説明

燃料電池用電極触媒の製造方法

【課題】発電効率、出力、および信頼性の高い燃料電池を得ることができる燃料電池用電極触媒の製造方法を提供する。
【解決手段】カーボン担体上に、層状ルテニウム酸化合物から剥離した薄片粒子と、貴金属を含む触媒粒子とが担持された燃料電池用電極触媒の製造方法であって;カーボン担体に薄片粒子が担持した薄片粒子担持カーボン担体を得る工程と、薄片粒子担持カーボン担体に触媒粒子を担持させる工程とを有する製造方法;または、カーボン担体に薄片粒子が担持した薄片粒子担持カーボン担体を得る工程と、薄片粒子担持カーボン担体に触媒粒子の前駆体を担持させる工程と、前駆体を触媒粒子に変換する工程とを有する製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用電極触媒の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、固体高分子形燃料電池の高性能化が進み、電気自動車用電源、家庭用コージェネレーション、携帯機器用電源等への応用が期待されている。該燃料電池には、発電効率の向上、出力の向上、信頼性の向上等が求められており、それに伴って、燃料電池の電極の触媒層に含ませる電極触媒にも、高い活性および安定性が求められている。
【0003】
該電極触媒としては、貴金属元素(白金元素等。)を含む触媒粒子を、比表面積の大きなカーボン担体に担持した電極触媒が用いられている。
しかし、該電極触媒には、下記の問題がある。
(i)触媒粒子がカーボン担体の表面で凝集しやすい。カーボンと触媒粒子との結合が必ずしも強くないためと考えられている。触媒粒子が凝集すると、触媒粒子の反応面積が減少してしまい、電極触媒の活性が低下する。
(ii)カーボン担体が酸化劣化しやすい。下記の理由からカーボン担体が酸化劣化すると、触媒粒子がカーボン担体から遊離または凝集して電極触媒の活性が低下する。
【0004】
カーボンは約0.6V(水素電極基準)に酸化・還元の平衡電位を有するため、カーボン担体は高電位に曝されると酸化劣化しやすい上、触媒粒子そのものがカーボン酸化の触媒として作用することが報告されている。たとえば、非特許文献1〜3には、カーボン担体の腐食が固体高分子形燃料電池の高電位における性能劣化の大きな原因となっていることが示され、白金とカーボン担体劣化の関係についても言及されている。非特許文献4には、固体高分子形燃料電池において自動車用燃料電池で想定される頻繁な起動停止により発生するカソード側の酸素発生やカーボン劣化に関するモデルが議論されている。非特許文献5には、担体としてのカーボンブラックとカーボンナノファイバーとの比較が示されており、前者は後者に比較して白金触媒の劣化が大きいことが報告されている。カーボン担体が酸化劣化すると、触媒粒子がカーボン担体から遊離し、電極触媒の活性が低下する。
【0005】
カーボン担体の酸化劣化が抑えられた電極触媒としては、下記の電極触媒が提案されている。
(1)触媒粒子が担持された金属酸化物粒子(シリカ粒子等。)を、カーボン担体に担持した燃料電池用電極触媒(特許文献1)。
しかし、(1)の電極触媒には、下記の問題がある。
(i)触媒粒子が金属酸化物粒子の表面で凝集しやすい。触媒粒子が凝集すると、触媒粒子の反応面積が減少してしまい、電極触媒の活性が低下する。
(ii)触媒粒子と導電体であるカーボン担体との間に、粒子径の大きい金属酸化物粒子が介在するため、触媒粒子とカーボン担体との間の導電性が低下し、燃料電池としての出力が低下する。
【0006】
カーボン担体自体の耐久性を高めた電極としては、たとえば、下記の電極が提案されている。
(2)カーボンブラックまたは活性炭を加熱処理することで黒鉛化度を高め酸化耐性の向上を試みた燃料電池用電極(特許文献2)。
(2)の電極においては、1000℃以上の高温下でカーボン粉末を熱処理することにより黒鉛化度を上げることで耐食性を高めているが、カーボン粉末の比表面積が低下するため白金を高分散担持することができない。また,高電位環境で腐蝕消失を受けるカーボン担体に直接触媒粒子を担持している構造であることには変わりがなく,大幅に耐食性を向上するには至らないという問題がある.
【0007】
白金黒のようにカーボン担体を用いない電極触媒は、高電位保持耐性は向上するものの、燃料電池自動車のように起動停止が頻繁な用途に要求される低電位と高電位との間を繰り返し掃引する場合の耐性が充分ではない上、今後、大幅な活性向上は期待できない。
【0008】
カーボン担体上に担持された、パラジウム、金等のコアの周囲に、白金シェル層を形成したコアシェル電極触媒は、カーボン担体に白金を担持した電極触媒に比較して、同じ白金質量当たりの活性を5倍以上に向上できるとの報告がある(特許文献3)。しかし、カーボン担体の酸化の問題は解決されていない。また、燃料電池自動車で必要とされる低電位と高電位の間を掃引させる場合の耐性は報告されていない。
【0009】
一方、カーボン担体上に白金粒子を担持した電極触媒上に、層状ルテニウム酸化合物から剥離した薄片粒子を被覆することにより、電位を低電位から高電位まで繰り返し掃引したときの変化率が低減することや初期活性が向上することが報告されている(非特許文献6、7)。しかし、活性向上効果は50%程度ときわめて限定的である上、白金粒子はカーボン担体上に直接接合しているため、燃料電池自動車用として求められている高電位環境でのカーボン担体の耐食性は向上しない。さらに、既存の電極触媒上に薄片粒子を担持して電極触媒を調製する場合、白金粒子と薄片粒子との結合形成は必ずしも充分でない可能性がある上、現状では作用機構の理解も不十分であり、そのため、電極触媒の工業化においては再現性よく特性を引き出すためには薄片粒子を、過剰量を相当大きくして担持することが想定され、資源量において白金以上に制約のあるルテニウムを含む薄片粒子の量を低減することは必ずしも容易ではないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−363056号公報
【特許文献2】特開2002−273224号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/0135359号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】M. Roen, C.H. Paik, T.D. Jarvi, Electhrochem. Solid−State Lett. 7, A19(2004).
【非特許文献2】J.P. Meyers and R.M. Darling, J. of the Electrochem. Soc., 153, A1432(2006).
【非特許文献3】Z. Siroma, K. Ishii, K. Yasuda, Y. Miyazaki, M. Inaba, A. Tasaka, Electrochem. Commun., 7, 1153(2005).
【非特許文献4】D.A. Stevens, M.T. Hicks, G.M. Haugen and J.R. Dahn, J. of the Electrochem. Soc., 152, A2309(2005).
【非特許文献5】Y. Shao, G. Yin, Y. Gao, and P. Shi, J. of the Electrochem. Soc., 153, A1093(2006).
