燃焼装置
【課題】流路抵抗が小さく、且つ全高が増大しない燃焼装置を開発することを課題とする。
【解決手段】本体部35を、二次熱交用ケース15内の気体導入口26と気体排出口27の間で且つ本体部35の全部または大半部分は、気体導入口26の投影面から逸脱した位置に設けて、気体導入口26の近傍に第1空洞部82を形成し、気体導入口26から導入された燃焼ガスは、第1空洞部82で方向を変え、二次熱交用ケース15で構成される燃焼ガス流路の断面の略全部を通過して本体部35側に流れ、気体排出口27から排出される構成とする。
【解決手段】本体部35を、二次熱交用ケース15内の気体導入口26と気体排出口27の間で且つ本体部35の全部または大半部分は、気体導入口26の投影面から逸脱した位置に設けて、気体導入口26の近傍に第1空洞部82を形成し、気体導入口26から導入された燃焼ガスは、第1空洞部82で方向を変え、二次熱交用ケース15で構成される燃焼ガス流路の断面の略全部を通過して本体部35側に流れ、気体排出口27から排出される構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜熱回収型の燃焼装置に関するものである。特に、逆燃焼式を採用した潜熱回収型の燃焼装置に好適である。
【背景技術】
【0002】
近年、バーナーを燃焼させた際に発生する熱の熱交換効率を向上するべく、燃焼ガスの潜熱までも回収する潜熱回収型の燃焼装置が市場に普及している。この潜熱回収型の燃焼装置は、主に燃焼ガス中の水蒸気が液化する際に発生する熱を回収するものであるため、潜熱回収を行う熱交換器では、多量のドレンが発生する。そして、このドレンは、燃焼時に生成された窒素酸化物が溶け込んで、酸性を呈することが知られている。そのため、ドレンは中和器等を用いて中和し外部に排出される。
【0003】
また、ドレンに対処するため、潜熱回収型の燃焼装置では、顕熱を回収する熱交換器と、潜熱を回収する熱交換器を個別に搭載している。
前者の顕熱を回収する熱交換器は、一次熱交換器と称されており、一方、後者の潜熱を回収する熱交換器は、二次熱交換器と称されている。
【0004】
潜熱を回収する二次熱交換器は、ドレンの排出を促進するために、水管にフィンを設けず、裸管で作ることが推奨される。また酸性のドレンで腐食しないように、ステンレススチール等の素材を利用して製作することが推奨されている。
【0005】
そこで、潜熱回収型燃焼装置では、一対のヘッダ間に複数の裸管を並行に接続した構造の熱交換器が採用されている(例えば、特許文献1)。
図20は、特許文献1に開示された熱交換器の正面図及び平面図である。
特許文献1に開示された二次熱交換器100では、複数の水管101を水平の同一平面に並行に並べ、この水管101をループ状に曲げて平面形状が楕円形の螺旋を形成している。
【0006】
即ち、二次熱交換器100は、ケース部材102と、管路部材103によって構成されている。そして、管路部材103は、入水側のヘッダ105と出水側のヘッダ106を有している。この2つのヘッダ105,106は、いずれもケース部材102の同一の辺の外側に配置されている。
そして、2つのヘッダ105,106は、5本の水管101で接続されている。
ヘッダ105,106に接続された水管101は、いずれも略水平且つ平行に並んでおり、この状態を維持したままで楕円形のループ部110を構成している。また、水管101は、螺旋を構成しており、各ループ部110は7段重ねとなっている。
【0007】
また、二次熱交換器100では、管路部材103のループ部110は、ケース部材102の全域に渡っている。
即ち、ループ部110は、円弧部111,112を有し、その両者の間に直線部113がある。そして、両端の円弧部111,112の最も外側の水管101は、ケース部材102の両側壁115,116に近接した位置に配されている。
【0008】
ところで、燃焼装置の一形態として、逆燃焼方式と称される形態がある。
即ち、逆燃焼方式は、バーナーを下方に向けて配置したものである。図21は、代表的な逆燃焼方式の燃焼装置200のレイアウトを示している。
逆燃焼方式の燃焼装置200では、図21のようにバーナー201が接続された燃焼缶体部202と、当該燃焼缶体部202に対して水平方向に並列的に立設された排気筒203とを有している。
そして、燃焼缶体部202の下部と、排気筒203の下部同士が連通路形成部205で接続されている。
【0009】
特許文献2には、逆燃焼方式の燃焼装置200に、上記したループ部110を有する二次熱交換器100を採用した例が開示されている。
特許文献2に開示された燃焼装置200では、燃焼缶体部202の顕熱を回収する一次熱交換器210が設けられている。また、排気筒203には、消音器が内蔵されている。
そして、両者を結ぶ連通路形成部205が、一次熱交換器210と前記した二次熱交換器100によって形成されている。
即ち、特許文献2に開示された燃焼装置200では、連通路形成部205は、二次熱交換器100(連通路形成部205)の上方の位置に燃焼缶体部202と排気筒203とが並べて載置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−32252号公報
【特許文献2】特開2010−7968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に開示された二次熱交換器100を逆燃焼方式の燃焼装置200に応用すると、二次熱交換器100の流路抵抗が高くなってしまうという問題がある。
即ち、二次熱交換器100を逆燃焼方式の燃焼装置200に応用すると、二次熱交換器100の上に一次熱交換器210と排気筒203とが並べて載置される。
このときの、一次熱交換器210及び排気筒203と、二次熱交換器100のケース部材102及び管路部材103との位置関係を上部側から観察すると、図22のような配置となる。
図22から明らかなように、二次熱交換器100を逆燃焼方式の燃焼装置200に応用すると、左右の円弧部111,112上に、一次熱交換器210と排気筒203が載る。ここで、特に図面左側の円弧部111上に一次熱交換器210が載ることが問題となる。
即ち、特許文献1に開示された二次熱交換器100を逆燃焼方式の燃焼装置200に応用すると、一次熱交換器210の下部に円弧部111が存在してしまう。即ち、燃焼缶体部202と一次熱交換器210は連通しており、一次熱交換器210を通過した燃焼ガスの排気流路上に、円弧部111が存在し、円弧部111が燃焼ガスの流れを塞いでしまう。
そのため、円弧部111が障壁となって燃焼缶体部202で発生した燃焼ガスが一次熱交換器210を介して二次熱交換器100に導入されることが阻害されてしまう。
【0012】
以上のように、二次熱交換器100を逆燃焼方式の燃焼装置200に応用すると、二次熱交換器100の流路抵抗が高くなってしまうので、これに見合う高圧力の送風機を搭載しなければならない。高圧力の送風機を搭載すると、コストが増大する。
【0013】
また、管路部材103のループの中央に形成される空隙117から集中的に燃焼ガスを二次熱交換器100内に導入する構成とすれば、流路抵抗の増加は低減される。しかしながら、この構成を採用するためには、燃焼缶体部202で発生した燃焼ガスを、ループの中央に形成される空隙117に導くための流路形成部材を二次熱交換器100とは別に設ける必要が生じる。
即ち、図23のように、一次熱交換器210と二次熱交換器100の間に、二次熱交換器100の中央に導入する流路形成部材206を介在させなければならない。その結果、流路形成部材206の高さの分、燃焼装置200の全高が高くなってしまい、燃焼装置200の外形が大きくなってしまう。
【0014】
そこで本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、流路抵抗が小さく、且つ全高が増大しない燃焼装置を開発することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、燃焼部と、燃焼部で生成された燃焼ガスが流通する燃焼ガス流路と、当該燃焼ガス流路の一部を構成し燃焼ガスの熱エネルギーを回収して湯水又は熱媒体を加熱する熱交換器を有した燃焼装置であって、前記熱交換器は、燃焼ガスが通過するケース部材と、湯水又は熱媒体が流れる液体流通部材を有し、ケース部材は、燃焼ガスが導入される気体導入口と、燃焼ガスを排出する気体排出口とを有していてその内部が燃焼ガス流路として機能し、前記液体流通部材は、主に熱交換を行う本体部と、本体部に湯水又は熱媒体を導入する入側流通部と、本体部から湯水又は熱媒体を排出する出側流通部とを有し、前記本体部はケース部材の内部であって前記気体導入口と前記気体排出口の間にあり、且つ前記本体部の全部または大半部分は気体導入口の投影面から逸脱していて気体導入口の近傍には空隙部があり、気体導入口から導入された燃焼ガスは、空隙部で方向を変え、ケース部で構成される燃焼ガス流路の断面の略全部を通過して本体部側に流れ、気体排出口から排出されることを特徴とする燃焼装置である。
【0016】
本発明の構成によれば、ケース部材は、燃焼ガスが導入される気体導入口と、燃焼ガスを排出する気体排出口とを有していてその内部が燃焼ガス流路として機能する。即ち、燃焼ガスは、気体導入口から進入し、ケース部材内を通過して熱交換され気体排出口から排出される。
そして、本発明の構成によれば、前記本体部はケース部材の内部であって前記気体導入口と前記気体排出口の間にあり、且つ前記本体部の全部または大半部分は気体導入口の投影面から逸脱していて気体導入口の近傍には空隙部がある。
即ち、本体部の全部または大半部分は気体導入口の投影面から逸脱した位置に空隙部がある。そして、空隙部は、気体導入口の開口面積程度の比較的広い空間となっている。そのため、外部から供給された燃焼ガスは、気体導入口を通って空隙部に直線的に進入することが可能である。言い換えると、燃焼ガスの導入に際して、障害となるものがほとんどなく、速やかにケース部材内に燃焼ガスが導入されるので、空隙部までの流路抵抗が小さい。それ故に、例え、高圧力の送風機等を備えなくてもケース部材内への燃焼ガスの導入が可能である。また、高価な高圧力の送風機等を設ける必要がないので、コストを低減できる。また、例えば、上記した流路形成部材206のような本体部に燃焼ガスを導入するための部材を必要としないため、従来の燃焼装置に比べて、全高が増大しない。
また、気体導入口の近傍に空隙部を形成し、本体部をケース部材の全面に敷き詰める必要がないため、本体部を形成する際にかかる材料費を低減できる。
【0017】
また、本発明の構成によれば、気体導入口から導入された燃焼ガスは、空隙部で方向を変え、ケース部で構成される燃焼ガス流路の断面の略全部を通過して本体部側に流れ、気体排出口から排出される。
即ち、空隙部に進入した燃焼ガスは、ケース部で構成される燃焼ガス流路の断面の略全部を通過して本体部側に流れる。言い換えると、燃焼ガス流路の断面の略全部が燃焼ガスによって満たされる。そして、本体部は気体導入口と前記気体排出口の間に配されているため、本体部に接触しながら気体排出口に至ることとなる。即ち、燃焼ガスと本体部の熱交換における有効面積が大きい。それ故に、熱交換効率が高い。
【0018】
また、本発明は、液体流通部材の本体部の90パーセント以上の部分が気体導入口の投影面から逸脱していることが好ましい(請求項2)。
【0019】
請求項3に記載の発明は、ケース部材の気体導入口は、当該ケース部材の一つの面に開口し、当該開口が設けられた前記面であって、ケース部材の内部の液体流通部材の本体部に面する部位は、本体部側に向かって突出していることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃焼装置である。
【0020】
本発明の構成によれば、ケース部材の内部であって、液体流通部材の本体部に面する部位は、本体部側に向かって突出している。例えば、本体部の外形に対して所定の間隔が空くように突出させることによって、本体部とケース部材の本体部に面する部位との間を通過する燃焼ガスの流通量を均一化することができる。即ち、ケース部材の本体部に面する部位では、燃焼ガスの流通量に局所的な分布が生じないため、均一に燃焼ガスと本体部との熱交換が可能である。
【0021】
請求項4に記載の発明は、本体部は、燃焼ガスの流れ方向に沿って延びる直線部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の燃焼装置である。
【0022】
本発明の構成によれば、燃焼ガスがケース部材を通過時に本体部との接触時間が長くできる。そのため、さらに燃焼ガスと本体部との間の熱交換効率が高い。
【0023】
ここで、気体排出口は、本体部の燃焼ガスの流れ方向下流側に位置している。本体部の下流側では、本体部で熱交換された燃焼ガスが通過するため、気体排出口近傍では流速の遅い燃焼ガスが流れる。即ち、気体導入口近傍と気体排出口近傍との間には燃焼ガスの流速に差が生じ、気体排出口近傍では燃焼ガスの流速が遅いため、空気導入口に比べて気体排出口から燃焼ガスが排気するのに必要な圧力は小さい。即ち、気体排出口の開口面積は空気導入口の開口面積に比べて小さくても燃焼ガスの流通に支障はない。
【0024】
この考えをもとに導き出された請求項5に記載の発明は、本体部は、気体排出口側に偏在していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の燃焼装置である。
