説明

燃料電池

【課題】氷点下で燃料電池を起動する際に、十分な始動性を発揮すること。
【解決手段】発電部の一方の面に沿うように位置し、複数の酸化剤ガス供給口143a〜147aのそれぞれから複数の酸化剤ガス排出口143b〜147bのそれぞれに至る複数の酸化剤ガス経R1〜R3路を備え、第1の分割発電領域S1の対応する酸化剤ガス供給口143aの開口面積が、第2、第3の分割発電領域S2,S3の対応する酸化剤ガス供給口145a、147aの開口面積よりも小さくして、第1の分割発電領域S1から出力される電流密度が、他の分割発電領域S2,S3から出力される電流密度よりも小さくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池では、発電に伴ってカソードに水が生成される。氷点下で燃料電池を起動する場合、この生成水がガス流路で凍結し、ガス流路が閉塞する虞があった。そこで、ガス流路に連結される入り口側マニホールドの流路断面積を大きくして、この部分での流通を可能とし、結果として、ガス流路での閉塞を防止する燃料電池が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−243013号公報
【0004】
しかしながら、前記従来の燃料電池では、生成水は変わらず生成されることから、氷点下で生成水が凍結し、ガスの流れが阻害されてしまう虞があった。このために、前記従来の技術では、氷点下で燃料電池を起動する際に、十分な始動性を発揮することができないのが実情であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、氷点下で燃料電池を起動する際に、十分な始動性を発揮することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するために以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1] 燃料電池であって、燃料ガスと酸化剤ガスとによって発電を行う発電部と、前記発電部の周囲に配置される複数の酸化剤ガス供給口と、前記発電部の周囲に配置され、前記複数の酸化剤ガス供給口のそれぞれに対応する複数の酸化剤ガス排出口と、前記発電部の一方の面に沿うように位置し、前記複数の酸化剤ガス供給口のそれぞれから前記複数の酸化剤ガス排出口のそれぞれに至る複数の酸化剤ガス経路とを備え、前記発電部における前記複数の酸化剤ガス経路のそれぞれが位置する複数の分割発電領域のうちの第1の分割発電領域から出力される電流密度が、前記複数の分割発電領域のうちの第2の分割発電領域から出力される電流密度よりも小さくなるように、前記発電部の発電を部分的に抑制したことを特徴とする燃料電池。
【0008】
適用例1に係る燃料電池では、発電部において第1の分割発電領域から出力される電流密度が、第2の分割発電領域から出力される電流密度よりも小さくなる。このために、発電部の面内に発電分布の偏りが生じることになり、生成水の発生が少なく、常に乾き気味になっている箇所(前記第1の分割発電領域に相当する)が作られる。この乾き気味の箇所は、氷点下においてもガス流路が閉塞されることなく発電でき、電力を取り出すことができる。したがって、適用例1に係る燃料電池では、氷点下で起動する際に、十分な始動性を発揮することができる。
【0009】
[適用例2] 適用例1に記載の燃料電池において、前記第1の分割発電領域の対応する酸化剤ガス供給口の開口面積が、前記第2の分割発電領域の対応する酸化剤ガス供給口の開口面積よりも小さいことで、前記発電の抑制が実現された燃料電池。
【0010】
適用例2に係る燃料電池によれば、第1の分割発電領域の対応する酸化剤ガス供給口の開口面積を小さくすることで、第1の分割発電領域の発電の抑制が実現される。また、生成水量を減らすために設けた第1の分割発電領域以外の発電領域が凍結することにより、第1の分割発電領域の対応する酸化剤ガス供給口以外の酸化剤ガス供給口からの酸化剤ガスが第1の分割発電領域へ流入してくる。このため、非凍結時と比べ第1の分割発電領域における発電量が向上するという作用もある。したがって、簡単な構成により、十分な始動性を発揮することができる。
【0011】
[適用例3] 適用例1に記載の燃料電池において、前記第1の分割発電領域の対応する酸化剤ガス経路および前記第2の分割発電領域の対応する酸化剤ガス経路が、複数のストレート溝によりそれぞれ構成され、前記第1の分割発電領域の対応する各ストレート溝の開口面積が、前記第2の分割発電領域の対応する各ストレート溝の開口面積よりも小さいことで、前記発電の抑制が実現された燃料電池。
【0012】
適用例3に係る燃料電池によれば、第1の分割発電領域の対応する各ストレート溝の開口面積を小さくすることで、第1の分割発電領域の発電の抑制が実現される。また、適用例2と同様に、非凍結時と比べ第1の分割発電領域における発電量が向上するという作用もある。したがって、簡単な構成により、十分な始動性を発揮することができる。
【0013】
