説明

熱硬化性組成物およびそれを用いたプリント配線板

【課題】従来の材料に代替可能な、高性能の基板形成材料となりうる熱硬化性組成物を提供する。
【解決手段】本発明の一形態は、主鎖にねじれ(kink)構造を有する芳香族または脂肪族環式構造単位を少なくとも1つ含み、主鎖の両末端の少なくとも一方に架橋性反応基が導入された所定の構造を有する熱硬化性液晶性オリゴマーと、両末端に架橋性反応基を有する架橋剤およびエポキシ化合物の少なくとも一方と、有機溶媒と、を含む熱硬化性組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性組成物およびそれを用いたプリント配線板に関し、詳細には、熱硬化性液晶性オリゴマーと、架橋剤およびエポキシ樹脂の少なくとも一方とを含む熱硬化性組成物およびそれを用いたプリント配線板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の情報通信技術の発達により、コンピュータと通信機器とが一体化され、社会はますます高度な情報通信化を遂げている。また、携帯電話、パソコンなどの電子機器が小型化、高性能化されることによって、これらに不可欠な部品であるプリント配線板の高密度集積化が進んでいる。プリント配線板の高密度集積化は、基板の多層化、薄型化、スルーホールの直径および間隔の微小化などにより図られている。従って、このようなプリント配線板の開発の方向性に沿うように、プリント配線板を製造する際の主要材料である銅張積層板(Copper Clad laminate、CCL)、樹脂付銅箔(Resin Coated Copper、RCC)およびプリプレグなどの高分子複合材料について、低熱膨張率、低誘電率/低誘電損失および低吸湿性とすることが重要である。しかしながら、現在、基板形成材料として主に使用されているビスマレイミド−トリアジン(BT)材料およびFR−4系材料は、今後のプリント配線板に求められる低誘電率、低熱膨張性および低吸湿性を満足することが困難なため、代替可能な高性能な新素材の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5315011号明細書
【特許文献2】米国特許第5114612号明細書
【特許文献3】米国特許第5575949号明細書
【特許文献4】米国特許第5811507号明細書
【特許文献5】米国特許第5322917号明細書
【特許文献6】特開平11−92647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上述したような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、従来の材料に代替可能な、高性能の基板形成材料となりうる熱硬化性組成物を提供することを目的とする。
【0005】
本発明の他の目的は、前記組成物を用いて製造される樹脂硬化物および基板を提供することにある。
【0006】
本発明のさらに他の目的は、前記樹脂硬化物や基板を用いた記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態は、主鎖にねじれ(kink)構造を有する芳香族または脂肪族環式構造単位を少なくとも1つ含み、主鎖の両末端の少なくとも一方に架橋性反応基が導入された所定の構造を有する熱硬化性液晶性オリゴマーと、両末端に架橋性反応基を有する架橋剤およびエポキシ化合物の少なくとも一方と、有機溶媒と、を含む熱硬化性組成物に関する。
【0008】
本発明の他の形態は、上記所定の構造を有する熱硬化性液晶性オリゴマーと、両末端に架橋性反応基を有する架橋剤およびエポキシ化合物の少なくとも一方のポリマーと、が架橋されてなる重合物を含む樹脂硬化物に関する。
【0009】
本発明のさらに他の形態は、上述した樹脂硬化物を含む(好ましくは、当該樹脂硬化物が補強材の内部に含浸され、または、補強材の表面に配置されてなる)基板に関する。
【0010】
本発明のさらに他の形態は、メモリチップと、当該メモリチップと電気的に接続された上記基板と、を含む記憶媒体に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の熱硬化性組成物は、熱硬化性、加工性、含浸特性および熱特性に優れて軽薄短小化される次世代プリント配線板の素材として有利に応用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、合成例1で得られたナジミドで末端キャッピングされた熱硬化性液晶性オリゴマーのH−NMRスペクトルである。
【図2】図2は、合成例2で得られたナジミドで末端キャッピングされた熱硬化性液晶性オリゴマーのH−NMRスペクトルである。
【図3】図1は、合成例3で得られたメチルナジミドで末端キャッピングされた熱硬化性液晶性オリゴマーのH−NMRスペクトルである。
【図4】図4は、合成例4で得られたナジミドで末端キャッピングされた熱硬化性液晶性オリゴマーのH−NMRスペクトルである。
【図5】図5は、実施例2で製造されたプリプレグのTMA曲線を示すグラフである。
【図6】図6は、実施例3で製造されたプリプレグのTMA曲線を示すグラフである。
【図7】図7は、実施例9で製造されたプリプレグのTMA曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態をより詳細に説明する。
【0014】
本発明において、特別な言及がない限り、「置換」とは、ハロゲン原子、C〜C20のアルキル基、C〜C20のアルコキシ基、C〜C30のアリール基およびC〜C30のアリールオキシ基からなる群より選択される置換基によって置換されることを意味する。
【0015】
本発明において、特別な言及がない限り、「アルキル基」、「アルケニル基」、「アルキニル基」、「アルキレン基」、「アルケニレン基」、「アルキニレン基」、「シクロアルキレン基」、「シクロアルケニレン基」、「シクロアルキニレン基」、「アルコキシ基」および「アルコキシレン基」とは、それぞれC〜C20のアルキル基、C〜C20のアルケニル基、C〜C20のアルキニル基、C〜C20のアルキレン基、C〜C20のアルケニレン基、C〜C20のアルキニレン基、C〜C20のシクロアルキレン基、C〜C20のシクロアルケニレン基、C〜C20のシクロアルキニレン基、C〜C20のアルコキシ基およびC〜C20のアルコキシレン基(オキシアルキレン基)を意味し、また、「アリール基」、「アリーレン基」、「アリールオキシ基」および「オキシアリーレン基」とは、それぞれC〜C30のアリール基、C〜C30のアリーレン基、C〜C30のアリールオキシ基およびC〜C30のオキシアリーレン基を意味する。
【0016】
本発明において、特別な言及がない限り、「ヘテロアリーレン基」および「オキシヘテロアリーレン基」とは、それぞれアリーレン基の環内に存在する少なくとも1つのCHがN、O、SおよびPからなる群より選択されるヘテロ原子で置換されたヘテロアリーレン基およびオキシヘテロアリーレン基を意味し、また、「ヘテロシクロアルキレン基」、「ヘテロシクロアルケニレン基」および「ヘテロシクロアルキニレン基」とは、それぞれシクロアルキレン基、シクロアルケニレン基およびシクロアルキニレン基の環内に存在する少なくとも1つのCH、CHまたはCがN、O、SおよびPからなる群より選択されるヘテロ原子で置換されたヘテロシクロアルキレン基、ヘテロシクロアルケニレン基およびヘテロシクロアルキニレン基を意味する。
【0017】
本発明の一実施形態の熱硬化性組成物は、有機溶媒と、熱硬化性液晶性オリゴマーを含む。そして、当該熱硬化性液晶性オリゴマーは、主鎖にねじれ(kink)構造を有する芳香族または脂肪族の環式構造単位を少なくとも1つ含み、主鎖の両末端の少なくとも一方に架橋性反応基を有する。また、前記熱硬化性組成物は、熱硬化性液晶性オリゴマーおよび有機溶媒に加えて、両末端に架橋性反応基を有する架橋剤およびエポキシ化合物の少なくとも一方を含む。
【0018】
熱硬化性液晶性オリゴマーは、主鎖にねじれ構造を有する芳香族または脂肪族の環式構造単位を含む。また、前記熱硬化性液晶性オリゴマーは、主鎖内にメソゲン構造単位を含む。さらに、前記熱硬化性液晶性オリゴマーは、主鎖の両末端に架橋性反応基を有する。
【0019】
熱硬化性液晶性オリゴマーは、下記化学式(1)で表される。
【0020】
【化1】

【0021】
化学式(1)中、Rは、ねじれ構造を有する芳香族または脂肪族の環式構造単位であり、Rは、メソゲン構造単位であり、ZおよびZは、末端に多重結合を有する架橋性反応基である。また、前記化学式(1)中、nおよびmは、それぞれ独立して1〜50の整数である。
【0022】
前記ねじれ構造を有する芳香族または脂肪族環式構造単位(R)は、下記化学式(2)で表される。
【0023】
【化2】

【0024】
化学式(2)中、XおよびYは、それぞれ独立して、O、NR”またはCOを表し、この際、前記R”は、水素原子、置換もしくは非置換のC〜C20のアルキル基または置換もしくは非置換のC〜C30のアリール基を表す。
【0025】
また、Arは、下記化学式(3)の中から選択される2価の芳香族環式基または脂肪族環式基の少なくとも1つを含み、この際、化学式(3)の中から選択される前記芳香族環式基または脂肪族環式基における環を構成する少なくとも1つの炭素原子は、N、O、SおよびPからなる群より選択されるヘテロ原子で置換されていてもよく、環上の水素原子が置換されていてもよい。
【0026】
【化3】

【0027】
化学式(3)中、Aは、単結合であるか、あるいは、O、S、CO、SO、SOまたは2価の脂肪族有機基もしくは芳香族有機基である。ここで、Arが下記化学式:
【0028】
【化4】