【0025】
本発明の構成によれば、本体部は気体排出口側に偏在している。即ち、気体排出口に比べて気体導入口の開口面積を大きくすることが可能であり、また、空隙部も大きくすることができる。それ故に、燃焼ガスの導入の際の流路抵抗をさらに小さくすることができる。
【0026】
請求項6に記載の発明は、燃焼ガスの下流側であって、気体導入口から逸脱した位置に、ドレンを排出するドレン排出管が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の燃焼装置である。
【0027】
本発明によれば、外部から供給された燃焼ガスが気体導入口を通って空隙部に直線的に進入する際にかかる圧力の影響を受けにくい。即ち、ドレン排出管に接続される中和器の水封高さを低下させることができる。それ故に、従来の中和器に比べて、中和器の高さを低くすることができる。
【0028】
また、前記ケース部材内の燃焼ガス流路は、燃焼ガスの流れを天地方向下方向から上方向に変換して流通するものであることが好ましい(請求項7)。即ち、逆燃式と称される燃焼装置に好適である。
【発明の効果】
【0029】
本発明の構成によれば、気体導入口の近傍には空隙部があるため、燃焼ガスをスムーズに気体導入口から導入できる。それ故に、本体部に燃焼ガスを導入するための別部材を必要とせず、従来の燃焼装置に比べて、全高が増大しない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態の燃焼装置の正面図であり、前板を外している。
【図2】本発明の実施形態の燃焼装置で採用する二次熱交換器の斜視図である。
【図3】図2の二次熱交換器の分解斜視図である。
【図4】図3のケース本体の斜視図である。
【図5】図3のケース本体の平面図である。
【図6】図3の蓋部材の分解斜視図である。
【図7】図6の仕切り板の断面図である。
【図8】図3の管路部材の斜視図である。
【図9】図2の二次熱交換器のA−A断面図である。
【図10】図2の蓋部材を外した状態を示す平面図である。
【図11】図9のスペーサーの斜視図である。
【図12】図2の二次熱交換器の一部破断斜視図である。
【図13】燃焼ガスの流れを矢印で付記した図2の二次熱交換器の斜視図である。
【図14】燃焼ガスの流れを矢印で付記した図2の二次熱交換器の一部破断斜視図である。
【図15】燃焼ガスの流れを矢印で付記した図2の二次熱交換器の断面図である。
【図16】二次熱交換器の変形例を示す平面図である。
【図17】二次熱交換器の変形例を示す平面図である。
【図18】二次熱交換器の変形例を示す斜視図であり、二次熱交用ケース内で上下方向に2つの管路部材を重ねた場合を表す。
【図19】二次熱交換器の変形例を示す斜視図であり、二次熱交用ケース内で2つの管路部材を対面して配置した場合を示す。
【図20】(a)は従来技術の熱交換器の正面断面図であり、(b)は同熱交換器の平面図である。
【図21】逆燃焼方式の燃焼装置の基本的なレイアウトを示す説明図である。
【図22】(a),(b)は、図21の二次熱交換器の燃焼缶体部と排気流路形成部との位置関係を説明する説明図である。
【図23】従来技術の燃焼装置のレイアウトを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明の第1実施形態に係る燃焼装置1について説明する。
本実施形態の燃焼装置1は、具体的には給湯装置であり、燃焼ガスを生成する燃焼部2と、顕熱を回収する一次熱交換器3と、潜熱を回収する二次熱交換器5とを備えた、いわゆる潜熱回収型と呼ばれる燃焼装置である。
燃焼装置1の基本的なレイアウトは、従来技術と同一であり、図1のように燃焼部2と、燃焼部2に対して幅方向(左右方向)に並列に立設された排気筒6とを有している。
【0032】
まず、最初に燃焼装置1の主要な構成について説明する。
燃焼装置1は、図1に示すように、筐体10のほぼ中央に燃焼ケース7が配置され、その燃焼ケース7に燃焼部2と、一次熱交換器3と、二次熱交換器5とが内蔵されている。具体的には、燃焼ケース7は、バーナー側ケース11と、高さ方向(上下方向)に長いほぼ直方体状の一次熱交用ケース12と、幅方向l(左右方向)に長い二次熱交用ケース15とが内部で連通するように連結されて形成されたものある。そして、バーナー側ケース11は燃焼部2の一部を構成し、一次熱交用ケース12は一次熱交換器3の一部を構成し、二次熱交用ケース15は二次熱交換器5の一部を構成する。
また、燃焼装置1の筐体10の幅方向l左側には、燃焼ガスを外部に排気する排気筒6が配されている。具体的には、その排気筒6は、燃焼装置1の筐体10の内外に渡るように配置されると共に、二次熱交用ケース15の上部左側に接続された配置である。
即ち、燃焼ケース7は、図1の矢印のような燃焼部2から排気筒6に連なった燃焼ガス流路8を形成している。そして、燃焼ガス流路8は、燃焼部2で生成された燃焼ガスを高さ方向下方向から上方向に燃焼ガスの流れ方向を変換して排気筒6に流通することを可能となっている。
【0033】
燃焼部2は、いわゆる逆燃焼式の燃焼部であり、図示しないバーナーによって、下方に向けて火炎を形成するものである。燃焼部2は、公知のものと同様、燃料噴霧ノズルや燃焼筒等を備えている(図示しない)。
【0034】
即ち、燃焼部2で液体燃料が燃焼し、燃焼ガスが生成されると、その燃焼ガスは、燃焼ガス流路8を通って外部に排気される。具体的には、生成した燃焼ガスは、まず下方に向けて進行し、一次熱交換器3を通過して、二次熱交換器5に流入する。そして、二次熱交換器5に流入した燃焼ガスは、二次熱交換器5内で燃焼ガスの流れ方向を下方向から上方向に方向変換し、排気筒6を通過して、外部に排気される。
なお、本実施形態の燃焼装置1は、図示しない送風機を有し、その送風機によって、燃焼に必要な空気が供給され、さらに燃焼部2で生成された燃焼ガスを下方に向けて流している。
【0035】
一次熱交換器3は、公知の気・液熱交換器であって、燃焼部2より燃焼ガスの流れ方向下流側に配置されている。一次熱交換器3は、湯水が流れる銅製の受熱管と、フィン(図示せず)とを備えている。即ち、一次熱交換器3に至った燃焼ガスは、受熱管に加えてフィンとも接して熱交換することができるため、受熱管を流れる湯水が効率的に熱交換される。また、一次熱交用ケース12は高さ方向に貫通している。
【0036】
また、二次熱交換器5は、燃焼ガスと熱交換する湯水が流れる受熱管32(図2参照)を有している。そして、この受熱管32と、一次熱交換器3の受熱管と、図示しない入水側配管及び出湯側配管とが、燃焼装置1の筐体10内で一連した流路を形成している。具体的には、燃焼ガスと熱交換する湯水は、湯水の流れ方向上流側から、入水側配管、二次熱交換器5の受熱管32、一次熱交換器3の受熱管、出湯側配管の順に直列的に接続されている。即ち、燃焼装置1では、入水側配管を通過した湯水は、二次熱交換器5を流れた後、一次熱交換器3内を流れることによって、順次熱交換され、その後、出湯側配管を介して給湯先に向けて供給される。言い換えると、入水側配管を通過した湯水は、上方に向けて流れていく。
【0037】
また、二次熱交換器5は、一次熱交換器3の下方に配置されており、一次熱交換器3及び排気筒6の双方に直接連通している。
即ち、二次熱交換器5は、二次熱交用ケース15の内部に、燃焼装置1の幅方向(図1において左右方向)に延びる空間を有する。また、二次熱交換器5は、燃焼部2の側方(幅方向左側)に配された排気筒6とも連通している。そのため、二次熱交換器5は、燃焼部2を下方に向けて流れる燃焼ガスを一次熱交換器3側から流入させるとともに、当該燃焼ガスを排気筒6に向けて流出させる。即ち、二次熱交換器5は、下方に向けて流れる燃焼ガスの流れ方向を上方に向けて折り返すことが可能である。
【0038】
以下、本実施形態の特徴たる二次熱交換器5の構造についてより詳細に説明する。
二次熱交換器5は、図2,3に示すように、二次熱交用ケース15と、管路部材16とによって構成されている。二次熱交用ケース15は、ケース本体17と、蓋部材18と、管路部材16の一部(壁面部材33)によって構成された長方形状の箱体である。
【0039】
ケース本体17は、ステンレススチール等の錆に強い素材で作られたものであり、図4のように底板部21と、その3辺から上方に向けて立設された周壁部22,23,24と、整流板90から形成されている。
即ち、ケース本体17は、ケース本体17の底板部21と周壁部22,23,24によって囲まれた内蔵空間14を有している。内蔵空間14は、管路部材16の受熱管32を内蔵可能な空間となっている。
底板部21は、平面視が長方形状の板材である。底板部21には、ドレンを集めるために緩やかな傾斜が設けられている(図示せず)。また底板部21には、ドレンを導くための溝(図示せず)が設けられている。さらに底板部21には、ドレン抜きのためのドレン排出管25が接続されている。ドレン排出管25は、中和器13(図1参照)にドレンを排出する部材である。ドレン排出管25は、図5のように周壁部23側に位置している。具体的には、周壁部22と周壁部23とによって形成される角部近傍に位置している。言い換えると、燃焼装置作動時において燃焼ガスの流れ方向下流側に設けられている。より詳細には、ドレン排出管25は、後述する整流空間領域85(図10参照)内に位置している。即ち、ドレン排出管25は、図2のような組み立て完成時において、蓋部材18の気体導入口26の上方(一次熱交換器3側)からの投影面上から逸脱しており、蓋部材18の気体排出口27の上方(排気筒6側)から投影面上に位置している。それ故に、ドレン排出管25に加わる燃焼ガスの風圧を低減させることができる。このことにより、中和器13に必要な水封高さを低下させることができる。即ち、中和器13の高さを低くすることができる。
周壁部22,24は、図4のようにケース本体17の長辺側の周壁を形成するものである。
【0040】
一方の周壁部24の略中央には、天地方向上下に延伸した突起部34を有している。具体的には、図2のように組み立て完成時に、後述する管路部材16の本体部35の直線部分40(図10参照)に対応する位置に設けられている。
一方、周壁部23は、図4のように前記した周壁部22,24に挟まれた位置にあり、ケース本体17の一方の短辺側の周壁を形成する。
周壁部23の内側面には、天地方向略中央に整流板90が設けられている。
整流板90は、燃焼ガスの流れ乱れを整える部材であり、燃焼ガスを速やかに気体排出口27に導く部材である。整流板90は、側面視すると略「く」の字状の部材である。即ち、周壁部23に固定される固定部91と固定部91の上端に斜め上方に延伸した上部整流部92と、固定部91の下端に斜め下方に延伸した下部整流部93とを有している。整流板90に燃焼ガスが衝突すると整流板90の内壁面に沿って方向転換され、天地方向上方に導かれる。
【0041】
続いて、蓋部材18について説明する。
蓋部材18は、図3のように気体導入口26と、気体排出口27を有した略長方形の蓋体である。
気体導入口26は、燃焼装置作動時に燃焼部2から燃焼ガス流路8を通って流下した燃焼ガスを二次熱交用ケース15の内蔵空間14内に導入する開口である。気体導入口26は、熱交連通開口29の一部を仕切り板20によって覆うことによって形成されており、長方形状の開口となっている。気体導入口26は、従来の気体導入口の大きさに比べて大きい。具体的には、気体導入口26は、蓋部材18の全面積の20パーセントから50パーセントを占める大きなものである。そのため、二次熱交換器5内に燃焼ガスが導入されやすく、燃焼部2内の炉圧を低減することが可能である。言い換えると、一次熱交換器3から二次熱交換器5へ燃焼ガスが直線的にスムーズに移動するため、一次熱交用ケース12内に燃焼ガスが滞留することによる一次熱交換器3の熱変換効率の低下を防止することができる。
【0042】
気体導入口26は、蓋部材18の一方の短辺側に寄った位置に設けられている。より具体的には、管路部材16の入水側ヘッダ30及び出水側ヘッダ31側に寄った位置に気体導入口26が形成されている。ケース本体17を基準にしていうと、気体導入口26は、周壁部23の対向する側に寄った位置に形成されている。
そして、気体導入口26と気体排出口27との間には所定の間隔が空けられている。具体的には、気体導入口26と気体排出口27は、本体部35の長径の0.8倍以上1.2倍以下の間隔を空けて配されている。
【0043】
また、蓋部材18は、図6のように蓋本体19と、仕切り板20によって形成されている。
蓋本体19は、気体導入口26の3辺を形成する熱交連通開口29と、気体排出口27を有した略長方形の板体である。
熱交連通開口29と気体排出口27は、蓋本体19の長手方向lに所定の間隔を介して並列されている。言い換えると、熱交連通開口29と気体排出口27間には、間隔維持部28が形成されている。また、熱交連通開口29と気体排出口27は、蓋本体19の短手方向wのほぼ全域に亘って形成されている。具体的には、熱交連通開口29の短手方向wの長さと気体排出口27の長手方向wの長さは、蓋本体19の短手方向wの長さの70パーセントから90パーセントとなっている。
【0044】
熱交連通開口29は、燃焼装置作動時に燃焼部2から燃焼ガス流路8を通って流下した燃焼ガスを二次熱交用ケース15に導入する開口である。即ち、熱交連通開口29は、仕切り板20の空間64に連通する開口である。また、熱交連通開口29は、一次熱交換器3内と連通している。
