説明

燃料電池の冷却

【課題】燃料電池装置の閉ループ冷却に関する1つ、またはそれより多くの問題を解決する。
【解決手段】燃料電池スタック(110)と、該スタック(110)に冷却水を直接的に注入する閉ループ冷却回路とを含む燃料電池装置(100)の運転方法であって、一定時間にわたって燃料電池装置の運転パラメータを計測し、一定時間にわたる燃料電池スタック(110)の運転中に燃料電池スタックにより生成された水の全体量から、定量の液相水を閉ループ冷却回路に加え、閉ループ冷却回路から定量の液相水を除去することを含んでおり、液相水の量は、一定時間にわたる燃料電池スタック(110)の運転中に生成された水の全体量の一部として、運転パラメータの関数に従って燃料電池装置(100)により自動的に決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池装置の閉ループ冷却に関し、詳しくは、燃料電池スタックからの排水についての閉ループ冷却回路内の水の追加、及び除去に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ここで述べられているような、プロトン交換膜(PEM)の周りに配置された燃料電池スタックを含んでいる装置形態において、水は、燃料電池装置の運転に不可欠である。水は、アノード流路からPEMを通って導かれるプロトン(水素イオン)と、カソード流路内の酸素との化学反応により生成される。過剰な水は、溢水とその結果のパフォーマンス劣化を避けるために、燃料電池スタックから除去する必要がある。しかしながら、PEMの湿度を維持して燃料電池の理想的性能を達成するために、一定量の水が少なくともカソード流路内に存在する必要がある。この水を慎重な注水と除去とにより管理することによって、燃料電池スタックから過熱を除去するための有益なメカニズムも得られる。
【0003】
性能の最適化のため、燃料電池装置における水の使用は、典型的にはスタックのカソード流路への注水により慎重に行われ得る。そのような注水式燃料電池装置は、分離された冷却路を用いる別の方式の燃料電池装置と比べて、大きさ、及び複雑さを低減する潜在的利点を有している。例えば特許文献1に記載されているように、カソード流路への直接的な注水は、配水マニホルドを介して行なってもよい。
【0004】
注水装置にとって、PEMの汚染とその結果のスタック性能の低下を避けるために、カソード流路に戻る水が高純度であることは重要である。
【0005】
冷却、及びセルの水和のための水が直接的に燃料電池膜に加えられる注水式燃料電池装置では、通常運転中に、さらに水が追加されることはない。これを可能とするため、燃料電池の排出流から液相水を得る。燃料電池のカソード排出流は、主に、飽和空気と液相水の混合物であり、アノード排出流は、主に、飽和水素と液相水の混合物である。燃料電池で生成される水の大半はカソードにあり、少量がアノードで生成される。水が燃料電池のカソードに注入されれば、復水可能な水の大半もカソードにあることとなる。
【0006】
カソード排出流の液相水の含有量は、通常、燃料電池スタックの注水に必要とされる水量には不十分である。なぜなら、排出流に含まれる水は、主に水蒸気の形態であるからである。したがって、排出流の温度を好適に低下させることにより(例えば、熱交換器の使用)、露点を低下させて、蒸気の少なくとも一部を液相水に凝縮する。また、排出流中の利用可能な液相水の大半を確実に得るため、排出流から液相水を分離する方法を用いてもよい(例えば、サイクロン分離器)。アノード排出流が比較的に低速であると仮定すると、例えば、別の熱交換器の使用による露点の低下によって、利用可能な水が追加される利点には、必要に従って装置を複雑化させるほどの価値はないから、(例えば、インラインキャッチポット(an inline catch pot)を介して)液相水分を復水させるだけとするのが普通である。
【0007】
注水式燃料電池スタックに導入された水の伝導率は、腐食作用を避けるために、十分に低いレベルに維持されなければならない。燃料電池スタックから出る液相水は、フッ化物、及び/または腐食生成物(例えば、Feなど)を含んでおり、これは、全溶解固形分(the total dissolved solids)からのイオンにおいて増加するため、水の伝導率を増加させる。また、水の伝導率は、装置間の電位の差異に起因する電気による腐食作用のために増加し得る。これは、材料の選択、及び全体的な装置設計に注意することにより最小化され得る。
【0008】
