説明

熱防御・耐損耗複合機能構造体及びそれを備えた高速飛しょう体

【課題】 例えば、耐超高圧性を有する構造体に耐超高温性を持たせた複合機能構造体にあって、さらに、デブリに対する耐損耗性を持たせた熱防御・耐損耗複合機能構造体及び該構造体を装着してなる高速飛しょう体を提供する。
【解決手段】 熱防御機能と耐損耗機能とを併せ持つ熱防御・耐損耗複合機能構造体10であって、機械的強度を備えた構体20に装着され、該構体20への熱入力を抑制し、且つ、デブリによる機械的損耗から前記構体20を保護する熱防御・耐損耗複合機能材料層(CFRP材層11)と、該熱防御・耐損耗複合機能材料層の外側に露出して積層され、暴露される環境に対する化学的安定性を備えた材料からなる化学的安定材料層(シリコーン材層12)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えば、吸入した空気を酸化剤として用いるラムジェットエンジンの燃焼室、大気中を空力加熱を伴いながら飛しょうするロケットなどのフェアリングの外壁、及び宇宙機システムにおける地球大気圏に再突入して回収される自立帰還カプセルなどの機体の外壁に好適な熱防御・耐損耗複合機能構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
飛しょう体が飛行するためには、該飛しょう体に作用する重力、あるいは空気抵抗に見合うだけの推力を発生する必要がある。音速以上の高速で飛行する飛しょう体の主な推力発生源としては、ロケットエンジンと空気吸入式エンジンとがある。空気吸入式エンジンは、多くの酸化剤を飛しょう体に搭載する必要が無いので、ロケットエンジンと比較して飛しょう体システムを軽量化することができる。
【0003】
代表的な空気吸入式エンジンには、ラムジェットエンジンがある。ラムジェットエンジンは、液体燃焼、若しくは固体燃料と吸入した空気との混合ガスを燃焼させることで推力を発生する。
【0004】
このラムジェットエンジンの燃焼室は、例えば、2000K程度、及び150気圧程度の超高温、超高圧環境である。この過酷な雰囲気に耐荷できる単体構造部材は無く、構造部材を許容温度範囲内に維持させるために、構造部材の表面に断熱材を装着させる必要がある。このような用途に使用される耐超高温・耐超高圧構造体は、例えば、本願出願人の特許文献1に開示されている。
【0005】
ところで、ラムジェットエンジンの一つに、ダクテッドロケットエンジンがある。ダクテッドロケットエンジンは、1次燃焼室と、2次燃焼室と、空気取入口とを備えている。2次燃焼室には、ロケットを初期加速するための推進薬が装着されており、まず、2次燃焼室内の推進薬を燃焼させ、ロケットを加速する。次に、空気取入口を通じて導入した空気と、1次燃焼室内の固体推進薬を燃焼させることで発生させた燃焼ガスとを2次燃焼室内で混ぜ合わせ、これに着火させることによって強力な推力を得るようになっている。
【特許文献1】特開2003-48266号公報
【非特許文献1】W・G・レイネック(W. G. Reinecke),「超高速長尺ロッドのアブレーション及びエロージョンの航空物理学について(On The Aero-physics of Hyper-velocity Long Rods Ablation and Erosion)」,通信衛星システム国際会議(AIAA)93-2812,(米国フロリダ州オーランド)第28回通信衛星システム国際会議 熱物理学会議,1993年7月6−9日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、燃焼ガス中には金属紛などの微小デブリが含まれており、このようなデブリが、上述した断熱材に衝突した場合には、該断熱材は、デブリの機械的な運動エネルギにより抉られる。もし、断熱材がこのような燃焼室の過酷な環境に耐え切れず、熱分解して焼損した場合には、その部分から構造部材が溶解して飛しょう体自体が損傷する。
【0007】
さらに、このとき、2次燃焼室内部の断熱材は、その表面に装着された初期加速用の推進薬と化学反応を起こしてはならない、つまり、断熱材は、初期加速用の推進薬に化学的に安定でなければならない。
【0008】
本願発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、例えば、耐超高圧性を有する構造体に耐超高温性を持たせた複合機能構造体にあって、さらに、デブリに対する耐損耗性を持たせた熱防御・耐損耗複合機能構造体及び該構造体を装着してなる高速飛しょう体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明に係る熱防御・耐損耗複合機能構造体は、熱防御機能と耐損耗機能とを併せ持つ熱防御・耐損耗複合機能構造体であって、機械的強度を備えた構体に装着され、該構体への熱入力を抑制し、且つ、デブリによる機械的損耗から前記構体を保護する熱防御・耐損耗複合機能材料層と、該熱防御・耐損耗複合機能材料層の外側に露出して積層され、暴露される環境に対する化学的安定性を備えた材料からなる化学的安定材料層とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記発明によれば、耐超高圧性を有する構造体に耐超高温性を持たせた複合機能構造体に、さらに、デブリに対する耐損耗性を持たせたので、超高温及び超高圧環境下であって、さらに、デブリに対する損耗環境下であっても十分な耐性を有する構造体を実現することができる。