【0029】
の中から選択される少なくとも1つの基を含む場合、つまり、Arがその構造中にAを含む場合、Aを構成する2価の脂肪族有機基または芳香族有機基は、置換もしくは非置換のC〜C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC〜C20のアルコキシレン基、置換もしくは非置換のC〜C20のオキシアルコキシレン基、置換もしくは非置換のC〜C30のアリーレン基、置換もしくは非置換のC〜C30のオキシアリーレン基、置換もしくは非置換のC〜C30のヘテロアリーレン基、置換もしくは非置換のC〜C30のオキシヘテロアリーレン基、下記化学式(3a)で表される連結基および下記化学式(3b)で表される連結基からなる群から選択されうる。
【0030】
【化5】

【0031】
【化6】

【0032】
化学式(3b)中、Dは、O、S、CO、SO、SOまたは直鎖状もしくは分枝状のC〜C20のアルキレン基である。
【0033】
なお、Aが上述した化学式(3a)で表される連結基または化学式(3b)で表される連結基であるとき、Aを構成する化学式(3a)または化学式(3b)中の芳香族環の少なくとも1つにおいて、環内に存在する少なくとも1つのCHはN、O、SおよびPからなる群から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよい。
【0034】
上述した、ねじれ構造を有する芳香族または脂肪族の環式構造単位(すなわち、R)の一例としては、下記化学式(4)で表される構造単位が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0035】
【化7】

【0036】
化学式(4)中、Arは、下記化学式(5)の中から選択される。
【0037】
【化8】

【0038】
ここで、上述したRの定義であるねじれ構造を有する芳香族または脂肪族の環式構造単位は、2つの連結基が互いに環のオルト(ortho)またはメタ(meta)位置にある芳香族環式基または脂肪族環式基であることができる。かような基としては、例えば、下記化学式で表される基が挙げられるが、これに限定されない。
【0039】
【化9】

【0040】
ねじれ構造を有する芳香族または脂肪族環式構造単位は、熱硬化性液晶性オリゴマーの主鎖に反復的に導入されうる。ねじれ構造の導入により、熱硬化性液晶性オリゴマーの主鎖の線型性は低下し、これによって主鎖間の相互作用および結晶性が低下して、溶媒に対する溶解度が向上しうる。
【0041】
一方、化学式(1)において、メソゲン構造単位(R)は、下記化学式(6)で表される。
【0042】
【化10】

【0043】
化学式(6)中、XおよびYは、それぞれ独立して、O、NR”またはCOを表し、この際、前記R”は、水素原子、置換もしくは非置換のC〜C20のアルキル基または置換もしくは非置換のC〜C30のアリール基を表す。
【0044】
また、化学式(6)において、Arは、下記化学式(7)の中から選択される2価の芳香族環式基または脂肪族環式基の少なくとも1つを含む。この際、化学式(7)の中から選択される芳香族環式基または脂肪族環式基における環を構成する少なくとも1つの炭素原子は、N、O、SおよびPからなる群から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよく、環上の水素原子が置換されていてもよい。
【0045】
【化11】

【0046】
化学式(7)中、Aは、N、O、S、CO、SO、SO、または2価の脂肪族有機基もしくは芳香族有機基である。ここで、Arが下記化学式:
【0047】
【化12】

【0048】
で表される基を含む場合、つまり、Arがその構造中にAを含む場合、Aを構成する2価の脂肪族有機基または芳香族有機基は、置換もしくは非置換のC〜C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC〜C20のアルケニレン基、置換もしくは非置換のC〜C20のアルコキシレン基、置換もしくは非置換のC〜C20のオキシアルコキシレン基、置換もしくは非置換のC〜C30のアリーレン基、置換もしくは非置換のC〜C30のオキシアリーレン基、置換もしくは非置換のC〜C30のヘテロアリーレン基、置換もしくは非置換のC〜C30のオキシヘテロアリーレン基、下記化学式(8a)で表される連結基および下記化学式(8b)で表される連結基からなる群から選択されうる。
【0049】
【化13】

【0050】
【化14】

【0051】
化学式(8a)および化学式(8b)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、C〜Cのアルキル基またはC〜Cのハロアルキル基を表す。
【0052】
メソゲン構造単位の一例としては、下記化学式(9)で表される構造単位が例示されうるが、これに限定されるものではない。
【0053】
【化15】

【0054】
化学式(9)中、Aは、下記化学式(10)の中から選択される。
【0055】
【化16】

【0056】
化学式(10)において、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、C〜Cのアルキル基またはハロゲン原子である。
【0057】
本発明の熱硬化性組成物において、熱硬化性液晶性オリゴマーは、ねじれ構造を有する芳香族または脂肪族の環式構造単位を、全構造単位に対して5モル%を超えて60モル%以下で含むことができる。すなわち、化学式(1)において、n/(n+m+2)は、好ましくは0.05を超えて0.6以下である。ねじれ構造を有する芳香族または脂肪族の環式構造単位の含有量が5モル%以下であると、オリゴマーの溶媒に対する溶解度が極めて低くなる虞がある。一方、上記含有量が60モル%を超えると、主鎖内のメソゲン構造単位の含有量が低くなり、液晶特性を失なって機械的特性や熱的特性が低下する虞がある。
【0058】
上述した、ねじれ構造を有する芳香族または脂肪族の環式構造単位は、熱硬化性液晶性オリゴマーの製造の際に、上述した構造単位を有する単量体を用いることで、主鎖に導入されうる。また、ねじれ構造を有する芳香族または脂肪族の環式構造単位の含有量は、当該単量体の添加量を調節することにより、制御されうる。また、ねじれ構造を有する芳香族または脂肪族の環式構造単位の種類、含有量などを変化させると、熱硬化性液晶性オリゴマーの溶解度や液晶特性を調節することができる。
【0059】
化学式(1)で表される熱硬化性液晶性オリゴマーにおいて、構造単位RおよびRは、互いにランダム状に、ブロック状に、または交互に配列されうる。例えば、Z・・・RまたはZ・・・RまたはZ・・・RまたはZ・・・Rの形態でありうる。
【0060】
熱硬化性液晶性オリゴマーは、主鎖の両末端に架橋性反応基が導入された構造を有する。この際、両末端に導入された架橋性反応基は、互いに同一であってもよいし、異なってもよい。このような架橋性反応基は、典型的には熱硬化性のものであり、プリント配線板などの製造の際の高温硬化処理によって互いに架橋されて堅固なネットワーク状の安定な構造を形成することができる。このため、プリント配線板の機械的物性を向上させることができる。
【0061】
架橋性反応基の例としては、マレイミド基、ナジミド基、フタルイミド基、アセチレン基、シトラコンイミド基、プロパルギルエーテル基、ベンゾシクロブテン基、シアネート基およびこれらの置換体もしくは誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、本発明において「置換体」とは、架橋性反応基の末端の一部がアルキル基(例えば、炭素数1〜5)、ハロゲン原子、アリール基(例えば、炭素数6〜30)等の置換基で置換された構造を意味し、例えば、マレイミド基の場合、二種結合を構成する炭素原子に結合した水素原子のうちの1つ以上がメチル基のようなアルキル基などにより置換されたものが挙げられる。また、本発明において「誘導体」とは、上記の架橋性反応基に、芳香族環、ヘテロ芳香族環等が縮合した構造を意味し、例えば、マレイミド基の場合、マレイミド基にベンゼン環またはナフタレン環が縮合したものが挙げられる。
【0062】
架橋性反応基(化学式(1)のZおよびZ)は、例えば、下記化学式(11)の中から選択されうる。
【0063】
【化17】

【0064】
化学式(11)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、C〜Cのアルキル基またはハロゲン原子である。
【0065】
熱硬化性液晶性オリゴマーは、例えば、下記化学式(12a)または化学式(12b)の構造を有することができる。
【0066】
【化18】

【0067】
化学式(12a)中、ZおよびZは、それぞれ独立して、マレイミド基、ナジミド基、フタルイミド基、アセチレン基、シトラコンイミド基、プロパルギルエーテル基、ベンゾシクロブテン基、シアネート基またはこれらの置換体もしくは誘導体を表し;m、m、nおよびnは、それぞれ独立して、0以上の整数(好ましくは1〜50の整数)を表し、m+m=1〜50、n+n=1〜50の条件を満たす。好ましくは、n+n/(n+n+m+m+2)は、0.05を超えて0.6以下の範囲である。
【0068】
【化19】

【0069】
前記化学式(12b)中、ZおよびZは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、マレイミド基、ナジミド基、シトラコンイミド基、フタルイミド基、アセチレン基、プロパルギルエーテル基、ベンゾシクロブテン基、シアネート基およびこれらの置換体もしくは誘導体を表し;n、n、およびmは、それぞれ独立して、正の整数を表し、好ましくは1〜50の整数を表し、n+n=1〜50、m=1〜50の条件を満たす。好ましくは、n+n/(n+n+m+2)は、0.05を超えて0.6以下の範囲である。
【0070】
前記熱硬化性液晶性オリゴマーの例としては、下記化学式(13a)〜(13k)の構造を有することができるが、これらに限定されるものではない。
【0071】
【化20】

