説明

熱安定ルシフェラーゼと生産方法

【課題】天然ルシフェラーゼまたは変異体ルシフェラーゼに比べて大きく高められた熱安定性を有する変異体ルシフェラーゼ酵素を提供する。
【解決手段】甲虫ルシフェラーゼ遺伝子を用い、ランダム変異誘発の多様な手段、とりわけエラーしがちなポリメラーゼを用いる遺伝子合成に適用して、修飾ルシフェラーゼ遺伝子ライブラリーを作り、大腸菌で発現させ、選択された変異を組み合わせて複合修飾ルシフェラーゼを作った。新しいライブラリーをこの複合修飾ルシフェラーゼからランダム変異誘発により作り、このプロセスを繰り返し選択する回帰変異誘発からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然ルシフェラーゼまたは変異体ルシフェラーゼが由来するルシフェラーゼに比べて、例えば水溶液中、50℃で少なくとも2時間の半減期を測定したときに、大きく高められた熱安定性を有する変異体ルシフェラーゼ酵素に関する。また、本発明は新規なルシフェラーゼをコードするポリヌクレオチド、および該ルシフェラーゼを発現するように形質転換された宿主に関する。さらに、本発明は高められた熱安定性を有するルシフェラーゼの生産方法、および以前から公知のルシフェラーゼが従来から使用されている方法を用いてのこれらのルシフェラーゼの使用に関する。これらの使用の一部はキットを用いる。
【0002】
(発明の背景)
ルシフェラーゼは発光を引き起こすそれらの能力によって特徴づけられる。甲虫ルシフェラーゼは独自の進化的起源と化学的メカニズムを有する独特のクラスを形成する(Wood、1995)。
【0003】
甲虫ルシフェラーゼとして知られている酵素は高感度発光アッセイで使用できると広く認識されているが、それらの一般的な有用性は低い熱安定性のために制限されている。発光性甲虫からクローニングされたcDNA配列によりコードされるアミノ酸配列を有する甲虫ルシフェラーゼは、穏やかな温度でさえも安定ではない。例えば、ホタルから得られた最も安定なルシフェラーゼであるLucPpe2でさえも37℃の穏やかな温度で非常にわずかな安定性しか有さない。ホタルルシフェラーゼは甲虫ルシフェラーゼのサブグループである。歴史的には、「ホタルルシフェラーゼ」という用語はPhotinus pyralisの単一種に由来するLucPpy酵素を指した(Luc+は一異形である)。
【0004】
ルシフェラーゼをコードする天然のcDNA配列を変異させて向上した熱安定性を目指して変異体を選択する試みが報告されている(Whiteら、1994年、P.pyralis由来のもの、ならびにKajiyamaおよびNekano、1993年、Luciola lateralis由来のもの)。しかし、この重要な種類の酵素の特性と多様性を向上させる必要性がなおも存在する。
【0005】
(発明の要約)
本発明は、水溶液中、50℃で少なくとも2時間または50℃で少なくとも5時間の半減期を有する新規で顕著に熱安定なルシフェラーゼに関する。本発明の変異体ルシフェラーゼは室温(22℃)および少なくとも65℃もの温度で顕著でこれまで実現されなかった熱安定性を示す。さらに、本発明は新規なルシフェラーゼ酵素をコードする変異体ルシフェラーゼ変異体遺伝子(cDNA)に関する。ここで用いられる用語は、例えば実験90、プレートナンバー1、ウエルB5で単離された変異体に関して、その大腸菌株は90−1B5であり、その変異体遺伝子はluc90−1B5であり、その変異ルシフェラーゼはLuc90−1B5である。
【0006】
熱安定性とは、溶液中、規定温度で酵素の半減期において測定された酵素活性の損失速度を意味する。好ましくは、甲虫ルシフェラーゼに関して、酵素活性はルシフェリンとATPの飽和条件下、室温で測定された発光を意味する。熱安定性は半減期(活性の50%が失われる時間)を用いて定義する。
【0007】
さらに、本発明は、変異体ルシフェラーゼを含有する発現ベクターおよび他の遺伝子構築物、ならびに該変異体ルシフェラーゼを発現するように形質転換された細菌またはそれ以外の宿主を包含する。また、本発明は新規なルシフェラーゼを含有する組成物およびキット、およびルシフェラーゼが慣用的に用いられる方法でのこれらのルシフェラーゼの使用に関する。
【0008】
ランダム変異誘発の多様な手段を、ルシフェラーゼ遺伝子(ヌクレオチド配列)、とりわけエラーしがちなポリメラーゼを用いる遺伝子合成に適用して、修飾ルシフェラーゼ遺伝子のライブラリーを作った。このライブラリーは大腸菌のコロニーで発現され、十分な発光を肉眼でスクリーニングして修飾ルシフェラーゼのサブセットライブラリーを選択した。次に、これらの大腸菌株の溶解物を作り、ルシフェラーゼ活性と安定性を定量的に測定した。これから、修飾ルシフェラーゼのさらに小さいサブセットを選択し、これらの選択された変異を組み合わせて複合修飾ルシフェラーゼを作った。新しいライブラリーをこの複合修飾ルシフェラーゼからランダム変異誘発により作り、このプロセスを繰り返した。全体的に最も良い性能を有するルシフェラーゼがこのプロセスの数サイクル後に選択された。
【0009】
改良ルシフェラーゼの生産方法は、出発(親)配列として最初の甲虫ルシフェラーゼをコードするポリヌクレオチド配列を用いる方向性進化(directed evolution)を行って、酵素の他の特性を維持しながら、最初のルシフェラーゼに比較して高められた熱安定性を有する第二のルシフェラーゼをコードするポリヌクレオチド配列を作る。lucppe2と命名されたcDNAは、Photinus pyralisに由来するLucPpyと命名された広く利用されているルシフェラーゼに比べて高められた熱安定性を示すPhoturis pennsylvanicaに由来するホタルルシフェラーゼをコードする。LucPpe2ルシフェラーゼをコードするcDNAが単離され、配列決定され、クローニングされた(Leachら、1997年を参照)。この遺伝子の変異体は第一のルシフェラーゼLucPpe2[T249M]をコードする。
【0010】
変異体ルシフェラーゼの一実施態様において、そのアミノ酸配列は、残基249において、Leachらにより報告されたMではなくTが存在する以外は、図45に示されたLucPpe2のもの(T249Mと命名)と同じである。下線を付けた太い残基(249)はTからMへの変異を示す。この酵素は大腸菌で発現されるとインビボでおよそ5倍の光を作った。二重下線部の残基はオリゴヌクレオチド変異誘発によりランダム化された。
【0011】
本発明の方法により作られた変異体ルシフェラーゼを発現する組換え大腸菌の希釈抽出物を、光強度、シグナル安定性、基質の利用(K)および熱安定性等の複数の特性について同時にスクリーニングした。全自動化ロボットシステムを用いて、進化の各世代中の多数の変異体をスクリーニングした。変異誘発とスクリーニングの数サイクル後にルシフェラーゼの変異体ライブラリーを作ることにより、約35℃のLucPpe2[T249M]と比較して高められた熱安定性が、水溶液中、50℃で2時間、65℃で5時間、または22℃で6週間保持された場合に熱安定性を基本的に維持した(わずかに無視できる5%の活性の損失があっただけである)最も安定なクローン[クローンLuc90−1B5]で達成された。
【0012】
本発明の変異体ルシフェラーゼは、50℃で少なくとも2時間、好ましくは50〜65℃で2〜24時間の範囲において50℃で少なくとも5時間高められた熱安定性を示す。特に、本発明は、適当な水溶液に溶解したときに、約50℃で約2時間を超え、より好ましくは50℃で約10時間を超え、さらにより好ましくは50℃で5時間を超える安定半減期を有する熱安定変異体ルシフェラーゼからなる。また、本発明は、適当な水溶液に溶解したときに、約60℃で約5時間を超え、より好ましくは60℃で約10時間を超え、さらにより好ましくは60℃で約24時間を超える安定半減期を有する変異体ルシフェラーゼからなる。さらに、本発明は、適当な水溶液に溶解したときに、約22℃で約3ヶ月を超える安定半減期、より好ましくは22℃で少なくとも6ヶ月の半減期安定性を有する変異体ルシフェラーゼからなる。本発明の一実施態様は65℃で6時間の安定性(2日間の半減期に等しい)を有するルシフェラーゼ変異体である。約5〜6%の活性の損失がわかった。本発明の最も安定なクローンに由来する酵素の半減期は小さな相対的変化を示すデータから外挿すると、65℃で12日間(6時間で6%の損失に相応)、および22℃で2年間(6週間で5%の損失に相応)である。
【0013】
特に、本発明はここに開示されるアミノ酸配列の実施態様を有するルシフェラーゼ酵素(例えば、Luc49−7C6、Luc78−0B10およびLuc90−1B5と命名された変異体ルシフェラーゼ、図27、36、43)ならびに50℃で少なくとも2時間の半減期が測定された熱安定性を有するすべての他の甲虫ルシフェラーゼからなる。また、本発明は、単一の変異またはここに開示される甲虫ルシフェラーゼをコードする配列の共通領域中のタイプと位置の変異の組合せ、またはそれらの等価物を有するルシフェラーゼ酵素をコードする変異ポリヌクレオチド配列からなる。これらの変異は図22〜47の配列で、下線の付けた太い線の残基により示され、図19の他の甲虫ルシフェラーゼ配列と整合させてある。
【0014】
甲虫ルシフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は図19に並べられている。多様な属および属内の種で天然に見られる、lucppe−2等の11配列が並べられている。本発明の3変異体ルシフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(Luc49−7C6; 78−0B10; 90−1B5)も並べられている。高まった熱安定性を示す各変異体ルシフェラーゼ中に少なくとも3変異が存在する。一般的に、変異は保存領域には存在しない。保存アミノ酸は図19で示される位置ですべての天然の種において同一であるものである。共通とは、LucPpe2を除き、図19で示される配列の50%を超えて存在する同一のアミノ酸を言う。
【0015】
(発明の詳細な説明)
本発明は高い熱安定性により特徴付けられ、コード遺伝子中に、通常は反復的変異誘発により作られた変異により創出された甲虫ルシフェラーゼに関する。この改良された熱安定性はその活性を変えることなくルシフェラーゼの保存を可能とし、新しいルシフェラーゼを用いるアッセイの再現性と精度を向上させる。さらに、本発明は、高められた熱安定性を有する変異体ルシフェラーゼをコードする単離ポリヌクレオチド配列(cDNA)、該ポリヌクレオチド配列を含有するベクター、および該ポリヌクレオチド配列を発現するように形質転換された宿主からなる。表1は約250クローンの結果および該クローンからのルシフェラーゼの熱安定性等の特性を示す。また、本発明は、ルシフェラーゼが慣用的に使用されている利用における該変異体ルシフェラーゼの使用、およびそのような適用の一部に有用であるキットを包含する。
【0016】
予期せぬことに、高い熱安定性を求めた甲虫ルシフェラーゼが反復的変異誘発と選択のプロセス(しばしば「方向性進化」と称する)により本発明で達成された。反復的変異誘発および選択の方法は、特に多パラメーター自動化スクリーニングの利用において本発明の一特徴である。よって、熱安定性等の単一の属性のみに関するスクリーニングのかわりに、同時スクリーニングが酵素活性と効率というさらなる特性を求めて行われた。この方法では、一つの性質がもう一つの性質を犠牲にして「進化」することはあまりなく、結果として例えば高められた熱安定性をもたらしたが、減少した活性ももたらした。
【0017】
表1は異なるルシフェラーゼを出発(親)配列として用いる実験から得られたパラメーター値(Ti、Tau、KおよびS)の例を示す。副題は該パラメーターが測定された出発温度と出発ルシフェラーゼの名称、例えば「39−5B10、51℃」等を示す。各実験におけるすべてのパラメーターは各出発配列に対する相対値として記録され、例えばどの実験においても出発配列に関するパラメーター値は“1”に等しい(定義に関してはここでの実施例2を参照されたい)。
【0018】
熱安定性は、好熱性細菌に見られる熱安定アイソザイムによって証拠付けられるように多様な酵素において自然に進化してきた。自然での進化は、ランダム変異誘発(塩基置換、遺伝子欠失、遺伝子挿入)とそれに続く向上特性を有する変異体の選択により働く。このプロセスは時間とともに反復される。天然の熱安定酵素の存在は熱安定性が進化の尺度での変異誘発により達成できることを示唆するが、短期の実験室的方法を用いることにより特定の種類の酵素に所与レベルの熱安定性を達成する可能性は予測できなかった。非常に大きな集団と数百万の世代と遺伝子を通常伴う変異と選択による天然での進化のプロセスは、そのような変異体が作られるまで方向性進化により改良遺伝子を作ろうとする現代の実験室の能力を予想するのに用いることはできない。
【0019】
そのような成功の後、すべての甲虫ルシフェラーゼの全体的な三次元構造はかなり似通っているので、このクラスの一員について高い熱安定性が達成できることを示すことにより、高い熱安定性が類似の方法により他の甲虫ルシフェラーゼにおいて達成できることを予想可能となる。図17は甲虫ルシフェラーゼ間の進化的な関係を示す。これらのすべては類似した全体的な構成を有する。甲虫ルシフェラーゼが属する構造クラスは二次構造により決定される(例えば、ヘリックスはシリンダーにより、シートは矢印の集合によりに表わされ、ループはシート構造を有するヘリックスを連結する(図18A))。図18Bは、小さな螺旋が図18Aのシリンダーに対応するLucPpe2ルシフェラーゼのアミノ酸を示す(図18B); 図18Cは一般的な甲虫類の構造物がLucPpe2のものと一致する(重ねられる)ことを示す。これは、本発明の方法がすべての甲虫ルシフェラーゼにまで一般化できるかもしれないという期待を支持する。
【0020】
酵素は、ヘリックス、シートおよびループ等の第二要素の三次元配置に基づく異なる構造クラスに属する。熱安定性は、第二要素が三次元構造にいかに効率的に充填されるかによって決定される。各構造クラスについて、熱安定性の理論的限界も存在する。すべての甲虫ルシフェラーゼはそれらの共通する起源(図17)、相同アミノ酸配列および共通する触媒機構によって明らかであるように共通する構造クラスに属する。
【0021】
変異誘発による限定された数のアミノ酸置換の適用は全体的な三次元構築物に顕著に影響を与えることは少ない(すなわち、変異体ルシフェラーゼの構造クラスが変化するとは予想されない)。構造クラスに関する熱安定性の理論的限界は知られていないので、甲虫ルシフェラーゼの潜在的熱安定性は本発明が示されるまで知られていなかった。
【0022】
本発明の目標を達成するにおいて推測される困難性として下記のものが挙げられる。
【0023】
1.実験室的な方法により作ることのできる変異の種類が限定されている。
【0024】
i)ランダム点変異により(例えばエラーしがちなPCRにより)、1コドンあたり1塩基を超える変化はまれである。よって、ほとんどの潜在的なアミノ酸変化はまれである。
【0025】
ii)他の種類のランダムな遺伝子変化を100bpを超える領域にわたって達成することは困難である(例えば、ランダムな遺伝子欠失または挿入)。
【0026】
2.スクリーニングできる可能性のあるルシフェラーゼ変異体の数には限りがある。
【0027】
i)欠失および挿入を無視しても、天然のルシフェラーゼの配列比較に基づけば、10189を超える機能のある酵素配列が可能でありうる。
【0028】
ii)1日につき100,000クローンがスクリーニングできるとすれば、同一の変異体が二度スクリーニングされることはないとみなして、すべての変異体をスクリーニングために10179世紀以上かかるだろう(本発明の実際のスクリーニング速度は1日あたり5000個以内である)。
【0029】
3.協同的変異を必要とする機能的向上を発見する可能性はまれである(特定の協同的ペアを発見する可能性は108クローンあたり1クローンである)。
【0030】
よって、熱安定性の理論的限界が公知であるとしても、非常にわずかな数の可能性のあるルシフェラーゼ変異体がスクリーニングできるだけなので、そのような熱安定性酵素を発見する推測的可能性は低かった。
【0031】
しかし、本発明は、高い熱安定性を有する新規な甲虫ルシフェラーゼを作ることが可能であり、実施できることをここで示す。
【0032】
a)最初の配列がLucPpe2とLucPpeに由来する本発明の方法により作られた約250変異体は、この酵素のクラスの少なくとも一つのメンバーが高い熱安定性を達成することが可能で、実施できることを示す。
【0033】
b)ルシフェラーゼは同じ構造クラスに属するために、どの甲虫ルシフェラーゼも同様な手段で改良しなければならない。
【0034】
i)すべての甲虫ルシフェラーゼは同じ構造クラスに属するので、それらは潜在的に安定化している変異体の同一のプールの一部となる(この結論は、本発明のクローン中に見られる高い比率の安定化変異体が、他の甲虫ルシフェラーゼ中の「共通アミノ酸」、すなわち多数の甲虫ルシフェラーゼ配列に現れるアミノ酸への変換体である(図19を参照)との観察により支持される)。
【0035】
ii)同様な結果は発光甲虫Pyrophorus plagiophthalamusに由来する別の甲虫ルシフェラーゼ(LucPplYG)を用いて得られた。この野生型LucPplYGは、野生型LucPpe2に対して48%の配列同一性を有する。このLucPplGY変異体の熱安定性はここに記載のLucPpe2変異体よりも低いが、これは、それら変異体が少ないサイクル数の方向性進化に供されたからであろう。また、ある場合では、相対的な熱安定性をあまり重要視せずに変異体を選択した。この進化から得られた最も安定なクローン(Luc80−5E5)は50℃でおよそ3.8時間の半減期を有する。
【0036】
有利な変異に対して予想された多数の有害なランダム変異により引き起こされる統計的な効果を補うために、アッセイ精度を最大化して、新しい置換物において前に選択された変異を再スクリーニングする方法を用いた。アッセイ精度を最大化する方法には、特殊化培地を用いて、成長速度を低下させ、熱移動を調節し、そして培養物の中間対数期増殖からのパラメーターを分析することにより培養条件を緊密に調節し、ロボットスクリーニング法での試料の混合、熱移動および蒸発を調節し;そして空間的に分散されたコントロール試料に対してデータを標準化することである。選択された変異の新しい置換物を校正用ポリメラーゼを用いるDNAシャフリングの方法により作った。
【0037】
反復法の成果を予想することの困難性は、選択されたルシフェラーゼの他の特性における一定しない成功により例示される。主に酵素の熱安定性に焦点が置かれたが、さらに明るい発光、より十分な基質の利用および長期の発光シグナルを有する変異体の選択も試みられた。それらの定義はここでの等式により与えられる。選択方法は反復法の各反復で親クローンに対する変化により決定された。その変化量はスクリーニングプロセス中に観察されたすべてであった。大腸菌におけるルシフェラーゼの発現は、Luc+に比較し、LucPpe2に対しては比較的効率が悪かった。他のルシフェラーゼは多様であった(図21を参照)。
【0038】
基質利用の全体的な効率を向上させるために、ルシフェリンとATPの両方に対する複合見掛け利用定数(すなわち、Km−[ATP+ルシフェリン])の減少が求められた。各利用定数の予想されない系統的な変化があったが、全体的な変化はほとんどなかった。最後に、酵素効率を実質的に減少させることなく、発光シグナルのみが適度に影響を受け得た。よって、酵素熱安定性が本発明の方法により大きく高まった一方で、酵素の他の特性はあまり影響を受けなかった。
【0039】
図48〜53は変異体ルシフェラーゼの他の結果を示す。本発明の構成は天然のレベルよりも高い熱安定性を有するルシフェラーゼを包含する。各変異体ルシフェラーゼはその個々の特性が報告されていないために新規である。特定のルシフェラーゼはそれらのタンパク質と遺伝子の両者の配列により知られている。増加した高い熱安定性を有する多くの他のルシフェラーゼが単離されたが、それらの配列は知られていない。これらのルシフェラーゼは方向性進化プロセス中に同定され、それらの酵素学的特性により異なるものであることが認められた。
【0040】
前述のルシフェラーゼ変異体のいずれよりもさらに安定なルシフェラーゼは変異体Luc90−1B5と命名した。新しい熱安定性変異体をこの特別に安定なルシフェラーゼと比較した。本発明の変異体ルシフェラーゼは、22℃(室温)から少なくとも65℃もの範囲の温度で、顕著でこれまで実現されなかった熱安定性を示す。
【0041】
本発明の他の特徴は熱安定性ルシフェラーゼ、特に高い熱安定性を有する甲虫ルシフェラーゼを取り入れる方法を包含する。
【0042】
本発明のルシフェラーゼの生産
高められた熱安定性を有するルシフェラーゼの製造方法は反復変異とそれに続く選択である。本発明の高く熱安定な変異体ルシフェラーゼの実施態様は、源となるヌクレオチド配列、例えばcDNA LucPpe2[T249M]cDNAで始まるランダム点変異の反復プロセスにより作られる。組換え変異誘発は点変異誘発とともに変異誘発法の一部である。組換え変異誘発と点変異誘発の両方を繰り返して実施する。変異プロセスは有性生殖中の遺伝子要素の組換えに類似する方法で個々の変異体の組換えを引き起こすので、このプロセスは有性ポリメラーゼ連鎖反応(sPCR)とも呼ばれる。例えば、1997年2月25日発行のStemmerの米国特許第5,605,793号を参照されたい。
【0043】
LucPpe2ルシフェラーゼcDNAを出発点として、該遺伝子を、さらに熱安定な変異体ルシフェラーゼを生じるように変異させた。LucPpe2配列に対する単一の点変異は、配列によりT249Mで示されるルシフェラーゼを生じた。この変異体はインビボでおよそLucPpe2よりもおよそ5倍明るく、さらなる変異のための鋳型として用いた。ここで記載される他の変異体ルシフェラーゼの熱安定性を測定するためのベースラインとしても用いた。
【0044】
本発明のルシフェラーゼ配列の実施態様
図45はLucPpe2ルシフェラーゼT249Mのアミノ酸配列を示す。この配列は、Leachら(1997年)により報告された配列から区別される、T249からMの位置(下線の太字)での単一塩基対の変異を有する。このクローンは、LeachのLucから黄色シフトした552nmのスペクトル最大を有する。この変異体は、アッセイによりさらに効率的なスクリーニングを可能としたLeachらにより繰り返された形態よりも、インビボでおよそ5倍明るいために一部の実施例で最初の鋳型として使用するために選択された。これらの配列は太字活字の出発配列(T249−M)からの変化を示す。配列中の「x」は配列中の不明個所を示すことに注意されたい。
【0045】
方向性進化(Directed Evolution)、反復法(Recursive Process)
