説明

燃料電池システム

【課題】装置の複雑化を招かずに制御手段の高温化を抑制することができる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】制御系70Aに放熱器70Bを接着させる。この放熱器70Bは、空気流中に位置する複数の放熱板70BNを備えている。従って、制御系70Aで発生された熱は、複数の放熱板70BNにより、上記空気流に放熱される。よって、装置の複雑化を招かずに制御系の高温化を抑制することができる。特に、燃料電池スタックの発電量により空気流が変化するため、すなわち、インバータの発熱量に応じて放熱板に流れる空気流が変化するため、効率よく放熱することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムにかかり、より詳細には、酸化ガス流にそって導入された酸化ガスと、燃料ガスとの反応により直流電力を発電すると共に、発電された直流電力を交流電力に変換する変換手段を含む制御手段を備えた燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高分子電解質膜を使用した燃料電池スタックを備えた燃料電池システムでは、電解質膜を挟んで両側に燃料室及び酸素室が存在し、燃料室における燃料ガスが燃料極を介し、或いは、酸素室における酸化ガス(主として空気中の酸素)が酸素極を介し、イオン化し、そのイオンを、電解質膜を介して取り出して電力を得ている。
また、従来、このような燃料電池システムを車両に搭載し、車輪を回転させるためのモータを、燃料電池からの電力により駆動させることが行われている。この電力は直流電力であるのに対し、上記モータは一般的に三相同期モータであるので、モータを駆動させるためには、直流電力を交流電力に変換させる必要がある。そこで、燃料電池システムは、直流電力を交流電力に変換するインバータを含む制御回路を備えるようにしている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−76380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、燃料電池システムを駆動し、インバータにより直流電力を交流電力に変換すると、インバータを含む制御回路は発熱する。この発熱を放置し制御回路が過度に高温になると制御回路の故障の原因となる。従って、制御回路を冷却しなければならないが、上記特許文献1に記載の燃料電池システムでは、主として燃料電池スタックを冷却する冷媒の放熱を図っており、制御回路の冷却は、車両の走行に伴う走行風により行ったり、別に小型冷凍機システムや水循環流路など冷却回路を設けて行なったりしている。
しかし、上記走行風による制御回路の冷却では、車両や燃料システムの構造上の問題から限界がある。この一方、制御回路の冷却のため別に送風機を設けるのは、装置の複雑化を招いてしまい問題がある。さらに、冷凍機システムや水循環流路を用いると、システムが複雑化し、補機電力の増加につながるという問題もある。
本発明の目的は、上記事実に鑑み成されたもので、装置の複雑化を招かずに制御手段の高温化を抑制することができる燃料電池システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以上のような問題を解決する本発明は、以下のような構成を有する。
(1) 燃料ガスと酸化ガスとを反応させて直流電力を発電する燃料電池と、
酸化ガス流を発生させ前記燃料電池に供給する発生手段と、
前記発生手段からの酸化ガス流を前記燃料電池に分配する酸化ガスマニホールドと、
前記発生手段から前記酸化ガスマニホールドへ酸化ガス流を導く導風路と、
前記燃料電池で発電された直流電力を交流電力に変換する変換回路を含む制御手段と、
を備えた燃料電池システムであって、
前記制御手段は、前記ガス流中に配置された放熱器を備えたことを特徴とする燃料電池システム。
【0005】
(2) 前記放熱器は、酸化ガス流を整流する複数の放熱板を有することを特徴とする上記(1)に記載の燃料電池システム。
【0006】
(3) 前記燃料電池は、モータに対して補助電源と並列に接続されており、
