説明

燃料電池用灯油の供給方法、燃料電池システムを利用した発電方法、および、発電システム

【課題】燃料電池システムの構成の複雑化を招くことなく、容易にかつ安価に適切な燃料電池用灯油を供給できる発電システムの提供。
【解決手段】発電システム1Aは、水素ステーション10にて、製油所2から移送される灯油を受け入れる。水素ステーション10は、水素化脱硫器11Aにて、改質装置11Bで水素を製造するために、灯油を脱硫処理して硫黄分濃度が1wtppm以下の脱硫灯油を製造する。水素ステーション10は、この製造した脱硫灯油を燃料電池用灯油として燃料電池システム100へ供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムへ燃料電池用灯油を供給する燃料電池用灯油の供給方法、燃料電池システムを利用した発電方法、および、発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、原油用タンクに貯留された原油は、適宜処理されて灯油として、例えばローリーなどで給油所などへ移送される。そして、このように給油所から供給される灯油を燃料電池用灯油として利用して発電する燃料電池システムが知られている。
この燃料電池システムは、燃料電池用灯油を脱硫した後に気化して改質する。そして、この改質した燃料電池用灯油と、酸素含有気体と、を利用して発電する構成が採られている。
このような燃料電池システムでは、良好な発電を得るために、硫黄化合物の濃度が0.02wtppm以下の燃料電池用灯油を気化するのが好ましいが、製油所から給油所などへ移送される燃料電池用灯油の硫黄化合物濃度は、約10wtppmである。このため、燃料電池システムで燃料電池用灯油を脱硫する際に、例えば200℃程度まで加熱することにより、硫黄化合物濃度を0.02wtppm以下にしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したような燃料電池システムで燃料電池用灯油を加熱しつつ脱硫する構成では、200℃程度まで加熱するための構成が必要なため、燃料電池システムの構成が複雑になるおそれがある。
また、例えば製油所において、燃料電池用灯油の硫黄化合物濃度を低減する状態に脱硫して給油所などへ移送することも考えられるが、製油所に大量の燃料電池用灯油を脱硫するための設備を設ける必要があり、この設備を設けるための多大な労力やコストがかかるおそれがある。
【0004】
本発明の目的は、このような点に鑑みて、燃料電池システムの構成の複雑化を招くことなく、容易にかつ安価に適切な燃料電池用灯油を供給可能な燃料電池用灯油の供給方法、燃料電池システムを利用した発電方法、および、発電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に記載の燃料電池用灯油の供給方法は、燃料電池用灯油を利用して発電する燃料電池システムへ前記燃料電池用灯油を供給する燃料電池用灯油の供給方法であって、所定の燃料を供給する燃料ステーションにて、製油所から移送される灯油を脱硫して脱硫灯油を製造する脱硫灯油製造工程と、この脱硫灯油製造工程で製造された脱硫灯油を前記燃料電池用灯油として前記燃料電池システムへ供給する燃料電池用灯油供給工程と、を実施することを特徴とする。
この発明では、所定の燃料を供給する燃料ステーションにて、製油所から移送される灯油を脱硫して脱硫灯油を製造し、この製造した脱硫灯油を燃料電池用灯油として燃料電池システムへ供給する。
このことにより、燃料電池システムに、燃料ステーションで脱硫された燃料電池用灯油が供給されるため、従来の構成と比べて燃料電池システムで加熱温度を下げた状態で脱硫しても、良好な発電が得られる。したがって、燃料電池システムにおける加熱するための構成の簡略化を図れる。また、燃料ステーションにて脱硫するため、製油所で脱硫する構成と比べて、脱硫する量を少なくでき、脱硫設備を設けるための多大な労力やコストの低減を図れる。よって、燃料電池システムの構成の複雑化を招くことなく、容易にかつ安価に適切な燃料電池用灯油を供給可能となる。
そして、一般的に所定の燃料の配送システムが構築されている燃料ステーションにて、脱硫灯油を製造して燃料電池用灯油として供給するので、燃料電池用灯油の拡販を容易に図れる。
【0006】
また、本発明では、請求項1に記載の燃料電池用灯油の供給方法であって、前記脱硫灯油製造工程では、前記灯油に含まれる硫黄化合物を吸着させて除去することにより前記脱硫灯油を製造することが好ましい。
この発明では、硫黄化合物を吸着させて除去することにより脱硫灯油を製造する。
このことにより、一般的に広く利用されているいわゆる吸着脱硫を用いる簡単な構成で脱硫灯油を製造でき、脱硫設備を設けるための多大な労力のコストの低減、脱硫設備の簡略化を容易に図れる。
【0007】
そして、本発明では、請求項1に記載の燃料電池用灯油の供給方法であって、前記脱硫灯油製造工程では、前記灯油に含まれる硫黄化合物を酸化させ、この酸化させた硫黄化合物を除去して前記脱硫灯油を製造することが好ましい。
この発明では、硫黄化合物を酸化させ、この酸化させた硫黄化合物を除去して脱硫灯油を製造する。
ここで、硫黄化合物を酸化させて除去する方法としては、以下のものが例示できる。すなわち、硫黄化合物に、過蟻酸および過酸化水素を常温で反応させて酸化させる。そして、この酸化により沸点が高くなったものを蒸留により除去する方法や、極性が強くなったものを吸着で除去する方法が例示できる。
このように硫黄化合物を常温で酸化させて除去することにより、高温での処理が不要となり、耐熱性の部材を利用することなく容易に脱硫灯油を製造できる。特に、例えば硫黄化合物濃度が3wtppmの灯油を1wtppm以下に脱硫する場合など、硫黄化合物の除去量が少ないときには、一般的に高価な過酸化水素の使用量を少なくでき、コストの低減を図れる。
