燃料電池システム
【課題】応答性及び耐久性の高い手段により、燃料電池の膜電極接合体の湿潤度合いを把握して、運転停止時のパージ終了条件を判定する。
【解決手段】燃料電池スタック1の温度測定セル9に、温度センサ10,11を設ける。燃料電池システムの運転停止時に、制御装置13は、運転停止前の負荷履歴に基づいてセル中の残留水分量を推定し、空気によるパージ中の水の蒸発熱による温度低下幅に基づいて、膜電極接合体の湿潤度合いを推定し、所定の湿潤度合いを下回るとパージを停止する。
【解決手段】燃料電池スタック1の温度測定セル9に、温度センサ10,11を設ける。燃料電池システムの運転停止時に、制御装置13は、運転停止前の負荷履歴に基づいてセル中の残留水分量を推定し、空気によるパージ中の水の蒸発熱による温度低下幅に基づいて、膜電極接合体の湿潤度合いを推定し、所定の湿潤度合いを下回るとパージを停止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池スタック内の湿潤度合いを把握し、この湿潤度合いを用いて燃料電池システム停止時に燃料電池スタックを効率的にパージする燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムは、燃料が有する化学エネルギを直接電気エネルギに変換する装置であり、電解質膜を挟んで設けられた一対の電極のうち負極に水素を含有する燃料ガスを供給するとともに、他方の正極に酸素を含有する酸素剤ガスを供給し、これら一対の電極の電解質膜側の表面で生じる下記の電気化学反応を利用して電極から電気エネルギを取り出すものである。
【0003】
負極反応:H2 → 2H+ + 2e- …(1)
正極反応:2H+ + 2e- +(1/2)O2 → H2O …(2)
負極に供給する燃料ガスは、水素貯蔵装置から直接供給する方法、水素を含有する原燃料を改質して改質した水素含有ガスを供給する方法が知られている。水素貯蔵装置としては、高圧ガスタンク、液化水素タンク、水素吸蔵合金タンク等がある。水素を含有する原燃料としては、天然ガス、メタノール、ガソリン等が考えられる。正極に供給する酸化剤ガスとしては、一般的に空気が利用されている。
【0004】
ところで、燃料電池を氷点下から起動させるためには、あらかじめ燃料電池内部から水分を除去しておくことが必要である。なぜならば、氷点下雰囲気では、燃料電池内部に残留した水が凍ってしまい、反応ガスの拡散を妨げ、発電不能に陥ってしまうからである。そこで、燃料電池停止時に水分をパージする技術に関する特許が多く公開されており、その中で、パージを停止する条件について様々な形態が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1や特許文献2に示されているように、燃料電池の運転停止時に、ガスを加湿しないで燃料電池内に供給して乾燥させ、電解質膜の乾燥により燃料電池本体の出力電圧が所定の値に低下した時点を所定の湿潤度合いと見なし、運転を停止するという技術が公知となっている。
【0006】
また、特許文献3に示されているように、パージガス出口に湿度計のような水分センサーまたは、抵抗計を用いて電解質膜の湿潤度合いを把握し、その湿潤度合いに基づき水分除去制御を実施する技術が公知となっている。さらに、特許文献4のように、燃料電池の入口と出口のガスの露点差をモニターすることによって電解質膜の湿潤度合いを把握し、所定値以下の乾燥状態となったらパージを停止するという技術が公知となっている。
【特許文献1】特開2001−332281号公報(第4頁、図2)
【特許文献2】特開2002−208421号公報(第4頁、図2)
【特許文献3】特開2002−246053号公報(第4頁、図1)
【特許文献4】特開2002−313394号公報(第3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の燃料電池の電圧の低下で膜の湿潤度合いを判断する方法では、パージ時に必ず燃料電池の発電を伴わなければならず、バッテリーなどを使用したパージ時にはこの方法は使用できない。また、湿度に対するロバスト性に高い膜、つまり乾燥に強い膜を使用した場合には、セル電圧だけでは必ずしも膜の湿潤度合いを把握することはできない。
【0008】
また、特許文献3記載の、湿度計・露点計を用いる方法では、応答性が悪い・コストが高い・計測器の耐久性が低いなどの問題点がある。さらに、特許文献3の実施例で示されている、抵抗計を用いる方法においても、コストが高く、また、フルスタックレベルの交流インピーダンスを測定できる抵抗計は技術的な難易度が高く例えば車両に搭載する場合には好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、固体高分子電解質を用いた燃料電池スタックと、該燃料電池スタックのアノードに燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、該燃料電池スタックのカソードに酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、燃料電池システムの運転停止時に前記燃料電池スタックの燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路の少なくとも一方をパージするパージ制御手段と、前記燃料電池スタック中の少なくとも1セルに、1ヶ所以上に配置された温度計測手段と、前記パージ前の燃料電池スタックの発電履歴に基づいて前記燃料電池スタック中の残留水分量を推定する残留水分量推定手段と、前記パージ時に前記温度計測手段で測定された温度変化に基づいてパージ中の水の蒸発量を推定する蒸発量推定手段と、を備え、前記パージ制御手段は、前記残留水分量及び前記蒸発量から推定される前記燃料電池スタック内部の湿潤度合いが所定値を下回った時に、前記パージを停止することを要旨とする燃料電池システムである。
【0010】
本発明によれば、湿度センサや露点計等の複雑な構造を有する測定手段を用いることなく、構造が簡単で耐久性の高い温度測定手段を用いて、燃料電池スタック内部の湿潤度合いを推定することができ、この推定した湿潤度合いを用いて正確なパージ終了条件を判断することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来のように湿潤度合いが不明確なため冗長なパージをしているシステムと比較し、不必要なパージ時間、パージのためのエネルギーを節約できるという効果がある。また、パージのし過ぎによる電解質膜のドライアウトを防止でき、起動時の応答性や耐久性を向上させることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。尚、以下の各実施例で示す燃料電池システムは、特に限定されないが、氷点下の環境で使用可能な燃料電池車両に好適な燃料電池システムである。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明に係る燃料電池システムの実施例1の構成を示す構成図である。同図において、燃料電池システムは、固体高分子電解質を用いた燃料電池スタック1、燃料電池スタック1に酸化剤ガスとして空気(以下、カソードガスと呼ぶ)を供給する空気コンプレッサ2、燃料電池スタック1を冷却する冷却液を循環させる冷却液ポンプ3、冷却液を放熱するラジエータ4、燃料ガスである水素ガス(アノードガス)を貯蔵する水素タンク5、水素タンク5から供給される高圧水素ガスの圧力を燃料電池の運転圧力まで低減する水素圧力調整弁6、ラジエータ4をバイパスするバイパス流路7、冷却液の流れる方向をラジエータ4とバイパス流路7に切り換える三方弁8、温度測定の対象セルである温度測定セル9、温度測定セル9に設けられた上流側温度センサ10、下流側温度センサ11、燃料電池スタック1の冷却液出口に設けられた冷却液出口温度センサ12、制御装置13とを備えている。
