説明

物品の接着組立方法及び接着組立装置

【課題】連鎖硬化反応型の接着剤の硬化反応が途中で停止して未硬化部が発生したとしても、次工程の硬化反応のためにトリガーして付与されるエネルギーを有効活用して未硬化部を確実に硬化させ得るような物品の接着組立方法及び接着組立装置を提供する。
【解決手段】車体組立部材23における第1のトリガー付与により連鎖的に硬化したと推定される第1の連鎖硬化領域15の終端部Eと、車体部材4における第2の連鎖硬化領域の予定領域17の始端部Bとが重複するように重ね合わせ、それら複数の重複部18に、第2のトリガーとして熱エネルギーHを局部的に付与するので、車体部材2,3の接合部2a,3aの終端部E及びこれに連続する領域に接着剤Aが未硬化の部分が仮に残っていたとしても、そこに接合部23a,4aを接合する際の第2のトリガーとしての熱エネルギーHが入力されて、連鎖的な硬化反応が生じ、未硬化部分の接着剤Aが確実に硬化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の部材の接合部同士を連鎖硬化反応型の接着剤で接着して物品を組み立てる物品の接着組立方法及び接着組立装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の車体接合技術においては、車体の軽量化のため、車体部材の剛性を高め薄肉化を図るためにスポット溶接やレーザ溶接等の溶接接合の他に、接着剤による接着接合などが採用されつつある。例えば、自動車の車体部材の端部に形成されたフランジ等の接合部同士を接合する場合、接着接合とスポット溶接とを併用して両接合部を接合するウェルドボンド工法が実用に供されている。
【0003】
このウェルドボンド工法においては、一方の車体部材の接合部に接着剤を塗布してから、その接合部に他方の車体部材の接合部を重ね合わせ、これら両接合部を、1対の溶接用電極により挟持加圧してスポット溶接にて仮止めした状態で塗装乾燥炉で接着剤を硬化させて接合する。ウェルドボンド工法では、接着剤の硬化に時間がかかるので、接着剤塗布後にスポット溶接やリベット等による仮止め工程が必要であり、この場合、複数の接合箇所にスポット溶接ガンやリベット打ちヘッドなどを移動させなければならないため、時間がかかり、製造コストの増加につながる。
【0004】
他方、外部からの紫外線や赤外線等の光エネルギーや熱エネルギー付与により高速に硬化する高速硬化接着剤がある。この高速硬化接着剤としては、紫外線硬化接着剤や瞬間接着剤等がある。最近では、外部からトリガーとして付与されたエネルギーにより硬化して反応熱を発生し、その反応熱発生部位に隣接する部分が反応熱により連鎖的に硬化するのを繰り返す連鎖硬化反応型の接着剤が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−193322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、紫外線硬化接着剤や瞬間接着剤による接着接合においては、夫々、紫外線遮蔽部分が硬化しないという問題、タックタイムが短いという問題がある。一方、連鎖硬化反応型の接着剤による接着接合の場合、硬化反応時の反応熱が持続して発生することが重要である。例えば、接着剤塗布時の接着剤塗布ノズルの詰まり等の吐出不良により接合部に沿って連続的に塗布される予定の接着剤が途中で一部途切れていた場合や、連鎖硬化反応途中でのクランプ部材による冷却等により硬化反応時の反応熱が奪われてしまった場合、連鎖硬化反応が途中で停止する虞がある。
【0006】
この場合連鎖硬化領域の終端部まで硬化しないので、終端部の接着剤が未硬化状態のままとなり、所望の接合強度が得られず、接合面が分離したりするという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、連鎖硬化反応型の接着剤の硬化反応が途中で停止して未硬化部が発生したとしても、次工程の硬化反応のためにトリガーとして付与されるエネルギーを有効活用して未硬化部を確実に硬化させ得るような物品の接着組立方法及び接着組立装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の物品の接着組立方法は、複数の部材の接合部同士を接着剤で接着して物品を組み立てる物品の接着組立方法において、外部からトリガーとして局部的に付与されたエネルギーにより硬化して反応熱を発生し、その反応熱発生部位に隣接する部分が反応熱により連鎖的に硬化するのを繰り返す連鎖硬化反応型の接着剤を、少なくとも一方の部材の接合部に配置する第1の接着剤配置工程と、次に接着剤を配置した接合部に他方の部材の接合部を重ね合わせた状態で、接着剤の特定位置に連鎖硬化反応開始のための第1のトリガーを付与し接着剤を連鎖硬化させて1組の部材を接合する第1のトリガー付与硬化工程と、次に1組の部材と、1組の部材とは異なる別部材との少なくとも一方の接合部に連鎖硬化反応型の接着剤を配置する第2の接着剤配置工程と、次に1組の部材と別部材とを、1組の部材の第1のトリガー付与により連鎖的に硬化したと推定される第1の連鎖硬化領域の終端部と、別部材の第2の連鎖硬化領域となる予定領域の始端部とが重複するように重ね合わせ、その重複部に第2のトリガーを付与して別部材の接合部の接着剤を連鎖硬化させて接合する第2のトリガー付与硬化工程とを備えたことを特徴としている。
