説明

熱防護材

発泡性グラファイトおよびポリマー樹脂を含む混合物が記載され、該ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物は、熱への暴露後、体積増および構造健全性を有する。任意に快適さ、可撓性、および耐液特性を保持しながら、布地および積層板の熱防護性能(TPP)を増大させるための方法が記載される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
消防士、産業労働者、および警察などは、彼らを多様な脅威から保護する衣服を必要とする。これらの作業者は極端な天候条件、危険な液体、熱および火炎からの防護を必要とする。特に、火炎からの防護は、衣服を通しての熱伝達により引き起こされる燃焼を自消すると共に、なお且つ防止する材料を必要とする。加えて、耐液および耐炎衣服は、機能を果たすため、または熱災害を防止するためにそれらの能力を伸ばすように熱ストレスの負担を減らすに十分なレベルの通気性を有することが好ましい。
【0002】
役柄に合って自消性である多様な耐炎材料が開発されてきている。最も注目すべきものには、数例を挙げると、メタアラミド、モダクリル、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、パラアラミド、ポリジイミダゾ・ピリジニレン・ジヒドロキシ・フェニレン(PIPD)、メラミン、不燃性(FR)ポリエステル、FRレーヨン、およびFR綿が挙げられる。しかし、適する防熱材(熱伝達により引き起こされる火傷を減じるための)を提供するために、最も一般的な熱安定性絶縁層が付加される。例えば、構造的な消防材において、消防着は、一般的に、熱的に安定な自消性の外衣構造、防湿層(耐液性を提供するための)、および断熱裏地(熱および炎からの絶縁性を提供するための)からなる。厚さを増大させることにより極度の温度から使用者を防護する防熱材は周知である。しかし、厚さ増大により達成される防熱性の増大は、高い作業量または高い熱環境下で、使用者の熱ストレス負担に悪影響を及ぼす傾向がある。
【発明の概要】
【0003】
本出願は、約2重量%〜約30重量%の発泡性グラファイトおよび200℃で103〜106ダイン/cm2間の弾性率および200℃で0.1〜10間のタンデルタを有する約30重量%〜約98重量%のポリマー樹脂を含むポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を記載し、該ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物は、90秒間にわたる300℃への暴露後、少なくとも200%の最小体積増を有する。
【0004】
また、任意に快適さ、可撓性、および耐液特性を保持しながら、布地および積層品の熱防護性能(TPP)を増大させるための方法が記載される。特に、本明細書において記載される一つの実施形態は、それが炎と防液バリア間に配置される場合に、特定の利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】本明細書において記載される一つの実施形態の断面図の略図である。
【図2】本明細書において記載される別の実施形態の断面図の略図である。
【図3】本明細書において記載される一つの実施形態の略図である。
【図4】本明細書において記載される別の実施形態の断面図の略図である。
【図5】本明細書において記載される別の実施形態の断面図の略図である。
【図6】本明細書において記載される別の実施形態の断面図の略図である。
【図7】本明細書において記載される別の実施形態の断面図の略図である。
【図8】本明細書において記載される別の実施形態の断面図の略図である。
【図9a】個別ドットとして適用されるポリマー樹脂−発泡性グラファイトの略図である。
【図9b】グリッド形状で適用されるパターンの一つの実施形態の略図である。
【図10】組立品の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
熱防護性能(TPP)は第2度熱傷を記録するための時間に関すると共に、より高いTPP値を有する材料は、より良い熱傷防護を提供すると考えられる。一つの実施形態において、熱的に安定な布地の熱防護性能(TPP)を改善し、それにより熱防護材を形成するための方法が記載される。別の実施形態において、それがその上に配置される基材の熱および/または炎防護特性を改善するポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物が記載される。一つの方法において、熱防護材は、不燃性で熱安定性の布地を提供し、その一つの側面上に活性の防熱材を形成することにより形成される。図1に関して、熱防護材(1)の代表的な実施形態が示され、不燃性布地、および不連続に個々のドットの形状で熱安定性布地の一方の側面に塗布されるポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物からなる活性防熱材(20)からなる熱安定性布地(10)が含まれる。一つの実施形態において、不燃性で熱安定性の布地(10)、およびその上に形成される活性防熱材(20)を含む熱防護材(1)は、本明細書において記載される方法により試験する場合に、活性防熱材なしの不燃性で熱安定性の布地(10)のTPPよりも少なくとも2カラリー/cm2大きいTPPを有する。本明細書において記載される試験方法において、材料は、該活性防熱材が熱源に最も近くにある該熱安定性布地(10)の反対側の面に位置付けられるように試験装置内で方向付けられる。防水通気性フィルム、例えば、通気性ポリウレタンなどの追加の材料層(12)は、該活性防熱材が該追加層と熱安定性布地層の間にあるように、該活性防熱材に隣接した側で該材料に提供することが可能である。
【0007】
別の実施形態において、約140gsm以下のポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を熱安定性基材に塗布することにより活性防熱材を提供することを含む、熱安定性布地などの熱安定性基材のTPPを増大させるための、および該熱安定性布地に塗布されるポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物約35gsm当り少なくとも約0.5カロリー/cm2分、該TPPを増大させるための方法が提供される。好ましくは、該TPPは該基材に塗布される混合物約35gsm当り少なくとも約1.0カロリー/cm2分増大し、約140gsmまでの混合物が該基材上に配置される。本明細書において記載される一部の実施形態において、熱防護材は、それによって、活性防熱材が提供されていない同じ材料と較べる場合に、活性防熱材を提供することにより、布地のTPPが少なくとも1カロリー/cm2、または少なくとも2カロリー/cm2、または少なくとも3カロリー/cm2、または少なくとも4カロリー/cm2、または少なくとも5カロリー/cm2分またはそれ以上増大するように形成することができる。有利には、熱安定性布地および熱安定性布地複合材のTPPは、周囲温度での重量、防熱材を有意に増大させることなく、または通気性を減じることなく本明細書において開示される本方法により増大する。一部の実施形態において、該ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物は、約100gsm未満、または約75gsm未満、または約50gsm未満、または約25gsm未満で該熱安定性布地に塗布される。
【0008】
