説明

燃料電池システムおよびその制御方法

【課題】長時間にわたり燃料電池スタックを劣化が小さなアイドル停止の状態にすることができる燃料電池システムおよびその制御方法を提供すること。
【解決手段】燃料電池システムは、アイドル発電中に所定の条件が満たされたことに応じて、スタックへのエアの供給量およびスタックから取り出す発電電流を共に0より大きな範囲内でアイドル発電時よりも低減することによりスタックをアイドル停止の状態にするアイドル停止制御手段と、アイドル発電中およびアイドル停止中にアノード系内の窒素や生成水を排出する必要があるか否かを判定し、必要がある場合にはパージ弁やドレイン弁を所定の開弁時間にわたり開く排出弁制御手段と、を備える。この排出弁制御手段は、アイドル停止中におけるパージ弁およびドレイン弁の開弁時間PO2,DO2を、アイドル発電中におけるパージ弁およびドレイン弁の開弁時間PO1,DO1よりも短くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムおよびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の新たな動力源として燃料電池システムが注目されている。燃料電池システムは、例えば、反応ガス(水素およびエア)を化学反応させて発電する燃料電池スタックと、反応ガス流路を介して燃料電池に反応ガスを供給する反応ガス供給装置とを備える。燃料電池スタックは、例えば、数十個から数百個の燃料電池セルが積層されたスタック構造である。ここで、各燃料電池セルは、膜電極構造体(MEA)を一対のセパレータで挟持して構成され、膜電極構造体は、アノード電極(陰極)およびカソード電極(陽極)の2つの電極と、これら電極に挟持された固体高分子電解質膜とで構成される。
【0003】
このような燃料電池システムを動力源とした燃料電池車両では、反応ガスの消費量をできるだけ抑制するため、例えば信号待ちの時などアイドル運転状態での発電が継続して行われた場合には、燃料電池スタックへの反応ガスの供給を停止することが好ましい。特許文献1には、このような反応ガスの供給の停止後であっても、燃料電池スタックから発電電流を取り出し続けることにより、すなわち燃料電池スタックのディスチャージを継続することにより、燃料電池スタックおよびシステム内に残留する水素およびエアを消費し、燃料電池スタックが高電圧状態のまま放置されるのを防止し、ひいては燃料電池スタックの劣化を抑制する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−294304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の技術のように反応ガスの供給を完全に停止してしまうと、MEAの近傍に滞留する酸素と水素が反応してしまい触媒が劣化するおそれがあるため、アイドル停止中も、反応ガスをごく僅かでも供給し続けることが好ましいことが知られている。したがって、アイドル停止中は、反応ガスを低流量で供給しかつディスチャージを継続することにより、MEA近傍における酸素と水素の反応による劣化と燃料電池スタックが高電圧状態になることによる劣化との両方を抑制できる。
【0006】
しかしながら、このように低流量の反応ガスの供給の下で発電を継続すると、カソード極側からアノード極側へのクロスオーバによりアノード極側での窒素濃度が上昇しやすく、また発電による生成水が反応ガスの流路内に溜まる所謂フラッディングが生じやすいため、セル電圧が低下しやすい。セル電圧が過剰に低い状態で発電を継続するとスタックが劣化するおそれがあるため、セル電圧がある程度以上低下した場合には、劣化の進行を抑制するために、反応ガスの流量を増加し、アイドル停止の状態を解除する必要がある。このため、長時間にわたりスタックをアイドル停止の状態にすることは困難である。
【0007】
本発明は、長時間にわたりスタックを劣化が小さなアイドル停止の状態にすることができる燃料電池システムおよびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明は、アノード極に燃料ガスが供給されかつカソード極に酸化剤ガスが供給されると発電する燃料電池(例えば、後述の燃料電池スタック10)と、前記燃料電池で発電した電力を消費する電気負荷(例えば、後述の高圧バッテリ16、モータ17、およびエアポンプ21など)と、アイドル発電中に所定の条件が満たされたことに応じて、前記燃料電池への酸化剤ガスの供給量および前記燃料電池から取り出す発電電流を共に0より大きな範囲内で前記アイドル発電時よりも低減することにより前記燃料電池をアイドル停止の状態にするアイドル停止制御手段(例えば、後述のECU40および)と、前記アノード極に供給されるガスおよび前記アノード極から排出されるガスが流通するアノード系に設けられた排出弁(例えば、後述のパージ弁351およびドレイン弁361)と、酸化剤ガスを希釈ガスとして、前記排出弁を開くことで前記アノード系内から排出された燃料ガスを希釈する希釈手段(例えば、後述の希釈器50)と、前記アイドル発電中および前記アイドル停止中に前記アノード系内の残留物を排出する必要があるか否かを判定し、必要がある場合には前記排出弁を所定時間にわたり開く排出弁制御手段と、を備えた燃料電池システム(例えば、後述の燃料電池システム1)を提供する。前記排出弁制御手段は、前記アイドル停止中における前記排出弁の開弁時間(例えば、後述の図10中の開弁時間PO2,DO2)を、前記アイドル発電中における前記排出弁の開弁時間(例えば、後述の図10中の開弁時間PO1,DO1)よりも短くすることを特徴とする。
【0009】
本発明では、アイドル停止中であっても、アイドル発電中と同様にアノード系内の残留物、すなわち窒素や発電による生成水などのセル電圧を低下させる要因となるものを排出する必要があるかを判定し、必要がある場合には排出弁を所定時間にわたって開き、上記残留物とともに排出された燃料ガスを希釈ガスにより希釈する。これによりセル電圧の低下を抑制し、アイドル停止の状態を長時間にわたって維持することができる。
またアイドル停止中は、アイドル発電中と比較して酸化剤ガスを低流量で供給するため、希釈手段による燃料ガスの希釈能力が低下する。これに対し本発明では、アイドル停止中における排出弁の開弁時間をアイドル発電中よりも短くすることにより、希釈能力を上回る量の燃料ガスが希釈手段に導入されないようにする。したがって、本発明によれば、アイドル停止の状態を長く維持しながら、燃料ガスを十分に希釈することもできる。
【0010】
この場合、前記排出弁を閉じてから開くまでの時間を排出インターバルと定義し、前記排出弁制御手段は、前記アイドル停止中における排出インターバル(例えば、後述の図10中のインターバルPI2,DI2)を、前記アイドル発電中における排出インターバル(例えば、後述の図10中のインターバルPI1,DI1)よりも長くすることが好ましい。
本発明では、アイドル停止中における排出インターバルをアイドル発電中よりも長くすることにより、前回排出弁を閉じてから今回排出弁を再び開くまでの間に十分な量の希釈ガスを希釈手段に導入することができる。
【0011】
この場合、前記排出弁制御手段は、前記排出弁を閉じてから所定時間経過したことおよび前記燃料電池から取り出された発電電流の積算値が所定値以上となったことの2つの条件の何れか又は両方が満たされた場合には、前記アノード系内の残留物を排出する必要があると判定し、前記排出弁を開くことが好ましい。