【0014】
上流側温度センサ10と下流側温度センサ11とは、温度測定セル9の発電面内の発電量分布に関連する値を測定する発電量分布測定手段であり、温度測定セル9内の酸化剤ガス流の上流側に上流側温度センサ10、酸化剤ガス流の下流側に下流側温度センサ11が配置されている。
【0015】
制御装置13は、燃料電池システム全体を制御する制御装置であるとともに、燃料電池システムの運転停止時に燃料電池スタック1の燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路の少なくとも一方をパージするパージ制御手段である。
【0016】
また、制御装置13は、燃料電池システム運転停止時のパージ前の燃料電池スタックの発電履歴に基づいて燃料電池スタック中の残留水分量を推定する残留水分量推定手段と、前記パージ時に温度センサ10,11で測定された温度変化に基づいてパージ中の水の蒸発量を推定する蒸発量推定手段と、を兼ねるものであり、前記残留水分量及び前記蒸発量から推定される燃料電池スタック内部の湿潤度合いが所定値を下回った時に、前記パージを停止するように制御する。
【0017】
さらに、制御装置13は、特に限定されないが本実施例では、CPUとプログラムROMと作業用RAMと入出力インタフェースと備えるマイクロプロセッサで構成されている。
【0018】
ここで、燃料電池スタック1のカソードセパレータ41は、図2のようにカソード入口マニホールド21、カソード出口マニホールド22、アノード入口マニホールド23、アノード出口マニホールド24、冷却液入口マニホールド25、冷却液出口マニホールド26、カソードガス流路27を備えている。
【0019】
セパレータに設けられたカソードガス流路が蛇行(サーペンタイン)流路の場合を図2(a)に、同じく直線(ストレート)流路の場合を図2(b)に示した。なお、各セルにおいてカソードガス(酸化剤ガス、空気)と冷却液の流れ方向は同方向である。
【0020】
次に、温度測定セル9の詳細について説明する。本実施例では温度計測手段として、温度センサ31,32,33を図3に示すように膜電極接合体43aに近接して設ける場合と、図4に示すように発電に寄与しなダミーセル44とに設ける場合とを提案する。温度センサ31,32,33は例えば熱電対・測温抵抗体・サーミスタなどを用いる。
【0021】
図3に示した膜電極接合体に近接して設けた場合には、電解質膜・触媒層・ガス拡散層(GDL)の温度を最も応答性良く把握することができ、より精度の高い湿潤度合いの測定を実施することができる。
【0022】
また、図4に示したダミーセル44に設ける場合には、燃料電池スタック1への取り付けが容易でコストを低く抑えることができ、また、ダミーセル44は発電に寄与しないので、そのセルにはガス供給が不要であり、よって高濃度の水素イオン(酸)に触れることも無いので、高度な信頼性と耐久性が期待できる。
【0023】
ここで、温度センサ31,32,33のカソードガス流路に対する位置関係は図2の31a,32a,33aの位置であり、それぞれ、カソードガス流路の上流側、中流、下流側に設けられている。図1の上流側温度センサ10に相当するものが図3,4の温度センサ31であり、図1の下流側温度センサ11に相当するものが図3,4の温度センサ33である。
【0024】
次に、図5の制御フローチャートを参照して、本実施例における燃料電池システム運転停止動作について説明する。尚、フローチャートには記載しないが、燃料電池システムの通常運転中は、一定時間毎に燃料電池スタックの負荷(出力電流または出力電力)を図示しない電流計(及び電圧計)によりサンプリングして、運転履歴として制御装置内のメモリへ記憶しているものとする。
【0025】
図5において、燃料電池システム停止のトリガー(車両ではキースイッチや始動/停止スイッチのオフ)が制御装置に入力されたら、まずステップ(以下、ステップをSと略す)10において、制御装置内のメモリに記憶した運転履歴を参照して運転停止前の燃料電池スタックの負荷を求め、例えば図6に示すような制御マップから負荷に対応する燃料電池スタック1のセル中の残留水量を推定演算する。
【0026】
この残留水量の推定に用いる燃料電池スタックの負荷と温度は、負荷変動が小さい照明用燃料電池システム等では、停止直前の負荷とセル温度のみを参照して残留水量の推定に用いればよい。しかしながら、負荷変動が大きい燃料電池車両等の用途においては、運転停止直前から例えば数秒〜数分程度前までの負荷やセル温度の平均値、或いは運転停止直前から遡る時間が長いほど加重係数を小さくした負荷やセル温度の加重平均値により求めることが好ましい。
【0027】
図6は、負荷と、燃料電池スタック1の冷却液出口に配置された冷却液温度センサ12による温度と、に応じたセル中の残留水量を示す制御マップの例であり、燃料電池セルの膜電極接合体やガス拡散層などの材質・形状により異なる制御マップになるため、事前に実機により各種条件の実験を行ってマップデータを作成し、制御装置に記憶させておく。
【0028】
図6で現在のセル中の残留水量Mが推定できたら、図8のマップを用いて目標の温度変化量ΔTxを求める。図7に示すように、セルの温度変化ΔTと蒸発量は放熱などを無視できる領域では、単純な比例関係にあるため、図8のように初期の残留水量と温度変化ΔTからセルの湿潤度合いを求めることができる。逆に、氷点下からの起動時に必要なセルの湿潤度合いをあらかじめ設定しておく(例えば図8の点線)ことによって、目標の温度変化量ΔTxを求めることができる。ここでは、図7のように水の蒸発熱以外の放熱を無視して、蒸発量が温度変化に比例する制御マップを使用したが、状況に応じて放熱を考慮したマップを使用してもよい。
【0029】
次いで、S12において、空気コンプレッサ2によりカソード流路に空気を供給して、燃料電池スタック1の湿潤度合いを低下させるパージを行う。次いでS14で、温度センサ31,32,33によりセル温度の測定を行い、S16で、温度センサが測定した温度とパージ前の温度との差ΔTを算出し、ΔTがS10で求めたΔTxを超えたか否かを判定する。S16の判定でΔTがΔTxを超えていなければ、S12へ戻って、パージを継続する。
【0030】
S16の判定で、ΔTがΔTxを超えたら、S18へ進み、空気コンプレッサ2を停止させ、パージ用空気の供給を停止させて、燃料電池システムの停止動作を終了させる。
【0031】
このような制御により、膜電極接合体中の湿潤度合いが所定値になったところで、パージを停止するので、従来のように湿潤度合いが不明確なため冗長なパージをしているシステムと比較し、不必要なパージ時間をなくし、パージのための空気コンプレッサ駆動エネルギーを節約できる。また、パージのし過ぎによる膜電極接合体のドライアウトを防止でき、起動時の応答性や耐久性を向上させることができる。
【実施例2】
【0032】
