説明

燃料電池の電圧検出用コネクタ

【課題】電圧検出用コネクタを燃料電池セルに容易かつ正確に装着することができるコネクタを提供する。
【解決手段】第1の突出部を有する第1の側面と、第1の突出部より下段に第1の突出部とは反対方向に突出した第2の突出部を有する第1の側面と相対する第2の側面と、を有する電気的な絶縁性を有するコネクタケースと、燃料電池300に設けられた電極に接続可能であって、第1の突出部に設けられた検出端子と、を備え、第1の突出部の下面に凸状のガイド部47又は凹状の溝49を有し、第1の突出部の下面に凸状のガイド部47が設けられた場合には第2の突出部の上面に凹状の溝49を有し、第1の突出部の下面に凹状の溝49が設けられた場合には第2の突出部の上面に凸状のガイド部47を有するコネクタ202とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池の電圧検出用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車等に搭載される燃料電池は、セルと呼ばれる発電のユニットを多数積層して構成される。各セルは、イオン交換膜からなる電解質膜をアノードとカソードとで両側から挟み込み、さらに、その外側を一対のセパレータで挟み込んで構成される。セパレータには、アノード及びカソードに水素ガス等の燃料ガス及び空気等の酸化剤ガスを供給するための通路が形成され、この通路を介して燃料ガス及び酸化剤ガスを供給することによってセル内部で化学反応が生じて発電がなされる。
【0003】
このような燃料電池では、燃料ガスや酸化剤ガスの供給量の制御、不良セルの発見等のために、セル毎の発電状態を管理する必要がある。そこで、セル毎の発電電圧(以下、「セル電圧」という)を検出し、セル電圧に応じて制御を行う方法が用いられている。通常、図11に示すように、複数のセルのセパレータの間隔と等しい間隔に配列された検出端子(図示しない)を内蔵するコネクタケース10からなるコネクタ100を用いる。コネクタ100の上部には、ロック用の係合部12が設けられている。コネクタ100は、図12に示すように、燃料電池102に取り付けられる。各セル14のセパレータ16の各々に電圧検出用の検出端子を接続し、各検出端子から電気配線18を引き出してセパレータ16間の電位差を計測することによってセル電圧を測定する。燃料電池102には、コネクタ100が装着される樹脂製の係止部20が設けられており、この係止部20がコネクタ100の係合部12と係り合ってコネクタ100が燃料電池102に固定される。なお、図12では、燃料電池102に装着されたコネクタ100の様子を明確にするために燃料電池102の一部を切り取って図示している。
【0004】
例えば、特許文献1には、弾性材で形成された端子を備える検出端子が開示されている。端子は、セパレータに係合する係合部と、隣り合うセルの検出端子と接続される連結手段と、を備えたベースに設けられる。また、特許文献2には、ケース内にコネクタと回路基板とを組み込んだ電圧検出用のコネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−313399号公報
【特許文献2】特開2004−127776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術では、コネクタ100を装着する際に、コネクタ100に設けられた検出端子の位置を目視することが難しいために燃料電池に設けられた電極を検出端子にうまく挿入することができず、コネクタ100の装着位置のずれや装着不良が生ずることがあった。
【0007】
また、近年、燃料電池を構成するセルの発電効率の向上等に伴って、各セルの厚さが薄くなってきている。このようにセルの厚さが薄くなると、図11に示すようなコネクタ100を用いた場合、図12の矢印A方向からみた図13に示すように、隣り合って装着されるコネクタ100のコネクタケース10が互いに干渉し合う干渉部分(図13のハッチング領域)が生じ、コネクタ100が装着出来なくなる問題が生ずることがあった。一方、このような干渉を避けるために、コネクタケース10の外側壁の厚さを薄くするとコネクタ100の強度が不十分となり、コネクタ100の製造の歩留まりが低下したり、コネクタ100を装着する際に破損したりする問題が生ずるおそれがあった。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決することができる燃料電池の電圧検出用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