排出弁を閉じてから経過した時間や、燃料電池の発電電流の積算値は、希釈手段に新たに導入される希釈ガスの積算量に概ね比例すると考えられる。したがって、本発明では、上記2つの条件の何れか又は両方が満たされた場合に排出弁を開くことにより、酸化剤ガスを低流量で供給するアイドル停止中であっても、希釈手段に十分な量の希釈ガスが導入されたと判定できる適切なタイミングで排出弁を開くことができる。
【0012】
この場合、前記アイドル停止中の前記排出弁の開弁時間は、当該アイドル停止中における前記燃料電池の発電電流に基づいて設定されることが好ましい。
希釈手段による希釈能力は酸化剤ガスの供給量に相関があり、さらに燃料電池の発電電流はこの酸化剤ガスの供給量に相関があることから、本発明では、アイドル停止中の排出弁の開弁時間をアイドル停止中の燃料電池の発電電流に基づいて設定する。これにより、アイドル停止中における排出弁の開弁時間を、希釈手段による希釈能力に応じて適切に設定することができる。
【0013】
この場合、前記排出弁は、前記アノード系内の残留物のうち主に気体成分を排出するパージ弁(例えば、後述のパージ弁351)および前記アノード系内の残留物のうち主に液体成分を排出するドレイン弁(例えば、後述のドレイン弁361)の少なくとも何れかを含むことが好ましい。
上述のように、アイドル停止中の燃料電池のセル電圧を低下させる要因となる残留物には、窒素のようなガス成分や発電による生成水のような液体成分が含まれる。本発明では、ガス成分を排出するためのパージ弁を、上述のような適切な開弁時間および排出インターバルで開閉することにより、窒素濃度の上昇を起因としたセル電圧の低下を抑制し、アイドル停止の状態を長く維持することができる。また、液体成分を排出するためのドレイン弁を、上述のような適切な開弁時間および排出インターバルで開閉することにより、フラッディングの発生を起因としたセル電圧の低下を抑制し、アイドル停止の状態を長く維持することができる。
【0014】
上記目的を達成するため本発明は、アノード極に燃料ガスが供給されかつカソード極に酸化剤ガスが供給されると発電する燃料電池と、前記燃料電池で発電した電力を消費する電気負荷と、前記アノード極に供給されるガスおよび前記アノード極から排出されるガスが流通するアノード系に設けられた排出弁と、酸化剤ガスを希釈ガスとして、前記排出弁を開くことで前記アノード系内から排出された燃料ガスを希釈する希釈手段と、を備えた燃料電池システムの制御方法を提供する。前記制御方法は、所定の量の酸化剤ガスを前記燃料電池に供給しながら所定の大きさの発電電流を前記燃料電池から取り出すアイドル発電工程と、当該アイドル発電工程を実行している間に所定条件が成立したことに応じて開始し、前記アイドル発電工程時より少ない量の酸化剤ガスを前記燃料電池に供給しながら、前記アイドル発電工程時より小さな発電電流を前記燃料電池から取り出すアイドル停止工程と、前記アイドル発電工程中および前記アイドル停止工程中に前記アノード系内の残留物を排出する必要があるか否かを判定し、必要がある場合には前記排出弁を所定時間にわたり開く排出工程と、を含み、前記排出工程では、前記アイドル停止工程中における前記排出弁の開弁時間を、前記アイドル発電工程中における前記排出弁の開弁時間よりも短くすることを特徴とする。
この場合、前記排出弁を閉じてから開くまでの時間を排出インターバルと定義し、前記排出工程では、前記アイドル停止工程中における排出インターバルを、前記アイドル発電工程中における排出インターバルよりも長くすることが好ましい。
また、この場合、前記排出工程では、前記排出弁を閉じてから所定時間経過したことおよび前記燃料電池から取り出された発電電流の積算値が所定値以上となったことの2つの条件の何れか又は両方が満たされた場合には、前記アノード系内の残留物を排出する必要があると判定し、前記排出弁を開くことが好ましい。
また、この場合、前記アイドル停止工程中における前記排出弁の開弁時間は、当該アイドル停止工程中における前記燃料電池の発電電流に基づいて設定されることが好ましい。
また、この場合、前記排出弁は、前記アノード系内の残留物のうち主に気体成分を排出するパージ弁および前記アノード系内の残留物のうち主に液体成分を排出するドレイン弁のうち少なくとも何れかを含むことが好ましい。
本発明によれば、上述の燃料電池システムの発明と同じ効果を奏する。
【0015】
上記目的を達成するため本発明は、アノード極に燃料ガスが供給されかつカソード極に酸化剤ガスが供給されると発電する燃料電池と、前記燃料電池で発電した電力を消費する電気負荷と、アイドル発電中に所定の条件が満たされたことに応じて、前記燃料電池への酸化剤ガスの供給量および前記燃料電池から取り出す発電電流を共に0より大きな範囲内で前記アイドル発電時よりも低減することにより前記燃料電池をアイドル停止の状態にするアイドル停止制御手段と、前記アノード極に供給されるガスおよび前記アノード極から排出されるガスが流通するアノード系に設けられた排出弁と、酸化剤ガスを希釈ガスとして、前記排出弁を開くことで前記アノード系内から排出された燃料ガスを希釈する希釈手段と、前記アイドル発電中には前記排出弁を所定時期に所定時間にわたり開き、前記アイドル停止中には前記排出弁を閉じる排出弁制御手段と、を備えた燃料電池システムを提供する。前記アイドル停止制御手段は、前記アイドル停止中において前記燃料電池のセル電圧が、前記排出弁を開く必要があると判断できるセル電圧に相当する排出弁開弁閾値を下回ったことに応じて前記アイドル停止を解除するとともにアイドル発電の状態にし、前記排出弁開弁閾値は、前記燃料電池の劣化が進行すると判断できるセル電圧よりも大きな値に設定されることを特徴とする。
【0016】
本発明では、アイドル発電中には排出弁を所定時期に所定時間にわたって開き、燃料電池への酸化剤ガスの供給量および燃料電池から取り出す発電電流を共に0より大きな範囲内でアイドル発電時よりも低減するアイドル停止中には排出弁を閉じる。これに加えて本発明では、アイドル停止中にスタックのセル電圧が、排出弁を開く必要があると判断できるセル電圧に相当する排出弁開弁閾値を下回ったことに応じて、アイドル停止を解除するとともに再びアイドル発電の状態にする。またさらに、上記排出弁開弁閾値を、燃料電池の劣化が進行すると判断できるセル電圧よりも大きな値に設定する。すなわち本発明では、アイドル停止中に多量の生成水や窒素が燃料電池内に溜まってしまう前にアイドル停止を解除することにより、速やかに再びアイドル停止の状態にすることができる。
例えば、セル電圧が上記燃料電池の劣化が進行すると判断できるセル電圧を下回るまで低下してからアイドル停止を解除した場合、解除時には既に多量の生成水や窒素が燃料電池内に溜まっていると考えられるため、これら生成水や窒素を排出して再びアイドル停止の状態にするまでに時間がかかってしまうと考えられる。これに対し本発明では、小まめにアイドル停止を解除することにより、解除後、再びアイドル停止の状態にするまでの時間を短くできるので、結果として長時間にわたり燃料電池をアイドル停止の状態にすることができる。
【0017】
この場合、前記排出弁制御手段は、前記アイドル停止が解除された直後に前記排出弁を所定時間にわたり開くことが好ましい。
