説明

物品の箱詰装置

【課題】収納箱内に複数の物品を一度に収納することができる物品の箱詰装置を提供すること。それぞれの物品を載せた載置手段が回転体によって容易に移動でき、複数の物品を所定の範囲内に配置することができる箱詰装置を提供すること。反転動作によって物品を収納箱内に収める場合に、載置手段を収納箱内に落とすことなく、物品だけを収めることができる箱詰装置を提供すること。
【解決手段】本発明の物品の箱詰装置は、複数の物品を所定範囲内に配置する基台10と、開口部を下面とした収納箱20を基台10の上面に被せる収納箱搬送手段30と、収納箱20を基台10上に被せた状態で基台10を反転する反転手段40とを備え、反転手段40による反転動作によって物品を収納箱20内に収納することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜等物品を段ボール箱等の箱へ入れる箱詰装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャベツやハクサイ等の野菜は、段ボールの箱等へ入れて消費地等へ流通している。この箱へ入れる作業はほとんど手作業で行われており、多くの労力を要している。そのため、能率良く箱詰め作業が行える箱詰装置が求められている。
青果物の自動箱詰装置には、リンゴやスイカ等で開発がなされ、利用されている。これらの自動箱詰装置は、等級や階級により選別された後、それぞれの等階級毎に定められた個数を定められた位置に自動で入れる装置である。また、対象となる青果物を箱に入れる時のハンドリングには吸着パッドを利用し、吸着パッドで青果物を保持して、箱内に順次入れる装置である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の自動箱詰装置では吸着パッドで対象物を取り扱う手法が用いられているが、吸着パッドでの野菜のハンドリングには難がある。また、野菜は果物に比較して形状が均一でないため、それぞれの形状を考慮しながら隣同士を箱のサイズに収まるようにする必要がある。
【0004】
本発明はこのような課題を解決するもので、収納箱内に複数の物品を一度に収納することができる物品の箱詰装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明の物品の箱詰装置は、複数の物品を所定範囲内に配置する基台と、開口部を下面とした収納箱を前記基台の上面に被せる収納箱搬送手段と、前記収納箱を前記基台上に被せた状態で前記基台を反転する反転手段とを備え、前記反転手段による反転動作によって前記物品を前記収納箱内に収納することを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の物品の箱詰装置において、前記物品を前記物品毎に載置する載置手段と、前記載置手段と前記基台との間に配置される球状部材又は筒状部材の回転体とを有することを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1に記載の物品の箱詰装置において、前記載置手段を前記基台に保持する磁気結合手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、収納箱内に複数の物品を一度に収納することができる。
また本発明によれば、それぞれの物品を載せた載置手段が回転体によって容易に移動できるため、複数の物品を所定の範囲内に配置することができる。
また本発明によれば、反転動作によって物品を収納箱内に収める場合に、載置手段を収納箱内に落とすことなく、物品だけを収めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の第1の実施の形態による物品の箱詰装置は、反転手段による反転動作によって物品を収納箱内に収納するものである。本実施の形態によれば、収納箱内に複数の物品を一度に収納することができる。特に物品がキャベツなどの野菜の場合には、野菜同士を無理に押し詰めることなく適当な接触を保って収納することができる。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による物品の箱詰装置において、物品を物品毎に載置する載置手段と、載置手段と基台との間に配置される球状部材又は筒状部材の回転体とを有するものである。本実施の形態によれば、それぞれの物品を載せた載置手段が回転体によって容易に移動できるため、複数の物品を所定の範囲内に配置しやすい。特に物品がキャベツなどの野菜の場合には、個々の大きさ形状が異なるが、載置手段が容易に移動するので、隙間が生じないように各物品を移動させることができる。