【非特許文献6】W.Sugimoto,T.Saida and Y. Takasu,Electrochem. Commun.,8,411(2006).
【非特許文献7】杉本、才田、高須、「触媒」、2006年、第48巻、p.452
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、発電効率、出力、および信頼性の高い燃料電池を得ることができる燃料電池用電極触媒の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の燃料電池用電極触媒の製造方法は、カーボン担体上に、層状ルテニウム酸化合物から剥離した薄片粒子と、貴金属を含む触媒粒子とが担持された燃料電池用電極触媒の製造方法であって、前記カーボン担体に前記薄片粒子が担持した薄片粒子担持カーボン担体を得る工程と、前記薄片粒子担持カーボン担体に前記触媒粒子を担持させる工程とを有することを特徴とする。
本発明の燃料電池用電極触媒の製造方法は、カーボン担体上に、層状ルテニウム酸化合物から剥離した薄片粒子と、貴金属を含む触媒粒子とが担持された燃料電池用電極触媒の製造方法であって、前記カーボン担体に前記薄片粒子が担持した薄片粒子担持カーボン担体を得る工程と、前記薄片粒子担持カーボン担体に前記触媒粒子の前駆体を担持させる工程と、前記前駆体を前記触媒粒子に変換する工程とを有することを特徴とする。
【0014】
これらの工程において形成される触媒粒子の多くはやや扁平で薄片粒子基体に強く束縛を受けていると推定される。これは薄片粒子と触媒粒子または触媒前駆体との結合が極めて強いためと推定される。そのため、詳細な理由は必ずしも明らかではないが、カーボン担体上に直接触媒粒子を形成させる従来の電極触媒に比較して安定であるにもかかわらず、高い活性が得られると考えられる。
【0015】
本発明の燃料電池用電極触媒の製造方法は、前記カーボン担体に前記薄片粒子が担持した薄片粒子担持カーボン担体を得る工程の前または後に、前記カーボン担体または薄片粒子担持カーボン担体に、金または金合金のナノ粒子またはナノシートを担持する工程をさらに有していてもよい。
前記金または金合金のナノ粒子の粒子径は、1〜50nmであることが好ましい。
前記金または金合金のナノシートの厚さは、1〜10nmであることが好ましい。
【0016】
前記触媒粒子は、白金を含むことが好ましい。
前記薄片粒子の厚さは、5nm以下であることが好ましい。
前記層状ルテニウム酸化合物は、層状ルテニウム酸カリウムであることが好ましい。
前記薄片粒子は、層状ルテニウム酸カリウムを酸処理して得られるプロトン型層状ルテニウム酸水和物に、(R)NH4−mもしくは(R)m−p(R’)NH4−m(式中、RおよびR’はCH(CH、m=0〜4、p=0〜3、q=0〜18、ただし、m=4、p=3、q=15、R=C1633およびR’=CHの場合を除く。)で表されるアルキルアンモニウム、または、(R)NH3−mもしくは(R)m−p(R’)NH3−m(式中、RおよびR’はCH(CH、m=0〜3、p=0〜2、q=0〜18)で表されるアルキルアミンを反応させて得られることが好ましい。
前記カーボン担体に担持された前記薄片粒子と前記触媒粒子との比は、前記薄片粒子に含まれるルテニウムと前記触媒粒子に含まれる貴金属との原子比(ルテニウム/貴金属)が0.01〜4となる比であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の燃料電池用電極触媒の製造方法によれば、発電効率、出力、および信頼性の高い燃料電池を得ることができる燃料電池用電極触媒を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書においては、式(1)で表される化合物を化合物(1)と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。
【0020】
<電極触媒>
本発明の製造方法によって得られる燃料電池用電極触媒は、カーボン担体上に、層状ルテニウム酸化合物から剥離した薄片粒子と、貴金属元素を含む触媒粒子とが担持された電極触媒である。なお、本発明においては、カーボン担体上に薄片粒子を介して触媒粒子が間接的に担持されている場合、およびカーボン担体上に触媒粒子を介して薄片粒子が間接的に担持されている場合についても、カーボン担体上に薄片粒子と触媒粒子とが担持されているものとする。
【0021】
(カーボン担体)
カーボン担体としては、ファーネスブラックのようにグラファイト化度の低いカーボンであってもよく、VulcanXC−72、アセチレンブラックやカーボンナノチューブのようにグラファイト化度の高いカーボンであってもよい。
【0022】
カーボン担体の比表面積は、10〜2000m/gが好ましく、50〜1500m/gがより好ましい。カーボン担体の比表面積が50m/g以上であれば、触媒粒子が、分散性よく担持され、電極触媒の活性が向上する。カーボン担体の比表面積が1500m/g以下であれば、ミクロ細孔の発達が抑えられ、触媒粒子がミクロ細孔内に入り込むことなく、触媒粒子を有効に活用できる。ミクロ細孔内に入り込んだ触媒粒子は、イオン交換樹脂と接触できず、反応に寄与できない。
カーボン担体の比表面積は、BET比表面積装置を用い、カーボン担体の表面への窒素吸着によって測定される。
【0023】
(触媒粒子)
触媒粒子は、貴金属を含む粒子である。
触媒粒子としては、貴金属の粒子、または貴金属合金の粒子が好ましい。
貴金属としては、白金が好ましい。貴金属合金としては、白金合金が好ましい。
白金合金としては、白金と;鉄、コバルト、ニッケル、クロム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、マンガン、イリジウム、銅、銀および金からなる群から選ばれる元素の1種以上との合金が挙げられる。
【0024】
触媒粒子の粒子径は、1〜20nmが好ましく、2〜10nmがより好ましい。触媒粒子の粒子径が該範囲内であれば、充分に高い活性を有する電極触媒が得られる。
触媒粒子の粒子径は、X線回折(XRD)法によって測定される。
【0025】
触媒粒子の金属表面積(金属分散度ともいう。)は、20〜300m/gが好ましく、50〜250m/gがより好ましい。触媒粒子の金属表面積が300m/gを超えると、触媒粒子の安定性が低下するほか、粒子径の小さすぎる触媒粒子は却って電極触媒の活性を低下させるとの報告もある。触媒粒子の金属表面積が20m/g未満では、電極触媒の活性が低くなる。
触媒粒子の金属表面積は、一酸化炭素(CO)吸着法によって測定できる。また、窒素を吹き込んだ酸水溶液中で電極電位を0V(vs.RHE)近傍から0.6Vを超える電位の間で掃引したときに得られる水素吸脱着電流と電気二重層電流との差から推定することもできる。
【0026】
触媒粒子の担持率は、電極触媒(100質量%)中、5〜80質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましい。触媒粒子の担持率が5質量%以上であれば、電極触媒の活性が向上する。触媒粒子の担持率が80質量%以下であれば、触媒粒子が凝集しにくく、電極触媒の活性が向上する。
