燃料電池及びこれを搭載した電子機器
【課題】発電を安定して行うことができると共に各種機器をコンパクトに収納した燃料電池及びこれを搭載した電子機器を提供する。
【解決手段】本発明の燃料電池は、少なくとも酸素を含む酸化剤ガスの流路が設けられた発電部と、発電部に接続され発電部から熱を放熱する放熱部と、流路において酸化剤ガスを流動させるガス流動手段と、ガス流動手段と互いに独立して駆動され放熱部を冷却する冷却手段とを有することを特徴とする。ガス流動手段と冷却手段との駆動とを独立して制御することにより、発電部の温度及びかかる発電部に残留する水分量が好適な条件となるように燃料電池を駆動させることができる。
【解決手段】本発明の燃料電池は、少なくとも酸素を含む酸化剤ガスの流路が設けられた発電部と、発電部に接続され発電部から熱を放熱する放熱部と、流路において酸化剤ガスを流動させるガス流動手段と、ガス流動手段と互いに独立して駆動され放熱部を冷却する冷却手段とを有することを特徴とする。ガス流動手段と冷却手段との駆動とを独立して制御することにより、発電部の温度及びかかる発電部に残留する水分量が好適な条件となるように燃料電池を駆動させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池及びこれを搭載した電子機器に関する。さらに詳しくは、燃料電池による発電を安定して行うための各種機器をコンパクトに収納した燃料電池及びこれを搭載した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、例えば水素ガスの如き燃料と空気に含まれる酸素の如き酸化剤を電気化学的に反応させることにより発電を行う発電素子である。燃料電池は、発電により生成される生成物が水であることから環境を汚染することがない発電素子として近年注目されており、例えば自動車を駆動するための駆動電源として使用する試みも行われている。
【0003】
さらに、上述の自動車駆動用の駆動電源に止まらず、例えばノート型パソコン、携帯電話及びPDAなどの携帯型電子機器の駆動電源としての燃料電池の開発も活発に行われている。このような燃料電池においては、所要の電力を安定して出力できると共に携帯可能なサイズ及び重量とされることが重要となり、各種技術開発が盛んに行われている。
【0004】
また、燃料電池は発電セル(単位セル)を複数結合させることにより、出力される電力量を高めることが可能であり、例えば固体高分子電解質膜の両面に電極を形成してなる接合体をセパレータで挟みこんで発電セルを形成し、これら発電セルが積層されたスタック構造を有する燃料電池も開発されている。
【0005】
なお、以上の説明に関連するものとして、以下の先行技術文献が挙げられる(特許文献1〜8)。
【特許文献1】特開平9−312165号公報
【特許文献2】特開2002−231292号公報
【特許文献3】特開平10−162842号公報
【特許文献4】特開2000−251908号公報
【特許文献5】国際公開第01/13441号パンフレット
【特許文献6】特開2002−313381号公報
【特許文献7】特開2001−256988号公報
【特許文献8】特開平10−64567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述の如き燃料電池によって発電を行う際には、固体高分子電解質膜にプロトンを伝導させることが必要となり、固体高分子電解質膜が適度に吸湿していることが重要となる。
【0007】
しかしながら、燃料電池における発電反応は発熱反応であり、発電反応が活発に行われる部分は高温となり易い。このため、固体高分子電解質膜に含まれる水分量が燃料電池の駆動と共に減少し、燃料電池における安定した発電に支障をきたす場合がある。
【0008】
一方、発電を行う際には電気化学的な反応によって水が生成されることになるが、セパレータに形成された燃料ガスの流路に水が蓄積された場合、水によって流路が閉塞され燃料ガスが円滑に流路内を流動しない不具合が生じる。流路内で燃料ガスが円滑に流動しない場合には、燃料ガスを接合体の面内に十分に供給することが困難となり、燃料電池による発電を十分に行うことができない問題点が生じることになる。
【0009】
上述した2つの問題点は、燃料電池による発電の際にかかる燃料電池の温度上昇の抑制と燃料電池に含まれる水分量の制御を両立させることが困難であることを示しており、これら問題点を同時に解決することができる技術が求められている。特に、スタック構造を有する燃料電池では、複数のセパレータに形成された流路に円滑に燃料ガスを流動させると共に燃料電池を構成する接合体を適度に吸湿させた状態とするようにかかる燃料電池の外部から酸素を含む空気を取り込み、所要の電力を安定して出力することができる技術が求められている。
【0010】
また、携帯可能な電子機器を駆動させるために燃料電池を用いる場合には、かかる燃料電池も携帯可能であることが望ましく、安定して発電を行うことができると共に小型化された燃料電池も求められている。
【0011】
よって、本発明は上述したこれら問題点に鑑みてなされたものであり、安定した発電を行うことができると共に燃料電池を駆動するための各種機器をコンパクトに収納した燃料電池及びこれを搭載した電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明にかかる燃料電池は、少なくとも酸素を含む酸化剤ガスの流路が設けられた発電部と、発電部に接続され発電部から熱を放熱する放熱部と、流路において酸化剤ガスを流動させるガス流動手段と、ガス流動手段と互いに独立して駆動され放熱部を冷却する冷却手段とを有することを特徴とする。このような燃料電池によれば、ガス流動手段と冷却手段とを独立して駆動させることにより発電部の温度上昇の抑制と発電部に含まれる水分量の制御とを精度良く行うことができ、発電部に安定した発電を行わせることが可能となる。
【0013】
このような燃料電池において、発電部は、イオン伝導性を有する伝導体と伝導体を挟んで対峙する電極とを備える接合体と、接合体を挟装するセパレータとを有することを特徴とする。伝導体に水分を十分吸湿させることにより発電の際の発電反応を支障なく行うことができると共に小型且つ高出力を有する燃料電池を形成することが可能となる。
【0014】
さらに、このような燃料電池においては、伝導体はプロトン伝導体であることを特徴とする。
【0015】
さらに、このような燃料電池においては、セパレータは、セパレータの内部から放熱部に延在する伝熱部を有することを特徴とする。このような伝熱部によれば発電反応により発生した熱を発電部から放熱部に速やかに伝播させることができ、発電部の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0016】
また、このような燃料電池においては、セパレータは、流路から水を吸水して除去するための吸水手段を有することを特徴とする。このような吸水手段によれば、酸化剤ガスを流動させる流路に蓄積された水を吸い出すことができ、かかる流路に円滑に酸化剤ガスを流すことが可能となる。
【0017】
さらにまた、このような燃料電池においては、発電部は、接合体とセパレータとが積層されてなるスタック構造を有することを特徴とする。スタック構造が形成されていることにより発電部の出力電力を高め所要の電力を出力することができる。
【0018】
さらに、このような燃料電池においては、セパレータは、セパレータが接合体と接する面内に燃料を供給するための面内流路を有することを特徴とする。面内流路により燃料が接合体の略全面に供給され、発電を効率良く行うことが可能となる。
【0019】
さらにまた、このような燃料電池においては、セパレータは、面内流路に燃料を供給するための供給孔及び面内流路から燃料を排出する排出孔を有することを特徴とする。このような供給孔によれば燃料をセパレータに供給すると共に発電反応後の燃料をかかる面内流路から排出することができる。
【0020】
さらに、このような燃料電池においては、隣接する各セパレータ間において供給孔が互いに接続されて各セパレータに燃料を供給するための供給路が形成されると共に、排出孔が互いに接続されて各セパレータから燃料ガスを排出する排出路が形成されることを特徴とする。接合体とセパレータとを積層されたスタック構造においては、供給路を介して発電体に一括して燃料ガスを供給することができると共に、排出路を介して発電反応後の燃料ガスを排出することができる。
【0021】
さらにまた、このような燃料電池においては、面内流路が供給路に接続される接続部の断面積は、面内流路の断面積に比べて小さいことを特徴とする。このような接続部によれば、面内流路から燃料を排出する際に面内流路に蓄積された水を排出することが可能となる。
【0022】
また、このような燃料電池においては、面内流路が排出路に接続される接続部の断面積は、面内流路の断面積に比べて小さいことを特徴とする。このような接続部によれば、面内流路から燃料を排出する際に面内流路に蓄積された水を排出することが可能となる。
【0023】
また、このような燃料電池においては、面内流路が供給路に接続される接続部の断面積は、面内流路が排出路に接続される接続部の断面積に比べて小さいことを特徴とする。このような接続部によれば、面内流路から燃料を排出する際に面内流路に蓄積された水を排出することが可能となる。
【0024】
さらに、このような燃料電池においては、水が蓄積された面内流路において水に対する供給路側と排出路側との間に圧力差を生じさせることによりかかる水を面内流路から排出する水排出手段を有することを特徴とする。このような水排出手段によれば、面内流路に蓄積された水が圧力差によって面内流路から排出されて面内流路に円滑に燃料を流動させることができる。
【0025】
このような燃料電池において、水排出手段は排出路の一部を大気開放することにより圧力差を生じさせて水を面内流路から排出することを特徴とする。このような水排出手段によれば、排出路を大気開放することにより瞬間的に面内流路内に圧力差が生じ、この圧力差によって面内流路から水を排出することが可能となる。
【0026】
また、本発明にかかる燃料電池においては、冷却手段は、少なくとも放熱部の近傍に滞留するガスを流動させることにより放熱部から熱を放熱させることを特徴とする。流動されたガスが順次放熱部から熱を放熱させることにより、発電部の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0027】
また、本発明にかかる燃料電池においては、ガス流動手段及び冷却手段の駆動を制御するための環境条件を検知する検知手段を有することを特徴する。環境条件に応じてガス流動手段及び冷却手段が駆動されることにより安定して発電が行われるような条件で発電部を駆動することが可能となる。
【0028】
さらに、このような燃料電池においては、検知手段は、環境条件として少なくとも温度及び/又は湿度を検知することを特徴とする。温度及び/又は湿度を検知することにより、発電部の温度及び発電部に残留する水分量を算出し、好適な条件下で発電を行うことができる。
【0029】
また、このような燃料電池においては、検知手段は、発電部に供給される酸化剤ガスの温度及び湿度、発電部から排出される酸化剤ガスの温度及び湿度、及び発電部の温度を検知可能な位置に配設されることを特徴とする。燃料電池のこれら各箇所で温度及び/又は湿度を検知することにより発電部に残留する水分量を精度良く算出することが可能となる。
【0030】
さらにまた、このような燃料電池においては、環境条件に基づいて少なくともガス流動手段及び冷却手段の駆動を制御する制御回路を搭載した制御基板を有することを特徴とする。このような制御回路によれば、ガス流動手段及び冷却手段の駆動を制御し好適な条件下で発電部に発電を行わせることができる。
【0031】
また、このような燃料電池においては、環境条件と発電部により発電された電力量とに基づいて算出された発電部に含まれる水分量に応じてガス流動手段及び冷却手段の駆動が制御されることを特徴とする。このようにして駆動が制御されるガス流動手段及び冷却手段によれば、発電部に残留する水分量を好適な条件とすることができ、安定した発電を行うことが可能となる。
【0032】
また、本発明にかかる燃料電池においては、発電部を駆動する際に、酸化剤ガスと反応させるための燃料を燃料貯蔵部から発電部に供給する燃料供給手段を有することを特徴とする。このような燃料供給手段によれば、発電部に対して別途設けられた燃料ガス貯蔵部から燃料を発電部に供給することができる。
【0033】
また、本発明にかかる燃料電池においては、発電部に供給される燃料ガスの圧力を制御する圧力制御手段を有することを特徴とする。燃料の圧力を制御しながら供給することにより発電部は安定した発電を行うことが可能となる。
【0034】
本発明にかかる燃料電池は、側面に少なくとも酸素を含む酸化剤ガスの流路の開口部が設けられた発電部と、発電部に接続され発電部から熱を放熱する放熱部とを備え、流路において酸化剤ガスを流動させるガス流動手段が発電部の側面に沿って配設され、放熱部を冷却する冷却手段が側面に沿ってガス流動手段と隣接するように配設されていることを特徴とする。このような燃料電池によれば、かかる燃料電池に収納される各機器をコンパクトに配置することができると共に酸化剤ガスを効率良く流動させることができ、小型で且つ所要の発電を安定して行うことができる。
【0035】
このような燃料電池において、かかる燃料電池は少なくとも発電部、放熱部、ガス流動手段、及び冷却手段を覆う筐体を有することを特徴とする。このような筐体によれば、燃料電池に配設される各種機器を外部から保護することができると共にかかる燃料電池内で空気の流動を制御することが可能となる。
【0036】
また、このような燃料電池において、ガス流動手段は、開口部から酸化剤ガスを吸気すると共に筐体に設けられた第1の排気口から酸化剤ガスを排出することにより流路において酸化剤ガスを流動させることを特徴とする。このようなガス流動手段によれば、燃料電池内で酸化剤ガスを効率良く流動させることができ、発電を安定して行うことが可能となる。
【0037】
さらに、このような燃料電池において、ガス流動手段は、筐体に設けられた第1の吸気口から酸化剤ガスを燃料電池内に吸気することにより冷却手段による酸化剤ガスの流動と独立した酸化剤ガスの流れを形成することを特徴とする。このような第1の吸気口から酸化剤ガスを吸気することにより、冷却手段により流動される酸化剤ガスの流れと別に酸化剤ガスを流動させることができる。
【0038】
さらにまた、このような燃料電池において、第1の吸気口は第1の排気口と対面する位置に設けられると共にガス流動手段が第1の吸気口と第1の排気口との間に配設されることを特徴とする。このような位置に配設される第1の吸気口、第1の排気口及びガス流動手段によれば、発電部に供給される酸化剤ガスの流れと冷却のための酸化剤ガスの流れとを別の流れとすることができる。
【0039】
また、本発明にかかる燃料電池において、冷却手段は、筐体に設けられた第2の排気口から酸化剤ガスを排気することにより放熱部の近傍において酸化剤ガスを流動させることを特徴とする。このような冷却手段によれば、流動された酸化剤ガスが順次放熱部から熱を放熱させることにより、発電部の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0040】
このような燃料電池においては、冷却手段は、筐体に設けられた第2の吸気口から酸化剤ガスを燃料電池内に吸気することを特徴とする。このような冷却手段によれば、ガス流動手段によって流動される酸化剤ガスの流れとは別の流れを形成することができる。
【0041】