本発明の第3の実施の形態は、第1の実施の形態による物品の箱詰装置において、載置手段を基台に保持する磁気結合手段を有するものである。本実施の形態によれば、反転動作によって物品を収納箱内に収める場合に、載置手段を収納箱内に落とすことなく、物品だけを収めることができる。
【実施例】
【0008】
以下に本発明の実施例について図面とともに詳細に説明する。以下の各実施例においては、物品としてキャベツを用いて説明するが、工業品など他の物品についても適用することができる。
図1は本発明の一実施例における物品の箱詰装置の構成図、図2は同箱詰装置の要部斜視図、図3は同箱詰装置の載置手段を示す斜視図、図4は同箱詰装置の反転手段の動作状態を示す要部斜視図、図5は同箱詰装置を用いた箱詰方法を示すフローチャートである。
【0009】
図1に示すように、本実施例による箱詰装置は、複数のキャベツ1を所定範囲内に配置する基台10と、開口部を下面とした収納箱20を基台10の上面に被せる収納箱搬送手段30と、収納箱20を基台10上に被せた状態で基台10を反転する反転手段40とを備えている。
基台10は、ベルトコンベアなどの移送手段を備えた搬送用基台11と、この搬送用基台11から搬入されるキャベツ1を所定範囲内に配置する収納用基台12と、反転手段40によって反転する反転用基台13とから構成される。収納用基台12についてもベルトコンベアなどの移送手段を備えている。また、収納用基台12には、キャベツ1を所定範囲内に配置するために規制板14を備えている。本実施例では、規制板14は、両側壁を構成する一対の側板と、この側板に垂直で下流側を規制する停止板とで構成している。なお、搬送用基台11は、必ずしも移送手段を備えていなくてもよい。また、搬送用基台11を備えることなく、収納用基台12に手作業によってキャベツを配置してもよい。また、収納用基台12が反転用基台13の機能を備えていてもよい。また、キャベツ1を所定範囲内に配置する手段として、3枚の規制板14を用いたが、停止板だけで構成してもよく、又は移送手段を持たない場合には、所定範囲を示す表示手段であってもよい。
収納箱20は、有底の箱で蓋を備えていることが好ましいが、底や蓋は別部材であってもよい。また、製函前の状態にある箱部材を用いてもよい。
収納箱搬送手段30は、収納箱20を保持する保持手段31と、収納箱20を少なくとも上下に移動する移動手段32と、保持手段31での保持動作と移動手段32の動作とを制御する制御手段33とから構成される。
反転手段40は、反転用基台13を反転させる回転軸41と、反転動作時に収納箱20の落下を受けるカバー42とを備えている。
【0010】
図2は、収納用基台12にキャベツ1が搬入された状態を示している。同図に示すように、キャベツ1はそれぞれ載置手段50に載置されて移送される。
図3に載置手段50を示す。
載置手段50は、載置するキャベツ1の外形よりも小さい外形寸法であることが好ましく、本実施例では、有底の円筒部材51で構成している。円筒部材51とすることで凹部を形成し、キャベツ1を安定して載置することができる。
載置手段50の下面には、複数の球状部材からなる回転体52を回動可能に設けている。なお、本実施例では載置手段50に回転体52を設けたが、基台10側に設けてもよい。また、回転体52は、球状部材に代えて筒状部材であってもよい。
図4は、反転手段40の動作状態を示している。
反転用基台13がカバー42とともに回転軸41を軸として反転動作を行う。このときに、載置手段50は、反転用基台13に吸着されることで、載置手段50を落とすことなく、キャベツ1だけを収めることができる。ここで、載置手段50と反転用基台13との吸着には、永久磁石又は電磁石の磁気を利用することができる。
【0011】
次に、図5を用いて本実施例による箱詰方法について説明する。
まず、収納箱20の開口範囲内に複数の物品を配置する工程について説明する。
移動手段32によって箱保持シリンダを上昇させるとともに、保持手段31によってブロワ吸引を開始し(S1)、収納箱20を所定の位置に準備する(S2)。搬送用基台11、又は搬送用基台11と収納用基台12のコンベア駆動が開始されるとともに(S3)、規制板14を収納用基台12に配置することで、キャベツ1を所定範囲内に配置する領域を規制する(S4)。
この状態で、搬送用基台11から搬送されるキャベツ1は、収納用基台12に搬入されるが、収納用基台12に搬入されるキャベツ1の個数を計測する。なお、キャベツ1はそれぞれ載置手段50に載置されて搬送される。収納用基台12に搬入されるキャベツ1の個数を検出器で検出し、所定個数(本実施例では8個)に達したか否かが判断され(S6)、所定の個数に達したときには、搬送用基台11のコンベアは停止する(S7)。収納用基台12のコンベアも駆動している場合には、収納用基台12のコンベアも停止する。