【0045】
気体排出口27は、二次熱交用ケース15内で熱交換した燃焼ガスを排気筒6に排出する開口である。気体排出口27は、略長方形状の開口であり、その面積は前記した気体導入口26よりも小さい。具体的には、気体排出口27は、蓋部材18の全面積の10パーセントから40パーセントを占めるものである。
気体排出口27は、管路部材16の入水側ヘッダ30側,出水側ヘッダ31側(図3,図8参照)から離れた位置に形成されている。ケース本体17を基準にしていうと、気体排出口27は、周壁部23側(図3,図4参照)に寄った位置に形成されている。
【0046】
ここで、気体導入口26と気体排出口27の間では、開口面積が大きく異なる。具体的には、気体導入口26の大きさは、気体排出口27の大きさの1.2倍から2倍程度となっている。気体排出口27は、本体部35の燃焼ガスの流れ方向下流側に位置しており、本体部35の下流側では、本体部35で熱交換された燃焼ガスが通過するため、気体排出口27近傍では、熱交換によって気体の温度が低下して体積が減少した燃焼ガスが流れる。即ち、気体排出口27近傍では流速の遅い燃焼ガスが流れる。それ故に、気体導入口26と気体排出口27の間で開口面積に差があっても、燃焼部2内の炉圧に影響しにくい。
【0047】
仕切り板20に目を移すと、仕切り板20は、熱交連通開口29からケース本体17の内蔵空間14に導入される燃焼ガスの流れを規制する部材である。仕切り板20の一辺は、気体導入口26の一辺を形成する。仕切り板20は、ステンレススチール等の錆に強い素材で作られたものである。仕切り板20は、図6のように底面部60と、底面部60の3辺から上方に向けて立設された取り付け壁部65,66,67から形成されている。即ち、仕切り板20は、底面部60と取り付け壁部65,66,67に囲まれた空間64を有している。
底面部60は、平面視が長方形状となっている。底面部60は、互いに高さが異なる出側底面部61と入側底面部62と、出側底面部61と入側底面部62の両者を接続する傾斜部63から形成されている。具体的には、出側底面部61は入側底面部62に対して高さ方向h(天地方向)上方に位置しており、傾斜部63は、出側底面部61から入側底面部62にかけて下り傾斜している。図7に示される傾斜部63の傾斜角度α(入側底面部62と傾斜部63からなる角)は、5°〜30°となっている。
【0048】
取り付け壁部65,67は、蓋本体19の長辺側の端部近傍に固定されるものである。具体的には、それぞれの取り付け壁部65,67は、図6のように出側底面部61,入側底面部62の前後方向端部に直交方向に折り曲げられた立壁部68,69と、立壁部68,69の突出方向先端から内側方向に折り曲げられた張り出し壁部70,71から形成されている。即ち、張り出し壁部70,71は互いに近接する方向に延伸している。張り出し壁部70,71と蓋本体19はスポット溶着等の公知の方法で一体的に固定される。
図7のように入側底面部62に立設した立壁部68の高さH1は、出側底面部61に立設した立壁部69の高さH2よりも長い。具体的には、張り出し壁部70,71が同一平面を形成する高さとなっている。
【0049】
一方、壁部66は、図6のように前記した取り付け壁部65,67に挟まれた位置にあり、蓋本体19の熱交連通開口29と気体排出口27の間に位置する間隔維持部28に固定されるものである。
壁部66は、出側底面部61,入側底面部62の幅方向(蓋部材18の長手方向l)端部に直交方向に折り曲げられた立壁部72,73と、立壁部72,73の突出方向先端から内側方向に折り曲げられた張り出し壁部74,75から形成されている。張り出し壁部74,75と間隔維持部28はスポット溶着等の公知の方法で一体的に固定される。
【0050】
続いて、管路部材16について説明する。
管路部材16は、図3,8等に示すように、上記した複数(本実施形態においては6本)の受熱管32と、入水側ヘッダ30と、出水側ヘッダ31とを備えた環状の熱交換流路である。また管路部材16には、二次熱交用ケース15の短辺の壁面を構成する壁面部材33が設けられている。
【0051】
順次説明すると、各受熱管32の一端側には入水側ヘッダ30が接続されており、他端側には出水側ヘッダ31が接続されている。受熱管32は、熱伝導性に優れ、表面が平滑な配管によって形成されている。即ち、受熱管32は、いわゆる裸管である。また、各受熱管32は、一定の間隔を開けて平行に配置されている。各受熱管32の間隔は等間隔となっている。
管路部材16の各受熱管32は、主に熱交換を行う本体部35と、出入り管部36に分かれている。
本体部35は、図8のように平面視が楕円形のループを構成する部分であり、湯水が流れ方向を基準に時計回りの螺旋構造を構成していて楕円部分が5段に重なっている。本体部35の各段の間には図9のように隙間37が存在する。
【0052】
本体部35は、図10のように一定方向にまっすぐ延びる直線部分40,41と、曲線状(円弧状)の湾曲部分42,43とを交互に含む螺旋状に形成されている。そして、本体部35は、図10のように平面視すると、直線部分40,41と、湾曲部分42,43によって、オーバル状にループしている。
各受熱管32のループ38a〜38fは、平行状態を維持して同心状に巻回されている。従って内側(ループの中心側)に位置する受熱管32(ループ38a)は、外側の受熱管32(ループ38f)に比べて全長が短い。
【0053】
一方、出入り管部36は、直線状となっている。即ち、出水側ヘッダ31から水平方向且つ並行に引き延ばされた各受熱管32は、出側管部45として機能し、最上段の段部39A(図9参照)の直線部分40に至っている。
そして最下段の段部39B(図9参照)の末端部分が直線状に引き延ばされ入側管部46を形成している。即ち、最下段の段部39Bの直線部分41がそのまま延長されて入側管部46を構成している。入側管部46の末端には、入水側ヘッダ30が接続されている。
【0054】
前記した出側管部45と入側管部46は、使用状態を基準とすると、図9のようにいずれもケース本体17の底板部21に対して平行であり、出側管部45を構成する受熱管32の束を含む平面と、入側管部46の受熱管32の束を含む平面は平行である。
また、出側管部45は、最上段の段部39Aに繋がっており、入側管部46は最下段の段部39Bに引き出されている。即ち、出側管部45と入側管部46の間には高低差がある。即ち、出側管部45は上部にあり、入側管部46は下部にある。
【0055】
また出側管部45と入側管部46の位置関係を平面視して説明すると、出側管部45と入側管部46とは、図10のように互いに対向する最上段の段部39Aの直線部分40と最下段の段部39Bの直線部分41に繋がっているから、両者は水平方向(短手方向w)に離れた位置にある。
【0056】
壁面部材33には、図8,10のように出側管部45と入側管部46が挿通されている。
壁面部材33から本体部35(湾曲部分43の端部)までの長さL1と、本体部35を構成する楕円の長径L2を比較すると、L2の方が大きい。
壁面部材33から本体部35までの長さL1は、本体部35の長径L2の40パーセントから80パーセントの範囲であることが望ましい。即ち、壁面部材33から本体部35までの長さL1が過度に小さいと、後述する第1空洞部82の大きさが小さくなってしまって流路抵抗が増大してしまう。逆に、L1が大きすぎると、熱交換に寄与する受熱管32の長さが短くなってしまい、熱交換効率が低下する。
【0057】
また本体部35の一方の直線部分41には、各段部39の間隔を維持させるためにスペーサー47が介在されている。
スペーサー47は、図11のように、一本の線材を曲げ加工して作られたものである。
スペーサー47は、それぞれ行き線50と戻り線51で同一平面上の段部を構成し、上下の段部を縦姿勢の曲線部52a〜52eで接続したものである。また、スペーサー47は、行き線50と戻り線51を水平姿勢の曲線部53a〜53eで接続したものである。
即ち、最上段部には、線の端部55Aから前後方向wの後方に延びる最上段部行き線50aがあり、最上段部行き線50aの先端部が水平姿勢の曲線部53aに繋がっている。そして水平姿勢の曲線部53aから最上段部戻り線51aに繋がっている。即ち、最上段部行き線50aは、曲線部53aで折り返して最上段部戻り線51aに至る。最上段部行き線50aと最上段部戻り線51aは、使用状態の姿勢を基準とすると、ほぼ同一の高さの位置にあり、最上段部行き線50aと曲線部53aと最上段部戻り線51aによって最上部の段部56aが形成される。
【0058】
さらに最上段部戻り線51aの先端は、縦姿勢の曲線部52aに繋がっており、さらにその先端は、第2段行き線50bに繋がっている。ここで第2段行き線50bは、使用状態の姿勢を基準とすると、最上段部戻り線51aの真下に位置する。
【0059】
そして第2段行き線50bの先端は、水平姿勢の曲線部53bに繋がり、さらにその先端が第2段戻り線51bに繋がっている。
ここで第2段戻り線51bは、使用状態の姿勢を基準とすると、第2段行き線50bとほぼ同一の高さの位置にあり、且つ最上段部行き線50aの真下の位置にある。そのため第2段行き線50bと曲線部53bと第2段戻り線51bによって第2段目の段部56bが形成される。
【0060】
こうして各段部の行き線50a〜50fと、水平姿勢の曲線部53a〜53fと戻り線51a〜51fによって構成される段部56a〜56fが、前後方向wの前方側の縦姿勢の曲線部52a〜52eで接続されている。本実施形態では、6段の段部56a〜56fが形成されている。また、各段部56a〜56fは、天地方向に所定の間隔を空けて平行に配されている。
【0061】
また各段部56a〜56fは、いずれも前後方向wの前方側の縦列に設けられた縦姿勢の曲線部52a〜52eで接続されており、他方である前後方向wの後方側の縦列側には各段部56a〜56f同士の間を接続する部材が無い。そのため、縦姿勢の曲線部52a〜52eが存在しない側(曲線部53側)を先頭にして本体部35にスペーサー47を差し込むことができる。
【0062】
その結果、図9に示すように、本体部35の受熱管32で構成される段部39の間に、行き線50a〜50eと、水平姿勢の曲線部53a〜53eと、戻り線51a〜53eで構成されるスペーサー47の段部56a〜56fが挿入される。
【0063】
一方、本体部35のスペーサー47が無い部分(直線部分40)では、図9に示すように、本体部35の受熱管32で構成される段部39の間に、所定の隙間37が維持される。
【0064】
続いて、二次熱交換器5の構成部材の位置関係について説明する。
管路部材16は、その大部分が二次熱交用ケース15の内蔵空間14内に収納されている。即ち、ケース本体17と、蓋部材18と、管路部材16の壁面部材33と、が組み合わされて直方体の二次熱交用ケース15が形成されている。
そして、管路部材16の壁面部材33から先端側(本体部35側)の部位は、全てケース本体17の内蔵空間14内に収容されている。逆に言うと、入水側ヘッダ30と出水側ヘッダ31は、二次熱交用ケース15の外にある。
【0065】
前記したように管路部材16の各受熱管32は、大きく本体部35と、出入り管部36に分かれている。即ち、図10のように二次熱交用ケース15を平面視したとき、長手方向に、主に本体部35が収容される本体部収容領域80と、出入り管部36が配される入出管配置領域81と、本体部35及び出入り管部36が存在しない整流空間領域85に分かれる。即ち、入出管配置領域81には本体部35は存在せず、出側管部45と入側管部46だけが存在し、中間部には空隙がある。
本体部収容領域80は、周壁部23によった位置に形成されている。即ち、本体部35は、周壁部23側によっている。また、入出管配置領域81は、整流空間領域85に比べて大きい。具体的には、入出管配置領域81の面積は整流空間領域85の面積の1.5倍から3倍となっている。
【0066】
また、二次熱交用ケース15の蓋部材18に設けられた熱交連通開口29は、本体部収容領域80と入出管配置領域81に跨がって開いている。そして熱交連通開口29の一部を塞ぐように仕切り板20が設けられている。具体的には、仕切り板20は、熱交連通開口29の本体部収容領域80を塞ぐように設けられている。管路部材16を基準にすると、仕切り板20は、本体部35の一方の曲線状(円弧状)の湾曲部分43を覆っている。
【0067】
また、仕切り板20は、図9のように蓋本体19と管路部材16の間に介在している。
具体的には、仕切り板20は本体部35との間に所定の距離を隔てて配されており、仕切り板20と本体部35との間には所定の空間が形成されている。より詳細には、本体部35の最上段の段部39Aの直線部分40の上方に仕切り板20の出側底面部61が、最上段の段部39Aの直線部分41の上方に仕切り板20の入側底面部62が位置している。そして、直線部分40と出側底面部61との距離は、直線部分41と入側底面部62との距離と等しい。直線部分40と出側底面部61との距離(直線部分41と入側底面部62との距離)は、5mm〜15mm程度となっている。
【0068】
即ち、気体導入口26から導入された燃焼ガスが最上段の段部39Aの上方を通過する際には、仕切り板20は、燃焼ガスを整流し、均一量の燃焼ガスのみ通過できるように規制している。
【0069】