前記制御手段は、前記モータと前記燃料電池又は前記補助電源との接続を切り換える切換回路を備えていることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の燃料電池システム。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、酸化ガス流にそって導入された酸化ガスと、燃料ガスとの反応により直流電力を発電すると共に、発電された直流電力を交流電力に変換する変換回路を含む制御手段を備えた燃料電池システムにおいて、該制御手段の放熱器が、該酸化ガス流中に配置されるので、制御手段が稼働して発生された熱を、放熱器によって酸化ガス流中に放熱することができ、装置の複雑化を招かずに制御手段の高温化を抑制することができる。
【0008】
請求項2記載の発明によれば、放熱器は、放熱板を備えることで、放熱作用のみならず、整流作用も発揮させることができる。
請求項3記載の発明によれば、モータと、燃料電池又は補助電源との切換を行なう切換回路は、発熱量が他の電気回路に比較して大きいため、この制御手段が、該切換回路を有する場合には、特に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次にこの発明の好適実施形態について説明する。この実施形態は、電気自動車に搭載される燃料電池システムである。図1は、この発明の燃料電池システム1の構成を示すブロック図である。図1に示されているように、この燃料電池システム1は燃料電池スタック100、水素貯蔵タンク11を含む燃料供給系10、空気供給系12、水供給系50、負荷系7に大略構成される。
図2および図3に基づいて燃料電池スタック100の構成について説明する。図2は、燃料電池スタック10の部分断面側面図、図3は、燃料電池スタックの部分断面斜視図である。 燃料電池スタック100は、単位セル2と、セパレータ3とを備えている。単位セル2は、空気極である酸素極21と燃料極22とで固体高分子電解質膜23を挟持した構成となっている。
【0010】
セパレータ3は、酸素極21と燃料極22にそれぞれ接触して電流を外部に取り出すための集電部材31と、集電部材31と単位セル2との間に介挿され、単位セル2の周端部に重ねられる介挿部材33とを有している。固体高分子電解質膜23において、燃料として供給された水素と酸化剤として供給された酸素が反応し、電力が得られるとともに、生成水が発生する。この電解質膜23の反応効率が良好な温度領域は、100度以上であるため、この温度領域で発電反応を行うことで、生成水は水蒸気となり、燃料ガスや空気とともに、燃料電池スタック100の外部に排出される。発電反応が可能となる温度領域が、水の沸点以上である電解室膜を用いることによって、生成水を気化させて排出させることが可能となる。
【0011】
集電部材31は、導電性と耐蝕性を備えた材料で構成されている。集電部材31としては、例えば、カーボンや、金属等の材料で構成されている。金属で構成した場合には、例えば、ステンレス、ニッケル合金、チタン合金等の材料に耐蝕導電処理を施したものを用いることができる。ここで、耐蝕導電処理とは、例えば、金メッキ等が挙げられる。
集電部材31の、燃料極22に接触する面には、直線状に連続して隆起した凸部311が等間隔で複数形成され、該凸部311の間には、溝312がそれぞれ形成される。つまり、凸部311と溝312は、交互に配置された形状となっている。凸部311は、最も突出した峰の平面部が燃料極22に接触する接触部313となっており、この接触部313を介して燃料極22と通電可能となる。溝312と、燃料極22の表面とによって、燃料ガスとしての水素ガスが流通する燃料ガス流通路315が形成される。
【0012】
凸部311の両端には、凸部311に直交する方向に溝314、314が形成され、この溝314と燃料極22の表面とによって、燃料ガス流路316が形成される。複数の燃料ガス流通路315は、両端部で燃料ガス流路316にそれぞれ連通した構成となっており、複数の燃料ガス流通路315と一対の燃料ガス流路316とによって、燃料極22へ水素ガスを供給する燃料ガス保持部30が構成される。
【0013】
燃料ガス保持部30には、燃料ガス供給孔318と燃料ガス排出孔317とが形成され、水素ガスは燃料ガス供給孔318から燃料ガス保持部30内に流入し、燃料極22に水素を供給しつつ、燃料ガス排出孔317から流出する。この実施形態では、集電部材31は、矩形であり、燃料ガス供給孔318と燃料ガス排出孔317は、集電部材31の平面視における図心を中心として点対称の位置に(対角線方向)に、それぞれ配置されている。図2には、燃料ガス供給孔318が示されている。以上のように、燃料ガス保持部30は、各セパレータ3と単位セル2の間にそれぞれ形成されている。