【0009】
この物品の接着組立方法では、少なくとも一方の部材の接合部に連鎖硬化反応型の接着剤が配置され、その接合部に他方の部材の接合部を重ね合わせた状態で、その接合部の接着剤の特定位置に第1のトリガーとしてのエネルギーが局部的に付与される。この第1のトリガー付与により、トリガー付与箇所の接着剤が硬化して反応熱を発生し、反応熱発生部位に隣接する部分が反応熱により連鎖的に硬化するのを繰り返して1組の部材の接合部同士が接合される。
【0010】
次に、連鎖硬化反応型の接着剤が1組の部材と別部材との少なくとも一方の接合部に配置された後、1組の部材の接合部の第1の連鎖硬化領域の終端部と、別部材の接合部の第2の連鎖硬化領域となる予定の予定領域の始端部とを重ね合わせた重複部に第2のトリガーが付与される。この第2のトリガー付与により前記第2の連鎖硬化領域の接着剤が連鎖的に硬化すると共に、前記重複部に連続した第1の連鎖硬化領域に仮に未硬化状態の接着剤が存在していてもそれが前記第2のトリガー付与により、第1の連鎖硬化領域の終端部側から連鎖的に硬化して1組の部材の接合部同士及び1組の部材と別部材との接合部同士が接合される。
【0011】
請求項2の物品の接着組立方法は、請求項1の発明において、第1の連鎖硬化領域は、部材の接合部に列状に設定され、第1のトリガーを列状に設定した第1の連鎖硬化領域となる予定領域の長手方向の略中央部に付与することを特徴としている。
【0012】
請求項3の物品の接着組立方法は、請求項1又は2の発明において、第2のトリガーが付与される重複部を、第1の連鎖硬化領域の両側の終端部に設定することを特徴としている。
請求項4の物品の接着組立方法は、請求項1〜3の発明の何れかにおいて、第1,第2のトリガー付与は熱エネルギー付与であることを特徴としている。
【0013】
請求項5の物品の接着組立装置は、複数の部材の接合部同士を接着剤で接着して物品を組み立てる物品の接着組立装置において、外部からトリガーとして局部的に付与されたエネルギーにより硬化して反応熱を発生し、その反応熱発生部位に隣接する部分が反応熱により連鎖的に硬化するのを繰り返す連鎖硬化反応型の接着剤が、少なくとも一方の部材の接合部に配置され且つ、接着剤が配置された接合部に他方の部材の接合部が重ね合わされた状態で、接着剤の特定位置に連鎖硬化反応開始のための第1のトリガーを付与する第1トリガー付与手段と、1組の部材と、1組の部材とは異なる別部材との少なくとも一方の接合部に連鎖硬化反応型の接着剤が配置され、1組の部材と別部材とが、1組の部材の第1のトリガー付与により連鎖的に硬化したと推定される第1の連鎖硬化領域の終端部と、別部材の第2の連鎖硬化領域となる予定領域の始端部とが重複するように重ね合わされた状態で、その重複部に第2のトリガーを付与する第2トリガー付与手段とを備えたことを特徴としている。
【0014】
この物品の接着組立装置においては、連鎖硬化反応型の接着剤が配置された少なくとも一方の部材の接合部に他方の部材の接合部を重ね合わせた状態で、第1のトリガー付与手段により、その接合部の接着剤の特定位置に第1のトリガーが局部的に付与され、反応熱により接着剤の連鎖反応が開始してその反応熱発生部位に隣接する部分が反応熱により連鎖的に硬化するのを繰り返して1組の部材の接合部同士が接合される。
【0015】
次に、連鎖硬化反応型の接着剤が1組の部材と別部材との少なくとも一方の接合部に配置され、第2のトリガー付与手段により、1組の部材の接合部の第1の連鎖硬化領域の終端部と、別部材の接合部の第2の連鎖硬化領域となる予定領域の始端部とを重ね合わせた重複部に第2のトリガーが付与されて、接着剤が連鎖的に硬化すると共に 、前記重複部に連続した第1の連鎖硬化領域に仮に未硬化の接着剤が存在していてもそれが第2のトリガー付与により、第1の連鎖硬化領域の終端部側から連鎖的に硬化して1組の部材の接合部同士及び1組の部材と別部材との接合部同士が接合される。
【0016】
請求項6の物品の接着組立装置は、請求項5の発明において、第1の連鎖硬化領域は部材の接合部に列状に設定され、第1トリガー付与手段は、第1のトリガーを列状に設定した第1の連鎖硬化領域となる予定領域の長手方向の略中央部に付与することを特徴としている。