さらに、このような燃料電池においては、第2の吸気口は、第2の排気口と対面する位置に設けられると共に冷却手段が第2の吸気口と第2の排気口との間に配設されることを特徴とする。このように第2の吸気口、第2の排気口及び冷却手段が配置されることにより放熱部から熱を放熱させるために酸化剤ガスを円滑に流動させることが可能となる。
【0042】
本発明にかかる燃料電池においては、開口部は、酸化剤ガスの流路の奥行き方向に沿って狭くなるテーパ形状とされることを特徴とする。このような開口部によれば、酸化剤ガスをかかる酸化剤ガスの流路に流動させる際に流路抵抗を低減することができ、円滑に酸化剤ガスを流動させることが可能となる。
【0043】
このような燃料電池においては、開口部の開口幅は、酸化剤ガスの流路の流路幅に比べて大きいことを特徴とする。このような開口幅によれば、酸化剤ガスの流路に流動させる際に流路抵抗を低減することができる。
【0044】
さらに、このような燃料電池においては、開口幅は、流路幅と比べて横方向及び/又は縦方向について幅広とされることを特徴とする。このような開口幅を有する開口部によれば、さらに流路抵抗を低減することが可能となる。
【0045】
また、本発明にかかる燃料電池においては、ガス流動手段及び冷却手段の駆動を制御するための環境条件を検知する検知手段を有することを特徴とする。環境条件に応じてガス流動手段及び冷却手段が駆動されることにより安定して発電を行うことができる。
【0046】
さらに、このような燃料電池において、検知手段は、環境条件として少なくとも温度及び/又は湿度を検知することを特徴とする。温度及び/又は湿度を検知することにより、発電部の温度及び発電部に含まれる水分量を算出し、好適な条件下で発電を行うことができる。
【0047】
さらにまた、このような燃料電池において、検知手段は、発電部に供給される酸化剤ガスの温度及び湿度、発電部から排出される酸化剤ガスの温度及び湿度、並びに発電部の温度を検知可能な位置にそれぞれ配設されることを特徴とする。このような各位置にて温度及び/又は湿度を検知することにより発電部に残留する水分量を精度良く算出することが可能となる。
【0048】
また、このような燃料電池においては、環境条件に基づいて少なくともガス流動手段及び冷却手段の駆動を制御する制御回路を搭載した制御基板が配設されていることを特徴とする。このような制御基板によれば、ガス流動手段及び冷却手段を制御することができる。
【0049】
本発明にかかる燃料電池においては、酸化剤ガスと反応させるために発電部に供給される燃料ガスの流路から水を排出する水排出手段が発電部の端面に沿って配設されることを特徴とする。このように配置される水排出手段によれば、燃料電池内に蓄積された過剰な水を排出することができると共にかかる燃料電池内の空間を効率良く用いることが可能となる。
【0050】
また、本発明にかかる燃料電池においては、発電部を駆動する際に燃料ガスを燃料ガス貯蔵部から発電部に供給する燃料ガス供給手段が発電部の端面に沿って配設されることを特徴とする。このような燃料ガス供給手段によれば、発電部に対して別途設けられた燃料ガス貯蔵部から燃料ガスを発電部に供給することができると共にかかる燃料電池内の空間を効率良く用いることが可能となる。
【0051】
本発明にかかる電子機器は、少なくとも酸素を含む酸化剤ガスの流路が設けられた発電部と、発電部に接続され発電部から熱を放熱する放熱部と、流路において酸化剤ガスを流動させるガス流動手段と、ガス流動手段と互いに独立して駆動され放熱部を冷却する冷却手段とを有する燃料電池を備え、燃料電池から電力を供給されることにより駆動されることを特徴とする。このような電子機器によれば、かかる電子機器を安定して駆動させることが可能となる。
【0052】
また、本発明にかかる電子機器は、側面に少なくとも酸素を含む酸化剤ガスの流路の開口部が設けられた発電部と、発電部に接続され発電部から熱を放熱する放熱部と有し、流路において酸化剤ガスを流動させるガス流動手段が発電部の側面に沿って配設され、放熱部を冷却する冷却手段が側面に沿ってガス流動手段と隣接するように配設されている燃料電池を備え、燃料電池から電力を供給されることにより駆動されることを特徴とする。このような電子機器によれば、かかる電子機器を安定して駆動させることができると共に携帯可能な電子機器を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0053】
本発明にかかる燃料電池によれば、発電部の温度上昇の抑制とかかる発電部に残留する水分量の制御を行うことにより、ドライアップの如き発電の際の不具合を生じさせることなく安定した発電を行うことができる。さらに、発電部の温度制御と発電部に残留する水分量の制御とを独立して精度良く行うことができ、信頼性の高い燃料電池を提供することができる。また、このような燃料電池によれば、発電を行うための各種機器を燃料電池にコンパクトに収納することが可能であり、かかる燃料電池を小型化することができる。
【0054】
さらに、本発明にかかる電子機器によれば、携帯可能なサイズとされた燃料電池を搭載することにより携帯型電子機器においても燃料電池による駆動を行うことができ、所要の電子機器に燃料電池を搭載することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下本実施形態の燃料電池及び電子機器について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0056】
図1に示すように、燃料電池1は、筐体10、制御基板20、発電部30、冷却ファン51、空気供給ファン52,53、水素パージバルブ54、レギュレータ55及び手動バルブ56を備える。また、燃料電池1は、水素ガスを吸蔵させた水素吸蔵カートリッジ60から供給される水素ガスを受け取り、発電を行う。
【0057】
図1及び図2に示すように、筐体10は略直方体形状の外形を有し、燃料電池1に搭載される各種機器を覆うように内部が空洞とされると共に底面が開放されている。筐体10は排気口11,12及び13、吸気口14,15を備え、筐体10の上面の端部は排気口11,12,13が形成された側面に向かう傾斜面とされる。図2(a)によれば、排気口11と排気口12,13とは筐体10の一の側面に隣接するように形成され、発電部30を冷却するために燃料電池1内で流動された空気と発電部30による発電反応後の空気とが排気口11と排気口12,13とからそれぞれ排出される。排気口11は、後述する放熱フィン33から熱を放熱させるための空気が燃料電池1から排出されるための空気の出口である。さらに、排気口11は、筐体10の側面に略矩形状に開口し、上下方向に複数形成されている。また、排気口12、13は発電部30が発電を行う際にかかる発電部30に供給された空気が排出されるための出口とされ、筐体10の側面に矩形状に開口し、排気口11に沿って上下方向に複数形成されている。また、排気口11,12,13は筐体10の側面の上下方向に沿って順次長手方向の寸法が短くなるように形成されている。
【0058】
さらに、図2(b)によれば、吸気口14,15は、筐体10の排気口11及び排気口12,13が形成された筐体10の側面と対面する側面に形成され、吸気口14,15から発電部30を冷却するための空気と発電部30による発電反応に供される酸素を含む空気とがそれぞれ燃料電池1内に取り込まれる。吸気口14は、後述する放熱フィン33から熱を放熱させるための空気が燃料電池1に取り込まれるための空気の取り込み口であり、筐体10の側面に略矩形状に開口し、上下方向に複数形成されている。また、吸気口15は、発電部30が発電を行う際にかかる発電部30に供給される空気が取り込まれるための取り込み口とされ、同じく筐体10の側面に略矩形状に開口し、吸気口14に沿って上下方向に複数形成されている。
【0059】
さらに、図1、図2(c)及び(d)に示すように、筐体10の一の端面には燃料電池1と外部との間で各種信号を送受信するための配線が通される接続孔16を形成することができる。さらに、他の端面にも所要の接続孔18を形成することもできる。
【0060】
また、図1に示すように、制御基板20には燃料電池1を構成する各種機器を制御するための制御回路が形成され、かかる制御基板20は発電部30の上側に配設される。制御回路の詳細については図中において詳細に示さないが、例えば冷却ファン51、空気供給ファン52,53の駆動の制御、或いは水素パージバルブ54の開閉動作の制御回路、発電部30により出力される電圧を昇圧するDC/DCコンバータの如き電圧変換回路、さらに後述するセンサにて検知された温度や湿度などの各種環境条件を取得することにより各種機器の駆動に関する指示を制御基板20に実装された回路に行わせることもできる。また、本例の燃料電池1においては燃料電池1内に制御基板20が配設されるが、燃料電池1の外部に配設去れていても良く、例えば、燃料電池1から駆動用の電力が提供される各種電子機器が制御基板20を備えることもできる。
【0061】
次に、図1、図3、図4及び図5を参照しながら発電部30について詳細に説明する。図1及び図3に示すように、発電部30は略直方体形状を有し、冷却ファン51、空気供給ファン52,53に臨む側面39に対向する側面の一部が発電部30の上下方向に沿って矩形状に切り欠かれた形状とされ、基台57に配設される。また、発電部30の側面39に沿って、冷却ファン51、空気供給ファン52,53が隣接するように配設されている。このように配設された冷却ファン51は放熱フィン33から熱を放熱させる。また、空気供給ファン52,53は開口部34に臨むように配設されており、かかる開口部34を介して発電部30内で空気を流動させる。
【0062】
また、本例の発電部30は9枚のセパレータ31の間にそれぞれ接合体32が挟みこまれ、発電を行う発電セルが8個直列に接続された構造を有している。かかる発電セルは1素子で約0.6Vの電圧を出力することができるため、発電部30の全体では4.8Vの電圧を出力することが可能である。また、発電部30は約2Aの電流を流すことが可能であり出力される電力は理想的には9.6Wとなるが、発電反応における発熱などによって実際の出力電力は理想的な出力電力の約7割である約6.7Wとされる。しかしながら、後述するように接合体32に含まれる水分量の調整や発電部30への水素ガスの円滑な供給によりさらに出力電力を高めることができる。また、発電部30を形成する発電セルは本例のように8素子に限定するものではなく、各種電子機器を駆動するために必要とされる出力電力に合わせて所要の数の発電セルにより発電部30を形成することもできる。発電部30の側面39には各セパレータ31に形成された開口部34が臨み、後述するように発電部30の側面39の反対側の側面にも各開口部34に対応するように開口部40が形成されている。開口部34と、開口部34が臨む側面39と反対側の側面に臨む開口部40により、発電部30に対する酸素を含む空気の給排気が行われる。
【0063】
続いて、図4及び図5を参照しながら発電部30についてさらに詳細に説明する。図4に示すように、セパレータ31により挟み込まれる接合体32は、吸湿した際にイオン伝導性を有する固体高分子電解質膜36及びかかる固体高分子電解質膜36を両面から挟み込む電極37から形成される。さらに、スタック構造を形成した際にセパレータ31と接合体32との間を封止する封止部材35が接合体32の周縁付近に配置されている。封止部材35は、セパレータ31の周縁部と接合体32の周縁部とを十分に絶縁することができる材質を用いれば良い。固体高分子電解質膜36としては、例えばスルホン酸系の固体高分子電解質膜を用いることができる。電極37は、発電反応を促進するための白金の如き触媒が担持された電極を用いることもできる。発電部30を構成する発電セルは2枚のセパレータ31とかかるセパレータ31に挟み込まれる接合体32によって形成され、例えば、図4には直列に接続される2つの発電セル50が示されている。
【0064】
さらに、図4及び図5に示すように、発電部30を構成するセパレータ31は、流路43、セパレータ31の流路43が形成された面の裏面側に形成された流路38、流路43に接続された供給孔42及び排出孔41、流路43と供給孔42を接続する接続部45、流路43と排出孔41とを接続する接続部46、さらに放熱フィン33を備える。
【0065】
図5(a)に示すように、流路43は、燃料ガスとされる水素ガスをセパレータ31の面内に流すための面内流路とされる。流路43は発電反応の効率を高めるためにセパレータ31の表面内を蛇行するように形成されており、水素ガスが電極37全体に供給されるような形状とされる。供給孔42は、発電部30の外部に設けられた水素吸蔵カートリッジ60の如き水素ガス貯蔵部から流路43に水素ガスを供給する際の水素ガスの流路とされる。接続部45は流路43と供給孔42とを接続し、流路43に水素ガスを供給する。また、接続部46は流路43と排出孔41とを接続し、流路43から発電反応後の水素ガスを排出する。本例のセパレータ31においては、接続部45,46の断面積は各セパレータ31と接合体32とによりスタック構造を形成した際の流路43の断面積より小さくなるように形成され、例えば接続部45,46の幅が流路43の幅より狭くなるように形成される。さらに、接続部45の幅を接続部46の幅より狭くなるように形成し、流路43への水素ガスの入口側の幅を出口側の幅より狭くしておく。
【0066】
また、供給孔42及び排出孔41は、スタック構造を形成した際に積層される各セパレータ31の間で接続され、水素ガスを各セパレータ31に供給する供給路と発電後の水素ガスを排出するための排出路を形成する。流路43に水が蓄積された際には、かかる排出路を後述する水素パージバルブ54により大気開放することにより流路43に蓄積された水の供給路側と排出路側とに圧力差を生じさせ、かかる圧力差によって水を排出することができる。さらに、スタック構造を形成した際の任意のセパレータ31の流路43に水が蓄積された場合でも、水が蓄積された流路43内にのみ瞬間的に圧力差を生じさせることが可能であり、水を排出し発電部30に安定して水素ガスを供給することができる。
【0067】
さらに、図5(b)に示すように、流路38はセパレータ31の流路43が形成された面の裏面側に形成され、かかる流路38に酸素を含む空気を流すための流路とされる。流路38は、セパレータ31の幅方向に延在するように形成されてセパレータ31の側縁部に開口し、セパレータの長手方向に沿って複数形成されている。また、流路38がセパレータ31の端部にそれぞれ開口する開口部34,40を介して酸素を含む空気が流路38に給排気される。本例のように開口部34,40の幅は流路38の幅より大きめとされ、さらに、流路38の幅を開口部34,40から流路38の奥行き方向に沿って狭めたテーパー形状とすることにより流路38への空気の取りこみ又は流路38から空気を排出する際にこれら空気が円滑に流れるように空気の流路抵抗を低減することができる。また、開口部34,40の高さ方向に関する開口幅も流路38より大きめとし、かかる開口幅を開口部34,40の縦方向及び横方向について流路38の奥行き方向に沿って狭められたテーパー形状としておくことにより、さらに流路抵抗を低減することが可能となる。また、流路38に吸水性を有する吸水部材を配置し、吸水部材をセパレータ31の外部に引き出しておくことにより流路38に蓄積される水をセパレータ31の外部に吸い出すこともできる。
【0068】