【0018】
アイドル停止中にセル電圧が排出弁開弁閾値まで低下した場合、既にある程度の量の生成水や窒素が溜まっていると考えられる。本発明では、アイドル停止の解除直後に排出弁を開くことにより、溜まっていた生成水や窒素を効率的に排出し、再びアイドル停止の状態にしたときに、長い時間にわたってアイドル停止の状態を維持することができる。
【0019】
この場合、前記排出弁は、前記アノード系内の残留物のうち主に気体成分を排出するパージ弁および前記アノード系内の残留物のうち主に液体成分を排出するドレイン弁の少なくとも何れかを含むことが好ましい。
【0020】
本発明では、ガス成分を排出するためのパージ弁を上述のような時期に開閉することにより、窒素濃度の上昇を起因としたセル電圧の低下を抑制し、アイドル停止の状態を長く維持することができる。また、液体成分を排出するためのドレイン弁を上述のような時期に開閉することにより、フラッディングの発生を起因としたセル電圧の低下を抑制し、アイドル停止の状態を長く維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムのブロック図である。
【図2】スタックの通常発電時におけるパージ制御の一例を示すタイムチャートである。
【図3】アイドル停止制御の手順の一例を示すタイムチャートである。
【図4】アイドル停止継続時間とアノード系内の窒素濃度との関係を示す図である。
【図5】アイドル停止継続時間とアノード系内の生成水の量との関係を示す図である。
【図6】アイドル停止中におけるパージ制御の手順を示すフローチャートである。
【図7】アイドル停止中におけるパージインターバル閾値を設定するマップの一例を示す図である。
【図8】アイドル停止中におけるパージ弁の開弁時間を設定するマップの一例を示す図である。
【図9】アイドル停止中におけるドレイン制御の手順を示すフローチャートである。
【図10】アイドル停止中におけるパージ弁、ドレイン弁、およびセル電圧の変化を示すタイムチャートである。
【図11】本発明の第2実施形態に係る燃料電池システムのアイドル停止制御の手順の一例を示すタイムチャートである。
【図12】パージ制御の手順を示すフローチャートである。
【図13】アイドル停止解除後の要求総パージ量を設定するマップの一例を示す図である。
【図14】ドレイン制御の手順を示すフローチャートである。
【図15】アイドル停止解除後の要求総ドレイン量を設定するマップの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る燃料電池システム1のブロック図である。
燃料電池システム1は、燃料電池スタック10と、この燃料電池スタック10に燃料ガスとしての水素ガスおよび酸化剤ガスとしてのエアを供給する供給装置20と、この供給装置20を制御する電子制御ユニット(以下、「ECU」という)40とを有する。この燃料電池システム1は、燃料電池スタック10で発電した電力を利用してモータ17を駆動し、走行する燃料電池車両(図示せず)に搭載される。
【0023】
燃料電池スタック(以下、単に「スタック」という)10は、例えば、数十個から数百個のセルが積層されたスタック構造である。各セルは、膜電極構造体(MEA)を一対のセパレータで挟持して構成される。膜電極構造体は、アノード電極(陰極)およびカソード電極(陽極)の2つの電極と、これら電極に挟持された固体高分子電解質膜とで構成される。通常、両電極は、固体高分子電解質膜に接して酸化・還元反応を行う触媒層と、この触媒層に接するガス拡散層とから形成される。このスタック10は、アノード電極側に形成されたアノード流路13に水素ガスが供給され、カソード電極側に形成されたカソード流路14に酸素を含むエアが供給されると、これらの電気化学反応により発電する。
【0024】
供給装置20は、スタック10のカソード流路14にエアを供給するエアポンプ21と、水素ガスを貯留する水素タンク31と、水素タンク31内の水素ガスをスタック10のアノード流路13に供給するエゼクタ32と、を含んで構成される。
【0025】
エアポンプ21は、エア供給路22を介してスタック10のカソード流路14の一端側に接続されている。スタック10のカソード流路14の他端側には、エア排出路23が接続され、このエア排出路23の先端側には、後述の希釈手段としての希釈器50が接続されている。この他、エア排出路23には、スタック10のカソード流路14の圧力を制御する図示しない背圧弁が設けられている。
【0026】
水素タンク31は、水素供給路33を介して、スタック10のアノード流路13の一端側に接続されている。この水素供給路33には、エゼクタ32が設けられている。また、水素供給路33のうち水素タンク31とエゼクタ32との間には、水素タンク31から供給される水素ガスを減圧する図示しない遮断弁およびレギュレータ38が設けられている。このレギュレータ38は、エア供給路22から分岐した流路25が接続されており、エア供給路22内の圧力を信号圧とし、この信号圧のレベルに応じて開閉することにより水素ガス圧力を制御する。より具体的には、エア供給路22内の圧力が高くなると、これに併せて水素ガス圧力を高くするべく、レギュレータ38は開き側に作動する。
【0027】
スタック10のアノード流路13の他端側には、水素還流路34が接続される。この水素還流路34の先端側は、エゼクタ32に接続されている。エゼクタ32は、水素還流路34を流通する水素ガスを回収し、水素供給路33に還流する。
【0028】
水素還流路34には、アノードオフガス排出路35が分岐して設けられている。このアノードオフガス排出路35の先端側には、希釈器50が接続されている。アノードオフガス排出路35には、このアノードオフガス排出路35を開閉し、水素還流路34を流通する含水素ガスを希釈器50に排出するパージ弁351が設けられている。なお、このパージ弁351を適切なタイミングで開閉するパージ制御の詳細な手順については、後に詳述する。
【0029】
また、この水素還流路34には、アノード流路13から気体成分とともに排出された発電による生成水を貯留するキャッチタンク37が設けられている。このキャッチタンク37と希釈器50とは、生成水排出路36で接続されている。生成水排出路36には、キャッチタンク37に貯留された生成水を希釈器50に排出するドレイン弁361が設けられている。なお、このドレイン弁361を適切なタイミングで開閉するドレイン制御の詳細な手順については、後に詳述する。
【0030】
希釈器50は、エア排出路23を介して導入されたエアを希釈エアとして、スタック10からアノードオフガス排出路35や生成水排出路36を介して排出された含水素ガスを希釈する。より具体的には、希釈器50は、パージ弁351やドレイン弁361を開くことでアノードオフガス排出路35や生成水排出路36を介して窒素や生成水とともに排出された含水素ガスを滞留内に導入するとともに、この滞留室内のガスを、エア排出路23から逐次導入される希釈エアで徐々に希釈しながらシステム外に放出する。
【0031】
本実施形態では、水素供給路33、水素還流路34、アノードオフガス排出路35、および生成水排出路36により、スタック10のアノード流路13に供給されるガスおよびアノード流路13から排出されるガスが流通するアノード系が構成される。また、エア供給路22、およびエア排出路23により、スタック10のカソード流路14に供給されるガスおよびカソード流路14から排出されるガスが流通するカソード系が構成される。図1では、アノード系を白抜きの矢印で示し、カソード系を実線の矢印で示す。