次に、本発明に係る燃料電池システムの実施例2を説明する。図9に示した実施例2の構成と図1の実施例1との相違点は、次回燃料電池起動時の温度を予測する次回起動温度予測手段14が追加になっていることであり、その他の構成は、図1と同様である。
【0033】
次回起動温度予測手段14は、例えば、GPS受信機により緯度・経度情報を取得して燃料電池システムの設置場所、或いは燃料電池車両の駐車位置が属する地域を判定し、デジタル放送受信機等で、その地域の天気予報の気温予報情報を取得することによって、次回起動時の温度を予測することができる。
【0034】
ここで、起動温度予測の際に、ユーザーが次回の起動時間を入力できるようにし、その時間の温度情報を起動温度予測値としてもよいし、ユーザーの入力を採用しない場合には、その地域のその時期の最低温度を参考にして起動温度予測値を算出するようにしてもよい。
【0035】
次に、図10の制御フローチャートを参照して、本実施例における燃料電池システム運転停止動作について説明する。尚、フローチャートには記載しないが、燃料電池システムの通常運転中は、一定時間毎に燃料電池スタックの負荷(出力電流または出力電力)を図示しない電流計(及び電圧計)によりサンプリングして、運転履歴として制御装置内のメモリへ記憶しているものとする。
【0036】
図10において、燃料電池システム停止のトリガー(車両ではキースイッチや始動/停止スイッチのオフ)が制御装置に入力されたら、まずS20において、次回起動温度予測手段14によって、次回起動温度の予測値が取得される。
【0037】
次いでS22において、次回起動温度の予測値が所定値以下か否かを判定する。予測値が所定値以下でない場合には、通常の停止操作へ移る。S22の判定で、次回起動温度の予測値が所定値以下の場合は、S24以下の氷点下からの起動に対応する制御を実行する。
【0038】
S24では、次回起動温度の予測値から、温度予測値に対応した燃料電池スタックが必要とする湿潤度合いを図11に示したような制御マップから求める。図11の制御マップは、燃料電池スタック1に使用した膜電極接合体、ガス拡散層、セパレータ等の材質、形状に基づいて、燃料電池スタック1の温度が起動温度予測値まで低下しても、結露、凍結により、燃料電池スタックを劣化させたり、起動時のガス供給を阻害しない湿潤度合いを実験的に求めて、起動温度予測値に対する必要な湿潤度合いとして制御マップ化したものである。
【0039】
次いで、S26で、制御装置内のメモリに記憶した運転履歴を参照して運転停止前の燃料電池スタックの負荷を求め、例えば図6に示すような制御マップを参照して、負荷と冷却液出口温度に対応する燃料電池スタック1のセル中の残留水量を推定演算する。
【0040】
ここで、残留水量の推定に用いる燃料電池スタックの負荷と温度は、負荷変動が小さい照明用燃料電池システム等では、停止直前の負荷とセル温度のみを参照して残留水量の推定に用いればよい。しかしながら、負荷変動が大きい燃料電池車両等の用途においては、運転停止直前から例えば数秒〜数分程度前までの負荷やセル温度の平均値、或いは運転停止直前から遡る時間が長いほど加重係数を小さくした負荷やセル温度の加重平均値により求めることが好ましい。
【0041】
次いで、図6のマップを参照して求めた現在のセル中の残留水量Mと、次回起動温度予測値から求めたセルの必要湿潤度合いとから、図8のマップを参照して目標とするパージ中の温度変化量ΔTxを求める。
【0042】
次に、S28で、空気コンプレッサ2によりカソード流路に空気を供給する。次いでS30で、温度センサ31,32,33によりセル温度を計測する。S32で、セル温度の計測値とパージ開始時の温度の差ΔTを求め、ΔTが目標温度変化量ΔTxを超えたか否かを判定する。ΔTが目標温度変化量ΔTxを超えていなければ、S28へ戻ってパージを継続する。S32の判定で、ΔTが目標温度変化量ΔTxを超えたら、S34へ進み、空気コンプレッサ2を停止させ、パージ用空気の供給を停止させて、燃料電池システムの停止動作を終了させる。
【0043】
これにより、次回起動温度に対応した膜の乾燥状態を実現することができ、実施例1よりもさらに不必要なパージ時間・パージのための空気コンプレッサ駆動用エネルギーを節約でき、また、起動時の応答性や耐久性を向上させることができる。
【実施例3】
【0044】
次に、本発明に係る燃料電池システムの実施例3を説明する。図12に示した実施例3の構成と図1の実施例1との相違点は、燃料電池スタック1の冷却液系統が2系統に分かれており、そのどちらか一方もしくは両方に冷却液を流すことをコントロールできるように、燃料電池スタック1の2つの冷却液入口にそれぞれ独立に制御可能な冷却液バルブ15a,15bを設けたことである。また、燃料電池スタック1の2つの冷却液出口に、それぞれ冷却液温度センサ12a,12bを配置している。
【0045】
図13は、カソードセパレータ51に設けた2系統の冷却液流路を説明する図である。 ここで、カソードガスは、カソード入口マニホールド65から流入し、左方向へ流れて、カソード出口マニホールド66から排出される。アノードガスは、アノード入口マニホールド67から流入し、右方向へ流れて、アノード出口マニホールド68から排出される。
【0046】
図13において、カソードガスは、カソード入口マニホールド65から流入し、左方向へ流れて、カソード出口マニホールド66から排出される。アノードガスは、アノード入口マニホールド67から流入し、右方向へ流れて、アノード出口マニホールド68から排出されるようになっている。
【0047】
2系統の冷却系統のうち、第1系統の冷却液は、発電面内のカソードガス上流側(図中左側)を冷却する冷却系統であり、冷却液入口マニホールド61から流入して右方向へ流れ、セル面中央で折り返して、左方向に流れて冷却液出口マニホールド62から排出される。第2系統の冷却液は、発電面内のカソードガス下流側(図中右側)を冷却する冷却系統であり、冷却液入口マニホールド63から流入して左方向へ流れ、セル面中央で折り返して、右方向へ流れて冷却液出口マニホールド64から排出される。このような2系統の冷却液流路により、本実施例では、各セルのカソードガス上流側とカソードガス下流側とで、独立に燃料電池スタックを冷却することができるようになっている。
【0048】
次に、図14の制御フローチャートを参照して、本実施例3における燃料電池システム運転停止動作について説明する。尚、フローチャートには記載しないが、燃料電池システムの通常運転中は、一定時間毎に燃料電池スタックの負荷(出力電流または出力電力)を図示しない電流計(及び電圧計)によりサンプリングして、運転履歴として制御装置内のメモリへ記憶しているものとする。
【0049】
図14において、燃料電池システム停止のトリガー(車両ではキースイッチや始動/停止スイッチのオフ)が制御装置に入力されたら、まずS40において、制御装置内のメモリに記憶した運転履歴を参照して運転停止前の燃料電池スタックの負荷を求め、例えば図6に示すような制御マップから負荷に対応する燃料電池スタック1のセル中の残留水量を推定演算する。
【0050】
この残留水量の推定に用いる燃料電池スタックの負荷は、負荷変動が小さい照明用燃料電池システム等では、停止直前の負荷のみを参照して残留水量の推定に用いればよい。しかしながら、負荷変動が大きい燃料電池車両等の用途においては、運転停止直前から例えば数分〜十分程度前までの負荷の平均値、或いは運転停止直前から遡る時間が長いほど加重係数を小さくした負荷の加重平均値により求めることが好ましい。