[適用例4] 適用例1に記載の燃料電池において、前記第1の分割発電領域の対応する酸化剤ガス経路が多孔体を材料とする多孔体流路層により構成され、前記第2の分割発電領域の対応する酸化剤ガス経路が直線状のストレート溝により構成されることで、前記発電の抑制が実現された燃料電池。
【0014】
適用例4に係る燃料電池によれば、第1の分割発電領域の対応する酸化剤ガス経路を多孔体により構成することで、第1の分割発電領域の発電の抑制が実現される。また、適用例2と同様に、非凍結時と比べ第1の分割発電領域における発電量が向上するという作用もある。したがって、簡単な構成により、十分な始動性を発揮することができる。
【0015】
[適用例5] 適用例1に記載の燃料電池において、前記第1の分割発電領域の対応する酸化剤ガス経路および前記第2の分割発電領域の対応する酸化剤ガス経路が、多孔体によりそれぞれ構成され、前記第1の分割発電領域の対応する酸化剤ガス経路の気孔率が、前記第2の分割発電領域の対応する酸化剤ガス経路の気孔率よりも小さいことで、前記発電の抑制が実現された燃料電池。
【0016】
適用例5に係る燃料電池によれば、第1の分割発電領域の対応する、多孔体である酸化剤ガス経路の気孔率を小さくすることで、第1の分割発電領域の発電の抑制が実現される。また、適用例2と同様に、非凍結時と比べ第1の分割発電領域における発電量が向上するという作用もある。したがって、簡単な構成により、十分な始動性を発揮することができる。
【0017】
[適用例6] 適用例1に記載の燃料電池において、前記第1の分割発電領域の対応する酸化剤ガス経路および前記第2の分割発電領域の対応する酸化剤ガス経路が、同一種類の多孔体によりそれぞれ構成され、前記第1の分割発電領域の対応する酸化剤ガス経路における前記発電部に垂直な方向の高さが、前記第2の分割発電領域の対応する酸化剤ガス経路における前記発電部に垂直な方向の高さよりも低いことで、前記発電の抑制が実現された燃料電池。
【0018】
適用例6に係る燃料電池によれば、第1の分割発電領域の対応する、多孔体である酸化剤ガス経路における発電部に垂直な方向の高さを低くすることで、第1の分割発電領域の発電の抑制が実現される。また、適用例2と同様に、非凍結時と比べ第1の分割発電領域における発電量が向上するという作用もある。したがって、簡単な構成により、十分な始動性を発揮することができる。
【0019】
[適用例7] 適用例1に記載の燃料電池において、前記複数の酸化剤ガス経路は、同一種類の多孔体によりそれぞれ構成され、前記第1の分割発電領域の対応する酸化剤ガス経路における一部分が潰されることで、前記発電の抑制が実現された燃料電池。
【0020】
適用例7に係る燃料電池によれば、第1の分割発電領域の対応する酸化剤ガス経路における一部分を潰すことで、第1の分割発電領域の発電の抑制が実現される。また、適用例2と同様に、非凍結時と比べ第1の分割発電領域における発電量が向上するという作用もある。したがって、簡単な構成により、十分な始動性を発揮することができる。
【0021】
さらに、本発明は、上記適用例1ないし7以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、適用例1ないし7のうちのいずれかの燃料電池を備える燃料電池システムの態様で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】参考例における燃料電池内部の単セル10の構成を模式的に示す分解斜視図である。
【図2】カソード側セパレータ30の平面図である。
【図3】第1実施例におけるカソード側セパレータ130の平面図である。
【図4】第2実施例におけるカソード側セパレータ230の平面図、各断面図を示す説明図である。
【図5】第3実施例におけるカソード側セパレータ330の平面図、各断面図を示す説明図である。
【図6】第4実施例におけるカソード側セパレータ430の平面図、各断面図を示す説明図である。
【図7】第5実施例におけるカソード側セパレータ530の平面図、各断面図を示す説明図である。
【図8】第6実施例におけるカソード側セパレータ630の平面図、各断面図を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら、実施例に基づき説明する。
【0024】
A.参考例:
本発明の実施例を説明するにあたり参考とする参考例を、まず説明する。図1は、参考例における燃料電池内部の単セル10の構成を模式的に示す分解斜視図である。参考例の燃料電池は、固体高分子型燃料電池であって、図1に示す単セル10を複数積層して直列に接続したスタック構造を有している。単セル10は、図1に示すように、膜電極接合体(MEA:Membrane-Electrode Assembly )12を、ガス拡散層13、14で挟持し、これらMEA12およびガス拡散層13、14をさらに両側からセパレータ20、30によって挟持することによって構成されている。
【0025】
