説明

熱圧着用ヒーターチップ、及び、熱圧着方法

【課題】リード線を端子に接合した後、端子に接合したリード線を確実に残した状態で残余のリード線を切断し易くすることのできるヒーターチップを提供する。
【解決手段】導電性材料からなる板材の一端と他端との間に電気抵抗により発熱する発熱部2を突起状に形成し、該発熱部の突出先端面を熱圧着面とした熱圧着用ヒーターチップ1において、熱圧着時の加圧方向Pに直交する仮想平面Fに対して、前記熱圧着面3を傾斜させて形成し、前記熱圧着面は、熱圧着する熱圧着面を載せる端子の上面に対して、熱圧着面の切断予定箇所側に位置する端子上面と熱圧着面との間隔が、熱圧着面を端子上面に接合して残す側に位置する端子上面と熱圧着面との間隔に比較して狭くなるように傾斜させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップインダクタに代表される電子部品の端子にリード線を熱圧着する熱圧着用ヒーターチップ、及び、熱圧着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チップインダクタは電子回路のフィルタ回路・共振回路などに使用される電子部品であり、コアに細い金属ワイヤー(リード線)を巻き付け、所定回数巻き終わるとリード線の途中をコアに設けられた端子に載せ、このリード線を熱圧着用ヒーターチップにより加圧しながら急加熱して接合し、その後に余分なリード線(余線)を、接合部分のリード線を端子に残してヒーターチップで押圧した状態で引きちぎって切除する。リード線を端子に熱圧着する熱圧着用ヒーターチップは、タングステン・モリブデンなどの板材を略V字状に成形するとともに下端に加熱圧接部を突設し、この加熱圧接部の先端面を端子上のリード線に圧接して熱圧着を行う(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−284781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した特許文献の図11にも記載されているが、ヒーターチップの加熱圧接部の先端面を端子上のリード線に圧接して加熱すると、リード線が塑性変形して潰れるとともにリード線と端子との両清浄面が接触して接合されるが、リード線の潰れが大きくなり過ぎてリード線が予定箇所以外の部分で断線する不都合が生じることがある。また、巻線型チップインダクタにおいて、電極は、セラミック・フェライト上に直接メタライズ・接着剤等による貼り付けによりニッケル等を形成し、その上に半田・錫メッキしたものが一般的に使用されるが、リード線の潰れ部があまりに厚かったりすると余線の引きちぎりの際に電極の半田・錫メッキの一部をリ−ド線と一緒にとってしまう不都合が生じることがある。
さらに、従来の一般的なヒーターチップ50の先端の形状は平面であり、図7に示すように、巻線型チップインダクタ51のコアフランジ52の端部に端子53を配置されている場合、ヒーターチップ50の先端面がリード線54を平らに押し潰すが、押し潰しの度に同じ条件であるとは限らず、押し潰しの条件が整わない場合に極端に潰れが大きくなって僅かな外力が加わっただけで断線する不都合を生じることがあり、安定した接合がなし得ない。
【0005】
そこで、本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、リード線を端子に接合した後、接合したリード線の導通状態を確実に維持しつつ残余のリード線の切断の容易化を図ることのできるヒーターチップ、及び、熱圧着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載のものは、導電性材料からなる板材の一端と他端との間に電気抵抗により発熱する発熱部を突起状に形成し、該発熱部の突出先端面を熱圧着面とした熱圧着用ヒーターチップにおいて、
熱圧着時の加圧方向に直交する仮想平面に対して、前記熱圧着面を傾斜させて形成したことを特徴とするヒーターチップである。
【0007】
請求項2に記載のものは、前記熱圧着面が、熱圧着するリード線を載せる端子の上面に対して、リード線の切断予定箇所側に位置する端子上面と熱圧着面との間隔が、リード線を端子上面に接合して残す側に位置する端子上面と熱圧着面との間隔に比較して狭くなるように傾斜させて形成されていることを特徴とするヒーターチップである。
【0008】
請求項3に記載のものは、前記熱圧着面が、発熱部の突出先端面の片半ずつ傾斜方向を異ならせて形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のヒーターチップである。
【0009】
