説明

物体検出装置

【課題】反射強度の入力が不安定な場合には、物体の位置情報を推定することができる。
【解決手段】電磁波センサ30及び画像センサ31と、反射強度が所定値より低いか否かを判定する強度判定部21と、車両進行方向における物体Hの速度成分が所定値より低いか否かを判定する速度判定部22と、強度判定部21によって反射強度が所定値より低いと判定され、速度判定部22によって速度成分が所定値より低いと判定された場合には、車両4の移動量Zに基づいて、物体Hと車両4との相対距離Z2を算出する相対距離算出部23と、画像情報から物体Hの方位情報Y2を取得し、方位情報Y2及び相対距離Z2に基づいて物体Hの位置を推定する位置推定部24とを備えることで、画像センサ31で入力した画像情報を用いて、物体Hの位置情報を推定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体を検出する物体検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物体を検出する装置は、例えば、走行車両の安全性を向上させる運転者支援システムに好適に採用されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の装置は、電磁波を物体へ出射して反射波の反射強度を取得し、反射強度が低い場合には、物体検出のための閾値を下げて反射強度の低い障害物を検出する装置である。
【特許文献1】特開2006−284293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の物体検出装置にあっては、電磁波の反射波を用いて物体の位置を検出する場合には連続的な情報入力が必要となるので、例えば、反射強度が低い物体を検出する場合において、情報入力を行うことができない事象が瞬間的に発生すると、対象物体の正確な位置を算出することが困難となるおそれがある。
【0004】
そこで、本発明はこのような技術課題を解決するためになされたものであって、反射波の反射強度の入力が不安定な場合には、物体の位置情報を推定することができる物体検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明に係る物体検出装置は、車両に設置され、物体へ電磁波を出射し、前記物体からの反射波を用いて物体情報を取得する電磁波センサと、車両に設置され、前記物体の画像情報を取得する画像センサと、前記反射波の反射強度が所定値より低いか否かを判定する強度判定手段と、前記電磁波センサによって取得した前記物体の前記車両進行方向における速度成分が所定値より低いか否かを判定する速度判定手段と、前記強度判定手段によって前記反射強度が所定値より低いと判定され、前記速度判定手段によって前記速度成分が所定値より低いと判定された場合には、前回測定時からの前記車両の移動量に基づいて、前記物体と前記車両との相対距離を算出する相対距離算出手段と、前記画像情報から前記物体の方位情報を取得し、前記方位情報及び前記相対距離に基づいて前記物体の位置を推定する位置推定手段とを備えて構成される。
【0006】
この発明によれば、物体の位置情報を検出するために、電磁波センサに加えて画像センサを備え、電磁波センサで検知した物体の反射強度が低く、電磁波センサによって取得した物体の進行方向の速度成分が所定値より低い場合には、前回測定時からの自車両の移動量に基づいて、物体と自車両との相対距離を算出し、画像情報から物体の方位情報を算出し、算出した相対距離及び方位情報に基づいて物体の位置情報を推定することができる。これにより、例えば、反射強度が低く、車両に比べて移動速度が遅い歩行者等の位置情報を検出する場合において、電磁波センサで入力した情報から物体の位置情報が取得できない場合には、画像センサで入力した画像情報を用いて、物体の位置情報を推定することが可能となる。
【0007】
また、本発明に係る物体検出装置は、車両に設置され、物体へ電磁波を出射し、前記物体からの反射波を用いて物体情報を取得する電磁波センサと、車両に設置され、前記物体の画像情報を取得する画像センサと、前記反射波の反射強度が所定値より低いか否かを判定する強度判定手段と、前記電磁波センサによって取得した前記物体の車両進行方向における速度成分が所定値より高いか否かを判定する速度判定手段と、前記強度判定手段によって前記反射強度が所定値より低いと判定され、前記速度判定手段によって前記速度成分が所定値より高いと判定された場合には、前回測定時からの車両の移動量、及び前記電磁波センサによって取得された前回測定時における前記物体と前記車両との相対速度に基づいて、前記物体と前記車両との相対距離を算出する相対距離算出手段と、前記画像情報から前記物体の方位情報を取得し、前記方位情報及び前記相対距離に基づいて前記物体の位置を推定する位置推定手段とを備えて構成される。