【0032】
また、スタック10は、電流制御器15を介して、高圧バッテリ16およびモータ17に接続されている。高圧バッテリ16は、スタック10で発電された電力を貯めておき、スタック10の始動時などにおいて適宜利用する。この高圧バッテリ16は、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池やキャパシタにより構成される。電流制御器15は、DC/DCコンバータを含んで構成され、ECU40により決定された電流指令値に基づいて、スタック10から取り出される発電電流(以下、「FC電流」という)を制御する。モータ17は、スタック10で発電した電力や高圧バッテリ16の電力により、図示しない駆動輪を回転する。
【0033】
以上のように構成された燃料電池システム1において、スタック10へのエアの供給量を制御するためのエアポンプ21、アノード系内のガスを希釈器50に導入するためのパージ弁351、キャッチタンク37内の生成水を希釈器50に導入するためのドレイン弁361、並びにFC電流を制御するための電流制御器15は、ECU40により制御される。
【0034】
次に、ECUによる燃料電池システムのパージ制御、ドレイン制御、およびアイドル停止制御の具体的な手順について、図2〜図10を参照して説明する。
【0035】
図2は、パージ制御の手順の一例を示すタイムチャートである。より具体的には、スタックの通常発電時におけるパージ制御の一例を示すタイムチャートである。ここで、スタックの通常発電とは、スタックで発電した電力を利用してモータを駆動し走行するべく、FC電流を運転者による加減速の要求に応じて制御している状態をいう。
【0036】
スタックが通常発電の状態にある間、図2に示すように、スタックへのエアの供給量は、運転者による加減速の要求に応じて増減し、またこのスタックへのエアの供給量の増減に合わせてFC電流も増減する。なお、このように運転者の要求に応じてエアの供給量が増減しひいてはFC電流が増減する通常発電中において、燃料電池車両が一旦停止するなどによりエアの供給量が最小となった状態を、後述のアイドル停止の状態と区別するため、アイドル発電の状態という。
【0037】
ECUは、スタックが通常発電にある間、パージ弁の開弁が許可されているか否かを判定するとともにパージ弁の開弁が要求されているか否かを判定し、パージ弁の開弁が許可されかつ要求されている時に限り、所定の開弁時間にわたってパージ弁を開弁する。以下、パージ弁の開弁の許可判定、パージ弁の開弁の要求判定の具体的な手順について説明する。
【0038】
例えば、図2中の時刻t1〜t2に示すように、パージ弁を開くとアノード系内に残留した窒素とともに水素ガスも希釈器内に導入されるので、希釈器内の水素濃度が一時的に高くなる。その後、パージ弁を閉じると希釈器内に新たに導入された希釈エアにより、希釈器内の水素濃度は徐々に低下する。ここで、システム外へ水素濃度の高いガスが排出されないようにするため、希釈器内の水素濃度に対し、その性能に応じた目標値が設定される。
【0039】
ECUは、パージ弁を開いても希釈器内の水素濃度が上記目標値を大きく上回らないと判定できる場合にパージ弁の開弁を許可する。より具体的には、ECUは、パージ弁を閉じてから希釈器内に新たに導入された希釈エアの積算量に相当する希釈エア導入量を算出し、この希釈エア導入量が予め定められた希釈エア必要量未満である場合には希釈器内の水素が未だ十分に希釈されていないと判定してパージ弁の開弁を禁止し、希釈エア導入量が希釈エア必要量以上である場合にパージ弁の開弁を許可する(図2中、時刻t3、t5、t8参照)。なお、この希釈エア導入量は、例えば、希釈器に供給されるエアの量に略比例したFC電流値を積算することにより算出される。
【0040】
またECUは、アノード系内の窒素濃度がある程度高くなったと判定できる場合に、パージ弁の開弁を要求する。より具体的には、ECUは、パージ弁を閉じてから経過した時間に相当するパージインターバルカウンタを計数するとともに、このパージインターバルカウンタが所定のパージインターバル閾値未満である場合にはパージ弁を開く必要がないと判定し、パージインターバルカウンタがパージインターバル閾値以上である場合にパージ弁を開く必要があると判定する。なお、パージ弁の開弁の要求を判定するためのパージインターバル閾値は、FC電流値が大きくなるほど小さくなるように、所定のマップにより設定される(後述の図7中の破線を参照)。
【0041】
ECUは、以上のようにしてパージ弁の開弁許可と開弁要求とを判定し、パージ弁の開弁が許可されかつ要求されたとき(図2中の時刻t1、t3、t6およびt9参照)にパージ弁を所定の開弁時間にわたり開く。なお、このパージ弁の開弁時間(図2中の時刻t1〜t2、t3〜t4およびt6〜t7参照)は、FC電流値が大きくなるほど長くなるように、所定のマップにより設定される(後述の図8中の破線を参照)。
【0042】
以上、図2を参照して、スタックの通常発電時におけるパージ制御について説明したが、ドレイン制御も同様の手順で行われるので、詳細な説明を省略する。すなわち、ドレイン弁を開いたときも生成水とともに水素ガスも希釈器内に導入されることから、希釈器内の水素濃度が上記目標値を大きく上回らないように、パージ制御と同様にドレイン弁の開弁が許可されかつ要求されたときにドレイン弁を所定の開弁時間にわたり開く。
【0043】
図3は、ECUによる燃料電池システムのアイドル停止制御の手順の一例を示すタイムチャートである。より具体的には、燃料電池車両が走行中にある状態から、時刻t0において例えば信号待ちなどにより一旦停止した後、時刻t2において運転者による加速要求に応じて再び走行を開始するまでの間におけるFC電流値およびエア供給量などの変化を示すタイムチャートである。
【0044】
車両が一旦停止し、これに応じてスタックへのエアおよび水素ガスの供給量が低減されることによりスタックが上述のアイドル発電の状態になった後(時刻t0参照)、ECUは、所定のアイドル停止開始条件が満たされたことに応じて、スタックをアイドル発電の状態からアイドル停止の状態にする(時刻t1参照)。より具体的には、スタックへエアの供給量に比例したエアポンプの回転数とFC電流とを共に0よりも大きな範囲内でアイドル発電時よりも低減することによりスタックをアイドル停止の状態にする。その後、ECUは、所定のアイドル停止解除条件が満たされたことに応じて、エアポンプの回転数を要求に応じて上昇させる(時刻t2参照)。
【0045】
ここで、アイドル停止開始条件としては、例えば、希釈器内に所定の量の希釈エアが導入されたことが挙げられるが、これに限らない。また、アイドル停止解除条件としては、例えば、運転者による加速要求が生じたことや、セル電圧が所定のアイドル停止解除閾値(後述の図8参照)を下回ることなどが挙げられるが、これに限らない。また、上述のように、セル電圧が過剰に低い状態で発電を継続するとスタックが劣化するおそれがある。そこで、アイドル停止中にスタックが劣化してしまうのを抑制するため、上記アイドル停止の解除を判定するためのアイドル停止解除閾値は、これよりもセル電圧が低下するとスタックの劣化が進行するおそれがあると考えられる程度の値に設定される。