請求項4に記載のものは、傾斜方向を異ならせて形成されている前記熱圧着面の一方と他方との間の角度が鈍角であることを特徴とする請求項3に記載のヒーターチップである。
【0010】
請求項5に記載のものは、端子の上面にリード線を載せ、該リード線をヒーターチップの熱圧着面により加熱しながら加圧してリード線を端子の上面に熱圧着するリード線の熱圧着方法において、
リード線の切断除去予定側における熱圧着面と端子上面との間隔が、端子上面にリード線が接合されて残る側における熱圧着面と端子上面との間隔よりも小さくなるように前記熱圧着面を端子の上面に対して傾斜させた状態で加圧することを特徴とする熱圧着方法である。
【0011】
請求項6に記載のものは、端子の上面にリード線を、切断除去予定側を端子の一方の縁から端子の外部に外れる状態で載せ、熱圧着面と端子の前記縁との間隔が、端子の前記縁とは反対側に位置する他方の縁と熱圧着面との間隔よりも小さくなるようにした状態で熱圧着面によりリード線を加圧し、加圧されたリード線が端子との間で押し潰され、前記端子の縁がリード線を他の部分よりも薄く押し潰して当該薄く押し潰した部分を脆弱部とし、この脆弱部で残余のリード線を切断除去するようにしたことを特徴とする請求項4に記載の熱圧着方法である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、導電性材料からなる板材の一端と他端との間に電気抵抗により発熱する発熱部を突起状に形成し、該発熱部の突出先端面を熱圧着面とした熱圧着用ヒーターチップにおいて、熱圧着時の加圧方向に直交する仮想平面に対して、前記熱圧着面を傾斜させて形成したので、端子上にリード線を熱圧着した場合に、加熱押圧されたリード線が前記熱圧着面の傾斜により斜めに潰れる。したがって、薄くなる方を残余のリード線側に向けた状態で熱圧着すれば薄く潰された部分からリード線が切断され、切断箇所を安定させることができると共に切断の容易化を図ることができ、端子上には熱圧着されたリード線が接合状態を確実に維持して確実に導通した状態で残り、端子の表面の損傷も防止できる。このため、例えば、チップインダクタの電極(端子)にリード線を熱圧着した場合、電極がセラミック・フェライト上にニッケル層を形成し、その上に半田・錫メッキしたものであっても、残余のリード線を引きちぎった際に電極上の半田・錫メッキの一部をとってしまう不都合を確実に防止することができ、その後の実装作業における導通不良を未然に防止することができる。
【0013】
請求項2に記載のものによれば、前記熱圧着面が、熱圧着するリード線を載せる端子の上面に対して、リード線の切断予定箇所側に位置する端子上面と熱圧着面との間隔が、リード線を端子上面に接合して残す側に位置する端子上面と熱圧着面との間隔に比較して狭くなるように傾斜させて形成されているので、端子上にリード線を熱圧着した場合に、加熱押圧されたリード線のうちでリード線の切断予定箇所側に位置するリード線が前記熱圧着面の傾斜により他の部分よりも強く斜めに潰れて薄くなる。したがって、この薄く潰された部分から残余のリード線が切断され、切断箇所を安定させることができ、端子上には熱圧着されたリード線が確実に接合された状態で残る。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、前記熱圧着面が、発熱部の突出先端面の片半ずつ傾斜方向を異ならせて形成されているので、切断予定位置の端子に対する位置関係が逆である場合に、ヒーターチップの位置を変えるだけで両方タイプの端子に熱圧着することができ、作業効率を向上させることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、傾斜方向を異ならせて形成されている前記熱圧着面の一方と他方との間の角度が鈍角なので、端子上に熱圧着したリード線を緩やかな傾斜で押し潰すことができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、端子の上面にリード線を載せ、該リード線をヒーターチップの熱圧着面により加圧しながら加熱してリード線を端子の上面に熱圧着するリード線の熱圧着方法において、リード線の切断除去予定側における熱圧着面と端子上面との間隔が、端子上面にリード線が接合されて残る側における熱圧着面と端子上面との間隔よりも小さくなるように前記熱圧着面を端子の上面に対して傾斜させた状態で加圧するので、加熱押圧されたリード線のうちでリード線の切断予定箇所側に位置するリード線が他の部分よりも強く斜めに潰れて薄くなる。したがって、この薄く潰された部分から残余のリード線が切断され、切断箇所を安定させることができ、端子上には熱圧着されたリード線が確実に接合された状態で残る。