【0008】
この発明によれば、物体の位置情報を検出するために、電磁波センサに加えて画像センサを備え、電磁波センサで検知した物体の反射強度が低く、電磁波センサによって取得した物体の進行方向の速度成分が所定値より高い場合には、前回測定時からの自車両の移動量、及び物体と自車両との相対速度に基づいて、物体と自車両との相対距離を算出し、画像情報から物体の方位情報を算出し、算出した相対距離及び方位情報に基づいて物体の位置情報を推定することができる。これにより、電磁波センサによって検出した物体が自車両の進行方向に速度成分を有する場合、例えばある程度の移動速度を有する自転車や二輪車等である場合において、電磁波センサで入力した情報から物体の位置情報が取得できない場合には、画像センサで入力した画像情報を用いて、物体の位置情報を推定することが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、反射波の反射強度の入力が不安定な場合には、物体の位置情報を推定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る物体検出装置は、車載され物体を検出する装置であって、例えば、追従運転や車線維持運転などの自動運転機能を備えた車両や、安全性を向上させる運転者支援システムを搭載した車両に好適に採用されるものである。
【0012】
最初に、本実施形態に係る物体検出装置の構成を説明する。図1は本発明の実施形態に係る物体検出装置を備えた車両の構成を示すブロック図である。
【0013】
車両4に搭載される物体検出装置1は、電磁波センサ30、画像センサ31及びECU2を備えている。ここで、ECU(Electronic Control Unit)とは、電子制御する自動車デバイスのコンピュータであり、CPU(CentralProcessing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、および入出力インターフェイスなどを備えて構成されている。
【0014】
電磁波センサ30は、物体に電磁波を繰り返し出射し、物体からの反射波を繰り返し入力して車両4の周辺情報を取得する機能を有している。具体的には、車両4の進行方向の所定範囲において、物体に電磁波を出射して、入力した反射波を用いて物体の有無を検知し、検知した物体の位置情報、物体の幅、車両4と検知物体との相対速度、反射強度等の物理情報を検知する機能を有している。さらに、電磁波センサ30は、反射波の入力が不安定な場合、例えば反射波の強度が低く電磁波センサ30が情報を拾えない場合には、前回の物理情報を参照して推定した物理情報を出力する機能を有している。電磁波センサ30は、推定した旨を伝達するために、物理情報に外挿フラグを付与する機能を有している。外挿フラグは、電磁波センサ30が物理情報を推定して出力する場合には、0から1へ変更されて物理情報に付与される。電磁波センサ30としては、例えば、ミリ波センサが用いられる。また、電磁波センサ30は、検出した情報及び推定した情報をECU2へ出力する機能を有している。
【0015】
画像センサ31は、車両4の周辺情報を画像情報として繰り返し取得する機能を有しており、例えば、ステレオカメラや単眼カメラ等の画像センサが用いられる。また、画像センサ31は、取得した情報をECU2へ出力する機能を有している。
【0016】
ECU2は、強度判定部(強度判定手段)21、速度判定部(速度判定手段)22、相対距離算出部(相対距離算出手段)23及び位置推定部(位置推定手段)24を備えている。
【0017】
強度判定部21は、反射波強度の大きさを判定する機能を有している。具体的には、強度判定部21は、電磁波センサ30から入力した反射波の反射強度が所定値よりも低いか否かを判定する機能を備えている。また、強度判定部21は、判定結果を速度判定部22へ出力する機能を有している。
【0018】
