説明

物体形状認識装置及び特徴点検出方法

【課題】境界上での特徴点検出処理を適正に行なうことにより、形状データから物体の形状を確実に認識できる物体形状認識装置が求められる。
【解決手段】本実施形態によれば、物体形状認識装置は、入力ユニットと、仮想面配置処理ユニットと、特徴点検出処理ユニットとを備えた構成である。入力ユニットは、物体の形状を表す形状データを入力する。仮想面配置処理ユニットは、前記形状データのデータ欠損部に仮想面を設定する。特徴点検出処理ユニットは、前記形状データ及び前記仮想面を使用して、前記物体の形状を構成するための特徴点を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、物体形状認識装置の特徴点検出技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、画像処理により例えば3次元の物体形状を認識する物体形状認識装置は、例えばレンジファインダを使用して撮影(計測)した対象物体の距離画像から、物体の形状を表す形状データ(メッシュデータ)を入力し、この形状データから物体の形状を構成するための特徴点を検出する画像処理を実行する。
【0003】
このような画像処理において、対象物体の形状が重なるように複数の形状データの位置及び角度を合わせるために、形状データから特徴点を検出するときに、異なる形状データ間で物体の同じ位置に検出された特徴点の対応をとり、対応する特徴点の距離が最小となるように形状データの位置及び角度の変換を行う方法がある。
【0004】
形状データから特徴点を検出する特徴点検出アルゴリズムの多くは、注目点とその近傍点との関係から、当該注目点が特徴点であるか否かを判定する処理を含む。この判定処理方法としては、例えば注目点の周辺の頂点を2次曲面に近似し、その曲率の値を利用して判定する方法がある。また、注目点を中心とする球体内にある形状内部の体積を利用して、突出または窪んだ形状を検出する方法などがある。さらにまた、近傍点を使って形状自体を滑らかに変形させながら、形状のスケールに依存しない特徴点検出を行う方法もある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Ivan Sipiran, Benjamin Bustos, “A Robust 3D Interest Points Detector Based on Harris Operator,” Eurographics Workshop on 3D Object Retrieval (2010)
【非特許文献2】Walter, N., Aubreton, O., Laligant, O., “Salient point characterization for low resolution meshes,” IEEE International Conference on Image Processing (2008)
【非特許文献3】Markus Schlattmann, Patrick Degener, Reinhard Klein, “Scale Space Based Feature Point Detection on Surfaces,” Journal of WSCG (Feb. 2008), 16:1-3, The 16-th International Conference in Central Europe on Computer Graphics, Visualization and Computer Vision'2008 (WSCG'2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えばレンジファインダなどの計測器を使用して物体形状を認識(計測)する場合、一度に取得できる形状データは、計測器から見える物体の半面だけであり、計測される領域と計測されない領域との間に形状データの切れ目(以下、境界と表記する)ができる。この境界上に位置する点は、近傍点が片側に分布し、もう片側の形状データが欠けているため、境界上でない通常の点と同様の処理により特徴点を求めることができない。具体的には、曲率を求めるために近傍点を二次曲面に近似したり、周囲の体積を求めたり、近傍点を使って形状を平滑化するといった処理が行えない。
【0007】
異なる角度からレンジファインダにより撮影して入力される形状データは、対象物体が同じ場合でも、見える面やオクルージョン(隠れた部分)が発生する箇所が異なる。換言すれば、一方の画像で見えている面が他方では見えない場合や、他の物体が手前にある場合にこれによって隠れが発生する箇所が異なる場合がある。
【0008】