また、燃料電池1においては、図6に示すような構造を有するセパレータ70を用いることもできる。図6(a)はセパレータ70の構造を示す断面図であり、セパレータ70は、上側板状部71、伝熱部72及び下側板状部73を備え、燃料ガスが流路から漏れないように上側板状部71と下側板状部73との間に封止部材74が挟み込まれて形成される。また、封止部材74を上側板上部71や下側板状部73を構成する材質に比べて熱伝導性の高い材質で形成することにより、セパレータ70からの放熱効果を高めることもできる。このよう封止部材74としては、熱伝導率が高い部材が樹脂中に埋め込まれた封止部材が好適であり、例えば、コ・サーム(太陽金網社製商品名)の如き封止部材を用いることができる。
【0069】
伝熱部72は放熱フィン75まで延在するように形成され、セパレータ70から発電時の熱を放熱する。さらに伝熱部72は、上側板状部71や下側板状部73を形成する材質の熱伝導率に比べて高い熱伝導率を有する材質により形成され、セパレータ70の放熱特性を高めることができる。伝熱部72を形成する材質としては、例えば熱伝導率が比較的高い金属である銅を用いることができる。さらに、耐腐食性が高められた無酸素銅や表面処理がされて耐腐食性が高められた銅板を用いても良い。下側板状部73には、図中垂直方向に延在する流路79が形成されており、酸素を含む空気が流動される際の流路とされる。また、図6(b)に示すように、セパレータ70の端部では上側板状部71と下側板状部73との間に封止部材74が挟まれて伝熱部72が外部から封止され、発電反応による伝熱部72の劣化が抑制される。
【0070】
図7は、セパレータ70を構成する上側板状部71、伝熱部72及び下側板状部73の平面図である。図7(a)に示すように、上側板状部71には、水素ガスを流動させるための流路78が形成されている。流路78は面内全体に水素ガスを流動させるように面内で蛇行するような形状に形成される。また、上側板状部71は、流路78に水素ガスを供給する供給孔77aと発電反応後の水素ガスを排出するための排出孔76aが形成されている。また、図7(b)に示すように、伝熱部72は略板状とされて、下側板状部73に嵌め込まれている。伝熱部72は、放熱フィン75まで延在され、セパレータ70から熱を放熱する。さらに、下側板状部73の端部には伝熱部72を外部と隔絶するように封止部材74が配置され、かかる下側板状部73と上側板状部71とにより伝熱部72が挟み込まれて一体のセパレータ70が形成される。また、下側板状部73には、封止部材74には供給孔77a及び排出孔76aと位置合わせされた供給孔77b及び排出孔76bが形成されている。さらに、下側板状部73にも供給孔77a,77b及び排出孔76a,76bに合わせて孔部を形成しておくことにより、セパレータ70を組み上げた際に一体とされる供給孔及び排出孔を形成することができる。さらに、図7(c)に示すように、下側板状部73の裏面側には酸素を含む空気を流動させる流路79が形成されると共に水素ガスを流路78に供給する供給孔77cと水素ガスを排出する排出孔76cが形成されている。
【0071】
次に、図8を参照しながら本例の燃料電池1により給排気される空気の流れについて詳細に説明する。図8に示すように、燃料電池1は、すでに説明したように発電部30の開口部34が臨む側面39に沿って隣接するように配設された冷却ファン51、空気供給ファン52,53を有す。さらに、冷却ファン51によりかかる燃料電池1の外部から取りこまれる空気の温度を検知する温度センサ64及び湿度を検知する湿度センサ65、空気供給ファン52,53により発電部30から排出される空気の温度を検知する温度センサ61及び湿度を検知する湿度センサ62を有する。また、発電部30は、かかる発電部30の温度を検知するための温度センサ63を有する。
【0072】
冷却ファン51は、図中矢印で示すように吸気口14から取り込まれた空気を吸気口14から排気口11まで流動させ、燃料電池1の外部に排出する。冷却ファン51が吸気口14と排気口11との間に配設されると共に、冷却ファン51と吸気口14との間に配置された放熱フィン33は冷却ファン51により流動される空気によって熱を放熱する。また、放熱フィン33の近傍に限定されず、燃料電池1内全体にて空気を流動させることにより発電部30を冷却することもできる。
【0073】
空気供給ファン52,53は、吸気口15、発電部30及び排気口12,13に空気を流動させる。空気供給ファン52,53は、吸気口15から取り込まれる酸素を含む空気を発電部30に流すと共に発電部30における発電反応後に排出される空気を排気口12,13から燃料電池1の外部に排出する。発電部30は図3乃至図5を参照しながら説明したように流路38及び開口部34,40を備え、空気供給ファン52,53は図中矢印で示すように吸気口15から流路38、排気口12,13に至る空気の流れを形成する。また、冷却ファン51によって形成される空気の流れと空気供給ファン52,53とにより形成される空気の流れは互いに独立した空気の流れとすることができる。よって、冷却ファン51と空気供給ファン52,53とを独立して駆動することにより発電部30の冷却と発電部30への空気の供給及び排出とを独立して行うことが可能となる。また、本例の燃料電池1における冷却ファン51、及び空気供給ファン52,53の配置に限定されず、空気を給排気するために複数の発電部の側面に形成された開口部に臨むようにこれら冷却ファン51及び空気供給ファン52,53を配設し、複数の発電部に対して一括して空気の給排気を行うことも可能である。さらに、冷却ファン51及び空気供給ファン52,53を逆回転させ、空気を逆向きに流動させることもできる。
【0074】
温度センサ61,64,湿度センサ62,65及び温度センサ63は、それぞれ吸気口14から取りこまれる空気の温度及び湿度、排気口12,13から排出される空気の温度及び湿度、並びに発電部30の温度を検知する。温度センサ63は発電部30の略中央部付近に配設され、発電部30が発電を行う際のかかる発電部30の温度を検知する。温度センサ64及び湿度センサ65は吸気口14に近傍で吸気口14から取り込まれる空気の流路を阻害しないように配設される。また、温度センサ61及び湿度センサ62は、空気供給ファン52及び53に臨む発電部30の空気の出口側で空気の流動を阻害しないように配設される。温度センサ63により検知された発電部30の温度に関するデータに基づいて冷却ファン51の駆動の制御が行われ、発電部30は好適な温度条件で駆動される。また、燃料電池1は、温度や湿度に限定されず給排気される空気の圧力を検知する圧力センサを備えることもできる。
【0075】
さらに、温度センサ64と湿度センサ65により検知された温度及び湿度に基づいて吸気口14から取りこまれた空気の相対湿度が算出されると共に、温度センサ61と湿度センサ62により検知された温度及び湿度に基づいて排気口12,13から排出される空気の相対湿度が算出される。このように吸気口15から取りこまれた空気の相対湿度と排気口12,13から排気された空気の相対湿度との差をとることにより、かかる燃料電池1から排出される水分量を算出することが可能となる。また、これら温度センサ61,64及び湿度センサ62,65は空気の流動を阻害しないように配設されるため、発電部30による発電を支障なく行うこともできる。
【0076】
さらにまた、発電部30による発電された出力電力に基づいて発電反応により生成された水分量が算出できる。よって、燃料電池1から排出された水分量と発電反応により生成された水分量との差をとることにより発電部30に残留する水分量を算出することが可能となる。すでに説明したように、発電部30を構成する接合体32を適度に保湿された状態とすることにより安定した発電反応を行うことができることから、発電部30に残留する水分量に関するデータに基づいて空気供給給ファン52,53を駆動し、安定した発電を行うことが可能となる。例えば、発電部30に残留する水分量が過剰な場合には、空気供給ファン52,53の回転数を上げることにより過剰な水分をかかる発電部30から空気と共に排出することができる。また、発電部30の温度を制御するための冷却ファン51と発電部30に残留する水分量を制御する空気供給ファン52,53とを独立して駆動させることができるだけでなく、冷却ファン51による空気の流れと空気供給ファン52,53による空気の流れを独立させることができるため、発電部30に残留する水分量の制御及び発電部30の温度上昇の抑制とを精度良く行うことが可能となる。
【0077】
さらに、図9を参照しながら発電部30の温度及びかかる発電部30に残留する水分量の制御について具体的に説明する。図中横軸は、発電部30の温度であり、縦軸は発電部30に残留する水分量である。冷却ファン51と空気供給ファン52,53との駆動を制御することにより、発電の際に刻々と変化する発電部30の温度及び残留水分量が図中中央付近の安定領域になるように調整される。
【0078】
例えば、図中Aで示される環境条件は、安定領域の環境条件に対して発電部30の温度が高く且つ発電部30における残留水分量が多い環境条件であり、発電部30の冷却及び残留する水分量の低減が必要とされる。このような場合、空気供給ファン52,53の回転数を上げることにより発電部30に残留する水分量が低減されると共に冷却ファン51の回転数を上げることにより発電部30がさらに冷却され、Aで示される環境条件から安定した発電を行うことができる安定領域に温度及び水分量が調整される。
【0079】
また、図中Bで示される環境条件は、安定条件に対して発電部30の温度が低く且つ発電部30に残留する水分量が多い環境条件とされる。このような場合、空気供給ファン52,53の回転数を上げることにより発電部30に残留する水分量が低減されると共に冷却ファン51の回転数を下げることにより発電部30に対する冷却が抑制され、Bで示される環境条件から安定した発電を行うことができる安定領域に発電部30の温度及び水分量が調整される。
【0080】
図中Cで示される環境条件は、安定条件に対して発電部30の温度が低く且つ発電部30に残留する水分量が少ない環境条件とされる。このような場合、空気供給ファン52,53の回転数を下げることにより発電部30で生成される水の排出を低減すると共冷却ファン51の回転数を下げることにより発電部30に対する冷却が抑制さる。このような空気供給ファン52,53及び冷却ファン51の駆動の制御によりCで示される環境条件から安定した発電を行うことができる安定領域に発電部30の温度及び水分量が調整される。
【0081】
さらに、図中Dで示される環境条件は、安定条件に対して発電部30の温度が高く且つ発電部30に残留する水分量が少ない環境条件とされる。このような場合、空気供給ファン52,53の回転数を下げることにより発電部30で生成される水の排出を低減すると共に冷却ファン51の回転数を上げることにより発電部30をさらに冷却する。このような空気供給ファン52,53及び冷却ファン51の駆動の制御によりDで示される環境条件から安定した発電を行うことができる安定領域に発電部30の温度及び水分量が調整される。
【0082】
このように空気供給ファン52,53及び冷却ファン51を発電部30の温度及び発電部30に残留する水分量に応じて独立して駆動することにより、例えばドライアップの如き発電の際の不具合を生じさせることなく安定した発電を行うことが可能となる。
【0083】
次に、図1、図4及び図5を参照しながら、水素パージバルブ54、レギュレータ55及び手動バルブ56について説明する。図1に示すように、水素パージバルブ54、レギュレータ55及び手動バルブ56は、発電部30の端面に沿って隣接して配設される。本例の燃料電池1においては、発電部30の端面側に各種機器を配置するための領域を確保することが可能であり、燃料電池1を安定して駆動させるための各種機器をコンパクトに収納することが可能である。
【0084】
流路43に蓄積された水を排出する水排出手段とされる水素パージバルブ54は、流路43に接続される排出路を大気開放することにより水が蓄積された流路43から水を排出することができる。流路43が大気開放された際には、流路43に蓄積された水に対する供給路側の水素ガスの圧力と大気開放された排出路側の圧力との間に圧力差が生じ、かかる圧力差によって流路43に蓄積された水が流路43から排出される。このように水素ガスを供給する路側と水素パージバルブ54により大気開放される水の排出路側との間で圧力差を生じさせることにより、発電部30がスタック構造を有する場合でも水が蓄積され水素ガスが流れ難くなっている任意の流路43から水を排出することが可能となり、すべてのセパレータ31の流路43に水素ガスを円滑に流すことができる。また、複数のセパレータ31を有する発電部30に限定されず、単一のセパレータを有する発電部においても同様に水を排出することができる。また、水素パージバルブ54を例えば電磁力を用いた駆動方式により駆動することも可能であり、水素パージバルブ54を駆動させるための電力を発電部30から供給するようにしても良い。
【0085】
また、水素ガスの圧力制御を行う圧力制御手段とされるレギュレータ55は、水素吸蔵カートリッジ60から供給される水素ガスの圧力を所要の圧力になるように調整し、発電部30に送り出す。例えば、水素吸蔵カートリッジ60から供給される水素ガスの圧力が0.8〜1.0MPa程度である場合、レギュレータ55はこれら水素ガスの圧力を0.05〜0.10MPa程度の圧力に減圧し発電部30に供給することができる。
【0086】
さらに水素ガス発電部30に供給するガス供給手段とされる手動バルブ56は、発電部30にて発電を行う際に水素吸蔵カートリッジ60から発電部30に水素ガスを供給するための流路を開放する。これら水素パージバルブ54、レギュレータ55及び手動バルブ56は燃料電池1に安定して発電を行わせるために重要であり、これら機器をコンパクトに燃料電池1に収納することにより燃料電池1全体のサイズを小型化することが可能となる。
【0087】
次に図10乃至図14を参照して、本実施形態の燃料電池装置の具体的な構造について説明する。先ず、図10乃至図12は本例のセパレータ部分についての裏面図、側面図、及び表面図である。
【0088】
図10乃至図12に図示されるように、セパレータ81はその裏面側に酸素用の流路となる溝83が形成され、その表面側に水素用の流路となる溝86が形成されている。なお、セパレータ81は図示しない発電体を挟んで積層する際には、裏面側が表面側に配されることもある。
【0089】
図10に示すように、セパレータ81の酸素供給側面には、当該セパレータ81の幅方向に直線状に延長されている複数の溝83が形成されており、これらの溝83は互いに平行に延長されていることから、セパレータ81の長手方向では溝83と突条部82が交互に位置している。略平板状とされるセパレータ81の長手方向の長さL6は、79.5mmであり、それと直交する方向の幅L8は41mmである。溝83は当該セパレータ81の両端部では幅広となるように開口している。ここで具体的な寸法については、図10において、溝83は平行に延長された中央部分の幅L1は2mmであり、隣接する突条部82の幅L2も2mmである。この溝83は幅広とされた両端部において、テーパー状に開口しており、セパレータ81の厚み方向にも形成されたテーパー部分の開始位置L0は端部から8mmであり、その開始位置L0から2.15°の角度で傾斜するテーパーとなっている。溝83の幅広とされた両端部では、その面内方向では約1mm程度開口幅が広がるように構成されており、溝83の端部での幅L3は3mmであり、隣接する突条部82の幅L4は1mmに先細る形状とされている。この突条部82のテーパー開始位置L9は端部から5.5mmである。なお、中央付近の開口幅L5は螺子孔の影響から2.5mmであり、放熱部84に連続する発電体保持領域の長手方向に幅L10は56.5mm(図11参照)であり、螺子孔間の間隔L7で54.5mmである。
【0090】
次に、図11を示すように、セパレータ81の厚み方向の寸法については、放熱部84の厚みT1は1.3mmであり、溝83、86が形成された発電体保持領域では厚みT2が2.3mmである。
