説明

物体変位監視装置、及び物体変位監視方法

【課題】物体の変位を精度の良く監視する物体変位監視装置、及び物体変位監視方法を提供することを課題とする。
【解決手段】物体変位監視装置は、互いに高さの異なる複数の反射板に照射されたレーダの反射波に基づき生成された測定データから、互いに高さの異なる複数の反射板からの反射波による領域データを抽出し、抽出された領域データを所定の範囲ごとにグループ化し、グループ化された領域データに基づき測定対象物の変位を監視する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体変位監視装置、及び物体変位監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海外では、過去に、送電線下の森林伐採が遅れ、送電線と樹木との接触が原因で大規模な停電が発生している。このため、停電を防止するために、送電線下の樹木の伐採管理が重要になっている。
【0003】
図11のように、市街地や山林を通過する送電線路では、送電線下の樹木が生長し、送電線路の建設当初よりも高くなり、樹木と送電線との離隔が不足することがある。図11は、送電線の下の樹木の状態を説明する図である。樹木と送電線との離隔を確保するため、送電線下の樹木の高さを徒歩巡視によるレーザー測定器などによる測定、ヘリコプターを用いて上空からレーザー測定法で測定が行われている。特に、森林や山など場合、徒歩巡視による測定、または確認が困難であるため、ヘリコプターを用いて上空からレーザー測定法で測定が行われている。例えば、図11(a)のように、樹木606a〜606eの地面から最上部の葉の部分の高さがh602であり、地面から送電線609までの高さh601の場合、測定者は送電線609の下の樹木との距離が確保できていると判定する。また、図11(b)のように、樹木606a〜606eが成長し、樹木606a〜606eの地面から最上部の葉の部分の高さがh603の場合、測定者は送電線609の下の樹木との距離が確保できていないと判定し、樹木606a〜606eの管理者に連絡して樹木606a〜606eの伐採を依頼する。
【0004】
また、樹木の高さ測定を、樹木の上空のSAR(Synthetic Aperture Radar;合成開口レーダ)衛星に搭載された干渉合成開口レーダの測定装置を用いて、波長の短いXバンド帯(8〜12GHz)の信号を送信し、樹木の最上部の葉の部分で反射した反射波を受信し、樹木の最上部の葉の高さを算出する。さらに、波長の長いPバンド帯(0.25〜0.5GHz)の信号を送信し、樹木の最下部の地面で反射した反射波を受信し、樹木の最下部の地面の高さを算出する。そして、算出された樹木の最上部の葉の部分の高さから樹木の最下部の地面の高さを差し引いて、その樹木の高さを算出して、樹木の高さを測定する手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
SAR衛星による高さの変位を測定する概略を、図12と図13を用いて説明する。
図12と図13は、SAR衛星による高さの変位を測定する概略を説明する図である。
図12のように、SAR衛星601は、所定の軌道を移動しながら、送信波602を地上に送信し、地上の物体に反射した反射波603または後方散乱した反射波603を受信する。レーダを用いた測定において、解像度を上げるには、送受信用のアンテナの指向性を上げる必要があるが、そのためにはアンテナの口径を大きくする必要がある。このため、図13のように、衛星601は、軌道を移動しながら順次、送信した送信波に対する反射波を受信し、受信した反射波を合成することで、大きな開口を持ったアンテナの場合と等価な画像が得られるように、人工的に開口を合成している。図13のように、地上の点P(703)が、SAR衛星601が軌道上を距離ρa移動している間、送信波を受けていることになる。SAR衛星601から見れば、地上のρaに相当するのは702a1〜702a5間のため、SAR衛星601の見かけ上のアンテナ系はρaである。そして、SAR衛星601は、図12(b)のように、同じ位置を複数回観測した受信波同士の位相差を算出することで、対象物の変位を算出している。この手法は、例えば、地殻変動などの把握に用いられている(例えば、非特許文献1参照)。
【0006】
図14は、光学衛星とSAR衛星による測定の特徴の一例を示す図である。図14のように、SAR衛星を用いた測定手法は、夜間、雨などのときでも使用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2699964号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「合成開口レーダによるリモートセンシングの商用化に関する調査研究 報告書−要旨−」、財団法人 機械システム振興協会、委託先 財団法人資源探査用観測システム研究開発機構、平成18年3月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ヘリコプターからの樹木の高さ測定を行う従来技術では、測定範囲が広いと、測定に非常に多くの時間がかかり、さらに、ヘリコプターの燃料費や非常に多くの測定時間が必要なため非常に多くの費用がかかると言う問題点があった。また、霧や風、雨などの天候が悪い時、夜間には測定が困難であるという問題点があった。