また、残余のリード線を引きちぎる際に端子表面の損傷を確実に防止することができ、当該端子を備えた電子部品のその後の実装作業における導通不良を未然に防止することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、端子の上面にリード線を、切断除去予定側を端子の一方の縁から端子の外部に外れる状態で載せ、熱圧着面と端子の前記縁との間隔が、端子の前記縁とは反対側に位置する他方の縁と熱圧着面との間隔よりも小さくなるようにした状態で熱圧着面によりリード線を加圧し、加圧されたリード線が端子との間で押し潰され、前記端子の縁がリード線を他の部分よりも薄く押し潰して当該薄く押し潰した部分を脆弱部とし、この脆弱部で残余のリード線を切断除去するようにしたので、熱圧着した後に、残余のリード線を安定した位置で確実に切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ヒーターチップの正面図である。
【図2】ヒーターチップを熱圧着装置に取り付けて左右の位置を変えて下降した状態を示す説明図である。
【図3】(a)は熱圧着面をリード線に接触する前の状態を示すヒーターチップの先端の拡大正面図、(b)は熱圧着面をリード線に圧接した状態を示すヒーターチップの先端の拡大正面図である。
【図4】(a)はチップインダクタの斜視図、(b)はチップインダクタの正面図である。
【図5】熱圧着面の傾斜方向が異なるヒーターチップの正面図である。
【図6】(a)は発熱部の先端の左右に熱圧着面を間に間隔を空けて形成したヒーターチップの正面図、(b)は(a)に示すヒーターチップにより2つの端子上にリード線を同時に接合する状態を示す説明図である。
【図7】(a)は熱圧着面が傾斜していない従来のヒーターチップにより熱圧着している状態を示す説明図、(b)は(a)に示す熱圧着面の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示すヒーターチップ1は、タングステン・モリブデンなどの導電性材料からなる板材を略V字状乃至略五角形に成形した板状であり、下半部分が次第に幅狭となる下端、すなわち幅方向一端と他端との間に発熱部2を下向き突起状に形成し、この発熱部2の突出先端面を熱圧着面3としたもので、前記一端と他端とに通電したときの電気抵抗により発熱部2が発熱するように構成されている。この熱圧着用ヒーターチップ1は、左右方向一端と他端とに分ける中央の中心線を中心にして左右対称形に成形されており、上半部分を左右に分離する縦方向のスリット4と、該スリット4の下端に連続して略ハート形に切り欠いて各端部から発熱部2に至る部分の断面積の大きさを所定値に調整して所望する電気抵抗値を実現する空部5とを有し、一端と他端の上端部分には圧着装置6への取付孔7がそれぞれ開設されている。
【0020】
発熱部2の突出先端(下端)に形成する熱圧着面3は、図1に示すように、熱圧着時の加圧方向Pに直交する仮想平面Fに対して、前記熱圧着面3を傾斜させて形成されている。図1に示すヒーターチップ1の熱圧着面3は、前記した中心線が熱圧着時の加圧方向となるように各部の寸法や角度が設定されており、尚且つヒーターチップ1を左右方向に移動することにより二箇所の端子に接合できるように、中心線を通る下面の左半の面3aと右半の面3bとが片半ずつ傾斜方向を異ならせて一方と他方との間の角度が鈍角となるようにV字状に形成されている。これら熱圧着面3の傾斜角度は適宜設定することができ、例えば、図3(a)に示すように、直ちに熱圧着する側の熱圧着面3bは、熱圧着するリード線8を載せる端子の上面に対して、リード線8の切断予定箇所側に位置する端子9上面と熱圧着面3bとの間隔G1と、リード線8を端子9の上面に接合して残す側に位置する端子9の上面と熱圧着面3bとの間隔G2とを比較して切断側の間隔G1が残す側の間隔G2よりも狭くなるようにG傾斜させてある。すなわち、当該チップインダクタ10のコアに巻いて端子9に接合するリード線8a側の端子9と熱圧着面3との間隔G2が、コアに巻いた残りのリード線8(切断除去する残余のリード線8b)の切断予定箇所側に位置する端子9の端9aと熱圧着面3との間隔G1に比較して広くなるように傾斜させてある。角度で表わすと、例えば、10度〜20度の傾斜を付けてある。
【0021】
次に、前記したヒーターチップ1を使用して端子9の上面にリード線8を接合するリード線8の熱圧着方法について説明する。
まず、図2に示すように、熱圧着装置6のチャック12に巻線工程が終了したチップインダクタ10を、端子9が上を向いた姿勢でクランプする。なお、このチップインダクタ10は、図4に示すように、フェライト・セラミック製であって、柱状芯部13の両端にフランジ部14a,14bを設け、柱状芯部13にリード線8を巻いてコイルとし、このリード線8の一端部と他端部をフランジ部の表面に設けられた端子9,9に接合する構成である。