また、本発明は、複数のセルを積層方向に積層させた燃料電池に含まれるセルの電圧を検出するために用いられる電圧検出用のコネクタであって、第1の突出部を有する第1の側面と、前記第1の突出部より下段に前記第1の突出部とは反対方向に突出した第2の突出部を有する前記第1の側面と相対する第2の側面と、を有するコネクタケースと、前記燃料電池に設けられた電極に接続可能であって、前記第1の突出部に設けられた検出端子と、を備え、前記第1の突出部の下面に凸状のガイド部又は凹状の溝を有し、前記第1の突出部の下面に凸状のガイド部が設けられた場合には前記第2の突出部の上面に凹状の溝を有し、前記第1の突出部の下面に凹状の溝が設けられた場合には前記第2の突出部の上面に凸状のガイド部を有することを特徴とする。
【0010】
ここで、前記コネクタケースに設けられた凹状の溝又は凸状のガイド部は、前記燃料電池にコネクタを装着する際の挿入方向に沿って延伸して設けられていることが好適である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電圧検出用コネクタを燃料電池セルに容易かつ正確に装着することができる。したがって、薄型化された燃料電池においても各セルの電圧を確実に検出することができ、発電の制御を精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態における電圧検出用コネクタの外観斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態における電圧検出用コネクタの正面図である。
【図3】本発明の実施の形態における電圧検出用コネクタの内部を示す透視斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態における検出端子の外観斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態における電圧検出用コネクタにケーブルを装着した場合の外観斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態における燃料電池の一部を拡大した外観斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態における電圧検出用コネクタを装着した燃料電池を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態における電圧検出用コネクタを装着した燃料電池を示す正面図である。
【図9】本発明の実施の形態の変形例における電圧検出用コネクタの外観斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態の変形例における電圧検出用コネクタを装着した燃料電池を示す正面図である。
【図11】従来の電圧検出用コネクタの外観斜視図である。
【図12】従来の電圧検出用コネクタを装着した燃料電池を示す斜視図である。
【図13】従来の電圧検出用コネクタを装着した燃料電池を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施の形態における燃料電池の電圧検出用コネクタ200は、図1及び図2に示すように、樹脂製のコネクタケース30を含んで構成される。図1は電圧検出用コネクタ200を示す斜視図であり、図2は電圧検出用コネクタ200を正面方向(図1の矢印Cの方向)からみた正面図である。
【0014】
コネクタケース30の前方上部の右側には、上面に凸状の係合部32を備えたレバー状のロック部材34が設けられる。ロック部材34は、コネクタケース30の前方上部に設けられたロック部材収納部36内に格納され、コネクタケース30の上部方向(図1の矢印B方向)に向かって付勢されるように一部をコネクタケース30に固定される。このとき、ロック部材34は、外力が加わらない状態において凸状の係合部32がコネクタケース30の上面38から突出した状態となるように設けられる。また、ロック部材34は、コネクタケース30の下面方向に外力が加えられた状態において凸状の係合部32がコネクタケース30の上面38より下になるようにロック部材収納部36に収納される。
【0015】
なお、ロック部材34及びロック部材収納部36の構造はこれに限定されるものではなく、燃料電池300に電圧検出用コネクタ200を装着する際に燃料電池300に電圧検出用コネクタ200を確実に固定できるものであればよい。
【0016】