【0008】
さらに、本発明では、請求項1に記載の燃料電池用灯油の供給方法であって、前記燃料ステーションは、前記灯油を脱硫して製造した前記脱硫灯油を利用して、水素を製造して供給する水素ステーションであり、前記脱硫灯油製造工程では、前記水素ステーションにて、前記水素の製造に利用するために前記脱硫灯油を製造し、前記燃料電池用灯油供給工程では、前記水素ステーションにて前記水素の製造に利用するために製造された前記脱硫灯油を前記燃料電池用灯油として前記燃料電池システムへ供給することが好ましい。
また、本発明に記載の燃料電池用灯油の供給方法は、燃料電池用灯油を利用して発電する燃料電池システムに前記燃料電池用灯油を供給する燃料電池用灯油の供給方法であって、灯油を脱硫して製造した脱硫灯油を利用して水素を製造して供給する水素ステーションにて、製油所から移送される灯油を前記水素の製造に利用するために脱硫して前記脱硫灯油を製造する脱硫灯油製造工程と、この脱硫灯油製造工程で製造された脱硫灯油を前記燃料電池用灯油として前記燃料電池システムへ供給する燃料電池用灯油供給工程と、を実施することを特徴とする
これらの発明では、脱硫灯油を利用して水素を製造して供給する水素ステーションにて、水素を製造するために脱硫灯油を製造し、この製造した脱硫灯油を燃料電池用灯油として燃料電池システムへ供給する。
このことにより、燃料電池システムに、水素ステーションにて水素製造のために製造された脱硫灯油が燃料電池用灯油として供給されるため、従来の構成と比べて燃料電池システムで加熱温度を下げた状態で脱硫しても、良好な発電が得られる。したがって、燃料電池システムにおける加熱するための構成の簡略化を図れる。また、水素ステーションにて水素製造のために製造された脱硫灯油を燃料電池用灯油として転用するので、新たな脱硫設備を設ける必要がなく、脱硫設備を設けるための多大な労力やコストの低減を図れる。よって、燃料電池システムの構成の複雑化を招くことなく、容易にかつ安価に適切な燃料電池用灯油を供給可能となる。
【0009】
そして、本発明では、請求項4または請求項5に記載の燃料電池用灯油の供給方法であって、前記脱硫灯油製造工程では、前記水素ステーションにて製造された水素を利用して、前記製油所から移送される灯油を水素化脱硫することにより前記脱硫灯油を製造することが好ましい。
この発明では、水素ステーションにて製造された水素を利用して、灯油を水素化脱硫することにより脱硫灯油を製造する。なお、水素化脱硫に加え、上述したような吸着脱硫や酸化脱硫処理を実施してもよい。
このことにより、水素ステーションにて製造された水素を、例えば水素自動車などへの供給の他に、脱硫灯油の製造にも用いることにより、水素の有効利用を図れる。
【0010】
また、本発明では、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の燃料電池用灯油の供給方法であって、前記脱硫灯油製造工程では、硫黄化合物の濃度が1wtppm以下の前記脱硫灯油を製造することが好ましい。
この発明では、脱硫灯油製造工程において、硫黄化合物濃度が1wtppm以下の脱硫灯油を製造する。
このことにより、燃料電池システムに硫黄化合物濃度が1wtppm以下の燃料電池用灯油が供給されるので、燃料電池システムにおいて良好な発電を得るための脱硫処理として、常温脱硫処理を適用可能となる。したがって、燃料電池システムの構成の簡略化、コストの低減を容易に図れる。
【0011】
本発明に記載の燃料電池システムを利用した発電方法は、燃料電池用灯油を利用して発電する燃料電池システムにて、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の燃料電池用灯油の供給方法により供給された前記燃料電池用灯油を受け入れる受入工程と、この受入工程で受け入れた前記燃料電池用灯油を脱硫する脱硫工程と、この脱硫工程で脱硫された前記燃料電池用灯油を気化して改質する改質工程と、酸素含有気体を供給する酸素含有気体供給工程と、前記改質工程で改質された前記燃料電池用灯油および前記酸素含有気体供給工程で供給される前記酸素含有気体を利用して発電する発電工程と、を実施することを特徴とする。
この発明によれば、燃料ステーションや水素ステーションで脱硫された燃料電池用灯油を燃料電池システムにて受け入れて、この受け入れた燃料電池用灯油を脱硫、気化、改質する。そして、この改質された燃料電池用灯油および酸素含有気体を利用して発電する。
このことにより、燃料電池システムに、燃料ステーションや水素ステーションで脱硫された燃料電池用灯油が供給されるため、良好な発電を得るための脱硫処理として、従来の構成と比べて加熱温度を下げた脱硫処理を適用可能となる。したがって、燃料電池システムにおける加熱するための構成の簡略化を図った状態で良好な発電を得られる。さらに、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の燃料電池用灯油の供給方法と、同様の作用効果を奏する。
【0012】
本発明に記載の燃料電池システムを利用した発電方法は、燃料電池用灯油を利用して発電する燃料電池システムにて、請求項7に記載の燃料電池用灯油の供給方法により供給された前記燃料電池用灯油を受け入れる受入工程と、この受入工程で受け入れた前記燃料電池用灯油を常温で脱硫する常温脱硫工程と、この常温脱硫工程で脱硫された前記燃料電池用灯油を気化して改質する改質工程と、酸素含有気体を供給する酸素含有気体供給工程と、前記改質工程で改質された前記燃料電池用灯油および前記酸素含有気体供給工程で供給される前記酸素含有気体を利用して発電する発電工程と、を実施することを特徴とする。
この発明によれば、燃料ステーションや水素ステーションで脱硫された燃料電池用灯油を燃料電池システムにて受け入れて、この受け入れた燃料電池用灯油を脱硫、気化、改質する。そして、この改質された燃料電池用灯油および酸素含有気体を利用して発電する。