【0022】
そして、図2実線で示すように、チップインダクタ10のフランジ部14の上面左側に位置する端子9aにリード線8を接合する作業を先に行うので、図3(a)に示すように、コアの柱状芯部13に巻かれたリード線8に近い側のリード線8aをコアのフランジ部14a上面の中心寄りからフランジ部14上面の縁側に向けて端子9a上を通過させてフランジ部14aの縁の外側に延ばし、この切断予定の残余のリード線8bを斜め下方に張った状態とする。この時、ヒーターチップ1は、図3(a)に示すように、リード線8の切断除去予定側における熱圧着面3と端子上面の端9aとの間隔G1が、端子上面にリード線8が接合されて残る側における熱圧着面3と端子9の上面との間隔G2よりも小さくなるようにセットされている。
【0023】
要するに、前記した状態でヒーターチップ1を取り付けたならば、端子9の上面にリード線8を、切断除去予定側を端子9の縁から端子9の外部の斜め下方に延ばした状態で載せ、熱圧着面3と端子9の前記縁9aとの間隔が他の間隔よりも小さくなるようにして、この状態でヒーターチップ1を端子9上面に対して直交する方向、すなわち、図1に示すヒーターチップ1の中心線に沿って下降する。ヒーターチップ1の下降を開始すると共に通電を開始し、十分に下降すると図中左側に位置する熱圧着面3(狭い間隔G1側)が先にリード線8に接触し、さらにヒーターチップ1を下降してリード線8を図中P方向に圧縮力を加えながら加熱すると熱圧着面3の狭い間隔G1側から広い間隔G2側に向けてリード線8の押圧範囲が延び、これに伴ってリード線8の外周面の絶縁被膜が破壊されて芯線の地肌が露出して端子上面の地肌と接触し、この状態でさらにヒーターチップ1によりリード線8を加圧すると、加圧されたリード線8が端子9との間で押し潰されてリード線の地肌と端子の地肌が接合される。本実施形態では、熱圧着面3が傾斜しているので、リード線8を斜めに押圧することとなり、狭い間隔の前記端子9の縁に接するリード線8から斜めに順次潰れる。したがって、ヒーターチップ1を所定のストローク長さだけ下降すると、図3(b)に示すように、端子9の縁9aに接触したリード線8の部分が他の部分よりも薄く押し潰され、この薄く押し潰され部分がリード線8の脆弱部8Wとなり、この頃になると熱電対により検出しているヒーターチップ1の温度が目標温度以上となって通電が停止され、また、端子9の表面にコーティングしてあった半田や錫メッキなどの蝋材が温度上昇して溶ける。この脆弱部8Wが形成されたならばヒーターチップ1の加圧状態を維持したままで通電停止後の所定時間(例えば0.2〜0.3秒)経過後に余線(残余のリード線8b)に張力を作用させる。なお、ヒーターチップ1への通電を停止すると溶けた蝋材が凝固してリード線8を浮き上がらせることなく端子9に接合することができる。
【0024】
前記した操作により端子9の端に位置するリード線8に脆弱部8Wを形成した後、ヒーターチップ1を下降した状態で端子9の外側に延びた残余のリード線8bに張力を加えると、リード線8bが前記脆弱部8Wから容易、且つ確実に切断され、余ったリード線8bを除去することができる。そして、残余のリード線8bを切断しても、脆弱部8Wが端子9の端9aに位置しており、端子9の他の部分にはコイルに導通したリード線8aが確実に接合されており、残余のリード線8bを切断する際に脆弱部8Wを超えてこの接合部分に作用する張力は極めて弱い力であり、端子9からリード線8aが剥がれたり、端子9の表面層を剥離するなどの不都合は殆ど発生しない。すなわち、端子の表面を損傷することなく残余のリード線8bを脆弱部8Wから容易、且つ確実に切断することができる。そして、残余のリード線8bの引きちぎり(切断)が終了したならば、ヒーターチップ1を初期位置まで上昇させる。
【0025】
この様にして左側の端子9aへの接合作業が終了したならば、図2中鎖線で示すように、ヒーターチップ1を右側に移動して、ヒーターチップ1の反対側に位置する熱圧着面3を右側の端子9bの上方に位置させ、左側と同様の作業によりリード線8の熱圧着による接合を行い、残余のリード線8を切断除去する。本実施例の様に、1つのヒーターチップ1に2つの熱圧着面3を傾斜方向を異ならせて形成すると、2つの端子9に残余のリード線8をそれぞれ異なる方向に延ばした状態で接合する場合に、ヒーターチップ1の位置を移動するだけで作業を連続的に行うことができるので、作業効率を高めることができ、また、高いコストパフォーマンスを得ることができる。
【0026】