コネクタケース30の前方上部の左側、すなわちロック部材34と略同じ高さの位置に検出端子を収納する端子収納部40が設けられる。さらに、コネクタケース30の前方下部の右側、すなわちロック部材34の下にも端子収納部42が設けられる。本実施の形態では、コネクタケース30の前方上部の左側に1つの端子収納部40が設けられ、コネクタケース30の前方下部の右側に4つの端子収納部42が互いに略同じ高さの位置に並べて設けられる。端子収納部40,42は、図2の正面図に示すように、それぞれ隣り合う端子収納部40又は端子収納部42に対して燃料電池のセルの積層ピッチPと等しい間隔で配置される。
【0017】
各端子収納部40,42には燃料電池のセル毎から取り出された電極から電気的に配線を引き出すための検出端子を収納及び装着することが可能な空間が設けられる。各端子収納部40,42には、図3の透視図に示すように、検出端子50が装着される。
【0018】
検出端子50は、導電性の高い金属等の材料から形成される。検出端子50は、図4に示すように、電圧検出用の配線を取り付けるための配線取付部52と燃料電池の電極に接続される電極接続部54とを接続して構成される。配線取付部52は、例えば、金属製の筒状部52a及び接続部52bから構成される。筒状部52aには、外皮を取り外した電気ケーブルが挿入されて圧着される。接続部52bは、筒状部52aと電極接続部54とを電気的及び構造的に接続する。
【0019】
図5に、ケーブル56を圧着した検出端子50を各端子収納部40,42に装着したときの電圧検出用コネクタ200を示す。このように、電圧検出用コネクタ200ではケーブル56はコネクタケース30の前面から引き出される。
【0020】
また、電極接続部54は、2枚の短冊状の金属部材54a,54bを所定の間隔を空けて向かい合わせて構成することができる。ここで、金属部材54a,54bの間隔は、燃料電池のセル毎の電極の厚さよりも僅かに小さくしておくことが好適である。これによって、電極接続部54によって燃料電池の電極を確実に挟持することができる。また、金属部材54a,54bの端部を外側に向けて湾曲させておくことが好適である。これによって、金属部材54a,54b間に電極を容易に挿入することができる。
【0021】
なお、検出端子50の構造はこれに限定されるものではなく、コネクタケース30に収納でき、ケーブル56を燃料電池の電極部に電気的に接続できるものであればよい。例えば、ケーブル56を圧着するための筒状部52aの代わりにケーブル56の芯線をはんだ付けできる構造としてもよい。
【0022】
コネクタケース30の後部には、図1に示すように、各端子収納部40,42に対応付けて上面から下面に亘ってスリット44が設けられている。各スリット44は、それぞれ端子収納部40,42に対応する位置に形成され、隣り合うスリット44の間隔が燃料電池のセルの積層ピッチPと等しくなるように配置される。スリット44は、検出端子50を端子収納部40,42に装着した状態において検出端子50の電極接続部54の少なくとも一部がスリット44内に突出するように設けられる。検出端子50は、図3に示すように、2枚の短冊状の金属部材54a,54bで形成される間隙がスリット44の開口方向に沿うように装着される。
【0023】
また、図1及び図2に示すように、コネクタケース30は、切断面46において端子収納部40より下がコネクタケース30の前面から後面に亘って切り欠かれた形状を有する。さらに、コネクタケース30は、図2に示すように、コネクタ200を並べて配置した際に切断面46に対応する切断面48において端子収納部42より上がコネクタケース30の前面から後面に亘って切り欠かれた形状を有する。言い換えると、コネクタケース30は、第1の突出部を有する第1の側面と、第1の突出部より下段に第1の突出部とは反対方向に突出した第2の突出部を有する第1の側面と相対する第2の側面とを有する。すなわち、切断面46と切断面48とを互いに向かい合わせるように第1の突出部と第2の突出部とを組み合わせて2つのコネクタケース30を並べて配置することができる構造とされている。
【0024】
なお、本実施の形態では、コネクタケース30の上段に1つの端子収納部40及び検出端子50を配置し,コネクタケース30の下段に4つの端子収納部42及び検出端子50を配置する構造としたがこれに限定されるものではない。例えば、上段に配置される検出端子50の数を増加させてもよいし、下段に配置される検出端子50の数を増減させてもよい。この場合、上記のように、少なくとも切断面46から下に切り欠き部を設け、少なくとも切断面48から上に切り欠き部を設け、切断面46と切断面48とを組み合わせて2つのコネクタケース30を並べて配置することができる構造とすることが好適である。
【0025】