このことにより、燃料電池システムに、燃料ステーションや水素ステーションで1wtppm以下まで脱硫された燃料電池用灯油が供給されるため、良好な発電を得るための脱硫処理として、常温脱硫処理を適用可能となる、したがって、燃料電池システムにおける加熱するための構成のさらなる簡略化を図った状態で良好な発電を得られる。さらに、請求項7に記載の燃料電池用灯油の供給方法と同様の作用効果を奏する。
【0013】
本発明に記載の発電システムは、燃料電池用灯油を利用して発電する燃料電池システムと、所定の燃料を供給する燃料ステーションに設けられ、製油所から移送される灯油を脱硫して脱硫灯油を製造する脱硫灯油製造手段と、この脱硫灯油製造手段で製造された脱硫灯油を前記燃料電池用灯油として前記燃料電池システムへ供給する燃料電池用灯油供給手段と、を具備したことを特徴とする。
また、本発明の記載の発電システムは、燃料電池用灯油を利用して発電する燃料電池システムと、灯油を脱硫して製造した脱硫灯油を利用して水素を製造して供給する水素ステーションに設けられ、製油所から移送される灯油を前記水素の製造に利用するために脱硫して前記脱硫灯油を製造する脱硫灯油製造手段と、この脱硫灯油製造手段で製造された脱硫灯油を前記燃料電池用灯油として前記燃料電池システムへ供給する燃料電池用灯油供給手段と、を具備したことを特徴とする。
これらの発明は、請求項1または請求項5に記載の燃料電池用灯油の供給方法をシステム構成に展開したもので、燃料ステーションや水素ステーションにて、製油所から移送される灯油を脱硫して脱硫灯油を製造し、この製造した脱硫灯油を燃料電池用灯油として燃料電池システムへ供給する。
このことにより、請求項1または請求項5に記載の燃料電池用灯油の供給方法と同様の作用効果を奏する。
【0014】
そして、請求項10または請求項14に従属する請求項11ないし請求項13、請求項15、および、請求項16に記載の発電システムは、請求項1または請求項5に従属する請求項2ないし請求項4、請求項6、および、請求項7に記載の燃料電池用灯油の供給方法をシステム構成に展開したものであり、請求項2ないし請求項4、請求項6、および、請求項7に記載の燃料電池用灯油の供給方法と同様の作用効果を奏する。
【0015】
また、本発明では、請求項16に記載の発電システムであって、前記燃料電池システムは、前記燃料電池用灯油供給手段により供給される前記燃料電池用灯油を受け入れる受入手段と、この受入手段で受け入れた前記燃料電池用灯油を常温で脱硫する常温脱硫手段と、この常温脱硫手段で脱硫された前記燃料電池用灯油を気化して改質する改質手段と、酸素含有気体を供給する酸素含有気体供給手段と、前記改質手段で改質された前記燃料電池用灯油および前記酸素含有気体供給手段で供給される前記酸素含有気体を利用して発電する発電手段と、を備えたことが好ましい。
この発明は、請求項9に記載の燃料電池システムを利用した発電方法をシステム構成に展開したものであり、請求項9に記載の燃料電池システムを利用した発電方法と同様の作用効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る発電システムについて説明する。
図1は、第1実施形態に係る発電システムの概略構成を示すブロック図である。図2は、第1実施形態および後述する第2実施形態に係る燃料電池システムの概略構成を示すブロック図である。
【0017】
〔発電システムの構成〕
図1において、1Aは、発電システムで、この発電システム1Aは、製油所2から移送される灯油を脱硫して脱硫灯油を製造し、この脱硫灯油を燃料電池用灯油111(図2参照)として供給して発電するシステムである。
そして、発電システム1Aは、水素ステーション10と、燃料電池システム100と、などを備えている。
【0018】
水素ステーション10は、製油所2から移送される灯油を脱硫して製造した脱硫灯油を利用して水素を製造し、この製造した水素を水素自動車3へ供給する。なお、ここでは、水素ステーション10として、水素自動車3へ水素を供給する構成を例示するが、水素自動車3に限らず水素を利用して駆動するコンピュータや生活家電機器などいずれの構成に水素を供給するものであってもよい。
そして、水素ステーション10は、水素製造装置11と、脱硫灯油収容手段12と、水素収容手段13と、などを備えている。
【0019】
水素製造装置11は、灯油を利用して水素を製造する。
そして、水素製造装置11は、脱硫灯油製造手段としての水素化脱硫器11Aと、改質装置11Bと、などを備えている。
【0020】
水素化脱硫器11Aは、灯油移送手段15Aを介して製油所2から移送される灯油を受け入れる。ここで、灯油移送手段15Aとしては、配送船、ローリー、中間タンク、パイプラインなどが例示できる。また、水素化脱硫器11Aは、例えば配管やボンベなどの水素返送手段15Bを介して、改質装置11Bで水素自動車3へ供給するために製造された水素を受け入れる。そして、水素化脱硫器11Aは、改質装置11Bから受け入れた水素を利用して、製油所2から移送される灯油を水素化脱硫して脱硫灯油を製造する。具体的には、硫黄化合物濃度が約10wtppmの灯油を水素化脱硫して、硫黄化合物濃度が1wtppm以下の脱硫灯油を製造する。さらに、この製造した脱硫灯油を、例えば配管などの第1脱硫灯油供給手段15Cを介して、改質装置11Bへ供給する。また、脱硫灯油を、例えば配管などの第2脱硫灯油供給手段15Dを介して、脱硫灯油収容手段12へ供給する。
【0021】
改質装置11Bは、水素化脱硫器11Aから供給される脱硫灯油を利用して、水素を製造する。ここで、改質装置11Bにて水素を製造する方法としては、例えば燃料電池システム100の後述する改質ユニット140における後述する処理と同様の処理により、水素を製造する方法が例示できる。そして、改質装置11Bは、製造した水素を例えば配管などの改質水素供給手段15Eを介して、水素収容手段13へ供給する。さらに、水素を、水素返送手段15Bを介して、水素化脱硫器11Aへ供給する。