【0072】
【化21】

【0073】
【化22】

【0074】
【化23】

【0075】
【化24】

【0076】
【化25】

【0077】
【化26】

【0078】
【化27】

【0079】
【化28】

【0080】
【化29】

【0081】
【化30】

【0082】
前記化学式(13a)〜(13k)中、m、m、nおよびnは、それぞれ独立して、正の整数を表し、好ましくは1〜50の整数を表し、n+n=1〜50、m=1〜50の条件を満たす。好ましくは、n+n/(n+n+m+2)は、0.05を超えて0.6以下の範囲である。
【0083】
熱硬化性液晶性オリゴマーの数平均分子量は、好ましくは500〜9000であり、より好ましくは1000〜9000である。熱硬化性液晶性オリゴマーの分子量が500未満であると、架橋密度が高くなることにより物性が脆弱になる虞がある。一方、分子量が9000を超えると、溶液の粘度が高くなって加工性が低下する虞がある。
【0084】
熱硬化性液晶性オリゴマーの製造方法は、特に制限されないが、ねじれ構造を有する芳香族または脂肪族の環式構造単位およびメソゲン構造単位を有する液晶性オリゴマーと、末端に架橋性反応基を導入できる化合物とを反応させる製造方法が例示される。ねじれ構造を有する芳香族または脂肪族の環式構造単位およびメソゲン構造単位を有する液晶性オリゴマーは、ねじれ構造を有する芳香族または脂肪族の環式構造単位を含む単量体とメソゲン構造単位を含む単量体との重合反応を通じて製造されうる。
【0085】
ねじれ構造を有する芳香族または脂肪族の環式構造単位を含む単量体;メソゲン構造単位を含む単量体は、特に制限されないが、例えば、1つ以上の芳香族、ヘテロ芳香族または脂肪族のジカルボン酸;芳香族、ヘテロ芳香族または脂肪族のジオール;芳香族、ヘテロ芳香族または脂肪族のジアミン;アミノフェノール;ヒドロキシ安息香酸;およびアミノ安息香酸からなる群から選択されうる。なかでも、芳香族、ヘテロ芳香族または脂肪族ジオール;アミノフェノール;およびアミノ安息香酸のうちの少なくとも1つを使用することが好ましい。
【0086】
熱硬化性液晶性オリゴマーの製造方法の一例としては、溶液重合または塊状重合による製造方法が挙げられる。溶融重合または塊状重合は、適した撹拌手段を備えた一つの反応タンク内で行われうる。
【0087】
溶液重合方法について例を挙げて説明すると、まず、イソフタロイルクロライド、アミノフェノール、2,6−ジヒドロキシナフタレンおよびトリエチルアミンを反応器に入れた後、常温で撹拌しながら反応させる。一定時間の経過後、熱硬化性架橋性反応基を付加できる化合物(例えば、マレイミド−ベンゾイルクロライドなどのようにマレイミド、ナジミドまたはアセチレン基などを付加できる化合物)をさらに添加して反応させた後、これを分離精製することで、熱硬化性液晶性オリゴマーを得ることができる。
【0088】
一方、塊状重合により熱硬化性液晶性オリゴマーを製造する場合には、イソフタル酸、アミノフェノール、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸および無水酢酸を反応器に添加して撹拌しながら温度を徐々に150℃まで上げた後、還流させながら一定時間反応させる。次いで副生成物である酢酸および未反応の無水酢酸を除去した後、4−ヒドロキシ安息香酸をさらに添加して320℃まで昇温して反応させる。こうして主鎖の両末端の少なくとも一方(好ましくは両末端)にアルコール基を有する液晶性オリゴマーを合成する。この主鎖の両末端の少なくとも一方(好ましくは両末端)にアルコール基を有する液晶性オリゴマーを得た後、芳香族オリゴマーを溶媒(例えば、DMF)に溶解させ、架橋性反応基を付加できる化合物を添加して反応させると、主鎖の両末端の少なくとも一方(好ましくは両末端)に架橋性反応基が付加した熱硬化性液晶性オリゴマーを得ることができる。
【0089】
塊状重合により熱硬化性液晶性オリゴマーを製造する他の方法では、イソフタル酸、アミノフェノール、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸および無水酢酸を反応器に添加して撹拌しながら温度を徐々に150℃まで上げた後、還流させながら一定時間反応させる。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、副生成物である酢酸および未反応の無水酢酸を除去してオリゴマーを合成する。次いで、ナジミド安息香酸をさらに添加して250℃まで昇温することによって熱硬化性液晶性オリゴマーを得ることができる。
【0090】
本発明の一実施形態は、前記熱硬化性液晶性オリゴマーを含む熱硬化性組成物に関する。
【0091】
熱硬化性液晶性オリゴマーは、ねじれ構造を有する構造単位の導入および低い分子量により有機溶媒に対する溶解度に優れているため、加工性が高い。
【0092】
例えば、プリプレグは、ガラス繊維織布やカーボン繊維織布などの補強材に高分子樹脂を含浸、乾燥させた複合素材である。高分子を溶融させてプリプレグを製造する場合、加工温度および溶融粘度が高く、高分子を補強材に含浸させることが一般に困難である。また、高分子を溶媒に溶解させて製造された含浸溶液でプリプレグを製造することもできる。しかしながら、高分子量の高分子を使用すると、濃度が上がるにつれて溶液の粘度も急激に上昇するため、固形分含有量の高い含浸溶液を製造することが難しい。逆に、固形分含有量の低い含浸溶液の場合には、含浸後の乾燥過程で溶媒が除去され、その後に残っている高分子樹脂の量が少ないため、プリプレグ内の高分子樹脂含有量を増加させることが難しい。よって、1回の含浸工程を通じては乾燥後に適正含浸量の確保が難しく、数回の含浸工程を繰り返して行わければならない。このため、加工生産性が低下するという問題点を有している。これに対して、本発明の一実施形態による熱硬化性液晶性オリゴマーは、有機溶媒に対する溶解度に優れて高い固形分含有量を有しながら低粘度の含浸溶液を製造することができる。このため、プリプレグの製造の際に一度の含浸工程を通じて容易に樹脂含浸率を高めることができ、高い生産性を確保することができる。
【0093】
前記熱硬化性組成物の一実施形態では、固形分含有量が50質量%である際に、1000〜15000cpsの粘度を有することができる。この際、固形分中の熱硬化性液晶性オリゴマーの含有量は、約40〜90質量%である。また、熱硬化性組成物は、熱硬化性液晶性オリゴマーの含有量が40質量%である際に、1000〜10000cpsの粘度を有することができる。
【0094】
本発明の一実施形態による熱硬化性組成物は、有機溶媒を含む。有機溶媒は、特に制限されないが、非プロトン性極性溶媒であることが好ましい。例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン(NMP)、N−メチルカプロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチルラクトン、ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチルホスホリックアミドおよびエチルセロソルブアセテートからなる群から選択されるものを使用することができ、これらのうち2種以上を含む混合溶媒を使用することもできる。
【0095】
熱硬化性液晶性オリゴマーを有機溶剤に溶解して薄膜化する場合、高温硬化によって架橋構造が形成されて耐熱性および機械的物性を向上させることができる。前記熱硬化性液晶性オリゴマーと分子量の低い架橋剤とを混合して使用する場合、熱硬化性液晶性オリゴマーの末端の架橋性反応基と架橋剤との間に共重合による架橋反応が行われて高密度の架橋構造を形成することで、熱膨張係数およびガラス転移温度などの耐熱性の向上を実現させることができる。このような熱硬化性組成物は、有機溶媒に対する固形分含有量が高くて優れた含浸特性を有するワニスとして使用されることができる。また、これを用いて高耐熱性、機械的物性を有するプリプレグ、銅箔積層板などを得ることができる。
【0096】
さらに、本実施形態の熱硬化性組成物は、両末端に架橋性反応基を有する架橋剤およびエポキシ化合物の少なくとも一方を含む。
【0097】
架橋剤は、耐熱性を有するものであって、熱分解温度が200℃以上であるものを使用することができる。また、架橋剤は、架橋密度の向上のために分子量の低いものを使用することができる。例えば、前記架橋剤の分子量は、200〜900である。
【0098】
架橋剤は、両末端に架橋性反応基を有することができ、一例として下記化学式(14)で表されることができる。
【0099】
【化31】

【0100】
化学式(14)中、ZおよびZは、それぞれ独立して、架橋可能な1価の有機基である。また、化学式(14)中、Aは、下記化学式(15)で表される連結基である。
【0101】
【化32】

【0102】
化学式(15)中、Wは、O、S、CO、SO、SO、置換もしくは非置換のC〜C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC〜C20のアルコキシレン基、置換もしくは非置換のC〜C20のオキシアルコキシレン基、置換もしくは非置換のC〜C30のアリーレン基、置換もしくは非置換のC〜C30のオキシアリーレン基、置換もしくは非置換のC〜C30のヘテロアリーレン基、置換もしくは非置換のC〜C30のオキシヘテロアリーレン基および下記化学式(16a)で表される連結基からなる群から選択される。
【0103】
【化33】

【0104】
化学式(16a)中、BおよびBは、それぞれ独立して、O、S、CO、SO、SO、CONHまたはCOOを表し、Arは、芳香族基を含む2価の基を表す。
【0105】
ここで、化学式(16a)中、Arは、下記化学式(16b)の中から選択される任意の連結基であることができる。
【0106】
【化34】