燃料電池スタックに注入された水の伝導率の増加によって、電気触媒、及び膜が汚染され、抵抗が増加して性能が低下する。ゆえに、閉ループ構成において運転される注水式燃料電池スタックに導入される水の伝導率は、制御されるべきである。
【0009】
1つの解決策は、燃料電池装置に、水を「洗練する」('polish')イオン交換柱(an ion exchange column)を含めることである。しかしながら、これは、装置のパッケージングの制約、またはサービス頻度の要求のため、現実的ではない。なぜなら、装置の他のサービス品目(例えば、フィルタ)と同じ間隔での交換を必要とするために、典型的には、相対的に大きなユニットが必要となるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】英国特許出願公開第2409763号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、上述した1つ、またはそれより多くの問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る第1の態様に従って、燃料電池装置の運用方法が提供される。前記燃料電池装置は、燃料電池スタックと、該スタックに冷却水を直接的に注入する閉ループ冷却回路とを含む。
【0013】
前記の方法は、
一定時間にわたって前記燃料電池装置の運転パラメータを計測し、
前記一定時間にわたる運転中に前記燃料電池スタックにより生成された水の全体量から、定量の液相水を前記閉ループ冷却回路に加え、
前記閉ループ冷却回路から前記定量の液相水を除去することを含む。
【0014】
前記液相水の量は、前記一定時間にわたる前記燃料電池スタックの運転中に生成された前記水の全体量の一部として、前記運転パラメータの関数に従って前記燃料電池装置により自動的に決定される。
【0015】
該スタックの運転パラメータの関数に従い、運転中に生成された水の全体量の一部として、燃料電池スタックから定量の水を除去することにより、燃料電池装置の冷却水を、燃料電池がどのように運転されているかに応じて、所望のレベルの純度に維持することができる。
【0016】
運転パラメータは、選択的に、一定時間にわたって燃料電池スタックから出力された電流値とすることができる。閉ループ冷却回路から除去される水の全体量の一部は、一定時間にわたって燃料電池スタックから出力された電流値に比例する。そして、除去、及び追加される水量は、燃料電池の稼動の程度、例えば燃料の使用量と直接的に関係する電流の供給量に依存する。
【0017】
また、運転パラメータは、閉ループ冷却回路内の水の電気伝導率、pH、もしくは全溶解固形分(total dissolved solids)であってもよい。閉ループ冷却回路から除去される水の全体量の一部は、所定の設定値と運転パラメータの差分の関数であってもよい。これらのパラメータは、冷却水の質が所望のレベルに維持されることを担保するための追加のチェックとして使用される。
【0018】
水量は、例えば、閉ループ冷却回路から除去された水を、熱交換器の外面に向けることによって、燃料電池スタックのカソード側排出ラインと連通する熱交換器の出口温度を制御することにより決定され得る。選択的に、スタックから放出された水の一部(蒸気の形態であってもよい)を熱交換器に向けることにより、より多くの冷却を必要とするときには、水蒸気を液相水に変換する追加冷却が必要となるだけであり、より多くの冷却を必要としないときには、過剰な水が、多くの熱とともに蒸気として放出される。
【0019】
閉ループ冷却回路から除去される水の量は、閉ループ冷却回路に連通するポンプの運転を制御することにより決定してもよい。ポンプは、閉ループ冷却回路から除去される水量に比例する稼働率(a duty cycle)で間欠的に運転してもよい。必要なときにポンプを運転するだけで、燃料電池の寄生負荷を低減することができる。
【0020】
除去される水量は、次の関係式に従って算出してもよい。
【0021】
Wr=β(In/2F)moles s−1
ここで、Wrは、冷却回路から除去される水の量であり、Iは、n個のセルを有する燃料電池スタックの出力電流値であり、Fは、ファラデー定数であり、βは、予め定められた定数である。定数βは、好ましくは、およそ0.1である。
【0022】
本発明に係る第2の態様に従って、燃料電池装置が提供される。前記燃料電池装置は、燃料電池スタックと、該スタックに冷却水を直接的に注入する閉ループ冷却回路と、コンピュータ処理の制御部とを含む。