【0022】
脱硫灯油収容手段12は、例えばいわゆるタンクであり、水素化脱硫器11Aから供給される脱硫灯油を収容する。そして、この収容した脱硫灯油を燃料電池用灯油111として、燃料電池用灯油供給手段15Fを介して、燃料電池システム100へ供給する。ここで、燃料電池用灯油供給手段15Fとしては、脱硫灯油収容手段12に設けられた供給用のノズルで燃料電池用灯油111を運搬可能なポリタンクなどへ移し、このポリタンクを介して燃料電池システム100へ供給する構成が例示できる。
【0023】
水素収容手段13は、例えばいわゆるタンクであり、改質装置11Bから供給される水素を収容する。そして、この収容した水素を、タンク水素供給手段15Gを介して、水素自動車3へ供給する。ここで、タンク水素供給手段15Gとしては、水素収容手段13に設けられた供給用のノズルで水素を水素自動車3へ供給する構成が例示できる。
【0024】
燃料電池システム100は、図2に示すように、燃料電池用灯油111を貯溜する受入手段としての液体燃料貯溜タンク110を備えている。液体燃料貯溜タンク110には、液体燃料ポンプ121を備え燃料電池用灯油111を搬送する燃料搬送経路120を介して、常温脱硫手段としての常温脱硫器130が接続されている。
常温脱硫器130は、液体燃料貯溜タンク110から燃料搬送経路120を介して供給される燃料電池用灯油111を脱硫処理、すなわち液相吸着法により燃料電池用灯油111中に含有される硫黄化合物を常温で吸着除去して、硫黄化合物濃度を0.02wtppmまで低減させる。この常温脱硫器130には、改質手段としての改質ユニット140が接続されている。
【0025】
改質ユニット140は、気化器、熱交換装置、改質器、CO変成器、および、CO選択酸化器などを備えている。
気化器は、常温脱硫器130に接続され、脱硫処理された燃料電池用灯油111が流入される。また、気化器には、熱交換装置が接続されている。そして、気化器は、熱交換装置から供給される水蒸気を常温脱硫器130から流出する燃料電池用灯油111と混合させて気化させ、燃料電池用灯油111と水蒸気との混合ガスである原料ガスとしての気化液体燃料を生成する。
熱交換装置には、純水181を貯留する純水タンク180が搬送ポンプ182を有した給水経路183を介して接続され、純水タンク180から純水181が供給される。そして、熱交換装置は、供給される純水181により改質器から排気される排ガスを冷却させるとともに水蒸気を生成させ、生成した水蒸気を気化器へ供給させる。
【0026】
改質器は、脱硫され水蒸気が混合されて気化された気化液体燃料を水素リッチな燃料ガスに改質する。この改質器は、内部に図示しないRu−Mn系触媒やニッケル触媒などの改質触媒およびバーナ151を備えている。
バーナ151は、分岐する燃料搬送経路120を介して液体燃料貯溜タンク110から燃料電池用灯油111が供給されるとともに、後述する燃料電池200から排出される燃料ガスが供給される。そして、バーナ151は、送気ブロワ170から供給される空気により、燃料電池用灯油111および燃料ガスを燃焼させ、この燃焼による熱にて気化液体燃料を水素リッチの燃料ガスに水蒸気改質する。
このバーナ151の燃焼による高温の排ガスは、熱交換装置に供給され、水との熱交換により冷やされて外気中に排気される。
【0027】
また、改質ユニット140の改質器には、CO変成器およびCO選択酸化器が直列状に接続されている。
CO変成器は、CO変成触媒が充填され、改質器から流出する水素リッチの燃料ガス中に含まれる一酸化炭素(CO)を変成する。
CO選択酸化器は、CO選択酸化触媒が充填され、CO変成器でCOを二酸化炭素(CO2)に酸化させ、燃料ガス中のCOを除去する。
【0028】
そして、CO選択酸化器には、発電手段としての燃料電池200が接続されている。
燃料電池200は、水素と酸素とを反応させて直流電力を発生させる。この燃料電池200は、例えば固体高分子型燃料電池で、正極201と、負極202と、正極201および負極202間に配設された図示しない高分子電解質膜と、を備えている。そして、正極201側には、酸素含有気体供給手段としてのブロワ210の駆動により発生し例えば図示しない加湿器で加湿された空気が供給され、負極202側には改質ユニット140で生成された水素リッチの燃料ガスが供給される。そして、燃料ガスの水素と空気中の酸素とが反応して水(純水181)が生成されるとともに、正極201および負極202間に直流電力が発生する。
そして、負極202側は、上述したように改質器のバーナ151に接続され、余った水素分をバーナ151の燃料として供給する。また、正極201側には、分離器185が接続されている。この分離器185には、正極201側から反応に利用された空気が供給され、気相分の空気と液相分の水(純水181)とに分離する。なお、分離した空気は、外気に排気される。そして、分離器185には、純水タンク180が接続され、分離した水(純水181)を純水タンク180へ供給する。
【0029】
また、燃料電池200には、冷却装置187が設けられている。この冷却装置187は、燃料電池200に付設された熱回収装置187Aが設けられている。この熱回収装置187Aには、ポンプ187Bおよび熱交換器187Cを備えた循環経路187Dを介して純水タンク180が接続されている。
この循環経路187Dは、ポンプ187Bの駆動により、熱回収装置187Aと純水タンク180との間で純水181を循環させ、発電に伴って発熱する燃料電池200を冷却させるとともに熱を回収する。