【0010】
また、特許文献1の従来技術では、樹木の高さ測定にXバンド帯を用いているため、樹木の最上部の葉の部分で反射はするが、干渉合成開口レーダを用いて位相差を検出して測定する従来の手法では、葉や樹木の枝が風などにより動いているため、定量的な検出が困難であるという問題点があった。
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、物体の変位を精度良く監視する物体変位監視装置、及び物体変位監視方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の物体変位監視装置は、互いに高さの異なる複数の反射板に照射されたレーダの反射波に基づき生成された測定データから、前記互いに高さの異なる複数の前記反射板からの反射波による領域データを抽出し、前記抽出された前記領域データを所定の範囲ごとにグループ化し、前記グループ化された前記領域データに基づき測定対象物の変位を監視することを特徴としている。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の物体変位監視装置は、レーダから照射された入射波を測定対象物の近傍且つ地面から第1の所定の互いに異なる高さに設置されている反射板により反射された反射波を測定することにより生成された画像情報を取得する画像情報取得部と、前記画像から輝度が第2の所定のしきい値以上の領域を抽出する高輝度領域抽出部と、前記測定対象物の所定の範囲内にある構造物の位置情報が記憶されている記憶部と、前記構造物の前記位置情報を前記記憶部から読み出し、前記読み出した前記構造物の前記位置情報に基づき、前記抽出された前記領域情報の中から前記構造物から前記所定の範囲内の前記グループ化された前記反射板による前記領域情報を選択し、前記選択された前記領域情報に基づき測定対象物の変位を経時的に比較する比較部と、前記判定結果を画像表示装置に出力する判定結果出力部とを備えることを特徴としている。
【0014】
また、本発明に係る物体変位監視装置において、前記反射板は、コーナー・リフレクタであるようにしてもよい。
【0015】
また、本発明に係る物体変位監視装置において、前記比較部は、前記選択された前記領域情報から、輝度が前記第2の所定のしきい値以上の前記グループ化された前記反射板による前記領域の個数を算出し、前記算出された前記前記グループ化された前記反射板による前記領域の前記個数に基づき測定対象物の変位を比較するようにしてもよい。
【0016】
また、本発明に係る物体変位監視装置において、前記比較部は、前記算出された輝度が前記第2の所定のしきい値以上の前記グループ化された前記反射板による前記領域の前記個数を反射個数として前記記憶部に書き込んで記憶させ、前記画像情報を再帰的に取得し、前記取得した前記画像情報から輝度が前記第2の所定のしきい値以上の前記グループ化された前記反射板による前記領域の個数を算出し、前記算出された前記グループ化された前記反射板による前記領域の前記個数と前記記憶部に記憶されている前記反射個数とを比較し、前記算出された前記グループ化された前記反射板による前記領域の前記個数と前記記憶部に記憶されている前記反射個数とが一致する場合、前記反射板が遮られていないと判定し、前記算出された前記グループ化された前記反射板による前記領域の前記個数と前記記憶部に記憶されている前記反射個数一致しない場合、前記反射板が遮られていると判定し、判定結果を前記判定結果出力部するようにしてもよい。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明の物体変位監視装置の物体変位監視方法は、互いに高さの異なる複数の反射板に照射されたレーダの反射波に基づき生成された測定データから、前記互いに高さの異なる複数の前記反射板からの反射波による領域データを抽出し、前記抽出された前記領域データを所定の範囲ごとにグループ化し、前記グループ化された前記領域データに基づき測定対象物の変位を監視することを特徴としている。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明の物体変位監視装置の物体変位監視方法は、画像情報取得部が、レーダから照射された入射波を測定対象物の近傍且つ地面から第1の所定の互いに異なる高さに設置されている反射板により反射された反射波を測定することにより生成された画像情報を取得する画像情報取得工程と、高輝度領域抽出部が、前記画像から輝度が第2の所定のしきい値以上の領域を抽出する高輝度領域抽出工程と、前記測定対象物の所定の範囲内にある構造物の位置情報が記憶されている記憶部と、比較部が、前記構造物の前記位置情報を前記記憶部から読み出し、前記読み出した前記構造物の前記位置情報に基づき、前記抽出された前記領域情報の中から前記構造物から前記所定の範囲内の前記グループ化された前記反射板による前記領域情報を選択し、前記選択された前記領域情報に基づき測定対象物の変位を経時的に比較する比較工程と、判定結果出力部が、前記判定結果を画像表示装置に出力する判定結果出力工程とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、測定対象物に向けて設置されている反射板を備え、反射板に照射されたレーダの反射波に基づき生成された測定データから、反射板に基づく反射波による領域データを抽出し、抽出した反射板に基づく反射波による領域データに基づき、測定対象物の変位を監視するようにしたので、物体の変位を精度の良く監視することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係るコーナー・リフレクタを用いた樹木の監視方法の概略を説明する図である。