速度判定部22は、検出した物体の速度を判定する機能を有している。具体的には、速度判定部22は、電磁波センサ30から自車両4と検出した物体との相対速度を入力し、入力した相対速度と自車両4の速度に基づいて、検出した物体の絶対速度を算出し、算出した絶対速度の自車両4進行方向の速度成分を算出し、算出した速度成分が所定値より低いか否かを判定する機能を有している。また、速度判定部22は、判定結果を相対距離算出部23へ出力する機能を有している。
【0019】
相対距離算出部23は、自車両4と検出した物体との相対距離を算出する機能を有している。具体的には、相対距離算出部23は、速度判定部22から判定結果を入力し、入力した判定結果が、検出した物体が自車両4進行方向に対して所定値より低い速度で移動又は停止していると判定した結果である場合には、電磁波センサ30によって繰り返し取得した物体情報うち、前回測定した時点から現在までの自車両4の進行方向の移動量に基づいて、検出した物体と自車両4との相対距離を算出する機能を有している。また、相対距離算出部23は、算出した相対距離を位置推定部24へ出力する機能を有している。
【0020】
位置推定部24は、検出物体の位置情報を推定する機能を有している。具体的には、位置推定部24は、画像センサ31から入力した画像情報に基づいて、検出した物体の方位情報を算出し、算出した方位情報と相対距離算出部23から入力した相対距離とに基づいて検出した物体の横位置を推定する機能を有している。
【0021】
次に、本実施形態に係る物体検出装置1の動作について説明する。図2は、本実施形態に係る物体検出装置1の動作を示すフローチャートであり、図3は本実施形態に係る物体検出装置1の動作を説明するための概要図であり、時間に依存した検出物体Hの相対位置及び画像上の位置を示すものである。
【0022】
図2に示す制御処理は、例えばイグニッションオンされてから所定のタイミングで繰り返し実行される。なお、説明理解の容易性を考慮して、以下では、前回(時刻t1)の処理で図3に示す物体Hの位置情報及び速度情報を取得しているものとし、今回(時刻t2)は、破線で示す移動後の物体Hに関して処理を行う場合について説明する。
【0023】
図2に示す制御処理が開始されると、物体検出装置1は、反射波判定処理から開始する(S20)。S20の処理は、強度判定部21で実行され、電磁波センサ30から反射波を入力し、入力した反射波の反射強度が所定値よりも低いか否か、又は、外挿があるか否かを判定する処理である。ここで、外挿とは、電磁波センサ30側で推定した値を入力することをいい、例えば、外挿したか否かは電磁波センサ30が出力するデータに付与された外挿フラグが1であるか否かを判定することによって行われる。また、反射波が所定値よりも低い場合の例として、例えば歩行者や自転車、二輪車等が挙げられる。S20の処理において、反射強度が所定値以上の場合、又は、外挿が無い場合には、図2に示す制御処理を終了する。他方、S20の処理において、反射強度が所定値よりも低い場合、又は、外挿が有る場合には、速度判定処理へ移行する(S22)。
【0024】
S22の処理は、速度判定部22で実行され、電磁波センサ30で検出した物体Hの車両4進行方向の速度成分を算出し、所定値よりも低いか否かを判定する処理である。例えば、速度判定部22は、電磁波センサ30から車両4と物体Hとの相対速度に基づいて、車両4進行方向の絶対速度を算出し、算出した絶対速度の車両4進行方向の速度成分が所定値より低いか否かを判定する。S22の処理において、所定値よりも低くないと判定された場合には、図2に示す制御処理を終了する。このような場合として、例えば、車両4進行方向と同じ方向にある程度の速度を有して走行する自動二輪等の場合が挙げられる。他方、S22の処理において、所定値よりも低いと判定された場合には、相対距離算出処理へ移行する(S24)。このような場合として、例えば、人や自転車など移動速度が低いものを検出した場合が挙げられる。なお、以下では、図3の破線で示す移動後の物体Hは、S20及びS22の処理において、反射強度が低く、移動速度も低い物体であると判定されたものして説明する。
【0025】
S24の処理は、相対距離算出部23で実行され、時刻t2における物体Hと車両4との間の相対距離Z2を算出する処理である。時刻t1における相対距離をZ1、自車両4の移動量をZとすると、時刻t2の相対距離Z2は、以下式で表すことができる。
【0026】
Z2=Z1−Z …(1)
【0027】
相対距離算出部23は、式1を用いて相対距離Z2を算出する。なお、移動量Zは、自車両4の速度、時刻t1及び時刻t2を用いて算出される。S24の処理が終了すると、位置推定処理へ移行する(S26)。
【0028】