【0011】
また、上記熱防御・耐損耗複合機能材料層は、多数の金属製の短繊維又は金属製繊維の小片を混入してなることが可能であり、これによって、デブリ(特に、微小デブリ)による異常損耗に対しての耐性を向上させることができる。
【0012】
さらに、前記多数の金属製の短繊維又は金属製繊維の小片を3次元的にランダムに配置することも可能であり、これによって、デブリによる異常損耗に対しての耐性をさらに向上させることができる。
【0013】
上記熱防御・耐損耗複合機能材料層としては、例えば、CFRP材が好適である。
【0014】
上記化学的安定材料層は、固体推進薬に対する化学的安定性を備えていることが可能である。このような化学的安定材料層は、吸入した空気を酸化剤として用いるラムジェットエンジンの燃焼室への適用の場合に好適である。
【0015】
上記化学的安定材料層としては、例えば、シリコーン材が好適であり、該シリコーン材は、固体推進薬に対する化学的安定性も備えており、該シリコーン材としては、付加型シリコーン樹脂、縮合型シリコーン樹脂などを利用することが可能である。
【0016】
また、熱防御・耐損耗複合機能材料層と化学的安定材料層との間、及び、熱防御・耐損耗複合機能材料層と構体との間の少なくとも1つに、歪緩衝材層をさらに介装する構成としてもよい。
【0017】
該歪緩衝材層は、例えば、隣接層間の熱歪みを吸収するような材料から形成することが可能である。このような材料としては、例えば、カーボンシートであり、さらに、その少なくとも一方の面に、銀粉入りのペーストを塗付して、柔軟性を向上させることも可能である。
【0018】
さらに、本願発明にかかる熱防御・耐損耗複合機能構造体は、化学的安定材料層と熱防御・耐損耗複合機能材料層との剥離を防止する剥離防止手段を備えることが可能である。上記のように歪緩衝材層を介装する構成の場合には、該歪緩衝材層の表面に剥離防止手段を設けてもよいし、又はこの歪緩衝材層を貫通させるように設けてもよい。
【0019】
上記剥離防止手段としては、例えば、前記化学的安定材料層と前記熱防御・耐損耗複合機能材料層との間の接合面に設けられた凹凸部であることが可能である。該凹凸部としては、例えば、棘状のもので実現可能である。また、前記凹凸部は、その表面に接着剤が馴染み易い形状とすることも可能である。該接着剤は、隣接する層との接着に使用されるものである。
【0020】
また、上記剥離防止手段は、高温用シリコーン接着剤又はカーボン系接着剤であることが可能であり、上記の接着剤と共通であってもよい。
【0021】
さらに、上記化学的安定材料層に、厚み方向に貫通する微細孔を形成することも可能であり、これによって、加熱によって発生する熱防御・耐損耗複合機能材料層の熱分解ガスを外部へ放出し、熱分解ガスの圧力によって化学的安定材料層を押し出し、剥離させるのを防止することができる。
【0022】
上記の各発明にかかる熱防御・耐損耗複合機能構造体は、高速飛しょう体に装備させることが可能であり、例えば、ラムジェットエンジン又はダクテッドロケットエンジン推進の高速飛しょう体の燃焼室(例えば、2次燃焼室)に利用することが可能である。その他、本願発明にかかる熱防御・耐損耗複合機能構造体は、大気中を空力加熱を伴いながら飛しょうするロケットなどのフェアリングの外壁、及び宇宙機システムにおける地球大気圏に再突入して回収される自立帰還カプセルなどの機体の外壁にも好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本願発明に係る熱防御・耐損耗複合機能構造体について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。
【0024】
本願発明にかかる熱防御・耐損耗複合機能構造体は、特に、ラムジェットエンジンの燃焼室環境、もしくはロケットによる打上げ時や大気圏再突入時の外壁環境における用途に好適であり、このような環境下においても、飛来するデブリなどによって構造体が激しく損耗することがなく、且つ、過酷な加熱環境にも確実に耐荷できる。
【0025】
例えば、ラムジェット燃焼室環境に適した熱防御・耐損耗複合機能構造体に要求される条件は以下のようなものである。
(1)化学的安定性
表面に装着される固体推進薬に対し、化学的安定であること。
(2)耐デブリ性
金属粉などの微小デブリが衝突しても異常損耗しないこと。
(3)熱防御性