【図2】同実施形態に係るコーナー・リフレクタの一例を説明する図である。
【図3】同実施形態に係る物体変位監視装置を含む物体変位監視システムの概略図である。
【図4】同実施形態に係る物体変位監視装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】同実施形態に係る記憶部に記憶されている情報を説明する図である。
【図6】同実施形態に係るエリアの画像データの一例を説明する図である。
【図7】同実施形態に係る物体変位監視システムを用いた物体変位監視方法を説明する図である。
【図8】同実施形態に係るコーナー・リフレクタ設置後のエリアの画像データの一例を説明する図である。
【図9】第2実施形態に係る支柱とコーナー・リフレクタの配置の一例を説明する図である。
【図10】同実施形態に係るコーナー・リフレクタ設置後のエリアの画像データの一例を説明する図である。
【図11】従来技術に係る送電線の下の樹木の状態を説明する図である。
【図12】従来技術に係るSAR衛星による高さの変位を測定する概略を説明する図である。
【図13】従来技術に係るSAR衛星による高さの変位を測定する概略を説明する図である。
【図14】従来技術に係る光学衛星とSAR衛星による測定の特徴の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1〜図10を用いて本発明の第1の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は斯かる実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内で種々の変更が可能である。
【0022】
[第1実施形態]
第1実施形態について、送電線下に生育する樹木等の監視に用いる例を、図1〜図9を用いて説明する。
まず、図1を用いて、本物体変位監視システムの概略を説明する。図1(a)および図1(b)は、コーナー・リフレクタ5を用いた樹木の監視方法の概略を説明する図である。図1(a)および図1(b)のように、地面から所定の高さhにコーナー・リフレクタ5を支柱4に取り付け、監視したい樹木6から所定の水平距離L離してコーナー・リフレクタ5を取り付けた支柱4を設置する。図1(a)のように、コーナー・リフレクタ5が樹木6より高い位置に設置されている場合、衛星1からの入射波2は、コーナー・リフレクタ5で反射され、反射された反射波3が衛星1に戻される。図1(b)のように、コーナー・リフレクタ5が樹木6より低い位置に設置されている場合、衛星1からの入射波2は、樹木6に遮られてしまうためコーナー・リフレクタ5に届かず、反射波3は衛星1に戻されない。すなわち、監視したい樹木6より高い位置にコーナー・リフレクタ5を設置すれば、樹木6が成長してコーナー・リフレクタ5より高くなったことを反射波3が存在するか否かにより判別できる。
【0023】
図2は、コーナー・リフレクタ5の一例を説明する図である。図2(a)と図2(b)は、コーナー・リフレクタ5の例である。図2(c)は、コーナー・リフレクタ5を横から見た図であり、衛星1からの入射波2が入射され、各コーナーで反射した反射波3が、入射波2が入射された方向に反射して戻すことができる。図2(d)は、コーナー・リフレクタ5を3次元で示した図であり、面5xzに入射波2が入射された場合、入射波2の向きを表す3次元ベクトル成分のうち、まず面5xzでy成分のみが反転し、次に面5xyでz成分のみが反転し、そして面5yzでx成分が反転され、この結果、入射時の方向ベクトルが (a,b,c)であった入射波2は、反転して(−a,−b,−c) となり、入射波2が来た方向に反射波3を返すことができる。また、コーナー・リフレクタ5は、衛星1の直下点軌跡(衛星1の軌跡を地上面に投影したもの)時の入射波2に対し、開口面を所定の角度に収まるように設置する。図2(c)において、符号7は、Equivalent Surface(衛星1の軌道の等価面)である。
なお、コーナー・リフレクタ5の大きさは、例えば、一辺が30cm程度、50cm程度、70cm程度、1m程度など、監視したい樹木、立地等に応じて選択するようにしてもよい。また、コーナー・リフレクタ5には、雨、雪などの対策のためにカバー等を付けてもよい。
【0024】