【0023】
前記制御部は、自動的に、
一定の時間にわたって前記燃料電池装置の運転パラメータを計測し、
前記一定時間にわたる運転中に前記燃料電池スタックにより生成された水の全体量から、定量の液相水を前記閉ループ冷却回路に加え、
前記閉ループ冷却回路から前記定量の液相水を除去するように構成されている。
【0024】
ここで、前記制御部は、前記運転パラメータの関数に従い、前記定量の液相水を、前記一定時間にわたる前記燃料電池スタックの運転中に生成された前記水の全体量の一部として、除去するように構成されている。
【発明の効果】
【0025】
以上述べたように、本発明によれば、上述した問題の1つ、またはそれより多くを解決する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る使用のための燃料電池装置の概略を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を、添付図面を参照して例示のみにより説明する。
【0028】
燃料電池装置100は、図1に示されるように、少なくとも1個の燃料電池スタック110と、水の除去のための様々な接続装置とが含まれており、該装置として、アノードライン140とカソードライン150に、それぞれ、熱交換器120とサイクロン水分離器130a,130bとがある。これらの装置により、排出流から液相水が得られる。アノード側排出ライン140を通る流れは、スタック110のアノード部からの水飽和した空気、及び液相水を含み、一方、カソード側排出ライン150を通る流れは、スタック110のカソード部からの水飽和した水素ガス、及び液相水を含む。カソード排出流は熱交換器120の中へと入る。熱交換器120は、液相水を抽出できるように、カソード排出流を十分に冷却するように設計されている。そして、抽出された液相水は、閉ループ冷却回路へと循環させることができる。
【0029】
燃料電池装置は、燃料電池スタック110のカソード側排出ライン150へと排出された水の一部を獲得して、その一部を、燃料電池スタックの膜の冷却、及び水和のために循環させる。該一部は、以下に詳述するように、燃料電池スタックの運転パラメータに対する比率に従って制御される。
【0030】
図1に示される燃料電池装置の閉ループ冷却回路は、燃料電池スタック110と、カソード側排出流150と、熱交換器120と、水分離器130bと、貯水器(a water storage vessel)160へと延びるカソード側水還流ライン151と、燃料電池スタック110へと戻るように延びる注水ライン152とから定義される。注水ライン152は、好ましくはスタックのカソード部へと延び、直接的な冷却が、より効果的に得られる。また、閉ループ回路は、アノード側排出ライン140と、水分離器130aと、やはり貯水器160へと延びるアノード側水還流ライン141とを含んでもよい。冷却回路の周囲、及び外部の送水を促進するために、ポンプ180a,180b,180cが、カソード側水還流ライン151と、アノード側水還流ライン141と、除水ライン170とにそれぞれ含まれてもよい。好ましくは、注水ライン152を介して冷却水を燃料電池110の中へと送り込むために、貯水器160の内部に別のポンプ(図示せず)が含まれるとよい。
【0031】
燃料電池スタック110で生成された反応水は、閉ループ冷却回路に入るが、この水の全部が、カソード側注水ライン152を通るわけではない。
【0032】
好ましくは、貯水器160は、容器160内の水位166を測定する水位センサ165を含むとよい。
【0033】
閉ループ冷却回路内の水は、燃料電池スタック110の冷却、及び加湿の要求に従って制御されており、これは、典型的には燃料電池スタック110の運転電流値の関数に従い、基本形式で算出される。冷却回路からの過剰な水は、ポンプ180cにより、除水ラインを介して当該装置から除去される。
【0034】
本明細書を通して参照される水とは、文中に異なる示唆や特定がない限り、液相水と水蒸気の両方を意図するものと理解されたい。
【0035】
空気圧縮機111は、カソード側空気流入口112を介して、強制的に空気を燃料電池スタック110のカソード部の中へ送るように設けられている。水素ガスの形態の燃料は、アノード側流入口ライン113を介して、燃料電池スタックのアノード部に入る。
【0036】