代わりの実施形態において、図2に関して、不燃性布地を含む熱安定性布地(10)の表面にポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物の連続皮膜を塗布することにより活性防熱材(20’)を形成することを含む、不燃性の(20’)熱安定性布地(10)のTPPを増大させるための方法が提供される。該ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物が連続的に塗布される場合に、該ポリマー樹脂が、例えば着用者の快適さが望まれる場合に通気性であることは好ましくあることが可能である。
【0009】
不燃性積層品のTPPを少なくとも3カロリー/cm2分増大させるための別の方法が提供される。一例として、図3および5に関して、不燃性布地および対流バリア(30’)を含む熱安定性布地(10)の不燃性積層品が、該熱安定性布地(10)と該対流バリア(30’)間の活性防熱材(20)と共に提供され、熱防護積層品を形成する。対流バリア(30)は少なくとも一つのバリア層(図5では30)を含み、任意に、多バリア層(33、33’)は該対流バリア(図3では30’)を形成するために用いることが可能である。該対流バリア(30’)は、さらに、該対流バリアの望ましい特性を向上させることが可能であるモノリスのポリマー層(35)などの追加層を含むことが可能である。一つの方法において、活性防熱材(20)は、該対流バリア(30または30’)の一つの表面にポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を塗布することにより形成されるか、または、代わりの実施形態において、活性防熱材(20)は、積層の前に、該熱安定性布地(10)の一つの表面に提供される。さらなる方法段階において、図3および5に示すように、該熱安定性布地(10)および該対流バリア(30)は、該2層を一緒に結合する該活性防熱材(20)により結合される。該熱安定性布地(10)と該対流バリア(30)間に活性防熱材(20)を提供することにより、活性防熱材なしの実質的に同じ構造の積層品に較べて、少なくとも3カロリー/cm2のTPP増大を有する熱防護積層品が形成される。さらなる任意の実施形態において、図4および5に例示するように、布地裏材(50)は接着剤ドット(40)などの接着により該積層品に貼り付けることが可能である。
【0010】
代わりの実施形態において、図8に示す材料断面の略図により描かれるように、一つの方法は、熱安定性布地(10)を提供し、対流バリア(30)を接着ボンド(40)により一方の側面に結合し、活性防熱材(20)を該熱安定性布地の反対側の側面上で該対流バリア(30)に塗布することを含む。任意に、裏地材布地(50)はそれらの間の該活性防熱材により該対流バリア(30)に結合することが可能である、すなわち、裏地材布地(50)は該活性防熱材(20)により該対流バリア(30)に結合することが可能である。該活性防熱材を含む該積層品のTPPは、該活性防熱材なしの実質的に同じ材料の積層品のTPPよりも大きい。
【0011】
さらなる実施形態において、図6および7に示す熱防護材の断面表示により例示されるように、熱安定性布地(10)および対流バリア(30)を含む不燃性積層品を提供し、活性防熱材−対流バリア複合材(60または70)を形成することを含む積層品の断熱能力を改善するための方法が提供される。一つの実施形態において、該活性防熱材−対流バリア複合材(60または70)を形成するための方法は、ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を含む活性防熱材(20または21)を第1対流バリア(30)に塗布し、第1対流バリアにそれを結合することにより、例えば、該活性防熱材により結合することによって第2対流バリア(30’)を結び付けることを含む。この構成において、有利には、より高いTPPは、表1に示すように、低断熱材料用の低いCLO値を保持しながら、活性防熱材−対流バリア複合材を形成することにより達成される。任意に、裏地材布地(50)などの追加層は耐摩耗性またはさらに向上した断熱能力などの特性のために提供することが可能である。例えば、一部の実施形態において、熱安定性布地裏地材は付加することが可能である。適する熱安定性布地裏地材の例には、アラミド、FR綿、PBI、PBO、FRレーヨン、モダクリル配合物、ポリアミン、炭素、ファイバーグラス、PAN、PTFE、および混合物、およびそれらの組合せが挙げられる。該熱安定性布地(10)および該裏地材布地(50)は、例えば、接着取付け(40)により該活性防熱材−対流バリア複合材料(60または70)に結合することが可能である。
【0012】
一部の実施形態において、図2および7に示すように、ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を含む該活性防熱材は、連続層として塗布することが可能であり、それによってそれが塗布される表面の実質的に100%を覆う。しかし、例えば、向上した通気性が望まれる図3および4に描かれるように、該活性防熱材(20)は、不連続的に塗布することが可能であり、この場合に100%未満の表面被覆率が達成される。該ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を含む該活性防熱材が不連続的に塗布される場合に、該混合物は、50%未満、または40%未満または35%未満、または30%未満の表面被覆率を達成するように塗布することが可能である。一部の実施形態において、該活性防熱材材料は、約2000μm以上の開き、または約2000μm〜約5000μmの開きまたは約2000μm〜約10000μmの開きを有する個々のドットとして塗布することが可能である。図9は、本発明用に適する二つの不連続パターン、例えば、それぞれが50%未満の表面被覆率を有する、布地(10)に塗布される活性防熱材(90)のドット(図9a)および活性防熱材(91)のグリッドパターン(図9b)を示す。該用語ドットは、該混合物が円形、長円形、ダイアモンド形、楕円形、および長方形などに堆積することが可能であるあらゆる個別の形状または形態を包含するように意図されている。該活性防熱材は、該混合物の、外側の布地、該対流バリアのいずれかまたは両方への丈夫な結合を提供するやり方で、該ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を塗布することにより形成される。該塗布技術は、該発泡性グラファイト粒子が該熱安定性布地の一方の側面上に実質的に配置され、該熱安定性布地の断面全体を通して均一に分散されないように選択される。
【0013】
一つの実施形態において、該ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を含む該活性防熱材は、発泡後基材に結合されたまま残る発泡構造を形成する。該活性防熱材は、好ましくは、300℃に加熱された対流オーブン中での90秒の熱暴露後、少なくとも200%、または少なくとも250%の厚さ増大、および発泡後状態での構造の健全性を有する。構造健全性とは、該活性防熱材が、発泡後、該基材を縮めるかまたは曲げる際に、実質的に分解するか、および/または該基材から剥げ落ちることなく、該基材に実質的に結合されたままで残ることを意味する。好ましくは、該活性防熱材は、発泡後、一体性を保持し、本明細書において記載される厚さ変化率試験に従って厚さ試験を行う場合に、実質的に分解するか、または該基材から剥げ落ちることなく圧縮に耐える。
【0014】