【0107】
化学式(14)中、ZおよびZは、それぞれ独立して、下記化学式(17)の中から選択される末端基である。
【0108】
【化35】

【0109】
化学式(17)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、C〜Cのアルキル基またはハロゲン原子を表す。
【0110】
架橋剤の非制限的な例としては、例えば、ビスマレイミド、ビス(メチルマレイミド)、ビスナジミド、ビス(メチルナジミド)、ビスアセチレン、ビス(シアネートエステル)、ビス(シクロブタン)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0111】
熱硬化性組成物に含まれる熱硬化性液晶性オリゴマーおよび架橋剤の混合比は特に制限されないが、熱硬化性液晶性オリゴマーと架橋剤との質量比で、好ましくは1:9〜9:1である。
【0112】
熱硬化性組成物は、上述した架橋剤に代えて、またはこれに加えて、エポキシ化合物をさらに含んでもよい。かようなエポキシ化合物の例としては、樹脂形態のもの(すなわち、エポキシ樹脂)が挙げられ、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール変性ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニル型エポキシ樹脂などのフェノール系グリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ポリプロピレングリコールグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂などのアルコール系グリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン骨格を有するジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;ナフタレン骨格を有するナフタレン型エポキシ樹脂;ジヒドロキシベンゾピラン型エポキシ樹脂;ジヒドロキシジナフタレン型エポキシ樹脂;ヘキサヒドロ無水フタル酸やダイマー酸などを原料としたグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ジアミノフェニルメタンなどのポリアミンを原料としたグリシジルアミン型エポキシ樹脂;指環式エポキシ樹脂;ブロム化エポキシ樹脂およびその混合物が挙げられる。これらは単独で、または2種以上が組み合わされて使用されうる。なかでも、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂を使用することが好ましく、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が使用することがより好ましく、ビフェニル型エポキシ樹脂を使用することが特に好ましい。
【0113】
本発明の一実施形態による熱硬化性組成物は、有機溶媒100質量部に対して、熱硬化性液晶性オリゴマーを5〜200質量部含むことが好ましい。また、架橋剤またはエポキシ化合物を5〜80質量部含むことが好ましい。熱硬化性液晶性オリゴマーの含有量は、全組成物100質量部に対して好ましくは10質量部以上70質量部未満であり、より好ましくは20〜60質量部であり、さらに好ましくは30〜50質量部である。また、熱硬化性組成物は、熱硬化性液晶性オリゴマーの優れた溶解性により、固形分含有量が全組成物100質量部に対して好ましくは30質量部以上であり、より好ましくは50〜70質量部であり、このうち熱硬化性液晶性オリゴマーの含有量が全固形分含有量の40質量%以上であることができる。
【0114】
熱硬化性組成物は、主鎖の両末端の少なくとも一方にヒドロキシ基が導入された液晶ポリマーまたは液晶オリゴマーをさらに含むことができる。この液晶ポリマーまたは液晶オリゴマーの主鎖は、エステル(例えば、芳香族ポリエステル)、エステル−アミド(例えば、芳香族ポリエステルアミド)、エステル−イミド、エステル−エーテル、エステル−カーボネート、およびアミド(例えば、芳香族ポリアミド)からなる群から選択され、主鎖の末端の両方またはいずれか一方にヒドロキシ基を含む。
【0115】
ヒドロキシ基が導入された液晶ポリマーまたは液晶オリゴマーは、1000〜50000の分子量を有することができる。例えば、液晶ポリマーは、10000〜50000の分子量を、液晶オリゴマーは、1000〜9000の分子量を有することができる。ヒドロキシ基が導入された液晶ポリマーまたは液晶オリゴマーと、熱硬化性液晶性オリゴマーとの混合比は、質量比で90:10〜10:90であることができる。
【0116】
熱硬化性組成物は、他の液晶ポリマーをさらに含むことができる。当該液晶ポリマーの数平均分子量は、約10000〜約500000でありうる。そして、当該液晶ポリマーは、主鎖の末端にヒドロキシ基が導入されていない液晶ポリマーでありうる。このような液晶ポリマーの例としては、主鎖にエステル(例えば、芳香族ポリエステル)、エステル−アミド(例えば、芳香族ポリエステルアミド)、エステル−イミド、エステル−エーテル、エステル−カーボネート、およびアミド(例えば、芳香族ポリアミド)からなる群から選択された少なくとも1種のメソゲン基を含む液晶ポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。熱硬化性液晶性オリゴマーと主鎖の末端にヒドロキシ基が導入されていない液晶ポリマーとの混合比は、質量比で99.5:0.5〜35:65であることができる。
【0117】
主鎖の末端にヒドロキシ基が導入されていない液晶ポリマーとしては、例えば、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、芳香族アミノカルボン酸などから選択された単量体単位、特に、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオールおよび芳香族ヒドロキシカルボン酸から選択された単量体単位を構成単位とする異方性溶融状の液晶ポリエステルを使用することが好ましい。液晶ポリエステル樹脂には、分子鎖中にアミド基を含有する液晶ポリエステルアミドも含まれることができる。
【0118】
芳香族ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフタレンカルボン酸、2−ヒドロキシ−5−ナフタレンカルボン酸、3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンカルボン酸、4’−ヒドロキシフェニル−4−安息香酸 、3’−ヒドロキシフェニル−4−安息香酸、4’−ヒドロキシフェニル−3−安息香酸、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体およびこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0119】
芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシビフェニル、ビス(4−カルボキシフェニル)エーテル、ビス(4−カルボキシフェノキシ)ブタン、ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、ビス(3−カルボキシフェニル)エーテル、ビス(3−カルボキシフェニル)エタンなどの芳香族ジカルボン酸、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体およびこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0120】
芳香族ジオールの具体例としては、ヒドロキノン、レゾルシン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどの芳香族ジオール、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体およびこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0121】
芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミンおよび芳香族アミノカルボン酸の具体例としては、4−アミノフェノール、N−メチル−4−アミノフェノール、3−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−4’−ヒドロキシジフェニル、4−アミノ−4’−ヒドロキシジフェニルエーテル、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニルメタン、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族ヒドロキシアミン;1,4−フェニレンジアミン、N−メチル−1,4−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノフェニルスルフィド(チオジアニリン)、2,5−ジアミノトルエン、4,4’−エチレンジアニレン、4,4’−ジアミノジフェノキシエタン、4,4’−ジアミノビフェニルメタン(メチレンジアニレン)、4,4’−ジアミノビフェニルエーテル(オキシジアニレン)などの芳香族ジアミン、4−アミノ安息香酸、2−アミノ−6−ナフタレンカルボン酸、2−アミノ−7−ナフタレンカルボン酸などの芳香族アミノカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0122】
熱硬化性組成物は、他の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂およびこれらのオリゴマーおよび弾性重合体のような様々な重合体化合物を、樹脂組成物本来の特性を損傷しない限り、さらに含むことができる。これらは一般的に使用されるものから選択される限り、特に制限されることはない。これらの例としては、リン酸エステルまたはリン酸メラミンのようなリン化合物;メラミンまたはベンゾグアナミンのような窒素−含有化合物、オキサジン−環−含有化合物、シリコーン化合物、ポリイミド、ポリビニルアセタール、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、ヒドロキシまたはカルボキシ基を有するアクリル樹脂、アルキド樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリイソプレン、ブチルゴム、フルオロゴムおよび天然ゴムのような弾性重合体;スチレン−イソプレンゴム、アクリルゴム、エポキシ化されたブタジエン、マレイン化ブタジエン(maleated butadiene)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン−プロピレン共重合体、ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリビニルフェノール、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、ポリ−4−フルオロエチレン、フルオロエチレン−プロピレン共重合体、4−フルオロエチレン−6−フルオロエチレン共重合体およびビニリデンフルオロライドのようなビニル化合物重合体、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエステル、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミドおよびポリフェニレンサルファイト(sulfite)およびこれらの低分子量重合体のような熱可塑性樹脂;(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートおよびジ(メタ)アクリルオキシ−ビスフェノールのようなポリ(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルピロリドン、ジアクリルフタレート、ジビニルベンゼン、ジアリルベンゼン、ジアリルエーテルビスフェノールおよびトリアルケニルイソシアネート、ジシクロペンタジエンおよびこれらの予備重合体のようなもののポリアリル化合物および予備重合体、フェノール樹脂、不飽和ポリエステルのような重合可能な二重結合を含む単量体およびこれらの予備重合体およびポリイソシアネートのような硬化可能な単量体または予備重合体を含む。
【0123】
熱硬化性組成物は、必要に応じて、充填剤、軟化剤、酸化防止剤、潤滑剤、静電気防止剤、着色剤、熱安定剤、光安定剤、カップリング剤、難燃剤、可撓性付与剤およびUV吸収剤からなる群より選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含むことができる。充填剤の例としては、エポキシ樹脂粉末、メラミン樹脂粉末、尿素樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末およびスチレン樹脂粉末などの有機充填剤が挙げられる。
【0124】
無機充填剤は、一般的に使用される無機充填剤から選択される限り、特に制限されることはない。これらの具体例としては、天然シリカ、溶融シリカ、無定形シリカおよび中空シリカのようなシリカ、アルミニウムヒドロキシド、ベーマイト(boehmite)およびマグネシウムヒドロキシドのような金属水化物、モリブデンオキシドおよびジンクモリブデートのようなモリブデン化合物、ホウ酸亜鉛(zinc borate)、スズ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、マグネシウムスルフェート、シリコンカーバイド、ジンクオキシド、シリコンニトリド、シリコンジオキシド、アルミニウムチタネート、バリウムチタネート、バリウムストロンチウムチタネートおよびアルミニウムオキシド、アルミナ、粘土、カオリン、タルク、焼成された粘土、焼成されたカオリン、焼成されたタルク、マイカ、ガラス短繊維を含む。
【0125】
酸化防止剤は、リン含有酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤および黄含有酸化防止剤のような通常的な酸化防止剤から選択することができ、これらは、単独または2種以上の混合物で使用されることができる。
【0126】
