説明

燃料処理装置、燃料電池発電システムおよび燃料処理方法

【課題】反応器に対して過度な温度上昇を防ぎ、かつ、運転中の発電出力への影響を低減する。
【解決手段】改質器2は、改質触媒を備え、可燃性の原燃料ガスと空気とを取り入れて、水素を含む改質燃料ガスを改質触媒により生成する。複合反応器9(反応器1および3〜6)は、改質燃料ガス中の一酸化炭素を除去して一酸化炭素除去改質燃料ガスを生成して燃料電池スタック20に供給する。電気ヒーター71〜75は、それぞれ、反応器1および3〜6に設けられた発熱部8を備え、システムの起動時に発熱部8を発熱して反応器1および3〜6の温度を反応器1および3〜6に設定された設定温度まで上昇させる。ここで、発熱部8は、発熱部8の温度の上昇に伴って電気抵抗値が増加する材質が用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電気ヒーターが設けられた燃料処理装置、燃料電池発電システムおよび燃料処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池発電システムにおいて、燃料処理装置は、改質器と複合反応器により、水素を含む改質燃料ガスを生成し、その改質燃料ガスを燃料電池スタックのアノード極に供給する。複合反応器は複数の反応器を含んでいる。複数の反応器の温度がそれぞれ複数の反応器に設定された設定温度以下にならないように、複数の反応器の近傍にはそれぞれ個別に電気ヒーターが設けられている。複数の電気ヒーターは、それぞれ、複数の反応器をジュール熱で外側から加熱する(外部加熱方式)。
【0003】
複数の反応器は、たとえば、第1の水蒸気発生器、一酸化炭素(以下、CO)変成器、CO除去器、第2の水蒸気発生器および熱交換器である。
【0004】
この場合、第1の水蒸気発生器は、水を取り入れて、改質触媒の反応に必要な水蒸気を生成する。熱交換器は、原燃料ガスと、第1の水蒸気発生器からの水蒸気とを取り入れて、改質器に供給する。
【0005】
改質器は、改質触媒を備え、その反応温度が600℃〜700℃くらいである。改質器は、熱交換器からの可燃性の原燃料ガスおよび水蒸気と、空気とを取り入れて、水素を含む改質燃料ガスを改質触媒により生成する。
【0006】
CO変成器は、CO変成触媒を備え、その動作温度が120℃〜350℃の範囲である。この動作温度の範囲をCO変成器に設定された設定温度と称する。CO変成器は、改質器で生成された改質燃料ガス中の10%前後のCOをCO変成触媒により0.5%程度まで低減して、CO変成改質燃料ガスを生成する。
【0007】
第2の水蒸気発生器は、水を取り入れて、CO選択酸化触媒の反応に必要な水蒸気を生成してCO除去器に供給する。
【0008】
CO除去器は、CO選択酸化触媒を備え、その動作温度が80℃〜180℃の範囲である。この動作温度の範囲をCO除去器に設定された設定温度と称する。CO除去器は、CO変成器により生成されたCO変成改質燃料ガスと、第2の水蒸気発生器からの水蒸気と、空気とを取り入れて、CO選択酸化触媒によりCOを選択的に酸化燃焼させて二酸化炭素にすることにより、COを10ppm程度まで除去したCO除去改質燃料ガスを生成する。このCO除去改質燃料ガスは燃料電池スタックのアノード極に供給される。
【0009】
複数の電気ヒーターは、それぞれ、複数の反応器(第1の水蒸気発生器、CO変成器、CO除去器、第2の水蒸気発生器および熱交換器)の近傍に設けられた発熱部を備えている。複数の電気ヒーターは、それぞれ、システムの起動時に発熱部を発熱して複数の反応器を外側から加熱し、複数の反応器の温度を複数の反応器に設定された設定温度まで上昇させる。
【0010】
一方、複数の電気ヒーターは、システムの運転中に複数の反応器(第1の水蒸気発生器、CO変成器、CO除去器、第2の水蒸気発生器および熱交換器)の温度がそれぞれ複数の反応器に設定された設定温度以下にならないように、システムの保護のためにも使われる。しかし、基本的にはシステム内部の熱バランスによりヒーター入力がないように設計されているので、ヒーター容量はそれほど大きくなくてもよい。