一部の実施形態において、熱安定性布地は、さらに、約300℃に加熱された対流オーブン中での90秒の熱暴露後、少なくとも約150μmの厚さ増大、または少なくとも約500μmの増大、または少なくとも約750μmの増大、または少なくとも約1000μmの増大、または少なくとも約1500μmの厚さ増大まで膨張する該ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を含む活性防熱材を含む。
【0015】
該ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物での使用に適する発泡性グラファイトのフレークまたは粒子は、340℃に加熱され、本明細書において記載される膨張試験に従って試験される場合に、少なくとも2000μmの膨張、またはさらに好ましくは少なくとも3000μmの膨張を有する。好ましいグラファイト粒子は、それぞれ0.699mmおよび0.066mmのふるい目の開きにほぼ相当する25〜230間の米国標準メッシュサイズに基づく平均メッシュサイズを有する。さらに好ましくは、該グラファイト粒子は、それぞれ0.297mmおよび0.104mmのふるい目の開きにほぼ相当する50〜150間の平均メッシュサイズを有する。
【0016】
一部の実施形態において、該ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物で用いるポリマー樹脂には、340℃未満の融解または軟化温度を有するものが選択される。該発泡性グラファイトが340℃以下での熱暴露で実質的に発泡することを可能とするために十分に流動性を有するか、または変形可能であるポリマー樹脂は、一部の実施形態において特に有用である。該発泡性グラファイトの発泡を可能とするために十分に低く、発泡構造体の構造健全性を保持するために十分に高い伸長粘度を有するポリマー樹脂は、また、一部の実施形態において有用である。望ましい特性を有する布地および布地複合材を形成するために、200℃での約103〜約108ダイン/cm2間の貯蔵弾性率、および約0.1〜約10間のタンデルタを有するポリマー樹脂は選択することが可能である。200℃で約106ダイン/cm2未満または200℃で約104ダイン/cm2未満の貯蔵弾性率を有するポリマー樹脂は選択することが可能である。一部の実施形態で用いるために適するポリマー樹脂には、一部のエラストマーポリマーが挙げられる。一部の実施形態で用いるために適する他のポリマー樹脂は、モル・メルト(Mor−melt)R7001E(ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas.)からの)などの架橋性ポリウレタンを含んで架橋性である。他の実施形態において、適するポリマー樹脂には、デスモメルト(Desmomelt)VP・KA8702(バイエル・マテリアル・サイエンス(Bayer Material Science)からの)などの約50℃〜約250℃間の融解温度を有するいくつかの熱可塑性ポリマーが挙げられる。加えて、本明細書において記載される実施形態で用いるために適するポリマー樹脂には、ポリエステル、熱可塑性ポリウレタンおよび架橋性ポリウレタン、およびそれらの組合せに限定されないがそれらを含むポリマーが含まれる。一部の実施形態で用いるために適することが可能である他のポリマー樹脂には、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ビニルポリマー、ポリオレフィンから選択される1以上のポリマーが含まれる。一部の用途において適することが可能である他のポリマー樹脂にはシリコーンまたはエポキシが含まれる。
【0017】
一部の実施形態において、該ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物は、発泡すると、発泡グラファイトを含む複数の巻ひげを形成する。該ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物の全体表面積は、発泡前の同じ混合物と較べると有意に増大する。一つの実施形態において、該混合物の表面積増大は、発泡前の該混合物の表面積よりも少なくとも10倍以上となる。別の実施形態において、該表面積増大は、発泡前の該混合物の表面積の少なくとも20倍である。加えて、該混合物の発泡の際に形成される巻ひげは、該発泡混合物の芯から外側に延びることが可能である。該ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物が不連続形態にある基材上に配置される実施形態において、巻ひげは不連続領域間の空地を少なくとも部分的に満たすように延びる。さらなる実施形態において、該巻ひげは引き延ばされ、少なくとも5対1の長さ対幅アスペクト比を有する。
【0018】
ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を含む活性防熱材材料を作製するための方法は、ポリマー樹脂を該発泡性グラファイトの発泡開始温度未満の温度で流動性を有するか、または変形可能とし、発泡性グラファイトを流動性ポリマー樹脂中に混合して該混合物を形成することを含んで提供される。他の方法において、発泡性グラファイトは、重合前に、該ポリマー樹脂として用いるためのモノマーまたはプレポリマーに添加することが可能である。別の実施形態において、方法はポリマー樹脂を溶解し、発泡性グラファイトを該ポリマーと混合し、該混合物を乾燥することを含む。全体混合物重量に対して約1重量%〜約50重量%間の発泡性グラファイトは、該ポリマー樹脂に添加することが可能である。他の実施形態において、全体混合物重量に対して約1重量%〜約30重量%間の発泡性グラファイト、または約30重量%未満、または約20重量%未満、または約10重量%未満、または約5重量%未満の発泡性グラファイトが、該ポリマー樹脂に添加される。一部の実施形態において、該発泡性グラファイト粒子が、実質的に、該ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物中の該ポリマー樹脂内に含有されるか、および/またはそれによりカプセル化されることは望ましい。顔料、充填剤、抗菌薬、加工助剤および安定剤などの他の添加剤も、また、該混合物に添加することが可能である。一つの方法において、ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を含む得られる活性防熱材は、最初に該混合物を該グラファイトの発泡開始温度未満の温度に加熱して該混合物を軟化させることにより塗布することが可能である。
【0019】
本発明で用いるために適する熱安定性布地は、不燃性布地を含む織布、編物、または不織布であることが可能である。不燃性布地を含む熱安定性布地には、メタアラミド、パラアラミドまたはそれらの混合物を挙げることが可能である。熱安定性布地には、さらに、PBI、PBO、モダクリル、FR綿、FRレーヨン、およびそれらの混合物を挙げることが可能である。
【0020】
対流バリアは、対流熱源にさらされる場合に、その背後の層への対流熱伝達を防ぐかまたは減じることが可能である。本明細書において記載される実施形態で用いるための対流バリアは、熱暴露後約10フレイザー未満の最大空気透過率を有する。さらに好ましくは、対流バリアは5フレイザー未満の熱暴露後空気透過率を有する。該対流バリアで用いるために適する熱安定性材料には熱安定性フィルムなどの材料が含まれ、ポリイミド、シリコーン、およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、例えば高密度PTFEまたは延伸PTFE(ePTFE)などの材料が挙げられる。該対流バリアは単一層または多層を含むことが可能である。図6および7において、該対流バリアは多高分子層(30および30’)を含む。図6の実施形態において、対流バリア(30)は、それらの間に配置される活性防熱材材料(20)を有する二つの熱安定性フィルム(30および30’)からなることが可能である。一つの実施形態において、該活性防熱材材料は該対流バリアの多層を結合するために塗布される。