可塑剤は、ポリエチレングリコール、ポリアミドオリゴマー、エチレンビスステアロアミド、フタル酸エステル、ポリスチレンオリゴマー、液状パラフィン、ポリエチレンワックス、シリコンオイルなどのような通常的な可塑剤から選択されることができ、これらは、単独または2種以上の混合物で使用することができる。
【0127】
難燃剤は、ブロム化ポリスチレン、ブロム化シンジオタクチックポリスチレン、ブロム化ポリフェニレンエーテルなどのおうなブロム化重合体およびブロム含有ジフェニルアルカン、ブロム含有ジフェニルエーテルなどのようなブロム化芳香族化合物を含み、通常的な難燃剤から選択することができる。補助難燃剤は、例えば、三酸化アンチモンのようなアンチモン化合物などの一般的な補助難燃剤から選択されうる。難燃剤および補助難燃剤は、単独または2種以上の混合物で使用することができる。
【0128】
前記熱硬化性組成物は、含浸およびコーティングをするためのワニスとして使用されることができる。
【0129】
本発明の他の形態は、上記所定の熱硬化性液晶性オリゴマーと、両末端に架橋性反応基を有する架橋剤およびエポキシ化合物の少なくとも一方のポリマーと、が架橋されてなる重合物を含む樹脂硬化物である。また、当該樹脂硬化物を含む基板や、当該基板を有する記憶媒体もまた、本発明により提供されうる。
【0130】
樹脂硬化物は、上述した熱硬化性組成物を塗布して乾燥することで製造することができ、シート状または基板状に成形されることができる。熱硬化性組成物は、主鎖の両末端に架橋性反応基を有する熱硬化性液晶性オリゴマーと架橋剤およびエポキシ樹脂の少なくとも一方とを含むため、熱硬化の際に高密度の架橋構造を形成することができ、製品の機械的物性および熱特性を画期的に改善することができる。
【0131】
本発明の熱硬化性組成物を用いてプリプレグを製造することができる。プリプレグは、熱硬化性組成物を補強材に含浸させて製造されることができ、具体的には、熱硬化性組成物を補強材に含浸させた後、硬化させてシート状に製造して使用することができる。前記補強材は、特に制限されないが、例えば、ガラス繊維織布(glass cloth)、アルミナガラス繊維織布、ガラス繊維不織布、セルロース不織布、カーボン繊維織布および高分子織物が挙げられる。このような補強材の非制限的な例としては、ガラス繊維、シリカガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、シリコンカーバイド繊維、石綿、岩綿、鉱物綿および石膏フィスタ、これらの織物ファブリックまたは非織物ファブリックまたはこれらの混合物のような無機繊維;芳香族ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、液体結晶ポリエステル、ポリエステル繊維、フッ素繊維、ポリベンズオキサゾール繊維のような有機繊維;ポリアミド繊維を有するガラス繊維、炭素繊維を有するガラス繊維、ポリイミド繊維を有するガラス繊維および液体結晶芳香族ポリエステルを有するガラス繊維のような結合された織物ファブリック;グラスペーパー、マイカペーパーおよびアルミナペーパーのような無機ペーパー;クラフトペーパー、コットンペーパー、ペーパー−グラス結合されたペーパーなど、これらの少なくとも2種からなる混合繊維状強化物を含むことができる。
【0132】
プリプレグは、熱硬化性組成物を補強材に塗布または含浸させ、乾燥して溶媒を除去することで製造することができる。前記組成物は、前記補強材に塗布または含浸した後、乾燥工程を通じてプリプレグを製造する。前記塗布方法、含浸方法および乾燥方法は、従来の方法で行われるが、特に制限されることはない。補強材に熱硬化性組成物を含浸させる方法としては、ディップコーティング、ロールコーティングなどがあり、この他の一般的な含浸方法もまた、制限されることなく使用することができる。
【0133】
プリプレグでの樹脂硬化物の含浸量は、50〜70質量%であることが好ましい。この樹脂硬化物の含浸量が50質量%未満であると、2つ以上のプリプレグを使用するとプリプレグ間の密着性が低下する虞があり、70%を超えると、得られたプリプレグの機械的強度が低下し、寸法安定性が悪くなる虞がある。樹脂含浸量(質量%)は、プリプレグの総量に対する補強材に浸透、付着した樹脂および補強材の表面に位置した樹脂の総量を意味する。補強材の表面に位置した樹脂は、補強材の表面に層状で形成されるものを含む。
【0134】
前記プリプレグは、低い熱膨張率を有する。例えば、50〜150℃で、20ppm/℃以下(好ましくは15ppm/℃)でありうる。
【0135】
本発明の熱硬化性組成物を用いて基板を製造することができる。前記基板は、特に制限されないが、例えば、多重層基板の各層、金属箔と結合された積層物形態、印刷ボードなどでありうる。また、前記プリプレグが金属箔などと結合される形態を含むことができる。
【0136】
前記基板は、様々な形態とすることが可能であり、例えば、フィルム形態でありうる。フィルムは、前記熱硬化性組成物を薄膜化することによって製造することができる。このようなフィルム形態の基板の製造方法の例としては、熱硬化性組成物をフィルム状になるようにキャスト成形するキャスト成形方法;およびガラスのような無機基板または織物状の基材を熱硬化性組成物のワニスに浸けた後、基板をフィルム状になるように成形させるディップ成形方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0137】
前記基板は、金属箔と結合された積層物形態でありうる。前記金属箔としては、銅箔、アルミニウム箔などが使用される。金属箔の厚さは、用途に応じて異なるが、5〜100μmの厚さの金属箔が好適に使用される。前記金属箔は、積層物表面に結合されることができる。積層物表面の金属箔は、パターンが形成されたものであることができる。例えば、金属箔を回路加工(例えば、エッチング工程)を行うことで、プリント配線板を製作することができる。また、印刷積層板の表面にさらに上記の金属箔被覆積層板を同一に積層して加工して多層プリント配線板を製作することができる。
【0138】
金属箔と結合される積層物は、前記熱硬化性組成物を金属箔(例えば、銅箔)上に塗布または鋳造した後、溶媒を除去してから熱処理を行う方法により製造されうる。溶媒の除去は、好ましくは溶媒を蒸発させることで行われる。溶媒を蒸発させる方法の例としては、減圧下で加熱する方法、換気する方法などが挙げられる。
【0139】
熱硬化性組成物を塗布する方法の例としては、ローラーコーティング法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、カーテンコーティング法、スロットコーティング法およびスクリーンコーティング法などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。熱硬化性組成物は、銅箔上に塗布または鋳造される前にフィルターなどでろ過して溶液中に含まれた微細な不純物を除去することが好ましい。
【0140】
また、プリント配線板は、回路が作られた内層基板、プリプレグおよび金属箔を設計仕様によって積層した後、プレス機に入れて加圧、加熱してプリプレグを溶融/硬化させて銅箔と内層基板を接着して製作することができる。
【0141】
また、プリント配線板では、プリプレグの一方の面または両面に導体パターンが形成されていてもよく、複数のプリプレグが積層されていてもよい。
【0142】
前記金属箔と結合された積層物は、プリント配線版の一構成要素として使用されうる。例えば、樹脂付銅箔(resin coated copper:RCC)、銅張積層板(copper clad laminate:CCL))などでありうる。
【0143】
前記プリント配線板は、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、HDD)、半導体ドライブ(Solid State Drive、SSD)およびメモリスティックなどの記憶媒体またはプリント配線板を使用する多様な装置に採用されうる。例えば、前記プリント配線板は、リードを通じてまたはリードなしでメモリチップを実装してメモリチップと電気的に連結されることができる。
【0144】
記憶媒体のスリム化、駆動速度向上の要求に従って、プリント配線板は、多層化、薄化、スルーホールの直径および間隔の微小化などによる高密度化が要求されている。例えば、SSDは、主にフラッシュメモリチップを使用して一般HDDに比べて速い駆動速度を達成することができる。このためには、プリント配線板が、一般HDDでより薄型化、高密度化しなければならないが、基板の厚さを減少させる場合、低誘電性および低熱膨張率を適正水準で確保するのが困難である。しかし、本発明の実施形態によるプリント配線板は、熱膨張率および誘電特性が低くて、SSDのような次世代貯蔵媒体にも有用に採用されることができる。
【0145】
前記SSDは、CMOS素子、MOS素子、CIS(conductor−insulator−semiconductor)素子、電気光学素子、単原子素子、単分子素子、単一ホール素子、単原子PN接合素子、単分子PN接合素子、単電子素子、1次元固体状態素子、2次元固体状態素子または3次元固体状態素子であることができる。
【実施例】
【0146】
以下、実施例により、本発明の実施形態についてより詳しく説明する。
[合成例1]ナジミドで末端キャッピングされた熱硬化性液晶性オリゴマーの合成
250mlフラスコに100mlのDMFを入れた後、4−アミノフェノール3.27g(0.03mol)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル4.66g(0.025mol)およびトリエチルアミン18mlを添加して溶解させた。その後、該溶液を氷水に浸して0〜5℃に冷却させた状態で、イソフタロイルクロライド10.15g(0.05mol)を添加した。次いで、常温で2時間反応させた後、p−ナジミド−ベンゾイルクロライド3.01g(0.01mol)を投入し、10時間反応させて、主鎖の両末端にナジミド基が導入された熱硬化性液晶性オリゴマーを得た。合成されたオリゴマーのH−NMRスペクトルを図1に示す。また、得られたオリゴマーについて、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量は、2500であり、当該オリゴマーをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に40質量%の濃度で溶解させた溶液の粘度は、1600cpsであった。
[合成例2]ナジミドで末端キャッピングされた熱硬化性液晶性オリゴマーの合成
凝縮器および撹拌器を装着した500mlフラスコに、イソフタル酸10.798g(0.065mol)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸23.974g(0.127mol)、4−ヒドロキシ−安息香酸17.60g(0.127mol)、4−アミノフェノール14.187g(0.130mol)および無水酢酸58.396g(9.5mol)を入れて、窒素雰囲気下で140℃まで徐々に温度を上昇させた。その後、この温度を維持しながら3時間反応させて、アセチル化反応を完結させた。次いで、N−(p−カルボキシフェニル)ナジミド36.79g(0.130mol)を添加した後、反応副生成物である酢酸、および未反応の無水酢酸を除去しながら、1〜2℃/分の速度で215℃まで昇温した。その後、この温度で4時間反応させて、主鎖の両末端にナジミド基が導入された熱硬化性液晶性オリゴマーを得た。そして、合成されたオリゴマーを、粉砕機を用いて粉砕して粉末化した。合成されたオリゴマーのH−NMRスペクトルを図2に示す。
[合成例3]メチルマレイミドで末端キャッピングされた熱硬化性液晶性オリゴマーの合成
250mlフラスコに100mlのDMFを入れた後、4−アミノフェノール3.3g(0.03mol)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル3.7g(0.02mol)およびトリエチルアミン18mlを添加して溶解させた。その後、該溶液を氷水に浸して0〜5℃に冷却させた状態で、イソフタロイルクロライド8.6g(0.0425mol)を添加した。次いで、常温で2時間反応させた後、メチルマレイミド−ベンゾイルクロライド3.53g(0.015mol)を投入し、10時間反応させた。反応が終了した後、水に沈殿させ、減圧ろ過して得た沈殿物を水およびエタノールでそれぞれ洗浄し、真空乾燥させて、メチルマレイミドが末端に導入された熱硬化性液晶性オリゴマーを得た。合成されたオリゴマーのH−NMRスペクトルを図3に示す。また、得られたオリゴマーの数平均分子量をGPCで分析したところ、2780であった。
[合成例4]ナジミドで末端キャッピングされた熱硬化性液晶性オリゴマーの合成
凝縮器および撹拌器を装着した500mlフラスコに、イソフタル酸16.613g(0.10mol)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸37.636g(0.20mol)、4−ヒドロキシ−安息香酸27.624g(0.20mol)、4−アミノフェノール21.826g(0.20mol)および無水酢酸83ml(0.88mol)を入れて、窒素雰囲気下で140℃まで徐々に温度を上昇させた。その後、この温度を維持しながら3時間反応させて、アセチル化反応を完結させた。次いで、テトラヒドロフタルイミド安息香酸54.254g(0.20mol)を添加した後、反応副生成物である酢酸、および未反応の無水酢酸を除去しながら、1〜2℃/分の速度で215℃まで昇温した。その後、この温度で4時間反応させて、主鎖の両末端にナジミド基が導入された熱硬化性液晶性オリゴマーを得た。そして、合成されたオリゴマーを、粉砕機を用いて粉砕して粉末化した。合成されたオリゴマーのH−NMRスペクトルを図4に示す。
[合成例5]ビスマレイミド化合物の合成
250mlフラスコに150mlのDMFを入れた後、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル]プロパン20.5gおよびトリエチルアミン11gを添加して溶解させた後、ここにDMF50mlにp−マレイミド−ベゾイルクロライド24gを溶解させた溶液を滴下した。次いで、常温で16時間反応させた後、水に沈殿させ、減圧ろ過して得た沈殿物を水およびエタノールでそれぞれ洗浄した。その後、60℃で48時間真空乾燥させて、下記化学式(18)で表されるビスマレイミド化合物を得た。
【0147】
【化36】