約2000K、約150気圧の超高温・超高圧環境下でも異常損耗しないこと。また、燃焼ガス気流のせん断荷重に対して耐性を有すること。
【0026】
以下、各条件について詳述する。
【0027】
(1)化学的安定性
ラムジェット燃焼室環境に直接曝される部分は、固体推進薬及びその燃焼に対し、化学的に安定でなければならない。このため、本願発明にかかる熱防御・耐損耗複合機能構造体の表層を、固体推進薬及びその燃焼や自身の化学組成に影響を与え難いシリコーン材製の断熱材とする。
【0028】
(2)耐デブリ性
さらに、上記断熱材は、金属粉などの微小デブリの衝突に対し、充分な耐性を有していなければならない。例えば、レイネック(Reinecke)は、デブリ塊がCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)に衝突した場合におけるCFRPの機械的損傷特性について研究している(W. G. Reinecke, On The Aero-physics of Hyper-velocity Long Rods Ablation and Erosion, AIAA 93-2812, AIAA 28th Thermophisics Conference, July 6-9, 1993, Orland, FL)(非特許文献1)。
【0029】
このレイネックの研究に基づけば、直径14mmのアルミ球が速度0.5(km/s)でCFRPに衝突した場合、8gのCFRPが飛散する。そこで、Reineckeの研究の妥当性を確認するため、厚さ10mmのCFRPに直径14mmのアルミ球を衝突させた。試験条件及び試験結果を次の表1に示す。
【0030】
【表1】

本試験は、CFRPの他に、シリコーン樹脂シートについても同様に実施した。試験の結果、いずれの条件においても、アルミ球は、CFRP及びシリコーン樹脂シートを貫通した。試験後の観察結果から、CFRP板にできた貫通孔幅は、アルミ球と同じ14mmであった。これらより、CFRPの貫通孔深さは、次の(1)式より、34.3mm(0.0343m)となる。サンプル厚さは約10mmであるから、デブリ塊はCFRPを貫通して当然である。
【0031】
【数1】

ここで、Lは貫通孔深さ(m)であり、ρverは、サンプルに用いたCFRP母材密度1470(kg/m3)である。
【0032】
ただし、固体推進薬燃焼気流中のデブリ塊は、平均直径20(μm)のジルコニウムであり、ジルコニウム塊1個当たりの質量は約2.7×10-20(kg)である。これが、速度0.5(km/s)でCFRPに衝突した場合、5.5×10-17(kg)のCFRPが飛散する。この場合も上記と同様にCFRPの貫通深さLを求めると、3.0×10-19(m)となる。ただし、ρはCFRPの完全炭化後密度である1180(kg/m3)を用いた。
【0033】
フライト品のCFRP深さを4×10-3(m)又は4mmとすると、ジルコニウム塊が同じ位置を約1.3×1016回衝突しなければ、CFRPは、ジルコニウム塊に貫通されない。燃焼期間中に、CFRPは、ジルコニウム塊によって貫通されない可能性が大きいが、気流中におけるジルコニウムの空間分布の特定が困難であることから、CFRP中にジルコニウム塊の内部浸入を抑制する金属製の短繊維、もしくは金属製繊維の小片を混入する必要がある。
【0034】
(3)熱防御性
約2000K、約150気圧の環境下で異常損耗させないため、超高温環境下でも優れた熱防御性能を有するCFRPを断熱材に採用する。
【0035】
そこで、シリコーン材及びCFRPについて、超高温下における耐性を試験で確認した。まず、アーク加熱試験装置を用いてシリコーン材の熱化学的特性を取得した。アーク加熱試験では、加熱、加速された高エンタルピー状態の気流中に供試体を置き、供試体表面と気流中酸素との動的な熱化学的反応による損耗挙動を観察できる。
【0036】
次の(2)式で整理したシリコーン断熱材の温度と質量変化Δmとの関係を図2に示す。
【0037】
【数2】

ここで、mは加熱終了後における供試体の質量(kg)であり、m0は加熱開始時の質量(kg)である。tは加熱時間(s)である。Aは供試体の断面積(m2)である。
【0038】
図2より、加熱後シリコーン断熱材のサンプルには、温度の増加に伴って、質量変化Δmが大きくなるとわかる。
【0039】
シリコーン断熱材の熱化学的特性の評価は、アレニウス型の反応式(次の(3)式)を用いて整理した。
【0040】
【数3】

ここで、Peは供試体の淀み点における圧力(Pa)、k0は頻度因子(kg/(s・m2・Pa1/2))、Xoは酸素mol分率( - )、Eは活性化エネルギ(J/mol)、Rは普遍気体定数(8.318 J/(mol・K))、Twは供試体の表面温度(K)である。淀み点圧力は、試験と同一気流条件においてPitotチューブを用いて測定した。また、供試体の表面温度は、2色赤外線表面温度計を用いて測定した。
【0041】
(3)式の両辺を自然対数で処理すると、次の(4)式を得る。
【0042】