触媒粒子の担持率は、触媒粒子を酸で溶解し、溶出イオンの濃度を測定することにより求めることができる。
【0027】
(薄片粒子)
薄片粒子は、層状ルテニウム酸化合物から剥離した、形状異方性(たとえば、厚さ1nm以下、一辺の長さ数百nm。)のルテニウム酸ナノシートである。
層状ルテニウム酸化合物としては、層状ルテニウム酸カリウムが特に好適であり、KRuO2+0.5x・nHOで表される。
xは、焼成温度、焼成時間、原料の混合比等の合成条件によって異なり、0<x<1を満たす。
含水量nは、乾燥条件によって異なり、0〜10の範囲で変動する。室温乾燥では、n=0.7、120℃乾燥では0〜0.4である。
【0028】
薄片粒子としては、層状ルテニウム酸カリウムを酸処理して得られるプロトン型層状ルテニウム酸水和物に、(R)NH4−mもしくは(R)m−p(R’)NH4−m(式中、RおよびR’はCH(CH、m=0〜4、p=0〜3、q=0〜18、ただし、m=4、p=3、q=15、R=C1633およびR’=CHの場合を除く。)で表されるアルキルアンモニウム、または、(R)NH3−mもしくは(R)m−p(R’)NH3−m(式中、RおよびR’はCH(CH、m=0〜3、p=0〜2、q=0〜18)で表されるアルキルアミンを反応させて得られるルテニウム酸水和物ナノシートが好ましい。該薄片粒子は、電子伝導性を有することが確認されており、触媒粒子とカーボン担体の間に複数層の薄片粒子が介在しても触媒粒子とカーボン担体の間に充分な電子伝導性が得られる。
【0029】
原料の層状ルテニウム酸化合物により薄片粒子の厚さは異なるが、代表的な薄片粒子の厚さは、約0.4〜5nmであり、0.4〜2nmが好ましい。
薄片粒子の厚さは、原料の層状ルテニウム酸化合物の断面を透過型電子顕微鏡で測定することで確認できる。また、薄片粒子の分散液に、水溶液中で安定な固体物質(たとえば、石英ガラス板、シリコンウェハー、マイカ板、グラファイト板、アルミナ板等。)を充分に洗浄したものを浸漬し、純水で洗浄した後、乾燥して、固体物質の表面に薄片粒子の単層を形成し、該薄片粒子の厚さを、AFM(分子間力顕微鏡)を用いて測定できる。
【0030】
薄片粒子の担持率は、カーボン担体100質量部に対して、0.01〜50質量部が好ましく、0.01〜40質量部がより好ましい。薄片粒子の担持率が0.02質量部以上であれば、カーボン担体の酸化劣化が充分に抑えられる。薄片粒子の担持率が50質量部以下であれば、カーボン担体への担持が容易であり、比較的短時間に担持を終えることができる。
薄片粒子の担持率は、蛍光X線法による元素分析から求めることができる。また、担持率が特に高い場合には、たとえば炭酸ナトリウムを用いるアルカリ溶融法により溶解してルテニウムの存在量を定量して担持率を求めることができる。
【0031】
前記カーボン担体に担持された前記薄片粒子と前記触媒粒子との比は、前記薄片粒子に含まれるルテニウムと前記触媒粒子に含まれる貴金属との原子比(ルテニウム/貴金属)が0.01〜4となるような比が好ましい。ルテニウム/貴金属(原子比)が0.01以上であれば、カーボン担体の酸化劣化が充分に抑えられる。ルテニウム/貴金属(原子比)が4以下であれば、触媒粒子とカーボン担体との間の導電性の低下が抑えられる。
ルテニウム/貴金属(原子比)は、蛍光X線法により求めることができる。
【0032】
薄片粒子は、たとえば、特開2004−315347号公報に記載された、下記の工程(a)〜(d)を有する方法により製造できる。
(a)アルカリ金属型層状ルテニウム酸化合物を得る工程。
(b)アルカリ金属型層状ルテニウム酸化合物を酸性溶液中で処理し、アルカリ金属の少なくとも一部をプロトンで交換してプロトン型層状ルテニウム酸水和物を得る工程。
(c)プロトン型層状ルテニウム酸水和物にアルキルアンモニウムまたはアルキルアミンを反応させてアルキルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物を得る工程。
(d)アルキルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物を溶媒と混合し、1nm以下の厚さを有するルテニウム酸ナノシートの分散液を得る工程。
【0033】
工程(a):
工程(a)で得られるアルカリ金属型層状ルテニウム酸化合物は、たとえば、化合物(1)である。
RuO2+0.5x・nHO ・・・(1)。
ただし、Mは、アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs等。)であり、0<x<1、0≦n≦10である。
【0034】
化合物(1)を得る方法としては、下記の方法(a−1)〜(a−4)が挙げられる。
(a−1)アルカリ金属炭酸塩またはアルカリ金属硝酸塩と、酸化ルテニウムとを混合し、得られた混合物を好ましくは不活性雰囲気中において、700〜900℃の温度で加熱処理する方法(固相反応法)。
(a−2)アルカリ金属水酸化物と酸化ルテニウムとを混合し、得られた混合物を500〜700℃で溶融処理する方法(溶融法)。
(a−3)層状ルテニウム酸化合物とアルカリ金属硝酸塩とを混合し、得られた混合物を好ましくは不活性雰囲気中において、アルカリ金属硝酸塩の融点以上の温度で溶融処理する方法(溶融イオン交換法)。
(a−4)プロトン型層状ルテニウム酸水和物をアルカリ金属の水酸化物(水酸化カリウム等。)または塩化物(塩化カリウム等。)の水溶液に分散し、撹拌する方法。
【0035】
工程(b):
工程(b)で得られるプロトン型層状ルテニウム酸水和物は、たとえば、化合物(2)または化合物(3)である。
x−yRuO2+0.5x・nHO ・・・(2)。
ただし、Mは、アルカリ金属であり、0<x<1、0≦y<x、0≦n≦10である。
【0036】
x−yRuO2+0.5x・nHO ・・・(3)。
ただし、Mは、2価の金属(Mg、Ca、Sr、Ba等。)または3価の金属(Y、Ln等。)であり、0<x<1、0≦y<x、0≦n≦10である。
【0037】
化合物(2)を得る方法としては、下記の方法(b−1)が挙げられる。
(b−1)アルカリ金属型層状ルテニウム酸化合物を、酸性水溶液中でプロトン交換反応させる方法(プロトン交換法)。
【0038】
化合物(3)を得る方法としては、下記の方法(b−2)が挙げられる。
(b−2)化合物(2)を、2価の金属イオンまたは3価の金属イオンを含む水溶液と反応させる方法(溶液イオン交換法)。
【0039】
工程(c):
工程(c)で得られるアルキルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物は、層状ルテニウム酸化合物にアルキルアンモニウムがインターカレートした構造を有する化合物である。該化合物は、たとえば、化合物(4)である。
x−yy−zRuO2+0.5x・nHO ・・・(4)。