【0051】
図6で現在のセル中の残留水量Mが推定できたら、図8のマップを用いて目標の温度変化量ΔTxを求める。図7に示すように、セルの温度変化ΔTと蒸発量は放熱などを無視できる領域では、単純な比例関係にあるため、図8のように初期の残留水量と温度変化ΔTからセルの湿潤度合いを求めることができる。逆に、氷点下からの起動時に必要なセルの湿潤度合いをあらかじめ設定しておく(例えば図8の点線)ことによって、目標の温度変化量ΔTxを求めることができる。ここでは、図7のように水の蒸発熱以外の放熱を無視して、蒸発量が温度変化に比例する制御マップを使用したが、状況に応じて放熱を考慮したマップを使用してもよい。
【0052】
次いで、S42において、空気コンプレッサ2によりカソード流路に空気を供給して、燃料電池スタック1の湿潤度合いを低下させるパージを行う。次いでS44で、温度センサ31,32,33によりセル温度の測定を行い、S46で、上流側温度センサ31が測定した温度Tuとパージ前の温度との差ΔTuを算出し、ΔTuがS40で求めたΔTxを超えたか否かを判定する。S46の判定でΔTuがΔTxを超えていなければ、S42へ戻って、パージを継続する。
【0053】
S46の判定で、ΔTuがΔTxを超えたら、S48へ進み、冷却液バルブ15aを開き、冷却液バルブ15bを閉じた状態で、冷却液ポンプ3を駆動して、カソード上流側の冷却液流路である第1の冷却液流路に冷却液を流して、燃料電池スタック1の各セルのカソードガス上流側のみの温度を低下させる。
【0054】
次いで、S50で、温度センサ31,32,33によりセル温度の測定を行い、S52で、下流側温度センサ33が測定した温度Tdとパージ前の温度との差ΔTdを算出し、ΔTdがS40で求めたΔTxを超えたか否かを判定する。S52の判定でΔTdがΔTxを超えていなければ、S50へ戻って、パージを継続した状態で再度、温度を測定する。S52の判定で、ΔTdがΔTxを超えていれば、S54へ進み、空気コンプレッサ2を停止させ、パージ用空気の供給を停止させて、燃料電池システムの停止動作を終了させる。
【0055】
上記の動作で、燃料電池停止時のパージ時に上流側の湿潤度合いが所定値になった後に、上流側の温度を下げてパージを継続するので、上流側を乾燥させすぎることなく、下流側を所定値まで乾燥させることができる。これにより、上流側の乾燥させすぎによる膜の劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る燃料電池システムの実施例1の構成を示す図である。
【図2】(a)カソードガス流路が蛇行流路の場合の本発明の燃料電池のセル形状と温度計測部位を示す図、(b)カソードガス流路が直線流路の場合の本発明の燃料電池のセル形状と温度計測部位を示す図である。
【図3】本発明における温度測定セルの実施形態を示す図である。
【図4】本発明における温度測定セルの実施形態を示す図である。
【図5】実施例1の制御装置による運転停止時のパージ動作を説明するフローチャートである。
【図6】燃料電池の運転履歴からセル中の残留水量を推定するマップである。
【図7】セルの温度変化と蒸発量の関係を示す図である。
【図8】セルの必要湿潤度合いから目標となるセル温度変化を求めるマップである。
【図9】本発明に係る燃料電池システムの実施例2の構成を示す図である。
【図10】実施例2の制御装置による運転停止時のパージ動作を説明するフローチャートである。
【図11】起動温度予測値から必要な湿潤度合いを求めるマップである。
【図12】本発明に係る燃料電池システムの実施例3の構成を示す図である。
【図13】実施例3に用いる2系統の冷却液流路を備えたセパレータの概略図である。
【図14】実施例3の制御装置による運転停止時のパージ動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1:燃料電池スタック
2:空気コンプレッサ
3:冷却液ポンプ
4:ラジエータ
5:水素タンク
6:水素圧力調整弁
7:バイパス流路
8:三方弁
9:温度測定セル
10:上流側温度センサ
11:下流側温度センサ
12:冷却液温度センサ
13:制御装置
14:次回起動温度予測手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池スタック内の湿潤度合いを把握し、この湿潤度合いを用いて燃料電池システム停止時に燃料電池スタックを効率的にパージする燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムは、燃料が有する化学エネルギを直接電気エネルギに変換する装置であり、電解質膜を挟んで設けられた一対の電極のうち負極に水素を含有する燃料ガスを供給するとともに、他方の正極に酸素を含有する酸素剤ガスを供給し、これら一対の電極の電解質膜側の表面で生じる下記の電気化学反応を利用して電極から電気エネルギを取り出すものである。
【0003】
負極反応:H2 → 2H+ + 2e- …(1)
正極反応:2H+ + 2e- +(1/2)O2 → H2O …(2)
負極に供給する燃料ガスは、水素貯蔵装置から直接供給する方法、水素を含有する原燃料を改質して改質した水素含有ガスを供給する方法が知られている。水素貯蔵装置としては、高圧ガスタンク、液化水素タンク、水素吸蔵合金タンク等がある。水素を含有する原燃料としては、天然ガス、メタノール、ガソリン等が考えられる。正極に供給する酸化剤ガスとしては、一般的に空気が利用されている。
【0004】
ところで、燃料電池を氷点下から起動させるためには、あらかじめ燃料電池内部から水分を除去しておくことが必要である。なぜならば、氷点下雰囲気では、燃料電池内部に残留した水が凍ってしまい、反応ガスの拡散を妨げ、発電不能に陥ってしまうからである。そこで、燃料電池停止時に水分をパージする技術に関する特許が多く公開されており、その中で、パージを停止する条件について様々な形態が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1や特許文献2に示されているように、燃料電池の運転停止時に、ガスを加湿しないで燃料電池内に供給して乾燥させ、電解質膜の乾燥により燃料電池本体の出力電圧が所定の値に低下した時点を所定の湿潤度合いと見なし、運転を停止するという技術が公知となっている。
【0006】
また、特許文献3に示されているように、パージガス出口に湿度計のような水分センサーまたは、抵抗計を用いて電解質膜の湿潤度合いを把握し、その湿潤度合いに基づき水分除去制御を実施する技術が公知となっている。さらに、特許文献4のように、燃料電池の入口と出口のガスの露点差をモニターすることによって電解質膜の湿潤度合いを把握し、所定値以下の乾燥状態となったらパージを停止するという技術が公知となっている。
【特許文献1】特開2001−332281号公報(第4頁、図2)
【特許文献2】特開2002−208421号公報(第4頁、図2)
【特許文献3】特開2002−246053号公報(第4頁、図1)
【特許文献4】特開2002−313394号公報(第3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の燃料電池の電圧の低下で膜の湿潤度合いを判断する方法では、パージ時に必ず燃料電池の発電を伴わなければならず、バッテリーなどを使用したパージ時にはこの方法は使用できない。また、湿度に対するロバスト性に高い膜、つまり乾燥に強い膜を使用した場合には、セル電圧だけでは必ずしも膜の湿潤度合いを把握することはできない。