【数4】

上記(4)式で整理した質量損耗率mと表面温度Twとの関係を図3に示す。シリコーン断熱材の活性化エネルギEは、43.0 KJ/mol(=5175.3×8.318 J/(mol・K))とわかる。
【0043】
一方、(X0PE)1/2と温度K0との関係を図4に示す。図4より、K0は、約0.11であるとわかる。
【0044】
さらに、静的な加熱環境におけるシリコーン材及びCFRPの質量損耗特性を加熱試験で取得した。試験は、最大出力30(kW)の太陽光に近いスペクトル分布を持つクセノン・ランプの均一光を、金メッキした回転楕円面ミラーで集光し、材料表面を非定常加熱することで実施した。この試験装置は、温度環境を室温から2573(K)の超高温まで、また、雰囲気圧力を宇宙空間のような極低圧から大気圧まで調整可能で、且つ、雰囲気ガスも通常空気のほか、酸素分圧を変えた空気、さらに、窒素やアルゴンなどの不活性ガスの使用も可能である。加熱試験は、内部に樹脂成分を含まないCC及びグラファイトについても実施した。また、超高圧下において、CC及びグラファイトの損耗特性を評価するため、超高圧加圧を用いた加熱試験も実施した。超高圧加圧装置は、アルゴン、または窒素雰囲気で最大圧力980MPa、最高温度2,273K(2,000°C)で加圧処理する装置である。試験条件を次の表2に示す。
【0045】
【表2】

ここで、各材料の質量損耗率(kg/m2/s)と温度(°C)との関係を図5にまとめる。また、圧力(Pa)との関係を図6に示す。超高圧加圧装置の加熱時間は、約2時間(約7,200秒)とした。
【0046】
図5及び図6より、CCは空気雰囲気では酸化により質量損耗するが、窒素雰囲気においてはその量がほぼ零であることがわかる。同様に、グラファイトも窒素雰囲気下では、質量損耗しない。このことから、内部に樹脂成分を含まないCCやグラファイトは、窒化や昇華などの反応により質量損耗が進行しないと考えられる。さらに、CC及びグラファイトの顕著な質量損耗量は、超高圧下でも観察できず、CCやグラファイトは空気(酸素)が存在しない環境下においては大きな質量損耗が生じないと考えることができる。
【0047】
一方、静的な加熱環境下におけるCFRPの質量損耗率は、表面温度や圧力に強い影響を受けず凡そ0.05(kg/m2/s)〜0.04(kg/m2/s)の値を持ち、この値はアーク加熱試験で取得した損耗率と同程度であった(非特許文献2参照)。CCやグラファイトと異なり、窒素雰囲気下においてもCFRPが損耗する理由は、熱分解により発生したガス中の酸素成分により酸化損耗が進行するためである。図5及び図6から、静的な加熱環境下に置かれたシリコーン断熱材の質量損耗率の上限値は約0.03(kg/m2/s)であり、この値もアーク加熱試験で取得した損耗率と同程度であった。従って、シリコーン断熱材の質量損耗率については、0.03(kg/m2/s)を用いることができる。
【0048】
次に、シリコーン材及びCFRPの線膨張率の温度依存特性を取得した。線膨張率αは次の(6)式で表現される。
【0049】
【数5】

ここで、Tは温度(°C)であり、T0は測定初期温度(°C)である。また、LはT(°C)における供試体長さ(m)であり、L0はT0(°C)における長さ(m)である。
【0050】
シリコーン断熱材の線膨張率αの温度依存性データを次の表3に示す。
【0051】
【表3】

表3より、シリコーン断熱材の線膨張率αは、室温付近で平均33×10-5(1/°C)であることがわかる。この値は、ステンレス鋼相当(1×10-5)、アルミ合金(2×10-5)と比較して1桁大きく、仮に金属とシリコーン断熱材を接着した場合、線膨張率差による大きな熱応力が発生するものと考えられる。
【0052】
最後に、高温環境下におけるシリコーン材、CFRP及びハイブリッド断熱材(シリコーン材+CFRP)の接着特性を高温引っ張り試験で確認した。
【0053】
試験条件の図表を図7に示す。供試体は、短冊状に裁断した2枚のサンプルを高温用シリコーン接着剤(KE3418)で接着し、その両端面を、やはりシリコーン接着剤でSUS製治具に装着させた。接着作業を完了したサンプルサイズは、25mm×3mm×厚さ4mmである。サンプルは、以下の3種類である。
(1)シリコーン断熱材
2枚のシリコーン断熱材を接着したもの。
(2)CFRP
2枚のCFRPを接着したもの。
(3)ハイブリッド断熱材
シリコーン断熱材とCFRPを接着したもの。
【0054】
試験結果を図7及び図8に示す。図7より、約300°Cでシリコーン断熱材及びハイブリッド断熱材は、サンプルとSUS製治具との界面で破断している。これは、接着剤として使用したシリコーン接着剤KE3418の許容温度が300°Cであり、この温度以上では接着力を維持できないためである。また、図8より、約200°Cにおいて、シリコーン接着剤は、約40(MPa)、CFRP及びハイブリッド断熱材は、約10(MPa)の引張応力を持つことがわかる。シリコーン接着剤の引張応力がCFRPやハイブリッド断熱材より大きくなった理由は、シリコーン断熱材表面に多数の空隙があり、これがアンカーリングとなって高い引張応力になったと考えられる。