【0021】
本明細書において記載される方法に従って試験し、活性防熱材なし、すなわち外側の布地と該対流バリア間の活性防熱材なしでの実質的に同じ材料により構築された材料と較べた場合に、1カロリー/cm2を超えるか、または2カロリー/cm2を超えるか、または3カロリー/cm2を超えるか、または4カロリー/cm2を超えるか、または5カロリー/cm2を超えるか、または6カロリー/cm2を超えるか、またはより高いTPP増大を達成しながら、約1000g/m2/日を超え、約2000g/m2/日を超え、約3000g/m2/日を超え、約5000g/m2/日を超え、約7000g/m2/日を超え、約9000g/m2/日を超え、約10000g/m2/日を超えるか、またはより高いMVTRを有する熱防護材および積層品は、本明細書において記載される方法により作製することが可能である。
【0022】
本明細書において記載される方法により作製される熱防護材は、好ましくは、例えば、高温環境中で作業する間着用者の快適性を向上させるために低い熱抵抗を有する。衣服中に組み込まれる場合に、低い熱抵抗を有する材料は、着用者の熱ストレスを減じる。低い熱抵抗は、本明細書において記載される試験方法により測定されるCLO値によって表すことができる。高いCLO値は高い熱抵抗を示す。本明細書において記載される方法により作製される熱防護材は、本明細書において記載される方法により作製され試験される場合に、活性防熱材なしでの実質的に同じに構築される材料に較べて、約1カロリー/cm2以上、または約2カロリー/cm2以上、または約3カロリー/cm2以上、または約4カロリー/cm2以上、または約5カロリー/cm2以上、または約6カロリー/cm2以上のTPP増大を達成しながら、約0.45未満、または約0.40未満、または約0.30未満、または約0.20未満、または約0.15未満、または約0.14未満、または約0.13未満、または約0.12未満のCLO値を有することが可能である。
【0023】
本方法により作製される熱防護材および布地複合材は、衣服、テント、ブーツ、グローブおよび伝熱能力防護が必要とされる他の用途において有用であることが可能である。本明細書において記載される熱防護材は、また、対象物または装置の熱からの防護に適していることが見出されることが可能である。
【0024】
本発明の範囲を限定することを意図することなく、以下の実施例は、いかに本発明が作製され用いることが可能であるかを示す。
(試験方法)
【0025】
水蒸気透過率(MVTR)
水蒸気透過率(MVTR)を測定するために用いる試験の説明を以下に記載する。該手順はフィルム、皮膜、および被覆製品を試験するために適することが見出されてきた。
【0026】
この手順において、酢酸カリウム35重量部および蒸留水15重量部からなる溶液約70mlを、その口で6.5cm内径を有する133mlのポリプロピレンカップ中に入れた。米国特許第4,862,730号明細書(クロスビー(Crosby)に対する)に記載されている方法による試験で、約85,000g/m2/24時間の最小MVTRを有する発泡ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜を、該カップの縁にヒートシールして、該溶液を含有するぴんと張って洩れない微小孔性のバリアを作り出した。
【0027】
類似の発泡PTFE膜を水槽表面に取り付けた。該水槽組立品を、温度調節室および水循環槽を用いて23℃プラス0.2℃に調節した。
【0028】
試験しようとする試料を放置して、試験手順を行う前に温度23℃および相対湿度50%に調整した。該微小孔性高分子膜が該水槽表面に取り付けた該発泡ポリテトラフルオロエチレン膜と接触するように試料を置き、放置して、該カップ組立品の導入前に少なくとも15分にわたり平衡状態に置いた。
【0029】
該カップ組立品を最小1/1000g単位まで計量し、逆のやり方で該試験試料の中心上に置いた。
【0030】
その方向での拡散による水の流れを提供する該水槽中の水と該飽和塩溶液間の推進力により、水輸送が行われた。該試料を15分間にわたり試験し、次に、該カップ組立品を取り外し、1/1000g内で再度計量した。
【0031】
該試料のMVTRを該カップ組立品の重量増から計算し、24時間当り、試料表面積平方メートル当りの水のグラム数で表した。
重量
【0032】
材料に関する重量測定をASTM・D751第10項に指定されているように行った。
フレイザー/熱安定性対流バリア
【0033】
対流バリアの熱安定性を測定するために、381mm(15インチ)平方の材料試料を金属枠中に取り付け、次に、260℃(500°F)で強制空気循環オーブン中に吊るした。5分間の暴露後、該試験片を該オーブンから取り外した。該試験片を放置して冷却した後に、該試験片の空気透過率を、ASTM・D737−75“Standard Test Method for AIR PERMEABILITY OF TEXTILE FABRICS”題の試験方法に従って試験した。5フレイザー未満の試験片を、熱安定性対流バリアとして考えた。
垂直燃焼試験
【0034】
布地材料試料についてASTM・D6413試験方法に従って試験した。試料を12秒間にわたり炎にさらした。残炎時間を3試料について平均した。2秒を超える残炎時間を有する布地を可燃性と考え、約2秒以下の残炎時間を有する布地を不燃性と考えた。
融解および熱安定性試験
【0035】
布地材料の熱安定性を測定するためにこの試験を用いた。該試験はNFPA1975第8.3項2004版に記載されている熱安定性試験に基づく。該試験オーブンはISO17493に指定されている熱風循環オーブンであった。ASTM・D751、Standard Test Methods for Coated Fabrics,using the Procedures for Blocking Resistance at Elevated Temperatures(Sections 89−93)に従って該試験を行ったが、以下の修正を行った:
・ 100mm×100mm×3mm(4インチ×4インチ×1/8インチ)寸法のホウケイ酸ガラス板を用いた。
・ 265℃、+3/−0℃(510°F、+5/−0°F)の試験温度を用いた。
・ ガラス板をオーブンから取り外した後、最低1時間は試験片を放置して冷却した。
開いた時にガラス板にくっつくか、それ自身にくっつくか、または融解または滴りの証拠を示すあらゆる試料面は融解性と考えた。融解面の証拠のないあらゆる試料面は熱安定性と考えた。
発泡試験
【0036】
発泡性グラファイト粒子の発泡を測定するためにTMA(熱加工分析)を用いた。発泡をTAインスツルメンツ(Instruments)TMA2940機器を用いて試験した。試料を保持するために、約8mm径および12mm高さ寸法のセラミック(アルミナ)TGAパンを用いた。約6mm径のマクロ発泡プローブを用いて、該パンの底をゼロに設定した。次に、該TMAプローブによる測定で約0.1〜0.3mm深さの発泡性グラファイトの薄片を該パン中に取り付けた。該炉を閉め、初期試料高さを測定した。該炉を10℃/分の温度上昇速度で約25℃から600℃まで加熱した。TMAプローブ変位を温度に対してプロットし、該変位を発泡尺度として用いた。
厚さ変化試験
【0037】