このように、隣り合う電圧検出用コネクタ200の上段と下段との突出部によって、電圧検出用コネクタ200を隣接して装着する場合のコネクタケース30の干渉を回避することができる。このとき、ロック部材34と同一の高さに上段の端子収納部40を配置することによって、電圧検出用コネクタ200の高さを従来のものと変えることなくコネクタケース30の干渉を避けることができる。したがって、燃料電池システム全体の高さ方向のサイズも従来と同様にすることができる。このような構成は、燃料電池のセルの厚さが薄くなった場合に特に有効である。
【0026】
また、図1及び図2に示すように、コネクタケース30の下面の前面から後面に亘って、電圧検出用コネクタ200を燃料電池に装着する際に位置を合わせるための所定の断面形状を有する摺動用の溝43が設けられている。本実施の形態では、図2に示すように、溝43は、隣り合う溝43の間隔が燃料電池のセルの積層ピッチPと等しくなるように設けられる。
【0027】
図6に、本実施の形態における燃料電池300の電圧検出用コネクタ200の装着部付近の拡大図を示す。図6では、電圧検出用コネクタ200の装着部を明確に示すために燃料電池300の積層方向の一部を切り取って図示している。
【0028】
燃料電池300は、図6に示すように、発電のユニットであるセル60を多数積層して構成される。各セル60は、イオン交換膜からなる電解質膜をアノードとカソードとで両側から挟み込み、さらにその外側を一対のセパレータ62で挟み込んで構成される。セル60は、隣り合うセル60の間隔がピッチPと等しくなるように積層される。セパレータ62には、アノード及びカソードに水素ガス等の燃料ガス及び空気等の酸化剤ガスを供給するための通路が形成され、この通路を介して燃料ガス及び酸化剤ガスを供給することによってセル60の内部で化学反応が生じて発電がなされる。
【0029】
燃料電池300の上面端部にひさし状に突出した支持部64を形成することによって電圧検出用コネクタ200の装着部が形成される。支持部64は、例えば、セル60を構成する樹脂を燃料電池300の上方に延伸させ、屈曲させることによって形成することができる。燃料電池300の上面と支持部64との間隔、すなわち装着部の内部空間の高さは、電圧検出用コネクタ200のコネクタケース30の上面と下面との高さよりも僅かに大きいものとする。また、突出した支持部64には、他の部分よりも薄く加工された中間部68が設けられる。この中間部68によって、支持部64の先端に燃料電池300の下面方向に向けて突出した係止部70が形成される。この係止部70は、電圧検出用コネクタ200を燃料電池300に装着した際に電圧検出用コネクタ200のロック部材34に設けられた係合部32に対応する位置に設けられる。
【0030】
また、燃料電池300の電圧検出用コネクタ200の装着部には、セパレータ62から突出させた電極部66が設けられる。電極部66は、ひさし状に突出した支持部64と燃料電池300の上面とに挟まれた空間に突出するように設けられる。隣り合うセル60の間隔はピッチPであるので、隣り合う電極部66の間隔もピッチPと等しくなる。
【0031】
このように、係止部70を含む支持部64を樹脂製とし、その内部に突出させた電極部66を金属製とすることによって、従来のセルよりも構造的な強度を向上させることができ、セル60間のピッチPを従来の半分程度にすることができる。
【0032】
なお、燃料電池300に設けられる係止部70の構造はこれに限定されるものではなく、電圧検出用コネクタ200に設けられたロック部材34の係合部32と係り合うことによって電圧検出用コネクタ200を燃料電池300に固定できる構造であればよい。但し、本実施の形態のようにセル60を構成する樹脂を燃料電池300の上方に延伸させて係止部70を形成することによって、セル60を積層するだけでセル60の積層方向に延伸された係止部70を構成することができる点で有利である。また、燃料電池300の上面に沿わせて支持部64でつくられる空間に横方向から電圧検出用コネクタ200を差し込む構造とすることによって、燃料電池300に水等が掛かった際にひさし状に突出した支持部70により電極部66、検出端子50、ケーブル56の接続部を保護できる利点がある。
【0033】
また、燃料電池300には、電圧検出用コネクタ200に設けられた摺動用の溝43に対応するようにガイド部63が設けられる。ガイド部63は、電解質膜の樹脂の上面に、積層方向に直交する方向に沿って溝43の断面形状に合った断面形状を有する突起を突出させることによって形成することができる。セル60はピッチPで積層されるので、ガイド部63もピッチPで配列されることになる。
【0034】
図7は、燃料電池300に電圧検出用コネクタ200を装着した場合の斜視図である。図7では、電圧検出用コネクタ200の装着状態を明確に示すために燃料電池300の積層方向の一部を切り取って図示している。