【0046】
また、モータを駆動する必要のないアイドル発電中およびアイドル停止中にスタックから取り出した発電電流は、例えば、高圧バッテリに供給されるか、エアポンプに供給されるか、又はこれらの負荷とは別に設けられたディスチャージ抵抗に供給される。
【0047】
図4は、アイドル停止継続時間とアノード系内の窒素濃度との関係を示す図である。
図5は、アイドル停止継続時間とアノード系内の生成水の量との関係を示す図である。なお、これら図4および図5において、アイドル停止継続時間とは、パージ弁およびドレイン弁ともに開かずにアイドル停止の状態を継続した時間を示す。
【0048】
図4に示すように、カソード極側からアノード極側へのクロスオーバにより、アイドル停止継続時間が長くなるほど、アノード系内の窒素濃度は増加する。また、アイドル停止中に、アノード系内の窒素濃度が図4中破線で示すような閾値を超えると、セル電圧が低下し始める。なお、アノード系内の窒素濃度が高くなるとカソード側の窒素分圧とアノード側の窒素分圧との差が小さくなるので、アイドル停止継続時間が長くなるほど窒素濃度の増加は緩やかになる。
【0049】
また、上述のようにアイドル停止中は、僅かながらもエアを供給しスタックによる発電を継続するため、生成水の量も増加する。このため、図5に示すように、アイドル停止中のFC電流値を一定とした場合、生成水の量はアイドル停止継続時間に比例して一定の割合で増加する。また、アイドル停止中に、アノード系内の生成水の量が図5中破線で示すような閾値を超えると、セル電圧が低下し始める。
【0050】
以上のように、アイドル停止中にパージ弁およびドレイン弁を開かなかった場合、アノード系内の窒素濃度および生成水の量ともに増加し、セル電圧が低下してしまう。そこで本実施形態では、アイドル停止の状態を長時間にわたって維持するべく、アイドル停止中は、図2を参照して説明した通常発電時(アイドル発電時を含む)における手順とは異なる手順にてパージ制御およびドレイン制御を実行する。以下、アイドル停止時におけるパージ制御およびドレイン制御の手順を具体的に説明する。
【0051】
図6は、アイドル停止中におけるパージ制御の手順を示すフローチャートである。図6に示す処理は、アイドル停止にすることが要求されている状態であることを示すアイドル停止フラグが“1”にセットされている間、ECUにより所定の制御周期ごとに繰り返し実行される。なお、このアイドル停止フラグは、図示しない処理により、上述のアイドル停止開始条件が満たされたことに応じて“0”から“1”にセットされ、その後、上述のアイドル停止解除条件が満たされたことに応じて“1”から“0”にリセットされる。
【0052】
S1では、FC電流値に基づいて所定のマップを検索することにより、パージ弁を閉じてから開くまでの時間(以下、「パージインターバル」という)に相当するパージインターバル閾値を設定し、S2に移る。
図7は、アイドル停止中におけるパージインターバル閾値を設定するマップの一例を示す図である。なお図7には、比較のため通常発電時におけるパージインターバル閾値を設定するマップの一例を破線で示す。図7に示すように、FC電流値が大きくなるに従い、パージインターバル閾値は小さな値に設定される。また、アイドル停止中は、上述のようにエアの供給量をアイドル発電時よりもさらに少なくすることから、アイドル発電時と比較してパージインターバル閾値を大きな値に設定する。
【0053】
図6に戻って、S2では、パージインターバルカウンタがパージインターバル閾値以上であるか否か、すなわち前回パージ弁を閉じてから上記S1で設定したパージインターバル閾値に相当する時間が経過したか否かを判別する。この判別がNOの場合には、パージ弁を開く必要はないと判定し、この処理を終了する。
【0054】
S2の判別がYESである場合には、パージ弁を開く必要があると判定し、S3に移る。S3では、FC電流値に基づいて所定のマップを検索することにより、パージ弁の開弁時間を設定し、S4に移る。
図8は、アイドル停止中におけるパージ弁の開弁時間を設定するマップの一例を示す図である。なお図8には、比較のため通常発電時におけるパージ弁の開弁時間を設定するマップの一例を破線で示す。図8に示すように、FC電流値が大きくなるに従い、パージ弁の開弁時間は長くなるように設定される。また、アイドル停止中は、上述のようにエアの供給量をアイドル発電時よりもさらに少なくすることから、アイドル停止中における開弁時間は、アイドル発電中における開弁時間よりも短く設定される。
【0055】
S4では、上記S3で設定された開弁時間にわたってパージ弁を開き、S5では、パージインターバルカウンタを“0”にリセットした後、この処理を終了する。
【0056】
図9は、アイドル停止中におけるドレイン制御の手順を示すフローチャートである。図9に示す処理は、図6を参照して説明したアイドル停止中におけるパージ制御と同様に、アイドル停止フラグが“1”にセットされている間、ECUにより所定の制御周期ごとに繰り返し実行される。
【0057】
S11では、FC電流値に基づいて所定のマップを検索することにより、ドレイン弁を閉じてから開くまでの時間(以下、「ドレインインターバル」という)に相当するドレインインターバル閾値を設定し、S12に移る。このドレインインターバル閾値は、図7を参照して説明したパージインターバル閾値と同様に、FC電流値が大きくなるに従い小さな値に設定される。また、アイドル停止中は、上述のようにエアの供給量をアイドル発電時よりもさらに少なくすることから、アイドル発電時と比較してドレインインターバル閾値を大きな値に設定する。
【0058】
S12では、ドレインインターバルカウンタがドレインインターバル閾値以上であるか否か、すなわち前回ドレイン弁を閉じてからドレインインターバル閾値に相当する時間が経過したか否かを判別する。この判別がNOの場合には、ドレイン弁を開く必要はないと判定し、この処理を終了する。
【0059】
S12の判別がYESである場合には、ドレイン弁を開く必要があると判定し、S13に移る。S13では、FC電流値に基づいて所定のマップを検索することにより、ドレイン弁の開弁時間を設定し、S14に移る。このドレイン弁の開弁時間は、図8を参照して説明したドレイン弁の開弁時間と同様に、FC電流値が大きくなるに従い長くなるように設定される。また、アイドル停止中は、上述のようにエアの供給量をアイドル発電時よりもさらに少なくすることから、アイドル停止中における開弁時間は、アイドル発電中における開弁時間よりも短く設定される。
S14では、上記S13で設定された開弁時間にわたってドレイン弁を開き、S15では、ドレインインターバルカウンタを“0”にリセットした後、この処理を終了する。
【0060】
図10は、アイドル停止中におけるパージ弁、ドレイン弁、およびスタックの発電安定性の指標となるセル電圧の変化を示すタイムチャートである。また図10には、時刻t0において車両が一旦停止しスタックがアイドル発電の状態になってから、時刻t1以降スタックをアイドル停止の状態にした場合を示す。なお、図10には、本実施形態と異なり、アイドル停止中にパージ弁およびドレイン弁を開かなかった場合におけるセル電圧の変化を、比較のため破線で示す。
【0061】