【0014】
各燃料ガス保持部30の燃料ガス供給孔318は、燃料電池スタック100内の一方の端部において、集電部材31の積層方向に形成されている燃料ガス供給通路319aにそれぞれ連通しており、燃料ガス排出孔317は、燃料電池スタック100内の他方の端部において、集電部材31の積層方向に形成されている燃料ガス排出通路319bにそれぞれ連通している。燃料ガス供給通路319aと各燃料ガス供給孔318によって、燃料ガスを各燃料ガス保持部30に分配する燃料ガスマニホールド34が構成される。一対の燃料ガス排出通路319a、319bの一方は、燃料ガス供給流路201Bに接続され、他方は、ガス循環流路202に接続される。
【0015】
集電部材31の、酸素極21に接触する面には、直線状に連続して隆起した凸部321が等間隔で複数形成され、該凸部321の間には、溝322がそれぞれ形成される。つまり、凸部321と溝322は、交互に配置された形状となっている。凸部321は、最も突出した峰の平面部が酸素極21に接触する接触部323となっており、この接触部323を介して酸素極21と通電可能となる。溝322と、酸素極21の表面とによって、酸化ガスとしての空気が流通する空気流通路325が形成される。溝322は、集電部材31の両端部に達しており、空気流通路325の上下端は、燃料電池スタック100の外側に連通する開口部と連通している。両端の開口部の一方は、空気が流入する空気流入部326を形成し、他方の開口部は、空気が流出する空気流出部327を形成している。空気流入部326から流入した空気は、空気流通路325において、酸素極22と接触し、酸素極に酸素を供給しつつ、空気流出部327へ導かれる。このように構成された燃料電池スタック100の鉛直上側には、空気マニホールド54が設けられている。
【0016】
次に、図1に示されている燃料電池システムの構成について説明する。燃料供給系10の構成について説明する。燃料ガスボンベである水素貯蔵タンク11には、燃料ガス供給流路201A、201Bを介して燃料電池スタック100のガス取入口に接続されている。燃料ガス供給流路201Aには、水素元バルブ18、一次圧センサS0、レギュレータ19、二次圧センサS1、第1ガス供給弁20及び水素調圧弁21、第2ガス供給弁22、三次圧センサS2が順に設けられ、この燃料ガス供給流路201Aは、燃料ガス供給流路201Bの一端に接続している。燃料ガス供給流路201Bの他端は、燃料電池スタック100の上記ガス取入口201BのINに接続されている。燃料電池スタック100のガス排出口には、ガス排出流路202の一端が接続され、その他端は、燃料ガス供給流路201Bに接続され、燃料ガスの循環路が構成される。ガス排出流路202には、燃料電池スタック100のガス排出口側から順に、トラップ24、循環ポンプ25、循環電磁弁26が配置されている。トラップ24には、水レベルセンサS10が取り付けられ、さらに、ガス導出路203の一端が接続されている。ガス導出路203の他端は、空気ダクト124に接続されている。ガス導出路203には、排気電磁弁27が設けられている。
【0017】
次に空気供給系12について説明する。空気供給系12は、空気導入路123、空気マニホールド54、空気排出路である空気ダクト124等を備えている。空気導入路123には、フィルタ121、空気ファン122、空気マニホールド54の順で流入方向に沿って設けられている。
空気導入路123内には、空気マニホールド54内の直前位置に、冷却水を空気導入路123内へ向けて噴射するノズル55が設けられている。このノズル55は、空気マニホールド54内に設けられていてもよい。空気マニホールド54は、燃料電池スタック100の導入口43に空気を分割して流入させる。フィルタ121から空気マニホールド54への具体的構成は後述する。
【0018】