MEA12は、固体高分子電解質膜の両面に触媒層を形成することによって得られる。固体高分子電解質膜は、例えばフッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電気伝導性を示す。触媒層は、触媒としての白金または白金と他の金属からなる合金を有する層であり、アノード(水素極)とカソード(酸素極)の役割を果たす。また、ガス拡散層13、14は、ガス拡散性の導電性部材、例えば炭素繊維からなる糸で織成したカーボンクロス、あるいはカーボンペーパまたはカーボンフエルトなどによって形成することができる。MEA12およびガス拡散層13、14が、本発明でいう「発電部」に相当する。
【0026】
アノード側セパレータ20とカソード側セパレータ30とには、電気化学反応に供される反応ガスの流路として機能するガス流路形成部51、53が設けられている。詳しくは、アノード側セパレータ20に設けられたガス流路形成部51は、MEA12に備えられるアノード側ガス拡散層13の面に沿うように配置され、水素を含有する燃料ガスが通過する単セル内燃料ガス流路として機能する。カソード側セパレータ30に設けられたガス流路形成部53は、MEA12に備えられるカソード側ガス拡散層14の面に沿うように配置され、空気などの酸素を含有する酸化剤ガスが通過する単セル内酸化剤ガス流路として機能する。
【0027】
ガス流路形成部51、53は、セパレータ20、30を構成する板材に溝部を形成することで構成したもの、セパレータ20、30を構成する板材に凹部を形成し、この凹部に多孔体を配置することで構成したもの等がある。
【0028】
アノード側セパレータ20およびカソード側セパレータ30は、図示するように矩形の薄板であり、矩形の周囲付近に複数の孔が形成されている。セパレータ20、30における一対の孔は、複数の単セルを積層したときに、複数の単セルを貫くように設けられており、反応ガスを燃料電池の積層方向に流通可能とする流路を形成する。
【0029】
詳しくは、矩形の第1の短辺付近に形成された一対の孔41aは、上流側の燃料ガスの流路を形成し、矩形の第2の短辺付近に形成された一対の孔41bは、下流側の燃料ガスの流路を形成する。矩形の第1の長辺付近に形成された三対の孔43a、45a、47aは、上流側の酸化剤ガスの流路を形成し、矩形の第2の長辺付近に形成された三対の孔43b、45b、47bは、下流側の酸化剤ガスの流路を形成する。さらには、矩形の第1の短辺付近に形成された一対の孔49aは、上流側の冷却液の流路を形成し、矩形の第2の短辺付近に形成された一対の孔49bは、下流側の冷却液の流路を形成する。
【0030】
上流側の流路を形成する各孔41a、43a〜47aは、ガス流路形成部51、53にそれぞれ接続されることで、外部から送られてきた反応ガス(燃料ガス、酸化剤ガス)を各単セルに分配する反応ガスの供給マニホールドとして機能する。下流側の流路を形成する各孔41b、43b〜47bは、ガス流路形成部51、53の他方端(上記各孔41a、43a〜47aが接続されたと反対側の端部)にそれぞれ接続されることで、各単セル10から排出された反応ガス(燃料ガス、酸化剤ガス)を集合させて燃料電池の外部へ導く反応ガスの排出マニホールドとして機能する。
【0031】
ここで、酸化剤ガスについての供給マニホールドとして機能する43a〜47aは、本発明でいう「酸化剤ガス供給口」に相当し、酸化剤ガスについての排出マニホールドとして機能する43b〜47bは、本発明でいう「酸化剤ガス排出口」に相当する。
【0032】
図2は、カソード側セパレータ30の平面図である。前述したように、カソード側セパレータ30が構成されることにより、ガス流路形成部53において、孔43aから孔43bに至る第1の酸化剤ガス経路R1と、孔45aから孔45bに至る第2の酸化剤ガス経路R2と、孔45cから孔45cに至る第3の酸化剤ガス経路R3とが形成されることになる。この参考例においては、第1ないし第3の酸化剤ガス経路R1、R2、R3は、同一の流速でもって流れる。この結果、参考例では、MEA12に備えられるカソード側ガス拡散層14の面に均等に酸化剤ガスが供給され、発電部の面内における発電分布は均等となる。
【0033】
B.第1実施例:
本発明の第1実施例について、次に説明する。第1実施例における燃料電池内部の単セルの構成は、参考例の単セル10の構成とよく似通っている。両者の相違点について、以下に説明する。相違点以外については、参考例の単セル10と同一である。
【0034】
図3は、第1実施例におけるカソード側セパレータ130の平面図である。図示するように、カソード側セパレータ130は、参考例のカソード側セパレータ30と同様に、上流側の酸化剤ガス流路を形成する3つの孔143a〜147aと、下流側の酸化剤ガス流路を形成する3つの孔143b〜147bとを備える。なお、カソード側セパレータ130は、参考例のカソード側セパレータ30と同様に、燃料ガス用、冷却水用の孔41a、41b、49a、49bも備えるが、これらは本発明の本質部分ではないことから、ここでは言及しない。以下、第2実施例ないし第6実施例についても同様に言及しない。
【0035】
参考例のカソード側セパレータ30では、上流側の酸化剤ガス流路を形成する各孔43a〜47aの開口面積は同一であったが、第1実施例における各孔143a〜147aの開口面積は異なったものとなっている。詳しくは、第2の孔145aと第3の孔147aとの開口面積は同一であり、第1の孔143aの開口面積は、第2、第3の孔145a、147aの開口面積に比べて小さくなっている。本実施例では、1/2の開口面積となっている。