【0091】
図12に示すように、セパレータ81の水素供給側面87には水素供給孔89から水素排出孔88の間に渡って5往復する蛇行するパターンで延長される溝86が形成されており、この蛇行する溝86の深さは0.6mmであって幅L12は1.0mmであり、折り返し部分の曲率半径は0.9mm(内径)、1.9mm(外径)である。水素供給孔89と水素排出孔88との接続部90では溝86ではそれぞれ細いサイズとなっており、これら水素供給孔89と水素排出孔88はセパレータ81の長手方向の端部から2.25mmの位置を中心として幅1.5mmのサイズであり、且つセパレータ81の長手方向の端部からの細い溝の開始位置L17が6mmであることから、約3mmの長さとなっている。この接続部90での溝の幅L11は0.5mmであり、セパレータ81の幅方向の端部からの水素排出孔88側の接続部90の位置L15は中心位置で7.9mmであり、水素供給孔89側の接続部90の位置L16は中心位置で33.1mmである。また、5往復する蛇行するパターンで延長される溝86の、セパレータ81の長手方向の水素供給孔89と水素排出孔88に近い側の端部から折り返し位置L13は7mmである。また、溝86の折り返し部間の長さL14は42mmである。
【0092】
続いて、図13及び図14を参照しながら本例の燃料電池装置の構造についてさらに詳細に説明する。図13は、本例の燃料電池装置100の平面図である。燃料電池装置100は、セパレータ81と発電体とが積層されたスタック構造を有する。図13は、スタック構造を形成する最上部に配される板状部を透視し、発電部90が配される領域にセパレータの表面に形成される溝86が図中破線で示されている。発電部90を形成するセパレータの長手方向の寸法とセパレータから長手方向に延在される放熱部84の長手方向の寸法を合わせた長さL18は78mmであり、セパレータの幅L8は41mmである。放熱部84の端部は図中直線状とされるが、各種配線を通すための切り欠き部が形成されていても良い。また、燃料電池装置100を構成し、発電部90を含む各部を収納する筐体91の長手方向の長さL21は95.5mmであり、幅L20は59mmとされる。筐体91の長手方向の長さL21及び幅L20は燃料電池装置100の長手方向の長さ及び幅とされことから、本例の燃料電池装置100のサイズは平面上で長手方向の長さが95.5mm、幅が59mmとされる。
【0093】
さらに、図14を参照しながら本例の燃料電池装置100の構造を具体的に説明する。尚、図14は筐体91を取り外した状態の燃料電池装置100を側面からみた側面図である。発電部90は、セパレータ81を9枚積層してセパレータ81の間に発電体96を挟みこんで形成されるスタック構造を有し、発電セルを8個直列に接続した構造を有する。発電部90は、燃料電池装置100の底部とされる基台98の上に配設された基台95の上に配置される。基台96の底面から発電部90の最上部に配設される板状部の表面までの高さT4は、38.62mmとされる。また、基台96の底面から発電部90の中央部に積層されるセパレータ81の厚み方向の中央までの高さT5は21.78mmとされ、基台96の底面から発電部90の側面側に配設される冷却ファン92、空気供給ファン93,94の中央までの高さと略一致する。基台95、板状部97、積層されたセパレータ81及び発電体96の厚みを合わせた発電体90の高さT6は、33.62mmである。冷却ファン92の高さは、発電部90の最上部に配設された放熱部84と最下部に配設された放熱部84との間の高さと略一致し、放熱部84全体に冷却用の空気を供給することができる。空気供給ファン93,94の高さは、発電部90の最上部の溝82と最下部の溝82との間の高さと略一致し、溝82に全体に酸素を含む空気を十分に供給することができる。
【0094】
以上説明したように、本発明にかかる燃料電池はかかる燃料電池を駆動するための各種機器をコンパクトに収納することができ、ノート型パソコン、携帯電話及びPDAの如き携帯型電子機器を駆動するための電力を供給する電源として好適なものである。また、これら携帯型電子機器に限定されず、本発明の燃料電池1を各種電子機器を駆動するための電源として利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明にかかる燃料電池の構造を示す分解斜視図である。
【図2】本発明にかかる燃料電池を構成する筐体の構造を示す構造図であって、(a)は側面図、(b)は他の側面を示す側面図、(c)は端面図、(d)は他の端面を示す端面図である。
【図3】本発明にかかる燃料電池を構成する発電部の概観を示す斜視図である。
【図4】本発明にかかる燃料電池を構成する発電部の一部を示す分解斜視図である。
【図5】本発明にかかる燃料電池を構成するセパレータの構造を示す構造図であって、(a)はセパレータの表面側の構造を示す平面図、(b)は裏面側の構造を示す平面図である。
【図6】本発明にかかる燃料電池に好適なセパレータの別の例の構造を示す構造図であり、(a)はセパレータの断面図、(b)はかかるセパレータの端部の断面構造を示す要部断面図である。
【図7】本発明にかかる燃料電池に好適なセパレータの別の例の構造を示す構造図であり、(a)は上側板状部の平面図、(b)は下側板状部に伝熱部がはめ込まれた状態を示す平面図、(c)は下側板状部を裏面側からみた平面図である。
【図8】本発明にかかる燃料電池の構造を示す平面図である。
【図9】本発明にかかる燃料電池における発電部の温度及び発電部に残留する水分量を制御する制御方法を説明するための図である。
【図10】本実施形態にかかるセパレータの具体的な構造を示す図であり、セパレータを表面側からみた構造を示す平面図である。
【図11】本実施形態にかかるセパレータの具体的な構造を示す図であり、セパレータの側面側からみた構造を示す側面図である。
【図12】本実施形態にかかるセパレータの具体的な構造を示す図であり、セパレータを裏面側からみた構造を示す平面図である。
【図13】本実施形態にかかる燃料電池装置の具体的な構造を示す平面図である。
【図14】本実施形態にかかる燃料電池装置の具体的な構造を示す側面図である。
【符号の説明】
【0096】
1 燃料電池、10 筐体、11,12,13 排気口、14,15 吸気口、16,18 接続孔、20 制御基板、30 発電部、31 セパレータ、32 接合体、33,75 放熱フィン、34,40 開口部、35,74 封止部材、36 固体高分子電解質膜、37 電極、38,43,78,79 流路、39 側面、41 排出孔、42 供給孔、45,46 接続部、51 冷却ファン、52,53 空気供給ファン、54 水素パージバルブ、55 レギュレータ、56 手動バルブ、60 水素吸蔵カートリッジ、61,63,64 温度センサ、62,65 湿度センサ、72 伝熱部
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池及びこれを搭載した電子機器に関する。さらに詳しくは、燃料電池による発電を安定して行うための各種機器をコンパクトに収納した燃料電池及びこれを搭載した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、例えば水素ガスの如き燃料と空気に含まれる酸素の如き酸化剤を電気化学的に反応させることにより発電を行う発電素子である。燃料電池は、発電により生成される生成物が水であることから環境を汚染することがない発電素子として近年注目されており、例えば自動車を駆動するための駆動電源として使用する試みも行われている。
【0003】
さらに、上述の自動車駆動用の駆動電源に止まらず、例えばノート型パソコン、携帯電話及びPDAなどの携帯型電子機器の駆動電源としての燃料電池の開発も活発に行われている。このような燃料電池においては、所要の電力を安定して出力できると共に携帯可能なサイズ及び重量とされることが重要となり、各種技術開発が盛んに行われている。
【0004】
また、燃料電池は発電セル(単位セル)を複数結合させることにより、出力される電力量を高めることが可能であり、例えば固体高分子電解質膜の両面に電極を形成してなる接合体をセパレータで挟みこんで発電セルを形成し、これら発電セルが積層されたスタック構造を有する燃料電池も開発されている。
【0005】
なお、以上の説明に関連するものとして、以下の先行技術文献が挙げられる(特許文献1〜8)。
【特許文献1】特開平9−312165号公報
【特許文献2】特開2002−231292号公報
【特許文献3】特開平10−162842号公報
【特許文献4】特開2000−251908号公報
【特許文献5】国際公開第01/13441号パンフレット
【特許文献6】特開2002−313381号公報
【特許文献7】特開2001−256988号公報
【特許文献8】特開平10−64567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述の如き燃料電池によって発電を行う際には、固体高分子電解質膜にプロトンを伝導させることが必要となり、固体高分子電解質膜が適度に吸湿していることが重要となる。
【0007】
しかしながら、燃料電池における発電反応は発熱反応であり、発電反応が活発に行われる部分は高温となり易い。このため、固体高分子電解質膜に含まれる水分量が燃料電池の駆動と共に減少し、燃料電池における安定した発電に支障をきたす場合がある。
【0008】
一方、発電を行う際には電気化学的な反応によって水が生成されることになるが、セパレータに形成された燃料ガスの流路に水が蓄積された場合、水によって流路が閉塞され燃料ガスが円滑に流路内を流動しない不具合が生じる。流路内で燃料ガスが円滑に流動しない場合には、燃料ガスを接合体の面内に十分に供給することが困難となり、燃料電池による発電を十分に行うことができない問題点が生じることになる。
【0009】
上述した2つの問題点は、燃料電池による発電の際にかかる燃料電池の温度上昇の抑制と燃料電池に含まれる水分量の制御を両立させることが困難であることを示しており、これら問題点を同時に解決することができる技術が求められている。特に、スタック構造を有する燃料電池では、複数のセパレータに形成された流路に円滑に燃料ガスを流動させると共に燃料電池を構成する接合体を適度に吸湿させた状態とするようにかかる燃料電池の外部から酸素を含む空気を取り込み、所要の電力を安定して出力することができる技術が求められている。
【0010】
また、携帯可能な電子機器を駆動させるために燃料電池を用いる場合には、かかる燃料電池も携帯可能であることが望ましく、安定して発電を行うことができると共に小型化された燃料電池も求められている。
【0011】
よって、本発明は上述したこれら問題点に鑑みてなされたものであり、安定した発電を行うことができると共に燃料電池を駆動するための各種機器をコンパクトに収納した燃料電池及びこれを搭載した電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明にかかる燃料電池は、少なくとも酸素を含む酸化剤ガスの流路が設けられた発電部と、発電部に接続され発電部から熱を放熱する放熱部と、流路において酸化剤ガスを流動させるガス流動手段と、ガス流動手段と互いに独立して駆動され放熱部を冷却する冷却手段とを有することを特徴とする。このような燃料電池によれば、ガス流動手段と冷却手段とを独立して駆動させることにより発電部の温度上昇の抑制と発電部に含まれる水分量の制御とを精度良く行うことができ、発電部に安定した発電を行わせることが可能となる。
【0013】
このような燃料電池において、発電部は、イオン伝導性を有する伝導体と伝導体を挟んで対峙する電極とを備える接合体と、接合体を挟装するセパレータとを有することを特徴とする。伝導体に水分を十分吸湿させることにより発電の際の発電反応を支障なく行うことができると共に小型且つ高出力を有する燃料電池を形成することが可能となる。
【0014】
さらに、このような燃料電池においては、伝導体はプロトン伝導体であることを特徴とする。
【0015】
さらに、このような燃料電池においては、セパレータは、セパレータの内部から放熱部に延在する伝熱部を有することを特徴とする。このような伝熱部によれば発電反応により発生した熱を発電部から放熱部に速やかに伝播させることができ、発電部の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0016】
また、このような燃料電池においては、セパレータは、流路から水を吸水して除去するための吸水手段を有することを特徴とする。このような吸水手段によれば、酸化剤ガスを流動させる流路に蓄積された水を吸い出すことができ、かかる流路に円滑に酸化剤ガスを流すことが可能となる。
【0017】
さらにまた、このような燃料電池においては、発電部は、接合体とセパレータとが積層されてなるスタック構造を有することを特徴とする。スタック構造が形成されていることにより発電部の出力電力を高め所要の電力を出力することができる。
【0018】
さらに、このような燃料電池においては、セパレータは、セパレータが接合体と接する面内に燃料を供給するための面内流路を有することを特徴とする。面内流路により燃料が接合体の略全面に供給され、発電を効率良く行うことが可能となる。
【0019】
さらにまた、このような燃料電池においては、セパレータは、面内流路に燃料を供給するための供給孔及び面内流路から燃料を排出する排出孔を有することを特徴とする。このような供給孔によれば燃料をセパレータに供給すると共に発電反応後の燃料をかかる面内流路から排出することができる。
【0020】
さらに、このような燃料電池においては、隣接する各セパレータ間において供給孔が互いに接続されて各セパレータに燃料を供給するための供給路が形成されると共に、排出孔が互いに接続されて各セパレータから燃料ガスを排出する排出路が形成されることを特徴とする。接合体とセパレータとを積層されたスタック構造においては、供給路を介して発電体に一括して燃料ガスを供給することができると共に、排出路を介して発電反応後の燃料ガスを排出することができる。
【0021】
さらにまた、このような燃料電池においては、面内流路が供給路に接続される接続部の断面積は、面内流路の断面積に比べて小さいことを特徴とする。このような接続部によれば、面内流路から燃料を排出する際に面内流路に蓄積された水を排出することが可能となる。
【0022】
また、このような燃料電池においては、面内流路が排出路に接続される接続部の断面積は、面内流路の断面積に比べて小さいことを特徴とする。このような接続部によれば、面内流路から燃料を排出する際に面内流路に蓄積された水を排出することが可能となる。
【0023】
また、このような燃料電池においては、面内流路が供給路に接続される接続部の断面積は、面内流路が排出路に接続される接続部の断面積に比べて小さいことを特徴とする。このような接続部によれば、面内流路から燃料を排出する際に面内流路に蓄積された水を排出することが可能となる。
【0024】
さらに、このような燃料電池においては、水が蓄積された面内流路において水に対する供給路側と排出路側との間に圧力差を生じさせることによりかかる水を面内流路から排出する水排出手段を有することを特徴とする。このような水排出手段によれば、面内流路に蓄積された水が圧力差によって面内流路から排出されて面内流路に円滑に燃料を流動させることができる。
【0025】
このような燃料電池において、水排出手段は排出路の一部を大気開放することにより圧力差を生じさせて水を面内流路から排出することを特徴とする。このような水排出手段によれば、排出路を大気開放することにより瞬間的に面内流路内に圧力差が生じ、この圧力差によって面内流路から水を排出することが可能となる。