【0008】
また、特許文献3記載の、湿度計・露点計を用いる方法では、応答性が悪い・コストが高い・計測器の耐久性が低いなどの問題点がある。さらに、特許文献3の実施例で示されている、抵抗計を用いる方法においても、コストが高く、また、フルスタックレベルの交流インピーダンスを測定できる抵抗計は技術的な難易度が高く例えば車両に搭載する場合には好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、固体高分子電解質を用いた燃料電池スタックと、該燃料電池スタックのアノードに燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、該燃料電池スタックのカソードに酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、燃料電池システムの運転停止時に前記燃料電池スタックの燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路の少なくとも一方をパージするパージ制御手段と、前記燃料電池スタック中の少なくとも1セルに、1ヶ所以上に配置された温度計測手段と、前記パージ前の燃料電池スタックの発電履歴に基づいて前記燃料電池スタック中の残留水分量を推定する残留水分量推定手段と、前記パージ時に前記温度計測手段で測定された温度変化に基づいてパージ中の水の蒸発量を推定する蒸発量推定手段と、を備え、前記パージ制御手段は、前記残留水分量及び前記蒸発量から推定される前記燃料電池スタック内部の湿潤度合いが所定値を下回った時に、前記パージを停止することを要旨とする燃料電池システムである。
【0010】
本発明によれば、湿度センサや露点計等の複雑な構造を有する測定手段を用いることなく、構造が簡単で耐久性の高い温度測定手段を用いて、燃料電池スタック内部の湿潤度合いを推定することができ、この推定した湿潤度合いを用いて正確なパージ終了条件を判断することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来のように湿潤度合いが不明確なため冗長なパージをしているシステムと比較し、不必要なパージ時間、パージのためのエネルギーを節約できるという効果がある。また、パージのし過ぎによる電解質膜のドライアウトを防止でき、起動時の応答性や耐久性を向上させることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。尚、以下の各実施例で示す燃料電池システムは、特に限定されないが、氷点下の環境で使用可能な燃料電池車両に好適な燃料電池システムである。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明に係る燃料電池システムの実施例1の構成を示す構成図である。同図において、燃料電池システムは、固体高分子電解質を用いた燃料電池スタック1、燃料電池スタック1に酸化剤ガスとして空気(以下、カソードガスと呼ぶ)を供給する空気コンプレッサ2、燃料電池スタック1を冷却する冷却液を循環させる冷却液ポンプ3、冷却液を放熱するラジエータ4、燃料ガスである水素ガス(アノードガス)を貯蔵する水素タンク5、水素タンク5から供給される高圧水素ガスの圧力を燃料電池の運転圧力まで低減する水素圧力調整弁6、ラジエータ4をバイパスするバイパス流路7、冷却液の流れる方向をラジエータ4とバイパス流路7に切り換える三方弁8、温度測定の対象セルである温度測定セル9、温度測定セル9に設けられた上流側温度センサ10、下流側温度センサ11、燃料電池スタック1の冷却液出口に設けられた冷却液出口温度センサ12、制御装置13とを備えている。
【0014】
上流側温度センサ10と下流側温度センサ11とは、温度測定セル9の発電面内の発電量分布に関連する値を測定する発電量分布測定手段であり、温度測定セル9内の酸化剤ガス流の上流側に上流側温度センサ10、酸化剤ガス流の下流側に下流側温度センサ11が配置されている。
【0015】
制御装置13は、燃料電池システム全体を制御する制御装置であるとともに、燃料電池システムの運転停止時に燃料電池スタック1の燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路の少なくとも一方をパージするパージ制御手段である。
【0016】
また、制御装置13は、燃料電池システム運転停止時のパージ前の燃料電池スタックの発電履歴に基づいて燃料電池スタック中の残留水分量を推定する残留水分量推定手段と、前記パージ時に温度センサ10,11で測定された温度変化に基づいてパージ中の水の蒸発量を推定する蒸発量推定手段と、を兼ねるものであり、前記残留水分量及び前記蒸発量から推定される燃料電池スタック内部の湿潤度合いが所定値を下回った時に、前記パージを停止するように制御する。
【0017】
さらに、制御装置13は、特に限定されないが本実施例では、CPUとプログラムROMと作業用RAMと入出力インタフェースと備えるマイクロプロセッサで構成されている。
【0018】
ここで、燃料電池スタック1のカソードセパレータ41は、図2のようにカソード入口マニホールド21、カソード出口マニホールド22、アノード入口マニホールド23、アノード出口マニホールド24、冷却液入口マニホールド25、冷却液出口マニホールド26、カソードガス流路27を備えている。
【0019】
セパレータに設けられたカソードガス流路が蛇行(サーペンタイン)流路の場合を図2(a)に、同じく直線(ストレート)流路の場合を図2(b)に示した。なお、各セルにおいてカソードガス(酸化剤ガス、空気)と冷却液の流れ方向は同方向である。
【0020】
次に、温度測定セル9の詳細について説明する。本実施例では温度計測手段として、温度センサ31,32,33を図3に示すように膜電極接合体43aに近接して設ける場合と、図4に示すように発電に寄与しなダミーセル44とに設ける場合とを提案する。温度センサ31,32,33は例えば熱電対・測温抵抗体・サーミスタなどを用いる。
【0021】
図3に示した膜電極接合体に近接して設けた場合には、電解質膜・触媒層・ガス拡散層(GDL)の温度を最も応答性良く把握することができ、より精度の高い湿潤度合いの測定を実施することができる。
【0022】
また、図4に示したダミーセル44に設ける場合には、燃料電池スタック1への取り付けが容易でコストを低く抑えることができ、また、ダミーセル44は発電に寄与しないので、そのセルにはガス供給が不要であり、よって高濃度の水素イオン(酸)に触れることも無いので、高度な信頼性と耐久性が期待できる。
【0023】
ここで、温度センサ31,32,33のカソードガス流路に対する位置関係は図2の31a,32a,33aの位置であり、それぞれ、カソードガス流路の上流側、中流、下流側に設けられている。図1の上流側温度センサ10に相当するものが図3,4の温度センサ31であり、図1の下流側温度センサ11に相当するものが図3,4の温度センサ33である。
【0024】
次に、図5の制御フローチャートを参照して、本実施例における燃料電池システム運転停止動作について説明する。尚、フローチャートには記載しないが、燃料電池システムの通常運転中は、一定時間毎に燃料電池スタックの負荷(出力電流または出力電力)を図示しない電流計(及び電圧計)によりサンプリングして、運転履歴として制御装置内のメモリへ記憶しているものとする。