特徴点は突出した点やエッジ上の点などに多く検出されるため、ある形状データで特徴点として検出された点が、撮影角度の異なる別の形状データでは境界上にあたる確率は高い。従って、単に境界上の特徴点検出処理として、境界上の点は特徴点として検出しない、または逆に、境界上は必ず特徴点とするような例外的処理を適用することが考えられる。しかし、境界にも特徴点が検出されるべき場合と、検出されるべきでない場合があり、そのどちらかに統一する方法は好ましくない。
【0009】
そこで、境界上での特徴点検出処理を適正に行なうことにより、形状データから物体の形状を確実に認識できる物体形状認識装置が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本実施形態によれば、物体形状認識装置は、入力手段と、仮想面配置処理手段と、特徴点検出処理手段とを備えた構成である。入力手段は、物体の形状を表す形状データを入力する。仮想面配置処理手段は、前記形状データのデータ欠損部に仮想面を設定する。特徴点検出処理手段は、前記形状データ及び前記仮想面を使用して、前記物体の形状を構成するための特徴点を検出する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に関する物体形状認識装置の構成を説明するためのブロック図。
【図2】実施形態に関するデータ処理装置の動作を説明するためのフローチャート。
【図3】実施形態に関する距離画像の一例を示す図。
【図4】実施形態に関する距離画像を説明するための模式図。
【図5】実施形態に関する形状データの一例を示す図。
【図6】実施形態に関する形状データの境界を説明するための図。
【図7】実施形態に関する境界を説明するための模式図。
【図8】実施形態に関する仮想面設定処理を説明するためのフローチャート。
【図9】実施形態に関する仮想面設定方法を説明するためのメッシュデータの一例を示す図。
【図10】実施形態に関する仮想面設定方法を説明するためのメッシュデータの一例を示す図。
【図11】実施形態に関する仮想面設定方法を説明するための模式図。
【図12】実施形態に関する特徴点検出処理を説明するためのフローチャート。
【図13】実施形態に関する特徴点検出方法を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面を参照して、実施形態を説明する。
【0013】
[物体形状認識装置の構成]
図1は、実施形態に関する物体形状認識装置の構成を説明するためのブロック図である。
【0014】
図1に示すように、物体形状認識装置は、画像入力装置10と、入力インターフェース11と、表示出力装置12と、データ処理装置(画像処理部)13とを有する。
【0015】
画像入力装置10は、例えばレンジファインダまたはステレオカメラを有し、認識対象の物体の距離画像を取得する計測器である。距離画像とは、3次元的に計測された物体の特定形状を検出できる画像データであり、後述する形状データを作成するために使用される。画像入力装置10は、物体の位置及び角度を変えて撮影(計測)し、各撮影により得られる複数の距離画像を入力できる。入力インターフェース11は、画像入力装置10により取得された距離画像をデータ処理装置13に転送する。
【0016】
データ処理装置13は、入出力インターフェース14と、仮想面配置処理部15と、特徴点検出処理部16とを有し、物体の形状を認識するための画像処理を実行する。入出力インターフェース14は、入力インターフェース11から転送された距離画像を入力し、またデータ処理装置13の処理結果(検出された特徴点や物体認識結果など)を表示出力装置12に出力する。表示出力装置12は、画面上にデータ処理装置13の処理結果を表示する。
【0017】
仮想面配置処理部15は、後述するように、形状データの欠損箇所に仮想的な面(仮想面)を設定する仮想面配置処理を実行する。特徴点検出処理部16は、後述するように、形状データと仮想面を使用して、物体の形状を構成するための特徴点を検出する。ここで、データ処理装置13は、入力される距離画像に基づいて形状データ(またはメッシュデータと表記する場合がある)を作成する。形状データ(メッシュデータ)は、物体の表面形状上の点座標を表す頂点と、その隣接関係を表す辺で構成される。
【0018】
[データ処理装置の基本動作]
まず、図2のフローチャートを参照して、本実施形態のデータ処理装置13の動作を説明する。
【0019】
データ処理装置13は、仮想面配置処理部15及び特徴点検出処理部16の入力データとして形状データ(メッシュデータ)を入力させるための処理を実行する(ブロック201)。データ処理装置13は、図3に示すように、画像入力装置10から取得される物体の距離画像301に基づいて入力データとしての形状データ(メッシュデータ)を作成する。