ただし、Mは、アルカリ金属であり、Bは、化合物(5)または化合物(6)であり、0<x<1、0≦y<x、0≦z<y、0≦n≦10である。
【0040】
(R)NH4−m ・・・(5)、
(R)m−p(R’)NH4−m ・・・(6)。
ただし、RおよびR’は、それぞれ炭素数1〜19のアルキル基であり、mは、0〜4の整数であり、pは、0〜3の整数である。
【0041】
化合物(4)を得る方法としては、下記の方法(c−1)〜(c−3)が挙げられる。
(c−1)プロトン型層状ルテニウム酸水和物を、アルキルアンモニウム塩を含む溶液と混合し、両者を反応させる方法(イオン交換法)。
(c−2)プロトン型層状ルテニウム酸水和物を、アルキルアミンを含む溶液と混合し、両者を反応させる方法(酸塩基反応法)。
(c−3)化合物(4)を得た後、さらに第2のアルキルアンモニウム塩を含む溶液と混合し、両者を反応させる方法(ゲスト交換反応法)。
【0042】
工程(d):
層間化合物を溶媒に分散させると、層間化合物から薄片粒子(ナノシート)が一層単位で剥離し、ルテニウム酸の薄片粒子が分散した分散液(コロイド)が得られる。なお、該分散液には、薄片粒子がいくつか重なった積層体が部分的に含まれていてもよい。
溶媒としては、高誘電率溶媒が好ましい。高誘電率溶媒としては、水、アルコール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネート等が挙げられ、誘電率が高く、粘性率が低く、沸点が低い点から、水、アルコールまたはアセトニトリルが好ましく、メタノールが特に好ましい。
【0043】
(金または金合金のナノ粒子またはナノシート)
カーボン担体上に薄片粒子および触媒粒子を担持することで、高活性で高安定な電極触媒が得られるが、さらに、金または金合金(ただし、白金は含まない。)のナノ粒子またはナノシートを担持することによって、一層高い触媒特性が得られる。
【0044】
金または金合金のナノ粒子の粒子径は、1〜50nmが好ましく、1〜20nmがより好ましい。粒子径が小さすぎると、安定性が不充分となる。粒子径が50nmを超えると、薄片粒子や触媒粒子との充分な相互作用を得ることが難しくなる。
金または金合金のナノシートの厚さは、1〜10nmが好ましい。薄すぎると安定性が不充分となるほか、調製も難しくなる。厚すぎると、金属量当たりの表面積が減少するため、効果が不充分となる。
金合金は、安定性を確保する点から、金を20質量%以上含むことが好ましい。合金成分としては、パラジウム、ロジウム、銀、銅、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、レニウムが好適である。
【0045】
<電極触媒の製造方法>
本発明の燃料電池用電極触媒の製造方法としては、下記の方法(I)、(II)が挙げられる。
【0046】
(方法(I))
方法(I)は、下記の工程(I−1)、(I−2)を有する方法である。
(I−1)カーボン担体に薄片粒子が担持した薄片粒子担持カーボン担体を得る工程。
(I−2)薄片粒子担持カーボン担体に触媒粒子を担持させて燃料電池用電極触媒を得る工程。
【0047】
工程(I−1):
薄片粒子の分散液と、カーボン担体またはその分散液とを混合し、撹拌して混合液を得る。
混合液から沈澱物を回収した後、沈澱物を乾燥して薄片粒子担持カーボン担体を得る。
【0048】
撹拌方法としては、機械的に撹拌する方法、超音波照射により撹拌する方法等が挙げられる。
沈澱物の回収方法としては、混合液を静置し、上澄み液と沈澱物とに分離した後、上澄み液を除去する方法;混合物をろ過する方法等が挙げられる。
乾燥温度は、80〜300℃が好ましい。
【0049】
工程(I−2):
触媒粒子のコロイド液と、薄片粒子担持カーボン担体またはその分散液とを混合し、撹拌して混合液を得る。
混合液から沈澱物を回収した後、沈澱物を乾燥して燃料電池用電極触媒を得る。
【0050】
触媒粒子のコロイド液の分散媒としては、水、アルコール等が挙げられる。
撹拌方法、沈澱物の回収方法としては、工程(I−1)における方法と同様の方法が挙げられる。
乾燥温度は、80〜300℃が好ましい。
【0051】
(方法(II))
方法(II)は、下記の工程(II−1)〜(II−3)を有する方法である。
(II−1)カーボン担体に薄片粒子が担持した薄片粒子担持カーボン担体を得る工程。
(II−2)薄片粒子担持カーボン担体に触媒粒子の前駆体を担持させて燃料電池用電極触媒の前駆体を得る工程。
(II−3)触媒粒子の前駆体を触媒粒子に変換して燃料電池用電極触媒を得る工程。
【0052】
工程(II−1):
工程(II−1)は、工程(I−1)と同様に行う。
【0053】
工程(II−2):
触媒粒子の前駆体の溶液と、薄片粒子担持カーボン担体またはその分散液とを混合し、撹拌して混合液を得る。
混合液から沈澱物を回収した後、沈澱物を乾燥して燃料電池用電極触媒の前駆体を得る。
【0054】
触媒粒子の前駆体とは、還元することにより触媒粒子となる化合物である。触媒粒子の前駆体としては、溶媒に溶解できるものを用いる。具体的な触媒粒子の前駆体としては、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液、ジニトロジアンミン白金、塩化白金酸、塩化白金酸塩等が挙げられる。
触媒粒子の前駆体の溶液の溶媒としては、水、アルコール等が挙げられる。
撹拌方法、沈澱物の回収方法としては、工程(I−1)における方法と同様の方法が挙げられる。
乾燥温度は、80〜300℃が好ましい。
【0055】
工程(II−3):
触媒粒子の前駆体を触媒粒子に変換する方法としては、ギ酸、エタノール、メタノール、アミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、チオ硫酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸、ホルムアルデヒド、水素等による還元等が挙げられる。
たとえば、ヒドラジン等の水溶液で供給できるものは、濃度0.1〜40質量%の水溶液とし供給できる。水素化ホウ素ナトリウムなどの固体はそのまま供給できる。水素等の常温でガス状の物質は、バブリングで供給できる。
【0056】
(金または金合金のナノ粒子またはナノシートの担持)
金または金合金のナノ粒子またはナノシートを担持させる場合、前述した方法(I)または(II)において、カーボン担体に薄片粒子が担持した薄片粒子担持カーボン担体を得る工程の前または後に、金または金合金のナノ粒子またはナノシートを担持させることが好ましい。具体的には、以下のように行うことができる。
【0057】
方法A:
工程(I−1)または工程(II−1)によりカーボン担体に薄片粒子が担持した薄片粒子担持カーボン担体を得た後、金または金合金のナノ粒子コロイド溶液と混合して、金または金合金のナノ粒子を担持させる。これを水洗後80〜300℃で乾燥させた後、工程(I−2)または工程(II−2)、(II−3)を行う。
【0058】
方法B:
工程(I−1)または工程(II−1)によりカーボン担体に薄片粒子が担持した薄片粒子担持カーボン担体を得た後、金または金合金の元素を含む金属塩をカーボン担体上に担持し、還元して、金または金合金のナノ粒子を担持させる。これを水洗後80〜300℃で乾燥させた後、工程(I−2)または工程(II−2)、(II−3)を行う。
【0059】
方法C:
工程(I−1)または工程(II−1)によりカーボン担体に薄片粒子が担持した薄片粒子担持カーボン担体を得た後、金または金合金のナノシートの分散液と混合して、金または金合金のナノシートを担持させる。これを水洗後80〜300℃で乾燥させた後、工程(I−2)または工程(II−2)、(II−3)を行う。
【0060】
方法D:
カーボン担体と金または金合金のナノ粒子コロイド溶液とを混合して、カーボン担体上に金または金合金のナノ粒子を担持させる。これを水洗後80〜300℃で乾燥させた後、工程(I−1)または工程(II−1)により薄片粒子を担持させる。さらに、工程(I−2)または工程(II−2)、(II−3)を行う。
【0061】
方法E:
カーボン担体と金または金合金のナノシートの分散液とを混合して、カーボン担体上に金または金合金のナノシートを担持させる。これを水洗後80〜300℃で乾燥させた後、工程(I−1)または工程(II−1)により薄片粒子を担持させる。さらに、工程(I−2)または工程(II−2)、(II−3)を行う。
【0062】
金の融点は1063℃と低く、析出基体との相互作用が弱い場合や金合金中の金含量が多い場合には微粒子を得ることが困難な場合が多い。そのため、特に数nmの小さい粒子径の金または金合金のナノ粒子を担持させる場合は、金または金合金のナノ粒子を溶液中に分散させたコロイド粒子を用いることが有効である。粒子径が10nmを超えるナノ粒子を担持させる場合は、金または金合金を構成する元素を含む塩をカーボン担体上に担持して還元する方法が適用できる。薄片粒子を担持した後では金または金合金を構成する金属塩を担持した後に還元することで、粒径が10nm以下のナノ粒子を形成することが可能である。
なお、金属コロイドや薄片粒子には通常保護剤が含まれるが、保護剤は酸による洗浄、硫酸等の適当な電解質溶液中での電解酸化、または空気中での酸化等、保護剤の種類により適宜処理することで特性を調整できる。
【0063】
以上説明した本発明の製造方法で得られた燃料電池用電極触媒にあっては、下記の理由から発電効率、出力、および信頼性の高い燃料電池を得ることができると考えられる。
(i)触媒粒子の間に薄片粒子が介在することによって、触媒粒子の凝集が抑制され、電極触媒の活性が低下しにくい。そして、電極触媒の活性および安定性が高ければ、燃料電池の発電効率、出力、および信頼性も高くなる。
(ii)触媒粒子とカーボン担体との間に薄片粒子が介在することによって、カーボン担体の酸化劣化が抑えられる。その結果、触媒粒子のカーボン担体からの遊離が抑えられ、電極触媒の活性が低下しにくい。そして、電極触媒の活性および安定性が高ければ、燃料電池の発電効率、出力、および信頼性も高くなる。
(iii)触媒粒子とカーボン担体との間に介在する薄片粒子はたいへん薄いため、従来の、比較的粒子径の大きい球状の金属酸化物粒子に比べ、触媒粒子とカーボン担体との間の導電性を低下させにくい。その結果、燃料電池の出力が低下しにくい。
(iv)触媒粒子とルテニウムを含む酸化物の薄片粒子が接触することにより触媒粒子が安定化するため、触媒粒子が溶解しにくくなる。
(v)金または金合金のナノ粒子またはナノシートをあらかじめ担持する場合は、金または金合金のナノ粒子またはナノシートを安定化させるとともに、薄片粒子を介して電子が触媒粒子に供与され、触媒粒子の活性および安定性が増加すると考えられる。
【0064】
本発明の製造方法で得られた燃料電池用電極触媒は、空気が供給されるカソードの触媒層の電極触媒に用いることが好ましい。また、本発明の製造方法で得られた燃料電池用電極触媒は、水素が供給されるアノードの触媒層の電極触媒に用いてもよい。
【0065】
<膜電極接合体>
図1は、固体高分子形燃料電池用膜電極接合体(以下、膜電極接合体と記す。)の一例を示す概略断面図である。膜電極接合体10は、触媒層11およびガス拡散層12を有するアノード13と、触媒層11およびガス拡散層12を有するカソード14と、アノード13とカソード14との間に、触媒層11に接した状態で介在する電解質膜15とを具備する。
【0066】
(触媒層)
触媒層11は、電極触媒およびイオン交換樹脂を含む。
触媒層11は、少なくとも一方の触媒層11が本発明の製造方法で得られた燃料電池用電極触媒を含むことが好ましく、カソード14の触媒層11が本発明の製造方法で得られた燃料電池用電極触媒を含むことがより好ましく、両方の触媒層11が本発明の製造方法で得られた燃料電池用電極触媒を含むことが特に好ましい。
【0067】
イオン交換樹脂のイオン交換容量は、導電性およびガス透過性の点から、0.5〜2.0ミリ当量/グラム乾燥樹脂が好ましく、0.8〜1.5ミリ当量/グラム乾燥樹脂が特に好ましい。
【0068】
イオン交換樹脂としては、耐久性の点から、イオン性基を有する含フッ素重合体が好ましい。イオン性基としては、スルホン酸基、カルボン酸基等が挙げられる。
イオン性基を有する含フッ素重合体としては、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体(エーテル性酸素原子を含んでいてもよい。)が好ましく、テトラフルオロエチレン(以下、TFEと記す。)に基づく単位と、スルホン酸基を有する繰り返し単位とを有する共重合体(以下、共重合体Hと記す。)が特に好ましい。スルホン酸基を有する繰り返し単位としては、下式(7)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0069】
【化1】

【0070】
ただし、Xはフッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、mは0〜3の整数であり、nは1〜12の整数であり、pは0または1である。
【0071】
共重合体Hは、TFEおよび−SOF基を有するモノマーの混合物を重合して前駆体ポリマーFを得た後、前駆体ポリマーF中の−SOF基をスルホン酸基に変換することにより得られる。−SOF基のスルホン酸基への変換は、加水分解および酸型化処理により行われる。
【0072】
−SOF基を有するモノマーとしては、化合物(8)が好ましい。
CF=CF(OCFCFX)−O−(CF−SOF ・・・(8)。
ただし、mは0〜3の整数であり、nは1〜12の整数であり、pは0または1であり、XはFまたはCFである。
【0073】
化合物(8)としては、化合物(8−1)〜(8−3)が好ましい。
CF=CFO(CFSOF ・・・(8−1)、
CF=CFOCFCF(CF)O(CFSOF ・・・(8−2)、
CF=CF(OCFCF(CF))O(CFSOF ・・・(8−3)。
ただし、q、r、sは1〜8の整数であり、tは1〜3の整数である。
【0074】