【0035】
電圧検出コネクタ200を装着する際には、コネクタケース30の下面に設けられた溝43を燃料電池300の上面に設けられたガイド部63に合わせて、ガイド部63に対して溝43をスライドさせるように電圧検出コネクタ200を燃料電池300の支持部64と燃料電池300の上面との間に挿入する。このとき、燃料電池300の電極部66を電圧検出用コネクタ200のスリット44に通すように電圧検出用コネクタ200を装着する。そして、電圧検出用コネクタ200のロック部材34の係合部32が燃料電池300の係止部70に係り合うように電圧検出用コネクタ200を挿入することによって電圧検出用コネクタ200を燃料電池300に確実に装着することができる。なお、ロック部材34の先端部を下に押し下げることによって、係合部32と係止部70との係り合いを解除して電圧検出用コネクタ200を燃料電池300から取り外すことができる。
【0036】
このように、ガイド部63を利用することによって、各検出端子50の金属部材54a,54bの間に電極部66が挟み込まれるように電圧検出用コネクタ200を容易に装着することができる。ここで、支持部64の突出方向に沿った長さよりもガイド部63を長く設けることによって、電圧検出用コネクタ200を支持部64によって構成される空間に挿入する前からガイド部63と溝43とを合わせて位置合わせを行うことが可能となり、装着時のガイドをより効果的に行うことができる。
【0037】
また、既に装着されている電圧検出用コネクタ200に隣接させて別の電圧検出用コネクタ200を装着する際には、既に装着されている電圧検出用コネクタ200の傍のガイド部63に別の電圧検出用コネクタ200の溝43を合わせて装着することによって装着位置のずれを防ぐことができる。
【0038】
また、図8に、複数の電圧検出用コネクタ200を並べて燃料電池300に装着した場合の正面図を示す。図8では、電圧検出用コネクタ200の装着部を明確に示すために燃料電池300の積層方向の一部を切り取って図示している。
【0039】
電圧検出用コネクタ200は、図8に示すように、互いに隣接するように並べて燃料電池300に装着される。図1及び図2に示したように、コネクタケース30は切断面46から下の部分が切り欠かれ、切断面48において上の部分が切り欠かれた形状を有する。すなわち、下段に少なくとも1つの端子収納部42を設けると共に上段に設けられたロック部材34の横幅を端子収納部42が設けられた下段の横幅よりも狭くし、ロック部材34と略同じ高さに少なくとも1つの端子収納部40を設けることによって、電圧検出用コネクタ200の上段の一方の側面に張り出した突出部と下段の他方の側面に張り出した突出部とを設ける。これによって、互いに隣り合って配置される電圧検出用コネクタ200の上段側面の突出部と下部側面の突出部とを互いに嵌め込むように装着することができる。
【0040】
また、燃料電池300の上面に対して垂直な方向へケーブル56を引き出すとケーブル56を燃料電池300の上面に沿った方向へ折り曲げる必要があり、ケーブル56に負担が掛かり、ケーブル56が損傷し易くなる問題がある。本実施の形態における電圧検出用コネクタ200では、電圧検出用コネクタ200の前面から電圧検出用のケーブル56が引き出され、ケーブル56を折り曲げることなく燃料電池300の上面に沿った方向にケーブル56を配線することができる。これによって、ケーブル56が損傷を防ぐことができる。
【0041】
なお、本実施の形態では、溝43及びガイド部63を燃料電池300の積層ピッチPと同じピッチで設けたがこれに限定されるものではない。例えば、溝43及びガイド部63を積層ピッチPよりも大きなピッチで配置することによって、電圧検出用コネクタ200がピッチPだけずれて装着されることを防ぐことができる。また、電圧検出用コネクタ200のコネクタケース30の下面に突出したガイド部63を設け、燃料電池300の上面に溝43を設ける構造としてもよい。
【0042】
また、コネクタケース30及び燃料電池300は、本実施の形態の形状に限定されるものではない。例えば、図11に示したように、第1の突出部及び第2の突出部を持たない矩形状の断面を有するコネクタケース10の下面に溝43を設け、コネクタケース10の形状に合わせた燃料電池300の装着部にガイド63を設ける構成としてもよい。
【0043】
<変形例>
図9及び図10に、本実施の形態の変形例における燃料電池の電圧検出用コネクタ202を示す。図9は電圧検出用コネクタ202を示す斜視図であり、図10は電圧検出用コネクタ202を正面方向(図1の矢印Dの方向)からみた正面図である。上記実施の形態と同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0044】