【0011】
一般的に、発熱部の電気抵抗体として、従来からニクロムが使用されている。ニクロムは、高価な金属材質ではあるが、周囲の温度が変化してもヒーター出力が一定であることと、高温においても劣化しにくく、耐熱性に優れていること、という特徴がある。
【0012】
ところが、ニクロムは、発熱部の温度の上昇に伴って電気抵抗値が増加しない金属材質である。このため、ヒーター容量が大きい場合、温度がオーバーシュートし、設定温度を大きく超えてしまう状態になったり、一時的に発電出力が大きく低下することにより、安定した運転ができなくなったりする可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平11−130405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで、発熱部の電気抵抗体として、システムの起動時と運転時とでヒーター容量の違うものを設置し、これらをシステムの起動時と運転時とで切り替えることも可能である。その場合、ヒーター容量の違うものを用意する必要があったり、これらを切り替える制御も必要になったりする。このため、システムの大型化やコストアップになり、有効的ではない。
【0015】
また、なるべく温度のオーバーシュートを抑え、起動時間を短縮させるために、通電可能なハニカム構造のヒーターを反応器の内部に入れ、直接通過するガスを加熱する方法(内部加熱方式)もある。しかし、反応器の構造が複雑になったり、ヒーターの不具合が生じたときに交換ができなくなったりするという問題点がある。
【0016】
本発明が解決しようとする課題は、反応器に対して過度な温度上昇を防ぎ、かつ、運転中の発電出力への影響を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
実施形態の燃料処理装置は、水素を含む一酸化炭素除去改質燃料ガスを燃料電池スタックのアノード極に供給する燃料電池発電システムの燃料処理装置において、改質触媒を備え、可燃性の原燃料ガスと空気とを取り入れて、水素を含む改質燃料ガスを前記改質触媒により生成する改質器と、前記改質燃料ガス中の一酸化炭素を除去して前記一酸化炭素除去改質燃料ガスを生成する反応器と、前記反応器に設けられた発熱部を備え、システムの起動時に前記発熱部を発熱して前記反応器の温度を前記反応器に設定された設定温度まで上昇させる電気ヒーターと、を具備し、前記発熱部は、前記発熱部の温度の上昇に伴って電気抵抗値が増加する材質が用いられる、ことを特徴とする。
【0018】
また、実施形態の燃料電池発電システムは、前記燃料処理装置と、前記燃料処理装置に接続された燃料電池スタックと、を具備することを特徴とする。
【0019】
また、実施形態の燃料処理方法は、改質器と、反応器と、前記反応器に設けられた発熱部を備えた電気ヒーターとを具備し、水素を含む一酸化炭素除去改質燃料ガスを燃料電池スタックのアノード極に供給する燃料電池発電システムの燃料処理方法において、前記電気ヒーターの前記発熱部に、前記発熱部の温度の上昇に伴って電気抵抗値が増加する材質を用いるステップと、前記電気ヒーターが、システムの起動時に前記発熱部を発熱して前記反応器の温度を前記反応器に設定された設定温度まで上昇させるステップと、前記改質器が、可燃性の原燃料ガスと空気とを取り入れて、水素を含む改質燃料ガスを改質触媒により生成するステップと、前記反応器が、前記改質燃料ガス中の一酸化炭素を除去して前記一酸化炭素除去改質燃料ガスを生成するステップと、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、反応器に対して過度な温度上昇を防ぎ、かつ、運転中の発電出力への影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態に係る燃料電池発電システムの構成を示すブロック図である。
【図2】発熱部の電気抵抗体として従来の金属材質(ニクロム)および本実施形態の金属材質(ステンレス鋼;SUS304)を例にしたときの温度と抵抗値との関係図である。