また、仕切り板20は、熱交連通開口29の開口の一部を塞いでいる。具体的には、正面視した際に、気体導入口26から本体部35が視認できないように仕切り板20が覆っている。即ち、気体導入口26から内蔵空間14に燃焼ガスが流下した際に、燃焼ガスが直接本体部35に接触することを防止している。
【0070】
また、仕切り板20の底面部60と蓋本体19の天面との間には、段差がある。即ち、蓋本体19の天面に対して底面部60は天地方向下方に位置しており、底面部60の上方に空間64が形成されている。ケース本体17を基準にすると、仕切り板20は本体部35側に突出している。
底面部60の上方に空間64が配されているため、一次熱交換器3から流入される燃焼ガスの一部は空間64を通過するため、一次熱交換器3内の通路抵抗を低減することが可能である。
【0071】
入出管配置領域81では、図10のように天地方向上側に出側管部45を構成する受熱管32の束76が帯状に延びている。即ち、天地方向上側であって、一方の長辺を構成する周壁部24寄りの位置に受熱管32の束76が帯状に延びている。
一方、天地方向下側に入側管部46を構成する受熱管32の束77が帯状に延びている。即ち天地方向下側であって、他方の長辺を構成する周壁部22寄りに位置に受熱管32の束77が帯状に延びている。
【0072】
前記したように出側管部45を構成する受熱管32の束76と、入側管部46を構成する受熱管32の束77との間には、大きな落差があるため、気体導入口26の直下の位置には、図12のように広い第1空洞部82(空隙部)が存在する。
なお気体導入口26の内、前後方向後方側に位置する部分の一部は、その開口の僅かに下の位置に出側管部45を構成する受熱管32の束76が配されている。そのため、気体導入口26の内、前後方向後方側に位置する部分の一部は、実質的に出側管部45を構成する受熱管32の束76によって閉塞されている。一方、気体導入口26の前後方向前方側に位置する部分の一部は、これを閉塞する部材が存在しない。
【0073】
ケース本体17内部に目を移すと、前後方向w後方側に位置する部分の上部には前記した様に出側管部45を構成する受熱管32の束76が帯状に配されているが、当該束76の下部は、空洞となっている。即ち、前後方向w後方側に位置する部分の受熱管32の下方には、第2空洞部83(空隙部)がある。第2空洞部83は、第1空洞部82と直接的に連通している。即ち、気体導入口26の近傍には、第1空洞部82と第2空洞部83が連なって空隙部が形成されている。
【0074】
長辺側の周壁部22,24と受熱管32は接触している。具体的には、図9のように前後方向w後方側に位置する周壁部24の突起部34が管路部材16の本体部35の直線部分40と当接している。一方、前後方向w前方側に位置する周壁部22とスペーサー47の曲線部52が当接している。
即ち、周壁部22,24と管路部材16の本体部35との間には、前後方向wに空間がない。
【0075】
本体部35の一方の直線部分41にスペーサー47が取り付けられているが、スペーサー47の取り付け位置は、図9のように周壁部24の突起部34と本体部35を挟んで対向する位置となっている。
【0076】
また、本体部35と周壁部23との間は、所定の距離離れており、本体部35及び出入り管部36が存在しない整流空間86が配されている。上記したように周壁部23には、整流板90が設けられている。即ち、本体部35よりも燃焼ガスの流れ方向下流側に形成された整流空間86内に整流板90が位置している。言い換えると、本体部35を通過した燃焼ガスは整流板90によって整流空間86内で整流される。そのため、乱流によって生じる風切音を低減することが可能である。また、上記したようにドレン排出管25は、後述する整流空間86内に位置している。そのため、整流によりスムーズに燃焼ガスが流れるため、燃焼部2にかかる炉圧を低減することが可能である。
【0077】
前記した様に、本実施形態の燃焼装置1は、一次熱交用ケース12と排気筒6が二次熱交換器5の上に載置されている。より詳細には、図13のように、二次熱交換器5の熱交連通開口29上に一次熱交換器3が載置される。また気体排出口27上に排気筒6が載置される。
【0078】
そのため一次熱交用ケース12の下端は、気体導入口26を覆う。具体的には、一次熱交用ケース12は、熱交連通開口29を覆う。ここで、上記したように気体導入口26の開口面積は大きいため、一次熱交換器3の排気を直線的に気体導入口26内に導入することができる。
同様に、排気筒6の下端は、気体排出口27を覆う。即ち、一次熱交用ケース12と二次熱交用ケース15と排気筒6は、気体導入口26及び気体排出口27を介して連通している。
【0079】
次に本実施形態の燃焼装置1の機能について説明する。
入水側ヘッダ30及び出水側ヘッダ31は、二次熱交用ケース15の外部であって側方(図1において正面視右側)に配置されている。出水側ヘッダ31は、入水側ヘッダ30よりも上方かつ奥側に配置されている。入水側ヘッダ30には、図示しない配管を介して給水が行われる。給水源から供給された水は、複数の受熱管32に分岐して平行に流れ、出水側ヘッダ31から排出される。
また出水側ヘッダ31は図示しない配管によって一次熱交換器3に接続されており、出水側ヘッダ31から排出された水は、一次熱交換器3を流れる。
【0080】
また、燃焼装置1は、燃焼部2が燃焼動作を開始すると、燃焼部2の燃焼動作に伴って発生した燃焼ガスは、バーナー側ケース11及び一次熱交用ケース12内を下方に向けて流れる。
【0081】
その後、燃焼ガス流路8(バーナー側ケース11及び一次熱交用ケース12)を通過した燃焼ガスは、図13のように熱交連通開口29内に進入する。ここで、熱交連通開口29の仕切り板20近傍を通る燃焼ガス(矢印X)は、図13のように熱交連通開口29の空間64に進入し、仕切り板20の天面に沿って、気体導入口26に導入される。一方、残りの燃焼ガス(矢印Y)は、熱交連通開口29内に進入した後、直接気体導入口26に導入される。
そのため、一次熱交換器3から二次熱交換器5内に燃焼ガスが流入する際の一次熱交換器3の流路抵抗を低減している。
そして、図14の矢印で示すように、二次熱交換器5の気体導入口26から二次熱交用ケース15の内蔵空間14内に導入される。
燃焼ガスの進入方向は、図14,図15の矢印A,B,Cで示すように、本体部35を構成する二次熱交用ケース15の底板部21に対して交差する方向である。
そして二次熱交換器5の二次熱交用ケース15の内蔵空間14内に導入された燃焼ガスの内、出側管部45近傍(前後方向後方側)から入った燃焼ガスは、矢印A,Bのように直ちに出側管部45を構成する受熱管32の束76と衝突する。即ち、気体導入口26の内、前後方向後方側に位置する部分の一部は、実質的に出側管部45を構成する受熱管32の束76によって閉塞されているので、前後方向後方側に位置する部分から入った燃焼ガスは、出側管部45を構成する受熱管32の束76と衝突し、当該部位の受熱管32と熱交換する。そして燃焼ガスの一部は、矢印Aのように受熱管32の間の隙間をすり抜けて下側の第2空洞部83に流れる。
【0082】
一方、燃焼ガスの残部は、矢印Bのように、受熱管32の帯を横切り、前後方向後方側に位置する部分から第1空洞部82に入る。
また、二次熱交換器5の二次熱交用ケース15の内蔵空間14内に導入された燃焼ガスの内、入側管部46側(前後方向前方側)から入った燃焼ガスは、図14,図15の矢印Cの様に、そのまま直接下方向に流れて二次熱交用ケース15内の第1空洞部82に入り、二次熱交用ケース15の底部分にある入側管部46と衝突し、当該部位の受熱管32と熱交換する。
【0083】
こうして第1空洞部82又は第2空洞部83(空隙部)に入った燃焼ガスは、共にケース本体17内の気体導入口26側から気体排出口27側に向かって流れる。
具体的には、第1空洞部82又は第2空洞部83に入った燃焼ガスは、図15の矢印A,B,Cのように本体部35の段部間に形成されている隙間37や、底板部21と本体部35との隙間、仕切り板20と本体部35との隙間を通って、気体排出口27側に流れる。
【0084】
ここで、燃焼ガスは、仕切り板20によって流通量が規制され、直線的に気体排出口27側に移動する。即ち、本体部35の直線部分40及び直線部分41の延伸方向に沿って燃焼ガスが移動する。
【0085】
即ち、通過する燃焼ガスは、本体部35の周囲を必ず通過しなければならず、さらに、本体部35の直線部分40及び直線部分41の延伸方向に沿って燃焼ガスが移動するため、十分な熱交換に必要な伝熱面積を確保できる。
【0086】
そして気体排出口27側に流れた燃焼ガスは、整流板90によって天地方向上方に方向転換して気体排出口27から外部(排気筒6)に排出される。
【0087】
上記した実施形態では、本体部35の螺旋の方向の巻き方向を湯水の流れ方向を基準に時計回りとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、図16のように螺旋の方向の巻き方向を湯水の流れ方向を基準に反時計回りとしてもよい。
【0088】
上記した実施形態では、受熱管32の出入り管部36の配置を気体導入口26側に設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、受熱管32の出入り管部36の配置は限定されない。気体排出口27側(周壁部23側)に設けてもよいし、図17のように、ケース本体17の長辺側の周壁部に設けてもよい。直線部分40,41を通過する観点から、受熱管32の出入り管部36は、ケース本体17の長手方向に延伸して配置されることが好ましい。
【0089】
上記した実施形態では、オーバル状の本体部35を有した受熱管32を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、本体部35の形状は問わない。例えば、本体部は円状であってもよく、板状であってもよい。
【0090】
上記した実施形態では、二次熱交用ケース15内に、1つの管路部材16が配されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の異なる管路部材が共存していてもよい。例えば、2種類の管路部材が配置されていてもよい。このとき、図18のようにそれぞれの管路部材が上下に配されていてもよいし、図19のように本体部35が対面する方向に配されていてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 燃焼装置
2 燃焼部
5 二次熱交換器
8 燃焼ガス流路
14 内蔵空間(空間)
15 二次熱交用ケース(ケース部材)
25 ドレン排出管
26 気体導入口
27 気体排出口
35 本体部
40,41 直線部分(直線部)
45 出側管部(出側流通部)
46 入側管部(入側流通部)
82 第1空洞部(空隙部)
83 第2空洞部(空隙部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜熱回収型の燃焼装置に関するものである。特に、逆燃焼式を採用した潜熱回収型の燃焼装置に好適である。
【背景技術】
【0002】
近年、バーナーを燃焼させた際に発生する熱の熱交換効率を向上するべく、燃焼ガスの潜熱までも回収する潜熱回収型の燃焼装置が市場に普及している。この潜熱回収型の燃焼装置は、主に燃焼ガス中の水蒸気が液化する際に発生する熱を回収するものであるため、潜熱回収を行う熱交換器では、多量のドレンが発生する。そして、このドレンは、燃焼時に生成された窒素酸化物が溶け込んで、酸性を呈することが知られている。そのため、ドレンは中和器等を用いて中和し外部に排出される。
【0003】
また、ドレンに対処するため、潜熱回収型の燃焼装置では、顕熱を回収する熱交換器と、潜熱を回収する熱交換器を個別に搭載している。
前者の顕熱を回収する熱交換器は、一次熱交換器と称されており、一方、後者の潜熱を回収する熱交換器は、二次熱交換器と称されている。
【0004】
潜熱を回収する二次熱交換器は、ドレンの排出を促進するために、水管にフィンを設けず、裸管で作ることが推奨される。また酸性のドレンで腐食しないように、ステンレススチール等の素材を利用して製作することが推奨されている。
【0005】
そこで、潜熱回収型燃焼装置では、一対のヘッダ間に複数の裸管を並行に接続した構造の熱交換器が採用されている(例えば、特許文献1)。
図20は、特許文献1に開示された熱交換器の正面図及び平面図である。
特許文献1に開示された二次熱交換器100では、複数の水管101を水平の同一平面に並行に並べ、この水管101をループ状に曲げて平面形状が楕円形の螺旋を形成している。
【0006】
即ち、二次熱交換器100は、ケース部材102と、管路部材103によって構成されている。そして、管路部材103は、入水側のヘッダ105と出水側のヘッダ106を有している。この2つのヘッダ105,106は、いずれもケース部材102の同一の辺の外側に配置されている。
そして、2つのヘッダ105,106は、5本の水管101で接続されている。
ヘッダ105,106に接続された水管101は、いずれも略水平且つ平行に並んでおり、この状態を維持したままで楕円形のループ部110を構成している。また、水管101は、螺旋を構成しており、各ループ部110は7段重ねとなっている。
【0007】
また、二次熱交換器100では、管路部材103のループ部110は、ケース部材102の全域に渡っている。