燃料電池スタック100の導出口44には、排気マニホールド53A1が接続され、導出口44から排出された空気は、排気マニホールド53A1によって合流され、空気ダクト124へ送られる。空気ダクト124は、導出口44から流出した空気を、凝縮器51を介して外部へ導流する。空気ダクト124の終端部には、ファンが取り付けられた凝縮器51が設けられ、続いてフィルタ125が接続されている。凝縮器51は、空気から水分取り出す。また、ノズル55から供給された水の内、燃料電池スタック100内で蒸発した水分も、ここで回収される。空気ダクト124には、排気温度センサS9が設けられ、燃料電池スタック100内の温度が間接的に検出される。
次に、水供給系について説明する。水供給系50は、貯水手段としての水タンク531と、凝縮器51で回収した水を水タンク531へ導く導水路57と、水タンク531の水をノズル55へ導く給水路56とを有する。導水路57には、回収ポンプ62が設けられている。回収ポンプ62は、凝縮器51で排気ガスから取り出された水を、水タンク531へ送り込む。給水路56には、フィルタ64、水供給手段である供給ポンプ61が順に設けられている。水タンク531には、水位センサS5と、貯水量検出手段であるタンク水位センサS7が設けられている。
【0019】
燃料電池スタック100には、負荷系7が接続されており、燃料電池スタック100で出力される電力は、この負荷系7に供給される。燃料電池スタック100の電極は、配線71を介してインバータ73に接続され、インバータ73からモータなどの負荷に電力が供給される。インバータ73には、切換回路である双方向コンバータ75を介して補助電源76が接続されている。補助電源76は、例えば、バッテリ、キャパシタなどで構成することができる。この負荷系7には、燃料電池スタック100の出力電圧を検出する電圧センサS4と、同じく出力電流を検出する電流センサS3が設けられている。
【0020】
次に、燃料電池システム1の制御手段としての制御系を説明する。図4は、制御系の斜視図であり、図5は、制御系の回路図である。図4に示すように、本制御系70Aには、複数の放熱板70BNを備えた放熱器70Bが接着されている。図4 及び図5 には示していないが、制御系70Aには、上記各センサS0〜S4、S7、S9、S10の検出値が入力され、レギュレータ19、各電磁弁18〜19、20、22、26、27、各ポンプ25、61、62、空気ファン122、凝縮器51のファン、車両を駆動させる駆動モータ(70M(図8も参照))の駆動や停止の指示信号を入力する図示しないイグニッションスイッチが接続されている。図5に示すように、燃料電池スタック100には、駆動モータ70Mに接続されると共に、燃料電池スタック100により発電された直流電力を交流電力に変換して駆動モータ70Mに供給する、変換回路としてのインバータ73が、上記駆動や停止の指示信号に従ってオン・オフされるスイッチ74SWを介して接続されると共に、補助電源76が接続された切換回路としての双方コンバータ75が接続されている。これらインバータ73や双方向コンバータ75は、発熱量が大きなIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor/絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)で、主に構成されている。なお、制御系70Aは、図示していないが、インバータ73及び双方向コンバータ75を制御する制御装置(ECU)も備えている。なお、この制御装置は、燃料電池スタック100乃至補助電源76から駆動モータ70Mに所定の電圧が供給されるように、インバータ73及び双方向コンバータ75を制御するものである。
【0021】
次に、空気供給系12の具体的構成について説明する。図6は空気供給系12の構成を示す全体斜視図、図7は同じく全体側面図である。既述の通り、空気供給系12は、空気導入路123を内側に画成する導風管126K1を有し、導風管126K1の空気導入側端部の取入口126sには、他の通風管126K2の接続口122eが接続されている。なお、道風管126K1、126K2により画成される導入路が、道風路に対応する。通風管126K2の他の接続口122a、122bには、発生手段としての空気ファン122(エアブロア)の送風口122cが接続されている。通風管126K2には、上記制御系70Aに接着された複数の放熱板70BNを備えた放熱器70Bが、該複数の放熱板70BNが当該通風管126K2内に位置するように、取り付けられている。空気ファン122の吸引口には、エアフィルタ121が設けられ、吸引時に、粉塵等のゴミが除去される。空気ファン122は、回転翼(インペラー)を回転させることにより、送風する遠心ブロアであり、回転翼を回転させるためのモータM1が、回転翼の回転軸に接続されている。導風管126K1の取入口126sは、上記接続口122e及び送風口122cと同じ形状に構成され、縦横の辺の長さが略等しい矩形に構成されている。
