説明

燃料噴射弁駆動制御装置

【課題】燃料噴射弁に供給する電流をピーク電流から保持電流に急峻に立下げた後において、燃料噴射弁の残留エネルギに起因して保持電流より高い盛り上がり電流が発生してしまうことを効果的に抑えることのできる燃料噴射弁駆動制御装置を提供する。
【解決手段】供給電流20BがIpに達すると、第1、第2、及び第3のスイッチング素子2、4、6の全てを遮断して、保持電流下限閾値Lまで急峻に立ち下げ、保持電流下限閾値Lより低下すると、第1のスイッチング素子2を遮断したまま第2及び第3のスイッチング素子4、6を通電させて、供給電流20Bを上昇させ、その後、保持電流上限閾値Hに達すると、第1及び第2のスイッチング素子2、4を遮断するとともに、第3のスイッチング素子6を通電して供給電流20Bを低下させるピーク後処理を行っても、供給電流20Bが保持電流上限閾値Hを越えている場合は、第3のスイッチング素子6を供給電流20Bが保持電流下限閾値Lに下がるまで遮断するようにされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の燃料供給系等に使用される燃料噴射弁駆動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用エンジンの技術分野においては、筒内(燃焼室内)に直接燃料を噴射する筒内噴射式エンジンの実用化が進んでいる。この筒内噴射式エンジンでは、特に希薄燃焼による排気エミッション特性や燃費の向上が課題となっている。
【0003】
筒内直接噴射型燃料噴射弁を制御する従来の制御装置は、バッテリ電圧よりも高い電圧に昇圧する昇圧回路を設け、昇圧回路により発生させた昇圧電圧により、短期間に燃料噴射弁への供給電流を上昇させる方式を採用するものが多い。
【0004】
代表的な電流波形は、通電初期のピーク電流通電期間に昇圧電圧を用い、燃料噴射弁供給電流を予め定められたピーク電流まで短時間に上昇させる。このピーク電流は、吸気ポートに噴射する方式の燃料噴射弁供給電流と比較して、5〜20倍程度大きい。
【0005】
ピーク電流の通電期間が終了した後は、燃料噴射弁へのエネルギー供給源は、昇圧電圧からバッテリ電源へ移行する。ピーク電流に比べて1/2〜1/3程度の第1の保持停止電流で制御される第1の保持電流を経て、更に、その2/3〜1/2程度の第2保持停止電流で制御される第2保持電流へと移行する。ピーク電流と第1の保持電流によって、燃料噴射弁は開弁し、燃料を気筒内に噴射する。
【0006】
噴射終了時は、燃料噴射弁の閉弁を速やかに行うため、燃料噴射弁へ供給(通電)する電流(以下供給電流と称す)の電流降下を急峻に行い、供給電流を遮断する必要がある。
【0007】
このように、燃料噴射弁を駆動するには大きなエネルギーを必要とするため、燃料噴射弁及びその駆動回路の発熱を抑えるために、いろいろな駆動電流パターンが存在する。
【0008】
例えば特許文献1に所載のように、ピーク電流から保持電流へ切り換える際、電流を急峻に立ち下げて保持電流にするパターンや、ピーク電流から第1の保持電流へは還流電流を使いゆっくり切り換え、第1の保持電流から第2の保持電流へは電流を急峻に立ち下げて切り換えるパターン等、組み合わせを変えると非常に多くのパターンが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−106847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、上記特許文献1に所載のような燃料噴射弁駆動電流パターンで駆動すると、ピーク電流から保持電流に急峻に切り換えた直後は、燃料噴射弁の残留エネルギーにより、目標とする保持電流より高くなる、盛り上がり電流が発生する。
【0011】
このように、供給電流をピーク電流から保持電流に急峻に立ち下げた直後に発生する盛り上がり電流は、バッテリ電圧や周囲温度等、いろんな要因でばらつくため、燃料噴射弁を流れる電流は不安定となり、燃料噴射弁の噴射特性にも影響を与えてしまう。
【0012】
例えば、アイドル付近の燃料噴射量が少ない領域では、ピーク電流から保持電流に切り換わった直後位で、燃料噴射弁を閉弁するような噴射時間となる。このとき、燃料噴射弁の残留エネルギーにより燃料噴射弁を流れる電流が不安定となると、閉弁にかかる時間もそれに比例してばらつくため、燃料噴射量もそれに応じてばらつく。