【0017】
請求項7の物品の接着組立装置は、請求項5又は6の発明において、第2のトリガーが付与される重複部が第1の連鎖硬化領域の両側の終端部に設定され、第2トリガー付与手段は重複部に第2のトリガーを付与することを特徴としている。
請求項8の物品の接着組立装置は、請求項5〜7の発明の何れかにおいて、第1,第2トリガー付与手段は、トリガーとして熱エネルギーを付与することを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、第1の接着剤配置工程と、第1のトリガー付与硬化工程と、第2の接着剤配置工程と、1組の部材の第1の連鎖硬化領域の終端部と、別部材の第2の連鎖硬化領域となる予定の予定領域の終端部とが重複するように重ね合わせ、その重複部に第2のトリガーを付与して別部材の接合部の接着剤を連鎖硬化させて接合する第2のトリガー付与硬化工程とを備えたので、第2のトリガー付与により、第2の連鎖硬化領域の接着剤が連鎖的に硬化すると共に、重複部に連続した第1の連鎖硬化領域に仮に接着剤の未硬化部分が存在していてもそれが第2のトリガー付与により第1の連鎖硬化領域の終端部側から連鎖的に硬化するため、1組の部材の接合部同士及び1組の部材と別部材の接合部同士を確実に接合することができる。
【0019】
例えば、部材の接合部内の第1の連鎖硬化領域において連続的に配置される予定の接着剤が途中で一部途切れていた場合や、連鎖硬化反応途中での冷却等の外乱により、連鎖硬化反応が第1の連鎖硬化領域の終端まで進行せずに停止した場合でも、第1の連鎖硬化領域の終端部と第2の連鎖硬化領域の予定領域の始端部とを重ね合わせた重複部に第2のトリガーを付与することで、重複部に連続した第1の連鎖硬化領域の終端部に仮に接着剤の未硬化部分が存在していてもそれが第2のトリガー付与により第1の連鎖硬化領域の終端部側から連鎖的に硬化するので、その接着剤の硬化反応を確実に保証することができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、第1の連鎖硬化領域は、部材の接合部に列状に設定され、第1のトリガーを列状に設定した第1の連鎖硬化領域となる予定領域の長手方向の略中央部に付与するので、第1の連鎖硬化領域の接着剤の連鎖硬化反応をより短時間で且つ安定的に行うことができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、第2のトリガーが付与される重複部を、第1の連鎖硬化領域の両側の終端部に設定するので、請求項1の効果を確実に得ることができる。
請求項4の発明によれば、第1,第2のトリガー付与は熱エネルギー付与であるので、簡単な手段で第1及び第2の連鎖硬化領域の接着剤への連鎖硬化反応開始のためのトリガーを付与することができる。
【0022】
請求項5の発明によれば、連鎖硬化反応型の接着剤が少なくとも一方の部材の接合部に配置され且つ、接着剤が配置された接合部に他方の部材の接合部が重ね合わされた状態で前記接着剤の特定位置に第1のトリガーを付与する第1トリガー付与手段と、1組の部材と別部材との少なくとも一方の接合部に接着剤が配置され、1組の部材の第1の連鎖硬化領域の終端部と、別部材の接合部の第2の連鎖硬化領域となる予定領域の始端部とが重ね合わされた状態で、その重複部に第2のトリガーを付与する第2トリガー付与手段とを備えたので、請求項1と同様の効果を奏する。
【0023】
請求項6の発明によれば、第1の連鎖硬化領域は部材の接合部に列状に設定され、第1トリガー付与手段は、第1のトリガーを列状に設定した第1の連鎖硬化領域となる予定領域の長手方向の略中央部に付与するので、請求項2と同様の効果を奏する。
請求項7の発明によれば、第2のトリガーが付与される重複部が第1の連鎖硬化領域の両側の終端部に設定され、第2トリガー付与手段は重複部に第2のトリガーを付与するので、請求項3と同様の効果を奏する。
【0024】
請求項8の発明によれば、第1,第2トリガー付与手段は、トリガーとして熱エネルギーを付与するので、請求項4と同様の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、実施例に基づいて説明する。
実施例は、複数の部材の接合部同士を接着剤で接着して物品を組み立てる物品の接着組立方法及び物品の接着組立装置を、自動車の車体部材接着組立ラインに採用した場合の一例である。
【実施例】
【0026】
以下、本発明の実施例について図面に基づいて説明する。
図1,2に示すように、自動車の車体部材接着組立ライン1においては、複数の車体部材2,3の接合部同士を接着剤Aで接着して車体組立部材23の組み立て作業を行なうと共に、前記の車体組立部材23の接合部23aに別の車体部材4の接合部4aを接着剤Aで接着して車体部材を組み立てる。