【0036】
このため、カソード側セパレータ30に備えられるガス流路形成部153において、孔143aから孔143bに至る第1の酸化剤ガス経路R11の流速は、孔45aから孔45bに至る第2の酸化剤ガス経路R12の流速や、孔45cから孔45cに至る第3の酸化剤ガス経路R13の流速と比較して、小さい。本実施例では、1/2の流速となっている。
【0037】
したがって、発電部における第1の酸化剤ガス経路R11が位置する第1の分割発電領域S1は、第2の酸化剤ガス経路R12が位置する第2の分割発電領域S2や、第3の酸化剤ガス経路R13が位置する第3の分割発電領域S3と比較して、出力される電流密度が小さい。このために、第1の分割発電領域S1は生成水の発生が少なく、常に乾き気味になることから、氷点下においてもガス流路が閉塞されることなく発電でき、この分割発電領域S1からは電力を取り出すことができる。また、生成水量を減らすために設けた第1の分割発電領域S1以外の発電領域S2、S3が凍結することにより、第1の分割発電領域S1の対応する酸化剤ガス流路R11を形成する孔143a以外の孔145a、147aからの酸化剤ガスが第1の分割発電領域S1へ流入してくる。このため、非凍結時と比べ第1の分割発電領域S1における発電量が向上するという作用もある。この結果、第1実施例の燃料電池では、氷点下で起動する際に、十分な始動性を発揮することができる。
【0038】
なお、第1の分割発電領域S1は、本発明でいう「第1の分割発電領域」に相当し、第2の分割発電領域S2および第3の分割発電領域S3のうちのいずれかが、本発明でいう「第2の分割発電領域」に相当する。ここで言う「第1の」、「第2の」という呼び名は、複数の分割発電領域のうちの一つと、それ以外の分割発電領域のうちの一つとを区別して特定するためのものである。
【0039】
C.第2実施例:
本発明の第2実施例について、次に説明する。第2実施例における燃料電池内部の単セルの構成は、参考例の単セル10の構成とよく似通っている。両者の相違点について、以下に説明する。相違点以外については、参考例の単セル10と同一である。
【0040】
図4は、第2実施例におけるカソード側セパレータ230を示す説明図である。詳しくは、図4(イ)はカソード側セパレータ230の平面図であり、図4(ロ)は図4(イ)におけるA−A線断面図であり、図4(ハ)は図4(イ)におけるB−B線断面図である。
【0041】
図4(イ)に示すように、カソード側セパレータ230は、参考例のカソード側セパレータ30と同様に、上流側の酸化剤ガス流路を形成する3つの孔43a〜47aと、下流側の酸化剤ガス流路を形成する3つの孔43b〜47bとを備える。各孔43a〜47a、43b〜47bは、参考例と同一のものであることから、参考例と同一の符号を付けた。すなわち、各孔43a〜47a、43b〜47bの開口面積は、参考例と同様に同一である。さらに、図中において、参考例と同一のパーツについては、同一の符号を付けた。
【0042】
本第2実施例では、カソード側セパレータ230に備えられるガス流路形成部253は、直線状に延びる多数の溝部(以下、「ストレート溝」と呼ぶ)60により構成されている(図4(ロ)、図4(ハ))。多数のストレート溝60は、図4(イ)の上から下に向かうように配置されており、カソード側セパレータ30に配置された上流側の孔143a〜147aのいずれかと、下流側の孔143b〜147bのいずれかとに接続されている。
【0043】
なお、各ストレート溝60は、孔43aから孔43bに至る第1の酸化剤ガス経路R21に含まれるものと、孔45aから孔45bに至る第2の酸化剤ガス経路R22に含まれるものと、孔45cから孔45cに至る第3の酸化剤ガス経路R23に含まれるものとで異なった開口面積となっている。ここで、「開口面積」とは、延び方向に対して直角に切ったときの断面積である。詳しくは、第2の酸化剤ガス経路R22に含まれるストレート溝60と第3の酸化剤ガス経路R23に含まれるストレート溝60との開口面積は同一であり、図4(ロ)、図4(ハ)に示すように、第1の酸化剤ガス経路R21に含まれるストレート溝60(他のストレート溝と区別するために60aとも呼ぶ)の開口面積は、第2、第3の酸化剤ガス経路R22、R23に含まれるストレート溝60の開口面積に比べて小さくなっている。本実施例では、溝の高さを1/2とすることで、1/2の開口面積となっている。
【0044】
このため、カソード側セパレータ230に備えられるガス流路形成部253において、孔43aから孔43bに至る第1の酸化剤ガス経路R21の流速は、孔45aから孔45bに至る第2の酸化剤ガス経路R22の流速や、孔45cから孔45cに至る第3の酸化剤ガス経路R23の流速と比較して、小さい。本実施例では、1/2の流速となっている。
【0045】