【0020】
形状データは、物体の表面形状上の点座標を表す頂点と、その隣接関係を表す辺で構成されるメッシュデータである。図4は、距離画像301の模式図である。図4に示すように、各頂点座標は、距離画像の画素302の位置と、奥行きを表す画素値から算出される。隣接関係を表す辺は、距離画像の画素間の隣接情報303から算出される。但し、隣接する画素であっても、奥行き値の差が大きい場合は、連続した表面形状ではないため、それらの画素間の辺は作成しない。
【0021】
以上のようにデータ処理装置13は、画像入力装置10から取得される1枚の距離画像301から、図5に示すように、計測器である画像入力装置10から見えている部分(撮影部分)に対応する形状データ304を作成する。
【0022】
次に、仮想面配置処理部15は、入力される形状データ304の欠損箇所に仮想面を設定する仮想面配置処理を実行する(ブロック202)。さらに、特徴点検出処理部16は、形状データと仮想面を使用して、物体の形状を構成するための特徴点を検出する特徴点検出処理を実行する(ブロック203)。特徴点検出処理部16は、検出された特徴点を出力データとして出力する(ブロック204)。データ処理装置13は、特徴点検出処理部16により検出された特徴点を使用し、物体の形状を認識する画像認識処理を実行する。
【0023】
[仮想面配置処理]
次に、図6〜図11を参照して、本実施形態の仮想面配置処理部15の動作を説明する。
【0024】
図6は、前述したように、1枚の距離画像301から作成されて、画像入力装置10から見えている部分(撮影部分)に対応する形状データ(メッシュデータ)401の一例である。このような形状データ(メッシュデータ)401は、計測(撮影)された部分の形状情報(点座標を表す頂点とその隣接関係を表す辺)のみを有する。即ち、形状データ401は、面の角度が画像入力装置10の方向に向いていない部分や、隠れて見えない部分の形状情報を含まない。
【0025】
このように、画像入力装置10により計測(撮影)される部分と、計測(撮影)されない部分との境目を、本実施形態では便宜的に境界402と呼ぶ。図7は、図6に示す境界402およびその周辺の形状を、表面形状を側面から見た境界周辺形状403として表した模式図である。図7に示すように、境界周辺形状403を、計測(撮影)される部分(面)404と、計測(撮影)されない部分(面)405との境界上の点406として表現できる。
【0026】
仮想面配置処理部15は、境界402の付近の形状情報と画像入力装置10との角度関係に基づいて、仮想面の向きを決定し、境界402から形状を延長する形で仮想面を配置する。形状情報とは、点座標を表す頂点とその隣接関係を表す辺からなる情報である。仮想面とは、計測(撮影)されない部分(面)405に対応する仮想形状情報からなる部分(面)である。
【0027】
まず、仮想面配置処理部15は、境界上の点406の付近の形状情報(形状点)を算出(抽出)する(ブロック501)。仮想面配置処理部15は、形状情報に基づいて形状の境界が、画像入力装置10による計測対象範囲(撮影範囲)の端に位置しているか否かを判定する(ブロック502)。仮想面配置処理部15は、境界が当該端に位置している場合には、計測対象範囲外の部分を形状情報が欠けているデータ欠損部であると判定し、仮想面を設定する(ブロック502のYES,503)。
【0028】
具体的には、図9に示すように、画像入力装置10による計測対象である物体の形状データ(メッシュデータ)601において、境界602が計測対象範囲(撮影範囲)の端に位置する場合である。図11(A)は、当該境界602の模式図607を示す。即ち、撮影された面614に対して、境界上の点615が端に位置し、撮影範囲外がデータ欠損部である。仮想面配置処理部15は、境界付近の形状をそのまま延長した位置角度に仮想的に配置する面として仮想面619を設定する。
【0029】
一方、仮想面配置処理部15は、形状情報に基づいて形状の境界が端ではなく、境界の手前に別の物体が存在するか否かを判定する(ブロック504)。仮想面配置処理部15は、境界の手前に別の物体が存在する場合には、その物体により隠れたデータ欠損部があると判定し、境界付近の形状を延長した位置角度に仮想面を設定する処理を実行する(ブロック504のYES,505)。
【0030】
具体的には、図10に示すように、画像入力装置10による計測対象である物体の形状データ(メッシュデータ)601において、境界603が手前に別の物体が存在する場合である。図11(B)は、当該境界603の模式図608を示す。即ち、撮影された面614に対して、境界上の点615の手前に存在する別の物体によるデータ欠損部がある。仮想面配置処理部15は、境界付近の形状をそのまま延長した位置角度に仮想的に配置する面として仮想面619を設定する。