【0027】
図1,2に示すように、この車体部材接着組立ライン1は、コンベア上を搬送されるパレット8に車体部材を投入して種々の組み立て作業を行なうラインであり、図中のSTi(i=1,2,・・)は各ステーションを示すものである。この接着組立ライン1において組み立てられる車体部材2,3は、自動車の鋼製のフロントフレームのフロントフレームインナとフロントフレームアウタであり、車体部材2,3を接合した車体組立部材23は閉断面状のフロントフレームである。車体部材4はフロントフレームに接合される鋼製のホイールエプロンである。
【0028】
ST1は車体部材2をパレット8に投入するステーション、ST2は車体部材2の接合部2a(フランジ部)に接着剤塗布ロボット5により後述の連鎖硬化反応型の接着剤Aを塗布するステーションであり、ST2aは自走式搬送台車8Aから車体部材3を部材搬送ロボット6で把持するステーションであり、ST3は部材搬送ロボット6によりパレット8上の車体部材2に車体部材3を組み合わせるステーションであり、ST4は第1トリガー付与ロボット7により車体組立部材23の接合部23aにトリガーとしての熱エネルギーを複数点付与するステーションである。
【0029】
ST5は車体組立部材23の接合部23aの接着剤Aを硬化させる硬化ステーションであり、ST5aは搬送台車8B上の車体部材4の接合部4aに接着剤塗布ロボット9により後述の連鎖硬化反応型の接着剤Aを塗布する接着剤塗布ステーションであり、ST6は車体部材2,3を接合した閉断面状の車体組立部材23に部材搬送ロボット10により車体部材4を組み合わせるステーションであり、ST7は車体組立部材23の接合部23aと車体部材4の接合部4aに第2トリガー付与ロボット11により第2トリガーとしての熱エネルギーを複数点付与するステーションである。
【0030】
ST2には汎用の多関節型ロボットからなる接着剤塗布ロボット5が設けられ、このロボット5のアーム5aの先端のハンドには接着剤塗布ノズル5bが設けられ、この接着剤塗布ノズル5bは接着剤供給装置(図示略)に接続されて接着剤供給装置から加圧状態の接着剤Aの供給を受けて、車体部材2の1対の接合部2aに接着剤Aを塗布する。接着剤塗布ロボット5の制御ユニットと接着剤供給装置と接着剤塗布ノズル5bはホストコントローラ(図示略)により制御される。
【0031】
ST2aとST3の間には汎用の多関節型搬送ロボット6が設けられ、この搬送ロボット6は、搬送台車8A上の車体部材3をアーム6aの先端のハンドに装備した把持治具6bで把持してST3のパレット8上の車体部材2に組み合わせて、車体部材2,3の接合部2a,3a同士を当接させた状態にする。この搬送ロボット6の制御ユニットと把持治具6bは、ホストコントローラ(図示略)により制御される。
【0032】
この部材搬送ロボット6は、搬送台車8Aの上に位置決め保持された車体部材3を把持治具6bで把持する把持動作位置と、この把持動作位置から車体部材3を把持した状態でST3まで搬送し、ST3のパレット8上の車体部材2に対して車体部材3を位置決めして組み合わせてから把持状態を開放する開放動作位置に亙って移動可能に構成されている。
【0033】
ST4には、汎用の多関節型ロボットからなる第1トリガー付与ロボット7が設けられ、このロボット7により、車体部材2,3の接合部2a,3aに第1トリガーとしての熱エネルギーを局部的に複数点付与して接着剤Aを硬化させる。このロボット7は、車体部材2,3の接合部2a,3a同士を接着剤Aを介して重ね合わせた状態で、その接合部2a,3aに硬化反応開始のためのトリガーとして熱エネルギーH(例えば、100℃以上の熱)(図8参照)を局部的に複数点付与するものである。
【0034】
第1トリガー付与ロボット7のアーム7aの先端のハンドに例えば電気ヒータ等で加熱されているスポット状のエネルギー放出部7bが装備されている。このロボット7が、そのエネルギー放出部7bをパレット8に位置決め保持された車体部材2,3の接合部2a,3aに熱エネルギーHを複数点付与するエネルギー付与動作位置と、このエネルギー付与動作位置から退避した待機位置とに亙って移動可能になっている。ロボット7の制御ユニットと電気ヒータとエネルギー放出部7bはホストコントローラ(図示略)により制御される。
【0035】
図2に示すように、ST5aには、前記接着剤塗布ロボット5と同様の接着剤塗布ロボット9が設けられ、このロボット9はアーム9aの先端のハンドに接着剤供給装置(図示略)から接着剤Aが供給される接着剤塗布ノズル9bを備えており、このロボット9の制御ユニットと接着剤供給装置と接着剤塗布ノズル9bは、ホストコントローラ(図示略)により制御される。
【0036】