図3は、本実施形態における物体変位監視装置を含む物体変位監視システムの概略図である。図3のように、物体変位監視システムは、衛星1と、衛星データ・センター7と、支柱4と、コーナー・リフレクタ5a〜5cと、物体変位管理装置10とを備えている。また、コーナー・リフレクタ5a〜5cは、1本の支柱4のそれぞれ異なる所定の高さ(h11,h12,h13)に取り付けられている。また、コーナー・リフレクタ5a〜5cが取り付けられている支柱4は、送電線9を渡している鉄塔8aと鉄塔8bとの間に設置され、送電線9の下には監視したい樹木6a〜6eがある。また、樹木6a〜6eの最下部の地面の高さから樹木6a〜6eの最上部の葉の部分までの高さh2、樹木6a〜6eの最下部の地面の高さから送電線9までの高さh3である。衛星1は、例えば,SAR(Synthetic Aperture Radar;合成開口レーダ)衛星であり、合成開口レーダを搭載している。図3のように、監視したい送電線9の下にある樹木の高さ変位を捉えられる所定の位置に、コーナー・リフレクタ5a〜5cを取り付けた支柱4を設置する。コーナー・リフレクタ5a〜5cのそれぞれの高さh11〜h13は、樹木6a〜6eとコーナー・リフレクタ5a〜5cとの距離L、送電線9の高さh3、コーナー・リフレクタ5a〜5c設置時の樹木6a〜6eの高さなどに基づき設置時に調整するようにしてもよく、衛星1からの測定データに基づき設置後に再調整するようにしてもよい。
【0025】
衛星1は、例えば民間による衛星で、軌道上から入射波2を照射し、地表面や地上の対象物からの反射および散乱されて戻ってくる反射波3を受信する。また、衛星1は、受信した反射波3から測定データを抽出し、抽出した測定データを衛星データ・センター7に送信する。衛星データ・センター7は、衛星1が送信する測定データを受信し、受信した測定データをクライアントの依頼に応じたデータ形式にして物体変位監視装置10に受け渡す。衛星データ・センター7から物体変位監視装置10への測定データの受け渡しは、例えば、ネットワークを介して行う。
【0026】
図4は、物体変位監視装置10の構成の一例を示すブロック図である。図4のように、物体変位監視装置10は、データ取得部101と、位置検出部102と、鉄塔データ取得部103と、記憶部104と、鉄塔座標変換部105と、輝度領域抽出部106と、比較部107と、判定結果出力部108を備えている。また、物体変位監視装置10には、画像表示装置12が接続されている。
【0027】
データ取得部101は、物体変位監視装置10の利用者が、予め衛星データ・センター7に、例えば、中心緯度と中心経度および東西の長さ、南北の長さを指定し、指定したエリアの画像データ(含む位置情報)を受け取り、受け取った画像データを位置検出部102に出力する。
位置検出部102には、データ取得部101が受け取った画像データが入力され、入力された画像データを鉄塔座標変換部105に出力し、また、入力された画像データに含まれている位置情報を抽出し、抽出した位置情報を鉄塔データ取得部103と比較部107とに出力する。
【0028】
鉄塔データ取得部103には、位置検出部102が抽出した位置情報が入力され、入力された位置情報に対応するエリアの鉄塔位置情報を記憶部104から読み出し、読み出した鉄塔位置情報を鉄塔座標変換部105に出力する。
【0029】
記憶部104は、鉄塔毎の位置情報、反射情報に基づくコーナー・リフレクタ5の位置情報が書き込まれて記憶されている。なお、反射情報とは、取得した画像データからコーナー・リフレクタ5の反射に基づく輝度領域抽出部106により抽出された所定のしきい値より高い輝度が得られた位置の座標値と、反射に基づく輝度の高い領域の個数(反射個数)である。図5は、記憶部104に記憶されている情報の一例を説明する図である。図5(a)のように、表形式で鉄塔t1〜鉄塔tnの各位置情報が関連づけられて記憶されており、例えば、鉄塔t1と位置(経度x1,緯度y1)が関連づけられて記憶されている。また、図5(b)のように、表形式でコーナー・リフレクタR1〜Rn毎に、コーナー・リフレクタの位置情報と画像データから得られた反射に基づく輝度が高い領域の個数(反射個数)とが関連づけられて記憶され、例えば、コーナー・リフレクタR1と位置(経度s1,緯度t1)と反射個数=3個とが関連づけられて記憶されている。なお、コーナー・リフレクタ番号は、図3のように、支柱4にコーナー・リフレクタ5a〜5cが3個取り付けられている場合、この支柱4に取り付けられているコーナー・リフレクタ5a〜5cをまとめてコーナー・リフレクタR1とし、この位置での反射に基づく輝度の高い領域の個数を反射個数としている。
【0030】
鉄塔座標変換部105には、位置検出部102から画像データが入力され、鉄塔データ取得部103から読み出された鉄塔位置情報が入力され、入力された鉄塔位置情報に基づき、鉄塔位置情報を画像データの座標系に変換する。また、鉄塔座標変換部105は、画像データと変換した鉄塔の座標情報とを輝度領域抽出部106に出力する。
【0031】
輝度領域抽出部106には、鉄塔座標変換部105から画像データと変換された鉄塔の座標情報とが入力され、入力された画像データから、例えば、公知の手法で所定のしきい値以上の輝度である領域の座標を抽出し、画像データと抽出した領域の座標値と鉄塔の座標情報とを比較部107に出力する。すなわち、輝度領域抽出部106は、入力された画像データから、所定のしきい値以上の輝度の高い領域を抽出し、抽出した輝度の高い領域の座標値を抽出している。なお、領域は、所定の輝度以上が連続している領域であり、公知の手法により連続している領域を抽出する。
【0032】