【0055】
2次燃焼中の気流によるせん断力が10(MPa、@材料内温度200°C)以下であれば、シリコーン断熱材、CFRP及びハイブリッド断熱材のいずれも機械的な耐性を有する。
【0056】
(熱防御・耐損耗複合機能構造体の構造)
以上の試験を踏まえた本願発明にかかる熱防御・耐損耗複合機能構造体の構造の具体的な構造の一例を以下に説明する。
【0057】
図1は、本願発明の実施の形態にかかる熱防御・耐損耗複合機能構造体の具体的な構造を示す断面図である。図1に示すように、本実施の形態にかかる熱防御・耐損耗複合機能構造体10は、基本的に、一般に金属製からなる構体20に装着され、この構体20側から、CFRP材層11及びシリコーン材層12の順で積層された2層構造である。
【0058】
CFRP材層11は、例えば、炭素繊維からなる強化材料に、フェノール樹脂などのマトリックス樹脂を含浸させて硬化させた繊維強化複合材料(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastic)からなる。前述したように、固体推進薬燃焼気流中に含まれる金属粉(デブリ)による機械的損耗に対抗する機能を有している。金属粉により、CFRP材が機械的に異常損耗すると予想される場合に備えて、CFRPの中には金属製の短繊維又は金属繊維の小片11aを3次元的にランダムに混ぜ合わせてもよい。また、CFRP材層11は、例えば、惑星軌道から地球大気圏に突入したときに受ける15MW/m2程度の高加熱率の加熱にも耐えることができ、これによって、燃焼ガスから構体20への熱入力を抑制し、構体20を高温側許容温度以下に維持する機能も併せ持っている。
【0059】
なお、CFRP材層11は、これに代えて、CC材層と、グラファイト材層とから構成することも可能である。
【0060】
シリコーン材層12の主な機能は、前述したように、固体推進薬との化学的安定性の維持であり、シリコーン材層12は、例えば、フェノールマイクロバルーンとガラス短繊維とを混ぜ合わせたものを含むことが可能である。シリコーン材層12は、基本的には、その基材として、付加型シリコーン材料または縮合型シリコーン材料のいずれかからなり、フェノールマイクロバルーンとガラス短繊維とを含めた各材料の混合比は、例えば、シリコーン材料が約40wt%〜75wt%、フェノールマイクロバルーンが約25wt%〜60wt%、ガラス短繊維が約2wt%であることが望ましい。
【0061】
CFRP材層11は、加熱により複雑な収縮と膨張挙動を示す。一方、CFRP材層11に隣接するシリコーン材層12は、加熱によりゆっくりと収縮する。さらに、構体20は、加熱により膨張する。これらの熱的な挙動により、CFRP材層11の内部では、引っ張り応力及び圧縮応力が発生したり消滅したりする。この複雑な応力変化により、CFRP材層11自身が破壊される恐れがある。
【0062】
このため、CFRP材層11の界面の一方又は両方に、熱膨張あるいは熱収縮に対して柔軟に追従し、且つ、耐熱性のある歪緩衝材層13A,13Bを挟ませ、図1に示すように全体として3層又は4層構造としてもよい。この歪緩衝材13A,13Bとしては、例えば、カーボンシートが好適である。さらに、歪緩衝材13A,13Bには、柔軟性を強化させるため、銀粉入りペーストを塗布してもよい。歪緩衝材層13A,13Bは、シリコーン接着剤で隣接する層間に固定することが望ましい。
【0063】
次に、各層の接合または形成方法について説明する。外部環境に曝されるシリコーン材層12は、この外部環境に応じて、デブリの衝突、高温、急激な圧力の増減などにより、CFRP材層11から剥離する可能性があり、各層の接合は、強固である必要がある。各層は、適宜の強力な接着剤で互いに接着してもよく、また、溶射によって層を形成してもよい。
【0064】
接着剤には、約300°Cまでは、この温度まで十分な接着力を有する高温用シリコーン接着剤を、また、これ以上の温度では、超高温まで十分な接着力を有するカーボン系接着剤を採用することが望ましい。
【0065】
接着剤による接合の場合には、図9(a)に示すように、CFRP材層11のシリコーン材層12との接合面に、剥離防止手段を構成する凹凸部113を形成することが可能である。該凹凸部113は、任意の形状であることが可能であるが、使用される接着剤14の量や形成される接着剤層の厚さなどに応じて適宜に決定され、好ましくは、接着剤14が馴染み易い形状であることが好ましい。
【0066】
次に、図9(b)に示すように、CFRP材層11とシリコーン材層12との間に接着剤14を適用し、図9(c)に示すように、CFRP材層11とシリコーン材層12とを接着する。これにより、接着剤14は、凹凸部113によりCFRP材層11上に保持され、層間剥離を抑制することができる。