【0026】
また、本発明にかかる燃料電池においては、冷却手段は、少なくとも放熱部の近傍に滞留するガスを流動させることにより放熱部から熱を放熱させることを特徴とする。流動されたガスが順次放熱部から熱を放熱させることにより、発電部の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0027】
また、本発明にかかる燃料電池においては、ガス流動手段及び冷却手段の駆動を制御するための環境条件を検知する検知手段を有することを特徴する。環境条件に応じてガス流動手段及び冷却手段が駆動されることにより安定して発電が行われるような条件で発電部を駆動することが可能となる。
【0028】
さらに、このような燃料電池においては、検知手段は、環境条件として少なくとも温度及び/又は湿度を検知することを特徴とする。温度及び/又は湿度を検知することにより、発電部の温度及び発電部に残留する水分量を算出し、好適な条件下で発電を行うことができる。
【0029】
また、このような燃料電池においては、検知手段は、発電部に供給される酸化剤ガスの温度及び湿度、発電部から排出される酸化剤ガスの温度及び湿度、及び発電部の温度を検知可能な位置に配設されることを特徴とする。燃料電池のこれら各箇所で温度及び/又は湿度を検知することにより発電部に残留する水分量を精度良く算出することが可能となる。
【0030】
さらにまた、このような燃料電池においては、環境条件に基づいて少なくともガス流動手段及び冷却手段の駆動を制御する制御回路を搭載した制御基板を有することを特徴とする。このような制御回路によれば、ガス流動手段及び冷却手段の駆動を制御し好適な条件下で発電部に発電を行わせることができる。
【0031】
また、このような燃料電池においては、環境条件と発電部により発電された電力量とに基づいて算出された発電部に含まれる水分量に応じてガス流動手段及び冷却手段の駆動が制御されることを特徴とする。このようにして駆動が制御されるガス流動手段及び冷却手段によれば、発電部に残留する水分量を好適な条件とすることができ、安定した発電を行うことが可能となる。
【0032】
また、本発明にかかる燃料電池においては、発電部を駆動する際に、酸化剤ガスと反応させるための燃料を燃料貯蔵部から発電部に供給する燃料供給手段を有することを特徴とする。このような燃料供給手段によれば、発電部に対して別途設けられた燃料ガス貯蔵部から燃料を発電部に供給することができる。
【0033】
また、本発明にかかる燃料電池においては、発電部に供給される燃料ガスの圧力を制御する圧力制御手段を有することを特徴とする。燃料の圧力を制御しながら供給することにより発電部は安定した発電を行うことが可能となる。
【0034】
本発明にかかる燃料電池は、側面に少なくとも酸素を含む酸化剤ガスの流路の開口部が設けられた発電部と、発電部に接続され発電部から熱を放熱する放熱部とを備え、流路において酸化剤ガスを流動させるガス流動手段が発電部の側面に沿って配設され、放熱部を冷却する冷却手段が側面に沿ってガス流動手段と隣接するように配設されていることを特徴とする。このような燃料電池によれば、かかる燃料電池に収納される各機器をコンパクトに配置することができると共に酸化剤ガスを効率良く流動させることができ、小型で且つ所要の発電を安定して行うことができる。
【0035】
このような燃料電池において、かかる燃料電池は少なくとも発電部、放熱部、ガス流動手段、及び冷却手段を覆う筐体を有することを特徴とする。このような筐体によれば、燃料電池に配設される各種機器を外部から保護することができると共にかかる燃料電池内で空気の流動を制御することが可能となる。
【0036】
また、このような燃料電池において、ガス流動手段は、開口部から酸化剤ガスを吸気すると共に筐体に設けられた第1の排気口から酸化剤ガスを排出することにより流路において酸化剤ガスを流動させることを特徴とする。このようなガス流動手段によれば、燃料電池内で酸化剤ガスを効率良く流動させることができ、発電を安定して行うことが可能となる。
【0037】
さらに、このような燃料電池において、ガス流動手段は、筐体に設けられた第1の吸気口から酸化剤ガスを燃料電池内に吸気することにより冷却手段による酸化剤ガスの流動と独立した酸化剤ガスの流れを形成することを特徴とする。このような第1の吸気口から酸化剤ガスを吸気することにより、冷却手段により流動される酸化剤ガスの流れと別に酸化剤ガスを流動させることができる。
【0038】
さらにまた、このような燃料電池において、第1の吸気口は第1の排気口と対面する位置に設けられると共にガス流動手段が第1の吸気口と第1の排気口との間に配設されることを特徴とする。このような位置に配設される第1の吸気口、第1の排気口及びガス流動手段によれば、発電部に供給される酸化剤ガスの流れと冷却のための酸化剤ガスの流れとを別の流れとすることができる。
【0039】
また、本発明にかかる燃料電池において、冷却手段は、筐体に設けられた第2の排気口から酸化剤ガスを排気することにより放熱部の近傍において酸化剤ガスを流動させることを特徴とする。このような冷却手段によれば、流動された酸化剤ガスが順次放熱部から熱を放熱させることにより、発電部の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0040】
このような燃料電池においては、冷却手段は、筐体に設けられた第2の吸気口から酸化剤ガスを燃料電池内に吸気することを特徴とする。このような冷却手段によれば、ガス流動手段によって流動される酸化剤ガスの流れとは別の流れを形成することができる。
【0041】
さらに、このような燃料電池においては、第2の吸気口は、第2の排気口と対面する位置に設けられると共に冷却手段が第2の吸気口と第2の排気口との間に配設されることを特徴とする。このように第2の吸気口、第2の排気口及び冷却手段が配置されることにより放熱部から熱を放熱させるために酸化剤ガスを円滑に流動させることが可能となる。
【0042】
本発明にかかる燃料電池においては、開口部は、酸化剤ガスの流路の奥行き方向に沿って狭くなるテーパ形状とされることを特徴とする。このような開口部によれば、酸化剤ガスをかかる酸化剤ガスの流路に流動させる際に流路抵抗を低減することができ、円滑に酸化剤ガスを流動させることが可能となる。
【0043】
このような燃料電池においては、開口部の開口幅は、酸化剤ガスの流路の流路幅に比べて大きいことを特徴とする。このような開口幅によれば、酸化剤ガスの流路に流動させる際に流路抵抗を低減することができる。
【0044】
さらに、このような燃料電池においては、開口幅は、流路幅と比べて横方向及び/又は縦方向について幅広とされることを特徴とする。このような開口幅を有する開口部によれば、さらに流路抵抗を低減することが可能となる。
【0045】
また、本発明にかかる燃料電池においては、ガス流動手段及び冷却手段の駆動を制御するための環境条件を検知する検知手段を有することを特徴とする。環境条件に応じてガス流動手段及び冷却手段が駆動されることにより安定して発電を行うことができる。
【0046】
さらに、このような燃料電池において、検知手段は、環境条件として少なくとも温度及び/又は湿度を検知することを特徴とする。温度及び/又は湿度を検知することにより、発電部の温度及び発電部に含まれる水分量を算出し、好適な条件下で発電を行うことができる。
【0047】
さらにまた、このような燃料電池において、検知手段は、発電部に供給される酸化剤ガスの温度及び湿度、発電部から排出される酸化剤ガスの温度及び湿度、並びに発電部の温度を検知可能な位置にそれぞれ配設されることを特徴とする。このような各位置にて温度及び/又は湿度を検知することにより発電部に残留する水分量を精度良く算出することが可能となる。
【0048】
また、このような燃料電池においては、環境条件に基づいて少なくともガス流動手段及び冷却手段の駆動を制御する制御回路を搭載した制御基板が配設されていることを特徴とする。このような制御基板によれば、ガス流動手段及び冷却手段を制御することができる。
【0049】
本発明にかかる燃料電池においては、酸化剤ガスと反応させるために発電部に供給される燃料ガスの流路から水を排出する水排出手段が発電部の端面に沿って配設されることを特徴とする。このように配置される水排出手段によれば、燃料電池内に蓄積された過剰な水を排出することができると共にかかる燃料電池内の空間を効率良く用いることが可能となる。
【0050】
また、本発明にかかる燃料電池においては、発電部を駆動する際に燃料ガスを燃料ガス貯蔵部から発電部に供給する燃料ガス供給手段が発電部の端面に沿って配設されることを特徴とする。このような燃料ガス供給手段によれば、発電部に対して別途設けられた燃料ガス貯蔵部から燃料ガスを発電部に供給することができると共にかかる燃料電池内の空間を効率良く用いることが可能となる。
【0051】
本発明にかかる電子機器は、少なくとも酸素を含む酸化剤ガスの流路が設けられた発電部と、発電部に接続され発電部から熱を放熱する放熱部と、流路において酸化剤ガスを流動させるガス流動手段と、ガス流動手段と互いに独立して駆動され放熱部を冷却する冷却手段とを有する燃料電池を備え、燃料電池から電力を供給されることにより駆動されることを特徴とする。このような電子機器によれば、かかる電子機器を安定して駆動させることが可能となる。
【0052】
また、本発明にかかる電子機器は、側面に少なくとも酸素を含む酸化剤ガスの流路の開口部が設けられた発電部と、発電部に接続され発電部から熱を放熱する放熱部と有し、流路において酸化剤ガスを流動させるガス流動手段が発電部の側面に沿って配設され、放熱部を冷却する冷却手段が側面に沿ってガス流動手段と隣接するように配設されている燃料電池を備え、燃料電池から電力を供給されることにより駆動されることを特徴とする。このような電子機器によれば、かかる電子機器を安定して駆動させることができると共に携帯可能な電子機器を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0053】
本発明にかかる燃料電池によれば、発電部の温度上昇の抑制とかかる発電部に残留する水分量の制御を行うことにより、ドライアップの如き発電の際の不具合を生じさせることなく安定した発電を行うことができる。さらに、発電部の温度制御と発電部に残留する水分量の制御とを独立して精度良く行うことができ、信頼性の高い燃料電池を提供することができる。また、このような燃料電池によれば、発電を行うための各種機器を燃料電池にコンパクトに収納することが可能であり、かかる燃料電池を小型化することができる。
【0054】
さらに、本発明にかかる電子機器によれば、携帯可能なサイズとされた燃料電池を搭載することにより携帯型電子機器においても燃料電池による駆動を行うことができ、所要の電子機器に燃料電池を搭載することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下本実施形態の燃料電池及び電子機器について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0056】
図1に示すように、燃料電池1は、筐体10、制御基板20、発電部30、冷却ファン51、空気供給ファン52,53、水素パージバルブ54、レギュレータ55及び手動バルブ56を備える。また、燃料電池1は、水素ガスを吸蔵させた水素吸蔵カートリッジ60から供給される水素ガスを受け取り、発電を行う。
【0057】
図1及び図2に示すように、筐体10は略直方体形状の外形を有し、燃料電池1に搭載される各種機器を覆うように内部が空洞とされると共に底面が開放されている。筐体10は排気口11,12及び13、吸気口14,15を備え、筐体10の上面の端部は排気口11,12,13が形成された側面に向かう傾斜面とされる。図2(a)によれば、排気口11と排気口12,13とは筐体10の一の側面に隣接するように形成され、発電部30を冷却するために燃料電池1内で流動された空気と発電部30による発電反応後の空気とが排気口11と排気口12,13とからそれぞれ排出される。排気口11は、後述する放熱フィン33から熱を放熱させるための空気が燃料電池1から排出されるための空気の出口である。さらに、排気口11は、筐体10の側面に略矩形状に開口し、上下方向に複数形成されている。また、排気口12、13は発電部30が発電を行う際にかかる発電部30に供給された空気が排出されるための出口とされ、筐体10の側面に矩形状に開口し、排気口11に沿って上下方向に複数形成されている。また、排気口11,12,13は筐体10の側面の上下方向に沿って順次長手方向の寸法が短くなるように形成されている。
【0058】
さらに、図2(b)によれば、吸気口14,15は、筐体10の排気口11及び排気口12,13が形成された筐体10の側面と対面する側面に形成され、吸気口14,15から発電部30を冷却するための空気と発電部30による発電反応に供される酸素を含む空気とがそれぞれ燃料電池1内に取り込まれる。吸気口14は、後述する放熱フィン33から熱を放熱させるための空気が燃料電池1に取り込まれるための空気の取り込み口であり、筐体10の側面に略矩形状に開口し、上下方向に複数形成されている。また、吸気口15は、発電部30が発電を行う際にかかる発電部30に供給される空気が取り込まれるための取り込み口とされ、同じく筐体10の側面に略矩形状に開口し、吸気口14に沿って上下方向に複数形成されている。
【0059】
さらに、図1、図2(c)及び(d)に示すように、筐体10の一の端面には燃料電池1と外部との間で各種信号を送受信するための配線が通される接続孔16を形成することができる。さらに、他の端面にも所要の接続孔18を形成することもできる。
【0060】
また、図1に示すように、制御基板20には燃料電池1を構成する各種機器を制御するための制御回路が形成され、かかる制御基板20は発電部30の上側に配設される。制御回路の詳細については図中において詳細に示さないが、例えば冷却ファン51、空気供給ファン52,53の駆動の制御、或いは水素パージバルブ54の開閉動作の制御回路、発電部30により出力される電圧を昇圧するDC/DCコンバータの如き電圧変換回路、さらに後述するセンサにて検知された温度や湿度などの各種環境条件を取得することにより各種機器の駆動に関する指示を制御基板20に実装された回路に行わせることもできる。また、本例の燃料電池1においては燃料電池1内に制御基板20が配設されるが、燃料電池1の外部に配設去れていても良く、例えば、燃料電池1から駆動用の電力が提供される各種電子機器が制御基板20を備えることもできる。
【0061】
次に、図1、図3、図4及び図5を参照しながら発電部30について詳細に説明する。図1及び図3に示すように、発電部30は略直方体形状を有し、冷却ファン51、空気供給ファン52,53に臨む側面39に対向する側面の一部が発電部30の上下方向に沿って矩形状に切り欠かれた形状とされ、基台57に配設される。また、発電部30の側面39に沿って、冷却ファン51、空気供給ファン52,53が隣接するように配設されている。このように配設された冷却ファン51は放熱フィン33から熱を放熱させる。また、空気供給ファン52,53は開口部34に臨むように配設されており、かかる開口部34を介して発電部30内で空気を流動させる。
【0062】