熱交換器の出口125における排出流の出口温度は、貯水器160内の適当な水位166を保つための十分な液相水を得るように、制御される。典型的に、貯水器160内の水位166として、満タン時の85%が設定値として選択される。残りの15%は、熱交換器120の熱慣性によるヒステリシスを見込んだ緩衝領域(a buffer)として用いられる。したがって、選択した設定値に従い、定量の液相水をカソード側水還流ライン151を介して貯水器の中へと流すことができる。好ましくは、貯水器160内の水位166が、除水ライン170を通り該容器から出ていく水とは無関係に保たれるように装置を制御するとよい。しかしながら、設定値として、例えば95%の水位が選択されると、熱ヒステリシスは、熱交換器の冷却が低下すると、さらなる水を貯水器160から除去する必要があるようになり得る。熱交換器の熱特性が、(計算、または経験上の方法の何れかにより)判明していれば、貯水器160から溢れて除去される水量も知ることができる。したがって、所要の水量が貯水器160から除去されるように、熱交換器の冷却を制御することが可能となる。
【0037】
貯水器から液相水を除去する、より正確な手段は、ポンプ180cの使用である。そのようなポンプは、連続的な可変式、あるいは固定運転式であってもよい。ポンプ180cが、設定値に従った連続的な可変式であれば、ポンプ180cを用い、除水ライン170を介して外気に液体を供給することによって、設定値の関数に従った流速を得ることができる。したがって、このデータを用いれば、所望の流速を、これに従った該設定値の調整により達成することができる。固定式のポンプを用いる場合、ポンプの流速は、外気に送水することにより校正される。したがって、この流速は、達成し得る最大値となる。流速を、この最大値より低くする必要があれば、ポンプ180cを適当な稼働率に従ってオンオフすることができる。典型的には、当該最大値に対する所要の流速比に従って、一定時間にわたり、この時間の特定の割合でポンプ180cを稼動させる。例えば、ポンプ180cの送水を100(ml/min)に校正し、25(ml/min)の流速が必要とされるのであれば、ポンプ180cのスイッチを、15秒間オンして、45秒間オフし、このサイクルを60秒ごとに繰り返す。燃料電池装置100が空冷式熱交換器120を含むとき、水の除去にポンプ180cを使用することによって、正確さが増すだけではなく、さらなる利点が得られる。この場合、冷却の促進のために、除水ライン170からの過剰な水が熱交換器120に噴霧される。これにより、熱交換器120は、冷却回路に補充する液相水の生成を必要とする場合と比較して、小型とすることができる。
【0038】
追加、及び閉ループ系から除去される水量は、燃料電池スタック110内の電気化学反応により生成される水の全体量の関数に従い算出される。これは、以下ように計算される。
【0039】
生成水 Wp=(In/2F)moles s−1
ここで、Iは、燃料電池スタックの電流値(Amps)であり、nは、燃料電池スタック110のセル数であり、Fは、ファラデー定数(おおよそ、96.5×10(C/mol))である。上記の関係式は、セルが互いに電気的に直列に並べられ、各セルに同じ電流が流れるスタックを仮定している。
【0040】
水の相対的分子量は、18.0(g mole−1)であり、水の密度は、20(℃)で0.998(g cm−3)である。
したがって、
生成水 Wp=(In/2F)×60×18.1 ml min−1
である。
【0041】
冷却回路から除去される液相水の量Wrは、以下の式のように表現される。
【0042】
Wr=β(In/2F)moles s−1=β(In/2F)×60×18.1 ml min−1
または、
Wr=βWp
ここで、βは、燃料電池スタック110により生成された水の全体量に対する、除去される液相水の比率である。
【0043】
βの好ましい値は0.1であり、これにより、熱交換器の大きさと閉ループ内部の液相水の希釈度との間において許容可能な均衡が得られる。もっとも、この値は、要求に応じて変化し得る。一般的に、燃料電池が如何なる大きさであっても、除去される水量は、燃料電池スタックの電流値に正比例するものとして表現することができる。
【0044】
上述したアプローチに代わるもとしては、燃料電池スタック110に入る液相水の伝導率、または他のパラメータ(例えば、pH、または全溶解固形分(total dissolved solids))がある。当該装置から除去される水量、そして、カソード側排出流150から抽出される液相水の量は、伝導率の設定値、または他のパラメータと測定値との算出誤差の関数に従って導かれる。この目的に対して、熱交換器120の熱慣性を見越して設定された標準の制御ループ(例えば、比例(proportional)、積分(integral)、微分(derivative):PID)を使用することができる。