【0148】
[合成例6]ビスマレイミド化合物の合成
2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル]プロパンに代えて、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン14.6gを使用したことを除いては、合成例5と同様の方法により下記化学式(19)で表されるビスマレイミド化合物を得た。
【0149】
【化37】

【0150】
[合成例7]ビスマレイミド化合物の合成
250mlフラスコに150mlのDMFを入れた後、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル]プロパン20.5gを添加して完全に溶解させた。その後、0〜5℃に冷却させた状態で無水マレイン酸9.8g(0.1mol)を添加した。次いで、2時間撹拌した後、無水酢酸50mlおよび酢酸ナトリウム1gを添加して、60℃で4時間反応させた。反応が終了した後、反応液を過量の氷水に沈殿させ、減圧ろ過して得た沈殿物を水で洗浄した。その後、60℃で48時間真空乾燥させて、下記化学式(20)で表されるビスマレイミド化合物を得た。
【0151】
【化38】

【0152】
[合成例8]ビスマレイミド化合物の合成
2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル]プロパンに代えて1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン14.6gを使用したことを除いては、合成例7と同様の方法により下記化学式(21)で表されるビスマレイミド化合物を得た。
【0153】
【化39】

【0154】
[合成例9]ビスマレイミド化合物の合成
2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル]プロパンに代えて4,4’−ジアミノジフェニルメタン9.91gを使用したことを除いては、合成例7と同様の方法により下記化学式(22)で表されるビスマレイミド化合物を得た。
【0155】
【化40】

【0156】
[合成例10]ビスナジミド化合物の合成
無水マレイン酸9.8g(0.1mol)に代えて5−ノモネン−2,3−ジカルボン酸無水物16.42g(0.1mol)を使用したことを除いては、合成例7と同様の方法により下記化学式(23)で表されるビスナジミド化合物を得た。
【0157】
【化41】

【0158】
[合成例11]ビスナジミド化合物の合成
2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル]プロパンに代えて1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン14.6gを使用したことを除いては、合成例10と同様の方法により下記化学式(24)で表されるビスナジミド化合物を得た。
【0159】
【化42】