また、本例の発電部30は9枚のセパレータ31の間にそれぞれ接合体32が挟みこまれ、発電を行う発電セルが8個直列に接続された構造を有している。かかる発電セルは1素子で約0.6Vの電圧を出力することができるため、発電部30の全体では4.8Vの電圧を出力することが可能である。また、発電部30は約2Aの電流を流すことが可能であり出力される電力は理想的には9.6Wとなるが、発電反応における発熱などによって実際の出力電力は理想的な出力電力の約7割である約6.7Wとされる。しかしながら、後述するように接合体32に含まれる水分量の調整や発電部30への水素ガスの円滑な供給によりさらに出力電力を高めることができる。また、発電部30を形成する発電セルは本例のように8素子に限定するものではなく、各種電子機器を駆動するために必要とされる出力電力に合わせて所要の数の発電セルにより発電部30を形成することもできる。発電部30の側面39には各セパレータ31に形成された開口部34が臨み、後述するように発電部30の側面39の反対側の側面にも各開口部34に対応するように開口部40が形成されている。開口部34と、開口部34が臨む側面39と反対側の側面に臨む開口部40により、発電部30に対する酸素を含む空気の給排気が行われる。
【0063】
続いて、図4及び図5を参照しながら発電部30についてさらに詳細に説明する。図4に示すように、セパレータ31により挟み込まれる接合体32は、吸湿した際にイオン伝導性を有する固体高分子電解質膜36及びかかる固体高分子電解質膜36を両面から挟み込む電極37から形成される。さらに、スタック構造を形成した際にセパレータ31と接合体32との間を封止する封止部材35が接合体32の周縁付近に配置されている。封止部材35は、セパレータ31の周縁部と接合体32の周縁部とを十分に絶縁することができる材質を用いれば良い。固体高分子電解質膜36としては、例えばスルホン酸系の固体高分子電解質膜を用いることができる。電極37は、発電反応を促進するための白金の如き触媒が担持された電極を用いることもできる。発電部30を構成する発電セルは2枚のセパレータ31とかかるセパレータ31に挟み込まれる接合体32によって形成され、例えば、図4には直列に接続される2つの発電セル50が示されている。
【0064】
さらに、図4及び図5に示すように、発電部30を構成するセパレータ31は、流路43、セパレータ31の流路43が形成された面の裏面側に形成された流路38、流路43に接続された供給孔42及び排出孔41、流路43と供給孔42を接続する接続部45、流路43と排出孔41とを接続する接続部46、さらに放熱フィン33を備える。
【0065】
図5(a)に示すように、流路43は、燃料ガスとされる水素ガスをセパレータ31の面内に流すための面内流路とされる。流路43は発電反応の効率を高めるためにセパレータ31の表面内を蛇行するように形成されており、水素ガスが電極37全体に供給されるような形状とされる。供給孔42は、発電部30の外部に設けられた水素吸蔵カートリッジ60の如き水素ガス貯蔵部から流路43に水素ガスを供給する際の水素ガスの流路とされる。接続部45は流路43と供給孔42とを接続し、流路43に水素ガスを供給する。また、接続部46は流路43と排出孔41とを接続し、流路43から発電反応後の水素ガスを排出する。本例のセパレータ31においては、接続部45,46の断面積は各セパレータ31と接合体32とによりスタック構造を形成した際の流路43の断面積より小さくなるように形成され、例えば接続部45,46の幅が流路43の幅より狭くなるように形成される。さらに、接続部45の幅を接続部46の幅より狭くなるように形成し、流路43への水素ガスの入口側の幅を出口側の幅より狭くしておく。
【0066】
また、供給孔42及び排出孔41は、スタック構造を形成した際に積層される各セパレータ31の間で接続され、水素ガスを各セパレータ31に供給する供給路と発電後の水素ガスを排出するための排出路を形成する。流路43に水が蓄積された際には、かかる排出路を後述する水素パージバルブ54により大気開放することにより流路43に蓄積された水の供給路側と排出路側とに圧力差を生じさせ、かかる圧力差によって水を排出することができる。さらに、スタック構造を形成した際の任意のセパレータ31の流路43に水が蓄積された場合でも、水が蓄積された流路43内にのみ瞬間的に圧力差を生じさせることが可能であり、水を排出し発電部30に安定して水素ガスを供給することができる。
【0067】
さらに、図5(b)に示すように、流路38はセパレータ31の流路43が形成された面の裏面側に形成され、かかる流路38に酸素を含む空気を流すための流路とされる。流路38は、セパレータ31の幅方向に延在するように形成されてセパレータ31の側縁部に開口し、セパレータの長手方向に沿って複数形成されている。また、流路38がセパレータ31の端部にそれぞれ開口する開口部34,40を介して酸素を含む空気が流路38に給排気される。本例のように開口部34,40の幅は流路38の幅より大きめとされ、さらに、流路38の幅を開口部34,40から流路38の奥行き方向に沿って狭めたテーパー形状とすることにより流路38への空気の取りこみ又は流路38から空気を排出する際にこれら空気が円滑に流れるように空気の流路抵抗を低減することができる。また、開口部34,40の高さ方向に関する開口幅も流路38より大きめとし、かかる開口幅を開口部34,40の縦方向及び横方向について流路38の奥行き方向に沿って狭められたテーパー形状としておくことにより、さらに流路抵抗を低減することが可能となる。また、流路38に吸水性を有する吸水部材を配置し、吸水部材をセパレータ31の外部に引き出しておくことにより流路38に蓄積される水をセパレータ31の外部に吸い出すこともできる。
【0068】
また、燃料電池1においては、図6に示すような構造を有するセパレータ70を用いることもできる。図6(a)はセパレータ70の構造を示す断面図であり、セパレータ70は、上側板状部71、伝熱部72及び下側板状部73を備え、燃料ガスが流路から漏れないように上側板状部71と下側板状部73との間に封止部材74が挟み込まれて形成される。また、封止部材74を上側板上部71や下側板状部73を構成する材質に比べて熱伝導性の高い材質で形成することにより、セパレータ70からの放熱効果を高めることもできる。このよう封止部材74としては、熱伝導率が高い部材が樹脂中に埋め込まれた封止部材が好適であり、例えば、コ・サーム(太陽金網社製商品名)の如き封止部材を用いることができる。
【0069】
伝熱部72は放熱フィン75まで延在するように形成され、セパレータ70から発電時の熱を放熱する。さらに伝熱部72は、上側板状部71や下側板状部73を形成する材質の熱伝導率に比べて高い熱伝導率を有する材質により形成され、セパレータ70の放熱特性を高めることができる。伝熱部72を形成する材質としては、例えば熱伝導率が比較的高い金属である銅を用いることができる。さらに、耐腐食性が高められた無酸素銅や表面処理がされて耐腐食性が高められた銅板を用いても良い。下側板状部73には、図中垂直方向に延在する流路79が形成されており、酸素を含む空気が流動される際の流路とされる。また、図6(b)に示すように、セパレータ70の端部では上側板状部71と下側板状部73との間に封止部材74が挟まれて伝熱部72が外部から封止され、発電反応による伝熱部72の劣化が抑制される。
【0070】
図7は、セパレータ70を構成する上側板状部71、伝熱部72及び下側板状部73の平面図である。図7(a)に示すように、上側板状部71には、水素ガスを流動させるための流路78が形成されている。流路78は面内全体に水素ガスを流動させるように面内で蛇行するような形状に形成される。また、上側板状部71は、流路78に水素ガスを供給する供給孔77aと発電反応後の水素ガスを排出するための排出孔76aが形成されている。また、図7(b)に示すように、伝熱部72は略板状とされて、下側板状部73に嵌め込まれている。伝熱部72は、放熱フィン75まで延在され、セパレータ70から熱を放熱する。さらに、下側板状部73の端部には伝熱部72を外部と隔絶するように封止部材74が配置され、かかる下側板状部73と上側板状部71とにより伝熱部72が挟み込まれて一体のセパレータ70が形成される。また、下側板状部73には、封止部材74には供給孔77a及び排出孔76aと位置合わせされた供給孔77b及び排出孔76bが形成されている。さらに、下側板状部73にも供給孔77a,77b及び排出孔76a,76bに合わせて孔部を形成しておくことにより、セパレータ70を組み上げた際に一体とされる供給孔及び排出孔を形成することができる。さらに、図7(c)に示すように、下側板状部73の裏面側には酸素を含む空気を流動させる流路79が形成されると共に水素ガスを流路78に供給する供給孔77cと水素ガスを排出する排出孔76cが形成されている。
【0071】
次に、図8を参照しながら本例の燃料電池1により給排気される空気の流れについて詳細に説明する。図8に示すように、燃料電池1は、すでに説明したように発電部30の開口部34が臨む側面39に沿って隣接するように配設された冷却ファン51、空気供給ファン52,53を有す。さらに、冷却ファン51によりかかる燃料電池1の外部から取りこまれる空気の温度を検知する温度センサ64及び湿度を検知する湿度センサ65、空気供給ファン52,53により発電部30から排出される空気の温度を検知する温度センサ61及び湿度を検知する湿度センサ62を有する。また、発電部30は、かかる発電部30の温度を検知するための温度センサ63を有する。
【0072】
冷却ファン51は、図中矢印で示すように吸気口14から取り込まれた空気を吸気口14から排気口11まで流動させ、燃料電池1の外部に排出する。冷却ファン51が吸気口14と排気口11との間に配設されると共に、冷却ファン51と吸気口14との間に配置された放熱フィン33は冷却ファン51により流動される空気によって熱を放熱する。また、放熱フィン33の近傍に限定されず、燃料電池1内全体にて空気を流動させることにより発電部30を冷却することもできる。
【0073】
空気供給ファン52,53は、吸気口15、発電部30及び排気口12,13に空気を流動させる。空気供給ファン52,53は、吸気口15から取り込まれる酸素を含む空気を発電部30に流すと共に発電部30における発電反応後に排出される空気を排気口12,13から燃料電池1の外部に排出する。発電部30は図3乃至図5を参照しながら説明したように流路38及び開口部34,40を備え、空気供給ファン52,53は図中矢印で示すように吸気口15から流路38、排気口12,13に至る空気の流れを形成する。また、冷却ファン51によって形成される空気の流れと空気供給ファン52,53とにより形成される空気の流れは互いに独立した空気の流れとすることができる。よって、冷却ファン51と空気供給ファン52,53とを独立して駆動することにより発電部30の冷却と発電部30への空気の供給及び排出とを独立して行うことが可能となる。また、本例の燃料電池1における冷却ファン51、及び空気供給ファン52,53の配置に限定されず、空気を給排気するために複数の発電部の側面に形成された開口部に臨むようにこれら冷却ファン51及び空気供給ファン52,53を配設し、複数の発電部に対して一括して空気の給排気を行うことも可能である。さらに、冷却ファン51及び空気供給ファン52,53を逆回転させ、空気を逆向きに流動させることもできる。
【0074】
温度センサ61,64,湿度センサ62,65及び温度センサ63は、それぞれ吸気口14から取りこまれる空気の温度及び湿度、排気口12,13から排出される空気の温度及び湿度、並びに発電部30の温度を検知する。温度センサ63は発電部30の略中央部付近に配設され、発電部30が発電を行う際のかかる発電部30の温度を検知する。温度センサ64及び湿度センサ65は吸気口14に近傍で吸気口14から取り込まれる空気の流路を阻害しないように配設される。また、温度センサ61及び湿度センサ62は、空気供給ファン52及び53に臨む発電部30の空気の出口側で空気の流動を阻害しないように配設される。温度センサ63により検知された発電部30の温度に関するデータに基づいて冷却ファン51の駆動の制御が行われ、発電部30は好適な温度条件で駆動される。また、燃料電池1は、温度や湿度に限定されず給排気される空気の圧力を検知する圧力センサを備えることもできる。
【0075】
さらに、温度センサ64と湿度センサ65により検知された温度及び湿度に基づいて吸気口14から取りこまれた空気の相対湿度が算出されると共に、温度センサ61と湿度センサ62により検知された温度及び湿度に基づいて排気口12,13から排出される空気の相対湿度が算出される。このように吸気口15から取りこまれた空気の相対湿度と排気口12,13から排気された空気の相対湿度との差をとることにより、かかる燃料電池1から排出される水分量を算出することが可能となる。また、これら温度センサ61,64及び湿度センサ62,65は空気の流動を阻害しないように配設されるため、発電部30による発電を支障なく行うこともできる。
【0076】
さらにまた、発電部30による発電された出力電力に基づいて発電反応により生成された水分量が算出できる。よって、燃料電池1から排出された水分量と発電反応により生成された水分量との差をとることにより発電部30に残留する水分量を算出することが可能となる。すでに説明したように、発電部30を構成する接合体32を適度に保湿された状態とすることにより安定した発電反応を行うことができることから、発電部30に残留する水分量に関するデータに基づいて空気供給給ファン52,53を駆動し、安定した発電を行うことが可能となる。例えば、発電部30に残留する水分量が過剰な場合には、空気供給ファン52,53の回転数を上げることにより過剰な水分をかかる発電部30から空気と共に排出することができる。また、発電部30の温度を制御するための冷却ファン51と発電部30に残留する水分量を制御する空気供給ファン52,53とを独立して駆動させることができるだけでなく、冷却ファン51による空気の流れと空気供給ファン52,53による空気の流れを独立させることができるため、発電部30に残留する水分量の制御及び発電部30の温度上昇の抑制とを精度良く行うことが可能となる。
【0077】
さらに、図9を参照しながら発電部30の温度及びかかる発電部30に残留する水分量の制御について具体的に説明する。図中横軸は、発電部30の温度であり、縦軸は発電部30に残留する水分量である。冷却ファン51と空気供給ファン52,53との駆動を制御することにより、発電の際に刻々と変化する発電部30の温度及び残留水分量が図中中央付近の安定領域になるように調整される。
【0078】
例えば、図中Aで示される環境条件は、安定領域の環境条件に対して発電部30の温度が高く且つ発電部30における残留水分量が多い環境条件であり、発電部30の冷却及び残留する水分量の低減が必要とされる。このような場合、空気供給ファン52,53の回転数を上げることにより発電部30に残留する水分量が低減されると共に冷却ファン51の回転数を上げることにより発電部30がさらに冷却され、Aで示される環境条件から安定した発電を行うことができる安定領域に温度及び水分量が調整される。
【0079】
また、図中Bで示される環境条件は、安定条件に対して発電部30の温度が低く且つ発電部30に残留する水分量が多い環境条件とされる。このような場合、空気供給ファン52,53の回転数を上げることにより発電部30に残留する水分量が低減されると共に冷却ファン51の回転数を下げることにより発電部30に対する冷却が抑制され、Bで示される環境条件から安定した発電を行うことができる安定領域に発電部30の温度及び水分量が調整される。
【0080】
図中Cで示される環境条件は、安定条件に対して発電部30の温度が低く且つ発電部30に残留する水分量が少ない環境条件とされる。このような場合、空気供給ファン52,53の回転数を下げることにより発電部30で生成される水の排出を低減すると共冷却ファン51の回転数を下げることにより発電部30に対する冷却が抑制さる。このような空気供給ファン52,53及び冷却ファン51の駆動の制御によりCで示される環境条件から安定した発電を行うことができる安定領域に発電部30の温度及び水分量が調整される。