比較部107には、輝度領域抽出部106から鉄塔の座標情報と画像データと抽出された領域の座標値とが入力される。また、比較部107は、抽出された領域の座標値と鉄塔の座標情報に基づき、抽出された領域の中から鉄塔の反射による領域を抽出する。さらに、比較部107は、抽出した領域間の所定の範囲内から、コーナー・リフレクタ5a〜5cの反射による領域を選択する。さらに、比較部107は、抽出した所定の範囲内から選択したコーナー・リフレクタ5a〜5cの反射による領域をグループ化する。さらに、比較部107は、記憶部104に記憶されている反射情報を読み出し、読み出した反射情報からコーナー・リフレクタ5a〜5cの反射個数を抽出する。さらに、比較部107は、抽出した反射個数とーナー・リフレクタ5a〜5cによる輝度が所定のしきい値以上の領域の個数とを比較し、比較の結果、抽出した反射個数とーナー・リフレクタ5a〜5cによる輝度が所定のしきい値以上の領域の個数が一致する場合、監視対象の樹木によりコーナー・リフレクタ5a〜5cの反射が遮れていない、すなわち、樹木が送電線9より低く伐採の必要がないと判定する。
一方、比較の結果、抽出した反射個数とーナー・リフレクタ5a〜5cによる輝度が所定のしきい値以上の領域の個数が一致しない場合、監視対象の樹木によりコーナー・リフレクタ5a〜5cの反射が遮れているため、すなわち、樹木が成長し樹木を伐採する必要である判定する。
そして、比較部107は、判定結果を画像表示装置12に出力する。また、各コーナー・リフレクタ5a〜5cの反射による抽出された領域の個数に変化がある場合、比較部107は、所定の高さ以上の樹木があると判定し、コーナー・リフレクタ5a〜5cの位置を記憶部104から読み出されたコーナー・リフレクタ5a〜5cの位置情報に基づき、反射が得られなかった、すなわち、輝度が所定のしきい値未満であったコーナー・リフレクタ5a〜5cの位置情報を画像表示装置に、例えば地図上に表示する表示データを生成し、生成した表示データと判定結果とを画像表示装置12に出力する。
【0033】
画像表示装置12は、入力された判定結果と表示データとを表示する。
【0034】
次に、本実施形態における物体変位監視システムを用いた物体変位監視方法を、図3〜図8を用いて説明する。物体変位監視装置10は、衛星データ・センター7から画像データに処理された測定データを受け取る例を説明する。図5は、エリアの画像データの一例を説明する図である。なお、図5は、説明のために画像を擬似的に二値化し、さらに白黒を反転して表現しているが、実際の画像データはカラー画像もしくはグレースケール画像である。
【0035】
例えば、受け取った画像エリアに5基の鉄塔がある場合、図6のように、位置1(x1,y1)、位置2(x2,y2)、位置3(x3,y3)、位置4(x4,y4)、鉄塔8e(x5,y5)が鉄塔の位置に対応する。図6のように、画像データ(説明のために二値化して白黒反転してある)から、5基の鉄塔に対応する位置に、輝度の高い領域201a〜領域201dが抽出される。
【0036】
図7は、物体変位監視システムを用いた物体変位監視方法を説明する図である。図7(a)のように、樹木6c〜6eの高さがh21であったときに、コーナー・リフレクタ5a〜5cを設置し、衛星データ・センター7から画像データを取得した場合、画像データ中のコーナー・リフレクタ5a〜5cの反射波に基づく高い輝度領域は、図7(b)のようにコーナー・リフレクタ5aの反射波による高輝度の領域301aと、コーナー・リフレクタ5bの反射波による高輝度の領域302bと、コーナー・リフレクタ5cの反射波による高輝度の領域303cとが得られる。
【0037】
図8は、コーナー・リフレクタ設置後のエリアの画像データの一例を説明する図である。なお、図8は、図6と同様に説明のために白黒反転しているため、高い輝度領域が黒く表され、低い輝度領域が白で表されている。図7のように、鉄塔間の送電線9の下に3つのコーナー・リフレクタ5a〜5cを備える支柱4を設置した場合、樹木6c〜6dが所定のしきい値以内の高さであれば、図8(a)のように、コーナー・リフレクタ5a〜5cの反射に基づく高い輝度領域321a〜321cが得られる。
なお、衛星1からの入射波2は、衛星1の軌道方向、例えば真東の方向(画像データの上方向を北、右方向を東とする)から照射される場合、レーダ画像特有のひずみであるフォアショートニングにより、図8のように、鉄塔に対応する輝度の高い領域211aと211bは、東方向である右側に倒れ込む現象が生じる。すなわち、画像データでは、鉄塔が東方向である右側に倒れ込んでいるように見える。
【0038】
図8(a)の画像データが取得された場合、比較部107は、抽出した反射個数とーナー・リフレクタ5a〜5cによる輝度が所定のしきい値以上の領域の個数とを比較し、比較の結果、抽出した反射個数とーナー・リフレクタ5a〜5cによる輝度が所定のしきい値以上の領域の個数が一致する場合、監視対象の樹木によりコーナー・リフレクタ5a〜5cの反射が遮れていない、すなわち、樹木が送電線9より低く伐採の必要がないと判定する。
【0039】