【0067】
また、別の実施の形態では、接着剤を使用しないでCFRP材層11とシリコーン材層12とを形成することも可能である。例えば、図10(a)に示すように、CFRP材層11を、基層110と、剥離防止手段を構成するハニカム層111とから構成する。基層110は、例えば、それを構成する炭素繊維などの繊維方向を層方向に配置し、一方、ハニカム層111では、繊維方向を層方向に直交するように配置する。ハニカム層111は、ハニカム構造を有し、図10(a)に示すように、厚み方向に貫通する多数の穴を有している。なお、ここではハニカム構造を採用しているが、これに限らず、例えば、多数の孔を形成したものであってもよい。
【0068】
次に、図10(b)に示すように、基層110とハニカム層111とを押圧した状態でオートクレーブ処理を施し、これによって各層に含浸した樹脂が溶け出して相互に混合し、やがて熱硬化した際に一体部材と同様の強度が得られる。このような観点からは、基層110及びハニカム層111の材料は、同一であることが好ましいが、これらの層の接合方法に応じて適宜に決定される。
【0069】
そして、図10(c)に示すように、基層110とハニカム層111とが一体となったCFRP材層11のハニカム空間に、シリコーン材層12の材料を充填し、シリコーン材層12を形成する。これによって、シリコーン材層12は、CFRP材層11のハニカム空間に保持され、CFRP材層11とシリコーン材層12との間の層間剥離を抑制することができる。
【0070】
さらに別の実施の形態では、図11(a)に示すように、CFRP材層11のシリコーン材層12との接合面に、剥離防止手段を構成する多数の棘部114を形成することが可能である。該棘部114は、任意の形状であることが可能であるが、使用される接着剤14の量や形成される接着剤層の厚さなどに応じて適宜に決定され、少なくとも、シリコーン材層12に刺さるように十分な長さを有している。また、図11(a)に示すように、棘部114は、様々な方向を向いており、これにより、様々な方向からの外力からシリコーン材層12の剥離を抑制することができる。
【0071】
次に、図11(b)に示すように、CFRP材層11とシリコーン材層12との間に接着剤14を適用し、図11(c)に示すように、CFRP材層11とシリコーン材層12とを接着する。これにより、接着剤14は、棘部114によりCFRP材層11上に保持されるという効果もある。
【0072】
なお、ここでは、剥離防止手段を、より硬質なCFRP材層11側に設ける構成のみを示したが、これに代えて、シリコーン材層12側に設ける構成とすることも可能である。また、ここでは、CFRP材層11とシリコーン材層12との間の剥離防止手段についてのみ記述したが、構体20とCFRP材層11との間でも同様の構成を適用することが可能である。
【0073】
また、前述したように、CFRP材層11(または、CC材層及びグラファイト層)と構体20との間に介装する歪緩衝材層13Aは、シリコーン接着剤を使用して接着することが可能である。構体20の温度は、シリコーン接着剤の高温側許容温度の300°C以下を維持するような設計とするのが望ましい。これにより、シリコーン接着剤は常に柔軟性を持った温度範囲内にあることになるので、歪緩衝材層13Aの歪緩衝効果を持続することができるのである。
【0074】
一方、シリコーン材層12とCFRP材層11(または、CC材層及びグラファイト層)との間に介装する歪緩衝材層13Bの温度は、加熱により高温側許容温度の300°C以上になる恐れがある。ただし、シリコーン材層12の機能は、加熱前、および加熱初期における化学的な安定であるので、シリコーン材層12は、加熱により分解し、損耗が進行してもかまわない。つまり、加熱に伴って歪緩衝材層13Bの温度が300°Cを超えて歪緩衝機能を失っても本来の機能は達成できるのである。
【0075】
さらに、図11(a)乃至(c)に示すように、シリコーン材層12に多数の貫通する微細孔12aを形成してもよい。このような微細孔12aは、上記したいずれの剥離防止手段を採用した場合であっても適用可能であり、この微細孔12aにより、加熱によってCFRP材層11が炭化し、炭化の際に発生した熱分解ガスを外部へ放出することができる。したがって、熱分解ガスがCFRP材層11とシリコーン材層12との間に蓄積してシリコーン材層12を押して剥離する現象を抑制することができる。
【0076】
このような熱分解ガスの放出は、熱の放出を伴うため、熱移送による冷却効果を得ることができるとともに、熱分解ガスが放出することによって、熱遮断効果を得ることができる。
【0077】