ポリマー樹脂発泡性グラファイト混合物の、それ自身の、および熱安定性基材に塗布された場合の厚さ変化を試験するために、この試験方法を用いた。混合物のみに関する厚さ変化を試験するために、該混合物をPTFE金型中に注入して、約1/2”径および1/8”厚さの錠剤を得ると共に、該混合物が実質的に硬化した後に金型から取り外した。試料について、押さえ径(pressure foot diameter)が1”であることを除いて、ASTM・D751第9項に従って初期厚さを試験した。該機器を調整して約3.4psiの圧力による力を該試験片にかけた。対流型オーブンを300℃に設定し、温度が定常状態に達した後、試料を該オーブン中に導入し、90秒間にわたり300℃にさらした。90秒後、該試料を該オーブンから取り外し、あらゆる皮膜のはげ取りを観察するために垂直方向に保持し、次に、放置して5分間にわたり冷却した。該試料についてオーブン暴露後の厚さを再測定した。該試験後厚さ変化および発泡構造の健全性を書き留めた。
CLO
【0038】
それからこの流れに対するその抵抗性を計算することができる、製品を貫流することができる熱の速度を測定するためにこの試験を用いた。該試験片を二つの板の間に挿入した。下の板を、皮膚温度を表すことを意味する一定温度35℃に保持した。上の板は、熱伝達率hc(W/m2/K)として報告される熱損失を測定する該板の中心に埋め込まれた熱流センサーを有し、逆数はその断熱性、Rct(m2K/W)として報告された。CLOを以下の式により計算した:
CLO=0.155×Rct.
TPP試験法
【0039】
該材料の多試験片(6×6インチ)を、試験のために調製した。NFPA 1971 Standard on Protective Ensemble for Structural Fire Fighting;Section 6−10 of the 2000 editionに従って、CSI熱防護性能(TPP)テスターを用いて熱抵抗を測定した。個々の材料を1/4”スペーサにより試験した。また、多材料レイアップによる全体品または組立品を、該試験法により指定されている接触構造形で試験した。
【実施例】
【0040】
対流バリア1
【0041】
実質的に、共有の米国特許第5,418,054A号明細書に従って対流バリアを作製した。
ポリマー樹脂(PR)1:
【0042】
難燃性ポリウレタン樹脂を、最初に米国特許第4,532,316号明細書に従って樹脂を形成し、次に、全体ポリマー樹脂の約20重量%の量のリン系添加剤(アンチブレーズ(Antiblaze)PR82)を反応器中に添加することにより調製した。
ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物1:
【0043】
難燃性で発泡性のグラファイトを有するポリマー樹脂の混合物を、以下のように調製した。発泡性グラファイトおよびポリマー樹脂の混合物を、約20gの発泡性グラファイト(アズベリー・グラファイト・ミルズ(Asbury Graphite Mills,Inc)からのグレード(Grade)3626)を約80gのPR1と混合することにより調製した。発泡性グラファイト薄片の該樹脂中への混合を、均一な分散液形成性ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物1を確保するために、少なくとも1分間にわたり低剪断手動混合器を用いて約100℃で行った。
ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物2
【0044】
ポリマー樹脂および発泡性グラファイトを含む混合物を調製した。共有の米国特許第4,532,316号明細書に従ってポリマー樹脂を調製した。約20gの発泡性グラファイト(アズベリー・グラファイト・ミルズからのグレード3626)を80gの樹脂に添加して、ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物2を形成した。実質的にポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物1において記載される混合段階に従って混合を達成した。
実施例1:
【0045】
活性防熱材を含む布地を以下のように調製した。サザーン・ミルズ(Southern Mills,Inc)から市販されている7.5oz/yd2重量のデフェンダー(Defender)(商標)、ノーメックス(Nomex)(登録商標)系の織物を、約35グラム/平方メートル(gsm)のレイダウン(laydown)により、該織物表面上の約32%の被覆率を提供するようなやり方で、グラビアローラー(約40psiの圧力により約100℃で)により該ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物2の個々のドットで被覆した。該グラビアロールは、セル深さ1200μm、2500μmのセル開き、および2500μmの間隔を有する丸いドットパターンを有した。被覆織物を48時間にわたり50%RHおよび23℃で放置して硬化させた。
【0046】
該ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物2で被覆した該布地の試料について、本明細書において記載される方法により厚さ変化を試験した。オーブン暴露後、該ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物は、厚さが1500μm増大し、基材から剥げ落ちることはなかった。
【0047】
該ポリマー樹脂−グラファイト混合物2で被覆した該布地の試料についても、また、該被覆面が該TPP熱源から面をそらした側にある個々の材料に対して、本明細書において記載される方法によりTPPを試験し、皮膜なしの同じ織物の対照品と比較した。この実施例に従って調製した該試料は約21.1カロリー/cm2の平均TPPを有した。該対照品は約16.2カロリー/cm2のTPPを有した。
【0048】
該ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物2により被覆した該布地の試料について、本明細書において記載される方法に従っての多層レイアップ状態の全体品として試験した。実施例1の試料を、該TPP熱源から面をそらす側の被覆面を有する外衣として提供した。クロステック(Crosstech)(商標)2C(W.L.ゴア・アンド・アソシエーツ(Gore & Associates,Inc)からの)を防湿層として用い、Q−9(商標)織物(サザーン・ミルズ(Southern Mills,Inc)からの)を断熱層として用いた。該全体品は約59.3カロリー/cm2の平均TPPを有した。対照全体品は、該ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物2なしのデフェンダー・ノーメックス織物を外衣として用いることを除き同じ構造であった。該対照全体品は43.8カロリー/cm2の平均TPPを有した。
実施例2:
【0049】
ノーメックス面織物、対流バリアを含み、それらの間に活性防熱材を有する積層品を以下のように調製した。
【0050】
3.3oz/yd2ノーメックスIIIA平面織物、および対流バリア1を用いて積層品を作製した。該積層品を、織物実施例1に従うやり方で、ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物1の個々のドットを対流バリア1上に印刷することにより構築した。次に、該対流バリアを、約30psiの圧力での挟みを用いて該3.3oz/yd2ノーメックスIIIA織物に付着させた。得られる積層品は、該対流バリアおよび該ノーメックスIIIA織物不燃性面布地層、およびそれらの間にある活性防熱材を含む2層積層品であった。次に、該積層品を、張力を受けた状態でスチールドラム上に持ち上げ、放置して約50%を超える相対湿度で約48時間にわたり硬化させた。