【0160】
[実施例1]
合成例1で合成した熱硬化性液晶性オリゴマー(ナジミド末端キャッピング)2g、および、合成例7で合成したビスマレイミド化合物2gを、NMP 6gに溶解させた。得られた溶液の粘度は、約1100cpsであった。
【0161】
一方、この溶液を、4×4[cm]のサイズのガラス繊維(厚さ=0.05mm)に含浸させ、この試片を電解銅箔上に載置して、高温炉で常温から290℃まで昇温して2時間硬化させた。こうして得られた試片を50質量%の硝酸水溶液で処理することにより銅箔を除去して、プリプレグを得た。この際、プリプレグの全量100質量%に対して、高分子の質量比は60質量%であった。
【0162】
得られたプリプレグについて、熱分析器(TMA:Thermomechanical Analyzer、TA Instruments、TMA2940)を用いて熱膨張係数(CTE)を測定した。得られた結果を下記の表1に示す。この実施例1で得られたプリプレグの熱膨張係数(CTE)は、50〜150℃で16.3ppm/℃であった。
[実施例2]
合成例2で合成した熱硬化性液晶性オリゴマー(ナジミド末端キャッピング)2g、および、合成例8で合成したビスマレイミド化合物2gを使用して、実施例1と同様の方法によりプリプレグを得た。この際、プリプレグの全量100質量%に対して、高分子の質量比は64質量%であった。また、TMAを用いて熱膨張係数(CTE)を測定した。得られた結果を下記の表1に示し、この際のTMA曲線を図5に示す。この実施例2で得られたプリプレグの熱膨張係数(CTE)は、50〜150℃で10.6ppm/℃であった。
[実施例3]
合成例2で合成した熱硬化性液晶性オリゴマー(ナジミド末端キャッピング)2g、および、合成例9で合成したビスマレイミド化合物2gを使用して、実施例1と同様の方法によりプリプレグを得た。この際、プリプレグの全量100質量%に対して、高分子の質量比は50質量%であった。また、TMAを用いて熱膨張係数(CTE)を測定した。得られた結果を下記の表1に示し、この際のTMA曲線を図6に示す。この実施例3で得られたプリプレグの熱膨張係数(CTE)は、50〜150℃で7.2ppm/℃であった。
[実施例4]
合成例3で合成した熱硬化性液晶性オリゴマー(ナジミド末端キャッピング)2g、および、合成例5で合成したビスマレイミド化合物2gを使用して、実施例1と同様の方法によりプリプレグを得た。この際、プリプレグの全量100質量%に対して、高分子の質量比は52質量%であった。また、TMAを用いて熱膨張係数(CTE)を測定した。得られた結果を下記の表1に示す。この実施例4で得られたプリプレグの熱膨張係数(CTE)は、50〜150℃で14.5ppm/℃であった。
[実施例5]
合成例3で合成した熱硬化性液晶性オリゴマー2g、および、合成例10で合成したビスマレイミド化合物2gを使用して、実施例1と同様の方法によりプリプレグを得た。この際、プリプレグの全量100質量%に対して、高分子の質量比は52質量%であった。また、TMAを用いて熱膨張係数(CTE)を測定した。得られた結果を下記の表1に示す。この実施例5で得られたプリプレグの熱膨張係数(CTE)は、50〜150℃で16.5ppm/℃であった。
[実施例6]
合成例3で合成した熱硬化性液晶性オリゴマー(ナジミド末端キャッピング)2g、および、と合成例11で合成したビスマレイミド化合物2gを使用して、実施例1と同様の方法によりプリプレグを得た。この際、プリプレグの全量100質量%に対して、高分子の質量比は53質量%であった。また、TMAを用いて熱膨張係数(CTE)を測定した。得られた結果を下記の表1に示す。この実施例6で得られたプリプレグの熱膨張係数(CTE)は、50〜150℃で14.7ppm/℃であった。
[実施例7]
合成例2で合成した熱硬化性液晶性オリゴマー(ナジミド末端キャッピング)2g、および、合成例6で合成したビスマレイミド化合物2gを使用して、実施例1と同様の方法によりプリプレグを得た。この際、プリプレグの全量100質量%に対して、高分子の質量比は60質量%であった。また、TMAを用いて熱膨張係数(CTE)を測定した。得られた結果を下記の表1に示す。この実施例7で得られたプリプレグの熱膨張係数(CTE)は、50〜150℃で14.6ppm/℃であった。
[実施例8]
合成例2で合成した熱硬化性液晶性オリゴマー(ナジミド末端キャッピング)2g、合成例8で合成したビスマレイミド化合物1.2g、および、合成例9で合成したビスマレイミド化合物0.8gを使用して、実施例1と同様の方法によりプリプレグを得た。この際、プリプレグの全量100質量%に対して、高分子の質量比は52質量%であった。また、TMAを用いて熱膨張係数(CTE)を測定した。得られた結果を下記の表1に示す。この実施例8で得られたプリプレグの熱膨張係数(CTE)は、50〜150℃で10.2ppm/℃であった。
[実施例9]
合成例2で合成した熱硬化性液晶性オリゴマー(ナジミド末端キャッピング)2.8g、および、合成例9で合成したビスマレイミド化合物1.2gを使用して、実施例1と同様の方法によりプリプレグを得た。この際、プリプレグの全量100質量%に対して、高分子の質量は59質量%であった。また、り、製造し、硬化されたプリプレグのTMA分析結果は下記表1に示した。また、TMAを用いて熱膨張係数(CTE)を測定した。得られた結果を下記の表1および図7に示す。この実施例9で得られたプリプレグの熱膨張係数(CTE)は、50〜150℃で9.3ppm/℃であった。
[実施例10]
合成例2で合成した熱硬化性液晶性オリゴマー(ナジミド末端キャッピング)2.8g、合成例7で合成したビスマレイミド化合物0.6g、および、合成例9で合成したビスマレイミド化合物0.6gを使用して、実施例1と同様の方法によりプリプレグを得た。この際、プリプレグの全量100質量%に対して、高分子の質量は58質量%であった。また、TMAを用いて熱膨張係数(CTE)を測定した。得られた結果を下記の表1に示す。この実施例10で得られたプリプレグの熱膨張係数(CTE)は、50〜150℃で13.6ppm/℃であった。
[実施例11]
合成例4で合成した熱硬化性液晶性オリゴマー(テトラヒドロフタルイミド末端キャッピング)2.8g、および、合成例8で合成したビスマレイミド化合物1.2gを使用して、実施例1と同様の方法によりプリプレグを得た。この際、プリプレグの全量100質量%に対して、高分子の質量は52質量%であった。また、TMAを用いて熱膨張係数(CTE)を測定した。得られた結果を下記の表1に示す。この実施例11で得られたプリプレグの熱膨張係数(CTE)は、50〜150℃で11.0ppm/℃であった。
【0163】
【表1】

【0164】
[物性評価]
樹脂含浸量(質量%)は、プリプレグの総量に対する補強材に浸透、付着した樹脂および補強材の表面に位置した樹脂の総量を意味する。補強材の表面に位置した樹脂は、補強材の表面に層状で形成されたものを含む。
【0165】
誘電率は、プリプレグ3枚を加圧プレスで290℃、1時間加圧積層して全厚さが300μm以上になるようにした後、Agilnet社のRF Impedence分析器(E4991A)を用いて1GHzで測定した。
【0166】
試片の熱膨張係数(CTE)は、TA社(Thermomechanical Analyzer、TA Instruments、TMA2940)の製品であるTMA2940を使用して窒素下で測定し、この際、温度は5℃/分で昇温させながら測定した。
【0167】
粘度はBrookfield viscometer LVDVII+で測定した。
[実施例12]
溶媒であるNMP 6gに、合成例1で合成した熱硬化性液晶性オリゴマー(LCT)(ナジミド末端キャッピング)2.4g、合成例8で合成したビスマレイミド化合物0.8gおよび下記化学式(25)のエポキシ樹脂0.8gを溶解させ、下記化学式(26)の触媒を0.012g(溶質量に対して0.01%)添加した後、均一液になるように十分撹拌した。この溶液を用いて、実施例1と同様の方法によりプリプレグを得た。
【0168】
【化43】

【0169】
【化44】

【0170】
得られたプリプレグに対して万能引張試験器(UTM)を用いて180°剥離テストを行った。その結果、接着力の測定値は0.75kN/mであった。熱分析器(TMA:Thermomechanical Analyzer、TA Instruments、TMA2940)を用いて50〜150℃で熱膨張係数(CTE)を測定した。その結果、含浸率60質量%の試片の場合、CTEは50〜150℃で16.1ppm/℃であることが示された。
【0171】
以上、本発明の好適な実施形態を実施例を用いて詳細に説明したが、これらの実施例は例示的なものに過ぎず、当業者であれば、各種の変更例または均等な他の実施例に想到し得ることは明らかである。したがって、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって定められるべきであり、上記の形態のみに限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶媒と、
熱硬化性液晶性オリゴマーと、
両末端に架橋性反応基を有する架橋剤およびエポキシ化合物の少なくとも一方と、
を含む熱硬化性組成物であって、
前記熱硬化性液晶性オリゴマーは、下記化学式(1)で表される、熱硬化性組成物:
【化1】

化学式(1)中、Rは、下記化学式(2)で表される構造単位を表し:
【化2】

化学式(2)中、XおよびYは、それぞれ独立して、O、NR”またはCOを表し、この際、前記R”は、水素原子、置換もしくは非置換のC〜C20のアルキル基または置換もしくは非置換のC〜C30のアリール基を表し、
Arは、下記化学式(3)の中から選択される2価の芳香族環式基または脂肪族環式基の少なくとも1つを含み、この際、化学式(3)の中から選択される前記芳香族環式基または脂肪族環式基における環を構成する少なくとも1つの炭素原子は、N、O、SおよびPからなる群から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよく、環上の水素原子が置換されていてもよい、
【化3】

化学式(3)中、Aは、単結合であるか、あるいは、O、S、CO、SO、SOまたは2価の脂肪族有機基もしくは芳香族有機基である、
は、下記化学式(6)で表される構造単位を表し:
【化4】

化学式(6)中、XおよびYは、それぞれ独立して、O、NR”またはCOを表し、この際、前記R”は、水素原子、置換もしくは非置換のC〜C20のアルキル基または置換もしくは非置換のC〜C30のアリール基を表し、
Arは、下記化学式(7)の中から選択される2価の芳香族環式基または脂肪族環式基の少なくとも1つを含み、この際、化学式(7)の中から選択される前記芳香族環式基または脂肪族環式基における環を構成する少なくとも1つの炭素原子は、N、O、SおよびPからなる群から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよく、環上の水素原子が置換されていてもよい、
【化5】

化学式(7)中、Aは、N、O、S、CO、SO、SO、または2価の脂肪族有機基もしくは芳香族有機基である、
およびZは、それぞれ独立して、末端に多重結合を有する架橋性反応基を表し、
nおよびmは、それぞれ独立して、1〜50の整数を表す。
【請求項2】
前記Rは、互いにオルト位またはメタ位に位置する2つの連結基を有する2価の芳香族または脂肪族の環式構造単位である、請求項1に記載の熱硬化性組成物。
【請求項3】
前記Arは、下記化学式の中から選択される少なくとも1つの基を含み、
【化6】