熱交換器187Cは、循環され熱回収装置187Aで熱を回収した純水181と、例えば水道水などと熱交換させる。この熱交換により温められた水道水は、例えばお風呂などの他の設備に直接供給されて有効利用される。
【0030】
そして、燃料電池システム100は、システム全体の動作を制御する図示しない制御装置を備えている。
この制御装置は、燃料電池用灯油111の流量制御、改質器のバーナの燃焼制御、熱交換装置で水蒸気を生成させるための純水181の供給量制御や温度管理、発電量の管理などを実施する
【0031】
〔発電システムの動作〕
次に、上述した発電システム1Aにおける発電動作について説明する。
【0032】
まず、水素ステーション10の水素製造装置11は、製油所2から移送される灯油を適宜受け入れる。この後、水素製造装置11の水素化脱硫器11Aは、従前に改質装置11Bで製造された水素を利用して、製油所2から受け入れた硫黄化合物濃度が約10wtppmの灯油を水素化脱硫して、硫黄化合物濃度が1wtppm以下の脱硫灯油を製造する(脱硫灯油製造工程)。そして、この製造した脱硫灯油を、改質装置11Bと、脱硫灯油収容手段12と、へ供給する。
この後、改質装置11Bは、水素化脱硫器11Aから脱硫灯油を受け入れると、この脱硫灯油を利用して適宜水素を製造する。そして、この製造した水素を、水素化脱硫器11Aと、水素収容手段13と、へ供給する。そして、水素収容手段13に収容された水素は、水素ステーション10の従業員あるいは水素自動車3の運転手により、水素自動車3へ適宜供給される。
また、脱硫灯油収容手段12に収容された脱硫灯油は、水素ステーション10の従業員あるいは燃料電池システム100の利用者により、燃料電池システム100へ、燃料電池用灯油111として適宜供給される(燃料電池用灯油供給工程)。つまり、燃料電池システム100には、硫黄化合物濃度が1wtppm以下の燃料電池用灯油111が供給される。
【0033】
そして、燃料電池システム100は、液体燃料貯溜タンク110にて燃料電池用灯油111を貯留し(受入工程)、制御部が発電要求に関する信号を取得すると、発電処理を実施する。すなわち、バーナ151により、改質器を加熱させる。さらに、搬送ポンプ182を駆動させて純水タンク180に貯留する純水181を給水経路183を介して熱交換装置に供給して水蒸気を生成し、気化器へ水蒸気を供給させる。この後、液体燃料貯溜タンク110から燃料電池用灯油111を常温脱硫器130へ供給する。
この常温脱硫器130へ供給された燃料電池用灯油111は、常温で硫黄化合物濃度が0.02wtppm以下に脱硫処理される(脱硫工程および常温脱硫工程)。
そして、常温脱硫器130で脱硫された燃料電池用灯油111は、気化器で熱交換装置から供給される水蒸気と混合される。この水蒸気が混合された燃料電池用灯油111は、改質器で水素リッチな燃料ガスに改質される(改質工程)。さらに、CO変成器およびCO選択酸化器により、燃料ガス中のCOが変成・除去され、加湿器などで適宜加湿された後、燃料電池200の負極202側に供給される。
そして、負極202側に供給された燃料ガスの水素は、加湿器などで適宜加湿されて燃料電池200の正極201側に供給された(酸素含有気体供給工程)空気中の酸素と反応して水を生成するとともに、正極201および負極202間に直流電力を発生させる(発電工程)。
【0034】
〔第1実施形態の作用効果〕
上述したように、上記第1実施形態では、発電システム1Aは、脱硫灯油を利用して水素を製造して供給する水素ステーション10にて、製油所2から移送される灯油を受け入れる。そして、水素ステーション10は、水素を製造するために灯油を脱硫処理して脱硫灯油を製造して、この製造した脱硫灯油を燃料電池用灯油111として燃料電池システム100へ供給する。
このため、燃料電池システム100に、水素ステーション10にて水素製造のために製造された脱硫灯油を燃料電池用灯油111として供給することができ、従来の構成と比べて燃料電池システム100で加熱温度を下げた状態で脱硫しても、良好な発電を得ることができる。したがって、燃料電池システム100における加熱するための構成の簡略化を図ることができる。また、水素ステーション10にて水素製造のために製造された脱硫灯油を燃料電池用灯油111として転用するので、新たな脱硫設備を設ける必要がなく、脱硫設備を設けるための多大な労力やコストの低減を図ることができる。よって、燃料電池システム100の構成の複雑化を招くことなく、容易にかつ安価に適切な燃料電池用灯油111を供給できる。
【0035】
そして、水素ステーション10の水素化脱硫器11Aは、改質装置11Bで製造された水素を利用して、灯油を水素化脱硫することにより脱硫灯油を製造する。
このため、水素ステーション10にて製造された水素を、例えば水素自動車3などへの供給の他に、脱硫灯油の製造にも用いることにより、水素の有効利用を図ることができる。
【0036】
また、水素ステーション10の水素化脱硫器11Aは、硫黄化合物濃度が1wtppm以下の脱硫灯油を製造する。
このため、燃料電池システム100に硫黄化合物濃度が1wtppm以下の燃料電池用灯油111を供給することができ、燃料電池システム100において良好な発電を得るための脱硫処理として、常温脱硫処理を実施する常温脱硫器130を適用できる。したがって、燃料電池システム100の構成の簡略化、コストの低減を容易に図ることができる。
【0037】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る発電システムについて説明する。
なお、上述した第1実施形態の発電システム1Aと同一の構成については、同一名称および同一符号を付し、説明を適宜省略する。
図3は、第2実施形態における発電システムの概略構成を示すブロック図である。
【0038】
〔発電システムの構成〕
図3において、1Bは、発電システムで、この発電システム1Bは、製油所4から移送される灯油を脱硫して脱硫灯油を製造し、この脱硫灯油を燃料電池用灯油111として供給して発電するシステムである。