【0025】
図5において、燃料電池システム停止のトリガー(車両ではキースイッチや始動/停止スイッチのオフ)が制御装置に入力されたら、まずステップ(以下、ステップをSと略す)10において、制御装置内のメモリに記憶した運転履歴を参照して運転停止前の燃料電池スタックの負荷を求め、例えば図6に示すような制御マップから負荷に対応する燃料電池スタック1のセル中の残留水量を推定演算する。
【0026】
この残留水量の推定に用いる燃料電池スタックの負荷と温度は、負荷変動が小さい照明用燃料電池システム等では、停止直前の負荷とセル温度のみを参照して残留水量の推定に用いればよい。しかしながら、負荷変動が大きい燃料電池車両等の用途においては、運転停止直前から例えば数秒〜数分程度前までの負荷やセル温度の平均値、或いは運転停止直前から遡る時間が長いほど加重係数を小さくした負荷やセル温度の加重平均値により求めることが好ましい。
【0027】
図6は、負荷と、燃料電池スタック1の冷却液出口に配置された冷却液温度センサ12による温度と、に応じたセル中の残留水量を示す制御マップの例であり、燃料電池セルの膜電極接合体やガス拡散層などの材質・形状により異なる制御マップになるため、事前に実機により各種条件の実験を行ってマップデータを作成し、制御装置に記憶させておく。
【0028】
図6で現在のセル中の残留水量Mが推定できたら、図8のマップを用いて目標の温度変化量ΔTxを求める。図7に示すように、セルの温度変化ΔTと蒸発量は放熱などを無視できる領域では、単純な比例関係にあるため、図8のように初期の残留水量と温度変化ΔTからセルの湿潤度合いを求めることができる。逆に、氷点下からの起動時に必要なセルの湿潤度合いをあらかじめ設定しておく(例えば図8の点線)ことによって、目標の温度変化量ΔTxを求めることができる。ここでは、図7のように水の蒸発熱以外の放熱を無視して、蒸発量が温度変化に比例する制御マップを使用したが、状況に応じて放熱を考慮したマップを使用してもよい。
【0029】
次いで、S12において、空気コンプレッサ2によりカソード流路に空気を供給して、燃料電池スタック1の湿潤度合いを低下させるパージを行う。次いでS14で、温度センサ31,32,33によりセル温度の測定を行い、S16で、温度センサが測定した温度とパージ前の温度との差ΔTを算出し、ΔTがS10で求めたΔTxを超えたか否かを判定する。S16の判定でΔTがΔTxを超えていなければ、S12へ戻って、パージを継続する。
【0030】
S16の判定で、ΔTがΔTxを超えたら、S18へ進み、空気コンプレッサ2を停止させ、パージ用空気の供給を停止させて、燃料電池システムの停止動作を終了させる。
【0031】
このような制御により、膜電極接合体中の湿潤度合いが所定値になったところで、パージを停止するので、従来のように湿潤度合いが不明確なため冗長なパージをしているシステムと比較し、不必要なパージ時間をなくし、パージのための空気コンプレッサ駆動エネルギーを節約できる。また、パージのし過ぎによる膜電極接合体のドライアウトを防止でき、起動時の応答性や耐久性を向上させることができる。
【実施例2】
【0032】
次に、本発明に係る燃料電池システムの実施例2を説明する。図9に示した実施例2の構成と図1の実施例1との相違点は、次回燃料電池起動時の温度を予測する次回起動温度予測手段14が追加になっていることであり、その他の構成は、図1と同様である。
【0033】
次回起動温度予測手段14は、例えば、GPS受信機により緯度・経度情報を取得して燃料電池システムの設置場所、或いは燃料電池車両の駐車位置が属する地域を判定し、デジタル放送受信機等で、その地域の天気予報の気温予報情報を取得することによって、次回起動時の温度を予測することができる。
【0034】
ここで、起動温度予測の際に、ユーザーが次回の起動時間を入力できるようにし、その時間の温度情報を起動温度予測値としてもよいし、ユーザーの入力を採用しない場合には、その地域のその時期の最低温度を参考にして起動温度予測値を算出するようにしてもよい。
【0035】
次に、図10の制御フローチャートを参照して、本実施例における燃料電池システム運転停止動作について説明する。尚、フローチャートには記載しないが、燃料電池システムの通常運転中は、一定時間毎に燃料電池スタックの負荷(出力電流または出力電力)を図示しない電流計(及び電圧計)によりサンプリングして、運転履歴として制御装置内のメモリへ記憶しているものとする。
【0036】
図10において、燃料電池システム停止のトリガー(車両ではキースイッチや始動/停止スイッチのオフ)が制御装置に入力されたら、まずS20において、次回起動温度予測手段14によって、次回起動温度の予測値が取得される。
【0037】
次いでS22において、次回起動温度の予測値が所定値以下か否かを判定する。予測値が所定値以下でない場合には、通常の停止操作へ移る。S22の判定で、次回起動温度の予測値が所定値以下の場合は、S24以下の氷点下からの起動に対応する制御を実行する。
【0038】
S24では、次回起動温度の予測値から、温度予測値に対応した燃料電池スタックが必要とする湿潤度合いを図11に示したような制御マップから求める。図11の制御マップは、燃料電池スタック1に使用した膜電極接合体、ガス拡散層、セパレータ等の材質、形状に基づいて、燃料電池スタック1の温度が起動温度予測値まで低下しても、結露、凍結により、燃料電池スタックを劣化させたり、起動時のガス供給を阻害しない湿潤度合いを実験的に求めて、起動温度予測値に対する必要な湿潤度合いとして制御マップ化したものである。
【0039】
次いで、S26で、制御装置内のメモリに記憶した運転履歴を参照して運転停止前の燃料電池スタックの負荷を求め、例えば図6に示すような制御マップを参照して、負荷と冷却液出口温度に対応する燃料電池スタック1のセル中の残留水量を推定演算する。
【0040】
ここで、残留水量の推定に用いる燃料電池スタックの負荷と温度は、負荷変動が小さい照明用燃料電池システム等では、停止直前の負荷とセル温度のみを参照して残留水量の推定に用いればよい。しかしながら、負荷変動が大きい燃料電池車両等の用途においては、運転停止直前から例えば数秒〜数分程度前までの負荷やセル温度の平均値、或いは運転停止直前から遡る時間が長いほど加重係数を小さくした負荷やセル温度の加重平均値により求めることが好ましい。
【0041】
次いで、図6のマップを参照して求めた現在のセル中の残留水量Mと、次回起動温度予測値から求めたセルの必要湿潤度合いとから、図8のマップを参照して目標とするパージ中の温度変化量ΔTxを求める。
【0042】
次に、S28で、空気コンプレッサ2によりカソード流路に空気を供給する。次いでS30で、温度センサ31,32,33によりセル温度を計測する。S32で、セル温度の計測値とパージ開始時の温度の差ΔTを求め、ΔTが目標温度変化量ΔTxを超えたか否かを判定する。ΔTが目標温度変化量ΔTxを超えていなければ、S28へ戻ってパージを継続する。S32の判定で、ΔTが目標温度変化量ΔTxを超えたら、S34へ進み、空気コンプレッサ2を停止させ、パージ用空気の供給を停止させて、燃料電池システムの停止動作を終了させる。
【0043】
これにより、次回起動温度に対応した膜の乾燥状態を実現することができ、実施例1よりもさらに不必要なパージ時間・パージのための空気コンプレッサ駆動用エネルギーを節約でき、また、起動時の応答性や耐久性を向上させることができる。