したがって、発電部における第1の酸化剤ガス経路R21が位置する第1の分割発電領域(図3のS1に相当する)は、第2の酸化剤ガス経路R22が位置する第2の分割発電領域(図3のS2に相当する)や、第3の酸化剤ガス経路R23が位置する第3の分割発電領域(図3のS3に相当する)と比較して、出力される電流密度が小さい。このために、第1の分割発電領域は生成水の発生が少なく、常に乾き気味になることから、氷点下においてもガス流路が閉塞されることなく発電でき、この第1の分割発電領域からは電力を取り出すことができる。また、氷点下において、第2および第3の酸化剤ガス流路R22,R23が凍結することにより、第1の分割発電領域の対応する酸化剤ガス流路R21を形成する孔43a以外の孔45a、47aからの酸化剤ガスが第1の酸化剤ガス流路R21へ流入してくる。このため、非凍結時と比べ第1の分割発電領域における発電量が向上するという作用もある。この結果、第2実施例の燃料電池では、氷点下で起動する際に、十分な始動性を発揮することができる。
【0046】
なお、この第2実施例では、ストレート溝の高さを低くすることで、開口面積を小さくしているが、これに換えて、ストレート溝の溝幅を小さくすることで、開口面積を小さくするようにしてもよい。
【0047】
D.第3実施例:
本発明の第3実施例について、次に説明する。第3実施例における燃料電池内部の単セルの構成は、参考例の単セル10の構成とよく似通っている。両者の相違点について、以下に説明する。相違点以外については、参考例の単セル10と同一である。
【0048】
図5は、第3実施例におけるカソード側セパレータ330を示す説明図である。詳しくは、図5(イ)はカソード側セパレータ330の平面図であり、図5(ロ)は図5(イ)におけるA−A線断面図であり、図5(ハ)は図5(イ)におけるB−B線断面図である。
【0049】
図5(イ)に示すように、カソード側セパレータ330は、参考例のカソード側セパレータ30と同様に、上流側の酸化剤ガス流路を形成する3つの孔43a〜47aと、下流側の酸化剤ガス流路を形成する3つの孔43b〜47bとを備える。各孔43a〜47a、43b〜47bは、参考例と同一のものであることから、参考例と同一の符号を付けた。すなわち、各孔43a〜47a、43b〜47bの開口面積は、参考例と同様に同一である。さらに、図中において、参考例と同一のパーツについては、同一の符号を付けた。
【0050】
本第3実施例では、カソード側セパレータ330に備えられるガス流路形成部353が、参考例のガス流路形成部53と相違する。本実施例のガス流路形成部353は、孔43aから孔43bに至る第1の酸化剤ガス経路R1に相当する部分353aと、孔45aから孔45bに至る第2の酸化剤ガス経路R2および孔47aから孔47bに至る第3の酸化剤ガス経路R3に相当するその他の部分353bとにより区分けされており、前記第1の酸化剤ガス経路R1に相当する部分353aが多孔体流路層により構成され(図5(ロ))、その他の部分353bが第2実施例と同じストレート溝360(図5(ハ))を備えるように構成されている。多孔体は、金属多孔体などのガス拡散性および導電性を有する多孔質の材料で形成されている。金属多孔体は、例えば、発泡金属を焼結させたものや、エキスパンドメタル等を適用可能である。
【0051】
以上のように構成された第3実施例によれば、多孔体流路層を流れる酸化剤ガスの圧損が、ストレート溝の圧損と比べて大きいことから、孔43aから孔43bに至る第1の酸化剤ガス経路R31の流速は、孔45aから孔45bに至る第2の酸化剤ガス経路R32の流速や、孔45cから孔45cに至る第3の酸化剤ガス経路R33の流速と比較して、小さい。
【0052】
したがって、発電部における第1の酸化剤ガス経路R31が位置する第1の分割発電領域(図3のS1に相当する)は、第2の酸化剤ガス経路R32が位置する第2の分割発電領域(図3のS2に相当する)や、第3の酸化剤ガス経路R33が位置する第3の分割発電領域(図3のS3に相当する)と比較して、出力される電流密度が小さい。このために、第1の分割発電領域は生成水の発生が少なく、常に乾き気味になることから、氷点下においてもガス流路が閉塞されることなく発電でき、この第1の分割発電領域からは電力を取り出すことができる。また、氷点下において、第2および第3の酸化剤ガス流路R32,R33が凍結することにより、第1の分割発電領域の対応する酸化剤ガス流路R31を形成する孔43a以外の孔45a、47aからの酸化剤ガスが第1の酸化剤ガス流路R31へ流入してくる。このため、非凍結時と比べ第1の分割発電領域における発電量が向上するという作用もある。この結果、第3実施例の燃料電池では、氷点下で起動する際に、十分な始動性を発揮することができる。
【0053】
E.第4実施例:
本発明の第4実施例について、次に説明する。第4実施例における燃料電池内部の単セルの構成は、参考例の単セル10の構成とよく似通っている。両者の相違点について、以下に説明する。相違点以外については、参考例の単セル10と同一である。
【0054】
図6は、第4実施例におけるカソード側セパレータ430を示す説明図である。詳しくは、図6(イ)はカソード側セパレータ430の平面図であり、図6(ロ)は図6(イ)におけるA−A線断面図であり、図6(ハ)は図6(イ)におけるB−B線断面図である。