【0031】
次に、仮想面配置処理部15は、形状情報に基づいて境界付近の形状が平面であるか否かを判定する(ブロック506)。仮想面配置処理部15は、境界付近の形状が平面である場合には、境界が物体の角に位置し、境界を通り平面とほぼ直交する面が物体の裏にあると想定する。但し、平面の向きによっては、これと直交する面が画像入力装置10から見える位置にあり、実際に面が存在すれば計測されていることになる。そこで、仮想面配置処理部15は、境界を通り平面と直交する面が物体の裏に隠れているか否かを判定する(ブロック507)。仮想面配置処理部15は、物体の裏に隠れている場合には、境界を通り平面と直交する仮想面を設定する(ブロック507のYES,508)。
【0032】
具体的には、図10に示すように、形状データ(メッシュデータ)601において、境界604の付近の形状が平面で、平面と直交する面が遮蔽されている場合である。図11(C)は、境界付近の形状が平面で、平面と直交する面が遮蔽される境界604の模式図609を示す。即ち、画像入力装置10の視線方向618において、境界(境界上の点615)を通り平面と直交する面616が物体の裏に隠れている場合に、データ欠損部がある。仮想面配置処理部15は、そのデータ欠損部に仮想的に配置する面として仮想面619を設定する。
【0033】
一方、仮想面配置処理部15は、境界を通り平面と直交する面が見える場合には、境界を通り画像入力装置10の視線方向と平行な仮想面を設定する(ブロック507のNO,509)。図11(D)は、境界付近の形状が平面で、平面と直交する面が遮蔽されない境界の模式図610を示す。仮想面配置処理部15は、境界を通り視線方向618と平行な面617に仮想的に配置する面として仮想面619を設定する。ここで、画像入力装置10の視線方向618は、当該装置から計測対象の物体に向かう方向を意味する。
【0034】
次に、仮想面配置処理部15は、形状情報に基づいて境界付近の形状が滑らかな曲面であるか否かを判定する(ブロック510)。仮想面配置処理部15は、境界付近の形状が滑らかな曲面である場合には、境界が球体や円筒の曲面部分の輪郭である場合、あるいは曲面が平面等と交差しているか切断されている形状であると推定する。
【0035】
仮想面配置処理部15は、境界に近づくにつれて面の傾きが、画像入力装置10の視線方向と平行になる場合であるか否かを判定する(ブロック511)。仮想面配置処理部15は、平行になる場合には、境界に近づくにつれて面の法線方向が画像入力装置10から計測対象の位置に向かう視線方向と平行する方向に近づく場合であると判定し、境界が球体や円筒の曲面部分の輪郭であると認識する(ブロック511のYES)。仮想面配置処理部15は、境界を通り画像入力装置10の視線方向と平行な仮想面を設定する(ブロック512)。
【0036】
具体的には、図10に示すように、形状データ(メッシュデータ)601において、境界605の付近の形状が滑らかな曲面で、境界605に近づくにつれて面の傾きが画像入力装置10の視線と平行になる場合である。図11(E)は、境界(境界上の点615)の付近の形状が滑らかな曲面で、境界に近づくにつれて面の傾きが画像入力装置10の視線方向618と平行になる境界605の模式図611を示す。仮想面配置処理部15は、境界を通り視線方向618と平行な面617に仮想的に配置する面として仮想面619を設定する。
【0037】
一方、仮想面配置処理部15は、前記曲面の傾きが視線方向と平行にならない場合には、曲面と直交する面が物体の裏に隠れる範囲に位置するか否かを判定する(ブロック513)。仮想面配置処理部15は、直交する面が物体の裏に隠れる範囲に位置する場合には、境界を通り曲面と直交する仮想面を設定する(ブロック514)。
【0038】
具体的には、図10に示すように、形状データ(メッシュデータ)601において、境界606の付近の形状が滑らかな曲面で、曲面と直交する面が遮蔽される場合である。図11(F)は、境界(境界上の点615)の付近の形状が滑らかな曲面で、曲面と直交する面が遮蔽される境界の模式図612を示す。仮想面配置処理部15は、境界を通り曲面と直交する面616が物体の裏に隠れている場合にデータ欠損部となるため、そのデータ欠損部に仮想的に配置する面として仮想面619を設定する。
【0039】
また、仮想面配置処理部15は、直交する面が物体の裏に隠れる範囲に位置しない場合には、境界を通り画像入力装置10の視線方向と平行な仮想面を設定する(ブロック515)。図11(G)は、境界(境界上の点615)の付近の形状が滑らかな曲面で、曲面と直交する面が遮蔽されない境界の模式図613を示す。仮想面配置処理部15は、境界を通り曲面と平行な面617に仮想的に配置する面として仮想面619を設定する。