【実施例3】
【0044】
次に、本発明に係る燃料電池システムの実施例3を説明する。図12に示した実施例3の構成と図1の実施例1との相違点は、燃料電池スタック1の冷却液系統が2系統に分かれており、そのどちらか一方もしくは両方に冷却液を流すことをコントロールできるように、燃料電池スタック1の2つの冷却液入口にそれぞれ独立に制御可能な冷却液バルブ15a,15bを設けたことである。また、燃料電池スタック1の2つの冷却液出口に、それぞれ冷却液温度センサ12a,12bを配置している。
【0045】
図13は、カソードセパレータ51に設けた2系統の冷却液流路を説明する図である。 ここで、カソードガスは、カソード入口マニホールド65から流入し、左方向へ流れて、カソード出口マニホールド66から排出される。アノードガスは、アノード入口マニホールド67から流入し、右方向へ流れて、アノード出口マニホールド68から排出される。
【0046】
図13において、カソードガスは、カソード入口マニホールド65から流入し、左方向へ流れて、カソード出口マニホールド66から排出される。アノードガスは、アノード入口マニホールド67から流入し、右方向へ流れて、アノード出口マニホールド68から排出されるようになっている。
【0047】
2系統の冷却系統のうち、第1系統の冷却液は、発電面内のカソードガス上流側(図中左側)を冷却する冷却系統であり、冷却液入口マニホールド61から流入して右方向へ流れ、セル面中央で折り返して、左方向に流れて冷却液出口マニホールド62から排出される。第2系統の冷却液は、発電面内のカソードガス下流側(図中右側)を冷却する冷却系統であり、冷却液入口マニホールド63から流入して左方向へ流れ、セル面中央で折り返して、右方向へ流れて冷却液出口マニホールド64から排出される。このような2系統の冷却液流路により、本実施例では、各セルのカソードガス上流側とカソードガス下流側とで、独立に燃料電池スタックを冷却することができるようになっている。
【0048】
次に、図14の制御フローチャートを参照して、本実施例3における燃料電池システム運転停止動作について説明する。尚、フローチャートには記載しないが、燃料電池システムの通常運転中は、一定時間毎に燃料電池スタックの負荷(出力電流または出力電力)を図示しない電流計(及び電圧計)によりサンプリングして、運転履歴として制御装置内のメモリへ記憶しているものとする。
【0049】
図14において、燃料電池システム停止のトリガー(車両ではキースイッチや始動/停止スイッチのオフ)が制御装置に入力されたら、まずS40において、制御装置内のメモリに記憶した運転履歴を参照して運転停止前の燃料電池スタックの負荷を求め、例えば図6に示すような制御マップから負荷に対応する燃料電池スタック1のセル中の残留水量を推定演算する。
【0050】
この残留水量の推定に用いる燃料電池スタックの負荷は、負荷変動が小さい照明用燃料電池システム等では、停止直前の負荷のみを参照して残留水量の推定に用いればよい。しかしながら、負荷変動が大きい燃料電池車両等の用途においては、運転停止直前から例えば数分〜十分程度前までの負荷の平均値、或いは運転停止直前から遡る時間が長いほど加重係数を小さくした負荷の加重平均値により求めることが好ましい。
【0051】
図6で現在のセル中の残留水量Mが推定できたら、図8のマップを用いて目標の温度変化量ΔTxを求める。図7に示すように、セルの温度変化ΔTと蒸発量は放熱などを無視できる領域では、単純な比例関係にあるため、図8のように初期の残留水量と温度変化ΔTからセルの湿潤度合いを求めることができる。逆に、氷点下からの起動時に必要なセルの湿潤度合いをあらかじめ設定しておく(例えば図8の点線)ことによって、目標の温度変化量ΔTxを求めることができる。ここでは、図7のように水の蒸発熱以外の放熱を無視して、蒸発量が温度変化に比例する制御マップを使用したが、状況に応じて放熱を考慮したマップを使用してもよい。
【0052】
次いで、S42において、空気コンプレッサ2によりカソード流路に空気を供給して、燃料電池スタック1の湿潤度合いを低下させるパージを行う。次いでS44で、温度センサ31,32,33によりセル温度の測定を行い、S46で、上流側温度センサ31が測定した温度Tuとパージ前の温度との差ΔTuを算出し、ΔTuがS40で求めたΔTxを超えたか否かを判定する。S46の判定でΔTuがΔTxを超えていなければ、S42へ戻って、パージを継続する。
【0053】
S46の判定で、ΔTuがΔTxを超えたら、S48へ進み、冷却液バルブ15aを開き、冷却液バルブ15bを閉じた状態で、冷却液ポンプ3を駆動して、カソード上流側の冷却液流路である第1の冷却液流路に冷却液を流して、燃料電池スタック1の各セルのカソードガス上流側のみの温度を低下させる。
【0054】
次いで、S50で、温度センサ31,32,33によりセル温度の測定を行い、S52で、下流側温度センサ33が測定した温度Tdとパージ前の温度との差ΔTdを算出し、ΔTdがS40で求めたΔTxを超えたか否かを判定する。S52の判定でΔTdがΔTxを超えていなければ、S50へ戻って、パージを継続した状態で再度、温度を測定する。S52の判定で、ΔTdがΔTxを超えていれば、S54へ進み、空気コンプレッサ2を停止させ、パージ用空気の供給を停止させて、燃料電池システムの停止動作を終了させる。
【0055】
上記の動作で、燃料電池停止時のパージ時に上流側の湿潤度合いが所定値になった後に、上流側の温度を下げてパージを継続するので、上流側を乾燥させすぎることなく、下流側を所定値まで乾燥させることができる。これにより、上流側の乾燥させすぎによる膜の劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る燃料電池システムの実施例1の構成を示す図である。
【図2】(a)カソードガス流路が蛇行流路の場合の本発明の燃料電池のセル形状と温度計測部位を示す図、(b)カソードガス流路が直線流路の場合の本発明の燃料電池のセル形状と温度計測部位を示す図である。
【図3】本発明における温度測定セルの実施形態を示す図である。
【図4】本発明における温度測定セルの実施形態を示す図である。
【図5】実施例1の制御装置による運転停止時のパージ動作を説明するフローチャートである。
【図6】燃料電池の運転履歴からセル中の残留水量を推定するマップである。
【図7】セルの温度変化と蒸発量の関係を示す図である。
【図8】セルの必要湿潤度合いから目標となるセル温度変化を求めるマップである。
【図9】本発明に係る燃料電池システムの実施例2の構成を示す図である。
【図10】実施例2の制御装置による運転停止時のパージ動作を説明するフローチャートである。
【図11】起動温度予測値から必要な湿潤度合いを求めるマップである。
【図12】本発明に係る燃料電池システムの実施例3の構成を示す図である。
【図13】実施例3に用いる2系統の冷却液流路を備えたセパレータの概略図である。
【図14】実施例3の制御装置による運転停止時のパージ動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1:燃料電池スタック
2:空気コンプレッサ
3:冷却液ポンプ
4:ラジエータ
5:水素タンク
6:水素圧力調整弁
7:バイパス流路
8:三方弁
9:温度測定セル
10:上流側温度センサ
11:下流側温度センサ