本発明に係るヒーターチップ1は、前記した熱圧着面3をV字状に2つ成形したものに限らず、特許請求の範囲に記載した範囲で適宜設計変更することができる。
例えば、熱圧着時の加圧方向Pに直交する仮想平面Fに対して傾斜する熱圧着面3を1つ形成しただけでもよいし、あるいは、図5に示すように、熱圧着時の加圧方向Pに直交する仮想平面Fに沿った熱圧着面3cと、前記仮想平面Fに対して反対側に同じ角度だけ傾斜する熱圧着面3dとを隣り合わせて1つずつ形成してもよく、これら傾斜方向の異なるヒーターチップ1を装置に取り付けて左右同時に下降して2箇所同時に接合できるように構成しても良い。この様に構成すると、生産性を高めることができるばかりでなく、左右の高さ調整も別個にできるので高い精度を期待できる。
【0027】
また、図6(a)に示すように、2つの熱圧着面3e,3fをハ字状に配置してもよい。すなわち、加圧方向Pに直交する仮想平面Fに対して傾斜した状態であって、且つ両方が斜めに向き合う状態で間に間隔を空けて2つの熱圧着面3e,3fを形成してもよい。この様なヒーターチップ1を使用すると、図6(b)に示すように、二箇所の端子9c,9dに同時に熱圧着面3e,3fを接触させることができるので、1ストロークで2箇所同時に接合でき、作業の能率を倍増することができる。なお、本発明は、前記した実施形態中に示した縦巻タイプのチップインダクタに限らず、図6(b)に示す横巻タイプであっても対象となる。
【0028】
また、前記した実施形態は例であり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、熱圧着面の傾斜角度は、リード線の太さや端子の大きさなどの条件に応じて適宜設定することができる。
【符号の説明】
【0029】
1…ヒーターチップ, 2…発熱部,3…熱圧着面3,4…スリット,5…空部,6…圧着装置,7…取付孔,8…リード線,9…端子,10…チップインダクタ,12…チャック,13…柱状芯部,14…フランジ部,50…ヒーターチップ,51…チップインダクタ,52…コアフランジ,53…端子,54…リード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性材料からなる板材の一端と他端との間に電気抵抗により発熱する発熱部を突起状に形成し、該発熱部の突出先端面を熱圧着面とした熱圧着用ヒーターチップにおいて、
熱圧着時の加圧方向に直交する仮想平面に対して、前記熱圧着面を傾斜させて形成したことを特徴とするヒーターチップ。
【請求項2】
前記熱圧着面は、熱圧着するリード線を載せる端子の上面に対して、リード線の切断予定箇所側に位置する端子上面と熱圧着面との間隔が、リード線を端子上面に接合して残す側に位置する端子上面と熱圧着面との間隔に比較して狭くなるように傾斜させたことを特徴とするヒーターチップ。
【請求項3】
前記熱圧着面が、発熱部の突出先端面の片半ずつ傾斜方向を異ならせて形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のヒーターチップ。
【請求項4】
傾斜方向を異ならせて形成されている前記熱圧着面の一方と他方との間の角度が鈍角であることを特徴とする請求項3に記載のヒーターチップ。
【請求項5】
端子の上面にリード線を載せ、該リード線をヒーターチップの熱圧着面により加熱しながら加圧してリード線を端子の上面に熱圧着するリード線の熱圧着方法において、
熱圧着面の切断除去予定側における熱圧着面と端子上面との間隔が、端子上面に熱圧着面が接合されて残る側における熱圧着面と端子上面との間隔よりも小さくなるように前記熱圧着面を端子の上面に対して傾斜させた状態で加圧することを特徴とする熱圧着方法。
【請求項6】
端子の上面にリード線を、切断除去予定側を端子の一方の縁から端子の外部に外れる状態で載せ、熱圧着面と端子の前記縁との間隔が、端子の前記縁とは反対側に位置する他方の縁と熱圧着面との間隔よりも小さくなるようにした状態で熱圧着面によりリード線を加圧し、加圧された熱圧着面が端子との間で押し潰され、前記端子の縁が熱圧着面を他の部分よりも薄く押し潰して当該薄く押し潰した部分を脆弱部とし、この脆弱部で残余の熱圧着面を切断除去するようにしたことを特徴とする請求項4に記載の熱圧着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−222316(P2012−222316A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89923(P2011−89923)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(598131650)株式会社アポロ技研 (4)
【Fターム(参考)】