ST5aとST6の間には、前記搬送ロボット6と同様の搬送ロボット10が設けられ、この搬送ロボット10のアーム10aの先端のハンドに装備された把持治具10bにより搬送台車8B上の車体部材4を把持した状態で、ST6まで車体部材4を搬送し、パレット8上の車体部材2,3からなる車体組立部材23に車体部材4を組み合わせ、車体組立部材23の接合部23aに車体部材4の接合部4aを当接させる。このとき、接合部4aの接着剤Aが接合部23a,4a間に介在する状態になる。
【0037】
ST7には、第1トリガー付与ロボット7と同様の第2トリガー付与ロボット11が設けられている。このロボット11は、そのアーム11aの先端のハンドに例えば電気ヒータ等で加熱されているスポット状のエネルギー放出部11bを備え、車体組立部材23と車体部材4との接合部23a,4a同士を接着剤Aを介して重ね合わせた状態で、その接合部23a,4aに第2トリガーとしての熱ネルギーHを局部的に複数点付与する。
【0038】
次に、上記の接着組立ライン1において、複数の車体部材2,3,4の接合部2a,3a,4aを接着剤Aで接着して車体ブロックを組み立てる物品の接着組立方法について詳しく説明する。
【0039】
図1に示すように、第1の接着剤配置工程において、ST2において、接着剤塗布ロボット5により、そのハンドに装備した接着剤塗布ノズル5bにより、車体部材2の端部の接合部2a(フランジ部)に液状の連鎖硬化反応型の接着剤Aを塗布する。
この連鎖硬化反応型の接着剤Aは、光重合性樹脂(主としてエポキシ樹脂、特に好ましくは脂環式エポキシ樹脂)、光、熱重合開始剤(芳香族スルホニウム等)、及び光重合開始剤(スルホニウム塩等)を主成分とする樹脂組成物である。
【0040】
硬化反応開始のために、外部から紫外線、電子線、X線、赤外線、太陽光線、可視光線、レーザビーム(エキシマレーザ、COレーザ等)、熱線(放射熱や輻射熱等)等のエネルギー線、又は熱等の内部エネルギーによって所定の刺激を受けると、内部にカチオンと硬化反応熱Hr(図7参照)とを積極的に発生させ、硬化反応熱発生部位に隣接する部分に前記硬化反応熱Hrが伝播されてその隣接部分に連なる接着剤Aが高速に且つ連鎖的に硬化していく。この接着剤Aの好ましい塗布厚さは、0.01mm〜10mm、塗布幅は、1.0mm〜30mmであり、接着剤Aの硬化条件は、「100℃以上の熱を与える、又は100℃以上相当のエネルギービームを照射する」ことである。
【0041】
第1の接着剤配置工程において、図3〜図5に示すように、接着剤Aは、車体部材2の接合部2aの長手方向に沿って連続的に且つ線状に塗布される。この接着剤塗布領域を複数分割した領域が、熱エネルギーH付与により連鎖的に硬化すると推定される連鎖硬化領域になる予定の予定領域として設定される。この接着剤塗布領域を、接着剤Aの連鎖硬化反応の推定される進行距離(例えば、約100mm)以下の所定長さに区切って、複数の第1の連鎖硬化領域15の予定領域として設定する(図4の斜線領域参照)。
【0042】
次に、第1の部材組み合わせ工程において、ST2a,3において、車体部材3を部材搬送ロボット6で車体部材2が保持されているパレット8に搬送し、図4に示すように、接着剤Aが塗布された車体部材2の接合部2aに、車体部材3の接合部3aを上から重ね合わせる。
【0043】
次に、第1のトリガー付与硬化工程において、両接合部2a,3aを重ね合わせた状態で、ST4において、第1トリガー付与ロボット7のエネルギー放出部7bの先端を、車体部材3の接合部3aの外面に接触させることにより第1のトリガーとしての熱エネルギーHを局部的に複数点付与する。
【0044】
このとき、図4に示すように、第1のトリガーの付与点16は、各第1の連鎖硬化領域15の予定領域の長手方向の略中央部に設定される。図7に示すように、前記トリガー付与位置16から熱エネルギーHが接合部23aの外面に付与されると、その熱エネルギーHが接合部23aから接着剤Aへ伝導され、第1の連鎖硬化領域15の予定領域において、熱エネルギーHにより接着剤Aが硬化してカチオンと硬化反応熱Hrが発生する。そして、その硬化反応熱Hrが図7の矢印で示す方向に伝播されてその硬化反応熱Hrにより連鎖硬化反応が生じる。熱エネルギーHは、接合部23aの厚みやタクトに応じて、その接合部23aを介して熱エネルギーHにより接着剤Aが硬化する硬化可能な温度で所定時間接合部23aの外面に付与される。
【0045】
連鎖硬化反応が開始されると、硬化反応熱発生部位に連なる接着剤Aがその硬化反応熱Hrにより高速に且つ連鎖的に硬化していき、この連鎖硬化反応が第1の連鎖硬化領域15となる予定領域の終端部まで繰り返される。つまり、車体部材2と車体部材3の両接合部2a,3aが高速で接合されて、閉断面構造の車体組立部材23になる。
【0046】