そして、発電システム1Bは、燃料ステーションとしてのサービスステーション20と、燃料電池システム100と、などを備えている。
【0039】
サービスステーション20は、製油所4から移送される燃料としてのガソリンをガソリン自動車5へ供給する。また、サービスステーション20は、製油所4から移送される灯油を、例えばストーブなどの灯油利用端末6へ供給する。なお、サービスステーション20としては、船舶や飛行機などの移動体に燃料を供給する構成としてもよい。
そして、サービスステーション20は、ガソリン収容手段21と、灯油収容手段22と、脱硫灯油製造手段としての吸着脱硫器23と、脱硫灯油収容手段12と、などを備えている。
【0040】
ガソリン収容手段21は、例えばいわゆるタンクであり、燃料移送手段25Aを介して製油所4から灯油とともに移送されるガソリンを収容する。ここで、燃料移送手段25Aとしては、第1実施形態の灯油移送手段15Aと同様のものが例示できる。そして、ガソリン収容手段21は、この収容したガソリンを、例えばノズルなどのガソリン供給手段25Bを介して、ガソリン自動車5へ供給する。なお、燃料移送手段25Aとしては、ガソリンのみを移送する構成としてもよい。
【0041】
灯油収容手段22は、例えばいわゆるタンクであり、燃料移送手段25Aを介して製油所4から移送される灯油を収容する。そして、この収容した灯油を、例えばノズルなどの灯油供給手段25Cを介して、灯油利用端末6へ供給する。なお、燃料移送手段25Aとしては、灯油のみを移送する構成としてもよい。
【0042】
吸着脱硫器23は、燃料移送手段25Aを介して製油所から移送される灯油を受け入れる。なお、灯油収容手段22に収容された灯油を受け入れる構成としてもよい。そして、吸着脱硫器23は、この受け入れた灯油を吸着脱硫して脱硫灯油を製造する。具体的には、硫黄化合物濃度が約10wtppmの灯油を吸着脱硫して、硫黄化合物濃度が1wtppm以下の脱硫灯油を製造する。さらに、この製造した脱硫灯油を、例えば配管などの脱硫灯油供給手段25Dを介して、脱硫灯油収容手段12へ供給する。
【0043】
脱硫灯油収容手段12は、吸着脱硫器23から供給される脱硫灯油を収容して、この収容した脱硫灯油を燃料電池用灯油111として、燃料電池用灯油供給手段15Fを介して、燃料電池システム100へ供給する。
【0044】
〔発電システムの動作〕
次に、上述した発電システム1Bの動作を説明する。なお、燃料電池システム100の発電動作は、第1実施形態と同一なので説明を省略し、燃料電池用灯油111の供給方法について説明する。
【0045】
まず、サービスステーション20の吸着脱硫器23は、製油所4から移送される灯油を適宜受け入れる。この後、吸着脱硫器23は、製油所4から受け入れた硫黄化合物濃度が約10wtppmの灯油を吸着脱硫して、硫黄化合物濃度が1wtppm以下の脱硫灯油を製造する(脱硫灯油製造工程)。そして、この製造した脱硫灯油を、脱硫灯油収容手段12へ供給する。
この後、脱硫灯油収容手段12に収容された脱硫灯油は、サービスステーション20の従業員あるいは燃料電池システム100の利用者により、燃料電池システム100へ、燃料電池用灯油111として適宜供給される(燃料電池用灯油供給工程)。つまり、燃料電池システム100には、硫黄化合物濃度が1wtppm以下の燃料電池用灯油111が供給される。
【0046】
〔第2実施形態の作用効果〕
上述したように、上記第2実施形態では、発電システム1Bは、ガソリンを供給するサービスステーション20にて、製油所4から移送される灯油を受け入れる。そして、サービスステーション20は、灯油を脱硫処理して脱硫灯油を製造して、この製造した脱硫灯油を燃料電池用灯油111として燃料電池システム100へ供給する。
このため、燃料電池システム100に、サービスステーション20で脱硫された燃料電池用灯油111を供給することができ、従来の構成と比べて燃料電池システム100で加熱温度を下げた状態で脱硫しても、良好な発電が得ることができる。したがって、燃料電池システム100における加熱するための構成の簡略化を図ることができる。また、サービスステーション20にて脱硫するため、製油所4で脱硫する構成と比べて、脱硫する量を少なくでき、脱硫設備を設けるための多大な労力やコストの低減を図ることができる。よって、燃料電池システム100の構成の複雑化を招くことなく、容易にかつ安価に適切な燃料電池用灯油111を供給できる。
そして、一般的にガソリンの配送システムが構築されているサービスステーション20にて、脱硫灯油を製造して燃料電池用灯油111として供給するので、燃料電池用灯油111の拡販を容易に図ることができる。
【0047】
また、サービスステーション20の吸着脱硫器23は、灯油の硫黄化合物を吸着させて除去することにより脱硫灯油を製造する。
このため、一般的に広く利用されているいわゆる吸着脱硫を用いる簡単な構成で脱硫灯油を製造でき、脱硫設備を設けるための多大な労力のコストの低減、脱硫設備の簡略化を容易に図ることができる。
【0048】
さらに、サービスステーション20の吸着脱硫器23は、硫黄化合物濃度が1wtppm以下の脱硫灯油を製造する。
このため、燃料電池システム100に硫黄化合物濃度が1wtppm以下の燃料電池用灯油111を供給することができ、燃料電池システム100において良好な発電を得るための脱硫処理として、常温脱硫処理を実施する常温脱硫器130を適用できる。したがって、燃料電池システム100の構成の簡略化、コストの低減を容易に図ることができる。
【0049】
[実施形態の変形例]