即ち、ループ部110は、円弧部111,112を有し、その両者の間に直線部113がある。そして、両端の円弧部111,112の最も外側の水管101は、ケース部材102の両側壁115,116に近接した位置に配されている。
【0008】
ところで、燃焼装置の一形態として、逆燃焼方式と称される形態がある。
即ち、逆燃焼方式は、バーナーを下方に向けて配置したものである。図21は、代表的な逆燃焼方式の燃焼装置200のレイアウトを示している。
逆燃焼方式の燃焼装置200では、図21のようにバーナー201が接続された燃焼缶体部202と、当該燃焼缶体部202に対して水平方向に並列的に立設された排気筒203とを有している。
そして、燃焼缶体部202の下部と、排気筒203の下部同士が連通路形成部205で接続されている。
【0009】
特許文献2には、逆燃焼方式の燃焼装置200に、上記したループ部110を有する二次熱交換器100を採用した例が開示されている。
特許文献2に開示された燃焼装置200では、燃焼缶体部202の顕熱を回収する一次熱交換器210が設けられている。また、排気筒203には、消音器が内蔵されている。
そして、両者を結ぶ連通路形成部205が、一次熱交換器210と前記した二次熱交換器100によって形成されている。
即ち、特許文献2に開示された燃焼装置200では、連通路形成部205は、二次熱交換器100(連通路形成部205)の上方の位置に燃焼缶体部202と排気筒203とが並べて載置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−32252号公報
【特許文献2】特開2010−7968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に開示された二次熱交換器100を逆燃焼方式の燃焼装置200に応用すると、二次熱交換器100の流路抵抗が高くなってしまうという問題がある。
即ち、二次熱交換器100を逆燃焼方式の燃焼装置200に応用すると、二次熱交換器100の上に一次熱交換器210と排気筒203とが並べて載置される。
このときの、一次熱交換器210及び排気筒203と、二次熱交換器100のケース部材102及び管路部材103との位置関係を上部側から観察すると、図22のような配置となる。
図22から明らかなように、二次熱交換器100を逆燃焼方式の燃焼装置200に応用すると、左右の円弧部111,112上に、一次熱交換器210と排気筒203が載る。ここで、特に図面左側の円弧部111上に一次熱交換器210が載ることが問題となる。
即ち、特許文献1に開示された二次熱交換器100を逆燃焼方式の燃焼装置200に応用すると、一次熱交換器210の下部に円弧部111が存在してしまう。即ち、燃焼缶体部202と一次熱交換器210は連通しており、一次熱交換器210を通過した燃焼ガスの排気流路上に、円弧部111が存在し、円弧部111が燃焼ガスの流れを塞いでしまう。
そのため、円弧部111が障壁となって燃焼缶体部202で発生した燃焼ガスが一次熱交換器210を介して二次熱交換器100に導入されることが阻害されてしまう。
【0012】
以上のように、二次熱交換器100を逆燃焼方式の燃焼装置200に応用すると、二次熱交換器100の流路抵抗が高くなってしまうので、これに見合う高圧力の送風機を搭載しなければならない。高圧力の送風機を搭載すると、コストが増大する。
【0013】
また、管路部材103のループの中央に形成される空隙117から集中的に燃焼ガスを二次熱交換器100内に導入する構成とすれば、流路抵抗の増加は低減される。しかしながら、この構成を採用するためには、燃焼缶体部202で発生した燃焼ガスを、ループの中央に形成される空隙117に導くための流路形成部材を二次熱交換器100とは別に設ける必要が生じる。
即ち、図23のように、一次熱交換器210と二次熱交換器100の間に、二次熱交換器100の中央に導入する流路形成部材206を介在させなければならない。その結果、流路形成部材206の高さの分、燃焼装置200の全高が高くなってしまい、燃焼装置200の外形が大きくなってしまう。
【0014】
そこで本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、流路抵抗が小さく、且つ全高が増大しない燃焼装置を開発することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、燃焼部と、燃焼部で生成された燃焼ガスが流通する燃焼ガス流路と、当該燃焼ガス流路の一部を構成し燃焼ガスの熱エネルギーを回収して湯水又は熱媒体を加熱する熱交換器を有した燃焼装置であって、前記熱交換器は、燃焼ガスが通過するケース部材と、湯水又は熱媒体が流れる液体流通部材を有し、ケース部材は、燃焼ガスが導入される気体導入口と、燃焼ガスを排出する気体排出口とを有していてその内部が燃焼ガス流路として機能し、前記液体流通部材は、主に熱交換を行う本体部と、本体部に湯水又は熱媒体を導入する入側流通部と、本体部から湯水又は熱媒体を排出する出側流通部とを有し、前記本体部はケース部材の内部であって前記気体導入口と前記気体排出口の間にあり、且つ前記本体部の全部または大半部分は気体導入口の投影面から逸脱していて気体導入口の近傍には空隙部があり、気体導入口から導入された燃焼ガスは、空隙部で方向を変え、ケース部で構成される燃焼ガス流路の断面の略全部を通過して本体部側に流れ、気体排出口から排出されることを特徴とする燃焼装置である。
【0016】
本発明の構成によれば、ケース部材は、燃焼ガスが導入される気体導入口と、燃焼ガスを排出する気体排出口とを有していてその内部が燃焼ガス流路として機能する。即ち、燃焼ガスは、気体導入口から進入し、ケース部材内を通過して熱交換され気体排出口から排出される。
そして、本発明の構成によれば、前記本体部はケース部材の内部であって前記気体導入口と前記気体排出口の間にあり、且つ前記本体部の全部または大半部分は気体導入口の投影面から逸脱していて気体導入口の近傍には空隙部がある。
即ち、本体部の全部または大半部分は気体導入口の投影面から逸脱した位置に空隙部がある。そして、空隙部は、気体導入口の開口面積程度の比較的広い空間となっている。そのため、外部から供給された燃焼ガスは、気体導入口を通って空隙部に直線的に進入することが可能である。言い換えると、燃焼ガスの導入に際して、障害となるものがほとんどなく、速やかにケース部材内に燃焼ガスが導入されるので、空隙部までの流路抵抗が小さい。それ故に、例え、高圧力の送風機等を備えなくてもケース部材内への燃焼ガスの導入が可能である。また、高価な高圧力の送風機等を設ける必要がないので、コストを低減できる。また、例えば、上記した流路形成部材206のような本体部に燃焼ガスを導入するための部材を必要としないため、従来の燃焼装置に比べて、全高が増大しない。
また、気体導入口の近傍に空隙部を形成し、本体部をケース部材の全面に敷き詰める必要がないため、本体部を形成する際にかかる材料費を低減できる。
【0017】
また、本発明の構成によれば、気体導入口から導入された燃焼ガスは、空隙部で方向を変え、ケース部で構成される燃焼ガス流路の断面の略全部を通過して本体部側に流れ、気体排出口から排出される。
即ち、空隙部に進入した燃焼ガスは、ケース部で構成される燃焼ガス流路の断面の略全部を通過して本体部側に流れる。言い換えると、燃焼ガス流路の断面の略全部が燃焼ガスによって満たされる。そして、本体部は気体導入口と前記気体排出口の間に配されているため、本体部に接触しながら気体排出口に至ることとなる。即ち、燃焼ガスと本体部の熱交換における有効面積が大きい。それ故に、熱交換効率が高い。
【0018】
また、本発明は、液体流通部材の本体部の90パーセント以上の部分が気体導入口の投影面から逸脱していることが好ましい(請求項2)。
【0019】
請求項3に記載の発明は、ケース部材の気体導入口は、当該ケース部材の一つの面に開口し、当該開口が設けられた前記面であって、ケース部材の内部の液体流通部材の本体部に面する部位は、本体部側に向かって突出していることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃焼装置である。
【0020】
本発明の構成によれば、ケース部材の内部であって、液体流通部材の本体部に面する部位は、本体部側に向かって突出している。例えば、本体部の外形に対して所定の間隔が空くように突出させることによって、本体部とケース部材の本体部に面する部位との間を通過する燃焼ガスの流通量を均一化することができる。即ち、ケース部材の本体部に面する部位では、燃焼ガスの流通量に局所的な分布が生じないため、均一に燃焼ガスと本体部との熱交換が可能である。
【0021】
請求項4に記載の発明は、本体部は、燃焼ガスの流れ方向に沿って延びる直線部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の燃焼装置である。
【0022】
本発明の構成によれば、燃焼ガスがケース部材を通過時に本体部との接触時間が長くできる。そのため、さらに燃焼ガスと本体部との間の熱交換効率が高い。
【0023】
ここで、気体排出口は、本体部の燃焼ガスの流れ方向下流側に位置している。本体部の下流側では、本体部で熱交換された燃焼ガスが通過するため、気体排出口近傍では流速の遅い燃焼ガスが流れる。即ち、気体導入口近傍と気体排出口近傍との間には燃焼ガスの流速に差が生じ、気体排出口近傍では燃焼ガスの流速が遅いため、空気導入口に比べて気体排出口から燃焼ガスが排気するのに必要な圧力は小さい。即ち、気体排出口の開口面積は空気導入口の開口面積に比べて小さくても燃焼ガスの流通に支障はない。
【0024】
この考えをもとに導き出された請求項5に記載の発明は、本体部は、気体排出口側に偏在していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の燃焼装置である。
【0025】
本発明の構成によれば、本体部は気体排出口側に偏在している。即ち、気体排出口に比べて気体導入口の開口面積を大きくすることが可能であり、また、空隙部も大きくすることができる。それ故に、燃焼ガスの導入の際の流路抵抗をさらに小さくすることができる。
【0026】
請求項6に記載の発明は、燃焼ガスの下流側であって、気体導入口から逸脱した位置に、ドレンを排出するドレン排出管が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の燃焼装置である。
【0027】
本発明によれば、外部から供給された燃焼ガスが気体導入口を通って空隙部に直線的に進入する際にかかる圧力の影響を受けにくい。即ち、ドレン排出管に接続される中和器の水封高さを低下させることができる。それ故に、従来の中和器に比べて、中和器の高さを低くすることができる。
【0028】
また、前記ケース部材内の燃焼ガス流路は、燃焼ガスの流れを天地方向下方向から上方向に変換して流通するものであることが好ましい(請求項7)。即ち、逆燃式と称される燃焼装置に好適である。
【発明の効果】
【0029】
本発明の構成によれば、気体導入口の近傍には空隙部があるため、燃焼ガスをスムーズに気体導入口から導入できる。それ故に、本体部に燃焼ガスを導入するための別部材を必要とせず、従来の燃焼装置に比べて、全高が増大しない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態の燃焼装置の正面図であり、前板を外している。
【図2】本発明の実施形態の燃焼装置で採用する二次熱交換器の斜視図である。
【図3】図2の二次熱交換器の分解斜視図である。
【図4】図3のケース本体の斜視図である。
【図5】図3のケース本体の平面図である。
【図6】図3の蓋部材の分解斜視図である。
【図7】図6の仕切り板の断面図である。
【図8】図3の管路部材の斜視図である。
【図9】図2の二次熱交換器のA−A断面図である。
【図10】図2の蓋部材を外した状態を示す平面図である。
【図11】図9のスペーサーの斜視図である。
【図12】図2の二次熱交換器の一部破断斜視図である。
【図13】燃焼ガスの流れを矢印で付記した図2の二次熱交換器の斜視図である。
【図14】燃焼ガスの流れを矢印で付記した図2の二次熱交換器の一部破断斜視図である。
【図15】燃焼ガスの流れを矢印で付記した図2の二次熱交換器の断面図である。
【図16】二次熱交換器の変形例を示す平面図である。
【図17】二次熱交換器の変形例を示す平面図である。
【図18】二次熱交換器の変形例を示す斜視図であり、二次熱交用ケース内で上下方向に2つの管路部材を重ねた場合を表す。
【図19】二次熱交換器の変形例を示す斜視図であり、二次熱交用ケース内で2つの管路部材を対面して配置した場合を示す。
【図20】(a)は従来技術の熱交換器の正面断面図であり、(b)は同熱交換器の平面図である。
【図21】逆燃焼方式の燃焼装置の基本的なレイアウトを示す説明図である。
【図22】(a),(b)は、図21の二次熱交換器の燃焼缶体部と排気流路形成部との位置関係を説明する説明図である。
【図23】従来技術の燃焼装置のレイアウトを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明の第1実施形態に係る燃焼装置1について説明する。
本実施形態の燃焼装置1は、具体的には給湯装置であり、燃焼ガスを生成する燃焼部2と、顕熱を回収する一次熱交換器3と、潜熱を回収する二次熱交換器5とを備えた、いわゆる潜熱回収型と呼ばれる燃焼装置である。