方向性進化は変異誘発により多様性を作り、所望の変化についてスクリーニングする反復法である。複数のアミノ酸の累積作用から生じる酵素学的性質について、方向性進化はこれらの性質を変える手段を提供する。この方法の各工程は典型的には酵素機能の小さな変化を作ることであるが、このプロセスの多くの繰り返しの累積効果は実質的な全体的変化を導きうる。
【0046】
「熱安定性」という特性は、酵素構造を作りあげる多くのアミノ酸の結合作用により決まるので方向性進化の候補である。ルシフェラーゼの熱安定性を高めるために、発光量と基質結合の効率もスクリーニングした。これは、熱安定性の変化が他の重要な酵素学的性質の望ましくない変化を生じさせないことを確実にするためであった。
【0047】
有害な変異の頻度は有用な変異よりもさらにかなり高いので、各スクリーニングにおいて本発明の精度制限内で望ましくないクローンが選択されることがあろう。これを補うために、スクリーニング戦略に最初に選択された変異物の複数の再スクリーニングを取り入れた。しかし、再スクリーニング前に、選択された変異物を「シャッフル」して、ランダムな遺伝子内組換え体のライブラリーを作った。このプロセスにより、異なるクローン間の有利な変異が数の少ない共通コード配列中へと組換えられることを可能とし、分離され省略すべき有害な変異をはずす。よって、基本的に同じ一揃いの選択された変異が再びスクリーニングされたが、それらは組換えまたはシャフリングの結果として異なる置換の下でスクリーニングされた。
【0048】
進化プロセスの各工程の結果は定量的測定によって評価されたが、これらの測定は精製酵素ではなく細胞溶解物で行った。さらに、各工程のみで先の工程に比べた酵素性能の変化を測定したために、酵素機能の全体的な変化を判断することが困難であった。方向性進化の酵素機能に対する影響を評価するために、プロセスの最初、中間および最後からのクローン(表2)を精製し、分析した。この分析で選択されたクローンはLuc[T249M]、49−7C6および78−0B10であった。その後のオリゴヌクレオチド特異的変異誘発およびスクリーニング戦略により作られたもう一つのクローン90−1B5も分析のために精製した。
【0049】
熱安定性に対する方向性進化の効果は劇的であった。親クローンがほとんど同時に不活化された高温で、その関連クローンに由来する変異酵素は数時間にわたる安定性を示した(表1)。室温でさえも、これらの変異体は親酵素よりも数倍安定である。90−1B5のその後の分析は、この酵素が、同じ緩衝液条件下で調べられたときに最も安定で、65℃で27時間の半減期を有することを示した。緩衝液条件の最適化の際に、この酵素は65℃で数時間にわたりごくわずかな活性の損失を示しただけである(クエン酸緩衝液、pH6.5; 図1A)。このルシフェラーゼはpH6.5でインキュベートした場合、数週間にわたり室温で安定であった(図1B)。
【0050】
KajiyamaとNakamo(1993)はLuciola lateralisに由来するホタルルシフェラーゼがA217位でのI、LまたはVへの単一アミノ酸の置換の存在によってさらに安定化されることを示した。この置換はアラニンからのものであった。ロイシンによる置換は、50℃で、1時間のインキュベーション後にその活性の70%を保持するルシフェラーゼを作った。方向性進化により作られた本発明のすべての酵素はこのL.lateralis変異体よりもさらにかなり安定である。最も安定なクローンである90−1B5は同様な条件下(50℃、25mol/Lクエン酸、pH6.5、150mmol/L NaCl、1mg/ml BSA、0.1mmol/L EDTA、5%グリセロール)での120時間(5日間)のインキュベーション後で75%の活性を保持する。興味深いことに、Leachにより報告されたLucはL.lateralis変異体について記載された相同位置にイソロイシンを既に有している。
【0051】
熱安定性は興味のある特性であるが、スクリーニングでは他の酵素学的パラメーターに基づいてクローンを選択した。さらに高い発光発現を有するクローンを選択することにより、大腸菌のコロニーでさらに高い発光強度を生む変異体が発見された。しかし、このプロセスは酵素による発光の動力学的特徴を変更する能力をほとんど示さなかった。これを示さなかったことは、定常状態発光を保つ能力が触媒機構に必須であり、この能力は多くのアミノ酸の累積効果によって容易には影響されないことを示唆する。
【0052】
基質の結合は、ルシフェリンとATPに対する見掛け複合K(実施例2を参照)を測定することによりスクリーニングした。見掛け複合Kは比較的一定に保持されたが、後の分析では個々のKが系統的に変化することを示した。ルシフェリンに対するKが上昇した一方で、ATPに対するKが低下した(表2)。この変化の理由はわかっていないが、オキシルシフェリンまたはルシフェリン阻害剤のより効率的な除去がさらに速い酵素代謝回転を導き得ることが推測できる。
【0053】
それ自体に対するそれぞれの点変異は(多かれ少なかれ)変異体酵素の熱安定性を野生型ルシフェラーゼの熱安定性以上まで高める。個々の点変異を組み合わせる累積効果は、しばしばマグニチュード以上のオーダーで野生型よりも大きく高められた熱安定性を有する変異体ルシフェラーゼを生じる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明のルシフェラーゼの37℃での安定性を示すグラフである。
【図2】本発明のルシフェラーゼの50℃での安定性を示すグラフである。
【図3】本発明のルシフェラーゼの60℃での安定性を示すグラフである。
【図4】本発明のルシフェラーゼの22℃での安定性を示すグラフである。
【図5】変異体ルシフェラーゼ78-0B10の50℃における発光と時間の回帰直線を示すグラフである。
【図6】変異体ルシフェラーゼ78-0B10の60℃における発光と時間の回帰直線を示すグラフである。
【図7】変異体ルシフェラーゼ49-7C6の50℃における発光と時間の回帰直線を示すグラフである。
【図8】変異体ルシフェラーゼ49-7C6の60℃における発光と時間の回帰直線を示すグラフである。
【図9】変異体ルシフェラーゼ78-0B10の22℃における発光と時間の回帰直線を示すグラフである。
【図10】変異体ルシフェラーゼ49-7C6の22℃における発光と時間の回帰直線を示すグラフである。
【図11】変異体ルシフェラーゼ49-7C6の37℃における発光と時間の回帰直線を示すグラフである。
【図12】変異体ルシフェラーゼPPE-2の22℃における発光と時間の回帰直線を示すグラフである。
【図13】変異体ルシフェラーゼPPE-2の37℃における発光と時間の回帰直線を示すグラフである。
【図14】ルシフェラーゼをスクリーニングする方法の概略である。
【図15】ルシフェラーゼをスクリーニングするためのロボット装置を示す図である。
【図16】65℃及び22℃における発光の経時的変化を示すグラフである。
【図17】甲虫ルシフェラーゼ間の進化的な関係を示す図である。
【図18】甲虫ルシフェラーゼの3次元構造を表す図である。
【図19】甲虫ルシフェラーゼの3次元構造を表す図である。
【図20】甲虫ルシフェラーゼの3次元構造を表す図である。
【図21】甲虫ルシフェラーゼのアミノ酸配列を示す図である。
【図22】甲虫ルシフェラーゼのアミノ酸配列(続き)を示す図である。
【図23】甲虫ルシフェラーゼのアミノ酸配列(続き)を示す図である。
【図24】甲虫ルシフェラーゼのアミノ酸配列(続き)を示す図である。
【図25】図21〜図25で使用されている略号の説明である。
【図26】ベクターの構造を表す図である。
【図27】変異体ルシフェラーゼの活性を表す図である。
【図28】変異体ルシフェラーゼをコードするDNA分子の塩基配列を示す図である。
【図29】変異体ルシフェラーゼをコードするDNA分子の塩基配列を示す図である。
【図30】変異体ルシフェラーゼをコードするDNA分子の塩基配列を示す図である。
【図31】変異体ルシフェラーゼをコードするDNA分子の塩基配列を示す図である。
【図32】変異体ルシフェラーゼをコードするDNA分子の塩基配列を示す図である。
【図33】変異体ルシフェラーゼのアミノ酸配列を示す図である。
【図34】変異体ルシフェラーゼのアミノ酸配列を示す図である。
【図35】変異体ルシフェラーゼのアミノ酸配列を示す図である。
【図36】変異体ルシフェラーゼのアミノ酸配列を示す図である。
【図37】変異体ルシフェラーゼのアミノ酸配列を示す図である。
【図38】変異体ルシフェラーゼをコードするDNA分子の塩基配列を示す図である。
【図39】変異体ルシフェラーゼをコードするDNA分子の塩基配列を示す図である。
【図40】変異体ルシフェラーゼをコードするDNA分子の塩基配列を示す図である。
【図41】変異体ルシフェラーゼをコードするDNA分子の塩基配列を示す図である。
【図42】変異体ルシフェラーゼのアミノ酸配列を示す図である。
【図43】変異体ルシフェラーゼのアミノ酸配列塩を示す図である。
【図44】変異体ルシフェラーゼのアミノ酸配列を示す図である。
【図45】変異体ルシフェラーゼのアミノ酸配列を示す図である。
【図46】変異体ルシフェラーゼをコードするDNA分子の塩基配列を示す図である。
【図47】変異体ルシフェラーゼのアミノ酸配列を示す図である。
【図48】変異体ルシフェラーゼをコードするDNA分子の塩基配列を示す図である。
【図49】変異体ルシフェラーゼのアミノ酸配列を示す図である。
【図50】変異体ルシフェラーゼをコードするDNA分子の塩基配列を示す図である。
【図51】変異体ルシフェラーゼのアミノ酸配列を示す図である。
【図52】変異体ルシフェラーゼのアミノ酸配列を示す図である。
【図53】変異体ルシフェラーゼをコードするDNA分子の塩基配列を示す図である。
【図54】変異体ルシフェラーゼの60℃における安定性を示すグラフである。
【図55】変異体ルシフェラーゼの4℃における安定性を示すグラフである。
【図56】変異体ルシフェラーゼの50℃における安定性を示すグラフである。
【図57】変異体ルシフェラーゼの50℃における安定性を示すグラフである。
【図58】変異体ルシフェラーゼの60℃における安定性を示すグラフである。
【図59】変異体ルシフェラーゼの22℃における安定性を示すグラフである。
【実施例】
【0055】
以下の実施例は本発明の方法と組成物およびそれらの実施態様を示す。
【0056】
実施例1 本発明の熱安定性ルシフェラーゼの製造
【0057】
変異誘発方法
例示的な変異誘発法は以下の通りである。
【0058】
「最も良い」ルシフェラーゼクローン、すなわち、向上した熱安定性を有し、他のパラメーターについては明らかな減少のない値を有するクローンから、ランダム変異誘発をエラーしがちなPCRの三変法により行った。ランダム変異誘発の各サイクルから、最も良い18クローンを選択した。DNAをこれらのクローンから調製して合計54クローンを作った。これらのクローンは新しい遺伝的多様性を表わす。
【0059】
これらの54クローンを組合せて、組換え変異誘発を実施した。この集団から18個の最も良いクローンを選択した。
【0060】
これらの18クローンを前の集団の18クローンと組合せて、組換え変異誘発を実施した。このスクリーニングから、6グループの機能的性質を表わす18クローンの新しいルシフェラーゼ集団を選択した。
【0061】
このスクリーニングにおいて、選択された54クローンの新しい変異は、それらが元の配列の立体配置にあってもそれらの組換え体にあっても、二回スクリーニングした。各変異を平均約10回分析した。組換え変異誘発に用いられた90クローンのうち、少なくとも10クローンは最も良いクローンと機能的に同等であるようであった。よって、最も良いクローンまたはその組換え体を少なくとも100回スクリーニングしなければならなかった。これは組換えで用いられたクローンの数よりも多いので、最も良いクローンと他のクローンとの生産的な組換えを発見するという意義深い見込みがあった。
【0062】
ロボット処理法
熱移動は、96ウエルプレートがロボットの腕により配置される多くの位置において厚いアルミニウムを用いることによりロボットプロセス中で調節した。例えば、インキュベーターまたは冷蔵庫中のすべての棚が1/4インチアルミニウムから作られた。特に、室温に置かれた一つの位置は4.5×7×6.5インチの大きさのアルミニウムブロックから作った。96ウエルプレートを高温(例えば、インキュベーター)または低温(例えば、冷蔵庫)から室温の装置に移したときに、それを温度平衡化のために大きなアルミニウムブロック上に最初に置いた。この手段により、完全なプレートは新しい温度に迅速に達し、温度の違いによるプレート中の多様なウエルの同等でない気化を最小化する。(例えば、大腸菌の一晩成長のために)インキュベーターに置かれた多量の96ウエルプレートの熱移動を、該プレート間に1mm厚みのアルミニウムシートを置くことによって調節した。これにより多量のプレートの縁から中心までのより十分な熱移動が可能となった。ロボット法での混合は各試薬を加えた後の数秒間、該プレートをシェーカーに置くことで調節した。
【0063】
プレートが分析される順番の概略図(図15)および以下の働きを実施するためにプログラミングできるロボット装置については図14を参照されたい。
【0064】
培養希釈法。細胞を含有するプレート(蓋付き)をシェーカーに置き、3〜5分間混合する。
【0065】
(蓋付きの)プレートを円形コンベヤーから取り出し試薬ディスペンサーに置く。180μlの培地を蓋を取り除いた後に加えてピペッター近くのロケーターに置く。次にプレートをピペッターに置く。
【0066】
シェーカー上のプレートをピペッターに置き、蓋を外してロケーターに置く。細胞をピペット操作を用いて新しいプレートに移す(「新しい細胞プレートへの細胞の希釈」を参照されたい)。
【0067】
これらの蓋を両プレートに戻す。この新しいプレートを冷蔵庫に置き、古いプレートを円形コンベヤーに戻す。
【0068】
発光アッセイ法。細胞を含有するプレートを円形コンベヤーから回収して、シェーカーに3〜5分間置いて細胞を十分に混合する。細胞は放置すると沈殿する傾向がある。
【0069】
光学密度(O.D.)を測定するために、プレートをシェーカーから出してルミノメーターの近くのロケーターに移す; 蓋を外し、プレートをルミノメーターに置く。そのO.D.は620nmフィルターを用いて測定する。
【0070】
それが終わったら、次に該プレートを保存のために冷蔵庫に置く。
【0071】
上記の工程はその後の処理に進む前にすべてのプレートについて完了する。
【0072】
細胞溶解物を調製するために、細胞プレートを最初に冷蔵庫から回収し、シェーカーで混合して、細胞を再懸濁する。円形コンベヤーからの蓋なしの新しいプレートを試薬ディスペンサーに置き、20μlの緩衝液Aを各ウエルに加える。これをピペットステーションに置く。
【0073】
シェーカー中の細胞プレートをピペットステーションに置く。娘プレートをピペット操作を用いて調製し(「溶解プレートへの細胞のピペッティング」を参照)、細胞の娘プレートを調製する。
【0074】
ピペッティング後、新しい娘細胞を混合のためにシェーカー上に置く。このプレートを円形コンベヤー中の元の位置に戻す。
【0075】
混合後、溶解物プレートをCOフリーザーに置いて試料を凍結する。次に、プレートを解凍ブロックに移動させて10分間解凍する。
【0076】
次に、プレートを試薬ディスペンサーに移動させて175μlの緩衝液Bを加えて、次にシェーカー上で約15分間以上混合する。凍結/解凍の組合せと緩衝液Bは細胞を溶解させる。
【0077】
円形コンベヤーからの蓋付きの新しいプレートを用いて、すべてのアッセイが得られる希釈プレートを調製する。このプレートを試薬ディスペンサーに置いて、蓋をピペッターに近いロケーターに移す。285μlの緩衝液Cを試薬ディスペンサーにより各ウエルに加え、次にプレートをピペットステーションに置く。
【0078】
シェーカー中の溶解物プレートをピペットステーションに移動させて、ピペット法(「溶解プレートからインキュベーションプレートへの希釈」を参照されたい)を用いる。ピペッティング後、新しい娘細胞を混合のためにシェーカーに置く。溶解物プレートは捨てる。
【0079】
二枚の白色のアッセイプレートをプレートフィーダーから得て、これをピペッターに置く。シェーカーからのインキュベーションプレートをピペッターに置き、蓋を外して近くのロケーターに置く。二つの娘プレートをピペット法を用いて作る(「インキュベーションプレートからの一対の娘細胞の作成」を参照)。その後、蓋を親プレートに戻し、プレートを高温インキュベーターに置く。[クローンにより31°〜約65°までの範囲。]
一つの娘プレートをルミノメーターに置き、1×アッセイ法を用いる。アッセイ後、プレートを周囲(温度)インキュベーターに置き、第二の娘プレートをルミノメーターに置く。第二のプレートに関しては、0.02×アッセイ法を用いる。このプレートを捨て、第一のプレートをインキュベーターからルミノメーターに戻す。繰返しアッセイ法を用いる(すなわち、試薬を注入しない)。その後、プレートを再び周囲インキュベーターに戻す。
【0080】
上記の工程を処理に取りかかる前にすべてのプレートについて完了する。
【0081】
第二組の測定を始めるために、高温インキュベーターからのプレートをシェーカーに置いて混合する。
【0082】
周囲インキュベーター中のプレートをルミノメーターに戻して、繰り返しアッセイ法を再び用いる。その後、プレートを周囲インキュベーターに移す。
【0083】
二枚の白色のアッセイプレートを再びプレートフィーダーから得て、ピペッターに置く。シェーカー上のプレートをピペッターに置き、蓋を外して近くのロケーターに置く。二つの娘プレートを再びピペット法を用いて作る(「インキュベーションプレートからの一対の娘細胞の作成)」を参照)。その後、蓋を親プレートに戻し、プレートを高温インキュベーターに置く。
【0084】
一つの娘プレートをルミノメーターに置き、1×アッセイ法を再び用いる。アッセイ後、プレートを捨てる。次に、第二の娘プレートをルミノメーターに置き、0.06×アッセイ法を用いる。このプレートもを捨てる。
【0085】
上記の工程を処理に取りかかる前にすべてのプレートについて完了する。
【0086】
最終組の測定で、高温インキュベーターからのプレートを再びシェーカーに置いて混合する。
【0087】
周囲インキュベーター中のプレートをルミノメーターに戻し、繰り返しアッセイ法を再び用いる。その後、プレートを捨てる。
【0088】
一枚の白色のアッセイプレートをプレートフィーダーから得て、ピペッターに置く。シェーカーからのプレートをピペッターに置き、蓋を外して近くのロケーターに置く。一つの娘プレートをピペット法を用いて作る(「インキュベーションプレートからの単一の娘細胞の作成」を参照)。蓋を親プレートに置き、プレートを捨てる。
【0089】
娘プレートをルミノメーターに置き、1×アッセイ法を用いる。アッセイ後、プレートを捨てる。
【0090】
緩衝液
緩衝液A
25mM KHPO
0.5mM CDTA
0.1%トリトンX−100
緩衝液B
×CCLR(Promega e153a)
1.25mg/mlリゾチーム
0.04%ゼラチン
緩衝液C
10mM HEPES
150mM NaCl
1mg/ml BSA
5%グリセロール
0.1mM EDTA
1×アッセイ試薬:
5μMルシフェリン
175μM ATP
20mM Tricine、pH8.0
0.1mM EDTA
0.02×アッセイ試薬:
1×アッセイ試薬の1:50希釈物
0.06×アッセイ試薬:
1×アッセイ試薬の1:150希釈物
【0091】
ピペット操作
溶解プレートへの細胞ピペッティング
固定チップを用いての非無菌操作
【0092】
ピペッターデッキ上
− およそ200μl細胞を含有する蓋なしプレートを置く
− 20μlの緩衝液Aを含有する溶解物プレート
操作
1.チップを洗浄ステーションに移動させ、1mlで洗浄する。
2.細胞プレートに移動させ、60μlを取る。
3.溶解物プレートに移動させ、45μlを分与する。
4.すべての96試料について工程1〜3を繰り返す。
5.操作の終わりに、工程1を繰り返してチップを清浄にする。
後処理:
− 溶解物プレートをシェーカーに置く。
− 蓋を細胞を有するプレートに置き、円形コンベヤー上に置く。
− 溶解物プレートをCOフリーザー中に置く。
【0093】
溶解プレートからインキュベーションプレートへの希釈
【0094】
ピペッターデッキ上
− 240μlの溶解物を含有する溶解物プレート。
− 285μlの緩衝液Cを含有する蓋なしのインキュベーションプレート
操作:
1.チップを洗浄ステーションに移動させ、0.5mlで洗浄する。
2.溶解物プレートに移動させ、30μlを取る。
3.インキュベーションプレートに移動させ、緩衝液に直接に接触させて15μlを分与する。
4.すべての96試料について工程1〜3を繰り返す。
5.操作の終わりに、工程1を繰り返してチップを清浄にする。
後処理:
− インキュベーションプレートをシェーカーに置く。
− 溶解物プレートを捨てる。
【0095】
インキュベーションプレートからの娘プレート対の作成
この操作は2回行う。
【0096】
ピペッターデッキ上
− 100〜300μlの溶液を含む蓋なしのインキュベーションプレート
− 二つの空のアッセイプレート(白)
操作
1.チップを洗浄ステーションに移動させ、0.5mlで洗浄する。
2.インキュベーションプレートに移動させ、50μlを取る。
3.第一のアッセイプレートに移動させ、20μlを分与する。
4.第二のアッセイプレートに移動させ、20μlを分与する。
5.すべての96試料について工程1〜4を繰り返す。
6.操作の終わりに、工程1を繰り返してチップを清浄にする。
後処理:
1.蓋をインキュベーションプレートに置く。
2.インキュベーションプレートをインキュベーターに置く。
3.第一のアッセイプレートをルミノメーターに置く。
4.第二のアッセイプレートを円形コンベヤー上に置く。
【0097】
インキュベーションプレートからの単一の娘プレートの作成
【0098】
ピペッターデッキ上
100〜300μlの溶液を含む蓋なしのインキュベーションプレートを置く
空のアッセイプレート(白)
操作
1.チップを洗浄ステーションに移動させ、0.5mlで洗浄する。
2.インキュベーションプレートに移動させ、40μlを取る。
3.アッセイプレートに移動させ、20μlを分注する。
4.すべての96試料について工程1〜3を繰り返す。
5.操作の終わりに、工程1を繰り返してチップを清浄にする。
後処理:
− インキュベーションプレートおよびインキュベーションプレート上の蓋を捨てる。
− アッセイプレートをルミノメーターに置く。
【0099】
新しい細胞プレートへの細胞の希釈
固定チップを用いる無菌操作
【0100】
ピペッターデッキ上
− およそ200μlの細胞を含む蓋なしプレート
− 180μlの成長培地を含む新しい蓋なし細胞プレート
操作
1.細胞プレートに動かし、45μlを取る。
2.細胞プレートに動かし、20μl容量を直接の液体/液体移動により分与する。
3.廃棄物リザーバーに動かし、過剰の細胞を排出する。