先ず、時刻t0には、車両が一旦停止することにより、スタックはアイドル発電の状態となる。図10には、アイドル発電時におけるエアの供給量をR1とし、FC電流値をI1として示す。また、アイドル発電中は、図2を参照して説明した手順により、パージ制御およびドレイン制御が実行される。図10には、時刻t0〜t1の間のアイドル発電時におけるパージインターバルおよびドレインインターバルをそれぞれPI1,DI1と示し、パージ弁およびドレイン弁の開弁時間をそれぞれPO1,DO1と示す。
【0062】
次に、時刻t1において所定のアイドル停止開始条件が満たされたことに応じて、エアの供給量をアイドル発電時より低下させる(R1→R2)。このとき、エアの供給量と併せてFC電流値もアイドル発電時より低下させる(I1→I2)。これにより、時刻t1以降、スタックはアイドル停止の状態となる。
【0063】
時刻t1においてスタックをアイドル停止の状態にした直後は、FC電流値を低下させたことによりセル電圧が一旦は上昇するものの、上述のようにアノード系内の窒素濃度および生成水の量が共に増加することにより、セル電圧は低下し始める(時刻t2参照)。
【0064】
ここで、アイドル停止中にパージ弁およびドレイン弁を共に開かなかった場合、図10中、破線で示すように、セル電圧は徐々に低下しアイドル停止解除閾値を下回ってしまい(時刻t3参照)、アイドル停止の状態が解除される。
【0065】
これに対し本実施形態では、アイドル停止中は、図6および図9のフローチャートを参照して説明した手順にてパージ弁およびドレイン弁を開く。すなわち、アイドル停止中は、エアの供給量を少なくすることから、アイドル停止中のパージ弁およびドレイン弁の開弁時間PO2,DO2をアイドル発電中の開弁時間PO1,DO1より短くし、さらにアイドル停止中のパージインターバルPI2およびドレインインターバルDI2をアイドル発電中のパージインターバルPI1およびドレインインターバルDI1より長くする。これにより、図10に示すように、セル電圧がアイドル停止解除閾値を下回るまで低下するのを防止し、長時間にわたりアイドル停止の状態を維持することができる。
【0066】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)本実施形態では、アイドル停止中であっても、パージ弁やドレイン弁を所定の開弁時間にわたって開き、窒素や生成水とともに排出された水素ガスを希釈エアにより希釈する。これによりセル電圧の低下を抑制し、アイドル停止の状態を長時間にわたって維持することができる。本実施形態では、アイドル停止中におけるパージ弁およびドレイン弁の開弁時間をアイドル発電中よりも短くすることにより、希釈能力を上回る量の水素ガスが希釈器に導入されないようにする。したがって、本実施形態によれば、アイドル停止の状態を長く維持しながら、燃料ガスを十分に希釈することもできる。
【0067】
(2)本実施形態では、アイドル停止中におけるパージインターバルやドレインインターバルをアイドル発電中よりも長くすることにより、前回パージ弁やドレイン弁を閉じてから今回再び開くまでの間に十分な量の希釈エアを希釈器に導入することができる。
【0068】
(3)本実施形態では、パージ弁を閉じてから上記パージインターバル閾値に相当する時間が経過した場合にパージ弁を開くことにより、又はドレイン弁を閉じてから上記ドレインインターバル閾値に相当する時間が経過した場合にドレイン弁を開くことにより、エアを低流量で供給するアイドル停止中であっても、希釈器に十分な量の希釈エアが導入されたと判定できる適切なタイミングでこれら弁を開くことができる。
【0069】
(4)本実施形態では、アイドル停止中のパージ弁やドレイン弁の開弁時間をアイドル停止中のFC電流値に基づいて設定する。これにより、アイドル停止中におけるパージ弁やドレイン弁の開弁時間を、希釈器による希釈能力に応じて適切に設定することができる。
【0070】
(5)本実施形態では、パージ弁を上述のような適切な開弁時間およびパージインターバルで開閉することにより、窒素濃度の上昇を起因としたセル電圧の低下を抑制し、アイドル停止の状態を長く維持することができる。また、レイン弁を上述のような適切な開弁時間およびドレインインターバルで開閉することにより、フラッディングの発生を起因としたセル電圧の低下を抑制し、アイドル停止の状態を長く維持することができる。
【0071】
なお、上記実施形態では、パージ弁を閉じてからパージインターバル閾値に相当する時間が経過したことを条件とし、アイドル停止中に本条件が満たされた場合にはアノード系内の窒素を排出する必要があると判定し、パージ弁を開いたが、パージ弁を開く条件はこれに限らない。この他、FC電流の積算値が所定値以上となったことを条件としてパージ弁を開いてもよいし、上記2つの条件の両方が満たされた場合にパージ弁を開いてもよい。
また、上記実施形態では、ドレイン弁を閉じてからドレインインターバル閾値に相当する時間が経過したことを条件とし、アイドル停止中に本条件が満たされた場合にアノード系内の生成水を排出する必要があると判定し、ドレイン弁を開いたが、ドレイン弁を開く条件はこれに限らない。上記パージ弁の開弁条件と同様に、FC電流の積算値が所定値以上となったことを条件としてドレイン弁を開いてもよいし、上記2つの条件の両方が満たされた場合にドレイン弁を開いてもよい。
【0072】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0073】
図11は、本実施形態に係るECUによる燃料電池システムのアイドル停止制御の手順の一例を示すタイムチャートである。本実施形態は、アイドル停止フラグを更新する条件、すなわちアイドル停止開始条件およびアイドル停止解除条件と、アイドル停止中にはパージ弁およびドレイン弁を開かない点とが上記第1実施形態と異なる。
【0074】
本実施形態では、車両が一旦停止することによりスタックがアイドル発電の状態になった後、希釈器内に所定の量の希釈エアが導入されたことをアイドル停止開始条件として、このアイドル停止開始条件が満たされたことに応じて、スタックをアイドル発電の状態からアイドル停止の状態にする(時刻t1参照)。また、本実施形態では、アイドル停止解除後にパージ弁を開くことで排出された窒素の総量に相当する総パージ量が後述の要求総パージ量を上回ること又はアイドル停止解除後にドレイン弁を開くことで排出された生成水の総量に相当する総ドレイン量が後述の要求総ドレイン量を上回ることをアイドル停止開始条件とし、アイドル停止が解除された後であってもこのアイドル停止開始条件が満たされたことに応じて、スタックをアイドル発電の状態から再びアイドル停止の状態にする(時刻t3参照)。このように、アイドル停止解除後、再びアイドル停止の状態にする際、アイドル停止解除後の総パージ量が要求総パージ量を上回るか又は総ドレイン量が要求総ドレイン量を上回るまで、すなわち窒素および生成水が十分に排出されるまでアイドル発電を継続することにより、再びアイドル停止にした時におけるセル電圧の低下を緩やかにすることができるので、長時間にわたってアイドル停止の状態を維持することができる。
【0075】