電極触媒とイオン交換樹脂との比(電極触媒/イオン交換樹脂)は、導電性および撥水性の点から、0.4/0.6〜0.95/0.05(質量比)が好ましく、0.6/0.4〜0.8/0.2(質量比)がより好ましい。
【0075】
(ガス拡散層)
ガス拡散層12としては、カーボンクロス、カーボンペーパー、カーボンフェルト等が挙げられる。
ガス拡散層は、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す。)等によって撥水処理されていることが好ましい。
【0076】
(カーボン層)
アノード13およびカソード14は、触媒層11とガス拡散層12との間にカーボン層(図示略)を有していてもよい。カーボン層を配置することにより、触媒層11の表面のガス拡散性が向上し、固体高分子形燃料電池の発電性能が大きく向上する。
【0077】
カーボン層は、カーボンと非イオン性含フッ素重合体とを含む層である。
カーボンとしては、繊維径1〜1000nm、繊維長1〜1000μm以下のカーボンナノファイバーが好ましい。
非イオン性含フッ素重合体としては、PTFE等が挙げられる。
【0078】
(電解質膜)
電解質膜15としては、イオン交換樹脂の膜が挙げられる。
イオン交換樹脂としては、触媒層11のイオン交換樹脂と同様のものが挙げられる。
【0079】
電解質膜15は、補強材を含んでいてもよい。補強材としては、多孔体、繊維、織布、不織布等が挙げられる。補強材の材料としては、PTFE、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド等が挙げられる。
【0080】
<固体高分子形燃料電池>
膜電極接合体と、ガスの流路となる溝が形成されたセパレータとを交互に積み重ね、いわゆるスタックを構成することにより、固体高分子形燃料電池が得られる。
セパレータとしては、金属製セパレータ、カーボン製セパレータ、黒鉛と樹脂とを混合した材料からなるセパレータ等、各種導電性材料からなるセパレータが挙げられる。
該固体高分子形燃料電池においては、カソードに酸素を含むガス、アノードに水素を含むガスを供給することにより、発電が行われる。また、アノードにメタノールを供給して発電を行うメタノール燃料電池にも、膜電極接合体を適用できる。
【実施例】
【0081】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されない。
例1〜10は実施例であり、例11〜13は比較例である。
【0082】
(薄片粒子の厚さ)
薄片粒子の分散液に、シリコンウェハー(Agar社、スーパースムーズシリコン台板(マウント)、製品番号G3390)を充分に洗浄したものを浸漬し、純水で洗浄した後、乾燥して、薄片粒子の単層を形成し、該薄片粒子の厚さを、AFM(分子間力顕微鏡)を用いて測定した。
【0083】
(触媒粒子の粒子径)
触媒粒子の粒子径は、透過型電子鏡(TEM)を用いて測定した。具体的には、触媒粒子を純水中に分散させ、適当量を試料ホルダーに固定したものについて、複数の視野における50個の粒子径を平均して求めた。
【0084】
(触媒粒子の金属表面積)
触媒粒子の金属表面積(金属分散度)は、CO吸着法によって測定した。具体的には、パルス吸着装置(日本ベル社製、BEL−CAT)を用い、30mgの触媒粒子をヘリウム、酸素、ヘリウム、水素、ヘリウムの順に流通ガスで前処理を施した後、ヘリウムをキャリアガスとしてCOをパルス状に供給し、排出ガス中のCO量が一定になるまでのパルス数から吸着水素量を計算して、触媒粒子の金属表面積を求めた。なお、本方法で評価する程の触媒量が得られない場合には、後述する電極触媒の活性に記載の方法と同様にして、GC(グラッシーカーボン)上に触媒粒子を堆積し,酸水溶液中で0.05〜1.2V(RHE基準)で掃引したときに得られる水素の吸脱着波から推定する方法(高須芳雄、吉武優、石原達己編、「燃料電池の解析手法」、化学同人、2005年、第4章を参照)を用いて測定した。
【0085】
(触媒粒子の担持率)
触媒粒子の担持率は、触媒粒子を酸で溶解して得た金属塩の液をICP発光分析法で定量し求めた。
【0086】
(ルテニウムと貴金属との原子比)
カーボン担体に担持された、薄片粒子に含まれるルテニウムと触媒粒子に含まれる貴金属との原子比(ルテニウム/貴金属)は、蛍光X線法を用いて求めた。
【0087】
(電極触媒の活性)
電極触媒をフッ素系溶剤(旭硝子社製、AE−3000)とHPLC用テトラヒドロフラン(THF)との混合溶媒(1:1質量比)中に分散させた分散液を、回転電極装置(北斗電工社社製、HR−301)に附属の回転リングディスク電極のGC(グラッシーカーボン)ディスク上に、マイクロピペットを用いて滴下、乾燥し、電極触媒をできるだけ均一に堆積した。該回転リングディスク電極を60℃、0.5M硫酸水溶液中にセットし、窒素を吹き込んだ。最初に、回転リングディスク電極の表面を清浄化するために、500mV/sの掃引速度で、0.05〜1.2V(RHE基準)の間を40回掃引した。ついで、酸素を吹き込んだ後、1.2Vから0.05Vに向けて、0.5mV/sの掃引速度で掃引して還元電流を測定した。回転数:1000rpm、電位:0.8V(vs. RHE)における単位白金量当たりの電流値を、電極触媒の酸素還元活性とした。該電流値が高ければ、燃料電池の発電効率および出力(出力電流×出力電位)も高いといえる。
【0088】
(電極触媒の安定性)
窒素を吹き込んだ、60℃、0.5M硫酸水溶液中で、前記電極触媒を担持した回転リングディスク電極の電位を0.05V〜1.2V(vs. RHE)の間で300回繰り返し掃引した。その後、酸素を吹き込んだ0.5M硫酸水溶液中で、回転数:1000rpm、電位:0.8V(vs. RHE)の条件下に電流値を測定した。単位白金量当たりの電流値を、電極触媒の酸素還元活性とした。該電流値が高ければ、電極触媒の安定性が高いといえ、燃料電池の信頼性も高いといえる。
【0089】
〔例1〕
特開2004−315347号公報の実施例1に記載の方法にしたがって、0.4質量%のルテニウム酸の薄片粒子の分散液を得た。薄片粒子の厚さは0.45nmであった。
【0090】
薄片粒子の分散液の2.6mLを20倍に希釈し、カーボンブラック(三菱化学社製、ケッチェンブラック、BET比表面積:800m/g。)の0.5gを入れ、超音波照射下で1時間撹拌した。上澄み液を除去した後、回収された沈澱物を150℃で乾燥し、薄片粒子担持カーボン担体を得た。
【0091】
10質量%白金を含むジニトロジアンミン白金硝酸水溶液(石福金属興業社製)を、ロータリーエバポレータを用いて60℃で硝酸を除去した後、適当量のエタノールを添加して、ジニトロジアンミン白金エタノール溶液を調製した。薄片粒子担持カーボン担体の5gをエタノール中に入れ、超音波照射下で30分間撹拌してから、白金量として0.5gを含むジニトロジアンミン白金エタノール溶液を添加し、超音波を30分間印加したのち、ゆっくり乾燥して、電極触媒の前駆体を得た。電極触媒の前駆体を電気炉に入れ、水素を10体積%含む窒素ガスを流しながら、ゆっくりと加熱して200℃まで昇温した。2時間保持した後、加熱を停止し、温度が70℃まで降下したら窒素ガスに切り替えて、充分に時間が経過した後、電気炉より取りだして電極触媒を得た。