【図3】従来のヒーター(ニクロム)および本実施形態のヒーター(ステンレス鋼)を例にしたときのシステムの起動から運転(発電運転)までの温度変化とヒーター出力とを表すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る燃料電池発電システムの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、一実施形態に係る燃料電池発電システムの構成を示すブロック図である。
【0024】
図1に示されるように、一実施形態に係る燃料電池発電システムは、燃料処理装置10と、燃料電池スタック20と、を具備している。燃料処理装置10は、改質器2と、複合反応器9と、複数の電気ヒーター71〜75と、を具備している。
【0025】
複合反応器9は複数の反応器1および3〜6を含んでいる。複数の反応器1および3〜6は、たとえば、第1の水蒸気発生器1、一酸化炭素(以下、CO)変成器3、CO除去器4、第2の水蒸気発生器5および熱交換器6である。
【0026】
この場合、第1の水蒸気発生器1は、水を取り入れて、改質触媒の反応に必要な水蒸気を生成する。熱交換器6は、原燃料ガスと、第1の水蒸気発生器1からの水蒸気とを取り入れて、改質器2に供給する。
【0027】
改質器2は、改質触媒を備え、その反応温度が600℃〜700℃くらいである。改質器2は、熱交換器6からの可燃性の原燃料ガスおよび水蒸気と、空気とを取り入れて、水素を含む改質燃料ガスを改質触媒により生成する。
【0028】
CO変成器3は、CO変成触媒を備え、その動作温度が120℃〜350℃の範囲である。この動作温度の範囲をCO変成器3に設定された設定温度と称する。CO変成器3は、改質器2で生成された改質燃料ガス中の10%前後のCOをCO変成触媒により0.5%程度まで低減して、CO変成改質燃料ガスを生成する。
【0029】
第2の水蒸気発生器5は、水を取り入れて、CO選択酸化触媒の反応に必要な水蒸気を生成してCO除去器4に供給する。
【0030】
CO除去器4は、CO選択酸化触媒を備え、その動作温度が80℃〜180℃の範囲である。この動作温度の範囲をCO除去器4に設定された設定温度と称する。CO除去器4は、CO変成器3により生成されたCO変成改質燃料ガスと、第2の水蒸気発生器5からの水蒸気と、空気とを取り入れて、CO選択酸化触媒によりCOを選択的に酸化燃焼させて二酸化炭素にすることにより、COを10ppm程度まで除去したCO除去改質燃料ガスを生成する。このCO除去改質燃料ガスは燃料電池スタック20のアノード極に供給される。
【0031】
燃料電池スタック20は、カソード極に供給される酸化剤ガスとアノード極に供給される改質燃料ガスとが電気化学的に反応することにより、酸素と水素から水を生成する過程で電気エネルギーを発生させる。
【0032】
複数の電気ヒーター71〜75は、それぞれ、複数の反応器1および3〜6(第1の水蒸気発生器1、CO変成器3、CO除去器4、第2の水蒸気発生器5および熱交換器6)の近傍に設けられた発熱部8を備えている。複数の電気ヒーター71〜75は、それぞれ、システムの起動時に発熱部8を発熱して複数の反応器1および3〜6を外側から加熱し、複数の反応器の温度をそれぞれ複数の反応器に設定された設定温度まで上昇させる。
【0033】
一方、複数の電気ヒーター71〜75は、システムの運転中に複数の反応器1および3〜6の温度がそれぞれ複数の反応器1および3〜6に設定された設定温度以下にならないように、システムの保護のためにも使われる。しかし、基本的にはシステム内部の熱バランスによりヒーター入力がないように設計されているので、ヒーター容量はそれほど大きくなくてもよい。
【0034】
その複数の電気ヒーター71〜75の発熱部8の電気抵抗体には、ステンレス鋼が用いられる。ステンレス鋼は、発熱部8の温度の上昇に伴って電気抵抗値が増加する金属材質である。このステンレス鋼としては、JIS規格(日本工業規格;Japanese Industrial Standards)でSUS304などのオーステナイト系ステンレス鋼や、JIS規格でSUS430などのフェライト系ステンレス鋼が例示される。