燃焼装置1の基本的なレイアウトは、従来技術と同一であり、図1のように燃焼部2と、燃焼部2に対して幅方向(左右方向)に並列に立設された排気筒6とを有している。
【0032】
まず、最初に燃焼装置1の主要な構成について説明する。
燃焼装置1は、図1に示すように、筐体10のほぼ中央に燃焼ケース7が配置され、その燃焼ケース7に燃焼部2と、一次熱交換器3と、二次熱交換器5とが内蔵されている。具体的には、燃焼ケース7は、バーナー側ケース11と、高さ方向(上下方向)に長いほぼ直方体状の一次熱交用ケース12と、幅方向l(左右方向)に長い二次熱交用ケース15とが内部で連通するように連結されて形成されたものある。そして、バーナー側ケース11は燃焼部2の一部を構成し、一次熱交用ケース12は一次熱交換器3の一部を構成し、二次熱交用ケース15は二次熱交換器5の一部を構成する。
また、燃焼装置1の筐体10の幅方向l左側には、燃焼ガスを外部に排気する排気筒6が配されている。具体的には、その排気筒6は、燃焼装置1の筐体10の内外に渡るように配置されると共に、二次熱交用ケース15の上部左側に接続された配置である。
即ち、燃焼ケース7は、図1の矢印のような燃焼部2から排気筒6に連なった燃焼ガス流路8を形成している。そして、燃焼ガス流路8は、燃焼部2で生成された燃焼ガスを高さ方向下方向から上方向に燃焼ガスの流れ方向を変換して排気筒6に流通することを可能となっている。
【0033】
燃焼部2は、いわゆる逆燃焼式の燃焼部であり、図示しないバーナーによって、下方に向けて火炎を形成するものである。燃焼部2は、公知のものと同様、燃料噴霧ノズルや燃焼筒等を備えている(図示しない)。
【0034】
即ち、燃焼部2で液体燃料が燃焼し、燃焼ガスが生成されると、その燃焼ガスは、燃焼ガス流路8を通って外部に排気される。具体的には、生成した燃焼ガスは、まず下方に向けて進行し、一次熱交換器3を通過して、二次熱交換器5に流入する。そして、二次熱交換器5に流入した燃焼ガスは、二次熱交換器5内で燃焼ガスの流れ方向を下方向から上方向に方向変換し、排気筒6を通過して、外部に排気される。
なお、本実施形態の燃焼装置1は、図示しない送風機を有し、その送風機によって、燃焼に必要な空気が供給され、さらに燃焼部2で生成された燃焼ガスを下方に向けて流している。
【0035】
一次熱交換器3は、公知の気・液熱交換器であって、燃焼部2より燃焼ガスの流れ方向下流側に配置されている。一次熱交換器3は、湯水が流れる銅製の受熱管と、フィン(図示せず)とを備えている。即ち、一次熱交換器3に至った燃焼ガスは、受熱管に加えてフィンとも接して熱交換することができるため、受熱管を流れる湯水が効率的に熱交換される。また、一次熱交用ケース12は高さ方向に貫通している。
【0036】
また、二次熱交換器5は、燃焼ガスと熱交換する湯水が流れる受熱管32(図2参照)を有している。そして、この受熱管32と、一次熱交換器3の受熱管と、図示しない入水側配管及び出湯側配管とが、燃焼装置1の筐体10内で一連した流路を形成している。具体的には、燃焼ガスと熱交換する湯水は、湯水の流れ方向上流側から、入水側配管、二次熱交換器5の受熱管32、一次熱交換器3の受熱管、出湯側配管の順に直列的に接続されている。即ち、燃焼装置1では、入水側配管を通過した湯水は、二次熱交換器5を流れた後、一次熱交換器3内を流れることによって、順次熱交換され、その後、出湯側配管を介して給湯先に向けて供給される。言い換えると、入水側配管を通過した湯水は、上方に向けて流れていく。
【0037】
また、二次熱交換器5は、一次熱交換器3の下方に配置されており、一次熱交換器3及び排気筒6の双方に直接連通している。
即ち、二次熱交換器5は、二次熱交用ケース15の内部に、燃焼装置1の幅方向(図1において左右方向)に延びる空間を有する。また、二次熱交換器5は、燃焼部2の側方(幅方向左側)に配された排気筒6とも連通している。そのため、二次熱交換器5は、燃焼部2を下方に向けて流れる燃焼ガスを一次熱交換器3側から流入させるとともに、当該燃焼ガスを排気筒6に向けて流出させる。即ち、二次熱交換器5は、下方に向けて流れる燃焼ガスの流れ方向を上方に向けて折り返すことが可能である。
【0038】
以下、本実施形態の特徴たる二次熱交換器5の構造についてより詳細に説明する。
二次熱交換器5は、図2,3に示すように、二次熱交用ケース15と、管路部材16とによって構成されている。二次熱交用ケース15は、ケース本体17と、蓋部材18と、管路部材16の一部(壁面部材33)によって構成された長方形状の箱体である。
【0039】
ケース本体17は、ステンレススチール等の錆に強い素材で作られたものであり、図4のように底板部21と、その3辺から上方に向けて立設された周壁部22,23,24と、整流板90から形成されている。
即ち、ケース本体17は、ケース本体17の底板部21と周壁部22,23,24によって囲まれた内蔵空間14を有している。内蔵空間14は、管路部材16の受熱管32を内蔵可能な空間となっている。
底板部21は、平面視が長方形状の板材である。底板部21には、ドレンを集めるために緩やかな傾斜が設けられている(図示せず)。また底板部21には、ドレンを導くための溝(図示せず)が設けられている。さらに底板部21には、ドレン抜きのためのドレン排出管25が接続されている。ドレン排出管25は、中和器13(図1参照)にドレンを排出する部材である。ドレン排出管25は、図5のように周壁部23側に位置している。具体的には、周壁部22と周壁部23とによって形成される角部近傍に位置している。言い換えると、燃焼装置作動時において燃焼ガスの流れ方向下流側に設けられている。より詳細には、ドレン排出管25は、後述する整流空間領域85(図10参照)内に位置している。即ち、ドレン排出管25は、図2のような組み立て完成時において、蓋部材18の気体導入口26の上方(一次熱交換器3側)からの投影面上から逸脱しており、蓋部材18の気体排出口27の上方(排気筒6側)から投影面上に位置している。それ故に、ドレン排出管25に加わる燃焼ガスの風圧を低減させることができる。このことにより、中和器13に必要な水封高さを低下させることができる。即ち、中和器13の高さを低くすることができる。
周壁部22,24は、図4のようにケース本体17の長辺側の周壁を形成するものである。
【0040】
一方の周壁部24の略中央には、天地方向上下に延伸した突起部34を有している。具体的には、図2のように組み立て完成時に、後述する管路部材16の本体部35の直線部分40(図10参照)に対応する位置に設けられている。
一方、周壁部23は、図4のように前記した周壁部22,24に挟まれた位置にあり、ケース本体17の一方の短辺側の周壁を形成する。
周壁部23の内側面には、天地方向略中央に整流板90が設けられている。
整流板90は、燃焼ガスの流れ乱れを整える部材であり、燃焼ガスを速やかに気体排出口27に導く部材である。整流板90は、側面視すると略「く」の字状の部材である。即ち、周壁部23に固定される固定部91と固定部91の上端に斜め上方に延伸した上部整流部92と、固定部91の下端に斜め下方に延伸した下部整流部93とを有している。整流板90に燃焼ガスが衝突すると整流板90の内壁面に沿って方向転換され、天地方向上方に導かれる。
【0041】
続いて、蓋部材18について説明する。
蓋部材18は、図3のように気体導入口26と、気体排出口27を有した略長方形の蓋体である。
気体導入口26は、燃焼装置作動時に燃焼部2から燃焼ガス流路8を通って流下した燃焼ガスを二次熱交用ケース15の内蔵空間14内に導入する開口である。気体導入口26は、熱交連通開口29の一部を仕切り板20によって覆うことによって形成されており、長方形状の開口となっている。気体導入口26は、従来の気体導入口の大きさに比べて大きい。具体的には、気体導入口26は、蓋部材18の全面積の20パーセントから50パーセントを占める大きなものである。そのため、二次熱交換器5内に燃焼ガスが導入されやすく、燃焼部2内の炉圧を低減することが可能である。言い換えると、一次熱交換器3から二次熱交換器5へ燃焼ガスが直線的にスムーズに移動するため、一次熱交用ケース12内に燃焼ガスが滞留することによる一次熱交換器3の熱変換効率の低下を防止することができる。
【0042】
気体導入口26は、蓋部材18の一方の短辺側に寄った位置に設けられている。より具体的には、管路部材16の入水側ヘッダ30及び出水側ヘッダ31側に寄った位置に気体導入口26が形成されている。ケース本体17を基準にしていうと、気体導入口26は、周壁部23の対向する側に寄った位置に形成されている。
そして、気体導入口26と気体排出口27との間には所定の間隔が空けられている。具体的には、気体導入口26と気体排出口27は、本体部35の長径の0.8倍以上1.2倍以下の間隔を空けて配されている。
【0043】
また、蓋部材18は、図6のように蓋本体19と、仕切り板20によって形成されている。
蓋本体19は、気体導入口26の3辺を形成する熱交連通開口29と、気体排出口27を有した略長方形の板体である。
熱交連通開口29と気体排出口27は、蓋本体19の長手方向lに所定の間隔を介して並列されている。言い換えると、熱交連通開口29と気体排出口27間には、間隔維持部28が形成されている。また、熱交連通開口29と気体排出口27は、蓋本体19の短手方向wのほぼ全域に亘って形成されている。具体的には、熱交連通開口29の短手方向wの長さと気体排出口27の長手方向wの長さは、蓋本体19の短手方向wの長さの70パーセントから90パーセントとなっている。
【0044】
熱交連通開口29は、燃焼装置作動時に燃焼部2から燃焼ガス流路8を通って流下した燃焼ガスを二次熱交用ケース15に導入する開口である。即ち、熱交連通開口29は、仕切り板20の空間64に連通する開口である。また、熱交連通開口29は、一次熱交換器3内と連通している。
【0045】
気体排出口27は、二次熱交用ケース15内で熱交換した燃焼ガスを排気筒6に排出する開口である。気体排出口27は、略長方形状の開口であり、その面積は前記した気体導入口26よりも小さい。具体的には、気体排出口27は、蓋部材18の全面積の10パーセントから40パーセントを占めるものである。
気体排出口27は、管路部材16の入水側ヘッダ30側,出水側ヘッダ31側(図3,図8参照)から離れた位置に形成されている。ケース本体17を基準にしていうと、気体排出口27は、周壁部23側(図3,図4参照)に寄った位置に形成されている。
【0046】
ここで、気体導入口26と気体排出口27の間では、開口面積が大きく異なる。具体的には、気体導入口26の大きさは、気体排出口27の大きさの1.2倍から2倍程度となっている。気体排出口27は、本体部35の燃焼ガスの流れ方向下流側に位置しており、本体部35の下流側では、本体部35で熱交換された燃焼ガスが通過するため、気体排出口27近傍では、熱交換によって気体の温度が低下して体積が減少した燃焼ガスが流れる。即ち、気体排出口27近傍では流速の遅い燃焼ガスが流れる。それ故に、気体導入口26と気体排出口27の間で開口面積に差があっても、燃焼部2内の炉圧に影響しにくい。
【0047】
仕切り板20に目を移すと、仕切り板20は、熱交連通開口29からケース本体17の内蔵空間14に導入される燃焼ガスの流れを規制する部材である。仕切り板20の一辺は、気体導入口26の一辺を形成する。仕切り板20は、ステンレススチール等の錆に強い素材で作られたものである。仕切り板20は、図6のように底面部60と、底面部60の3辺から上方に向けて立設された取り付け壁部65,66,67から形成されている。即ち、仕切り板20は、底面部60と取り付け壁部65,66,67に囲まれた空間64を有している。
底面部60は、平面視が長方形状となっている。底面部60は、互いに高さが異なる出側底面部61と入側底面部62と、出側底面部61と入側底面部62の両者を接続する傾斜部63から形成されている。具体的には、出側底面部61は入側底面部62に対して高さ方向h(天地方向)上方に位置しており、傾斜部63は、出側底面部61から入側底面部62にかけて下り傾斜している。図7に示される傾斜部63の傾斜角度α(入側底面部62と傾斜部63からなる角)は、5°〜30°となっている。
【0048】
取り付け壁部65,67は、蓋本体19の長辺側の端部近傍に固定されるものである。具体的には、それぞれの取り付け壁部65,67は、図6のように出側底面部61,入側底面部62の前後方向端部に直交方向に折り曲げられた立壁部68,69と、立壁部68,69の突出方向先端から内側方向に折り曲げられた張り出し壁部70,71から形成されている。即ち、張り出し壁部70,71は互いに近接する方向に延伸している。張り出し壁部70,71と蓋本体19はスポット溶着等の公知の方法で一体的に固定される。
図7のように入側底面部62に立設した立壁部68の高さH1は、出側底面部61に立設した立壁部69の高さH2よりも長い。具体的には、張り出し壁部70,71が同一平面を形成する高さとなっている。
【0049】
一方、壁部66は、図6のように前記した取り付け壁部65,67に挟まれた位置にあり、蓋本体19の熱交連通開口29と気体排出口27の間に位置する間隔維持部28に固定されるものである。