【0092】
電極触媒における白金粒子の粒子径は2.6nmであり、白金粒子の金属表面積は83m/gであった。また、白金粒子の担持率は、44質量%であり、担持されたルテニウム/白金(原子比)は、0.03であった。
該電極触媒について、活性およびその安定性を評価した。結果を表1に示す。高い初期活性と安定性が得られた。
【0093】
〔例2〕
例1と同様にして調製した0.02質量%の薄片粒子の分散液の50mLに、カーボンブラック(ケッチェンブラックEC−600JD、BET比表面積:1240m/g。)の0.05gを入れ、超音波照射下で30分間撹拌した後、水洗、乾燥した。ジニトロジアンミン白金硝酸溶液(石福金属興業社製)の0.4mLを加えて撹拌した後、室温乾燥した。その後、90℃で乾燥して電極触媒の前駆体を得た。
電極触媒の前駆体を200℃、水素気流中で2時間還元して、電極触媒を得た。白金粒子の担持率は39.8質量%であり、ルテニウム/白金(原子比)は0.37であり、白金粒子の粒子径は2.1nmであった。例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0094】
〔例3〕
例1と同様にして調製した0.02質量%の薄片粒子の分散液の100mLに、カーボンブラック(バルカンXC−72R、BET比表面積:約240m/g。)の0.05gを入れ、超音波照射下で30分間撹拌した後、水洗、乾燥した。白金を10質量%含むジニトロジアンミン白金硝酸溶液(石福金属興業社製)の0.3mLを加えて撹拌した後、室温乾燥した。その後、90℃で乾燥して電極触媒の前駆体を得た。
電極触媒の前駆体を200℃、水素気流中で2時間還元して、電極触媒を得た。白金粒子の担持率は29.7質量%であり、ルテニウム/白金(原子比)は0.98であり、白金粒子の粒子径は2.2nmであった。例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0095】
〔例4〕
例1と同様にして調製した0.4質量%の薄片粒子の分散液の5mLに、エタノールの1mLを添加し、超音波撹拌を行った。これに、外径:20〜60nm、長さ:1〜20μmの仕様を満たすカーボンナノチューブの0.06gを添加して、超音波を印加した。静置後、白金を10質量%含むジニトロジアンミン白金硝酸溶液(石福金属興業社製)の3mLを添加、撹拌し静置した。室温で乾燥後、90℃で一日乾燥して電極触媒の前駆体を得た。
電極触媒の前駆体を200℃、水素気流中で還元して、電極触媒を得た。白金粒子の担持率は29.6質量%であり、ルテニウム/白金(原子比)は0.49であり、白金粒子の粒子径は2.5nmであった。例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0096】
〔例5〕
例1と同様にして、カーボン担体に対して10質量%の薄片粒子を担持した、薄片粒子担持カーボン担体の60mgを、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液(石福金属興業社製)の0.26mL、硝酸パラジウムの30mgおよび超純水の1mlを混合して調製した含浸液に入れ、撹拌した後、室温乾燥した。その後、90℃で乾燥して電極触媒の前駆体を得た。
電極触媒の前駆体を200℃、水素気流中で2時間還元した後、300℃で1時間熱処理して電極触媒を得た。白金粒子の担持率は38.0質量%であり、ルテニウム/[白金+パラジウム]の原子比は0.28であり、白金粒子の粒子径は3.1nmであった。例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0097】
〔例6〕
例1と同様にして、カーボン担体に対して10質量%の薄片粒子を担持した、薄片粒子担持カーボン担体の60mgを、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液(石福金属興業社製)の0.45mL、硝酸コバルトの22mgおよび超純水の0.9mLを混合して調製した含浸液に入れ、撹拌、静置した後、室温で乾燥した。その後、90℃で乾燥して電極触媒の前駆体を得た。
電極触媒の前駆体を200℃、水素気流中で2時間還元した後、350℃で1時間熱処理して、電極触媒を得た。白金粒子の担持率は32.1質量%であり、ルテニウム/白金(原子比)は0.58であり、白金粒子の粒子径は3.8nmであった。例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0098】
〔例7〕
金コロイド溶液(田中貴金属工業社製、粒子径:17.2nm、金濃度:66ppm)の154mLに、例1と同様にして調製した薄片粒子担持カーボン担体の60mgを含む分散液の25mLを添加し、撹拌、混合して、金ナノ粒子を担持させた。水洗後、120℃で乾燥した。金ナノ粒子−薄片粒子担持カーボン担体を、白金を1質量%含むジニトロジアンミン白金エタノール溶液の3mLに入れ、撹拌した後、35℃で減圧乾燥して、白金塩を担持させた。ついで、水素中、200℃、2時間の条件で還元し、電極触媒を得た。該電極触媒の白金粒子の担持率は29.8質量%であり、白金粒子の粒子径は2.2nmであった。窒素を吹き込んだ0.5M硫酸水溶液中で電位掃引(CV法:サイクリックボルタンメトリ)で測定した水素吸脱着波と例1で測定した脱着波の値から推定した金属表面積の比は2.7倍であった。例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0099】
〔例8〕
金コロイド溶液(粒子径:10.5nm、金濃度:60ppm)の170mLに、カーボンブラック(バルカンXC−72R、BET比表面積:約240m/g。)の50mgを入れ、撹拌、混合して、金ナノ粒子を担持させた。水洗後、120℃で乾燥した。金ナノ粒子担持カーボン担体を、例7で用いたものと同様の、薄片粒子を0.04質量%含む分散液の25mLに添加し、撹拌、混合して、薄片粒子を担持させた。洗浄後、120℃で乾燥した。金ナノ粒子−薄片粒子担持カーボン担体に、例7と同様にして、白金粒子を担持させ、電極触媒を得た。該電極触媒の白金粒子の担持率は29.7質量%であり、白金粒子の粒子径は2.3nmであった。例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0100】
〔例9〕
例1と同様にして調製した0.4質量%の薄片粒子の分散液の5mLに、エタノールの1mLを添加し、超音波撹拌を行った。これに、外径:20〜60nm、長さ:1〜20μmの仕様を満たすカーボンナノチューブの0.06gを添加して、超音波を印加した。該分散液を、金コロイド溶液(粒子径:10.5nm、金濃度:60ppm)の170mLに入れ、超音波を印加した。洗浄後、120℃で乾燥した。金ナノ粒子−薄片粒子担持カーボン担体に、例7と同様にして、白金粒子を担持させ、電極触媒を得た。該電極触媒の白金粒子の担持率は29.6質量%であり、白金粒子の粒子径は2.4nmであった。例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0101】