【0045】
好ましくは、燃料電池装置は、燃料電池装置100の様々な関連装置に接続された適当なコンピュータ処理の制御部を含むとよい。制御部は、閉ループ冷却回路から除去される水量を、特定の運転パラメータの関数に従って自動的に決定するように構成されている。例えば、制御部は、スタック110からの出力電流を監視し、この測定値から、閉ループ冷却回路から除去される水量を決定して、それに従い、ポンプ180a,180b,180cの運転を調整するように構成することができる。制御部は、水分離器130a,130bの運転と、追加冷却のために熱交換器に噴霧される水量(もし、あるならば)とを制御するように構成されてもよい。
【0046】
制御部は、伝導率、pH,または溶解固形分などの運転パラメータを監視し、それに従って、冷却回路から除去される液相水の量を調整するように構成されてもよい。例えば、冷却回路内の液相水の伝導率が上昇すれば、制御部は、燃料電池スタック110内で生成された新しい水で冷却水を希釈するため、冷却回路から除去されて、冷却回路に加えられる液相水の量を増加させるように構成されてもよい。これにより、冷却回路内の水の伝導率は低減される。
【0047】
他の実施形態は、添付の請求項により定義された発明の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタックと、該スタックに冷却水を直接的に注入する閉ループ冷却回路とを含む燃料電池装置の運転方法であって、
一定時間にわたって前記燃料電池装置の運転パラメータを計測し、
前記一定時間にわたる前記燃料電池スタックの運転中に前記燃料電池スタックにより生成された水の全体量から、定量の液相水を前記閉ループ冷却回路に加え、
前記閉ループ冷却回路から前記定量の液相水を除去することを含んでおり、
前記液相水の量は、前記一定時間にわたる前記燃料電池スタックの運転中に生成された前記水の全体量の一部として、前記運転パラメータの関数に従って前記燃料電池装置により自動的に決定される、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載された方法であって、
前記運転パラメータは、前記一定時間にわたって前記燃料電池スタックから出力された電流値である、
方法。
【請求項3】
請求項2に記載された方法であって、
前記閉ループ冷却回路から除去される前記水の全体量の前記一部は、前記一定時間にわたって出力された電流値に比例する、
方法。
【請求項4】
請求項1に記載された方法であって、
前記運転パラメータは、前記閉ループ冷却回路内の水の電気伝導率である、
方法。
【請求項5】
請求項1に記載された方法であって、
前記運転パラメータは、前記閉ループ冷却回路内の水のpHである、
方法。
【請求項6】
請求項1に記載された方法であって、
前記運転パラメータは、前記閉ループ冷却回路内の水の全溶解固形分である、
方法。
【請求項7】
請求項4乃至6の何れかに記載された方法であって、
前記閉ループ冷却回路から除去される前記水の全体量の前記一部は、所定の設定値と前記運転パラメータの差分の関数である、
方法。
【請求項8】
請求項1に記載された方法であって、
前記水の量は、前記燃料電池スタックのカソード側排出ラインと連通する熱交換器の出口温度を制御することにより決定される、
方法。
【請求項9】
請求項8に記載された方法であって、
前記閉ループ冷却回路から除去された水を前記熱交換器の外面に向けることによって、前記熱交換器の前記出口温度を制御する、
方法。
【請求項10】
請求項1に記載された方法であって、
前記閉ループ冷却回路から除去される前記水の量は、前記閉ループ冷却回路に連通するポンプの運転を制御することにより決定される、
方法。
【請求項11】
請求項10に記載された方法であって、
前記ポンプは、前記閉ループ冷却回路から除去される前記水の量に比例する稼働率で間欠的に運転される、
方法。
【請求項12】
請求項1に記載された方法であって、
前記水の量を、次の関係式(I)に従って算出し、
Wr=β(In/2F)moles s−1 (I)
前記式(I)において、Wrは、前記冷却回路から除去される前記水の量であり、Iは、n個のセルを有する前記燃料電池スタックの出力電流値であり、Fは、ファラデー定数であり、βは、予め定められた定数である、
方法。
【請求項13】