【0022】
導風管126K1の他端の開口部126eは、空気マニホールド54の空気流入口541と同形状の扁平な矩形状に形成され、該空気流入口541に接続されている。また、導風管126で構成された空気導入路123の下流側端部には、噴射ノズル55と、該ノズル55に水を配水するための水配管55wが設けられている。ノズル55の噴出口は、下流側(燃料電池スタック側)へ向けられ、少なくとも、空気マニホールド55の横断面における長辺方向(単位セルの積層方向)に沿って、水滴を拡散させて噴射する構成となっている。空気マニホールド55は、開口940の全面を覆って設けられている。
【0023】
以上のように構成された燃料電池システムは、燃料電池スタック100で発電する際には、空気ファン122が、回転翼を回転させる。これにより、空気が吸引され、導風管126K1、126K2、空気マニホールド55を介した、燃料電池スタック100への空気流が発生する。燃料電池スタック100は、この空気流にそって導入された酸化ガスと、空気との反応により直流電力を発電する。
発電された直流電力は、制御系70Aにおけるインバータ73により交流電力に変換されて、駆動モータ70Mに供給される。これにより、インバータ73を含む制御系70Aが発熱し、高温化を招く。
しかし、本実施の形態では、制御系70Aに放熱器70Bを接着させている。この放熱器70Bは、上記空気流中に位置する複数の放熱板70BNを備えている。従って、制御系70Aで発生された熱は、複数の放熱板70BNにより、上記空気流に放熱される。
【0024】
以上説明したように、本実施の形態では、発電のために発生される空気流を用いて制御系の放熱をしているので、装置の複雑化を招かずに制御系の高温化を抑制することができる。特に、燃料電池スタックの発電量により空気流が変化する。つまり、インバータヘの供給電力量に応じて放熱板に流れる空気流が変化する。すなわち、インバータからの供給電力量が多くなれば、高温になるが、それに応じて空気流も早くなるのに対し、インバータからの供給電力量が少なくなれば、高温になりにくいが、それに応じて空気流も遅くなる。このように、インバータの発熱状態に応じて、効率よく放熱することができる。
【0025】
本発明は、以上説明した実施の形態の構成に限定されるものではなく、以下のように種々の変形例が適用可能である。
図8は、制御系の第1の変形例を示した回路図である。図9は、制御系の第2の変形例を示した回路図である。上記実施の形態では、燃料電池及び補助電源双方からの電力量を調整してインバータ73を介して所定の電力を駆動モータ70Aに供給しているのに対し、図8に示すように、第1の変形例は、専ら燃料電池スタック100からの電力量を調整するため、インバータ73に、補助電源76を接続すると共にIGBT75A及びスイッチ74SWを介して燃料電池スタック100を接続している。図9に示すように、第2の変形例は、専ら補助電源76からの電力量を調整するため、インバータ73に、スイッチ74SWを介して燃料電池スタック100を接続すると共に補助電源76をIGBT75A及びコイルを介して接続している。
【0026】
図10は、放熱器70Bの他の位置に配置された場合を示す図である。図11は、放熱器70Bの更に他の位置に配置された場合を示す図である。図10に示す変形例では、複数の放熱板70BNを、空気マニホールド55に位置するように配置している。この場合、水を噴射するノズル55が、複数の放熱板70BNよりも上記空気流の上流側で、当該水が各放熱板70BNに到達する位置に配置されている。従って、ノズル55からの水により冷却された空気に複数の放熱板70BNから放熱することができると共に、各放熱板70BNも水により冷却することができ、より一層、制御系70Aの高温化を抑制することができる。
【0027】
また、図11に示す変形例では、空気ファン122の吸引側に別の導風管を設け、その導風管に形成される空気流中に放熱板が位置するように、放熱器70Bを配置するようにしてもよい。
【0028】