次に、樹木6c〜6eが成長して高さがh22になった場合、コーナー・リフレクタ5a〜5cの反射波に基づき撮像した画像データは、図7(b)のように、コーナー・リフレクタ5aの反射波による高輝度の領域311aと、コーナー・リフレクタ5bの反射波による高輝度の領域311bとが輝度の高い領域として得られ、コーナー・リフレクタ5cの反射波が得られないため、領域311cは黒(図7では、説明のため白黒を反転しているため黒で表されている)の低輝度で表される。
図7(b)のように樹木6cにより、コーナー・リフレクタ5cの反射による領域が得られない場合、図8(b)のように、コーナー・リフレクタ5a〜5cの反射に基づく高い輝度領域321aと321bのみが抽出され、領域321cは輝度が所定のしきい値未満であるため抽出されない。
図8(b)の画像データが取得された場合、比較部107は、抽出した反射個数とーナー・リフレクタ5a〜5cによる輝度が所定のしきい値以上の領域の個数とを比較し、抽出した反射個数とーナー・リフレクタ5a〜5cによる輝度が所定のしきい値以上の領域の個数が一致しない場合、監視対象の樹木によりコーナー・リフレクタ5a〜5cの反射が遮れているため、すなわち、樹木が成長し樹木を伐採する必要であると判定する。
この場合、樹木6c〜6eが送電線9と接触の危険があるため、送電線9の管理者が樹木6c〜6eの管理者に連絡し、樹木6c〜6eの伐採を依頼する。または、樹木6c〜6eの管理者の許可を得て送電線9の管理者が樹木6c〜6eを伐採する。
【0040】
なお、本実施形態では、記憶部104に記憶されているコーナー・リフレクタ5の位置情報は、設置時に設置者が測定した位置情報を記憶部104に書き込んで記憶させるようにしてもよい。あるいは、監視したい樹木6c〜6eが成長する前、あるいは、送電線9の下にあっても支障が無い高さに伐採されている状態のときに、支柱4に取り付けたコーナー・リフレクタ5a〜5cを設置し、取得した画像データから、鉄塔の位置情報に基づきコーナー・リフレクタ5a〜5cの設置箇所の位置情報を算出し、グループ化されたコーナー・リフレクタ5a〜5cの算出された位置情報を、比較部107が記憶部104に書き込んで記憶させておくようにしてもよい
【0041】
また、記憶部104に記憶されるコーナー・リフレクタ5の反射による反射個数は、監視したい樹木6c〜6eが成長する前、あるいは、送電線9の下にあっても支障が無い高さに伐採されている状態のときに、支柱4に取り付けたコーナー・リフレクタ5a〜5cを設置し、コーナー・リフレクタ5a〜5cの設置箇所の位置とコーナー・リフレクタ5に基づく反射の個数とを抽出し、抽出したコーナー・リフレクタ5a〜5cの位置とコーナー・リフレクタ5a〜5cの反射による領域の個数を反射個数として、比較部107が記憶部104に書き込んで記憶させておくようにしてもよく、あるいは、コーナー・リフレクタ5の設置時に設置個数を記憶部107に書き込んで記憶させておくようにしてもよい。
【0042】
また、コーナー・リフレクタ5a〜5cを、1本の支柱4で異なる高さに3個取り付けて、樹木6c〜6eを監視するため、どのコーナー・リフレクタ5a〜5cからの反射が遮られたかにより、樹木がどの程度まで成長しているかも監視できる。そして、例えば、一番低い位置h11に設置されたコーナー・リフレクタ5cが遮られた状態は緊急度が低く、中間の位置h12に設置されたコーナー・リフレクタ5bが遮られた状態は緊急度が中、一番上の位置h13に設置されたコーナー・リフレクタ5aが遮られた状態は緊急度が高く判定するようにしてもよい。
【0043】
以上のように、送電線9の下に生育している監視したい樹木を監視するために、樹木から所定の距離L離れた位置に、高さの異なる位置にコーナー・リフレクタ5を取り付けた支柱4を設置し、衛星1からの入射波が設置されたコーナー・リフレクタ5により反射され、反射された信号を衛星1が受信して測定したデータに基づき、反射があるか無いかを物体変位監視装置10が監視するようにしたので、森林などの徒歩巡視が困難なところでも、物体の変位を精度の良く監視することが可能になり、衛星1からの1回の撮像により測定データの取得が可能である。
【0044】
また、本実施形態では、コーナー・リフレクタ5a〜5cを、1本の支柱4で異なる高さに3個取り付ける例を説明したが、コーナー・リフレクタ5の個数は3個に限られず、監視したい樹木の生育状態、樹木の種類、樹木の密集度、樹木が生育している土壌の性質等に基づき、3個以上でもよく、あるいは3個未満でも良い。
【0045】
[第2実施形態]
第2実施形態について、図9〜図10を用いて説明する。第1実施形態では、1本の支柱4に3個のコーナー・リフレクタ5a〜5cを説明したが、第2実施形態では、それぞれ別の支柱4a〜4cの異なる高さにコーナー・リフレクタ5a〜5cを取り付け、別の位置に配置する一例である。図9は、本実施形態における支柱とコーナー・リフレクタ5の配置の一例を説明する図である。第1実施形態では、衛星1の測定分解能が高い場合に適しているが、第2実施形態による監視方法は、衛星1の測定分解能が第1実施形態より低くても監視することができ、衛星1からの1回の撮像により測定データの取得が可能である。
【0046】