壁部66は、出側底面部61,入側底面部62の幅方向(蓋部材18の長手方向l)端部に直交方向に折り曲げられた立壁部72,73と、立壁部72,73の突出方向先端から内側方向に折り曲げられた張り出し壁部74,75から形成されている。張り出し壁部74,75と間隔維持部28はスポット溶着等の公知の方法で一体的に固定される。
【0050】
続いて、管路部材16について説明する。
管路部材16は、図3,8等に示すように、上記した複数(本実施形態においては6本)の受熱管32と、入水側ヘッダ30と、出水側ヘッダ31とを備えた環状の熱交換流路である。また管路部材16には、二次熱交用ケース15の短辺の壁面を構成する壁面部材33が設けられている。
【0051】
順次説明すると、各受熱管32の一端側には入水側ヘッダ30が接続されており、他端側には出水側ヘッダ31が接続されている。受熱管32は、熱伝導性に優れ、表面が平滑な配管によって形成されている。即ち、受熱管32は、いわゆる裸管である。また、各受熱管32は、一定の間隔を開けて平行に配置されている。各受熱管32の間隔は等間隔となっている。
管路部材16の各受熱管32は、主に熱交換を行う本体部35と、出入り管部36に分かれている。
本体部35は、図8のように平面視が楕円形のループを構成する部分であり、湯水が流れ方向を基準に時計回りの螺旋構造を構成していて楕円部分が5段に重なっている。本体部35の各段の間には図9のように隙間37が存在する。
【0052】
本体部35は、図10のように一定方向にまっすぐ延びる直線部分40,41と、曲線状(円弧状)の湾曲部分42,43とを交互に含む螺旋状に形成されている。そして、本体部35は、図10のように平面視すると、直線部分40,41と、湾曲部分42,43によって、オーバル状にループしている。
各受熱管32のループ38a〜38fは、平行状態を維持して同心状に巻回されている。従って内側(ループの中心側)に位置する受熱管32(ループ38a)は、外側の受熱管32(ループ38f)に比べて全長が短い。
【0053】
一方、出入り管部36は、直線状となっている。即ち、出水側ヘッダ31から水平方向且つ並行に引き延ばされた各受熱管32は、出側管部45として機能し、最上段の段部39A(図9参照)の直線部分40に至っている。
そして最下段の段部39B(図9参照)の末端部分が直線状に引き延ばされ入側管部46を形成している。即ち、最下段の段部39Bの直線部分41がそのまま延長されて入側管部46を構成している。入側管部46の末端には、入水側ヘッダ30が接続されている。
【0054】
前記した出側管部45と入側管部46は、使用状態を基準とすると、図9のようにいずれもケース本体17の底板部21に対して平行であり、出側管部45を構成する受熱管32の束を含む平面と、入側管部46の受熱管32の束を含む平面は平行である。
また、出側管部45は、最上段の段部39Aに繋がっており、入側管部46は最下段の段部39Bに引き出されている。即ち、出側管部45と入側管部46の間には高低差がある。即ち、出側管部45は上部にあり、入側管部46は下部にある。
【0055】
また出側管部45と入側管部46の位置関係を平面視して説明すると、出側管部45と入側管部46とは、図10のように互いに対向する最上段の段部39Aの直線部分40と最下段の段部39Bの直線部分41に繋がっているから、両者は水平方向(短手方向w)に離れた位置にある。
【0056】
壁面部材33には、図8,10のように出側管部45と入側管部46が挿通されている。
壁面部材33から本体部35(湾曲部分43の端部)までの長さL1と、本体部35を構成する楕円の長径L2を比較すると、L2の方が大きい。
壁面部材33から本体部35までの長さL1は、本体部35の長径L2の40パーセントから80パーセントの範囲であることが望ましい。即ち、壁面部材33から本体部35までの長さL1が過度に小さいと、後述する第1空洞部82の大きさが小さくなってしまって流路抵抗が増大してしまう。逆に、L1が大きすぎると、熱交換に寄与する受熱管32の長さが短くなってしまい、熱交換効率が低下する。
【0057】
また本体部35の一方の直線部分41には、各段部39の間隔を維持させるためにスペーサー47が介在されている。
スペーサー47は、図11のように、一本の線材を曲げ加工して作られたものである。
スペーサー47は、それぞれ行き線50と戻り線51で同一平面上の段部を構成し、上下の段部を縦姿勢の曲線部52a〜52eで接続したものである。また、スペーサー47は、行き線50と戻り線51を水平姿勢の曲線部53a〜53eで接続したものである。
即ち、最上段部には、線の端部55Aから前後方向wの後方に延びる最上段部行き線50aがあり、最上段部行き線50aの先端部が水平姿勢の曲線部53aに繋がっている。そして水平姿勢の曲線部53aから最上段部戻り線51aに繋がっている。即ち、最上段部行き線50aは、曲線部53aで折り返して最上段部戻り線51aに至る。最上段部行き線50aと最上段部戻り線51aは、使用状態の姿勢を基準とすると、ほぼ同一の高さの位置にあり、最上段部行き線50aと曲線部53aと最上段部戻り線51aによって最上部の段部56aが形成される。
【0058】
さらに最上段部戻り線51aの先端は、縦姿勢の曲線部52aに繋がっており、さらにその先端は、第2段行き線50bに繋がっている。ここで第2段行き線50bは、使用状態の姿勢を基準とすると、最上段部戻り線51aの真下に位置する。
【0059】
そして第2段行き線50bの先端は、水平姿勢の曲線部53bに繋がり、さらにその先端が第2段戻り線51bに繋がっている。
ここで第2段戻り線51bは、使用状態の姿勢を基準とすると、第2段行き線50bとほぼ同一の高さの位置にあり、且つ最上段部行き線50aの真下の位置にある。そのため第2段行き線50bと曲線部53bと第2段戻り線51bによって第2段目の段部56bが形成される。
【0060】
こうして各段部の行き線50a〜50fと、水平姿勢の曲線部53a〜53fと戻り線51a〜51fによって構成される段部56a〜56fが、前後方向wの前方側の縦姿勢の曲線部52a〜52eで接続されている。本実施形態では、6段の段部56a〜56fが形成されている。また、各段部56a〜56fは、天地方向に所定の間隔を空けて平行に配されている。
【0061】
また各段部56a〜56fは、いずれも前後方向wの前方側の縦列に設けられた縦姿勢の曲線部52a〜52eで接続されており、他方である前後方向wの後方側の縦列側には各段部56a〜56f同士の間を接続する部材が無い。そのため、縦姿勢の曲線部52a〜52eが存在しない側(曲線部53側)を先頭にして本体部35にスペーサー47を差し込むことができる。
【0062】
その結果、図9に示すように、本体部35の受熱管32で構成される段部39の間に、行き線50a〜50eと、水平姿勢の曲線部53a〜53eと、戻り線51a〜53eで構成されるスペーサー47の段部56a〜56fが挿入される。
【0063】
一方、本体部35のスペーサー47が無い部分(直線部分40)では、図9に示すように、本体部35の受熱管32で構成される段部39の間に、所定の隙間37が維持される。
【0064】
続いて、二次熱交換器5の構成部材の位置関係について説明する。
管路部材16は、その大部分が二次熱交用ケース15の内蔵空間14内に収納されている。即ち、ケース本体17と、蓋部材18と、管路部材16の壁面部材33と、が組み合わされて直方体の二次熱交用ケース15が形成されている。
そして、管路部材16の壁面部材33から先端側(本体部35側)の部位は、全てケース本体17の内蔵空間14内に収容されている。逆に言うと、入水側ヘッダ30と出水側ヘッダ31は、二次熱交用ケース15の外にある。
【0065】
前記したように管路部材16の各受熱管32は、大きく本体部35と、出入り管部36に分かれている。即ち、図10のように二次熱交用ケース15を平面視したとき、長手方向に、主に本体部35が収容される本体部収容領域80と、出入り管部36が配される入出管配置領域81と、本体部35及び出入り管部36が存在しない整流空間領域85に分かれる。即ち、入出管配置領域81には本体部35は存在せず、出側管部45と入側管部46だけが存在し、中間部には空隙がある。
本体部収容領域80は、周壁部23によった位置に形成されている。即ち、本体部35は、周壁部23側によっている。また、入出管配置領域81は、整流空間領域85に比べて大きい。具体的には、入出管配置領域81の面積は整流空間領域85の面積の1.5倍から3倍となっている。
【0066】
また、二次熱交用ケース15の蓋部材18に設けられた熱交連通開口29は、本体部収容領域80と入出管配置領域81に跨がって開いている。そして熱交連通開口29の一部を塞ぐように仕切り板20が設けられている。具体的には、仕切り板20は、熱交連通開口29の本体部収容領域80を塞ぐように設けられている。管路部材16を基準にすると、仕切り板20は、本体部35の一方の曲線状(円弧状)の湾曲部分43を覆っている。
【0067】
また、仕切り板20は、図9のように蓋本体19と管路部材16の間に介在している。
具体的には、仕切り板20は本体部35との間に所定の距離を隔てて配されており、仕切り板20と本体部35との間には所定の空間が形成されている。より詳細には、本体部35の最上段の段部39Aの直線部分40の上方に仕切り板20の出側底面部61が、最上段の段部39Aの直線部分41の上方に仕切り板20の入側底面部62が位置している。そして、直線部分40と出側底面部61との距離は、直線部分41と入側底面部62との距離と等しい。直線部分40と出側底面部61との距離(直線部分41と入側底面部62との距離)は、5mm〜15mm程度となっている。
【0068】
即ち、気体導入口26から導入された燃焼ガスが最上段の段部39Aの上方を通過する際には、仕切り板20は、燃焼ガスを整流し、均一量の燃焼ガスのみ通過できるように規制している。
【0069】
また、仕切り板20は、熱交連通開口29の開口の一部を塞いでいる。具体的には、正面視した際に、気体導入口26から本体部35が視認できないように仕切り板20が覆っている。即ち、気体導入口26から内蔵空間14に燃焼ガスが流下した際に、燃焼ガスが直接本体部35に接触することを防止している。
【0070】
また、仕切り板20の底面部60と蓋本体19の天面との間には、段差がある。即ち、蓋本体19の天面に対して底面部60は天地方向下方に位置しており、底面部60の上方に空間64が形成されている。ケース本体17を基準にすると、仕切り板20は本体部35側に突出している。
底面部60の上方に空間64が配されているため、一次熱交換器3から流入される燃焼ガスの一部は空間64を通過するため、一次熱交換器3内の通路抵抗を低減することが可能である。
【0071】
入出管配置領域81では、図10のように天地方向上側に出側管部45を構成する受熱管32の束76が帯状に延びている。即ち、天地方向上側であって、一方の長辺を構成する周壁部24寄りの位置に受熱管32の束76が帯状に延びている。
一方、天地方向下側に入側管部46を構成する受熱管32の束77が帯状に延びている。即ち天地方向下側であって、他方の長辺を構成する周壁部22寄りに位置に受熱管32の束77が帯状に延びている。
【0072】
前記したように出側管部45を構成する受熱管32の束76と、入側管部46を構成する受熱管32の束77との間には、大きな落差があるため、気体導入口26の直下の位置には、図12のように広い第1空洞部82(空隙部)が存在する。
なお気体導入口26の内、前後方向後方側に位置する部分の一部は、その開口の僅かに下の位置に出側管部45を構成する受熱管32の束76が配されている。そのため、気体導入口26の内、前後方向後方側に位置する部分の一部は、実質的に出側管部45を構成する受熱管32の束76によって閉塞されている。一方、気体導入口26の前後方向前方側に位置する部分の一部は、これを閉塞する部材が存在しない。
【0073】
ケース本体17内部に目を移すと、前後方向w後方側に位置する部分の上部には前記した様に出側管部45を構成する受熱管32の束76が帯状に配されているが、当該束76の下部は、空洞となっている。即ち、前後方向w後方側に位置する部分の受熱管32の下方には、第2空洞部83(空隙部)がある。第2空洞部83は、第1空洞部82と直接的に連通している。即ち、気体導入口26の近傍には、第1空洞部82と第2空洞部83が連なって空隙部が形成されている。
【0074】
長辺側の周壁部22,24と受熱管32は接触している。具体的には、図9のように前後方向w後方側に位置する周壁部24の突起部34が管路部材16の本体部35の直線部分40と当接している。一方、前後方向w前方側に位置する周壁部22とスペーサー47の曲線部52が当接している。
即ち、周壁部22,24と管路部材16の本体部35との間には、前後方向wに空間がない。
【0075】
本体部35の一方の直線部分41にスペーサー47が取り付けられているが、スペーサー47の取り付け位置は、図9のように周壁部24の突起部34と本体部35を挟んで対向する位置となっている。
【0076】
また、本体部35と周壁部23との間は、所定の距離離れており、本体部35及び出入り管部36が存在しない整流空間86が配されている。上記したように周壁部23には、整流板90が設けられている。即ち、本体部35よりも燃焼ガスの流れ方向下流側に形成された整流空間86内に整流板90が位置している。言い換えると、本体部35を通過した燃焼ガスは整流板90によって整流空間86内で整流される。そのため、乱流によって生じる風切音を低減することが可能である。また、上記したようにドレン排出管25は、後述する整流空間86内に位置している。そのため、整流によりスムーズに燃焼ガスが流れるため、燃焼部2にかかる炉圧を低減することが可能である。