【0055】
図6(イ)に示すように、カソード側セパレータ430は、参考例のカソード側セパレータ30と同様に、上流側の酸化剤ガス流路を形成する3つの孔43a〜47aと、下流側の酸化剤ガス流路を形成する3つの孔43b〜47bとを備える。各孔43a〜47a、43b〜47bは、参考例と同一のものであることから、参考例と同一の符号を付けた。すなわち、各孔43a〜47a、43b〜47bの開口面積は、参考例と同様に同一である。さらに、図中において、参考例と同一のパーツについては、同一の符号を付けた。
【0056】
第4実施例では、カソード側セパレータ430に備えられるガス流路形成部453が、参考例のガス流路形成部53と相違する。本実施例のガス流路形成部453は、孔43aから孔43bに至る第1の酸化剤ガス経路R41に相当する部分453aと、孔45aから孔45bに至る第2の酸化剤ガス経路R42および孔47aから孔47bに至る第3の酸化剤ガス経路R43に相当するその他の部分453bとにより区分けされている。前記第1の酸化剤ガス経路R41に相当する部分453aは、第1の多孔体を材料とする多孔体流路層により構成され、前記その他の部分453bは、第2の多孔体を材料とする多孔体流路層により構成されている。前記第1の多孔体は、前記第2の多孔体よりも気孔率が小さいものである。例えば、第1の多孔体の気孔率は60[%]未満であり、第2の多孔体の気孔率は60〜70[%]である。
【0057】
以上のように構成された第4実施例によれば、第1の酸化剤ガス経路R41に相当する部分453aを流れる酸化剤ガスの圧損が、その他の部分453bを流れる酸化剤ガスの圧損と比べて大きいことから、孔43aから孔43bに至る第1の酸化剤ガス経路R41の流速は、孔45aから孔45bに至る第2の酸化剤ガス経路R42の流速や、孔45cから孔45cに至る第3の酸化剤ガス経路R43の流速と比較して、小さい。
【0058】
したがって、発電部における第1の酸化剤ガス経路R41が位置する第1の分割発電領域(図3のS1に相当する)は、第2の酸化剤ガス経路R42が位置する第2の分割発電領域(図3のS2に相当する)や、第3の酸化剤ガス経路R43が位置する第3の分割発電領域(図3のS3に相当する)と比較して、出力される電流密度が小さい。このために、第1の分割発電領域は生成水の発生が少なく、常に乾き気味になることから、氷点下においてもガス流路が閉塞されることなく発電でき、この第1の分割発電領域からは電力を取り出すことができる。また、氷点下において、第2および第3の酸化剤ガス流路R42,R43が凍結することにより、第1の分割発電領域の対応する酸化剤ガス流路R41を形成する孔43a以外の孔45a、47aからの酸化剤ガスが第1の酸化剤ガス流路R41へ流入してくる。このため、非凍結時と比べ第1の分割発電領域における発電量が向上するという作用もある。この結果、第4実施例の燃料電池では、氷点下で起動する際に、十分な始動性を発揮することができる。
【0059】
F.第5実施例:
図7は、第5実施例におけるカソード側セパレータ530を示す説明図である。詳しくは、図7(イ)はカソード側セパレータ530の平面図であり、図7(ロ)は図7(イ)におけるA−A線断面図であり、図7(ハ)は図7(イ)におけるB−B線断面図である。
【0060】
第5実施例では、第4実施例と同様に、カソード側セパレータ530に備えられるガス流路形成部553は、孔43aから孔43bに至る第1の酸化剤ガス経路R51に相当する部分553aと、孔45aから孔45bに至る第2の酸化剤ガス経路R52および孔47aから孔47bに至る第3の酸化剤ガス経路R53に相当するその他の部分553bとにより区分けされている。前記第1の酸化剤ガス経路R51に相当する部分553aは、多孔体を材料とし第1の高さh1を有する多孔体流路層により構成され、前記その他の部分553bは、前記部分553aと同一種類の多孔体を材料とし第2の高さh2を有する多孔体流路層により構成されている。ここで、高さh1、h2は発電部に垂直な方向の高さ(すなわち、積層方向)であり、第1の高さh1は第2の高さh2よりも低く、例えば、1/2の高さとなっている。
【0061】
以上のように構成された第5実施例によれば、第1の酸化剤ガス経路R51に相当する部分553aを流れる酸化剤ガスの圧損が、その他の部分553bを流れる酸化剤ガスの圧損と比べて大きいことから、孔43aから孔43bに至る第1の酸化剤ガス経路R51の流速は、孔45aから孔45bに至る第2の酸化剤ガス経路R52の流速や、孔45cから孔45cに至る第3の酸化剤ガス経路R53の流速と比較して、小さい。
【0062】