図9のように、支柱4aに取り付けられたコーナー・リフレクタ5aは、樹木401a〜401eを監視可能な所定の位置に設置され、支柱4bに取り付けられたコーナー・リフレクタ5bは、樹木411a〜411eを監視可能な所定の位置に設置され、支柱4cに取り付けられたコーナー・リフレクタ5cは、樹木421a〜421eを監視可能な所定の位置に設置されている。また、コーナー・リフレクタ5a〜5cの高さ関係は、コーナー・リフレクタ5aの高さがコーナー・リフレクタ5bの高さより高く、且つ、コーナー・リフレクタ5bの高さが、コーナー・リフレクタ5cの高さより高い。なお、樹木401a〜401eと樹木411a〜411eと樹木421a〜421eとは、同じ種類の樹木で、生育速度も近いとする。
【0047】
図10は、コーナー・リフレクタ設置後のエリアの画像データの一例を説明する図である。図10(a)は、図9のように設置した各コーナー・リフレクタ5a〜5cに対応する反射による所定のしきい値以上の輝度領域の例である。図9と図10(c)のように、支柱4cに取り付けられているコーナー・リフレクタ5cが、他のコーナー・リフレクタ5a〜5cより低いため、樹木421a〜421eにより入射波2が遮られている。この結果、図10(b)のように、コーナー・リフレクタ5a〜5cによる反射波に基づき撮像した画像データは、コーナー・リフレクタ5aの反射波に基づく高輝度の領域501aと、コーナー・リフレクタ5bの反射波に基づく高輝度の領域502bとが輝度の高い領域として得られ、コーナー・リフレクタ5cからの反射波が得られないため、反射波が得られないため、領域501cは黒(図10では、説明のため白黒を反転しているため黒で表されている)の低輝度で表される。
【0048】
送電線9の下に生育している監視したい樹木を監視するために、それぞれ別の支柱4a〜4cの異なる高さにコーナー・リフレクタ5a〜5cを取り付け、別の位置に配置し、衛星1からの入射波が設置された各コーナー・リフレクタ5により反射され、反射された信号を衛星1が受信して測定したデータに基づき、反射があるか無いかを物体変位監視装置10が監視するようにしたので、森林などの徒歩巡視が困難なところでも、物体の変位を精度の良く監視することが可能になる。
【0049】
また、本実施形態では、コーナー・リフレクタ5a〜5cを、異なる位置に3個設置する例を説明したが、コーナー・リフレクタ5の個数は3個に限られず、監視したい樹木の生育状態、樹木の種類、樹木の密集度、樹木が生育している土壌の性質等に基づき、3個以上でもよく、あるいは3個未満でも良い。
【0050】
また、第1および第2実施形態では、鉄塔の位置を予め記憶部104に記憶させておく例を説明したが、例えば鉄塔の反射に基づく高い輝度領域を抽出して公知のパターンマッチング手法等を用いて鉄塔の位置を取得した画像データから抽出するようにしてもよい。また、コーナー・リフレクタ5a〜5cの位置を予め反射が得られている状態の画像データから抽出して、予め記憶部104に書き込んで記憶させておく例を説明したが、コーナー・リフレクタ5a〜5cが2基の鉄塔の間に設置されている場合、鉄塔に対応する輝度の高い領域211aと211bとの間の所定の領域内、例えば、図8の領域331にコーナー・リフレクタ5a〜5cがあると想定し、領域331の範囲の所定のしきい値以上の領域を抽出して、抽出した領域に所定の個数の所定のしきい値以上の領域があるか否かを判定し、樹木の高さ監視を行うようにしてもよい。
【0051】
また、第1および第2実施形態では、コーナー・リフレクタ5の位置を画像データから抽出する例を説明したが、コーナー・リフレクタ5の位置は、例えば設置時に測定された位置情報を予め記憶部104に書き込んで記憶させておいてもよく、あるいは、コーナー・リフレクタが取り付けられている支柱4にGPS(Global Positionning System)もしくはGPSを有する通信装置等を設置し、設置されたGPSからの情報に基づきコーナー・リフレクタ5の位置を本物体変位監視装置10が取得し、取得したコーナー・リフレクタ5の位置を記憶部104に書き込んで記憶させるようにしてもよい。この場合、図6のように、鉄塔は送電線に沿って所定の間隔ごとに設置されているため、GPSからの位置情報が取得できないときでも地図情報と照らし合わせることで、鉄塔の位置を検出できる。
【0052】
また、本実施形態では、物体変位監視装置10が取得するデータとして画像データを用いる例を説明したが、RAWデータを取得するようにしてもよく、取得したRAWデータを物体変位監視装置10の非図示の画像処理部により画像データに変換して用いるようにしても良い。
【0053】
本実施形態によれば、従来技術のように、ヘリコプターを用いて上空からレーザー測定法で測定する手法と比較して、夜間など時間に左右されず、雨などの天候にも左右されない効果がある。また、従来技術のように、樹木の最上部の葉の部分の反射に基づき直接、樹木の高さを測定するのではなく、樹木の高さを所定のしきい値により設置したコーナー・リフレクタの反射に基づいて監視するため、現在、民間衛星で使用されている分解能、例えば5mもしくは3m程度でも監視することができる。この結果、送電線の下の樹木を監視するためのコストを大幅に削減できる可能性がある。
【0054】
なお、実施形態の図4の各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD−ROM等の可搬媒体、USB(Universal Serial Bus) I/F(インタフェース)を介して接続されるUSBメモリー、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0055】
