションが15nmで有り、且つ、高分子シートの表面の粗さの最大(Rmax)が0.06μmの高分子シートを得た。
【0036】[比較例1]実施例1においてステンレスの囲いをはずした以外は同様にしてシートを製造した。シートの裏表の温度差は17℃、幅方向は20℃であった。得られたシートの厚み公差は30μm、リタデーションは40nm、表面粗さは0.2μmであった。同様にして液晶セルとして組み立てたところ、液晶セルのセル分割時に断線が起こり、セル分割化不能による歩留まり低下が起こった。更に、液晶デバイスのコントラストが悪く、セルギャップムラによる表示不良が発生した。
【0037】[比較例2]実施例1において、ヒーターを設置して、高分子シートが冷却ロールに接触する際の温度を340℃とした以外は、実施例1と同様にしてシートを作成した。得られたシートの厚み公差は25μm、リタデーションは70nm、シート表面粗さは0.05μmであった。このシートを用いて、実施例1と同様に液晶セルを組み立てたところ、コントラストが悪く表示は見えにくいものとなった。
【0038】
【発明の効果】本発明の熱可塑性高分子シートは平面のリタデーションが小さく、表面平滑性に優れ、基板の反りが少なくダイラインがない。このシートは、スペーサー用シート、光学用シートとして最適で、例えばフレキシブル液晶表示素子用透明電極シートとして液晶表示パネルに実装した場合に表示ムラのない高精細な表示を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ガラス転移点150℃以上の熱可塑性高分子からなり、シート厚み150〜1000μm、シートの面内厚み公差(Rmax)20μm以下、シート表面の粗さ0.1μm以下であり、かつシートの平面リタデーション20nm以下である熱可塑性高分子シート。
【請求項2】 熱可塑性高分子がポリエーテルサルホンである請求項1の高分子シート。
【請求項3】 熱可塑性高分子をTダイ又はコートハンガーダイからシート状に溶融押し出しし、該溶融シートの表側と裏側との表面温度差を15℃以内に保持しつつ移動させ、ついで該溶融シートを冷却工程に付して固化することを特徴とする請求項1の熱可塑性高分子シートの製造方法。
【請求項4】 溶融シートの幅方向の表面温度差が15℃以内である請求項3の熱可塑性高分子シートの製造方法。
【請求項5】 ダイスと冷却工程との間に断熱を施してなる請求項3又は4の熱可塑性高分子シートの製造方法。
【請求項6】 熱可塑性高分子のガラス転移点をTg、Tダイ又はコートハンガーダイの温度をD1とすると、Tg+80℃<D1<Tg+150℃であり、冷却工程に付されるときの熱可塑性高分子の表面温度をS1とすると、Tg+30℃<S1<Tg+100℃であり、冷却ロール温度をR1とすると、Tg−30℃<R1<Tg+30℃である請求項3の熱可塑性高分子シートの製造方法。
【請求項7】 請求項1の熱可塑性高分子シートを基板としてなる透明電極シート。

【公開番号】特開2000−273204(P2000−273204A)
【公開日】平成12年10月3日(2000.10.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−75137
【出願日】平成11年3月19日(1999.3.19)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】