本実施形態では、アイドル停止中に運転者による加速要求が生じたこと、アイドル停止中にセル電圧が所定の開弁閾値を下回ること、およびアイドル停止継続時間が所定の制限時間を超えたことをアイドル停止解除条件とし、アイドル停止中にこれらアイドル停止解除条件の何れかが満たされた場合にはアイドル停止を解除する(時刻t2、t4参照)。ここで、図12に示すように、セル電圧に対する開弁閾値は、上述のようにスタックの劣化を抑制するために設定されたアイドル停止解除閾値よりも大きな値に設定される。すなわち、アイドル停止中に加速要求が無かったとした場合、本実施形態では上記第1実施形態よりも早くアイドル停止が解除されることとなる。また、アイドル停止継続時間に対する上記制限時間は、アイドル停止中又はアイドル停止解除直後のスタックの安定性が確保できるように、テストにより予め定められる。このように、アイドル停止継続時間によってアイドル停止を解除することにより、例えば、アイドル停止中におけるスタックの発電安定性の低下がセル電圧の低下として表れないような場合であっても、適切なタイミングでアイドル停止を解除できるので、解除後次回のアイドル停止に入るまでの時間をできるだけ短くし、結果としてアイドル停止にする時間を長くできる。
【0076】
アイドル停止フラグは、以上のようなアイドル停止開始条件が満たされた場合には“0”から“1”にセットされ、アイドル停止解除条件が満たされた場合には“1”から“0”にリセットされる。
【0077】
図12は、パージ制御の手順を示すフローチャートである。図12に示す処理は、図示しないイグニッションスイッチがオンにされた後、ECUにより所定の制御周期ごとに繰り返し実行される。
【0078】
S21では、アイドル停止フラグが“1”であるか否かを判別する。この判別がYESの場合、すなわち現在アイドル停止中である場合には、S22に移り、アイドル停止継続時間に基づいて所定のマップを検索することにより要求総パージ量を算出した後、パージ弁を開くことなくこの処理を終了する。
図13は、アイドル停止解除後の要求総パージ量を設定するマップの一例を示す図である。上述のように本実施形態ではアイドル停止中にパージ弁を開かないので、アイドル停止解除後のアノード系内の窒素濃度はアイドル停止継続時間に比例して増加する。このため、図13に示すように、要求総パージ量は、アイドル停止継続時間に比例して大きくなるように設定される。
【0079】
S21における判別がNOの場合、すなわち現在アイドル停止中でない場合には、S23に移り、アイドル停止が解除された直後であるか否かを判別する。この判別がYESであり現在アイドル停止が解除された直後である場合には、S25に移りパージ弁を所定時間にわたり開いた後、この処理を終了する。S23の判別がNOでありアイドル停止が解除された直後でない場合には、上記第1実施形態において図2を参照して説明した通常発電時におけるパージ制御と同様の手順によりパージ弁を制御するべく、S24に移る。
【0080】
S24では、パージ弁の開弁が許可されかつ要求されているか否かを判別する。なお、第1実施形態において図2を参照して説明したように、パージ弁の開弁が許可されているか否かは、希釈エア導入量と希釈エア必要量とを比較することで判別され、パージ弁の開弁が要求されているか否かは、パージインターバルカウンタとパージインターバル閾値とを比較することで判別される。
【0081】
S24の判別がYESである場合には、S25に移り所定の開弁時間にわたってパージ弁を開弁した後にこの処理を終了し、NOである場合には、パージ弁を開弁することなくこの処理を終了する。
【0082】
図14は、ドレイン制御の手順を示すフローチャートである。図14に示す処理は、図示しないイグニッションスイッチがオンにされた後、ECUにより所定の制御周期ごとに繰り返し実行される。
【0083】
S31では、アイドル停止フラグが“1”であるか否かを判別する。この判別がYESの場合、すなわち現在アイドル停止中である場合には、S32に移り、アイドル停止継続時間に基づいて所定のマップを検索することにより要求総ドレイン量を算出した後、ドレイン弁を開くことなくこの処理を終了する。
図15は、アイドル停止解除後の要求総ドレイン量を設定するマップの一例を示す図である。上述のように本実施形態ではアイドル停止中にドレイン弁を開かないので、アイドル停止解除後のアノード系内の生成水の量はアイドル停止継続時間に比例して増加する。このため、図15に示すように、要求総ドレイン量は、アイドル停止継続時間に比例して大きくなるように設定される。
【0084】
S31における判別がNOの場合、すなわち現在アイドル停止中でない場合には、S33に移り、アイドル停止が解除された直後であるか否かを判別する。この判別がYESであり現在アイドル停止が解除された直後である場合には、S35に移りパージ弁を所定時間にわたり開いた後、この処理を終了する。
【0085】
S33の判別がNOでありアイドル停止が解除された直後でない場合には、上記第1実施形態において説明した通常発電時におけるドレイン制御と同様の手順によりドレイン弁を制御するべく、S34に移る。S34では、ドレイン弁の開弁が許可されかつ要求されているか否かを判別する。S34の判別がYESである場合には、S35に移り所定の開弁時間にわたってドレイン弁を開弁した後にこの処理を終了し、NOである場合には、ドレイン弁を開弁することなくこの処理を終了する。
【0086】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(6)本実施形態では、アイドル停止中にスタックのセル電圧が開弁閾値を下回ったことに応じて、アイドル停止を解除するとともに再びアイドル発電の状態にする。またさらに、この開弁閾値を、スタックの劣化が進行すると判断できるセル電圧に相当するアイドル停止解除閾値よりも大きな値に設定する。すなわち本実施形態では、アイドル停止中に多量の生成水や窒素がスタック内に溜まってしまう前にアイドル停止を解除することにより、速やかに再びアイドル停止の状態にすることができる。例えば、セル電圧が上記アイドル停止解除閾値を下回るまで低下してからアイドル停止を解除した場合、解除時には既に多量の生成水や窒素がスタック内に溜まっていると考えられるため、これら生成水や窒素を排出して再びアイドル停止の状態にするまでに時間がかかってしまうと考えられる。これに対し本実施形態では、小まめにアイドル停止を解除することにより、解除後、再びアイドル停止の状態にするまでの時間を短くできるので、結果として長時間にわたりスタックをアイドル停止の状態にすることができる。
【0087】
(7)本実施形態では、アイドル停止の解除直後にパージ弁およびドレイン弁を開くことにより、溜まっていた生成水や窒素を効率的に排出し、再びアイドル停止の状態にしたときに、長い時間にわたってアイドル停止の状態を維持することができる。
【0088】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0089】
1…燃料電池システム
10…燃料電池スタック(燃料電池)
13…アノード流路(アノード系)
16…高圧バッテリ(電気負荷)
17…モータ(電気負荷)
21…エアポンプ(電気負荷)
33…水素供給路(アノード系)
34…水素還流路(アノード系)
35…アノードオフガス排出路(アノード系)
351…パージ弁(排出弁)
36…生成水排出路(アノード系)
361…ドレイン弁(排出弁)
40…ECU(アイドル停止制御手段)
50…希釈器(希釈手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード極に燃料ガスが供給されかつカソード極に酸化剤ガスが供給されると発電する燃料電池と、