ところで、接着剤塗布時の接着剤塗布ノズル5bの目詰まり等の吐出不良により接合部2aに沿って連続的に塗布される予定の接着剤Aが途中で一部途切れていた場合や、連鎖硬化反応の途中での何らかの冷却等により硬化反応時の硬化反応熱Hrが奪われてしまった場合、連鎖硬化反応が停止してしまいその停止箇所以降の接着剤Aが硬化せずに未硬化状態のままになる。
【0047】
次に、図2に示すST5aにおける、第2の接着剤配置工程において、接着剤塗布ロボット9により搬送台車8B上の車体部材4の接合部4aに連鎖硬化反応型の接着剤Aが塗布される。
【0048】
次に、図5に示すように、接着剤Aは、車体部材4における車体組立部材23の接合部23aと接合する接合部4aに連続的に且つ線状に塗布される。この接着剤塗布領域を複数分割した領域が、熱エネルギーH付与により連鎖的に硬化すると推定される複数の連鎖硬化領域の予定領域として設定される。この接着剤塗布領域を、接着剤Aの連鎖硬化反応の推定される進行距離(例えば、約100mm)以下の所定長さに区切って、複数の第2の連鎖硬化領域となる予定領域17として設定する(図5の斜線領域参照)。
【0049】
次に、ST6に車体組立部材23が搬送されると、部材搬送ロボット装置10が車体部材4をパレット8上の車体組立部材23の所に搬送し、車体組立部材23の接合部23aの外面(車幅方向外側の面)に、車体部材4の接着剤Aが塗布された接合部4aを重ね合わせる。
【0050】
このとき、図5に示すように、各第1の連鎖硬化領域15の終端部Eと、第2の連鎖硬化領域の予定領域17の始端部Bとが重複するように重ね合わせる。第2のトリガー付与硬化工程において、図6に示すように、第2トリガー付与ロボット11のエネルギー放出部11bの先端を、前記複数の終端部Eと始端部Bの重複部18に当接させることにより、第2のトリガーとしての熱エネルギーHを局部的に複数点付与する。
【0051】
熱エネルギーHが前記の重複部18に付与されると、その熱エネルギーHが、車体部材4から接着剤Aへ伝導されると共に、車体組立部材23の接合部23a(第1の連鎖硬化領域15の両側の終端部Eに相当する接合部)にも伝導される。熱エネルギーHは、熱エネルギーHは、重複部18の厚みやタクトに応じて、その重複部18を介して熱エネルギーHにより接着剤Aが硬化する硬化可能な温度で所定時間重複部18に付与される。
【0052】
第2の連鎖硬化領域の予定領域17において、熱エネルギーHにより接着剤Aが硬化してカチオンと硬化反応熱Hrが発生し、硬化反応熱Hrが反応熱発生部位に隣接する部分に伝播されてその硬化反応熱Hrにより連鎖硬化反応が開始される。連鎖硬化反応が開始されると、第2の連鎖硬化領域の予定領域17において硬化反応熱発生部位に連なる接着剤Aがその硬化反応熱Hrにより高速に且つ連鎖的に硬化するのを繰り返す。
【0053】
第2トリガーの熱エネルギーHが車体部材4から車体組立部材23の接合部23aの第1の連鎖硬化領域15の終端部Eにも伝導するため、第1の連鎖硬化領域15の終端部E及びこれに連続する領域に未硬化状態の接着剤Aが仮に存在していたとしても、第2トリガー付与ロボット11のエネルギー放出部11bの先端から上記の重複部18に入力される熱エネルギーHが伝導され、熱エネルギーHにより接着剤Aが硬化してカチオンと硬化反応熱Hrが発生し、その硬化熱発生部位に隣接する部分が硬化反応熱Hrにより連鎖的に硬化して、連鎖硬化反応が第1の連鎖硬化領域15の終端部に連続する領域の端まで進行する。
【0054】
つまり、前記の重複部18に第2のトリガーを付与することで、その熱エネルギーHにより第1の連鎖硬化領域15の両側終端部E及びこれに連続する領域に仮に未硬化の接着剤Aが残存していたとしても、その未硬化の接着剤Aが確実に硬化して、車体組立部材23の接合部2a,3aが完全に接合されると共に、車体組立部材23の接合部23aと車体部材4の接合部4aとが高速で接合され、接合強度の高い物品が組み立てられることになる。
【0055】
次に、以上説明した物品の接着組立方法及び物品の接着組立ライン(物品の接着組立装置に相当する)の作用効果について説明する。
車体部材2,3の接合部2a,3aを連鎖硬化反応型の接着剤Aで接着接合して車体組立部材23を組み立てる場合、車体部材2の接合部2aに接着剤Aが塗布された車体部材3の接合部3aを重ね合わせた状態で、接合部2a,3aを接着剤Aの連鎖硬化反応の進行距離以下の所定長さに区切り、その区切った領域の長さ方向中央部に、第1トリガー付与ロボット7により第1のトリガーとして熱エネルギーHを局部的に付与すると、その熱エネルギーHにより接着剤Aが硬化してカチオンと硬化反応熱Hrが発生し、その硬化反応熱発生部位に隣接する部分が硬化反応熱Hrにより連鎖的に硬化するのを繰り返すので、車体部材2と車体部材3の両接合部2a,3aを高速で接合することができる。