12:冷却液温度センサ
13:制御装置
14:次回起動温度予測手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体高分子電解質を用いた燃料電池スタックと、
該燃料電池スタックのアノードに燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、
該燃料電池スタックのカソードに酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、
燃料電池システムの運転停止時に前記燃料電池スタックの燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路の少なくとも一方をパージするパージ制御手段と、
前記燃料電池スタック中の少なくとも1セルに、少なくとも1ヶ所以上に配置された温度計測手段と、
前記パージ前の燃料電池スタックの発電履歴に基づいて前記燃料電池スタック中の残留水分量を推定する残留水分量推定手段と、
前記パージ時に前記温度計測手段で測定された温度変化に基づいてパージ中の水の蒸発量を推定する蒸発量推定手段と、を備え、
前記パージ制御手段は、前記残留水分量及び前記蒸発量から推定される前記燃料電池スタック内部の湿潤度合いが所定値を下回った時に、前記パージを停止することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
燃料電池システムの次回起動時の温度を予測する温度予測手段を備え、
前記パージ制御手段は、該温度予測手段が予測した温度に基づいて前記燃料電池スタックの湿潤度合い要求値を求め、パージ中の前記燃料電池スタックの湿潤度合いが前記要求値となったところで、パージを停止することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記燃料電池スタック中の少なくとも1セルに、酸化剤ガスの流れ方向の上流側と下流側の2ヶ所以上の部位に温度計測手段を設け、
パージ時に前記温度計測手段で測定された各部位の温度変化に基づいて算出した各部位の水の蒸発量と、パージ前の燃料電池の発電履歴から推定される各部位のセル中の残留水分量とに基づいて、前記燃料電池スタック内部の湿潤度合いを推定し、
パージにともない上流側の部位の湿潤度合いが低下して所定値になった後に、上流側の部位の温度を下げてパージを継続することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記燃料電池スタックの各セル内の酸化剤ガスの上流部に対応する部位を冷却する第1冷却液流路と、
前記燃料電池スタックの各セル内の酸化剤ガスの下流部に対応する部位を冷却する第2冷却液流路と、
第1冷却液流路の冷却液流量及び第2冷却液流路の冷却液流量を独立して制御可能な冷却液循環手段と、を備え、
前記上流側の温度を下げる際に、第1冷却液流路のみに冷却液を流すことを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記温度計測手段は、前記燃料電池スタックのセルを構成する膜電極接合体に近接して設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記燃料電池スタック中に発電に寄与しないダミーセルを設け、
前記温度計測手段は、該ダミーセル内に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項1】
固体高分子電解質を用いた燃料電池スタックと、
該燃料電池スタックのアノードに燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、
該燃料電池スタックのカソードに酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、
燃料電池システムの運転停止時に前記燃料電池スタックの燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路の少なくとも一方をパージするパージ制御手段と、
前記燃料電池スタック中の少なくとも1セルに、少なくとも1ヶ所以上に配置された温度計測手段と、
前記パージ前の燃料電池スタックの発電履歴に基づいて前記燃料電池スタック中の残留水分量を推定する残留水分量推定手段と、
前記パージ時に前記温度計測手段で測定された温度変化に基づいてパージ中の水の蒸発量を推定する蒸発量推定手段と、を備え、
前記パージ制御手段は、前記残留水分量及び前記蒸発量から推定される前記燃料電池スタック内部の湿潤度合いが所定値を下回った時に、前記パージを停止することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
燃料電池システムの次回起動時の温度を予測する温度予測手段を備え、
前記パージ制御手段は、該温度予測手段が予測した温度に基づいて前記燃料電池スタックの湿潤度合い要求値を求め、パージ中の前記燃料電池スタックの湿潤度合いが前記要求値となったところで、パージを停止することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記燃料電池スタック中の少なくとも1セルに、酸化剤ガスの流れ方向の上流側と下流側の2ヶ所以上の部位に温度計測手段を設け、
パージ時に前記温度計測手段で測定された各部位の温度変化に基づいて算出した各部位の水の蒸発量と、パージ前の燃料電池の発電履歴から推定される各部位のセル中の残留水分量とに基づいて、前記燃料電池スタック内部の湿潤度合いを推定し、
パージにともない上流側の部位の湿潤度合いが低下して所定値になった後に、上流側の部位の温度を下げてパージを継続することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記燃料電池スタックの各セル内の酸化剤ガスの上流部に対応する部位を冷却する第1冷却液流路と、
前記燃料電池スタックの各セル内の酸化剤ガスの下流部に対応する部位を冷却する第2冷却液流路と、
第1冷却液流路の冷却液流量及び第2冷却液流路の冷却液流量を独立して制御可能な冷却液循環手段と、を備え、
前記上流側の温度を下げる際に、第1冷却液流路のみに冷却液を流すことを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記温度計測手段は、前記燃料電池スタックのセルを構成する膜電極接合体に近接して設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記燃料電池スタック中に発電に寄与しないダミーセルを設け、
前記温度計測手段は、該ダミーセル内に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の燃料電池システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−317552(P2007−317552A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−146972(P2006−146972)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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