前記燃料電池で発電した電力を消費する電気負荷と、
アイドル発電中に所定の条件が満たされたことに応じて、前記燃料電池への酸化剤ガスの供給量および前記燃料電池から取り出す発電電流を共に0より大きな範囲内で前記アイドル発電時よりも低減することにより前記燃料電池をアイドル停止の状態にするアイドル停止制御手段と、
前記アノード極に供給されるガスおよび前記アノード極から排出されるガスが流通するアノード系に設けられた排出弁と、
酸化剤ガスを希釈ガスとして、前記排出弁を開くことで前記アノード系内から排出された燃料ガスを希釈する希釈手段と、
前記アイドル発電中および前記アイドル停止中に前記アノード系内の残留物を排出する必要があるか否かを判定し、必要がある場合には前記排出弁を所定時間にわたり開く排出弁制御手段と、を備えた燃料電池システムであって、
前記排出弁制御手段は、前記アイドル停止中における前記排出弁の開弁時間を、前記アイドル発電中における前記排出弁の開弁時間よりも短くすることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記排出弁を閉じてから開くまでの時間を排出インターバルと定義し、
前記排出弁制御手段は、前記アイドル停止中における排出インターバルを、前記アイドル発電中における排出インターバルよりも長くすることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記排出弁制御手段は、前記排出弁を閉じてから所定時間経過したことおよび前記燃料電池から取り出された発電電流の積算値が所定値以上となったことの2つの条件の何れか又は両方が満たされた場合には、前記アノード系内の残留物を排出する必要があると判定し、前記排出弁を開くことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記アイドル停止中の前記排出弁の開弁時間は、当該アイドル停止中における前記燃料電池の発電電流に基づいて設定されることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記排出弁は、前記アノード系内の残留物のうち主に気体成分を排出するパージ弁および前記アノード系内の残留物のうち主に液体成分を排出するドレイン弁の少なくとも何れかを含むことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の燃料電池システム。
【請求項6】
アノード極に燃料ガスが供給されかつカソード極に酸化剤ガスが供給されると発電する燃料電池と、
前記燃料電池で発電した電力を消費する電気負荷と、
前記アノード極に供給されるガスおよび前記アノード極から排出されるガスが流通するアノード系に設けられた排出弁と、
酸化剤ガスを希釈ガスとして、前記排出弁を開くことで前記アノード系内から排出された燃料ガスを希釈する希釈手段と、を備えた燃料電池システムの制御方法であって、
所定の量の酸化剤ガスを前記燃料電池に供給しながら所定の大きさの発電電流を前記燃料電池から取り出すアイドル発電工程と、
当該アイドル発電工程を実行している間に所定条件が成立したことに応じて開始し、前記アイドル発電工程時より少ない量の酸化剤ガスを前記燃料電池に供給しながら、前記アイドル発電工程時より小さな発電電流を前記燃料電池から取り出すアイドル停止工程と、
前記アイドル発電工程中および前記アイドル停止工程中に前記アノード系内の残留物を排出する必要があるか否かを判定し、必要がある場合には前記排出弁を所定時間にわたり開く排出工程と、を含み、
前記排出工程では、前記アイドル停止工程中における前記排出弁の開弁時間を、前記アイドル発電工程中における前記排出弁の開弁時間よりも短くすることを特徴とする燃料電池システムの制御方法。
【請求項7】
前記排出弁を閉じてから開くまでの時間を排出インターバルと定義し、
前記排出工程では、前記アイドル停止工程中における排出インターバルを、前記アイドル発電工程中における排出インターバルよりも長くすることを特徴とする請求項6に記載の燃料電池システムの制御方法。
【請求項8】
前記排出工程では、前記排出弁を閉じてから所定時間経過したことおよび前記燃料電池から取り出された発電電流の積算値が所定値以上となったことの2つの条件の何れか又は両方が満たされた場合には、前記アノード系内の残留物を排出する必要があると判定し、前記排出弁を開くことを特徴とする請求項6又は7に記載の燃料電池システムの制御方法。
【請求項9】
前記アイドル停止工程中における前記排出弁の開弁時間は、当該アイドル停止工程中における前記燃料電池の発電電流に基づいて設定されることを特徴とする請求項6から8の何れかに記載の燃料電池システムの制御方法。
【請求項10】
前記排出弁は、前記アノード系内の残留物のうち主に気体成分を排出するパージ弁および前記アノード系内の残留物のうち主に液体成分を排出するドレイン弁の少なくとも何れかを含むことを特徴とする請求項6から9の何れかに記載の燃料電池システムの制御方法。
【請求項11】
アノード極に燃料ガスが供給されかつカソード極に酸化剤ガスが供給されると発電する燃料電池と、
前記燃料電池で発電した電力を消費する電気負荷と、
アイドル発電中に所定の条件が満たされたことに応じて、前記燃料電池への酸化剤ガスの供給量および前記燃料電池から取り出す発電電流を共に0より大きな範囲内で前記アイドル発電時よりも低減することにより前記燃料電池をアイドル停止の状態にするアイドル停止制御手段と、
前記アノード極に供給されるガスおよび前記アノード極から排出されるガスが流通するアノード系に設けられた排出弁と、
酸化剤ガスを希釈ガスとして、前記排出弁を開くことで前記アノード系内から排出された燃料ガスを希釈する希釈手段と、
前記アイドル発電中には前記排出弁を所定時期に所定時間にわたり開き、前記アイドル停止中には前記排出弁を閉じる排出弁制御手段と、を備えた燃料電池システムであって、
前記アイドル停止制御手段は、前記アイドル停止中において前記燃料電池のセル電圧が、前記排出弁を開く必要があると判断できるセル電圧に相当する排出弁開弁閾値を下回ったことに応じて前記アイドル停止を解除するとともにアイドル発電の状態にし、
前記排出弁開弁閾値は、前記燃料電池の劣化が進行すると判断できるセル電圧よりも大きな値に設定されることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項12】
前記排出弁制御手段は、前記アイドル停止が解除された直後に前記排出弁を所定時間にわたり開くことを特徴とする請求項11に記載の燃料電池システム。
【請求項13】
前記排出弁は、前記アノード系内の残留物のうち主に気体成分を排出するパージ弁および前記アノード系内の残留物のうち主に液体成分を排出するドレイン弁の少なくとも何れかを含むことを特徴とする請求項11又は12に記載の燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−248319(P2012−248319A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117146(P2011−117146)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】