4.イソプロパノール洗浄ステーションに動かし、イソプロパノールを吸引してチップを滅菌する。
5.洗浄ステーションに動かし、イソプロパノールを排除し、チップを洗浄する。
6.すべての96試料について工程1〜4を繰り返す。
後処理
1.蓋を元の細胞プレートに戻し、円形コンベヤー上に置く。
【0101】
2.蓋を新しい細胞プレートに戻し、冷蔵庫に置く。
注意
この操作を用いて主要分析操作で用いられる細胞プレートを調製する。
180μlの成長培地を、ピペット操作を始める直前に試薬ディスペンサーによって新しい細胞プレートのそれぞれに加える。
ディスペンサーは、培地を入れる前に75%イソプロパノールでさっと洗う。
培地は潜在的汚染を減少させるために選択的抗生物質も含有する。
【0102】
ルミノメーターの操作
【0103】
1×アッセイ法
− プレートをルミノメーターに入れる
1.100μlの1×アッセイ試薬を注入する
2.発光を1〜3秒間測定する
3.次のウエルに対して繰り返す
− すべてのウエルが測定されるまで続ける
【0104】
0.02×アッセイ法
− プレートをルミノメーターに入れる
1.100μlの0.02×アッセイ試薬を注入する
2.発光を1〜3秒間測定する
3.次のウエルに対して繰り返す
− すべてのウエルが測定されるまで続ける
【0105】
0.06×アッセイ法
− プレートをルミノメーターに入れる
1.100μlの0.06×アッセイ試薬を注入する
2.発光を1〜3秒間測定する
3.次のウエルに対して繰り返す
− すべてのウエルが測定されるまで続ける
【0106】
繰返しアッセイ
− プレートをルミノメーターに入れる
1.発光を1〜3秒間測定する
2.次のウエルに対して繰り返す
− すべてのウエルが測定されるまで続ける
【0107】
インビボ選択法
2枚のマイクロプレート(176クローン)あたり5〜7枚のニトロセルロースディスク(1枚のディスクあたり200〜500個のコロニー(総計1000〜3500個のコロニー))をスクリーニングする。これらのクローンを標準的スクリーニング条件を用いて高温でスクリーニングする。
【0108】
各マイクロプレート中の8つの位置が、「最も良い」ルシフェラーゼを用いる参照クローン(ランダム変異誘発およびコドン変異誘発用の親クローン)のためにとっておく。保存ウエルの位置は下記で“X”として示す。
【0109】
XooooooooooX
oooooooooooo
oooXooooXooo
oooooooooooo
oooooooooooo
oooXooooXooo
oooooooooooo
XooooooooooX
【0110】
親クローンからの形質転換DNAからのコロニーを参照ウエルに置くことにより参照クローンを作る。(マイクロプレートへの接種前にこれらのウエルを同定するために、ウエルを黒マーカーペンで各ウエルの底にマークする)。
【0111】
スクリーングの選択基準
以下のものを用いてスクリーニングした。基準1は手動で行う;基準2〜6に関するデータは機械による分析で作る。すべての基準に関して、記載された最大値を選択する。
【0112】
1.インビボスクリーニング。最も明るいクローンを高温で選択する。
【0113】
2.発現/比活性。標準化されたルシフェラーゼの値を光学密度に対する発光の比として計算する。その値を参照値を用いた比として報告する。
【0114】
3.酵素安定性。インキュベートされた試料(約15時間にわたって取られた3試料)の標準化された発光の測定をln(L)=ln(L0)−(t/τ)(式中、Lは標準化された発光であり、tは時間である)に代入する。τは酵素安定性の尺度である。その値は参照値を用いた比率として報告し、相関係数を計算する。
【0115】
4.基質の結合。1×と0.002×による標準化発光の測定値が最初の読み組で取られ、1×と0.06×による測定値を5時間の読み組で取る。0.02×:1×と0.06×:1×の比率は0.02×濃度と0.06×濃度での相対的発光を与える。1×(すなわち、1)での相対的発光とともにこれらの値をLineweaver−Burkプロットの形にして、基質のATP、ルシフェリンおよびCoAに対するKm:app,totalを得る。この値を参照値を用いた逆数の比として報告し、相関係数を計算する。
【0116】
5.シグナル安定性。最初の1×発光反応の発光を約15時間にわたってさらに3回再測定する。これらの値をln(L)=ln(L0)−(t/τ)に代入し、t(15時間)にわたる積分を計算する。次に、シグナル安定性をS=(1−int(L)/L0t)2として計算する。その値を参照値を用いた逆数の比として報告し、相関係数を計算する。
【0117】
6.合成適合。基準2〜5の値を組み合わせて単一の適合合成値(または商業的有用値)とする。この値は他の基準の相対的重要性の判断に基づく。この判断は下記に与えられる:
基準 相対値
安定性 5
シグナル安定性 2
基質の結合 2
発現/活性 1
【0118】
合成、C=合計(基準2〜5は相対値により評価された;例えば、安定性が主な目標であったので、それに対してさらに重きがおかれる。)
【0119】
実施例2 ソフトウエア
操作: データをSQLデータベースに入れる。ルミノメーター(96ウエル)(オーストリア、Anthos)により作られた各ファイルは一つのマイクロプレートからのデータを表わす。これらのファイルはルミノメーターを調節するコンピュータに保存され、ネットワークリンクによりデータベースコンピュータに連結している。試料の各マイクロプレートから、9枚のマイクロプレート(光学密度用のオリジナルのマイクロプレートと発光用の8枚の娘マイクロプレート)がルミノメーターで読まれる。
【0120】
合計90ファイルが作られ、各ファイルが96試料のデータ組を有する。各データ組は、試料番号、プレートの最初の測定に対する各測定の時間、ルミノメーターの読み、およびバックグラウンドが補正されたルミノメーターの読みを有する。他のファイルヘッダー情報も与えられる。各マイクロプレートが読まれる時間も分析のために必要とされる。これはロボットのログまたはファイル作成時間から得ることができる。ファイルの命名方法は、SQLによって認識されうるファイル作成中にロボットにより用いられる(例えば、YYMMDDPR.DAT(ここでYYは年であり、MMは月であり、DDは日であり、Pは最初のプレート[0−9]、およびRが読み[0−8]である))。
【0121】
操作: データの換算と組織化。
− 発光データを標準化する:8枚の娘プレート中の発光の各測定のために、標準化された発光を、最初のプレートの光学密度で割ることにより計算する。標準化発光の値がゼロ未満である場合、0.1sLの値(ここでsLは標準化発光の測定用標準偏差である)を割り当てる。
【0122】
− 相対的測定時間を計算する:各標準化発光測定のために、測定時間を試料の最初の測定に対して計算する。例えば、プレート7の試料B6(すなわち、7:B06)のすべての発光測定の時間を7:B06の最初の読みに対して計算する。この時間の計算は、プレートが読まれる時間と試料がプレート中で読まれる相対的時間の両方を伴うであろう。
【0123】
− 酵素安定性(τ)を計算する:各試料に関して、一次回帰を用い、1×基質濃度を用いる3発光測定(プレート1、5、8)を用いてln(Llx)=ln(L)−(t/τ)に代入する。回帰係数も計算する。
【0124】
− 基質の結合(Km:app,total)を計算する:第一組の読みからのマイクロプレート(プレート1と2)を用いて、0.02×の基質濃度を用いた測定値を1×の測定値で割ることによりL0.2x,relを計算する。同様に、0.06×の基質濃度を用いた測定値を1×の測定値で割ることにより、第二組の読みのマイクロプレート(プレート5と6)を用いてL0.06x,relを計算する。
【0125】
各試料に関して、一次回帰を用い、以下のものを用いて1/L=(Km:app,total/Lmax:app)(1[S])+(1/Lmax:app)に代入する。
L [S]
0.02x,rel 0.02
0.06x,rel 0.06
1(Llx,rel) 1
【0126】
m:app,totalは傾き/切片として計算する。回帰係数も計算する。
【0127】
− シグナル安定性(S)の計算: 各試料に関して、一次回帰を用い、1×基質濃度を用いる最初のマイクロプレートの4つの発光測定(プレート1、3、4および7)を用いてln(L)=ln(L)−(t/τ)に代入する。回帰係数も計算する。τとLの計算された値から、int(L)=τL(1−exp(−t/τ))(式中、tは最後の測定の平均時間(例えば15時間)である)により発光の積分を計算する。シグナル安定性はS=(1−int(L)/L(式中、Lは1×基質濃度(プレート1)を用いて標準化された発光の最初の測定値である)として計算する。
[注意: 気化に対する補正のために、式S=(1+K−int(L)/L(式中、1/K=2(tでの液体容量の相対的変化))を用いてよい。]
【0128】
− 参照値面を計算する:3次元座標システムは、横座標としてマイクロプレート内の試料の格子位置を用い、縦座標として試料の計算された値(L、Km:app,total τまたはS)を用いることにより定義できる。この三次元システムは「プレートマップ」と呼ばれる。参照レベルを表わすプレートマップ上の滑らかな面が各マイクロプレート中の8参照クローンについて決定された値の最小自乗法適合により決定できる。試料の10個の最初のマイクロプレートのそれぞれに関して、各参照面をL、τ、Km:app,totalおよびSの基準パラメーターについて決定する(合計40面)。
【0129】
最小自乗法適合において、縦座標(すなわち、基準パラメーター)は依存変数であり、横座標は独立変数である。1次面(すなわち、z=ax+by+c)を参照クローンの値に適合させる。面を計算した後、各参照クローンの残りを計算する。これらの残りのいずれかが所与の切断範囲の外にある場合、異常な参照クローンを省略して参照面を再度計算する。
【0130】
一次面が参照クローンの値を十分に示さない場合、制限された二次面を用いる(すなわち、z=a(x+ky)+bx+cy+d(式中、kは定数である))。
【0131】
− 参照標準化値を計算する:各試料の基準パラメーターに関して、参照標準化値は各参照値を用いた比または逆数の比を計算することにより決定する。参照標準化値は、L/Lir、τ/τ、Kmr/Km:app,totalおよびS/S(ここで、参照値は適当な参照面の等式から計算する)である。
【0132】
− 合成スコアを計算する:各試料について、C=5(τ/τ)+2(S/S)+2(Kmr/Km:app,total)+(L/Lir)を計算する。
【0133】
− サブグループを決定する:基準パラメーターであるK、τ、Km:app,total、SおよびCに関して、サブグループに関する境界を定める値(すなわち、ビンサイズ)が、gL、gτ、gKm、gSおよびgCとして定義される。Li、τまたはCに関する最大値またはKm:app,totalまたはSの最小値から始めて、試料を各規準パラメーターのビンに割り当てる(最初のビンは#1、等々である)。
− 参照標準化値の分類された表を示す:各列で以下のデータを示す各試料のデータの表を示す:
− 試料同定番号(例えば、7:B06)
− 合成スコア(C)
− 参照標準化酵素安定性(τ/τΓ)
− 酵素安定性の相関係数
− 酵素安定性のビン数
− 参照標準化シグナル安定性(SΓ/S)
− シグナル安定性の相関係数
− シグナル安定性のビン数
− 参照標準化基質結合(KmΓ/Km:app,total
− 基質結合の相関係数
− 基質結合のビン数
− 参照標準化発現/比活性(L/LiΓ
− 発現/比活性のビン数
この表は合成スコア(C)により分類される。
【0134】
操作:基準パラメーターの分類された表を示す。
各列で以下のデータを示す各試料のデータの表を示す:
− 試料同定番号
− 合成スコア(C)
− 酵素安定性(τ)
− 酵素安定性の相関係数
− 酵素安定性のビン数
− シグナル安定性(S)
− シグナル安定性の相関係数
− シグナル安定性のビン数
− 基質結合(Km:app,total
− 基質結合の相関係数
− 基質結合のビン数
− 発現/比活性(L
− 発現/比活性のビン数
【0135】
この表は合成スコア(C)により分類される;参照クローンは表から除外する。上記のように標準偏差による同じエントリーコード。
【0136】
操作:参照標準化値の分類された表を示す。
これはデータ換算操作の最終工程と同じ操作である。この表は以下のものを示す:
− 試料同定番号
− 合成スコア(C)
− 参照標準化酵素安定性(τ/τΓ)
− 酵素安定性の相関係数
− 酵素安定性のビン数
− 参照標準化シグナル安定性(SΓ/S)
− シグナル安定性の相関係数
− シグナル安定性のビン数
− 参照標準化基質結合(KmΓ/Km:app,total
− 基質結合の相関係数
− 基質結合のビン数
− 参照標準化発現/比活性(L/LiΓ
− 発現/比活性のビン数
【0137】
この表は合成スコア(C)により分類される; 参照クローンは表から除外する。上記のように標準偏差による同じエントリーコード。
【0138】
操作:参照クローンの基準パラメーターの分類された表を示す。
これは、参照クローンのみを除けば、基準パラメーターについて上記した操作と同じである。この表は以下のものを示す:
− 試料同定番号
− 合成スコア(C)
− 酵素安定性(τ)
− 酵素安定性の相関係数
− 酵素安定性のビン数
− シグナル安定性(S)
− シグナル安定性の相関係数
− シグナル安定性のビン数
− 基質結合(Km:app,total
− 基質結合の相関係数
− 基質結合のビン数
− 発現/比活性(L
− 発現/比活性のビン数
【0139】
表は合成スコア(C)により分類される。上記のように標準偏差による同じエントリーコード。
【0140】
操作:参照標準化値の分類された表を示す。
これは、参照クローンのみを除いて標準化値について上記した操作と同じである。この表は下記のものを示す:
− 試料同定番号
− 合成スコア(C)
− 参照標準化酵素安定性(τ/τΓ
− 酵素安定性の相関係数
− 酵素安定性のビン数
− 参照標準化シグナル安定性(SΓ/S)
− シグナル安定性の相関係数
− シグナル安定性のビン数
− 参照標準化基質結合(KmΓ/Km:app,total
− 基質結合の相関係数
− 基質結合のビン数
− 参照標準化発現/比活性(L/LiΓ
− 発現/比活性のビン数
【0141】
表は合成スコア(C)により分類される。上記のように標準偏差による同じエントリーコード。
【0142】
操作:表を分類する。
どの表も一次キーおよび二次キーにより分類してよい。
【0143】
操作:表のヒストグラムを示す。
どの表に関しても、ビン数に対する基準パラメーターのヒストグラムをいずれの基準パラメーターに関して示してもよい。
【0144】
操作:プレートマップを示す。
どのプレートに関しても、下記の選択を示すプレートを示してよい:
− 発光または光学密度の測定
− L
− L参照面
− L/Lir
− τ
− τ参照面
− τ/τ
− τの相関係数
− S
− S参照面
− S/S
− Sの相関係数
− Km:app,total
− K参照面
− Kmr/Km:app,total
− Km:app,totalに関する相関係数
− 合成スコア(C)
【0145】
プレートマップは三次元の棒チャートとして示す。好ましくは、参照クローンを示す棒は色または幾つかの他の手段で示す。
【0146】
操作:各エントリーのドリルダウン要約を示す。
、τ、Km:app,totalおよびSに関して、表中のエントリー値を選択して、計算値の基礎となる発光および光学密度の読み、および適当であれば曲線適合のグラフ的表現を示す。好ましくは、関係する等式および最終結果および相関係数も示されよう。
【0147】
− LまたはL/L。プレート0およびプレート1中の選択された試料からの光学密度および発光値を示す。
【0148】
− τまたはτ/τ。プレート0、プレート1、プレート5およびプレート8中の選択された試料からの光学密度または発光値を示す。データポイントおよび最も良いラインを示すln(L1×)対tのグラフを示す。
【0149】
−SまたはS/S。プレート0、プレート1、プレート3、プレート4およびプレート7中の選択された試料からの光学密度または発光値を示す。データポイントおよび最も良いラインを示すln(L)対tのグラフを示す。
【0150】
− Km:app,totalまたはKmr/Km:app,total。プレート0、プレート1、プレート2、プレート5およびプレート6中の選択された試料からの光学密度または発光値を示す。データポイントおよび最も良いラインを示す1/L対1/[S]のグラフを示す。
【0151】
実施例3 新規なルシフェラーゼの調製
図1の遺伝子は249位に単一の塩基対変異(TからM)を有する。このクローンはLucの配列から黄色シフトした552nmにスペクトル最大を有する。この変異体はインビボで約5倍明るく、より効率的なスクリーニングを可能としたのでオリジナルの鋳型として選択した。
【0152】
C末端の変異誘発
パーオキシゾームの標的シグナル(−SKL)を除去するために、LをSTOPに変異させて、そのすぐ上流の3コドンをここに記載のオリゴヌクレオチド変異誘発法にしたがってランダム化した。これを達成するために設計された変異誘発オリゴヌクレオチドも独自のSpeI部位を導入して、配列決定することなしに変異体の同定を可能とする。変異体はインビボでスクリーニングし、13コロニーをピックアップし、そのうち12コロニーがSpeI部位を有した。
【0153】
N末端の変異誘発
発現が向上しうるかどうかを調べるために、開始のMetからすぐ下流の3コドンをここに記載のようにランダム化した。これを達成するように設計された変異誘発オリゴも独自のApaI部位を導入して、配列決定することなしに変異体の同定を可能とする。7つのクローンが選択され、単離されたプラスミドのうち6個が変異体であることが確認された。
【0154】
CおよびN末端変異体のシャフリング
CおよびN末端変異誘発を並べて行った。NおよびC末端変異物を組み合わせるために、各変異誘発実験からの選択されたクローンをここに記載の組換え変異誘発法による組換え変異誘発の利用を用いて組み合わせた。シャッフルされた変異体をamp pRAM骨格中にサブクローニングして、DH5 F’IQにてスクリーニングした[BRL、Hanahan、1985]。合計24クローンがピックアップされ、わずかに4クローンのみがN末端とC末端の変異を有した。これらの4クローンを、遺伝子のシステイン位置のランダム化のための鋳型として用いた。
【0155】
システイン位置をランダム化するための変異誘発/Luc遺伝子のランダム変異誘発と組換え変異誘発
Ppe−2遺伝子には7つのシステイン位置が存在する。これらの位置はタンパク質の脱安定化を引き起こし得る酸化を受け易い。7個のオリゴヌクレオチドがシステイン位置をランダム化するために作られた。
【0156】
これらのオリゴヌクレオチドを、異なるファミリーに由来する他のルシフェラーゼ遺伝子中のシステインの保存に基づき二つのグループにまとめた。グループ1は保存されたシステイン位置のC−60、C−80およびC−162をランダム化した。グループ2は、C−38、C−127、C−221およびC−257の位置で厳密には保存されていないシステインをランダム化する。
【0157】
N末端とC末端の変異誘発からの4つの選択した鋳型をアンピシリン感受性骨格中にサブクローニングし、一本鎖DNAを鋳型のそれぞれについて調製した。これらの鋳型を等量で組合せ、オリゴヌクレオチド変異誘発をここに記載のように成し遂げた。2グループのそれぞれが2×10個の独立形質転換体を有することが一晩のインキュベーション前にmutS形質転換のアリコートを塗布することにより決定された。MutS−DNAは2グループについて調製され、これを用いてJM109細胞を形質転換して、スクリーニングした。グループ1からの変異体をインビボでスクリーニングして、収穫物を全ロボット実験のために作った。向上した特性を有した5クローンが選択された。グループ2からの変異体をインビボでスクリーニングし、収穫物を全ロボット実験のために作った。ロボットの温度インキュベーターはこの組の実験のために33℃に設定した。向上した特性を有した10クローンが選択された。
【0158】
システイン変異誘発実験の両グループからの15個の最も良い収穫物をここに記載にようにシャッフルし、最も良いクローンの18個をロボットプロセスの後に選択した。
【0159】
上記の実験(31−1G8)からの最も良いクローンをその後の変異誘発の繰り返しの鋳型として選択した。(高温ロボットインキュベータ温度は42℃に設定した)。もう一つの変異誘発の完全な繰り返しを完了した。
【0160】
上記の変異誘発からの18個の最も良いクローンを採取し、クローン(39−5B10)を最も良いクローンとして選択し、もう一つの変異誘発の繰り返しの鋳型として用いた。(この高温ロボットインキュベーター温度は49℃に設定した)。
【0161】
このサイクル後、最も良いクローンのうち6個を配列決定のために選択した。配列データに基づいて、9つの位置をランダム化のために選択し、7つのオリゴをこれらの位置をカバーするように設計した。ロボットから作られたデータに基づいて、配列決定した6クローンのグループからの最も良いクローンがクローン(49−7C6)であることが決定された。このクローンからのルシフェラーゼ遺伝子をアンピシリン感受性pRAM骨格中にサブクローニングし、一本鎖DNAを調製した。選択された位置のランダム化は上記のオリゴヌクレオチド変異誘発操作にしたがって達成した。
【0162】
ランダム化用オリゴを4グループに分け、これらの実験からの形質転換体を採取し、二つのロボット実験を達成した。10個のクローンをこれらの二実験から選択した。(ロボットの高温ロボットインキュベーターは56℃に設定した)。
【0163】
上記の2実験からの最も良い10収穫物およびクローンの以前の集団からの最も良い18収穫物をともにシャッフルした(組換え変異誘発法)。
【0164】
最も良い18個のクローンを選択し、クローン58−0A5が最も良いクローンであると決定された。次に、このクローンをもう一つの変異誘発の繰り返し用の鋳型として用いた。高温ロボットインキュベーター温度を56℃に設定した。クローン71−504を新しい模範クローンとして選択し、もう一つの変異誘発の繰り返しを達成した。インキュベーターは60℃に設定した。
【0165】
最も良い18収穫物を選択し、このグループからの最も良いクローンがクローン78−0B10であると決定された。多様な温度でのクローンの温度安定性を図に示す。
【0166】
実施例4 クローン78−0B10から90−1B5までの変異誘発方法
1.28個の位置を共通位置に変えるように23個のオリゴ(オリゴヌクレオチド)を作った。すべてのオリゴを、鋳型としてクローンluc78−0B10からの一本鎖DNAによるオリゴ特異的変異誘発を用いて個々に調べてどのオリゴが安定性の向上をもたらすかを決定した。変異誘発オリゴを示す表を下記に示す。
【0167】
【表1】