〔例10〕
金−パラジウム合金コロイド溶液(粒子径:10.5nm、貴金属濃度:60ppm、金:パラジウム(原子比)=9:1)の170mLに、カーボンブラック(ケッチェンブランク、BET比表面積:840m/g。)の50mgを入れ、撹拌、混合して、金ナノ粒子を担持させた。水洗後、120℃で乾燥した。金ナノ粒子担持カーボン担体を、例8で用いたものと同様の、薄片粒子を0.04質量%含む分散液の25mLに添加し、撹拌、混合して、薄片粒子を担持させた。洗浄後、120℃で乾燥した。金ナノ粒子−薄片粒子担持カーボン担体に、例5と同様にして、白金粒子を担持させ、電極触媒を得た。該電極触媒の白金粒子の担持率は29.5質量%であり、白金粒子の粒子径は2.1nmであった。例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す
【0102】
〔例11〕
エタノール中にカーボンブラック(ケッチェンブラック、BET比表面積:800m/g。)の0.4gを分散し、白金量として0.37gを含む例1と同様にして調製したジニトロジアンミン白金エタノール溶液を添加して、超音波照射下で30分間撹拌した。例1と同様に乾燥して電極触媒の前駆体を得た。
電極触媒の前駆体を電気炉に入れ、水素を10%含む窒素気流中、徐々に温度を上げ、200℃に2時間保持した。加熱を停止し、70℃に下がったら、窒素ガスを流して、冷却し電極触媒を得た。
電極触媒における白金粒子の粒子径は2.8nmであり、白金粒子の金属表面積は80m/gであった。また、白金粒子の担持率は、40.2質量%であった。
該電極触媒について、活性およびその安定性を評価した。結果を表1に示す。
【0103】
〔例12〕
カーボン担体として薄片粒子を担持しないケッチェンブラックの60mgを用いた以外は、例10と同様にして、カーボン担体に白金−パラジウム触媒を担持した電極触媒を得た。触媒粒子の担持率は48.5%であり、触媒粒子の粒子径は3.6nmであった。例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0104】
〔例13〕
カーボン担体として、2000℃で熱処理したケッチェンブラックを用いた以外は、例11と同様にして白金粒子を担持させた。白金粒子の担持率は47質量%であり、白金粒子の粒子径は3.5nmであった。例1と同様にして特性を評価した。結果を表1に示す。
【0105】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の製造方法で得られた燃料電池用電極触媒は、活性が高く、安定性に優れていることから、該電極触媒を用いた燃料電池は、発電効率、出力、信頼性等が高い。該燃料電池は、電気自動車用電源、家庭用コージェネレーション、携帯機器用電源等として有用である。
【符号の説明】
【0107】
10 膜電極接合体
11 触媒層
12 ガス拡散層
13 アノード
14 カソード
15 電解質膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボン担体上に、層状ルテニウム酸化合物から剥離した薄片粒子と、貴金属を含む触媒粒子とが担持された燃料電池用電極触媒の製造方法であって、
前記カーボン担体に前記薄片粒子が担持した薄片粒子担持カーボン担体を得る工程と、
前記薄片粒子担持カーボン担体に前記触媒粒子を担持させる工程と
を有する、燃料電池用電極触媒の製造方法。
【請求項2】
カーボン担体上に、層状ルテニウム酸化合物から剥離した薄片粒子と、貴金属を含む触媒粒子とが担持された燃料電池用電極触媒の製造方法であって、
前記カーボン担体に前記薄片粒子が担持した薄片粒子担持カーボン担体を得る工程と、
前記薄片粒子担持カーボン担体に前記触媒粒子の前駆体を担持させる工程と、
前記前駆体を前記触媒粒子に変換する工程と
を有する、燃料電池用電極触媒の製造方法。
【請求項3】
前記カーボン担体に前記薄片粒子が担持した薄片粒子担持カーボン担体を得る工程の前または後に、
前記カーボン担体または薄片粒子担持カーボン担体に、金または金合金のナノ粒子またはナノシートを担持する工程をさらに有する、請求項1または2に記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
【請求項4】
前記金または金合金のナノ粒子の粒子径が、1〜50nmである、請求項3に記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
【請求項5】
前記金または金合金のナノシートの厚さが、1〜10nmである、請求項3に記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
【請求項6】
前記触媒粒子が、白金を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
【請求項7】
前記薄片粒子の厚さが、5nm以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
【請求項8】
前記層状ルテニウム酸化合物が、層状ルテニウム酸カリウムである、請求項1〜7に記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
【請求項9】
前記薄片粒子が、層状ルテニウム酸カリウムを酸処理して得られるプロトン型層状ルテニウム酸水和物に、(R)NH4−mもしくは(R)m−p(R’)NH4−m(式中、RおよびR’はCH(CH、m=0〜4、p=0〜3、q=0〜18、ただし、m=4、p=3、q=15、R=C1633およびR’=CHの場合を除く。)で表されるアルキルアンモニウム、または、(R)NH3−mもしくは(R)m−p(R’)NH3−m(式中、RおよびR’はCH(CH、m=0〜3、p=0〜2、q=0〜18)で表されるアルキルアミンを反応させて得られる、請求項1〜8に記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
【請求項10】
前記カーボン担体に担持された前記薄片粒子と前記触媒粒子との比が、前記薄片粒子に含まれるルテニウムと前記触媒粒子に含まれる貴金属との原子比(ルテニウム/貴金属)が0.01〜4となる比である、請求項1〜9のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−134477(P2011−134477A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290921(P2009−290921)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】