請求項12に記載された方法であって、
βは、およそ0.1である、
方法。
【請求項14】
燃料電池スタックと、該スタックに冷却水を直接的に注入する閉ループ冷却回路と、コンピュータ処理の制御部とを含む燃料電池装置であって、
前記制御部は、自動的に、
一定時間にわたって前記燃料電池装置の運転パラメータを計測し、
前記一定時間にわたる運転中に前記燃料電池スタックにより生成された水の全体量から、定量の液相水を前記閉ループ冷却回路に加え、
前記閉ループ冷却回路から前記定量の液相水を除去するように構成されており、
前記制御部は、前記運転パラメータの関数に従い、前記定量の液相水を、前記一定時間にわたる前記燃料電池スタックの運転中に生成された前記水の全体量の一部として、除去するように構成されている、
燃料電池装置。
【請求項15】
請求項14に記載された燃料電池装置であって、
前記運転パラメータは、前記一定時間にわたって前記燃料電池スタックから出力された電流値である、
燃料電池装置。
【請求項16】
請求項15に記載された燃料電池装置であって、
前記閉ループ冷却回路から除去される前記水の全体量の前記一部は、前記一定時間にわたって出力された電流値に比例する、
燃料電池装置。
【請求項17】
請求項14に記載された燃料電池装置であって、
前記運転パラメータは、前記閉ループ冷却回路内の水の電気伝導率である、
燃料電池装置。
【請求項18】
請求項14に記載された燃料電池装置であって、
前記運転パラメータは、前記閉ループ冷却回路内の水のpHである、
燃料電池装置。
【請求項19】
請求項14に記載された燃料電池装置であって、
前記運転パラメータは、前記閉ループ冷却回路内の水の全溶解固形分である、
燃料電池装置。
【請求項20】
請求項17乃至19の何れかに記載された燃料電池装置であって、
前記閉ループ冷却回路から除去される前記水の全体量の前記一部は、所定の設定値と前記運転パラメータの差分の関数である、
燃料電池装置。
【請求項21】
請求項14に記載された燃料電池装置であって、
前記制御部は、前記燃料電池スタックのカソード側排出ラインと連通する熱交換器の出口温度を自動的に制御するように構成されている、
燃料電池装置。
【請求項22】
請求項21に記載された燃料電池装置であって、
前記制御部は、前記閉ループ冷却回路から前記熱交換器の外面に向けて、水を排出するように構成された、
燃料電池装置。
【請求項23】
請求項14に記載された燃料電池装置であって、
前記制御部は、前記閉ループ冷却回路に連通するポンプの運転を制御することにより、前記閉ループ冷却回路から除去される前記水の量を制御するように構成された、
燃料電池装置。
【請求項24】
請求項23に記載された燃料電池装置であって、
前記制御部は、前記ポンプを、前記閉ループ冷却回路から除去される前記水の量に比例する稼働率で間欠的に運転するように構成された、
燃料電池装置。
【請求項25】
請求項14に記載された燃料電池装置であって、
前記制御部は、前記水の量を、次の関係式(II)に従って自動的に算出するように構成されており、
Wr=β(In/2F)moles s−1 (II)
前記式(II)において、Wrは、冷却回路から除去される前記水の量であり、Iは、n個のセルを有する前記燃料電池スタックの出力電流値であり、Fは、ファラデー定数であり、βは、予め定められた定数である、
燃料電池装置。
【請求項26】
請求項25に記載された燃料電池装置であって、
βは、およそ0.1である、
燃料電池装置。
【請求項27】
添付図面を参照して、実質的に、ここで述べられている燃料電池装置の運転方法。
【請求項28】
添付図面を参照して、実質的に、ここで述べられている燃料電池装置。



【図1】
image rotate


【公表番号】特表2012−507130(P2012−507130A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533810(P2011−533810)
【出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【国際出願番号】PCT/GB2009/002560
【国際公開番号】WO2010/049683
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(504175659)インテリジェント エナジー リミテッド (17)
【氏名又は名称原語表記】INTELLIGENT ENERGY LIMITED
【Fターム(参考)】