なお、以上に説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的および効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造および形状などは、本発明の目的および効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状などとしても問題はない。
【0050】
例えば、第1実施形態において、水素化脱硫器11Aの代わりに、水素化脱硫以外の脱硫方法を用いた構成を適用してもよい。具体的には、第2実施形態の吸着脱硫器23や、硫黄化合物を酸化させて除去する酸化脱硫器を設ける構成としてもよい。この酸化脱硫器としては、以下のような構成が例示できる。すなわち、硫黄化合物に、過蟻酸および過酸化水素を常温で反応させて酸化させる。そして、この酸化により沸点が高くなったものを蒸留により除去する構成や、極性が強くなったものを吸着で除去する構成が例示できる。
このような構成にすれば、水素製造装置11に水素返送手段15Bを設ける必要がなくなり、水素製造装置11の構成の簡略化を図ることができる。
また、水素化脱硫に加え、吸着脱硫や酸化脱硫処理を実施してもよい。
【0051】
そして、第2実施形態において、本発明の燃料ステーションとしてサービスステーション20を例示したが、これに限らず油槽所としてもよい。
【0052】
また、第2実施形態において、吸着脱硫器23の代わりに、上述した酸化脱硫器を設ける構成としてもよい。
このような構成にすれば、硫黄化合物を常温で酸化させて除去するので、高温での処理が不要となり、耐熱性の部材を利用することなく容易に脱硫灯油を製造できる。特に、例えば硫黄化合物濃度が3wtppmの灯油を1wtppm以下に脱硫する場合など、硫黄化合物の除去量が少ないときには、一般的に高価な過酸化水素の使用量を少なくでき、コストの低減を図ることができる。
【0053】
さらに、第1実施形態および第2実施形態において、水素ステーション10やサービスステーション20にて硫黄化合物濃度が1wtppm以上の脱硫灯油を製造し、この脱硫灯油を燃料電池用灯油111として燃料電池システム100へ供給する構成としてもよい。
このような構成にしても、製油所2,4から移送される灯油をそのまま燃料電池用灯油111として利用する従来よりも、硫黄化合物濃度が低い燃料電池用灯油111を燃料電池システム100に供給することができる。したがって、従来の構成と比べて燃料電池システム100で加熱温度を下げた状態で脱硫しても、良好な発電を得ることができ、燃料電池システム100における加熱するための構成の簡略化を図ることができる。
【0054】
その他、本発明の実施における具体的な構造および形状などは、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、燃料電池システムへ燃料電池用灯油を供給する燃料電池用灯油の供給方法、燃料電池システムを利用した発電方法、および、発電システムに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1実施形態に係る発電システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】前記第1実施形態および本発明の第2実施形態に係る燃料電池システムの概略構成を示すブロック図である。
【図3】前記第2実施形態における発電システムの概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0057】
1A,1B…発電システム
2,4…製油所
10…水素ステーション
11A…脱硫灯油製造手段としての水素化脱硫器
15F…燃料電池用灯油供給手段
20…燃料ステーションとしてのサービスステーション
23…脱硫灯油製造手段としての吸着脱硫器
100…燃料電池システム
110…受入手段としての液体燃料貯溜タンク
130…常温脱硫手段としての常温脱硫器
140…改質手段としての改質ユニット
200…発電手段としての燃料電池
210…酸素含有気体供給手段としてのブロワ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池用灯油を利用して発電する燃料電池システムへ前記燃料電池用灯油を供給する燃料電池用灯油の供給方法であって、
所定の燃料を供給する燃料ステーションにて、製油所から移送される灯油を脱硫して脱硫灯油を製造する脱硫灯油製造工程と、
この脱硫灯油製造工程で製造された脱硫灯油を前記燃料電池用灯油として前記燃料電池システムへ供給する燃料電池用灯油供給工程と、
を実施することを特徴とする燃料電池用灯油の供給方法。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池用灯油の供給方法であって、
前記脱硫灯油製造工程では、前記灯油に含まれる硫黄化合物を吸着させて除去することにより前記脱硫灯油を製造する
ことを特徴とする燃料電池用灯油の供給方法。
【請求項3】
請求項1に記載の燃料電池用灯油の供給方法であって、
前記脱硫灯油製造工程では、前記灯油に含まれる硫黄化合物を酸化させ、この酸化させた硫黄化合物を除去して前記脱硫灯油を製造する
ことを特徴とする燃料電池用灯油の供給方法。
【請求項4】
請求項1に記載の燃料電池用灯油の供給方法であって、
前記燃料ステーションは、前記灯油を脱硫して製造した前記脱硫灯油を利用して、水素を製造して供給する水素ステーションであり、
前記脱硫灯油製造工程では、前記水素ステーションにて、前記水素の製造に利用するために前記脱硫灯油を製造し、
前記燃料電池用灯油供給工程では、前記水素ステーションにて前記水素の製造に利用するために製造された前記脱硫灯油を前記燃料電池用灯油として前記燃料電池システムへ供給する
ことを特徴とする燃料電池用灯油の供給方法。
【請求項5】
燃料電池用灯油を利用して発電する燃料電池システムに前記燃料電池用灯油を供給する燃料電池用灯油の供給方法であって、