【0077】
前記した様に、本実施形態の燃焼装置1は、一次熱交用ケース12と排気筒6が二次熱交換器5の上に載置されている。より詳細には、図13のように、二次熱交換器5の熱交連通開口29上に一次熱交換器3が載置される。また気体排出口27上に排気筒6が載置される。
【0078】
そのため一次熱交用ケース12の下端は、気体導入口26を覆う。具体的には、一次熱交用ケース12は、熱交連通開口29を覆う。ここで、上記したように気体導入口26の開口面積は大きいため、一次熱交換器3の排気を直線的に気体導入口26内に導入することができる。
同様に、排気筒6の下端は、気体排出口27を覆う。即ち、一次熱交用ケース12と二次熱交用ケース15と排気筒6は、気体導入口26及び気体排出口27を介して連通している。
【0079】
次に本実施形態の燃焼装置1の機能について説明する。
入水側ヘッダ30及び出水側ヘッダ31は、二次熱交用ケース15の外部であって側方(図1において正面視右側)に配置されている。出水側ヘッダ31は、入水側ヘッダ30よりも上方かつ奥側に配置されている。入水側ヘッダ30には、図示しない配管を介して給水が行われる。給水源から供給された水は、複数の受熱管32に分岐して平行に流れ、出水側ヘッダ31から排出される。
また出水側ヘッダ31は図示しない配管によって一次熱交換器3に接続されており、出水側ヘッダ31から排出された水は、一次熱交換器3を流れる。
【0080】
また、燃焼装置1は、燃焼部2が燃焼動作を開始すると、燃焼部2の燃焼動作に伴って発生した燃焼ガスは、バーナー側ケース11及び一次熱交用ケース12内を下方に向けて流れる。
【0081】
その後、燃焼ガス流路8(バーナー側ケース11及び一次熱交用ケース12)を通過した燃焼ガスは、図13のように熱交連通開口29内に進入する。ここで、熱交連通開口29の仕切り板20近傍を通る燃焼ガス(矢印X)は、図13のように熱交連通開口29の空間64に進入し、仕切り板20の天面に沿って、気体導入口26に導入される。一方、残りの燃焼ガス(矢印Y)は、熱交連通開口29内に進入した後、直接気体導入口26に導入される。
そのため、一次熱交換器3から二次熱交換器5内に燃焼ガスが流入する際の一次熱交換器3の流路抵抗を低減している。
そして、図14の矢印で示すように、二次熱交換器5の気体導入口26から二次熱交用ケース15の内蔵空間14内に導入される。
燃焼ガスの進入方向は、図14,図15の矢印A,B,Cで示すように、本体部35を構成する二次熱交用ケース15の底板部21に対して交差する方向である。
そして二次熱交換器5の二次熱交用ケース15の内蔵空間14内に導入された燃焼ガスの内、出側管部45近傍(前後方向後方側)から入った燃焼ガスは、矢印A,Bのように直ちに出側管部45を構成する受熱管32の束76と衝突する。即ち、気体導入口26の内、前後方向後方側に位置する部分の一部は、実質的に出側管部45を構成する受熱管32の束76によって閉塞されているので、前後方向後方側に位置する部分から入った燃焼ガスは、出側管部45を構成する受熱管32の束76と衝突し、当該部位の受熱管32と熱交換する。そして燃焼ガスの一部は、矢印Aのように受熱管32の間の隙間をすり抜けて下側の第2空洞部83に流れる。
【0082】
一方、燃焼ガスの残部は、矢印Bのように、受熱管32の帯を横切り、前後方向後方側に位置する部分から第1空洞部82に入る。
また、二次熱交換器5の二次熱交用ケース15の内蔵空間14内に導入された燃焼ガスの内、入側管部46側(前後方向前方側)から入った燃焼ガスは、図14,図15の矢印Cの様に、そのまま直接下方向に流れて二次熱交用ケース15内の第1空洞部82に入り、二次熱交用ケース15の底部分にある入側管部46と衝突し、当該部位の受熱管32と熱交換する。
【0083】
こうして第1空洞部82又は第2空洞部83(空隙部)に入った燃焼ガスは、共にケース本体17内の気体導入口26側から気体排出口27側に向かって流れる。
具体的には、第1空洞部82又は第2空洞部83に入った燃焼ガスは、図15の矢印A,B,Cのように本体部35の段部間に形成されている隙間37や、底板部21と本体部35との隙間、仕切り板20と本体部35との隙間を通って、気体排出口27側に流れる。
【0084】
ここで、燃焼ガスは、仕切り板20によって流通量が規制され、直線的に気体排出口27側に移動する。即ち、本体部35の直線部分40及び直線部分41の延伸方向に沿って燃焼ガスが移動する。
【0085】
即ち、通過する燃焼ガスは、本体部35の周囲を必ず通過しなければならず、さらに、本体部35の直線部分40及び直線部分41の延伸方向に沿って燃焼ガスが移動するため、十分な熱交換に必要な伝熱面積を確保できる。
【0086】
そして気体排出口27側に流れた燃焼ガスは、整流板90によって天地方向上方に方向転換して気体排出口27から外部(排気筒6)に排出される。
【0087】
上記した実施形態では、本体部35の螺旋の方向の巻き方向を湯水の流れ方向を基準に時計回りとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、図16のように螺旋の方向の巻き方向を湯水の流れ方向を基準に反時計回りとしてもよい。
【0088】
上記した実施形態では、受熱管32の出入り管部36の配置を気体導入口26側に設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、受熱管32の出入り管部36の配置は限定されない。気体排出口27側(周壁部23側)に設けてもよいし、図17のように、ケース本体17の長辺側の周壁部に設けてもよい。直線部分40,41を通過する観点から、受熱管32の出入り管部36は、ケース本体17の長手方向に延伸して配置されることが好ましい。
【0089】
上記した実施形態では、オーバル状の本体部35を有した受熱管32を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、本体部35の形状は問わない。例えば、本体部は円状であってもよく、板状であってもよい。
【0090】
上記した実施形態では、二次熱交用ケース15内に、1つの管路部材16が配されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の異なる管路部材が共存していてもよい。例えば、2種類の管路部材が配置されていてもよい。このとき、図18のようにそれぞれの管路部材が上下に配されていてもよいし、図19のように本体部35が対面する方向に配されていてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 燃焼装置
2 燃焼部
5 二次熱交換器
8 燃焼ガス流路
14 内蔵空間(空間)
15 二次熱交用ケース(ケース部材)
25 ドレン排出管
26 気体導入口
27 気体排出口
35 本体部
40,41 直線部分(直線部)
45 出側管部(出側流通部)
46 入側管部(入側流通部)
82 第1空洞部(空隙部)
83 第2空洞部(空隙部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼部と、燃焼部で生成された燃焼ガスが流通する燃焼ガス流路と、当該燃焼ガス流路の一部を構成し燃焼ガスの熱エネルギーを回収して湯水又は熱媒体を加熱する熱交換器を有した燃焼装置であって、
前記熱交換器は、燃焼ガスが通過するケース部材と、湯水又は熱媒体が流れる液体流通部材を有し、
ケース部材は、液体流通部材を内蔵可能な空間を有し、
ケース部材は、燃焼ガスが前記空間に導入される気体導入口と、燃焼ガスを排出する気体排出口とを有していてその内部が燃焼ガス流路として機能し、
前記液体流通部材は、主に熱交換を行う本体部と、本体部に湯水又は熱媒体を導入する入側流通部と、本体部から湯水又は熱媒体を排出する出側流通部と、を有し、
前記本体部はケース部材の内部であって前記気体導入口と前記気体排出口の間にあり、且つ前記本体部の全部または大半部分は気体導入口の投影面から逸脱していて気体導入口の近傍には空隙部があり、
気体導入口から導入された燃焼ガスは、空隙部で方向を変え、ケース部で構成される燃焼ガス流路の断面の略全部を通過して本体部側に流れ、気体排出口から排出されることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
液体流通部材の本体部の90パーセント以上の部分が気体導入口の投影面から逸脱していることを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
ケース部材の気体導入口は、当該ケース部材の一つの面に開口し、当該開口が設けられた前記面であって、ケース部材の内部の液体流通部材の本体部に面する部位は、本体部側に向かって突出していることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃焼装置。
【請求項4】
本体部は、燃焼ガスの流れ方向に沿って延びる直線部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の燃焼装置。
【請求項5】
本体部は、気体排出口側に偏在していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の燃焼装置。
【請求項6】
前記ケース部材内で且つ燃焼ガス流路の燃焼ガス流れ方向の下流側であって、気体導入口から逸脱した位置に、ドレンを排出するドレン排出管が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の燃焼装置。
【請求項7】
前記ケース部材内の燃焼ガス流路は、燃焼ガスの流れを天地方向下方向から上方向に変換して流通するものであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の燃焼装置。
【請求項1】
燃焼部と、燃焼部で生成された燃焼ガスが流通する燃焼ガス流路と、当該燃焼ガス流路の一部を構成し燃焼ガスの熱エネルギーを回収して湯水又は熱媒体を加熱する熱交換器を有した燃焼装置であって、
前記熱交換器は、燃焼ガスが通過するケース部材と、湯水又は熱媒体が流れる液体流通部材を有し、
ケース部材は、液体流通部材を内蔵可能な空間を有し、
ケース部材は、燃焼ガスが前記空間に導入される気体導入口と、燃焼ガスを排出する気体排出口とを有していてその内部が燃焼ガス流路として機能し、
前記液体流通部材は、主に熱交換を行う本体部と、本体部に湯水又は熱媒体を導入する入側流通部と、本体部から湯水又は熱媒体を排出する出側流通部と、を有し、
前記本体部はケース部材の内部であって前記気体導入口と前記気体排出口の間にあり、且つ前記本体部の全部または大半部分は気体導入口の投影面から逸脱していて気体導入口の近傍には空隙部があり、
気体導入口から導入された燃焼ガスは、空隙部で方向を変え、ケース部で構成される燃焼ガス流路の断面の略全部を通過して本体部側に流れ、気体排出口から排出されることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
液体流通部材の本体部の90パーセント以上の部分が気体導入口の投影面から逸脱していることを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
ケース部材の気体導入口は、当該ケース部材の一つの面に開口し、当該開口が設けられた前記面であって、ケース部材の内部の液体流通部材の本体部に面する部位は、本体部側に向かって突出していることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃焼装置。
【請求項4】
本体部は、燃焼ガスの流れ方向に沿って延びる直線部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の燃焼装置。
【請求項5】
本体部は、気体排出口側に偏在していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の燃焼装置。
【請求項6】
前記ケース部材内で且つ燃焼ガス流路の燃焼ガス流れ方向の下流側であって、気体導入口から逸脱した位置に、ドレンを排出するドレン排出管が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の燃焼装置。
【請求項7】
前記ケース部材内の燃焼ガス流路は、燃焼ガスの流れを天地方向下方向から上方向に変換して流通するものであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の燃焼装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2013−96592(P2013−96592A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237267(P2011−237267)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】
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