【0013】
つまり、燃料噴射弁の噴射時間をTi、閉弁にかかる時間のばらつきをΔTcとすると、燃料噴射量ばらつきはΔTc/Tiであらわすことができ、燃料噴射弁噴射時間Tiが大きくなると閉弁ばらつきΔTcの影響は小さくなるが、Tiが小さくなると、閉弁ばらつきΔTcの影響が大きくなる。
【0014】
更に、燃料噴射弁噴射時間Tiの小さい領域で、燃料噴射弁の残留エネルギーにより燃料噴射弁に流れる電流が不安定になるため、閉弁ばらつきΔTcが大きくなり、燃料噴射量ばらつきは更に大きくなる。
【0015】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、燃料噴射弁に供給する電流をピーク電流から保持電流に急峻に立ち下げた後において、燃料噴射弁の残留エネルギに起因して保持電流より高い盛り上がり電流が発生してしまうことを効果的に抑えることのできる燃料噴射弁駆動制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成すべく、本発明に係る燃料噴射弁駆動制御装置は、基本的には、バッテリ電圧を昇圧した昇圧電圧を用いて燃料噴射弁に電流を流すために、該燃料噴射弁の上流側に配在された第1のスイッチング素子と、前記バッテリ電圧を用いて前記燃料噴射弁に電流を流すために、該燃料噴射弁の上流側に配在された第2のスイッチング素子と、前記燃料噴射弁に流れる電流を制御するために、該燃料噴射弁の下流側に配在された第3のスイッチング素子と、を備え、前記燃料噴射弁に供給される電流がピーク電流閾値に達すると、前記第1、第2、及び第3のスイッチング素子の全てを遮断して、前記供給電流を保持電流下限閾値まで急峻に立ち下げ、前記供給電流が前記保持電流下限閾値より低下すると、前記第1のスイッチング素子を遮断したまま第2及び第3のスイッチング素子を通電させて、前記供給電流を上昇させ、その後、前記供給電流が保持電流上限閾値に達すると、前記第1及び第2のスイッチング素子を遮断するとともに、前記第3のスイッチング素子を通電して前記供給電流を低下させるピーク後処理を行うようにされ、前記ピーク後処理を行っても前記供給電流が前記保持電流上限閾値を越えている場合は、前記第3のスイッチング素子を前記供給電流が前記保持電流下限閾値に下がるまで遮断することを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る燃料噴射弁駆動制御装置では、従来の回路構成を変更せずに、電流制御処理内容を変えることで、燃料噴射弁の残留エネルギに起因して発生する盛り上がり電流を効果的に抑えることができる。そのため、燃料噴射量のばらつき等を抑えることができ、燃料噴射量制御精度を高く維持でき、費用対効果に優れたものとなる。
上記した以外の、課題、構成、及び効果は、以下の実施形態により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る燃料噴射弁駆動制御装置の一実施形態(第1実施例、第2実施例及び従来例)の回路構成図。
【図2】従来の電流制御による燃料噴射弁供給電流等の変化を示すタイムチャート。
【図3】本発明の第1実施例の電流制御による燃料噴射弁供給電流等の変化を示すタイムチャート。
【図4】本発明の第2実施例の電流制御による燃料噴射弁供給電流等の変化を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明に係る燃料噴射弁駆動制御装置の一実施形態(第1実施例、第2実施例、及び従来例)の回路構成図であり、自動車用燃料噴射装置の1気筒分の回路を示している。図示回路構成自体は、従来のものと同じであるが、本発明実施例と従来例とでは、その電流制御処理内容が異なる。
【0020】
図1に示される燃料噴射弁駆動回路は、バッテリ1と、燃料噴射弁20と、バッテリ電圧1Aから高電圧100Aを発生する昇圧回路100と、燃料噴射弁20に燃料噴射弁駆動電流20Bを供給する燃料噴射弁通電回路200とを備えている。
【0021】