したがって、発電部における第1の酸化剤ガス経路R51が位置する第1の分割発電領域(図3のS1に相当する)は、第2の酸化剤ガス経路R52が位置する第2の分割発電領域(図3のS2に相当する)や、第3の酸化剤ガス経路R53が位置する第3の分割発電領域(図3のS3に相当する)と比較して、出力される電流密度が小さい。このために、第1の分割発電領域は生成水の発生が少なく、常に乾き気味になることから、氷点下においてもガス流路が閉塞されることなく発電でき、この第1の分割発電領域からは電力を取り出すことができる。また、氷点下において、第2および第3の酸化剤ガス流路R52,R53が凍結することにより、第1の分割発電領域の対応する酸化剤ガス流路R51を形成する孔43a以外の孔45a、47aからの酸化剤ガスが第1の酸化剤ガス流路R51へ流入してくる。このため、非凍結時と比べ第1の分割発電領域における発電量が向上するという作用もある。この結果、第5実施例の燃料電池では、氷点下で起動する際に、十分な始動性を発揮することができる。
【0063】
G.第6実施例:
図8は、第6実施例におけるカソード側セパレータ630を示す説明図である。詳しくは、図8(イ)はカソード側セパレータ630の平面図であり、図8(ロ)は図8(イ)におけるA−A線断面図であり、図8(ハ)は図8(イ)におけるB−B線断面図であり、図8(ニ)は図8(イ)におけるC−C線断面図である。
【0064】
第6実施例では、カソード側セパレータ630に備えられるガス流路形成部653は、多孔体を材料とする多孔体流路層により構成されている。多孔体は、ガス流路形成部453全域で同一の材料が使われている。ただし、この第6実施例では、多孔体流路層における、孔43aから孔43bに至る第1の酸化剤ガス経路R61に相当する部分653aの一部分、好ましくは、図8(ニ)に示すように、上流側の孔43aに近い側の一部分PXが潰されている。このつぶれた部分は、酸化剤ガスを十分に通過させない。
【0065】
したがって、孔43aから孔43bに至る第1の酸化剤ガス経路R61の流速は、孔45aから孔45bに至る第2の酸化剤ガス経路R62の流速や、孔45cから孔45cに至る第3の酸化剤ガス経路R63の流速と比較して、小さくなる。このため、発電部における第1の酸化剤ガス経路R61が位置する第1の分割発電領域(図3のS1に相当する)は、第2の酸化剤ガス経路R62が位置する第2の分割発電領域(図3のS2に相当する)や、第3の酸化剤ガス経路R63が位置する第3の分割発電領域(図3のS3に相当する)と比較して、出力される電流密度が小さい。このために、第1の分割発電領域は生成水の発生が少なく、常に乾き気味になることから、氷点下においてもガス流路が閉塞されることなく発電でき、この第1の分割発電領域からは電力を取り出すことができる。また、氷点下において、第2および第3の酸化剤ガス流路R62,R63が凍結することにより、第1の分割発電領域の対応する酸化剤ガス流路R61を形成する孔43a以外の孔45a、47aからの酸化剤ガスが第1の酸化剤ガス流路R61へ流入してくる。このため、非凍結時と比べ第1の分割発電領域における発電量が向上するという作用もある。この結果、第6実施例の燃料電池では、氷点下で起動する際に、十分な始動性を発揮することができる。
【0066】
H.他の実施形態:
この発明は第1ないし第6実施例やそれらの変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0067】
・第1変形例:
第1ないし第6実施例の各燃料電池では、発電部における第1の酸化剤ガス経路が位置する第1の分割発電領域(図3のS1に相当する)から出力される電流密度が、第2の酸化剤ガス経路が位置する第2の分割発電領域(図3のS2に相当する)から出力される電流密度や、第3の酸化剤ガス経路が位置する第3の分割発電領域(図3のS3に相当する)から出力される電流密度よりも小さくなるように、発電部の発電を部分的に抑制している。そして、この発電の抑制をどのように実現するかを、第1ないし第6実施例で種々に説明してきたが、こうした実現の態様はこれらに限る必要はなく、例えば、各酸化剤ガス経路を複数のストレート溝によりそれぞれ構成し、第1の分割発電領域の対応する酸化剤ガス経路に含まれる複数のストレート溝のうちの一部を閉塞する構成等、種々の手法により実現することができる。
【0068】
・第2変形例:
第1ないし第6実施例の各燃料電池では、第2および第3の分割発電領域から出力される電流密度が同じであり、この電流密度よりも第1の分割発電領域から出力される電流密度が小さくなるように構成されているが、これに換えて、第2および第3の分割発電領域から出力される各電流密度が相違し、両方の電流密度よりも第1の分割発電領域から出力される電流密度が小さくなるように構成してもよい。また、電流密度が低い分割発電領域は、ガス流路形成部253において一方の辺側に位置する第1の分割発電領域としていたが、これに換えて、中央に位置する第2の分割発電領域を電流密度が低い構成としてもよい。
【0069】
・第3変形例:
各実施例および変形例とは異なる種類の燃料電池に本発明を適用することとしてもよい。例えば、ダイレクトメタノール型燃料電池に適用することができる。あるいは、固体高分子以外の電解質層を有する燃料電池であってもよく、本発明を適用することで同様の効果が得られる。
【0070】
なお、前述した実施例および各変形例における構成要素の中の、独立請求項で記載された要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、本発明はこれらの実施例および各変形例になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の態様での実施が可能である。