【0081】
さらに、図中Dで示される環境条件は、安定条件に対して発電部30の温度が高く且つ発電部30に残留する水分量が少ない環境条件とされる。このような場合、空気供給ファン52,53の回転数を下げることにより発電部30で生成される水の排出を低減すると共に冷却ファン51の回転数を上げることにより発電部30をさらに冷却する。このような空気供給ファン52,53及び冷却ファン51の駆動の制御によりDで示される環境条件から安定した発電を行うことができる安定領域に発電部30の温度及び水分量が調整される。
【0082】
このように空気供給ファン52,53及び冷却ファン51を発電部30の温度及び発電部30に残留する水分量に応じて独立して駆動することにより、例えばドライアップの如き発電の際の不具合を生じさせることなく安定した発電を行うことが可能となる。
【0083】
次に、図1、図4及び図5を参照しながら、水素パージバルブ54、レギュレータ55及び手動バルブ56について説明する。図1に示すように、水素パージバルブ54、レギュレータ55及び手動バルブ56は、発電部30の端面に沿って隣接して配設される。本例の燃料電池1においては、発電部30の端面側に各種機器を配置するための領域を確保することが可能であり、燃料電池1を安定して駆動させるための各種機器をコンパクトに収納することが可能である。
【0084】
流路43に蓄積された水を排出する水排出手段とされる水素パージバルブ54は、流路43に接続される排出路を大気開放することにより水が蓄積された流路43から水を排出することができる。流路43が大気開放された際には、流路43に蓄積された水に対する供給路側の水素ガスの圧力と大気開放された排出路側の圧力との間に圧力差が生じ、かかる圧力差によって流路43に蓄積された水が流路43から排出される。このように水素ガスを供給する路側と水素パージバルブ54により大気開放される水の排出路側との間で圧力差を生じさせることにより、発電部30がスタック構造を有する場合でも水が蓄積され水素ガスが流れ難くなっている任意の流路43から水を排出することが可能となり、すべてのセパレータ31の流路43に水素ガスを円滑に流すことができる。また、複数のセパレータ31を有する発電部30に限定されず、単一のセパレータを有する発電部においても同様に水を排出することができる。また、水素パージバルブ54を例えば電磁力を用いた駆動方式により駆動することも可能であり、水素パージバルブ54を駆動させるための電力を発電部30から供給するようにしても良い。
【0085】
また、水素ガスの圧力制御を行う圧力制御手段とされるレギュレータ55は、水素吸蔵カートリッジ60から供給される水素ガスの圧力を所要の圧力になるように調整し、発電部30に送り出す。例えば、水素吸蔵カートリッジ60から供給される水素ガスの圧力が0.8〜1.0MPa程度である場合、レギュレータ55はこれら水素ガスの圧力を0.05〜0.10MPa程度の圧力に減圧し発電部30に供給することができる。
【0086】
さらに水素ガス発電部30に供給するガス供給手段とされる手動バルブ56は、発電部30にて発電を行う際に水素吸蔵カートリッジ60から発電部30に水素ガスを供給するための流路を開放する。これら水素パージバルブ54、レギュレータ55及び手動バルブ56は燃料電池1に安定して発電を行わせるために重要であり、これら機器をコンパクトに燃料電池1に収納することにより燃料電池1全体のサイズを小型化することが可能となる。
【0087】
次に図10乃至図14を参照して、本実施形態の燃料電池装置の具体的な構造について説明する。先ず、図10乃至図12は本例のセパレータ部分についての裏面図、側面図、及び表面図である。
【0088】
図10乃至図12に図示されるように、セパレータ81はその裏面側に酸素用の流路となる溝83が形成され、その表面側に水素用の流路となる溝86が形成されている。なお、セパレータ81は図示しない発電体を挟んで積層する際には、裏面側が表面側に配されることもある。
【0089】
図10に示すように、セパレータ81の酸素供給側面には、当該セパレータ81の幅方向に直線状に延長されている複数の溝83が形成されており、これらの溝83は互いに平行に延長されていることから、セパレータ81の長手方向では溝83と突条部82が交互に位置している。略平板状とされるセパレータ81の長手方向の長さL6は、79.5mmであり、それと直交する方向の幅L8は41mmである。溝83は当該セパレータ81の両端部では幅広となるように開口している。ここで具体的な寸法については、図10において、溝83は平行に延長された中央部分の幅L1は2mmであり、隣接する突条部82の幅L2も2mmである。この溝83は幅広とされた両端部において、テーパー状に開口しており、セパレータ81の厚み方向にも形成されたテーパー部分の開始位置L0は端部から8mmであり、その開始位置L0から2.15°の角度で傾斜するテーパーとなっている。溝83の幅広とされた両端部では、その面内方向では約1mm程度開口幅が広がるように構成されており、溝83の端部での幅L3は3mmであり、隣接する突条部82の幅L4は1mmに先細る形状とされている。この突条部82のテーパー開始位置L9は端部から5.5mmである。なお、中央付近の開口幅L5は螺子孔の影響から2.5mmであり、放熱部84に連続する発電体保持領域の長手方向に幅L10は56.5mm(図11参照)であり、螺子孔間の間隔L7で54.5mmである。
【0090】
次に、図11を示すように、セパレータ81の厚み方向の寸法については、放熱部84の厚みT1は1.3mmであり、溝83、86が形成された発電体保持領域では厚みT2が2.3mmである。
【0091】
図12に示すように、セパレータ81の水素供給側面87には水素供給孔89から水素排出孔88の間に渡って5往復する蛇行するパターンで延長される溝86が形成されており、この蛇行する溝86の深さは0.6mmであって幅L12は1.0mmであり、折り返し部分の曲率半径は0.9mm(内径)、1.9mm(外径)である。水素供給孔89と水素排出孔88との接続部90では溝86ではそれぞれ細いサイズとなっており、これら水素供給孔89と水素排出孔88はセパレータ81の長手方向の端部から2.25mmの位置を中心として幅1.5mmのサイズであり、且つセパレータ81の長手方向の端部からの細い溝の開始位置L17が6mmであることから、約3mmの長さとなっている。この接続部90での溝の幅L11は0.5mmであり、セパレータ81の幅方向の端部からの水素排出孔88側の接続部90の位置L15は中心位置で7.9mmであり、水素供給孔89側の接続部90の位置L16は中心位置で33.1mmである。また、5往復する蛇行するパターンで延長される溝86の、セパレータ81の長手方向の水素供給孔89と水素排出孔88に近い側の端部から折り返し位置L13は7mmである。また、溝86の折り返し部間の長さL14は42mmである。
【0092】
続いて、図13及び図14を参照しながら本例の燃料電池装置の構造についてさらに詳細に説明する。図13は、本例の燃料電池装置100の平面図である。燃料電池装置100は、セパレータ81と発電体とが積層されたスタック構造を有する。図13は、スタック構造を形成する最上部に配される板状部を透視し、発電部90が配される領域にセパレータの表面に形成される溝86が図中破線で示されている。発電部90を形成するセパレータの長手方向の寸法とセパレータから長手方向に延在される放熱部84の長手方向の寸法を合わせた長さL18は78mmであり、セパレータの幅L8は41mmである。放熱部84の端部は図中直線状とされるが、各種配線を通すための切り欠き部が形成されていても良い。また、燃料電池装置100を構成し、発電部90を含む各部を収納する筐体91の長手方向の長さL21は95.5mmであり、幅L20は59mmとされる。筐体91の長手方向の長さL21及び幅L20は燃料電池装置100の長手方向の長さ及び幅とされことから、本例の燃料電池装置100のサイズは平面上で長手方向の長さが95.5mm、幅が59mmとされる。
【0093】
さらに、図14を参照しながら本例の燃料電池装置100の構造を具体的に説明する。尚、図14は筐体91を取り外した状態の燃料電池装置100を側面からみた側面図である。発電部90は、セパレータ81を9枚積層してセパレータ81の間に発電体96を挟みこんで形成されるスタック構造を有し、発電セルを8個直列に接続した構造を有する。発電部90は、燃料電池装置100の底部とされる基台98の上に配設された基台95の上に配置される。基台96の底面から発電部90の最上部に配設される板状部の表面までの高さT4は、38.62mmとされる。また、基台96の底面から発電部90の中央部に積層されるセパレータ81の厚み方向の中央までの高さT5は21.78mmとされ、基台96の底面から発電部90の側面側に配設される冷却ファン92、空気供給ファン93,94の中央までの高さと略一致する。基台95、板状部97、積層されたセパレータ81及び発電体96の厚みを合わせた発電体90の高さT6は、33.62mmである。冷却ファン92の高さは、発電部90の最上部に配設された放熱部84と最下部に配設された放熱部84との間の高さと略一致し、放熱部84全体に冷却用の空気を供給することができる。空気供給ファン93,94の高さは、発電部90の最上部の溝82と最下部の溝82との間の高さと略一致し、溝82に全体に酸素を含む空気を十分に供給することができる。
【0094】
以上説明したように、本発明にかかる燃料電池はかかる燃料電池を駆動するための各種機器をコンパクトに収納することができ、ノート型パソコン、携帯電話及びPDAの如き携帯型電子機器を駆動するための電力を供給する電源として好適なものである。また、これら携帯型電子機器に限定されず、本発明の燃料電池1を各種電子機器を駆動するための電源として利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明にかかる燃料電池の構造を示す分解斜視図である。
【図2】本発明にかかる燃料電池を構成する筐体の構造を示す構造図であって、(a)は側面図、(b)は他の側面を示す側面図、(c)は端面図、(d)は他の端面を示す端面図である。
【図3】本発明にかかる燃料電池を構成する発電部の概観を示す斜視図である。
【図4】本発明にかかる燃料電池を構成する発電部の一部を示す分解斜視図である。
【図5】本発明にかかる燃料電池を構成するセパレータの構造を示す構造図であって、(a)はセパレータの表面側の構造を示す平面図、(b)は裏面側の構造を示す平面図である。
【図6】本発明にかかる燃料電池に好適なセパレータの別の例の構造を示す構造図であり、(a)はセパレータの断面図、(b)はかかるセパレータの端部の断面構造を示す要部断面図である。
【図7】本発明にかかる燃料電池に好適なセパレータの別の例の構造を示す構造図であり、(a)は上側板状部の平面図、(b)は下側板状部に伝熱部がはめ込まれた状態を示す平面図、(c)は下側板状部を裏面側からみた平面図である。
【図8】本発明にかかる燃料電池の構造を示す平面図である。
【図9】本発明にかかる燃料電池における発電部の温度及び発電部に残留する水分量を制御する制御方法を説明するための図である。
【図10】本実施形態にかかるセパレータの具体的な構造を示す図であり、セパレータを表面側からみた構造を示す平面図である。
【図11】本実施形態にかかるセパレータの具体的な構造を示す図であり、セパレータの側面側からみた構造を示す側面図である。
【図12】本実施形態にかかるセパレータの具体的な構造を示す図であり、セパレータを裏面側からみた構造を示す平面図である。
【図13】本実施形態にかかる燃料電池装置の具体的な構造を示す平面図である。
【図14】本実施形態にかかる燃料電池装置の具体的な構造を示す側面図である。
【符号の説明】
【0096】
1 燃料電池、10 筐体、11,12,13 排気口、14,15 吸気口、16,18 接続孔、20 制御基板、30 発電部、31 セパレータ、32 接合体、33,75 放熱フィン、34,40 開口部、35,74 封止部材、36 固体高分子電解質膜、37 電極、38,43,78,79 流路、39 側面、41 排出孔、42 供給孔、45,46 接続部、51 冷却ファン、52,53 空気供給ファン、54 水素パージバルブ、55 レギュレータ、56 手動バルブ、60 水素吸蔵カートリッジ、61,63,64 温度センサ、62,65 湿度センサ、72 伝熱部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも酸素を含む酸化剤ガスの流路が設けられた発電部と、
前記発電部に接続され当該発電部から熱を放熱する放熱部と、
前記流路において前記酸化剤ガスを流動させるガス流動手段と、
前記ガス流動手段と互いに独立して駆動され前記放熱部を冷却する冷却手段とを有すること
を特徴とする燃料電池。
【請求項2】
前記発電部は、イオン伝導性を有する伝導体と当該伝導体を挟んで対峙する電極とを備える接合体と、
前記接合体を挟装するセパレータとを有すること
を特徴とする請求項1記載の燃料電池。
【請求項3】
前記伝導体は、プロトン伝導体であること
を特徴とする請求項2記載の燃料電池。
【請求項4】
前記セパレータは、当該セパレータの内部から前記放熱部に延在する伝熱部を有すること
を特徴とする請求項2記載の燃料電池。
【請求項5】
前記セパレータは、前記流路から水を吸水して除去するための吸水手段を有すること
を特徴とする請求項2記載の燃料電池。
【請求項6】
前記発電部は、前記接合体と前記セパレータとが積層されてなるスタック構造を有すること
を特徴とする請求項2記載の燃料電池。
【請求項7】
前記セパレータは、当該セパレータが前記接合体と接する面内に燃料を供給するための面内流路を有すること
を特徴とする請求項6記載の燃料電池。
【請求項8】
前記セパレータは、前記面内流路に燃料を供給するための供給孔及び当該面内流路から燃料を排出するための排出孔を有すること
を特徴とする請求項7記載の燃料電池。
【請求項9】
隣接する各セパレータ間において前記供給孔が互いに接続されて各セパレータに燃料を供給するための供給路が形成されると共に、前記排出孔が互いに接続されて各セパレータから燃料を排出する排出路が形成されること
を特徴とする請求項8記載の燃料電池。
【請求項10】
前記面内流路が前記供給路に接続される接続部の断面積は、前記面内流路の断面積に比べて小さいこと
を特徴とする請求項7記載の燃料電池。
【請求項11】
前記面内流路が前記排出路に接続される接続部の断面積は、前記面内流路の断面積に比べて小さいこと
を特徴とする請求項7記載の燃料電池。
【請求項12】
前記面内流路が前記供給路に接続される接続部の断面積は、当該面内流路が前記排出路に接続される接続部の断面積に比べて小さいこと
を特徴とする請求項7記載の燃料電池。
【請求項13】
水が蓄積された前記面内流路において前記水に対する供給路側と排出路側との間に圧力差を生じさせることにより当該水を当該面内流路から排出する水排出手段を有すること
を特徴とする請求項7記載の燃料電池。
【請求項14】
前記水排出手段は前記排出路の一部を大気開放することにより前記圧力差を生じさせて前記水を前記面内流路から排出すること
を特徴とする請求項11記載の燃料電池。
【請求項15】
前記冷却手段は、少なくとも前記放熱部の近傍に滞留するガスを流動させることにより当該放熱部から熱を放熱させること
を特徴とする請求項1記載の燃料電池。
【請求項16】
前記ガス流動手段及び前記冷却手段の駆動を制御するための環境条件を検知する検知手段を有すること
を特徴する請求項1記載の燃料電池。
【請求項17】