燃料噴射弁通電回路200は、高電圧100Aを燃料噴射弁20に印加するFET2(第1のスイッチング素子)と、FET2への電流逆流阻止用のダイオード3と、バッテリ電圧1Aを燃料噴射弁20に印加するFET4(第2のスイッチング素子)と、FET4への電流逆流阻止用のダイオード5と、燃料噴射弁供給電流20Bの下流用FET6(第3のスイッチング素子)と、FET6に流れる電流6Bを検出する抵抗7と、燃料噴射弁供給電流20Bを還流させるためのダイオード9と、FET6の遮断時に燃料噴射弁供給電流20Bを昇圧回路に回生するダイオード8と、回生時の電流を検出する抵抗10と、燃料噴射弁20を駆動する燃料噴射パルス(出力信号)201Aを発生する出力信号処理回路201と、供給される燃料噴射パルス(出力信号)201Aに基づいてゲート信号2A、4A、6Aを発生するゲート制御回路202とを備えている。
【0022】
以下、上述のように構成された燃料噴射弁駆動回路の動作を説明する。
図2は、従来の電流制御による、(A)燃料噴射パルス201Aと、(B)燃料噴射弁に供給される電流(供給電流と略すことがある)20Bと、(C)燃料噴射弁上流側電圧20Aと、(D)燃料噴射弁下流側電圧20Cの変化を示すタイムチャートである。
【0023】
燃料噴射パルス201AがLowからHighに変化すると(時点t1)、燃料噴射弁20にピーク電流を流すために、FET2とFET6をON(通電)させ燃料噴射弁20に高電圧100Aを印加して、供給電流20Bを流し始める。
【0024】
供給電流20BがIp(ピーク電流閾値)に達すると(時点t2)、FET2、FET4、FET6をOFF(遮断)させ燃料噴射弁20へのエネルギーを遮断し供給電流20Bを急峻に立ち下げる。このとき、燃料噴射弁20から逆起電力が発生し、その逆起電力はダイオード8を介して昇圧回路100に回生する。この間、抵抗10を使って供給電流20Bをモニタし、保持電流L(保持電流下限閾値)に達するまでFET2、FET4、FET6のOFFを継続する。
【0025】
燃料噴射弁供給電流20Bが保持電流Lに達すると(時点t3)、FET4、FET6をONさせて、バッテリ電圧1Aを燃料噴射弁20に印加して燃料噴射弁供給電流20Bを増加させる。この時燃料噴射弁20には残留エネルギーがあるため、燃料噴射弁供給電流20Bは急激に増加する。
【0026】
燃料噴射弁供給電流20Bが増加し保持電流H(保持電流上限閾値)に達すると、FET4をOFFさせ、FET6はONのままとし、ダイオード9を介して電流を還流させ燃料噴射弁供給電流を低下させる。しかし、燃料噴射弁20には残留エネルギーがあるため、電流は低下せずに増加してしまう(時点t3-t4)。
【0027】
残留エネルギーを消費すると、燃料噴射弁供給電流20Bは低下し保持電流Lに達するとFET4をONさせ、バッテリ電圧1Aを燃料噴射弁20に印加して燃料噴射弁供給電流20Bを増加させる。このとき、燃料噴射弁20には残留エネルギーが無いため、燃料噴射弁供給電流20Bはゆっくり上昇する。
【0028】
燃料噴射パルス201AがHighからLowに切り換わるまで(時点t7)、上記動作を繰り返し、燃料噴射パルス201AがHighからLowに切り換わると、FET2、FET4、FET6をOFFさせる。このとき発生する燃料噴射弁20の逆起電力は、ダイオード8を介し昇圧回路100へ回生し、燃料噴射弁供給電流20Bを急峻に立下げる。
【0029】
<第1実施例>
図3は、本発明第1実施例の電流制御による、(A)燃料噴射パルス201Aと、(B)燃料噴射弁に供給される電流20Bと、(C)燃料噴射弁上流側電圧20Aと、(D)燃料噴射弁下流側電圧20Cの変化を示すタイムチャートである。
【0030】
燃料噴射パルス201AがLowからHighに変化すると(時点t1)、燃料噴射弁20にピーク電流を流すために、FET2とFET6をONさせ燃料噴射弁20に高電圧100Aを印加して、燃料噴射弁供給電流20Bを流し始める。
【0031】
供給電流20BがIpに達すると、FET2、FET4、FET6をOFFさせ燃料噴射弁20へのエネルギーを遮断し燃料噴射弁供給電流20Bを急峻に立下げる(時点t2)。このとき、燃料噴射弁20から逆起電力が発生し、その逆起電力はダイオード8を介して昇圧回路100に回生する。この間、抵抗10を使って燃料噴射弁供給電流20Bをモニタし、保持電流L(保持電流下限閾値)に達するまでFET2、FET4、FET6のOFFを継続する。
【0032】