オリゴ#6234は共通位置を変えないことに注意されたい。このオリゴは249位の野生型PPE−2コドンへ復帰を引き起こす。この位置の復帰は熱安定性を高めることが示されたが、この位置の復帰は光産出を減少させた。
【0168】
2.クローンluc78−0B10を鋳型として用いるオリゴヌクレオチド特異的変異誘発:
上記の変異誘発オリゴヌクレオチドを個々に調べた結果に基づいて、3実験を完了し、これらの実験のオリゴを次のように分けた:
a.(高められた安定性を与えることが分かった)6215、6234、6236、6248
b.(中間または高められた安定性を有することが分かった)
215、6217、6218、6219、6220、6221、6222、6231、6233、6234、6236、6238、6247、6248、6249、6251、6253。
c.すべての23オリゴ。
【0169】
3.上記の3実験からの選択物をロボットスクリーニング操作によりスクリーニングした(実験84)。(luc78−0B10をコントロールとして用いた)。
【0170】
4.実験84からの選択物を、組換え変異誘発操作を用いて組換え、次にロボットスクリーニング操作を用いてスクリーニングした(実験85)。
【0171】
5.一本鎖のDNAをluc85−3E12、luc85−4F12、luc85−5A4の3つのクローンから調製した。これらのクローンをオリゴヌクレオチド特異的変異誘発用の鋳型として用いてコドンの利用を向上させた。Nucleic Acids Research vol.18(増刊号)1990、p.2402で発表されたコドンの利用に基づいて位置を選択した。下記の表は大腸菌でコドンの利用を向上させるために用いられたオリゴを示す。
【0172】
【表2】