前記検知手段は、前記環境条件として少なくとも温度及び/又は湿度を検知すること
を特徴とする請求項16記載の燃料電池。
【請求項18】
前記検知手段は、前記発電部に供給される酸化剤ガスの温度及び湿度、前記発電部から排出される酸化剤ガスの温度及び湿度、並びに前記発電部の温度を検知可能な位置にそれぞれ配設されること
を特徴とする請求項16記載の燃料電池。
【請求項19】
前記環境条件に基づいて少なくとも前記ガス流動手段及び前記冷却手段の駆動を制御する制御回路を搭載した制御基板を有すること
を特徴とする請求項16記載の燃料電池。
【請求項20】
前記環境条件と前記発電部により発電された電力量とに基づいて算出された前記発電部に残留する水分量に応じて前記ガス流動手段及び前記冷却手段の駆動が制御されること
を特徴とする請求項16記載の燃料電池。
【請求項21】
前記発電部を駆動する際に、前記酸化剤ガスと反応させるための燃料を燃料貯蔵部から前記発電部に供給する燃料供給手段を有すること
を特徴とする請求項1記載の燃料電池。
【請求項22】
前記発電部に供給される燃料の圧力を制御する圧力制御手段を有すること
を特徴とする請求項1記載の燃料電池。
【請求項23】
側面に少なくとも酸素を含む酸化剤ガスの流路の開口部が設けられた発電部と、
前記発電部に接続され当該発電部から熱を放熱する放熱部とを備え、
前記流路において前記酸化剤ガスを流動させるガス流動手段が前記発電部の側面に沿って配設され、
前記放熱部を冷却する冷却手段が前記側面に沿って前記ガス流動手段と隣接するように配設されていること
を特徴とする燃料電池。
【請求項24】
当該燃料電池は、少なくとも前記発電部、前記放熱部、前記ガス流動手段、及び前記冷却手段を覆う筐体を有すること
を特徴とする請求項23記載の燃料電池。
【請求項25】
前記ガス流動手段は、前記開口部から前記酸化剤ガスを吸気すると共に前記筐体に設けられた第1の排気口から当該酸化剤ガスを排出することにより前記流路において前記酸化剤ガスを流動させること
を特徴とする請求項23記載の燃料電池。
【請求項26】
前記ガス流動手段は、前記筐体に設けられた第1の吸気口から前記酸化剤ガスを当該燃料電池内に吸気することにより前記冷却手段による酸化剤ガスの流動と独立した酸化剤ガスの流れを形成すること
を特徴とする請求項24記載の燃料電池。
【請求項27】
前記第1の吸気口は前記第1の排気口と対面する位置に設けられると共に、前記ガス流動手段が当該第1の吸気口と当該第1の排気口との間に配設されること
を特徴とする請求項26記載の燃料電池。
【請求項28】
前記冷却手段は、前記筐体に設けられた第2の排気口から酸化剤ガスを排気することにより前記放熱部の近傍において前記酸化剤ガスを流動させること
を特徴とする請求項24記載の燃料電池。
【請求項29】
前記冷却手段は、前記筐体に設けられた第2の吸気口から前記酸化剤ガスを当該燃料電池内に吸気すること
を特徴とする請求項24記載の燃料電池。
【請求項30】
前記第2の吸気口は、前記第2の排気口と対面する位置に設けられると共に前記冷却手段が前記第2の吸気口と前記第2の排気口との間に配設されること
を特徴とする請求項29記載の燃料電池。
【請求項31】
前記開口部は、前記酸化剤ガスの流路の奥行き方向に沿って狭くなるテーパー形状とされること
を特徴とする請求項23記載の燃料電池。
【請求項32】
前記開口部の開口幅は、前記酸化剤ガスの流路の流路幅に比べて大きいこと
を特徴とする請求項23記載の燃料電池。
【請求項33】
前記開口幅は、前記流路幅と比べて横方向及び/又は縦方向について幅広とされること
を特徴とする請求項32記載の燃料電池。
【請求項34】
前記ガス流動手段及び前記冷却手段の駆動を制御するための環境条件を検知する検知手段を有すること
を特徴とする請求項23記載の燃料電池。
【請求項35】
前記検知手段は、前記環境条件として少なくとも温度及び/又は湿度を検知すること
を特徴とする請求項34記載の燃料電池。
【請求項36】
前記検知手段は、前記発電部に供給される酸化剤ガスの温度及び湿度、前記発電部から排出される酸化剤ガスの温度及び湿度、並びに前記発電部の温度を検知可能な位置にそれぞれ配設されること
を特徴とする請求項34記載の燃料電池。
【請求項37】
前記環境条件に基づいて少なくとも前記ガス流動手段及び前記冷却手段の駆動を制御する制御回路を搭載した制御基板が配設されていること
を特徴とする請求項34記載の燃料電池。
【請求項38】
前記酸化剤ガスと反応させるために前記発電部に供給される燃料の流路から水を排出する水排出手段が前記発電部の端面に沿って配設されていること
を特徴とする請求項23記載の燃料電池。
【請求項39】
前記発電部を駆動する際に前記燃料を燃料貯蔵部から前記発電部に供給する燃料供給手段が前記発電部の端面に沿って配設されていること
を特徴とする請求項38記載の燃料電池。
【請求項40】
少なくとも酸素を含む酸化剤ガスの流路が設けられた発電部と、
前記発電部に接続され当該発電部から熱を放熱する放熱部と、
前記流路において前記酸化剤ガスを流動させるガス流動手段と、
前記ガス流動手段と互いに独立して駆動され前記放熱部を冷却する冷却手段とを有する燃料電池を備え、
前記燃料電池から電力を供給されることにより駆動されること
を特徴とする電子機器。
【請求項41】
側面に少なくとも酸素を含む酸化剤ガスの流路の開口部が設けられた発電部と、
前記発電部に接続され当該発電部から熱を放熱する放熱部と有し、
前記流路において前記酸化剤ガスを流動させるガス流動手段が前記発電部の側面に沿って配設され、
前記放熱部を冷却する冷却手段が前記側面に沿って前記ガス流動手段と隣接するように配設されている燃料電池を備え、
前記燃料電池から電力を供給されることにより駆動されること
を特徴とする電子機器。
【請求項1】
少なくとも酸素を含む酸化剤ガスの流路が設けられた発電部と、
前記発電部に接続され当該発電部から熱を放熱する放熱部と、
前記流路において前記酸化剤ガスを流動させるガス流動手段と、
前記ガス流動手段と互いに独立して駆動され前記放熱部を冷却する冷却手段とを有すること
を特徴とする燃料電池。
【請求項2】
前記発電部は、イオン伝導性を有する伝導体と当該伝導体を挟んで対峙する電極とを備える接合体と、
前記接合体を挟装するセパレータとを有すること
を特徴とする請求項1記載の燃料電池。
【請求項3】
前記伝導体は、プロトン伝導体であること
を特徴とする請求項2記載の燃料電池。
【請求項4】
前記セパレータは、当該セパレータの内部から前記放熱部に延在する伝熱部を有すること
を特徴とする請求項2記載の燃料電池。
【請求項5】
前記セパレータは、前記流路から水を吸水して除去するための吸水手段を有すること
を特徴とする請求項2記載の燃料電池。
【請求項6】
前記発電部は、前記接合体と前記セパレータとが積層されてなるスタック構造を有すること
を特徴とする請求項2記載の燃料電池。
【請求項7】
前記セパレータは、当該セパレータが前記接合体と接する面内に燃料を供給するための面内流路を有すること
を特徴とする請求項6記載の燃料電池。
【請求項8】
前記セパレータは、前記面内流路に燃料を供給するための供給孔及び当該面内流路から燃料を排出するための排出孔を有すること
を特徴とする請求項7記載の燃料電池。
【請求項9】
隣接する各セパレータ間において前記供給孔が互いに接続されて各セパレータに燃料を供給するための供給路が形成されると共に、前記排出孔が互いに接続されて各セパレータから燃料を排出する排出路が形成されること
を特徴とする請求項8記載の燃料電池。
【請求項10】
前記面内流路が前記供給路に接続される接続部の断面積は、前記面内流路の断面積に比べて小さいこと
を特徴とする請求項7記載の燃料電池。
【請求項11】
前記面内流路が前記排出路に接続される接続部の断面積は、前記面内流路の断面積に比べて小さいこと
を特徴とする請求項7記載の燃料電池。
【請求項12】
前記面内流路が前記供給路に接続される接続部の断面積は、当該面内流路が前記排出路に接続される接続部の断面積に比べて小さいこと
を特徴とする請求項7記載の燃料電池。
【請求項13】
水が蓄積された前記面内流路において前記水に対する供給路側と排出路側との間に圧力差を生じさせることにより当該水を当該面内流路から排出する水排出手段を有すること
を特徴とする請求項7記載の燃料電池。
【請求項14】
前記水排出手段は前記排出路の一部を大気開放することにより前記圧力差を生じさせて前記水を前記面内流路から排出すること
を特徴とする請求項11記載の燃料電池。
【請求項15】
前記冷却手段は、少なくとも前記放熱部の近傍に滞留するガスを流動させることにより当該放熱部から熱を放熱させること
を特徴とする請求項1記載の燃料電池。
【請求項16】
前記ガス流動手段及び前記冷却手段の駆動を制御するための環境条件を検知する検知手段を有すること
を特徴する請求項1記載の燃料電池。
【請求項17】
前記検知手段は、前記環境条件として少なくとも温度及び/又は湿度を検知すること
を特徴とする請求項16記載の燃料電池。
【請求項18】
前記検知手段は、前記発電部に供給される酸化剤ガスの温度及び湿度、前記発電部から排出される酸化剤ガスの温度及び湿度、並びに前記発電部の温度を検知可能な位置にそれぞれ配設されること
を特徴とする請求項16記載の燃料電池。
【請求項19】
前記環境条件に基づいて少なくとも前記ガス流動手段及び前記冷却手段の駆動を制御する制御回路を搭載した制御基板を有すること
を特徴とする請求項16記載の燃料電池。
【請求項20】
前記環境条件と前記発電部により発電された電力量とに基づいて算出された前記発電部に残留する水分量に応じて前記ガス流動手段及び前記冷却手段の駆動が制御されること
を特徴とする請求項16記載の燃料電池。
【請求項21】
前記発電部を駆動する際に、前記酸化剤ガスと反応させるための燃料を燃料貯蔵部から前記発電部に供給する燃料供給手段を有すること
を特徴とする請求項1記載の燃料電池。
【請求項22】
前記発電部に供給される燃料の圧力を制御する圧力制御手段を有すること
を特徴とする請求項1記載の燃料電池。
【請求項23】
側面に少なくとも酸素を含む酸化剤ガスの流路の開口部が設けられた発電部と、
前記発電部に接続され当該発電部から熱を放熱する放熱部とを備え、
前記流路において前記酸化剤ガスを流動させるガス流動手段が前記発電部の側面に沿って配設され、
前記放熱部を冷却する冷却手段が前記側面に沿って前記ガス流動手段と隣接するように配設されていること
を特徴とする燃料電池。
【請求項24】
当該燃料電池は、少なくとも前記発電部、前記放熱部、前記ガス流動手段、及び前記冷却手段を覆う筐体を有すること
を特徴とする請求項23記載の燃料電池。
【請求項25】
前記ガス流動手段は、前記開口部から前記酸化剤ガスを吸気すると共に前記筐体に設けられた第1の排気口から当該酸化剤ガスを排出することにより前記流路において前記酸化剤ガスを流動させること
を特徴とする請求項23記載の燃料電池。
【請求項26】
前記ガス流動手段は、前記筐体に設けられた第1の吸気口から前記酸化剤ガスを当該燃料電池内に吸気することにより前記冷却手段による酸化剤ガスの流動と独立した酸化剤ガスの流れを形成すること
を特徴とする請求項24記載の燃料電池。
【請求項27】
前記第1の吸気口は前記第1の排気口と対面する位置に設けられると共に、前記ガス流動手段が当該第1の吸気口と当該第1の排気口との間に配設されること
を特徴とする請求項26記載の燃料電池。
【請求項28】
前記冷却手段は、前記筐体に設けられた第2の排気口から酸化剤ガスを排気することにより前記放熱部の近傍において前記酸化剤ガスを流動させること
を特徴とする請求項24記載の燃料電池。
【請求項29】
前記冷却手段は、前記筐体に設けられた第2の吸気口から前記酸化剤ガスを当該燃料電池内に吸気すること
を特徴とする請求項24記載の燃料電池。
【請求項30】
前記第2の吸気口は、前記第2の排気口と対面する位置に設けられると共に前記冷却手段が前記第2の吸気口と前記第2の排気口との間に配設されること
を特徴とする請求項29記載の燃料電池。
【請求項31】
前記開口部は、前記酸化剤ガスの流路の奥行き方向に沿って狭くなるテーパー形状とされること
を特徴とする請求項23記載の燃料電池。
【請求項32】
前記開口部の開口幅は、前記酸化剤ガスの流路の流路幅に比べて大きいこと
を特徴とする請求項23記載の燃料電池。
【請求項33】
前記開口幅は、前記流路幅と比べて横方向及び/又は縦方向について幅広とされること
を特徴とする請求項32記載の燃料電池。
【請求項34】
前記ガス流動手段及び前記冷却手段の駆動を制御するための環境条件を検知する検知手段を有すること
を特徴とする請求項23記載の燃料電池。
【請求項35】
前記検知手段は、前記環境条件として少なくとも温度及び/又は湿度を検知すること
を特徴とする請求項34記載の燃料電池。
【請求項36】
前記検知手段は、前記発電部に供給される酸化剤ガスの温度及び湿度、前記発電部から排出される酸化剤ガスの温度及び湿度、並びに前記発電部の温度を検知可能な位置にそれぞれ配設されること
を特徴とする請求項34記載の燃料電池。
【請求項37】
前記環境条件に基づいて少なくとも前記ガス流動手段及び前記冷却手段の駆動を制御する制御回路を搭載した制御基板が配設されていること
を特徴とする請求項34記載の燃料電池。
【請求項38】
前記酸化剤ガスと反応させるために前記発電部に供給される燃料の流路から水を排出する水排出手段が前記発電部の端面に沿って配設されていること
を特徴とする請求項23記載の燃料電池。
【請求項39】
前記発電部を駆動する際に前記燃料を燃料貯蔵部から前記発電部に供給する燃料供給手段が前記発電部の端面に沿って配設されていること
を特徴とする請求項38記載の燃料電池。
【請求項40】
少なくとも酸素を含む酸化剤ガスの流路が設けられた発電部と、
前記発電部に接続され当該発電部から熱を放熱する放熱部と、
前記流路において前記酸化剤ガスを流動させるガス流動手段と、
前記ガス流動手段と互いに独立して駆動され前記放熱部を冷却する冷却手段とを有する燃料電池を備え、
前記燃料電池から電力を供給されることにより駆動されること
を特徴とする電子機器。
【請求項41】
側面に少なくとも酸素を含む酸化剤ガスの流路の開口部が設けられた発電部と、
前記発電部に接続され当該発電部から熱を放熱する放熱部と有し、
前記流路において前記酸化剤ガスを流動させるガス流動手段が前記発電部の側面に沿って配設され、
前記放熱部を冷却する冷却手段が前記側面に沿って前記ガス流動手段と隣接するように配設されている燃料電池を備え、
前記燃料電池から電力を供給されることにより駆動されること
を特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−317674(P2007−317674A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−203286(P2007−203286)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【分割の表示】特願2002−361449(P2002−361449)の分割
【原出願日】平成14年12月12日(2002.12.12)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【分割の表示】特願2002−361449(P2002−361449)の分割
【原出願日】平成14年12月12日(2002.12.12)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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