供給電流20Bが保持電流Lに達すると(時点t3)、FET4、FET6をONさせて、バッテリ電圧1Aを燃料噴射弁20に印加して供給電流20Bを増加させる。この時燃料噴射弁20には残留エネルギーがあるため、供給電流20Bは急激に増加する。
【0033】
供給電流20Bが増加し保持電流H(保持電流上限閾値)に達すると(時点t4)、FET4をOFFさせ、FET6はONのままとし、ダイオード9を介して電流を還流させ燃料噴射弁供給電流を低下させる。しかし、燃料噴射弁20には残留エネルギーがあり電流は低下せずに増加してしまう。
【0034】
そこで、次のようなピーク後処理を行う。すなわち、燃料噴射弁20の残留エネルギーにより増加した燃料噴射弁供給電流20Bが、保持電流H(保持電流上限閾値)より高く設定された保持電流HH(保持電流制限値)に達すると(時点t5)、FET2、FET4、FET6をOFFさせることにより、残留エネルギーはダイオード8を介し昇圧回路100へ回生する。この間、抵抗10を使って燃料噴射弁供給電流20Bをモニタし、保持電流Lに達するまでFET2、FET4、FET6のOFFを継続する。
【0035】
供給電流20Bが保持電流Lに達すると、FET4、FET6をONさせて、バッテリ電圧1Aを燃料噴射弁20に印加して燃料噴射弁供給電流20Bを増加させる。
【0036】
供給電流20Bが増加し保持電流Hに達すると、FET4をOFFさせ、FET6はONのままとし、ダイオード9を介して電流を還流させ燃料噴射弁供給電流を低下させる。
【0037】
燃料噴射パルス201AがHighからLowに切り換わるまで、上記動作を繰り返し、燃料噴射パルス201AがHighからLowに切り換わると(時点t7)、FET2、FET4、FET6をOFFさせる。このとき発生する燃料噴射弁20の逆起電力は、D8を介し昇圧回路100へ回生し、燃料噴射弁供給電流20Bを急峻に立下げる。
【0038】
<第2実施例>
図4は、本発明第2実施例の電流制御による、(A)燃料噴射パルス201Aと、(B)燃料噴射弁に供給される電流20Bと、(C)燃料噴射弁上流側電圧20Aと、(D)燃料噴射弁下流側電圧20Cの変化を示すタイムチャートである。
【0039】
燃料噴射パルス201AがLowからHighに変化すると(時点t1)、燃料噴射弁20にピーク電流を流すために、FET2とFET6をONさせ燃料噴射弁20に高電圧100Aを印加して、燃料噴射弁供給電流20Bを流し始める。
【0040】
供給電流20BがIpに達すると、FET2、FET4、FET6をOFFさせ燃料噴射弁20へのエネルギーを遮断し燃料噴射弁供給電流20Bを急峻に立下げる(時点t2)。このとき、燃料噴射弁20から逆起電力が発生し、その逆起電力はダイオード8を介して昇圧回路100に回生する。この間、抵抗10を使って燃料噴射弁供給電流20Bをモニタし、保持電流L(保持電流下限閾値)に達するまでFET2、FET4、FET6のOFFを継続する。
【0041】
燃料噴射弁供給電流20Bが保持電流Lに達すると(t3)、FET4、FET6をONさせて、バッテリ電圧1Aを燃料噴射弁20に印加して燃料噴射弁供給電流20Bを増加させる。このとき燃料噴射弁20には残留エネルギーがあるため、燃料噴射弁供給電流20Bは急激に増加する。
【0042】
供給電流20Bが増加し保持電流H(保持電流上限閾値)に達すると(時点t4)、FET4をOFFさせ、FET6はONのままとし、ダイオード9を介して電流を還流させ、燃料噴射弁供給電流を低下させる。しかし、燃料噴射弁20には残留エネルギーがあり電流は低下せずに増加してしまう。
【0043】
そこで、次のようなピーク後処理を行う。すなわち、燃料噴射弁20の残留エネルギーにより増加した供給電流20Bが、保持電流Hを超えた状態が所定時間(保持電流制限時間Ta=時点t4からt5までの期間)経過すると、FET2、FET4、FET6をOFFさせて、残留エネルギーをダイオード8を介し昇圧回路100へ回生する。この間、抵抗10を使って供給電流20Bをモニタし、保持電流Lに達するまでFET2、FET4、FET6のOFFを継続する。
【0044】
燃料噴射弁供給電流20Bが保持電流Lに達すると、FET4、FET6をONさせて、バッテリ電圧1Aを燃料噴射弁20に印加して燃料噴射弁供給電流20Bを増加させる。
【0045】