【0056】
車体部材4の接合部4aに連鎖硬化反応型の接着剤Aを塗布し、車体組立部材23の接合部23aと車体部材4の接合部4aとを接着接合する。このとき、車体組立部材23における第1のトリガー付与により連鎖的に硬化したと推定される第1の連鎖硬化領域15の終端部Eと、車体部材4における第2の連鎖硬化領域の予定領域17の始端部Bとが重複するように重ね合わせ、第2トリガー付与ロボット11により、それら複数の重複部18に、第2のトリガーとして熱エネルギーHを局部的に付与するので、車体部材2,3の接合部2a,3aの終端部E及びこれに連続する領域に接着剤Aが未硬化の部分が仮に残っていたとしても、そこに接合部23a,4aを接合する際の第2のトリガーとしての熱エネルギーHが入力されて、連鎖的な硬化反応が生じ、未硬化部分の接着剤Aが確実に硬化する。こうして、第1の連鎖硬化領域15に接着剤Aの未硬化部分が残っていても、簡単に確実に硬化させることができる。
【0057】
第1の連鎖硬化領域15は、車体部材2,3の接合部2a,3aに列状に設定され、第1トリガー付与ロボット7は、第1のトリガーを列状に設定した第1の連鎖硬化領域15となる予定領域の長手方向の略中央部に付与するので、第1の連鎖硬化領域15の連鎖硬化反応をより短時間且つ安定的に行ない得る。
【0058】
次に、前記実施例を部分的に変更した変更例について説明する。
1〕実施例では、トリガー付与ロボット7,11からの熱エネルギーH付与により、連鎖硬化反応型の接着剤Aを硬化させたが、トリガーとして接着剤厚さ管理用スペーサ20を活用し、そのスペーサ20を発熱させることで接着剤Aを硬化させてもよい。
【0059】
この場合、図8に示すように、一方の車体部材2の接合部2aに、接着剤Aを塗布した他方の車体部材3の接合部3aを重ね合わせる際に、金属棒等からなる接着剤厚さ管理用スペーサ20を接合部2a,3a間に配置して、これら両接合部2a,3aを位置決め治具21とクランパー22とで挟持する。クランパー22を加熱してその熱がスペーサ20に伝導され、スペーサ20が発熱することで接着剤Aの硬化を開始させてもよい。
【0060】
2〕図9に示すように、一方の車体部材2の接合部2aを凸部24のある形状にプレス成形し、その車体部材2と、連鎖硬化反応型の接着剤Aが塗布された他方の車体部材3の接合部3aとをクランパー25と位置決め治具26とで挟持して、その凸部24に位置する位置決め治具26を加熱することにより接着剤Aを硬化させてカチオンと連鎖硬化反応熱Hrを発生させ、この連鎖硬化反応熱Hrにより接着剤Aの連鎖硬化反応を開始するようにしてもよい。尚、位置決め治具26を部材に押圧することで凸部を成形してもよい。
【0061】
3〕実施例では、車体部材4(別部材)における車体組立部材23の接合部23aと接合する接合部4aに接着剤Aを塗布したが、車体組立部材23の接合部23aに接着剤Aを塗布して、車体部材4と車体組立部材23の接合部4a,23a同士を重ね合わせてもよい。
【0062】
4〕実施例では、トリガーとして熱エネルギーHを付与したが、光エネルギー(紫外線やレーザビーム等)を照射してもよい。この場合、車体部材の接合部に切欠き部を形成し、その切欠き部から露出した連鎖硬化反応型の接着剤Aに紫外線等のエネルギー線を直接照射して接着剤Aを硬化させるようにしてもよい。
【0063】
5〕実施例では、接着剤Aの配置態様において、液状の接着剤Aを塗布したが、対象物に応じて接着剤の態様と配置態様を変更してもよい。例えば、シート状の部材を接合する場合には、固形のシート状の接着剤を貼着するようにしてもよい。
【0064】
6〕本発明の物品の接着組立技術は、実施例で示した自動車の車体部材接着組立ライン以外にも、航空機や鉄道車両などの生産ラインにも適用可能であり、その適用分野や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
7〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態が実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】自動車の車体部材接着組立ラインの一部の平面図である。
【図2】前記車体部材接着組立ラインの残部の平面図である。
【図3】車体部材の両接合部を重ね合わせる前の状態を示す斜視図である。
【図4】車体部材の両接合部を接着剤で接合した状態と、第1の連鎖硬化領域を示す斜視図である。
【図5】車体組立部材と車体部材を重ね合わせる前の状態と、車体組立部材における第2の連鎖硬化領域の予定領域を示す斜視図である。
【図6】車体組立部材の接合部と車体部材の接合部とを接着剤で接合した状態を示す斜視図である。
【図7】車体部材の接合部に第1のトリガーを付与した状態を示す説明図である。