【0051】
材料の試料について、本明細書において記載される方法に従って可燃性、CLOおよびMVTRを評価した。垂直燃焼試験に従って試験した該試料は2秒未満の残炎時間を有する。該試料のTPPを、該ノーメックス面布地側面が熱源にさらされるように該材料を方向付けることにより評価した。個別の試料試験に対する結果を表1に示す。
【0052】
実施例2による該積層品の試料についても、また、本明細書において記載される方法に従っての多層レイアップ状態において図10(100)に示される全体品として試験した。該積層品実施例2の試料を、外衣層(103)としてのデフェンダー(商標)(サザーン・ミルズからの)に面するノーメックス面布地側面を有する該防湿層(102)として提供し、アラライト(Aralite)(商標)織物(サザーン・ミルズからの)を該TPPセンサー(104)に面する遮熱裏地(101)として用いた。該全体品は約46.4カロリー/cm2の平均TPPを有した。
実施例3:
【0053】
ノーメックス面布地、対流バリア、およびそれらの間に活性防熱材を含み、さらに、アラミド裏材料布地を含む積層品を調製した。
【0054】
実施例2からの該2層積層品を、個別のドットパターンにあるPR1を暴露された対流バリア面(ノーメックスIIIA面布地の反対側の)に塗布することによりさらに加工した。次に、1.7oz/yd2アラミド裏材料織布層を、接着印刷された2層積層品およびアラミド裏材料を追加の挟みを通して供給することにより、該2層積層品に付着させた。次に、この調製した3層積層品を、張力を受けた状態でスチールドラム上に持ち上げ、約50%を超える相対湿度で約48時間にわたり放置して硬化させた。
【0055】
該材料の試料について、本明細書において記載される方法に従ってCLOおよびMVTRを評価した。該試料のTPPを、該ノーメックス面布地側面が該熱源にさらされるように該材料を方向付けることにより評価した。結果を表1に示す。
【0056】
実施例3に従って作製された積層品の試料について、また、本明細書において記載される方法に従っての多層レイアップ状態にある全体品として試験した。実施例3の積層品の試料を、外衣層としてのデフェンダー(商標)(サザーン・ミルズからの)に面する3.3oz/yd2ノーメックス面織物側面を有する該防湿層として提供し、アラライト(商標)織物(サザーン・ミルズからの)を該TPPセンサーに面する遮熱裏地として用いた。該全体品は約50.5カロリー/cm2の平均TPPを有した。
実施例4:
【0057】
ノーメックス面布地、ポリウレタンフィルム、およびそれらの間の活性防熱材を含み、さらに、アラミド裏材料布地を含む積層品を調製した。
【0058】
オムニ・フレックス(Omni flex)(マサチューセッツ州、グリーンフィールドの)により部品番号1540で販売されている通気性モノリスの熱可塑性ポリウレタンフィルムを、該2層積層品を構築するために該対流バリア1の代わりに用いたことを除いて、実質的に実施例3の積層品により構築した。
【0059】
材料の試料について、本明細書において記載される方法に従ってTPPを評価した。該試料について、該ノーメックス面織物側面が該熱源にさらされるように該材料を方向付けることによりTPPを評価した。結果を表1に示す。
実施例5:
【0060】
クロステック(商標)2C、対流バリア、およびそれらの間に活性防熱材を含む積層品を調製した。
【0061】
ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物1の個々のドットを対流バリア1上に印刷し、次に、挟みを用いてクロステック(商標)2C(W.L.ゴア・アンド・アソシエーツから市販されている)のフィルム側面に付着させることにより、3層積層品を調製した。該個々のドットを、対流バリア1上の約32%の表面被覆率を提供するようなやり方で、グラビアローラーにより印刷した。得られる積層品は、二つの対流バリア間に個々のパターンで塗布されるポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を有する3層積層品であった。
【0062】
材料の試料について、本明細書において記載される方法に従ってCLOおよびTPPを評価した。該試料について、該ノーメックス織物側面が該熱源にさらされるように該材料を方向付けることによりTPPを評価した。結果を表1に示す。
比較実施例1:
【0063】
それらの間に活性防熱材なしでノーメックス織物および対流バリアを積層することにより複合材を調製した。発泡PTFE対流バリア、およびW.L.ゴア・アンド・アソシエーツ(メリーランド州、エルクトンの)から市販されているクロステック(商標)2Cとして販売されている3.3オンス/平方ヤードのノーメックス織物を含む複合材を調製した。
【0064】
材料の試料について、本明細書において記載される方法に従ってCLOおよびTPPを評価した。該試料について、該ノーメックス面織物側面が該熱源にさらされるように該材料を方向付けることによりTPPを試験した。結果を表1に示す。
【0065】
比較実施例1により作製された該積層品の試料についても、また、本明細書において記載される方法に従って多層レイアップ状態での全体品として試験した。該比較実施例1の試料を、外衣層としてのデフェンダー(商標)(サザーン・ミルズからの)に面する3.3oz/yd2ノーメックス面織物側面を有する防湿層として提供し、アラライト(商標)織物(サザーン・ミルズからの)を該TPPセンサーに面する遮熱裏地として用いた。該全体品は約40.8カロリー/cm2の平均TPPを有した。
比較実施例2:
【0066】
活性防熱材なしでクロステック(商標)2C、およびアラミド裏材料を含む積層品を調製した。
【0067】
W.L.ゴア・アンド・アソシエーツから市販されているクロステック2Cおよび1.7oz/yd2アラミド裏地を含む試料を積層することにより、3層積層品を作製した。
【0068】
材料の試料について、本明細書において記載される方法に従ってCLOおよびTPPを評価した。該試料について、該ノーメックス面織物側面が該熱源にさらされるように該材料を方向付けることによりTPPを試験した。結果を表1に示す。
実施例6:
【0069】
クロステック2C、アラミド裏材料布地、およびそれらの間に活性防熱材を含む積層品を調製した。
【0070】
個々のドットパターン状態にあるポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物1をクロステック(商標)2C材料の暴露されたePTFE側面に塗布し、1.7oz/yd2アラミド裏材料織布層を、該2層積層品および該アラミド裏材料を追加の挟みを通して供給することによって該ePTFE側面に接着することにより、3層積層品を構築した。次に、この調製した3層積層品を、張力を受けた状態でスチールドラム上に持ち上げ、約50%を超える相対湿度で約48時間にわたり放置して硬化させた。
【0071】
該材料の試料について、本明細書において記載される方法に従ってCLOおよび熱防護性能を評価した。該クロステック(商標)2C材料の該ノーメックス面織物側面が該熱源にさらされるように該材料を方向付けた。結果を表1に提供する。
【表1】

【0072】
本発明の特定の実施形態が本明細書において説明され記載されてきたが、一方で、本発明はこうした説明および記載に限定されるべきではない。変更および修正が以下のクレームの範囲内の本発明の一部として組み込まれ、具体化することが可能であることは明白であるはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約2重量%〜約30重量%の発泡性グラファイト、および