S26の処理は、位置推定部24で実行され、時刻t2における画像情報と、S24の処理で算出した相対距離Z2とを用いて、物体Hの横位置X2を推定する処理である。図3に示すように、時刻t1における横位置X1の物体Hは、画面G1上のX1で示す場所に表示され、時刻t2における横位置X2の物体Hは、画面G1上のX2で示す場所に表示される。よって、画像情報に基づいて、時刻t2における横位置X2の物体Hの存在する方向(方位情報)Y2を求めることができる。算出した方位情報Y2と、相対距離Z2とを用いて、時刻t2における横位置X2を特定することができる。S26の処理が終了すると、図2に示す制御処理を終了する。
【0029】
図2の制御処理を行うことで、時刻t2において、電磁波センサ30によって物体Hの横位置X2を取得することが困難な場合であっても、時刻t1から時刻t2までの間に自車両4が走行した移動量Zと、画像センサ31の画像情報から算出した方位情報Y2とを用いて、時刻t2における物体Hの横位置X2を推定することができる。
【0030】
以上、第1実施形態に係る物体検出装置1によれば、物体Hの位置情報を検出するために、電磁波センサ30に加えて画像センサ31を備え、電磁波センサ30で検知した物体Hの反射強度が低く、電磁波センサ30によって取得した物体Hの進行方向の速度成分が所定値より低い場合には、前回測定時からの自車両4の移動量Zに基づいて、物体Hと自車両4との相対距離Z2を算出し、画像情報から物体Hの方位情報Y2を算出し、算出した相対距離Z2及び方位情報Y2に基づいて物体Hの位置情報X2を推定することができる。これにより、例えば、反射強度が低く、車両4に比べて移動速度が遅い歩行者等の位置情報を検出する場合において、電磁波センサ30で入力した情報から歩行者等の位置情報が取得できない場合には、画像センサ31で入力した画像情報を用いて、歩行者等の位置情報を推定することができる。
【0031】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る物体検出装置は、第1実施形態に係る物体検出装置1と同様に構成されるものであって、検知した物体の位置情報を推定する際に、検知物体の車両進行方向の速度成分を考慮する点で相違する。第2実施形態においては、第1実施形態と重複する部分は説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0032】
第2実施形態に係る物体検出装置は、特に、検出した物体が車両進行方向に移動している場合に好適に用いられるものである。最初に、第2実施形態に係る物体検出装置の構成について説明する。第2実施形態に係る物体検出装置の構成は、第1実施形態に係る物体検出装置1の構成と同様であり、速度判定部22及び相対距離算出部23の一部機能が相違する。
【0033】
速度判定部22は、反射波強度の大きさを判定する機能を有している。具体的には、強度判定部21は、電磁波センサ30から入力した反射波の反射強度が所定値よりも高いか否かを判定する機能を備えている。また、強度判定部21は、判定結果を速度判定部22へ出力する機能を有している。
【0034】
相対距離算出部23は、自車両4と検出した物体との相対距離を算出する機能を有している。具体的には、相対距離算出部23は、速度判定部22から判定結果を入力し、入力した判定結果が、検出した物体が自車両4進行方向に対して所定値より高い速度で移動していると判定した結果である場合には、電磁波センサ30によって繰り返し取得した物体情報うち、前回測定した時点から現在までの自車両4の進行方向の移動量と、前回測定した物体と自車両4との相対速度に基づいて、検出した物体の位置情報を取得する機能を有している。
【0035】
次に、本実施形態に係る物体検出装置の動作について説明する。図4は、本実施形態に係る物体検出装置の動作を示すフローチャートであり、図5は本実施形態に係る物体検出装置の動作を説明するための概要図であり、時間に依存した検出物体Hの相対位置及び画像上の位置を示すものである。
【0036】
図4に示す制御処理は、例えばイグニッションオンされてから所定のタイミングで繰り返し実行される。なお、説明理解の容易性を考慮して、以下では、前回(時刻t1)の処理で図5に示す物体Hの位置情報及び速度情報を取得しているものとし、今回(時刻t2)は、破線で示す移動後の物体Hに関して処理を行う場合について説明する。
【0037】