【0040】
以上のように仮想面配置処理部15は、境界の形状情報と画像入力装置10との角度関係に基づいて仮想面を配置する。ここで、仮想面配置処理部15は、境界の状態または境界付近の形状が図8に示す条件に当てはまらない場合には、この境界上の点が特徴点検出処理により特徴点として検出しないようにするため、仮想面の設定処理を実行しない(ブロック516)。
【0041】
[特徴点検出処理]
次に、図12及び図13を参照して、本実施形態の特徴点検出処理部16の動作を説明する。
【0042】
本実施形態の特徴点検出処理部16は、画像入力装置10により計測(撮影)された距離画像から作成される形状データ(メッシュデータ)と、仮想面配置処理部15により設定される仮想面を使用して、物体の形状を構成するための特徴点を検出する。
【0043】
まず、特徴点検出処理部16は、計測された形状データ(計測点群)を入力し、かつ仮想面配置処理部15から仮想面を入力する(ブロック701,702)。次に、特徴点検出処理部16は、形状が滑らかになるように形状上の計測点からなる頂点の位置を移動させる形状平滑化処理を実行する(ブロック703)。
【0044】
具体的には、図13に示すように、平滑化処理前の頂点801が、形状平滑化処理により位置を移動し、平滑化処理後の頂点802となる。このとき、形状平滑化処理としては、計測点809及び仮想面上の仮想点810の両方が処理対象となる。ここで、図13において、計測された形状データとしては、凸状の形状データ804、凹状の形状データ805、境界付近の点群と直交する仮想面からなる形状データ806、境界付近の点群を延長する仮想面からなる形状データ807、及び平面形状データ808のそれぞれに分類される。
【0045】
特徴点検出処理部16は、形状平滑化処理により移動させた各頂点の移動量を算出する頂点移動量算出処理を実行する(ブロック704)。なお、図12の点線で示すように、特徴点検出処理部16は、必要に応じて複数回の形状平滑化処理を実行し、この後で頂点移動量算出処理を実行してもよい。また、特徴点検出処理部16は、形状平滑化処理および頂点移動量算出処理を1セットとして、複数段階の形状平滑化処理を実行してもよい。
【0046】
特徴点検出処理部16は、形状平滑化処理の具体的な処理方法としては、各注目頂点を隣接する頂点群の中心・重心位置に移動させる方法がある。または、各注目頂点を、注目頂点の処理前の位置と隣接する頂点群の中心・重心の間の位置に移動させる方法でもよい。さらに、各注目頂点を、隣接頂点群との距離総和が最小になる位置に移動させるような方法でもよい。
【0047】
特徴点検出処理部16は、入力された形状データ上の計測点809から、各頂点の移動量に基づいて特徴点811を検出する特徴点検出処理を実行する(ブロック705)。特徴点検出処理の方法としては、移動量が極大、即ち隣接頂点よりも大きい点、または閾値以上の点、またはその両方を満たす点などを特徴点とする。このとき、形状平滑化処理としては計測点809及び仮想面上の仮想点810の両方が処理対象となるが、特徴点検出処理では計測点809のみが処理対象となる。
【0048】
なお、特徴点検出処理部16は、前述したように、複数段階の形状平滑化処理を実行するときに、最適な段階で算出された移動量に基づいた特徴点811を検出してもよい。ここで、凸状の形状データ804では、突出した部分が特徴点811として検出されることになる。凹状の形状データ805では、窪んだ部分が特徴点811として検出される。また、境界付近の点群と直交する仮想面からなる形状データ806では、境界上の点が突出しているため、これが特徴点811として検出されることになる。境界付近の点群を延長する仮想面からなる形状データ807では、境界面は凸状でも凹状でもないため特徴点とはならず検出されない。また同様に、平面形状データ808では特徴点は検出されない。
【0049】
特徴点検出処理部16は、検出された特徴点811を出力データとして出力する(ブロック706)。データ処理装置13は、特徴点検出処理部16により検出された特徴点811を使用し、物体の形状を認識する画像認識処理を実行する。
【0050】
以上のように本実施形態によれば、仮想面配置処理部15及び特徴点検出処理部16の構成により、境界上での特徴点検出処理を適正に行なうことが可能となる。従って、レンジファインダなどの計測器(画像入力装置10)により取得される形状データから物体の形状を確実に認識できることができる。
【0051】