本変形例では、第1の突出部の下面である切断面46と第2の突出部の上面である切断面48とにそれぞれガイド部47と溝49とを設ける。ガイド部47及び溝49は、コネクタケース30の前面から後面に亘って、コネクタケース30の装着方向、ここではコネクタケース30の前後方向に沿って形成される。また、ガイド部47及び溝49は、電圧検出用コネクタ202が燃料電池300に正しく装着された場合に互いに隣接する電圧検出用コネクタ202の切断面46と切断面48とが重なりあう領域の互いに対応する位置に形成される。
【0045】
電圧検出用コネクタ202を装着する際には、燃料電池300の支持部64と燃料電池300の上面との間に挿入する。このとき、燃料電池300の電極部66を電圧検出用コネクタ202のスリット44に通すように電圧検出用コネクタ202を装着する。また、電圧検出用コネクタ202のロック部材34の係合部32が燃料電池300の係止部70に係り合うように電圧検出用コネクタ202を挿入する。
【0046】
次に、既に装着されている電圧検出コネクタ202に隣接させて別の電圧検出コネクタ202を装着する際には、既に装着されている電圧検出コネクタ202の切断面48に設けられている溝49に別の電圧検出用コネクタ202の切断面46に設けられているガイド部47を合わせて、ガイド部47と溝49とをスライドさせるように電圧検出コネクタ202を燃料電池300の支持部64と燃料電池300の上面との間に挿入する。
【0047】
このように、ガイド部47及び溝49とを利用することによって、電圧検出コネクタ202の装着位置のずれを防ぐことができ、各検出端子50の金属部材54a,54bの間に電極部66が挟み込まれるように容易に装着することができる。
【0048】
なお、コネクタケース30の切断面46の下面に溝49を設け、切断面48の上面にガイド部47を設ける構造としてもよい。また、本変形例を適用する場合、燃料電池300の上面に溝43やガイド部63を設ける必要はない。
【符号の説明】
【0049】
10 コネクタケース、12 係合部、14 セル、16 セパレータ、18 電気配線、20 係止部、30 コネクタケース、32 係合部、34 ロック部材、36 ロック部材収納部、38 上面、40,42 端子収納部、43 溝、44 スリット、46 切断面、47 ガイド部、48 切断面、49 溝、50 検出端子、52 配線取付部、52a 筒状部、52b 接続部、54 電極接続部、54a,54b 金属部材、56 ケーブル、60 セル、62 セパレータ、63 ガイド部、64 支持部、66 電極部、68 中間部、70 係止部、100 コネクタ、102 燃料電池、200,202 電圧検出用コネクタ、300 燃料電池。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセルを積層方向に積層させた燃料電池に含まれるセルの電圧を検出するために用いられる電圧検出用のコネクタであって、
第1の突出部を有する第1の側面と、前記第1の突出部より下段に前記第1の突出部とは反対方向に突出した第2の突出部を有する前記第1の側面と相対する第2の側面と、を有する電気的な絶縁性を有するコネクタケースと、
前記燃料電池に設けられた電極に接続可能であって、前記第1の突出部に設けられた検出端子と、を備え、
前記第1の突出部の下面に凸状のガイド部又は凹状の溝を有し、前記第1の突出部の下面に凸状のガイド部が設けられた場合には前記第2の突出部の上面に凹状の溝を有し、前記第1の突出部の下面に凹状の溝が設けられた場合には前記第2の突出部の上面に凸状のガイド部を有することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記コネクタケースに設けられた凹状の溝又は凸状のガイド部は、前記コネクタが前記燃料電池に装着された状態において前記積層方向に垂直な方向に沿って延伸して設けられていることを特徴とするコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−124166(P2012−124166A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−1898(P2012−1898)
【出願日】平成24年1月10日(2012.1.10)
【分割の表示】特願2006−15811(P2006−15811)の分割
【原出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】