図4に示す制御処理が開始されると、物体検出装置は、反射波判定処理から開始する(S40)。S40の処理は、強度判定部21で実行され、電磁波センサ30から反射波を入力し、入力した反射波の反射強度が所定値よりも低いか否か、又は、外挿があるか否かを判定する処理である。ここで、外挿とは、電磁波センサ30側で推定した値を入力することをいい、例えば、外挿したか否かは電磁波センサ30が出力するデータに付与された外挿フラグが1であるか否かを判定することによって行われる。また、反射波が所定値よりも低い場合の例として、例えば歩行者や自転車、二輪車等が挙げられる。S40の処理において、反射強度が所定値以上の場合、又は、外挿が無い場合には、図4に示す制御処理を終了する。他方、S40の処理において、反射強度が所定値よりも低い場合、又は、外挿が有る場合には、速度判定処理へ移行する(S42)。
【0038】
S42の処理は、速度判定部22で実行され、電磁波センサ30で検出した物体Hの車両4進行方向の速度成分を算出し、所定値よりも大きいか否かを判定する処理である。例えば、速度判定部22は、電磁波センサ30から車両4と物体Hとの相対速度に基づいて、車両4進行方向の絶対速度を算出し、算出した絶対速度の車両4進行方向の速度成分が所定値より高いか否かを判定する。S42の処理において、所定値よりも高くないと判定された場合には、図4に示す制御処理を終了する。このような場合として、例えば、人や自転車など移動速度が低いものを検出した場合が挙げられる。他方、S42の処理において、所定値よりも高いと判定された場合には、相対距離算出処理へ移行する(S44)。このような場合として、例えば、車両4進行方向と同じ方向にある程度の速度を有して走行する自動二輪等の場合が挙げられる。なお、以下では、図5の破線で示す移動後の物体Hは、S40及びS42の処理において、反射強度が低く、移動速度が高い物体であると判定されたものして説明する。
【0039】
S44の処理は、相対距離算出部23で実行され、時刻t2における物体Hと車両4との間の相対距離Z2を算出する処理である。まず、時刻t2における相対距離Z2を算出するにあたり、時刻t1から時刻t2までの間に自車両4が移動した移動量Z、及び時刻t1から時刻t2までの間に物体Hが移動した移動量Kを算出する。移動量Zは、自車両4の速度、時刻t1及び時刻t2を用いて算出される。また、時刻t1における車両4と物体Hとの相対速度をVhとすると、移動量Kは以下式で表すことができる。
【0040】
K=Vh・(t2−t1) …(2)
【0041】
次に、算出した自車両4の移動量Z及び物体Hの移動量Kを用いて、時刻t2の相対距離Z2を算出する。時刻t1における車両4と物体Hとの相対距離をZ1、物体Hの移動量をK、自車両4の移動量をZとすると、時刻t2の相対距離Z2は以下式で表すことができる。
【0042】
Z2=Z1−(Z+K) …(3)
【0043】
式2及び式3を用いて、相対距離算出部23は、時刻t2の相対距離Z2を算出する。S44の処理が終了すると、位置推定処理へ移行する(S46)。
【0044】
S46の処理は、位置推定部24で実行され、時刻t2における画像情報と、S24の処理で算出した相対距離Z2とを用いて、物体Hの横位置X2を推定する処理である。図5に示すように、時刻t1における横位置X1の物体Hは、画面G1上のX1で示す場所に表示され、時刻t2における横位置X2の物体Hは、画面G1上のX2で示す場所に表示される。よって、画像情報に基づいて、時刻t2における横位置X2の物体Hの存在する方向(方位情報)Y2を求めることができる。算出した方位情報Y2と、相対距離Z2とを用いて、時刻t2における横位置X2を特定することができる。S46の処理が終了すると、図4に示す制御処理を終了する。
【0045】
図4の制御処理を行うことで、時刻t2において、電磁波センサ30によって物体Hの横位置X2を取得することが困難な場合であっても、時刻t1から時刻t2までの間に自車両4が走行した移動量Zと、時刻t1で取得した物体Hと車両4との相対速度Vhと、画像センサ31の画像情報から算出した方位情報Y2とを用いて、時刻t2における物体Hの横位置X2を推定することができる。
【0046】