図12は、放熱器の変形例を示した底面図である。なお、本変形例は、上記種々の例に適用可能であるが、特に、図10に示す変形例に適用した場合を説明する。上記実施の形態では、複数の放熱板70BNは、上記空気流と平行に位置するように配置しているが、図12に示す例では、複数の放熱板70BNの向きは、空気流と交差する方向に向いている。
【0029】
上記実施の形態では、導風路の幅が空気マニホールドの幅より短いので、導風路から空気マニホールドへの空気流が中央が強くなっているので、中央付近に空気が他の位置よりも供給されやすくむらになりやすい。
【0030】
そこで、図12に示すように、中央付近が強くなる空気流を広がるように、複数の放熱板を配置すると、空気を空気マニホールド内により広く到達させることができ、空気マニホールドから各導入口への空気の分配の偏りを少なくすることができる。つまり、導風路の幅が酸化ガスマニホールドの幅より短くても、複数の放熱板が、導風路内の酸化ガス流よりも酸化ガスマニホールド内の酸化ガス流が広くなるように、酸化ガス流中に配置されるので、酸化ガスを酸化ガスマニホールド内により広く到達させることができ、酸化ガスマニホールドから各導入口への酸化ガスの分配の偏りを少なくすることができる。
【0031】
尚、本実施形態にあっては、多数の燃料電池を積層した燃料電池スタックを備えた燃料電池システムに適用したが、燃料電池を面方向に接続した燃料電池集合体に適用しても良いことは言うまでもない。また、本実施形態では、放熱器として放熱板を用いる場合について説明したが、棒状の放熱ピンやヒートパイプ、またはこれらを組み合わせたものを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明の燃料電池システム1を示すブロック図である。
【図2】燃料電池スタックの部分断面側面図である。
【図3】燃料電池スタックの部分断面斜視図である。
【図4】制御系の斜視図である。
【図5】制御系の回路図である。
【図6】空気供給系の構成を示す全体斜視図である。
【図7】空気供給系の構成を示す全体側面図である。
【図8】制御系の第1の変形例を示した回路図である。
【図9】制御系の第2の変形例を示した回路図である。
【図10】放熱器の他の位置に配置された場合を示す図である。
【図11】放熱器の更に他の位置に配置された場合を示す図である。
【図12】放熱器の変形例を示した底面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 燃料電池システム
100 燃料電池スタック
122 空気ファン
123 空気導入路
123m 拡散部材
531 水タンク
53A1 排気マニホールド
54 空気マニホールド
55 ノズル
61 供給ポンプ
70A 制御系
70B 放熱器
70BN 放熱板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと酸化ガスとを反応させて直流電力を発電する燃料電池と、
酸化ガス流を発生させ前記燃料電池に供給する発生手段と、
前記発生手段からの酸化ガス流を前記燃料電池に分配する酸化ガスマニホールドと、
前記発生手段から前記酸化ガスマニホールドへ酸化ガス流を導く導風路と、
前記燃料電池で発電された直流電力を交流電力に変換する変換回路を含む制御手段と、
を備えた燃料電池システムであって、
前記制御手段は、前記ガス流中に配置された放熱器を備えたことを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記放熱器は、酸化ガス流を整流する複数の放熱板を有することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記燃料電池は、モータに対して補助電源と並列に接続されており、
前記制御手段は、前記モータと前記燃料電池又は前記補助電源との接続を切り換える切換回路を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2008−130339(P2008−130339A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−313412(P2006−313412)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】