【0035】
図2は、発熱部8の電気抵抗体として従来の金属材質(ニクロム)および本実施形態の金属材質(ステンレス鋼;SUS304)を例にしたときの温度と抵抗値との関係を示している。
【0036】
例えば、周囲の温度が常温(20℃)であるような環境において、ニクロムおよびステンレス鋼(SUS304)を発熱部8の電気抵抗体とし、それらを同じ抵抗値で設計したものとする。この場合、図2に示されるように、400℃のような環境では、発熱部8の電気抵抗体がニクロムの場合では、その電気抵抗値が常温時のわずか2%の増加であるが、発熱部8の電気抵抗体がステンレス鋼の場合では、その電気抵抗値が約40%も増加する。その結果、発熱部8の電気抵抗体がステンレス鋼の場合では、発熱部8にかかる電圧を一定とすると電流が40%低下するため、ヒーター出力が40%低下することになる。
【0037】
図3は、従来のヒーター(ニクロム)および本実施形態のヒーター(ステンレス鋼)を例にしたときのシステムの起動から運転(発電運転)までの温度変化とヒーター出力とを表すタイミングチャートである。ここで、上述の設定温度を設定温度Tと称する。
【0038】
図3に示されるように、発熱部8の電気抵抗体として、ニクロムを用いる場合では、システムが起動してから反応器の温度が設定温度Tに近くなっても、ヒーター出力は、出力値Waのまま変わらない。このため、反応器の温度は、このまま設定温度Tを超えて、設定温度Tよりもはるかに高い温度Taまでオーバーシュートする。
【0039】
これに対して、発熱部8の電気抵抗体として、発熱部8の温度の上昇に伴って電気抵抗値が増加する金属材質を用いる場合では、システムが起動してから反応器の温度の上昇に伴って電気抵抗値が増加することにより、ヒーター出力は、出力値Waから、出力値Waよりも小さい出力値Wbに変化する。このため、システムが起動してから反応器の温度が設定温度Tまで到達する時間は、発熱部8の電気抵抗体がニクロムの場合に比べて遅れるが、反応器の温度は、設定温度Tをほとんど超えない。仮に反応器の温度がオーバーシュートしても、設定温度Tよりも僅かに大きい温度Tb程度である。
【0040】
このように、発熱部8の電気抵抗体として、発熱部8の温度の上昇に伴って電気抵抗値が増加する金属材質を用いる場合では、過熱防止効果がある。
【0041】
ただし、発熱部8の電気抵抗体として、発熱部8の温度の上昇に伴って電気抵抗値が増加する金属材質を用いる場合では、反応器の温度が設定温度Tまで到達するときの電気抵抗値が、常温時における電気抵抗値の150%を超えて増加してしまうと、ヒーター出力の低下により、反応器の温度を設定温度Tに昇温するための時間がかかり過ぎてしまう。昇温時間を1時間以内とした場合、設定温度Tにおける電気抵抗値の変化は、常温における電気抵抗値に対して150%以内であることが望ましい。
【0042】
逆に、設定温度Tにおける電気抵抗値の変化が常温における電気抵抗値に対して110%未満になると、温度上昇におけるヒーター出力の低下の効果が期待できず、設定温度Tに対して大きくオーバーシュートすることになる。
【0043】
したがって、発熱部8は、反応器の温度を所定温度に上昇させるときに、その電気抵抗値が常温時における電気抵抗値の110%〜150%の範囲になる金属材質が用いられることが望ましい。その金属材質として、上述のように、SUS304などのオーステナイト系ステンレス鋼や、SUS430などのフェライト系ステンレス鋼であることが好ましい。
【0044】
また、発電運転中においては、基本的には、燃料処理装置10は複数の電気ヒーター71〜75の出力による補助はいらなくなるが、発電移行直後や、負荷追従など燃料処理装置10内が過渡的な状態であるとき、一時的に設定温度Tよりも低くなる場合がある。その際、複数の電気ヒーター71〜75により、複数の反応器1および3〜6の温度をそれぞれ複数の反応器1および3〜6に設定された設定温度T以下にならないように保持しようとする。