【0173】
6.最初の実験において、実験85からの上記の3鋳型を組み合わせて、オリゴヌクレオチド特異的変異誘発用の鋳型として用いた。これらすべてのオリゴを一つの実験で組み合わせて、オリゴヌクレオチド特異的変異誘発から得られたクローンを実験88と同じロボットスクリーニング操作を用いてスクリーニングした。この実験から得られた発光コロニーは比率が低かったので、これらオリゴヌクレオチドを下記のグループで組み合わせたもう一つのオリゴヌクレオチド特異的変異誘発実験を成し遂げた。
a.6258、6273、6280、6286
b.6259、6274、6281、6293
c.6260、6275、6282、6294
d.6261、6276、6283、6305
e.6262、6277、6284、9306
f.6263、6279、6285
【0174】
7.グループbからの試料は低い量の発光コロニーを有したことがわかり、グループbのオリゴの一つが問題を引き起こしていると仮定された。実験b除くすべての実験から選択物を作った。次に、試料をロボットスクリーニング操作により実験した(実験89)。
【0175】
8.実験88と実験89からの選択物を組換え変異誘発法によりシャッフルして、次にロボットスクリーニング操作によりスクリーニングした(実験90)。
【0176】
材料と方法
A.変異誘発法
ここで開示される変異ルシフェラーゼは、ランダム変異誘発およびそれに続くコードされたルシフェラーゼ遺伝子産物の光産出や熱安定性等の複数の特性についての変異遺伝子のインビボスクリーニングにより作られた。この変異誘発は通常3工程方法にしたがって達成された。
【0177】
1.ランダム変異誘発による遺伝的多様性の創出。ここで、Luc等の出発配列のエラーしがちなPCRを用いてヌクレオチド配列中に点変異を作った。エラーしがちなPCRはDNA配列中にほとんど単一点変異のみを作るので、1ヌクレオチド変異あたり理論的最大の7アミノ酸変化が可能である。しかし、実際は、1ヌクレオチドあたりおよそ6.1アミノ酸変化が達成できる。ルシフェラーゼの550個のアミノ酸に関しておよそ3300変異体が点変異誘発により可能である。
【0178】
2.組換え変異誘発による単一点変異の強化。最初の変異誘発により作られる遺伝的多様性をsPCRによる少数のクローン中に組換える。このプロセスは変異体クローンの数を減少させるのみならず、変異誘発の速度が高いので、陰性変異につながる確率は顕著である。組換え変異誘発は陽性変異を陰性変異から離す。これらの変異は組換え変異誘発により新しい遺伝子に「再結合」されて新しい配置を生む。次に、組換え変異体のスクリーニング後に、「陰性変異」を有する遺伝子配置を選択しないことにより除去する。組換え変異誘発はエラーしがちなPCRにより作られた最初の変異体の第二スクリーニングとしても役立つ。
【0179】
3.選択されたコドンのランダム変異誘発による遺伝的多様性の拡大。ランダムな点変異誘発は限定された数のアミノ酸置換を達成できるにすぎないので、選択されたコドンの完全ランダム化はオリゴヌクレオチド変異誘発により達成する。所与の有利な置換について、同じ位置のそれに代わる他のアミノ酸置換がさらに高い有利性を生じさせるとの仮定に基づく先立つ変異誘発法の結果から、変異すべきコドンを選択する。変異すべき位置は選択されたクローンのDNA配列決定により同定する。
【0180】
B.最初の変異誘発実験
発現を最適化し、パーオキシゾームの標的配列を除去するために、出発配列のN末端とC末端の両方をオリゴヌクレオチド特異的変異誘発により修飾した。N末端において、開始コドンの下流の9塩基をC末端においてランダム化し、終止コドンの上流の9塩基をランダム化した。変異体はインビボスクリーニングを用いて分析して、結果として発現に顕著な変化はなかった。
【0181】
このスクリーニングからの6クローンをプールし、7個のシステインのコドンを変異させるために用いた。これらのコドンはオリゴヌクレオチド特異的変異誘発を用いてランダム化し、変異体をロボットスクリーニング操作を用いてスクリーニングした。このスクリーニングから、15クローンが方向性進化のために選択された。
【0182】
C.クローンの生産と試験
幾つかの非常に強力で広く知られた手法を用いて本発明のクローンを作成し、調べる。特に記載がなければ、これらの実験室的な操作は当業者によく知られているものである。熟練実施者によく知られているように、Mullisにより創案されたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および標準的PCR法の多様な改良法(エラーしがちなPCR、sPCR等)、どの方法によってもよいDNA配列決定法(SangerまたはMaxxamとGilbertの方法)、どの方法によってもよいアミノ酸配列決定法(例えば、Edman分解)、それにポリヌクレオチドおよびポリペプチド/タンパク質の電気泳動による分離が特に挙げられる。
【0183】
D.ベクターの設計
変異誘発操作に用いられる好ましいベクター(pRAM)は、変異誘発技法を効率的に働かせることのできる幾つかの独自の特徴を有する:
pRAMベクターは、単一鎖DNAの生産に必要な繊維ファージ起源のflを有する。
【0184】
二つのSfiI部位が遺伝子を挟んでいる。これらの部位は、サブクローニングすべき遺伝子が適当な向きでのみ挿入できるように設計された。
【0185】
ベクターはtacプロモーターを有する。
【0186】
オリゴヌクレオチド変異誘発に用いられる鋳型は、ベクターをアンピシリン感受性にするbla遺伝子中の4塩基対の欠失を有する。このオリゴヌクレオチド変異誘発操作は、変異体オリゴヌクレオチドならびにbla遺伝子に対する機能を回復させるアンピシリン修復オリゴヌクレオチドを用いる。これにより高い比率の変異体の選択を可能とする。(選択を用いない場合、高い比率の変異体を得ることは困難である。)
【0187】
E.ルシフェラーゼの使用
本発明の変異体ルシフェラーゼは、下記のものを含めて、既に公知のルシフェラーゼが使用された適用における使用に適する:
ATPアッセイ。より高い酵素安定性は、ATPを欠失させるために設計された試薬が高温(例えば、室温)でさらに大きい保存寿命と操作寿命を有することを意味する。従って、高められた熱安定性を有するルシフェラーゼを用いるATPの検出方法は新規であり、有用である。
【0188】
核酸、タンパク質または他の分子用の発光標識
ATPアッセイに対する本発明のルシフェラーゼの利点と同じく、それらの高い保存寿命と操作寿命は発光標識の信頼性と再現性に対して有利である。これは、ハイブリゼーション温度が比較的高く(例えば、40℃以上)なりうるハイブリゼーション操作における核酸の標識に特に有利である。従って、本発明のルシフェラーゼを用いる核酸、タンパク質または他の分子の標識法は新規であり、有用である。
【0189】
遺伝子レポーター。レポーターの検出がもう一つの遺伝子の存在または興味のあるプロセスを知るために用いられる、遺伝子レポーターとしてのルシフェラーゼの広汎な利用において、ルシフェラーゼの高められた熱安定性は、生きた細胞と無細胞翻訳と転写/翻訳システムでの発現の温度に対する少ない依存性を提供する。従って、本発明のルシフェラーゼを遺伝子レポーターとして用いる方法は新規であり、有用である。
【0190】
酵素の固定化。物理的表面に非常に近接した酵素は該表面との相互作用により変性しうる。強い局所的な発光を提供するために表面へのルシフェラーゼの高密度固定化は高安定性ルシフェラーゼを用いることにより向上する。従って、本発明のルシフェラーゼを用いる固体表面上へのルシフェラーゼの固定化法は新規であり、有用である。
【0191】
ハイブリッドタンパク質。ルシフェラーゼをコードする、他の遺伝子との遺伝子融合遺伝子により、または他の化学的結合法により作られたハイブリッドタンパク質はより長い保存寿命と操作寿命を持つので有利である。従って、本発明のルシフェラーゼを用いる遺伝子的手段または化学的結合によるハイブリッドタンパク質の製造方法は新規であり、有用である。
【0192】
高温反応。ルシフェラーゼ反応の光強度はルシフェラーゼが変性し始めるまで温度とともに増加する。熱安定性ルシフェラーゼの使用はより高い反応温度での使用を可能とするので、本発明のルシフェラーゼは高温反応を実施するために新規であり、有用である。
【0193】
発光溶液。発光は、教育、展示および娯楽目的等の多くの一般的な用途を有する。これらの適用はさらに長い保存寿命および操作寿命を有する酵素を有することから利点が得られる。従って、本発明のルシフェラーゼを用いる発光溶液の製造方法は新規であり、有用である。
【0194】
F.ホタルルシフェラーゼ
方向性進化のために選択されたホタルルシフェラーゼ遺伝子はPhoturis pennsylvanicaから単離されたLucであった。このルシフェラーゼはWoodらによりメリーランド州で集められたホタルからクローニングされ、後にオクラホマ州で集められたホタルを用いてLeach博士により独立にクローニングされた(Yeら)(1977)。このルシフェラーゼの変異体(T249M)はWoodらにより作られ、本発明で用いられたのは、それが大腸菌で発現されたときにおよそ5倍の光を作ったからである。
【0195】
進化法の概観:方向性進化は、各工程が1)ホタルルシフェラーゼの変異ライブラリーの作成およびそれに続く2)所望の複数の酵素学的特性を有する新しい変異体クローンを同定するためのライブラリーのスクリーニングからなる反復方法によりなされた。
【0196】
この方法を始めるために、エラーしがちなPCR(Fromantら、1995)を用いて3つの変異ライブラリーを作った。各ライブラリーは最初に大腸菌コロニー中の発光の肉眼での評価により(WoodおよびDe Luca、1987)、そして次に大腸菌細胞溶解物中の酵素学的性質の定量的測定によりスクリーニングした。およそ10,000個のコロニーを肉眼でのスクリーニングで調べ、それより704個を定量的分析のために選択した。それぞれの定量的スクリーニングから18個のクローンを選択した。
【0197】
3組の18クローンをそれぞれ一緒にプールし、新しい変異ライブラリーをDNAシャフリングを用いて作り、遺伝子内組換えを行った(sPCR; Stemmer、1994)。その結果得られたものをスクリーニングしてもう一組の18クローンを得た。この組の18クローンを、その前の繰り返しの進化からの18クローンと組合せて、もう一つの変異ライブラリーをDNAシャフリングにより作り、前と同じようにスクリーニングすることにより全プロセスを達成した。
【0198】
スクリーニング法:定性的な肉眼でのスクリーニングにおいて、コロニーを、比較的明るい発光を保持する能力に関してのみ選択した。大腸菌のコロニー内のルシフェラーゼの熱安定性を、スクリーニングの温度を高めることにより連続的な繰り返しの進化により前進的に刺激した。選択されたコロニーは各々が200μlの成長培地を含有する96ウエルプレートのウエルに接種した。
【0199】
定量的スクリーニングにおいて、大腸菌培地の溶解物を1)発光活性、2)酵素安定性、3)保持された酵素代謝回転、および4)基質の結合について調べた。
【0200】
「発光活性」は、細胞培養物の光学的密度に対する発光強度の比として測定した。
【0201】
「酵素安定性」は10時間にわたる細胞溶解物からの活性損失の速度により測定した。進化の連続的な繰り返しにおいて、溶解物のインキュベーション温度を高めた。
【0202】
「保持された酵素代謝回転」は室温で10時間にわたるシグナル酵素反応の発光の損失速度により決定した。「基質の結合」は希釈基質混合物でアッセイしたときの溶解物の相対的活性により測定した。これらの4種類のパラメーターのうち、選択に対して最も高い優先性を熱安定性に置いた。
【0203】
ロボット自動化。ロボット自動化を、培養細胞に対する必要とされた多数の定量的アッセイを正確に実施するための定量的スクリーニングに用いた。一晩培養物を最初に新しい培地中に希釈して、3時間生育させて中間対数期増殖の培養物を作った。次に、各培養物の光学密度を測定し、培養物の一部を凍結/溶解およびリゾチームにより溶解した。さらに、得られた溶解物を分析前に希釈して、高温でインキュベートした。多様な時間で取った希釈溶解物の一部からの発光を測定し、分析方法で規定された多様な条件下に測定した(実施例2を参照)。このデータのコンピュータ分析により上記の定量的選択基準を得た。
【0204】
進歩的発達の要約:NおよびC末端の変異誘発とシステインコドンのランダム化後に、15クローンのプールをここに記載の2回の繰返し方向性進化に供した。この方法から得られた18クローンのうち5個の配列決定を行って変異を同定した。これらのうち49−7C6と命名された1クローンをさらに詳細な分析とさらなる変異誘発のために選択した。このクローンはルシフェラーゼLuc[T249M]と比較して10個の新しいアミノ酸置換を有した。
【0205】
これらの置換の部位における他のアミノ酸置換に対する潜在性を評価するために、オリゴヌクレオチド特異的変異誘発を用いてこれらのコドンをランダム化した。得られたクローンをここに記載のようにスクリーニングし、18個の選択されたクローンを用いて、2回の新しい繰り返しの方向性進化を開始した。この繰り返しの第二組から得られた18クローンのうち、78−0B10と命名されたクローンをさらなる研究と変異誘発のために選択した。このクローンはLuc[T249M]と比較して16個の新しいアミノ酸置換を有するルシフェラーゼをコードした。
【0206】
鋳型として78−0B10を用いるオリゴヌクレオチド特異的変異誘発を用いて、甲虫ルシフェラーゼ間で既に知られている共通アミノ酸に置換するためにコドンを選択した。この変異実験からの選択物を互いにシャッフルして、次に、最も安定であると決定された3クローンを、大腸菌においてコドン利用を向上させるためのオリゴヌクレオチド変異誘発用の鋳型として用いた。この実験から選択された90−1B5と命名されたクローンはLuc[T249M]に比較して28個のアミノ酸置換を有した。共通アミノ酸への変化のために選択された25クローンのうち、11個を90−1B5と命名されたクローン中で置換した。向上したコドン利用のために選択された30個の位置のうちわずかに5個が置換され、酵素発現に対する効果をほとんど持たなかった。
【0207】
タンパク質の精製。ここに記載された4種類の変異体(Luc[T249M]、49−7C6、78−0B10および90−1B5)を既に発表された方法を用いて精製した(Hastingsら、1996)。
【0208】
酵素学的な特性付け。精製されたタンパク質を25mmol/L HEPES、pH7.8、150mmol/L NaCl、0.1mmol/L EDTA、1mg/ml BSAで希釈した。酵素の安定性は異なる温度でインキュベートされた希釈タンパク質から決定し、そのアリコートを異なる時点で取った。発光と時間の自然対数の一次回帰を計算した。半減期は回帰のln(0.5)/傾きとして計算した。
【0209】
E.PCR変異誘発法(ランダム変異誘発):
PCR変異誘発反応
1.対象の遺伝子を有するベクターからプラスミドDNAを調製し、ゲルからDNA濃度を予想する。
【0210】
2.一グループあたり二つの50μl反応物を設定する:
異なる勾配ヌクレオチド濃度を用いた3グループの変異誘発条件がある。
【0211】
ここに挙げられた条件は、それぞれの作られた親クローンについて表現型のサブクローニングの後に8〜10%の範囲の野生型Lucコロニーを作る。変異誘発速度は変異誘発後に存在する発光コロニーの数により予想する。8〜10%の範囲で変異させたクローンの結果に基づいて、このレベルの変異誘発速度が1遺伝子あたり平均約2〜3アミノ酸変化を作ることが決定された。変異誘発が1遺伝子あたり平均して1アミノ酸変化が存在するように選択される場合、平均して50%のクローンは変異を有さないだろう。(Bowieら、1990)。
【0212】
マスター混合物について:ポリメラーゼ以外のすべての混合物を加え、攪拌し、短時間回転させ、ポリメラーゼを加え、静かに混合する。
【0213】
【表3】