【図8】変更形態に係る図7相当図である。
【図9】変更形態に係る図7相当図である。
【符号の説明】
【0066】
A 接着剤
H 熱エネルギー
Hr 硬化反応熱
1 物品の接着組立ライン
2,3,4 車体部材
5,9 接着剤塗布ロボット
6,10 搬送ロボット
7 第1トリガー付与ロボット
11 第2トリガー付与ロボット
15 第1の連鎖硬化領域
23 車体組立部材
17 第2の連鎖硬化領域の予定領域
18 重複部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部材の接合部同士を接着剤で接着して物品を組み立てる物品の接着組立方法において、
外部からトリガーとして局部的に付与されたエネルギーにより硬化して反応熱を発生し、その反応熱発生部位に隣接する部分が前記反応熱により連鎖的に硬化するのを繰り返す連鎖硬化反応型の接着剤を、少なくとも一方の部材の接合部に配置する第1の接着剤配置工程と、
次に前記接着剤を配置した接合部に他方の部材の接合部を重ね合わせた状態で、前記接着剤の特定位置に連鎖硬化反応開始のための第1のトリガーを付与し前記接着剤を連鎖硬化させて1組の部材を接合する第1のトリガー付与硬化工程と、
次に前記1組の部材と、前記1組の部材とは異なる別部材との少なくとも一方の接合部に前記連鎖硬化反応型の接着剤を配置する第2の接着剤配置工程と、
次に前記1組の部材と別部材とを、前記1組の部材の第1のトリガー付与により連鎖的に硬化したと推定される第1の連鎖硬化領域の終端部と、前記別部材の第2の連鎖硬化領域となる予定領域の始端部とが重複するように重ね合わせ、その重複部に第2のトリガーを付与して前記別部材の接合部の接着剤を連鎖硬化させて接合する第2のトリガー付与硬化工程とを備えた、
ことを特徴とする物品の接着組立方法。
【請求項2】
前記第1の連鎖硬化領域は、前記部材の接合部に列状に設定され、
前記第1のトリガーを前記列状に設定した第1の連鎖硬化領域となる予定領域の長手方向の略中央部に付与することを特徴とする請求項1に記載の物品の接着組立方法。
【請求項3】
前記第2のトリガーが付与される重複部を、前記第1の連鎖硬化領域の両側の終端部に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の物品の接着組立方法。
【請求項4】
第1,第2のトリガー付与は熱エネルギー付与であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の物品の接着組立方法。
【請求項5】
複数の部材の接合部同士を接着剤で接着して物品を組み立てる物品の接着組立装置において、
外部からトリガーとして局部的に付与されたエネルギーにより硬化して反応熱を発生し、その反応熱発生部位に隣接する部分が前記反応熱により連鎖的に硬化するのを繰り返す連鎖硬化反応型の接着剤が、少なくとも一方の部材の接合部に配置され且つ、前記接着剤が配置された接合部に他方の部材の接合部が重ね合わされた状態で、前記接着剤の特定位置に連鎖硬化反応開始のための第1のトリガーを付与する第1トリガー付与手段と、
前記1組の部材と、前記1組の部材とは異なる別部材との少なくとも一方の接合部に前記連鎖硬化反応型の接着剤が配置され、前記1組の部材と別部材とが、前記1組の部材の第1のトリガー付与により連鎖的に硬化したと推定される第1の連鎖硬化領域の終端部と、前記別部材の第2の連鎖硬化領域となる予定領域の始端部とが重複するように重ね合わされた状態で、その重複部に第2のトリガーを付与する第2トリガー付与手段と、
を備えたことを特徴とする物品の接着組立装置。
【請求項6】
前記第1の連鎖硬化領域は、前記部材の接合部に列状に設定され、
前記第1トリガー付与手段は、第1のトリガーを前記列状に設定した第1の連鎖硬化領域となる予定領域の長手方向の略中央部に付与することを特徴とする請求項5に記載の物品の接着組立装置。
【請求項7】
前記第2のトリガーが付与される重複部が前記第1の連鎖硬化領域の両側の終端部に設定され、第2トリガー付与手段は前記重複部に第2のトリガーを付与することを特徴とする請求項5又は6に記載の物品の接着組立装置。
【請求項8】
前記第1,第2トリガー付与手段は、前記トリガーとして熱エネルギーを付与することを特徴とする請求項5〜7の何れかに記載の物品の接着組立装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−227779(P2009−227779A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−73599(P2008−73599)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】