図12は、本願発明にかかる熱防御・耐損耗複合機能構造体10を装着してなる構体20をその2次燃焼室として備える高速飛しょう体300の構成を示す縦断面図である。図12に示すように、高速飛しょう体300は、構体としてのラム燃焼器(2次燃焼室)20Aと、このラム燃焼器20A内に設けられたインテグラルブースタ用推進薬303と、ガス発生器(1次燃焼室)304に設けられてインテグラルブースタ用推進薬303の燃焼に続いて着火され、燃料過多の可燃性ガスを発生するサステーナ用ガス発生剤305と、前記可燃性ガスをラム燃焼器20A内に噴出させるガスノズル306と、ラム燃焼器20Aに設けたポート302a(図1においては左右2つ)に接続され、前記可燃性ガスを燃焼させるための空気を圧縮した状態でラム燃焼器20A内に取り入れる空気取入口307と、インテグラルブースタ用推進薬303の燃焼時にポート302aを閉塞すると共にインテグラルブースタ用推進薬303の燃焼終了に合わせてポート302aを開放するポートカバー308と、インテグラルブースタ用推進薬303の燃焼により生じた高温ガスを外部に噴射するブースタノズル309と、前記圧縮された空気とサステーナ用ガス発生剤305が着火して生じた可燃性ガスとの混合物(燃料ガス)が燃焼して発生した高温ガスを外部に噴射するラムノズル310とを備えている。
【0078】
また、ラム燃焼器20Aは、その内部にインテグラルブースタ用推進薬303があるときには、インテグラルブースタとして利用され、インテグラルブースタ用推進薬303の燃焼が終了した際にはその内部空間を2次燃焼室として利用される構造となっている。前述のように、本実施の形態におけるラム燃焼器20Aは、構体として機能し、その内面側に本願発明にかかる熱防御・耐損耗複合機能構造体10を装着してなる。
【0079】
以上のように、図12に示した本実施の形態に係る高速飛しょう体300は、まず、図13(a)に示すように、ラム燃焼器20A内のインテグラルブースタ用推進薬303に着火して、その燃焼により生じた高温ガスをブースタノズル309を通じて外部に噴出することにより発射し、その後のラム圧による作動に必要な設定マッハ数に到達するまで加速する。
【0080】
次いで、図13(b)に示すように、設定マッハ数に近付いてインテグラルブースタ用推進薬303の燃焼が終了すると、ラムノズル310の内側に取り付けられているブースタノズル309を、図示しない分離機構を作動させてラム燃焼器20Aから外部に排出する。
【0081】
ブースタノズル309が分離されると、続いて、左右のポートカバー308を開放してポート302aを開口させ、それぞれの空気取入口307を通じてラム燃焼器20A内に圧縮空気を取り入れる。これに合わせて、図13(c)に示すように、ガス発生器304内のサステーナ用ガス発生剤305に着火して、これにより発生する可燃性ガスをガスノズル306を通じてラム燃焼器20A内に噴射する。そして、この可燃性ガスと取り入れた圧縮空気とを混合してラム燃焼器20A内で連続燃焼反応(ラム燃焼)を起こし、これによって生じる高温ガスを既に露出した状態となっているラムノズル310を通じて外部に噴出することによりさらなる推力を得るようになっている。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上のように、本願発明に係る熱防御・耐損耗複合機能構造体及び該構造体を装着してなる高速飛しょう体によれば、例えば、耐超高圧性を有する構造体に耐超高温性を持たせた複合機能構造体にあって、さらに、デブリに対する耐損耗性を持たせることができる等、本願発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本願発明の実施の形態にかかる熱防御・耐損耗複合機能構造体の構造の一例を示す断面図である。
【図2】シリコーン材の温度と質量変化との間の関係を示すグラフである。
【図3】シリコーン材の質量損耗率と表面温度との間の関係を示すグラフである。
【図4】(X0PE)1/2と温度K0との関係を示すグラフである。
【図5】各種材料の質量損耗率と温度との間の関係を示すグラフである。
【図6】各種材料の質量損耗率と圧力との間の関係を示すグラフである。
【図7】シリコーン材、CFRP材、さらには、これらシリコーン材及びCFRP材のハイブリッド材の接着特性の高温引っ張り試験条件及び試験結果を示す図表である。
【図8】シリコーン材、CFRP材、さらには、これらシリコーン材及びCFRP材のハイブリッド材の接着特性の高温引っ張り試験結果を示すグラフである。
【図9】シリコーン材層とCFRP材層との接合方法を説明するための説明図である。
【図10】シリコーン材層とCFRP材層との接合の他の方法を説明するための説明図である。
【図11】シリコーン材層とCFRP材層との接合のさらに他の方法を説明するための説明図である。
【図12】本願発明の実施の形態に係る高速飛しょう体の構成を示す縦断面図である。
【図13】(a)乃至(c)は、図1に示した高速飛しょう体の2次燃焼までの過程を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0084】
10 熱防御・耐損耗複合機能構造体
11 CFRP材層(熱防御・耐損耗複合機能材料層)
11a 金属短繊維又は金属繊維小片