Taq.ポリメラーゼはPerkin Elmerより購入した(N808−0101)。
【0214】
10×Taqポリメラーゼ緩衝液(Taqのアリコートを1.5mlチューブに入れて−70℃で保存する):
− 1M保存液からの100mMトリス塩酸、pH8.4
− 500mM KCl
プライマーを1nmol/μl保存液から20pmol/μl実施保存液まで希釈する。
pRAMtailup: 5’−gtactgagacgacgccagcccaagcttaggcctgagtg−3’
pRAMtaildn: 5’−ggcatgagcgtgaactgactgaactagcggccgccgag−3’
°MnClとMgClは1M保存液から新しく作る。保存液をろ過滅菌し、滅菌水と混合して10mMと25mMの保存溶液を作り、これらをポリスチレンNalgeneコンテナー中に4℃で保存する。
熱サイクラーでサイクリングを行う:94℃で1分間(94℃/1分間、72℃/10分間)10×。
【0215】
3.反応生成物をWizard PCR精製キット(Promega社、マジソン、ウイスコンシン州、part#A718c)で精製する:
− PCR反応物を、Promega 100μl Direct精製緩衝液(Part#A724a)を含有する新しいチューブに移す
− 1mlのWizard PCR精製樹脂(part#A718c)Promegaを加え、室温で1分間インキュベートする
− 樹脂をWizardミニカラムを通して引く
− 80%エタノールで洗浄する
− マイクロ遠心管中で回転させて過剰のエタノールを除去する
− 50μl滅菌ナノ純水中に溶出させる(水を少なくとも1分間カラムに保つ)
【0216】
変異誘発反応の増幅
1.1グループあたり5つの50ml反応物を設定する:
− マスター混合物に対して: ポリメラーゼ以外のすべての混合物を加え、攪拌し、短時間回転させ、ポリメラーゼを加え、静かに混合する。
°天然PFU用10×反応緩衝液は20mM MgClを含有しているために、それ以上のMgClを加える必要はない
プライマー:
pRAM18up−5’gtactgagacgacgccag−3’
pRAM19dn−5’ggcatgagcgtgaactgac−3’
サイクル条件: 94〜30秒(94〜20秒、65〜1分、72〜3分)25×(Perkin−Elmer Gene Amp(登録商標) PCRシステム2400)
2.1μlをゲルにかけて増幅生成物をチェックする
3.増幅反応生成物をWizard PCR精製キット(Promega社、part#A718c)で精製する:
− PCR反応物を、100μlのDirect精製緩衝液(Promega、Part#A724a)を有する新しいチューブに移す
− 1mlのWizard PCR精製樹脂(Promega、Part#A718c)を加え、室温で1分間インキュベートする
− 樹脂をWizardミニカラムを通して引く
− 80%エタノールで洗浄する
− マイクロ遠心管中で回転させて過剰のエタノールを除去する
− 88μl滅菌ナノ純水中に溶出させる(水を少なくとも1分間カラムに保つ)
PFUポリメラーゼを用いるこの増幅工程は2つの理由から導入された:
(a)多くの形質転換体の生産のためにDNA収率を増加させること。
(b)変異誘発PCR反応から引き継がれる鋳型DNAの量を減少させること: (第二の増幅反応用プライマーは変異誘発プライマーに繰り込まれる。変異誘発プライマーは上流と下流プライマーのそれぞれ11と12塩基の非特異的末尾を用いて設計された。繰り込まれたプライマーは変異誘発プライマーで既に増幅されたDNAを増幅するだろうが、pRAM鋳型DNAを増幅することはできない)
【0217】
増幅PCR変異誘発生成物のサブクローニング
1.DNAをSfiIで次のように消化する:
− 2μlのSfiI(Promega Part#R639a)
− 10μlの10×緩衝液B(Promega Part#R002a)
− Wizard PCR prepからの88μlのDNA([増幅における]工程3を参照)
− 成分を混合し、2滴の鉱油で積層する; 50℃で1時間インキュベートする
2.Wizard PCR精製キットで塩とSfi末端をここに記載のように除去し、そして50μl滅菌ナノ純水に溶出する
3.pRAM(+/r)骨格への連結(1グループにつき4連結反応を設定する)
− 0.025pmolのpRAM骨格
− 0.05pmolの挿入物(通常6〜12μlの挿入物の範囲)
− 1μlのT4 DNAリガーゼ(M180a)
− 2μlの10×リガーゼ緩衝液(C126b、25μlのアリコートに分割し、そして2回を超える回数で凍結/溶解しない)
− 水で20μlにし
− 室温で2時間連結し
− 15分間70℃で熱反応させてリガーゼを失活させる
【0218】
形質転換と塗布
1.試料をブタノールで析出させて過剰の塩を除去する(n−ブタノール、Sigma製、セントルイス、ミズリー州、part#BT−105):
(エタノール析出がブタノールの代わりに用いられる場合、70%エタノールで必要なだけ洗浄する)(過剰の塩は、エレクトロポレーション中に反応を失敗させる放電を引き起こすだろう)
− 水を加えて50μlに
− 500μlのn−ブタノールを加える
− ブタノール/連結混合物が透明となるまで混合し、次に20分間室温でスピンする
− ヒュームフード中の廃液容器にブタノールを排出させる
− 12μlの水に再懸濁させ、30秒間全速でスピンする
2.細胞/DNA混合物の調製(4形質転換体+参照クローンDNAを有するものを設定する);
− DNAが沈殿している間に、エレクトロポレーションキュベットを氷上に置く
− 15mlのFalconスナップキャップチューブに3mlのS.O.C.培地を充填し氷上に置く
− JM109エレクトロコンピテント細胞を氷上で解凍する(1連結反応あたり50μl)
− 工程1からの10μlの底層(または0.5μlの参照クローンDNA)をコンピテント細胞にピペットで入れる
(少量のブタノール残量物は形質転換効率に悪影響を及ぼさない)
− 細胞/DNA混合物を氷上に置く
3.エレクトロポレーション
− チューブ、キュベットおよび氷上の細胞/DNA混合物をエレクトロポレーション装置に移動させる
− 細胞/DNA混合物をキュベットおよびzapにピペットで入れる。装置の設定:
キュベットギャップ: 0.2cm
電圧: 2.5kV
容量: 25μF
抵抗: 200オーム
時間定数: 4.5msec
− 1mlのSOC(KClを含有する; 培地調製物#KCLM)をキュベットにピペットで入れ、迅速に回収チューブ(形質転換効率は細胞をキュベットに放置すると減少する)に注ぐ
− すべての試料が処理されるまで回収チューブを氷上に置く
− 細胞を37℃で30〜60分間回復させる
− ニトロセルロースフィルターを有するLB+ampプレートに置く
(コロニーの#は、細胞が60分間回復する場合、おそらく細胞の複製のために〜20%高くなる。101305のp.65を参照)
(スクリーニングの最も良いコロニー密度は1プレートあたり500である。細胞プレートの現在のバッチに関して〜500から750μl)
【0219】
F.組換え変異誘発法またはDNAシャフリング:
プラスミドDNAのDNase I消化
1.2%低融点ゲルの調製
− 0.8gアガロースを40ml(NuSieve#50082)中に使用
− 大きな調製コームを使用
− 消化前に確実に固体化させる
【0220】
2.4μgのプールされたプラスミドDNAを消化のために調製する。
【0221】
3.下記の表にしたがって氷上に1U/μl DNase希釈物を調製する。
【0222】
【表4】