以上、第2実施形態に係る物体検出装置によれば、物体Hの位置情報を検出するために、電磁波センサ30に加えて画像センサ31を備え、電磁波センサ30で検知した物体Hの反射強度が低く、電磁波センサ30によって取得した物体Hの進行方向の速度成分が所定値より高い場合には、前回測定時からの自車両4の移動量Zと、前回測定時の物体Hの相対速度Vhとに基づいて、物体Hと自車両4との相対距離Z2を算出し、画像情報から物体Hの方位情報Y2を算出し、算出した相対距離Z2及び方位情報Y2に基づいて物体Hの位置情報X2を推定することができる。これにより、例えば、反射強度が低く、ある程度の速度を有する自動二輪等の位置情報を検出する場合において、電磁波センサ30で入力した情報から自動二輪等の位置情報が取得できない場合には、画像センサ31で入力した画像情報を用いて、自動二輪等の位置情報を推定することができる。
【0047】
なお、上述した各実施形態は本発明に係る物体検出装置の一例を示すものである。本発明に係る物体検出装置は、これらの実施形態に係る物体検出装置に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、各実施形態に係る物体検出装置を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0048】
例えば、上記実施形態において、画像センサを用いる例を説明したが、レーザレーダでも良く、要は検出物体の方位を取得できるセンサであれば何でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第1実施形態に係る物体検出装置を備える車両の構成概要を示すブロック図である。
【図2】図1の物体検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】図1の物体検出装置が検出した物体の相対位置及び画像上の位置を示す概要図である。
【図4】第2実施形態に係る物体検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】図4の物体検出装置が検出した物体の相対位置及び画像上の位置を示す概要図である。
【符号の説明】
【0050】
1…物体検出装置、2…ECU、21…強度判定部(強度判定手段)、22…速度判定部(速度判定手段)、23…相対距離算出部(相対距離算出手段)、24…位置推定部(位置推定手段)、30…電磁波センサ、31…画像センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設置され、物体へ電磁波を出射し、前記物体からの反射波を用いて物体情報を取得する電磁波センサと、
車両に設置され、前記物体の画像情報を取得する画像センサと、
前記反射波の反射強度が所定値より低いか否かを判定する強度判定手段と、
前記電磁波センサによって取得した前記物体の前記車両進行方向における速度成分が所定値より低いか否かを判定する速度判定手段と、
前記強度判定手段によって前記反射強度が所定値より低いと判定され、前記速度判定手段によって前記速度成分が所定値より低いと判定された場合には、前回測定時からの前記車両の移動量に基づいて、前記物体と前記車両との相対距離を算出する相対距離算出手段と、
前記画像情報から前記物体の方位情報を取得し、前記方位情報及び前記相対距離に基づいて前記物体の位置を推定する位置推定手段と、
を備える物体検出装置。
【請求項2】
車両に設置され、物体へ電磁波を出射し、前記物体からの反射波を用いて物体情報を取得する電磁波センサと、
車両に設置され、前記物体の画像情報を取得する画像センサと、
前記反射波の反射強度が所定値より低いか否かを判定する強度判定手段と、
前記電磁波センサによって取得した前記物体の車両進行方向における速度成分が所定値より高いか否かを判定する速度判定手段と、
前記強度判定手段によって前記反射強度が所定値より低いと判定され、前記速度判定手段によって前記速度成分が所定値より高いと判定された場合には、前回測定時からの車両の移動量、及び前記電磁波センサによって取得された前回測定時における前記物体と前記車両との相対速度に基づいて、前記物体と前記車両との相対距離を算出する相対距離算出手段と、
前記画像情報から前記物体の方位情報を取得し、前記方位情報及び前記相対距離に基づいて前記物体の位置を推定する位置推定手段と、
を備える物体検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−85760(P2009−85760A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−255560(P2007−255560)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】