【0045】
そこで、複数の電気ヒーター71〜75の各々の発熱部8にニクロムを使用した場合では、発熱部8の温度の上昇に伴って電気抵抗値が増加しないため、複数の電気ヒーター71〜75の出力はほぼ同じである。このため、反応器を必要以上に加熱してしまい、システムの発電電力への影響が大きい。
【0046】
一方、複数の電気ヒーター71〜75の各々の発熱部8にステンレス鋼を使用した場合では、発熱部8の温度の上昇に伴って電気抵抗値が増加するため、複数の電気ヒーター71〜75の出力は低減される。たとえば、図2に示されるように、発熱部8の電気抵抗体がSUS304であり、温度が400℃であるような雰囲気であれば、ヒーター出力が常温時の70%程度に低減される。このため、システムの発電電力への影響を従来よりも小さくすることができる。
【0047】
上述のように、複数の反応器1および3〜6のうちのCO変成器3およびCO除去器4は、触媒を用いる反応器である。このため、複数の電気ヒーター71〜75の各々の発熱部8にステンレス鋼を使用した場合では、上述の効果に加えて、触媒を用いる反応器に対しても有効的である。
【0048】
その理由として、CO変成器3およびCO除去器4の温度が上がったときにヒーター出力が大きい場合、触媒が劣化してしまう。このため、CO変成器3およびCO除去器4の温度が上がったときにヒーター出力が低下することが好ましい。したがって、CO変成器3およびCO除去器4の近傍にそれぞれ電気ヒーター72および73を設置する場合、電気ヒーター72および73の発熱部8の金属材質として、ステンレス鋼が用いられることが好ましい。
【0049】
複数の電気ヒーター71〜75の発熱部8の電気抵抗体をステンレス鋼にする際、ステンレス鋼の種類は、それぞれ、複数の反応器1および3〜6(第1の水蒸気発生器1、CO変成器3、CO除去器4、第2の水蒸気発生器5および熱交換器6)に設定される設定温度によって選択される。すなわち、用途にあわせてステンレス鋼の種類が選択される。
【0050】
たとえば、200℃以下の設定温度が設定された反応器(第1の水蒸気発生器1、CO除去器4、第2の水蒸気発生器5および熱交換器6)の場合、その近傍に設置される電気ヒーター71および73〜75の発熱部8の電気抵抗体をSUS430などのフェライト系ステンレス鋼にする。一方、200℃を超える設定温度が設定された反応器(CO変成器3)の場合、その近傍に設置される電気ヒーター72の発熱部8の電気抵抗体をSUS304などのオーステナイト系ステンレス鋼にする。このように、反応器に設定された設定温度に応じてステンレス鋼の種類を使い分けることもできる。
【0051】
以上の説明により、本実施形態によれば、複数の電気ヒーター71〜75の発熱部8に対して、発熱部8の温度の上昇に伴って電気抵抗値が増加する金属材質を用いることにより、複数の反応器1および3〜6の各々に対して過度な温度上昇を防ぎ、かつ、運転中の発電出力への影響を低減することができる。
【0052】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更することができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1 … 反応器(第1の水蒸気発生器)
2 … 改質器
3 … 反応器(CO変成器)
4 … 反応器(CO除去器)
5 … 反応器(第2の水蒸気発生器)
6 … 反応器(熱交換器)
8 … 発熱部
9 … 複合反応器
10 … 燃料処理装置
20 … 燃料電池スタック
71 … 電気ヒーター
72 … 電気ヒーター
73 … 電気ヒーター
74 … 電気ヒーター
75 … 電気ヒーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を含む一酸化炭素除去改質燃料ガスを燃料電池スタックのアノード極に供給する燃料電池発電システムの燃料処理装置において、
改質触媒を備え、可燃性の原燃料ガスと空気とを取り入れて、水素を含む改質燃料ガスを前記改質触媒により生成する改質器と、