DNase I、シグマ社製(D5791)
ゼラチンを加えて、DNaseがチューブの壁に接着しないようにする。
【0223】
この希釈物を氷上に少なくとも30分間活性を失わせずに保つことができる。
【0224】
4.消化する(室温に設定する)
100μl反応物あたり、1.0Uと1.5UのDNaseIによる2種類の消化物を調製する:
− 10μlの10×DNase I緩衝液(500mMトリス、10mM MgCl、pH7.8)
− xμlのDNA(工程2からの2μgのプールされたプラスミドDNA)
− 1または1.5μlの1U/μlの酵素希釈物
− 滅菌ナノ純水で100μlに
− 室温で10分間インキュベートする
− 反応を1μlの100mM CDTAで停止させる
【0225】
アガロースゲルからの精製
1.DNase消化断片のゲル上での泳動
− 10μlの10×ブルージュースを各DNase I消化物に加える
− すべてを2%低融点アガロースゲルにかける
− 約30分間120〜150Vで泳動する
− pGEM DNAマーカーを中央レーンにかける
【0226】
2.断片の単離
− レーザー刃を用いて600〜1000bpの範囲の大きさの断片を有するアガローススライスを切り出す
− 〜0.3gの重量の小片に切断
− ゲルスライスを70℃で溶融
− 300μlのフェノール(NaCl/トリス平衡化)を溶融アガロースに加え、最大速度で〜1分間攪拌する
− 10分間4℃で回転させる(4℃で行われると界面は動きにくい)
− 上層を、等しい量のフェノール/クロロホルム/イソアミル(300mM NaCl/100mMトリス、pH8.0で飽和したもの)を含有するチューブ中に入れて、攪拌し、室温で5分間回転させる
− 上層を、クロロホルムを含有するチューブに入れて、攪拌し、回転させる
− 上層を、2容量の95%の冷エタノールを有するチューブに入れる; −70℃のフリーザー中に10分間置く(高塩フェノールのためにそれ以上の塩は必要とされない)
− 4℃で15分間回転させる。
− 70%エタノールで洗浄し、排出し、〜10分間風乾する
− 25〜50μlの滅菌ナノ精製水中に再懸濁する
− 使用の準備ができるまで−70℃で保存する
【0227】
アセンブリ反応
4反応を設定し、完了したらプールする
【0228】
【表5】

この反応のために用いられるDNAは断片化されているので、濃度を予測することは困難である。最も簡単な方法は5μlのDNaseI消化DNAをアガロースゲルにかけて、染料がウエルに入るまで(1〜2分間)泳動する。典型的な2μgのDNA消化物からの断片を100μgの水に再懸濁し、〜1から10ng/μlのDNA濃度を与える。この種類のゲルの写真に関して101284p.30を参照されたい。
【0229】
サイクル条件:94〜30秒[94〜20秒、65〜1分、72〜2分]25×(プログラム「アセンブリ−65」、実施〜2.5時間)
【0230】
アセンブリの増幅
通常、5増幅反応は全8プレートのロボット実験のために十分なDNAを作るだろう。
【0231】
【表6】

プライマーの濃度は典型的な増幅反応の2倍であることに注意。
°PFU 10×緩衝液は20mMのMgClを含有するので、MgClを添加する必要はない。
+PFUはStratagene part#600135から注文。
サイクル条件:94〜30秒[94〜20秒、65〜1分、72〜3分]25×
【0232】
アセンブリ増幅のサブクローニング
1.精製生産物をWizard PCR精製キットにより精製する:
− 5増幅反応物をプールする
− 100μlのDirect Purification緩衝液を含有する新しいチューブに移す
− 1mlのWizard PCR精製樹脂を加え、室温で1分間インキュベートする
− 樹脂をWizardミニカラムで引く
− 80%エタノールで洗浄し、マイクロ遠心管中で回転させて過剰のエタノールを除去する
− 88μlの滅菌ナノ純水で溶出させる(水をカラム中に少なくとも1分間保持させる)
【0233】
2.SfiIによる消化:
− 2μlのSfiI
− 10μlの10×緩衝液B
− Wizard PCR prepからの88μlのDNA
− 成分を混合し、2滴の鉱油で積層し;50℃で1時間インキュベートする
【0234】
3.バンドの単離
アセンブリー反応の増幅後にしばしば遺伝子サイズの断片よりも小さいバンドが作られる。この小さい断片は、試料がバンド単離されていない場合、遺伝子サイズの断片よりも10倍も高い頻度でサブクローニングされることが示された。この汚染バンドが存在する場合、SfiI消化後にバンドを単離することが必要である。
【0235】
− DNAを0.7%アガロースゲルにかける
− Bio101製のGene Cleanキットを用いてバンドの単離と精製を行う
− 50μlの滅菌ナノ純水でDNAを溶出し、ゲル上の濃度をチェックする(標準アガロースを用いるこの種類の精製はサブクローニング後に最大数の形質転換体を作った。試みられた他の方法:フェノールクロロホルムによる低融点ゲル、低融点ゲルによるGene cleanキット、標準アガロースによるWizard PCR樹脂、低融点ゲルを用いるPierce Xtremeスピンカラム(は標準アガロースで機能しなかった))。
【0236】
4.pRAM[+/r]骨格に連結する:(上記の連結と形質転換法を参照されたい)
【0237】
pRAM骨格のラージスケールでの調製
1.LB ampプレートにpRAMMCS[+/r]ですじを付ける(このベクターは遺伝子の代りにSacII部位を有する合成挿入物を有する。それは−70℃でボックスで挙げたpRAMグリセロール保存物、b2の位置に見ることができる。このベクターは新しいリボソーム結合部位を有するが、ベクターがSfiIで消化されるときに切り出されるだろう。
【0238】
2.アンピシリンを補充したLBで10mlの一晩培養物を調製する。
【0239】
3.翌日、アンピシリンを補充した1LのLBを接種して、16〜20時間生育させる。
【0240】
4.DNAをWizard Maxi Prepキットを用いて精製する(1Lの細胞のために4調製物を用いる)
5.プラスミドをSfiIで消化する。(1ミリグラムあたり5Uを使用)鉱油と重ね合わせて、少なくとも2時間消化する。
【0241】
6.エタノール沈殿して塩を除去する。水に再懸濁する。
【0242】
7.SacIIで2時間消化する。(消化物の容量を2ml以下に保つ)。プラスミドの一部が部分消化しうることがありうる。ベクターが、二つのSfiI部位に対して内部にある酵素により切断される場合、それは、部分的に消化させた断片を連結反応で結合させないだろう。
【0243】
8.全消化物をカラムに乗せる(9を参照)。エタノール沈殿が必要な場合、かける試料の体積は2mlを超えないようにする。
【0244】
9.カラムはセファクリルs−1000を有し、20%エタノールで保存して細菌の汚染を防ぐ。試料をかける前に、カラムを冷たい操作緩衝液で少なくとも24時間平衡化しなければならない。カラムが2ヶ月を超えて放置されていた場合、カラムを空にして、樹脂を冷たい操作緩衝液中の洗浄液と3〜4回平衡化し、次にカラムに再び注ぐことが必要となろう。カラムを注いだ後、樹脂が完全に充填されるように一晩平衡化しなければならない。
【0245】
10.〜0.5mlのフラクションを集める。典型的には、DNAはフラクション25〜50からのものである。連続したフラクションからの5μlのアリコートをかけて、どのフラクションが骨格断片を有するのかを決定する。小さい挿入断片は骨格のすべてが溶出する前にカラムから出始めるので、フラクションをプールするときに保存することが必要であろう。この理由から、典型的にはDNAの40〜60%がこの工程で失われる。
【0246】
11.骨格を有するフラクションをプールする。
【0247】
12.試料をエタノールで析出させる。〜10から50ng/μlを作る容積で再懸濁する。
【0248】
13.−70℃で保存する。
【0249】
カラム操作緩衝液:(4℃で保存)
5mM EDTA
100mM NaCl
50mM Tris塩酸、pH8.0
10μg/ml tRNA(R−8759)
【0250】
H.オリゴヌクレオチド変異誘発:
変異すべき鋳型のアンピシリン感受性の一本鎖DNAを調製する。すべての可能なアミノ酸コドンをランダムに作る変異誘発プライマーを設計する。
【0251】
変異誘発反応:
【0252】
【表7】

アニーリング緩衝液:
− 200mMトリス塩酸、pH7.5
− 100mM MgCl
− 500mM NaCl
【0253】
60℃で15分間の熱反応を行い、その直後に氷上に置く。
【0254】
合成反応:
【0255】
【表8】