12 シリコーン材層(化学的安定材料層)
12a 微細孔
13A,13B 歪緩衝材
14 接着剤
20 構体
20A ラム燃焼器(2次燃焼室)
110 基層
111 ハニカム層
113 凹凸部
114 棘部
300 高速飛しょう体
302a ポート
303 インテグラルブースタ用推進薬
304 ガス発生器
305 サステーナ用ガス発生剤
306 ガスノズル
307 空気取入口
308 ポートカバー
309 ブースタノズル
310 ラムノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱防御機能と耐損耗機能とを併せ持つ熱防御・耐損耗複合機能構造体であって、
機械的強度を備えた構体に装着され、該構体への熱入力を抑制し、且つ、デブリによる機械的損耗から前記構体を保護する熱防御・耐損耗複合機能材料層と、
該熱防御・耐損耗複合機能材料層の外側に露出して積層され、暴露される環境に対する化学的安定性を備えた材料からなる化学的安定材料層と
を備えることを特徴とする熱防御・耐損耗複合機能構造体。
【請求項2】
前記熱防御・耐損耗複合機能材料層は、多数の金属製の短繊維又は金属製繊維の小片を混入してなることを特徴とする請求項1記載の熱防御・耐損耗複合機能構造体。
【請求項3】
前記多数の金属製の短繊維又は金属製繊維の小片を3次元的にランダムに配置してあることを特徴とする請求項2記載の熱防御・耐損耗複合機能構造体。
【請求項4】
前記熱防御・耐損耗複合機能材料層は、CFRP材からなることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の熱防御・耐損耗複合機能構造体。
【請求項5】
前記熱防御・耐損耗複合機能材料層は、CC材およびグラファイト材からなることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の熱防御・耐損耗複合機能構造体。
【請求項6】
前記化学的安定材料層は、固体推進薬に対して化学的安定性を備えていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の熱防御・耐損耗複合機能構造体。
【請求項7】
前記化学的安定材料層は、シリコーン材からなることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の熱防御・耐損耗複合機能構造体。
【請求項8】
前記熱防御・耐損耗複合機能材料層と前記化学的安定材料層との間、及び、前記熱防御・耐損耗複合機能材料層と前記構体との間の少なくとも1つに介装された歪緩衝材層をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の熱防御・耐損耗複合機能構造体。
【請求項9】
前記歪緩衝材層は、隣接層間の熱歪みを吸収すべくなしてあることを特徴とする請求項8記載の熱防御・耐損耗複合機能構造体。
【請求項10】
前記歪緩衝材層は、カーボンシートからなることを特徴とする請求項9記載の熱防御・耐損耗複合機能構造体。
【請求項11】
前記歪緩衝材層は、その少なくとも一方の面に銀粉入りのペーストを塗付してあることを特徴とする請求項9又は10記載の熱防御・耐損耗複合機能構造体。
【請求項12】
前記化学的安定材料層と前記熱防御・耐損耗複合機能材料層との剥離を防止する剥離防止手段を備えることを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の熱防御・耐損耗複合機能構造体。
【請求項13】
前記剥離防止手段は、前記化学的安定材料層と前記熱防御・耐損耗複合機能材料層との間の接合面に設けられた凹凸部であることを特徴とする請求項12記載の熱防御・耐損耗複合機能構造体。
【請求項14】
前記凹凸部は、棘状をなしていることを特徴とする請求項13記載の熱防御・耐損耗複合機能構造体。
【請求項15】
前記凹凸部は、その表面に接着剤が馴染み易い形状をなしていることを特徴とする請求項13記載の熱防御・耐損耗複合機能構造体。
【請求項16】
前記剥離防止手段は、高温用シリコーン接着剤又はカーボン系接着剤であることを特徴とする請求項12記載の熱防御・耐損耗複合機能構造体。
【請求項17】
前記化学的安定材料層には、厚み方向に貫通する微細孔が形成されていることを特徴とする請求項1乃至16の何れかに記載の熱防御・耐損耗複合機能構造体。
【請求項18】
上記請求項1乃至17の何れかに記載の熱防御・耐損耗複合機能構造体を備えることを特徴とする高速飛しょう体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−103460(P2006−103460A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−291505(P2004−291505)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】