【0012】
次に、配置した複数のキャベツ1に収納箱20を被せる工程について説明する。
規制板14を解除し(S8)、移動手段32によって箱保持シリンダを下降させるとともに(S9)、保持手段31によってブロワ吸引を終了する(S10)。
この状態で、8個のキャベツ1が収納箱20によって覆われることになる。そして、移動手段32によって箱保持シリンダを再び上昇させるとともに(S11)、収納用基台12のコンベアを所定時間(本実施例では10秒)駆動する(S12)。
【0013】
次に、収納箱20を反転する工程について説明する。
S12において、反転用基台13がコンベアを備えている場合には、収納用基台12とともにコンベアを駆動しておく。反転用基台13がコンベアを備えていない場合には、収納箱20を被せたキャベツ1を載置手段50とともに反転用基台13に移動させる(S13)。
キャベツ1を被せた状態の収納箱20を反転用基台13に載せた状態で、図示しない駆動手段によって回転軸41を回転させることで、反転手段40を動作させる(S14)。
そして、キャベツ1の入った収納箱20をカバー42内から引き出し(S15)、反転手段14を元に戻すことで終了する(S16)。なお、載置手段50は反転用基台13に吸着された状態で回収される。
【0014】
以上のように、本実施例によれば、反転手段40による反転動作によってキャベツ1を収納箱20内に収納するため、収納箱20内に複数のキャベツを一度に収納することができる。この収納方法によれば、キャベツ1などの野菜の場合には、野菜同士を無理に押し詰めることなく適当な接触を保って収納することができる。
また、本実施例によれば、キャベツ1をそれぞれ載置する載置手段50と、載置手段50と搬送用基台11、及び載置手段50と収納用基台12との間に回転体52を有するため、それぞれのキャベツ1を載せた載置手段50が回転体52によって容易に移動できるため、複数のキャベツ1を所定の範囲内に配置しやすく、個々の大きさ形状が異なるキャベツ1の場合には特に、載置手段50が容易に移動するので、隙間が生じないようにそれぞれのキャベツ1を移動させることができる。
また、本実施例によれば、載置手段50を反転用基台13に保持する磁気結合手段を備えることで、反転動作によってキャベツ1を収納箱20内に収める場合に、載置手段50を収納箱20内に落とすことなく、キャベツ1だけを収納箱20内に収めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明による物品の箱詰装置は、キャベツ等の形状や大きさが個々で異なる野菜の箱詰装置として特に適しているが、工業品など他の物品の箱詰装置としても利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例における物品の箱詰装置の構成図
【図2】同箱詰装置の要部斜視図
【図3】同箱詰装置の載置手段を示す斜視図
【図4】同箱詰装置の反転手段の動作状態を示す要部斜視図
【図5】同箱詰装置を用いた箱詰方法を示すフローチャート
【符号の説明】
【0017】
1 キャベツ
10 基台
11 搬送用基台
12 収納用基台
13 反転用基台
14 規制板
20 収納箱
30 収納箱搬送手段
31 保持手段
32 移動手段
33 制御手段
40 反転手段
41 回転軸
42 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品を所定範囲内に配置する基台と、開口部を下面とした収納箱を前記基台の上面に被せる収納箱搬送手段と、前記収納箱を前記基台上に被せた状態で前記基台を反転する反転手段とを備え、前記反転手段による反転動作によって前記物品を前記収納箱内に収納することを特徴とする物品の箱詰装置。
【請求項2】
前記物品を前記物品毎に載置する載置手段と、前記載置手段と前記基台との間に配置される球状部材又は筒状部材の回転体とを有することを特徴とする請求項1に記載の物品の箱詰装置。
【請求項3】
前記載置手段を前記基台に保持する磁気結合手段を有することを特徴とする請求項1に記載の物品の箱詰装置。

【図2】
image rotate

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−234641(P2009−234641A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84626(P2008−84626)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【Fターム(参考)】