この際、選択された基におけるAは、O、S、CO、SO、SO、置換もしくは非置換のC〜C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC〜C20のアルコキシレン基、置換もしくは非置換のC〜C20のオキシアルコキシレン基、置換もしくは非置換のC〜C30のアリーレン基、置換もしくは非置換のC〜C30のオキシアリーレン基、置換もしくは非置換のC〜C30のヘテロアリーレン基、置換もしくは非置換のC〜C30のオキシヘテロアリーレン基、下記化学式(3a)で表される連結基および下記化学式(3b)で表される連結基からなる群から選択され、
が下記化学式(3a)で表される連結基または下記化学式(3b)で表される連結基であるとき、Aを構成する化学式(3a)または化学式(3b)中の芳香族環の少なくとも1つにおいて、環内に存在する少なくとも1つのCHがN、O、SおよびPからなる群から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよい、請求項1に記載の熱硬化性組成物:
【化7】

【化8】

化学式(3b)中、Dは、O、S、CO、SO、SOまたは直鎖状もしくは分枝状のC〜C20のアルキレン基である。
【請求項4】
前記Arは、下記化学式で表される基を含み、
【化9】

この際、前記基におけるAは、O、S、CO、SO、SO、置換もしくは非置換のC〜C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC〜C20のアルケニレン基、置換もしくは非置換のC〜C20のアルコキシレン基、置換もしくは非置換のC〜C20のオキシアルコキシレン基、置換もしくは非置換のC〜C30のアリーレン基、置換もしくは非置換のC〜C30のオキシアリーレン基、置換もしくは非置換のC〜C30のヘテロアリーレン基、置換もしくは非置換のC〜C30のオキシヘテロアリーレン基、下記化学式(8a)で表される連結基および下記化学式(8b)で表される連結基からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物:
【化10】

【化11】

化学式(8a)および化学式(8b)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基またはC〜Cのハロアルキル基を表す。
【請求項5】
およびZは、それぞれ独立して、マレイミド基、ナジミド基、フタルイミド基、アセチレン基、シトラコンイミド基、プロパルギルエーテル基、ベンゾシクロブテン基、シアネート基およびこれらの置換体または誘導体からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
【請求項6】
前記化学式(1)において、n/(n+m+2)は、0.05を超えて0.6以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
【請求項7】
前記熱硬化性液晶性オリゴマーの数平均分子量は、500〜9000である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
【請求項8】
組成物が前記架橋剤を含み、
前記架橋剤は、下記化学式(14)で表される分子量200〜900の化合物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物:
【化12】

化学式(14)中、ZおよびZは、それぞれ独立して、下記化学式(17)の中から選択され:
【化13】

化学式(17)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、C〜Cのアルキル基またはハロゲン原子を表す、
は、下記化学式(15)で表される構造単位である、
【化14】

化学式(15)中、Wは、O、S、CO、SO、SO、置換もしくは非置換のC〜C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC〜C20のアルコキシレン基、置換もしくは非置換のC〜C20のオキシアルコキシレン基、置換もしくは非置換のC〜C30のアリーレン基、置換もしくは非置換のC〜C30のオキシアリーレン基、置換もしくは非置換のC〜C30のヘテロアリーレン基、置換もしくは非置換のC〜C30のオキシヘテロアリーレン基および下記化学式(16a)で表される連結基からなる群より選択される、
【化15】

化学式(16a)中、BおよびBは、それぞれ独立して、O、S、CO、SO、SO、CONHまたはCOOを表し、Arは、芳香族基を含む2価の基を表す。
【請求項9】
Wが前記化学式(16a)で表される連結基であり、
前記化学式(16a)中のArは、下記化学式(16b)の中から選択される、請求項8に記載の熱硬化性組成物:
【化16】

【請求項10】
前記有機溶媒100質量部に対して、前記熱硬化性液晶性オリゴマーを5〜200質量部含み、前記架橋剤または前記エポキシ化合物を5〜80質量部含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
【請求項11】
前記熱硬化性液晶性オリゴマーと、前記架橋剤または前記エポキシ化合物との質量比は、1:9〜9:1である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
【請求項12】
前記有機溶媒は、非プロトン性極性溶媒である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
【請求項13】
主鎖の両末端の少なくとも一方にヒドロキシ基が導入された液晶ポリマーまたは液晶オリゴマーをさらに含み、前記液晶ポリマーまたは前記液晶オリゴマーの主鎖は、芳香族ポリエステル、芳香族ポリエステルアミドまたは芳香族ポリアミドを含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
【請求項14】
10000〜500000の数平均分子量を有する液晶ポリマーをさらに含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
【請求項15】
前記液晶ポリマーは、主鎖に芳香族ポリエステル、芳香族ポリエステルアミドまたは芳香族ポリアミドを含む、請求項14に記載の熱硬化性組成物。
【請求項16】
下記化学式(1)で表される熱硬化性液晶性オリゴマーと、
両末端に架橋性反応基を有する架橋剤およびエポキシ化合物の少なくとも一方と、
が架橋されてなる重合物を含む樹脂硬化物:
【化17】

化学式(1)中、Rは、下記化学式(2)で表される構造単位を表し:
【化18】

化学式(2)中、XおよびYは、それぞれ独立して、O、NR”またはCOを表し、この際、前記R”は、水素原子、置換もしくは非置換のC〜C20のアルキル基または置換もしくは非置換のC〜C30のアリール基を表し、
Arは、下記化学式(3)の中から選択される2価の芳香族環式基または脂肪族環式基の少なくとも1つを含み、この際、化学式(3)の中から選択される前記芳香族環式基または脂肪族環式基における環を構成する少なくとも1つの炭素原子は、N、O、SおよびPからなる群から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよく、環上の水素原子が置換されていてもよい、
【化19】

化学式(3)中、Aは、単結合であるか、または2価の脂肪族有機基または芳香族有機基である、
は、下記化学式(6)で表される構造単位を表し:
【化20】

化学式(6)中、XおよびYは、それぞれ独立して、O、NR”またはCOを表し、この際、前記R”は、水素原子、置換もしくは非置換のC〜C20のアルキル基または置換もしくは非置換のC〜C30のアリール基を表し、
Arは、下記化学式(7)の中から選択される2価の芳香族環式基または脂肪族環式基を少なくとも1つ含み、この際、化学式(7)の中から選択される前記芳香族環式基または脂肪族環式基における環を構成する少なくとも1つの炭素原子は、N、O、SおよびPからなる群から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよく、環上の水素原子が置換されていてもよい、
【化21】

化学式(7)中、Aは、N、O、S、CO、SO、SOまたは2価の脂肪族有機基もしくは芳香族有機基である、
およびZは、それぞれ独立して、末端に多重結合を有する架橋性反応基を表し、
nおよびmは、それぞれ独立して、1〜50の整数を表す。
【請求項17】
前記架橋剤は、下記化学式(14)で表される、請求項16に記載の樹脂硬化物:
【化22】

化学式(14)中、ZおよびZは、それぞれ独立して、架橋可能な1価の有機基であり、Aは、下記化学式(15)で表される連結基である、
【化23】

化学式(15)中、Wは、O、S、CO、SO、SO、置換もしくは非置換のC〜C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC〜C20のアルコキシレン基、置換もしくは非置換のC〜C20のオキシアルコキシレン基、置換もしくは非置換のC〜C30のアリーレン基、置換もしくは非置換のC〜C30のオキシアリーレン基、置換もしくは非置換のC〜C30のヘテロアリーレン基、置換もしくは非置換のC〜C30のオキシヘテロアリーレン基および下記化学式(16a)で表される連結基からなる群から選択される、
【化24】

化学式(16a)中、BおよびBは、それぞれ独立して、O、S、CO、SO、SO、CONHまたはCOOを表し、Arは、芳香族基を含む2価の基を表す。
【請求項18】
シート状である、請求項16または17に記載の樹脂硬化物。
【請求項19】
請求項16〜18のいずれか1項に記載の樹脂硬化物を含む基板。
【請求項20】
補強材をさらに含み、
前記樹脂硬化物が、前記補強材の内部に含浸されてなるか、または、前記補強材の表面に配置されてなる、請求項19に記載の基板。
【請求項21】
熱膨張係数が20ppm/℃以下である、請求項20に記載の基板。
【請求項22】
熱膨張係数が15ppm/℃以下である、請求項21に記載の基板。
【請求項23】
前記補強材は、ガラス繊維織布、アルミナガラス繊維織布、ガラス繊維不織布、セルロース不織布、カーボン繊維織布および高分子織物からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項20〜22のいずれか1項に記載の基板。
【請求項24】
金属箔をさらに含み、
前記金属箔は、前記樹脂硬化物の少なくとも1つの面と接合されてなる、請求項19〜23のいずれか1項に記載の基板。
【請求項25】
前記金属箔は、その一方または両方の面にパターンが形成されてなる、請求項24に記載の基板。
【請求項26】
1または2以上のメモリチップと、
前記メモリチップと電気的に接続された、請求項19〜25のいずれか1項に記載の基板と、
を含む、記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−121133(P2010−121133A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263321(P2009−263321)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【出願人】(591003770)三星電機株式会社 (982)
【出願人】(500323513)三星精密化学株式会社 (22)
【Fターム(参考)】