供給電流20Bが増加し保持電流Hに達すると、FET4をOFFさせ、FET6はONのままとし、D9を介して電流を還流させ燃料噴射弁供給電流を低下させる。
燃料噴射パルス201AがHighからLowに切り換わるまで(時点t7)、上記動作を繰り返し、燃料噴射パルス201AがHighからLowに切り換わると、FET2、FET4、FET6をOFFさせる。このとき発生する燃料噴射弁20の逆起電力は、D8を介し昇圧回路100へ回生し、燃料噴射弁供給電流20Bを急峻に立下げる。
【0046】
以上の説明から理解されるように、本発明実施例では、従来の回路構成を変更せずに、電流制御処理内容を変えることで、燃料噴射弁の残留エネルギに起因して発生する盛り上がり電流を効果的に抑えることができる。そのため、燃料噴射量のばらつき等を抑えることができ、燃料噴射量制御精度を高く維持でき、費用対効果に優れたものとなる。
【符号の説明】
【0047】
1・・・バッテリ、1A・・・バッテリ電圧、2・・・高電圧印加用FET(第1のスイッチング素子)、2A、4A、6A・・・ゲート信号、3・・・逆流阻止ダイオード、4・・・バッテリ電圧印加用FET(第2のスイッチング素子)、5・・・逆流阻止ダイオード、6・・・下流側FET(第3のスイッチング素子)、6B・・・通電電流、7・・・電流検出抵抗、8・・・回生ダイオード、9・・・還流ダイオード、20・・・燃料噴射弁、20B・・・燃料噴射弁供給電流、100A・・・高電圧、100・・・昇圧回路、200・・・燃料噴射弁通電回路、201・・・出力信号処理回路、201A・・・燃料噴射パルス、202・・・ゲート制御回路、Ip・・・ピーク電流閾値、L・・・保持電流(保持電流下限閾値)、H・・・保持電流(保持電流上限閾値)、HH・・・保持電流制限値、Ta・・・保持電流制限時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ電圧を昇圧した昇圧電圧を用いて燃料噴射弁に電流を流すために、該燃料噴射弁の上流側に配在された第1のスイッチング素子と、前記バッテリ電圧を用いて前記燃料噴射弁に電流を流すために、該燃料噴射弁の上流側に配在された第2のスイッチング素子と、前記燃料噴射弁に流れる電流を制御するために、該燃料噴射弁の下流側に配在された第3のスイッチング素子と、を備え、前記燃料噴射弁に供給される電流がピーク電流閾値に達すると、前記第1、第2、及び第3のスイッチング素子の全てを遮断して、前記供給電流を保持電流下限閾値まで急峻に立ち下げ、前記供給電流が前記保持電流下限閾値より低下すると、前記第1のスイッチング素子を遮断したまま第2及び第3のスイッチング素子を通電させて、前記供給電流を上昇させ、その後、前記供給電流が保持電流上限閾値に達すると、前記第1及び第2のスイッチング素子を遮断するとともに、前記第3のスイッチング素子を通電して前記供給電流を低下させるピーク後処理を行うようにされた燃料噴射弁駆動制御装置であって、
前記ピーク後処理を行っても前記供給電流が前記保持電流上限閾値を越えている場合は、前記第3のスイッチング素子を前記供給電流が前記保持電流下限閾値に下がるまで遮断することを特徴とする燃料噴射弁駆動制御装置。
【請求項2】
前記ピーク後処理を行っても前記供給電流が前記保持電流上限閾値より高く設定された保持電流制限値を越えた場合は、前記第1、第2及び第3のスイッチング素子の全てを遮断して、前記供給電流を低下させることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射弁駆動制御装置。
【請求項3】
前記ピーク後処理を行っても前記供給電流が前記保持電流上限閾値を所定時間以上超えている場合は、前記第1、第2及び第3のスイッチング素子の全てを遮断して、前記供給電流を低下させることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射弁駆動制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−246879(P2012−246879A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120712(P2011−120712)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】