合成緩衝液
100mMトリス塩酸、pH7.5
5mM dNTPs
10mM ATP
20mM DTT
37℃で90分間インキュベートする。
Mut−S株BMH71−18(Promega株Q6321)を形質転換する。
− 合成反応液を17×100mmチューブに入れる。
− 氷上で解凍されたBMH71−18コンピテント細胞を合成反応物に加える。
− 氷上で30分間インキュベートする。
− 細胞に42℃で90秒間熱ショックを与える。
− 4mlのLB培地を加えて、細胞を37℃で1時間生育させる。アンピシリンを最終濃度1.25μg/mlまで加え、次に一晩37℃で生育させる。
【0256】
DNAをWizard Plus精製システム(Promega a7100)で単離する。
【0257】
単離されたDNAを用いてJM109のエレクトロコンピテント細胞を形質転換し、LBアンピシリンプレート上で形質転換する。
【0258】
I.スクリーニング法:
(形質転換反応からの)JM109クローンを、1プレートあたり〜500コロニーのスクリーニング密度でLB ampプレート上に置かれたニトロセルロースフィルターに塗布する。
【0259】
ランダム変異誘発法で挙げられたように、選択すべきクローンの約10%が、配列決定されるものと同程度に安定であるか、または源よりも良好であるに違いないであろう。または別の言い方をすれば、1枚あたり50コロニーまでが選択に適するであろう。全8プレートロボット実験に利用可能な704ウエルが存在するので、少なくとも15枚のLB ampプレートが全ロボット実験に必要とされるだろう。
【0260】
37℃での一晩の生育後、形質転換体をインキュベーターから取り出して室温におく。
【0261】
ニトロセルロースフィルターの一側面を上げて、500μlの10mM IPTGを各プレートに加える。次に、フィルターをプレートの裏側に置いて、異なる変異体ルシフェラーゼ遺伝子を有するコロニー中にIPTGを拡散させる。次に、該プレートを約4時間室温でインキュベートする。
【0262】
1mlの溶液は1mMのルシフェリンを含有し、100mMのクエン酸ナトリウムを50℃に設定したスライド加温器上にピペットで入れる。変異体ルシフェラーゼコロニーを有し、IPTGで処理されたニトロセルロースフィルターを、次にルシフェリ溶液の上部に置く。数分後、最も明るいコロニーを爪楊枝を用いて採取し、これを用いてM9最少培地と1%ゼラチンを含有するマイクロタイタープレートのウエルに接種する。
【0263】
十分なコロニーを8枚のマイクロタイタープレートに入れた後に、プレートを350rpmで30℃のインキュベーションのためにインキュベーターに置き、一晩生育させた。
【0264】
朝に、一晩プレートをロボット上に置き、細胞希釈操作を行う(この方法は培養物を誘導培地中に1:10で希釈する)。これらの新しいプレートを3時間、350rpm、30℃で生育させる。
【0265】
生育後、プレートを主要なアッセイ操作用のロボットにかける。
【0266】
最小媒体:
6g/L NaHPO
3g/L KHPO
0.5g/L NaCl
1g/L NHCl
2mM MgSO
0.1mM
1mMチアミン塩酸
0.2%グルコース
12μg/mlテトラサイクリン
100μg/mlアンピシリン
【0267】
一晩培地は1%ゼラチンを含有する。
誘導培地は1mM IPTGを含有し、ゼラチンを含有しない。
S.O.C.培地
−10mM NaCl
−2.5mM KCl
−20mM MgCl
−20mMグルコース
−2%バクトトリプトン
−0.5%酵母抽出物
【0268】
【表9】

【0269】
【表10】

【0270】
【表11】

【0271】
【表12】

【0272】
【表13】

【0273】
【表14】

【0274】
【表15】

【0275】
【表16】

【0276】
【表17】

【0277】
【表18】

【0278】
【表19】

【0279】
【表20】

【0280】
【表21】

【0281】
【表22】

【0282】
【表23】

【0283】
【表24】

【0284】
【表25】

【0285】
【表26】

【0286】
【表27】

【0287】
【表28】

【0288】
【表29】

【0289】
【表30】

【0290】
【表31】

【0291】
【表32】

【0292】
【表33】

【0293】
【表34】

【0294】
表5: 進化的発達の要約
(1) LucPpe2[T249M]から始める
(2) N末端とC末端で3アミノ酸を変異させる
(3) 7個のシステインを変異させる
(4) 進化の二回の反復を実施する → Luc49−7C6
(5) 変更されたコドンの変異誘発(9)
(6) 進化の二回の反復 → Luc78−0B10
(7) 共通コドンの変異誘発(28)
(8) コドン利用性変異誘発(24)→Luc90−1B5。
【0295】
【表35】

【0296】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
50℃の水溶液中で2時間後にその活性の少なくとも50%を保持するように熱安定である合成甲虫ルシフェラーゼであって、配列番号25のアミノ酸配列から成るLucPpe2[T249M]に関して2、17、25、27、36、91、101、105、125、140、144、145、183、195、203、204、220、221、262、266、270、294、353、354、355、386、394、399、412、413、499、500および502位の位置のうち少なくとも3つにおいて置換を有することを特徴とする前記合成甲虫ルシフェラーゼ。
【請求項2】
約60℃の水溶液中で5時間後にその活性の少なくとも50%を保持する請求項1に記載の合成甲虫ルシフェラーゼ。
【請求項3】
約60℃の水溶液中で10時間後にその活性の少なくとも50%を保持する請求項1に記載の合成甲虫ルシフェラーゼ。
【請求項4】
約60℃の水溶液中で24時間後にその活性の少なくとも50%を保持する請求項1に記載の合成甲虫ルシフェラーゼ。
【請求項5】
22℃の水溶液中で3ヶ月後にその活性の少なくとも50%を保持する請求項1に記載の合成甲虫ルシフェラーゼ。
【請求項6】
22℃の水溶液中で6ヶ月後にその活性の少なくとも50%を保持する請求項1に記載の合成甲虫ルシフェラーゼ。
【請求項7】
甲虫ルシフェラーゼアミノ酸配列の共通部位に少なくとも一つの変異を有する請求項1に記載のPpe2以外の合成甲虫ルシフェラーゼであって、当該甲虫ルシフェラーゼアミノ酸配列の共通部位が、以下に示す配列の50%より多くにおいて同じアミノ酸が存在する部位である前記合成甲虫ルシフェラーゼ。
【化1】





【請求項8】
甲虫ルシフェラーゼアミノ酸配列の共通部位に一つの変異を有する請求項7に記載のPpe2以外の合成甲虫ルシフェラーゼであって、当該甲虫ルシフェラーゼアミノ酸配列の共通部位が、以下に示す配列の50%より多くにおいて同じアミノ酸が存在する部位である前記合成甲虫ルシフェラーゼ。
【化2】





【請求項9】
各変異が元のアミノ酸を共通アミノ酸に変化させる請求項7に記載の合成甲虫ルシフェラーゼであって、共通アミノ酸が、以下に示す配列の50%より多くにおいて共通部位に存在するアミノ酸である前記合成甲虫ルシフェラーゼ。
【化3】





【請求項10】
FIGURE27(配列番号14)、FIGURE28(配列番号15)、FIGURE29(配列番号16)、FIGURE30(配列番号17)、FIGURE31(配列番号18)、FIGURE36(配列番号19)、FIGURE37(配列番号20)、FIGURE38(配列番号21)、FIGURE39(配列番号22)、FIGURE41(配列番号23)、FIGURE43(配列番号24)およびFIGURE46(配列番号26)からなる群から選択される図に示されるアミノ酸配列を有する請求項1に記載の合成甲虫ルシフェラーゼ。
【請求項11】
FIGURE27(配列番号14)、FIGURE36(配列番号19)、FIGURE43(配列番号24)およびFIGURE46(配列番号26)からなる群から選択される図に示されるアミノ酸配列を有する請求項10に記載の合成甲虫ルシフェラーゼ。
【請求項12】
合成ホタルルシフェラーゼである請求項1に記載の合成甲虫ルシフェラーゼ。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の甲虫ルシフェラーゼをコードするポリヌクレオチド。
【請求項14】
DNAである請求項13に記載のポリヌクレオチド。
【請求項15】
FIGURE22(配列番号1)、FIGURE23(配列番号2)、FIGURE24(配列番号3)、FIGURE25(配列番号4)、FIGURE26(配列番号5)、FIGURE32(配列番号6)、FIGURE33(配列番号7)、FIGURE34(配列番号8)、FIGURE35(配列番号9)、FIGURE40(配列番号10)、FIGURE42(配列番号11)およびFIGURE47(配列番号13)からなる群から選択される図に示される配列を有する請求項13に記載のポリヌクレオチド。
【請求項16】
請求項13ないし15のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項17】
請求項13ないし15のいずれかに記載のポリヌクレオチドを発現するように形質転換された宿主細胞。
【請求項18】
大腸菌である請求項17に記載の宿主細胞。
【請求項19】
FIGURE22(配列番号1)、FIGURE23(配列番号2)、FIGURE24(配列番号3)、FIGURE25(配列番号4)、FIGURE26(配列番号5)、FIGURE32(配列番号6)、FIGURE33(配列番号7)、FIGURE34(配列番号8)、FIGURE35(配列番号9)、FIGURE40(配列番号10)、FIGURE42(配列番号11)およびFIGURE47(配列番号13)からなる群から選択される図に示されるポリヌクレオチドにコードされる合成甲虫ルシフェラーゼをコードする請求項17に記載の宿主細胞から得られた合成甲虫ルシフェラーゼ。
【請求項20】
請求項15に記載のポリヌクレオチドにコードされる合成甲虫ルシフェラーゼ。
【請求項21】
ATPを検出するための請求項1〜12、19および20のいずれか1項に記載の合成ルシフェラーゼの使用。
【請求項22】
分子を標識するための請求項1〜12、19および20のいずれか1項に記載の合成ルシフェラーゼの使用。
【請求項23】
遺伝子レポーターとしての請求項1〜12、19および20のいずれか1項に記載の合成ルシフェラーゼの使用。
【請求項24】
固体表面へ固定化するための請求項1〜12、19および20のいずれか1項に記載の合成ルシフェラーゼの使用。
【請求項25】
ハイブリッドタンパク質を作るための請求項13ないし15のいずれかに記載のポリヌクレオチドの使用。
【請求項26】
高温反応のための請求項1〜12、19および20のいずれか1項に記載の合成ルシフェラーゼの使用。
【請求項27】
発光溶液を作るための請求項1〜12、19および20のいずれか1項に記載の合成ルシフェラーゼの使用。
【請求項28】
請求項1〜12、19および20のいずれかに記載の合成ルシフェラーゼを含むハイブリッドタンパク質。
【請求項29】
下記の工程:
(a)甲虫ルシフェラーゼをコードする出発ポリヌクレオチド配列を変異させて、それぞれが異なる第二の甲虫ルシフェラーゼをコードする第二のポリヌクレオチド配列の少なくとも一つのライブラリーを作り;
(b)各選択された第二のポリヌクレオチドが好ましい範囲で一つ以上の所望の特性を有する第二のルシフェラーゼをコードするように一つ以上の第二のポリヌクレオチド配列を選択し;そして
(c)最終ルシフェラーゼが50℃の水溶液中で2時間後にその活性の少なくとも50%を保持するように熱安定であるように最終ルシフェラーゼが作られるまで、(a)での出発ポリヌクレオチドとして第二の選択されたヌクレオチドのそれぞれを各回利用して(a)と(b)を繰り返す
ことからなる、熱安定変異体ルシフェラーゼの製造方法であって、当該最終ルシフェラーゼが配列番号25のアミノ酸配列から成るLucPpe2[T249M]に関して2、17、25、27、36、91、101、105、125、140、144、145、183、195、203、204、220、221、262、266、270、294、353、354、355、386、394、399、412、413、499、500および502位の2以上の位置に置換を有する前記方法。
【請求項30】
特性が、熱安定性に加え、発光強度、シグナル安定性および基質の利用を含む群から選ばれる少なくとも二つの別の特性を含む請求項29に記載の方法。
【請求項31】
(a)がさらに組換え変異誘発と点変異誘発の利用を含む請求項29に記載の方法。
【請求項32】
(b)が自動化多パラメータースクリーニング法により実施される請求項29に記載の方法。
【請求項33】
出発ポリヌクレオチド配列が配列番号12に示される配列である請求項29に記載の方法。
【請求項34】
出発ポリヌクレオチドがホタルルシフェラーゼをコードする請求項29に記載の方法。
【請求項35】
請求項1〜12、19および20のいずれかに記載の合成ルシフェラーゼが得られるように請求項17に記載の宿主を培養することを含む、合成ルシフェラーゼの製造方法。
【請求項36】
サンプルを請求項1〜12、19および20のいずれかに記載の合成ルシフェラーゼと接触させ、サンプル中のルシフェラーゼの存在またはその量を検出することにより、サンプル中のATPの存在またはその量を検出することを含む、ATPの検出方法。
【請求項37】
対象となる分子を請求項1〜12、19および20のいずれかに記載の合成ルシフェラーゼまたはその基質に結合させ、合成ルシフェラーゼまたは基質を含む分子を得ることを含む、分子の標識方法。
【請求項38】
分子が核酸分子またはタンパク質である請求項37に記載の方法。
【請求項39】
請求項16に記載のベクターによりコードされるルシフェラーゼのサンプル中における存在またはその量を検出することを含む、ルシフェラーゼの検出方法。
【請求項40】
サンプルが細胞または細胞ライセートを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
固体表面上に請求項1〜12、19および20のいずれかに記載の合成ルシフェラーゼを固定することを含む、ルシフェラーゼの固定方法。
【請求項42】
請求項13ないし15のいずれかに記載のポリヌクレオチドおよび合成ルシフェラーゼ以外のタンパク質をコードする第2のポリヌクレオチドを含むベクターを発現させ、合成ルシフェラーゼおよび合成ルシフェラーゼ以外のタンパク質を含むハイブリッドタンパク質を合成することを含む、ハイブリッドタンパク質の合成方法。
【請求項43】
請求項1〜12、19および20のいずれかに記載の合成ルシフェラーゼを、40℃を超える温度においてルミネッセンス反応用試薬と接触させることを含む、高温においてルミネッセンスを検出する方法。
【請求項44】
請求項1〜12、19および20のいずれかに記載の合成ルシフェラーゼを1以上の他の試薬と組合わせることを含む、ルミネッセンス用溶液の製造方法。
【請求項45】
2、27、36、91、144、183、220、221、262、294、353、354、355、386、394、399、412、413および499位のうち複数の位置において置換を有する請求項1に記載の合成甲虫ルシフェラーゼ。
【請求項46】
91、183、220、221、262、294、353、354および399位のうち複数の位置において置換を有する請求項1に記載の合成甲虫ルシフェラーゼ。
【請求項47】
置換位置を除いて配列番号25のアミノ酸配列から成るLucPpe2[T249M]または249位においてMetにかえてThrを有する配列番号25のアミノ酸配列から成るLucPpe2の配列を有する請求項1、43または44に記載の合成甲虫ルシフェラーゼ。
【請求項48】
甲虫ルシフェラーゼをコードする第1のポリヌクレオチドにLuc配列番号25のアミノ酸配列から成るPep2[T249M]に関して2、17、25、27、36、91、101、105、125、140、144、145、183、195、203、204、220、221、262、266、270、294、353、354、355、386、394、399、412、413、499、500および502位の位置において少なくとも3つの置換を導入し、50℃の水溶液中で2時間後にその活性の少なくとも50%を保持するように熱安定性である合成甲虫ルシフェラーゼをコードする第2のポリヌクレオチドを調製することを含む、熱安定性甲虫ルシフェラーゼの調製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【公開番号】特開2010−104377(P2010−104377A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6999(P2010−6999)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【分割の表示】特願2000−511874(P2000−511874)の分割
【原出願日】平成10年9月18日(1998.9.18)
【出願人】(500122994)プロメガ・コーポレイシヨン (2)
【Fターム(参考)】