前記改質燃料ガス中の一酸化炭素を除去して前記一酸化炭素除去改質燃料ガスを生成する反応器と、
前記反応器に設けられた発熱部を備え、システムの起動時に前記発熱部を発熱して前記反応器の温度を前記反応器に設定された設定温度まで上昇させる電気ヒーターと、
を具備し、
前記発熱部は、前記発熱部の温度の上昇に伴って電気抵抗値が増加する材質が用いられる、
ことを特徴とする燃料処理装置。
【請求項2】
前記発熱部は、前記反応器の温度を前記設定温度に上昇させるときに、その電気抵抗値が常温時における電気抵抗値の110%〜150%の範囲になる材質が用いられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料処理装置。
【請求項3】
前記反応器は、
一酸化炭素変成触媒を備え、前記改質燃料ガス中の一酸化炭素を前記一酸化炭素変成触媒により低減して、一酸化炭素変成改質燃料ガスを生成する一酸化炭素変成器と、
一酸化炭素選択酸化触媒を備え、前記空気と前記一酸化炭素変成改質燃料ガスとを取り入れて、前記一酸化炭素選択酸化触媒により一酸化炭素を選択的に酸化燃焼させ、前記一酸化炭素除去改質燃料ガスを生成する一酸化炭素除去器と、
を具備することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料処理装置。
【請求項4】
前記反応器は、
水を取り入れて、前記改質触媒の反応に必要な水蒸気を生成して前記改質器に供給する第1の水蒸気発生器と、
水を取り入れて、前記一酸化炭素選択酸化触媒の反応に必要な水蒸気を生成して前記一酸化炭素除去器に供給する第2の水蒸気発生器と、
をさらに具備することを特徴とする請求項3に記載の燃料処理装置。
【請求項5】
前記反応器は、
前記原燃料ガスと前記第1の水蒸気発生器から水蒸気とを取り入れて、前記改質器に供給する熱交換器と、
をさらに具備することを特徴とする請求項4に記載の燃料処理装置。
【請求項6】
前記発熱部の材質は、オーステナイト系ステンレス鋼である、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の燃料処理装置。
【請求項7】
前記発熱部の材質は、フェライト系ステンレス鋼である、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の燃料処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の燃料処理装置と、
前記燃料処理装置に接続された燃料電池スタックと、
を具備することを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項9】
改質器と、反応器と、前記反応器に設けられた発熱部を備えた電気ヒーターとを具備し、水素を含む一酸化炭素除去改質燃料ガスを燃料電池スタックのアノード極に供給する燃料電池発電システムの燃料処理方法において、
前記電気ヒーターの前記発熱部に、前記発熱部の温度の上昇に伴って電気抵抗値が増加する材質を用いるステップと、
前記電気ヒーターが、システムの起動時に前記発熱部を発熱して前記反応器の温度を前記反応器に設定された設定温度まで上昇させるステップと、
前記改質器が、可燃性の原燃料ガスと空気とを取り入れて、水素を含む改質燃料ガスを改質触媒により生成するステップと、
前記反応器が、前記改質燃料ガス中の一酸化炭素を除去して前記一酸化炭素除去改質燃料ガスを生成するステップと、
を具備することを特徴とする燃料処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−32249(P2013−32249A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169796(P2011−169796)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(301060299)東芝燃料電池システム株式会社 (358)
【Fターム(参考)】