200℃で103〜106ダイン/cm2間の弾性率および200℃で0.1〜10間のタンデルタを有する約30重量%〜約98重量%のポリマー樹脂、
を含むポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物であって、該ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物は、90秒間にわたる300℃への暴露後、少なくとも200%の最小厚さ増を有する。
【請求項2】
前記発泡性グラファイトが50〜150間の平均米国標準メッシュサイズを有する、請求項1に記載のポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物。
【請求項3】
90秒間にわたる300℃への暴露後、前記発泡混合物が厚さ試験の際に完全な状態を保持する請求項1に記載の材料。
【請求項4】
90秒間にわたる300℃への暴露後、前記混合物が少なくとも5対1のアスペクト比を有する発泡グラファイトを含む複数個の巻ひげを含む請求項1に記載の材料。
【請求項5】
不燃性で熱安定性の布地を提供し、および
ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を、約140gsm未満の量で、該不燃性で熱安定性の布地の表面に塗布することにより、該不燃性で熱安定性の布地上に活性防熱材を形成して、熱防護材を形成する、
段階を含む、少なくとも2カロリー/cm2分、該不燃性で熱安定性の布地の熱防護性能(TPP)を増大させるための方法。
【請求項6】
前記ポリマー樹脂−発泡性グラファイトのポリマー樹脂が架橋性ポリマーを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物のポリマー樹脂がポリウレタンを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物のポリマー樹脂がエポキシを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物のポリマー樹脂がエラストマー系である、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
TPPを試験する場合に熱にさらされる側面の反対側にある前記不燃性で熱安定性の布地の側面上に前記活性防熱材を形成することを含む請求項5に記載の方法。
【請求項11】
140gsm未満のポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を塗布し、塗布されたポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物それぞれの約35gsm当り少なくとも1カロリー/cm2分、前記不燃性で熱安定性の布地の前記TPPを増大させることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記不燃性で熱安定性の布地がメタアラミド、パラアラミド、またはそれらの混合物を含む請求項5に記載の方法。
【請求項13】
前記不燃性で熱安定性の布地がPBI、PBO、モダクリル、FR綿、またはFRレーヨン、またはそれらの混合物を含む請求項5に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物が、前記不燃性で熱安定性の布地に不連続パターンで塗布される請求項5に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を塗布し、該混合物の個々のドットを不連続に前記不燃性で熱安定性の布地の表面上に形成することを含む請求項5に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を、前記不燃性で熱安定性の布地の表面積の50%未満に塗布することを含む請求項5に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を、前記不燃性で熱安定性の布地の表面積の約50%未満にドットとして塗布し、ドット間の約2000ミクロン以上の間隔を提供することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項18】
さらに、前記不燃性で熱安定性の布地を約90秒間にわたり300℃にさらすと、前記活性防熱材を少なくとも500μm分膨張させることを含む請求項5に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を前記不燃性で熱安定性の布地に塗布する前に、ポリマー樹脂を融解するかまたは溶解し、発泡性グラファイトを融解または溶解ポリマー樹脂中で混合することにより、該ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を形成する段階を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項20】
不燃性で熱安定性の布地と対流バリア間にポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を含む活性防熱材を配置し、該布地および対流バリアを結合し、少なくとも3カロリー/cm2のTPP増大を有する熱防護積層品を形成すること、
を含む、前記不燃性で熱安定性の布地および前記対流バリアの積層品のTPPを増大させるための方法。
【請求項21】
対流バリアがPTFEを含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記対流バリアおよび前記不燃性で熱安定性の布地が、前記ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物により一緒に結合される請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を前記対流バリアに塗布することを含む請求項20に記載の方法。
【請求項24】
不燃性で熱安定性の基材、および
該不燃性で熱安定性の基材に隣接したポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を含む活性防熱材、
を含む熱防護材であって、該活性防熱材の厚さは、300℃に加熱された対流オーブン中で90秒後、少なくとも200%分増大する熱防護材。
【請求項25】
前記ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物が、前記不燃性で熱安定性の基材上に配置される請求項24に記載の熱防護材。
【請求項26】
さらに前記活性防熱材に隣接する対流バリアを含む請求項24に記載の熱防護材。
【請求項27】
前記ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物が前記対流バリアに印刷パターンとして塗布される請求項26に記載の熱防護材。
【請求項28】
前記活性防熱材が前記ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物の個々のドットの印刷パターンである請求項24に記載の熱防護材。
【請求項29】
さらに前記対流バリアに結合される熱安定性裏材料布地を含む請求項26に記載の熱防護材。
【請求項30】
不燃性で熱安定性の布地、
該不燃性で熱安定性の布地に結合される対流バリア、および
該不燃性で熱安定性の布地の反対側の側面上の該対流バリアに塗布されるポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を含む活性防熱材、