【符号の説明】
【0071】
10…単セル
13…アノード側ガス拡散層
14…カソード側ガス拡散層
20…アノード側セパレータ
30…カソード側セパレータ
41a〜49a、41b〜49b…孔
51…ガス流路形成部
53…ガス流路形成部
60…ストレート溝
130…カソード側セパレータ
153…ガス流路形成部
230…カソード側セパレータ
253…ガス流路形成部
330…カソード側セパレータ
353…ガス流路形成部
360…ストレート溝
430…カソード側セパレータ
453…ガス流路形成部
530…カソード側セパレータ
553…ガス流路形成部
630…カソード側セパレータ
653…ガス流路形成部
R1…第1の酸化剤ガス経路
S1…第1の分割発電領域
R2…第2の酸化剤ガス経路
S2…第2の分割発電領域
R3…第3の酸化剤ガス経路
S3…第3の分割発電領域
R11…第1の酸化剤ガス経路
R12…第2の酸化剤ガス経路
R13…第3の酸化剤ガス経路
R21…第1の酸化剤ガス経路
R22…第2の酸化剤ガス経路
R23…第3の酸化剤ガス経路
R31…第1の酸化剤ガス経路
R32…第2の酸化剤ガス経路
R33…第3の酸化剤ガス経路
R41…第1の酸化剤ガス経路
R42…第2の酸化剤ガス経路
R43…第3の酸化剤ガス経路
R51…第1の酸化剤ガス経路
R52…第2の酸化剤ガス経路
R53…第3の酸化剤ガス経路
R61…第1の酸化剤ガス経路
R62…第2の酸化剤ガス経路
R63…第3の酸化剤ガス経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池であって、
燃料ガスと酸化剤ガスとによって発電を行う発電部と、
前記発電部の周囲に配置される複数の酸化剤ガス供給口と、
前記発電部の周囲に配置され、前記複数の酸化剤ガス供給口のそれぞれに対応する複数の酸化剤ガス排出口と、
前記発電部の一方の面に沿うように位置し、前記複数の酸化剤ガス供給口のそれぞれから前記複数の酸化剤ガス排出口のそれぞれに至る複数の酸化剤ガス経路と
を備え、
前記発電部における前記複数の酸化剤ガス経路のそれぞれが位置する複数の分割発電領域のうちの第1の分割発電領域から出力される電流密度が、前記複数の分割発電領域のうちの第2の分割発電領域から出力される電流密度よりも小さくなるように、前記発電部の発電を部分的に抑制したことを特徴とする燃料電池。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池において、
前記第1の分割発電領域の対応する酸化剤ガス供給口の開口面積が、前記第2の分割発電領域の対応する酸化剤ガス供給口の開口面積よりも小さいことで、前記発電の抑制が実現された燃料電池。
【請求項3】
請求項1に記載の燃料電池において、
前記第1の分割発電領域の対応する酸化剤ガス経路および前記第2の分割発電領域の対応する酸化剤ガス経路が、複数のストレート溝によりそれぞれ構成され、前記第1の分割発電領域の対応する各ストレート溝の開口面積が、前記第2の分割発電領域の対応する各ストレート溝の開口面積よりも小さいことで、前記発電の抑制が実現された燃料電池。
【請求項4】
請求項1に記載の燃料電池において、
前記第1の分割発電領域の対応する酸化剤ガス経路が多孔体により構成され、前記第2の分割発電領域の対応する酸化剤ガス経路が直線状のストレート溝により構成されることで、前記発電の抑制が実現された燃料電池。
【請求項5】
請求項1に記載の燃料電池において、
前記第1の分割発電領域の対応する酸化剤ガス経路および前記第2の分割発電領域の対応する酸化剤ガス経路が、多孔体によりそれぞれ構成され、前記第1の分割発電領域についての多孔体の気孔率が、前記第2の分割発電領域についての多孔体の気孔率よりも小さいことで、前記発電の抑制が実現された燃料電池。
【請求項6】
請求項1に記載の燃料電池において、
前記第1の分割発電領域の対応する酸化剤ガス経路および前記第2の分割発電領域の対応する酸化剤ガス経路が、同一種類の多孔体によりそれぞれ構成され、前記第1の分割発電領域の対応する酸化剤ガス経路における前記発電部に垂直な方向の高さが、前記第2の分割発電領域の対応する酸化剤ガス経路における前記発電部に垂直な方向の高さよりも低いことで、前記発電の抑制が実現された燃料電池。
【請求項7】
請求項1に記載の燃料電池において、
前記複数の酸化剤ガス経路は、同一種類の多孔体によりそれぞれ構成され、前記第1の分割発電領域の対応する酸化剤ガス経路における一部分が潰されることで、前記発電の抑制が実現された燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−243538(P2011−243538A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117238(P2010−117238)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】