即ち、仮想面配置処理部15により、形状データの境界に仮想面を配置することで、境界上の点の周囲に対しても形状データを作成することが可能となり、境界上でない点と同様の処理で特徴点検出処理を行うことができる。境界付近の形状データと、計測器との位置向き関係に基づいて仮想面の配置を変化させることで、境界上に特徴点を検出すべき場合には特徴点が検出され、検出すべきでない場合には検出されにくくなる。また、特徴点検出処理部16の形状平滑化処理での処理前後の頂点の移動量に基づいて特徴点を検出する方法により、形状の突出した部分や窪んだ部分を特徴点として検出することが可能となる。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
10…画像入力装置(計測器)、11…入力インターフェース、
12…表示出力装置、13…データ処理装置(画像処理部)、
14…入出力インターフェース、15…仮想面配置処理部、
16…特徴点検出処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の形状を表す形状データを入力する入力手段と、
前記形状データのデータ欠損部に仮想面を設定する仮想面配置処理手段と、
前記形状データ及び前記仮想面を使用して、前記物体の形状を構成するための特徴点を検出する特徴点検出処理手段と
を具備したことを特徴とする物体形状認識装置。
【請求項2】
前記仮想面配置処理手段は、
前記形状データと前記データ欠損部との境界の形状情報を算出し、
前記入力手段に含まれて前記物体を計測する計測器との方向関係、前記境界の位置、及び前記境界の形状情報に基づいて、前記データ欠損部の仮想面を設定することを特徴とする請求項1に記載の物体形状認識装置。
【請求項3】
前記仮想面配置処理手段は、
前記境界が前記計測器の計測対象範囲外との境界である場合または前記境界の手前に別の物体形状が存在する場合には、前記境界の付近の形状を延長するような位置と向きに前記仮想面を配置するように設定することを特徴とする請求項2に記載の物体形状認識装置。
【請求項4】
前記仮想面配置処理手段は、
前記境界の付近の形状が平面であって当該平面と直交する面が遮蔽されている場合には、当該直交する面に仮想面を配置するように設定し、
該直交する面が遮蔽されていない場合には、前記境界を通り前記計測器の視線方向と平行な面に仮想面を配置するように設定することを特徴とする請求項2に記載の物体形状認識装置。
【請求項5】
前記仮想面配置処理手段は、
前記境界付近の形状情報が曲面で、境界に近づくにつれて面の法線方向が前記計測器から計測対象の位置に向かう視線方向と平行する方向に近づく場合には、前記境界を通り前記計測器の視線方向と平行な仮想面を配置するように設定することを特徴とする請求項2に記載の物体形状認識装置。
【請求項6】
前記仮想面配置処理手段は、
前記境界の付近の形状が曲面であって当該曲面と直交する面が平面により遮蔽されている場合には、当該平面と直交する仮想面を配置するように設定し、
該直交する面が遮蔽されていない場合には、前記境界を通り前記計測器の視線方向と平行な仮想面を配置するように設定することを特徴とする請求項2に記載の物体形状認識装置。
【請求項7】
前記特徴点検出処理手段は、
前記形状データに対して形状を滑らかにする形状平滑化処理を実行し、
前記形状平滑化処理の前後の形状の差に基づいて前記特徴点を検出することを特徴とする請求項1に記載の物体形状認識装置。
【請求項8】
前記特徴点検出処理手段は、
前記形状平滑化処理として形状上の点を移動させる処理を含み、
前記形状平滑化処理前後の点の移動量に基づいて前記特徴点を検出することを特徴とする請求項7に記載の物体形状認識装置。
【請求項9】
前記特徴点検出処理手段は、
前記形状上の計測点と前記仮想面上の仮想点の両方を処理対象として前記形状平滑化処理を実行し、
前記形状上の計測点を処理対象として前記特徴点を検出することを特徴とする請求項8に記載の物体形状認識装置。
【請求項10】
前記特徴点検出処理手段は、
前記形状平滑化処理を複数回実行し、
前記複数回の形状平滑化処理により算出される移動量に基づいて前記特徴点を検出することを特徴とする請求項8に記載の物体形状認識装置。
【請求項11】
物体形状認識装置に適用する特徴点検出方法であって、
物体の形状を表す形状データを入力する処理と、
前記形状データのデータ欠損部に仮想面を設定する処理と、
前記形状データ及び前記仮想面を使用して、前記物体の形状を構成するための特徴点を検出する処理と
を実行することを特徴とする特徴点検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−59140(P2012−59140A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203499(P2010−203499)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】