1・・・衛星
4・・・支柱
5・・・コーナー・リフレクタ
6・・・樹木
7・・・衛星データ・センター
8・・・鉄塔
9・・・送電線
10・・・物体変位監視装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに高さの異なる複数の反射板に照射されたレーダの反射波に基づき生成された測定データから、前記互いに高さの異なる複数の前記反射板からの反射波による領域データを抽出し、前記抽出された前記領域データを所定の範囲ごとにグループ化し、前記グループ化された前記領域データに基づき測定対象物の変位を監視する
ことを特徴とする物体変位監視装置。
【請求項2】
レーダから照射された入射波を測定対象物の近傍且つ地面から第1の所定の互いに異なる高さに設置されている反射板により反射された反射波を測定することにより生成された画像情報を取得する画像情報取得部と、
前記画像から輝度が第2の所定のしきい値以上の領域を抽出する高輝度領域抽出部と、
前記測定対象物の所定の範囲内にある構造物の位置情報が記憶されている記憶部と、
前記構造物の前記位置情報を前記記憶部から読み出し、前記読み出した前記構造物の前記位置情報に基づき、前記抽出された前記領域情報の中から前記構造物から前記所定の範囲内の前記グループ化された前記反射板による前記領域情報を選択し、前記選択された前記領域情報に基づき測定対象物の変位を経時的に比較する比較部と、
前記判定結果を画像表示装置に出力する判定結果出力部と、
を備えることを特徴とする物体変位監視装置。
【請求項3】
前記反射板は、コーナー・リフレクタである
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の物体変位監視装置。
【請求項4】
前記比較部は、
前記選択された前記領域情報から、輝度が前記第2の所定のしきい値以上の前記グループ化された前記反射板による前記領域の個数を算出し、前記算出された前記前記グループ化された前記反射板による前記領域の前記個数に基づき測定対象物の変位を比較する
ことを特徴とする請求項2から請求項3のいずれか1項に記載の物体変位監視装置。
【請求項5】
前記比較部は、
前記算出された輝度が前記第2の所定のしきい値以上の前記グループ化された前記反射板による前記領域の前記個数を反射個数として前記記憶部に書き込んで記憶させ、前記画像情報を再帰的に取得し、前記取得した前記画像情報から輝度が前記第2の所定のしきい値以上の前記グループ化された前記反射板による前記領域の個数を算出し、前記算出された前記グループ化された前記反射板による前記領域の前記個数と前記記憶部に記憶されている前記反射個数とを比較し、前記算出された前記グループ化された前記反射板による前記領域の前記個数と前記記憶部に記憶されている前記反射個数とが一致する場合、前記反射板が遮られていないと判定し、前記算出された前記グループ化された前記反射板による前記領域の前記個数と前記記憶部に記憶されている前記反射個数一致しない場合、前記反射板が遮られていると判定し、判定結果を前記判定結果出力部する
ことを特徴とする請求項2から請求項3のいずれか1項に記載の物体変位監視装置。
【請求項6】
物体変位監視装置の物体変位監視方法において、
互いに高さの異なる複数の反射板に照射されたレーダの反射波に基づき生成された測定データから、前記互いに高さの異なる複数の前記反射板からの反射波による領域データを抽出し、前記抽出された前記領域データを所定の範囲ごとにグループ化し、前記グループ化された前記領域データに基づき測定対象物の変位を監視する
ことを特徴とする物体変位監視方法。
【請求項7】
物体変位監視装置の物体変位監視方法において、
画像情報取得部が、レーダから照射された入射波を測定対象物の近傍且つ地面から第1の所定の互いに異なる高さに設置されている反射板により反射された反射波を測定することにより生成された画像情報を取得する画像情報取得工程と、
高輝度領域抽出部が、前記画像から輝度が第2の所定のしきい値以上の領域を抽出する高輝度領域抽出工程と、
前記測定対象物の所定の範囲内にある構造物の位置情報が記憶されている記憶部と、
比較部が、前記構造物の前記位置情報を前記記憶部から読み出し、前記読み出した前記構造物の前記位置情報に基づき、前記抽出された前記領域情報の中から前記構造物から前記所定の範囲内の前記グループ化された前記反射板による前記領域情報を選択し、前記選択された前記領域情報に基づき測定対象物の変位を経時的に比較する比較工程と、
判定結果出力部が、前記判定結果を画像表示装置に出力する判定結果出力工程と、
を備えることを特徴とする物体変位監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−214975(P2011−214975A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82949(P2010−82949)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】