を含む熱防護材であって、該活性防熱材の厚さは、300℃に加熱された対流オーブン中で90秒後、少なくとも200%分増大する熱防護材。
【請求項31】
前記ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物が、流動性を有するポリマー樹脂および発泡性グラファイトの混合物として前記対流バリアに塗布される請求項30に記載の熱防護材。
【請求項32】
前記ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物が、前記対流バリア上の不連続印刷パターンとして前記対流バリアに塗布される、流動性を有するポリマー樹脂および発泡性グラファイトの混合物を含む、請求項30に記載の熱防護材。
【請求項33】
前記ポリマー樹脂−発泡性グラファイトが、前記対流バリア上に個々のドットの印刷パターンとして塗布される請求項30に記載の熱防護材。
【請求項34】
前記活性防熱材が個々のドットのパターンにある請求項30に記載の熱防護材。
【請求項35】
さらに前記対流バリアに結合される熱安定性裏材料布地を含む請求項30に記載の熱防護材。
【請求項36】
不燃性で熱安定性の布地を含む外衣織物を提供し、
該外衣織物に隣接して防湿層を提供し、および
該外衣織物の反対側に該防湿層に隣接してアラミド材料を含む内側布地を提供して布地全体品を形成すると共に、
該防湿層に隣接する該外衣布地表面にポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を塗布することにより、少なくとも10カロリー/cm2分、該組立品の接触TPPを増大させること、
を含む全体品のTPPを増大させるための方法。
【請求項37】
前記組立品の接触TPPを少なくとも約12カロリー/cm2分増大させることを含む請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記組立品の接触TPPを少なくとも約15カロリー/cm2分増大させることを含む請求項36に記載の方法。
【請求項39】
不燃性で熱安定性の基材、および
対流バリア、および
該不燃性で熱安定性の基材の一つの側面上に配置されるポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を含む活性防熱材、
を含み、1000g/m2/日を超えるMVTRを有する通気性の熱防護複合材であって、
該活性防熱材の厚さは、300℃に加熱された対流オーブン中で90秒後、少なくとも200%分増大し、且つ
該熱防護複合材は、該活性防熱材なしで構築された実質的に類似の熱防護複合材に較べて、2カロリー/cm2を超えるTPP増大を有する通気性の熱防護複合材。
【請求項40】
前記対流バリアがポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項39に記載の熱防護複合材。
【請求項41】
前記不燃性で熱安定性の基材が不燃性布地を含む、請求項39に記載の熱防護複合材。
【請求項42】
前記不燃性で熱安定性の布地がメタアラミド、パラアラミド、またはそれらの混合物を含む、請求項39に記載の熱防護複合材。
【請求項43】
前記不燃性で熱安定性の布地がPBI、PBO、モダクリル、FR綿、またはFRレーヨン、またはそれらの混合物を含む請求項39に記載の熱防護複合材。
【請求項44】
前記MVTRが3,000g/m2/日を超える、請求項39に記載の熱防護複合材。
【請求項45】
前記MVTRが5,000g/m2/日を超える、請求項39に記載の熱防護複合材。
【請求項46】
前記MVTRが7,000g/m2/日を超える、請求項39に記載の熱防護複合材。
【請求項47】
前記TPP増大が4カロリー/cm2を超える、請求項39に記載の熱防護複合材。
【請求項48】
第1対流バリア、
第2対流バリア、および
該第1および第2対流バリア間のポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を含む活性防熱材、
を含む活性防熱材−対流バリア複合材。
【請求項49】
前記対流バリアの少なくとも一つがポリテトラフルオロエチレンを含む請求項48に記載の複合材。
【請求項50】
前記ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物が、前記対流バリアの少なくとも一つに不連続パターンで塗布される請求項48に記載の複合材。
【請求項51】
前記ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物が、50%未満の表面被覆率を提供するように塗布される請求項48に記載の複合材。
【請求項52】
前記ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物が、前記対流バリアの少なくとも一つに連続層として塗布される請求項48に記載の複合材。
【請求項53】
前記対流バリアが前記活性防熱材により一緒に結合される請求項48に記載の複合材。
【請求項54】
不燃性で熱安定性の布地を提供し、
対流バリアを提供し、
該不燃性で熱安定性の布地に隣接する該対流バリアの表面上にポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を塗布することにより、該対流バリアの表面上に活性防熱材を提供し、
および該不燃性で熱安定性の布地および該対流バリアを結合して、1000g/m2/日を超えるMVTRを有する通気性の熱安定性布地複合材を形成すること、
を含む通気性の熱安定性布地複合材を通して対流熱伝達を減じる方法。
【請求項55】
不燃性で熱安定性の布地を提供し、
対流バリアを提供し、
ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を含む活性防熱材を提供し、
該ポリマー樹脂−発泡性グラファイト混合物を、該不燃性で熱安定性の布地に隣接する該対流バリアの表面上に塗布し、
および該不燃性で熱安定性の布地および該対流バリアを結合して、CLO値により測定されるように、実質的に類似の断熱材を有する該活性防熱材なしの実質的に類似の材料よりも少なくとも約2カロリー/cm2大きくあるTPP値を有する熱防護材を形成すること、
を含む、該材料の断熱材を実質的に増大させることなく少なくとも2カロリー/cm2分、材料の熱防護性能(TPP)を増大させる方法。
【請求項56】
前記TPPが実質的に前記CLO値を変えることなく少なくとも約3カロリー/cm2分増大する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記TPPが実質的に前記CLO値を変えることなく少なくとも約4カロリー/cm2分増大する、請求項55に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−502216(P2011−502216A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531052(P2010−531052)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/012138
【国際公開番号】WO2009/055046
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【出願人】(509138143)ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエーツ,ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (4)
【Fターム(参考)】