灯油を脱硫して製造した脱硫灯油を利用して水素を製造して供給する水素ステーションにて、製油所から移送される灯油を前記水素の製造に利用するために脱硫して前記脱硫灯油を製造する脱硫灯油製造工程と、
この脱硫灯油製造工程で製造された脱硫灯油を前記燃料電池用灯油として前記燃料電池システムへ供給する燃料電池用灯油供給工程と、
を実施することを特徴とする燃料電池用灯油の供給方法。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の燃料電池用灯油の供給方法であって、
前記脱硫灯油製造工程では、前記水素ステーションにて製造された水素を利用して、前記製油所から移送される灯油を水素化脱硫することにより前記脱硫灯油を製造する
ことを特徴とする燃料電池用灯油の供給方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の燃料電池用灯油の供給方法であって、
前記脱硫灯油製造工程では、硫黄化合物の濃度が1wtppm以下の前記脱硫灯油を製造する
ことを特徴とする燃料電池用灯油の供給方法。
【請求項8】
燃料電池用灯油を利用して発電する燃料電池システムにて、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の燃料電池用灯油の供給方法により供給された前記燃料電池用灯油を受け入れる受入工程と、
この受入工程で受け入れた前記燃料電池用灯油を脱硫する脱硫工程と、
この脱硫工程で脱硫された前記燃料電池用灯油を気化して改質する改質工程と、
酸素含有気体を供給する酸素含有気体供給工程と、
前記改質工程で改質された前記燃料電池用灯油および前記酸素含有気体供給工程で供給される前記酸素含有気体を利用して発電する発電工程と、
を実施することを特徴とする燃料電池システムを利用した発電方法。
【請求項9】
燃料電池用灯油を利用して発電する燃料電池システムにて、請求項7に記載の燃料電池用灯油の供給方法により供給された前記燃料電池用灯油を受け入れる受入工程と、
この受入工程で受け入れた前記燃料電池用灯油を常温で脱硫する常温脱硫工程と、
この常温脱硫工程で脱硫された前記燃料電池用灯油を気化して改質する改質工程と、
酸素含有気体を供給する酸素含有気体供給工程と、
前記改質工程で改質された前記燃料電池用灯油および前記酸素含有気体供給工程で供給される前記酸素含有気体を利用して発電する発電工程と、
を実施することを特徴とする燃料電池システムを利用した発電方法。
【請求項10】
燃料電池用灯油を利用して発電する燃料電池システムと、
所定の燃料を供給する燃料ステーションに設けられ、製油所から移送される灯油を脱硫して脱硫灯油を製造する脱硫灯油製造手段と、
この脱硫灯油製造手段で製造された脱硫灯油を前記燃料電池用灯油として前記燃料電池システムへ供給する燃料電池用灯油供給手段と、
を具備したことを特徴とした発電システム。
【請求項11】
請求項10に記載の発電システムであって、
前記脱硫灯油製造手段は、前記灯油に含まれる硫黄化合物を吸着させて除去することにより前記脱硫灯油を製造する前記脱硫灯油を製造する
ことを特徴とした発電システム。
【請求項12】
請求項10に記載の発電システムであって、
前記脱硫灯油製造手段は、前記灯油に含まれる硫黄化合物を酸化させ、この酸化させた硫黄化合物を除去して前記脱硫灯油を製造する
ことを特徴とした発電システム。
【請求項13】
請求項10に記載の発電システムであって、
前記燃料ステーションは、前記灯油を脱硫して製造した前記脱硫灯油を利用して、水素を製造して供給する水素ステーションであり、
前記燃料電池用灯油供給手段は、前記水素ステーションにて前記水素の製造に利用するために製造された前記脱硫灯油を前記燃料電池用灯油として前記燃料電池システムへ供給する
ことを特徴とした発電システム。
【請求項14】
燃料電池用灯油を利用して発電する燃料電池システムと、
灯油を脱硫して製造した脱硫灯油を利用して水素を製造して供給する水素ステーションに設けられ、製油所から移送される灯油を前記水素の製造に利用するために脱硫して前記脱硫灯油を製造する脱硫灯油製造手段と、
この脱硫灯油製造手段で製造された脱硫灯油を前記燃料電池用灯油として前記燃料電池システムへ供給する燃料電池用灯油供給手段と、
を具備したことを特徴とした発電システム。
【請求項15】
請求項13または請求項14に記載の発電システムであって、
前記脱硫灯油製造手段は、前記水素ステーションにて製造された水素を利用して、前記製油所から移送される灯油を水素化脱硫することにより前記脱硫灯油を製造する
ことを特徴とした発電システム。
【請求項16】
請求項10ないし請求項15のいずれかに記載の発電システムであって、
前記脱硫灯油製造手段は、硫黄化合物の濃度が1wtppm以下の前記脱硫灯油を製造する
ことを特徴とした発電システム。
【請求項17】
請求項16に記載の発電システムであって、
前記燃料電池システムは、
前記燃料電池用灯油供給手段により供給される前記燃料電池用灯油を受け入れる受入手段と、
この受入手段で受け入れた前記燃料電池用灯油を常温で脱硫する常温脱硫手段と、
この常温脱硫手段で脱硫された前記燃料電池用灯油を気化して改質する改質手段と、
酸素含有気体を供給する酸素含有気体供給手段と、
前記改質手段で改質された前記燃料電池用灯油および前記酸素含有気体供給手段で供給される前記酸素含有気体を利用して発電する発電手段と、を備えた
ことを特徴とした発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−171782(P2008−171782A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−6430(P2007−6430)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】